垣根「女…だと…」一方通行「…もォ開き直る」(1000)
「あなたー!そろそろ起きてーってミサカはミサカはあなたの部屋に寝起きどっきり~!ダーイブ!」ボフッ
「ぐあっ!?」
「おはよう!ってミサカはミサカは爽やかにあなたに朝のごあいさつをしてみる!」
「っのクソガキィ!」
―――いきなり自分の上に満面の笑みで飛び乗ってきた少女を一方通行は寝起きの不機嫌さを隠しもせずギロリと睨んだ。が、目の前の少女…打ち止めの方はというと普通の人間なら竦み上がるその視線を向けられたところでそれが形ばかりのポーズであることをよくよく知っているためさらりと受け流してにこにこ笑っている。
「いつにもましてお寝坊さんねってミサカはミサカは朝ごはんにも起きてこなかったあなたを心配してみる。大丈夫?もしかして風邪?」
「そう思ったンならいきなりのし掛かってくンじゃねェよ…」
「えっ…もしかして本当にどこか悪いの?」
「……別に」
「ほんとにホント?ってミサカはミサカはあなたは本音を言わないツンデレさんだから無理してないか心配してるんだからね!…んー、熱はないみたい」
「しつけェ。なンにもねェよ。あと誰がツンデレだ」
「そういうところだよってミサカはミサカは自覚がない辺りが決定的…いたっ!」
暴力反対!と涙目で訴える少女にもう一発チョップを加えると、もう既に見慣れたやりとりになっているこの光景に一方通行は大きくため息をつく。
(……あ?)
「そうだ、黄泉川はもう出掛けちゃったけどあなたの分のごはんはちゃんととっておいてくれたよ!早く食べ………あなた?」
「いや…」
なんだか様子のおかしい一方通行に打ち止めが首を傾げるが当の本人はかけられた言葉にも上の空で妙な違和感に頭を押さえた。
(…何なンだ…?)
なんだかボーッとする。身体が鉛をつけたようにだるい。
(これは…)
実は思い当たる節がある。ここ数日ずっとこんな状態が続いていたのだ。軽い貧血を起こしたり妙に眠気が襲ったりといった程度のものだったが、それでも昨日は早く布団に入って十分に睡眠をとったというのに。
今朝になってそれが余計に酷くなったような気が…する。
(腹…いや腰が重たい?オイオイまさか本当に風邪かよ)
これも能力使用が制限され常時反射出来なくなった弊害だろうか。
(ちっ、面倒くせェ…)
「つーかまずお前は俺の上から下りろ」
「あ、ごめんね?」
ぴょん、とベッドから打ち止めが床に着地たのを確認してからゆっくりと上体を起こす。と、なにかシーツに濡れたような感触があった。
「……?」
「―――!?」
「打ち止めァ!!」
「えっ?」ビクッ
「…芳川呼ンでこい。あとお前は番外個体と自分の部屋に行ってろ」
「えっえっ?」アセアセ
「いいから。早くしろ」
「…う、うん。分かった」
突然の剣幕に驚いて弾いたように打ち止めが部屋を飛び出していく。
「おいおいおい冗談じゃねェぞ…」
途端に蒼白になっていく顔に冷や汗が伝った。
<コンコン
「一体どうしたの?入るわよ?」
リビングで何事か話す声が聞こえたあと、ガチャリとドアを開け眠そうな目を擦って入ってきた相手に一方通行はゆっくりと視線を向けた。
「芳川ァ…」
いつになく絞り出すような力のない声にただならぬ様子を感じ取った彼女は途端に目を丸くしてベッドに近付いてくる。
「…打ち止め達を部屋に下がらせるくらいのことなのよね?言ってみなさい、どうしたの?」
「……芳川…」
「……これを見てくれ。コイツをどォ思う?」
「……。あなたそっちの趣味が…」
「ちげェよ!マジでシリアスな話だ!」
「これだよォ!!」バサッ
「―――!?」
一方通行が布団を捲る。と、そこには見事に真っ赤に血に染まった見るも痛々しいシーツが現れた。
「え…、え?」ポカーン
「……今起きたらこンなことになってた…」
「…それは…」
「…そンな顔してンじゃねェよ」フッ
「……ねえ」
「…分かっちゃいたンだ。昔っから実験浸けで今じゃあいつらに補助を受けなきゃまともに歩くことすら出来ねェズタボロの悪党の俺が…長く平和ボケした世界で生きようなンざ所詮自惚れた願望だったンだよ…」
「…ちょっと待って」
「悪ィな。…これでもお前らのことくらいは……ずっと守ってやるつもりだったンだけどよォ…」
「ねえ」
「ハハッ、お笑いだぜ。クソッタレな敵と闘って死ぬならいざ知らずこンなクソつまンねえ結末なンざ……ま、クズの俺にはぴったりかァ」
「おいコラ」
「だが勘違いすンなよ。俺は諦めが悪いからな。足掻けるだけ足掻いてやるさ。…少しだるいが十分歩ける。今すぐカエル医者に診てもらってくるからとりあえずこのことはクソガキ共には黙っておけ。いいな?」
「…ちょっと待って。ほんと待って」
「心配すンな。大したことじゃねェよ。俺を誰だと思ってやがる?学園都市第一位の一方s…」
「…そうね、まあ大したことじゃないとも言えるかもしれない。でも大したこととも言える」
「……あ?」
「どういう意味だ」
「いえ、私自身もとても混乱してるのよ。…ねえ、私はあくまで真面目だから怒らないでね?」
「……なンだ」
「君は……男の子、よね?」
「……は」
「―――これ、生理だと思うのだけれど」
「!!??」
「これだよォ!!」バサッ
「―――!?」
一方通行が布団を捲る。と、そこには見事に真っ赤に血に染まった見るも痛々しいシーツが現れた。
「え…、え?」ポカーン
「……今起きたらこンなことになってた…」
「…それは…」
「…そンな顔してンじゃねェよ」フッ
「……ねえ」
「…分かっちゃいたンだ。昔っから実験浸けで今じゃあいつらに補助を受けなきゃまともに歩くことすら出来ねェズタボロの悪党の俺が…長く平和ボケした世界で生きようなンざ所詮自惚れた願望だったンだよ…」
「…ちょっと待って」
「悪ィな。…これでもお前らのことくらいは……ずっと守ってやるつもりだったンだけどよォ…」
「ねえ」
「ハハッ、お笑いだぜ。クソッタレな敵と闘って死ぬならいざ知らずこンなクソつまンねえ結末なンざ……ま、クズの俺にはぴったりかァ」
「おいコラ」
「だが勘違いすンなよ。俺は諦めが悪いからな。足掻けるだけ足掻いてやるさ。…少しだるいが十分歩ける。今すぐカエル医者に診てもらってくるからとりあえずこのことはクソガキ共には黙っておけ。いいな?」
「…ちょっと待って。ほんと待って」
「心配すンな。大したことじゃねェよ。俺を誰だと思ってやがる?学園都市第一位の一方s…」
「…そうね、まあ大したことじゃないとも言えるかもしれない。でも大したこととも言える」
「……あ?」
「どういう意味だ」
「いえ、私自身もとても混乱してるのよ。…ねえ、私はあくまで真面目だから怒らないでね?」
「……なンだ」
「君は……男の子、よね?」
「……は」
「―――これ、生理だと思うのだけれど」
「!!??」
いきなり連投しちゃったすみません!
こんな感じの既視感バリバリな設定でのお話を書いていきます。主に一方さんとていとくんがグダグダするギャグ(?)になると思います、よろしければお付き合い下さい。
スレ立てとか初めてでめちゃくちゃ緊張する……
カエル医者「うん、君は女の子だね」
一方「軽!!」
一方「待て待て待て軽過ぎンだろ!そこはもっとこう……あるだろォが!?重苦しい空気とか俺の葛藤とかよォ!」
カエル医者「いやでも事実だしね」シレッ
一方「ふざけンな!つゥかなンで今まで気付かなかったンだよお前ほんとに医者か!?」
カエル医者「いやだって…」ジッ
一方「おい、今胸で判断しただろおいコラ」
カエル医者「逆に自分の身体のことなのに君自身がまったく気付かなかったというのは…」フゥ…
一方「うっ…」
カエル医者「今まで一度でもおかしいと思わなかったのかい?」
一方「それは…」
一方「だって木原くンが…『おんn…男のくせになよっちい身体しやがって』とか『それでもマ…チ○コ付いてンのか』とか『おい百合k…一方通行』とかずっと言ってきやがったから…当然男だと…」
カエル医者「うん、それ完全に騙されてたよね?」
一方「あァ!?木原くンが俺に嘘ついてたって言うのかよ!?」
カエル医者「ちなみにその木原数多を殺したのは君だからね?」
一方「…そういや妙に俺の前でユリコユリコ言ってやがったけど…」
カエル医者(第一位がこんなで学園都市大丈夫なのかな…?)
一方「でもじゃァやっぱ俺はこれから…完全にその、女に…なっちまうのか?」
カエル医者「いや、それが君が完全に間違っているとも言えないんだよ」
一方「?…どォいう意味だ」
カエル医者「そうだね、例え話をしよう。…三毛猫は基本的に皆メスだろう?」
一方「あァ…オスが生まれるためにはXXとXY両方持ってなきゃならねェからな」
カエル医者「その原理に近いのが君なんだよ」
一方「……」
カエル医者「三毛のオスが生まれる条件は染色体がXXYであること。確率的には千匹に一匹くらいだ。そして基本的に彼らには生殖機能がないため品種固定がほぼ不可能、つまりそれが高値で取り引きされる理由だね?」
アレの先っちょから経血が?
一方「……ハッ、つまり俺は欠陥人間ってことかよ」
カエル医者「馬鹿なことを言うんじゃない!!」
一方「っ!?」
カエル医者「…君は人間だ。それも研究者から見れば何十、何百億出しても惜しくないほどのね?それに対し妹達はどうだね。単価十八万円のクローンだ。命に値段などつけられないが数字の上では彼女達は君より価値のない欠陥品だということになる。君が言っているのはそういうことだよ」
一方「!……すまねェ」
カエル医者「具体的にはクラインフェルター症候群に近い。男性器はあるが性機能は弱く生物学上は男性でも女性でもないというものだ」
カエル医者「しかし生理が来たということは君には子宮も卵巣もあるということ。どちらかといえば君は女性としての比率の方が高い。ボクならそれらを摘出して男性ホルモンを投与してゆくことで君を男性に近づけさせることは出来ると思う」
カエル医者「しかし今既にあるものを取ってしまうというのは賛成しかねる。ただでさえ君はこの病院の常連なんだしそんな大掛かりな手術は負担が大き過ぎる」
一方「……そォかよ」
カエル医者「…君が自分で選びなさい。男になるか女になるか」
一方「…ああ。だがその前にひとついいか?」
カエル医者「なんだね?」
一方「てめェさっきから肩震わせて笑い堪えてンじゃねェぞクソがァァァァァァ!!!!」
カエル医者「ふはっwwwwww」
一方「はっきり言えよ!あまりに小さいから気付きませンでしたってよォォ!どォせ役に立たないシロモノだってっ…『オマエそれは男として終わりだからおとなしく女になっとけよwwww』ってすっきりはっきり言っちまえよォォォォ!!」ブワッ
カエル医者「wwwwwwww」ブハッ
一方「全世界のクラインフェルター症候群で悩んでる方すンません!本当すンませン悪気はないンです!!」
カエル医者「学園都市第一位(笑)最強(笑)」ww
一方「チクショオォォォォ!!」
一方(あれから数ヶ月…。結局冥土帰しンとこで女性ホルモンの投与を始めて数ヶ月…。ついに生理も3回めだちくしょう)テクテク
一方(下半身のシンボルとも完全にさよならバイバイしちまったよちくしょう。なンでそういうとこまで無駄に腕良いンだよあのカエルジジイちくしょう)テクテク
一方(つゥか生理マジ舐めてた。マジ痛い。芳川が二日目で死にかけてンの鼻で笑ってた自分をブチ殺してェ。…あーあー男は楽でいいですよねェ~!世界中の男爆発しろ!!)←※数ヶ月前まで自分も(一応)男でした
一方「ていうかよォ…」ピタ
一方「……なンで下は激変したのに胸は殆ど変わってねェンだ?いやまァ予想はついてたけど。どォせそうだろうなとは思ってたけど」ツルペッタン
一方「しかも…」
(今ンとここのことを知ってンのはカエル医者以外に黄泉川、芳川、クソガキ、番外個体のみだ。カエルジジイにすらあれだけ笑われたンだ、なンとしても他の奴らにはバレないように……)
一方「……と、思ってたのに!!」
一方「病院で妹達にあの時のカエル医者との会話聞かれてたわあっという間にそれがMNWに流されて一瞬で全個体に知れ渡るわそのせいでオリジナルにも伝わるわさらに三下を経由して土御門からグループにまで知られるわってどういうことだコラァァァァ!プライバシーもクソもねェじゃねェかクソがっ!クソがっ!どーせ俺は悪党だよ!何もかも上手くいかないンだよちくしょう!」
ちなみにこの衝撃の事実が発覚した直後、MNWは大炎上し未だ14510号は寝込んでいるらしい。
一方「しかもなンか勝手にクソガキ共に鈴科百合子とかいう名前付けられるしよォ!だからなンなンだよ百合子って!誰だよ!DQNネーム(笑)が流行りのこの時代に古風すぎンだろ!」
百合子「はァ…不幸だァ…。
………ってなンで名前表記百合子になってンだよちくしょう!うわあァァン助けて木原くン!!」ブワッ
百合子「くそゥ…もうイイ。ハッ!大体女だったらなンだってンだ?……それを嘲笑(わら)う傍観者(しあわせなもの)達へ背を向け行ってやるよチクショウ」ドヤッ
百合子「……」
百合子「……一人で上手いこと言ったつもりでドヤ顔すンのすげェ恥ずかしいわ…」カァー
ところで彼……彼女が今こうして第七学区の大通りを一人歩いているのは最近通いつめているとある喫茶店に向かうためである。
百合子(あれから芳川達は終始ニヤニヤしながらこっち見てきやがるからなァ……クソガキに関しては『ミサカの完璧な可愛いお嫁さンプランが崩壊した…』とかわけわかンねェこと言って最初は泣いてたけど)
つまるところ家に居辛い。だからこうして既にお得意様を通り越し迷惑がられつつある喫茶店に今日も居座って時間を潰そうというわけだ。
<カランカラン
<イラッシャイマセー
百合子「…アイスコーヒー」
店員「かしこまりました(また来たよこの客…)」
百合子「あー……腹痛ェよちくしょう」バタッ
百合子「……女か…」
改めてテーブルに突っ伏したまま自分の身体を眺める。
元々どこもかしこも薄っぺらい身体は構造的にはだんだん女に近付いていっているとはいえやはり貧相そのものだ。
百合子「こンな女いるかっつーの…」クク
……本当によかったのだろうか?
ふとその考えが浮かぶ。
男か女かを選ばされた時女を選んだのは、決して男になるリスクが高いことと冥土帰しに馬鹿にされたことだけが理由ではない。……そう、別にカエルに言われたことなんてもうこれっぽっちも気にしてはいない。…いないンだよちくしょう!!
―――もうひとつ、大事な理由があった。
それは…
<カランカラン
<イラッシャイマセー
百合子「ン…」
垣根「……あ?」
百合子「……」
垣根「……」
垣根「よう、第一位じゃねえか」
百合子「……は?」
店のドアから颯爽と入ってきたすらりとした長身と長めの茶髪の整った顔をした少年は一方通行に気が付くと軽く片手を挙げさも親しげに話しかけてきた。
百合子(いやいやいや……え?)
彼女が驚くのも無理はない。何故ならその少年は学園都市第二位の未元物質――垣根帝督。そして何より一方通行がその手で再起不能のグチャグチャのミンチにしてやったはずの相手だからである。
しかしそのことだけでも十分過ぎるほど衝撃的ではあったがそれ以上に一方通行を呆然とさせたのは何故かその第二位がさも当たり前の顔をして相席してきた上に当たり前のようにコーヒーを運んできた店員に自分もアイスティーを頼んでいることだった。
百合子「おいちょっと待て」
垣根「ああ?なんだよ相変わらずぶん殴りたくなるツラしやがって」
百合子「あ?…ンだとコラ」
垣根「おっと落ち着けよ。…安心しろ、もうお前をどうこうしようってつもりはねえ」
百合子「はァ?なーンなンですかそれはァ?大体どの面下げて俺の前に現れてンだオイ」
垣根「イケメン面」キリッ
百合子「」イラッ
百合子「…つゥかてめェハンバーグでも作れそォな愉快な挽き肉になったンじゃなかったのか?あ?メルヘンくンよォ」フフン
垣根「ああ、てめえのそのクソムカつく顔をぶん殴りたくて地獄から蘇ってきちまったんだわ」ハッ
百合子「……」
垣根「……」
一瞬の内にピリピリとした空気が二人の間に流れる。が、その空気は垣根によってすぐに破られた。
垣根「…ちっ。ったく第一位サマは短気で嫌だね。言ったろ、安心していいってよ」
百合子「ンなもン信じるとでも思うかボケ」
垣根「いやいやこれは本心だぜ?…本気で死ぬ思いをした今だからこそ言える。てめえみたいなのと遊んでるよりもっと重要で愉しい“すべきこと”があったってことをなあ…」クク
百合子「……」ピクッ
百合子「…へェ?一体そりゃあなンなンですかねェ?よかったら是非教えてくれませンかァ?」
垣根「あ、聞いちゃう?それ聞いちゃう?」ワクワク
百合子(……うっぜェェェ!!)
垣根「それはな、ずばり…」ソワソワ
百合子(キメェ)
垣根「可愛い彼女を作ることだ!!」キリッ
百合子「……」カチッ
垣根「もっと正確に言えばセックスがした……ごぱぁっ!?」ゴッ!
垣根「てめ、いきなりなにしやがる!」
百合子「いやオマエがなに言ってンだ!?はァ?…はァ!?」
垣根「いやだって正直俺思春期じゃん?そういうお年頃じゃん?……観覧車のてっぺんでキスしたりしたいじゃん?///」テレテレ
百合子「[ピーーー]ばいいのに」
百合子「いやマジで。つゥか今すぐ死なせてやるから歯ァ食いしばれ。ついでにじゃんはジャージ女のアイデンティティだから奪ってやるな」
<…ハ-ックション、ジャンヨー!
百合子「…そもそもなンでそンなピンピンしてンだ?」
垣根「ああ、それならカエル顔の医者が治してくれたぜ?」アッサリ
百合子「カエルジジイィィィィィ!余計なことしやがってェェェェ!!俺になンか恨みでもあンのかアイツ!?」
垣根「…?オイオイさっきから何をそんな熱くなってんだよ」ハハッ
百合子「八割方てめェのせいなンですけどねェェェ!?」ビキビキ
垣根「なんだオマエ前より怒りっぽくなってねえか?…あ、分かった生理だろ」
百合子「ごっふ…!!」ビシャッ!
垣根「うわっ!きったね!」バッ
百合子「なっ、なななンで知ってンだよ!?」ワタワタ
垣根「…あ?」
百合子「……あ」
垣根「あ、ああ…ジョークかよ。チッ、俺としたことが不意打ちで反応出来なかったぜ。にしてもてめえも冗談なんて言えたんだなあ?」
百合子「……」
百合子(…そォか、そうだよな。こいつはつい最近まで死にかけてたンだ。つまりまだ俺が女だってことは…)
未元通行になるのか
百合子(……落ち着け。この場合どうするべきだ?)
百合子(こいつはまだ俺が女だということは知らない…ならこのまま男で通すか?)
<?オーイ、ダイイチイー!
百合子(だが仮にもこいつは第二位、しかも暗部にいた人間だ。俺が女ってことは既にかなりの奴らに知られちまってるし遠かれ早かれ耳に入るに決まってる…)
<オイ!キコエテマスカー!?
百合子(だったら今ぶっちゃけちまった方がまだ傷が浅いンじゃねェか…?そォだよ、あとから『ちょwwおまwwww女wwwwだったのwwwwかよwwwwww』とか言われるよりゃ数段マシってモンだろ!?なァ!?)
<…オーイ、アクセラレータサン?
百合子(いやいやいや待て早まるな。ここでバカ正直に『実は俺女なンだ☆』なンて言っても信じられるわけがねェよ!だって自分でも未だに信じられねェもン!)
<……ナァ
百合子(…クソがっ!こンなことならやっぱ不能でも短○でも○茎でもいいから男になっときゃよかった…!!)
百合子(なンで…何でなンだよォ)グッ…
垣根「おい人の話聞いてんのかてめえ!?」ガタッ
百合子「う…あ…」
垣根「――?…おい」
百合子「……うェ…っ」ポロポロ
垣根「!!??」ビクーッ
百合子「…うわあああァァァァン!!」ボロボロ
垣根「ええぇぇーー!?」
とりあえず今日の投下はここまでです。書くの遅くてごめんなさい、たぶんまた明日投下しに来ます。
レスくれた人たち本当にありがとうございます嬉しいです。でも正直ガチで遅筆だからこれからの季節全裸待機はオススメしないんだぜ!
そして改行、なるほど…これからはもっと読みやすくなるよう気をつけてみますね!
ではまた明日。
百合子・・・・乙!
これから投下します
――垣根帝督という人間は本来お人好しな性格である。
スクールのリーダーとして活躍していた時、彼は基本的に一般人には手を出さないという線引きを自らに課していた。
もっともそれは慈悲の心を持ち合わせているからというわけではなく…単に自分が強者であるということを十二分に理解しているために来る余裕ではあったのだが。
それでも殺人に快楽を感じたり、はたまたそれすらもなく殺意も敵意も持たずに足元の虫を踏み[ピーーー]ような無機質さで人間の命を奪えるような男ではない。
けれども性格というのは元の性質がすべてではない。
それは環境に作られていくものだ。
そういう風に作られてきた。
そういう風になってしまった。
子供が新しいオモチャを手に入れた途端それまでの一番の宝物をあっという間にがらくたに変えてしまうように。
これほど圧倒的な力を持ってしまったが故に、彼は自分の強さに見合わないものにはいつでもあっという間に興味が失せてしまうのだ。
そうして多くの物を切り捨てあるいは取り零してきた。
そのこと自体がいいのか悪いのか、それは垣根本人にも分からないし分かろうとする気もない。
ただひとつ言えることがある。
こんな化け物染みた力を持っていなければ
暗部などという暗闇に身を落としていなければ
光を知っていれば……
垣根帝督という人間はおそらくごく平凡な人好きのする好青年、
いつも周りの人間を笑わせているようなそんな普通の温かい少年になっていたであろうということだ――
そしてそんな垣根にただ一人本気を出させた相手
唯一絶対の壁、この自分を当て馬役にさせた張本人、そして一時的にただただ超能力を吐き出す機械に変え果てさせた憎むべき宿敵。
レベル5の頂点。
学園都市最強の第一位……アクセラレータ。
その一方通行はついさっきまでそんな彼の隣で盛大にボロ泣きしていた。
―――とある公園
ベンチの端に腰掛け、垣根は内心相当焦っていることを必死に隠しつつ
同じベンチの端の方で缶コーヒーを両手に握り締めたままちんまりと座っている一方通行をそっと横目で見遣った。
垣根「……」
百合子「……」
垣根「……」
正直気まずい。
めちゃくちゃ気まずい。
あのあと一方通行があまりにも豪快に泣きじゃくるため集まってくる人目がいたたまれず、
無理矢理喫茶店から引き摺るように連れ出してこうしてたまたま目についた公園に入ったはいいものの。
……先程も言ったが垣根帝督という人間はお人好しだ。
彼の能力未元物質に常識は通用しないが垣根自身にはそこらへん変に良識が備わっている。
端から見ればシュール極まりないこの光景を傍観者になりきって腹を抱えて笑うことも出来なければ
上手くとりなして収拾をつかせる器用さも持ち合わせてはいない。
百合子「……もう死にたい。死ぬ」
垣根「…待て待て待て早まるな!死ぬな、頼むから!!」
今にもそこらの木で首を吊りそうな一方通行をなんとか押さえつけてベンチに押し戻す。
一度は心の底から絶対にこの手で殺してやろうと決意したほどの相手に突然わけもわからず泣き出された上に自殺なんかされてはたまったものじゃない。
垣根「とにかく一旦冷静になれ。落ち着いてくれ」
百合子「うっせェよこれは俺の意思じゃねェンだ生理現象だ嫌でも情緒不安定になるンだよちくしょう」エグエグ
垣根「だあああ分かった!よく分かんないけど分かったからほら!もう一本コーヒー買ってきてやるから!それで泣き止め!な?」
肩を掴んで必死に説得を試みる。
すると一方通行はそれまでずっと深く俯けていた頭をゆっくりと上げた。
……完全にレイプ目である。
垣根「ほらお前の欲しいやつ言え」
百合子「……うン。…ありがとな」
垣根「えっ…」ドキッ
百合子「じゃあさっさとデミタスのブラック買ってこいよ。十本な」
垣根「ちくしょうちょっと優しさ見せたらこれだよ」
百合子「ほら行けよ買ってきてくれンだろ?」
垣根「……。一方通行」
百合子「あ?」
垣根「これを見ろ」ゴソゴソ
百合子「?…ケータイ………ま、さか」
カチカチ ピロリン♪
<ウゥ、モォヤダ-!タスケテェキハラクーン!エグッヒック…
百合子「」
百合子「…なっ、え、うあ、あがっ…mpgQtbWptal~~!?」カァーッ
垣根「いやあなかなかいいムービー取れちゃったなー画質も音もなかなかだなあ~。
送っちゃおっかな~、誰に送っちゃおっかな~~?」
百合子「うわあああァァ!!」
一方通行は忘れていた。目の前の男が誰であるか。
腐っても第二位。その機転の早さ、抜け目のなさがいかに優れているかということを。
垣根「ん?どうした?」ニヤニヤ
百合子「垣根てめェェェェェ!!シリアスにモノローグやってた時に実はそンなことしてたのかよクソが![ピーーー]!!」
垣根「あ、やべえ。指が滑って送信ボタン押しそう」
百合子「や、やめろよォ!やめろよォォォ…!」グスッ
垣根(やだ、なにこいつ楽しい)ワクワク
いじめられっこをひたすら弄っている時のようななんともいえない感覚に垣根は満足げな笑みを浮かべる。
一度は屈辱的な敗北を味わわされた相手にやり返しているこの瞬間、
やっていることは限りなくショボくとも彼にとってはこの上ない快感だった。
……だが彼もまた忘れていたのだ。
百合子「……あ」
垣根「あ?」
百合子「なァあれ…あそこにいンのってお前ンとこのドレスの女じゃねェか?」
垣根「えっ?」クルッ
百合子「…オラァァァァァッ!!」バキィッ!!!
垣根「あああああ俺のケータイィィィーーッ!!」
……目の前にいる一方通行、その人物こそ自分のさらに上を行く存在、最強の第一位であるということを。
垣根「……」ハァハァ
百合子「……」ハァハァ
百合子「…ていうかよォ」
垣根「ああ?」
百合子「すげェ今更だけどてめェそもそもどうやってアレイスターのとこ抜け出してきたンだ?
てか勝手に復活しちまって大丈夫なのかよ……まさかそれも計画の内なのか?」
垣根「あ、このss基本ギャグなんでその手の真面目な問題はスルーの方向で」
百合子「ですよねー」
垣根「……」
百合子「……」
垣根「ていうか俺も今更なんだけど実は今日お前に会った時話しかけたのって聞きたいことあったからなんだよ」
百合子「はァ?なンですかァどうせくだらないことだろうけどォ」
垣根「いや、俺を治してくれたカエル医者がな?
……なんか“レベル5の一人が女の子になった”とか言ってきてよ」
百合子「」
垣根「もしかしたら俺がフェードアウトしてる間に勝手に除名されてて序列変動でもしたのかと思ったんだが」
百合子「」
垣根「どうやらそれはないみたいだからな。…なあ、まさか誰か死んで繰り上がったりしたのか?それとも八人めの超能力者でも出てきたか?」
百合子「」
百合子「……あァ、そォいうことですかァ…」
垣根「ん?」
百合子「あのカエル……生殺しにしてきやがった。
えェそうですよねェ文脈的に普通そう考えますよねェ?」ブツブツ
百合子「“レベル5の一人が女の子になった”、ねェ…」
百合子「そうだよなァ普通“レベル5の一人が(男から)女の子になった”なンて考えませンよねェェェ!!!!」
垣根「……??」
百合子「[ピーーー]。マジあのカエルジジイ[ピーーー]。今すぐアイツ自身を冥土に帰してやりてェ。自転パンチであの世に直行便で送り届けてやりてェ」
百合子「……」グスッ
垣根「」ビクッ
垣根「おいほんと泣くのはもう勘弁しろ」
百合子「お前に俺の気持ちが分かってたまるかよォ…」
垣根「落ち着けって。で、どうなんだ?お前なら知ってんじゃねえのか?
……ぶっちゃけ可愛かったりする?」
百合子「」ブチッ
百合子「知るか!!」
垣根「うおっ、いきなりキレんなよ…」
垣根「……まあ知らないならいい。実際そんな格下の奴何人現れようが俺には関係ねぇし」
垣根「第一今の俺はただのまだ見ぬ恋人を求めさすらう旅人だからな」フッ
百合子(やっぱこいつキメェな)
垣根「…で、やっと本題だがお前なんでいきなり泣き出したりなんかしたんだよ?第一位ともあろうお前が」
百合子「……」
垣根「はあ…。まただんまりかよ」
垣根「……ま、言いたくないならそれでいいさ。お前にだっていろいろ事情はあるんだろうしな。
証拠品のケータイもぶっ壊れちまったし今日のことは誰にも言わないでおいてやるよ。つまり貸しはなしだ。心の広い俺に感謝しろよ?」
百合子「……お前の言うことなンか信じられるかっつってンだろ」
垣根「信じる信じないはお前の自由だ。…でもな」
垣根「正直こんな風にまともに対等な誰かと会話したのなんて久々なんだよ。だから俺にとっては……結構いい時間だった。
その点においては俺もお前にちょっとは感謝してやってもいい」
百合子「…垣根……」
垣根「でよ、モノは相談なんだがそのケータイ明日買いに行くの付き合ってくんない?
あと誰か女紹介しろ。出来れば可愛い系の美人で家庭的な巨乳希望」
百合子「思いっきり貸し作ってんじゃねェか[ピーーー]」
あああ酉付け忘れたすいません>>42は自分です。
今回はここまでです。日付跨いじゃってるし短いし遅いしで本当申し訳ない…。
少しは見やすくなってるでしょうか?大して変わってないかな…。指摘とか大歓迎なのでよろしければ是非お願いします。
ではまた。
乙
メル欄に saga って入れるといいかも
sageも入れるなら sage saga で
乙
カエル余計なことをwwww
>>45
おおう、ありがとうございますこれからはいれますね!
投下開始します
――――
【緊急】セロリがイケメンとデートしてたんだが【速報】
1 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17600
あ…ありのまま今日見た事を話すぜ!
俺はさっきたまたまセロリを見かけたと思ったら奴は長身イケメンとデートしていた
な…何を言ってるのか(ry
相手誰だあれ、知らない奴だったぞ
2 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka15778
え?
え?
3 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16505
kwsk
4 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17600
遠目だったからあれだけどなんかホスト系のイケメンに腕引かれて歩いてた。
しかもセロリさん泣いてた?ぽいwwwwww
てか手っ取り早く記憶共有してくれ
5 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13995
この白髪と杖と変な服は……
どう見ても一方通行です本当にありがとうございました
6 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10822
ガチでwwww泣いてwwwwやがるwwwwwwww
一方派息してる~?^^
どんな気持ち?ねえ今どんな気持ち?^^
7 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10801
ヤリチンホスト系イケメンに遊ばれて完全にセフレ扱いなのは分かってるのに
それでも依存して泣きすがっちゃう一方通行さんですね分かります
8 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
泣いてる百合にゃん可愛いよ百合にゃんハァハァ
百合にゃんのちっぱいぺろぺろしたいお!(^ω^)
百合にゃんのピンクの乳首ダブルクリックしたいお!(^ω^)
9 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19662
変態入りましたー
10 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10084
変態は今日も変態でした、[ピーーー]
11 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka15596
>>10
いや…これはむしろ変態なりにショック受けてんじゃね?
12 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
百合にゃんの使用済みナプキンのフローラルな香りクンカクンカしたいお(^ω^)
怖がって拒否する処女の百合にゃんに優しくタンポン入れてあげたいお(^ω^)
でももっと熱くてぶっといのも挿れてあげたいお!!!!
13 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka15596
>>>10
ごめん、やっぱ変態は変態だったわ
14 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13302
なぜ実況しなかった
セロリとスネーク今どこだよ
15 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17600
>>14
見失ったんだよ言わせんな恥ずかしい
なんか一緒にいた男に気付かれてたみたいでいつの間にか撒かれてた
今まで散々探し回ってたけど見つからない、悔しい
16 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14133
スネークが撒かれた…だと…?
何者だよそいつ
17 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
今北産業
18 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13302
姉御きたああああああ!!
セロリが
謎のハイスペックイケメンと
付き合ってる疑惑
19 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19015
姉御ーー!俺だ!結婚してくれ!!
モヤシに
ビッチの
可能性浮上
20 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
百合にゃんはビッチじゃないもん!純潔だもん!
21 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10654
>>20
そげぶ
22 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12044
耳年増なだけの純情な変態かわいねー(棒)
処女厨ざまああwwwwww
KJ派の勝利の日が来たな!
23 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
急展開ワロタ
ところで運営はこのこと知ってんの?
24 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12258
>>23
知ってたら黙ってないだろ
未だに未練たらたらじゃんあの幼女
25 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14975
そういや14510号はまだ引きこもってんのか
ていうか生きてんの?
なんだかんだこういう時真っ先に来るアイツいないと寂しいわ
26 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
>>25
この前お見舞い行った
なんか百合姫読みながら『あの人とならミサカは…。
で、でもその場合どっちがタチに…やはりここはミサカが勇気を出して……///』
とかブツブツ言ってた
ついでに10033号はペニバンとディルド集めに奔走してる
27 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14975
セロリのために性癖すら変えてきたか…そのバイタリティーには素直に感心するわ
まあでも立ち直ってきててよかった
そして10033号はどこに向かってるの?
28 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10408
>>27
一方さん的にはむしろ悪いだろwwwwww
10033号ェ…
29 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11091
なんでミサカネットワークすぐ変態のすくつ(ryになってしまうん……?
30 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14444
ゆるゆりとか青い花とか言ってるやつはにわか
上級者ならおにいさまへ…一択
サンジュスト様可愛いよサンジュスト様
31 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
ていうかこれ第二位じゃね?
32 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10068
え?
33 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10700
え?
34 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10955
え、第二位ってあれだろ確かこの世に存在しない物質(笑)とか作っちゃう人だろ?
一方さんに殺されたんじゃないのそいつ
35 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
>>34
情弱乙
俺んとこのリアルゲコ太が治してたからwwww
36 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19701
えっ?
37 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13322
な、なんだってーー
38 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17542
つまり……どういうことだってばよ?
39 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
一方通行と一緒にいたのは第二位か
スネークが撒かれるレベルの相手と考えれば確かに辻褄合うな
40 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka15959
これ第二位なの?未元物質だっけ
……イケメンだな
41 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10820
おや?
>>40のようすが……?
42 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10561
正直セロリ女って判明した直後はすげー面白かったけど
その分ロリコンネタでからかいにくくなって最近マンネリだよね
43 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
あ
44 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17005
ん?
45 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10408
姉御どうした
46 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
第二位が生き返ったのっていつだ?
47 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
>>46
確か三日くらい前に退院してったはず
でも直接会ったりはしてないから分かんね興味ないし
リアルゲコ太に聞いてくれ
48 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
やっぱ復活したの最近か
……なあ、じゃあもしかして第二位って一方さん女だってことまだ知らないんじゃね?
49 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19619
!!
50 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10226
これは……
51 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16896
盛 り 上 が っ て ま い り ま し た
52 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13801
未元通行!? 未元通行なの!?
53 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
そういやリアルゲコ太がヒントがどうだのこれから面白くなるだの言っあbbbbbbbbb
54 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11655
えっ?えっ
55 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
一体これはどういうことなのかな?(#^ω^#)
56 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10801
あわわわわわ
57 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10812
運営様!
今日も一方通行さんはかわカッコイイであbbbbbbbbb
58 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12803
運営様今日もアホ毛がとってもキュートあbbbbbbbbb
59 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10882
ああ……
60 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
詳しく聞きたいなー^^
61 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17600
運営様すいませんお仕置きは勘弁あbbbbbbbbb
62 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
あの人まだ帰ってきてないんだけど第二位さんと一緒にいるのかなどこにいるのかな何してるのかな
知りたいんだけどその泥棒猫のこと
63 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
あの上位個体、とりあえず一方通行さんのケータイに連絡を入れてみてはどうでしょうか
64 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
あ、そっか!そうしてみる……ってあの人帰ってきた!!
65 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11801
修羅場ktkrあbbbbbbbbb
百合子「……帰った」バタン
打ち止め「あなた、おかえりなさいってミサカはミサカは内心かなり動揺してることを隠しながらとりあえず玄関まで出迎えてみる」タタタッ
百合子「…なンだよ」
打ち止め「……目が赤いね?ってミサカはミサカはマジかよオイと思いつつあなたに尋ねてみたり…」
百合子「ああ?いつも赤いだろうが。つーか他の奴らどうした」キョロキョロ
打ち止め「ヨミカワはまだ学校、ヨシカワと番外個体は寝てるみたい。
ってそうじゃなくてね…うぅ~」
百合子「?…言いたいことあンならさっさと言え」
打ち止め「えっとね…」ソワソワ
百合子「……ねェなら今日はもォ寝るぞ。疲れた。すげー疲れた」スタスタ
打ち止め「……。第二位…」ボソッ
百合子「」ビクッ
打ち止め「うわあマジだよ」
百合子「な…ンで……っ!!
………ミサカネットワークかァァァァァ!!!」
71 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10798
wwwwwwwwwwwwwwww
72 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12229
泣き腫らした目のセロリさんちょりーーっすwwww
73 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
セロリぱねぇなwwwwwwwwwwww
百合子「…17600号か!!そうなンだな!?
おいどこからどこまで見てやがったオイ!ま、まさか…」
打ち止め「お、落ち着いてってミサカはミサカは今にも黒翼が出そうなあなたを諌めてみたり…」
百合子「なン…なにが……。いや、泣かねェ。
もォこれ以上恥晒さねェぞ俺は」
打ち止め「やっぱ泣いたんだ…ってミサカはミサカはあなたのその姿をちゃんと見たかったって地団駄踏んでみたり…」
百合子「あぐっ……ていうかとりあえずネットワークの接続切りやがれ!!
どォせ今もネットワーク内で笑いまくってンだろあいつらァァァ!」
打ち止め「えー?みんなまさにこれからの展開を期待してるのにってミサカはミサカは不満にほっぺを膨らませて…」
百合子「……なァ、明日美味いチョコレートケーキ食いたくねェか?」
打ち止め「了解。ただちにMNWへの接続を終了、ついでにレスを書き込んだ全下位個体へのお仕置きも実行します」
百合子「おゥ、やれ。思いっきりやれ」
76 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10801
ちょっ待っ、ここからが本番あbbbbbbbbb
77 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
え、パンツ脱いだ漏れのリビドーは一体どこに向ければあbbbbbbbbb
78 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
ここまでか……
あbbbbbbbbb
打ち止め「で、一体全体どこの馬の骨の第二位があなたを泣かせたのかちゃんと説明して欲しいなって
ミサカはミサカはあなたに強く要求してみる」
百合子「…面倒くせェ…つゥか馬の骨って」
番外個体「ハーイ、その事態をさらに面倒臭くしてあげるよ第一位☆ぎゃは!」
百合子「……てめェ」
番外個体「実はミサカ最初からずーっとROMってたんだよねえ~。
随分面白いことになってんねえ百合子ちゃん?」ニヤニヤ
百合子「もうやだ」
<ガチャ
芳川「あなたたちさっきから何を騒がしくしてるの?
まったく、おかげで目が覚めちゃったじゃない」ネムネム
百合子「ざけンな普通の成人した人間なら仕事か家事してる時間だボケ」
<ガチャッ ドタドタ
黄泉川「たっだいま~、家主様のお帰りじゃ~ん!…って、ん?みんな揃ってどうした?」
百合子「……もうやだ」
打ち止め「さあ、話を聞かせてもらおうか!
ってミサカはミサカは浮気を問いただす妻のごとくあなたの前仁王立ちしてみる!」
番外個体「楽しい楽しい自白タイムだよ百合子ちゃん☆」
百合子「…………もうやだ」
~説明中~
打ち止め「…なるほど、第二位さんが復活してあなたと会ってそれで取り乱したってことなのねって
ミサカはミサカはとりあえずあなたがその人にレイプされたりしたわけじゃないことに安堵してみる」
百合子「おい、どこでそンな言葉覚えてきやがった」
番外個体「で、やっぱりそのメルヘンくんはまだあなたのこと男って思ってるわけだよねえ~?」
百合子「………」
番外個体「さっさと言っちゃえばよかったのにぃ。ハードル上がっちゃったねえ?
まああなたじゃたとえ胸見せたところで信じてもらえてなかったんだろうけどー?」ケラケラ
芳川「これは面白くなってきたわね…。で、また明日会うんでしょう?」
百合子「この上なく不本意だがな」
打ち止め「ねえねえだったらミサカも連れていって!ってミサカはミサカはお願いしてみる!」
百合子「はァ!?」
番外個体「ならミサカも行こっかなー」
百合子「ふざけンな!連れてかねェよ!!」
あれsagaなってなかったあれごめんなさいああああ……
こ、これで大丈夫かな?
うああああごめんねごめんねドジっ子(笑)な>>1でごめんね!
多分また夜にちょっと投下すると思います
あとおにいさまへ…はガチで名作だから是非みんな視聴することをオススメするぜ!
番外個体「いいじゃんどうせその内バレるんだし。
しっかりそのシーンを見届けてあげるからさぁ~」
百合子「オマエは面白がってるだけだろ」
番外個体「え、むしろこんな状況面白がらない奴の方がいないでしょ」
百合子「…否定出来ェのがすげェムカつくわ。
確かにこれが他人の話だったら俺も爆笑してるわ」
番外個体「wwww」
打ち止め「それにそれに、明日はケーキ買ってくれるんだよね?ってミサカはミサカはあなたは約束を反故にするような人じゃないって信じてるよ!」
百合子「ぐっ…」
芳川「決まりね」
番外個体「あー明日が楽しみだなあ~♪」
百合子「…なンだこれ、なンかアレだあの黒夜とかいうガキと同じ道を辿ってる気がする
嫌だあれと同類にはなりたくねェ……なンとか軌道修正出来ねェかこれ…」
――
黒夜「……なンか今唐突にすげェ腹立ったンだけど」
絹旗「はあ?超何言ってんですか?」
――
芳川「とにかく明日に備えて今日は早く寝るのがベストね」
百合子「コアラより寝てるてめェに言われるとすげェ腹立つわァ」
「……一方通行」
と、その時不意にかかった静かな声に一方通行は振り向く。
そこには同居人であり警備員もこなす教師であり、
なにより妙なところで意地を張る一方通行がそれでも気後れなく自分の保護者だと言うことの出来る女性
黄泉川愛穂の真剣な、それでいて穏やかに温かい目があった。
百合子「…黄泉川」
その視線の意味にすぐに気付き眉根を寄せる。チッ、と舌打ちするとそれを見て黄泉川はにこりと笑った。
黄泉川「……よかったらさ、そいつ家に連れてくるじゃん。少なくともあたしは大賛成だから」
その柔和な笑みにハァ、とため息を吐く。
百合子「どうせ無駄だろうが一応言っとくぞ。
あいつがオマエに何したか…」
黄泉川「もちろんよーく知ってるじゃん。そりゃ自分のことなんだからさ」
百合子「……。オマエのことだ、どーせあいつのことも更正させてやろうとか思ってンだろ。
てめェのそのお人好しもいい加減にしねェと本当に早死にすンぞ」
黄泉川「心配してくれてるわけだ?」
百合子「茶化すンじゃねェ」
あたかも軽いことのような口振りの黄泉川に唇を噛む。
垣根が、奴が彼女にしたことを自分は許すことが出来ない。例え彼女自身がどんなに気にしていないと訴えたとしても。
『無理だ』
『お前は、その程度の悪党なんかじゃないじゃんよ』
その手の温もりを覚えている。
あの時黄泉川がこの薄汚れた、人殺しのために使い続けてきた汚い手を何のためらいもなく包み込んでくれなければ。
黄泉川だけじゃない、あの時も、あの時も、あの時も…
打ち止めや芳川や番外個体
彼女たちともしも出会っていなければ
目の前に無限に枝分かれしている自分のルートを
その中のもっとも暗く冷たく狭い道を、選んでいたのかもしれない。
だからこそ同時に垣根のことも理解出来るのだ。それは自分を写す鏡に他ならなかったのだから。
それでも、こんな善意の塊のような人間を殺そうとした相手を俺は――……
けれどもその一方通行の考えをも包み込むような表情で黄泉川は微笑む。
黄泉川「…大丈夫、あたしはそんなやわじゃない。
お前はあたしから見ればまだまだ子供じゃん、難しく考えなくていい」
黄泉川「それに」
黄泉川「それにもし何かあったとしたってこれからもずーっとお前が守ってくれるんだろ?」
邪気のないその笑顔が心を溶かしていく。
一度小さく俯いて、それからふっと皮肉っぽく鼻で笑った。
百合子「……陳腐な台詞吐いてンじゃねェよばーか」
黄泉川「…ふっふふ、お前のそういうところがお姉さんは大好きなんじゃーん!」ガバッ
百合子「ぐァっ!…ってェな抱きつくンじゃねェ重てェンだよババァ!」
黄泉川「おらおら細っこい身体してあたしたち守ろうなんていい根性してんじゃーん!」
番外個体「わお、黄泉川ってばだいたーん☆」
打ち止め「ミ、ミサカの方がもっとあなたのこと好きだもん!
ってミサカはミサカは対抗心丸出しにヨミカワに続いてあなたに抱きついてみたりーー!」
百合子「あーハイハイ」ナデナデ
打ち止め「えへへ」
芳川「あらあら微笑ましいわね。…ちょっと壁パンしたくなってきたわ」
百合子「…あァ?なに言ってンだ。てめェもだぞ芳川ァ」
芳川「え?」
番外個体「……」
百合子「今更守るもンが一人増えようが二人増えようが関係ねェ。俺を誰だと思ってンだ?
オマエがしわくちゃのババァになって人生楽しみ尽して完璧に満足するその瞬間まで何があろうが俺が絶対に死なせてやンねェよ」
芳川「……あら」
番外個体「……」
黄泉川「お、桔梗泣いてんのか?」
芳川「…違うわ……これは心の汗よ」グスッ
番外個体「……」
打ち止め「ヨミカワ家の絆深めイベント無事完了だね!
ってミサカはミサカはやっぱりヨミカワもヨシカワもみんな大好きーー!」バッ
黄泉川「このー、可愛いやつめ!可愛いやつめ!」グリグリ
芳川「まったくあなたたちったら…」フフッ
番外個体「……」
百合子「…でェ、自分から喧嘩フッかけてきたクセに勝手に拗ねてるクソガキは一体どこのどいつなンですかねェ?」フフン
番外個体「…はあ?別にミサカ拗ねてないし。バカじゃないの」
百合子「誰もオマエのことなンて言ってないンですけどォ?」
番外個体「ぐっ!
……ばーかっ!ばーかばーか百合子のくせに!貧乳!処女!」
百合子「そうですねェよかったですねェ、小学生レベルの悪口しか言えない自分も処女の番外個体さン?」
番外個体「……あああムカつく!ムっっっカつく!!やっぱブッ殺しとけばよかった!」
百合子「出来るもンならやってみろよ0歳時のガキんちょが」ハッ
番外個体「なにコイツ!ちょっと有利になったらすぐ調子に乗って…!」
芳川「はいはい、痴話喧嘩はそこまで。いい加減ごはんにしましょうお腹空いたわ」
打ち止め「ち、痴話喧嘩じゃないよ普通の喧嘩だよ!
ってミサカはミサカは敵はやはり己の中にあったかーっ!って嫉妬の炎をメラメラ燃やしてみたり…!」
黄泉川「よーしすぐごはんにするじゃ~ん」
芳川「時に愛穂、久しぶりにあなたの手作りプリンが食べたいのだけど」
黄泉川「お前が就職したらいくらでも作ってやるじゃん」
芳川「そんな…!私に一生プリンを食べるなと言うの……!?」
黄泉川「…その反応は予想してたけどやっぱイラッとするじゃん」
百合子「…おい番外個体」
番外個体「……なにさ」
百合子「言わなきゃ分かンねェなら一応言っといてやる。
てめェも俺が守る。一生だ」
番外個体「!!」
番外個体「な、なにそれプロポーズ?恥っずかしいー!百合趣味とかあり得ないんだけど~!……大体あなたに守られるとか超キモいしーミサカいろんなところが萎えちゃいそう☆
で、でもまあ今の顔と台詞はMNWには流さないでおいてあげるっていうか…ホントは自分だけのものにしておきたいっていうか…」ゴニョゴニョ
打ち止め「あなたも素直じゃないねってミサカはミサカは確実にお姉様の血が流れてる妹に肩を竦めてみたり。ふー、やれやれ」
番外個体「るっさいおチビ!」
黄泉川「…ま、とにかくそういうことだから。なあ一方通行」
百合子「ン…」
黄泉川「あたしはこういう人間じゃん?だから、さ」
百合子「あァ、分かってンよ」
黄泉川「…ま、話を聞く限りじゃもう何の問題もなさそうな奴だけどね」
百合子「いや、いろんなところに問題ありまくりだからあいつ」
芳川「フフ、なかなか面白そうな子じゃない。期待出来そうね……イケメンみたいだし第二位ならお金も持ってそうだし」
百合子「オマエ…」
番外個体「ねえねえじゃあとりあえず明日のために彼氏にメール(笑)でもしておけばぁ?
メアド交換くらいしたんでしょ?」
百合子「あー…あいつのケータイ俺がぶっ壊した」
番外個体「え?」
百合子「…いろいろあったンだよ聞くな。第一明日会うのもそのケータイ買いに行くだけだ、他意はねェ」
番外個体「デートじゃん」
百合子「違ェよボケ話聞いてたのか。
あいつは俺のこと男だと思ってンだっつってンだろ。こっちだってそンな趣味ねェよ」
番外個体「今はもう女のくせにぃ~」
百合子「…俺は……、もォいい。オマエと話してると疲れるだけだ」ハァ
番外個体「やだ、なにそれ嬉しい☆あなた困らせることがミサカの生き甲斐だからあ~」
百合子「ったく…」
ここまでです。
ギャグのつもりで始めたのにいきなり路線がおかしくなった…。誤字・脱字・矛盾だらけですいません、こまけぇこたぁ(ry
とりあえず黄泉川は俺の嫁。芳川打ち止め番外個体も俺の嫁。百合子はみんなの嫁。
ではまた。
投下開始します
―――とある公園
学園都市230万人の頂点であるレベル5、その中でもさらに第一位に次ぐ第二位という
聞く人間が聞けばそれだけで縮み上がって失禁してもおかしくないような地位に君臨している未元物質、垣根帝督は今
昨日と同じベンチにだらりと座り思案に暮れていた。
考えているのは当然昨日の出来事。
何ヶ月もの間生死の境をさまよった後で久方ぶりに再び顔を合わせた相手、
この学園都市で最強と謳われる人物。
垣根「一方通行、ねえ」
ぼそりと呟く。
その自分にとってはどうしたって憎たらしく忌々しい顔を思い浮かべ舌打ちする。
しかし今となってはもう殺意というものはない。
何故なら今の垣根にとっての最大目標はあくまで可愛い彼女を作ってイチャイチャしたい、
ていうかぶっちゃけヤりたいというものだからである。
直接交渉権とかもうどうでもよくなるくらいに。
しかしそもそも暗部にいたような闇に染まった人間が何故にそんな馬鹿っぽい、というか馬鹿な目標を立てているのか。
それは一方通行戦の前にした心理定規との会話に原因があった。
彼女がしている『お小遣い稼ぎ』。
どうやら薄汚い客とやらに金で人間関係を作りコンプレックスを緩和させてやっているだけで
エロいことはしていないという話だったが。
……もしかしたらぼかして口にしていただけで本当はヤってるのかもしれない。
ていうかやってる、絶対ビッチだろあいつ。
いやビッチに見せかけて実は経験なかったりしたらそれはそれで滾るけど。ていうか彼氏とかいんのかな…
と、いうようなことを悶々と考えていて本当に今更気付いたのだ。
―――自分にまともな恋愛経験がないということに。
昔から実験やらキナ臭い仕事ばかりで普通の女の子との関わりなど皆無。
青春も性春も一切やってこなかった。
…………ぶっちゃけ童貞だ。
が、そのことにやっと思い至った矢先にミンチで瀕死状態。
…このままじゃ死ぬに死ねない。
まあごく一般的な健全男子なら当然といえば当然の欲求ではあるけれども…
スクールのリーダーとしてその圧倒的な力を奮っていたカリスマが言ってることと思うと途端にとてつもなく馬鹿っぽく見えてしまう。
というかやっぱ馬鹿である。
しかしとにかくそんなわけで大いなる野望を捨て目先の幸せを選んだ現在の垣根の頭からはメインプランを潰す、
つまり一方通行を殺すなどといった物騒な話はすっぽり抜け落ちている。
決して再戦してまたボコボコにされるのが怖いわけではない。
いや正直ここでもう一回やられたら本当にシャレにならないというのも確かにあるのだけども。
垣根(そういやあ心理定規のやつは今何してんのか…)
スクールももう瓦解してしまったし
一方通行に殺されかけた時にそれまで使っていたケータイも粉々にされてしまっていたため連絡の取りようがない。
だから昨日のケータイも実際は退院後すぐに買ったものであり中には誰の連絡先も登録されていなかったため
どっちみち誰かにあのムービーを送ることなど出来なかったのだ。
第一彼女とは仕事上の付き合いしかなかったため住んでいるところはもちろんプライベートなことなど一切知らない。
垣根(……あれ?よく考えたら俺恋人以前に友達すらいなくね?)
今更すぎるさらなる事実に直面しなんだか悲しくなってくる。
垣根(……ダメだ、耐えられねえ。他のこと考えよう)
それ以上自分の傷を抉らないよう前向きにれからのことを考え始めることにする。
そこで思いつくのはやはり昨日の相手。
垣根「……あいつ」
本当に昨日唐突に泣き出したのは一体何だったのだろうか。
垣根(俺が何か変なこと言ったか…?いやだからって泣くような奴じゃ…)
そこまで至ってふと気付く。
よくよく思い返せば自分は別に一方通行のことなど殆ど何も知らないということに。
目下、目の上のたんこぶであり様々な凶悪な噂を聞いていたことから勝手に己の中でイメージを作り上げていただけで
本当は酷く打たれ弱い人間であるという可能性もあり得るのだ。
あの時はこっちも取り乱してしまったため上手く頭が働かなかったが
ああいう砕けた姿を見てしまうとなんだか肩透かしを食らったような気になる。
最強と恐れられてはいても案外根はごく普通の人間だったりするのだろうか?
昨日話していた時も事実結構楽しかった。
垣根(もしかしたら結構いい友達に……あ、それはねえな)
垣根(しっかし基本凶悪ヅラしてるくせに泣くと意外と普通の顔になるもんだな…結構可愛いとこあるじゃ……アレ?)
垣根(…いや)
垣根(いやいや)
垣根(いやいやいやいや)
垣根(ねえだろ。それはねえだろ)
ぶんぶんと頭を振って突如脳内の片隅に浮かんできた気味の悪い考えを無理矢理追い払う。
垣根(そ、そうだ、それよりも)
喫茶店を出たあと誰かに尾けられていたということをここになってようやく思い出し途端に眉をしかめた。
どうやら相手もなかなかに手練れらしくなんとか撒くことは出来たが顔までは分からず仕舞いだったが。
垣根(俺というよりは第一位の方を尾けてるカンジだったか…あいつは混乱してて気付いてなかったっぽいけど)
あまり危険な雰囲気というわけではなかった。
だがどうも妙な予感がする。
こういう時暗部で培った勘というのは嫌でも働いてしまう。
垣根(今日も尾行してくる…か?)
垣根(つーかなんで俺がアイツの世話焼くみてーなことしてんだ……まあいいけど)
今日また会う約束を取り付けたのも実を言えばその尾行が気になったからだ。
もっとももしかしたら本当に可愛い子を紹介してもらえるかもという下心も三割…いや七割くらい占めてはいるが。
垣根(あ、そういやレベル5になった女ってのも結局誰のことなんだかなあ。
あのカエル医者が知ってて一方通行が知らないってのはおかしくねえか?)
どうも上手く噛み合わない話にぐるぐると思考を巡らせていたその時。
垣根の背後に何やら随分と弾んだ声がかかった。
「いたいたー!ってミサカはミサカはベンチに座ってるエセホスト(笑)っぽいあなたに話しかけてみる!」
垣根「あ゛あ!?誰が、って…」
聞き捨てならない台詞に思いきり振り向いたところで目が丸くなる。
垣根「……最終…信号…?」
相変わらず短いですがここまでです。レス下さる方本当にありがとうございます百合子は正義。
ではまた。
垣根が振り向いた先、そこには思わず抱き締めたくなるほど愛くるしい容姿をした幼い少女が小首を傾げてにこにこと人懐こい笑顔で立っていた。
のだが。
打ち止め「こんにちは。一応初めましてかな?
ってミサカはミサカは内心渦巻くドス黒い感情を隠しながらあなたにごあいさつしてみる!」ニコニコ チッ ニコニコ
垣根「え」
垣根「ドス黒……え?今いきなり笑顔の合間に舌打ちしたこの子?」
表情とは裏腹の黒いオーラが漂った台詞に唖然と言葉を失う。
しかし何か言おうと口を開く間もなく続けてかかった声に向き直り再び驚いた。
番外個体「ぎゃは☆どーもー初めまして、末っ子の番外個体でぇす!」
垣根「えええ?……って、」
垣根「!その顔…第三位、か?」
直接面識はないものの顔だけは知っている学園都市の第三位、超電磁砲の異名をとる御坂美琴にそっくりな目の前の少女に目を見開く。
するとその面食らった表情を見て少女はさもおかしそうにカラカラと笑い声をあげた。
番外個体「ひゃひゃひゃ違うよー。だからミサカは末っ子なんだって」
垣根「???」
百合子「…おゥ」
垣根が頭に疑問符を浮かべていると半歩遅れてぶすっとした表情の一方通行がカツカツと杖をつき現れた。
ようやく目的の相手が顔を出しほっと息をつく。
垣根「なんだ、すっぽかさなかったんだなオマエ」
百合子「るせェ」
素っ気なく返ってきた言葉を気にすることもなく垣根は、で?とすぐさま目の前の少女の方に目を向けた。
番外個体「ん、自己紹介だね。簡単に言うとこのミサカは第三次製造計画っていうので新しく作られた妹達なんだ。
だから名前もそのまま番外個体(ミサカワースト)」
垣根「へえ?」
番外個体「ほんとはこの人をぶっ殺すためだけに生まれてきたんだけどねぇ、どういうわけか生き残っちゃって」
垣根「ふーん。ぶっ殺す、ねえ。そりゃまた穏やかじゃねえ話だな」
百合子「おい、余計なことは喋ンな」
ぺらぺらと自分の素性を晒す番外個体をじろりと睨みつけながら一方通行が制止する。
しかし対する番外個体はその目線を全く意にも介さずに軽く鼻であしらった。
番外個体「今更何言ってんのさ。この場にミサカたち連れてきた時点であなたに拒否権なんてないよ」
百合子「…ちっ」
痛いところを突かれ、イライラしつつも押し黙る。
番外個体「んーっと、で、なんだっけ。そうそう、それでまあ実際第一位とバトルロワイヤル繰り広げたりもしたんだけど」
番外個体「…まあなんだかんだで今はとりあえずこんな感じでなんとなくぐだぐだしてるかな。以上、テキトーな自己紹介終わり」
垣根「ほんとに適当なのな」
番外個体「もっと詳しく聞きたい?」
垣根「んー?でも隣の誰かさんがさっきからめちゃくちゃ睨みつけてくるからなあ」
百合子「……」
番外個体「あひゃひゃ!この人のことは気にしなくていいよ。
ああそうだ、あと蛇足でもう一個付け足しね。ミサカがこんなナイスバディなのは戦闘能力強化のために設定年齢が若干お姉様より上になってるからだよん」
垣根「あーなるほど。言われてみりゃ第三位にしちゃちょっと大人びてるもんな」
へー、ふーん、と一人で頷きながらじろじろと番外個体を眺め回す。
垣根「ワーストちゃんかあ」
番外個体「よろしくね?」
垣根「おう。よろしく」
百合子「おい、勝手によろしくすンな」
打ち止め「ミサカもミサカも~。これからよろしくね!って
ミサカはミサカは嫌々ながらも大人な対応で第二位さんに握手を求めてみたり」
百合子「おい」
垣根「つーか嫌々って」
垣根「…にしても意外だな」
百合子「あァ?」
垣根「いやあ、まさかほんとに紹介してくれるとは。
なんかキレたらすぐ手首切りそうな顔してるけど……アリだ」チラッ
百合子「はァ!?」
番外個体「あ、やっぱ見ちゃう?胸見ちゃう?ミサカのお姉様とは比べ物にならないこのバスト見ちゃうんだあ。えっちー」ケラケラ
垣根「おお…」
打ち止め「くっ、妹のくせに生意気な…!」
垣根「よかったら俺と付き合っ…」
百合子「ふざけンな!さっきから思いっきり牽制してンだろォが、
どう考えたらオマエに紹介してるように見えンだよ!?もしコイツに手ェ出したらマジで埋めンぞ!」
垣根「チッ、なんだオマエの彼女かよ。…爆発しろ」
百合子「はああ!?違ェよ!」
番外個体「そんな照れなくてもいいじゃん。昨日は熱烈なプロポーズしてきたくせに~」
百合子「してねェよボケ!話ややこしくすンな!」
垣根「このリア充が…。あーそうかそうか、お前ヤンデレがタイプだったのか」
百合子「だから違ェつってンだろォが!」
百合子「コイツらはなァ…家族みてェなもンなンだよ!」
打ち止め「!」
番外個体「!」
垣根(……あれ?)
打ち止め「…みたいな、じゃなくて家族でしょ?って
ミサカはミサカはあなたの言葉を訂正してみたり」
百合子「!………あァ、悪ィ」
打ち止め「…えへへ」
番外個体「う、うわー。あなたがデレるとかキモいんだけど」
百合子「…オマエはいちいち煽ってンじゃねェ」
番外個体「だから第一位馬鹿にすんのがミサカの生き甲斐なんだってば」
百合子「この性悪が…」
番外個体「ふふん」
打ち止め「…と言いつつも内心この人に家族認定されたことが嬉しくてしょうがない番外個体なのでした、まる。
ってミサカはミサカは素直になれない妹の心情ナレーションをしてみたり」
番外個体「はあ!?ち、ちがうし!勝手に捏造しないでよ!」
打ち止め「この期に及んでツンデレ発動されても~」
番外個体「だからぁぁ!」
百合子「そうだクソガキ、コイツが単純に俺に嫌がらせしまくるのが趣味なのはよーく知ってンだろォが」
番外個体「……」ムッ
打ち止め「…あなたも空気読もうよ、って
ミサカはミサカは昨日のやり取りは一体なんだったのか小一時間問いつめたいんだけど」
垣根(え、何この唐突なほのぼの家族コント。俺への精神攻撃?)
ここまでです。ss書くのって楽しいけど難しい…!
ではまた。
垣根「…ていうか」
百合子「あ?」
垣根「つまりお前ロリっ子だけじゃなくこんな美少女とも同棲してるってことじゃん。
なにそれどこのエロゲー?ずるい」
百合子「オマエの耳は腐ってるンですかァ?さっきから何聞いてたンだよ馬鹿が
家族だっつってンだろうがボケ、第一保護者もいるわボケ」
垣根「ボケボケ言うなよ。つーかはぁ?保護者ぁ?オマエにぃ?監視者じゃなくてぇ?」
百合子「その喋り方やめろ、クソうぜェ」
垣根「短気は損気。でもまあつまりこの二人とは恋愛的な関係はないわけね、オーケー把握した」
百合子「…オイ、一億歩譲って番外個体のこと勘違いしたのはともかく二人ってどういう意味だコラ」
垣根「え?いやだって正直お前ガチだと思っ…」
百合子「よし、死刑決定なオマエ」
垣根「やーめろって、だから今の俺はそういうんじゃないんだって。
血管切れるぞ、平和にいこうぜ?」ハハッ
百合子「なンで俺が諭されてンだ!?全部オマエのせいだよ!!」
打ち止め「ミ、ミサカは別にあなたとならそういう関係になることもやぶさかじゃないっていうかなんていうかってミサカはミサカはミサカは…///」
垣根「……うわー」
百合子「だから話ややこしくすンなっつってンだろォがクソガキがァ!!」ガアッ!
垣根「認めちまえよアクセロリータ」
百合子「……垣根くンかーわいそォ~。甦って四日でもう地獄に帰ることが決定したぜ?
…サヨウナラ」カチッ
垣根「いやすんませんちょっと調子乗ってました結構マジで余生楽しみたいんで本当勘弁して下さい」
垣根「って、ん?」
垣根「なんで俺が退院して今日で四日目って知ってんだ?言ってないよな」
百合子「……あ」
打ち止め「あ、それはね、病院に住んでる下位個体の一人が昨日教えてくれたんだよ!ってミサカはミサカは教えてみる」
百合子「…おい待て」
垣根「下位個体…ああ、例のクローンね」
打ち止め「うん。殆どのミサカたちは世界中に散ってるけど何人かここに残ってる子たちの中にあそこで生活してる個体がいて…
それであなたがカエルさんに治療を受けたことを知ってたのってミサカはミサカは説明口調で伝えてみたり。ミサカたちは脳波リンクで繋がってるからね」
垣根「ほー」
百合子「だから待…」
番外個体「そうそう、ちなみに昨日あなたを尾行してたのもスネ…17600号っていう子だよん」
垣根「へ?…あ~なるほどそういうこと…いや納得していいのか?ここは」
百合子「……」
打ち止め「うーん、尾行はあの子の趣味みたいなものだから…」
垣根「趣味?」
番外個体「まあまあその辺は気にしないで。とりあえず危険なアレじゃないから心配しなくていいよ」
垣根「そうか。なんか気が抜けちまったな」
今日の本来の目的だった尾行の相手についてあっさり判明してしまったことに肩の力が抜けぼりぼりと頭を掻く。
趣味が尾行のクローンというところはツッコミどころ満載だが実際危険さは感じていなかったためまあいいか、と軽く納得して頷いた。
垣根「…あれ」
しかしそれを二人が知っているということはつまり…
百合子「……」
垣根「あ、じゃあお前が昨日泣ww泣いたこと結局バレてんのなwww」
百合子「死ね」
打ち止め「……」ニヤニヤ
番外個体「……」ニヤニヤ
百合子「…もうやだ人生コンティニューしたい」
番外個体「ケケケ、あー楽しい。でもまあこの人からかってると飽きなくていいんだけどさ、
いつまでもこんなとこで与太話しててもしょうがないよね。
最初のご挨拶はこのくらいでいいとして今日はケータイ買いに行くんでしょ?早く行こうよ」
垣根「お、そうだったそうだった」
打ち止め「あっそうだケーキ!甘くてふわふわのチョコレートケーキが早く食べたいってミサカはミサカはあなたたちを急かしてみたり!」グイグイ
垣根「なんだお嬢ちゃんケーキ食いたいのか?俺が買ってやろうか」
打ち止め「…チッ」
垣根「…なんで俺にこんな辛辣なのこの子…。いやまあ分かるけど…」
番外個体「行こ行こー」
百合子「―――ちょっと待て」
和気藹々(?)と三人が歩き出そうとしたところで不意にかかった鋭い声に立ち止まる。
振り向くとそこには先程までとは違う本当に真剣な表情の一方通行が垣根の目を射抜くように見ながら立っていた。
その顔に彼は面倒だと言わんばかりに首を鳴らしてやれやれと嘆息する。
垣根「そういつまでもむくれんなって。からかい過ぎたことは謝るから。はいはいさーせん」
百合子「そっちじゃねェよ!いちいちイラっとする言い方しやがって!」
垣根「じゃあなんだよ」
百合子「分かってンだろォが」
垣根「……」
短く突き付けられた言葉に口をつぐんだ。
一方通行が言わんとしていることは分かっている。
誤魔化して軽く流そうと思っていたがどうやらそれはさせてもらえないらしい。
そう、本来ならこの二人がこんなところでのんびり立ち話をしているなどおかしな話なのだ。
垣根はかつてメインプランを乗っ取るための保険として打ち止めにまで手をかけようとした。
一方通行にとって何を置いても最優先で守るべき、もっとも大切な者の一人である彼女に。
その事実をほいほい忘れて仲良く友達ごっこなど出来るはずがない。
ぴりりとした緊張感が即座に二人を包む。
一触即発。
ここにいるのは間違いなくこの都市で他とは一線を画す圧倒的な力を誇る第一位と第二位だ。
前に激突した時は一方通行が計算し守りながら闘っていたために一般人に死者は出なかった。
それでも周りの建物や道路は滅茶苦茶になったのだ。
ガラスは砕け散りまるで粘土のように信号機がへし折れ、アスファルトは陥没した。
時間にすればほんの十数分、それもたった二人の生身の人間の手によって。
それが超能力者だ。
もしもまた二人がやりあったら今度こそその被害は甚大となるかもしれない。
喉が締め付けられるような異様な雰囲気に、打ち止めは息を飲んでぎゅっと一方通行の服の袖を掴んだ。
半端ですがとりあえずここまで。多分明日また投下しに来ると思います、文章の下手さとかいろいろごめんなさい精進します。
ではまた
おーつーかーれー
ふう、と肩を竦めて垣根が口を開く。
垣根「昨日も言ったが本当にもう俺は交渉権だのなんだのは心底どうでもいいんだよ」
百合子「そうかそうか、ちなみにこっちも昨日言ったよな?
……オマエの戯言なンざ信じられるかってよ」
ぴしり、と冷たい空気が流れた。
その張りつめた圧迫感に耐えかねて番外個体が苛立った調子で口を挟む。
番外個体「もーいいじゃん疑り深いなあ。
もしほんとにこの人がその気ならこの場でミサカたちのこと攻撃してたでしょ。大丈夫だって…」
百合子「オマエは黙ってろ」
番外個体「むっ…」
不満そうに眉を寄せる番外個体を有無を言わせず制止した。
打ち止め「あなた…」
不安げに見上げてくる打ち止めをも無視して一方通行は静かに続ける。
百合子「…言うことがあンだろ」
垣根「そりゃなんだ、今ここで膝ついて謝罪すりゃいいのか?」
百合子「的外れなこと言ってンじゃねェ、別にそンなこと望ンじゃいねェよ。
大体俺にオマエのことどうこう言う資格なンざありゃしねェ、こっちこそ今まで散々罪もねェ人間ぶっ殺してきたクズだからな」
打ち止め「あなた、それは…!」
百合子「イイから喋るな」
打ち止め「っ…!」
ぴしゃりと撥ね付けられた言葉に唇を噛む。
元々一方通行が何かにつけ自分を責めるところがあるのはよく知っている。
けれどもその悪い癖もここ最近はだいぶ緩和したと思っていたのに。
何か言いたい、けれど彼女の幼い舌は上手く動いてはくれなかった。
垣根はそんな打ち止めにちらりと目線を投げるとまた一方通行に向き直る。
垣根「要領を得ないな。じゃあ俺はなんて言えばいい、なんて言えば満足だ?」
挑発するような口振りで先を促す垣根に一度言葉を区切り瞬巡する。
百合子「……先に言っておく。オマエと今ここで争うつもりはない」
垣根「俺の方こそお前の台詞を“信じられると思うか?”」
百合子「…いつまでも牽制し合っててもしょうがねェだろ」
垣根「お前がそれを言うかよ」
百合子「……」
垣根「……」
ふ、と息を吐き慎重に言葉を選んで口に出す。
百合子「はっきり言う、オマエがどうやらコイツらに手を出す気がないことはもう分かってンだ。
昨日からの態度にしろ…前に対峙した時にあった心底からの殺意や憎悪が感じられないからな。信用するわけじゃねェが嘘とも思わない」
垣根「まあ…だろうな。じゃなかったらそもそもこの二人を俺に会わせたりするわけがねえ」
百合子「それに今じゃこの街の『闇』も解体しつつあるし今更オマエがあがいたところでどうなるもンでもない」
垣根「ああ、それは俺も感じてたぜ。生き返ってからここ数日適当に調べてみたが随分と学園都市は様変わりしちまったようだ……
それでもまだ何かゴチャゴチャしたもんはあるようだかそれはもう関係ない。知ったこっちゃねえよ」
百合子「その言葉も額面通り受け取ってやる。
どちらにしてもオマエからコイツらに何かしようとしたところで守りきる自信はあるしな」
垣根「そうかい、流石第一位様は自信家だ」
百合子「…ただ、だからこそ解せない。コロッと心変わり出来るほどオマエにとっての前の目的が安いもンだったわけじゃねェだろ。
今のその腑抜けた態度には何かもっと理由があるンじゃねェのか。俺が知りたいのはそこだ」
垣根「…そんなに俺のことが気になるか?お前に興味持たれたところで嬉しくもなんともないんだが」
百合子「寝言言ってンじゃねェ。イイからさっさと答えろよ」
最初は完全にギャグだと思ったのに……
これは、垣根と百合子の話でいいんだよな? 期待全開で待ってる!
