男「友達の誕生日会に誘われた」母「プレゼントがいるね」 (142)

男「でも…今、去年のお年玉の500円しかないや…」

母「500円でも良い物が買えるよ」

男「ホントに?」

母「プレゼントは値段じゃなくて気持ちだから」

男「じゃあ、探してみるよ」

母「お母さんも手袋編むからそれを友達にプレゼントしてちょうだい」

男「うん!」

俺は1週間後の誕生日会が楽しみで仕方がなかった

近所のイオンに友達のプレゼントを買いにきた

ウィーン

男「どんなのが良いかな…文房具とか見てみよう」

中1のクラスメイトの女の子の誕生日会に誘われた

1週間後にファミレスで誕生日会をし

その時、みんなでサプライズでプレゼントを渡していく方式だ

男「うわー、この筆箱とか下敷きとか良さそう」

男はキャラクターがデザインされている筆箱や下敷きを手に取る

男「女ちゃん、これなら喜びそうかなぁ?」

男はアニメキャラクターがデザインされた下敷きを選び

レジに持って行く

店員「いらっしゃいませ」

男「これ、プレゼント用の袋に入れてもらっていいですか?」

店員「かしこまりました」

ピッ

店員「250円になります」

男「はい」

チャリンッ

男は500円玉を店員さんに差し出した

店員「250円のお返しになります」

その店員とのやりとり重要なのかよwww

―その日の夜―

男「お母さんまだ寝ないの?」

母「ごめんね、もうちょっとこの編み物の作業させてね」

男「…しんどくない?」

母「あんたの友達の喜ぶような手袋作ってあげるから」

母「母さんも友達が喜んでる姿想像すると嬉しくてね」

男「お母さん…ありがとう。僕もう寝るね。」

母「おやすみ」

男「おやすみなさい。」

そして、1週間が経ちいよいよ誕生日会当日を迎える

母「これ」

スッ

男「あ…これって」

母「ギリギリ手作りの手袋が出来たから渡してあげてね」

男「うん、あのそれと…お母さん……」

母「?」

男「あの……実は…」

スッ

母は何も言わず僕に1000円札を渡してくれた

母「今日は夕飯も食べてくるんだから、はい」

男「……あ、ありがとう!行ってきます!」

母「楽しんでくるんだよ」

男は母に手を振りながら家を飛び出て集合場所のファミレスにへと向かった

本当にギリギリだったのよ。お母さんヤバイところだったわ

―ファミレス―

タッタッタ

男「ごめん・・!遅くなって!」

男友達「おう、これで全員揃ったか」

サッカー部「イラッシャイウィーンw」

ブス女「もう寒くてたまんないわぁよぉ」

女「じゃあ、入ろっか」

リッチ男「うん」

男(早くプレゼント渡したいな…女ちゃんきっと喜ぶだろうなぁ)

6人はファミレスにへと入って行った

ブス女「おっ、暖かそうなの持ってるじゃない!私にちょうだいよ!」

ブス女が僕の初恋の人になった

6人はまずドリンクバーだけを頼んだ

そして、早速プレゼント渡しの時間となった

サッカー部「じゃあ、まず俺から渡すっぺw」

スッ

サッカー部が取り出したのは今流行りのスニーカーであった

女「これ欲しかった色のスニーカーだ!ありがとう!」

サッカー部「結構探すの苦労したんだぜ~w」

ブス女「私はこの鞄よ」

女「!!これも欲しかった鞄だ~」

男友達「お前陸上部だから、冬用の練習着セット買ってきたぜ」

女「男友達までー!こんなにありがとう!!」

リッチ男「じゃ、僕はこれを」

スッ

リッチ男が女に渡したのは高級腕時計であった

男友達「うわ・・すっげぇお洒落なケースに入ってんな・・・」

ブス女「リッチ男くんやばーい///」

女「い、いいの…?こんなに高そうな腕時計?」

リッチ男「僕からのささやかなプレゼントだよ、ぜひ受け取ってほしい」

女「あ、ありがとうリッチ男くん!大事にするね!」

男(……)