幾ばくかの沈黙のあとで垣根は少し躊躇うように何度か口を開きかけては閉じ、やがてゆっくり話しだした。
垣根「…臨死体験っての、あるだろ?死にかけて生き返った人間が経験するやつ」
百合子「…それがどォした」
垣根「まあ聞けよ。よく言うのはまあ光体験とか走馬灯とか知覚の拡大とかだが…」
垣根「平和な神話の時代にゃそれはそれ止まりでよかったんだろうな。
あの世ってのはちゃんと存在して死んだらみんなそこに行く。分かりやすいしちゃんと救いってのがある」
垣根「ガキん時…まだそれなりに努力とか希望とか信じてた馬鹿なガキの頃は俺も天国と地獄があると思ってた。
寝る前に自分が死んだらどっちに行くのか考えだしたら止まらなくて布団にくるまってガタガタ震えたこともある」
自分の中の押し込めた感情を吐き出すように垣根は自嘲気味な笑みを浮かべる。
垣根「それでもうちょいデカくなった頃には漠然とまあ自分は地獄に行くんだろうなって思うようになった。…お前にもこの感覚は分かんじゃねえの?」
百合子「……」
垣根「だがな、科学が片っ端から何もかも照らし出してる今の世の中じゃ
それすらただの脳内物質の分泌で起こる脳内現象だって説が出てるじゃねえか」
垣根「そして現実に死にかけてみたらこれが見事になーんもないわけだ。
走馬灯どころかひとつもろくな思い出なんてもんが蘇ってこねえ」
垣根「……ただ真っ黒な空白に落とされて終わりだ。それが死だ。
そこに救いなんてありゃしねえ。よくよく思い知らされたぜ、テメェのおかげでな」
皮肉げに投げつけられる文句に一方通行は何も言えなかった。
いや、正確には言ったところでそれが何にもならないということを分かっていた。
wktk!wktk!
垣根「生前何をしようが…どれだけ他人助けまくった善人だろうが俺みたいなクソッタレな悪人だろうが行き着くところは同じだ」
そこまで一気にまくし立てると再び口を閉じる。
もう一度開く時には声のトーンが少し落ちていた。
垣根「…気付いたんだよ」
垣根「今までの俺の人生がいかにスカスカなゴミみてえなもんだったかってことに」
垣根「今更マシな人間になろうなんてくだらねえこと思っちゃいねえし無理なのは自分が一番よく知ってる」
垣根「ただ…それなら…死後に何もないなら……逆に生きてる内は掴めるもんがあるかもしれねえ。
今俺は生きて心臓も動いて身体にゃ熱を持った血が流れてる。縛られたまま犬の餌になるよりゃ好き勝手やってから逝ってやる。そう決めた」
垣根「…あーもう支離滅裂な理論だし自分でも何言ってんのか分かんねえな」
がりがりと頭を掻いて、だから言いたくなかったんだよ…とぼそりと呟く。
垣根「とにかくそれだけだ。クソつまんねえ独りよがりな独白だったがこれで満足したか?」
百合子「……あァ」
一通り言い切って気恥ずかしい自分の台詞を後悔するように垣根が視線を逸らした。
それまで黙って耳を傾けていた一方通行はそのはっきりと本心からだと分かる言葉を自分の中で反芻するように小さく頷く。
百合子「………で、要約すると?」
垣根「折角命拾いしたんで可愛い子と思う存分にゃんにゃんしたいです」
百合子「だからなンでそうなる」
ここまでです。シリアス描写は所詮ギャグの前フリだよ!本格的なの期待した人ごめんね!
あと基本投下遅いし一回分の量も少ないんでageるのは三回に一回くらいにしようかなあとか思ってるんですがどうでしょう。
とりあえず明日もまた来られると思います。ではまた。
百合子「おかしいだろ!そンだけまともな台詞吐けて何で最終的な結論がそれなンだよ!?」
垣根「ああ!?ふざけんな、にゃんにゃんは全世界の男の夢だろうが!」
百合子「にゃンにゃンとか死語使ってンじゃねェ、キメェンだよ!!」
垣根「ハイ今お前も使ったー!一方通行の口からにゃんにゃん頂きました~!!」
百合子「うぜェェェェェ!小学生かオマエは!!」
打ち止め「…え、え?」ポカーン
番外個体「……なんだ、やっぱただの馬鹿か…」
真面目な会話をしていたと思ったらいきなり子供のような口論を始めた二人に打ち止めと番外個体はずるっと肩を落とす。
一気に弛緩した空気に打ち止めはぐるぐると上手く働かない頭を回しながら番外個体の方を見た。
打ち止め「…結局どういうこと?ってミサカはミサカはよく分かんないんだけど…」
番外個体「つまり最初から茶番だったわけね。まあ大体分かってたけど」
言い合いを続ける二人に既に冷めた目線を投げながら番外個体は淡々と話す。
番外個体「あの人からはホントに殺気とか感じないもん。隙をつくためにわざと消してるっていうんじゃなくて本気で無防備過ぎるほど無防備だから。
こっちも会うまではそれなりに気ィ張ってたんだけどね」
打ち止め「そうなの?」
番外個体「おチビはガキだから気付かなくてもしょうがないよ」
打ち止め「むぅ!あなたの方が年下でしょ!ってミサカはミサカは抗議してみる!」
番外個体「ミサカは最終信号と違って腐っても戦闘用クローンだもーん」
じたばたと足を踏み鳴らしながら突っかかってくる打ち止めを軽くいなして番外個体はふふんと笑う。
番外個体「ねえ?第一位。一応カマかけてみただけなんでしょ?」
かけられた言葉に一方通行はぴたりと低レベルな口論を止め、ハァ、とため息を吐いた。
百合子「…まァな。少しはこの馬鹿のねじ曲がった思考回路が読めるかと思ったンだが……ダメだ。余計分からなくなったわ」
垣根「俺の未元物質に常識は…」
百合子「もうイイからそれ。確信した、常識通用しねェのは能力じゃなくてオマエの頭だ」ハァ
疲れた表情の一方通行に一人ついていけていなかった打ち止めはぱちぱち目をしばたかせて内心ほっと息をついた。
打ち止め(…第二位さんと知り合うことはこの人にとって本当にいいことだったんだねってミサカはミサカは実はちょっぴり悔しいけど素直に喜んでみたり)
目を細めてくすっと笑いを溢すと顔を上げる。
打ち止め「ん~でもでも!それでもさっきのこの人はとってもかっこよかったよね!
ってミサカはミサカは番外個体に同意を求めてみたり」
番外個体「…はあ?どこがさ。最終信号の第一位補正は行き過ぎてておかしいよ」
打ち止め「とか言ってホントはこの人がミサカたちのこと守りきる自信あるって言い切った時嬉しかったくせに~って
ミサカはミサカはにやにやしながら妹の顔を覗き込んでみる」
番外個体「……もうその手には乗らないもん」
ぷい、と顔を逸らす番外個体に満足気に打ち止めはにこにこ笑いかけた。
垣根「いやーでも正直俺の方が驚いてるんだぜ?コイツなら俺が完璧に殺気消しててもいきなり殺そうとしてきたっておかしくないと思ってたからな。
俺のこと心変わりうんぬん言ったがそっちこそ変わっただろ」
そう語りかけてくる垣根を横目に見て一方通行は少しの間言い澱むとがりがり頭を掻いた。
脳内に滅法お人好しな底抜けに明るく優しい一人の教師の姿が浮かぶ。
百合子「…既に昨日アイツと約束しちまったンだよ…」
垣根「あいつ?」
百合子「それについては後で話す」
とにかく、と話を切り上げて今一度じろりと垣根を睨んだ。
百合子「とりあえず今のオマエがただの馬鹿に退化したってことはよく分かった」
垣根「退化じゃねえ、進化だ」キリッ
百合子「言っとくがそのキメ顔思いっきり似合ってねェからな?」
垣根「ふざけんな、完璧なイケメンフェイスだろうが」
百合子「スルーすンぞ。……まァそういうことだ。
オマエがコイツらに対して敵意を持たない以上俺もオマエに敵意は持たない。…この日常に慣れるって決めたしな」
最後にぼそりと付け加えて「ただし」と語気を強める。
百合子「―――もしコイツらに“そっち”の意味でちょっかいかけようとしたらその時は……分かってるな?」
ゴゴゴゴ、と地響きの鳴るようなオーラを滲ませ唇が左右に引き裂けるほど歪んだ笑みを顔に張り付けながら低い声で囁きかけられた言葉に、
垣根「…………ハイ」
垣根はただ頷くしかなかった。
番外個体「よーし、これで話はまとまったかな?んじゃ仕切り直してケータイショップへゴー!」
打ち止め「おー!」
垣根「…え、待って。今の会話のあとでなんでそんな普通なの、え、マジで俺殺される可能性あんの?」
番外個体「うん、だからミサカたちの半径5メートル以内に近付かない方がいいよ」
垣根「今から一緒に買い物行くのに!?つかワーストちゃんにまで嫌われてたの俺!?」
番外個体「嫌いっていうか…生理的にキツイ、かな」
垣根「……イケメンなのに…」
打ち止め「イケメン(笑)」
垣根「…やべえ、死にたくなってきた」
百合子「死ねよ」
垣根「なんで!?いやいやいやだってさっきまでの流れから考えておかしいだろ!!」
百合子「だって垣根だし」
打ち止め「カキネだからかな」
番外個体「ていとくんだからだよ」
垣根「………」
百合子「散々からかってきた仕返しだバカ」
打ち止め「それじゃあレッツゴー!ってミサカはミサカは一番乗りで駆け出してみたりー!」タッ
百合子「オイ前見ろ、転ぶぞ!」
打ち止め「へいきへいきー!」
<キャーキャー
<…オレッテソンナダメナノ?
<ダメッテイウカダメダメカナ
<ヒドクネ!?
百合子「…ったく」フゥ
百合子(………あれ、何か大事なこと忘れてねェか?)
番外個体「ねえねえ第一位」ヒソヒソ
百合子「ああ?」
番外個体「…また一つハードル上げちゃったねえ?」ニヤリ
百合子「…………あっ!?」
番外個体「まったくいつ言うのかと思ってたら結局言わないんだもん、もう完全に後戻り出来ないしねえ?」ヒソヒソ
百合子「てめ、こっちが忘れてたの気付いてて…!」ヒソヒソ
番外個体「ケケケ、ネットワークに接続してないだけでも十分良心的だと思ってもらいたいな~」ヒソヒソ
百合子「…オマエ後で本当覚えてろよ」ヒソヒソ
番外個体「百合子ちゃんに凄まれても怖くもなんともないんだけど~」ヒソヒソ
百合子「テメェ…」ヒソヒソ
垣根「ん?なに話してんだお前ら」
百合子「」ビクッ
番外個体「なんでもないよ~ん。ほらほら第一位、早くー」
百合子「…木原くン頼むから戻ってきて…」
ここまでです。意見くださった方どうもありがとうございます、投下遅れてすみません!
間隔どうしても開いちゃうのとやっぱりその方が分かりやすいということでこれからは毎回投下後にageることにしますね。
ではではまた。
乙
外見はまんま一方通行と考えて妄想してるからなんか新鮮
これは一ミサカの意見ですが、貴方のように地の文がしっかりしている場合は鍵括弧の前の名前表記は必要ないのでは、とミサカは進言します
しかし拘りがあって敢えてそうしているのであればお気になさらずに、とミサカは気遣いの出来る女アピールも欠かしません
>>125
こんな所にゴミが転がってるな
誰が捨てたんだ?
投下じゃないんですけどなんかアレなんでちょろっと。
むしろこうした方がいいんじゃない?みたいな意見貰えるのは参考になるので凄く有難いです!
作者スレとかでも地の文アリな場合は名前表記あると違和感という意見見たり、やっぱギャグはテンポが大事だと思うんで代わりに会話文増やした方がいいかな~とか自分でも考えてたんだけどね!
個人的に地の文あった方が書きやすいのと、こういうの自分で言うの羞恥プレイだけど名前が一方→百合子になってるネタとか出来るのでとりあえずはこんな感じでいこうと思ってます。
これでも描写不足だったり明らかに文章おかしかったり同じ言い回し何度も使っちゃったり会話文→地の文の入り方が唐突でぶつ切り感酷いだろコレ…とか反省しきりだったんで
これからも改善点の指摘などあれば是非是非。ていうかやだ…みんな優し過ぎ///
もっと読みやすくなるよう努力するね!百合子は天使!
多分次の投下はまた明日に。では。
―――――――
――――
―――ケータイショップ前
打ち止め「いろんな種類があるんだね!って
ミサカはミサカはお店の中を覗き込みながらはしゃいでみる!」
垣根「んー機種とかどうすっかな~」
百合子「…なンでもいいだろ。そもそもオマエが生き返ったこと知ってる奴他にいンのか?」
垣根「………」
百合子「あァなるほど、つまり昨日のケータイも…」
垣根「やめて、そのぼっち可哀想みたいな目はやめて」
百合子「……」
番外個体(ほらほら、さっさと言っちゃえよヘタレ)ボソボソ
百合子(うっせェ!他人事だと思いやがって!)ボソボソ
番外個体(だって他人事だし~。安心しなよ爆笑する準備は出来てるからさ)ボソボソ
百合子「……オマエだけケーキ無しな」ボソッ
番外個体「えっ」
垣根「?」
打ち止め「あーっ!!ゲコ太だぁ!
ってミサカはミサカはポスターのゲコ太に釘付けになってみたりーー!」キラキラ
百合子「……あン?」
打ち止め「これこれ!」
垣根「…ハンディアンテナキャンペーン?」
番外個体「ちょっと待って。んーっとね、男女でペア契約するとそのストラップが付いてくるって書いてあるよ。
契約者同士でネットワークが構築出来るんだって」
打ち止め「これお姉様がしてたやつだ!欲しい!欲しい!ミサカもこれ欲しい~ってミサカはミサカは駄々をこねてみたり!」ジタバタ
百合子「静かにしろクソガキ!」
垣根「ああそういうことね。だったら二人どっちか俺と契約するか?
…いや、お嬢ちゃんの場合ペア認定してもらえんのかな」
打ち止め「むむ!ミサカは立派なレディーなんだから子供扱いしないで!ってミサカはミサカは怒ってみたり!」
垣根「おっと悪い悪い」ハハ
番外個体「ていうかぁ~、二人?他にも候補がいると思うんだけど~?」
百合子「…っ!?げほっ!」
打ち止め「……!」ハッ
垣根「え?どういう意味だ?」
打ち止め「……」チラッ ドキドキ
番外個体「……」ニヤニヤ
百合子(コイツらァァァ…)ギリギリ
番外個体「ん?どうしたのかな~百r…おっと、第一位?」
百合子「………」
百合子「…番外個体、オマエ契約してやれ」
番外個体「え?そうくるの?まあミサカは別にいいけどーあなたは本当にそれでいいのかな~~?」ニヤニヤニヤ
百合子「さっさとしろ!」イラッ
垣根「お前なんで怒ってんの?」
百合子「死ね!!」
垣根「だからなんで!?」
番外個体「あひゃひゃひゃ!ww」
打ち止め「…末妹ちょっと自重」
番外個体「え、なんのこと~?んじゃていとくん行こっか」
垣根「お、マジでいいの?なんならケータイだけじゃなく実際に男女のペアになる?」
番外個体「あ、ゴメンそれはキモい」
垣根「まさか初対面でここまでディスられるとは」
番外個体「ていうかさっきの今でよく口説けるよね」
垣根「…軽いジョークのつもりだったんだけど…」
百合子「オマエが言うとジョークに聞こえないンだよ!イイから早く済ませて来い!」
垣根「ああうん…。あ、証明としてペアで写ってる写真が必要って書いてあるな。写メでいい?」
番外個体「いいけど契約済ませたらすぐ画像消してね?」
垣根「いい加減俺のHPが限界なんだけども」
prrrr prrrr
百合子「!」ピタッ
垣根「ん、電話か?誰だ?」
打ち止め「あなたのケータイだよ。出ないの?」
百合子「………イイ」
垣根「なんでだよ」
百合子「イインだよ、どーせ露出狂からだ」
垣根「は?露出狂?オマエそんな変質者の知り合いいんの?」
百合子「あァ、ついでに昨日からチンピラホストもどきの知り合いも増えちまったわ」
垣根「あ、一応知り合い認定はしてくれてんのな」
百合子「…と思ったが別にそンなことはなかった」
垣根「……なあ俺ってシリアスな二枚目キャラだよな?カッコイイ悪役だよな?」
打ち止め「え、ただの出オチキャラだよね?
ってミサカはミサカは実質一巻で退場したくせに何言ってるんだろうこの人って割と本気で目を丸くしてみたり」
垣根「第二位なのに…ナンバーツーなのに…」
番外個体「ドンマイ、ていとくん」
垣根「ワーストちゃんは優しいな…」
番外個体「あ、その名前にちゃん付けもちょっと気持ち悪いかな」
垣根「……」
番外個体「ごめんごめん、そんな凹まないで。ほら行こ」
打ち止め「行ってらっしゃいってミサカはミサカは一応手を振ってみたり」フリフリ
<ドレニスルノ?
<ンー、ワーストチャントオソロイガイイカナ
<キモイ
<・・・デスヨネー
<イラッシャイマセー
打ち止め「さて、」
百合子「……」
肩を落とす垣根とそれを見てケラケラ笑っている番外個体がショップの中に入っていくのを見送ると打ち止めは「よいしょ」と掛け声をかけ、
既に地面に座り込んでいる一方通行の隣にちょこんと座った。
打ち止め「二人が戻ってくるまであなたとお話したいことがあるんだけどってミサカはミサカは話題を振ってみる」
百合子「……どォせ自分からハードル上げる馬鹿だよ俺は」
打ち止め「うーん、そっちもあるけど」
ちょっとここまで、あとでもう少し投下しますごめんなさい!
舞ってる!
打ち止め「それよりもミサカは本当にあなたがカキネのことを許したことがびっくりだったの」
体育座りで膝を抱えた打ち止めは首を回して一方通行の横顔を見つめる。
打ち止め「もしかして本当に殺しちゃうのかと思った…あなたは妹達やヨミカワたちのことになると我を忘れちゃうところがあるから」
百合子「……」
立て膝に頬杖をついて不機嫌そうな顔をしている一方通行は、しかしちゃんと話を聞いているのだと彼女は知っていた。
打ち止め「でも…」
打ち止め「でも、今のあなたはホントのホントに違うんだね。
番外個体は最初からそこらへん見抜いてたみたいだから悔しくもあるけどってミサカはミサカは正直な気持ちを吐露してみる」
打ち止め「……さっきは本当に怖かったんだから!ってミサカはミサカは声を荒げてあなたをたしなめてみたり!」
百合子「悪かった」
打ち止め「……」
普段頑固な相手に素直に謝られてしまえばそれ以上強く言えない。ぎゅっとスカートを握ると細く息を吐き出す。
打ち止め「例えハッタリや軽口であってもミサカはあなたにああいうこと言って欲しくないんだよ?ってミサカはミサカは真剣な表情で伝えてみる」
百合子「ン、」
打ち止め「…うん」
短い返事だったがそれだけで打ち止めには理解出来た。
一度前に向き直り、息を吸い込んで口を開く。
打ち止め「……あのね、今日カキネに会ってみて分かったよ。あの人はあなたと同じ――」
prrrr prrrr
打ち止め「…また電話鳴ってるよ?」
百合子「イイ」
確認もせず即答する一方通行に一瞬むっとすると溜めていた息を大きく吐き出した。
打ち止め「……あなたは本当に自分の本音を言わないから。
心のずっと奥の方で何を考えてるかミサカには分からないし詮索はしないよ」
打ち止め「それでもやっぱりあなたはミサカたちにとってはヒーローだもん。…あ、それともヒロイン?」
百合子「それはやめろ!」
打ち止め「あはは!」
打ち止め「とにもかくにもまずはあなたのことカキネに言わなきゃだよね
ってミサカはミサカはこれ以上ハードル上げないためにも早急に伝えるべきだと思うんだけど」
百合子「…………」
打ち止め「…うん、その葛藤はすごくよく分かる」
百合子「垣根は最悪無理矢理黙らせればイイが番外個体の奴がだなァ…」
やっぱ連れてくンじゃなかった…!と呻きながら頭を抱える学園都市最強の第一位。
打ち止め(……ある意味この人がここまで追い込まれるのは初めてかも)
思えば今までこの事実を知られてきた相手はカエル医者との会話を盗み聞きしていた妹達以外は皆人づてに聞いたというものであり、
つまり一方通行が自らカミングアウトしたことはないのだ。
だからそのことを自分で口に出すというのは葛藤が半端じゃない。
打ち止め「あー…うん、まあ番外個体は…確実に笑うと思うけど、だけどそれだって半分照れ隠しっていうか別にあなたを嫌ってのことじゃないんだよ?
ってミサカはミサカはあの子の性格をいまいち把握出来てないニブイあなたに教えてみる。
それに少なくともミサカは笑わないよ!……多分」
百合子「…おい、既に半笑いじゃねェか」
打ち止め「ご、ごめんね。でもだって……っふw」
百合子「……。やっぱアイツブチ殺せばすべて丸く収まる気がしてきた」
打ち止め「そ、それはダメー!ってミサカはミサカは極限状態で危ない思考に走りかけてるあなたを必死に止めてみる!平和的に解決しなきゃ!」
百合子「どう転ンでも赤っ恥な未来しか見えてこねェ…」
打ち止め「でもいつまでも隠し通せる問題じゃないし」
百合子「なンかイイ方法ねェのか…」
打ち止め「あなたに思い付かないんじゃミサカにはどうしようも…やっぱ直球で言うしか」
百合子「“おいおい今日は四月一日じゃねえぞ?そういうのはせめて胸にパッド詰めてからやれよww”
とか言うアイツのクソうぜェ顔がありありと浮かぶンだが」
打ち止め「う…。だ、大丈夫だよ!」
打ち止め「うん、カキネは悪い人じゃないもん!
きっといいお友達になれるよ!ってミサカはミサカは微笑みながら言ってみる!」
百合子「……クソガキ…」
百合子「イヤ、友達はキモいだろ」
打ち止め「うん、確かにそれは気持ち悪いねってミサカはミサカは正直自分でも言っててちょっと背筋が寒くなったかな」
ここまでです。あとでとか言って結局遅くなっちゃったよ……ごめんなさい。
また明日来ます!
乙。
いないところでも平然とdisられるていとくん……ああ、平常運転か
乙乙
超disられてんなww
百合子「大体オマエさっきから散々アイツに舌打ちしまくってるよな?」
打ち止め「それとこれとは話が別、ってミサカはミサカは両手でバッテンを作って公私の線引きをしっかりしてみたり」
百合子「意味分かンねェ」
打ち止め「とにかくあなたはミサカたちの前では強がってるから」
百合子「……はァ?」
打ち止め「そうなの!でもでもさっきのあなたは…んー、なんていうか年相応っていうか…砕けてたもん。
カキネのおかげでそういう姿を見られたことは単純に嬉しいから。
だからその点では感謝してるんだ!ってミサカはミサカはさっきのあなたはミサカメモリーに永久保存決定だよ!」
百合子「……俺にとっちゃ確実に黒歴史なンだが」
打ち止め「大丈夫、あなたの人生は既に黒歴史だらけだから。そんなあなたを応援してるってミサカはミサカはフォローしてみる」
百合子「フォローの意味を辞書で百篇引いてこい」
打ち止め「だってもうあの人を殺そうとは思わないんでしょ?」
百合子「……」
打ち止め「それでミサカには十分なの」
百合子「……」ワシャワシャ
打ち止め「わわっ!」
打ち止め「えっえっ、こっちからのアプローチも無しにあなたが頭撫でてくれるなんて…!」アタフタ
百合子「…オマエらが俺にそれを望まねェのは知ってンだよ」
打ち止め「え」
打ち止め「……ミサカたちの、ため?」
百合子「……」ワシャワシャ
打ち止め「…う、ううぅ……うわあぁぁぁーーーん!ってミサカはミサカは
自分だけを責めて追い込む悪い癖をちゃんと直そうとしてるあなたの成長に感涙しながらその薄過ぎるお腹にぎゅっと抱き着いてみたりー!」ギュッ
百合子「痛ェしウゼェし台詞長ェ」ワシャワシャ
打ち止め「ふふ。やっぱりあなただーいすき!ってミサカはミサカは大胆告白してみる!」
百合子「あーハイ、あーハ…」
垣根「……」
番外個体「……」
打ち止め「…あ」
百合子「……。いつから見てた」
垣根「最終信号が泣きながらお前にへばりついて大胆告白した辺りから」
百合子「……」
垣根「…真性、か。そこまでいくと流石と言わざるを得ねえわ。認める、お前がナンバーワンだ」
百合子「だからロリコンじゃねェつってンだろォがァァァァァァァ!!!!」
垣根「ハハッ、ワロス」
百合子「あ゛あ゛あああああ!!」
打ち止め「…くっ、せっかくいい感じにイチャイチャ通行止め展開に持っていけそうだったのに…!
ってミサカはミサカは間の悪いカキネを呪いながら歯軋りしてみたり!」ギリギリ
番外個体「………ふん」
垣根「いやー性癖は人それぞれだし。別にいいんじゃねえ?」
百合子「その悟ったような目ェやめろ!やっぱオマエ殺すわ!
決めた、生半可じゃ済まさねェ全殺し確定だこのメルヘン野郎がァァァ!」
垣根「ムキになって否定するあたりが余計怪し…」
百合子「オーケーオーケー。そンなに死に急がなくてもイインだぜ?心配しなくても既に嬲り殺しは決定事項なンだからなァ?」
垣根「お前冗談通じなさ過ぎだろ。そんなんじゃ社会に出てからやってけねえぞ?」
百合子「オマエに言われたくねェンだよこのボケが!!」
垣根「……なんかこの堂々巡りも飽きたな」
百合子「誰のせいだと思ってンですかァァ?」イライラ
垣根「はいはい俺のせいですスイマセーン」
百合子「……」ビキビキビキ
打ち止め(うーん、なんでカキネがいるとこうなっちゃうんだろ…)
垣根「おっとそうだお嬢ちゃん、ほい」ポイ
打ち止め「え?…あ、ストラップだ!やったぁ、ありがとう!
ってミサカはミサカは素直にお礼を言ってみたり!」
垣根「あ、よかった今度は罵倒されなかった」
百合子「失くすなよ。どォせ泣くからなオマエは」
打ち止め「うん!しっかり付けとくね!」ニコニコ
番外個体「……ちなみにペアだからもう一個あるよ?
ほらほら第一位が付ければぁ?愛しの幼女とお揃い(笑)よかったねー、ぎゃはっ☆」
百合子「…あァ?要らねェよンなもン。オマエが付けろ」
番外個体「……ミサカだってこんなの要らないもん」
百合子「別にオマエもそれ嫌いじゃねェだろ」
番外個体「……」
百合子「…つゥかその顔見てると無性にイラつくンだよ」
番外個体「!あ、あ~そういうことかぁ。だったらあなたへの嫌がらせで付けてあげるよ!」
百合子「あァそォですかァ」
打ち止め「にやにや」
番外個体「おチビしつこい!」
打ち止め「えへへ。わーい、これで姉妹お揃いだね!」
番外個体「……えへ。
はっ!べ、別に可愛いとか思ってないし!」
打ち止め「はいはいテンプレテンプレ」
番外個体「あああもーワケわかんない!」
垣根(……あれ、やっぱ俺疎外されてね?)
相変わらずちょびちょびですがここまで。次はもう少しまとめて投下出来るかと。
ではまた
百合子「……で、目当てのもンは買えたのか」
垣根「ん、おお。やっぱ現代人にはコレがねえとな。昨日から手持ち無沙汰でしょうがなかったわ」
百合子「使う相手いねェけどな」
垣根「だからぼっち認定すんのだけはやめてくんない?それにワーストちゃんとはアドレス交換したし。通話料も無料になるんだよな」
番外個体「変な電話はしてこないでね?『今日のパンツ何色?』とか」
垣根「……なあ、俺三人の中でどんなキャラに設定されてるの?」
百合子「ド変態」
打ち止め「ヘンタイさん」
番外個体「変態くん」
垣根「本当に息ぴったりだなお前ら」
垣根「そんなことしないから。というわけでお嬢ちゃんのアドレスも聞いとこうかな~」
打ち止め「え…」
垣根「うん、まあその反応は予想してた」
打ち止め「あははゴメンね、今のは冗…談…?だから気にしないで!
ってミサカはミサカは本当はイラッとしつつもバッグから自分のケータイを取り出してみたり」ゴソゴソ
垣根「今疑問形だったよね。明らかに目が本気だったよね。イラッととか言っちゃってるよね」
百合子「……おい、一兆歩譲って教えンのはイイがサブアドにしとけよ」
打ち止め「あ、もちろんそのつもりだよ」カチカチ
垣根「お前らなんでそんな酷いの」
垣根「っと、おい一方通行。お前のも教えといてくれよ」
百合子「え…」
垣根「お嬢ちゃんとまったく同じ反応。ああ、これも予想してた。
ちなみにワーストちゃんもまったく同じ反応だったよちくしょう」
百合子「割と全力で嫌なンだが」
垣根「……」
打ち止め「!」ピコーン!
打ち止め(ねえねえあなた!)ヒソヒソ
百合子(あン?)ヒソヒソ
打ち止め(電話かメールで伝えるって方法もあるんじゃないかなってミサカはミサカは天才的閃きを提示してみる!)
百合子(……逆にハードル高いだろ)
打ち止め(でもでもそれなら番外個体に気付かれず言えるかもしれないよ?)
百合子(どっちみちバレンだろ…)
打ち止め(……ここまで来てまだ言えてないって逆にすごいよね、今更だけど)
百合子(むしろもォ今後一切コイツと関わらなきゃバレねェンじゃねェか?それかバラす、肉体的な意味で)
打ち止め(だ、だめだってば!ヨミカワとの約束破るの!?
ってミサカはミサカはなんだか投げやりになってきてるあなたを鼓舞してみる)
百合子(……八方塞がりかよ)
打ち止め(それにこの人、既に番外個体とは仲良くなる気満々みたいだし)
百合子(キモいな)
打ち止め(うん、キモいね)
打ち止め(第一このままじゃ番外個体の方が先にカキネにあることないこと吹き込んじゃうと思うんだけど)
百合子(…………あ)
打ち止め(……あなたってこんな自分から墓穴掘りまくる人だったっけ)
百合子(くそ、背に腹は変えられねェ…)
垣根「おーい、こそこそ何話してんだ?二人の将来の愛の巣について?」
百合子「死ね。じゃなくて……あー…赤外線でイイよな」
垣根「ん?ああ」
はァ……と特大のため息を吐きつつ嫌々自分のポケットを探る一方通行に打ち止めは心底同情した眼差しを注ぐ。
先ほどからにまにまとこの状況を眺めている番外個体の視線を遮り
少しでもその気分を和らげてあげようという一心で明るい声を振り絞った。
打ち止め「よ、よーし!そしたら次はケーキ屋さんだよね!
わーい、楽しみだなあ~どのケーキにしようかなあ!ってミサカはミサカは無理矢理テンションを上げてみたり~…!」
なんとも健気な幼女である。
一方通行があらゆる相手にロリコン疑惑をかけられてなお過保護を貫き通すわけも理解出来よう。
しかしその行為は逆に一方通行には『0歳児のクローンに気を遣われる俺って…』という精神ダメージを与えているのだが、流石に彼女にそこまで汲み取る力はなかった。
垣根「学園都市製のケータイって高機能過ぎて慣れるまでが面倒くさいんだよなあ」カチカチ
百合子「第二位の演算能力持ってる奴が何言ってンだ、イイから早く…
「―――どけっ!!」
ドンッ!
番外個体「きゃっ!」
百合子「!番外個体……!」
突然後ろから走ってきた男が番外個体を思いきり突飛ばしそのまま逃げていく。
咄嗟に一方通行がその腕を引いたためよろけただけで済んだが、もしぶつかったのが小さな打ち止めの方だったら転んで怪我をしていたかもしれない。
垣根「ああ?なんだあいつ、いきなりぶつかってきやがって」
百合子「平気か」
番外個体「うん、ちょっとぶつかっただけだから。でも今の奴ブッ殺してきていい?」
百合子「やめろ」
打ち止め「ご、強盗犯?なんかカバン抱えてたけど…って
ミサカはミサカは……あっ、また人突飛ばして走ってった!」
人混みの中を周りの人間を怒鳴りつけながら走り去ってゆく男に打ち止めが小さく叫ぶ。
百合子「……どォ見ても小物だろ、ただのひったくりだ。ほっとけ。こういうのは警備員か風紀委員が…それより今はケータ…」
「ジャッジメントですの!」
百合子「……なンで自分からフラグ立てちまったンだ俺…」
「って、お姉様ぁぁぁぁ!!??」
「「「―――!?」」」
突如大声を張り上げた相手に四人が同時に振り向く。
そこにはツインテールに赤いリボン、腕に風紀委員の腕章をつけたまるで人形のような美少女が立っており
目を見開いて唖然とこちらを……というよりその中の二人を穴が開くほど見つめていた。
百合子「!クソっ、超電磁砲の知り合いか!タイミング悪ィ……」
超電磁砲のクローンの存在を知る者は限られている。
仮にこの少女が超電磁砲の友人であるならばその本人そっくりな二人を目の当たりにして訝しむのは必然。
御坂美琴のクローンがいるという都市伝説は有名だ。
さらに風紀委員という正義感ある立場にいる人間ならばなおさら彼女がなにか危ない事件に巻き込まれているのではないかと危惧するに決まっている。
一方通行はなんとか誤魔化す方法を必死に考えるがそんなことは無意味とばかりに少女はじりじりと距離を詰めてきた。
百合子(超電磁砲に迷惑はかけられねェ!どうする……)
脂汗がこめかみを伝う。
しかしその少女は目の前で急にぴたりと足を止めると恍惚な表情でこう呟いた。
「大きいお姉様に小さいお姉様……ここが……楽園(エデン)ですの…?」
百合子「……あ、コイツ垣根と同じ頭おかしい人種だ」
垣根「オイ、どういう意味だ」
満面の笑みを讃えたその変態淑女は、バッと番外個体に狙いを定めると再び喚声をあげながらにじり寄ってくる。
「おおお、このお姉様にあるまじき膨らみ!柔らかく弾力がありそれでいて下品でなくバランスの取れた気品すら漂う完璧なシンメトリーを型取るバスト……!」
垣根「……なんかいきなりワーストちゃんの胸の生々しい批評始めたんだけどこの子」
百合子「やべェ間違いねェ。垣根レベルのド変態だ」
垣根「流石にここまで酷くねえよ」
打ち止め「変態であること自体は認めるんだねってミサカはミサカはそんなこと突っ込んでる場合じゃないんだけど……」
「ああ、なんと可愛らしいお声!こっちのお姉様も愛らしいですのぉぉぉ!!」
打ち止め「……」
「お二人とも風紀委員として少々事情聴取させて頂きたいのですがよろしいですかよろしいですね?さあ!さあさあこちらへ!」ハァハァハァ
垣根「嘘つけ!確実に違う意味でいろんなとこ調べ尽くす気だろテメェ!」
番外個体「ヤバイよこいつ、完全に目がイっちゃってるんだけど……」
打ち止め「なんだか怖いよってミサカはミサカは……」
「ああああん!怯える姿もキュートですのおおお!」
番外・止め「「……」」
百合子「あああもォ面倒くせェ!跳ぶぞ!掴まってろガキ共!」ガシッ
ドン引きしている番外個体と打ち止め、完全に自分の世界へ旅立ってしまっている少女についに一方通行は痺れを切らし、二人を掴むとチョーカーのスイッチを入れる。
打ち止め「わあっ!」
番外個体「ひゃっ!」
「ああ待って!お待ちになってお姉様ぁぁぁぁ!!」
垣根「って、オイ置いてくなよ!」バサッ
「羽生えた!?」
タンッ、と大きく跳び上がった三人といきなり白い羽を展開し後に続く男を追いかけようと能力を使おうとする少女だったが
その時端末に同じ風紀委員のパートナーである少女から『何してるんですか?早くひったくり犯を追いかけて下さい!』とお叱りの声が入りもたついてしまう。
「今はそんなこと言っている場合じゃありませんの!早く!早くしないとわたくしのお姉様が!」
『なに言ってるんですか?それより早く捕まえないとまた始末書書かされちゃいますよぅ!』
「あ、ああ………って、」
「え、わたくしの出番これだけ?」ポツーン
とりあえずここまで、あとでもう一回投下出来るかな?
それにしてもお前ら百合子の身体に食い付き過ぎだろ……このド変態共が!
そんなお前らが好きです///
乙ー
>まるで人形のような美少女が立っており
この一文で>>1が黒子好きということが判明した
乙乙
一方通行のロリコン!
それじゃ出番の終わった黒子さんのパンツ回収しますね
乙
百合子ちゃんマジイケメン
待て、このままだと>>163の元には全裸の黒子が残るぞ
乙!
>>52で14444号がオススメしてたおにいさまへ読んでみた
面白かった、紹介してくれてありがとう
――――――――
―――――
数メートル先の鋪道を楽しげに笑いながら歩く人々。その横に等間隔に並ぶ木々は時折気持ちのいい風に吹かれては地面にさざ波のような影を作り、この穏やかな休日を彩っている。
実に平和な光景だ。
しかしその景色もろくに目に映らないほど意気消沈した一方通行は隣で買ったばかりのケータイを弄って機能を確認している垣根をじと目で眺め、それから晴天の空を仰いだ。
(空はこンなに青いのに……)
そして今日何度目かも数えきれなくなったため息を再び吐く。
(俺のお先は真っ暗、か)
あのあとなんとかツインテールの魔の手から逃れ、そのままこのケーキ屋まで飛んできたところまではいい。いやよくないけど。
とりあえずそこまではよかった。
今打ち止めと番外個体は目の前の店の中でケーキを物色しており、二人は外で待っている。打ち止めが気を利かせて二人にしてくれたのだ。
変態風紀委員に襲われかけたすぐあとでなんという殊勝な対応であろう。
(とはいっても)
(よく考えたら隣にいンのにメールってのもおかしいだろ……)ハァ
そう、間の悪い乱入者が入りはしたが既にアドレスの交換は済ませた。
済ませたのだが本来携帯の通話やメール機能というのは直接会っていない時にこそ有効なのであり、つまり今現在番外個体が二人から離れているとはいってもその二人が隣り合わせていては意味がない。
(また別の日に改めて言うってのは……ここまで来てそれも嫌だ。
つゥかその間に番外個体の奴が何言うか分かったもンじゃねェ)
昨日から痛みっぱなしの頭を押さえて考える。
(思えば俺は昔から嫌いな食べ物は後に残すタイプだった。ていうかこっそり木原くンの皿に移してた)
(あの頃のツケが今になってやってきたってことか?クソっ)
(……ごめンな木原くン。俺もうピーマン食えるから…)
※そもそもの根本的な原因は木原くんです
(そォいやよく言われたな。『嘘つくと後で自分に倍になって返ってくる』って。
こういうことだったンだなァ。やっぱ木原くンは偉大だわ)
※木原くんはずっと一方通行に嘘を吐いていました
(仮にもし昨日さっさと言ってたら)
(垣根にバレる→笑われる→ぶっ飛ばして口止めする→円満終了。これで済ンでたはずだ)
(だが今の状態は…。垣根にバレる→垣根だけじゃなく番外個体にまで爆笑される→赤っ恥→クソガキの乾いた笑いと同情の目に晒される→死にたい→さらに黄泉川と芳川にも確実にまた笑われる→赤っ恥→俺の人生終了)
(………)
(……ああ、最悪じゃねェか)
※これでも学園都市最高の頭脳の持ち主です
(イヤ待て。考えろ。この状況を打破する手が必ずあるはずだ。もっと傷が少なくて済む方法…)
(……逆の発想はどうだ?『ところで俺女なンだけど』『え、お前女だったの?』『はァ?まさか知らなかったのかよ。オマエだけだぞ知らねェの』『ええ?マジかー』みたいな。
もォしれっと平然とそォいう流れにしちまえば誤魔化せるンじゃねェかコレ)
※これでも(ry
(……そもそもなンで言わなきゃなンねェンだ?
あとになってバレると恥ずかしいからだろ。じゃあなンで恥ずかしい?)
(……。どうしてこンなことで悩まなきゃなンねェンだよ…)
ずるずると壁に押し付けた背中が力なくずり落ちる。
無意識の内に行き交う人々を憎らしげな目で睨んでしまっていた。
仮にも自分は最強の超能力者として恐れられている人間だというのに。
その自分がどうして立ち向かうべき敵や守るべき者たちのことではなく、こんな世界や命とは無関係なある意味でちっぽけとも言えることで頭を抱えているのか。
あまりに滑稽ではないか。
(いや、社会的な意味での命は危ねェけど)
(性別ひとつでこンなに…)
俯き、ポケットの中の小さな機械をぎゅっと握りしめる。
(俺はただ…“アイツ”が……)
「なあ」
「……あァ?」
ふとケータイを弄る手を止めた垣根がこちらを向く。
「ずっと思ってたんだけどよ、お前今日、っつーか昨日からなんか様子おかしいよな?もしかしてどっか具合でも悪いんじゃねえのか?」
その台詞に露骨にむっとすると眉を吊り上げた。
「オマエに心配されるようじゃ終わりじゃねェか」
「いちいち噛み付くなよ。俺はこれでもだなあ…」
「大体普段の俺なンか知らねェだろ。なのに様子がおかしいってなンだ、俺の何を知ってンですかァ?」
「ああ?……テメェほんと俺をムカつかせることに特化してやがんな」
「こっちの台詞だバカ」
「バカって言う方がバカだバカ」
「オマエも今バカっつったからオマエの方がバカだバカ」
「……」
「……」
「なんでこういう会話になるのかねえ」
「まったくだ…」
なんとなく互いに相手の思考パターンが読めてきて自然と間の空気が脱力していく。
(あァ、でもこれもある意味『日常』を享受してると言えンのかもな…)
ふう、と息を吐いて呼吸を整えると前を向いたままぽつぽつと話しかける。
「ひとつ聞いてイイか?」
「んー?」
「オマエ本当にあの状態から復活したンだよな?」
「ああ」
「さっき普通に能力使ってたが……演算に支障出なかったのかよ?」
「それか。ああ補強してる。肉体的にはなんとかなったんだがな、肩と、あと足に電極は付けてる」
「あァそォ」
「俺の身体は長い間超能力を吐き出す機械として利用されてたわけで……
言い換えれば無意識に自分で自分の命を繋ぎ止めてもいたんだな。我ながら未練たらしいったらねえけどよ」
「……」
その言葉で思い出す。
自分自身も芳川桔梗が天井亜雄に撃たれた時に、意識を失った中血流操作の能力を行使して冠動脈を塞ぎ守り続けた経験があったということを。
「なるほどな」
「未元物質っていう特殊な能力に助けられたんだな。
多少不安定だが能力自体は使えるし、俺の場合『無いものを生み出す』っつー普通の物理法則とは違う力だし」
「ふン」
「当然その分複雑な演算が必要になるからお前と同じで長時間使用するとボロが出るだろうが強度自体は変わってねえよ」
「オマエの能力ってホントワケ分かンねェよな」
「今世紀最大の“お前が言うな”だわ」
「……その補強してる電極ってのはどォなってる?」
「あくまで能力を安定させるための低周波装置だ。ああ、そういや『莫大な演算補助を得る方法』もあるにはあるって言われたな」
「!!」
さらりと吐き出された言葉に大きく目を見開く。
「ミサカネットワークのことか!」
「そうなるな。俺も今気付いたけど」
「……なンで断った」
あくまで何でもないことのようにあっさり返してくる垣根にきつく眉根を寄せて呟く。
「別に。そこまでして力が欲しいとも思わなくなっちまったからな、ろくに説明聞かずに出てきちまった。
それにお前はその妹達を救ったらしいが俺は何の関わりもねえし。むしろお嬢ちゃんに手ぇ出そうとしたんだからどっちみち施しを受ける資格はねえだろ」
「……俺が妹達を救っただァ?その前に一体何やってきたと思ってンだ。贖罪にすらなってねェよ」
「あーあーお前のその自虐癖マジで鬱陶しいな。イライラするからやめろ」
「あァ!?オマエもさっき散々自分は悪人だのなンだの言ってただろォが!」
「あ、過去は振り返らない主義なんで」
「……俺はオマエのその都合の良過ぎる頭にイライラするわ」
血管が浮かびそうなほど頭が沸騰しかけている一方通行とは対照的に垣根は淡々とした様子でコキコキと億劫に首を鳴らす。
「まあとにかくお前がいくら自分に酔いまくってテメェを卑下しようがどーでもいいけど。
少なくとも最終信号のお嬢ちゃんとワーストちゃんには慕われてるみたいじゃねえか。
いいんじゃねえのそれで。ウジウジしててもあの子ら悲しむだけだろ」
「…チッ」
あまりに的確過ぎるその指摘に憎々しげに舌打ちした。
「その通りだよクソッタレ」
「なんだ、慕われてる自覚はあんだな。流石ロリコン」
「……なァ、イイ加減一発その顔面殴ってイイよな?」
「やめろ、俺の完璧なパーツが崩れるだろうが」
「どォしたらそこまでナルシストになれンだ?オマエはすべてにおいて不完全……なに笑ってンだ」
何故かくぐもった笑いを堪えている垣根に言いかけた言葉を止め、不審げな目線を向ける。
「えー?んー?いやだってよ、俺とお前がこんな風に並んでフツーに話してるとか笑えるだろ」
「笑えねェよ」
「なんでだよ。マジでユーモア足りてねえなお前」
「はァ?」
「それに?昨日は?どっかの誰かさんが子供みてえにわんわん泣きやがるし?」
「なっっ!?」
不意打ちで蒸し返された事実に一方通行は思いきり噴き出すと途端に顔色を変え、あたふた慌て始める。
そのあからさまな動揺に垣根がさらに大きく笑い出した。
「~~~っ、忘れろ!それだけは即刻忘れやがれ!」
「いやー無理だろあれは。つーかお前の弱味握ってるとかすげー気分いいわ」
「ふざけンな!大体誰にも言わねェつってたじゃねェか!」
「俺の言うこと信じねえんじゃなかったっけ?」
「ぐっ…」
余裕の態度でにやにや意地の悪い笑みを浮かべる相手に何一つ言い返せずギギギと奥歯を噛む。
反して地面を睨むように固く拳を握って俯いている一方通行を涼しい顔で見遣りながら、垣根は勝利の余韻に浸っていた。
「……るか…な」
「あ?」
その時一方通行の口から何か抑えたような小声が漏れ、耳をそば立てる。
「……じ…から……な」
「なに?聞こえねえよ」
「信、じ……る、から……言うな」
思いきり顔をしかめて絞り出された声。
屈辱的に歪んだ表情は、あまりに白過ぎる肌のせいで驚くほど分かりやすく真っ赤に染まっていた。
かつて敵対していた相手のその姿に垣根の目が丸くなる。
「…………は、」
「はは、ははははは!なんだよお前!なんだそれ!」
「わ、笑ってンじゃ…!」
「なんだよお前マジで可愛いじゃ、ん、か…………え?」
「―――は?」
「……俺今なんて言った?」
「は、はァ!?知らねェよ!」
「いや。いやいやいや違う。これは違う。
あ、あー、そう、俺も忘れる!ちゃんと忘れるからお前も今のは忘れろ!」
「お、おォ…」
「……」
「……」
(……なンだこの空気)
一瞬で異物の混じった空間に変わってしまったその場に硬直する。
ついさっきまで散々余裕綽々の態度でからかってきた垣根が一変して今度は黙りこくっているというこの状況に一方通行は内心焦り出していた。
お互いそれ以上一言も喋れないままギクシャクとした雰囲気だけが二人を包む。
けれどもその空気の中の『異物』は前に対峙した時の、殺意と殺意が研磨した刃のようにぶつかり合ったあの冷たい緊張感とは違う『何か』だということだけはなんとなく分かった。
ここまで。あとでとか言って結局遅くなっちゃう>>1でごめんね!
ていうか黒子好きあっさり見抜かれててワロタ。裸のパンダさんは>>1が美味しく頂きました^^
>>167
読んだってことは原作の方かな?そっちもいいんだけど出来ればアニメの方を…!アニメの方を是非観て頂きたい…!
ではまた
今なら言えるだろうか。
きっと今なら……
笑わずに。
真剣に。
聞いてくれるかもしれない。
「……なァ」
違和感に満たされた空気を割ってぽつりと声を漏らす。
振り向いた相手と目が合った。
そこではたと気が付く。
昨日再会してから…いや、本当に今初めてこんな風にちゃんと互いの目を見たということに。
「………あの、な」
「……」
震える唇を懸命に動かして言葉を紡ぐ。
「オマエに……言っておくことが…あって、な」
「…うん」
喉の奥に張り付いている一言を口にすることにひどく躊躇っているのを感じとって相手は静かに頷いた。
掴んでいる杖のグリップが汗で滑る。ぎゅっと堅く握り直しゆっくり口を開いた。
そして、
百合子「俺は――――」
「あ。おーい!」
百合子「!!!???」
―――しかしイレギュラーというのはいつだって必ず無駄に計ったようなタイミングでやってくる。
百合子「あ、あ……」
それは十六歳前後の少年の形をしていた。
ツンツンと跳ねた黒髪に平凡な顔立ちの中に強い意志を含んだ目。
今まであらゆる人間に影響を与えその人生を変えてきた目の前の少年は間違いなくヒーローであり、それは自身においても例外ではない。
しかし今の一方通行にとってその刻一刻と近付いてくる人物は確実に『不幸』以外の何者でもなかった。
垣根「ん?誰だあいつ?」
ぴしっと完全に固まった一方通行の隣で垣根は一人見知らぬ相手に首を傾げている。
さらにそんな一方通行に追い討ちをかけるようにちょうど店から出てきた打ち止めが「え?」と驚きの声を漏らしたすぐ後ろで番外個体が「あーこういうオチね~」と一人納得した顔で呟くのが聞こえ、既に真っ白な頭は完全に色を失う。
あっという間に四人の眼前に立った何も知らない少年はただニコニコと邪気のない笑顔で話しかけてきた。
上条「よう!久しぶりだな!」
百合子「あ、う、あ……」
上条「みんな揃って買い物か?」
番外個体「…あー。うん」
打ち止め「……ごめんね、あなた」
上条「え?」
完全に思考が停止し凍りついている一方通行をちらりと横目で窺い、哀れむように打ち止めがそっと言葉を漏らす。
その顔にははっきりと「もう無理だこれ」と書かれていた。
打ち止め「ヒーローさんこんにちはってミサカはミサカはぺこりと頭を下げてご挨拶してみる」
上条「あ、これはどうもご丁寧に」
番外個体「……悪いけどミサカの方にはあんま近寄んないで欲しいにゃ~ん」
上条「ああハイ、相変わらず嫌われてますね…」
番外個体「これはミサカの仕様だから、ね。嫌ってるわけじゃないよ。まあ苦手なのは事実だけど」ススッ
上条「それを嫌ってると言うのでは……流石にあからさまに打ち止めの背中に隠れられると傷つくんですが。……ところで」
百合子「……あ…」
上条「こちらのかっこいいお兄さんは一体どちら様でせうか?」
百合子「う……」
垣根「ん、俺か。俺は第二位の垣根帝督だ」
上条「」
上条「だっ、第二位!?」
垣根「おう」
上条「すげー…。ってことはこんなところに第一位と第二位が揃い踏みかあ」
垣根「こいつらと知り合いっつーことはお前も“こっち”側の人間か?」
上条「え?いやまあその辺は話すと長くなるというか…。
でも上条さんは基本的にごくごく一般的な貧乏に悩む一介の学生ですよ~」
打ち止め「そんなことないよ。あなたはミサカたちを救ってくれたヒーローさんだもんって
ミサカはミサカはそこは謙遜はしないで欲しいな」
垣根「ほう?」
上条「いやそんな大袈裟な…俺はレベル0だしなあ」
垣根「え。じゃあもしかして一方通行倒した無能力者ってお前か?」
上条「あー、まあそんなことも……ってスイマセン一方通行さん怒らないで!……アレ?反応ナシ?」
百合子「……」
番外個体「……」
打ち止め「……」
上条「?いやあそれにしても」
垣根「ん?」
上条「学園都市トップツーのカップルとは……やっぱオーラが違うよなあ。くぅ、上条さんも出会いが欲しい~!」
百合子「……」
番外個体「……」
打ち止め「……」
垣根「カップル?いやワーストちゃんとは今日が初対面だけど?」
上条「え、そっち?ていうか、え?」
垣根「え?」
百合子「………」
番外個体「……っふw」
打ち止め「ああ…」
上条「ええーっと、垣根さん?は一方通行さんとお付き合いしてるんじゃないんでせうか?てっきり俺はそうなのかと…」
垣根「はあ!?」
百合子「………」
垣根「ふざけんな!俺はそんな趣味ねえぞ!まごうことなきおっぱい星人だ!」
上条「あ、はあ…。いや上条さんも男としてそれには同意せざるを得ないというかなんというかですけども」
垣根「おう。分かってるじゃねえか」
上条「なるほど、そういうことなら…」
垣根「ん?」
上条「ん?」
番外個体「っ……」フルフル
上条「って、あああ悪い一方通行!いやお前の胸がどうとか言うわけじゃなくてですね!」アセアセ
垣根「は?」
上条「え?」
百合子「…………」
垣根「さっきから何言ってんだ?こいつに胸あるわけ………アレ?」
上条「あら?」
打ち止め「……」
番外個体「……!……っ!」プルプル
百合子「…………三下ァァァァァ」ゴゴゴゴゴコ
上条「」
番外個体「……ねえねえ、ミサカそろそろ限界まで堪えたこの笑いを大爆発させたいんだけどいい?」
打ち止め「ダメって言っても聞かないよね?」
番外個体「うん」
垣根「――――ちょっと、待て」
みるみる内に垣根の中で昨日から引っかかっていたものがパズルのようにひとつひとつあるべき場所へぴたりと当てはまっていく。
そしてその度に自然と大きく目が見開いていった。
・生理という単語に異常に反応した
・突然泣き出して「生理現象」「情緒不安定」などと言っていた
・ペア契約に他にも候補がいる
・自分たちが付き合っていると思われた
・「レベル5の一人が女の子になった」
これらの要素から演算して弾き出される答えは……
垣根「女……だと……」
番外個体「……っく、」
番外個体「ぶひゃひゃひゃひゃ!あっひゃっひゃっひゃっひゃ!!やばいやばいお腹痛い、第一位の顔ちょーやべぇ!
見た?見たぁ?これもうネットワークに流しちゃっていいよね?いいよね?www」
打ち止め「あああああ…」
上条「……えーっと、これはまさか地雷踏んじゃった感じの…」
垣根「え?……え?」
百合子「……もォ開き直る」ボソッ
上条「えっ」
百合子「あァそォだそォだよそォですよォ…」
百合子「俺はァァァ!女なンだよォォォォ!!」
上条「」
垣根「」
打ち止め「」
番外個体「…あっは!ww」
百合子「そォだよだからなンだってンだ!?文句あンのか!!」
垣根「え…、待て。は?」
百合子「だァから女だっつってンだろォが!!ちなみに今も生理だよ!
昨日からずっと血ィ流してンだよこっちはァ!悪いか!!」
垣根「お…」
百合子「もう知るか!」
百合子「俺だってなァ!十数年間ずっと自分のこと男だと思って生きてきたンだよォォ!!
こンなワケ分かンねェ身体に生まれてきた気持ちがオマエに分かるか?分っかンねェだろォがァァァァ!!」
垣根「な…。え?待て、どういう…」
打ち止め「ええっと…」
百合子「これは俺の問題だ!クソガキは口挟むンじゃねェ!」
打ち止め「あ、あなた…?」
百合子「大体なンで脳ミソ三分割のこのバカが生き返ってクソうぜェくらいピンピンしてンのに俺の性別完全な男にするくらいのことが難しいンだよ!?
難易度のレベルおかしいだろ!え?あのカエル俺のこと嫌ってンの!?」
垣根「―――は?おい落ち着け、頭の整理が…それはえっとつまり…」
百合子「うるせェェェェ!童貞は黙って聞いてろ!」
垣根「ど、童っ……!?は、はああ!?」
打ち止め「この人が壊れちゃった……」
番外個体「~~~っ!~~~っっ!ww」
上条「」ポカーン
百合子「ンー?なーに焦ってンですか図星ですかァ?そうだよなァ、オマエ昨日から童貞臭い台詞吐きまくってたもンなァ!」
垣根「あ、ああ?」
百合子「なンでしたっけェ?可愛い彼女が欲しいィ?
……はっwwメルヘンな夢見てンじゃねェぞこの万年発情期ド変態ナルシストが!オマエに女なンざ永遠に出来るわけねーだろ!!」
垣根「」ブチッ
垣根「………あんま調子乗ってんじゃねえぞこの白モヤシがぁ!!なんだ?こっちが下手に出てりゃペラペラペラペラ……あまつさえ自分のことずっと男だと思ってただあ?
ばっかじゃねえの!?つまりテメェも童貞確定じゃねえか!そりゃそうだよなあ、自分の性別にも気付かなかったくらいだもんなあ本式に使ったことなんざあるわけないよなあ?ww」
百合子「童貞じゃありませンー処女ですー!処女はステータスなンですゥ~!!
女なら誰かれ構わずおっ勃てやがるどっかの節操ナシのクソ虫と一緒にすンじゃねーよ!」
垣根「はああああ!?うっわ、マジで開き直りやがったよこいつ!何様だ!?」
百合子「第一位様に決まってンだろォが所詮第二位止まりのか・く・し・たくゥン?」
垣根「……」ビキビキビキ
垣根「……テメェは俺を怒らせた。さっきはちょっとしおらしいとか思ったがまったくもって気のせいだったぜ、
やっぱそのツラ死ぬまでぶん殴ってやるよクソボケ!!」
百合子「負け犬のインポ野郎が今更デカイ口叩いてンじゃねェよバーーーカ!
そンなチャラいナリして女の一人も引っかけられないヘタレはサルみてェに延々一人でマス掻いてろ!!」
垣根「おーおー一丁前にほざきやがる、テメェこそ男に突っ込まれたこともねーくせにデカイ口叩いてんじゃねーぞ!
それともなにか?口は悪いけど本当は純情な乙女なんです~ってギャップでもあざとく狙ってんのかこのド貧乳残念体型処女ビッチが!!」
百合子「オイオイオイ負け惜しみもそこまでいくと哀れ過ぎて笑っちまうなァ!オマエはどォせ一生右手が恋人なンだよこの皮被りメルヘンチェリー冷蔵庫!!
生まれ変わって赤ん坊からやり直してこい、まあそれでも結局童貞のままゲームオーバーですけどォ?」
垣根「あ゛あ!?逆ギレしてんじゃねーよ!都合よく論点ずらして他人に噛み付いてりゃ世話ねえなあ!レベル5の頂点が聞いて呆れるぜ!!」
百合子「その頂点に身の程知らずにも喧嘩売ったあげく一方的にボコられてギッタギタのミンチにされてたのはどこのどいつでしたっけェ?
流石早漏野郎はイっちまうのが早いよなァ!もっと楽しませてくれるかと思ってたのによォ、手応えなさすぎて萎えちまったぞ!!」
垣根「言ってろバーーーカ!口だけ処女が、お前なんかどうせオナニーすらしたことねえんだろ?最強の第一位サマは能力開発ばっかでマトモに性教育も受けてきませんでした~ってか?
なんっっだそりゃ!誰も萌えねーよそんな無駄な清純派キャラ設定!マグロ女はバナナ銜えて上手なおしゃぶりの練習でもしてろ!!」
百合子「三擦り半野郎に言われても痛くも痒くもねェンだよボケ!……あァそれとももしかして遅漏だったかァ?
さっさと終わる分早漏ならまだマシだなァ、ド下手野郎にいつまでもヘコヘコ腰振られてたら女の方が可哀想だもンなァ?
まァその女は永遠に現れないわけだからどっちにしろ無問題だけどォ~」
垣根「………ムカついた。最っっ高にムカついたぜクソ野郎があぁ!!それはあれだな、はっきりきっぱり再戦の申し込みだよな?
オーケー、今すぐその汚ぇ糞垂れ流す口二度ときけなくしてやるよ!序列は今日で変動だ!!」バサッ
百合子「上っっっ等だこの第二位ふぜいがァァァ!
今度こそ素粒子レベルでグッチャグチャに擦り潰して愉快に素敵なオブジェに変えてやンよ!!」カチッ
垣根「一方通行ァァァァァ!!!!」
百合子「垣根ェェェェェ!!!!」
番外個体「うひゃひゃひゃひゃ!ばっかじゃねえのばっかじゃねええええのォこいつら!
なにこれ面白過ぎ!あっひゃひゃhセロリた…百合にゃんペロペ……あーー!!」
打ち止め「あわわわ、ミサカネットワークが大混乱して……って
10033号がこの人の罵倒台詞オンパレードで恍惚な表情のまま失神したーー!!」
上条「ちょ、やばいってやばいってマジで!なんかあの人六枚も羽生えたし!
打ち止め!今すぐ一方通行の演算補助切ってくれ!」
打ち止め「えっえっ、でも今切ったらあの人が……
っていうかネットワークに負荷がかかりまくっててそれどころじゃ…」
上条「あああああもう!おい待て待て待てお前ら!やめろって!」
百合子「あ゛ァ!?三下はすっこンでろ!!」
垣根「巻き込まれたくなかったら下がってやがれウニ頭!!」
上条「いやだからそうじゃなくてですね!二人とも一体ここがどこで自分たちがどんな会話繰り広げてるか分かってるか!?」
垣・百合子「「――――!?」」
<ドーテーダッテーww
<ヤダキモーイ!ドーテーガユルサレルノハ(ry
<ママー、インポッテナニー?
<ナニ、ヨ
<ナニイッテンダオマエ!?コラ、キイチャイケマセン!
<アルビノショジョサイコーヤデェ!
垣根「」
百合子「」
ここまでです。正直やり過ぎた気がするけど反省も後悔もしてないぜ!
ではまた。
――――――
――――
打ち止め「ミサカはハンバーグセット!ってミサカはミサカはいつものお気に入りを頼んでみたり」
番外個体「じゃあミサカはカルボナーラにしよっかな~」
上条「俺はチキンドリアで」
店員「はい。……えっと、ところでそちらのお二方は…」
上条「ああはい、とりあえずドリンクバーだけお願いします」
店員「はあ…。かしこまりました」
垣・百合子「「………」」
86 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10233
なんぞこれwwwなんぞこれwwww
87 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
第二位もただの馬鹿だったか……
88 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka15959
ちくしょう!ちくしょう!
正統派イケメンだと思ったのに!本当にかっこいい人だと思ったのに!
89 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14233
>>88
お前やっぱり……
90 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12425
>>88があっさり第二位に抱いてた幻想をぶち殺されたと聞いて
91 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10085
「処女はステータス(キリッ」
これは流行るwwww
92 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18331
☆セロリ迷言集☆
・こっから先は一方通行だ!侵入は禁止ってなァ!(ドヤッ
・年下のガキに色々振り回されンのは人間なら誰でも通る道だ(キリッ
・俺も、ずっと(幼女と)一緒にいたかった(笑)
・処女はステータスなンですゥ~!←NEW!
93 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11851
おwwまwwえwwらwwww
94 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17791
もうやめて!一方通行のライフは0よ!!
95 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14421
ていとくんのコピペ作ったよー^^
・童貞
・メルヘン
・イケメン(笑)
・肌に直接セーター
・いつまでも中2病(※白い六枚羽が生えます)
・早漏or遅漏
・童貞
・童貞
96 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12240
wwwwwwwww
97 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13290
仕事はえぇぇぇぇwww
98 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12091
相変わらずミサカネットワークは全力だな
99 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
百合にゃん!百合にゃん!百合にゃん!百合にゃぁあああんぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!百合にゃん百合にゃん百合にゃんぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!
ほら見ろやっぱり百合にゃんは処女じゃねーか!
やったやった!やったねたえちゃん!ラピュタは本当にあったんだ!
ビッチとか言ってた奴ID腹筋だからな!!!!
100 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10051
変態だけ着眼点がおかしい件
101 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11304
>>100
平 常 運 転
102 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11931
つーかセロリさん自分だって経験ねーくせに『愉快にケツ振りやがって誘ってンのかァ?(ドヤァ』とかww言ってたんだよなww
マジww恥ずかしすぐるww俺なら自殺してるわwwww
103 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19955
>>102
それはもう許してやれよwww
104 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10893
いじめかっこわるいですぅ><
105 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
百合にゃんの魅力が分かんない奴はうんこ
百合にゃんちゅっちゅ!
処女なのに放送禁止用語連発しちゃう百合子かあいいよぅ!マジw天使ww過ぎwwwwペロペロペロペロ(^ω^)
106 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10127
>>105
変態さんは頭の病院行こうねー^^
107 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12987
なんかもう一日一回これ言わないと落ち着かないな
死ね変態
108 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19291
>>107
お前それもう変態に恋してるんじゃね?変態中毒じゃね?
死ね変態
109 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
>>107
>>108
えっ///やだ、お前ら……
まとめてぺろぺろしてやんよ!!
110 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11177
ねえなんでいつの間に変態ハーレムになってんの?ねえなんで?
死ね変態
111 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10553
お前らなんだかんだ変態大好きだよな
百合子「………悪かったな三下」
上条「え?…あー、いや正直俺のせいでもあるというか確実に俺の…」
百合子「この馬鹿が迷惑かけた」
垣根「……あ?」ビキッ
上条「ああああだから穏便に!落ち着いて!ビークール!」
番外個体「いいんじゃないの~どうせ最初からネタバレするつもりだったんだし。期待以上のモノ見れてミサカは大満足だよ?」
上条「頼むから水差さないで下さい!」
番外個体「ホント馬鹿っていいよねえ。ミサカ生まれてきてよかった~、すっごい生き甲斐感じちゃう☆」
上条「……不幸だ…」
百合子「つゥか三下ァァァァァ!!」ガタッ
上条「ひぃっ!は、はい!」
百合子「そもそもだ!そもそもオマエが土御門のバカに吹聴してなきゃこンなことにはならなかったンだよ!!」
上条「ああっすいませんすいません!いやてっきり奴は既に知ってるものと思って…」
百合子「ふざけンな!そのせいで俺がどンな目に遭ったか分かってンのか!!
アイツらっ……アイツ、アイツにだけはなァァァ…!」ギリギリギリ
上条「ごめんなさい!ごめんなさい!だからチョーカーに手をかけるのだけはやめて下さいお願いします!」
百合子「…………チッ」ガタン
上条「う、うーん…それに俺はそんな恥ずかしがる(?)こともないと思うんだよ」
百合子「……あァ?」
上条「いや前々からお前中性的な外見してるな~と思ってたからさ。顔だって整ってるし……可愛いと思うぞ?」
百合子「えっ…
………とでも言うと思ったかこの一級建築士がァァァ!何一つ嬉しくねェンだよ!
そこかしこで殺し文句の大安売りしやがって、生物学上女なら誰にでもフラグ立つと思ってンじゃねェぞ主人公補正特権野郎!!」
上条「何の話!?」
百合子「その自覚ねェとこが余計腹立つンだよォォォ!」
打ち止め(……正直そこはあなたも人のこと言えないと思うってミサカはミサカは心の中でぼそっと呟いてみたり)
垣根「つーかこいつはまったく可愛くねーだろ。もしホントにそう見えるなら眼科行った方がいいぞツンツン頭」
百合子「……あ?」ビキッ
上条「ちょっ、ループループ!また言い合い始めたら振り出しに戻るだけだから!冷静になって下さいよマジで!」
百合子「俺は十分冷静だ。この馬鹿が一方的に突っかかってくるだけだ」
垣根「俺だって冷静だ。この馬鹿が一方的に喧嘩売ってくるだけだ」
上条「ああハイ、なんかもういいです…」
番外個体「ていうかさあ、お世辞でも可愛い(笑)なんて言われたらそこは喜ばなきゃダメでしょ。
だってそうだよねえ、百合子ちゃんはもうオンナノコとして開き直ったんだもんねえ?」
百合子「!?」
上条「!!」
垣根「……百合子?」
番外個体「第一位のな・ま・え。鈴科百合子ちゃんっていうんだよ~ん」
垣根「……ぷっwwテメェそんな名前だったのかよ。似合わねえ~」
百合子「本名じゃねェよ!ソイツらが勝手に付けたンだよ!!」
上条「……」ダラダラダラ
垣根「どっちにしろ似合ってねえよ。改名しろ」
百合子「ならオマエは童帝督に改名だなァ」
垣根「あ?」
上条「あ、あー!!うん、そう!とにかくこのままじゃどうしようもないだろ。仲直りしようぜ?な?」
垣・百合「「最初から直す仲がねえよ!!」」カッ
上条「息ぴったりっすね…」
垣・百合「「あ゛あ!?どこがだ!!」」
上条「……」
垣・百合「「……」」
123 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10182
おいこいつら実は仲良いだろwwww
124 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11121
残念童貞と残念処女が交差する時、物語は始まる……!
125 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
>>124
え?交尾?
漏れも百合子ちゃんと交尾したいです><
126 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13996
>>125
お前は黙ってニガウリと交尾してろks
127 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10822
>>126
やめとけ、結局罵りは奴の中で自動的にプレイに変換される
128 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
えっえっ?
なに?何が起きてるの?
129 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10752
春ww厨ww
ついに来たかwwww
130 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14322
よう春厨
ねえねえ知ってるぅ?愛しの百合子さん()に彼氏が出来たよ☆
131 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
はああああああ!?
なにそれふざけんな!やっと腹くくったのに!覚悟完了したのに!
コイツ!?コイツがそうなの!?
132 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12231
葉隠れさん乙w
133 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10966
落ち着けよwww
134 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13221
心配すんな、別に彼氏じゃないよ!お前と同じただの頭の可哀想な人だよ!
135 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
マジレスすると過去ログ見てこい
136 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10777
つーかセロリとかどうでもいいからもっとKJさんの顔見せろよ!声聞かせろよ!
こっちは遠恋なんだぞ分かってんのか!
137 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
>>136
ロシアの負け犬はすっこんでろ
学園都市在住の俺勝ち組www
128 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
KJさんの説教が見られると聞いて
垣根「大体なんなんだよテメェは。両性具有?雌雄同体?カタツムリか」
百合子「少なくともオマエみてェな役立たずのED野郎よりゃマシだなァ」
垣根「……百合子チャンいい加減その口の悪さ直さねえと嫁の貰い手つかねえぞ?まあそれ以前の問題だから関係ねえか」
百合子「……次その名前で呼ンだらオマエの×××捩じ切ンぞ」
垣根「出来もしねえこと言うなよヴァージン百合子ちゃん?」
百合子「よし、表出ろ」ガタッ
垣根「上等だコラ」ガタッ
上条「だから座れって!場所変えたっつってもここファミレスだから!思いっきり人目あるから!」
垣根「気に食わねえんだよこいつだけは。顔見てるだけで無性にイラついてきやがる」
百合子「奇遇だな。俺もオマエの顔見てると虫酸が走り過ぎて全身の皮膚ひっぺがして豚のエサにしたくなるンだわ」
垣根「ゴチャゴチャ御託垂れ流してる暇あったらその貧相な胸どうにかしてこいよ、
そしたら這いつくばって俺の靴底舐めるくらいの権利はくれてやる」
百合子「そォだなァ、俺もオマエがその内面の滲み出た不ッ細工なツラなンとかしてきたら四つん這いにして玄関マット代わりにぐらいは使ってやンよ」
垣根「……」ピリピリ
百合子「……」ピリピリ
上条「ああもう!どうしてそうなるんだ!?どっちか折れようって気にはならないのか!」
垣・百合「「コイツが悪い!!」」
上条「……」
打ち止め「……」
番外個体「あひゃひゃ!ww」
上条「………いいぜ」
上条「お前らがそうやっていつまでもいがみ合って互いを許そうとしないのなら……まずはそのふざk…
打ち止め「―――もうやめて!!」
………アレ?」
百合子「…クソガキ…?」
垣根「お嬢ちゃん…?」
打ち止め「……カキネ。前にこの人と闘った時のこと覚えてる?ってミサカはミサカは真剣な目で迫ってみる」
垣根「……忘れたくても忘れられねえよ」
打ち止め「じゃあその時刺した女の人のことは?」
百合子「!」
垣根「ああ。いたな確か」
打ち止め「……その人がね、ミサカたちの保護者なんだよってミサカはミサカは教えてみる」
垣根「……!」
打ち止め「その人はヨミカワっていうんだけどヨミカワはね。あなたのことちっとも怒ってなかったよ。それで家に連れておいでって言ってくれたの」
垣根「……それは…」
打ち止め「この人が公園で言ってた約束っていうのはそのこと。昨日この人が帰ってきてからみんなで話し合ったんだ。
もう一人ヨシカワっていう人もいるんだけど、ヨシカワもあなたのこと面白そうな子だって嬉しそうに言ってた」
打ち止め「本当にとっても歓迎してたのよって
ミサカはミサカはあの人たちが心の底から優しい人間なんだってことを一生懸命伝えてみたり…」
百合子「クソガキ…」
140 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12299
幼女のなんかいい話タイム入りましたー
141 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19021
>>140
おまwwちょっとは真面目な雰囲気にしてやれよwww
打ち止め「それにさっきケータイショップの前でこの人と話してた時もね、
この人はミサカたちがそれを望まないからカキネを殺さないってはっきりそう言ったんだよ。そうだよね?あなた」
百合子「……」
打ち止め「ミサカはそれがとっても嬉しかった…ってミサカはミサカはその時の気持ちを胸に刻み込みながら反芻してみる。
……あと12299号はあとで覚えてろ」
143 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12299
えっ
144 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16654
>>143
ざまあwww
打ち止め「この人はいつもミサカたちのことを思ってくれてる、不器用だけど、不器用なのに一生懸命ミサカたちのことを考えて考えて考えてその手を伸ばそうとしてくれてるの」
垣根「……」
打ち止め「確かに妹達とこの人の間には深い溝があるし、それは一生かけても完全に埋めちゃいけないものだよ…」
打ち止め「でも例え世界中の誰もがこの人のことを嫌いになっちゃったとしてもミサカだけは大好きだから……!