サッカー部「おい、男。お前もプレゼント用意してるだろ?」

男「あ…うん……それじゃあ」

男は隠し持っていたプレゼントの袋を机の上に取り出した

女「男くんまで!ありがとう!」

男友達「おー、なんか可愛い袋だな」

男「う、うん」

女「開けてもいい?」

男「え…あ……う、うん」

サッカー部「なんか中身すごそうだよなぁw」

男友達「もしかしたらリッチ男以上にすごいプレゼントなんじゃね?」

ブス女「そんな訳ないでしょおう」

リッチ男「中身が楽しみだね」

男「……」

ゴソッ

袋から出て来たのは手編みの手袋と下敷きであった

男友達「え?」

サッカー部「うわwwプリキュアの下敷きかよwww」

ブス女「センス無いわね~」

リッチ男「フフッ」

女「あ、ありがとう…大事に使わせてもらうね」

女は下敷きと手袋をすぐに袋にしまい込んだ

男「…その手袋お母さんの手作りなんだ」

リッチ男「手作り…フフッ」

サッカー部「お前プリキュアの下敷きはねーだろww罰ゲームかよwww」

男「……」

女「と、とりあえず!何か食べ物注文しようよ!」

リッチ男「フフッ…手作りか」

女「ひどいわリッチ男!愛情のこもった素敵な手袋じゃない!」

リッチ男に非難の目を向けた女は、しかしリッチ男の絆創膏だらけの手に気づいた

女「えっ、リッチ男さん……まさかこの高級腕時計」

リッチ男「まいったな。バレちゃったか。3ヶ月もかかったんだぜ」

リッチ男は照れくさそうに笑って言った

―30分後―

サッカー部「うめーミラノ風ドリアうめー(モグモグ」

男友達「やっぱここって安いしいいよな」

女「あ、お母さんから電話だ」

ガタッ

サッカー部「おいおいw飯中に携帯は切っとけよww」

女「ごめんごめん」

リッチ男「ま、今日は誕生日だしいいんじゃないか?」

ブス女「じゃあ、私もトイレ行ってくるわぁ。うふふう。」

リッチ男「男くん、僕のドリンク入れてきてよ」

男「あ、うん。なにがいい?」

リッチ「お茶、さっき飲んでたの見てだろ?それくらい分かれよ」

男「ご…ごめん」

ブス女が一番良い人フラグはやくしろや

サッカー部「お前、男にだけ当たり強いなw」

リッチ男「金ない癖にパーティーに参加するなよ…イラつくな」

男友達「ああ、そういやあいつの家貧乏って聞いたな」

サッカー部「苦労してんだなぁw」

男友達「小学校の時から母子家庭だったしな」

リッチ男「フン、だったら家の手伝いでもしてろよ。貧民が。」

……



女「いやー、お腹いっぱいだねぇ」

サッカー部「もう当分はファミレスいいわ…食いすぎた…」

女「みんな!今日は私のためにありがとうね!!」

こうして、無事に誕生日会は幕を閉じた

男友達「じゃあ、俺こっちから帰るわ」

サッカー部「俺もー」

女「みんな、帰る方向バラバラだもんね。気を付けてね!」

ブス女「はあぁあい」

チリンチリンッ

男「あ…しまった!財布お店に忘れてきた」

男は店内に財布を忘れてしまったことに気づき

1人で店内に向かって駆け込んだ

男「あ、すいません…!財布忘れちゃって」

店員「ああ、こちらですね」

スッ

男「これです!良かった…」

店員「あのそれと…」

男「?」

店員さんから手渡されたのは見覚えのある袋だ

男「これって…僕がプレゼントした…」

店員「さっき、女子トイレのゴミ箱にこれが入っていまして」

店員「もしかしたら…と思って拾ってみたのですが」

男「……」


女「あ、お母さんから電話だ」

サッカー部「おいおいw飯中は携帯切っとけよ」

女「ごめんごめん」

タッタッタ

女は電話がかかってきたと偽り女子トイレに駆け込んだ

女「こんなの…いらないっ…」

ポイッ

男にもらったプレゼントを女子トイレのゴミ箱に捨てたのであった

……



ガラガラッ

男「…ただいま」

母「おかえり、誕生日会どうだった?」

男「…(イラッ」

母「どうしたんだい?」

男はプレゼントの袋を母に投げつけた

シュッ

母「きゃっ」

男「こんなボロボロの手袋なんて誰も喜ばないよ!!!!!!」

男「こんな…こんなダッサイ下敷きなんて誰も喜ばないよ!!!!!」

母「あんた……」

男「もっと…もっと高価な物じゃないと喜んでくれないんだよぉ…!!」

下敷き選んだのはお前だろ

>>90
じゃあ男に贈ればいいのかよ・・・どうしろってんだよ・・・プリキュアは大人気じゃねえのかよ・・・

母「あんた…待ちなさい…!」

男「うるさい!クソババア!!!!」

パンッ

男は母の手を振り払い自分の部屋に駆け込む

男「お母さんの下に産まれてきてホントに不幸だよ…」

母「……」

バンッ

怒りを露わにしたまま部屋のドアを閉めた

母はドアを少しだけ見つめ、すぐに外にへと出て行く

これが、母との最期の会話であった

お金がなければ何もできない

~終~

店員「よかったらその手袋、私にいただけませんか。もちろんお代はお支払いします」

そう言うと店員は内ポケットに手を入れた

店員「現金じゃなく、コイツでですがね」

実物を見るのは初めてだったが、一目でわかった――スタンガンだ


ここからやり直しはよ

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