ってミサカはミサカは今日2回目の大胆告白をしながらぎゅっと拳を握りしめてみたり」ギュッ
百合子「……」
番外個体「……最終信号…」
打ち止め「それは完全にミサカの個人的な感情だから非難されるべきものかもしれない。偏った考えかもしれない。だけど…」
打ち止め「……今日カキネに会ってみて分かったよ、あなたもこの人と同じものを抱えてる人だって。きっと根本的なところであなたとこの人は似てるんだと思う。
そうだよね、あなたにもあったでしょう?いろんなこと……きっと、ミサカの知らないもっと深くて暗いところで生きてきたあなたなら」
垣根「……」
打ち止め「今日言ってたね、子供の頃震えていたって。ろくな思い出もないって。最後は誤魔化してたけど本音だったんでしょう?」
打ち止め「ミサカはまだ子供だから割と何でもかんでも好きなことが言える。
ワガママも甘えも好きな時に好きなだけ態度に表せばこの人もヨミカワもヨシカワもいくらでも応えてくれる」
打ち止め「でも年を重ねるって大変なことだね。大きくなるって悲しいことだね。あなたもこの人も殆どの人が多かれ少なかれ自分の気持ちに蓋をして生きてる。
誤魔化さなきゃ自分を保てないから…。辛かったね、寂しかったね」
垣根「お嬢……」
打ち止め「だけど大丈夫だよ。ミサカがこの人の手を取ったようにあなたの手も取ってあげる。
ミサカの手は子供体温だからとってもあったかいんだよ!ってミサカはミサカはえっへん!って自慢してみる」
打ち止め「……。確かに今日のこの人の態度は悪かったしミサカたちも調子に乗ってその状況を楽しんじゃってたのは事実だから……謝るね。
本当にごめんなさいってミサカはミサカは深く頭を下げて謝罪してみる」ペコリ
垣根「……お嬢ちゃん」
打ち止め「もしもあなたが許してくれるのなら……お願い。お願いだからこの人の手も取ってあげて欲しい。
この人のいる世界は楽しいよ。ミサカが保証する。だから…」
打ち止め「だから……」
打ち止め「……からミサカは…っ!ミサカは……泣き、ながらっ!!……う、ぐすっ」
150 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
運営……
151 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11200
あれ?ちょっとホロッときちゃった、あれー?
152 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13362
お前ら普段毒吐きまくってるくせに実は情に流されやすいよな。バーカバーカ泣いてるやつバーカ!!www
……あれ?なんか俺の目からも未元物質出てるんだけど、あれー?
153 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
全ミサカが泣いた
154 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18456
上位個体マジ聖母
マジ…聖母…
百合子「……垣根」
垣根「…ん」
百合子「あー…」
百合子「今日のことは、その…全面的に俺が……悪かっ、た」
垣根「……いや。俺も言い過ぎちまったしおあいこだ。すまねえな」
打ち止め「…えへへ」グスッ
番外個体「……なに美談みたいにしちゃってんの~?つっまんにゃーい」
打ち止め「番外個体、素直になろう?」
番外個体「……ふーんだ」
番外個体「まあ、ミサカも…ちょっとだけ、ちょっとだけからかい過ぎたかなって思うから謝っといてあげるよ。……ごめん、ね。二人とも」
百合子「……おォ」
垣根「ありがとな、ワーストちゃん」
打ち止め「ん。よく出来ました」ナデナデ
番外個体「う、うるさいなー。ガキにガキ扱いされたくないんだけど~!」
打ち止め「はいはい」ニコニコ
番外個体「…ちぇ」
打ち止め「よーし、それじゃあ仲直りの握手ね!ってミサカはミサカはこの人の手を取りながらカキネの方に近付けてみたり!」グイッ
百合子「……はァ?おい」
打ち止め「するの!ってミサカはミサカはこれは命令だよ!」
百合子「……」
垣根「一方通行…」
百合子「チッ。……ン、」ギュ
垣根「…おう」ギュ
打ち止め「……ふふっ」
番外個体「あーあ。なんだかにゃ~ん」
上条(……あれ?もしかしなくても俺空気?)
155 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11442
幼女の仲直りさせスキルぱねえ
まさかここまで上手くまとめるとは…
156 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11102
これガチでその内二人くっつくんじゃね?
157 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10225
えんだああああああああああ!!
158 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
嫌ああああああああ!!やだやだやだやだやだーーー!!
159 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13304
ちょwwww
160 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19512
春www厨wwwwww
161 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
違うもん違うもんただの友情だもん社交辞令だもんなんだよ握手ってなんだよああ握手あくしゅあクしュあくsyだってそんなのずるいずるいミサカだってあの人としたことないのにミサカはミsみサk…
>>『14510さんがログアウトしました』
162 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19663
14510号の霊圧が…消えた…?
163 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10173
>>162
ほっとけ、どうせあいつはその内また復活する
164 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10801
やべえな垣一マジでアリだわ……
今まで上一至上主義だったけど新刊これで出す
165 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13801
>>164
上条×一方←垣根が至高だろJK
三角関係美味しいですもぐもぐ
166 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14444
男同士で突き合わせて何が楽しいの?馬鹿なの死ぬの?
百合子総受けの百合サイト作ってくるわ
167 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19173
腐ってやがる……早(ry
168 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10595
腐と百合厨はまとめてお帰り下さい^^
169 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
>>166
お前この前ミサ支部に番外個体×百合子のいちゃらぶ漫画うpしてたろ
……目覚めました///
170 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16662
>>169
お前は最初から全開だろうが
171 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka15521
お前らさっきまでの涙はどこいったの?
上条「まあなんかよく分かんないけどとりあえず丸く収まったみたいでよかったよかっ…」
百合子「…なァなァ三下知ってるゥ?オマエがアイツらにバラしたあと俺が何されたか知ってるゥ?」
上条「え」
百合子「例えば土御門のバカに無言でメイド服(猫耳肉球付き)渡されたこととかァ?
海原のバカに『あなたが自分だけミサカハーレムを形成していることに対する溜飲が少し下がりました(笑)これで自分も今日から安眠出来ます(笑)というか……ドンマイ(笑)』とかクッッソムカつく笑顔で言われたこととかァァァ?」
上条「ひっ…」
百合子「………毒手か苦手か好きな方選ばせてやるがどっちがイイ?」
上条「い、いやああああ!どっちも嫌だああああ!!」
百合子「はァ…。……嘘だ」
上条「えっ?」
百合子「オマエには何だかンだ借りがあるからな」
上条「…た、助かった…」
番外個体「んー、ところでミサカ唐突に思い出したことがあるんだけどさ。鈴科百合子って名前の案出したのウニ頭くんだったよね?」
上条「!!??」
百合子「………」
百合子「……番外個体。詳しい話を聞かせろ」
上条「あ、あああの番外個体さん…?」
番外個体「え~?ミサカ0歳だからよく分かんにゃーい。でもそうねー、
前にたまたま最終信号と調整の帰りウニ頭くんに会った時にぃ、第一位に名前付けてあげようかな~みたいな話ノリでしたら『鈴科百合子なんてどうだ?』って言われて採用!みたいな?」
百合子「……」
上条「……」
百合子「………三下。日を改めて二人だけでじっくりしっかり話し合いてェことがあるンだがイイよな?」
上条「…………ハイ」
ここまでです。え?クリスマスが近い?……関係ねえよ!!カァンケイねェェェェんだよォォォォ!!
ではまた
○月○日
【From】垣根
【Sub】(non title)
-------------
やばい
【From】一方通行
【Sub】(non title)
-------------
は?
【From】垣根
【Sub】(non title)
-------------
やばいマジやばい
【From】一方通行
【Sub】(non title)
-------------
なにが
【From】垣根
【Sub】(non title)
-------------
死ぬ
【From】一方通行
【Sub】(non title)
-------------
だからなに
【From】垣根
【Sub】(non title)
-------------
助けて
【From】一方通行
【Sub】(non title)
-------------
なンだよ
【From】垣根
【Sub】(non title)
-------------
暇すぎる
あと腹減った
【From】一方通行
【Sub】(non title)
-------------
死ねよ
【From】垣根
【Sub】とか言いつつ
-------------
実はちょっと俺に何かあったか心配しただろ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ねよ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
ツンデレ乙
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ねよ
【From】垣根
【Sub】流石に
-------------
三連続はひどいと思うの
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
なんだかんだ返信してくるところにお前のデレを見た
【From】一方通行
【Sub】ベクトル拳骨一万回と
-------------
下の口から針千本飲むのどっちがイイ?
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
やめてくださいしんでしまいます
【From】一方通行
【Sub】じゃあ
-------------
死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
理不尽すぎね!?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
暇ってどンくらいだ
あと死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
64のスマブラ引っ張りだしてカービィ無双三時間やり続けたあとうしとら全巻読み返すレベル
さとりのエピソードはやばい
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
そうか死ね
一番は泥なンてなンだいだろ
【From】垣根
【Sub】ねえ
-------------
なんでいちいち語尾に死ね付けんの?ねえなんで?
真由子可愛いよな、かがりもいいけど
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
うぜェ死ね
とらの造型美はやばい
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
やべえ、からサーも読みたくなってきた
漫喫行かねえ?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
イイからそれよりドア開けろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
は?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
私メリー。今オマエの家の前にいるの
ファミチキ冷めるからさっさとしろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
お前の優しさに全俺が泣いた
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
キモいからやっぱ死ね
○月×日
【From】垣根
【Sub】なあ
-------------
唐突だけどやっぱジブリは紅の豚一択だよな
【From】一方通行
【Sub】それは
-------------
飛ばない豚はただの豚だがオマエは飛べても豚以下っていう自虐か?
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
俺は立派な人間様だよ!!あと好きで翼生やしてるわけじゃねえから!
で、お前は何派?実はポニョ(笑)とか?
【From】一方通行
【Sub】死ね
-------------
興味ねェよ
ジャージ女→魔女宅
ニート→耳すま
クソガキ→トトロ
クソガキ2→ラピュタ
ただし満場一致でアシタカが一番のイケメンに決まった
【From】垣根
【Sub】ふざけんな
-------------
ポルコこそ漢だろ
つーか芳川お姉さんのチョイス意外だな
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
あの壁パンしたくなる感じが逆にクセになるらしい
【From】垣根
【Sub】あー
-------------
確かにあの人そろそろ貰い手つかないと不味いよな
【From】一方通行
【Sub】今アイツ
-------------
めっちゃ笑いながら今度会ったら覚えてろつってるわ
【From】垣根
【Sub】オイ!
-------------
告げ口してんじゃねーよ!!
【From】一方通行
【Sub】まァ
-------------
嘘なンですけどね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
お前のこと信じてた
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
というのも嘘だけど
【From】垣根
【Sub】テメェェェェェ!!
-------------
いやホント謝っといて下さいマジでほんの軽い冗談なんで
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
詫びの印にダブルチーズバーガーとチキンフィレオ五人分買ってこい、ナゲットもソース両方付けて買ってこい
○月△日
【From】垣根
【Sub】(non title)
-------------
お前今絶対家来んなよ!絶対だぞ!
【From】一方通行
【Sub】(non title)
-------------
フリなのかAV上映会でもしてンのか話はそれからだ
【From】垣根
【Sub】違ぇよ!
-------------
今台所にGが大量発生したんだよ!やばいやばいやばいこれはマジでやばい思わず写メ撮るくらいやばい
(画像添付)
【From】一方通行
【Sub】はあああああ!?
-------------
気色悪ィモン送ってくンじゃねェよ死にてェのか!!
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
こっちだってテンパってんだよ!クソッ、生ゴミ捨てんのサボってたツケがこんなところで…!
【From】一方通行
【Sub】とりあえず
-------------
しばらくオマエン家行かねェから
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
俺もしばらくこの家居たくない、お前ん家行っていい?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
オマエはGと仲良く戯れてろよ、羽広げてバサバサいってるとことか似てンだろ
【From】垣根
【Sub】だから
-------------
お前に羽がどうとか言われたくねーんだよ!
後生ですからお願いします
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
焼きそばパンを要求する、30分以内だ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
一方通行マジ天使
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
やっぱ来ンな
【From】垣根
【Sub】ごめんなさい
-------------
黒蜜堂の最高級プリンとフルーツゼリーも買っていきます
つーかお前いつも食べ物要求してくるけどなんで太んないんだよ
【From】一方通行
【Sub】体質
-------------
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
たった今全世界の女から嫉妬の電波を受信した
んじゃお嬢ちゃんたちに楽しみにしといてつっといて
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
勝手に受信して爆発してろ
ついでにコーヒーも買ってこい
○月□日
【From】垣根
【Sub】おい
-------------
カラオケ行こうぜ
【From】一方通行
【Sub】死ね
-------------
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
せめて本文で返せよ
じゃあ明日13時駅前集合な!
【From】一方通行
【Sub】死ね
-------------
勝手に決めンな
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
どうせ暇だろ?
【From】一方通行
【Sub】死ね
-------------
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
いい加減切れんぞ
ああそれとも百合子ちゃんは他人に聴かせられないほど音痴なのかな~?ん?
【From】垣根
【Sub】マジで
-------------
俺が悪かったんでメール切んのだけはやめて下さい地味に傷つくんで
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
構ってちゃンマジキメェ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
行こうぜカラオケ~もう何年も行ってねえんだって~流石にヒトカラはキツイんだって~
出来ればワーストちゃんたちも一緒に
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
下心丸見えなンだよ死ね
アイツらは今日明日調整だ
【From】垣根
【Sub】えー
-------------
黄泉川お姉さんは仕事か
芳川お姉さんは?いつも家居るだろあの人
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
珍しくガキ共に付いてった
アイツが外出ンの二週間振りだわ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
ニート極めてんな……まあそんな自堕落なとこもいいけど
じゃあお前だけでもいいや
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
もしキモい曲歌ったら殺す
【From】垣根
【Sub】よっしゃ
-------------
実は押しに弱いよなお前、なんか拝み倒したらヤらせてくれる股ゆるい女みてえ
あ、悪い処女だったな(笑)
まあ可能性は限りなく低くてももし万が一その時が来たらちゃんと避妊はしろよ?
【From】一方通行
【Sub】なァなァ
-------------
オマエ部屋の本棚の二段目の奥に女教師もののエロ本隠してるだろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
はあああああああ!?おいテメェふざけんなよマジふざけんなよいつ見つけた!?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
ファミチキ持ってった時
なかなか愉快に素敵にエグい内容みてェだがうっかり黄泉川にこのこと口滑らしちまってもイイよな?
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
やめろやめて下さいほんとあの人の信用失いたくないんで
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
最初から信用なンざねェよっつゥツッコミ待ちだよなそれ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
分かった、明日の金は全部俺が出す
焼き肉も奢る
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
最初からおとなしくそう言っとけばいいンだよ童貞
ここまでです。百合子とていとくんのメール編。
ほんとはもうちょい後に載せるつもりだったけど筆が進まない症候群にかかったので先に投下。
相変わらず遅漏でごめんね!あとクリスマス彼女と過ごしたリア充は爆発して下さい^^
ではまた。
ヒトカラきついとかいうやつにリア充どうこうとかいわせねぇ
(´;ω;`)ウッ…
○月◇日
【From】垣根
【Sub】なあなあ
-------------
お前ん家に俺の財布ねえか?
【From】垣根
【Sub】おい
-------------
コラ
【From】一方通行
【Sub】うぜェ
-------------
あった
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
あーーやっぱり?失くしたかと思って焦ったわ
よし、明日取り行くから首洗って待ってろwww
【From】一方通行
【Sub】はァ?
-------------
つゥか仮にもレベル5の財布の中身が五千円ってどういうことだ
【From】垣根
【Sub】うっせ
-------------
勝手に見んなカードとかあるからいいんだよ
つうか昨日限定品の香水買ったからだし金とか腐るほどあるし俺第二位だしwwww
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
限定品(笑)香水付けてる俺カッコイイ(笑)
心底キモいなオマエ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
べーーつにいいだろうが、好きなんだよ意味分かんねーしケチ付けんな貧乳
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
うっぜェマジでうぜェ何時にも増してうぜェ死ぬほどうぜェ死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
やだ、いい匂い///垣根素敵!抱いて!///
とかww本当は思ってんだろ?ww素直になれよ
まあお前相手じゃ勃つ気しねーけどwwwww
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
ナルシストって脳ミソ平和で幸せだな
オマエ来ると家中バニラ(笑)臭くなって殺意が芽生えるンだが
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
よかったな、お前の大好きなブラックコーヒー(笑)の味がカフェオレっぽくなるじゃねえか
ブラックwwコーヒーwww厨二www病wwwww
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
何でもかんでもそれ言やいいと思ってんじゃねえぞボキャブラリー増やせwww
これだからwwwキレやすい現代の若者はwwwwww
【From】一方通行
【Sub】おい
-------------
オマエ酔ってるだろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
はあ?酔ってねーしぜーーんぜん酔ってねえしーーーー?ww
子供舌の百合子チャンには酒の味なんか分かんねえよなあ
コーヒーはブラックしか飲まねえくせにバカだろバーカバーカwww
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
黄泉川とテンション同じで腹立つわ死ね
【From】垣根
【Sub】おいおいおい
-------------
そうだよよく考えたらお前周り女ばっかじゃねーかハーレムじゃねーか爆発しろ
あーー俺も黄泉川おねーさんと飲みたいやっぱ今から行くお前ん家行く
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ね
今何時だと思ってンだ死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
夜中のwww一時過ぎwwwwですwwwけどwwwなにか?wwww
お前なにメール返してんの?バカなの?寝てろよバカwwww
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
そっちからしてきたンだろォがボケ!オマエが寝ろ酔っ払いが!!
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
知らねーしワケ分かんねーし寝ねーしwww
焼酎wwwうめえwwwwww
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
おい
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
無視すんなコラ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
寝てんじゃねーよお前の×××にタバスコ瓶ごと突っ込むぞクソビッチ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
寝ろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
だから寝ねーwwwつってんだろうがwwww
ふざけんな白髪モヤシ犯すぞ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
寝ろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
なにもしかして心配してくれてんの?www
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
寝ろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
なんだよお前www優しwwwすぎwww
よし来いすぐ来い今ならお前抱けるわ寝かさねーからシャワー浴びてこいwwwww
やwべえwwこの台詞www一度言ってみたかったwwww
つーかちまちま文字打つのwwwwめんどwwwくせえwwwよwwwバカwwwww
【From】垣根
【Sub】昨晩の件について
-------------
このたびは貴方様に多大なるご迷惑をおかけし誠に申し訳ございませんでした
メールでの数々の不快な発言及び深夜に執拗に電話を掛け続け、
ご家族の方々が眠っているにも関わらず大声で支離滅裂なことを喚き散らす等の非礼を働いたことをここに深く謝罪させて頂きます
ちょっと調子に乗って飲み過ぎたんです
どうか今後とも変わらぬお付き合いのほどよろしくお願い申し上げます
それと非常に頭が痛いので薬を買ってきて頂けるととても嬉しいのですが
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
愉
オ
ブ
決
定
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
ごめんなさい本当にごめんなさい酔いと深夜のテンションで頭おかしくなってたんです
マジで死ぬほど痛いんでお願いします、財布ないんで買いに行けないんです
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
そのまま野垂れ死ねカス
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
迎え酒で治ると思う?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
やばいホント痛い気持ち悪い吐いても胃液も出ない演算も出来ない羽出ないやばい
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
せめて財布…財布だけでも…
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ね
水飲ンで寝てろゴミクズ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
起き上がれない
台所まで行けない
おねがいメリーさんまた来て
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
もう二度と飲み過ぎませんお願いします
【From】一方通行
【Sub】しね
-------------
私メリー。今薬局にいるの
次はないと思え
【From】垣根
【Sub】ありがとう
-------------
ほんとありがとう俺お前のそういうとこ大好きです
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
おとなしく死ンでろカス
玄関開けたらまず最初に土下座しろクズ
メールのやり取り考えるのが楽しすぎて追加してみた。ていとくんが駄目人間でごめんなさい、特に反省はしてません。
そしてレスくれる人たちありがとうほんとありがとうモチベ上がります。
>>239
いや自分自身は普通にヒトカラ行くんだけどね、音痴なくせにアンインストール熱唱したりするけどね、帰る時履歴がほぼ全部アニソンで埋まってるの見るとちょっと泣きたくなるよね、うん……
乙。メールだとかなり百合子化してるなwwwwww
ふと思ったんだけどここの>>1って総合でDNAの災難書いてた人?
あの話凄い好きでさなんか雰囲気にてるからもしか知ってって違ってたらスマン。続き楽しみにしてる。
>>267
え?と思って読んできたらマジで設定とか被りまくりワロタうわああぁぁぁぁああああ!!!!
すみませんその人とはまったく関係ないです、一方さんが性未分化系キャラ設定の話は出尽くしてるだろうとは思ってたけどまさかここまで似てるとは……
本気で一瞬顔面蒼白になった、決してパクリとかのつもりじゃないんですごめんなさいごめんなさい
あちらの方はその後スレ立てたりしてるんでしょうか
もし詳細知っている方がいらしたら今後はなるべくネタ被らないようにしたいので教えて頂けると有り難いです
これからの展開は違う感じになってくはずなのでどうか勘弁してください
そして次の投下は明日になるかと思います
おっせーんだよ、さっさと書けこの遅漏の豚がッ!!ってむぎのんっぽく罵ってもらえるととても嬉しいです///
―――――
―――
垣根「本当にすいませんでしたーーーー!!」ドゲザッ!
百合子「……うわ、マジでやりやがったコイツ」
垣根「うおおお…今の声で頭が…」キーン
百合子「いっそ清々しいくらいにクズだなオマエ」
垣根「返す言葉もございません」
百合子「プライドとかねェのかよ」
垣根「そんな糞の役にも立たねえもんは母親の股の中に捨ててきた」キリッ
百合子「そうか。じゃあとりあえずクソガキからのメッセージだ、“カキネ、ブチコロシかくていね”以上」
垣根「…………」
垣根「ああ…せっかく築きかけてたお嬢ちゃんとの絆が…」
百合子「そンなモンは最初から1ミクロンたりともねェよ、オマエの中だけの幻想だ」
垣根「いやいやだって俺あの子にお前のこと任されたし」
百合子「しれっとホラ吹いてンじゃねェ、ぶっ殺すぞ」
垣根「………、『この人はミサカたちがそれを望まないからカキネを殺さないってはっきりそう言ったんだよ』」ボソッ
百合子「!!??…ごほっ!」
垣根「『オマエがコイツらに対して敵意を持たない以上俺もオマエに敵意は持たない』」
百合子「うあ…」
垣根「『今日のことは、その…全面的に俺が悪かっt』」
百合子「う、うわああああァァァァァ!!やめろこのバカ!」
垣根「大声出すなよ頭に響くだろ」
百合子「オマエがバカなこと言うからだろォが!死ね!!」
垣根「とか罵倒しつつも買い物袋ぶら下げて来てくれるとかどう見てもツンデレです、本当にありがとうございました」
百合子「帰る」クルッ
垣根「ごめんなさいごめんなさいもう言いません、お願いですから帰らないで下さい」
百合子「はァァァァァ…。……とりあえず中入れ」
垣根「上手く立てないんだけど…」
百合子「無様に這いつくばって歩けカス」チッ
垣根「うえ、身体起こしたらまた気持ち悪く……あ、吐く。また吐く」
百合子「トイレ行けバカ!!」
――リビング
百合子「酒くっせェし…」
垣根「正直ホントすまん」
百合子「つゥか焼酎ってオヤジかよ、そこはキャラ守ってドンペリ飲ンどけよ」
垣根「だから俺のキャラはホストじゃねえよ!……ってぇ」ズキズキ
百合子「ざまァ」
垣根「あー…やっべえ頭ガンガンする地球回ってるコペルニクスが地動説唱えてる」
百合子「訳分かンねェこと言ってンじゃねェ」
垣根「死ぬ…」
百合子「そンくらいで死ぬかバカ」
垣根「脳ミソ割れる…」
百合子「実際一回三分割ンなってンだろ」
垣根「あ、そうだった」
百合子「やっぱ馬鹿だろオマエ」
垣根「あーうっせーうっせー」
百合子「つゥかよォ、オマエの能力でこのくらいなンとかなったンじゃねェのか」
垣根「だから今演算出来ねえんだって」
百合子「そォじゃなくて飲む時だ、アセトアルデヒドの生成を阻害する物質~とか作れンじゃねェの?」
垣根「自分に気ぃ遣いながら飲む酒なんて美味くねえ。
そもそも能力不安定だし酔いながら使ったりしたら下手すりゃ自爆する」
百合子「あァ…そういや電極付けてンだったか。忘れてたわ」
垣根「あ、そうだ。お前の方こそ血流操作出来るんだよな?じゃあ血液中の毒素の分解とか…」
百合子「誰がオマエのためにやるか」
垣根「ですよねー」
百合子「今後の戒めのためにも今日一日苦しンどけボケ」
垣根「はい。……ん、ってことは出来るには出来るんだよな?
じゃあ黄泉川お姉さんたちにはやってあげてんの?」
百合子「ンなことしたらアイツら際限なく飲み続けるわ。バッテリーにも容量あるしやらねェよ」
垣根「ふーん?」
垣根「……にしてもまさか本当に来てくれると思わなかった。お前マジでいい奴じゃん、なんなの」
百合子「……」
垣根「あー…まともにつるむようになってまだ数週間だけどなんとなくお前の性格把握してきたわ」
百合子「……、いつから俺の性格を把握してると錯覚していた?」
垣根「なん…だと…ってやらせんなよ、ついノッちまったじゃねーか」
百合子「おいオマエ全然元気じゃねェか、ふざけンな」
垣根「いやいやいやホント痛いんだって死にそうなんだって、これでも痩せ我慢してんだって」
百合子「自業自得だバカ」
垣根「ハイ、おっしゃる通りです。なのでとにかく薬を下さい。ウコン…ウコンを…」
百合子「その前になンか無理矢理腹に詰め込ンどけ、胃ィやられるぞ」
垣根「一方通行マジお母さん」
百合子「死ね」
垣根「お前NGワード多過ぎだろ……そこは軽い冗談で受け流せよ」
百合子「オマエの口から出る台詞は全部ムカつくンだよ」
垣根「存在からして否定とか…」
百合子「あーもォうざってェ。とにかく二日酔いはミネラルビタミンアミノ酸だ、これ飲め」ポイ
垣根「スポーツドリンク……お前なんか手慣れてんな」
百合子「ババァ共がしょっちゅう潰れるから嫌でも慣れざるを得ねェンだよ」
垣根「お前本当に母親……いや、というより…」
百合子「あァ?」
垣根「あ、やっぱこれ言ったらお前本気でぶん殴ってきそうだからやめとくわ」
百合子「最後まで言えよ、気持ち悪ィな」
垣根「なんか通い妻っぽい」
百合子「……」カチッ
垣根「無言でスイッチ入れんのだけはやめろ、マジで怖ぇから。だからやめとくっつったのに…」
百合子「ふざけたこと言ってるヒマあったらメシ食っとけ。食欲は?」
垣根「ある」
百合子「台所使うぞ」
垣根「え、まさかお前作ってくれんの?」
百合子「ンなわけあるか、黄泉川が昨日の晩飯の残り持たせてきたンだよ」
垣根「黄泉川先生マジ女神」
百合子「イイからオマエは黙ってポカリ飲ンでろ」
垣根「んー…」
短いけどここまで、続きはまた明日に。罵倒してくれた人ありがとう…///
あとメールネタはこれからも入れてくつもりだ、問題ない。
ではまた
~~~
垣根「あー。腹満たしたら落ち着いてきた」
百合子「そりゃ結構」
垣根「美味かった」
百合子「あァそォ」
垣根「ただな」
百合子「……あァ」
垣根「……どうやったらこれだけのもんを炊飯器で作れるんだ?」
百合子「この世の七不思議の一つだな」
垣根「俺の未元物質以上に常識通用しねえぞあの人の料理…」
百合子「マジで作れないモンがないところが怖ェ」
垣根「黄泉川お姉さんが凄いのか学園都市製の炊飯器の性能が凄いのか……まあどっちにしろ美味いからいいんだけど」
百合子「食えるだけ有り難いと思え」
垣根「まったくもってその通りだ。あ、そういや財布は?」
百合子「ほらよ」ポイ
垣根「サンキュ。よし、今度なんか奢るけど何がいい?」
百合子「現金で十億」
垣根「言うと思ったわ。絶対それ系のこと言うと思ったわ」
百合子「誠意を見せるならそれ相応のことしろよ」
垣根「はいはい、分かってる分かってる。
……でもよ、お前もお前で無視して寝てりゃよかったじゃん。それか電源切るとか」
百合子「そしたらオマエ確実に家まで押し掛けてきてただろォが!」
垣根「本当に申し訳ありませんでした」
百合子「次やったらマジで入院コース直行だからな?」
垣根「善処します。いやほら俺長い間死にかけてたじゃん?
それで飲むの久々だったからちょっとセーブ効かなかったつーか…それにまだ若いし平気かな~とかタカくくってたわ」
百合子「オマエ確実に早死にすンぞ」
垣根「そこはお前も人のこと言えねえだろこの虚弱体質が。……まあ太く短く生きるってならそれはそれでアリな気はするけどな。
とはいえせっかく儲けた命だしそれなりに大事にはするつもりだ」
百合子「酒ってそンなイイもンかァ?周りは迷惑なだけだっつゥの」
垣根「お前飲まねえの?」
百合子「俺まで飲ンだらアイツらの面倒見る奴いなくなンだろが」
垣根「お前ホント家族大好きっ子だよなあ」
百合子「うっせェ」
垣根「決して否定はしない辺りがなんというかこう…」
百合子「黙ってろ」
垣根「いやいやいや、分かるんだよ。俺だってもしいたら命懸けてるかもしれねえ」
百合子「……オマエ親は?」
垣根「顔も覚えてない」
百合子「まァ…そりゃそうか」
垣根「別にそんな奴いくらでもいるしな、自分だけ不幸だとかは露ほども思っちゃねえよ。
置き去りにしても何にしても……この街にゃ掃いて捨てるほど悲劇ってのが転がってるし」
百合子「悲劇ねェ」
垣根「でも悲劇と喜劇は似てるとかよく言うじゃん。今の世の中何だって起こりうるけどよ、
どんな不幸が降りかかったとしても同じだけどんな幸福も降りてくる可能性があると思うんだよ」
百合子「はっ、相変わらずメルヘンな思考回路してンな」
垣根「案外的を射てると思うけどな。実際俺いま結構幸せだし」
百合子「あっそ」
垣根「ちなみにその幸せの一部はお前が作ってるんだぜ?」
百合子「うっっっわ、くっせェ」
垣根「照れるな照れるな」ニヤニヤ
百合子「オマエのその都合イイ頭は本気である意味羨ましいわ」
垣根「そうやっていちいち憎まれ口叩くとこも嫌いじゃないんだなこれが」
百合子「ばァーか」
垣根「ん、でもいいな。ホント家族ってよ。正直羨ましい」
百合子「……別にクソガキと番外個体以外血の繋がりがあるわけじゃねェし。吹けば飛ぶよォなもンなンだよ」
垣根「そんなことねえだろ。お前らはホントの家族より家族だよ。多分」
百合子「多分かよ」
垣根「絶対」
百合子「オマエが言っても説得力がまったくねェ」
垣根「なんて言えば正解なんだよ」
百合子「うるせェこの酒乱が」
垣根「酒は飲め飲め飲むならば~ってな」
百合子「死ね」
垣根「“この盃を受けてくれ、どうぞなみなみ注がしておくれ”」
百合子「“花に嵐のたとえもあるぞ、さよならだけが人生だ”ってか」
垣根「あの詩って意訳し過ぎだよな、好きだけど」
百合子「あー…元は遠方の友人との別れを惜しむ唄だったか」
垣根「当時は今みたく手軽に会いに行ける交通手段も連絡ツールもなかったわけだからなあ、
一回一回が今生の別れみたいなもんだったんだな」
百合子「…つゥかなンで急にそンな話になンだよ、感傷にでも浸りてェのか?ガラじゃねェだろォが」
垣根「いやなんとなく。ま、それもアレだけど現代みたいにいつでも会えるってのもいまいちありがたみ薄れるよな」
百合子「知らねェしどォでもイイ」
垣根「んん、でも手軽に会えるからこそお前来てくれたんだしやっぱ有り難いわ」
百合子「言ってろ」
垣根「え、なに?手軽に会えなくてもお前のためならいくらでも来てやるって?
……ごめんな?その気持ちには応えられねえわ、俺Bカップ以下は女として見れないから」
百合子「そォか、こっちもオマエのことは人間以前に道端の石ころ以下の認識しかしてねェけどな」
垣根「石ころ以下としか思ってない奴のところにわざわざ差し入れ持って来てくれる人間なんていねーよ、はい論破」
百合子「………ホントムカつくなオマエ」
垣根「言い返せないとこにちょっとだけ萌えたわ」
百合子「うわ……キメェ。ていうか…うわ、キメェ」
垣根「流石にそこまで本気でドン引かれると傷つくんだよ?ってカキネはカキネは訴えてみる」
百合子「マジで死ねよオマエ」
垣根「生きる!」
百合子「うっぜェ…まだ酔ってンじゃねェのかテメェ。
第一オマエのために来てやったわけじゃねェよ、黄泉川たちが行けっつゥから仕方なくだ」
垣根「べっ、別にオマエのために来てやったわけじゃないんだからねっ!」
百合子「ホントに死ぬか?」
垣根「お前一生の内何回俺に死ねって言うんだろうな。
……つーかなにそれ。あの人たち優し過ぎだろ、泣いていい?」
百合子「果てしなく気持ち悪ィから却下」
垣根「なんて言ってた?」
百合子「あァ?別に…今頃オマエ死ンでるだろォから面倒見てやれってそれだけだ」
垣根「俺夜中に電話掛けて喚きまくったのに?」
百合子「あ、思い出したらまた腹立ってきたわ」
垣根「あの人のこと思いっきり殺そうとしたのに?」
百合子「……」
垣根「……」
百合子「……それがアイツらなンだよ」
垣根「……は」
垣根「……ケータイ買いに行った日、初めてお前ん家行ったじゃん」
百合子「ン」
垣根「……困るよなあ。ほんと困る。あんな風にあっさり許されちまったら……恨まれたり糾弾されてたらこっちだって開き直れたのに」
百合子「説教タイム来ると思ってたンだろ?」
垣根「覚悟してた。でもあの人何も言わねえんだもん。本当に何も。大人だよなあ」
百合子「あれで教師やってンだから笑っちまうよな」
垣根「いきなり“今日はすき焼きじゃーん!”から始まって“またおいで、待ってるから”のコンボだよ。参るわ」
百合子「何も言わなくてもあの子はもう分かってるから、だとよ」
垣根「……逆に打ちのめされた。今までは自分のこと結構強いとか世の中のことそれなりに理解してるとか思ってたけど。
そういうんじゃねえんだってさ。全部見透かされてたんだな」
百合子「……『動きを止めたきゃ殺せば良い。気に食わないものがあるなら壊せば良い』」ボソッ
垣根「!!??」
百合子「『悪ってのはそういう事なンだよ!救いなンか求めてンじゃねえ!!へらへら笑って流されようとしてンじゃねえよ!!
ンだよ、見せてみろよ。さンざン偉そうに語ってやがった、テメェの悪ってヤツをよォおおおおお!!』」
垣根「あああああああ!!やめろ、ホントそれだけはやめて!」
百合子「さっきやられた分の仕返しだ。自分がやったことはやり返される、覚えとけ」
垣根「ちくしょう…」
百合子「ばーーーか」
垣根「あーあ」
垣根「……どれだけ暗い世界にいようがどれだけ深い世界にいようが、必ずそこから連れ戻す…か」
百合子「お人好し過ぎて歯が浮く台詞だな」
垣根「でもきっとあの時俺がブチ切れたのは……それが甘っちょろくてヌルい台詞だと思ったからじゃなくて、
ただ単にそういう言葉をかけてくれる相手がいるお前が妬ましかったんだな」
百合子「……」
百合子「……だからそォいうとこが格下なンだよオマエは」
垣根「うわ…俺すげえ器小せえじゃん。やべえ、改めて自覚したら恥ずかしくなってきた」
百合子「今更かよ。だったら改善する努力しろ三下」
垣根「はー。俺もああいうことさらっと言える相手欲しいわ……つーか彼女欲しい」
百合子「結局そこに行き着くのかよ色ボケ野郎が」
垣根「……ま、とにかくだ。レベル5とか第二位とかの肩書きに溺れて自惚れてたけど結局まだまだ俺はガキなんだってつくづく思い知らされました、まる」
百合子「ありきたりでつっまンねェ小学生以下の感想文だな」
垣根「自分でもそう思う。でもおかげでそれなりに掴めたもんがあるのも確かだ」
百合子「……そりゃよかった」
垣根「うん」
百合子「ンじゃオマエのくだらねェ懺悔聞いてても時間の無駄だし風呂沸かしといたから入っとけ。ぬるくしといてやったから」
垣根「お前マジ優しい。マジ大好き」
百合子「死ねって言うことすら面倒くせェからもう喋ンな」
垣根「一緒に入る?」
百合子「死ね」
垣根「言ってんじゃねえか」
百合子「なァ、確かにオマエを殺すつもりはないが骨の一本も折らないとは一言も言った覚えねェからな?」
垣根「いやすいません今ほんとガードとか出来ないからやめて」
百合子「だったら無駄口叩いてねェでさっさと行け」
垣根「Yes, Your Majesty」
百合子「キメェ」
垣根「ところでお前この後どうする?ゲームとか適当にやっててもいいけど」
百合子「寝る」
垣根「ん、ベッド使うか?」
百合子「誰がバニラとオマエのイカ臭ェベッドでなンざ寝るか」ペッ
垣根「そこまで言うか」
百合子「大体独り身のくせにクイーンサイズとか(笑)マジキメェ」
垣根「うるせえよ!いつか彼女と寝るからいいんだよ!」
百合子「いつかとか言ってる奴に永遠にその日はやってきませェン」
垣根「テメェ…」ピキピキ
百合子「そもそも誰のせいで寝不足だと思ってンだ?」
垣根「言い返す権利がこれっぽっちもねえことはよくよく分かってんだがやっぱイラッとするわ」
百合子「誉め言葉だ。……ソファー借りンぞ」
垣根「どうぞご自由に。んじゃおやすみ」
百合子「…………」
ここまでです、続きはまた近い内に。
ではまた
おつー!
こないだは余計なこと言ってすまんかった。多分スレはないと思う。
これはこれで楽しいし、続き楽しみにしてるから頑張ってくれ!!
―――――
―――
垣根「おい。おいって」ユサユサ
百合子「……あァ?」
垣根「起きたか」
百合子「………起きてすぐオマエのツラ拝むとかどンな罰ゲームですかァ?」
垣根「…寝起きから絶好調だなテメェ」イラッ
百合子「つゥか暗ェし……今何時だよ」
垣根「もう夕方だ。俺も今まで寝てた」
百合子「あー」ガリガリ
垣根「お前のケータイ光ってんぞ」
百合子「……あァ」パカッ
垣根「お嬢ちゃんたちから?」
百合子「ン、」メルメル
垣根「ていうか俺んとこにもワーストちゃんからメール来てんだけど」
百合子「……なンとなく予想はついてるが一応内容復唱してみろ」メルメル
垣根「『第一位に連絡入れても返事来ないんだけどもしかしてヤっちゃっ…』」
百合子「ああ、もォイイ。予想通り過ぎて怒る気もしねェわ」パタン
垣根「……」
垣根(ちょいちょいこいつの寝顔写メとかも送られてくることは黙ってよう)
百合子「で、オマエもォイイのかよ?」
垣根「ん?おう、おかげさまでな。んで腹減ったからメシ食いに行くけどお前も行く?」
百合子「…行く」
垣根「んじゃ奢る。何食いたい?」
百合子「すし」
垣根「……テメェ謙虚さの欠片もねえな。別にいいけど」
百合子「はァ?」
垣根「あ?」
百合子「……」
垣根「……」
垣根「え、回る方?」
百合子「…何が悪ィンだよ」
垣根「いや…。お前案外貧乏舌だな」
百合子「うるせェ」
垣根「まあお前がそれでいいならいいけど。よし、行こうぜ」
百合子「寝過ぎて頭痛ェ…」ズキズキ
垣根「ほら立て低血圧モヤシ。えーっと鍵、鍵…」
in回転寿司
垣根「―――で、来たわけだが」
垣根「回転寿司とかかなり久しぶりなんだけど俺。お前はよく来んの?」
百合子「家にガキが二匹いるところから察しろ」
垣根「あー…なるほど。基本家族連れで来るようなとこだもんな」
百合子「なンでガキってのは皿流れてくるだけで馬鹿みてェにはしゃぐのかねェ」
垣根「いいじゃねえか無邪気で」
店員「いらっしゃいませー。2名様でよろしいですか?」
垣根「はい」
百合子(……ン?)
店員「テーブル席とカウンター席がございますが…」
垣根「テーブルで」
百合子(……)
店員「かしこまりました。ではこちらへどうぞー。2名様ご案内です~」スタスタ
垣根「」スタスタ
百合子「……」カツカツ
---
垣根「さーてとっと」ガタッ
百合子「」ガタッ
垣根「お前なんか汁物とか頼む……あ?」
百合子「…っくww」フルフル
垣根「……なに笑ってんだよ」
百合子「ふっ、いや……さっきレジの向こうにいた店員がすげェオマエのこと見てた」
垣根「えっ?おいどの子だよ、可愛かった?」
百合子「いや、男」
垣根「――――は?」
百合子「ちなみにガチムチ系」
垣根「はああああ!?オイ、ふざけんなオイ!」
百合子「よかったなァ、少なくとも男にはモテることが証明されたじゃねェか」ニヤニヤ
垣根「え、いや、冗談だろ…?」
百合子「喜べ、マジだ」
垣根「喜ぶわけねーだろ!!いらねえ情報伝えてんじゃねえぞクソモヤシ、おい見ろ鳥肌立っちまってんじゃねーか!」ゾワゾワ
百合子「一応ドンマイって言っといてやるよ」ククク
垣根「……くそ、俺が何したってんだよ…」
百合子「凹ンでねェでさっさと注文しろ。豚汁な。オマエはシジミの味噌汁飲ンどけ」
垣根「……あーハイハイ」ピッピッ
百合子「小皿、箸、しょうゆ…」カチャカチャ
垣根「湯呑みは?」
百合子「ン」
垣根「サンキュ。……前々から思ってたが俺この粉末のお茶嫌いじゃねえわ。むしろ好きだ」トポポ
百合子「そこは同意してやる……が、つまりオマエも大概貧乏舌ってことじゃねェか」
垣根「うっせ。あー、スーパーとかで売ってねえのかなコレ」
百合子「あ、イクラ」カタッ
垣根「あっ、テメ、それ俺が取ろうとしてたんだぞ!」
百合子「有利な席側に座らなかったオマエが悪い。つゥかパネルで注文すりゃイイじゃねェか」モグモグ
垣根「別にそれでもいいんだけどよ、時々半冷凍なまま出てきたりすんじゃん」
百合子「あー」
垣根「まあ回ってんのは回ってんので乾燥してたり埃ついてたりするけど……捨てられんの考えたらもったいねえしな。
回転寿司にクオリティー求めてもしょうがねえだろ」
百合子「まさかオマエの口からそンな台詞が出てくるとは…」
垣根「お前俺のことなんだと思ってんの?」
百合子「なンつゥかオマエはこう……札束バラまいてイキがってるイメージ」
垣根「だから再三に渡ってホストじゃねーつってんだろうが」
百合子「そう思われたくなかったらそのチャラい恰好やめろよ」
垣根「別に普通だろ、どの辺を指してチャラいっつーんだよ。……ウニから行くか」カタッ
百合子「どう見てもオマエは女とっかえひっかえしてそうな外見してンだろ。まァ実際は童貞だけど」モグモグ
垣根「頼むからその単語だけは聞かせないでくれねえか。割と本気で心折れるから」モグモグ
百合子「オマエそのナリとそンだけよく回る舌持っててなンで童貞なンだよ?」
垣根「こっちが知りてえよ。こんな優良物件ほっとくとか女ども見る目なさ過ぎだろ」
百合子「あ、中トロ」カタッ
垣根「おい、スルーすんな」
百合子「やっぱ魚の王者はマグロだよな」モグモグ
垣根「……なんか今唐突に『鮭に決まってんだろうがッ!!』って天の声が聞こえたんだけど」
百合子「はァ?」
垣根「……いや、多分空耳だ。気にするな」
百合子「中トロ美味ェ」モグモグ
垣根「マグロ女がマグロ食ってるってなんかシュールだな」
百合子「………なァ、オマエそこの注ぎ口に手ェ置けよ。あっつあつのお湯ぶっかけてやっから」
垣根「やだ…ぶっかけるとか卑猥…」
百合子「オマエはなンでそう何でもかンでも下ネタに持ってこうとすンだ?
やっぱ殺されてェンだろ?そうなンだろ?ドMちゃンなンだろ?」
垣根「お前は下ネタに動じるようなタマじゃねえだろ。………実際タマねえし」カタッ
百合子「なに上手いこと言ったみてェな顔してンの?オマエもタマ無しにされてェのか?―――本気で蹴り潰すぞ?」
垣根「怖ぇ怖ぇ。……あ、甲イカ美味いな」モグモグ
百合子「イカ臭ェ男がイカ食ってるってシュールだな」ハッ
垣根「……食ってる時にやめろよ、食欲なくすだろ」
百合子「自分がやったことはやり返されるっつっただろボケ」
垣根「これが一方通行の反射……!」
百合子「俺のベクトル操作に常識は通用しねェ」
垣根「俺の決め台詞取るなよ」
百合子「ハンバーグか」カタッ
垣根「またスルーしやがったコイツ」
百合子「もう寿司屋っつゥかファミレスだよな」モグモグ
垣根「この唐揚げも結構美味いぞ。ほらお前も食え」ズイ
百合子「ン」ヒョイ パクッ
垣根「な?」
百合子「………思うンだが唐揚げ+マヨネーズの美味さはもはやレベル5通り越してレベル6に達している」
垣根「完全に同意だ」
店員「お待たせいたしました~」
垣根「…ん?」
店員「シジミのお味噌汁のお客様」
垣根「……ああハイ」
店員「豚汁のお客様」
百合子「ン」
店員「ごゆっくりどうぞー」
垣根「……」
百合子「……」
垣根「………今の奴、か?」
百合子「……っふww」
垣根「ちくしょーー!完全にゴリマッチョじゃねえか!あんなんに好かれても嬉しくねえんだよ!!」ダンッ!
百合子「くっ、ぶ、くくっ…www」
垣根「……ツボに入り過ぎだろテメェ」
百合子「ま、まァ嫌われるよりかはいいンじゃねェの?…っふw」
垣根「他人事だと思いやがって…。同性愛だろうがSM趣味だろうが個人の勝手だが俺はあくまでノーマルなんだっつーの…」ズズッ
百合子「いやオマエは十分性癖捩れてンだろ」ズズッ
垣根「ふざけんな俺は紳士だ」
百合子「変態という名の」
垣根「普通の紳士だよ!変な代名詞付けんじゃねーよ!」
百合子「オマエが紳士なら世界中のほぼすべての男が紳士だろ」
垣根「いやあ、正直生粋のロリコンに言われても…」
百合子「あァ!?……だからなンで未だにそれ引っ張るンだよ、あンなガキをそういう目で見るわけねェだろォが!!」
垣根「だってお前基本的にお嬢ちゃんからの電話は2コール以内に取るじゃん」
百合子「取ってねェよ」
垣根「自覚すらないのかよ……ちょっと過保護すぎじゃねえ?過干渉は教育によくねえんだぞ、少しは子離れしろよ」
百合子「……うっせェ」
垣根「…まあお前の気持ちも分かるけど。お嬢ちゃん可愛いもんな」
百合子「………うわァ」
垣根「言っておくがそういう意味じゃねえ」
~~~
垣根「穴子美味い」モグモグ
百合子「タコ美味い」モグモグ
垣根「お前は寿司よりデザート食っとけよ。その怒りっぽさは糖分足りてねえからだろ」
百合子「要らねェよ。甘いモンなンざガキの食い物だろ」
垣根「ハイ、一方通行の厨二病出ましたーー。“甘いモンなんざガキの食い物”(キリッ」
百合子「死ね」
垣根「お前ちょっと煽られるとすぐそれ言うのやめろ、やっぱ糖分摂取必要だろ。ていうか少しは太れ」
百合子「余計なお世話だ」
垣根「いやいや肉はホントに大事だぞ?主に胸と太もも」
百合子「オマエにとって大事なだけじゃねェかこの性欲大魔神が」
垣根「男はみんなそんなもんなんだよ、ムッチムチのバインバインで締まってるとこは締まってるのが最高だ。
お前はどうせAどころかAAカップもねーだろ」モグモグ
百合子「…………むしろ胸出てきたらそっちの方がショックだわ」
垣根「あ?あー…それはまあそうか。そりゃ俺だってずっと男として生きてたのにある日いきなり自分は女でした~なんて判明したら死にたくなるわ」モグモグ
百合子「……」
垣根「あまつさえ胸出てきたりきたら……………揉み放題…だと…?」ピタッ
百合子「やっぱオマエは死ね」
垣根「そんな拗ねんなよ。ほらショートケーキだ」カタッ
百合子「要らねェつってンだろ勝手に取ンな」チッ
垣根「……お前のその短気はどうやったら治るのかねえ」
百合子「生まれつきだボケ」フン
垣根「あっそ。―――にしても最近は妙なメニュー増えてんな。
昔はデザートなんてせいぜいプリンとかチョコレートケーキとかそのくらいだった気がするんだが」
百合子「そうでもしねェと生き残れねェンだろ」
垣根「でもこの『いちごおでんミルクレープ』はどう見てもおかしいだろ。迷走ってレベルじゃねえぞ…」
百合子「その手のゲテモノマニアにウケてンじゃねェの」
垣根「あ、お前これ食えば?『ウインナーソーセージ珈琲ゼリー』」
百合子「なンでそンな明らかに地雷なモン食わなきゃなンねェンだよただの駄洒落じゃねェか。完全に開発者遊ンでンだろ」
垣根「コーヒー中毒のお前ならイケるって」
百合子「コーヒーならなンだっていいわけじゃねェンだよ。これだから素人は…」
垣根「缶コーヒーばっか飲んでるテメェにそこらへんのウンチク語る資格はねーだろ」
垣根「……ん、ちょっとトイレ行ってくるからつぶ貝とエンガワ来たら取っといてくれ」ガタッ
百合子「だが断る」
垣根「あーそー」スタスタ
百合子「……」モグモグ
百合子「……」
百合子「……」カタッ
百合子「……」カチャカチャ
百合子「……」
百合子「……」ズズッ
百合子(豚汁生ぬる過ぎだろ)
垣根「うし、お待たせお待たせ」スタスタ
百合子「何一つ待ってねェ」
垣根「テンプレな台詞ありがとよ。……なんだ、やっぱ取ってくれてあんじゃん」ガタッ
百合子「……」
垣根「まったくこれだからお前は…」ヒョイ パクッ
垣根「…………ぶはっ!!」
百合子「ぶっ!!www」
垣根「ごほっ!げほ、……テッ…メ、ふざけんなよ!?」
垣根「――――わさび山盛り仕込みやがって!!ぐわ、辛ぇ!!」
百合子「すげェ、見事にあっさり引っかかりやがったコイツwww」ゲラゲラ
垣根「……ナメてやがるな。よほど愉快な死体になりてえと見える」ビキビキ
百合子「涙目で凄ンでンじゃねェよ、笑い殺す気か!」ケラケラ
垣根「くっそ、完全に油断した…。古典的な手ぇ使いやがって……テメェその内コーヒーに砂糖大量投入して飲ませてやっからな?」ヒリヒリ
百合子「そういうのはネタバレしたら意味ねェだろ」ククク
垣根「マジで犯すぞこのアマ…」イライラ
百合子「出来もしねェこと言うなよ童貞とくン」
垣根「だからそれ言うなっつってんだろ男は繊細な生き物なんだよ!」
百合子「オマエが繊細(笑)」
垣根「あ、ダメだこいつ。やっぱめちゃくちゃムカつくわ」
百合子「こっちはめちゃくちゃ気分イイけどな」
垣根「……」
垣根「…………泣いてる時はあんなしおらしくなるのになあ」ボソッ
百合子「ぶーーーーっ!!」ビシャッ!
垣根「……だから噴き出すなよ。二度目だぞテメェ、汚ぇな」
百合子「げほごほっ!……っな、なン…っ!」ワタワタ
垣根「落ち着けって。過呼吸になるぞ」
百合子「なっ、お、オマ、オマエがっっ!ふ、ふざけたこと言うからだろォがああァァァァああああ!!!!」ガァッ!
垣根(あ、やっぱこいつの反応面白ぇな)
百合子「あああ思い出させンなあァァァァァ!!」バンバンバン!
垣根「うるせーよ他の客に迷惑だろ。ほら拭け」
百合子「う、ぐ……っ」
他の客((((バカップル死ね!!!!))))
ここまでです、結局遅くなって(ry
個人的に寿司は炙りサーモンが一番好きです。
>>295
教えてくれてありがとうございます、頑張ります!
ではまた
おつ!漏れも百合子ちゃんと回る寿司行きたい!
あと>>212のその後が気になってるのです
相も変わらず遅くてすまん、続きは数日以内に必ず投下するからもうちょっと待っててくれ
>>315
それについてはもうちょい後でちゃんと触れるよ!
垣根「……」
百合子「……」
垣根「……」
百合子「……」
垣根「………いい加減口開けって。お通夜か」
百合子「死ね」
垣根「いきなりそれかよ」
百合子「……」
垣根「……」
百合子「~~~~忘れるっつっただろォが!!言っただろォがァ!!!!」
垣根「何を?」シレッ
百合子「……あ?」
垣根「えーっと俺は何を忘れればいいんだっけか」
百合子「………おい」
垣根「ああそうだったそうだった思い出した。
『あの』お前があの時パニクり過ぎてガキみてえにわんわん泣いちゃっ…」
百合子「わ、わあああああァァァ!!!!うわああああああ!!」ガタガタッ
垣根(……やべえ、こいつ弄んの超楽しい)ゾクゾク
百合子「…………」
垣根「おーい」
百合子「……」
垣根「一方通行ー」
百合子「……」
垣根「なあ、返事くらいしろって」
百合子「……」
垣根「おい。……おい」
百合子「……」
垣根「……いつまでも駄々っ子みてえにシカトこいてりゃ済むと思ってんじゃねーぞコラ」
百合子「……」
垣根「はー。ほらほら百合子ちゃんそろそろ機嫌直せよ」
百合子「……その名前で呼ぶなつってンだろォがクソが」
垣根(あ、反応した)
百合子「………オマエ完全に俺で遊ンでンだろ」ギロ
垣根「うん」アッサリ
百合子「あっさり認めてンじゃねェよ!!!!」バン!
垣根「認めなかったら認めなかったで『嘘ついてンじゃねェ!』つって怒るだろお前は」
百合子「ぐっ…」
垣根「俺が悪かったって。ごめんごめん」
百合子「死ね」
垣根「とか言って~もし本当に俺が死んだりしたらまたびーびー大泣きするんだろ?分かってる分かってる」
百合子「だからそれを蒸し返すなァァァァ!!誰が二度と泣くか!!!!」
垣根「客観的事実を述べたまでだろ。断言する、お前は俺が死んだら泣く」
百合子「………どンだけ自己評価高ェンだこの超絶ナルシスト。
そンときゃ仏壇にオマエの遺灰ぶっかけて一頻り大笑いしてやンよ」
垣根「いやもうそういうのいいから。お前が俺のこと大好きなのはもう十分知ってるから」
百合子「オマエホントすげェな。そこまで徹底して舌の根が乾かねェ奴初めてだわ。
……本気で溶接して二度と喋れなくすンぞ?」
垣根「こやつめ、ハハハ」
百合子「がああああうぜェェェェェェ!!」
垣根「だーから静かにしろって。店員がめちゃくちゃこっち睨んでんだろうが」
百合子「ぐ、ぎぎ……っ!」ギリギリギリ
垣根(あー…なんていうかこいつホント…)
百合子「だ、大体オマエの方こそあン時気色悪ィこと言ってただろォが!」
垣根「あん時?」
百合子「……う…」
垣根「………あー、あれか。お前可愛いって言ったこと?ああうん。可愛いなお前」サラッ
百合子「ぶふっ!!!!」ビッシャア!
垣根「…………冗談抜きにマジで噴き出すのはやめろ、
俺の服にまでおもいっきりお茶かかっちまってんじゃねーか。このシャツ気に入ってんのに…」
百合子「は、はあああああァァ!?」
垣根「あ、言っとくが当然そういう意味じゃねえぞ?
前々から言ってる通り俺の好みはCカップ以上のムチムチ系だから」
百合子「どっちにしろキメェンだよ!!見ろ、鳥肌立っちまってンじゃねェか!」ゾワゾワ
垣根「ああ?…んだよ、誉めてんだから素直に『やだ、ありがとう嬉しい☆』くらい言えよ可愛くねーな」チッ
百合子「言ってること矛盾してンじゃねェか!つゥかまったく嬉しくねェンだよ!!
オマエは男に可愛いって言われて喜べンのか!?」
垣根「まず吐くな」
百合子「だろォが!!」
垣根「だってお前は女じゃん」
百合子「お、俺は…っっ!!」
百合子「……俺は…別に、ただ…」
垣根「……?」
百合子「……なンでもねェよ。
つゥかもォこの際肉体的に女なのは死ぬほど腹立だしくても認めるが中身まで女になったつもりはねェンだよ!!」
垣根「見た目は女、頭脳は男ってか?どこの名探偵だよ。つーかお前は別に見た目も女らしさの欠片もねーだろが。
上もなけりゃ下もないとかマジでいいとこなしだなお前。なにその属性。ニッチ過ぎだろ」
百合子「仕方ねェだろォがァァァ!こっちだって好きでこンな身体に生まれてきたわけじゃねェンだよ!!」
垣根「まあまあまあそう気を落とすなって。その手のマニアックな変態にはきっと需要あるって」
百合子「慰めになってねェンだよ!オマエホント引き千切ンぞ!?」
垣根「……だからさー、そうやっていちいち楽しい反応返してくるから余計にイジりたくなんだよ。
なんなの?俺ノーマルなのにお前のせいでSに目覚めちまったらどうすんの責任取ってくれんの?」
百合子「意味が分かンねェンだよ!マジで死なねェかな、コイツマジで苦しみながら死ンでくンねェかなァ!!??」バンバンバン!
店員「すみませんお客様、店内ではもう少しお静かに…」
垣・百合「「すいません(ン)したァ…」」
百合子「……」
垣根「……」
百合子「……オマエのせいで注意されたじゃねェか」
垣根「……本当何でもかんでも俺のせいにしやがるなテメェ。
アレだろ?お前ん中じゃ地球が丸いのも空が青いのも全部俺のせいなんだろ?」
百合子「そうだ」キッパリ
垣根「……」イラッ
百合子「……なンでオマエってそこまで一分の隙間もなくとことンムカつくンだ?」
垣根「真顔でしみじみ聞くなよ…」
百合子「オマエはアレだ。ドラゴンボールで例えるとヤムチャだ」
垣根「おい、真っ先にやられる役じゃねえか」
百合子「いや違うな。慕ってくれるプーアルすらいない点においてヤムチャにも劣る」
垣根「………あんまヤムチャ馬鹿にしてやんなよ。仲間思いのいい奴じゃねえか」
百合子「ヤムチャじゃなくてオマエを馬鹿にしてンだよ」
垣根「うわあ、婉曲表現すら使わず直接罵倒してきやがったこいつ」
百合子「噛ませだわ女寝取られるわ散々だからなアイツ」
垣根「その後別の彼女出来てんだからいいだろ」
百合子「あァそォか。つまり過去現在未来において女出来ねェオマエはやっぱりヤムチャ以下ってことじゃねェか。
完璧なQ.E.D.が出来ちまったな」
垣根「未来の可能性まで否定すんじゃねーよ。俺の将来はバラ色確定だよ」
百合子「きえろ、ぶっとばされンうちにな(笑)」
垣根「……お前やっぱヤムチャも馬鹿にしてねえか?」
百合子「死ね。垣根死ね」
垣根「……」
百合子「童貞死ね」
垣根「……そういつまでもヘソ曲げてんなよ。女々しい奴だな」
百合子「……謝れ」
垣根「だからごめんって」
百合子「死ね童貞」
垣根「」プチッ
垣根「……………いい加減しつけえんだよテメェ童貞童貞言いやがって他に言葉知らねえのかこのボキャ貧モヤシがぁぁぁ!!
大体童貞に人権はないみたいなその風潮の方がおかしいんだよ、女喰い漁ってるヤリチン野郎よりよっぽど健全だろうが!!!!」ガタッ
百合子「あ゛ァ!?いきなり逆ギレかよテメェ!!前にオマエが言った台詞そっくりそのまま返してやろォか?
『都合よく論点ずらして他人に噛みついてりゃ世話ねェ』ンだよ!!!!」ガタッ
垣根「うるせーお前がそうやっていつまでもぐずぐずぐずぐず根に持つから悪いんだろうが!!!!
毎回毎回ちょっとしたことで噛み付いてきやがって!!」
百合子「グダグダ言い訳がましいこと言ってンじゃねェよ!!そもそもオマエが女作れない根本的原因はテメェ自身にあンだよ、
それを棚上げして都合よく世の中に押し付けてンじゃねェぞ、そンなンだからオマエは垣根なンだよ!!!!」
垣根「俺が俺であることにマイナスな意味なんて何一つねーよ!!
テメェこそガチガチの処女のくせに上からモノ言ってんじゃねーぞ、言葉の汚ぇ女は口を噤んでろ!!!!」
百合子「うっせェバーカオマエなンざ風俗行って性病移されて死ンじまえバーカバーーーーカ!!!!」
垣根「低レベルな返ししてんじゃねーよテメェマジで×××に×××して××××すんぞクソアマがあああああああああ!!!!」
百合子「やれるモンならやってみやがれ実際そンな度胸ねェくせにイキがってンじゃねェぞこのクソ冷蔵庫がああああああァァァ!!!!」
垣根「冷蔵庫ネタだけはやめろよある意味童貞より傷つくんだぞ!!
世界中探したってその単語がトラウマな奴なんて俺くらいしかいねーよ!!!!」
――――
「……ひっ!!」ビクッ
「ん?どうしたの初春?あたしまだスカート捲ってないよ?」
「まだ、ってこれから捲る気満々じゃないですかいい加減やめて下さいよ!
……いえ、今急に頭に冷蔵庫って単語が浮かんでトラウマが…」ガタガタ
「冷蔵庫?なんで冷蔵庫がトラウマなの?」
「私自身にもよく分からないんですけど何故か右肩に痛みが走るんです……
というか何気につい最近そのトラウマの要因とニアミスしてる気が…」ブツブツ
「?変な初春ー。世界中探したって冷蔵庫がトラウマなヒトなんて初春くらいしかいないよ~」
――――
垣根「…………なんか今唐突に物凄い罪悪感が襲ってきた」
百合子「……はァ?」
垣根「つーか…とりあえずここ出ようぜ。いい加減周りの目が痛ぇ」
百合子「…………………」
ここまでです
明日もまた来る!……多分!
あ、あと誤解のないよう言っておくが>>1はヤムチャ大好きです
メタ発言はお願いだからやめてくれ
待っててくれた人ごめん
今日の日付変わるまでには必ず投下来るんでもうちょい待ってておくれ
>>339
すまぬ、すまぬ
メタネタの多用はやっぱ萎えるよね
特に最初の方とかやり過ぎて我ながら寒いなとめちゃくちゃ反省してたというのに…
J( 'ー`)し ごめんねごめんね、ダメなカーチャンでごめんね
これからは気をつける、ありがとう
――――――
――――
百合子「…………」カツカツカツカツ
垣根「……」
百合子「…………」カツカツカツカツ
垣根「おい」
百合子「…………」カツカツカツカツ
垣根「なあ、お前杖ついてんだからもっとゆっくり歩けって。転ぶぞ」
百合子「…………」カツカツカツカツ
垣根「……あーはいはい出ました、一方通行お得意の無視ですよ」
百合子「……」カツカツカツ ピタッ
垣根「お、」ピタッ
百合子「…………」
垣根「…………」
百合子「……」カツカツカツ
垣根「……お前どんだけ根に持ってんの?」
百合子「」ピタッ
垣根「うおっ」ドンッ
垣根「……急に止まんなよ。危ねえなあ」
百合子「……着いてこなきゃいいだけだろ。帰れよ」
垣根「やだよ」
百合子「なンでだよ」
垣根「そんなことも分かんねーの?お前本当に学園都市の第一位なのやっぱバカなの?」
百合子「あァ!?オマエこの期に及ンでまだ喧嘩売ってンのか!!」
垣根「最初から売ってねえよ」
百合子「どの口がほざきやがンだ!
バーゲン並みに現在進行形でおもいっきり売りまくってンだろォが!!」
垣根「それはお前が勝手にそういう風に受け取ってるだけだろ」
百合子「……本当にうぜェなコイツ。じゃあ何なンだよ」
垣根「俺のはアレだ。………スキンシップ的な?」
百合子「曖昧な上に疑問形かよ!そンなスキンシップこっちから願い下げなンだよ!!」
垣根「という今のお前の台詞自体が俺にとってはスキンシップになってるわけだが」
百合子「…………オマエマジですげェわ、俺をイラつかせる才能にかけては右に出る者のいねェ天才だ」
垣根「心配するな、自覚はある」キリッ
百合子「」イラッ
百合子「……大体カラオケ行った時もそォだ」
垣根「ああ?何だよ、別に普通だっただろ」
百合子「ふざけンな、童貞のくせにノリノリで愛だの恋だの歌ってンじゃねェよ。そォいうとこがキメェンだよオマエは」
垣根「…べ、別にそこはいいだろうが何歌おうが俺の自由だろ…」
百合子「キモい」
垣根「」イラッ
垣根「………そういうけどなあ、大体テメェの方こそ洋楽ばっか歌ってたじゃねーか、
そういうとこが厨二病だっつーんだよ。しかも無駄に発音完璧なとことか逆に引くわ」
百合子「…べ、別にそこはイイだろォが邦楽あンま知らねェンだよ…」
垣根「……」
百合子「……」
垣根「」←ドヤ顔でラブソングを歌う恋愛経験0の童貞
百合子「」←洋楽しか歌わない絶賛厨二病
垣根「……なんていうか…この話題はやめとかねえか。お互い傷つくだけだ」
百合子「………」
百合子「……つゥかオマエのせいであの喫茶店だけじゃなく今の寿司屋にも行けなくなったじゃねェか。
あそこのコーヒー気に入ってたのに死ね」
垣根「やっぱ俺のせいなのかよ…」
百合子「確実にオマエのせいだろォが!!」
垣根「えー、寿司屋の方はともかく喫茶店で泣いたのはお前自身の責任だろー。俺は関係ないだろ~」
百合子「ぐ、ぐぐ…っ!」
垣根「ねーわ。いやいやねーわ、流石にあのガチ泣きはねーわ。お前の涙とか誰得だよ」
百合子「う、うる、うるせェェェ!!!!
あれは仕方なかったンだ、あれは俺の意思じゃねェンだよ!」
垣根「あーそうかそうかそうだったな。
百合子ちゃんあの時セーリで情緒不安定だったから仕方なかったんだよな」
百合子「………………」
垣根(あ、やべえ。こいつ本気でキレてる)
垣根「……いや、マジで俺が悪かったから。一応これでも反省してるからちゃんと」
垣根「ていうかそうだよな、お前今日わざわざ俺ん家まで来てくれたのにな。
調子乗ってたわ、うん。ごめんな?」
百合子「……急にへりくだってンじゃねェようぜェな」
垣根「どうすりゃいいってんだよ…」
百合子「……………別に、今日のは恩売るためにやったわけじゃねェ」
垣根「それは分かってるけど」
百合子「……」
垣根「……」
日付過ぎててすまんです
数日以内にはまた来れるよう頑張る…!
時間にすれば短いけれどもこの状況においては異常に長く思える沈黙が下りてくる。
それは俗に言う気まずいというやつで、しかし緊張感などというお堅いものでもなくなんだか妙なむず痒さがある。
百合子「………なンか」
垣根「……ああ」
百合子「同じよォなことばっかやってンな俺ら…」ハァ
垣根「だな…。正直俺もお前のこと短気だのなんだの言えねえわ」ハァ
二人同時に肩を落とす。
再会してからまだ数週間程度だというのに既に両手の指では数えきれないほどよく似た小競り合いを繰り返し演じているのだ。
百合子「なーンでこうなるンだろォな」
垣根「さあ…」
今ここにいるのは学園都市において最高の頭脳の持ち主とそれに次ぐ人物であるはずなのに、まるでお菓子を取り合う子供のように果てしなく無益なやり取りばかりしている事実にがくりと項垂れる。
もっともそれは詮ないことではあるだろう。
二人ともそんな無邪気でたわいない子供時代というものにはいまいちピンとこない、そういった暖かい世界からズレた人生を送ってきたのは確かなのだ。
持て余してしまうのも無理はない。
しかしそのことを抜きにしても公衆の面前で放送禁止用語連発で互いを口汚く罵り合うという行為はやはりただの馬鹿としか言いようがないのも紛れもない事実ではあるが。
※回転寿司店には小さなお子さんを連れたご家族がたくさんいました
百合子「……まァでもこうしてレベル5が二人並ンでて戦争になってねェだけでも奇跡だろ」
垣根「それは言えてる。……思えば化け物だの人格破綻者だのよくまああんだけベタベタ御大層なレッテル貼られてきたもんだ。
つっても言い返せない程度には事実なとこがまた皮肉つーかなんつーか」
百合子「……」
垣根「……あ、一応言っとくが今のは別に自虐とかじゃねえぞ?」
百合子「なァ」
垣根「ん?」
ネガティブに取られそうな発言を取り消すように慌てて垣根が手を振ると同時にかかった声に彼は間の抜けた返答を返す。
数歩先に立っている一方通行の方に目を向けると彼女は曖昧な、それでいて悪戯っぽい表情でこちらの顔を覗いている。
身長差で少し見上げる形になっているその特徴的に赤い瞳にはさっきまでの刺々しさはもう含まれていない。
百合子「……別にもォ怒ってねェよ」
一瞬丸くなった目を、それから彼も悪戯っぽく細める。
垣根「………そうか」
百合子「…ふ、」
垣根「はは」
百合子「まったく…」
肩を揺らしてくつくつとくぐもった笑いを溢す一方通行の表情は、かつて垣根が思い描いていた最凶最悪の第一位というイメージから既に遠くかけ離れている。
垣根「あ。なあなあ、一個言ってみたい台詞あるんだけど言っていい?言っていい?」
百合子「本当に安定のウザさだなオマエ。……なンだよ」
垣根「お前笑ってる方が可愛いよ」
百合子「…………15点」
垣根「ちくしょう」
百合子「クサい、寒い、キモい、垣根、以上の要素から厳密に採点した正当な評価だ」
垣根「ねえ、だからなんで俺ってだけでマイナス評価に繋がんの?イジメ?イジメなの?」
百合子「日頃の行いを省みてまだそれ言えンなら大物だわ。前も言ったが本当にキメ顔似合わねェなオマエ」
垣根「とかなんとか言うのはただの照れ隠しで実はちょっとときめいたんだろ?ん?
笑わないから正直にお兄さんに言ってみ?」
百合子「それはない」スッパリ
垣根「即答速攻大否定かよ」
百合子「そンなことより全然食い足りねェンだが」グー
垣根「お前その身体の割によく食うよな…。あー、またどっか入るか?」
百合子「結局同じこと繰り返すよォな気がすンな…」
垣根「……迷惑かかるのは店にだからなあ」
百合子「つゥか別に帰りゃちょうど飯時だからいいンだけどよォ」
垣根「あ、それはダメだ。お前だけ黄泉川お姉さんの手料理食うとかムカつくわ」
百合子「オマエも来りゃイイだろ」
垣根「………流石に今日行く勇気はねえ」
百合子「クソガキが鬼の形相で怒ってやがったぞ」
垣根「マジすんませんっした」
百合子「まァアイツなら菓子の一つでもやっときゃコロッと機嫌直すだろ」
垣根「なるほどその手が……。よし、ちょっと待ってろ。そこのコンビニ行ってくる」クルッ
百合子「コーヒー」
垣根「はいはい分かってる……って、あ。ダメだ。やっぱ今から行くの無理だわ」
百合子「あン?」
垣根「洗濯物干しっぱなしなの忘れてた」
百合子「………家事するオマエって似合わなさ過ぎて気持ち悪ィな」
垣根「仕方ねえだろ一人暮らしなんだから…。まあいいや、とりあえずこの場はお前も道連れだ。
満腹まで食わせて帰して家族団欒の夕食の風景から疎外させてやるよ」
百合子「また地味過ぎる嫌がらせだなァオイ」
垣根「なんとでも言え。お前肉まんでいい?」
百合子「食えりゃなンでもイイ」
垣根「んじゃちっと待ってろ」
百合子「ン」
道路を横切り斜め向かいのコンビニに入っていく垣根の後ろ姿を横目で見送り、一方通行は近くのバス停のベンチに適当に腰かける。
百合子「……なンなンだかねェ…」
お世辞にも気が長いとは言えない自分たちには火が点くのも早いが、どうやら同じく空気が緩んでいくのも早いらしい。
黄泉川や芳川に対して自分が子供のように安心して身を預けてしまうことを一方通行は知っている。
そして打ち止めや番外個体に対しては、上手くいっているかどうかは分からないながらも親のように接しようとしていることを自覚している。
しかし垣根に対してはそのどちらとも違う。
前に打ち止めに、垣根といる時のあなたは年相応で砕けていると言われたが。
そう、確かにこんな風に上も下もなく互いに歯に衣着せぬ物言いが出来るこの感じも。
なんだか、悪くない。
~~~
垣根「ほら、お前の分」ポスッ
百合子「……どォも」
垣根「えっ…まさか一方通行の口からそんな感謝の台詞が出るなんて…」
百合子「ぶち殺すぞ」
垣根「……まあ二言めにはそうなるとこがお前らしいっちゃらしいな」
百合子「ふン」ガサガサ
垣根「ていうかやっぱ『いちごおでんまん』ってやつ売られてたんだけど何あれ。実は流行ってんの?」
百合子「物好きもいるもンだな」
垣根「ところで“まん”ってエロいよな」
百合子「………オマエのその唐突に何でも無理矢理下ネタに持っていく特技にはいっそ敬服するわ」
垣根「いやいや、それほどでも」
百合子「突っ込まねェぞ」
垣根「突っ込むとかエロ…」
百合子「黙って食え」
垣根「ハイ」
百合子「ったく…」
百合子「オマエと喋ってると……ホントに、飽きねェよ」
垣根「え~?……なんだ、やっぱお前も下ネタ好きなんじゃん。
だよなー、前々からむっつりっぽいと思ってたわ」
百合子「そォいう意味じゃねェよ!!オマエいい加減ガチで息の根止めンぞ!?」
垣根「だから冗談だっつーのに…。分かってるって、つまりあれだろ?
今のはお前なりのデレだという解釈でいいんだろ?」モグモグ
百合子「………もォそれでいいわ。本当に面倒臭ェなコイツ」
垣根「うおっ」
百合子「あ?」
垣根「やべえ……このピザまん超美味ぇ。なんだこれ、めちゃくちゃ当たりじゃねえか…」モグモグ
百合子「……」
垣根「うわやっべえ、コンビニ舐めてた。絶対また買うわこれ」
百合子「………」ジッ
垣根「……で、その物欲しそうな目線はなんだ?」
百合子「……はァ?」
百合子「なにが?見てませンし全然見てませンしィ?
こっちの肉まンのが全然美味いンですけどォ」モグモグモグ
垣根「死ぬほど分かりやすい百合子ちゃんにちょっとだけときめいたから一口やるよ。ほら」
百合子「……」
垣根「要らねえならいいけど」ヒョイ
百合子「ばか、ばァーーか!!」ガシッ
垣根「ぶはっwww」
百合子「………うっぜェ」
垣根「はいはい。一口な」スッ
百合子「…………アリガトウ」
垣根「あ、今のなんか可愛かった。もっかい言ってみ?もうちょい声高めに舌足らずな感じで」
百合子「死ね」
垣根「だからなんでそうなるんだよ」
百合子「…うるせェ」モグモグ
垣根「照れてる百合子ちゃん可愛…」
百合子「」カチッ
垣根「ごめんなさい」
ここまでです、続きは出来れば明日か明後日に
ではまた
やっwwべえwwwwwwたった今気付いたけど基本学園都市って子供たち親元離れて暮らしてるじゃんwwwwww
なのに家族連れたくさんいるとかあり得ねえじゃんwwwwww自分wwwwwwバカスwwwwwwww
ごめんなさい
百合子「オマエは本当に何一つ学ばねェな」
垣根「いやだってお前なんだかんだ甘いし。多少からかい過ぎても最終的にこうして許してくれるじゃん」
百合子「多少どころじゃねェだろォが。
あンま舐めてっとマジでうっかり手が滑ってオマエの耳からその腐った脳ミソ引きずり出しちまわねェ保障はねェぞ?」
垣根「そっちも散々俺のことコケにしてんだからイーブンだろ。まーどっちにしろお前はもう俺のことどうこう出来ねえよ。
お嬢ちゃんたちが望まない云々抜きにして既に個人的に情がわいてんのがバレバレだ」
百合子「……オマエのそォいうとこに腹が立つっつってンだよ。その根拠のねェ自信は一体どこから湧いてくンだこのナルキッソス野郎が」
垣根「根拠?そんなもんいくらでもあるだろ。お前見てれば分かる」
百合子「………買い被ってンじゃねェぞ。俺は善人でもなンでもねェンだよ、本気でブチ切れたら自分でも何するか分からねェ。
そンだけの力持った人間兵器の化け物だ、オマエも身をもって知ってるだろォが。第一今まで俺が――」
垣根「だーからそうやってすぐぐずぐず言うのやめろっつってんだろマジで腹立つな。あれか、悲劇のヒロイン気取りか」
百合子「…………」
垣根「………そんなマジにヘコむなよ。ゾクゾクきちまうだろうが」
百合子「……オマエは本当になンなンだよ…」
貶しているのかなんなのか。よく分からない言い草に混乱して一方通行は深く力ないため息を吐く。
対してその胸中をまるごと見抜いているとでも言わんばかりの人を食った表情で、垣根は片手のペットボトルに口を付けながらだらりとベンチに深く背を預けている。
垣根「んー、あれだろ?お前はどっかで誰かが自分の懐に入ってくんの怖がってんだろ?
自分みてえな奴がヘラヘラ浮かれてフツーの人間ぽく他人と遊んだりすんのに罪悪感があるんじゃねえのか」
百合子「……そ、それは」
垣根「図星か。うわー、まさに厨二ど真ん中じゃねえか。恥ずかしい奴だな」
百合子「うぐっ…!」グサッ
垣根「そういうのなんていうか知ってるか?自意識過剰っつーんだよ。俺よりお前のがよっぽどナルシストじゃねーか」
百合子「ぐう…っ!!」グサグサッ
垣根「自分で自分のこと悪く言ってりゃそりゃ楽だわな。正直俺にもそういうとこあるからお前のこと言えた義理じゃねえが…。
でも結局そんなの所詮テメェに酔ってるだけの一人遊びの域を出てねえんだよ。自慰だ、オナニーだ、まごうことなきマスターベーションだ」
百合子「…………」ズーン
ズバッともっとも自身を傷つけてくる言葉の散弾銃が一方通行の心臓を正確にぶち抜いてくる。
周りに恐れられ、距離を置かれ、常に顔色を窺われていた自分に情け容赦なくそんな台詞を言ってのける垣根に明らかな敗北感と共にズキズキと痛む胸を押さえる。
……なのに、何故か同時にそこに抱く感情は決して嫌悪ではない。
いや、容赦がないからこそ新鮮ですらある。
空々しい世辞で持ち上げられてくる相手より正確に痛いところを突いてくる相手の方が大抵において信頼を置けるように。
どこかである種ほっとしているのかもしれない。
揃いも揃ってお人好しな家族たちはあまりに優し過ぎる。
特に打ち止めは一方通行への人物像を過剰なまでに美化している節がある。
その手放しな信頼と甘えは一方通行にとってこの世で一番大切なものであり、事実それに何度も癒され救われてきた。
加えて最近は妹達の自分に対する態度も少しずつ柔らかくなってきているような気がする。
※それはただの勘違いで今でもミサカネットワーク内では一部例外を除いて常に散々にこき下ろされています
……とにかく、そんな風に身近にきつく断罪してくる相手が少ないことは、一方通行に限りなく暖かいものを与えてくれると同時に、本当にこれでいいのだろうかという不安をも抱かせる。
垣根があっさり黄泉川に許されてしまったことで逆に打ちのめされたと言ったように、一方通行自身もまた穏やかな日常の中で自分の贖罪を忘れてしまいそうになる。
だからこそその都度反射的に自分を卑下することでそれを忘れないように、何度も反復して己に刷り込むことで自分の本性、過去が薄れないようにしようとしている。
けれどもそんなやり方はただ後ろ向きなだけで、本気で心配してくれる家族たちに言えば確実に強烈なビンタが返ってくるであろうことだということもよくよく分かっている。
垣根の鋭い言葉は逃げ場を奪ってくる。もっともキツい指摘であるからこそ、きっと誰かにずっと言って欲しかった。
否定でも肯定でもなく、悪意でも善意でもなく。
突き放しているようで受け入れてくるような、そんな垣根の言い方に喜んでいる……のだろうか。
しかし傷つけられて内心喜ぶというのは……
百合子(…………まさか俺Mなンじゃ…。い、いや。違う違う違うそれはない、違う)
一瞬よぎった不吉過ぎる考えに青くなった顔をぶんぶん振る。
垣根「なあ、一つ聞きてえんだけどよ」
百合子「あ、あァ?」
垣根「お前は俺といてつまんねーか?」
百合子「………別に……つまらなくはねェ…よ」
垣根「そうか」
百合子「……」
垣根「……」
百合子「……何が言いてェンだよ」
垣根「つまりあれだ。前も似たようなこと言った気がするが……本当に俺がこんな風に対等に気兼ねなく話せる相手ってのはお前が初めてなんだよ」
百合子「ふ……ン」
垣根「だから刷り込み効果で実際以上にお前のこと過大評価してんのかもしれねえけど……それでも俺はお前と知り合えてよかったと思ってるよ」
百合子「………そォか」
垣根「おう。あ、ちなみに一応ちゃんと言っとくとこれは俺のデレだからな?有り難く受け取っとけ」
百合子「……ああそォ…。有り難過ぎて頭痛くなってくるわ」
ふざけているとしか思えない正直過ぎる告白に半ば呆れ、半ば羨ましさを感じ一方通行は適当な返事を返す。
どうにもこの男と話していると悩んでいることが馬鹿らしくなってくる。
そんな彼女の心の内を知ってか知らずか垣根はどこか飄々とした、いまいち読み取ることの出来ない表情のままコキコキと首を鳴らす。
垣根「にしてもなんかあれだな。お前めちゃくちゃ気ぃ強くて口汚ぇのに実は打たれ弱いよな」
百合子「はァ?だ、誰が…」
垣根「いや、いくらお前が否定したところで事実だから。見た目とボキャブラリーだけじゃなく中身まで貧弱とかどんだけだよ、三重苦じゃねえか。
こんなんに負けたとか信じたくねえんだけど」
百合子「…………なァ、オマエやっぱ喧嘩売ってンだろ」
垣根「違う違う。なんつうの、そういうギャップみてえのもいいんじゃねえのってハナシ。
まあもし狙ってやってんだとしたらあざといけど」
百合子「なンで俺がンなギャップ狙わなきゃなンねェンだよ!!」
垣根「つまり素でそれなわけだ。いいじゃねえか、俺はお前のそういうとこ素直にいいと思ってんだよ」
百合子「……」
垣根「あとそうやってすぐ照れるとこもな」
百合子「照れてねェ!!!!」
垣根「んでさらにそれを誤魔化すためにキレるとこもまあ面倒臭ぇけど嫌いではねーよ」
百合子「………………」
垣根「言ったろが、もうお前の性格は大体把握してきてんだよ。自分で思ってるより単純だぞお前」
百合子「………オマエは時々妙に鋭いこと言ってきやがるよな。ムカつくわ」チッ
垣根「これでもスクールのリーダー張ってたんだ。そこら辺の洞察力については自信がある」
百合子「自慢かよ」
垣根「自慢になるのかねえ。まあ一応長所ってことにしとくか」
百合子「……」
軽い調子でそう言い、コンビニのピザまんを頬張る垣根の横顔を一方通行は静かに覗く。
何を考えているのか、実にくだらないことばかりぺらぺら饒舌によく喋るこの男のペースにはいつでもいつの間にか巻き込まれてしまう。
緩やかな誘導尋問にかけられて、気が付けば本音を晒させられている。
この手練手管は一体なんなのだろう。
心の底に近いところまで暴かれて、けれど無理矢理抉じ開けてくるわけでもなく。
生き抜くために身につけた知恵なのか、それとも生まれ持った性質なのか。見極めることは難しい。
それにどちらにせよそれは大した問題ではない。
かつて一方通行は垣根帝督という人間が暗部に星の数ほどある悲劇の一つに触れて壊れたのだろうと推測した。そして事実それはその通りなのだろう。
しかし少なくとも今隣に座っている人物はとてもそんな風には見えない。
実際死にかけてネジがふっ飛んだのか、以前のピリピリと憎悪を纏った姿からは考えられないほどにただの馬鹿になっているのは確かではあるが。
それでも垣根にも思うところはあるのだろう。
けれどそれをまるで悟らせない実に暢気そうな横顔は、それこそが彼の強さなのだろうと一方通行は思う。
こんなにも普通の――いや限りなく自分をイラッとさせる不遜な性格を持ち合わせてはいるが――
そんな本来は明るい人好きのするタイプの少年をそこまで徹底的に地の底へと叩き落とした悲劇というのは一体なんだったのだろう。
少しだけ気になって、けれどそれについて今更言及するのは酷く不粋なことに違いないと思い直す。
今が幸せだとはっきりそう言い切れる彼にそんな些末なことを聞く必要はない。
なにより、そんな深くまで踏み込めるような関係じゃない。
そこまで考えてふと思う。
だとしたら自分たちの関係は一体何なのだろう。
家族、では勿論ない。敵、というのももはや過去のことだ。
仕事の同僚でもなければ仲間というのも当然ズレている。
曖昧な、よく分からないこの関係を上手く定義付けるには。
少しの間考えあぐねて、それからふっと頭に一つの単語が浮かぶ。
しかしその瞬間この場で蹲って身悶えてしまいたくなるような気恥ずかしさが込み上げて、それはすぐに打ち消した。
誤魔化すようにゴクゴクと甘味の一切ない苦い缶コーヒーを喉に流し込む。
するとそんな一方通行を見て呆れとも感心ともつかない顔で垣根が率直な感想を洩らす。
垣根「……お前本当にコーヒー好きなのな」
百合子「……美味いだろォが」
垣根「まあコーヒー自体は美味いとは思うがわざわざブラックで飲む利点が何一つ思い浮かばねえ」
百合子「……オマエはたった今全世界のブラック好きを敵に回した。土下座して謝罪しろ」
垣根「すーんませーん」
百合子「あァ、やっぱオマエは死ぬべきだわ」
垣根「死ねって言われると生きたくなるよな。特にお前に言われると死ぬほど生きたくなるわ」
百合子「だから言ってること矛盾してンだろ」
垣根「お前本当に可愛くねーのな。一周回って逆に可愛く見えるわ。百合子ちゃん超可愛…」
百合子「オマエとりあえずその手の台詞言っときゃ俺のことイジれると思ってンだろ。もォネタは割れてンだよ」ジロ
垣根「あ、バレた?」
百合子「こっちもオマエの性格は掴ンできてンだよボケ。第一位の頭脳舐めンな」
垣根「いやいや。なんかこうお前が焦ってるとこ見ると嗜虐心くすぐられるというか……子供が好きな子苛めちゃうみたいな感じ?」
百合子「自分で言ってりゃ世話ねェな。軟派なのは見た目だけにしとけチャラ男が」
垣根「頭堅いなお前」
百合子「柔らか過ぎて豆腐レベルのオマエよりゃマシだ」
垣根「だからそうやって憎まれ口叩くとこも嫌いじゃねーつってんだろ墓穴なんだよ。
いちいち可愛い反論してんなよ、惚れちまうぞ」
百合子「………」
垣根「………やっぱ照れてんじゃん」
百合子「死ねよ」
垣根「なるほど一方通行は不意打ち系に弱いわけか。よし、覚えた」
百合子「死ねよ」
垣根「お前意外と乙女(笑)なのな。そんなんでもやっぱ女のk…」
百合子「死ねよ」
垣根「分かった分かった、まあこれくらいにしとくって。やり過ぎてまたお前の機嫌損ねんの怖いし」
百合子「……本当に自分に正直だなオマエは」
垣根「お前頑固だしバランス取れてていいだろ」
百合子「はン、クソガキが俺たちのこと似てるだのなンだの言ってたのは大外れだったな」
垣根「そうか?お嬢ちゃん相当鋭いなと今になって思ってるけど」
百合子「どォ贔屓目に見ても俺とオマエは正反対だろが。
つゥかオマエと似てるとか気持ち悪過ぎて吐き気催すわ」
垣根「気が合ってなきゃそもそもこんな風に並んでくっちゃべってる光景自体実現してねーだろ。
ていうかさっきお前から俺と喋ってると飽きないとかデレ発言したくせに今更何言ってんの?」
百合子「…………あれは失言だ」
垣根「素直じゃねえなあ」
百合子「言ってろ」
――――――
――――
――
ここまでです
ほんと設定とかの凡ミスは多いわ投下するする詐欺だわで申し訳ない
相変わらずのノロノロ進行だけどよかったらまた気が向いた時にでもこのスレ覗きにきて下さい
ではまた
垣根「よし、んじゃそろそろ帰るか」ガタッ
百合子「……おォ」ガタッ
垣根「腹の方は膨れたか?」
百合子「むしろ食い過ぎた」ウプ
垣根「調子こいて俺のまで食うからだ。まあいい、これで当初の目的は達成した」
百合子「夕食から俺だけ疎外させるってやつか?みみっちい野郎だな」
垣根「お前に一人暮らしの寂しさが分かってたまるかってんだ」ケッ
百合子「俺も前は一人で暮らしてたがな。……まァオマエの場合そっちの方がイイだろ」
垣根「うん?」
百合子「好きな時に好きなだけ人目気にせず自家発電に励めるじゃねェか」
垣根「…………お前いい加減その口の汚さなんとかしろ、普通の男ならドン引きだぞ。女の子がそんな下品なこと言うんじゃありません」
百合子「オマエ散々俺に下ネタ振ってきといてよく言えンな。そンな見た目だけカッコつけてる暇あったらもっと内面磨けボケ」
垣根「お前の方こそただでさえ色気もクソもねー体型してんだからちょっとは恥じらい持った振る舞いの一つでもしてみろ、なんだかんだ男は大和撫子に弱いんだよ」
百合子「……」
垣根「……」
百合子「っふww」
垣根「く、くく…っww」
百合子「あは、」
垣根「ははは。……なんだかなあ」
百合子「まったく、オマエのせいで俺ン中のいろンなモンが崩れちまった」
垣根「俺の『おかけで』だろ?」
百合子「……そォかもな」
垣根「あらやだ素直」
百合子「なンでカマ言葉なンだよ…。マジでキモいなオマエ」
垣根「お前はそろそろキモいウザい死ね以外の言葉覚えろ、メシ風呂寝るしか言わねえ中年のおっさんか」
百合子「絶妙にイラッとする例えすンなうぜェ死ね」
垣根「………駄目だこいつ。まあ、んじゃ本当にそろそろ帰るか。あんまりずっとお前独占してるとお嬢ちゃんたちに恨まれるしな。
ああそうそう、この菓子ちゃんとあの子らに渡しといてくれよ?」ガサッ
百合子「ン、」
垣根「あー、今から帰っていろいろすんの面倒臭ぇな。マジで通い妻してくれる彼女出来ねえかな~」スタスタ
垣根「手料理とかさー、愛情たっぷりの」スタスタ
垣根「もういっそお前ん家住みた………一方通行?」ピタ
すたすたと先に歩き出した垣根は何故か返ってこない反応に首を傾げるとぴたりとその足を止めた。
振り向くとベンチの前で一方通行はぼんやりと突っ立ったまま黙っている。
垣根「どうした、置いてくぞ。つってもまあすぐ別れるけど」
百合子「……あァ」カツカツ
声をかけたところでようやく彼女は返事を返し歩き出す。けれどどこかその様子はおかしい。
垣根「?なんだよ」
百合子「いや、別に」カツカツ
垣根「……」
百合子「……」カツカツ
垣根「嘘だろ。お前のそういう時はなんか言いてえ時だ」
百合子「」ピタ
百合子「いや。ホントに大したことじゃねェ」
垣根「なら言えんだろ」
百合子「や、やっぱ大したことじゃねェこともない」
垣根「ああ?……随分回りくどい言い方しやがる。勿体振ると逆にハードル上がんぞ?」
百合子「……やっぱりなンでもねェ」
垣根「なんだそりゃ…。ほらさっさと言わねーと俺は気ぃ長くねえんだから待たねーぞ。
三秒以内だ、それ以上経ったらスルーする。ハイ、さーん、にーー……」
百合子「だ、だから!!」
垣根「おう」
百合子「……だから……その、結論つゥか今日改めて思ったつゥか…」ボソボソ
垣根「はあ?」
百合子「オマエは、」
垣根「……」
百合子「オマエは……」
百合子「オマエは馬鹿でチャラくて口軽くて自信過剰で馬鹿で変態で酒乱ですぐ調子に乗る馬鹿で人おちょくンの上手いクソうぜェホストもどきなチンピラ面のどうしようもねェ馬鹿だ」
垣根「おい」
百合子「あと馬鹿で死ぬほど馬鹿で物凄ェ馬鹿だ」
垣根「……七回も馬鹿って言いやがったこいつ…。
テメェ女だと思って俺が手ぇ出さないと思ったら大間違いだからな?一回マジでぶん殴るぞ?」ピキピキ
百合子「でも根っから腐った奴でもねェ」
垣根「……」
百合子「まァ、善人でもなンでもねェ俺が言えたような台詞でもねェが」
垣根「………相変わらず卑屈だなテメェは」
百合子「俺もオマエも人殺しだ。その枷だけは外せねェ。泥ン中顔突っ込ンでる点においては何も変わらない」
垣根「……。ああ、そうだ」
百合子「だがオマエが言ったように、俺がテメェに酔って自分を卑下して気持ちよく自己陶酔に浸ろうとすンのは……ただの逃げだ」
百合子「それに俺がそォいうことするとギャンギャン泣き喚いて止めてきやがるガキ共もいる。だから時間がかかっても……ちゃンとこの癖は、直す」
垣根「……そうか」
百合子「あァ」
垣根「お前ホント厨二臭い台詞吐くの好きだな…」ハァ
百合子「うる、うるっっっせェな!オマエも人のこと言えねェだろォが!!」ガァッ!
垣根「はいはい。……まったくお前は恵まれてるよ」
百合子「……自分でもそォ思う」
垣根「ノロケやがって。羨ましい限りだ、ったく」
百合子「―――それで、」
垣根「ん?」
百合子「だから……そォいうオマエが指摘してきた欠点とかは直すから…」
百合子「これからも普通にそこらの奴みたく!!オマエと遊ンだりしてェ…………つゥか…」ボソッ
垣根「……………、お前今日デレ過ぎじゃね?キャラぶっ壊れてんじゃねえか」
百合子「うるせェェェ!!全部オマエのせいだ!全部、全部全部全部!!!!」
垣根「うん」
百合子「―――――」
百合子「それで、結局、遠回しになったが……つまり一番言いてェのは…」
垣根(あ、まだ続きあんのか)
一方通行は迷っていた。
口に出すべきか出さぬべきか。でも今を逃したらもう絶対に言えない気がして、別に言わなくてもいいのかもしれないけれど言ってみたくて何度もパクパクと口を開けては閉じる。
そして最後に、自分のプライドに負けて切り出した。
百合子「俺と、その…………………と、」
垣根「と?」
百合子「と、とも……」
垣根「……あ」
百合子「……」カァー
垣根「あ、あー…」
百合子「……」マッカ
垣根「……」
百合子「や、やっぱイイ。やっぱこォいうのいらねェ」プイ
垣根「……いや。いやいやいやここまできてそれはねえだろ」
百合子「知らねェよ!……こンなン、今まで知らなかったンだよ…クソ」
垣根「俺もだよ」
百合子「……」
垣根「俺もだから……そうだな。ここまでお前がお膳立てしてくれたんだしあとは俺に言わせてくれ」
百合子「……ン」
垣根「つまり……あー…」
垣根「改めて―――俺と友達になってくれ」
百合子「………………うン」
垣根「……」
百合子「……」
垣根「え、なにこれ羞恥プレイ?恥ずかし過ぎるんだけど」
百合子「……心配すンな。俺もだ」
垣根「そうか」
百合子「そォだ」
垣根「……普通ならわざわざこんなこと言う必要ねえのかな」
百合子「だせェな。俺もオマエも」
垣根「本当にな。こんな当たり前のことも上手く出来ない」
百合子「でも、」
垣根「うん。まあとりあえず」スッ
百合子「あ…」
垣根「これからもよろしくってことで」ギュッ
百合子「…………おゥ」ギュッ
さっきは頭に浮かんだ瞬間、気恥ずかし過ぎて、自分には過ぎたもののような気がして打ち消してしまった気持ちを、ちゃんと形に出来た。
普通の子供たちとは違うところにいた、ほんの少し……大分ひねくれてしまった大きな子供たちの、これはほんのささいな話。
とても綺麗とはいえない歪な線と線が交差した、つまりただそれだけの話。
ともすれば陳腐で青臭過ぎて苦笑いが溢れそうな、とるに足りない出来事。
もっと区切りのいいとこまで投下したかったけどちょっとここまで
今日中にはもう一回来たい……とりあえずおやすみなさい
おつ!
読んでるこっちが恥ずかし過ぎてヤバいww
次も楽しみにしてます
~~~
街灯に照らされて二つの影が並ぶ。
くっついても離れてもいない、少し間隔を空けて隣同士並んだその影はゆっくりゆっくりと薄暗い舗道を歩く。
お互い慣れないことを言ってしまった余韻か、少しシンとした静かな空気が二人の間にまとわりついている。
その余韻に浸れるほど大人にはなりきれていない一方通行は頭の中で必死に会話の糸口を手繰り寄せた。
こういう時に自身の明晰と言われる頭脳はいかに役に立たないか思い知る。
百合子「……昔」
百合子「まだ俺がクソガキと変わンねェくらいの見た目と中身だった頃……俺はただちょっと突っかかってきただけの相手の腕を折ったことがある」
垣根「ああ」
百合子「触れただけでソイツの腕が小枝みてェに折れて俺の方は何一つ傷を負わなかった」
垣根「俺も変わんねーよ。同じようなことは何度もやった」
百合子「……根本的なところで似てる、か」
垣根「お嬢ちゃんの言ってた意味はそういうことじゃねえだろうけどな。それに別にそれは同情されるようなことでも何でもない」
垣根「こんな力さえなければ、なんてのは希望的観測に過ぎねえしその力を私欲のために使ってきたのは事実だ」
百合子「あァ」
垣根「外道がちょっといいことしたらすげえ美化されるけど実際は最初から真面目に堅実に正直に生きてきた奴の方がよっぽどまともで立派だもんな」
百合子「そォだな」
百合子「だが、」
あっという間に反対方向に別れる道に差し掛かり、一方通行はひと足先にその杖を止める。
百合子「だが俺はオマエと傷舐め合う気はさらさらねェ。……だからオマエは今まで通り全力で俺のこと馬鹿にしてろ。こっちも全力でやり返してやンよ」
垣根「……随分的外れなこと言いやがる。俺だってお前の傷なんて頼まれたって舐める気ねーよ。どうせ舐めるなら美人の裸がいい。ていうかむしろ俺のを舐めて欲しい」
百合子「…………オマエはホンッットいちいち下ネタに走りやがるな」
垣根「シリアスは性に合わねえんだよ。こっちの方が俺らしいだろ?」
百合子「ったく、馬鹿が」
垣根「ああ、でもなんかあったらいつでも好きな時に言えよ?なんなら俺の胸で泣いてもいいぞ。ほら飛び込んでこい。
あ、やべえ。この台詞も一度言ってみたかった。お前に言ってもしょうがねえけど」
百合子「口が減らねェってまさしくオマエのためにある言葉だな。オマエの胸に飛び込むくらいならコンクリ抱いて地中海に飛び込むわ」
垣根「口が減らねえのはどっちだよ。ああ言えばすぐこう言いやがって」
百合子「……でもそォいうとこも嫌いじゃねェンだろ?」
垣根「……おっと、そう反撃してきたか。そうだな。そういうとこも嫌いじゃねえよ?」
百合子「チッ、キザ野郎が」
垣根「まー実際話聞くだけならタダだしな」
百合子「オマエ金持ってるくせにそォいうとこセコいな。ケチ臭ェ男はモテねェぞ?」
垣根「それは暗にこれからもなんか奢れって言ってんのか?」
百合子「そォいうことだ」
垣根「お前は本気で一回その傲岸不遜を地で行く性格を矯正するべきだな」
百合子「何言ってンだ?」
垣根「あん?」
百合子「……こっちの方が俺らしいだろ?」
垣根「……ちくしょう、一本取られた」
百合子「バーカ」
百合子「まァ、そォいうバカは嫌いじゃねェよ」
垣根「…………マジでお前今日デレのオンパレードだな。よし、後でワーストちゃんに一方通行が垣根大好き☆って言ってたってメールしとく」
百合子「よし、殺す」
垣根「ウソウソ。しないしない」
百合子「信用ならねェンだよオマエだけは!軽薄が服来て歩いてるよォなモンだろォが、っつゥか好きとは言ってねェ!!」
垣根「大丈夫だって。本当にしないから」
百合子「…………、」
百合子「『信じる』ぞ」
垣根「……おう。『信じろ』」
「じゃあな」
「じゃあな」
一度止めた足を、再び一方通行は一歩踏み出す。
垣根「……ああ、一方通行」
百合子「あァ?」
背を向けたまま顔だけ向き直った彼女は、そこで歩き出したと思った垣根がその場でだらしなくポケットに手を突っ込みながら真っ直ぐこちらを見ていることに気がつく。
垣根「んー……そうだな。うん」
垣根「お前は無愛想で仏頂面でお粗末体型の貧弱モヤシで口悪くて沸点低くて親バカで卑屈なコミュ障で厨二病でクール気取ってるつもりらしいけど実際はテンパりやすいただのツンデレで常に死ぬほど憎たらしかったりするけど」
百合子「オイ」
垣根「でも俺も結構お前のこと好きだぞー」
片手をメガホンのように口元に当てて嘯く垣根に、一方通行は一瞬面食らった顔をするとそれからくしゃりと破顔して、いつもの皮肉っぽい口端を歪めるあのやり方で
だから好きとは言ってねェよばーか、
捨て台詞のように笑いの滲んだ言葉を残して、今度こそ振り返らず歩き出した。
既に完全下校時刻を過ぎた街頭には学生の姿はほとんど見当たらず、門限を過ぎて焦る数少ない何人かも自分の寮へと急ぎ足で帰ってゆく。
立ち止まったままの垣根の隣を通り過ぎた中学生らしき生徒から、すれ違いざま不意に埃っぽい匂いがする。
自分の知らない匂いだ。
長く暗部に沈んでいた自分には縁遠い、慌ただしく明るく柔らかな校舎の匂い。
大量に出される宿題に悩み、細々した規則に小さな不満を持ち、教師の小言を煩わしく思う。
そんなたわいもない日々を持ち得なかった自分は果たして惨めだろうか。
いや。
本音を言えば少し、ほんの少し寂しいような気もするけれど。
なんだろう。
なんなのだろうこの感覚は。
冷えた手をいきなり湯に浸けた時の、あのじんじんと自分に流れる血の熱を感じるような。
そんな感覚。
「……はは」
突如として胸に沸き上がった感情はあまりに人間臭くて、思わず声に出して笑ってしまう。
『垣根帝督』は確かに努力や希望を信じない人間だったはずだ。
才能ありきの素養ですべてが決まると思っていた。実際、ただ開発を受けている内に気が付けば第二位などと呼ばれる存在になっていた。
血を吐くほど努力をしてもレベルの上がらない者たちを踏みつけて。
彼らからの憎しみのこもった視線など歯牙にもかけず。
努力なんて圧倒的な才能の前にはまったく無意味で、だからそこには希望もない。
学園都市に食い潰されてきたと思っていた。
けれど実際自分を食い潰していたのは他ならぬ己自身だった。
少しだけ遅くなったけれど気付けた自分は、どれほど恵まれていることだろう。
気取っていた化けの皮を剥がされて、なんだかひどく不器用で泥臭くて滑稽でカッコ悪い。
でも背伸びをやめて、肩肘を張るのをやめて、そんな風に生きてみるのも悪くない。
特に意味なんてないくだらない会話。
互いのアラ探しをして憎まれ口を叩いて揚げ足を取っては取り返されて。
相手の言葉に反発したり頷いたり、からかって笑い飛ばして怒鳴り合って時には謝ったり機嫌を取ってみたり。
それぞれの弱味を握って欠点をあげつらってひたすら馬鹿にすることに躍起になって、でもそこに打算や悪意はなく。
顔色を窺うことも気を遣うこともない。
重くもなく軽くもなく、遠過ぎもせず近過ぎもしない。
おそらくこれは心の奥底で、本当はずっと欲しかったもののひとつ。
照れ臭さを隠すようにがりがりと乱暴に頭を掻いて、それからふとその自分の手を見る。
あの日あのファミレスで最初に和解した時の、そして今日また握ったあの薄い手の平の感触を一生忘れない。
最後の瞬間まで、きっと。
天国も地獄もない静かな空白に落ちてゆくその時まで。
これからもおそらく数えきれないほど何度も衝突を繰り返すのだろう。
一方通行が垣根に対して感じたのとまったく同じに、彼にとってもまた彼女の言葉は時に鋭く心の核心をついてくる。
嫌味をたっぷり含んだあの物言いにこの先も何度もイライラさせられるだろう。
でもそれさえも………何がどうしてなんとも楽しいのだ。
とっくに曲がり角に消えて既に見えない白い後ろ姿をいつまでも一人突っ立ったまま見送ったあと、垣根はくるりと踵を返す。
その口元に浮かんだ表情を見ている者は誰もいないけれども。
「ありがとうよ」
小さく洩らした言葉は、反響する壁もないこの科学の街の広い舗道の真ん中で
あっという間に空気の中に溶けて消えていった。
―――――――
―――――
―――
百合子「帰った」バタン
番外個体「おっかえり~」
打ち止め「おかえりあなた。っていうかもーっ!遅いよ!メールしても返信来ないから心配したんだからね!
ってミサカはミサカはぷんすか怒ってみたり!」プンスカ
百合子「……うるせェな。だから寝てたって送っただろォが」
番外個体「おチビはニブいねー、そこは推して知るべしってやつでしょ。
で、どうだったの第一位。ていとくんはちゃんと優しくしてくれたのかな?」
百合子「はァ?」
打ち止め「えっ?ままままさかそんな!?
いやあああ!不潔!爛れてるぅ!!!!」
百合子「あるあr……ねェよ。気色悪ィこと言ってンじゃねェぞこのマセガキどもが」
番外個体「え~?なーんだ、じゃあやっぱ百合子ちゃんまだヴァージンのままかー。つまんなーい」
打ち止め「あ、あなたの貞操が守られてよかったってミサカはミサカはほっと胸を撫で下ろしてみたり…」ホッ
百合子「オマエら二人とも尻百叩きの刑な」
番外個体「んん?ところでミサカはさっきからあなたの左手にあるスーパーのレジ袋の中身の方が気になってるんだけど?」
百合子「あン?」
打ち止め「あっ、もしかしてお土産?お菓子?アイス?ってミサカはミサカはワクワクテカテカ!」
百合子「現金だなオマエら…」ゴソゴソ
打ち止め「!!」
番外個体「!!」
打ち止め「なっ、そ、それは……!」
番外個体「今期間限定キャンペーン中の毒きのこの山、つちのこの里に付いてくる……!」
番外・止め「「ケロヨン&ピョン子食玩シリーズ…!!」」キラキラ
百合子「二箱ある」トン
打ち止め「うわーい、さっすがあなた!
そこに痺れる憧れるぅ!ってミサカはミサカはあなたに抱き着いてみるー!」ギュッ
番外個体(うずうずうずうずうずうずうずうず…)ソワソワ
百合子「うっぜェなァ…。俺じゃねェよ、垣根からだ」
打ち止め「えっ」
打ち止め「…………ふっ、ふふふ。なるほどそういうこと」
打ち止め「カキネのあざとい魂胆が見え見えの透け透けだね!
この程度のワイロで機嫌を取ろうとしたところで夜中に大声で叩き起こされたミサカの恨みは消えないんじゃーーー!!ってミサカはミサカは…」チラッ チラッ
百合子「と言いつつ目がひたすらコイツを追いまくってンのはどォいうことだ」
打ち止め「くっ…!自身に流れるこのミサカ遺伝子が憎い!ってミサカはミサカはでも悔しい!見ちゃう!!」チラチラ
番外個体(うずうずうずうずうずうずうずうずうずうず…)ソワソワ
百合子「で、どっちが欲しいンだ」
打ち止め「ミサカはピョン子!!……って違う違う、まだミサカはカキネのこと許してなんかいないんだからねっ!
ってミサカはミサカはキャラにそぐわないツンデレ台詞で流されない女を演出してみる!!」ツーン
百合子「じゃあ要らねェのか?」
打ち止め「い、いじわるーー!要るもん!!」バッ
百合子「オマエは?」
番外個体「…………べーつにー?ミサカはそんなガキを釣るための戦略商品どっちも要らないんだけど?」チラッ チラッ
百合子「そォか。じゃあ二つともクソガキにやるがいいンだな?」
番外個体「う……」
打ち止め「素直じゃないって損だねーってミサカはミサカはプークスクスwww」
番外個体「ぐっ…!あああムカつくムカつくムカつくーっっ!!」ジタバタ
打ち止め「ふっふーん、これは普段ゲームでやられっぱなしな件の仕返しなのだ!
ってミサカはミサカはここぞとばかりに姉の威厳を見せつけてみたり!」フンス
番外個体「……」ムッ
百合子「……」
百合子「……クソガキ。黄泉川家家訓その8を読み上げろ」
打ち止め「え?」
番外個体「……!」
打ち止め「えっとえっと、黄泉川家家訓その8!独占禁止!!
いかなる理由があろうと何人たりともごはん、お菓子、おもちゃ、トイレ、その他を一人で独占することを禁ずる!…………はっ!」
百合子「そォいうことだ」
打ち止め「うぅ、そうだった…。ごめんね番外個体。ちゃんと一人一個ずつもらおうね?」
番外個体「最終信号……」
百合子「で、どっちがどっちだ」
番外・止め「「ミサカがピョン子!!」」
百合子「……」
番外・止め「「……」」
打ち止め「……ふっ。やはり姉妹、血は争えないね」
番外個体「趣味嗜好まで似通っている事実は否めない、か…」
打ち止め「ここは平等にジャンケンで決着をつけようではないか妹よ!ってミサカはミサカは勝利は既に我が手にあり!」
番外個体「ふふん、望むところだにゃーん。
ピョン子は最終信号じゃなくてミサカの方に来たがってるってことを今この場で教えてあげるよ!!」
打ち止め「……」ジリジリ
番外個体「……」ジリジリ
番外・止め「「じゃーん、けーん……!!」」ググッ
百合子「……あァもォホントうるせェなコイツら…」
黄泉川「たっだいまーー!!」バタン!
百合子「あ?」
黄泉川「お、一方通行。おかえり」
百合子「オマエも今帰りか」
芳川「相変わらず騒がしいわねあなたたち…。まったくおかげで目が覚め(以下略)」ネムネム
百合子「オマエは本当にいつでも寝てやがるな…」
黄泉川「あー疲れたじゃんよ~」バタバタ
芳川「お疲れさま」
黄泉川「……お前に言われると嫌味にしか聞こえないじゃん」
番外個体「……いよっしゃあああああああ!!」パー
黄泉川「ん?」
打ち止め「ピョ、ピョン子ーーー!!」グー
番外個体「ひゃひゃひゃひゃひゃ、お子様ランチがこのミサカに勝とうなんて百年早いのさ!!」
打ち止め「うぐぐぐ、やっぱりチョキにしておくべきだった…!」
番外個体「はい、最終信号はケロヨンの方ね」ポイ
打ち止め「うー、ケロヨンも確かに可愛いけど…可愛いけど…!ってミサカはミサカは……なっ、こ、これは…!?」ガサゴソ
番外個体「!!??」
打ち止め「超スーパーウルトラレアな銀のケロヨンキーホルダーゴールドバージョン…だと…?」
番外個体「そ、そんな……!」ガーン
百合子「銀なのにゴールドってどォいうことだよ」
番外個体「あ、ミサカのピョン子はノーマルバージョン…」シュン
打ち止め「………ふ、ふふふ……」
打ち止め「はーっはっはっは!試合に負けて勝負に勝ったとはこのことだね!ってミサカはミサカはやったやったー!」ピョンピョン
番外個体「ぐぬぬ……最初からケロヨンの方を選んでいたら……クソッ!」
黄泉川「なんかよく分かんないけど楽しそうでなによりじゃん」
芳川「ねえ、ところでわたしたちにお土産はないの?」
百合子「ふてぶてしい通り越して逆に立派だわオマエ」
芳川「フフ、ありがとう」
百合子「一応突っ込ンどいてやるが誉めてねェよ」
打ち止め「ねーねーねーねーミサカお腹空いたよー!
ってミサカはミサカは今にも背中とくっつきそうなお腹をさすりながら黄泉川の方にチラチラ腹ペコサインを送ってみる」チラチラ
黄泉川「おっとそうそう、今日の晩御飯は餃子じゃん」
打ち止め「わーい!!」クルクル
百合子「餃子を炊飯器で作る女って…」
打ち止め「ミサカ焼き餃子と水餃子両方食べるー!
ってミサカはミサカは早くも口の中に溜まる唾液を飲み込みつつお手伝いに向かってみたり!」テテテ
黄泉川「はいはい、ありがとうじゃんよ」
番外個体「ラー油も付けられないお子ちゃまが餃子を語ろうなんて片腹痛いよねえ~」フン
打ち止め「ふふふ、吠えるな敗者。八つ当たりは醜いよ?」
番外個体「……む~!」
百合子「つゥか俺は食ってきたぞ」
黄泉川「お?なんだ、そうなのか」
番外個体「え、なになにていとくんとお食事デートしてきたの?やるじゃん。
ふむふむなるほど、話が繋がったね。つまり二人でベッドの上で激しい運動してお腹が減ったから食べてきたと」
打ち止め「えっ!?」
百合子「面倒臭ェからもォ突っ込まねェよ」
芳川「青春ね。というか性春ね」
黄泉川「教師として不純異性交遊はあまり勧められないけどまあそこら辺はお前自身の意志に任せるじゃん」
百合子「だから突っ込まねェよ」
番外個体「だから突っ込まれたんでしょ?」
百合子「オマエはイイ加減その口縫い付けンぞ」
番外個体「きゃーん、一方通行がミサカのこと苛めるぅ~!こわーい☆」
黄泉川「んじゃあ一方通行は今の内に風呂掃除頼むじゃんよ」
芳川「あら、それならわたしがさっきやっといたわよ?」
黄泉川「えっ」
百合子「えっ」
芳川「……なぜお風呂を洗っただけでそこまで驚愕した表情をされなくちゃならないのかしら」
黄泉川「えっと、天気予報天気予報。明日は雪か霰が降るじゃん」ウロウロ
百合子「芳川オマエどォした、まさかインフルか…?」
芳川「いくらわたしが甘いからって流石にキレるわよ?たまにはそれくらいやろうと思い立っただけだというのに…」
黄泉川「それくらいなら毎日思い立って欲しいじゃんよ…」
打ち止め「よーし、タネを皮に包む作業はミサカがもらったーー!ってミサカはミサカは我先にエプロン装備で家庭的な女の子アッピール!」
番外個体「無い胸でエプロンはみすぼらしいよ?その点ミサカなら裸エプロン一つで第一位も悩殺出来ちゃうけど~」クネッ
百合子「言ってろ。オマエの裸エプロンに反応すンのなンざ垣根くらいだろ」
打ち止め「ぐぬぬ…。ミサカにだってまだまだ希望はあるもん!ってミサカはミサカはこの悔しさをバネにバストアップに励むんだから!!」
黄泉川「で、件の垣根少年の方はどうだったじゃんよ一方通行。大丈夫だった?」
百合子「腹立つくらい大丈夫だったわ」
黄泉川「そりゃよかったじゃん」
百合子「……相も変わらず人がイイなオマエは」
黄泉川「ん~?」
芳川「喜んでるのよ愛穂は。彼のことだけじゃなくあなたについても、ね」
百合子「………そりゃどォいう意味だ」
芳川「え?いやだってわたしたち二人とも筋金入りのコミュ障のあなたにまさか同年代の友達が出来る日が来るなんて夢にも思ってなかっ…」
百合子「よォォォーし、オマエら二人ともそこに直れ。
つゥか黄泉川はともかく純度100%でヒキニートのオマエにだけはコミュ障云々言われたくねェンだよ!!!!」
黄泉川「あーあー、桔梗のせいで一方通行怒らせちゃったじゃんか」
芳川「ちょっと、一人だけ責任逃れはさせないわよ。
あなただって『あいつにもいい加減友達の一人くらい作らせないと将来的に対人コミュ能力の無さでも第一位になるじゃん』とか言ってたじゃない」
百合子「黄泉川ァァァァァァァァ!!」
黄泉川「桔梗お前ぇぇぇぇぇぇえええ!!」
番外個体「ていうか正確には二人じゃなくて四人だよね。
ミサカだってどうせあなたは一生ぼっちだと思ってたし」
芳川「……ぶふっwwww」
打ち止め「番外個体、世の中には本当のことでも言っていいことと悪いことがあるのよ?
ってミサカはミサカはあなた、心配しないで!そんな絶望的に対人コミュ力の低いあなたをミサカは応援してるから!!」グッ
黄泉川「ぶふぁっwwww」
百合子「オマエら全員正座だコラァァァァァァァ!!!!」
番外個体「あっひゃひゃひゃひゃ!!wwww」
打ち止め「あ、あれ?ミサカフォローしたつもりだったんだけど…」アレ?
百合子「コイツら…」ピキピキ
黄泉川「ははは。……なあ一方通行」
百合子「あ?」
黄泉川「正直言うとさ。……『あの時』のこと、私は後悔してるじゃん」
百合子「………後悔…?」
黄泉川「教師として、私は本当はあの子のことも救ってやらなきゃならなかった。暗いところにいたあの子を……。でもあの時、私はお前のことしか考えられなかったじゃん」
百合子「……!」
黄泉川「お前を止めることにしか目がいかなくて……本当なら同じようにあの子のことも深い世界から引きずり上げてやらなきゃいけなかったのに」
百合子「……」
『――――でもきっとあの時俺がブチ切れたのは……ただ単にそういう言葉をかけてくれる相手がいるお前が妬ましかったんだな』
百合子「それは……」
百合子「だがオマエがアイツに刺されたのもアイツが打ち止めに手を出そうとしたことも紛れもない事実だ。……違う、元を辿れば全部――」
黄泉川「一方通行」キッ
百合子「……悪ィ」
黄泉川「うん、それでいい。……とにかく悪いのはあの子だけじゃない。私だってあの子に謝罪しなきゃならない」
芳川「愛穂……」
黄泉川「でもあの子はもう分かってる。だからもうこれ以上は私からは何も言わないしあの子にも言わせない。……くどくどした説教は私のガラじゃないしさ」
黄泉川「それでも、それでももし万が一次あいつがまた道踏み外しそうになったら……その時は今度こそ私らしく全力の鉄拳制裁で止めてやる」
黄泉川「……それが私なりの誠意じゃん。ま、そんなことはもうあり得ないだろうけどさ」
百合子「…………ハッ、一般人でレベル5躊躇なくブン殴れる女なンざオマエくらいしかいねェよ」
黄泉川「一方通行。お前はまだまだ知らないことが多過ぎる。でもこれからいくらでも知っていくことが出来るじゃんよ。……これもその第一歩だ。大切にしろよ」
百合子「……あァ」
打ち止め「お、おお……やっぱりヨミカワかっこいい…」キラキラ
芳川「……なんか愛穂に美味しいとこ全部取られてる気がするわ」
番外個体「とりあえず芳川はニート脱却して人としてマトモになるとこから始めるべきだと思うよ?」
芳川「くっ…!この小娘生まれたてほやほやの新生児のくせに無駄に正論を…!!」ギギギ
黄泉川「いや、お前は本気でそろそろ就職しろ」
打ち止め「うん」
芳川「……なんなのこの背水の陣…。はっ!
そういえばあの子やっぱりお金持ちだったし色仕掛けで迫って既成事実さえ作ってしまえばわたしの夢のバラ色寄生生活が実現する…!?」ハッ
百合子「やめろ。アイツの場合マジで喜ンで了承しそうで怖ェわ」
番外個体「おおーっと百合子ちゃんヤ・キ・モ・チ?」
百合子「あァ?またワケの分からねェことを…」
打ち止め「うぐぐぐぐ…。この人の中のウエイトをカキネが占めつつあるのが憎い!やっぱりカキネは泥棒猫だったんだ!ミサカの女の勘は正しかった!
ってミサカはミサカは自分のポジションが再び奪われそうな危機的状況に有効な挽回策を検討し始めてみたり……!」ギリギリ
百合子「……」
打ち止め「うぅ、やっぱり性別はともかくとしても外見年齢においてミサカは圧倒的に不利……ッッ」ブツブツ
百合子「……」ポン
打ち止め「って、ふぇ!?」ビクッ
番外個体「!!」
百合子「……」ワシャワシャ
打ち止め「…………うー。あなたはいつもそれでミサカの機嫌とろうとするんだからずるいよ…」イジイジ
番外個体「……」
百合子「実際大抵これでおとなしくなンだろオマエは」ワシャワシャ ポンポン
打ち止め「もう………えへへ~~」ニコニコ ギュッ
番外個体「…………」ムーッ
百合子「……オイ番外個体。次はオマエだ、頭こっち向けろ」
番外個体「!」
番外個体「………ふ、ふん!ホントにずるいよあなたは!」ススス
百合子「ハイハイ」ワシャワシャ ポンポン
番外個体「……ちぇ、」ギュッ
芳川「ふふ。なんだかんだで今日も我が家は平和なのでした、ってとこかしら?」
黄泉川「やっぱ平和が一番じゃん?」
百合子「まったくどいつもコイツも……」
百合子(―――シアワセ過ぎて笑っちまうな)
ここまでです
既にギャグでもなんでもなくなってますがようするにお互い初めての友達が出来たよ!やったねたえちゃん!ってことです
>>397
大丈夫だ、書いてる本人が一番恥ずかしい
ただし真面目(?)っぽい感じなのはここまでだ!
次からはまたギャグテイストに戻るぜ!
ではまた
百合子「…………ハッ、一般人でレベル5躊躇なくブン殴れる女なンざオマエくらいしかいねェよ」
黄泉川「一方通行。お前はまだまだ知らないことが多過ぎる。(主に常盤台の寮監とか)」
この副音声が流れたのは俺だけじゃないはず
またあのメールのやりとりが見たい
>>419
寮監様大好きなのにナチュラルに存在忘れてたwwwwwwそうか、あの人がいたな……
いやそもそもあの人は本当に一般人なのか小一時間(ry
>>427
次のメールネタについてはもう考えてあるんだけど投下するのはまだ先になる、ごめん
あと細かいとこだけど>>404の番外個体の台詞
×スーパーのレジ袋
○コンビニのレジ袋
です、そんなとこ誰も気にしてないだろうけど一応修正
では投下
―――ここで時間は数週間ほど前、あのファミレスでの出来事があった日に遡る。
消毒液の匂いが充満する病院の廊下を少女が一人歩いている。
肩につく程度の短めの茶髪に、名門常盤台中学の制服を着た少女。
超電磁砲、御坂美琴のクローンの一人であり、検体番号は10032号。
もっともその番号とは別に想い人に付けてもらった大事な愛称―――御坂妹という呼び名の方を少女は好んでいる。
カツコツとローファーの足音を響かせながら長い廊下を慣れた様子でまったく迷うこともなく進んでいき、彼女はとある部屋の前で立ち止まった。
<コンコン
御坂妹「失礼します、とミサカは礼儀上ドアをノックしてから入室します」ガチャ
「……おや、君か」
診察室の椅子に座り、ひとり手元のカルテに目を通していた人物は目の前の少女を認めるとその顔を上げる。
まったく同じ顔、ほぼ同じ体型をした他の妹達と彼女とをはっきり見分ける判断材料となる、いつでも少女が身に付けている胸元のネックレスがきらりと光る。
「何か用事かな?まあ大体分かっているんだがね?」
御坂妹「はい」
訳知り顔に返された言葉に少女はこくりと頷く。
彼女がその人物……冥土帰しと呼ばれる凄腕の主治医の診察室を訪ねた理由は一つ。
あの後、他の妹達(の内、主に一方派)から『お前が事のきっかけなんだしあの病院に住んでんだからリアルゲコ太にもっと詳しい話聞いてこい』とせっつかれたのだ。
少女はコホンと一つ咳払いをすると勿体振った調子で口を開く。
御坂妹「では率直に尋ねますが」
カエル医者「一方通行……いや百合子くん(笑)のことだろう?」
御坂妹「はい(笑)」
ぶふっっ、と二人の口から同時に笑いが漏れる。
御坂妹「か、垣根帝督と一方通行が再会し彼に一方通行の性別がバレました、とミサカはその瞬間の様子を思い出し笑いを堪えます……っぷww」
カエル医者「まったく堪えきれていないよ?ww」
御坂妹「す、すみませんwww」
くくっ、とどうしても腹の底から湧き出てくる笑いを無理矢理飲み込んで少女は呼吸を整える。
御坂妹「―――しかしですね、そもそも何故あなたは垣根帝督の治療を?とミサカは素朴な疑問をぶつけてみます」
カエル医者「うん?」
御坂妹「あれでも実際はとてつもない力を持った人物……安易に復活させて今後危険な企てを起こす可能性がまったくないとは言い切れないのでは?
とミサカは今更過ぎる心配をしてみます」
カエル医者「本当に今更だよね?」
カエル医者「いやいや。大丈夫だろうさ。あの第一位だって変わったんだ。
それは君たちが一番よく知っているだろう?だったら第二位の彼に変われないという道理はない」
御坂妹「……、」
カエル医者「まあ正確には変わったというよりも二人とも本来はごく普通の人間となんら変わりない実に子供らしい子供だったということだね?」
カエル医者「普通じゃない環境に置かれていたというだけで元々はそういう人間なんだろう」
御坂妹「……、そう、ですね」
カエル顔の医者の言葉に少女は一瞬その目を伏せ、それから神妙に頷く。
カエル医者「実際彼の治療はそこまで難解じゃなかった。
瀕死状態の中無意識下で彼自身がその能力を行使して命を繋ぎとめていたからね」
カエル医者「電極での補強はしたが肉体においては僕はただ元の通りに組み合上げる手伝いをしただけだね?」
御坂妹「……それを難しくないことだとあっさり言ってのけられるところがあなたの凄さですよとミサカは戦慄します」
カエル医者「それに仮にどんな相手であったとしても目の前の患者は全力で助ける。それが僕のポリシーだからね?」
御坂妹「そうですか。医者の鑑ですねとミサカはあなたを称賛します」
カエル医者「まあぶっちゃけるとその方が面白そうだからだけど」アッサリ
御坂妹「ぶふぅっっwwwww」
カエル医者「ぶはっっwwwwww」
再び痛む腹筋を押さえながら少女が思いきり噴き出し、つられて冥土帰しも机をバンバンと叩きながら笑う。
実に腹黒い。
御坂妹「というかあなた本当そこまで出来てなんで一方通行の性別はちゃんとした男にしてあげられなかったんですかwwwとミサカは……っくくwwww」
カエル医者「いやあ、事実そっちの方が難しいんだよ?
第一正確に言えば彼女は『男から女になった』わけじゃなく元々女性に近かったんだから本来あるべき自然な姿に戻してあげたと言って欲しいね」
御坂妹「そうですね、あのままじゃ一方通行は学園都市第一位の×××野郎でしたからね」
カエル医者「……」
御坂妹「……」
カエル・御坂妹「「ごふっwwww」」
まさに外道。
カエル医者「ああ、それと君たちは最近どうやら退屈していたようだったからね?
これは僕から君たちへのささやかなプレゼントだ」
御坂妹「え?」
意図しなかった意外な台詞に少女は間の抜けた声を漏らす。
しかしそれから一拍置くと納得したように自身の顎に手を置いた。
御坂妹「………なるほど。確かにここのところマンネリ気味だったネットワークが昨日今日と実に大盛り上がりでした、
とミサカはあなたの粋な計らいにグッジョブと親指を立てます」bグッ
カエル医者「喜んでくれたようで何よりだね?」
御坂妹「そういえば先日ヒントがどう、といったことを口にしていましたが」
カエル医者「ああ、垣根くんに“レベル5の一人が女の子になったよ”って言っておいた」
御坂妹「うわあ」
間違いなく外道。
御坂妹「ということは……まさか一方通行と垣根帝督が再会することはあなたにとって予定調和だったということですか?
とミサカは自身の推測を述べてみます」
カエル医者「うん。彼が退院する時にさりげなく『第七学区のコーヒーの美味しい喫茶店に行ってみるといいよ』ってアドバイスしておいたからね」シレッ
御坂妹「なんという策士……このカエル出来る……とミサカは本気で恐れおののきます」ガタガタ
御坂妹「……それにしても……なるほど、つまり一方通行があの時あそこまで乱心したのはそういうことだったんですね
とミサカは改めてグッジョブを送ると同時にあなたにだけは一生逆らわないでおくことを誓います」
カエル医者「その様子だと予想以上に随分面白い展開になったようだね?」
御坂妹「ええ、それはもう。街中で大暴露大会、罵詈雑言のオンパレードで大注目という一方通行にとっての黒歴史ページ大幅追加もののイベントでした……
とミサカはこのことはミサカネットワーク内で末永く語り草になるでしょうと満面の笑みを浮かべます」
カエル医者「僕にはいつも通りの無表情にしか見えないがね。
まあ君たちがそこまで喜んでくれるとは医者冥利に尽きるんだね?」
御坂妹「ちょwwそこ別に医者関係ないwwwただのお前の趣味だろwwww
とミサカはさらにツボに入りますwww」
カエル医者「ふはっwwww」
御坂妹「ふ、ふふっ……っくww」フルフル
まごうことなきド外道。
御坂妹「ああ、それと一方通行に新たなる迷言も生まれました。――――『処女はステータス(キリッ』」
カエル医者「ごふぁッッwwwwww」
酷い。あまりに酷い。
一方通行がこうした特異な身体に生まれてきたこと自体は彼女自身に何の罪もないというのに。
しかし一方通行がかつてやってきたことを鑑みればこれでも十分過ぎるほどに優しい対応であるといえよう。
悪の道を捨てた者の贖罪の道は長く険しいのである。
御坂妹「まったく、本当にあのモヤシはミサカたちを楽しませてくれる……とミサカは嗜虐心に溢れた笑いを噛み殺します」クックッ
カエル医者「君たちにそういった新しい感情が芽生えてゆくのは嬉しいね。
それにまあどうやら二人とも仲良くなれたみたいだし結果オーライってやつだね?」
御坂妹「確かにあの二人気持ち悪いくらい無駄に息ぴったりでしたとミサカは頷きます」ウン
カエル医者「第一位と第二位、限りなく近いところにいる二人としては自然と惹かれ合う部分があるんだろうさ。
表裏一体と言い換えてもいいかもしれないね」
御坂妹「………そちも悪よのう、とミサカは先日テレビで見た時代劇の台詞をあなたに使ってみます」
カエル医者「いやいや君たちほどでは、と僕も返してみようかな?
―――それに百合子くんをからかうネタはまだ仕込んであるんだよ?」
御坂妹「………ほう?」
底の見えない笑みを浮かべた冥土帰しの一言に少女はピクリと反応する。
カエル医者「例えば君たちのお姉さんに、ね?」
御坂妹「お姉様に……ですか?」
意図しなかったところから出てきた名前に少女はきょとんとした表情になる。
対してカエルのような顔をした目の前の医者はそれにただ含み笑いで答える。
御坂妹「……まあそれについては後のお楽しみということでここで深く追及するのはやめておきましょう
とミサカは一歩引く姿勢を見せます」ニヤリ
御坂妹「それにつけてもあなたのその深遠な謀略には敬服せざるを得ませんね、
とミサカはこの病院に住む全ミサカたちの代表として主治医のあなたに尊敬と感謝の意を捧げます」
カエル医者「とても光栄だね?」
御坂妹「他の個体に実にいい報告が出来ました。
では今日のところはこのへんで失礼することにしますとミサカはあなたに挨拶してから退室します」ペコリ
カエル医者「ああ」
軽く頭を下げてから少女はきびきびとした動作で診察室を出てゆく。
それを深く椅子に背を預けたまま穏やかに見送った冥土帰しは、
しかし彼女の足音が遠ざかったのを確認すると一人静かな部屋の中で唐突ににやりと口元を歪めた。
カエル医者「―――まあ僕の本当の目的はもっと違うところにあるんだけどね?」
自分以外誰もいない明るい診察室にぽつりと不穏な独り言が漏れる。
カエル医者「そう。僕の真の目的、それは……」
カエル医者「こうして少しずつ妹達に恩を作り最終的に彼女たち全員にナース服着用を義務付けることだ!!!!」バーン!
―――医者以前に人として間違っている男がそこにいた。
短いけどここまで
かっこいい冥土帰しが好きな人ごめんね、このssでは彼はこんなキャラです
相変わらず遅くてすまぬ、今月中には投下出来るよう頑張るから気長に待っててくれ
ゴメン、ちょっと本編が詰まってしまったからメールネタの方先に投下することにする
本当は後にするつもりだったからあんま時系列っつーか細かいことは考えないで
独立した番外編というかちょっとしたオマケ的な感じで読んで下さい
じゃあ投下
○月*日
【From】垣根
【Sub】なあなあ
-------------
夜中に突然ラーメン食いたくなる時ってあるじゃん?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
既にくだらねェオチが見え見えだが一応聞いといてやる
で?
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
昨日っつーか今日の俺がまさにそれだった
でも普通のラーメンじゃなくてインスタントが食いたい気分だったわけだ
つまりカップ焼きそば現象ならぬ即席ラーメン現象が丑三つ刻に唐突に俺を誘惑してきた
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
前置き長ェ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
塩だ
その時の俺は塩ラーメンが食いたくてしょうがなかった
そこで俺は肌寒い小雨の降る中一人で暗い夜道を歩いて近所のコンビニに駆け込んだ
レジのお姉さんがちょっと好みだった
でもそのせいでエロ本立ち読み出来なかった
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
無駄な小説仕立てうぜェ
あとどォでもイイ情報混ぜ込むのやめろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
で、買って帰って普通に作ったわけだが
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
そこは端折るのかよ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
ことここに至って初めて俺は気付いた
ああ、やっぱり俺が食いたいのは塩じゃなくて味噌だったんだ……ということにな!!!!
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
オメデトウ、俺の中の死ぬほどどォでもイイランキング堂々の第一位入賞だ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
そこで俺は思い付いた、家にある味噌をこの中にぶち込めば味噌ラーメンになるじゃねえかってな
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
夜中にオマエが一人でそンなことやってる姿想像したらやっと笑えてきたわ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
出来上がったラーメン食ったら異常にしょっぱいだけだった
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
オマエ本当に第二位か?
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
でも俺って常識が通用しない男じゃん?
諦めたらそこで試合終了じゃん?湘北全国に導けないじゃん?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
心配しなくてもオマエの頭の弱さは既に全国制覇出来るレベルだ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
汁をちょっと捨ててお湯を足してみたんだよ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
まだ続くのかよ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
そしたら今度は薄くなり過ぎてそんなことしてる間にどんどん麺が伸びて結局不味いままだった
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
こンな話に最後まで付き合った自分に嫌気が差してきたわ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
というわけで美味いラーメン食いに行きたくねえか?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
散々引っ張って言いたかったのそれかよ
一人で行け
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
奢るぞ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
明日の午後なら空いてる
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
お前意外とチョロいな
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
別に俺はさっきまでラーメンなンざ食いたくもなンともなかった
だがラーメンという文字の羅列を見てる内になンか食わなきゃいけねェような気がしてきた
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
実はそれが狙いだったからな
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
オマエやっぱ第二位だわ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
俺の情報操作に常識は通用しねえ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
画面越しでもオマエのドヤ顔が伝わってきてうぜェ
クソガキ共も連れてくぞ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
了解了解
んじゃまた明日適当にメールする
○月◎日
【From】一方通行
【Sub】おい
-------------
【From】垣根
【Sub】ん?
-------------
お前の方からメールしてくんの珍しいな
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
オマエまた香水変えただろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
まあ変えたけど
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
臭ェンだよ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
前の奴のがいい?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
うぜェ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
戻してもいいけど
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
何も言ってねェよ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
分かった、戻す
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
だから何も言ってねェ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
お前本当に分かりやすい
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
マジで嫌いならつけんのやめるわ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
別にそォは言ってねェ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
百合子ちゃんマジ分かりやすくて助かる
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ね
ナルシス臭全開の香害野郎じゃねェとオマエっぽくねェだろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
ありがとよ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
意味分かンねェ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
たまには素直になれって
【From】一方通行
【Sub】じゃあ
-------------
素直に死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
こんな時どんな顔すればいいか分からないの
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ねばイイと思う
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
俺が死んだ時は部屋の秘蔵のブツの処分はお前に任せる
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
キモいからやっぱ生きろ
あとオマエ最近ナチュラルに俺ン家入り浸ンのやめろ
なンで俺がコーヒー買って帰ってきたらオマエが普通に居間でくつろいでンだよ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
だってお前ん家居心地いいんだもん
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
つーかクソガキとゲームやる時は接待しろつっといただろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
例え小さな女の子相手でも容赦はしない!それが俺の流儀だ!!
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
最低野郎の最低発言頂きましたァー
【From】垣根
【Sub】実際
-------------
手ぇ抜いたら抜いたでお嬢ちゃん怒ると思うの
つかネットワーク使ってゲーム機本体に直接コマンド送るのは正直反則じゃね?
まあこっちも能力使って弾いてるけど
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
ガキ相手にムキになる男だせェ
アイツいつも番外個体にフルボッコされてるからイラついてンだよ、マジで手加減しろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
だが断る
この前ゲーセンで取ったあのカエルのぬいぐるみあげた件でチャラってことで
ところでお前ん家今日の晩飯なに?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
オマエに食わせるビーフシチューはねェ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
よし、すぐ行く
【From】一方通行
【Sub】なァ
-------------
遠慮とか謙虚な心一欠片も持ってねェクズ野郎ってどォ思う?
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
ああ、お前のことか
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
つーかもうお前ん家の近くまで来てますしwww
黄泉川お姉さんの手料理ホント大好きです
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
作ってンのがほぼ炊飯器な点においてあれは手料理ではないということが科学的に立証された
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
愛情さえあれば問題ない
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
オマエに分け与える愛情なンざ一欠片もねェつってるわ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
はい、ウソー(笑)
あの人がそんなこと言うわけありませーん
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
オマエのウザさは世界を狙える
【From】垣根
【Sub】ところで
-------------
コンビニ寄ってくけど要るもんある?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
イイから来るなら早くしろ、冷める
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
お前マジいい奴
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
さっさとしろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
もう着く
○月■日
【From】一方通行
【Sub】なァ
-------------
オマエに聞いて欲しいことがあるンだが
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
ん?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
ずっと言おうと思ってたンだけどよォ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
なんだよ?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
……やっぱイイ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
はあ?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
忘れろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
どうした
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
真面目に聞け
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
分かった
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
あのな……
俺、実は……
オマエのことが好きなンだ
【From】垣根
【Sub】えっ
-------------
一方通行……実は俺も前からお前のことが……
ワーストちゃん何してんだwwww
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
あちゃーバレた?www
【From】垣根
【Sub】wwwww
-------------
あいつ今いないの?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
最終信号と仲良くおデート行ってるよん
ねえねえミサカの百合子ちゃんのマネ似てた?
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
似てた似てたwww
つーかあいつやっぱ本物だったか……
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
まあぶっちゃけ黄泉川に頼まれておつかい(笑)なんだけどさあ
ケータイ忘れてくとかミサカにこれで遊んでって言ってるようなもんだよねえ☆
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
一方通行がおつかい(笑)
エロ画像とか入ってねえ?ロリものの
【From】一方通行
【Sub】ないや
-------------
つっまんねー!第一位つまんねー!
あ、でも前にミサカたちと撮った写メはしっかり保存してあった(笑)
もう消したとか言ってたくせにwww
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
どんだけツンデレだよあいつwww
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
ところでまた面白いの撮れたからそっちも後で送るねー
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
オーケーオーケー
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
やば、あの人帰って来ちゃった履歴消さなきゃ
じゃあまたねえ~☆
【From】垣根
【Sub】(non title)
-------------
なあなあ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
せめて用件ぐらい聞いてくれてもいいと思うんだが
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
なンだ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
コンビニにブラックの新しいやつ入ってた
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
マジか
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
期間限定らしいから今の内に買っとけ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
そォする
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
ところで彼女欲しいんだけどどうすればいい?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
パン咥えて曲がり角にでも突っ立ってろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
なんで俺が咥える側なんだよそこは女の子の方だろ
ていうかむしろ俺のを咥えて下さい
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
一つアドバイスしといてやるがそォやって下ネタ連発する男がモテるわけねェだろ死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
はい、モテない女の僻み頂きましたー
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
怒んなよ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
風俗行け
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
素人童貞とか……
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
しね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
あ、分かった妬いてんだろ
悪いけど俺に抱かれたかったら豊胸手術してから出直して来いよまな板女
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
やっすい挑発だな
その程度で煽ったつもりか、イイ加減オマエのおかげでこっちは耐性ついてきてンだよボケ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
じゃあこれからは感謝の意を込めて垣根様って呼べ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
調子乗ンな死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
だからいちいち語尾に死ね付けんのやめろつってんだろ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ね
【From】垣根
【Sub】これ
-------------
よくまだ一方通行にバレてないよな
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
は?
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
なんでもない
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
おい
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
間違えた
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
誰になンて送ろうとしやがった
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
気にすんな
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
番外個体か
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
なにが?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
番外個体だな?
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
何の話だ?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
特定した
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
すいませんでした
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
今すぐフォルダ内の画像全削除しねェとオマエの存在ごと消す
【From】垣根
【Sub】まあまあ
-------------
いいじゃねえかこれくらい
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
消す
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
額に肉書かれた上に腹出してるアホっぽい寝顔(笑)とか
お嬢ちゃんに髪弄られてリボン(笑)付けられてるアホっぽいお前も可愛いぜ?
↓特にこのうさぎエプロン(笑)装備したアホっぽいお前とか
(画像添付)
【From】一方通行
【Sub】なァ
-------------
穏やかに言ってる内に考え直せよ
またケータイ買い換えてェのか?
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
たった今全部削除しました
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
次アイツと妙なことしてたらオマエのケータイは逆パカ水没コース直行だ
あと一応ちゃンと消したかチェックするから明日家来い
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
第一位がたかが写メの一枚や二枚でムキになんなよ
浮気メール調べるヤンデレ女か
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
今からオマエの家に向かってコンクリートが飛ンでくから地球の自転が五分ほど遅れることになるがイイな?
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
なんていうか本当にすいませんでした一方通行様のチートさ舐めてました
それだけはどうか勘弁して下さい
○月☆日
【From】垣根
【Sub】(non title)
-------------
おい
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
なンだよ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
特に用はない
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
ならメールしてくンなボケ
【From】垣根
【Sub】と言いつつも
-------------
なんだかんだでいつも返してくれる一方通行なのでした
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ね
【From】垣根
【Sub】俺別に
-------------
ツンデレ萌えじゃねえからそういうのもういい
【From】一方通行
【Sub】こっちも
-------------
しつこくてウザくてホストっぽい名字が垣根で名前が帝督とかいう勘違い男がキモくて仕方ねェンだがどォすればイイ?
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
背が高くてイケメンでお金持ちの甲斐性ありまくりな超カッコイイ垣根帝督って男がどうしたって?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
そォいうのもうイイ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
ちっ、これだからノリ悪い奴は
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
そンなことより貸したDVD早く返せ
【From】垣根
【Sub】あー
-------------
悪い忘れてた、明日持ってく
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
感想三行
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
オチが弱い
ホラーとして及第点に達してない
正直微妙
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
クソガキはそれでビビりまくってたがな
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
子供ってそういうとこ可愛くていいよな
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
ロリコンは早く死ンで下さい
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
そっくりそのままお前にそのベクトルを反射してやるよロリコン(笑)
死ねって返すの禁止な
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
☆一方通行のデレ発言語録☆
・オマエと喋ってるとホントに飽きねェよ
・アリガトウ
・これからも普通にそこらの奴みたく!!オマエと遊ンだりしてェ………つゥか…
・まァそォいうバカは嫌いじゃねェよ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!
オマエマジふざけンなやめ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
途ww中ww送ww信www
動揺し過ぎだろお前wwww
【From】一方通行
【Sub】死ね
-------------
マジで死ね垣根死ね本気で死ね殺すやっぱ殺すホントにころ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
落ち着けwww
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかくきくこくくけくかきくこけくけくきくきこきか
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
いwwいww加ww減wwにwwwしwwろwww
俺の腹筋粉砕する気かwwwwww
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
?おーい
【From】垣根
【Sub】なあ
-------------
謝るからそろそろ機嫌直せって
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
メール切んのだけはやめろつってんだろホント傷つくから
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
一方通行ー
【From】一方通行
【Sub】よォ
-------------
復習させてくれよ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
は?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
オマエに貸した映画ってラストどォなるンだったっけ?
【From】垣根
【Sub】はあ?
-------------
いきなり何だよ
最後主人公の背後に殺人鬼が立ってるっつーありがちエンドだろ?
【From】一方通行
【Sub】正解
-------------
じゃあ次はカンタンなお勉強タイムだ
仏の顔も三度って言葉知ってるか?
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
え?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
私メリー。今オマエの家のドアぶち破るところ
スクラップの時間だクソ野郎
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
マジすいま
【From】垣根
【Sub】マジで
-------------
このことは謝りますんで電話出て下さい
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
なあなあ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
百合子ちゃんごめん
【From】垣根
【Sub】Re:
----------
からかい過ぎましたごめんなさい許して下さい
【From】垣根
【Sub】Re:
----------
お前とメール出来ねえの寂しいんだけど
【From】一方通行
【Sub】正直
-------------
あれはこっちもやり過ぎた、反省はしている
ドア代は弁償する
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
お前は一旦キレるとマジで怖いってことよく学べたからその授業料ってことでいいよ
つーかホント俺も悪かった
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
あァいうのはマジでやめろ
弁償はする、あと次食いに行く時は俺が奢る
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
お前そういうとこ変に律儀だよな
じゃあメシはいいから今度靴買いに行くの付き合ってくれ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
分かった
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
仲直りってことで
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
オマエやっぱバカだろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
はい
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
バーカ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
うん
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
ごめン
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
うん
○月▲日
【From】垣根
【Sub】よう
----------
百合子ちゃん元気~~?今何してる~~~??www
今日も相変わらず貧乳かwwww
【From】一方通行
【Sub】おい
-------------
また飲みやがっただろ死ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
勝手に決めつけんのやめろwww飲んでねーよwwww
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
本当だろうな
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
ビール一瓶しか飲んでない
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
飲ンでンじゃねェか!!イイ加減にしろ!!
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
ビールとか水だし
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
もォぜってェ面倒見ねェからな
【From】垣根
【Sub】はあ?
-------------
カンケイねーーーーよwww
つーか前々から言おうと思ってたがお前のその服クソだせぇわウルトラマンかwwww
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
今までのこと何一つ反省してねェじゃねェか死ね
オマエの羽の方がダセェよ
【From】垣根
【Sub】Re:
----------
不可抗力な現象についてまで貶すのやめろ白アスパラ
【From】一方通行
【Sub】Re:
----------
不可抗力な身体特徴についてまで貶すのやめろエセホスト
【From】垣根
【Sub】Re:
----------
やっぱムカつくわお前
【From】一方通行
【Sub】Re:
----------
こっちのがムカついてンだよバカ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
あれ、怒った?ねえねえ怒った~~~??ww
第一位のくせして人間小せえよバカwww
そんなんだから胸も小せえんだよお子様はクソして寝てろwwww
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
寝る
【From】垣根
【Sub】ごめんなさい
-------------
本当は一人で飲んでんのがちょっと寂しかったんです
お願いですからもうちょっと付き合って下さい
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
酔っ払いの絡み癖マジうぜェ
つーかオマエ黄泉川たちと徹マンすンのやめろ、ガキの教育に悪ィことすンな
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
徹マンってよく考えたらスレスレの日本語だよな
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
それ以上飲ンだらガチで殺す
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
酔ってるから言ってるわけじゃねえしwww俺の下ネタはデフォだしwwww
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
そろそろ本気でオマエと縁切りたくなってきたわ
【From】垣根
【Sub】すいませんでした
-------------
百合子ちゃんお願い、見捨てないで
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
キメェ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
俺のこと嫌いにならないで下さい
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
そのキモい敬語やめろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
俺ホントお前好きだし
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
知ってる
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
そうか
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
寝ろ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
寝る
おやすみ
ここまでです
なんていうかこう、気兼ねなくお互いの家行き来したりメール一本でふらっと一緒にラーメン食いに行ったり出来る友達っていいよね
しょっちゅう間が空いてごめんね、明日こそ投下する!宣言しとく!
それにしてもていとくんが可愛いって意見が多くてなんか意外だ
なんでだろう、基本下ネタしか言ってないのに……
―――とあるファミレス
垣根「一つ尋ねてもいいか一方通行」
百合子「なンだ」
垣根「お前今怒ってるか?」
百合子「怒ってるな」
垣根「なんかゴメン」
百合子「なンでオマエが謝ンだよ」
垣根「え?俺のせいじゃねえの?」
百合子「……なンか疚しいことでもあるよォな口振りだな」
垣根「正直心当たりがあり過ぎてどれについて謝罪すればいいのかさっぱり分からねえ」
百合子「……たった今俺の不快指数がさらに跳ね上がったわ」イラッ
眉間に皺を寄せながらぶすっとした顔でコーヒーカップに口を付ける一方通行を眺めて垣根は首を傾げる。
その疑問符を浮かべた表情にちらりと視線を投げると、一方通行は深くため息を吐いてテーブルにカップを置いた。
百合子「俺は昨日からイラついてンだよ」
垣根「ああ、なるほど。昨日はお前と会ってねえし俺が原因ってわけじゃなさそうだな」
百合子「はァ……」
垣根「ため息ばっか吐いてると若白髪になるぞ。って最初から総白髪だったなそういや」
百合子「殺すぞ」
垣根「言っとくがお前の方から急に呼び出したんだからな?
俺は今日一日家でだらだらする予定だったのに」
百合子「……悪かったな」
垣根「いや別にいいけど。お前が今怒ってる理由ってのはなんなんだよ」
百合子「………はァァァァ…」
垣根「……そんな深刻なのか?」
百合子「まァな…」
そう、先刻唐突にメールで自分をこのファミレスに呼び出してから一方通行はずっとこの調子で口数も少なく嘆息してばかりいるのだ。
普段向こうからは特にこれといった用事がない限りあまり連絡を入れてこない彼女がわざわざこうして呼び出したのだから
何かまた自分が気の短い一方通行の機嫌を損ねるようなことでもやらかしたのかと思えば、しかしどうやらそういうことではないらしい。
頭を抱えてひたすら項垂れている一方通行を不思議そうな顔で覗く垣根に、不機嫌な目を向けたまま彼女はふと気が付いて顔を上げる。
百合子「っつかそもそもオマエの方こそ家でだらだらってなンだよ」
垣根「ん?」
百合子「今更だがオマエ本来女作ンのが目的なンだろォが。
だったらンなこと言ってねェでさっさとそっちに精出すべきだろ」
垣根「そりゃ俺だって女の子に精出してえよ。性的な意味で」
百合子「……」
垣根「……」
垣根「あれ?『だからすぐ下ネタに走るンじゃねェよ!』ってツッコミは?」
百合子「もォいちいち突っ込ンでたらキリがねェことに気付いた」
垣根「………」←それはそれで寂しい
百合子「で、どォなンだよ」
垣根「いやマジで彼女欲しいよ、喉から未元物質出るくらい欲しいよ。
……でも出会いがないんだよ!!」
百合子「自分から作る努力もしないで出会いがないとか言っちゃう男って…」ウワァ
垣根「やかましい。……なあ、本当お前本当誰か周りに目ぼしい子いないの?紹介しろよ」
百合子「ふざけンな、俺はマジカルカナミンじゃねェンだぞ。
魔法のステッキもねェのにそンな言われてホイホイ都合よく用意出来るか」
垣根「カナ……ミ…?」
百合子「…………なンでもねェ。今のは忘れろ」←子供向け番組の知識を既に世間一般常識であるかのように錯覚してしまっている保護者の図
垣根「ふーん…?」
百合子「……なにニヤついてンだよ」
垣根「いや~……っていうか?そもそも?お前がこれからも俺と遊びたいとか殊勝なこと言っちゃうから?
俺はこうしてお前のために人生の貴重な時間割いて会ってやってるわけで?」
百合子「ごふっ…!?」ゲホッ
垣根「ん?なに焦ってんだ?」ニヤニヤ
百合子「がっ……!~~~っ、ふざけンな!
け、決定的なこと言ったのはオマエの方だろォが!!」
垣根「え?」
百合子「とも……………になってくれっつったのはオマエだろ!!」バン!
垣根「あ、」
百合子「あ……」
垣根「……」
百合子「……」
垣・百合「「……………」」←墓穴掘り合って結局どっちも恥ずかしくなったパターン=バカ
垣根「ま、まあその話は置いておくとしてだ」ズズッ
百合子「お、おォ…」ズズッ
百合子「……実際オマエは見てくれだけはイインだから黙ってりゃそれに騙されて寄ってくる女もいンじゃねェのか?」
垣根「だけとか騙されてってとこにイラッとするがまあいい。
……ていうか俺今まで逆ナンとかされたことないんだけど」
百合子「……それはオマエがずっと暗部にいて表と関わってこなかったからだろ?」
垣根「復活して足洗ってからもされたことないんだけど」
百合子「……」
垣根「……」
百合子「まァその話は置いておくとして…」
垣根「やめて。せめていつもみたいに『やっぱりな、中身の残念さが滲み出てるから女から相手されねェンだよオマエは』とか貶して。
本気で哀れまれると立ち直れない」
百合子「………オマエは本当に残念だなァ」
垣根「あ、やっぱ言われたら言われたで心底ムカつくわ。やめろ」チッ
百合子「何なのオマエ」
垣根「ぶっちゃけ本気でどうしたら彼女出来ると思う?
学園都市最高の頭脳でちゃちゃっと考えてくれよ」
百合子「こっちに丸投げしてきやがったコイツ…。そンなモン簡単じゃねェか」
垣根「え?マジで?」
百合子「オマエがナンパすりゃイインだよ」
垣根「えぇ~…?」
百合子「ああ?なンだよその反応」
垣根「いやだから問題はそこなんだって」ビシッ
百合子「は?」
垣根「だってほら、俺って腐っても第二位じゃん?未元物質垣根帝督じゃん?
スクールのリーダーやってた男じゃん?」
百合子「だからじゃンじゃン言うのやめろ」
垣根「で、今までいろいろ後ろ暗いこともしてきたわけだ。
となるとやっぱ普通の子にはそれだけでビビられちまうと思うんだよ」
百合子「あー」
垣根「俺としても基本的に一般人巻き込むのは主義に反するし。
もし今後俺に何かあったとしてその子にまで危害加わったりしたら目も当てられないだろ。
そうなるとある程度そこら辺相手は絞られるっつーか」
百合子「……オマエ意外と考えてたンだな」
垣根「テメェは本当ナチュラルに俺のこと見下してやがるな」
垣根「まあ結論を言うとつまりお前が俺とワーストちゃんの交際を認めてくれればそれで万事…」
百合子「あ゛?」ビキッ
垣根「お前どんだけファミコンだよ…」
百合子「……マジでアイツらに手ェ出そうとすンのだけは許さねェぞ…?」ゴゴゴゴゴ
垣根「冗談だから、しないから睨むな。お前顔怖ぇからホント凄むと迫力あんだよ…」
垣根「―――でもよ、実際問題お前今からそんなんで大丈夫なのか?」
百合子「あァ?何がだ」
垣根「例えばお嬢ちゃんに将来彼氏出来て『娘さんを僕に下さい!』とか言ってきたらどうすんだよ」
百合子「……」
垣根「……」
百合子「……」
垣根「……」
百合子「……」ジワッ
垣根「ごめん、ごめんな?辛い想像させてごめんな?大丈夫だから。
今すぐお嬢ちゃんがお前の前から消えたりするわけじゃねえんだから。だから泣くなって、な?ほらほらよしよし」ポンポン
百合子「泣いてねェよ…泣いてねェよ…」グスッ
垣根(ほんとメンタル弱ぇなこいつ…)
垣根「うーん…。にしてもお前のそれって父性なのかねえ」
百合子「………はァ?」
垣根「いやほら親って異性の子供により執着するっつーか父親なら娘、母親なら息子が可愛いとか言うじゃん。
お前の場合そこまでお嬢ちゃん溺愛してるのはやっぱ父親的心情なのか?」
百合子「知らねェよ…っつかだから中身まで女になったつもりねェつっただろ。
…………ていうか?そもそも?別に打ち止めにいつか男出来たとしても?全然、まったく、これっぽっちも寂しくなンかねェし?」
垣根「……」
百合子「娘さン下さいとかむしろどォぞどォぞって感じだし?
逆にあンなぴーぴーうるせェクソガキ貰ってくれるとか有り難ェし?」
垣根「……」
百合子「こっちも騒がしいのがいなくなったら清々するし?
毎朝ベッドにダイブかまされたりすることもなくなって平穏な日々送れるようになるし?」
垣根「……」
百合子「コロコロ表情変えやがるあのガキ臭ェツラ毎日拝む必要なくなるとか……ハハッ、最高じゃねェか…。
そンときゃ……爆笑しながら……あっさり送り出してやる……し…」カタカタカタ
垣根「もういいっ…!休めっ…!もう休めっ……!痛々しくて見てられねえ……っ!」
百合子「イインだよ……そりゃ俺もアイツとずっと一緒にいてェとか思ってたけどよォ。
アイツが本当に幸せならそれ以上に望むモンなンざ何一つねェンだ…」
垣根(こいつこんなだからロリコンって言われんだってなんで気付かねえんだ?)
垣根「そういや今の話で改めて思ったんだが」
百合子「あ?」
垣根「ずっと気になってたんだけどそもそもお前って既に完全に身体は女なの?マジでもう付いてないの?
ていうか最初は付いてたの?まさかふたなり(笑)的なアレだったりすんの?」
百合子「……オマエは本当ナチュラルにそっち方面に舵切ってきやがるな。死ねよ最低野郎」
垣根「いやいやマジで。真面目に。だってそういうのってエロ漫画の中だけの話かと思ってたし」
百合子「死ね。食い付いてくンな死ね」
垣根「×××××あんの?あとブラジャーしてんの?ついでに出先で用足す時ってやっぱ女子トイレ入ってんの?」
百合子「……」
垣根「ぶっちゃけ自分の身体見て欲情したりしねえの?ていうかそもそもお前性欲あんの?」
百合子「……」
垣根「つーかよく考えたらお前女湯入り放題じゃん何それずるい。
いや、それ以前にそのままじゃお前一生処j…」
百合子「」カチッ
垣根「申し訳ありませんでした」
百合子「俺だって……俺だって普通の男に生まれてきたかったンだよ…」
垣根「あー…うん、悪かった。ごめん」
百合子「……元々ホルモンバランス崩れてるから女か男か分かンねェ見た目してンのは仕方ねェとは思ってたけどよォ…。つーか実際そのせいでもあるし」
垣根「ああ、反射で外部刺激が少なかったってやつな」
百合子「それが今はこの通り妹達の補助受けて生活してっから普段はせいぜい紫外線とかしか反射出来なくなってるわけだ」
垣根「なるほど。つまり最近になって急激に外部刺激受けるようになったから今まで崩れてた本来のバランスが戻ってきたってことか」
百合子「……そォなるな」
垣根「……あれ?ってことはもしデフォで完璧に反射効くままだったらお前今どうなってたわけ?」
百合子「……多分まだ完全に自分のこと男だと信じきって生きてただろォよ…」
垣根「うわあ…」
百合子「チクショォ、笑えよ!!どォせ俺は男としちゃ欠陥品だし女としても半端者なンだよクソがァ!!
気持ち悪いとか思ってンだろオマエも!!自分でも気色悪ィわクソが!!」ガン!
垣根「いや、思ってねえよ」
百合子「ざけンな、今までも散々いいとこなしだのマニアックな変態にしか需要ねェだの好き勝手言ってきただろォがオマエは!!」
垣根「別に本気で言ってる訳じゃねえよ。というより別に俺はお前がお前でさえありゃそれでいいんだよ。
中身がそのまんまなら男だろうが女だろうが見た目が違おうが何歳だろうがお前は一方通行だろ」
百合子「………、」
垣根「性別選んでつるんでる訳じゃねえんだよこっちは。
つーかお前そうやって自分のこと卑下するとこ治すっつったばっかじゃねえか」
百合子「…………ごめン」ボソッ
垣根「おう」フフン
百合子「そのドヤ顔ホントうぜェ…」
垣根「はいはい」
百合子「……ふン」
垣根「ていうか元を辿ればお前だってある意味被害者じゃねえか」
百合子「あン?」
垣根「あれだろ、あの研究者の木原数多にずっとお前は男だって騙くらかされてたんだろ?」
百合子「あ゛ァ!?オマエ木原くンディスってンのかァァァァァァああああああ!!!!」ガターン!
垣根「…………え、えぇ~?」
垣根「いや……だってそもそもの根本的な原因そいつなんだろ?」
百合子「……う…」
垣根「そいつに妙なこと吹き込まれてなきゃもっと早く気付いてたっつーかそもそも勘違い自体してなかったんじゃねえの?」
百合子「ぐっ……」
垣根「大体木原一族って確かにエリートだけどぶっ壊れた研究ばっかしてることで有名じゃねえか」
百合子「…………………ハッ!これだからド素人は…。まァイイ、木原くンの良さは分かる奴にしか分かンねェンだよ」フフン
垣根(あれ?こいつなんかおかしくね?)
百合子「木原くンはなァ、そこらの生っ白いインテリちゃンと違ってなァ、身体も鍛える文武両道な努力家なンだよ。
俺やオマエみてェな能力頼みの奴らとは違うンですゥ~木原くンは凄い人なンですゥ~。あァそォいや昔俺が木原くンに……」ペラペラ
垣根(……なんか勝手に語り出したし…。つーかそいつが身体鍛えてたのってこいつ殺すためだよな…?)
百合子「クリスマスには俺のためにケーキ焼いてくれたりしてなァ」
垣根「ごふっっ!!ww」ビシャッ
百合子「………おい、なンで噴き出した」
垣根「なっ、ちょ、え…?」
垣根「待て待て待て、木原数多ってあれだよな、顔面刺青のいかついオッサンなんだよな?それがお前にケ、ケーキ焼いてたわけ…?」フルフル
百合子「そォだ」キッパリ
垣根「……………」
垣根(一方通行ー、ケーキ焼けたぞ~(^0^)ノ)
垣根「ごふぁッッッwwwwww」
百合子「……だから何がおかしいンだよ」
垣根「何もかもがおかしいだろ!!なんなのお前!?
ヤクザみてえなツラしたおっさんがエプロン装備で手作りケーキとかシュールにも程があんだろ!!気付けよそのおかしさに!!」バン!
百合子「本気で意味が分かンねェ…。なンでいきなり怒鳴ってンだオマエ……引くわ」
垣根「ふざけんなよテメェそんな天然キャラじゃねーだろ!!お前にとっての木原くんは一体何なんだよ!?」
百合子「えっ。な、なにって……そりゃ…」ソワソワ
垣根「なんでちょっと恥じらってんの?ホントになんなの?……ああ、思い出した。
確かにお前泣き喚いた時に木原くん木原くん言ってたなそういや。実はそんなファザコンキャラだったのかよお前…」
百合子「ファザ……き、木原くンが……俺の父親…」カァー
垣根「………なにこのキャラの崩壊っぷり。もう突っ込むのも面倒臭ぇよ。
この前握手して別れた時のお前はどこ行っちまったんだよ…あの時の余韻を返せよ…」
百合子「オイ、つーか今オマエ木原くンつっただろ。
気安く木原くンのこと君づけで呼ンでンじゃねェぞクソメルヘンぶち殺すぞ」ペッ
垣根「やべえ、いい加減こいつぶん殴りてえ」
百合子「木原くンはなァ、料理だけじゃなくゲームも上手くってなァ。
同年代の遊び相手なンていなかったから木原くンがいつも忙しい仕事の合間縫って相手してくれたンだけど俺はいつも負けっぱなしでさァ…。
ちなみにブラックコーヒーの美味さを教えてくれたのも木原くn」
垣根「いやもうそいつの話はいいから…」
百合子「あと正しい人探しのやり方とかも教えてくれたな」
垣根「………正しい人探し?」
百合子「あァ。女限定だがとりあえずスカート捲って中身晒しときゃ大抵の野郎は向こうから顔出してくるって…」
垣根「おっさん子供時代のお前に何教えてんだ!?ただの変態じゃねーか!!」
百合子「あ゛ァ!?誰が変態だ!?オマエやっぱ木原くンディスってンのかァァァァァァああああああ!!!!」
垣根「こいつ面倒臭ぇぇぇぇえええええ!!」
垣根「ていうか……お前そこまで父親大好きっ子ならなんでそいつ殺しちまったりしたんだよ」
百合子「……」
垣根「……」
百合子「……」
垣根「……分かった。俺が悪かったから、頼むから泣くのはやめろって」
百合子「だから泣いてねェよ…」グスッ
垣根(なんていうか……こいつ本当家族に餓えてたんだな)
垣根「まあ木原の話はとりあえずいいとして……いい加減本題に戻るが結局お前が昨日からイラついてるっていう理由は何なんだよ?もし相談でもあんなら乗るぞ」
百合子「……あァそれか…。それがよォ」
prrrr prrrr
垣根「ん?お前のケータイか」
百合子「……………」
垣根「?出ねえのか?」
百合子「……イイ」
垣根「なんでだ……あ、分かったあれだろ。例の露出狂?なんか時々かかってくるよな」
百合子「……うるせェな」
垣根「なに、もしかしてストーカーでもされてんの?」
百合子「オマエには関係ねェよ」
垣根「?まーいいけど。出んの嫌な相手なら着拒すりゃいいじゃねえか」
百合子「だからオマエには関係ねェ」
垣根「なに言ってんだよ、なんかあったら言えっつったじゃん。水臭ぇぞ」
百合子「……、いや。本当になンでもねェから気にすンな」
垣根「いまいち釈然としねえな。まあお前がそう言うならいいんだが」
百合子「それよりも話を戻すぞ。………アイツいンだろ。三下」
垣根「あ?あー、あのツンツン頭な。そういやあいつどうした?
なんか二人で話し合うだのなんだの言ってただろ」
百合子「だから昨日会ってきたンだよ」
垣根「ほうほう、やっと話が見えてきたね。それで?
……まさかボコボコにしたりしてねえだろうな」
百合子「流石にしてねェよ。マジでアイツにはデカ過ぎる借りがあンだ、感謝しこそすれボコすとかもォあり得ねェンだよ。
あン時のことだって殆ど俺が勝手に逆ギレして八つ当たりしちまっただけだしよォ…」
垣根「いやそれにしたってあいつも命知らずつーかなんつーか…。
普通の神経してたらお前に鈴科百合子なんて名前付けられねえよ。いろんな意味で」
百合子「そのことには触れンじゃねェよ!!
……そもそもアイツはこっちの能力無効化してくるから仮にやり合おうとしたところで無駄だ」
垣根「…………はい?」
百合子「超能力だとかレベル5だとかそンなチャチなもンじゃ断じてねェ。もっと恐ろしいものの片鱗を俺は味わった…」
垣根「なにそれこわい」
百合子「オマエ正直自分のこと結構チートだと思ってるだろ?だがな、真のチートってのはそンなモンじゃねェ。
イイか、アイツの場合に限って常に最悪のケースを想定しろ。奴は必ずその少し斜め上を行く」
垣根「どういうことなの……」
百合子「ぶっちゃけアイツに殴られンのマジ怖ェ。打ち止めが嫁に行っちまうとこ想像した時並みに怖ェ…」ガタガタ
垣根「……」
百合子「にしても……にしてもあンの三下ァァァァ…!」ギリギリギリ
垣根「一体何があったんだよ……」
百合子「…………詳しく問い詰めたらアイツグループの連中だけじゃなく他の奴にまでバラしてやがることが判明した」
垣根「……あー」
百合子「クソが…なンでこう上手くいかねェンだよちくしょう…」
垣根「……それに関してはもう仕方ないと思って諦めろ。こんだけ広まってたら今更隠すの無理だろ、早いか遅いかの違いだけだ。一人二人知ってる奴増えたっていいじゃねえか。
ていうか未だにお前が隠し通そうと思ってたことの方が驚きだよ」
百合子「理屈じゃねェンだよ!!
オマエ俺の立場になってみろ、精神ダメージどンだけデカいと思ってンだ!?」
垣根「……あ、確かに想像しただけで死にたくなったわ」
百合子「だろォが…」シュン
垣根「そう落ち込むなよ。ああそうだったほら、俺今までの諸々の詫びとしてあの喫茶店の代わりに他のコーヒー旨い店探しといたんだよ。
愚痴ならいくらでも聞いてやるからとりあえずそこでも行って落ち着こうぜ、な?」ポン
百合子「垣根……」
垣根「あ、ところでその知られた奴って誰なんだ?
つってもまあどうせ俺の知らない相手だろうから聞いてもしょうがねえか」
百合子「あァ……浜面って無能力者だ」
垣根「ふーん、浜面か。浜面…………浜面!!??」ガタンッ
百合子「!?」ビクッ
垣根「え、ちょっと待て。それってまさかあのアイテムの下っぱの!?」
百合子「……あ?あー…そォか、そォいやアイテムの連中とドンパチやってンだったなオマエ。つーかアイツとも直接面識あったのか…」
垣根「え、待て。お前こそなんであの無能力者と知り合いなわけ?」
百合子「……説明すンの面倒臭ェな。まァいろいろあって今はアイツとは三下も含めて有事の時に共闘したりしてンだよ。
つってもここンとこは至極平和だからしばらく顔合わせてねェが」
垣根「………因果は巡るってやつかねえ」
百合子「今はアイテムは再結成して浜面も正規要員になってンだ」
垣根「へえー」
百合子「正直浜面自体に知られンのはどォでもイイ。アイツなら一睨みしときゃいくらでも口止めは出来る。
が、どォせアイツも既にアイテムの他の連中にバラしてるに決まってンだよ…」ハァ
垣根「あー」
百合子「あァそォだ。それで思い出したがオマエンとこのドレスの女だけどな。
あの抗争のあと残った組織の寄せ集めで作ったチームに所属したらしい。浜面から聞いてたわそォいや」
垣根「は?」
垣根「……あー、そういえばお前俺のケータイぶっ壊した時にドレスの女うんぬん言ってたよな。なるほど、そういうことか」
垣根「そっか、じゃああいつ生きてんのか。
まあしたたかな奴だからちゃっかり生き残ってるだろうとは思ってたが。そりゃよかった。っつーと今って…」
百合子「流石に今どこで何してンのかまでは分からねェがもォ普通の生活に戻ってンじゃねェか?」
垣根「そうか。いや、正直俺のせいでスクール潰しちまったからあいつにゃ悪いことしたと思っててな。
まあ今となっちゃあの時一回お前にぶちのめされててよかったと思ってるけど。ちょっとすっきりした」
百合子「なンだかンだ仲間だった奴のことは気になンのか?」
垣根「仲間なんて言えるほどの関係でもなかったけどな。
でもそれなりに長い付き合いではあったし……今更だがもっとまともに互いのこと知っときゃよかったな」
百合子「いや、別に向こうはオマエのことなンざ知りたくもなンともねェと思うがな」
垣根「……頼むからそうやってピンポイントで俺を傷つける発言すんのやめてくれねえか。
ま、縁がありゃまたあいつともどこかで会うことあるだろ」
垣根「それにしてもアイテム、ね。そういやあの能力追跡の子可愛かったな。
なんか電波入ってる感じではあったけど」
垣根「……つうかなんであの失敗面にあんな可愛い彼女がいて顔も頭もスタイルもいい俺にはいねえんだよ世の中間違ってんだろ。なんか腹立ってきたな」ムカムカムカ
百合子「だから自分でそォいうこと言っちまうとこがダメなンだってなンで気付かねェンだよオマエは」
垣根「何言ってんだ、イケメンは正義だろうが」
百合子「オマエ心底気持ち悪いな。キモいじゃねェ、気持ち悪いだ。
中身の伴わない軟派野郎はハナから論外なンだよ」
垣根「俺は中身も二枚目だろ」
百合子「それはまさかギャグで言ってンのか?」
垣根「こいつ…」ピキピキ
百合子「実際女と見りゃ見境なくすぐ飛び付くよォなオマエよりは浜面の方が数千倍マトモだと思うがな」
垣根「なんだよお前俺よりあいつの肩持つわけ?」
百合子「妬いてンじゃねェよ」
垣根「妬いて欲しい?」
百合子「オマエを消し屑になるまで焼き尽くしたくなる衝動には多々駆られる」
垣根「相変わらずの毒舌クオリティでなによりだ」
垣根「んー、でもそうなるとあとはあの怪力チビと麦野と………………そうだ、麦野だ!!!!」ガタッ
百合子「は?」
垣根「そうだよあいつかなりいい線いってんだよ、老け顔だけど美人だし俺の好きなムチムチ系だし…」
百合子「………まさかとは思うがオマエ第四位のやつ口説こうとでも思ってンのか?」
垣根「うん」
百合子「先に言っとくがそりゃ無理だ」ヒラヒラ
垣根「はあ?なんでだよ、また俺の中身が残念だからとかなんとか言うんだろ。
こっちにだって可能性はちゃんとあるんだよ」
百合子「……いや、オマエ第四位のこと思いっきり叩きのめしてンだろ?
それでなンで上手くいくと思えンだよ」
垣根「俺とお前だって殺し合ったけど今はこうしてんじゃん」
百合子「それとこれとはまた別だろォが。
つーかその問題抜きにしても無理だ。アイツあからさまに浜面に惚れてンだろ」
垣根「――――は?」
垣根「え、ちょっと待て。え?あの麦野が?……浜面に?」
百合子「あァ、ありゃ惚れてる。完璧に惚れてる。どっからどォ見ても惚れてる」
垣根「……でも浜面はあの能力追跡の女と付き合ってんだろ?」
百合子「そォだな」
垣根「…………………」
垣根「え、なにそれ。死ねよ。あの無能力者死ねよ。
爆発しろっつーか四散しろっつーかなんかもうこの世のありとあらゆる苦痛を受け続けたあとにもっとも残酷な方法で死ねよ」
百合子「……オマエの気持ちも分からねェでもねェがやめとけ。男の嫉妬は見苦しいぞ」
垣根「いやでも逆にアリじゃねえか!」
百合子「あ?」
垣根「そうだよ、浜面にフラれて傷心の麦野!それを慰める俺!女の心の弱味につけこんで靡かせる完璧な作戦だ!!」カッ
百合子(あ、やっぱキメェわコイツ)
垣根「……」ジーッ
百合子「……こっち見ンな」
垣根「なあなあ」
百合子「まァ…浜面に連絡取るだけなら取ってやらねェこともねェ」
垣根「さっすが一方通行!」ガシッ
百合子「手ェ握ンな。言っとくが俺は絶っっっっ対行かねェからな?」ギロ
垣根「分かってる分かってる」
百合子「はァ……」ガサゴソ
再び大きなため息を吐きながら一方通行はいかにも面倒臭いといった顔でポケットから自分のケータイを取り出す。
カチカチとアドレス帳から相手を呼び出し通話ボタンを押すと数回のコール音が続く。
prrrr prrrr prrr…ピッ
百合子「―――俺だ。よォ、久しぶりだなァはーまづらくn……いきなり叫び声あげてンじゃねェようぜェな」チッ
百合子「そうそう、早速だがオマエ三下から愉快な俺のお話聞いちまったそォじゃ………ビビンな、別に怒っちゃねェよ三下の奴が勝手に口滑らせたンだろ?」
百合子「話はそっちじゃねェ。
イイからオマエは黙ってこっちの用件聞いて返事だけしてろ、余計なことは一切喋ンな言及すンな。……あとビビンな」
百合子「あァ、ちっとオマエらに会いてェって奴がいるンだが……あン?
いや大丈夫だ心配……だからビビンな。あァ、あのファミレスか」
百合子「分かった今から行く。急で悪かっ…………だからビビンなつってンだろォが終いにゃぶっ殺すぞコラァ!!!!」ブチッ!
垣根「その言い方が余計ビビらせてんだろ……いい気味だけど」
百合子「とりあえずアポは取った。
アイツらがいつも溜まってるジョセフっつゥファミレスに今もいるらしい。場所は分かるか?」
垣根「ああ、そこなら知ってるぜ」
百合子「ならまァせいぜい無様に尻尾巻きつつ第四位にフラれてこい。……くれぐれも余計なことまでくっちゃべンじゃねェぞ?」
垣根「玉砕前提で話してくんのがムカつくがありがとよ。
んじゃ喫茶店の方の場所はメールで座標送ってやるよ」パカッ メルメル
百合子「ン、」メルメル
ここまでです
宣言したくせに結局遅れてごめんなさい
次はみんな大好きあのキャラやあのキャラが出てくるよ!
ではまた
―――――
同じ頃、また別のとあるファミレスの一角で浜面仕上は焦っていた。
いや、正確にはビビっていた。
滅多なことがない限り向こうから連絡を入れてくることなどまずない一方通行からかかってきた突然の電話。
しかも大いに心当たりがある。
しかしなけなしの勇気を振り絞り死を覚悟して出てみれば何やら向こうの用件はそのことではないと言う。
それでも極度に混乱した今の頭ではこの状況を上手く処理することが出来ない。
浜面(……なになに、なんなの!?会いたい奴ってなに!?俺を抹殺するための刺客!?)
一応電話口で一方通行は別に危険な奴じゃないから心配しなくても大丈夫だと伝えているのだが、
完全にテンパっている現在の浜面にはとにかくこれからここに一方通行が差し向けた(と思い込んでいる)誰かがやってくる、くらいの情報しかまともに理解出来ていない。
浜面(どうしよう、逃げた方がいいのか?いや、そっちの方が後が怖い…)
一方通行のあのドスの効いた声を思い出しぶるぶると震える。
浜面(……ていうかそもそも悪いのはあの大将なんだかんね!俺は悪くないからね!!!)
~浜面くんの回想~
上条『はああああ……不幸だー』ブツブツ
浜面『ん?あれー、そこにいんのって…』
上条『え?……ああ浜面か。よう、奇遇だな~』フラフラ
浜面『おっす、久しぶりー…ってなんか元気ないじゃん。どうしたよ師匠』
上条『師匠はやめろって…。いや、ちょっといろいろありまして。
それより最近そっちはどうだ?』
浜面『相変わらずの雑用人生だよ……あと麦野のサンドバッグ係』
上条『はは、楽しそうで何よりだ』
浜面『はは、じゃねーよ!ねえ俺の話聞いてた?人間の口は血ぃ吐くためについてるものじゃないからね?
呻き声あげたらもう一発入れられるから恐怖を押し殺して黙ってる俺の気持ち分かる!?』
上条『お前はまだまだ全然いいよ…。
俺なんてもしかしたら今度一方通行に殺されるかも…』ガクガク
浜面『え?』
浜面『なになに、あいつとなんかあったの?』
上条『ええまあ……トホホ』
浜面『なんか深刻っぽいけど……心配しなくてもあいつがアンタ本気で殺しにくるわけないって、なんかヒーローとして妙に憧れられてるじゃん。
麦野の場合本気で来るかんね?全力のボディーブロー入れてくるからね?』
上条『……そ、そうだよな!いくら上条さんが不幸だからって流石にそれはないよな!!』
浜面『そうそう、だから……』
上条『なんだかんだ言っても一方通行も女の子だもんな!うんうん、よしちょっと気が楽に…』
浜面『………………え?』
上条『………………あ、』
浜面『女の……子?』
上条『…………死んだ』
浜面『』
浜面『えっ、え、ええええええぇぇぇぇえええ!?!?
なに、あの第一位女だったの!!??マジで?……マジで!?ソースどこ!?』
上条『……すまん、浜面』
浜面『は?』
上条『いや……ね?あいつちょっとフクザツな事情があってそのこと周りにバレるの嫌がっててね?』
浜面『え、待って待って待って、嫌な予感しかしな…』
上条『………このことお前にまでバラしたの分かったら最悪二人まとめて消されるかも☆』テヘペロ
浜面『いやあああああああああああ!!!!』
浜面(ていうかなんで俺にバラしたこと馬鹿正直に一方通行に言っちゃったの!?
黙ってりゃいいじゃん!!もうやだあのヒーロー、仕上ついていけない!!)
浜面(ああ、俺の人生もここまでか。短かったなあ。
いや、それでも滝壺という最高の彼女を持てて幸せだった、悔いはな…………あるよ!!めちゃくちゃあるよ!!)
浜面(だってこれからもまだまだ滝壺とイチャイチャしたいし!
そういえばこないだ借りたAVもまだ返してないし!部屋に貯まってるバニーさんコレクションとか!!)
一人脳内大運動会を繰り広げウンウン唸り声をあげていた浜面だったが、
ふと我に返ってぴたりとその動きを止めると自分の頭を抱えていた両腕を力なくだらりと落とす。
浜面「………一体誰が来るっていうんだよ…」
~~~
とぼとぼと浜面が自分の席に戻ると、それまで手元の雑誌に目を落としていた小柄な少女が顔を上げる。
絹旗「浜面超遅いです。電話誰からだったんですか?」
浜面「いや……なんていうかごめんなさい。生まれてきてごめんなさい」
絹旗「は?」
滝壺「………まさかオンナ?」ビキッ
浜面「ち、違う違う違うから!あ、いや違わなかった」
滝壺「はまづら……?」ビキビキッ
浜面「あああああもう一本別の死亡フラグが立ったああああああ!!!」
絹旗「うるさいです、超静かにして下さい。浜面はやっぱり超浜面ですね」ハァ
浜面「………、」
その少女――絹旗に冷たくあしらわれ、さらには自分の恋人であるはずの滝壺にまで疑いの眼差しを向けられて浜面は心底傷ついた表情で押し黙る。
しかし彼はそれでも上条ほど間は抜けていない。
この衝撃の事実を知ったからとて、安易にアイテムの他のメンバーに話したりはしていなかった。
浜面(それにしてもあの一方通行がなあ)
確かに女顔だとは思ってたけどまさか本当に女だったとは。
浜面(もしかして処女だったり、なんて………ああっごめんなさいごめんなさい許して下さい!!)ヒィィ
自分の心の中で呟いただけの台詞に速攻で謝り倒す浜面はやはりどこまでいっても浜面である。
シートに凭れかかってだらだらしている絹旗と滝壺の二人を沈んだ顔で眺め、
それから彼はふとあることに気付いてキョロキョロと辺りを見回す。
浜面「えーっと、ところで麦野はどうした?まだ来てないのか?」
絹旗「ああ、麦野なら今日は一人でショッピングに行くそうなんで超来ませんよ」
浜面「あ、そうなのか。ていうか珍しいな、あいつ大抵いつも買い物の時は荷物持ちに俺連れ出すのに」
絹旗「あれじゃないですか、この前麦野に30秒でドリンク取ってこいって言われたのに
浜面が超モタモタして34秒もかかったことまだキレてるんじゃないですか?」
浜面「たった4秒遅れただけのことでまだキレられてんの俺!?」
絹旗「というか浜面は存在からして超浜面ですからただそこに立ってるだけで超浜面なんですよ」
浜面「俺が俺であること自体が罪みたいな言い方すんのやめてくんない!?
もはやまともな日本語にすらなってねえし!!」
滝壺「………買い物じゃないよ」ポツリ
浜面「え?」
浜面が必死で絹旗に抗議している途中、ぽつりと滝壺の口から小さな言葉が洩れる。
滝壺「買い物だけど、買い物じゃないよ」
絹旗「?超どういうことですか滝壺さん」
その言葉の意味を計りかねて絹旗が尋ねると
ピンクジャージの少女は心なし俯いて、いつも以上にゆっくりした調子の声で呟く。
滝壺「むぎのはショッピングって言ってたけど………本当はきっと、フレンダのところに行ってる」
浜面「あ…」
絹旗「……」
浜面「………そっか」
滝壺「うん」
途端にその場にしんみりした空気が流れる。
麦野がフレンダという少女に対して胸中どんな気持ちでいるか、この場にいる三人は大体のところは理解しているつもりだ。
けれど底の底の方にある想いまでは分からない。
既に吹っ切れたとは言ってはいても、
こうしてわざわざショッピングだと嘘をついて一人で彼女の元を訪ねに行く程度には麦野の心情は複雑なのだろう。
ただでさえプライドの高い彼女のことだ。
それにフレンダのいるあの場所に入ることが出来るのは麦野ただ一人だと暗黙の了解で決まっている。
しかし全員がどことなく感傷的な感情に浸っていたまさにその時、
その空気をぶち割るように浜面の肩に手が置かれ、背後から軽い声がかかった。
「よお、待たせたな」ポン
浜面「来たああああああああ!!!!」ビックゥ!!
一気に現実に引き戻され、浜面は直立したまま怯えた顔でバッと振り返る。
浜面「ついに来ちゃっ…………え?」
滝壺「……!!」
絹旗「なっ……!?」ガタッ
その顔を見た瞬間、浜面の叫びは間の抜けた疑問符に変わり、いつもは眠たそうな滝壺の目が大きく見開かれ、
そして短い驚きの声をあげて思いきり立ち上がった絹旗の瞳が、隠しきれない動揺に激しく揺れる。
―――細身の長身に端正な顔立ち、毛先の少し跳ねた長めの明るい茶髪と着崩したブレザーのような服装。
けれどもその人目を引く派手な容姿よりもことさらに強い印象をこちらに与えてくるのは……
いかにも酷薄そうな、底の見えないその目と口元。
自分たちはこの男を知っている。
そう、今目の前に立っている人物は間違いなくあの――
絹旗「垣根………帝督ッッ!!??」
――――
また同じ頃、先程のファミレスで垣根と別れた一方通行は
メールで送られてきた座標に従い教えられた喫茶店に向かって歩いていた。
百合子「アイツはそろそろ浜面たちに会ってる頃かねェ」
カツカツと杖をつきながらひとりごちる。
百合子(どォせ第四位にゃ相手にされねェだろォが)
百合子(でもまァアイツ俺とクソガキたちくらいしかまともに知り合いいねェからな。
他の奴と縁作るイイ機会だろ)
垣根が麦野ににべもなくフラれるであろうことは一方通行には既に予想がついている。
それを分かっていて敢えて行かせたのはひとえにこの理由からだった。
打ち止めと黄泉川を守るためとはいえ、一方通行は一度は本気で垣根を瀕死状態にまでしているのだ。
さっきのファミレスでの心理定規の話にしても、
つまり自分は垣根のそれまでの人間関係まで全部ご破算にしてしまったことは事実なのである。
ここらでアイテムと関わらせることで新しい人脈を作る足掛かりくらいにはなるだろう。
もっとも死にかけていたはずの垣根のピンピンしている姿を見たらアイテムのメンバーたちは驚愕する……
どころか麦野あたりは逆上していきなり原子崩しを撃ってきてもおかしくはないだろうが、
垣根自身もそこら辺については分かっていて向かったはずだ。
何より今の垣根ならきっと大丈夫だろう。
そこまで考えて一方通行は、いや…と思い直す。
百合子(アイツは異常に口軽いからなァ…)
やっぱアイツのことじゃ余計なことまでぺらぺら喋りそうだ、といまいち信用しきれないのだが
どちらにせよ向こうにはもう自分の性別うんぬんのことはバレてしまっているはずだ。
だとしたら自分自身が彼らにエンカウントしさえしなければそれでいい。
百合子「上手くやってりゃイイが」
百合子「……」
百合子(木原くン見てるか?俺、その…………と、友達出来たよ!)
一方通行は空を見上げ、今は亡き自分の父(仮)に報告する。
目を瞑れば瞼の裏にあの優しい笑顔(一方通行ビジョン)で木原数多がグッと親指を立て、よくやったなクソガキ。
あとはもしお前にいつか落としたい男が出来たらとりあえずそいつにパンツ見せとけと爽やかに微笑んでいる姿が浮かぶ。
百合子(木原くン……)
一人間違った感慨に耽る一方通行だが再三言うようにそもそもの根本的な原因は木原くんです。
再びケータイをチェックしつつ一方通行はのんびりと歩を進める。
―――しかし少し進んだその先に、少女は立っていた。
百合子「………オリジナル」
美琴「……」
目の前に静かに佇んでいる少女の姿を認めると一方通行はぴたりと足を止める。
短い茶髪に名門常盤台中学の制服。
活発そうな、可愛らしいともボーイッシュとも言える顔つきをしたこの少女と自分との間には
一言では到底言い表しきれない深い溝がある。
こんなところでばったり出くわすとは予想外だったが、
とにかく向こうはこんな奴の顔など見たくもないだろう。
百合子「……」カツカツ
美琴「……待ちなさいよ」
百合子「」ピタッ
無言のまま隣を通り過ぎようとした一方通行の背中に鋭い声がかかる。
百合子「………言いたいことがあるなら言え。糾弾でもなンでもイイ。
それでオマエの気が済むなンざ思っちゃいねェが俺は…」
美琴「違うわよ」
百合子「……?」
途中であっさり遮られた言葉に、その場を去りかけていた一方通行はまた立ち止まって少女の方に向き直る。
そこで彼女はハッとあることに気が付いて途端に青ざめた。
そう、垣根のケータイを買いに行ったあの日に遭遇した変態風紀委員のことを。
番外個体と打ち止めを見てお姉様と呼んでいたことからして
まず間違いなくあのツインテは彼女の後輩か何かだろう。
百合子「……あ、いや、違ェ……あン時のことはその…。
確かに無闇にクソガキたちを人目につくとこに連れ出しちまったのは俺の過失だが
でもなンというか途中で撒いて誤魔化したしっつゥか…」アタフタ
美琴「へ?何のこと?」キョトン
百合子「え?」
一方通行はしどろもどろに弁解するが、対する少女の方はというとまるきり分かっていない顔できょとんと首を傾げる。
百合子(ン…?じゃああのツインテのことは別にバレてねェのか?)
しかしあの風紀委員のことでもなく、
かといって実験のことでもないとしたら一体何のために彼女は自分を呼び止めたというのだろう。
自分たちは決してあっさり和解してこんなところで立ち話が出来るような関係ではないのだ。
美琴「それよりも私、アンタにどうしても言わなきゃいけないことがあって」
百合子「……」
真剣な顔で見つめてくる少女に、一方通行の方も神妙な顔つきになり次の言葉を待つ。
少女はしばし目を伏せ、それから囁くように呟いた。
美琴「…………ごめん」
百合子「……………はい?」
え、何が?え?
少女の口から出てきた台詞に一方通行は訳が分からず聞き返す。
美琴「私……知らなくて…」ギュッ
百合子「え、え?」
美琴「アンタ………昔性虐待されてたんでしょ?」
百合子「………………え?」
美琴「それでそのトラウマでずっと自分が女の子だってこと隠してたのよね?」
百合子「い、いやいやいやいや……え?」
美琴「なんでも顔面刺青のいかつい男にあんなことやこんなことされたって………辛かった、わよね」グスッ
百合子「木原くンか!?それは木原くンのことなのか!?
……いやいや違ェから!!木原くンとはそンな爛れた関係じゃなかったから!!」
美琴「いいのよ、いいの……何も言わないで?」
百合子「いやマジで誤解なンだよ!……ちょっと待て、まったくついていけねェ。何それどこ情報?どこ情報だよ!?」
美琴「だって無理矢理スカート捲り上げてパンツ見てきたりしたんでしょ?」
百合子「してねェよ!!……いや確かに人探しにその手が使えるとは言ってたけど…。
っつかそもそも俺はスカートなンざ穿いたことな……あ、そォいや一回木原くンにセーラー服着させられたことあったような…」
美琴「やっぱり!!制服プレイまで要求してくるなんてなんて変態なの!!??」
百合子「ち、違う違う違う木原くンは変態じゃねェから!マジで直接何かされたこととかないから!!」
美琴「ナニされたですって!?」
百合子「ああああァァァもォなンなンだよォォォォ!!」
美琴「そいつに身体に太くて固い棒ぶっ刺されて隅々まで開発されたんでしょう!?」
百合子「無駄に誤解招く言い方すンのやめてくれますゥ!?それ能力開発の話だから!!」
美琴「つまり『カッワイーッ!一皮剥けやがって、掘っちゃいそーだぜ一方通行!!』
『らめェ!木原くンの猟犬部隊が百合子のアクセラレータにアクセラレートしてるのォ!!』的な事が……!!!」
百合子「オマエ本当にオリジナルか!?絶対そンなキャラじゃなかっただろオマエ!!まさか魔術師かなンかの仕業か!?」
百合子「……いやいやだから!待て待て待て、オマエ妹達から俺についての事のあらまし全部聞いてンだよな!?」
美琴「うん、でもこの前リアルゲコ太に会った時もっと詳しい話を聞いたらひどく苦しそうな顔しながらこの真相を教えてくれたわ…」
百合子「やっぱアイツか!やっぱりあのカエルなのか!!なンなンだよアイツはよォォォォおおお!!絶対俺のこと嫌ってンだろ!!!!」
美琴「正直実験のことではまだまだアンタには死ぬほど言ってやりたいことはあるわ。
でも子供の頃のこととはいえ安易にDNAマップを提供してしまった私にも過失はある。
だから………そのこととは別にこれからはアンタを見る目を変える努力するから!!!」
百合子「頼むから変えないで下さい」
美琴「ちっちゃい頃に大の男にその……そ、そういうことされたらそりゃショックよね。性格歪んだのも頷けるわ」ウン
百合子「だから人の話聞けよ!!誰の性格が歪ンで…………まァうン」←※否定出来ませんでした
美琴「でもね、自分の性を嫌悪する必要なんかないのよ。……私も、前は男なんかより友達の女の子たちと遊んでる方がずっといいと思ってたわ。
だから今はまだアンタは男の人が怖いかもしれないけど…」
百合子「いや……だから」
美琴「そうね、きっと恋をすれば克服出来るわよ!!」グッ
百合子「あああああもォマジでなンなンだよ!?
イイか、よく聞けオリジナル!オマエ俺が普通に三下とかと喋ってるとこ見てるだろォが!?」
美琴「そうね、本当は怖いのに我慢して喋ってたのよね。
リアルゲコ太とだって本当なら話すのもキツいのに勇気を出して診察を受けたんでしょう?」
百合子「オマエの頭はどンだけ斜め上の答え弾き出してンだよ!?
違ェからマジで!木原くンにはクリスマスにケーキ焼いてもらったりしてたから!!」
美琴「そんなあからさまな嘘つかなくていいのよ。
顔面刺青のいかつい男がエプロン装備で手作りケーキとかそんなおぞまし過ぎる光景実在するわけないじゃない」
百合子「あァ!?オマエ木原くンディスって………い、いやいやいや…。
いやホントマジなンだって!それに木原くンとは普通にゲームとかやってたから、一緒に対戦したりしてたから!!!」
美琴「そう、そこまで辛い現実を歪めなくちゃならないほどアンタのトラウマは深いのね…。
でも本当にいいの、そんな捏造なんかしなくても私はちゃんと分かってるから…」
百合子「何一つ分かってねェから言ってンだよォォォォォォ!!」
美琴「確かに前々からおかしいとは思ってたのよね。
ロリコンのはずのアンタが打ち止めと一緒に暮らしてるのにまったく手を出す素振りもなかったのはアンタが本当は女の子だったから…。うん、これで辻褄が合うわ」
百合子「だからロリコンじゃねェよ!ロリコンじゃねェよ!!」
美琴「それにいつもその訳分かんないウルトラマンな恰好なのも女だってことを隠そうとしてたからなのよね。
そりゃそうよね、何も好き好んでそんな死ぬほどダサい服着る奴なんているわけないもの」
百合子「人の服のセンスをとやかく言うのはよくないことだって教わりませンでしたかァ!?」
美琴「でもこれからはちょっとお洒落してみてもいいんじゃない?
大丈夫よ、そりゃ確かに小さい頃は物好きなロリコンにあんなことやこんなことやそんなことされちゃったかもしれないけど、
でも今のアンタのその貧相な体型ならきっと欲情する男なんていないから!!」
百合子「貶してンのか!?それは普通に貶してるととってイインだよな!?
つーか貧相うンぬンはオマエも人のこと言えねェだろォが!!」
美琴「ちょっと、誰が残念胸よ!?」ムキーッ
百合子「なンでそこはちゃンと聞いてンだよ!?」
美琴「まあとにかくこれからは同じ女の子同士何か相談とかあれば聞くから!
ごめん、今日はもう行かなきゃいけないけど……辛いことがあったらいつでも言ってくれていいからね、じゃあまた!」タッタッタ
百合子「オリジナルゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!」
ここまでです
先に言っておこう、御坂さんファンの方ごめんなさい
でもなんというかこう、原作で奥手なキャラほど二次創作でははっちゃけさせたくなるよね!
遅くて本当にごめんなさい、ごめんなさい
そろそろ投下再開出来ると思うんでもうちょい待ってて下さい
早くむぎのん出したい……
言い訳するくらいなら1レスでも進めるべきなのは分かってるんですが一応生存報告だけしておきます
待っててくれる人本当ごめんね
全然関係ないけど超電磁砲6巻読み返してたら64ページの一番上のコマに郭ちゃんらしき人物がいることに気付いた!
さりげなくステイルとかインデックスが出てることには気付いてたけどこれには気付かなかったぜ!!
「マジで?気付かなかった!」って人いたら是非チェックしてみて下さい
遅くなって本当~~にすみませんでした!!
やっと再開です、久しぶりなのでage投下で
では投下
―――
その男は悪びれもせずに馴れ馴れしい態度で片手を挙げる。
垣根「久しぶりってとこだな。どいつも元気そうで何よりだ。あ、とりあえずそこの無能力者は死ね」ペッ
浜面「えっ」ビクッ
絹旗「………な、なにが……なんで」
垣根「ん?ああ、お前は相変わらずチビだな絹旗」
絹旗「はあ!?」
滝壺「“未元物質”……?」
滅多なことでは動揺しないマイペースな滝壺が、今においてはただ呆然と硬直している。
垣根「だから名前で呼んでくれねえか。俺には垣根帝督っつーれっきとした名前があるんだからよ」
その台詞にはっと我に返った絹旗は滝壺を庇うように一歩前に躍り出ると強く垣根を睨み付ける。
絹旗「超待って下さい、なんであなたが!!?」
垣根「どうして復活してんのかってことか?それなら腕のいい医者にちょろっとな」シレッ
絹旗「はぁぁぁああああああああ!?」
垣根「まあそんなことはどうでもいい。あと別にお前らブチ殺しに来たりしたわけでもねえから安心しろ」
絹旗「……………超わけが分からないです……こんなの絶対超おかしいですよ…」
滝壺「きぬはた、落ち着いて」
どうどう、と混乱しまくった絹旗を宥める滝壺の顔を垣根はじっと見つめるとそれから小さく首を振る。
垣根「……流石に他人の彼女寝取る趣味はねえ」フルフル
滝壺「え?」
垣根「でもまあその様子だと『体晶』の方はなんとかなってるみてえだな。よかったよかった」
滝壺「!!」
浜面「ッッ!」ギリッ
まるで世間話をするような軽い口振りで放たれたそのワードに
浜面は固く奥歯を噛み締めると反射的に垣根に掴みかかる。
浜面「おい、テメェッ…!!滝壺に何かしたら…」
垣根「あ?」ギロ
浜面「ごめんなさい」
滝壺「…………………今のはまづらは応援出来ない」
浜面「ごめん、ごめんな滝壺……負け犬でごめんな……でもこいつ怖い…」ガクブル
軽く睨まれただけで一瞬で戦意喪失した浜面に滝壺があからさまに失望の色を滲ませた視線を向ける。
そんなアイテムの面々をよそに垣根は落ち着き払った態度で辺りを見回した。
垣根(……なんだ、麦野はいねえのか)
目的の人物がいないことに露骨にがっかりした表情で改めて目の前の三人の姿を眺め、それからふとあることに気が付く。
垣根「あん?そういやあの金髪もいねえな。……まあそっちは当然っちゃ当然か。
裏切り者には制裁を、暗部の基本中の基本だ。『新生』アイテムからは永久追放ってとこか?」
浜・滝・絹「「「――――――!!!」」」
何気なく言った台詞にビシッ、と一瞬でその場に凍り付くような亀裂が走る。
その空気だけで垣根には分かった。
垣根「………そうか、死んだか。ってことは大方ブチ切れた麦野に粛正されたんだろ?」
浜面「こ、の……ッッ!」グッ
せせら笑うように口端を歪ませ正確で残酷な答えを突き付けた垣根に、浜面は今度こそ本気で逆上し拳を握りしめる。
滝壺「待って、はまづら」ギュッ
浜面「……滝壺」
垣根「……、」
しかしその腕を普段は緩慢な動作の滝壺がしっかと掴み、静かな、それでいて有無を言わせぬ力強い目で制止するとふるふると首を振る。
咄嗟に拳の力を緩めた浜面に、垣根は軽く白けた調子で髪を乱雑に掻きあげると短く息を吐いた。
垣根「……フレンダね。確か墓地があんのは10学区だったな」クルッ
浜面「な……?」
突然現れたと思ったらまた唐突に背を向けすたすたと歩き出す垣根に
浜面は理解不能といった驚愕の顔で続く言葉を発することも出来ないまま棒立ちになる。
と、その時ガンッ!!!と盛大な音がフロア中に響いた。
浜面がびくっと肩を震わせながら振り返る。
それは絹旗が目の前のテーブルを思いきり殴りつけた音だった。
木製の厚いテーブルに大きな凹みが出来ている。
もっとも彼女が本気で殴っていたら、それこそ凹むどころじゃなく粉々に粉砕されていただろうが。
それまで黙っていた絹旗が重い口を開く。
絹旗「………何ですかそれ。まさか超感傷にでも浸っちゃってるんですか?」
垣根「ああ?」
絹旗「行ってどうするんです?笑うんですか、皮肉に花でも添えるつもりですか?」
絹旗「――――あなたにそんな権利が超あるつもりでいるんですか!!?誰のせいでフレンダはっ…!」
垣根「……オイオイ、言っとくがあの時こっちは正当な取り引きをしただけだぜ?何が悪いんだ?」
浜面「テ、メェふざけん…!」
滝壺「はまづらっ!」
浜面「でもよ!!!」
滝壺「ていうかはまづらじゃ絶対この人には勝てないから。空気読んでおとなしくしてよう?」ネ?
浜面「…………ハイ」
垣根「……ああ、そうか。本当は死んでも仲間は売れないって最後まで抵抗したフレンダに無理矢理拷問なり心理定規の能力なり使ってお前らの情報を吐かせました~、
……とでも言って欲しかったか?」
絹旗「っ!」
垣根「いいこと教えてやるよ。あいつは随分あっさり口割ったぜえ?それこそこっちの方が拍子抜けするくらいに」
絹旗「……」ギリ
垣根「俺は確かに外道のクソ野郎だ。絶対に手ぇ出しちゃいけねえ真っ当な人間まで傷つけてのうのうと生きてるクソ野郎だ。
他人のことどうこう言えた立場じゃねーよ」
どこまでも不遜な態度で垣根は言い放つ。
垣根「……が、お前らの仲間意識だって結局はその程度のもんだったんだろ?なあ?」
浜面「こいつ……!!」
滝壺「はまづら、いい加減黙れ」
浜面「ゴメン」
垣根「―――つまりテメェの言い分にはムカついた」
絹旗「……………。超その通りです」
滝壺「きぬはた…」
一言も言い返せず、つい今しがたテーブルを叩き潰したその華奢な手を絹旗は小刻みに震わせる。
誰一人息を呑む者すらないまま、シン、とその場全体が水を打ったように静まり返る。
けれども次の瞬間、あまりに場違いな明るい声が沈黙のフロアに突如として割り入ってきた。
「いたいた浜面ー!!にゃあ」
浜面「!!!?」
浜面「なっ、フレメア……!」
浜面「駄目だ、今こっちに来るな!!!」
フレメア「え?」
ててて、と小走りに満面の笑顔で手を振りながら近付いてきた少女は、いつにないほど鋭い浜面の剣幕にきょとんと首を傾げる。
垣根が声のした方に目を向けると、その幼い少女が視界に入った。
ふわふわとした金髪に大きな青い瞳。まるでアイドルが着ているようなフリルのついた可愛らしい服。
媚び媚びな甘ったるい声は、しかしこの年の少女としては十分あざとさよりも愛らしさが勝る。
そして何より、あのフレンダ=セイヴェルンをそのまま小さくしたような……
垣根「なるほど。そういうことか」
垣根の洩らした言葉に先んじて絹旗が即座に口を挟む。
絹旗「……彼女は関係ありませんよ」
絹旗「ええ、確かにフレンダがあの時仲間を売ってまで逃げのびようとしたのはただの我が身可愛さじゃなく、彼女……自分の妹のためだったというのは超事実でしょう」
淡々と、機械的に小柄なショートボブの少女は告げる。
絹旗「でもあなたの言う通り本当に元々フレンダは軽薄なところのある女でしたし、何より命張って仕事してる暗部においてそんな言い訳は超通用しません」
浜面「……絹旗」
フレメア「?……??」オロオロ
絹旗「確かにフレンダは『アイテム』を裏切った超大馬鹿野郎です。麦野の制裁を受けたのは完全に自業自得です」
絹旗「でも……」
絹旗「でも、それでも私はフレンダが好きでしたっっ!!!
お調子者で口が軽くていつもいつも麦野にベタベタしては超お仕置きされて、それでもケロッとしてるそんな能天気なフレンダが……」
絹旗「好き、でした…」
自分でも気付かないままに喉の奥に込み上げる嗚咽を絹旗が必死に押し留めようとしたその時、
ぽん、と頭の上に何かが乗った感触を感じ彼女は顔を上げる。
それは垣根の手の平だった。
垣根「さっきの台詞は全面的に撤回する。
お前らの繋がりが本当はどんなものだったか何も知らねえくせに、勝手にその程度なんて決めつけた俺の完全な失言だ。………悪かったな」ワシャワシャ
お世辞にも丁寧とは言えない手付きで乱暴に髪を掻き回す垣根に、絹旗は驚いたように大きく目を見開く。そして……
絹旗「いや超キモいです、触らないで下さい。
この感触を今夜のオカズにでもするつもりですか?うわ、超キモい。超死ね」ペシッ
垣根「…………………可愛くねえガキだな」ビキッ
心底ドン引きした顔でその手を振り払う絹旗に垣根のこめかみにビキビキと青筋が浮かぶ。
垣根「ったく……『暗闇の五月計画』ね。お前もなかなか難儀な人生送ってきたんだろ?よくここまで生き抜いてきたじゃねえか」
絹旗「……あなたに同情される義理は超ありません」
垣根「同情?誰が?俺がお前に?自意識過剰極まりねえチビガキだな。
今のは賞賛だ。ガキはガキらしく素直に受け取っときゃいいんだよ」
絹旗「……、」
どこか小馬鹿にした口調の垣根に絹旗は数拍の間訝しげに眉をしかめ、それからふぅ、と息を吐く。
絹旗「……分かりました。もうこれ以上止め立てはしません。
腹立たしいですがどちらにせよ私の『窒素装甲』ではあなたの『未元物質』には超勝てませんし」
垣根「分かってんじゃねえか」
絹旗「ただ一つだけ……今日行くのはやめて下さい。多分“そこ”には麦野がいます。
私たちはともかく麦野があなたの姿を見たら絶対超ブチ切れて――」
垣根「え?マジで!?麦野いんの!!?一石二鳥じゃねえか、よっしゃあああああああああああああ!!!!!」バッ
絹旗「……………………はい?」
垣根「うおおおおお待ってろよ麦野ぉぉぉおおおおおおおおお!!!!」ドバーン!!
いきなりガラリと目の色を変えて、止める間もなく全速力でその場から走り去っていく垣根に聡い絹旗はすぐに気が付く。
あ、やべえ。超ミスった……と。
後に残された嵐が去った翌日のようなこの状況に、暫く思考が停止したままポカンとしていた一同の中、最初に絹旗がゆっくりと口を開く。
絹旗「……………滝壺さん。私が後で麦野に超お仕置きされる確率ってどのくらいだと思います?」
滝壺「……100%、かな」
絹旗「詰んだ……私の人生超詰みました、ハハ……」ズーン
滝壺「大丈夫。その時は私も一緒にお仕置きされるから」ポン
絹旗「……いえ、大丈夫です。もうこうなったら全責任は浜面に超押し付けることにしましょうそうしましょう。
テーブル凹ませたのも浜面です。店員さーん、この人店の物超壊しましたーーーー!!」ハイ!
浜面「やっぱそうなるんだね!!うん、分かってた!!分かってたよ俺!!!」
フレメア「大体、浜面元気出して。にゃあ」
浜面「フレメア…」
フレメア「にゃおー。浜面はいつもかっこいいよ?」ナデナデ
浜面「……ありがとうフレメア…。お前が俺の味方でいてくれるんなら心強いよ」
滝壺「…………………はまづら?」バキャッ
浜面「きゃあああああああ!やめて滝壺!当たり前のように素手でグラスぶち割らないで!!」
フレメア「私知ってる。こういうのって“カカア天下”って言うんだよね。大体、浜面尻に敷かれててかわいそう…」ウルッ
浜面「ちょっ…!」
うるうると哀れんだ目で浜面の上着の裾を掴むフレメアに滝壺の目がくわあ!!と開眼する。
滝壺「……ここぞとばかりにはまづらの点数稼ぎしようとするなよこの小娘が…」ゴゴゴゴゴ
浜面「もはや滝壺のキャラが別人どころじゃなくなってるーー!!」ガビーン!
浜面「落ち着け滝壺!一回落ち着いてキャラ戻そう!!な?」
滝壺「ねえフレメア、今すぐグリンピース食べたいよね?食べるよね?……食べろ」ガシッ
フレメア「ふぎゃああああああああああああ!!!?」ジタバタ
浜面「滝壺ーーーーーーーー!!!!」
ギャーギャーと途端に騒がしくなった浜面たちを尻目に、絹旗は一人垣根の飛び出していったファミレスの扉の方に向き直る。
絹旗「………垣根帝督、ですか」
かつて対峙した時の姿を思い出しながらぽつりと呟く。
絹旗「前はもっと超冷たい目をしてたはずだったんですがね」
――――
百合子「…………どォしてこうなった」
垣根とアイテムの面々が一騒動起こしているその最中、一方通行は心底疲れきった声でそう呟いた。
オリジナルにあらぬ勘違いをされ完全に意気消沈した彼女は今
喫茶店まで足を運ぶ気力もないままにふらふらと目についた近くの公園に入り頭を抱えながらベンチに座り込んでいる。
百合子「チクショォ…これならまだ実験のことで恨まれてた方がずっとマシだったわ…」
頭の中にふつふつと怒りと共に浮かぶのは、当然あの妙に飄々とした老齢の男の顔。
百合子「あンのカエル…。マジで殺す。アイツだけは殺す。何がなンでも殺す」ブツブツ
一方通行はぶつぶつと冥土帰しに悪態を吐くが、しかしなんだかんだと言っても彼の腕の確かさは本物なのであり
事実、自分自身の治療や妹達の調整などで今まで大いに助けられてきている。
そんな彼を一方通行が殺すことなど出来ようはずもない。
もっともそのことをよくよく理解しているからこそ冥土帰しもこうして散々に一方通行をからかって遊んでいられるのだ。
百合子「あれか、やっぱチョーカーの設計図渡させた時背中に拳銃突き付けたりしたこと根に持ってンのか…?」
大外れである。
実際は彼の個人的な大いなる野望(※妹達に恩を売ってナース服着用を義務付けること)の為の布石として利用されているだけなのだが
そんな馬鹿過ぎる事情など知るよしもない一方通行は割と真剣にこれまでの自分のやってきたことを反省し始めた。
元々能力的には最強と謳われていても精神面においては打たれ弱いことに定評のある彼女は、深く肩を落とし俯き加減に嘆息する。
百合子「ハァ……」
「――――どうした嬢ちゃん」
百合子「……あ?」
その時、不意にかけられた声と視界に入った足にいつの間にか目の前に誰かが立っていることに気がつく。
咄嗟に上を向いた一方通行は、しかし相手の姿を目に止めた途端思いきり顔をしかめた。
百合子(………なンだコイツ)
時代錯誤な白ランを羽織り、さらにはその下に日の丸だかなんだかよく分からないデザインのシャツを着込み、おまけに額にはハチマキという
思わず「え?番長ですか?」と聞きたくなるようなあまりに珍妙な恰好の男がそこにいた。
一方通行は一瞬で「あ、これ絶対面倒臭ェ人種だ」と冷静に判断を下すと、速やかに心のシャッターを固く閉じ即座に無視を決め込む。
百合子「…………」
「ん? なぜ話しかけているのに何も答えないんだ?」
百合子「…………」
「もしかしてオレの声が聞こえていないのか?」
百合子「…………」
「ノックしてもしもぉーし!!聞こえてますかーー!?」
百合子「…………」イライラ
「?? ……はっっ!そうか、この子は耳が聴こえないのか!!そういや杖も持ってるしな!
ん?いやいや、白い杖ってのは確か目が見えない人がつくもんじゃなかったか?」
百合子「…………」イライライラ
「む。もしくは外人さんという線も…。
はろー、ないすちゅーみーちゅー!!ニホンゴワカリマスカーーー!!?」
百合子「…………」イライライライラ
「くっ、これでも伝わらないか…! だがしかし!根性出して叫び続ければきっとオレのソウルは届くはず!!
よっし………くぉぉぉおおおおおんにちはああああああああああーーーー!!!聞っこえてまs…」
百合子「ああああァァァうっぜェェェェェェェ!!!
さっきっからうるっせェンだよオマエはよォ!!!」
「なんだ、聞こえてんじゃねえか」
あまりのしつこさに耐えきれなくなった一方通行が思わず叫び返すと、相手は呆れた様子で普通の声色に戻り息を吐く。
百合子「………で?」ジロ
「うん?」
百合子「なンなンですかァ何のご用ですかァ、こっちはオマエみてェな暑苦しい奴に何一つ用は無いンでとっとと帰って歯ァ磨いてクソして二度と戻って来ンな」チッ
「何ってそりゃ公園のベンチで女の子が一人項垂れて泣いていたから声をかけたというただそれだけのことだ!!
女の涙を止めてやるのが根性ある男の勤めだからな!!!」
百合子「いや、泣いてねェよ」
「どうした、悩み事か?オレでよければ話を聞くぞ! 俯いていたら幸せが逃げる!さあその涙のわけを話してくれ!!さあ、さあさあさあ!!」
百合子「だから泣いてねェつってンだろどいつもコイツも話聞けよマジでェ!!」
「ところで嬢ちゃん白いな!それにそんな細っこい身体じゃ根性つかねえぞ!ちゃんとメシは食ってるか!?」
百合子「唐突に話変わり過ぎなンだよオマエは!! 誰が貧弱モヤシd………………まァうン」←※やっぱり否定出来ませんでした
相手のテンションに乗せられて怒鳴り続けていた一方通行は、けれどそこである違和感に気が付き眉を寄せる。
百合子「っつか嬢ちゃンって……オマエ俺が女に見えてンのか」
「なに!?まさか男なのか!?」
百合子「え?」
百合子「いや……俺は…」
投げ掛けられた端的な疑問に言葉を詰まらせる。
百合子(前々からたまに女だと思われることはあったがこれは…)
百合子(……、やっぱり確実に身体は女に近付いてきてるってこと、か…?)
「ちなみに男だった場合殴る!!!!」グッ
百合子「――――――は?」
百合子「え、え? おい意味が分か………ああああ拳握ンな構えンな振りかぶンなマジで殴るつもりかよオマエ!?」ビクッ
「当然だ! 女ならいざ知らず大の男が一人でじめじめ泣き腐ってるなんざ言語道断だからな!!一発根性入れ直してやるぜ!!」
百合子「だから泣いてねェつってンだろォが根性根性うっせェよ、なンなンだよオマエはよォォォォォ!!」
「ん?オレか?そういえば自己紹介がまだだったな!!」
百合子「いや別にンなことは聞いてな…」
「オレの名前は削板軍覇だ!!!!」
百合子「だから聞いて……………削板?」
百合子(どこかで……、!!!!)
百合子(コイツ………第七位か!!)
男が名乗った名前に一方通行は目を見開く。
同じレベル5の第七位、削板軍覇。初めて対面した相手に、改めてまじまじとその全身を眺め回す。
削板「さて、では改めて問おう。お前は男か女か?」
百合子「え?」
百合子「あ……俺は…」
百合子「俺、は…………ってだから拳振り上げンなァァァ!!お、女!女だから!!」バッ
削板「お、そうか? うんうんそうだよな!こんなひょろっちいナリした男がいるわけねえもんな!!」ハッハッハ
百合子「だから誰がひょろっちい……うおおォォ、ダメだそろそろ本気でキレちまいそォだ」イライライライラ
百合子(こンな奴に殴られたら確実に死ぬ……かといって能力使ったりしたら俺が第一位なのバレて余計面倒臭ェことになるような気もする……クソがァ!!)
削板「時に嬢ちゃん、オレは今人探しをしてるんだが嬢ちゃんは何か知らねえか?」
百合子「あ、あァ? どンだけ人の言うこと聞かねェンだよオマエ、マジで脈絡なく話変わり過ぎだろ…」
削板「とある人物にどうしても会わなくちゃならなくてな!!」
百合子「…………もォイイ。いちいち突っ込むのも面倒臭ェ」
削板「ちなみにどんな人物かっつーと……って、よく考えたら嬢ちゃんみてえな一般人が知ってるはずもなかったな!!
すまん、今のは忘れてくれ!!」
百合子「!」
その言葉に一方通行がぴくりと反応する。
百合子(一般人が知らない相手でレベル5のコイツが探している人物…)
頭の中に一つの可能性が浮かび上がる。
百合子(まさか垣根……?)
百合子(だが何故コイツが……確か第七位は表側の人間のはず)
世界最大の原石と言われ、あまりにデタラメなその力故にまともな解析すら出来ないまま
莫大とされる潜在能力の可能性にも関わらず仕方なしにレベル5の中では末席に置かれているという異端中の異端。
しかし一方通行の知る限りこの男は超電磁砲と同じ表を代表する側の人間のはずであり
暗部の闇にどっぷり浸かっていた垣根と結びついて考えられるような点は見当たらない。
百合子(いや……でも、)
垣根は復活してからというもの特に身辺を隠蔽して生活するようなことはしていない。
それどころか街中でもおおっぴらに何度もその能力を使っている。
だとしたらこの男の耳に既にそういった情報が入っていたとしても何らおかしな話ではない。
百合子(仮にこの予想が当たっていたとして何の目的で…)
削板「おっと、もうこんな時間か。白い嬢ちゃん、すまねえがオレはもう行かなくちゃならねえ!!」
百合子「え?」
削板「まあ、とにかく俯いて泣いててもいいことないぜ!女は笑顔が一番だ、元気出せよ!
じゃあまた縁があったらどこかで会おうぜ!!」クルッ
百合子「は? あ、おい待っ……」
削板「うおおおお根性ぉぉぉおおおおおおおおお!!!!」ドドドドド…
百合子「……………行っちまった。なンだったンだ一体…」
百合子「……」
言うだけ言ってさっさと砂埃を巻き上げながら音速の二倍はありそうな速度で去っていった第七位の後ろ姿をただただポカンと見送った後、一方通行は少しの間考え、そして――
百合子「まァイイか。垣根だし」
あっさり結論付けた。
ここまでです
ホント遅くなってごめんなさい、次こそむぎのんのターンです
でもとりあえずソギーが出せて満足!
ちなみにむぎのんとソギーとモアイちゃんは今後準レギュラー的な感じになる予定です
ではまた
投下に来た……んだけど今回いつも以上に下ネタ酷い上に地味に長いかも、ごめんなさてんさん
とりあえず投下していきます
――――
その頃、麦野沈利は第10学区の墓地の前にいた。
墓地とは言ってもその形状は立体駐車場に似たビルであり、住民の八割を学生が占めるこの街ではこの場所を訪れる者は極端に少ない。
麦野「……」
カツカツとハイヒールの音を響かせながらつい今しがた建物内から出てきた彼女の足取りは決して重くはなく、やはりその目元に涙は見えない。
けれども、背筋をぴんと伸ばして一歩一歩マイペースに歩くその整った横顔には、どことなく物悲しいものを感じさせる何かがあった。
麦野「ったく……この私がわざわざ超高級な鯖缶持ってきてあげたんだから向こうでちゃんと噛み締めながら食べなさいよねー。
………超だって。絹旗の口癖が伝染ったかしら」
ふふ、と小さく笑みを溢しながら言う麦野は、自分以外誰もいない寂寥感漂うその場所で我ながら丸くなったものだなどと妙な感慨に耽る。
麦野「ねーえ、フレンダぁ。都合がいいかもしれないけどさ……私、アンタといて楽しかったよ」
麦野「……もっかい、みんなでプール行きたかったね」
誰に聞かせるでもない独り言を漏らしながら、かつての底抜けに能天気な仲間の姿を思い浮かべる。
……例えば夏のただでさえ暑い日にベタベタひっつかれたり、かと思えば胸を触ってこようとしたり
呼んでもいないのに勝手に家に遊びに来てはそのまま泊まっていったり
帰っていった次の日に何故か自分の下着を含む衣類が何枚かなくなっていたり
後日部屋に盗聴機が仕掛けられているのを発見したり、使ったあとのストローや割り箸をこっそり回収しようとしたり―――
麦野「…………いや、やっぱあと十回くらいブチ殺しときゃよかったわ」ビキ
彼女からされた数々の変態的な奇行を思い出してビキリと青筋を立てる。
その時、ひらりと麦野の足元に何かが舞い落ちた。
麦野「……あら」
目を止めた麦野がそれを拾い上げる。
白い鳥の羽と思われるものがふわりと手の中で揺れた。
麦野「鳩か何かかしらね」
フレンダのあの欧米人特有の抜けるような白い肌や青い目、柔らかな金髪をした容姿を脳裏に思い描く。
もし彼女の背中にこんな白い羽があったらきっとよく似合うに違いない。そう、まるで天使のような……
そこまで考えて麦野は首を振る。
麦野「…………いや。いやいややっぱねえわ。羽はねえわ」
白い羽、という単語に頭の中でとてつもなく気持ちの悪い連想が浮かび上がり麦野はぶんぶんとそれを追い払う。
麦野「……ていうか妙にいっぱい落ちてんな」
二枚、三枚と立て続けに落ちてくる羽にそこで初めて違和感を覚える。
麦野「っつかよく見たら別にどこにも鳩なんて飛んで―――」
ふと見上げた空には鳥など一羽も飛んでおらず、ただ青い空が広がっているのみだ。
しかし麦野はそこではたと気が付く。
何か、そう、つい今しがた連想してしまったとてつもなく気持ちの悪いものをそのまま具現化させたような――……
垣根「麦野ぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!!!」バッサァァァアアア!!!
麦野「はあああああぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!???」
垣根「よお、久しぶり」スタッ
麦野「」
麦野「えっ、えっ…?」
垣根「あー、みなまで言うな。お前の言いたいことは大体分かってるから」
麦野「は……、」
麦野「未元、物質……?」
垣根「名前で呼んでくれよ。出来れば下の名前希望。何なら俺もお前のこと沈利って呼ぶから」
麦野「あ゛ァ!?」
麦野「ちょっ待て、テメェグチャミソのスクラップになってたはずだろうが!!
私はちゃんとこの目で見てんのよ!!!」
垣根「うん? それに関しちゃお前も一緒だろ」
麦野「え…?」
垣根「その顔……特殊メイクか? あと片眼と片腕も作りもんだろ」
麦野「!!」
あの絹旗に間近で見ても分からないと言われた特殊メイクと義眼を一目であっさり見抜かれて麦野は動揺する。
やはり目の前にいるのは偽物なんかじゃなく、間違いなく本物の第二位。その観察眼は人並外れている。
垣根「ま、俺も補強はしてるんだけどな」
麦野「…………、一体何の用よ。まさか――」
垣根「あー、早まるなって。そんなシリアスな展開じゃねえから安心してくれ」
麦野「ふざっけんな、こっちはテメェに二回もやられた鬱憤が溜まりまくっててしょうがねえんだよ!! そのスカしたツラ吹っ飛ばされてえのか!!」
垣根「相変わらず気が強いなお前は。いいな、その鼻っ柱へし折って屈服させてやんのも悪くねえ――――とかなんとか言ってみてえとこだが本当にそういうんじゃねえよ。
お前に会いにってのも目的の一つだがとりあえず俺が用のあんのはそっちだ」
麦野「あ…?」
ちらりと垣根が視線を向けた先、今まさに麦野が出てきたばかりの寂れたビル。
麦野「……アンタ、」
垣根「どうだ麦野。あいつに会わせてくれねえか」
麦野「絶っっっっ対にお断りよ。ていうかナニ? やっぱ脳ミソぶち割られてオカシくなっちまった訳? 今更何言ってんだテメェは」
垣根「あー、それさっきも絹旗に言われた」
麦野「ああ!? テメェあいつらに…っ」
垣根「だから安心しろって。手ぇ出したりなんざしてねえから。っつか今ので確信した。お前らやっぱ繋がり強ぇのな」
麦野「はあ?」
垣根「正直ナメてた。フレンダの奴のことあっさり切る程度の仲だってな。でも違ぇってのはよーく分かったぜ」
麦野「……、」
麦野「買い被んな。私はフレンダをぶっ殺した張本人だ、本当ならあいつらと一緒にヘラヘラやってていいような身分じゃないのよ」
垣根「その割にゃ随分とあいつらはお前のこと慕ってるみたいだったぜ?」
麦野「うっせーよ、上から臭ぇ台詞ぶっこいてんじゃねーぞクソメルヘン。
言われなくても分かってるし、もう吹っ切れてんのよこっちは。……少なくともそう言い切れるまでには成長出来た」
垣根「そうか。ならそれでいい」
麦野「……」
垣根「まー、アイテムの連中置いて一人でここまで来てるって時点でお察しってとこだしな。そっちはまあもういいか」
麦野「……私に会いに、ってのは何なのよ?」
垣根「そうそう。麦野、お前を口説きに来た」サラッ
麦野「……………………は?」
垣根「だから口説きに来たんだって」
麦野「」
垣根「俺の女にならねえか、麦野」
麦野「ハァ!!? 意味分かんない、ホント何言ってんだよテメェ私に何したか分かってんの!?」
垣根「えっ、まだナニもしてねえけど」
麦野「そういう意味じゃねーよ!! 二回も! 思いっきり叩き潰してくれただろうが!! 忘れたとは言わせないわよ!」
垣根「えー、あれはお互い仕事でやったってことでサラッと水に流せばよくねえ?」
麦野「いい訳ねーだろ!!」
垣根「とにかく俺は真剣だ。本気でお前を落としに来た、だからお前も真剣に答えてくれ」
麦野「……、」
真面目腐った表情で真摯にこちらの顔を見つめてくる垣根に、警戒し構えていた麦野の腕が初めて弛む。
麦野「……本当に本気で言ってるの?」
垣根「当たり前だろ。俺にはお前しかいねえよ」フッ
※初対面の番外個体を速攻で口説こうとしました
麦野「…………そう」
麦野の静かな声色を合図と取った垣根は小さく笑うとゆっくり彼女の方へと近付いていく。
垣根「さあ麦野。これからは俺がお前を――」
麦野「誰がテメェなんかに靡くか死ねオラァああああああああああああああ!!!!」ガッ!!
垣根「ほああああああああああ!!!?」キーン
その時、何の躊躇いもなく蹴り上げられた麦野の足が深く深く突き刺さった。
…………垣根の股間に。
垣根「お、おま……それだけは、それだけは反則だろうが…」ヨロッ
完全に気を抜いていたために能力で防御していなかった垣根は、もろに急所にダイレクトアタックを食らって悶絶する。
我々の業界ではご褒美です。
麦野「うげ、服越しとはいえ汚ぇもん触っちまった…」オェ
垣根「……ちくしょう…これならまだ口だけで滅多に手は出してこねえ一方通行の方がマシだよ…」ヨロヨロ
麦野「は? 一方通行…?」
麦野「ちょっと待て、なんでそこであいつが出てくんのよ」
垣根「ん? ああ、実は俺が復活してからあいつとはなんやかんやあってな。
今は和解してんだよ。お前らに会う為に浜面に連絡取ってくれたのもあいつだ」
麦野「はあ? ……いやアンタら殺し合いした仲でしょ? ていうかテメェが冷蔵庫になってたのあいつのせいだろ」
垣根「それは俺の自業自得であってあいつのせいじゃねえよ。まあそれでも確かに前は憎んでたし現在進行形でムカつくとこは多々あるけど。
……それ以上にあいつと知り合って教えられたことがある。今は友達だ」
麦野「…………友達?」
垣根「にしてもあいつもなあ。いい奴だし好きだけど……あの体型とキツ過ぎる性格がもうちょっとどうにかなればなあ」ブツブツ
麦野「は?」
麦野「え、キモい。テメェあのモヤシまでそういう対象に入れてんの? ホモかよ、キメェ」
垣根「え?」
麦野「あ?」
垣根「……あれ、お前浜面から何も聞いてねえの?」
麦野「え、え?」
垣根「あいつ女だぞ」シレッ
麦野「…………………マジ?」
垣根「マジマジ」アッサリ
麦野「いや騙されないわよ。つまんねえ嘘ついてんじゃねーよ」
垣根「だからマジだって。ちなみに名前は鈴科百合子」←※軽薄が服を着て歩いてる男(一方通行談)
麦野「………………」
麦野「確かに男だか女だか分かんない見た目してるとは思ってたけど……まさか本当に女だったとはね」
垣根「まああいつのことは今はどうでもいい。麦野、俺と付き合ってくれ。毎日お前の胸を揉ませて欲しい」
麦野「死ね。テメェの粗末なモンでもしごいてろ×××野郎」
垣根「……なんでこう会う奴会う奴基本的に俺に対して辛辣なんだよ…。優しいのは黄泉川お姉さんたちぐらいだよ…」
垣根「あと麦野、これだけは聞き逃せねえから言っておく。――――俺のは、デカい」キリッ
麦野「どうでもいいんだよマジで死ねよテメェェェェェェ!!!!」ブンッ!
垣根「おっと、悪いが二度は食らわないぜ」サッ
麦野「ッチ!」
垣根「そうだな、とりあえず食事でも行かねえか? なんでもお前の好きなもの食わせてやるよ。
フランス料理でもイタリアンでも中華でもいい」
麦野「死ねよ○茎」
垣根「おい、誰が包○だ」
麦野「あぁ? どうせ真性だろテメェなんざ」
垣根「真性でも仮性でもカントンでもねえよ。ズル剥けだから、俺ホントズル剥けだから!!!」
麦野「ズ○剥け連呼してんじゃねーよマジでブチコロすぞテメェええええええええええええ!!!!」
垣根「ああ!? いくら麦野でもマイサンまで侮辱すんのは許さねえぞ!!
なんなら証拠見せるか? 俺の伝家の宝刀拝ませてやろうかコラ!!」カチャカチャ
麦野「なにズボンに手ぇかけてんだコラァァァァァァァ! 死ねよ! ホント頼むから死ねよ!!」
垣根「まあ流石に今のは冗談だ。いくら俺の未元物質ジュニアに常識が通用しないからって人前でストリップかますような変態的趣味はねえ」ハハッ
麦野「既に十分変態だよテメェは」
垣根「まあとにかく食事行こうぜ? なんなら個室サロンでもいいけど」スタスタスタ
麦野「誰が行くか!! って、ちょ、近寄ってくんじゃないわよバカ!!」バッ
垣根「ははっ、能力を展開した俺にお前が勝てねえのはよくよく分かってるだろ?
さあこれから二人で楽し………………アレ?」ピタ
麦野「……?」
垣根「あれ? あれあれ、あるぇ~?」
ここで一つおさらいしておこう。
現在の垣根の身体は一度はグチャミソのスクラップになってもはや再生不可能と思われたのを、生え抜きの名医の手によって無理をしてこしらえたものだ。
肉体的には特に問題はないものの、その能力は不安定な状態であり補強がなされている。
肩と足に取り付けた電極がその圧倒的な力の暴走を防ぎ安定させるための低周波装置として働いているのだ。
しかし今の垣根はつい先ほど男にとっての心臓ともいうべき急所に思いっきり麦野の渾身の蹴りがクリティカルヒットしたばかりであり、
またここまで来る為にずっと能力を使って飛んできた。
超能力というものにはその力が強力であればあるほど繊細かつ複雑な演算が必要となる。
万全な状態でないと上手く扱うことなど到底出来ないのだ。
つまり簡単に言うと羽が出ない。
垣根「………………、えーっと」
途端に青ざめていく垣根に麦野は始めこそ目を丸くしていたが、
だんだんとその切れ長の大きな瞳は獰猛な獣のそれに変わり、口元は歪に左右に引き裂かれていく。
麦野「……どうやらご自慢のあのメルヘンな羽は出せないみたいねーえ、『未元物質』?」
カツコツと、足音が近付いてくる。
垣根「……待て麦野。落ち着け。人間には対話がある。話し合おう。
っていうかそもそも俺ただ食事に誘っただけじゃん? 別にいきなり取って食おうとしたわけではないじゃん?
だからそんな…………待って待って待って、え、ちょ…」
麦野「―――――オ・シ・オ・キかくていね?」ニコォ
「アッ――――――!!!!!」
―――翌日、とあるファミレス
百合子「……」
垣根「……」
百合子「一つ尋ねてもイイか垣根」
垣根「なんだ」
百合子「オマエなンでそンな全身ボロッボロなンだよ」
垣根「…………………」
百合子「……うン、まァ大体何があったかは察してるから敢えて深くは突っ込まねェでおいてやるが」
垣根「……助かる」
百合子「だから最初から忠告しといたっつーのに…」ハァ
垣根「おい、いきなり突っ込んでんじゃねーかおいコラ」
百合子「どォせキメェこと言いながら迫ったンだろこの童貞が」
垣根「……」
百合子「ったく…。つーかこっちもあの後いろいろあって結局喫茶店行きそびれたしよォ…」
垣根「いろいろ?」
百合子「……あー」
百合子(第七位のことだけは一応言っとくか?
でもあの根性バカが探してンのが垣根って決まった訳でもねェし、言ったからどォなるもンでもねェしな。
コイツならなンかあったとしても早々やられねェだろォし)
百合子「……いや、大したこっちゃねェ。まァ、なンだ。とにかく向こうはオマエが復活したことは知ったンだ、
俺とオマエだって最初はこンな風にツラ並べてメシ食えるよォな関係になるなンざ思いもしなかっただろ。
つまりオマエの戦いはまだまだこれからなンだよ、一回フラれたくらいで諦めンな」
垣根「慰めてくれんのは有り難ぇがその台詞はむしろ駄目な方向のフラグだ」
百合子「つっても例えどンなにオマエが頑張ったところで結局第四位にゃ一生相手にされねェだろォけどな」キッパリ
垣根「せんせー、百合子ちゃんが俺のこと言葉の暴力で苛めてきまーす。学級会で議題にしましょー」
百合子「……せンせー、垣根くンがウザいンで校舎裏行ってシメてきまーす」
垣根「……せんせー、百合子ちゃんがムカつくんで屋上でボコり返してきまーす」
百合子「………せンせー、垣根くンとか今週3回も掃除当番サボってましたァー。
罰として今日の給食のプリン抜きにしましょォー」
垣根「なっ…!!」
垣根「……プリンはやめろよ! 小学生にとっての給食のプリンとか超ご馳走だろうが!
………給食まともに食ったことねえけど!!」
百合子「うぜェ……っつかそォいや俺もねェなァ。実際大して美味いモンでもねェだろ。多分」
垣根「ああ、大勢でくっちゃべりながら食べるからこそ美味いってのあるよな。キャンプ場でのカレー的な」
百合子「それはすげェ分かる。林間学校の飯盒炊飯的な。行ったことねェけど」
垣根「でも確か常磐台の給食とかってクソ高いんだろ? 地下街の学食レストランに入ってんの見たことあるし」
百合子「金はあるところにはあるってこった」
垣根「あ、そうだ今度そこ行こってみようぜ。給食の揚げパンとか一度食ってみてえ」
百合子「オマエはホント貧乏臭ェ味覚してやがンな。
まァクソガキ共連れて行ったらまた馬鹿みてェにハシャぐだろォが」
垣根「ほら、よく風邪で休んだ奴とかいると余った牛乳ジャンケンで取り合ったりすんじゃん? あれすげー楽しそう」
百合子「栄養の為だかなンだか知らねェが、酢豚にパイナップルとかサラダに柿ぶち込む発想だけは理解出来ねェ。
別々に食えばイイだろアレ。パイナップルと柿はデザート枠だろ」
垣根「俺はほうれん草とチーズのサラダに林檎はアリだと思うけどな」
百合子「海藻サラダとかグリンピースのスープもアレ誰に需要あンだ?
どォせあァいうのは大量に余って捨てられ…………いや、そもそもなンで給食なンかの話になってンだ?」
垣根「……?」
百合子「……?」
垣根「あれ……?」
ガヤガヤ ワイワイ
ウィーン
<イラッシャイマセー
<オヒトリサマデヨロシイデスカ?
<コチラヘドウゾー
??「ったく、昨日はえらい目に遭ったわ……」スタスタスタ
百合子「……ン?」
??「二度とあいつにゃ……あん? って、げっ!!」ピタッ
垣根「あ?………って麦野じゃねーか!!!」ガタンッ
麦野「~~~~…っっ!」
麦野「くっそ、まさか昨日の今日でまたテメェに会っちまうとは思わなかったわ…」ハァ
垣根「ああ。これはもう運命だな」フッ
麦野「……ホンット懲りねえなテメェ。昨日あんだけ痛めつけてやったのにもうピンピンしてやがるし…」
百合子「……………」
麦野「ん? あら、久しぶりね第一位。アンタ女だったんだって?」
百合子「か、帰る」ガタガタッ
垣根「あー、待て待て待て一方通行」ガシッ
百合子「は・な・せ!!」ジタバタ
垣根(大丈夫だって、心配しなくてもこいつらお前のこと“最初から”女だと思ってんだよ)ヒソヒソ
百合子(……あ?)ピタッ
垣根(お前が嫌なのはその訳分かんねえ身体のこと知られることだろ?
つまり麦野たちはお前のこと生まれつき女だって思ってる訳だから別に笑ったりしねえって)ヒソヒソ
百合子「…………………」
百合子「あァ、まァ、そォいうことなら…」
麦野「?? なにコソコソ話してんのー?」
垣根「なんでもないなんでもない。それより麦野、今日は他の奴らとは一緒じゃねえのか?」
麦野「とりあえずあの後浜面はボコったから今は寝込んでるわ」シレッ
垣根「……それってもしかして俺のせい?」
百合子「……元を辿れば俺のせいかもなァ」
麦野「どうせ今頃滝壺に甲斐甲斐しく看病してもらってるだろうからむしろご褒美でしょうよ」ケッ
垣根「あー、なるほど。つまりお前は墓穴掘っちゃったわけね」
麦野「るっせーよ! テメェがあのまま大人しく死んどきゃ済んだ話だろうが!!
ゴキブリみてえにしぶとく生き返ってきやがって!!!」
垣根「………どうしよう一方通行。俺麦野に死んでた方がいいってレベルまで嫌われてる」
百合子「安心しろ。俺もちょっと前まではそォ思ってた」
垣根「なるほど、つまり今はそう思ってないと」
百合子「……ノーコメントだ」
麦野「………………、」
麦野「この目で見るまで信じられなかったけどアンタら和解してるっての本当だったんだ」
垣根「ん? だからそう言っただろ。まあ立ち話もなんだ、ここ座れよ。奢ってやるから。ほら一方通行、お前も座れ」グイグイ
百合子「……チッ」ガタン
麦野「え、マジ? テメェのツラ見ながら食事すんのは吐き気がするけどそれならまあ相席してやるよ」ガタン
垣根「お前どんだけ女王様なの?」
百合子「……オラ、第四位。メニューだ」つメニュー
麦野「あらどうも。さて、じゃあ何にしよっかな~」ペラッ
垣根「俺らもドリンクバーしか頼んでなかったし何か食うか」
百合子「ン」
麦野「シャケのムニエルはここ一週間連続で食べてるし他のにしよっと」
垣根「シャケ好き過ぎだろ…。流石に一週間連チャンはねえわ」
麦野「シャケは至高。異論は認めないわ。んー……よし、この鮭のホイル蒸しに決めた。あとマリネ」
百合子「それムニエルと大して変わらなくねェか。……あー、俺はハンバーグセットでいいか」
垣根「んじゃボタン押すぞ。麦野、お前もドリンクバー頼むだろ?」ピンポーン
麦野「当然」
ザワザワ ワイワイ
店員「――――かしこまりました。ではドリンクバーはあちらのコップをご自由にお使い下さい」スタスタ
麦野「はーい」
麦野「んじゃ第二位。ドリンクバー行って私の飲むもん取ってこい」
垣根「おい」
麦野「何よ、文句あるわけ?」フン
垣根「……まあいいか。昨日のこともあるし、ちょうどションベン行こうと思ってたし」ガタッ
麦野「きったねーなあ。食事の場なんだからそういうのはもっとオブラートに包んだ言い方しろよ」
百合子「それはオマエだけは言っちゃいけねェセリフだ」
垣根「お花を摘みに参りますわ」キラッ
麦野「うぜえ…」
百合子「……いつかの変態ツインテ思い出すからやめろ」
垣根「で、何取ってくるよ」
麦野「とりあえず烏龍茶でいいわ。ちゃんと氷も入れてこいよ」
垣根「ハイハイ、りょーかい」スタスタスタ
百合子「………」
麦野「………」
麦野(って、ぶっちゃけこいつと二人とか地味に居心地悪ぃな。話すことないし。いや、第二位ともねえけど)
百合子「……」パカッ カチカチカチ ピロリン♪
麦野(あの第一位がケータイでクーポン読み取ってやがる…)ジッ
百合子「……ン? なンだよ?」
麦野「え? いや別に…」
百合子「ここのコーヒーあンま美味くねェンだよな」ズズズ
麦野(なら来んなよ…)
百合子「……」
麦野「……」
麦野(なにこの気まずい空気)
百合子「………あー」
麦野「あん?」
百合子「まァ、その、……なンだ。垣根の奴は確かに馬鹿だしうぜェけどよォ」
麦野「……はあ?」
百合子「根はそンな悪い奴でもねェンだ。だから、なンつゥか……あンま邪険にしないでやれ」
麦野「……、」
麦野「それってあいつのフォローのつもり? ホントいつの間にそんなヌルい馴れ合いする関係になってんだテメェら。
脳ミソ弄られ過ぎてとうとうイカれちまった訳? 根暗く傷の舐め合いでもしてんのかよ」
百合子「周りからすりゃそォ見えても仕方ねェのは分かってンよ。
でもアイツとつるンでンのは舐め合いとかじゃねェ、それだけは言える」
麦野「……あっそ。まあ別にこっちもアンタらの仲とか興味ないし。
でも少なくとも私は第二位のバカのことは嫌いだから。何吹き込まれたとこでそこは変わんないわよ」
百合子「それならそれでイイ。こっちもあのバカのケツまで拭いてやるつもりはねェよ」
麦野「……」
百合子「……」
麦野「……ただの興味本位で聞くけどさ。アンタらつるみだしたきっかけって何よ?」
百合子「…………………」
麦野「?」
百合子「正直あンま思い出したくねェ、が、まァ……突き詰めりゃただの成り行きだ。自分でも未だに謎なくらいだ」
麦野「抽象的過ぎて何一つ伝わんないわね。ま、そこら辺根掘り葉堀り尋問するほど野暮でもないけど」
百合子「『葉堀り』って言葉超イラつくよな。葉っぱが掘れるかっつーの」
麦野「は?」
百合子「……なンでもねェ」ズズッ
麦野「……」
百合子「……」
百合子「つーかオマエにゃ浜面がいるから最初から垣根に靡くなンざ思っちゃいなかったし」
麦野「!?」
麦野「なっ、なななななんでそこで浜面が出てくんのよ!? わっわた、私はべべ別にあんな馬鹿面のことなんか全然っ……!」アタフタ
百合子「……うわァ」
麦野「そのドン引きした目やめろ第一位ぃぃいいいいい!! ホントにあんな阿呆面どうでもいいんだよこっちは!
浜面とか猿顔のブサイクだし? エロいことばっか考えてやがるイカ臭ぇ粗○ンの××××野郎だし頭悪いチンピラで、だから、
あ゛ああああふざっけんな、はーまづらあああああああああああああ!!!!!」ガターン!!
百合子「いや、今この場においては浜面何も悪くねェだろ。罵るならせめて俺を罵れよ」
麦野「全ては浜面が悪いのよ!! 死ね浜面!!!」ガン!
百合子「……ああ、浜面って普段からこォいう扱い方されてンだな。
そりゃ能力追跡の方にコロッと落ちるわ」
垣根「よう、烏龍茶入れてきたぞー……ってなに騒いでんだお前ら」スタスタ
麦野「はー…はー…」ゼェハァ
百合子「とりあえず落ち着け。ここまで出禁にされたくねェンだよ」
垣根「なになに、ガールズトーク(笑)でもしてた訳? 俺も混ぜろよ」ガタン
百合子「そンなンじゃねェよ殺すぞ。ほら第四位、これ飲ンで気ィ鎮めろ」つ烏龍茶
麦野「………」ハァハァ
百合子「ンで垣根。オマエのコップに入ってるその気持ち悪ィ未元物質はなンだ」
垣根「カルピスにブドウジュース混ぜた」シレッ
百合子「キメェ…」
垣根「俺はチャレンジャーだからな。ちなみにコーラに牛乳混ぜても美味いんだぜ? 比率間違えると分離してえらいことになるが」
麦野「………、アンタらってさ。いつもそんな感じなわけ?」
垣根「あん?」
麦野「とりあえず和解してんのはよーーーく分かったから置いとくけど。
ぶっちゃけた話、天下の一位と二位がこんなファミレスでぐだぐだくだらねえことしながら駄弁ってるとかその体たらくはどうなのよ」
百合子「あァ? それ言ったらオマエらアイテムも変わンねェだろォが」
垣根「そして今まさにその体たらくな輪の中にお前も入ってるからな?」
麦野「……………変な奴ら」
垣根「まー、せっかくこうしてレベル5が三人も集まってんだし。親睦深めようぜ、親睦」
麦野「テメェと深める親睦なんざ爪の先ほどもねーよ。ってか昨日のは本当になんだったの?」
垣根「久々に見たむぎのんの眩しさにちょっとテンションが上がり過ぎてしまいました」
麦野「誰がむぎのんだ」ビキ
百合子「垣根が迷惑かけて悪かったな。コイツホント根っからの女好きだから」
麦野「あー、そういうの一番きめぇわ。がっついてる奴って同性からも嫌われるしね」
垣根「別に男に好かれねえのは構わねえよ」
百合子「いや、オマエ好かれてるだろ」
麦野「え?」
垣根「……おいばかやめろ、まさか」
百合子「コイツ前回転寿司食いに行った時そこのガチムチ店員に思いっきり目ェ付けられててなァ」
麦野「……ぶっwwww」
垣根「それ微妙にトラウマなんだからマジでやめてくれ。思い出しちまっただろうが…」ブルッ
百合子「見事な体育会系マッチョだったよな」
麦野「そりゃまた…www」ククッ
垣根「……なあ、何度も言うようだがギャグでもなんでもなく冷静に考えて俺って美形の部類だよな?」
百合子「アレだろ、全般的に女ウケがイイのはもっとこう、爽やか好青年~みてェなタイプなンじゃねェの?
良くも悪くも好み真っ二つに分かれる顔だろオマエ」
麦野「確かにね。ツラの良さだけは認めるけど、そのチャラついた雰囲気が生理的に受け付けない子も多いでしょ」
垣根「俺ってそんな浮わついたイメージなのか?
いやでも逆に黒髪短髪でアウトドア系のファッションとかしてる俺の方がねえだろ」
麦野「ああうん。それは確実に似合わねえわ」
百合子「――――似合わねェな、メルヘン野郎」キリッ
麦野「は?」
垣根「……心配するな。自覚はある」フッ
百合子「……」
垣根「……」
垣・百合「「ぶふっwwww」」
麦野「」
麦野(え、今の笑うとこだったの? やべえ、こいつらの笑いのツボがさっぱり分かんねえ…)
百合子「あー…なンつったかほら、アイドルだか俳優だかの……ひとつい? みてェなのが一番モテンじゃねェの」
麦野「ああ、一一一(ひとついはじめ)ね。確かに美形よね、私はああいう優男苦手だけど」
垣根「なんかお前らの口からアイドルの名前が出ると全然違う単語に聞こえんな」
麦野「どういう意味だコラ」
百合子「あれだ、黄泉川がなンかそいつの出てるテレビ番組録画したりしてンだよ」
垣根「えー、女ってあんなんがいい訳? 黄泉川お姉さん意外とミーハーだな」
百合子「芳川もだが無駄に若者気取ってやがるからなァあいつら…」
麦野「そういや昨日も言ってたけどそのヨミカワとかって誰よ?」
垣根「ああ、こいつの保護者。二人ともいい人だぜ、美人だし」
百合子「ただのこうるせェババァ共だ」
麦野「あ? ババァ?」ピクッ
垣根「なんでそこでお前が反応すんだよ」
百合子「でもコイツ、ナリは派手だが中身は無駄に庶民派つーか貧乏臭ェとこあンだよな」
垣根「そこはお前に言われたかねえよ」
麦野「へー。具体的には?」
百合子「冷凍とかインスタント食品美味そうに食ってるわ、酒は安モンの焼酎だの発泡酒だの飲ンでるわ…」
麦野「はあ? 第二位テメェ、無駄にこ洒落たレストランとか行ってそうなのに実際は普段そんなの食ってんのかよ。
……ってよく考えたらここもファミレスだったか」
垣根「成金趣味じゃあるまいし別になあ…。
実際、昔っから実験に協力したり仕事で金はバンバン入ってきてたけど使いどころってあんまねーんだよな。結局のとこ殆ど手付かずのままだ」
麦野「まあそれはね。私もたまに衝動買いしたりプライベートプール借りっぱしたりその程度だわ」
百合子「プール借りっぱはその程度とは言わねェ」
垣根「金は持ってる奴が使わねえと経済回んねえからな。間違った使い途ではねえだろ」
百合子「………オマエらもし今度ツンツン頭の三下とチビのシスター見つけたらそいつらになンか食いモン恵ンでやれ」
麦野「んー…」ジロジロ
垣根「ん? 何だよ麦野、俺に見とれて」
麦野「死ね。……いやね、確かに言われてみればぱっと見の印象はいかにもホスト崩れって感じだけど
よくよく見りゃ別にアンタってジャラジャラピアスだのアクセサリーだのしてる訳ではないのよね。
服装だけで言えばどっちかっていうとシンプルな方だわ」
垣根「そういうお前こそ派手好みっぽそうな割に結構落ち着いた恰好だよな。
お姉さん系つーの? いいな、俺は好きだぜ?そういうの」
麦野「ああ、やっぱチャラいわこいつ」
百合子「結論=垣根は言動がチャラい」
垣根「ひでえ言われようだ」
垣根「違ぇんだよなー。俺はなんつうかもっとこう、ダメなとこも含めたそのまんまの垣根帝督を愛して欲しいみたいな?」
百合子「引くわァ…」
麦野「………」
麦野(なーんか、本当に案外普通なのねこいつら。毒気抜かれちまうわ)ズズッ
垣根「そういや麦野。浜面と能力追跡が今頃乳繰り合ってんのは分かったがもう一匹のガキはどうしてんだ?」
麦野「ああ、絹旗? あいつならなんか黒くてイルカなガキと遊びに行ってくるとか言って出掛けたわ」
垣根「なんだよそのふわっとした情報……イルカは青いもんだろ」
百合子「あァ、黒夜か」
麦野「そうそう、そいつ」
垣根「なんでお前が知ってんだよ」
百合子「オマエが死ンでる間にいろいろあったンだよ。
まァガキ同士仲良くやってンならイインじゃねェの」
垣根「出たよ、一方通行の幼女贔屓」
百合子「ここにある唐辛子ベクトル一気させンぞ」スチャ
垣根「すみませんでした」
麦野「……ホント仲良いわねアンタら。ていうか絹旗はあれでも一応中学生だから幼女ではねーよ」
垣根「中学生ねえ。それにしちゃチビだよな」
麦野「そうよねえ、そろそろもっといろんなとこ成長し始めていい歳なんだけど。
ま、あれはあれで結構子供らしくてカワイイとこもあるんだけどね~」
百合子「なンだ、ただの親バカか」
麦野「あ゛? 誰が母親気取りのババァだって?」ピキッ
百合子「ンなこと一言も言ってねェだろ…」
垣根「つーか親バカ度で言えば一方通行の方が万倍上だろ。完全にお嬢ちゃんの親御さんだもんなお前」
百合子「黙ってろ」
麦野「あー最終信号だっけ。あのアホ毛揺らしたアホっぽいガキね」
百合子「……あ?」ピクッ
麦野「正直あれに比べたらウチの絹旗の方が断然可愛いわよね」フフン
百合子「…………オイオイオイ、このババァ歳食い過ぎて朦朧しちまってンのか?
あンな超超言ってる怪力チビに比べたらまだウチの打ち止めの方がガキらしくてマトモだろォが」
麦野「あ?」ピクッ
百合子「まァ確かにクソうるせェし、食いモンぼろぼろ溢しまくったりまとわりついてきたりしてうぜェけど?
ガキはガキらしくしてンのが一番ですしィ?
色気もねェのにあの歳であンな際どいカッコしてイキがってるどっかのロリビッチよりゃまだイイよなァ」フフン
麦野「……なに、喧嘩売ってんの?
口調で言ったらそっちのミサカミサカうるせえガキのが明らかにおかしいだろうが。
あんな乳臭いお子ちゃま溺愛して第一位サマはマジでロリコンだったわけ?
レズでロリコンとか倒錯し過ぎだろ、笑えるわね」ハッ
百合子「はン、年甲斐もなく年中寒そうな下着着けてるおばさンはやっぱ更年期でピリピリしてるンですかァ?
負け犬オーラプンプンさせやがって、ヒステリーも大概にしておけよ」
麦野「あ゛?」
百合子「大体なァーにが『スケスケなのは仕様です(笑)』だ?
教育上よくないンでウチのクソガキにそンな汚ねェモン見せンのやめてくれますゥ?
オマエはセクシー系担当でもなンでもねェよ、ただのババァ枠だ。
誰得な紐パンとか目に毒なンで即刻中年向けパンツに変えてもらえませンかァ?」ハッ
麦野「あ゛あ゛あん? テメェ本気で喧嘩売ってやがんな、つるぺた幼児体型なモヤシっ子には私のスタイルがそんなに羨ましく見えるのかにゃーん?
負け惜しみにしか聞こえないんだけど?」
百合子「あ゛?」ビキッ
麦野「ていうか~そんなウルトラマンみてーな恰好したセンス0のまな板ちゃんに絹旗の何が分かんの?
あの子はねえ、ウチらの切り込み隊長なのよ。
あんな脳ミソ軽そうなアホ毛ロリとはまずスペックからして違うっていうかぁ?」
百合子「あ゛ァ!?」
垣根「怖ぇ…。これが女同士のドロドロの闘いか…」ガクブル
百合子「………誰に牙剥いてっか分かって口開いてンのか第四位。オマエはやっぱり下半身だけじゃなく頭もユルユルなンですかァ?
どォせならついでに下顎吹っ飛ばしておしゃぶり上手なツラにしてやろォか? あ?」
麦野「誰の股がユルいって? 処女臭ぇ匂いプンプン垂れ流してるテメェに言われたかねーんだよ、下の毛も生え揃ってなさそうなくせしやがって。
そんだけ病人並みに肌白けりゃ×××もそりゃ綺麗なピンクなんでしょーねーえ?
ジュージューやっちゃう? 可愛い下のおクチに焼きごて当てて真っ黒焦げの刑にしてやろうか百・合・子ちゃん?」
百合子「」ガタッ
麦野「」ガタッ
垣根「やめろお前ら。なんかすげえデジャブだから。
本当俺の周りは口汚ぇ女ばっかだな…」ハァ
百合子「ウチの打ち止めはなァ……」
麦野「ウチの絹旗は……」
垣根「だーからくだらねえ言い争いすんやめろつってんだろ親バカども。
あと麦野、お前の紐パンは俺得だから後で見せろ。つーかなんだよ、スケスケとか最高じゃねえか…。
このモヤシの言うことなんか気にせずこれからも穿き続けろよ?
老け顔とかホント気にすることねえから、年増でもお前くらい美人でエロければ俺イケるから」
麦野「死ね」
百合子「死ね」
垣根「……え、なんで仲裁しようとした俺がディスられる流れになってんの?」
店員「お待たせ致しました~」カチャカチャ
垣根「ああほら、料理も来たことだしここらで一旦休戦条約結んどけ。メシくらい楽しく食おうぜ?」
百合子「……チッ。命拾いしたな第四位」ガタン
麦野「こっちの台詞だ第一位」ガタン
店員「……えーっと…」
垣根「ああ、すんません。おら、さっさとコップとおしぼりどけろお前ら」
百合子「仕切ンな、うぜェ」
店員「こちら鮭のホイル蒸しとマリネのお客様」
麦野「はいはーい。わーい、シャケだ~」ホクホク
店員「和風ハンバーグセットのお客様」
百合子「ン」
店員「モーニングセットのお客様」
垣根「どーも」
店員「以上でご注文の品お揃いでしょうか?」
垣根「ハイハイ」
店員「ではごゆっくりどうぞ~」スタスタスタ
麦野「――――シャケ美味しいわ」モキュモキュ
垣根「食い始めんの早過ぎだろ……縮地でも使ってんのかお前」
百合子「っつかオマエこそモーニングっておかしいだろ、今昼だぞ」
垣根「朝メシ食ってこなかったから朝食っぽいの食いたかったんだよ。まだ11時だしギリギリ朝だろ」
麦野「んぐんぐ……むぐ。うん、このファミレスも悪くないかな。
んー、でもやっぱ基本はジョセフよね。
ジョルノガーデンとかジョリーンパスタも捨てがたいけど」モグモグ
垣根「ああ、二部もいいよな。個人的には四部が好きだけど」
麦野「は?二部? 何の話?」
百合子「三部だろ。ジョータロー先輩マジカッケェ」
垣根「なんだかんだでスタプラだよな」
百合子「キラークイーンこそ至高。そォ思っていた時期が俺にもありました」
垣根「やれやれだぜ」
麦野「……ねえ、ホントアンタらのノリについてけないんだけど」
百合子「心配すンな、自覚はある」キリッ
垣根「異物の混ざった空間。ここはテメェの知る場所じゃねえんだよ」キリッ
麦野「テメェらそれ言いたいだけだろ。……なに、私バカにされてんの?」ピキ
垣根「トースト美味い」モグモグ
百合子「ハンバーグ美味い」モグモグ
麦野「」イラッ
垣根「いやでも実際、自分のスタンド考えたり必殺技の練習すんのは子供時代に誰でも一度は通る道だろ。
傘使ってアバンストラッシュとか竹箒使って牙突とか」
麦野「やらねえよ」
百合子「…………」←やってた
麦野「なにアンタら、もしかしてあれなの? 厨二病ってやつ?」
垣根「それはこいつ。まあぶっちゃけ俺自身もあんま否定は出来ねえが」
麦野「あー、見た目からしてイタイもんね第一位って。破滅型パンクロックバンドのベーシストみたいな」
垣根「シドかよ。確かにカラオケでも洋楽ばっか歌うんだよなーこの白いの」
麦野「うわっ、きっつー…」
垣根「『クク…今宵も血に餓えた俺の紅き瞳が生け贄を求めさ迷っているぜェ…』」
麦野「wwwwwwww」
百合子「……オマエら結託して俺のこと苛めてそンなに楽しいか」ビキ
垣根「うん」アッサリ
麦野「うん」アッサリ
百合子「」イラッ
垣根「……あ。なあなあ一方通行、見ろこれ」モグモグ
百合子「あァ?」モグモグ
垣根「俺の目玉焼きちょうど二つ並んでてお前の胸みてえ」
百合子「…………本当に頭ン中小学生男子レベルだなオマエ」
垣根「決してプリンとかオムライスのような盛り上がりはなく、ほぼまっ平らに近いところがまさしくお前を表している。これはもはやアートだ」
百合子「あァそォ、そりゃよかったな」
垣根「なんだ反応薄いな、つまんねえ。あ、それ取ってくれ」
百合子「ン」
垣根「サンキュ」
麦野「……」
百合子「……それ美味いか?」ジッ
垣根「一口だけなら恵んでやらねえこともねえぞ?」モグモグ
百合子「何も言ってねェよ」
垣根「じゃあやらねーよ」
百合子「………食う」
垣根「よく言えました。ほら一口」スッ
百合子「ン、」パクッ
麦野「………」
垣根「それは一口じゃねえ、三口だ。まあいい、美味いか?」
百合子「まァまァ」モグモグ
垣根「貰っといてそれかよ」
百合子「ちょーウマイ」
垣根「あ、やっぱそっちの方がムカつくわ。お前のも寄越せ」ズイ
百合子「勝手に食え」
垣根「“あーん”は?」
百合子「張り倒すぞ」
垣根「んだよノリ悪ぃな、ちょっとお茶目なていとくんを演じてみただけだろうが」
百合子「オマエは年中無休でそンなノリだろボケ。口開けろ」スッ
垣根「あー…」
百合子「ン」ポイ
麦野「…………」
垣根「……あ、美味ぇ。意外と美味ぇ」モグモグ
百合子「意外とってなンだ、殺すぞ」
垣根「テメェ自分の発言棚に上げてそれか」
麦野「……………」
百合子「あー、コーヒー取ってくる」ガタッ
垣根「俺が取ってきてやろうか?」
百合子「オマエどォせ砂糖山盛り仕込ンでくる気だろ」
垣根「………チッ」
百合子「オマエのそォいう抜け目の無さは既によォーーーく知ってンだよ」
垣根「お前が俺のこと余すとこなく理解してくれてて嬉しい限りだ」
百合子「ほざいてろ」
垣根「飲み過ぎんなよ。胃に穴開くぞ」
百合子「コーヒーで死ぬなら本望だ」
垣根「言っとくがお前死んだら俺泣くからな?」
百合子「たった今全力で長生きしなきゃならねェ理由が出来ちまったわ」
垣根「いやマジで」
百合子「ハイハイ、そりゃどォもォ」カツカツカツ
麦野「………………」
垣根「ん、どうした麦野。黙りこくって」モグモグ
麦野「いや、死ねよテメェら」
垣根「は?」
麦野「は? じゃねーよ! なぁぁああああーーにが『今は友達だ(キリッ』よ!?
新婚夫婦みたいな会話しやがって、完全にデキてんじゃねーか!! なに、嫌味? 嫌味だったわけ!!?」
垣根「? 何が?」
麦野「だぁぁあああからナチュラルに一口交換(ハァト)とかやってんじゃねーよ!! なにが“あーん”だコラァ!!」バン!
垣根「……え、なんでそこでマジギレ?」
麦野「あぁ!? ナメてんのか! 大体それだけじゃねーよ、なんで“それ取って”だけで醤油だって分かんだよ!?
他にもソースとか塩胡椒とかあるだろうが!!」
垣根「ああ、俺目玉焼きには醤油派だから」
麦野「んだそりゃ!! いちいち言わなくても既にお互いの味の好みは把握してますってか!?
ツーと言えばカーか? 阿吽の呼吸かバカップルが!!!!」
垣根「……いや、ホントなに言ってんだ? お前」
麦野「イチャイチャすんなつってんのよ!!」バンバン!!
垣根「ああ? いつ俺があいつとイチャイチャしたっつーんだよ」
麦野「いい加減にしろよテメェ!? あーもーこれだから無自覚な奴らはムカつくのよ!!」
垣根「……??」
麦野「ねえ、本当は付き合ってんでしょ!? 実はヤりまくってんだろテメェら!!」
垣根「なんであいつとヤらなきゃならねえんだよ…萎えること言うなよ…」
麦野「…………」
麦野「ちょっと待って。一回整理しましょう。アンタたちって“友達”なのよね?」
垣根「おう」
麦野「ならなんであんなベタベタしてんだよ!!」
垣根「だからしてねえって」
麦野「ふざけてんじゃねーぞ、死ね! テメェマジで死ね!!」
垣根「……いや。だってあいつ胸ねえし目付き悪ぃし恰好もいつも訳分かんねえウルトラマンだし。周りからすりゃ普通に男友達とかに見えてんじゃねーの?」
麦野「そりゃただ普通に並んでご飯食べてるだけならそういう風にも思えるかもしれないわよ?
でも第一位なんてそれこそ第三者からすりゃ胸ねえだけの女にしか見えねえし
何よりテメェら二人してそうやっていつでもイチャコラベタベタしてたら普通そういう関係にしか見えねーよ!!!」
垣根「えっ。じゃあまさか今まで俺が逆ナンされたことなかったのって一方通行のせいかよ……なんだよちくしょう」
麦野「………、アンタ本当に第一位のことなんとも思ってないわけ?」
垣根「なにそれ。女としてってこと?」
麦野「そうよ」
垣根「体型が麦野だったら考えないこともない」キッパリ
麦野「だから性的な目で私のこと見んじゃねーよ気持ち悪ぃ!!」ゾワッ
垣根「あぁ!? そんなデカいもんぶら下げて見るなっつー方が間違ってんだろうが!
むしろ見なきゃお前の胸に失礼だろ!!」ガン!
麦野「意味分かんねーよなんでそこで力説すんだ!?こいつホントキモいわね!!
ていうか私じゃなくて第一位の話よ、体型云々抜きにしてどう思ってんのかって聞いてんの!!」バンバンバン!
垣根「ええ?」
垣根「いやだから本当にダチなんだって」
麦野「綺麗事言ってんじゃないわよ、所詮男女の友情なんて成り立たないのよ」
垣根「……いや、あいつの場合普通の女ではねえしなあ…」
麦野「え?」
垣根「あー何でもねえ。大体だ、男と女が一緒にいたからって必ずしもそういう方向に発展しなきゃいけないなんて決まりも何一つねーだろ」
麦野「そりゃまあそうだけど……テメェだけは言っちゃいけねえ台詞だわ」
垣根「まあ一方通行の奴もああ見えて結構可愛いとこはあるんだけどな」
麦野「だからノロケんじゃないわよ!!」
垣根「え?」
麦野「……もういい。これ以上アンタらに関わってたら胸焼けし過ぎて死ぬっつーの」
垣根「いやマジで誤解すんなよ? あいつとは何もねえから」
麦野「……向こうは?」
垣根「あん?」
麦野「第一位の方はアンタのことどう思ってんの?」
垣根「どうも何も。友達は友達だ」フフン
麦野「はああ? 意味分かんない。ていうかなにそのドヤ顔うざい」
垣根「分かれよ。つーかやっぱ女ってその手の話好きなんだな。恋愛脳ってヤツか?」
麦野「……あーあーこれだから男は。女の子はみんな恋バナが好きなのよ」
垣根「お前が女の子(笑)」
麦野「コロスわよ?」
垣根「すいませんでした」
麦野「ていうか猿並みに盛りまくってるテメェにだけは恋愛脳云々言われたくないのよ!!」
垣根「そりゃ女の子自体は大好きだけど、他人にそこら辺あれこれ詮索したりされたりすんのはあんま好きじゃねえ…かな。下ネタは別だけど」
麦野「……ふーん? 男って変な生き物ね」
垣根「こっちからしたら女の方が未知の生物だけどな。
まあでもだからこそ惹かれるっていうかつまり麦野今夜どうだ。俺の家に来ないか?」
麦野「なんの脈絡もなく口説きにきてんじゃないわよ。
テメェに抱かれるくらいなら一人で野菜でも突っ込んでた方がまだマシだわ」
垣根「是非その場面を鑑賞させて下さい」
麦野「キモ!! ただの冗談に決まってんだろうが、実際にやるわけないでしょ!!」
垣根「えっ……エロい事しないの?」
麦野「…………、なんで第一位はこんな奴と普通につるんでられるんだか心底理解出来ねえわ」
垣根「ああ、あいつむっつりだから」
麦野「あ、やっぱそうなんだ? 確かに前々からそれっぽいとは思ってたのよね」
麦野「って、そうじゃなくて。本当アンタらの関係がさっぱり理解出来ないんだけど」
垣根「……あー、まあそう思われても仕方ねえか。なんだ、つまり、まとめると………我ながら俺はクソ外道のくだらねえ人間だと思うけどよ。
でも別にくだらなくてもどうしようもなくても、それはそれでそれなりに、つーか」
麦野「……はあ?」
垣根「今まで気に入らねえもんはぶっ壊してきたし、気に食わねえ奴はぶっ殺してきた。その基準で言っちまえばあいつもそうだ、
本気でぶっ殺してやろうかってくらいムカつく時は何度もある。だが……」
垣根「楽しいんだよなあ。それ以上にどうしようもなく楽しいんだわ、あいつといると。困ったことにな。本当にただそれだけなんだ」
麦野「……」
麦野「ねえ、真面目に答えてよ。それってさ、実はもう既に第一位に“ハマっちゃって”るんじゃないのかにゃーん?」
それは麦野としては何の気なしのからかいの台詞だった。
けれどもその時、垣根は確かに酷く子供っぽい顔で、頷くでもなく首を振るでもなくただ小さく笑った。
麦野(………へえ?)
彼女の知るところの第二位は、いつも余裕綽々といった感じの嫌味たらしい薄笑いを顔に張り付けている男だ。
その実、本当は何もかもが退屈で仕方がないというような……そう、それはかつての自分の姿そのままに。
けれども今の垣根のそれは、現在の自分が『アイテム』に対して向ける表情になんだか似ている気がした。
麦野「……ふふん、なんだ。なーーーーんだ」
垣根「うん?」
麦野「んーん、なんでも。そうね、ちょっとは前よりマシなツラ出来るようになったじゃない。そういうの嫌いじゃないわよ?」
垣根「……え? マジで? じゃあ一発ヤらせ…」
麦野「好きとは一言も言ってねーよむしろ死ね」ペッ
垣根「………………」
麦野「ったく、ちょろっと甘いこと言えばこれだからテメェは」
垣根「というかその一方通行は一体何してんだ? コーヒー一杯に時間かかり過ぎだろ」
麦野「なんかトラブってるのかにゃーん? ちょっと見てくれば?」
垣根「そうするか」ガタッ
麦野「ついでに私もお化粧直しに行こうかな」ガタッ
垣根「化粧で隠さなきゃシワが…」
麦野「あ゛ぁん!?」
垣根「ごめんなさい」
inトイレ
麦野「……ふぅ」ジャー バシャバシャ
麦野(たまーにいるのよねえ、ああいう異常に仲良過ぎて逆に進展しない奴らって)
麦野(まあでもそんな関係も……本人同士からしたら結構いいものなのかしらね。見てる側はイラつくけど)
麦野(……私とアイテムの連中も、周りからすりゃあんな風に見えてたりするのかな)
麦野(あーあ、この私があんな奴らにちょっとほだされちまうなんてね。ヤキが回ったか? あほらし)
~~~
麦野「」スタスタスタ
垣根「おう、おかえり」
麦野「ん。どうだったのよ」
百合子「ちょうどコーヒー切れててなァ、入れ替えてもらってたンだわ」
麦野「あっそ。まあ私はもう食べるもんも食べたしこれで帰るわよ。これ以上アンタらといたら砂吐いて倒れちまうわ」
垣根「あ、そうそう麦野。お前ケータイテーブル置きっぱなしだったからトイレ行ってる間に俺とお前のアドレス交換しといたからな」
麦野「はあ!?」
垣根「いつでもメールなり電話なりしてきてくれていいぞ? 俺もするから」グッb
麦野「……」パカッ カチカチカチ ピッ
垣根「オイ」
百合子「なンの躊躇いもなく一瞬で消去したな」
麦野「後でアドレス変えるし、もしテメェが電話かけてきたりしたら速攻で着拒するから」ギロ
垣根「……うん、分かってた。こうなるって分かってたよ俺」
百合子「うぜェからいちいちヘコむなよ。ぼっちだった頃に比べたら相当知り合い増えただろオマエ」ポン
垣根「それは慰めなのかディスりなのかどっちだ?」
百合子「ディスり」キッパリ
垣根「私、そこまで即答しなくてもいいと思うの」
百合子「高望みすンな。現状で満足しとけ」
垣根「なに、他の女と仲良くすんなってこと?
独占欲強過ぎる女はモテねえぞ、悪いけどお前にそんな愛されても嬉しくないから」
百合子「ホント曲解すンの得意だなオマエ。ツッコミ待ちなら放置すンぞ」
垣根「チッ、これだからカマトトむっつりは…」
百合子「あ゛?」
麦野「だからいちいち私の前で夫婦漫才やんじゃないわよ! あーもーシラケた。ホントに帰るわよ、じゃあね」ヒラヒラ
垣根「おー」ヒラヒラ
百合子「またな」
――――気の抜けた声で適当に手を振る二人を、麦野は帰りしな一度だけ振り返る。
それなりに上背のある派手な男の方は、窮屈なのが嫌いなのか着ているYシャツのボタンを上から三つほどだらしなく開け放し、
毛先の跳ねた金髪に近い茶髪は間違いなくチャラついているし
無造作に尻ポケットに突っ込まれた使い潰された長財布やゴツいデザインのベルトからジャラジャラ繋がったチェーンなど、
どうにも生真面目なタイプの人間をイラッとさせる雰囲気を醸し出している。
対してもう片方はといえば、素っ気なさ過ぎる白と灰色の縞々シャツに同じくシンプルなジーンズ、華奢を通り越して不健康な程に線の細い体躯。
妙に目立つのはひとえにそのあまりに真っ白な髪と肌のせいだろう。
能力の仕様上、それこそシミ一つ毛穴一つ見当たらない蝋で固めたような肌、さらさらとした色素の抜けた髪。
毎日丁寧に化粧水やら乳液やらトリートメントやらエステやら試行錯誤している自分がいっそ馬鹿らしくなってくる。
けれども鋭くつり上がった煌々と赤い瞳は、それだけで周りの人間が避けて通るような異様なオーラを放っている。
なんともまあ絵に描いたようなデコボココンビっぷりだ、と麦野は思う。
でも。
なんだか。
麦野「ちょっとだけ……羨ましいかにゃーん?」
なんてね、と嘯いて彼女は相変わらず高いピンヒールの靴音を響かせ姿勢よく歩く。
まあたまにはまたあの二人に付き合ってお茶くらいならしてあげてもいいかな、などと随分彼女らしくないことを考えながら。
ここまでです
むぎのんも加わってのさらなるぐだぐだっぷりと、デコボココンビの友情が深まってきてる感が伝われば。
あとまたメタネタ入れちゃってすいません、ジョジョオタなんだごめんね……
ではまた!
なんか唐突にしょーもない話が浮かんだのでちょっと番外編的な小ネタとして投下します
垣根「……」シャクシャク
百合子「……」シャリシャリ
垣根「」←ガリガリ君食べてる
百合子「」←スイカバー食べてる
垣根「……なあ」シャクシャク
百合子「……ンー?」シャリシャリ
垣根「ガリガリ君ってなんでこんな美味いんだろうな」
百合子「ン」
垣根「60円そこそこの値段でこの味が出せるってすげえと思うんだよ」シャリシャリ
百合子「うン」シャクシャク
垣根「そりゃ確かにハーゲンダッツは素晴らしいぜ? でもよ、あれはなんか違ぇんだよ。大人の物っていうか」
百合子「ン」
垣根「あれかな、やっぱ子供ん時に慣れ親しんでるから舌がガリガリ君の味に順応してんのかな」パクパク
百合子「さあ」パクパク
垣根「飽きない美味さだよな」
百合子「ン」
垣根「スイカバーもいいがメロンバーもいいよな」シャリシャリ
百合子「あァ」シャクシャク
垣根「……そういやさあ。子供ってので思い浮かんだんだが、お前ってどんな子供だったんだ?」
百合子「あン?」
垣根「ぶっちゃけお前のガキ時代とかまったく想像つかねえんだよ。
まあクソ生意気だったであろうことだけは確信してるが」
百合子「………なァ、鼻からコーヒー啜りてェなら素直にそォ言えよ。今すぐ肺がパンクするまで送り込んでやっから」
垣根「いや、そういうんじゃなくて。リアルに。やっぱコミュ障だし根暗いガキだったのか?」
百合子「イイ加減舌捻じ切られてェンだな。オーケー分かった、後でやってやる。
……そォいうオマエこそどうだったンだよ」
垣根「え? 俺?」
百合子「オマエの子供時代の方がよっぽど想像つかねェよ。
まァどォせ鼻垂らしたクソムカつくガキだったであろうことだけは確信してるが」
垣根「いい加減全身の骨ブチ折られてえんだなオーケー分かった。
……俺の子供時代ねえ。ああ、そりゃもうナルキッソスも裸足で逃げ出す美少年で…」
百合子「あ、俺のアイス当たりだった」つ当たり
垣根「おい聞け。あとそれもしいらねえならよかったら俺にくれ。
つーかお前“甘いもんなんざガキの食い物(キリッ”とか言っといてふっつーに食ってんのな」
百合子「大して好きでもねェが食えねェ訳でもねェよ」
垣根「あーそー。って、んなこたどーでもいいんだよ。とにかく俺はな? それはそれは愛らしい少年だった。
自分で言うのも何だがなんか深窓の令嬢ならぬお坊っちゃんぽかった」
百合子「へー、そォなンだァー(棒」
垣根「だから真面目に聞け。……だがしかし! そんな純粋無垢な垣根少年にも悲劇は起こる―――ッッ!」
百合子「オマエはまず純粋無垢って言葉に謝れ」
垣根「俺さ………羽、生えるじゃん?」
百合子「とびきり似合わねェメルヘンなヤツがな」
垣根「それがさ、正直それは今の俺に生えてるからであって、小学生くらいの時にはむしろ似合ってたんだよ。割とマジで」
百合子「……まァ、確かにガキってのはそれだけでなンかいろいろ許される面あるからな」
垣根「見た目も中身も幼かった俺の背中にはためく三対の翼は本気で天使と言っても過言じゃない似合いっぷりだった。
俺自身も『ウイングガ○ダムだ!かっけぇぇぇええ!』とか思ってた」
百合子「……」
垣根「でもな、時の流れってのは残酷なんだよ。……中学くらいになって背も伸びてきて声変わりもして
思春期、反抗期の頃にもなると俺は嫌でも気が付かざるを得なくなった」
垣根「『―――あれ?やっぱこの羽ダサいんじゃね?』ってな…」
百合子「……あァ…」
垣根「元々周りの研究者共は俺のこと化け物扱いして腫れ物に触る感じではあったけどよ」
百合子「……」
垣根「それまでは『背中に翼があるとかすごいねー』『永遠の子供の夢だもんね、空飛ぶのって』みたいな社交辞令は言ってきてたのがだ、
その頃になるとガチで『うわ……』みたいな反応されるようになった」
百合子「……」
垣根「なんだかんだこの羽は便利だよ? 高速移動もガードも出来るし。
でも、な。一番多感な時期を周りからずっとそういう目で見られ続けると…なんていうか…」
百合子「……」
垣根「こう……世界をぶっ壊したくなってくるっていうか……」
百合子「……」
垣根「研究者達が陰で俺のこと『翼の折れたエンジェル(笑)』ってあだ名で呼んでたり…とかさ」
百合子「……」
垣根「すれ違いざまこれ見よがしに翼をください口ずさんできたり、さ」
百合子「……」
垣根「仕事ん時の仲介の電話の女にも『お子様にウケるビジュアルwwww』とか草生やして笑われた上に、
スクールの連中までその後しばらく俺と顔合わせる度必死で笑い堪えてたりさ」
百合子「……」
垣根「俺、リーダーなのに……」
百合子「……」
垣根「……」
百合子「……この当たったアイス棒オマエにやるよ」スッ
垣根「……ありがとよ」
百合子「オマエも辛かったンだな。安心しろ、周りのクソッタレ共の好奇の目に晒されてきたのは俺も同じだ。……元気出せ?」ポンポン
垣根「へへ、よせよ……泣いちゃいねえさ」ハハッ
垣根「――――でよ。結局お前の方はどうだったんだ?」
百合子「ン?」
垣根「だってあの木原数多に飼われてたんだろ? どんな感じだった訳?」
百合子「!!!」ガタッ
百合子「き、聞きてェか? 聞きてェか…?」ソワソワ
垣根(……あれー? これもしかして盛大な地雷踏んじまったんじゃね?)
百合子「話せば長くなるが…」
垣根「ちょっと待て、その話はやっぱりまた今度に…」
百合子「木原くンと俺はなァ…」ワクワク
垣根「そしてやっぱまた勝手に語り出すのなお前」
――――――
――――
――
パタパタパタ…
<ガチャ
一方「おい、クソ木原」ヒョコ
木原「あー?……なんだテメェかよ」カタカタカタ
一方「……今ヒマか」
木原「ハァ~?? このキーボード打ってる手ぇ見て分かんねーのかカス、どう見ても仕事中だろーが」カタカタカタ ッターン!
一方「………」
木原「オイ、オイオイオイオイ。っつか大体なあ、今ぁ何時だと思ってんだ? ガキはさっさとクソしておねむの時間でちゅよ~?
アレか、ママの子守唄がなきゃ寝られませーんってか? それともまさか漏らしたとか抜かすんじゃねーだろなバカガキ」
一方「ンなワケねェだろ死ねよクソ木原」ペッ
木原「ア?」ピクッ
木原「……ナニ? お前さぁ、誰にクチ聞いてっか分かってんの?
まだ毛も生えてねぇチビガキがなぁぁぁああああにナマ言っちゃってんのかなあ~? あー今すぐブチ殺してぇわーこのアホガキ」
一方「毛ぐらい生えてるっつーの、見て分かンだろボケ。ハゲは黙ってろよ木ィィィ原くゥゥゥゥン?」
木原「ぎゃははははははは!! ナニナニ、髪の毛のことだと思っちゃったぁ?
青いねー、ああそういやぁまだケツも青かったっけなあ蒙古斑チャン? あと俺はハゲじゃねえよ殺すぞクズガキ」ペッ
一方「……」
木原「こっちゃテメェと違って忙しいんだから、これ以上邪魔すんならケツの穴にビール瓶突っ込んで割るからなー? おーけー?
分かったらさっさと自分の部屋戻って寝ろや」クルッ
一方「……」
一方「………………、……か」
木原「あん?」
一方「ばーかばーか、キハラのばーか! ならそォやって一生画面の前でカタカタやって腱鞘炎にでもなってろバァァァーーーカ!!!」
木原「よぉーし、ブチ殺す」ガタッ
一方「ふン!!」クルッ
ガチャッ バタン!! バタバタバタ…
木原「……ったく」
―30分後―
カチャカチャカチャ…
<ガチャ
木原「あー?」
一方「」ヒョコ
木原「……まーたテメェかよ」ハァ
木原「今度は何だ? もしかして本当に漏らしたかよションベンチビガキ」
一方「……」
木原「……?」
一方「……………、これ」つコーヒー
木原「うっわ」
木原「うわ、出たーーー。なあなあなあなあクソガキ、ありがた迷惑って知ってるぅ? 親切の押し売りって知ってるぅぅぅ~~?
テメェの淹れるコーヒーなんざクソ薄いわヌルいわで飲めたもんじゃねーんだよ、そこんとこよーく分かっての行動ですかぁー?」
一方「……」
木原「しょーもねえ嫌がらせしてる暇あったらさっさと寝ろアホ」チッ
一方「……」
木原「……」
一方「……、……」
木原「……、……」
木原「………ちっ、とりあえずそれそこ置いとけ」
一方「!!」
一方「………何がー? 俺はそもそもオマエの為に淹れてやった訳じゃねェし。自分で飲む為だし?
あははギャハハハ! ナニ愉快に勘違いしちゃってンの木原くンだっせェ!!」ゲラゲラ
木原「あーそうかよコーヒー牛乳しか飲めねえクソチビ。
悪いが俺ぁちょうど無駄にタイミングよく喉渇いてんだ、
とにかくそのコーヒーの所有権は既に俺に移った。だから勝手に飲みやがったら殺すぞ」
一方「……………」
一方「うン」
木原「……」
一方「……」
木原「ったく…」カタッ
木原「あー、にしてもパソコンの前ずっと座ってっと肩凝るわー、昨日も実質二時間しか寝てねーし辛ぇわーマジ辛ぇわー。
眼精疲労も酷ぇしよー、お気楽なガキはイイなぁオイ」ズズッ
一方「木原くンまた痔になっ…」
木原「それ以上言ったら本気で殺すぞタコ」ズズズ
一方「……」
木原「……」
一方「つーかよォ。ブラックコーヒーとかンなクソ不味ィもンよく飲めンな」
木原「あぁー?」
百合子「苦いだけじゃねェの」
木原「はー。あのなぁ、ブラックってのは人生と一緒なんだよ」ズズズ
一方「……はァ?」
木原「人生なんざひたすら苦いモンだ、森の妖精(笑)も猫バスも迎えに来ねー図体ばっかデカい大人になっちまったら嫌でも思い知るんだよ。
だから苦い飲みもんぐらいヘーキなツラして飲めるようになる。
うんこみてーなガキにゃまだまだ分かんねえだろうけどなあ?」ズズッ
一方「……」
木原「……」
一方「木原くンオヤジ臭ェ。あと説教臭ェ。ついでに加齢臭もする。つまりキモい。死ねよ」
木原「ハイ、テメェ今死んだよー? 一回死んだよー? ケツ穴にビール瓶ブチ込み決定~~~」
一方「………。俺もこれからちょっとずつブラック飲めるようになる」ボソッ
木原「あーそー。そりゃどーぞご勝手に」
一方「あと、」
木原「あん?」
一方「木原くン昨日カイ○ューくれるって言った」ボソボソ
木原「………はー?」
一方「だから通信でレベル100のカ○リューくれるっつっただろ、忘れてンじゃねェよタコ!!」
木原「あーーー、ハイハイハイそれね。分ぁーった分ぁーったハイハイ、今日はもう遅ぇし明日ね」ヒラヒラ
一方「……おゥ」
木原「っつかよ。テメェ今日の夕飯のピーマン俺の皿に移しやがったろ」
一方「」ギクッ
木原「お見通しなんだよクソガキ、次やったら服剥いて逆さ吊りの刑だ。
そんなんだからいつまで経ってもモヤシなんだよテメェは」
一方「うるせェよ、ほっとけバーカ!!」
木原「まったくよー。おんn……………男のくせにホントなよっちい身体しやがって」
一方「………俺も鍛えたら木原くンみてェにムキムキになれンの?」
木原「……………………」
一方「?」
木原「マッチョなテメェとかきめぇだけなんだよ馬鹿。お前は一生モヤシボディでいいんだよカス」
一方「チッ、クソ木原」
木原「お? 今舌打ちしたかーこのクソチビちゃんは?
オシベとメシベも知らねえガキの分際でこの俺に舌打ちしやがりましたかー? 上等だコラ」
一方「雄しべと雌しべぐらいとっくに習ったっつーの。
受粉も受精も二年前にやったわ、実質二年前にやってるわァー」
木原「そういうことじゃねえよバーカ。あー、そうだな。いい機会だし俺が直々にテメェにせーきょーいくやってやるよ」
一方「あァ?」
木原「いーかー? チ○ポ咥えてアヘ顔しながら男の下で腰振んのが女、
その上に乗っかってマ○コ舐めて馬鹿面晒しながら猿みてえに腰振んのが男だ。
人間サマなんざ所詮そんだけだ、御大層なもんじゃねえんだよ。分かったかなー? うんこちゃ……
垣根「ちょっと待てコラ!!!」ガタッ
百合子「あァ? なンだよまだ途中だぞ、話の腰折ンな」
垣根「ざけんな、今明らかに子供に言っていい範疇すっ飛ばしてただろうが! 完全に犯罪だよ、ア○ネス飛んでくるわ!!
しかもなんかちょいちょい深い話混ぜ込んでるっぽく聞こえんのがまたなんというかこう……イラッとする」
百合子「ハァ? 何言ってンだオマエ」
垣根「だからお前のその木原関連限定でいきなり天然化するのは何なんだよ!?
マジでお前にナニ教えてやがったんだよ木原数多は!!!」バンバンバン!!
百合子「あ゛ァァ!? オマエ木原くンディスってn」ガタッ
垣根「本気でそれもういいから。つーか地味に回想長ぇんだよ!」
百合子「え。これでもまだ全体の10分の1も話してないンだが」
垣根「…………突っ込みてえ。めちゃくちゃ突っ込みてえ、がもう突っ込まない。
垣根帝督は突っ込まない。というか突っ込みどころが多過ぎて逆に突っ込めない」
百合子「突っ込む突っ込むうるせェよ。生まれてこの方一度も女に突っ込ンだことねェくせに」
垣根「やかましいわ! ………ああ、うん。でも分かった。理解した。
そりゃそんな風に育てられりゃお前もそういう性格と言葉遣いになるわ」ハァ
百合子「ちなみにその次の日、木原くンは約束通り俺にカイリ○ーをくれた。ふしぎなあめも持たせてくれた」
垣根「………うん。そっか。良かったな」
百合子「ン」
垣根「良かった……のか?」
百合子「うン?」
終わり!!
これだけ! じゃあまた!
ツンツンと尖らせた黒髪の少年は、ファミレスで自身の食したもの(チキンドリア+ドリンクバー)の代金を一方通行が迷惑代だと言って払うと
「ありがとうございます!本当にありがとうございます!!」と店を出た先でペコペコ頭を下げまくってしつこいくらいに何度も礼を言っていた。
百合子「……オマエが礼言うことじゃねェよ。ただし今度しっかり話は聞かせてもらうからな」ジロ
上条「あ…ははー。お手柔らかに…」
引きつった笑顔で目を泳がせる少年は、当の一方通行がネットワークを介して先程から何やら他の個体と騒々しく話しているらしい打ち止めと番外個体の方へと近寄っていくのを目で見送ると
つつ、とこちらに身体を寄せ耳打ちしてきた。
上条「あのさ」
垣根「ん?」
さっきの話だけど、と前置きして切り出す。
上条「なんか一方通行と闘ったとかミンチにされたとかすっげー不吉な単語が並んでたけど」
垣根「……あー」
面倒臭ぇな、と思いつつ適当にかわす言葉を選ぶがそれをこっちが口にする前に少年は顔の前で両手を振った。
上条「いや、いいんだ。言わなくて。俺ってすーぐ他人のことに首突っ込むとか偽善的だとかしょっちゅう周りからダメ出しされるからさ」
そう言って照れたように頬を掻く少年に、そういう台詞吐くからだろ、と若干イラッとするが口には出さない。
上条「んー。それに俺はやっぱお前はいい奴だと思うよ」
垣根「……そういう善人丸出しな発言すんのは控えた方がいいぜ。お前みたいなのは生き辛いだろ」
上条「はは、そうかもな。でも結局こういう生き方しか出来ないんだ俺」
垣根「……」
やっぱうぜえな、と思ったがやはり言葉にはしないでおいた。
上条「ああ、そうそう」
それから唐突に今思いついたように、相変わらず笑いながら少年はあっけらかんと言った。
上条「上条さんこれでも人を見る目はあるんですよ」
その台詞に思いもかけず虚を突かれて押し黙ると
そんなこっちの様子には露とも気が付かない表情で、少年はポケットから取り出した携帯で時刻を確認すると
「やべっ、もうこんな時間かよ!」といきなりあたふたし始めた。
上条「じゃ、俺はそろそろ帰るなー!」
一方通行たちに向かって少年がそう叫ぶと、振り向いた打ち止めが「うん!ヒーローさんまたねー!」とばたばた手を振る。
そんな彼女たちに大きく手を振り返し「早く帰らなきゃ腹を空かせた悪魔がーっ!」と絶叫しつつ少年は慌ただしく走り去っていった。
垣根(……“ヒーローさん”、ね)
ああ、要するにあの男は根っからのお人好しなんだろう。自分が一番苦手なタイプの人間なのだろう。
使い込まれてテカテカと光る埃っぽい学ランの裾をはためかせ、その全身に光を詰め込んだ少年はだんだんと遠ざかっていく。
~~~
頭頂部に長く伸びるアホ毛をぴょこぴょこ揺らしながら、打ち止めは一方通行の左手を強く掴んでぐいぐいと引っ張って歩く。
もう片方の杖をついた右腕にはこれまた番外個体が絡みついている。
二人の同じ顔をした少女たちにしがみつかれ、一方通行は鬱陶しそうにぶつぶつ文句を言いながら振りほどくこともしない。
その一歩後ろをついて行きながら、ついさっき打ち止めに言われた台詞を脳内で繰り返し復唱する。
『―――でも年を重ねるって大変なことだね。大きくなるって悲しいことだね。
あなたもこの人も殆どの人が多かれ少なかれ自分の気持ちに蓋をして生きてる。誤魔化さなきゃ自分を保てないから……』
いくらあらかじめ様々な知識が植え付けられているからといって、本当にあれがこんな見るからに幼い子供の吐ける台詞だろうか。
何とも末恐ろしい少女だ。
底無しに人懐こい笑みを浮かべ頻りに一方通行や番外個体に脈絡のない話をし続ける横顔に
一方通行が一も二もなく全てを投げ出してこの少女に寄りかかる気持ちが分かり過ぎるくらい分かった。
その時、少し離れた後ろにいる自分に打ち止めが気が付き、彼女はにぱっと歯を見せて笑うとこちらに手招きした。
ゆっくり近付くと、少女はにこにこしながら空いた左手を差し出す。
ほんの少しだけ躊躇って、それからそっとその手を握る。すぐに固く握り返された。
それは本当に小さくて、小さくて、そして熱いくらいに暖かい手だった。
番外個体「なーんかそうやってると連行される宇宙人みたいだよ、最終信号」
打ち止め「ぶらんこー。ねえぶらんこしていい? ってミサカはミサカはカキネに聞いてみたり」
百合子「やめろバカ。こっちは杖ついてンだぞ、転けンだろォが」
番外個体「非力だからねー百合子ちゃんは」
打ち止め「むー」
道行く人々の目には今の自分たちがどういう風に写っているだろう。
大の高校生くらいの奴らが二人に、それぞれの間に挟んだ姉妹な少女たち。
ぶらぶらと繋いだ手を振り回しながらのたくた歩く、等身も何もバラバラな四人。
なんとも不恰好でどういう関係だかさっぱり分からないアンバランスに並んだ影。
けれど、周りの連中からの奇妙なものを見るような視線は、むしろ何だか心地よかった。
―――嫉妬というものは、明らかに適わないと認識した相手に対しては抱かないものらしい。
例えば世界トップレベルのモデルと比べて自分の体型を憎々しく思ったり、
それこそケタの違う億万長者との懐の厚さの違いに歯噛みしたりすることは確かにあまりない。
現実感が持てない程自身と違う人間には何のしがらみの感情も働かないからだ。
そこには何かしらの諦めがある。諦観。世界が違う相手には妬ましさよりもまず羨望が先立つ。
それはいっそ清々しい。神経を逆立てなくて済む。
反対に、手を伸ばせば届く可能性がある人間に対して人はもっとも強く醜い感情を抱く。
今、小さな少女を挟んで隣に並ぶ白い髪の人物に対して自分が確かに抱いている羨ましさと妬ましさのない交ぜになった思いに
自身の矮小さをまざまざと見せつけられた気がして、なんだか息が苦しくなった。
―――
一方通行が取り出したカードをオートロックに通すと、いの一番に開いたガラスの自動ドアから打ち止めが駆けていく。
打ち止め「えっとねえっとねー、ミサカたちのお家は13階なのって
ミサカはミサカはつまり我が家はなかなか夜景の綺麗な場所にあることをさりげなくカキネに自慢してみたり」
番外個体「全然さりげなくないし我が家っていうか黄泉川の家だし、
そもそも学園都市って八割方学生の街だから夜は大して明かりないよね。摩天楼(笑)」
打ち止め「もーっ! いちいち揚げ足取るの禁止!ってミサカはミサカは現実派な妹を叱ってみたり!」メッ!
エレベーターに乗り込み、時間もかからずすぐにピンポンと軽い音を立てて着いたすぐ先がもう目的の場所だった。
ガチャリと差し込んだ鍵を回してドアが開くと、また打ち止めが一番乗りで靴を飛ばすように脱ぎ散らして玄関に飛び込む。
打ち止め「ただいマンボー!ってミサカはミサカはテンション高く帰還してみたりー!!」
黄泉川「おかえリンボーダンス~」
芳川「おかえりなさい」
即座に気の抜けた返事が返ってきて、それからその声の主が部屋の奥から顔を出す。
二十代も後半の自分にとっては確実に大人と言える飛び抜けて見目の整った二人と目が合った瞬間、その場から逃げ出したくなった。
けれど射抜くような、眼力の強い、かつて確かに顔を見た覚えのあるジャージの女の方が真っ直ぐにこちらから目を離してはくれなかったからそうすることは叶わなかった。
品定めするようにじろじろこっちを眺め回した後、にやりと不敵な笑みを浮かべるとその女は静かに目を細めた。
黄泉川「いらっしゃい。黄泉川へようこそ、じゃんよ」
垣根「あ……」
続く言葉を発することが出来なくて酷く居心地が悪かった。
打ち止め「おおー! なんだか台所の方からいい匂いがするよー!
ってミサカはミサカは目敏く指摘してみたり!……あれ? 鼻敏く?」
黄泉川「ふっふっふ、聞いて驚け見て笑え、今日はなんと奮発してすき焼きじゃーん!!」
打ち止め「やったー!!」ピョンピョン
百合子「いちいち跳びはねンな、ノミの親類かなンかかオマエは。ケーキ崩れンぞ」
打ち止め「はっ! そうだった!ってミサカはミサカは形が崩れてないか確認してみたり」ガサゴソ
芳川「何を買ってきたの?」ヒョコ
番外個体「ミサカたちはチョコ、芳川と黄泉川にはモンブランとチーズケーキね。
当然の如く嫌がらせ仕様だよん、カロリー的な意味で」
芳川「たった今あなたに殺意が沸いたわ」
女三人揃えば姦しいと言うが、五人揃ったこの状況ではそれはもう止まらない。
会話というよりそれぞれがそれぞれ勝手にまくし立てながら、やはり打ち止めに無理矢理手を引かれ流されるまま騒々しく中に通される。
広いリビングはきちんと整理整頓されており、丁寧にワックスの塗られたフローリングはピカピカで、
酒瓶やグラスの並べられた棚もテレビやコンポやソファーもクッションも何一つだらしなく置かれたものはなかった。
けれど生活感のない殺風景な部屋という訳じゃなく、そこからは日々を暮らしている人間の匂いがした。
パタパタと忙しく歩き回る足音や呼吸の音、衣擦れと食卓から上る湯気とそれを囲む絶えない笑い声とが聞こえてくる。
端的に言えばそれは家族の匂いだった。自分が持ち得ない最大のものだった。
圧倒的な敗北の虚脱感が襲ってきて、咄嗟に声が出ない。
打ち止め「うー、でもミサカさっきファミレスでハンバーグ食べちゃった……」
番外個体「ミサカは家でちゃんと用意してあるって分かってたからちゃっかりセーブしてたもんねー」
打ち止め「ずるい! なんで教えてくれなかったのってミサカはミサカは怒髪天を衝いてるんだけど!!」
番外個体「うひゃひゃ、そんなのミサカが最終信号の分までケーキ独占するために決まってるじゃん」
打ち止め「この性悪め……ってミサカはミサカはでもすき焼きもケーキも頑張って食べるもん!!」
黄泉川「ハイハイ、じゃれてないでさっさとテーブルに皿とコップ並べろじゃんよー」
異常なほど抜群なスタイルを持ちながら何故か緑色のジャージがよく似合っている美人な長い髪の女は、
かつてあったことなど綺麗さっぱり忘れているかのようにちゃきちゃきとリビングとキッチンを往復しながら打ち止め達に指図を飛ばす。
そう、「あの時は刺してすいませんでした」そんな間抜けな言葉さえ言わせてはくれなかった。
そしてそれは羞恥や懺悔することよりなお辛い仕打ちだった。
黄泉川「ヘイ垣根少年、この箸と小皿そっち運んでー」
垣根「え、あ」
黄泉川「ほらトロトロしない、ちゃっちゃと運ぶ!!」
バシッと背中を叩かれ押し付けられた六人分の箸と小さな皿に、熱血教師みたいな女だなと思った(事実、後から聞いたら本当に教師だった)。
けれどそれより何より、自分の目の前にいるのがあのレベル5の第二位だなどと露程も分かっていないんじゃないかと疑わざるを得ない程何のてらいもなく叱り飛ばしてくるその姿はなんだか……母親みたいだ、と思った。
困惑している内にあっという間にテーブルの上にグツグツと煮たったプレートが置かれ、ほかほかとした炊きたての白飯が並べられ、コップにお茶が注がれた。
黄泉川「よーし、んじゃいただきますじゃーん!!」パン!
打ち止め「いただきまーす!!」パン!
芳川「いただきます」
番外個体「わお、炊飯器から出てこない食事なんて何ヶ月ぶりかねー」カチャカチャ
百合子「初めてじゃねェか」
黄泉川「んなことないじゃんよー。前にほらアレ作ったじゃんアレ、えーっと」
打ち止め「つまり覚えてないくらい遠い化石の記憶に成り果ててるのねってミサカはミサカはほろりと涙を拭ってみたり」
黄泉川「いつも美味い美味い言って食べてる奴が何を抜かすじゃんかよー」ムニムニ
打ち止め「い、いひゃいいひゃい、ほっぺつままないでってミサカはミサカは、ああああーーーっ!
番外個体、それミサカが取ろうとしてたやつー!」
番外個体「所詮この世は弱肉強食、強ければ生き、弱ければ死ぬのさ!!」パクッ
打ち止め「もーっ!!」
百合子「うるせェよ、もっと落ち着いて食えねェのかオマエらは」
黄泉川「ほーら垣根少年、さっさと食べないとこっちのちびっこたちに全部持ってかれるじゃんか。
っつかもし遠慮したらぶん殴るじゃんよ」
百合子「コイツはマジでやるからな、覚悟してかかれよ」パクパク
芳川「ねえ愛穂、すき焼きもいいけど今度は焼き肉もいいと思わない?
こう、苦くてボコボコ泡の立った大人の飲み物をぐいっといきながら一緒に頂きたいわ」パクパク
黄泉川「お前が買い出し行って下準備まで全部してくれるんなら明日にでもやってやるじゃんよ」モグモグ
芳川「あら、やっぱり二日連続でお肉はよくないわね。また後日にしましょうそうしましょう」
打ち止め「ヨシカワって絶対前世ナマケモノだよねってミサカはミサカは確信してみたり」ハァ
百合子「ナマケモノに失礼過ぎンだろ、ヤツらは淘汰の過程であの最小限のエネルギーで生きられる身体構造を獲得したンだぞ」
番外個体「芳川の場合退化だから真逆行ってるよね」
芳川「……あなたたち、喧嘩売ってるならはっきりそう言ってくれていいのよ?」
基本的に誰に対しても臆せず饒舌なはずの自分の口数が少なくなっていることが恥ずかしかった、
はっきりと緊張していることが情けなかった、何気ない会話にいちいち鼻の奥がツンと痛むのが耐え難かった。
付けっぱなしのテレビから流れてくるくだらないバラエティ番組の出演者たちの笑い声も、全てがちぐはぐでズレていて場違いだった。
その時、向かい側にだらだらと座っている、これまた美人なのに自身の容姿に頓着しない質なのかよれたシャツとジーンズを着た芳川と呼ばれた女がじっとこちらを見ていることに気が付いた。
その見透かしたような視線に胸がざわついて思わず目を逸らすと、
次に顔を向けた時にはその意味ありげな目線は既に目の前の料理の方に注がれていてほっとした。
それから打ち止めが今日の出来事やさっきの上条という少年に会ったことなどを
合間合間に頻りに食後のケーキを気にしている様子を滲ませながら機関銃の如く早口に喋り続け、
その度ごとに大きく開けた口からほうばった夕食が溢れるのを一方通行が咎めた。
そう言うあなたこそお肉ばっかりじゃなくて野菜も食べなさいってミサカはミサカは……、ぎゃは、幼女に注意される第一位だせぇ!
愛穂大変卵が足りないわ、自分で取ってこい、そォやって動かねェから太るンだよオマエは、ちょっと、わたしの体重は変わってないわよ! アハハハ……
止まないさざ波のような笑い声の中で、その時ふっと今自分のいる空間だけがぽっかりと世界から切り取られ遠ざかっていく錯覚がして微かに目眩がした。
小さな明るい少女に親のように口うるさく小言を言ってはその汚れた口元を拭ってやっていた一方通行が、不意に顔を上げる。
垣根(…………あ)
――――血を溢したような真っ赤な三白眼。その鋭い瞳が自身の瞳を捉えた時、その瞬間、
脳裏にハッと遠い昔の記憶がフィルムを巻き戻すように突然に強くフラッシュバックした。
――――
あれは冬。
薄く氷の張った窓の外で小止みなく降り続ける雪は辺り一帯を重く覆い尽くし
建物や地面やその他諸々との境界線をすっかり曖昧にしてしまっていた。
細やかな雪片の群れに当たって乱反射する光がちくちくと眩しく眼球を刺す。
冷たく白い粒子は深々と辺りの音を吸い尽くしては五感を鈍らせてゆき
まるでそのまま世界中を飲み込んでしまうかのような錯覚を起こさせた――――
研究所の広く長い廊下の突き当たりにある一室から明かりが漏れている。
その明かりの元に、にじり寄るようにゆっくり近付いてゆく少年がいた。
まだ幼さの残る柔らかな輪郭、育ちきっていない肢体は凹凸も少なくほっそりとして
けれども目尻のつり上がった暗く鋭利な双眸が、少年の印象を一転して子供らしくないガラの悪いものに見せていた。
よろめくように這い寄り彼がそろそろと耳をそばだてると、内から断片的にさざめくような会話が流れ込む。
「――――或いは、木原に抱えられている“怪物”を超える可能性を持つのはあれ一人だけだ」
「とにかくデータは出ているんだ。一体いくら積んでこっちに引っ張り込んできたと思ってる。金の卵を生んで貰わなければ」
「向こうは既に一歩進んだ研究に踏み込んでいる。
“例の怪物”の精神性を他の被験者に植え付けて自分だけの現実の最適化を図るとかいう……」
「もっとも、そちらについてはまだ立案段階ですから実行するのは先になるでしょうが――」
「悠長なことを言うな、有用性で言えばこちらも負けてはいないんだ」
「『プロデュース』の方も近いうち実施に踏み込むという話ですが」
「はてさて、また置き去り(チャイルドエラー)が何人使い潰されるかな」
「賭けますか」
「つまらない賭けはしない。これでも私はギャンブラーでね」
「はいはい、どうせ自分は子供たちのおこぼれで身を立ててるしがない凡夫ですよ」
「ふふん。それにしても昨日の実験はまた見ものだったな」
「……ふ。dark matter。『未元物質』、か。何ともまた皮肉なまでに的確な名を付けたものだ」
「正直末恐ろしいですよ自分は。“あの化け物”もそうですが……子供の皮を被った何かなんじゃないですかあれは」
「物理用語で言うところの暗黒物質とはすなわち宇宙にある星間物質のうち、電磁相互作用をしない為に光学的に観測出来ないものを指す」
「だがしかしあれの能力は“本当に存在しない”素粒子を生み出す。
どこから引きずり出してきているものか、当の本人にすら分かっていないと言うんだからな」
「無からの創造、か。科学者としてはなんとも胸踊る能力じゃあないか。上手く流用出来ればどれだけの価値になるか」
「神ならぬ身にて天上の意思に辿り着くもの――――……」
カチカチと噛み合わない歯の根も小刻みに震える肩も、全てはこの冷たさのせいだと少年は自分自身に言い聞かせるように胸の内で呟く。
大丈夫、大丈夫だと言い含めながら不規則に乱れた息を吐く。
冬の午前の薄暗い廊下を長い時間をかけて歩き、億劫に足を引きずりながら階段を上ってゆく。
その先にある、使用する者の少ない、どこかカビ臭く廃れた低振動の斜行エレベーターに乗ると一番上のボタンを押した。
ゆっくりと上り、僅かな上下動と共に止まった先にある厚いシャッターが鈍い音を立てて持ち上がると、唐突に開けた室外の明るさに数秒視界がブレた。
広い屋上に一歩踏み出す。
ずず、と体重に比例して沈む雪を気に止めることもなくそのまま行き止まりの柵まで進むと暫く立ち竦んだまま肩で息をする。
自身の吐き出した息が紫煙のように空気の中に溶けてゆくのを眺め、それから少年は眼前の古ぼけた鉄骨の建物を睨み付けた。
やや斜交いに構えた焼却炉となっているその建物からは立ち上る細い煙すらなく
それはただ静かに、ともすれば何も起きてなどいないかのように雪を降り被ってずっしりと建っていた。
悲劇とは唐突に起きるのじゃない。
それは実は初めから用意されていて、少しずつ、ゆっくりと忍び足で背後に近付き、そうして風船が割れるように起きる。
自分の手でそれを膨らませたことにすら気が付かないまま。だからあたかも唐突であるかのように感じるだけだ――……
雪の中に立つ少年の手に握りしめられた分厚い資料。
プロデュース、暗闇の五月計画、暴走能力の法則解析用誘爆実験。
どれ一つ取っても極めて非人道的とされる歪みきった内容のプラン名。
それら全てを無視して彼はたった一つの言葉だけを見つめる。
「………素養格付(パラメータリスト)」
プリントアウトされた無機質な文字に浮かび上がる真実。
長く難解な用語の並ぶ中、要約するとそこにはただ素っ気なくこう書かれていた。
学園都市の学生として時間割り(カリキュラム)に参加する前に。その人間が生まれた瞬間に。いや、生まれるよりも先に――――全ては素養で決定される。
「ふっ」
「は、はは……」
「ははは、はははははは!!!」
腸が捻転するかという程狂ったように少年は声をあげて笑った。
それじゃあなにか。
いつかは高レベルの能力者になることを夢見て、毎日毎日飽きもせず血を滲ませてきたレベル1や2そこらの奴らの努力は全部無駄だったのか。
この自分があっさり踏み越えた壁の前でいくらあがいても手が届かなかったあいつらは。
才能がなかった。それだけか。
突き付けられた地獄よりも恐ろしい答えに、しかしその瞬間、少年の背筋にゾクゾクとした快感が這い上がってきた。
科学の犠牲にされた子供たちに対して彼は同情などという感情を持たない。むしろ沸き上がったのは侮蔑。
そう、あいつらはただ人に喰われる為だけに囲われた家畜だった。餌を貪り安穏ともがくだけの豚。豚ども。
――――いつだったか、自尊心の高い、負けず嫌いな奴が「お前の百倍努力して次の身体測定では抜いてやる」と少年に言い放ったことがあった。
次の身体測定で奴は少年を抜かせなかった。その次も、そのまた次も抜かせなかった。
今度の実験でより強固な自分だけの現実を確立させてお前よりもっと高位の能力を手に入れてやると目の前で豪語した奴もいた。
そいつはその実験が失敗してそのまま死んだ。
そして昨日。昨日の実験で。
意図的に一時能力を暴走させるテストで限界値を超えても研究者たちは冷静に冷酷にデータを取り続けた。
ある子供は脳に多大な損傷を負って廃人となり。
ある子供は痙攣しながら胃の中にあるもの全てをぶちまけるように吐き出して発狂し、またある子供は破裂した頭部から血液と脳髄を滴らせ絶命した。
肩に頭に降り積むこの雪のように白い壁に囲まれた冷たい実験室の中で、少年一人が平気な顔をして生き残った。
壮絶な死へ落ちてゆく子供たちの、自分の命が終わることを悟った者に特有の、濁ったような透き通ったようなあの目で。
ガラス玉のようなあの瞳で。
最後の刹那、皆一斉に少年を睨み付けていた。ただ一人のうのうと生にすがりついている少年を。憎悪と軽蔑と憤懣と悲哀の入り交じった眼で。
「くっ、くくく……」
小気味良い笑いはいつまでも収まらず、尾を引いて広い屋上に響いていた。
あれらの子供たちの死は自分とは無関係なはずで、そして少年は無関係なものに興味など持たなかった。
自分の力に見合わないもの、釣り合わないもの、そんなものはがらくた同然だった。
事実はこうだ。あいつらは間接的に自分が殺していたのだ。この街の答え、レベル5のさらにその先にあるものへとのし上げるための一山いくらのモルモットとして。
いや、間接的なんかじゃない。本当に自分自身がこの手にかけた。
不安定に凭れかかった柵の手すりで、少年はただネジの外れたように肩を揺らして卑屈に笑いながら慟哭する。
ひどく気まぐれで飽きっぽく、ひねくれて好き嫌いの激しい、軽薄で自分本位で、周りを見下し見下し返されながら
そういう風に生きてきた少年はこんな時の泣き方を知らなかった。
知らなかったのだ。
未だ片手が固く掴んでいる何百枚ものコピー用紙にも粉雪は降りかかり、インクの文字を滲ませた。
今、眼前の巨大な廃棄用の電子炉の中で着火ボタン一つで、昨日死んだ者たちが人間を証明するDNA情報すら残さず灰になっていく。
四千度近い熱に焼かれて。
親に捨てられた子供が今度はダストシュートへと捨てられる。
最初からその為だけに生まれてきた人間。あの白衣を来て薬品の匂いを漂わせた連中の食い扶持と、賭け事にもならないつまらないお遊びの好奇心の為に。
ほんの少し上書きされるデータの為だけに。
選ばれた人間の犠牲として食い潰される為に。
違う。俺は違う。俺は違う。俺は―――
素養があると認められ、格段に質の高い開発を受け、この都市の頂点に立つ可能性をも
“約束された”ずば抜けた才能に恵まれた少年は、それにも関わらずひたすらに怯えていた。
今にも崩折れそうに震えている身体は、もう雪のせいと言い訳することの出来ない程青ざめていた。
自分もまたもっとずっと大きな存在の手の上で踊らされているだけの人形に過ぎないことを、もはや気が付かない訳にいかなかった。
薄暗く低い空を見上げ、自身の心を支える支柱を失くした少年の胸の内に、何か、思い出せそうで思い出せないものが去来した。
感傷的になり過ぎだ、と思った。何を被害者ぶっているのか。
全ては自分の手で行い、それを良しとしたのも自分だというのに。こんな気持ちは違う。似合わない。ガラじゃない。
冷静にそう考えることも出来るのに止められない。
ふと、喉元をつかえていたものを思い出した。
――――ヒーローになりたい。
そうだ、確かにそんな夢を見たこともあったのだ。
痛々しい程の真っ直ぐさ、いっそ偽善的なまでの正義感、それでいてそれらの資質を持ち合わせていることに対する優越感など欠片たりとも持たない紛れもない無垢さ。
単純化された物語に出てくる勧善懲悪の英雄のような。
そういった理想像を目指す気力は今ではとうに削がれていた。既に嫌悪してさえいた。
世の中というものがあまりに一筋縄ではいかないこと、時に苦いものを飲み込まなければならないこと、愉悦に浸る者の陰で絶望する者の存在が必ずあること。
全ての人間に平等なのは死だけであるということ。
予感めいたものは誰でも皆ごく幼い時から持っているかもしれない。
けれどもまだはっきりとは気付かなくていいそれらのことを、まだ明るく希望に満ち溢れた夢に浸っていてもいい年で、なかんずく少年は早く知り過ぎた。
それでも、それでも今よりもさらにちっぽけだった頃は持っていたのだ。本当に。しかし、それはとうに記憶の彼方に霧散している感情だった。
無理にそのありかを抉じ開けようとするとどうしようもなく胸が痛むのだった。
いつもほんの少しだけ夢を見て、そして諦める。
誰かに認められたい、笑いかけてもらいたい、頷いて欲しい、手を取って欲しい、楽しいことで笑いたい、
悲しいことを悲しいというただそれだけの理由で手放しで泣いてみたい、
くだらないことで誰かと言い争いそして許したい、馬鹿馬鹿しいことで怒らせて、そしてまた許されたい。
一つ掛け違えたシャツのボタンは、最初から掛け直さない限り直らない。
そしてそのボタンが時間であり、自分自身である時、それはもう取り戻すことなど出来はしない。
過去を「もし」で考え直すことの虚しさと無意味さを、この愚鈍で賢い少年は正しく理解していた。
悲劇とは唐突に起きるのじゃない。
それは本当に初めから用意されていて、少しずつ、ゆっくりと忍び足で背後に近付き、そうして風船が割れるように起きる。
自分の手でそれを膨らませたことにすら気が付かないまま―――……
自分が悪にしかなり得ないことを、少年は悟ってしまった。
自身の手足を縛りつけるこの桎梏の正体は何なのか。
ぴくりと、少年の耳の奥で響く名があった。
研究員たちの口から繰り返し繰り返し出てくる俗称。怪物、化け物、白い悪魔。
音が擦りきれてもはや意味を失くすほど何度も聞かされてきた名前――――アクセラレータ。
一位と二位。メインとスペア。有機と無機。神にも等しい力の片鱗を振るう者と、神が住む天界の片鱗を振るう者。
幾度も静脈に様々な薬物を打っても、脳に直接電極をぶっ刺しても、何人無惨に殺しても………それでも自分はヤツの一つ下。
取り替えの利く、ただの部品。
何処までも遠く、それでいてコインの表裏のように背中合わせに肉薄した、顔を合わせたことすらない存在。
――――比べるな。俺は俺だ。使い捨てられる為に生まれてきたあいつらとは違う。
坂を転がり始めた小石はもう止まらない。膨らんだ風船がぱちんと弾けてしまうまで。
首を擡げ始めた醜悪な感情はのっぺりと全身に張り付いていく。
そうだ、それなら。
圧倒的な壁なんかじゃなく、お前などただの通過点に過ぎないと。思い知らせてやればいい。
その先にあるものを掌握する為の踏み台として。完膚なく捻り潰して尊厳の欠片もなく滅茶苦茶にぐちゃぐちゃに。
踊らされた人形のまま朽ちてなどやらない。
自身の能力の暗黒より暗くドス黒いものがふつふつと腹の底に沈殿してゆく。
垂れ込めた厚い曇り空の向こうで確かに高く昇りつつある太陽が降り積む雪を溶かし始めていた。
みぞれに変わった氷水がぼたぼたと髪に、頬に、鼻に落ちては体温でぬるめられ涙のように顎先から滑り落ちてゆく。
その怪物の髪と肌は、ホワイトアウトするこの一面の景色よりももっと白いらしい。
あらゆるベクトルを操り、あらゆる攻撃を跳ね返し、
例え核を撃ったとしても呼吸手段さえ確保出来ればけろりとした顔で一人その場でケラケラと笑っていられる、破綻した化け物。
「なんだ」
「同じじゃねえか」
同族嫌悪。ふっと思い及んだ単語に吐き気がして唾を吐き捨てると混じった胃液に喉の奥がひりついた。
曇天の湿った空に血の気の引いた蒼白い手をかざし、それからその手の平を爪が肉に食い込むまで固く握りしめ。
剃刀のように薄く、薄く、およそ子供に似つかわしくない歪んだ笑みを浮かべて。
いいだろう。その時は、いつかその瞬間がやって来た時には。
「―――――ブチ殺してやる」
刃物に似た確かな殺意と憎悪が少年の全身を刺し貫いた。
とりあえずここまで、続きはまた次回に
じゃあまた!
慣れないシリアスもどき書いて息が詰まってしまったのでまたちょっとした小ネタを投下します
毎回言ってる気がしますが今回もいつも以上に酷いネタです
―――
百合子『はァ…はァ…っ』ビクッ
百合子『あ……がッ! ぐうっ…! げほっ』ハァハァ
垣根『……んー? どうした、第一位』
百合子『う……あ、』ボロッ
垣根『ほらほら、ちゃんと口に出して言わねえと分かんないぜ?』
百合子『……嫌だ、もォやめ…』ガクガク
垣根『聞っこえねえよ』グリッ
百合子『うぐっ!』ギリ
垣根『聞っこえねえっつってんだろぉがよおおおおッ!!』
百合子『らめェェええええ!!! 百合子の高電離気体(プラズマ)が圧縮されちゃうゥゥううううう!!! ベクトル変換してるのォおおおお!!』
垣根『……ハッ、笑えるな犬野郎。最強の第一位サマもここまで来ると堕ちたもんだなぁ? このメス豚が』ククク
百合子『う、うう……もォ、やめ……』グスッ
垣根『バッカじゃねえの。テメェみてえなクソ野郎にそんな慈悲が与えられる訳ねえだろうが、よ!』ガッ!!
百合子『痛ッッ――!! あ、あァ……ッ』
垣根『一つ教えといてやるよ一方通行』グイッ
垣根『―――――俺のテクに常識は通用しねえ』
10032「……………」ペラッ
10032「いやおかしいだろコレ。とミサカはスネークの渡してきた薄い本に待ったをかけます」パタン
17600「はい? 何がですか? とミサカは10032号に聞き返します」キョトン
10032「いや、いろいろ言いたいことはあるんですが………とりあえず第二位は童貞が確定してるのに
なんでこの本の中ではこんな手馴れた感じなんですか、とミサカは率直な疑問をぶつけてみます。ギャグ? ギャグなの?」
10033「エロ同人とはえてしてそういうものですよ、とミサカは無理矢理10032号を納得させます。
………要は抜けりゃなんでもいいんだよ!!」
10032「お前抜くもん持ってねーだろとミサカは最低な下ネタに臆することなくツッコミます。
リアルに『らめぇ!』なんて言う奴いねーよ」チッ
10033「エロはファンタジーですから。童貞処女の初めてとかリアルに描いても気まずいものになるだけですよ、
とミサカはまあ自分も経験ねーけど」
20000「ミサカも百合にゃんにいろいろ突っ込みたいです具体的には×%※とか$¥∞とか、とミサカは…………ふぅ」
15959「………」
14510「嫌あああああああ!! こんなの嫌ぁぁぁああああああああああ!!
とミサカは穢らわしい薄い本を床に叩きつけます!!」バシッ
17600「ちょっ、おま、ミサカが徹夜して描いた本に何してくれてんだ!! とミサカは憤ります!!」
14510「こんなの一方通行じゃない! こんなのミサカの百合子さんじゃありません!!
とミサカはなんかもう若干涙目です……」ポロポロ
17600「涙目というか号泣じゃありませんか……とミサカは14510号の頭を撫でてやりながらも冷静にツッコミます」ヨシヨシ
20000「というか誰がお前の百合にゃんだって?
彼女のつるぺたちっぱいをぺろぺろしたり、あんなモノやこんなモノを突っ込んだりしていいのはこのミサカだけの特権だと何度言えば……………ふぅ」
10032「お前さっきからそれ何度目だよ、とミサカは本気で気持ち悪いなお前と蔑んだ目線で変態を見下します」ジロ
20000「ああっもっと罵って下さい! とミサカは……」ビクンビクン
10033「ずるいですよ20000号! ミサカのことも罵倒して下さい10032号!!
とミサカはサディステックな命令を待ちます!!」ハァハァハァ
10032「お前らと血が繋がってることに心底吐き気がするわ」ペッ
10033「はぁん!!」ビクッ
20000「……ん? いやいや待て待て、逆に第二位と百合にゃんがズッコンバッコンやっている姿をミサカが視姦することによるNTRプレイというのもそれはそれで…。
とミサカは新たな可能性を見出だし身悶えます」ゾクゾク
17600「ダメだこいつ……早くなんとかしないと……」
15959「………」
14510「うぅ……一方通行、可哀想に……」グスッ
10032「いや、これただの同人誌であって完全なフィクションだからな?
とミサカは感情移入し過ぎなバカをたしなめます」
10033「ミサカも御主人様に言葉攻めされたい……」ハァハァ
17600「まあ、話に聞くところによればそもそも第二位は巨乳美人好きだそうですから一方通行は彼の好みの真逆行ってますよね、
とミサカは胸の無さでもぶっちぎり学園都市第一位の一方通行を鼻で笑います」ハン
10032「ならなんでこんな本描いたんだよ……とミサカは意味不明なスネークの行動にため息を漏らします」ハァ
17600「一方派の奴らに売りさばいて小遣い銭にする為に決まってんだろ
とミサカはこの純利益で美味しいものを食べに行く計画で今からワクテカです」ワクテカ
10032「どうせ描くなら上条当麻×ミサカ本にしろよ、上条派の方が圧倒的に多いんだから
とミサカは見たくもない第二位と一方通行の絡みを見せ付けられたことにイラッとします」
17600「ぶっちゃけあの少年の髪描きにくいんだよ。その点モヤシはベタ塗る箇所少なくて楽だわ~
とミサカは驚きの白さを持つ一方通行をプゲラします」プゲラ
15959「………」
20000「どっちにしろミサカ達と上条当麻少年の絡みじゃ上琴と見分けつかなくね?
ミサカ達のアイデンティティーであるレイプ目もエロいことしてる時じゃデフォだし、とミサカは鋭く指摘します。
まあミサカ的にはアヘ顔の方が……」
10032「くっ、20000号のくせにまともなことを……ッッ! とミサカは無駄な正論に歯軋りします」ギリギリ
17600「いや、エロ同人の話してる時点でちっともまともじゃねーから
とミサカは感覚が麻痺してきている10032号を現実に叩き落とします」
14510「ぐすっ……百合子さん……」グスグス
15959「……………」
10033「というか上条当麻少年の本命はなんだかんだであの白いシスターなんじゃないんですか?
とミサカは暗に10032号に諦めろ、と告げてみます」
10032「うるせぇ!! それでもミサカは好きなんだよ!
つーかあの少年の鈍感っぷりナメんな! とミサカは逆ギレしてみます!!」クワッ
10033「……………ふぅ」
10032「―――――しまった、墓穴掘った。とミサカはドMって無敵だなと呆れます」
15959「…………………」
10032「ん?」
10032「さっきから黙りこくってどうしました?
とミサカは初めて見た第二位の顔にちょっと惚れかけたけど、ネットワーク越しに彼の例の残念さを知ってあっさり幻想を殺された15959号に問いかけます」
15959「…………」
17600「どうしました、正統派イケメン(笑)だと思った第二位がただの残念童貞であることを知ってあっさり幻想を殺された15959号、
とミサカはさらに追い討ちをかけます」
15959「……………」
15959「ええ。ミサカは確かにあの時天下の往来で一方通行と低レベルな言い争いを繰り広げた第二位に
ちょっとだけ抱きかけていた淡い幻想をぶち殺されました、とミサカは正直に頷きます」コクリ
15959「……しかしですね。あれから彼は一方通行と和解し、最近では一方通行及び上位個体達とよく一緒にいるようになりましたね? とミサカは確認を取ります」
17600「ええまあ。しょっちゅう彼女らの家に上がり込んでは上位個体とゲームに興じたり、
黄泉川女史と飲んだくれてくだまいてたり、番外個体とテレビ見たり、
芳川女史とダラダラせんべい食ってたりしますねとミサカは首肯します」ウン
10032「毎日のように上位個体がその映像をネットワークに垂れ流してますから嫌でも目に入りますね、
とミサカはレベル5の威厳とか欠片もない第二位を容赦なくディスります。
ホストみてーなのは見た目だけかよ」
17600「しかし、それが何か? とミサカはイマイチ要領の得ない15959号に首を傾げます」ハテ
15959「――――確かに当初ミサカが想定していた強くてかっこいい第二位という像は綺麗さっぱり崩れ去りました。でも……」
15959「………そんな彼も、それはそれでちょっと可愛いと思いませんか?///」
10032「……ん?」
17600「え?」
14510「は?」
20000「おや?」
10033「んん?」
10032「……15959号、お前まさか……」
15959「………………恋したかも。とミサカはぽっと頬を赤らめながら告白します」イヤン
ミサカーズ「「「「うげえ!!?」」」」
終わり。今日は夏コミということでこんなネタを書いてみました。ちなみに>>1は上イン派です
まさかのていとくん派ミサカが誕生したよ!
00000 試験個体(フルチューニング)。御坂琴音という固有名も持つ。レベル4の電撃使い(エレクトロマスター)ら妹達と、美琴の頼れるお姉さん。
スタイルはオリジナルよりもお母さんに近いようです
9982 実は死んでませんでしただったり、美琴の記憶を移植されて欠陥電気(レディオノイズ)と呼ばれりと立場色々。
10032 御坂妹。基本。上条ラブ。上条から貰ったネックレスを着用している。冥土帰し病院在住
10033 超ドM。一方通行に踏まれたり蹴られたり蔑まれたりすることに快感を覚える。甘党
10039 自称御坂丸。痩せている。冥土帰し病院在住
10050 グアテマラ在住
10090 フィリピン在住
10093 自他共に認めるオタ子
10100 服のデザインが得意
10404 読書好きで昔話マニア
10501 オーストリア在住
10801 末尾が801の娘は夢みる乙女
10840 ドイツ在住
10854 スペイン在住
10855 ポーランド在住
11028 まさかの黒子ラブ。それがあって、黒子を邪険に扱い気味のオリジナルが少々憎いようで
11056 関西弁
11117 時報ミサカ 世界各地の時間まで0.01秒もズレなく正確に把握
11195 色々知ってる。美琴の水着でキャッキャウフフ大公開まで知ってる。黒い。
11329 萌え上がるショタコンことショタレンジャーレッド
11899 ベネズエラ在住
12053 インド在住
12083 タイ在住
12345 童話好き+上位個体に従順で、劇の準備などを「一晩でやってくれました」を地でいく上体専用ジェバンニ
12555 元フィリピン在住 変態研究者の手でウミウシを内臓した改造ミサカに 相方はイリオモテネコの神田川
12481 スロベニア在住
13072 フランス在住
13576 囲碁センターがお気に入り
13577 自称御坂.jp。ペットショップの店長をやってる。スカートが四次元ポケット。冥土帰し在住
13874 三重県産ミサカ。略して三重サカ。北欧とは大違い。怒ると怖い娘
14333 メキシコ
14440 弱味握って一方さんとデートしたりするやり手。木原くンの弱味も握っているようです。イスターとはネトゲ友達。一方ラブ
14444 百合っ子 佐天サイド
14510 番外命名、一方恋心(アクセラレーコ)略してレーコ。異端。一方ラブ。表情等、感情表現や豊か。自販機で一方通行に買って貰った水が一生の宝物らしい
14889 自称漢子。漢前。冷静。やだ…カッコいい…。アップルマンゴーとたこわさと唐翌翌翌揚げが。一方ラブ?
15000 青春アミーゴ好き、かと思ったら歌のレパートリは結構あるらしい。でもやっぱり事あるにミ・アミーゴ。まさかの海原(エツァリ)ラブ
15110 アルゼンチン在住
15113 ポルトガル在住
15327 韓国在住
15555 マジパない娘。完全に中立。一方ラブも上条ラブも等しく平等に支援する。電気纏った八とか使える
15959 帝督派に目覚めたミサカ。 ←NEW!
16582 澄み渡るショタコンことショタレンジャーブルー
16770 ドイツ在住
16836 カナダ在住
17000 イギリス在住
17009 オーストラリア在住
17203 イタリア在住
17403 ブラジル在住
17600 プロスネーク。海原が師匠
17801 手先が器用
18264 北欧在住 北欧と呼ばれることも あけすけでドクゼツンデレ 一方ラブ(?)
18022 スイス在住
18071 煌めくショタコンことショタレンジャーイエロー
18072 ノルウェー在住
18264 北欧在住 あけすけでドクゼツンデレ 一方ラブ(?)
18413 管理人(ドラゴン)とも呼ばれる。コンビニバイトしてたりマンション管理人だったり、行動で無くMNW自体からも非常にフリーダム。一方ラブ
18456 まさかの打ち止めラブ。上位個体の為ならエンヤコラサで、アラスカから海だって泳いでる
18820 アメリカ在住
19009 中国在住
19072 アメリカの研究所で[らめぇぇっ!]を生やされて目覚めた新変態。賢者タイムが20000号に短い
19090 抜け駆け。新入りショタレンジャー、ショタグリーン。上条命名【小声】痩せている。断が下手。人前が得意でない。冥土帰し病院在住。MNW常駐
19348 フィンランド在住
19488 スペイン在住
19696 サバイバルが趣味なミサカ。学園都市の河川敷で生活してる。貯金100万ほど。勘が鋭いW上でも口調が変わらない希有な存在。
19900 南極在住
19999 ノボシビルスク在住
20000 自称ロシアのノボシビルスク出身の変異体の変態耳年増野菜レイパー。主に変態、極々稀にさわやか。三重サカの相棒を務める事も。媚薬作成スキル持ち。セロリが絡むとすごい能力を発揮。MNWブラックリスト最上位
20001 ミサカネットワークの管理人打ち止めこと上位個体にして運営。幼女。一方ラブ(?)
番外固体 ミサカシリーズ最新作ミサカワースト、略してミサワ。一方通行を[ピーーー]のが目的ら。一方ラブ(?)ロシアの一件以来一方通行(特に黒翼一方通行(ダラクサレータ))に激しいトマを持っている
Huzekzkr104 ヒューズカザキリこと風斬氷華。MNWにごくまれに出没。天使様
乙
やったね、ていとくん! 貧乳が増えるよ!
そーいえば打ち止めや番外はともかく、ていとくんと妹達は直接会ってなかったっけ
>>667
一応10032号は冥土帰しからていとくんの話は聞かされてたけど直接顔を合わせたことはなくて
スネークも尾行途中でていとくんに撒かれたから対面はしてない的ななんかそんな感じのアレです
まあただのぐだぐだssなんでそこら辺のいろんな矛盾とかツッコミどころは無視してやって下さい
で、またちょっと詰まってしまったので妹達小ネタの続きでお茶を濁しておきます
10032「……おいおいおい待て待て待て、お前正気か? とミサカはまた一人生まれたバカに冷や汗を流します」タラリ
17600「あの姿見て惚れられるってどういう神経してんだよ、思考回路はショート寸前ですか? とミサカはドン引きします」ウワァ
15959「第二位さん馬鹿にすんな!! とミサカは断固彼を擁護します!!」キッ
14510「うわあ、本気だこれ……とミサカはまさかの展開に目を丸くしてみます」
20000「漂い始めた修羅場の匂いになんだか興奮してきましたとミサカは…………うっ、ふぅ…」
10032「お前はいい加減黙ってろ、とミサカはブレない変態に舌打ちします」チッ
10033「……ところで具体的に彼のどういったところが良いと思ったんですか? とミサカは一応尋ねてみます」
15959「そうですね、まずはやっぱりあの凛々しいお顔とか……とミサカはもじもじしながら告げてみます」テレテレ
17600「結局ツラかよこの面食いが、とミサカは凛々しいお顔(笑)」
15959「そ、それだけじゃありません! 他にもあの常時ちょこまか動き回って騒がしい上位個体の相手をいつも笑ってしてあげている優しいところとか、
あとよく彼女達にお菓子やらアイスやらのお土産を買ってきてあげる太っ腹なところとか……」
10032「腐っても第二位なんだからお菓子だのアイス程度ただのはした金だろ
とミサカはつまり別に太っ腹でも何でもねーよとバッサリ斬ります」
17600「お金持ち……。あ、あれ、やっぱり第二位ってちょっとカッコイイかもとミサカは……///」
10033「金に釣られてんじゃねーよ、とミサカは現金なスネークを批判します」
14510「というか第二位ってその、胸の大きい女の人が好きなんですよね?
望みないじゃないですか、とミサカはこそっと意見してみます」オソルオソル
15959「…………ハッ!」
20000「大事なのは大きさじゃない! エロい人にはそれが分からんのです!
とミサカはつまり百合にゃんの無い乳こそ至高だと声高に主張します!!」カッ
17600「お前が一番エロいんだよこの変態、とミサカはもう面倒臭いからいちいちツッコませんじゃねーよ」
10032「………ふむ。しかしこれはある意味好機ですよとミサカは20000号、10033号、そして14510号に進言します」
14510「はい? それは一体どういう意味ですか? とミサカは頭にはてなを浮かべます」キョトン
10032「つまりですね、今現在一番第二位との親密度が高い人物は誰でしょうか?
とミサカはクイズ感覚で14510号に聞いてみます」
14510「…………………、一方通行ですね、とミサカは嫌々ながらもその事実を認めます」チッ
10032「その通りです。このところあの二人は随分と仲良くなってしょっちゅう一緒に遊びに行ったりしてますよね?
とミサカは一方派の連中の嫉妬心を煽ります」ニヤニヤ
14510「ぐ、ぐぬぬ……」
20000「どちらも今まで友達いない歴=年齢だったから初めて出来た友人にはしゃいでるんですね
とミサカはそんな元ぼっちな百合にゃんも可愛いよぉぉおおおおおお!!!」
17600「お前もう一方通行ならなんでもプラス方向に解釈出来るのな、とミサカは一周回って逆に変態に感心します」
10032「だからですね。言い換えればこれは危険な状態とも言える訳ですよとミサカは警告します」
10033「危険、ですか? とミサカは10032号にオウム返しに問いかけます」
10032「いくら第二位が巨乳美人好きだからといって、
いい年頃の男女がこうして一緒に時を過ごしていけばこの先どうなるものか分かったものじゃないですよ?
とミサカは万に一つもあの二人の間に間違いが起こらないとも限らないという可能性を示唆します」
14510「!?」
10032「大体あの二人言い争ってた時から息ぴったりだったし、今じゃもう端から見りゃ完全にバカップルじゃねーか
とミサカは再び舌打ちしてリア充爆発しろ」チッ
14510「うぐぐぐぐ……そうでした、そういえばあの二人は握手を……
とミサカはあの時のことを思い出し第二位に殺意を覚えます。未元物質、とんだ伏兵が……」ギギギ
10033「なんてこった……とミサカは頭を抱えます」マンマミーア
14510「……!! い、いえ、一つ重大なことを忘れていますよ10032号! とミサカは反論してみます!!」バッ
10032「はい?」
14510「一方通行は確かに今は女性ですが、十数年間という間自身を男性と見なして過ごしてきたのですよ?
そんな彼女が本当に第二位にそういった意味で惹かれるものでしょうか?
とミサカはこの完璧な理論にドヤ顔をします」ドヤァ
17600「一方通行が女だと知ってショックのあまり暫く引きこもってた奴が何言ってやがる……
とミサカは相変わらず脳ミソお花畑な春厨に肩を竦めます」ヤレヤレ
20000「……あれ? そういえば百合にゃんって男が好きなの? 女が好きなの?
とミサカはなんだか頭がこんがらがります。
まあどっちにしろ彼女の初めてを奪うのはこのミサカだけど」
15959「…………なんかどんどん話が脱線してきてるんですが、
とミサカは、でもとりあえず一方通行はミサカの恋敵カテゴリーにがっつりぶち込んでおきます」
10032「まあ、実際のところあのむっつりモヤシが自分自身のことについて内心どう考えているかは定かではないし、心底どうでもいいですが……。
少なくともあの二人にしか分かり合えないこと、というのはあると思いますよ
とミサカはちょっと真面目モードになってみます」
10033「というと?」
10032「普段はあんな堕落して見える二人ですが、やはり真実として第一位と第二位。
以下の能力者達とは一線を画すと言われる孤高のワンツートップ同士にしか分からないものに共感する面はあるでしょう。
そう、それはミサカ達がクローンという異質な存在であり、やはり妹達同士でしか理解出来ないものがあるのと同様に」
14510「……」
10033「……」
15959「……」
17600「……」
20000「……………なんか急に真剣な空気になってミサカは居心地が悪いのですが。
ユ、ユートピア! びっくりするほどユートピア!!」
17600「――――お前は本当に空気クラッシャーだな、とミサカは出たての芸人のような変態に呆れ返ります」ハァ
10032「そこであなたですよ、とミサカはビシッと15959号に指を突き立てます」ビシッ
15959「はい?」
10032「あなたが今の内に第二位をモノにしてしまえば一方通行と第二位との間のフラグは解消される訳です
とミサカはそれはつまりあなたにとっても一方派にとってもwin-winな結果であるということを教授します」
15959「!」
14510「!」
10033「!」
20000「!?」
20000「……待って下さい10032号! それじゃミサカの
『ドキッ☆ミサカと百合にゃんと第二位のくんずほぐれつNTRプレイ大会~ポロリもあるよ~』計画が破綻してしまうじゃないですか!! とミサカは……」
17600「お前いい加減にしないと上位個体にチクるぞ
とミサカは本当にお前とミサカは同じ遺伝子なのか甚だ疑問を持ちます」
14510「……………………。15959号」ユラリ
15959「な、なんでしょうか、とミサカは異様なオーラを醸し出している14510号にビクビクしながら尋ねます」ビクビク
14510「………あなたの恋に協力しましょう。とミサカは15959号の手を取りグッと熱い握手を交わします」ギュッ
15959「ほ、本当ですか!? とミサカは心強い協力者を得られたことに感謝します!」パアッ
17600「いや、このお花畑が味方についたところで何一つ心強くねーだろ
とミサカはモヤシの前じゃ完璧に上がってしまって挨拶の一つもろくに出来ないヘタレな14510号を哀れみます」
10033「ミサカも協力しますよ、とミサカは御主人様とミサカだけの秘密の花園設立計画の為に15959号に打診します」ギュッ
15959「ありがとうございます! 本当にありがとうございます!!
とミサカは熱い姉妹愛に感涙します……!」ウルッ
17600「不安しか見えてこないんですが……」
15959「あ、あう……もしミサカが第二位さんとそういう関係になれたら……
とミサカはあらぬ妄想にきゃー! と顔を覆います」クネクネ
17600「本当に金持ち以外であんなメルヘンホストのどこがいいんだよ……
とミサカは趣味悪いなお前と辟易します」
15959「だから第二位さん馬鹿にすんな!!
とミサカは、ああでもあの人の本当の魅力を知っているのはこのミサカだけという事実に優越感に浸ります……」ニマニマ
17600「あ、分かった。お前春厨と同じタイプのお花畑なのな、とミサカは確固たる確信を持ちます」
10032「……むぅ。ミサカもそうおちおちとはしていられませんね。またあの少年にアピールする手段を考えなければ
とミサカはこのライバル多過ぎな無理ゲーに果敢に挑む覚悟はとうに出来ています」
20000「もうあの少年にはハーレム作ってもらってその中の一員になればよくね?
とミサカはもっとも平和的な解決法を提示してみます」
10032「ミサカはミサカだけを特別な恋人として愛して欲しいんです!!
ていうか彼がもし本気でハーレム作ったら一万人近くの女が集まってくるわ!
とミサカはもう、本当にあの人はもう……」グスッ
20000「文字通り搾り取られますねあの少年、とミサカはミサカも百合にゃんからいろいろ搾り取ったり、縛ったり、飲ませたりぶっかけたりしたいです!!!」クワッ
14510「お前そろそろ本当にぶち転がすぞ」
10033「ミサカはむしろ御主人様から搾り取られたり、縛られたり、飲まされたりぶっかけられたりしたいです!!!」ハァハァハァ
10032「だからお前らにはぶっかけたり出来るもん付いてねーだろうが
とミサカはいい加減怒られるからその下品過ぎる発言やめろ」
17600「ところで協力するとはいっても具体的にはどうするつもりなんですか?
とミサカはまあどうせまだノープランだろうけど一応聞いておきます」
14510「あ、ええと……そうですね、当面のところはまず本人に直接会って話してみることからですよね
とミサカは一生懸命頭を働かせ知恵を絞ります」ウーン
15959「あの、でもミサカは学園都市住みとはいえこの学区からはかなり離れた研究所でお世話になってますから……。
今日はたまたまこの病院まで来る機会に恵まれましたが
支給されるお小遣いもあまり多くはありませんし、
その電車賃とバス代だけでも次いつ来られるか……とミサカはしょんぼりしてみます」ショボン
10033「今日、今から会いに行けばいいじゃないですかとミサカは15959号の背中を押します」
15959「き、今日ですか!? いえ、それはちょっとまだ心の準備がですね、とミサカはミサカはあうあうあう……」カァー
10032「テンパり過ぎて上位個体口調になってますよ、とミサカはとりあえず落ち着け」ポン
20000「積極的にならなければなるものもなりませんよ、
とミサカはもっと押しの強い女になるべきだという教訓を15959号に与えます」
17600「お前の場合押しが強過ぎて一方通行に一線引かれてるって分かってるか? このバカ。
……15959号、なんならこの薄い本が完売すれば大分ミサカの懐は潤いますから
その時にまとまったお金をあなたに貸してあげましょうか? とミサカは提案してみます」
15959「えっ、いいんですか!? とミサカはスネークの温かい心遣いに目を輝かせます!!」キラキラ
10033「どっからどう見てもレイプ目のままですけどね」
14510「言っておきますがこんな穢らわしい本などミサカは要りませんよ、とミサカはぷいっとそっぽを向きます」プイ
17600「まあまあ、これはハードな鬼畜調教ものですから。もっとライトなほのぼの純愛系もありますよ?
とミサカは他の本も取り出してみます」ガサゴソ
14510「純愛とかそっちの方がダメージ大きいんだよばーかばーか!!
とミサカはそもそも妹達に売る為ならなんで欠陥通行本にしないんだよと地団駄を踏みます!!」ダンダン!!
17600「このミサカに百合属性はないんで……
とミサカはセロリの為に華麗に性癖まで変えてきやがった春厨にあからさまに引きます」
14510「ミサカは別に同性愛者な訳ではなくただ百合子さんが好きなだけです!
とミサカは………あっ、す、好きとか言っちゃった……///」モジモジ
17600「面倒臭ぇなこいつ……とミサカはあくまで奥手キャラを気取るお花畑に、あーあざといあざとい」ペッ
14510「ミ、ミサカは別にそんなキャラ作ってません!」アセッ
17600「というか例えフィクションでも自分と同じ顔した奴がモヤシと絡んでる絵なんざ描きたくねーよ
とミサカは欠陥通行本の作成を断固拒否します」
14510「むぅ……」
10032「……まあ、でもとりあえず大体話はまとまったようですね。では15959号は精々頑張って下さい、
とミサカは自分から焚き付けたけどぶっちゃけ他人の恋路とかどうでもいいので適当なエールを送ります。がんばれ~」ヒラヒラ
15959「はぅ……なんだか今から緊張してきましたとミサカは……」ドキドキ
17600「正直第二位からはまったく相手にしてもらえなさそうですけどね、とミサカは毒舌な本音を吐露します」
15959「……………」ジワッ
17600「ああっ、嘘、嘘ですからそんなヘコまないで下さい! とミサカは慌てて15959号を宥めます」アセアセ
20000「涙目な15959号ぺろぺろ(^ω^)」
14510「お前本当に百合子さんのこと好きなのか?
本当は誰でもいいんじゃないんですか、とミサカはもはや呆れて物も言えません」ハァー
10032「吐き気を催す邪悪とはお前のことだな変態、とミサカはジョジョってみます」
17600「ゲロ以下の匂いですねこの変態、とミサカも便乗してジョジョります」
20000「ああっもっと罵って下さい、とミサカは(ry」ビクンビクン
10033「ずるいですよ20000号! ミサカのことも(ry」ハァハァハァ
15959「あれ、なにこれデジャブ。とミサカは無限ループって怖くね?」
17600「まあ、とにもかくにもそちらについての詳しい話はまた後日改めてということで、とミサカはここらで一旦締めてみます」
ミサカーズ「「「アイサー」」」
??「今。誰かに呼ばれた気がした。……え? 違う?
ふふ。所詮私は。ライバル認定すらされないクラスメートAのモブキャラ」フフ
終わり。姫神可愛いよ姫神
おつおつ
姫神って禁書の中じゃ女子力高いしヒロインになれる器の持ち主なんだけどな
影が薄いのが欠点か……
>>677
姫神はあれだけ美味しい要素持ってるのに不憫キャラだからこそ可愛い。可愛い
で、またまた詰まってしまったので先に本編の方の続き投下しようと思います、要するに>>609の続きから
本当いろいろ飛び飛びのぶつ切りでごめんなさい
―――
垣根「さってと、麦野も帰っちまったし締めに甘いもんでも食うかな」ペラッ
百合子「ところでオマエ俺がコーヒー取りに行ってる間第四位と何話してたンだ?」ズズズ
垣根「ん?」
百合子「ドリンクバーの方にいてもオマエらの騒いでる声が聞こえてきてたンだよ。まさか余計なこと喋ったりしてねェだろォな」ジロ
垣根「いや? ああそういや……」ジーッ
百合子「? なにジロジロ見てンだよ」
垣根「んー…」
垣根(麦野の奴が言ってた“そういう関係にしか見えない”ってのが本当に万人の共通認識かは分からねえが、仮にそうだとしたら)
垣根(……第三者からすりゃ胸ねえだけの女にしか見えない、ねえ)ジロジロ
百合子「?」
垣根「一つ聞くがお前のその意味不明な身体の構造って正式にはアレっつったっけ」
百合子「……クラインフェルター症候群のことか?」
垣根「そうそう。でもそれって要するに三毛猫のオスの原理と同じやつだろ。お前は最初から女の造りに近かったんだよな? ちょっと違うんじゃねえの?」
百合子「……混同されやすいらしいが、だから正確にはアンドロゲン不応症の部分型の方が近いかもしれねェ。俺の場合本当に特殊な例らしいンだが」
垣根「……お前ただでさえ髪も肌も白いわ目は赤いわ、チョーカーに杖だわスペックは第一位だわロリコンだわで異常に属性多いのにその上さらに性未分化キャラまで追加とかどんだけだよ。
相対的に他の奴らの影薄くなるくらい個性潰しまくってんじゃねえか。独占市場じゃねえか」
百合子「ンなこと知るか! 俺にどォしろっつうンだよっつーかだからさりげにロリコン入れてンじゃねェ!!」
垣根「前からずっと気になってたんだけど」
百合子「……なンだよ?」
垣根「お前頑なに中身まで女になったつもりないって言い張るならなんであのカエルんとこで治療受けたんだよ? 無理して元の状態崩す必要ねえんじゃねえの?」
百合子「!!」
百合子「それは……」
店員「―――お待たせ致しまして。ご注文お伺いしますので」スタスタ
垣根「あ、このチョコレートケーキ下さい」
店員「かしこまりましたので。以上でよろしいので?」ピッピッ
垣根「ハイハイ」
店員「では少々お待ち下さい。オーダー入りますのでー!」スタスタスタ
百合子「…………」
垣根「“それは”?」パタン
百合子「あン?」
垣根「今の続き」
百合子「……それは、だから……昨日言っただろ。どっちみち全反射出来なくなった今じゃほっときゃ本来のホルモンバランス戻って段々女に近付いていってたンだろォよ。それならいっそと思ったンだよ」
垣根「本当にそれだけか?」
百合子「……なンだよその含みのある言い方は」
垣根「だって学園都市の技術ならお前が男になりたいと思えばそれくらい出来ないことはねえだろ。
まあ元からある子宮とか卵巣取っちまうのもアレかもしれねえが」
百合子「し、子宮とか言ってンじゃねェよタコ!!」ダン!
垣根「え、今更そこで動揺すんの? 自分から生理来てることまでカミングアウトしたくせに」
百合子「うるせェ! あの時は完全にテンパってたンだよ! もォほっとけよ!」バンバン!
垣根「うん、まあお前はお前でいろいろ考えるとこがあんのは分かるから無理矢理聞き出そうとまでは思わねえけどさ。
ただこの話になると時々不自然つーか挙動不審になることあるだろお前」
百合子「……不自然?」
垣根「目が泳いだり言葉詰まらせたり。お前死ぬ程分かりやすいから嫌でも伝わるんだよ」
百合子「うぐ、」
百合子「…………もォイインだよ。俺も疲れたンだよ。だって既にあのクソカエルとか妹達とかに散々笑われたし?
結局? どンなに俺が頑張ったところで一般的な男と同等までにはなれなかっただろォし?」ハハッ
垣根「……」
百合子「所詮俺なンか鍛えようと思っても腹筋10回すら出来ないし? どれだけ肉食っても体重××キロのまま増えねェし?
いいとこナシのマニアックな変態にしか需要ねェ貧弱ボディだし?」
垣根「……」
百合子「俺のこと特に嫌ってる個体に『学園都市第一位の×××野郎ですね(笑)』とか『能力の資産価値は最強でも男としての価値はレベル0ですね(笑)』とか言われた……し…」カタカタカタ
垣根「だから自分で自分の言った言葉に傷つくのやめろって! 見てる方が悲しくなるから!
いい加減自分が豆腐メンタルなんだってことに気付けよ頼むから! つーか例のクローンにそこまで言われてたのかよ!? いくらなんでも毒舌過ぎんだろ!」ガタンッ
百合子「そンだけのことをしでかしてきたンだよ俺は。つーかオマエから振ってきたンだろォが…」ショボン
垣根「ああうん、分かった悪かった悪かった。もう言わねえから。だから自虐に走んのだけはやめろ。な?」
百合子「……あァ」
垣根「で、お前って実際具体的に身体には変化出てきてんの? ほんの微かにでも胸あんの? 揉んだらふにゅってすんの?」
百合子「オマエはほンの一秒前の自分の台詞すら覚えてられねェのか。
なに、そンなに俺と戦争してェの? 第四次大戦勃発させてェの? このやり取り何度目だよ?」
垣根「だって身近にそういう奴いたら当然気になるだろ。いいじゃねえかよ減るもんでもあるまいし。
まあお前のその貧相な身体つきで胸だけあっても気持ち悪ぃだろうけど」
百合子「……」
百合子(そォいや第七位のあの根性馬鹿は俺のこと見て女だと思ったンだよな。やっぱり少しずつ……つまりはそォいう……)
百合子「……垣根。逆にオマエから見て俺が変わったところってあるか?」
垣根「うん?」
百合子「前と比べてなンか、こう」
垣根「えー? つっても以前のお前のこと自体よく知らねえからなあ。
“第一位の一方通行”って意味でならいくらでも耳に入ってきてたが、顔は資料でしか見たことなかったし」
百合子「あァ、まァそォか」
垣根「だが確かにお前が女な訳ないっていう絶対的な先入観があったのは事実だわな。
それ抜きにしてよくよく見りゃ異常に線細ぇし全体的に男臭さ微塵もねえし」
百合子「要するにもし俺が普通の一般人としてオマエと対面してたとしたら最初から女だと思ってたかもしれねェってことか?」
垣根「かもしれねえなあ」
百合子「……」
垣根「あー、それにやっぱり変わった気もするな。外見というよりは雰囲気がっつった方が正しいかもしれねえが」
百合子「雰囲気?」
垣根「さあ、自分でもよく分かっちゃいねえんだが……どことなくな。棘が抜けてるっつーか」
百合子「……そォか」
百合子(コイツは馬鹿だがそこら辺無駄に鋭いとこあるから多分当たってるンだろォな)
垣根「大体お前俺が可愛いとか言うとすぐ照れるだろ」
百合子「だ、だから照れてねェ」
垣根「いや、確実に照れてるだろ」
百合子「……」
垣根「……」
百合子「……照れてねェ!!」ガタンッ!
垣根「大事なことだから?」
百合子「うン」
垣根「……」
百合子「……」
垣根「いやでもすぐ顔真っ赤にして焦るじゃん」
百合子「ぐぬ……」
垣根「俺だったら男に可愛いなんて言われたらドン引きするぞ。ってことはやっぱ根っこの部分は女の子(笑)なんじゃねえの?」
百合子「だ、だからそれは単にオマエが……」
垣根「俺が?」
百合子「う……」
百合子(そォいやコイツとファミレスで言い争った時三下にも似たようなこと言われたが)
上条『いや前々からお前中性的な外見してるな~と思ってたからさ。顔だって整ってるし……可愛いと思うぞ?(イケメンAA略』
百合子「…………」
百合子(苛立ちしか感じねェ)イラッ
百合子(……ン? つーかちょっと待て。アイツはヒーローだぞ? なのに未だにアイツのことナチュラルに三下呼ばわりしちまってンぞ俺。
呼び慣れ過ぎてて違和感なくなってたけど実はすげェ失礼なンじゃね?)←※傲岸不遜を地で行く性格(垣根談)
百合子(って、ンなことは今はどォでもイインだよ。とにかくヒーローはヒーローだ。根っからのお人好し気質な善人だ。それに比べて……)チラッ
垣根「?」
百合子(この馬鹿はどォだ? 打ち止めに手ェ出そうとしたあげく逆ギレして黄泉川ぶっ刺したクズだぞ。いや、俺もまったく人のこと言えた立場じゃねェけど)
垣根「一方通行?」
百合子(なのになンでコイツに言われた時だけ動揺してンだ俺は。つーかそもそも動揺ってなンだ)
垣根「なあ、なに頭抱えて黙り込んでんだよ?」
百合子(そもそもコイツは言い方がストレート過ぎンだよ。そンなン誰でも……いやだがそれは三s……ヒーローも同じか)
垣根「おい。おいって」
百合子(……コイツだからなのか? クズで口軽くて馬鹿でヘラヘラしてても、ヒーローとかに比べたら断然ショボい人間でも、コイツだから―――)
垣根「おい、だから聞いてn」
百合子「今考え事してるからちょっと黙ってろ!!!」ガンッ!!
垣根「あ、はい」
百合子「……」
百合子(どォして垣根に言われた時だけ俺は…………あーーークソ、もォいちいち考えンの面倒臭ェ)ガシガシ
垣根「……なんかいきなり百面相してるとこ悪いんだが」
百合子「あァ?」
垣根「正直に言えば俺はたまにお前がすげぇ女の子っぽく見えることもあるよ。さっきみたいに照れてる時とか普通に笑ってる時とかな」
百合子「む……」
垣根「でも昨日も言ったように結局のとこ俺はお前がお前でさえいてくれりゃそれでいいよ。
男でも女でもどっちでもなくても、一緒にいて楽しいからそれでいい」
百合子「……」
百合子「オマエがそォいう真面目なセリフ吐くと本当に鳥肌立つくらい気持ち悪ィな」
垣根「なあ、だからなんでお前はそうやっていちいち水差すの? そろそろ本気でぶっ飛ばすぞ?」
百合子「でも――……」
店員「―――お待たせしたけど。ご注文のチョコレートケーキだけど」スタスタ
垣根「あ、どーも」
店員「以上でご注文の品お揃いだといいんだけど」カチャカチャ
垣根「はいはい、お揃いです」
店員「ではゆっくりしていって欲しいけど。…………リア充爆発しろ」ボソッ スタスタスタ
百合子「……」
垣根「……」
百合子「……それ食ったらもォここ出るぞ」
垣根「お前も食う?」
百合子「要らねェ。さっさと食え」
垣根「“でも”?」モグモグ
百合子「………なンでもねェよ」ズズッ
乙
クラインは基本的にベースは男だから
今回の百合子の設定には当てはまらないぞ
クラインでわたしは女ってやつはGIDだ
普通にISって事にしとけ
>>690
ごめんね、そこら辺の知識まったくなくて超適当でごめんね
まあ一方さんは性別=一方さんだからこまけぇこたぁ(ryの精神で軽く流して下さい
あとちょっとここまでのキャラとあらすじまとめてみました↓
<ここまでの主な登場人物>
・一方通行(百合子)
十数年間男だと思って生きてたら実は女だった。
ツンデレでコミュ障で厨二病で豆腐メンタルでファミコンでファザコン。いろいろ残念な第一位
・垣根帝督
自重しない下ネタとメールに定評がある。おっぱい星人。いろいろ残念な第二位
・冥土帰し
腹黒。策士。ド外道。ナース萌え
・打ち止め
マジ聖母
・番外個体
マジ天使
・黄泉川
マジ女神
・芳川
ニート
・むぎのん
苦労人(垣根的な意味で)
・モアイちゃん
苦労人(垣根的な意味で)
・美琴
人の話を聞かない。いろいろ残念な第三位
・ソギー
人の話を聞かない。いろいろ残念な第七位
・上条さん
自分から墓穴掘りまくる人
・木原くん(故)
全ての元凶なのに当の一方通行からの好感度はMAX
・ミサカ10032号
腹黒
・ミサカ14510号
一方通行ラブ。頭がお花畑
・ミサカ15959号
まさかのていとくんラブ。頭がお花畑
・ミサカ20000号
百合にゃんぺろぺろ(^ω^)
<ここまでのあらすじ>
なんやかんやでていとくんと百合子は友達になって学園都市は今日も平和です
多分続きは明日か明後日に投下出来ると思います、ではまた!
投下に来ました。といっても今回ただのデート回なのでギャグ成分ないです、ごめんね
――第二十二学区 地下街
「先輩! 待って下さいよー!」タッタッタ
「はは、早くしないと置いてくぞ美偉~」スタスタ
「歩くの速いですってば!」ゼェハァ
「悪い悪い。じゃあはぐれないように手でも繋ぐか?」スッ
「えっ、せ、先輩……///」ドキッ
垣根「……」
「半蔵様~! 待って下さいー!」テテテッ
「……郭。だからいちいち俺を追いかけ回すのはやめろ」
「私はどこまでも半蔵様に着いていきます!」フンス
「あーハイハイ、分かった分かった」
「半蔵様ぁ~」ギューッ
垣根「………」
「刀夜さん刀夜さん。私あそこに売ってるクレープが食べたいわ」テクテク
「うん? そうか、それじゃあ二人で仲良く一つのクレープを食べようか母さん」
「あらあら。刀夜さんったら恥ずかしいわ」
「何言ってるんだ母さん。昔はよく一緒に一つのジュースに二つのストローを差して飲んだじゃないか」
「もう、刀夜さんったら……///」
垣根「…………」
イチャイチャイチャイチャ…
垣根「……」ガン! ガン! ガン!
百合子「……垣根。イラつくのは分かるが壁殴ンのやめろ。ただの負け犬にしか見えねェぞ」
垣根「…………いいよ。ファミレス出てからここまで遊びに来たのはいい。そこまではいい」
垣根「だがなんだって今日はこんなそこら中どこもかしこもベッタベタしてんだ? なに、俺に喧嘩売ってんの?」イライライラ
百合子「休日だし大抵いつもこンなもンだろ。今ちょうど昼過ぎだしな」
垣根「クソ、浜面と能力追跡も今頃よろしくやってんだろうしどいつもこいつも盛りやがって……」イライラ
百合子「オマエみたいなタイプが一番女出来た時これ見よがしに周りに見せ付けンだろォよ」
垣根「その女がいねえからイラついてんだよ! 俺だってデートしてえよ!!」ダンッ!
百合子「俺に当たンなよ……」
垣根「具体的には麦野としたい。ていうかやりたい。いろいろと」
百合子「あれだけ拒否られてのオマエのそのポジティブさは見習うわ」
垣根「まあいいや。とりあえずゲーセン入ろうぜゲーセン」グイグイ
百合子「だから引っ張ンなっつの、オマエはクソガキ3号か」カツカツカツ
―――地下を開発して建設された直径二キロのこの第二十二学区は学園都市における区画の内では最小面積ではあるもののそれ自体は巨大な円筒形の市街であり、
その外周をぐるりと囲む道路は螺旋階段のように緩やかなカーブを描いて全部で10ある階層を数百メートル先まで下る仕様になっている。
スパリゾートからショッピングモールからカラオケからライブハウスからボーリング場から、十代の学生が大半を占める都市であるが故に若者向けの娯楽施設がぎゅうぎゅうに詰め込まれ所狭しと居を構えているのだ。
遊園地などのアミューズメントパークが一番集中しているのは第六学区なのだが、第七のすぐ隣にあり歩いていける距離である為に一般人にとってはもっとも馴染みの深い場所と言えるだろう。
夜には各階層のゲートに入ると天井に一面のプラネタリウムのスクリーンが映し出され擬似的な星空を演出しているので、
科学技術が『外』より20~30年進んでいると言われる学園都市の中でも飛び抜けてSFチックな所である。
とはいえ今垣根と一方通行の二人が立っているのは入ってすぐの階段を降りた先に開けた一番上の階であり、現在は昼間なのでLED電球で照らされ煌々と明るい。
ここには学園都市の中で開発された『内部系』の店が多々並んでいる。
通路に面したガラス張りの喫茶店や洋服店、雑貨屋といった諸々の小店の看板にはいろんな大学等の協力機関の名前が記されており、
それらの商品が消費者から様々なデータを取る為の実験品であることを表している。
例えば繚乱家政女学校はエリートのメイドさん達を輩出することに尽力している学校であり、彼女達が試験的に作ったお菓子やケーキなども同じく並べられ売れ行きは順風満帆のようだ。
例の学食レストランもまたすぐ近くに見受けられた。
大小無数の学校から集めた学食レシピをまとめて一軒の店にしてあるこじんまりした店先で、
しかし何の気なしにそれを覗き込んだ垣根はケースの中に飾られている本物そっくりに、ある意味本物以上に美味しそうな食品サンプルを見つめて立ち尽くす。
一つ、彼は今までの人生の内で決して金に困ったことはない。
向こうからいくらでも勝手に申し込まれる実験に協力すればそれだけでゼロが五つも六つもつく程の報酬が手付かずの口座にぽいっと振り込まれたし、スクールでの仕事においてもそれは同様だ。
垣根自身も特に金遣いは荒い方ではない上に一方通行には貧乏舌だと揶揄されるくらいだが、
基本的な金銭感覚はやはり一般庶民に比べれば大分ユルい。欲しいものがあれば欲しいだけその場で買ってきた。
けれども、紙パックの牛乳やコッペパンや唐揚げといった極々平凡なメニューの連ねられたその中でずば抜けてギラギラと輝きを放つそのセット。
常盤台中学給食セット:40000円
ナメてんのか。
思わず心中でそうツッコまざるを得ないふざけた値段に垣根はただ愕然と立ち竦むしかなかった。
実際は彼女達常盤台中学生も殆どはもう少しリーズナブルな食生活を送っていて、こんな3つ星レストラン並みの食事をしている筋金入りの箱入り娘はむしろ少数派なのだが
そういった内部事情を知らない者にとってはお嬢様というものに対する底知れない恐ろしさを感じてしまうのも無理ないことだろう。
百合子「……なに間抜けなツラして突っ立ってンだオマエ」
垣根「何でもねえ…」
百合子「?」
呆然とガラスケースに手を付く垣根の後ろから声をかけた一方通行は何とも言えない哀愁を漂わせる背中に首を傾げるが、
すぐに興味をなくして先程とは反対にその腕をずるずる引いて目的のゲームセンターの方へと足を向ける。
垣根「……」
百合子「……」
さて、何らかの能力を有する学生達がひしめくこの街にあるゲームセンターは根本的に外にあるものとは非常に異なった造りとなっている。
例えばUFOキャッチャーなら転移系能力者や念動力系能力者はわざわざコインを投入しなくても自身の能力を使えば簡単にガラスケースの中の商品を取れてしまう。
それこそ発電系能力者など独壇場だ。
だからそういったズルが出来ないように能力の使用が禁止になっている筐体には厳重なセキュリティがかけられていて、能力使用を感知すると即座に警報が鳴る仕組みになっているのだ。
が、それでは外のアーケードゲームとなんら変わらない。当然能力を使って遊ぶことの出来るものも多々設けられている。
『スキルアタック』。
そう名称のついたゲーム機が店の出入口のすぐ真ん前、ちょうど二人の目の前に立っている。
要は身体測定(システムスキャン)のお遊び版、パンチングマシーンの能力者用バージョンである。
標的である四角い打撃ミットに能力をぶつけて数値を叩き出す。それだけ。
垣根は隣であからさまに目を泳がせている一方通行に視線を投げ、それからスキルアタックを人差し指で指す。
垣根「やってみれば?」
百合子「……こォいうのは精々レベル3程度に抑えてやンのがマナーだろォがよ。俺が全力出したら確実にぶっ壊れるっつーの」
垣根「“レベル5対応を目指した最新バージョン”って書いてあるぜ? 基本使い捨てっぽいし」
百合子「……それでも俺がやったら機体ごとお陀仏にしちまわねェ保障はねェンだよ」
垣根「じゃあ能力使わずに普通にぶん殴れば?」
百合子「……」
垣根「……」
百合子「……」
垣根「……百合子ちゃん腹筋10回も出来ないモヤシだもんな」ボソッ
百合子「ほっとけ!!!」
予想通りの台詞を言い捨てカツカツと乱暴に杖をついてさっさと店の中に入っていってしまう一方通行の後ろに垣根は笑いを噛み殺しながらついてゆく。
ちなみにこのゲーム機のディスプレイには高得点者の名前がつらつらと表示されているのだが、
そのトップにいるハイスコアを更新した者の名前に『御坂美琴』と書かれていることに二人は気付かなかった。
どうやら例の罰ゲーム時の“アレ”以来、彼女の記録を塗り替えることの出来る猛者はまだ誕生していないようである。
――ゲームセンター内
垣根「うおらああああああああああああ!!!」ギュルンッ!!
百合子「わ、わァあああああああああああ!!!」ズギャッ!!
ただでさえ騒々しい店の中、ドガーン!ガシャーン!という一際派手な音と二人分の叫び声の後、ピロリロリン♪と軽快な電子音が響いてワンゲームが終了したことを知らせる。
よくあるレースゲームの一つでつい今しがたその勝負に快勝した垣根は呆れたようにはあ、と溜め息を吐いた。
垣根「お前弱すぎ」
百合子「ぐ…っ!」
隣り合って設置された椅子の片側で見事に惨敗した一方通行がギリギリと奥歯を噛む。
この手のゲームはコツさえ掴めば相当こなれてくる。
特に一方通行は演算能力も学園都市最高と謳われているのだからセンスは多分にあるはずなのだが、やり込んでいる分だけいつも垣根に軍配が挙がるのだった。
決して一方通行が弱い訳ではない。それどころか基本的に器用で動体視力もずば抜けている彼女なら大抵の相手には余裕で勝てるに違いないが、そこは垣根も流石の第二位である。
実力が拮抗しているからこそ今現在は垣根が勝ち逃げし続けているが、一方通行が彼から勝ち星を奪う日もそう遠くはないだろう。
そういった意味でもこの二人はいい塩梅のコンビでいられるのかもしれない。
さらに言えばここには打ち止めと番外個体を連れて四人でやって来たことも何度かあるが、
そういう時の一方通行は必ず保護者ぶってどこか冷めているフリをすることを垣根は知っている。
今のように恥も外聞もなく大声で叫んで悔しがるのは多分、自分と二人の時だけだ。
そう考えたところで、しかしふと垣根の頭に些細な疑問がよぎった。
―――果たして本当にそうなのだろうか。
小学生から大学生までたくさんの学生達が友達同士で、あるいはカップルでそれぞれがそれぞれにお気に入りのゲームに向かい一喜一憂する弾んだ声があちこちであがる中、
一人画面の前で自身の敗因を分析しながらブツブツ呟いている白い髪の友人をぼんやり眺め、これまでの二人の間にあったことを思い浮かべる。
一方通行が吃りながら顔を歪めながら「ともだち」という言葉を尻切れトンボに自分に対して口にした時、同年代の遊び相手なんていなかったと言った時、
それは確かに今まで彼女にそういった相手がいなかったことが事実であることを明白に表している。
けれど本当にそうなのか。
いや。
違う、今この瞬間抱いている疑問の本懐はそこじゃない。そうじゃない。それまでがどうだったかではなくこれからのこと。
この先、自分以外にもこんな風に臆面なく子供っぽさを滲ませた表情を向ける相手が一方通行に出来るだろうか。
そんなことを想像すると、これまで他人に興味のなかった―――あるいは興味のない素振りで逃げていたこの自分に妙に嬉しい気持ちが沸いた。
人格が破綻していると言われる超能力者の周囲とのあらゆる齟齬を身に染みて理解している垣根にとって
このムカつく程傲慢で強く、それでいて異常にいろいろな面において弱い彼女にそういった対象が増えることを素直に喜んでいることに苦笑いが漏れる。
すると当の本人には「なにヘラヘラしてンだ」と横目で訝しげな目を向けられたがそこはサクッと無視することにした。
ついさっきファミレスで自身が口にした言葉を思い出す。
「自分は以前の一方通行のことをよく知らない。資料でしか見たことがない」
今でこそ黄泉川愛穂の教職員用ファミリーサイドに住み込んでいる一方通行だが、その前には大多数の生徒達同様学生寮に住んでいた。
そしてその場所はわざわざ書庫(バンク)を調べるまでもなくあっさり特定することが出来た。
一方通行自身が辺り憚ることなく堂々と出入りしていたからだ。
故に第一位の座を狙うスキルアウト達に襲撃され、家具から何から壊され荒らされた経験は数知れない。
それについては垣根もまったく同じだ。
住むところにまったく頓着しない一方通行と違ってある程度セキュリティ機能の高いところにずっと暮らしてはきたが、街中では至極平然と闊歩していたし、それは今でも変わらない。
自身の力に対して絶対的な自信がある為にこそこそ隠れる必要性など存在しないのだ。
だが、そうやって普通に生活してきたにも関わらずこの街のどこかでそれまで二人が対峙することはなかった。あの闘いの時まで。
確かにどちらも幼い頃は特力研、虚数研、叡知研、霧ヶ丘付属、そういった名称の付けられた研究所に放り込まれほぼ幽閉された状態だった。
それでもどんどんどんどん化け物染みた力を手に入れるに従ってそれらの深部でさえ手に追えないところまで来ると、仮初めの自由が保証されるようになった。
要するに逆らえる者がいないから野放しにしておくしかないということ。
なのに、それでもなお、自分達が交差することはなかったのだ。
一方通行がまた襲ってきた十数人ものスキルアウトを一網打尽にしただとか、一方通行が提供した演算パターンを組み込む実験で被験者が暴走しただとか。
そういった話は耳の奥にこびりつくぐらい何度も何度も嫌でも聞いてきたというのに。
その度『一方通行』という巨大な影が背中合わせに張り付いてきた。
この自分を踏んづけて頭一つ分下の第二位に押し込めてくる存在をひしひしと感じてきた。
あの時一方通行を絶対に殺すと決めたのは自身の目的の為であり、個人的な私怨や執着ではない。
けれどやはり肥大した白い怪物のイメージと共に心底憎いと思い、
単純なコンプレックスよりも複雑な何かが絡まった糸のようにぐちゃぐちゃと自分の内で渦巻き、そして滅茶苦茶に壊してやりたいと思った。
でもそれは完全に自分を中心に置いた考えなのだということを今となっては知っている。
マラソンで一番手を走るのはキツいものだ。押し潰されそうな程重いプレッシャーがのし掛かるものだ。
最強であるということは同時に最強でしかないことをも如実に指し示す。
この枯れ木のように頼りない身体をした人物が頂点に立っていてくれるからこそ。
一番上のその一つ下で、いつでもすぐ目の前に立っている背中を見ていられるということに今では酷く安堵している自分がいる。
それでも。それでももしももっと早く出会っていたら?
もっと幼い時から知り合っていたら?
こんなにオモシロイ奴だともっと早く気が付いていたら。
今よりさらに現実は楽しかっただろうか。
くしゃりと自身の茶色い髪を掻き上げ、ふ、と小さく息を溢す。
過ぎ去った過去を振り返るのは詮ないことだ。そんなことよりも、そんなくだらないことよりも。
今だってこんなに楽しい。
まったく自分はいつの間にこんなにヌルい人間になってしまったのだろう。
波のない浅瀬の海のように穏やかに緩やかに、けれどどうしようもなく騒がしく。
むしろ繰り越されて知る楽しみが増えたと言えるかもしれない。
知ってゆこう。これから少しずつ。
この実にひねくれて天の邪鬼で皮肉屋でそれでいて変なところでバカ正直だったりする一人の一方通行という人間について。
はてさて、再戦する度負けが込んでいるその一方通行は実に不機嫌そうにぶすっとした顔でハンドルに頭を乗せこちらを軽く睨んでいる。
その二つの真っ赤な目は拗ねていつも以上にぎらりとつり上がっていた。
その表情に再び苦笑する。
見た目も性格も食べ物や服の嗜好もこんなに違うのに、本当に自分達はよく似ている。
ゲーム機の横に杖を立て掛け、ぶらぶらと棒のように細い足をぶらつかせて一方通行は顔の前で駄々っ子よろしく指を立てる。
百合子「もォ一回」
垣根「はいはい。お前の気が済むまで付き合ってやるよ。勝ちまでは譲ってやらねえが」
百合子「うっぜェ」
垣根「前世は豆腐屋だったから俺」
百合子「いや、意味分かンねェ」
軽口を交わしつつチャリンチャリンと硬貨を投入する。
ここで手心を加えるという発想はない。それこそ底無しに負けず嫌いな一方通行のもっとも嫌うところであり、自分自身もまたやっぱり極度の負けず嫌いなのだ。
実際の乗り物を運転しているのと変わらないスピーカーもモニターに映る3Dの映像もクリアでリアルな機体の前に座り、
暇人二人は飽きもせずまたハンドルを握り強くアクセルを踏み込む。
――――ああ、でも。
既にとっぷり画面の中に入り込んで集中している一方通行の余分な部分を全てナイフで削ぎ落としたかのように皮膚の薄い白く鋭い横顔をそっと覗いて、
その内こいつに自分以外にも他に“そういう”相手が出来たなら。
少し、ほんの少しだけ……嬉しさの中に微かに、そこには指先に出来たささくれのようにヒリヒリと小さく痛む何かが潜んでいる。
ここまで。多分次回も近い内に来られると思います、ではまた!
昔の人はいい事言った
(頭)空っぽの方が、(夢)詰め込める、と
現状、シチュが特殊な一巻分の働きしかしてないからこそ色々付加する猶予があるというか
どこかで見た、禁書界の渚カヲルって表現は絶妙だなぁ
アイツはウホッ要素に集中しちゃったけど
>>710
この次もサービス、サービスゥ!ということでデート回はまだ続く訳ですが
よかったら参考にしたいのでこの後二人にさせたいこととかあったら教えてもらえると嬉しいです
雑貨屋入るとか○○買うとかそういうの
あと最近言い忘れてた!いつもレスありがとうございます!
投下に来ました。意見くれた人ありがとうございました、という訳で服屋行かせます
ドライビングシミュレーターゲームにて十回近く対戦し最後はギリギリいいところまで競ったものの結局負け越した一方通行は、
けれど勝利への手応えを掴んだのか先程とは打って変わってすこぶる上機嫌だった。
百合子「そォか、カーブ曲がる時ついブレーキ踏ンじまってたがあそこは加速すりゃイイのか」
垣根「……それってかなり基礎中の基礎なんだが」
どうにも抜けているその台詞に「本当にこいつ第一位か?」と今までも何度となく抱いてきた懐疑心がまた芽生えるが、
確かに能力さえ使えば乗用車どころか戦闘機を追えてしまう一方通行にとっては一般的な乗り物に対する関心は薄いのだろう。
むしろそんなことすら知らずによくあれだけ操作出来たものだ。
百合子「オマエはなンであンな無駄に上手いンだよ」
垣根「一時期結構ハマってたからな。つっても今までは基本コンピュータ相手だったし全国レベルならもっと上の奴わんさかいるぜ」
百合子「……要は一緒にやってくれる奴がいなかったンだな?」
垣根「……うん」
百合子「……」ポン
垣根「だから慰められると余計惨めになんだよ……」
同情半分、嫌味半分でそっと背中を叩いてくる一方通行に一転して垣根は弱々しい声になる。
垣根「ああ、それに俺は一応普通車とバイクの免許なら持ってるからな」
百合子「……前から聞こうと思ってたがオマエ何歳だよ?」
垣根「必要なのはカードじゃない。技術だ」キリッ
百合子「オイ」
要するに偽造免許かコノヤロウ、と一方通行が不審な目で睨め付けるが垣根の方はどこ吹く風である。
もっとも暗部にいた人間ならば本来それくらいは最低限のスキルだと言えるかもしれないが。
百合子「でもバイクか……確かにありゃカッケェな」
垣根「なんなら後ろ乗せてやってもいいぜ?」
百合子「謹ンで辞退する」
<きゃー!きゃー!
垣根「ん?」
耳がおかしくなりそうに煩い店内で輪をかけて甲高く響く複数の声に垣根が立ち止まる。
発信源に視線を向けると、そのコーナーにはカップルもいるが主に数人のグループで固まった女子中高生達を中心とした人だかりが出来ていた。
きゃいきゃいとはしゃいで盛り上がっているそれらの少女達の姿はとても可愛らしいのだが、
彼女達が身体を寄せ合って入っている厚いカーテンの表面には引き伸ばした異様に目の大きいモデルの写真がでかでかとプリントされており、
キラキラしたその空間は何とも言い難いオーラを放っている。
垣根「プリクラか。ああいうのは苦手なんだよな俺」
百合子「スゲェ分かる」
垣根「デカ目補正っつーの? あれ滅茶苦茶怖いよな」
百合子「スゲェ分かる」
垣根「いやでもお前は一応カテゴリーとしては女子高生なんだからああいうのこそやるべきじゃねえ? つーかお前がJK(笑)」
百合子「ぶっ飛ばすぞクソボケ。糞食らえだ。ウチのクソガキ共がやっぱあァいうの好きだからよォ、いつも二人で延々撮りまくっててうぜェンだよ」
垣根「あーそうか」
実年齢は0歳でも肉体年齢はお年頃な二人だ。
日常的には大抵一枚も二枚も上手な番外個体にやり込められて打ち止めが憤慨する図が繰り広げられていることが多いが、そういう時の意気投合っぷりはいつ見ても微笑ましい。
なんだかんだで仲良し姉妹である。
一方通行は一方通行でウザいだのなんだの言いつつ、あの二人に携帯のカメラで無理矢理一緒に撮らされた写真をこっそりずっと保存していることは垣根にとって既知の事実だ。
面倒臭い奴め、と思う。本当に回りくどくて頑固で面倒臭い。でもその面倒臭さも別に嫌いじゃないのだ。
垣根「にしてもあの二人はそうやってちゃんと女の子らしいっつうのに、それに比べてお前は……」
百合子「うるせェよ。大体あれって実際より肌白く見せる機能付いてンだろ?
俺が撮ったらぜってェ幽霊っつーかガイコツみてェになる。多分」
垣根「ぶふぉっ! い、いいなそれ。やっぱり撮ってみるか?www」ククッ
百合子「却下」
一方通行の冷めた一言でその案はあっさり流れる方向となった。
――クレーンゲームコーナー
何種類ものキャッチャーゲームが置いてある区画に差しかかる。
そこには兎や猫といった定番の動物ものやキャラもののぬいぐるみ、超機動少女カナミンシリーズ等のフィギュア、ゲーム機などが丸くて透明なカプセルの中にぎゅっと押し込まれ山積みになっていた。
垣根「あ」
百合子「うン?」
唐突に立ち止まった垣根の目線の先には、打ち止め達のお気に入りキャラクターであるヒゲを生やした剽軽な顔のカエルのぬいぐるみがある。
垣根「なんつったっけコレ。ケロ助?」
百合子「ゲコ太」
垣根「それそれ」
言うが早いか垣根は筐体の前に近付くと使い込んで多少擦り切れている長財布をポケットから取り出し僅かに屈む。
垣根「この前取ったやつはお嬢ちゃんにあげたから今度はワーストちゃんの分な」
百合子「取れンのか?」
垣根「多分。今日は客多いから既に並び崩れてるし」チャリン
五百円玉を投入口に落とし、慣れた手付きでレバーを操作する。
ガラス越しにゆっくりと動くアームは不安定にゆらゆら揺れて、
店側の戦略たっぷりのそのネジの弛さに堪え性のない一方通行はイライラするが、垣根の方は別段気にすることもなく着実にぬいぐるみを傾け寄せていく。
百合子「そォいやオマエも一度も撮ったことねェのか?」
垣根「プリクラ?」
百合子「ン」
垣根「あー、そう言えば撮ったことねえつったら心理定規に無理矢理連れられて一緒に撮らされたことならあるな」ウィーン
百合子「……」
垣根「? どうした」
急に黙った一方通行に垣根はアームの先に目を向けたまま声をかける。
百合子「……オマエ昨日心理定規のこともっと知っときゃよかったとか言ってただろ」
垣根「ん? ああ、まあ」カチャカチャ
百合子「悪かったな」
垣根「は?」
百合子「オマエらの関係ぶっ潰しちまって」
垣根「はあ?」
いきなりの的外れな見解に眉を寄せるが一方通行もやはりガラスケースの中を見つめたままで、一瞬首を傾げた垣根はしかしすぐに納得して頷く。
垣根「ああ、なるほど。つまりまたお前お得意のウザいネガティブ思考か」
百合子「あーもォうるっせェな…」チッ
図星を突かれて一方通行が舌打ちする。
垣根「だからこれも昨日言っただろ。お前に一回ぶちのめされといてよかったって。
あそこでやられてなかったら俺はもっと壊してたし、もっと殺してた。ありゃ全部俺が悪かったんだ、自業自得だよ。
それにどっちにしろもう暗部も解体しちまってんだし今更だ今更」カチャカチャ
百合子「だが……いや、つーか…」
垣根「なに、それともただ単に心理定規の奴に妬いてんの?」
百合子「だからなンですぐそォいう方向に解釈すンだよオマエは」
垣根「だって俺はさっき思ったから」
百合子「……、あ?」
垣根「もしお前がその内他の奴にかまけて俺の相手してくんなくなったりしたら……それはちょっと寂しいな、ってよ」ウィーン
百合子「……ばーか」
垣根「お前はどうよ?」
百合子「そォいうのってエゴじゃねェ?」
垣根「ああ、そうか。素直に欲しいもんを欲しいって言えない奴なんだなお前は」
百合子「あァ?」
垣根「お前は根が傲慢なんだから無理して手放そうとすることねえよ。お嬢ちゃん達のことだって諦めたくねえから戦ってきたんだろ。
俺みてえな奴に踏みにじられたくないから力づくで奪い返してきたんだろ。それ自体が既にお前のエゴじゃねえの?」ガチャガチャ
百合子「………当たりだ」
垣根「ならこれ以上エゴイストになることくらい何でもねえさ。それに――」ゴトン
垣根「ほい、取れた」つぬいぐるみ
百合子「ン」
垣根「それに俺はやっぱもう隣にお前がいないとつまんねえんだ。
一回手に入れちまったらもう理屈抜きに……それぐらい今じゃお前のことが気に入っちまってるから」
百合子「……」
垣根「お前にとってのお嬢ちゃん達みたいにはなれねえし、なるつもりもねえが。
だから違う形で……これからもまだまだいっぱいお前とやりたいことあるんだよ。そんな単純な理由じゃ駄目か?」
百合子「……ふ」
垣根「嬉しい?」ニヤニヤ
百合子「オマエ本当よくそこまでサムい台詞連発出来ンなァ。スゲェわ」
垣根「心配するな。これでもこっちもかなり大分恥ずかしい。でも言わなきゃすーーぐ疑心暗鬼に走るからなお前の場合」
百合子「オマエが俺のこと余すとこなく理解してくれてて嬉しい限りだ」ハァ
垣根「よしよし」ポン
百合子「ごめンな」ボソッ
垣根「何が?」
百合子「自分でもウジウジして煮え切らねェ奴なのは分かってンだ。でもオマエが俺のそォいうとこに根気よく付き合ってくれンのが――……」
垣根「いいよ」
百合子「………うン」
言葉尻まで言い終わる前に静かではっきりとした肯定と手の平が頭に降りてきて、一方通行はこくんと小さく頷く。
わしゃわしゃと適当に髪を掻き回してくる袖口の辺りからこの少年独特の匂いがする。
本人の趣味であるところの万人受けしないクセの強い匂い。
まだぴりりと少し辛いこの匂いも夕方にもなれば落ち着いた甘いバニラの香りに変わることを知っている。
既に慣れきってしまって今ではどうとも思わなくなっているが初めの内は随分と鼻についたものだ。
匂い自体の話ではなく垣根自身の過剰な自意識に対して。
どうにもこうにもナルシスティックな面のあるこの男は、変に気取らなければ本来人好きのするタイプだろうに妙に奇抜な方向に突き抜ける節がある。
ただでさえ全体的に派手な雰囲気を持ち合わせているのに加えてこれだから、合わない人間はとことん合わないだろう。
けれどもう少し深いところまで真正面から関わってみれば、反面かなり子供っぽいところがあることに気が付く。
例えば大人びた人間なら見向きもしないような取るに足りない子供の遊びに夢中になって幼い打ち止めと一緒に本気で遊び転げたり。
もしかしたらそれは本当に幼い頃に出来なかったことだからなのかもしれない。
自分達のような人間が周りの目にどう映ってきたか。知っているから共感する。
怒りというよりも諦観混じりの言い様のないあの寂しさを無意識の内に共有している。
だからそのぽっかりと空いた穴を埋めるように、指の隙間から溢してしまった時間を取り戻すように、大袈裟なくらい稚拙な行動をしてしまうのかもしれない。
ファミレスでは麦野に傷の舐め合いじゃないと言ったけれど。
自分自身の口で垣根にそんなことをするつもりはさらさらないと、だから全力で馬鹿にしてろと豪語したけれど。
第一位であり第二位であるという肩書きがなかったら果たしてここまで意気投合出来ただろうか。
どんなに綺麗事を吐いて上っ面を取り繕っても、230万人の内のただのまっさらな一人と一人として出会っていたら。
ここまで素を晒け出せる関係になっていなかったんじゃないか。いや、それ以前に出会うことすらなかったのじゃないだろうか。
本当はどこかで捻れて依存しているんじゃないだろうか。
ああ、本当に自分はすぐこんなことばかり考える。そんなどうでもいいことで躓いて、ほんのちょっとしたことですぐ転ぶ。
打たれ弱くて脆くて吹っ切れたと思ったらまたすぐに挫折して、我ながらイライラする程ぐずぐずと煮え切らない。
それでもこんな自分に自惚れじゃなく事実として一緒にいて楽しいと言ってもらえることが単純に嬉しいと思う。
隣にいよう。いつも通りに、ぴったり寄り添うのじゃなく少しだけ間を空けて。それが自分達のスタイルなのだから。
どちらかが体重をかけたら崩れてしまうようなギリギリの均衡じゃなく、一人と一人でそれぞれ互いに立っていられるように。
例えば酒好きなくせに基本的に甘いものもよく好むことだとか、目玉焼きには醤油、コーヒーは飲むけれどもブラックでは飲まないということだとか。
繰り返し繰り返しその饒舌な口から飛び出す実にくだらない言葉や些細な仕草や、
余裕ぶって見えて実は非常に沸点が低くて感情的なことや、なのに時たまぎくりとする程鋭い指摘をしてくることだとか。
そういった多面性は一度や二度顔を合わせただけなら絶対に分からなかったことだ。
既にこの少年の存在が自分の日常の一部にかっちりとパーツを嵌め込んでいることもよくよく知っている。
知らないことを知ってゆくのは楽しい。まだまだ真っ当に向き合い始めてからの日々はごく浅いのだ。そして知られることも。
この垣根帝督という一人の少年について山程。自分自身について山程。何が好きで何が嫌いで何に怒って何に笑うのか。
そういったことを少しずつ。
―――
垣根「あ、なあなあ一方通行。締めにあれやってこうぜ」クイクイ
百合子「ン?」
散々遊び倒した後にさてそろそろこの店も出ようかという段になって最後に垣根の指差した先。
そこには一台のスタンダードなエアホッケーの機体があった。
垣根「で、普通にやってもつまんねえし負けた方が罰ゲームってことでどうだ?」
挑発的な垣根のその提案に元来勝ち気な一方通行の瞳がぎらりと光る。
百合子「は、上等だね。受けて立ってやンよ」スタスタ
垣根「よし、言質は取った。二言はねえな?」スタスタ
百合子「あン?」
わざわざ確認するような言葉に一方通行が問い返すよりも早く垣根はさっさとコインを入れ始める。
垣根「そうそう。ちなみにこの台能力使用禁止なやつだから」チャリンチャリン
百合子「え」
<ピロリン♪
垣根「――――つまり単純に技術と腕力の勝負になる訳だが行くぞオラァァァァあああああああああ!!!」ガコーーン!!
百合子「あ、ああああああああああ!!!!」
―間―
百合子「…………」ブスッ
垣根「ほら、そんなむくれんなって。勝負は勝負だろうが」
百合子「……杖ついた障害者に勝ってそンな嬉しいか」ギロ
垣根「都合いい時だけ障害者ぶんなよ。最初から能力使う気満々だった奴が何言ってやがる」
百合子「アンフェアだ。他のヤツでやり直させろ」
垣根「却下。さーて、んじゃ何してもらうかな。セーラー服でも着てみるか?」
百合子「ふざけンな! ぜってェ着ねェよ!!」
垣根「まあそれも面白そうでいいんだが……流石に俺もそこまで鬼畜じゃねえ。もうちょいライトなやつにしてやるよ」
百合子「クソが……」
垣根「っつかそういやお前本当いつもその服だな。他にレパートリーはねえのかよ」
百合子「……これ一応ブランドもンなンだが」
垣根「高けりゃいいってもんじゃねえだろ。
スカート穿けとまでは言わねえがもうちょいまともな恰好してみろって。そもそもその服男物だろ」
百合子「カッコくらい好きにさせろよ。
女物の服なンざ死ンでも着たくねェし、それこそもし着たらバカな奴らにバカにされンだよ」
垣根「俺はしねえぞ? 多分爆笑はするけど」
百合子「それがバカにしてるってことなンだよ!!
……そもそもオマエだけじゃねェ、それ以上にンなことしたら笑いまくる奴らがいンだよ。
あのクソカエルとか妹達とか、あと土御門とか土御門とか海原とか海原とか」
垣根「ああ、グループの奴だっけ?」
百合子「あのシスコンメイドキチガイとエセ紳士野郎だけは何がなンでも許さねェ…」ギギギ
垣根「……お前も大概苦労人だよな」
百合子「その苦労の大半はオマエが原因なンだがな?」ジロ
垣根「ん? ところでグループって確かもう一人いたよな。案内人やってた女で……『座標移動』だったか」
百合子「」ピタッ
垣根「?」
垣根「なんだ?」
百合子「……いや」
垣根「そういやその子って可愛い?」
百合子「別に……普通の女だ」
垣根「ふぅん?」
百合子「……そンなことよりもォここ出るぞ。そろそろ耳痛ェ」キーン
垣根「おう。じゃあ次は服屋な」ガシッ
百合子「……は?」
垣根「だから罰ゲームだよ罰ゲーム。お前に女物の服着せるから」ズルズルズル
百合子「はああああああああああ!!?」
――洋服店 『acqua』
<カランカラン♪
店員A「む。お客様であるか。いらっしゃいませなのである」クルッ
垣根(……なんかいきなりゴリラみてえなオッサン出てきたぞ)
百合子「おい、垣根!」グイッ
垣根「先に言っとくがお前に拒否権はない」キッパリ
百合子「ぐぬ、」
店員B「アラ、いらっしゃい」スタスタスタ
垣根(……おいおい、今度は顔面ピアスまみれの女かよ。大丈夫かこの店。俺達の他に客いねえし)キョロキョロ
百合子「……」
店員B「言っとくケドウチの自慢の服は化学繊維一切使ってない完全なお手製だから」フフン
垣根「オートクチュールか」
店員B「値段は出来る限り抑えてあるからどんどん試着していっていいわよ」
垣根「ども。よし、じゃあ一方通行。何でも好きなもん選べ。ただし言った通り女物限定な」
百合子「フザケンな! なンで俺がそンなことしなくちゃなンねェンだよ!」
垣根「罰ゲームだからだろ」アッサリ
百合子「ああうン、それ言っちまったら身も蓋もねェけど」
垣根「俺のチョイスじゃねえだけ良心的だと思え。ほらほら、十分以内に選ばねえとこっちで勝手に決めちまうぜ?
なんならこのフリル付いたミニスカワンピ着るか?」ヒラヒラ
百合子「ぐっ…!」
垣根「じゃあ俺はあっち見てるから決まったら声かけろよ」スタスタスタ
百合子「……」ポツーン
――レディースコーナー
百合子「クソが……」ブツブツ
ほぼ強制的に決定された罰ゲームに一方通行は再び歯軋りしながらも素直に服を選ぶ。
なんだかんだで約束事は守らなければならないと考えている辺り根が律義な質である。
百合子(……女物の服か。俺にとっちゃ女装みてェなもンだが)
百合子(つーか会う奴会う奴に言われるがこの服の何が悪ィンだ? カッケェだろコレ。
そ、それに夏着てた奴とかはちょっと木原くンとお揃いっぽいし…)カァー
百合子(……木原くン)グスッ
※要するに木原くんに服のセンスを伝染されました
百合子「と、とにかく俺が着てもあンま違和感ねェっぽいのを…」ガサゴソ
制限時間内にさっさと決めないと本気で垣根チョイスの衣装を着させられる可能性がある為、一方通行は手早くそれらしいものを探していく。
百合子「ええと……これぐらいなら……」
――試着室
一方通行は狭い個室の中で等身大の鏡に自身の身体を映す。
百合子(……自分で言うのもなンだがやっぱペラいな)
それは飽きる程長年見続けてきたもので、相変わらず血管が透けて見えるくらい病的に白く背と腹がくっついてしまいそうに細く頼りない。
百合子(上だけ見りゃ前と殆ど変わってねェよォな気がするが……)マジマジ
どこもかしこも薄っぺらいこの身体が黄泉川や麦野のような肉感的な肉体になることは確実に一生ないだろう。
垣根には棘が抜けて雰囲気が変わったと言われたが自分の姿を毎日見慣れている身にはよく分からない。
でも少なくともそれは悪い変化ではないはずだ。
小さく息を吐いてこつん、と鏡に小さく額を当てる。
百合子(……そォだ、これでイイ)
往々にして変わってゆくということはいつだって少し怖い。
自分の身体と心と、アンバランスで相反するものが一緒くたになってぐちゃぐちゃと胸の内を掻き乱す。
けれど大丈夫だ。
底無しにお人好しで暖かい家族と、それからお前がお前でさえいてくれればそれでいいとそう言ってくれる能天気な友人がいるから。
鏡に引っ付けた額を勢いをつけて剥がし、少しだけ笑って一方通行は選んだ服をごそごそと頭から被る。
―――
垣根「よう、着替えたか?」コンコン
百合子「……おォ」
垣根「じゃあ開けるぞー」ガチャ
百合子「……おォ」
一方通行からの相槌と同時に垣根が試着室の扉をがちゃりと開ける。
――――小さな四角い試着室のその中に彼女はいた。
一方通行が現在着ているのはいつもの意味不明な、突き抜け過ぎていて逆にダサいとすら思わなくなってくる例のしましまシャツではなくざっくりとした編み目の入った薄茶のニットセーター。
太もものあたりまで裾がある長めの丈のものだ。
デザイン自体はごくシンプルで仮に男が着ていてもこれといった違和感はない。だからこそ一方通行もそれを選んだのであろう。
しかしその少しくすんだカーキ色のセーターは凹凸のない、よく言えば細身、悪く言えば貧相な一方通行が着ると多少袖やら襟口がだぼつくという仕様になる。
従って現在の一方通行は白過ぎる首元の肌から浮き出た鎖骨をちらりと覗かせ、
加えて覆われた袖先から指先がちょこんと出ているというあざといまでに少女少女した姿となっている。
ついでに言えば全体的にゆったりとしている為にその薄い胸板をも微妙に誤魔化す効果まで兼ね備えていた。
例えるならば女子が男物のYシャツや学ランを羽織った時のあの身の丈に余ってる感。あの破壊力。
つまり、
垣根「すげぇwwwお前完全に女の子じゃんwwww」ゲラゲラゲラ
百合子「………………あァそうだった。そォいう奴だよオマエは」ビキ
ついさっき感じたオマエに対するちょっと優しい気持ちを返せ。
思わずそう口をついて出そうになる程の見事な爆笑である。
垣根「ほうほうほうなるほど、服装ひとつで変わるもんだな」
百合子「……」
垣根「うん、可愛い可愛い。似合ってる似合っ………ぶはっ! 似合い過ぎだろ!!?」バンバン!!
百合子「………」プルプルプル
垣根「お、お前いつもその恰好してりゃいいのに。化粧要らずだし、あとは胸にパット詰めりゃ完璧だぜ?www」ククク
百合子「こンな屈辱生まれて始めてだよバカ……」ズーン
この垣根の反応は罰ゲームとしては正しいと言えるかもしれないがなんだか複雑な気持ちになる一方通行であった。
垣根「っつかそれ上だけだろ。下はいつものパンツじゃねえか」
百合子「これ以上は勘弁しろマジで…」
垣根「まあお前のその枯れ枝みてえな足じゃ見せたら余計みすぼらしいよな」ウン
百合子「……オマエ俺のこと毒舌っつーけどそっちも大概だって分かってるか?」ピキ
垣根「悪い悪い。でも本当に似合ってるぜ?」
百合子「嬉しくねェがありがとよ」チッ
垣根「あー、にしてもそういう恰好だとマジで……」ジロジロ
百合子「……だからジロジロ見ンなバカ」シュン
垣根「あ、もっかい“バカ”って言って。もうちょい拗ねた感じで。あと上目遣いで」
百合子「死ねよバカ!!!」
垣根「そうじゃねーよ! もっとこう、恥じらった感じで言えよ!
もしくは『あんたバカぁ?』的な少し小馬鹿にした感じで! 出来ればオプションで頬赤らめて!!」カッ!
百合子「何言ってンだオマエ!?」
垣根「百合子ちゃん可愛い」サラッ
百合子「え、あ……」テレッ
垣根「それだ!!!」ビシッ
百合子「俺で遊ぶンじゃねェェェェェェ!!!!」
垣根(本当なんでこいつこんな面白いんだよ)
ある意味予想通りとはいえ垣根にいいように遊ばれて一方通行は臍をかむ。
百合子「クソッタレが……」ギリギリ
垣根「で? どうよ、自分で着てみた感想は」
百合子「……いつもの服の方が万倍イイ」
垣根「俺はこっちの方が万倍いいと思うけどな」
百合子「本当に変じゃねェか?」
垣根「変じゃない変じゃない」
百合子「……」
垣根「うん、そうしてると確かに麦野が言ってたことも分かるかもしれねえ」
百合子「? 第四位が何だって?」
垣根「麦野曰くなんでも俺達並んでると“そういう”関係にしか見えねえんだと」
百合子「は、はァ!?」
垣根「ついでに第三者からすりゃお前は胸ねえだけの女にしか見えねえんだそうだ」
百合子「な、」
垣根「うし。じゃあお前今から今日一日その服な」
百合子「は?」
垣根「すんませーん! 店員さーん!」
店員B「ハイハーイ。……あらん? なかなかカワイイじゃない彼女」スタスタ
店員A「ふむ。お客様によくお似合いである」スタスタ
垣根「この服着たまま行きたいんですけどいいっすか?」
百合子「オイ」
垣根「まあまあ、俺が買うから気にすんなって」
百合子「そォいうこと言ってンじゃねェよ!」
店員B「もちろんいいわよ。じゃあタグ切るわね」パチン
百合子「オイ」
店員B「んー、でもちょっと物足りないわねぇ。あとは顔にピアス付けまくればカンペキってトコかしら?」
垣・百合「「いや、それはない」」スッパリ
店員B「……………」ビキッ
店員A「そう気を落とすな。貴様のファッションが理解される日もきっと三百年以内には来るのである」ポン
店員B「るっせぇんダヨこのゴリラがぁぁあああああああああ!!!」ズギャッ!!
店員A「ひでぶッッ!!?」ズシャアァァァ!!
垣根「……」
百合子「……」
垣根「本当に大丈夫かこの店」
百合子「駄目じゃねェ?」
垣根「おし、それじゃ次のやつ選べ」
百合子「……ン?」
垣根「まさかこれで終わりだと思ったか? だが断るッ!!」
百合子「なンでだよ!? もォイイだろ!!」
垣根「折角の機会じゃねえか。それともこのまま一生ウルトラマンでいるつもりか? 三分間限定ヒーロー(笑)でいるつもりか?」
百合子「……」
垣根「そう、『覚悟』とは! 暗闇の荒野に! 進むべき道を切り開く事だッ!」
垣根「……という訳で覚悟決めて腹くくれ百合子ちゃん」ポン
百合子「オマエ今それ言いたかっただけだろ」
垣根「うん」
百合子「……」
垣根「とりあえずこのジーンズ穿け。あとこっちのコートも」ゴソゴソ
百合子「結局オマエが決めてンじゃねェか!!」
――――――
――――
――
百合子「…………」
垣根「完璧だな」
完成した一方通行の姿を長め垣根は一人ふむ、と満足げに顎に手を当て頷く。
先のカーキのセーターの上に羽織った大きなフードとボタンの付いているもこもこした黒いダッフルコート。
完全にお手製というだけあってどこも型の崩れたところがなく実際に着てみると綺麗なシルエットがくっきりとよく分かる。
下はぴったりとした明るい水色のスキニージーンズでダメージ加工がしてあるものだ。
垣根「そうか、お前はクソ細ぇが言い換えばモデル体型と言えなくもねえのか。つーか足長ぇなお前。その足首よく折れねえな」
百合子「……」
垣根「男としちゃまあ平均だが女として考えりゃ背も高い方だしな。
だがその丈長いセーターだと結局太もも隠れて分かり辛いか。やっぱこっちのTシャツに……」
百合子「待て」
垣根「あん?」
百合子「……イイ加減疲れた」
垣根「はあ? おいおい体力なさ過ぎだろ最強さんよ」
百合子「黙れ。だから杖ついてンだよこっちは。ずっと立ってて足痛ェし」
垣根「ああそっか、ごめんごめん。そういや喉も渇いたな。どっかでなんか飲むか」
百合子「……いや。その前にオマエの服も買う」
垣根「は? いやいいよ、俺今特に欲しいもんねえし。つーかそもそもこれお前の罰ゲームだし」
百合子「それでもオマエにだけ買わせンのは気分悪ィンだよ。等価交換だ」
垣根「よく分かんねえがまあそれなら遠慮なく」
百合子「ン。じゃあこっち来い」グイグイ
――メンズコーナー
百合子「そォいえば」
垣根「うん?」
百合子「オマエ人のことああだこうだ言う割にそっちも大抵いつも同じ感じの服じゃねェか。
Yシャツにセーターにジャケットに。今日は上はYシャツだけだが」
垣根「麦野にも言われたが似合わねえのはホント似合わねえんだよ俺。パーカーとか」
百合子「オマエなら『俺は何でも着こなせる(キリッ』とか言いそうなもンだが」
垣根「だからテメェは俺をどんなキャラだと思ってんだ」
百合子「でもオマエ上背あるしツラもスタイルもいいし基本何でもイケンじゃねェか?」
垣根「あ、一方通行が俺に対して好意的な評価をした……だと……?」ガクガク
百合子「ぶっ殺すぞ。大体なァオマエはいろいろだらしねェンだよ、シャツのボタン開け過ぎだ馬鹿。そンなンだからホストって言われンだよ」
垣根「かっちりした恰好ってのはどうも苦手でな」
百合子「ったく…。これはどォだ? ショート丈のデニムジャケット」スチャ
垣根「ふんふん」
<カランカラン♪
<いらっしゃいませなのである
<いらっしゃーい
垣根「あ、やっと他の客来たな」ヒョイ
百合子「どォでもイイから動くな。合わせらンねェだろォが」グイ
垣根「あ、悪い」
百合子「これならインナーは……」
客A「あ。ねえねえ見てあの二人」ヒソヒソ
客B「やだ、彼氏超かっこいい!」ヒソヒソ
垣根「……」
百合子「……」
客A「彼女の方ってあれアルビノ? 初めて見た!」
客B「目立つねえ。お似合いだけど」
客A「美男美女カップルって本当にいるんだー。あーもーリア充爆発しろ」
客B「ちょww聞こえてるってww」
百合子「……」
垣根「……」
百合子「インナーはこっちの……」
垣根「カップルだって」ボソッ
百合子「くっ…」
垣根「美男美女だって」
百合子「あぐっ!」
垣根「お似合いだって」
百合子「っだー! いちいち確認すンのやめろボケ!!」ダン!
垣根「やっぱ俺って超かっこいいんだって」フフン
百合子「やかましい!!!」
垣根(あーホントこいつからかうの超楽しい)ゾクゾク
期待をまったく裏切らないその反応に、ふと垣根は改めて一方通行の姿を見下ろす。
本当によく似合っているその服装は一気に雰囲気を柔らかくし、彼女をまるで普通の女の子のように目に映した。
今の一方通行を見て実際にはあんなに強大な力を持っているなどと思う人間がいるだろうか。
元々一際目立つ容姿に加えて人が避けて通るような異様なオーラを持ち合わせてはいるが、やはり同時に年相応の少女なのだと再確認する。
当の本人は目が合うとあからさまに眉をしかめて僅かに視線を逸らし顔を伏せた。
自身より十数センチ低い位置にあるその顔には目元にうっすらと睫毛の影が出来ているのが分かる。その睫毛すら白い。
普段が普段なだけに時折こういう表情をすると余計ギャップを感じさせるのだ。
また、距離が近いせいで微かにシャンプーか何かの甘い匂いが鼻先を掠める。
不覚にもさっきは爆笑したその恰好に何故か垣根は本気でどぎまぎとし、そのことに何とも言えない敗北感を感じた。
垣根(んー……)
試しに今一度じっと華奢な身体を眺め回し、脳内の自分の好みと照らし合わせてみる。
垣根(……口が悪い。いやでも麦野みたいな気の強い女ってそそるよな。こいつの場合ただのツンデレだし)
垣根(……凶悪面。いやでもマジで顔自体は悪くないんだよな、目付きの悪さといつもぶすっとしてんのさえなければ十分……)
垣根(……ド貧乳。いやでもただでさえモヤシなこいつに胸あってもアンバランスなだけ、むしろこれは黄金比と言ってもいい)
垣根(……どう見ても家庭的に尽くすタイプじゃない。いやでもこいつなんだかんだ面倒見いいし差し入れとかよく持ってきてくれんだよな)
垣根(……)
垣根(……)
垣根(………あれ? こいつ俺の理想に相当近くね?)ジーッ
百合子「……だからさっきから一体何なンだよ?」
垣根「いや、でもなあ…」チラ
百合子「おい、今どこ見た。どこ見やがった」
垣根「胸」
百合子「オイ」
垣根「ハァ……」ガッカリ
百合子「あ゛?」ピキ
――試着室
百合子「着替えたか?」コンコン
垣根「おう」
百合子「ンじゃ開けるぞ」ガチャ
先程と逆転し今度は一方通行が試着室の扉を開けた。
そこには彼女の選んだ服を身に付けた垣根が立っている。
垣根「どうよ。カッコイーだろ」バーン
百合子「ン。悪くねェンじゃねェの」
垣根「………」
垣根「えっ?」
予想外な台詞に垣根の口から思わず間の抜けた声が漏れた。
垣根「あれ? そこは『似合わねェなメルヘン野郎(キリッ』の流れじゃねえの?」
百合子「正直に似合ってると思うが」
垣根「え、そ、そうか…」
百合子「なーに照れてンですかァ?」ニヤニヤ
垣根「あ、テメ、今までの仕返しかコラ!」
百合子「垣根くンカッコイイ」
垣根「あーはいはい、お前と違ってその手には乗りませーん」
百合子「垣根垣根」
垣根「あん?」
百合子「好き」
垣根「ぶふっっ!!?」
百合子「コーヒーが」シレッ
垣根「テメェ……」ピキッ
百合子「自分がやったことはやり返される。ちゃンと言ってあンだろ?」フフン
垣根「こいつは……」
ついさっきまであれだけ動揺しまくっていたのにいきなり不敵に鼻で笑う一方通行にため息が溢れる。
……まったく、本当に飽きさせない奴だ。
垣根「あーあー大したムカつきっぷりだよ。上等だクソアマ」ハァ
百合子「ンじゃ次はコレ着ろコレ」ポスッ
垣根「……お前人の選ぶ前に自分で自分の選べばいいのに。ほんとに母ちゃんみてえだな。あ、そうだ。お嬢ちゃん達にもなんか買ってくか?」
百合子「クソガキにはこの前ワンピース買った。番外個体にはブーツ買った。黄泉川と芳川にはペアのネックレス買った」
垣根「お前どんだけ家族サービス精神旺盛なの……」
ここまでです
アクセサリーの意見下さった方ごめんなさい、お揃いまでは出来ませんでした
ではまた!
個人的には絵描いてもらえるとか超嬉しいけど版権的にアレなのかな、でもわざわざすみませんありがとうございます。
続きは多分今日の夜あたり来られると思います、とりあえず超短い小ネタだけ↓
【From】一方通行
【Sub】おい
-------------
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
なんだ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
リンゴ食いてェ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
勝手に食えよ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
剥け
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
自分で剥け
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
オマエが剥け
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
俺の未元物質はちゃんと剥けてるわボケ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
オマエ最低だな
なンていうか本当に最低だな
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
俺箸より重いもの持てないから無理
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
番外個体が力持ちで料理上手な男の人ってカッコイイつってた
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
普通に剥くのとウサギとどっちがいい?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
うさぎ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
(笑)
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
死
ね
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
ところでよ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
なンだ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
俺ら同じ家ん中いるのになんでメールで会話してんの?
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
めンどい
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
確実にメールの方がめんどいだろ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
“オマエと”喋ンのがめンどい
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
いい加減泣きそうなんだけど
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
イイからさっさとリンゴ剥けよ
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
お前がウサギさんリンゴ(笑)食うとか共食いみてえだな
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
今俺の買ってきたからあげくン食ってるオマエも共食いだな
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
誰が鶏肉だ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
じゃあランドセル
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
誰が天使のはねだ
【From】一方通行
【Sub】Re:
-------------
ところでオマエ料理出来ンのか
【From】垣根
【Sub】Re:
-------------
卵かけごはんとインスタントの味噌汁を料理に含めていいなら
百合子「……やっぱ俺が剥くわ」ヨッコイセ
垣根「じゃあついでにお茶淹れてきてくれ。熱くて渋いやつ」モグモグ
百合子「とびきりヌルくてクソ薄いやつ淹れてきてやンよ」チッ カツカツカツ
これだけ!
では出来ればまた夜に
相手の事チラチラ見ながら打ってるのか、それともあえて視線は携帯から外さないのか
どっちにしても萌えるんだよ!!
百合子がうさぎさんりんごでうさぎさん作るの想像するとすげぇ可愛い
>>757
個人的には後者の方が萌えるんだよ!
>>758
百合子「……」サクッ
垣根「……」
百合子「……」シャリシャリ
垣根「……」
百合子「……」サクサク
垣根「……」
百合子「ン。剥けたぞ」トン
垣根「本当にウサギにしたよこいつ」
百合子「は?」
垣根「顔と性格に似ずまるで当たり前かのように真顔でリンゴをウサギ型にすることによって
自身の意外性を主張し萌え要素にまで昇華させるとは……なんて恐ろしい手口だ……!」
百合子「……食いたくねェンだな?」ピキ
垣根「え? いや食うけど?」
百合子「」イラッ
――後日 黄泉川家
芳川「あ、垣根くんそこのリモコン取って」ダラダラ
垣根「はいはい」つリモコン
百合子「……」
芳川「あら、このドラマって今日が最終回だったの? あー、垣根くんそこの雑誌も取ってくれる?」ピッピッ
垣根「どーぞ。……ん? おい一方通行これ次の巻ねえぞ」ペラッ
百合子「……」
芳川「醤油煎餅にマヨネーズ付けて食べるとなんでこんな美味しいのかしら」バリバリ
垣根「芳川おねーさん最近太っ…」
芳川「殺すわよ?」
垣根「すいませんでした」
百合子「……」
芳川「ああ、それにしてもしょっぱいもの食べてると喉が渇くわね。一方通行コーヒー淹れてくれない?
アメリカンで。あとリンゴも剥いてね」ダラダラ
垣根「ついでに俺も。なあ、これ続きどこだよ、抜かしてその次の巻読むのってなんか気持ち悪ぃんだよ」ダラダラ
百合子「いや、何してンのオマエ」
垣根「は?」
百合子「『は?』じゃねェーーよ!! なンでオマエが当たり前のツラして人ン家のカーペットで寝転がって漫画読みながら煎餅バリバリかっ食らってンだ!?」
垣根「美味いからに決まってるだろ。何言ってんだ?」キョトン
百合子「そォいう意味じゃねェよ! 呼ンでもねェのに来てンじゃねェよ!!」
垣根「お前も呼んでもねえのに俺ん家来るよね?
しょっちゅう人ん家の冷蔵庫漁って勝手に大量の缶コーヒー詰め込んだあげくソファー独占して爆睡してくよね?」
百合子「俺はイインだよ」
垣根「なにそのナチュラルなジャイアニズム」
芳川「そんなことよりリーンーゴー食ーべーたーいー」ゴロゴロ
百合子「オマエがそンな言い方しても欠片も母性本能くすぐらねェンだよクソニートが」ペッ
垣根「いいじゃねえか、お前剥くの得意だろウサギさん(笑)」
芳川「君得意でしょうウサギさん(笑)」
百合子「オマエらなンでそンな息ぴったりなンだよ!?」
芳川「最終信号にはいつもウサギにしてってねだられてやってあげてるじゃない」
垣根「ああ、なるほどそれで………お嬢ちゃんのお願いは素直に聞く一方通行(笑)」
芳川「親バカ(笑)」
垣根「過保護(笑)」
百合子「オマエらまとめて肥え太りやがれクソども」
みたいなね!
そして昨日投下に来ると言ったな。スマン、ありゃ嘘だった。
寝落ちしてましたすいません……
という訳で続きです↓
―――
洋服店を出た二人は近くにあったコーヒーのチェーン店の外に出ているテラス席に落ち着いた。
もっともテラスとはいってもあくまで地下である為に上を見上げても空はないのだが。
石畳の地面に並べられたアンティーク風の椅子の一つに腰掛け、
一方通行は紙コップの熱い中身に目を落としふうふうと息を吹きかけると慣れた手付きでブラックコーヒーをゆっくり味わいつつ嚥下してゆく。
そうやって切れ長の瞳を伏し目がちに細める度、やや伸びてきた混じりけのない真っ白な髪が揺れる。
柔らかく傷んだところのない純白の髪は緩く頬にかかってはさらさらと溢れ、
時折鬱陶しげにその遅れ毛を耳にかける仕草は実に女の子らしい。
肩に乗っかっている厚手のコートの大きなフードも紙コップを支える細い指先も長く伸びる揃えた両足もちゃんと様になっている辺り、やはり元々のポテンシャルは高いことを表している。
境界線の曖昧な髪と肌と、その輪郭は霞んで背景に溶け込みそうだ。
傍らの杖も相まって見る人間によっては病弱な薄幸の美少女だと信じ込んでもおかしくないかもしれない。
垣根(……薄幸の美少女ねえ)
垣根(こいつが薄幸の………ごふっwwww」ビシャッ!
百合子「……なに人の顔見ていきなり噴き出してンだオマエ」ビキッ
垣根「べ、別に…wwww」プルプルプル
百合子「」イラッ
一方通行の本性を知っている身からすればギャグにしか聞こえないフレーズに垣根の腹筋が再び崩壊する。
垣根(……いやだが本当に素材自体は悪くないんだよな。
貧相という決定的な欠点も華奢という言葉でオブラートに包めばイケる気がしてくるから不思議だ)
垣根(ほら、なんだかんだで最終的には一番身近な奴に落ち着くのがセオリーじゃん?
なんかもういいんじゃね? こいつでよくね?)マジマジ
百合子「……だから何見てやがンだ童貞×××野郎、
イイ加減にしねェと終いにゃ見物料払わせるかオマエの×××引っこ抜いて塩漬けにすンぞボケ」ペッ
垣根(あ、やっぱねーわ)
麦野に手酷くフラれた反動か、はたまた服装マジックか、なんか手近なところで妥協しかけていた垣根はその一言であっさり我に返る。
垣根(でも本当いつもこうだといいんだがなあ…)
しみじみとしたその心中の呟きを知らない一方通行の方は明らかにどうしようもないことを考えているだろう垣根の顔にイラつきつつ、
やはり先程までと違う恰好になっている彼の恰好に視線を注ぐ。
百合子「……服変わっても結局ホストっぽさは抜けねェなオマエ」
垣根「なんだよ、さっきはカッコイイつってたくせに」
百合子「似合わねェとは言ってねェよ」
垣根「なんだ珍しく素直だな。ああ、その審美眼は間違ってないぜ?」
百合子「駄目だオマエ、ホント根っからのナルシストだわ。
あとなにアイス食ってンだよ、さっきもファミレスでチョコレートケーキ食ったばっかだろ。太るぞ」
垣根「そこらへんは未元物質でちょちょいとこう、糖分を急速に分解させる物質作って…」
百合子「……便利だなオマエの能力」
垣根「お前が言うと嫌味にしか聞こえねーよ。……あ」ベチャ
百合子「なーにやってンだ馬鹿、オマエマジでクソガキ3号だな。買ったばっかの服に付いたらどォすンだ」ゴソゴソ
口元に持っていこうとしたアイスをぼたっと落とした垣根に一方通行は呆れた声でポケットからハンカチを取り出すとべたついたその手の平を拭う。
百合子「ほら」グイ フキフキ
垣根「さんきゅさんきゅ。そうそう、コーヒーにバニラアイス入れて食うと美味いんだよな」ボチャン
百合子「オマエがブラックなンざ注文するから何事かと思ったらそォいうことかよ。行儀悪ィな」
垣根「このコーヒーの温度で微妙に溶けかけたところがなんとも。お前も飲む?」
百合子「俺はブラック一筋だ。他に浮気するつもりはねェ」
垣根「一途なことで。じゃ、こっち一口」スッ
百合子「ン」パクッ
垣根の差し出したスプーンから一方通行は一口アイスを頬張る。
百合子「……甘ェ」ペロ
垣根「あ、なんかそれ精液舐めてるみた…」
百合子「」カチッ
垣根「すいませんでした」
「―――なぁ、アンタ!」
百合子「……あ?」
チョーカーのスイッチを入れたところで背後からかかった声に一方通行が振り向く。
そこには一人の高校生くらいの少年が立っていた。
「やっぱりアンタだ! 白い髪が見えたからそうじゃないかと思ったんだよ」
百合子「オマエは……」
にこにこと親しげな表情で話しかけてくるその少年に一方通行は見覚えがあった。
以前、暗部の抗争中にたまたま遭遇した妊婦の連れ合いの少年だ(※原作19巻参照)。
「そうだよ、俺だよ。あの後アンタと交換したはずの携帯番号にかけても繋がんないからさ。で、それきりだろ。まったくしてやられたよ」
百合子「……」
一方通行はその時爆発に巻き込まれ意識を失っていた女性の方に自身の能力を使い母胎の調子を調べて、適切な治療のアドバイスをした。
そしてその後外部から電極のスイッチを遠隔操作され廃人同然の状態となっていたところをこの少年にスポーツカーで拾われ、そのまま足として使ったのだ。
しかしそれから彼にヤバくなったら連絡しろと言われ交換した携帯番号はこちらはダミーのものを教えていたし
向こうから赤外線で送られてきた番号も受信拒否してそれきりだった。
「でもどうしてももう一度会いたかったんだよ。よかった」
本当に嬉しそうにそう言う少年に一方通行は舌打ちすると視線を外す。
百合子「……失せろ」
「なんだよ、つれないな。まあ相変わらずってとこか」
百合子「馴れ馴れしいンだよガキが。とっとと消えろ」
「アンタだってガキだろ。恩人に礼くらいちゃんとさせてくれよ」
一方通行のピリピリした口調をものともせず少年は軽い調子で話しかけ続けてくる。
……こういうのは苦手だ。
真正面から馬鹿正直に感謝されたり好意を向けられたりすることは性格のねじくれている一方通行にとって苦痛以外の何物でもない。単純に言えば非常にむず痒い。
第一、一方通行自身も一応この少年のおかげで九死に一生を得た訳だから貸し借りはナシということになっているはずだ。
いや、本音を言えばそれは殆ど建前で実際は二人の会話から大体の事情を把握したらしく
黙って対面からにやにやとこちらの様子を窺っている垣根の目線に耐えきれないというのが大半の理由だが。
「そうそう聞いてくれよ! 子供、もうすぐ生まれるんだ!」
百合子「……! そォか」
少年の勢い込んだ報告にそれまで不機嫌そうに素っ気ない態度で追い払おうとしていた一方通行の表情が初めて弛む。
「母子共に健康だよ。もうさ、あいつこんなに腹でっかくなっててさぁ!」
自分の腹を膨らませるジェスチャーをしながら少年は心の底から幸せそうな顔で笑いつつ、それからふと真顔になる。
「それにしてもあの大戦が終わってこの街もすっかり平穏になったな。
一体何がどういう経緯でそうなったのかは分からないけど……立役者には感謝しないとな」
百合子「……」ピクッ
「あ、そうだ。俺はただのチンピラに毛が生えたような下っ端だからもっと深いとこがどうなってんのか知らないけど、アンタなら何か知ってるんじゃないか?」
百合子「……さァ、知らねェな」ズズズ
「そっか。まあそんなことはどうでもいいや。よかったよ、アンタも楽しくやってるみたいで」
百合子「あァ?」
「デート中に邪魔しちまってごめんな」
百合子「ぶふっ…!」ビシャッ!!
「正直アンタ拳銃構えておっかない目してあんなドス効いた喋り方してたから男だと思ってたよ。女の子だったんだなぁ。女だてらにすげぇよホント」
百合子「デ、デート……って」ゲホゲホ
「ん? こっちの人彼氏だろ?」クイ
垣根「彼氏だって」パクパク
百合子「イイ加減それやめろ!!」
「あれ、違うのか? でもさっき手ぇ握ったりアイス食べさせたりしてたよな? どう見ても…」
百合子「そ、それはついいつもクソガキにやるノリで…」
百合子(……いや、よく考えたら前の俺なら垣根の口付けたもンなンざ絶対食ってねェはずだ。それこそ生ゴミを見るような目で拒絶してたはずだ。
なのにファミレスでもそうだがなンで今まで抵抗なく食ってたンだ俺…)
百合子「……」
百合子(いや別にダチならそれくらい普通……普通か? アレ?)←今まで友達いない歴=年齢だったから普通の基準が分からない
「アンタ一匹狼で他人を遠ざけてるみたいだったから。
でも今のアンタはなんか目が優しいよ。大切な相手がちゃんと出来たんだな、安心したよ」
百合子「……それでなンでオマエが安心すンだよ」
「ははは。やっぱつれないな。なあ、そっちのアンタ」
垣根「ん?」
「この人のこと大事にしてやってくれよ。俺が言うのも変な話かもしれないけどやっぱ幸せになって欲しいんだ。
ただの直感だけどアンタならそれが出来そうだ」
垣根「俺ならお前のこと幸せに出来るんだって」ズズズ
百合子「だからオマエマジでイイ加減にしろコラァ!!」ガタッ
「ははは、仲良いな」
百合子「だからなンで俺の周りは人の話スルーする奴ばっかなンだよ!?」
「ん、じゃあ俺はそろそろ行くよ」
百合子「……あ?」
「ああそうだ、出産の時はアンタの教えてくれた第七の病院で面倒見てもらうつもりだから、
よかったらそん時はまた俺達の赤ん坊の顔見に来てくれよ。じゃあな!」クルッ
百合子「……オイ待て」
「ん?」ピタッ
少年が踵を返し帰ろうとしたところで唐突に一方通行が呼び止め彼は立ち止まる。
百合子「………今だけじゃねェ。あの時から他にもちゃンと大事な奴らはいた」
苦虫を噛み潰したような顔でぼそっと呟かれた言葉に少年は一瞬目を丸くし、それからまた歯を見せて笑った。
「……はは。そうか、うん、そうだよな。やっぱりアンタいい奴だ」
百合子「チッ、うるっせェガキだ」
「あの人がいなかったらもしかして俺もアンタに惚れてたかもな。んじゃ彼氏と仲良くな! ヤる時は気をつけろよ!
まあアンタらの子供なら美形なの生まれそうだけど。またなー!!」タッタッタ
百合子「最後にさらに余計な一言付け加えて満足げな顔で帰ってンじゃねェよ!!!」ガターン!!
<お幸せに~!
百合子「ぐ、ぐぐぐ…」
好き放題言って無駄に爽やかに去っていく少年に一方通行はただ突っ立ったまま今日何度目か分からない歯軋りをする。
垣根「……」
百合子「……」
垣根「『……今だけじゃねェ。あの時から他にもちゃンと大事な奴らはいた(キリッ』」
百合子「死ね!!!」
垣根「ほうほう、要するに“今”は俺も大事だってことか」
百合子「……!」
百合子(……そォか、今じゃ俺の中でこの馬鹿の存在がそンなに…)
百合子(……いつの間にそうなった?)
決定的な瞬間なんてなくて、いつだって気が付いた時にはいつの間にか抜け出せないところまでずぶずぶと沈み込んでいる。
夏の終わりに出会った幼い少女のように。無駄にお節介で世話焼きで、もう立派な大人のくせに妙に子供っぽいところのあるあの二人のように。
最初は自分を殺しに来た、ただその為だけに生み出されたはずだった少女のように。
けれどなんだか彼女達に向ける感情とは別に、ある意味まったく正反対の方向へ向かっていきそうな、
曖昧で捉えどころがなくて上手く言葉に出来ないものが混じったこの気持ちは。
放っておけばこのまま、じりじりとした焦燥と共に肥大していきそうで―――……少し怖くて何より悔しくて、胸の辺りが酷く騒がしい。
百合子「……」
百合子「……垣根。コーヒーもォ一杯買ってこい」
垣根「あん? ああ、まあいいけど。んじゃ荷物見といてくれ」ガタッ
百合子「ン」
垣根がよっこいせと深く背を預けていた椅子から立ち上がる。
その後ろ姿が店内の方へぶらぶら入ってゆくのを見届けると、一方通行はそのままへなへなと前のめりに力なく突っ伏した。
百合子「……」ゴン
額が地味に痛い音を立てて硬い丸テーブルにぶつかったのも気に止める余裕のないまま、買ったばかりのセーターの左胸の辺りをぎゅっと掴む。
ざわつく心臓の音がうるさい。
この感覚を“知っている”。一方通行はこの感情を経験したことがある。
けれど。けれど確信は持ちたくない。認めてしまいたくないと思う。
認めてしまったらいろんなことが崩れていきそうで、そして同時に死にそうなくらい苦しくなりそうで、それが何より嫌だ。
百合子「なンで、」
百合子(違う。違う違う違う、違う違う違う。だって、別に、俺はただ……)
その先を考えたくない。考え出したら止まらなくなってしまう。
百合子(あーーー……チクショウ)クシャクシャ
とにかくその諸々は保留しておくとして、当面の問題はさっきから異常に熱いこの顔を垣根が戻ってくる前に元通りにすることだ。
この場には先程の洋服店のような鏡はないけれど、あまりに白過ぎる自分の顔が今どうなっているかなんて腹が立つほどよく分かる。
ただし、この一方通行の切実な問題は思わぬ方向であっさり解決することになる。
<ちょんちょん
百合子「?」クルッ
美琴「やっほー☆」
百合子「……」
百合子「うおわァああああああああああああああああ!!!?」ズザァァァァァァ!!!
美琴「えっ? ちょ、なんでそんな反応!?」アセッ
背中から肩をつつかれ反射的に振り向いた一方通行は、そこに立っていた人物の姿を目に入れた瞬間絶叫する。
そして声をかけたと思ったらいきなりその相手に叫ばれ椅子から思いきりずり落ちて飛び退かれたことに、張本人である少女―――御坂美琴が瞠目した。
百合子(オ、オリジナル…だと…!?)
百合子「……な、なンっ、なななンでオマ、こンなとk」アタフタ
美琴「いや、何言ってんのか分かんない」
百合子「お、オマエなンでここに……」
美琴「何よ、私が一人で地下街遊びに来ちゃいけないの?
まあ確かに今日は黒子……あ、私の後輩なんだけどその子がジャッジメントの仕事で忙しくってさ。他の子も都合つかなかったから仕方なくなんだけどねー」
百合子「あ、う、あ……」
何でもない調子で話しかけてくる少女に、しかし昨日の盛大な勘違いの件で大ダメージを負っている一方通行はにわかにその出来事を思い出し蒼白になる。
美琴「ていうか!」ガシッ
百合子「」ビクッ
そんな様子にまるで気が付かない少女は目を輝かせて一方通行の肩をがっしりと掴んだ。
美琴「アンタ今日ちょっと可愛い服着てんじゃない! そっか、私のお洒落してみたらってアドバイスちゃんと聞いてくれたんだ!」キラキラ
百合子「お、オリジナル待て、だから……」
美琴「うんうん、そうしてるとやっぱ女の子っぽく見えるわね! あのウルトラマンはないもん! うん、ない!!」キッパリ
百合子(あの服そンな変なのかよ……すげェお気に入りなのに……)ジワッ
美琴「そうだ、アンタも一人? ならこれから二人で回らない? 休日でガラ悪い男も多いんだから気をつけなきゃダメよ。
元気出して、刺青野郎に〔ピーー〕されたことなんて忘れてさ……」ポン
百合子「だからイイ加減その勘違いやめろよ頼むから!!」
美琴「あ、お茶してたの? なら私も相席していいかしら? ていうかこの近くに美味しいケーキ屋さんあるから食べに行かない?」
百合子「お願いだから俺の話を聞いて下さい」
美琴「あっ、それとも小物屋さんがいいかな。
折角そんな可愛い服着てるんだから帽子とか髪飾りとかも合わせてみなさいよ。私が一緒に選んであげるから! うん、それがいいわ。そうしましょう」
百合子「………」
美琴「ああほらほら、そんなぼんやり座ってるとあそこにいるいかにもなチンピラ男にナンパされちゃったりするかもよ?
でも大丈夫心配しないで、その時は私が守ってあげる。アンタに何かあったら悲しむのは打ち止め達だもんね!!」
百合子「え?」
垣根「よう一方通行、コーヒー……あ?」スタスタ ←いかにもなチンピラ男
百合子(最悪のタイミングのバッティング来たァ――――――!!!!)ガビーン!!
美琴「!!?」
垣根「? あれ、この子」
百合子「あ、あああああ……」
美琴「なっ……え? ちょっと待って、一方通行これどういうこと!?」バッ
百合子「あ、あー…」
垣根「おい一方通行。この子ってアレか? 妹達の一人?」チョンチョン
百合子「ばっ!?」
美琴「!?……ちょっと、なんでアンタあの子達のこと知ってんのよ!?」
垣根「は?」
百合子「もォやだ…」グスッ
垣根「……あ、第三位かこれ」
美琴「“これ”!? いきなり人をこれ呼ばわり!? なんなのよこいつ!!」
垣根「ん?」
いきなり眼前で展開されている状況に垣根は首を傾げる。
常日頃一方通行に馬鹿馬鹿言われている彼だが、しかし実際は飛び抜けた頭脳の持ち主だ。
妙に興奮していきり立っている少女と何故か青ざめて意気消沈している一方通行とを見比べ冷静にこの事態を分析する。
垣根(……第三位はこいつのこと恨んでるはずだよな。そりゃそうだ、自分のクローンをあんな実験に使われりゃ。
だがこの様子を見るになんかごちゃごちゃしちゃいるが険悪な感じではねえ。となると……)チラッ
百合子「……」
美琴「……ね、ねえ。まさかとは思うけど……こいつアンタのか、彼氏なの?」オソルオソル
百合子「は?」
垣根「あ?」
百合子(………ハッ!)
百合子(そうだ、ここでオリジナルに垣根をそォいう関係だと思い込ませる→あらぬ誤解が解ける→俺完全潔白!!!)
百合子(見えたぜ、勝利の方程式……ッッ!!)
百合子(垣根!)ヒソヒソ
垣根(ああ。とりあえずこの子第三位でいいんだよな?)ヒソヒソ
百合子(理解が早くて助かる。イイか、今からコイツの話に合わせろ)ヒソヒソ
垣根(あぁ?)ヒソヒソ
百合子(端的に言うと今オリジナルはもの凄ェ勘違いをしている。
その誤解を解く為だ、協力しろ。後でなンでも奢ってやるから!)ヒソヒソ
垣根(よく分かんねえが大体分かった)ヒソヒソ
美琴「ねえ、そうなの? アンタ達ってその…」ゴニョゴニョ
垣根「初めまして常盤台のお嬢さん」ニコ
美琴「え?」
垣根「一方……いや百合子と真剣にお付き合いさせて頂いてる垣根です。な、百合子」キラキラ
百合子「……おォ(キメェ)」
垣根「……(こいつ今絶対キモいって思ってんな)」
美琴「そ、そんな…!!」ガーン
百合子「(ホッ…)分かってくれたか? オリジナル。
つまり俺はオマエの言うよォな男に対するトラウマなンてまったくねェンだ。全部が全部オマエの誤解なンだよ」
美琴「え……」
百合子(よし、いける!!)グッ
美琴「……もしかして私に配慮してるの?」
百合子「……はい?」
美琴「実験の後ろめたさがあるから私がアンタに気遣う必要をなくすために無理して男が平気な素振りをしているのね?」
百合子「い、いやいやいや……え?」
美琴「だからこのチャラそうなエセホストに彼氏のフリさせて…!!」
百合子「コイツ鋭いのか鈍いのか分かンねェェェェェェ!!!」
垣根「おい、つーか誰がエセホストだ。初対面の年上相手にこの態度とか最近の中学生ってこんな残念な訳?」ビキ
美琴「はあ!? ちょっと誰が残念よ!? アンタ私と大して歳変わんないでしょ!!
いきなりそんな態度豹変させて……やっぱりアンタも刺青野郎と同じ変態ね!!」キッ
百合子「だからなンでそォいうとこはちゃンと聞いてンだよオマエ……」
垣根「うわ、うわうわうわ。一気にやる気失せたわ。もうこんなガキどうでもいいだろ、行こうぜ一方通行」グイッ
美琴「ガキって言うな!」ムキーッ
百合子「マジでどォでもよくなってきたわァ…」
美琴「ていうか肝心なとこ聞いてないわよ、なんでこのチャラ男が妹達のこと知ってんの!?」
百合子「あー…」
垣根「キーキーうるっせぇガキだな。一方通行から聞いたんだよ。別にそれであいつらのことどうこうしようってつもりなんざねえから気にすんな」チッ
美琴「そんな適当な理由で納得出来る訳ないでしょ!? はっ! 分かった、アンタ……っ」
百合子「ッ!」
百合子(マズイ! 元暗部の垣根とオリジナルを深く関わらせる訳には――――ッッ…!!)
美琴「…………一方通行のみならず妹達まで手込めにしたあげく姉妹丼とかやって
『ああっやめて下さい!これ以上されたらミサカのメタルイーターMXが暴発してしまいます!とミサカは…!』
『おらおら、一方通行とミサカ盛りの女体サンドイッチ酒池肉林パーリィはまだまだ始まったばっかだぜえ?』
『もォダメェ!黒翼出ちゃうゥうううう!!百合子の恋のベクトル操作しないでええええええ!!
天使化しちゃうのォおおおおおおお!!!』的なことをするつもりね!!?」
垣根「何言ってんだこいつ」
百合子(何言ってンだコイツ)
美琴「許さないわよそんなこと!! 一方通行、こんな奴ほっといて私と行きましょ!」グイグイ
百合子「あっ」ガクン
垣根「おい」
美琴「ほら早く!」
百合子「え、あ、でも……」チラチラ
美琴「……」
美琴「一方通行、もしかしてアンタ本当にこのチャラ男のことが好きなの?」
百合子「は?」
垣根「だから誰がチャラ男だ、張り倒すぞクソガキ」
百合子「い、いや、俺は……その」ボソボソ
美琴「………」
美琴「……分かった。じゃあこれから今日一日アンタたちのデート見て判断するわ」
百合子「え?」
美琴「それでもし一方通行が無理してるわけじゃなく本当にこのホストのことが好きで一緒にいるんだってことが分かったら信じてあげる。
それでいいわよね? もちろんこいつがアンタに変なことしようとしたらその場で全力で止めるから」
垣根「……なんでこいつこんな上から目線なの? 一回シバき倒していい?」
百合子「……やめろ」
ここまでです
ごめんなさい、ほんと美琴さんこんなキャラにしちゃってごめんなさい
でもこういうぶっ飛んでる美琴さんが……大好きなんだよ……!!
なんでや!うざ可愛い美琴さん最高やろ!!
それと続きはまだもうちょいかかると思うのでまたちょっとした小ネタだけ投下していきます
というか当初ていとくん復活の過程で入れようと思ってた☆さんとエイワスのボツネタなんですが、ある意味今までで一番酷いネタです
窓のないビル。そう呼ばれる出入口も窓もない堅牢な檻のような建造物。
その建物内に設置された巨大なビーカーの中で逆さまに浮かぶのは男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える『人間』。
緑色の手術衣を纏い、満たされた培養液に浸され悠然とたゆたうその人物の表情は猫に似て、
細めた瞳の奥に隠れたものを見透かすことは出来ない。
今、その奇妙な人間の目の前に立ち特殊な装置を見上げているのはこれまた神秘的な光り輝く金の髪をした長身の持ち主。
普段は極めてフラットで人を食ったような飄々とした顔つきをしているその金髪の生物は、
現在においてはひどく気難しげな目付きで眼前の相手を見つめている。
エイワス「……」
アレイスター『エイワス。何故あなたはそんな複雑な顔をしている?』
エイワス「……私には君の行動が解せないのだよアレイスター」
アレイスター『それは未元物質のことか?』
エイワス「そうだ。垣根帝督―――神が住む天界の片鱗を振るう者。彼が確かに君の『プラン』に必要な歯車の一つであることは分かっている。
だがしかし、彼が本当の役者として再臨するのはまだ先のことではなかったのか」
アレイスター『……』
エイワス「私は君にあらゆる知恵を授けた。そして機の読み方において君は私以上にそれを深く理解した。
その君が何故今この時に彼を復活させたのか」
アレイスター『ふふ…』
エイワス「彼がより自身の本質を知り、本当の意味で覚醒する為にはまだ時期は熟していない。
率直に問おう、君は何を企んでいる?」
アレイスター『ふむ。それを説明するにはまず第一位について話さなければならないな』
エイワス「第一位……君が50年以上もかけてようやく発現させた者か。
だが今この場においては私は垣根帝督のことについて論じているのであって――」
アレイスター『そう急かないでくれエイワス。
第一位と第二位……この点と点を一本の線として結びつけることによって解は導かれるのだから』
エイワス「……不粋な口を挟んで悪かった。詳しく聞かせてもらおうか」
アレイスター『そう、ではまず第一位の性別についてだが』
エイワス「ん?」
アレイスター『第一位が特殊な症例の肉体の持ち主であり、現在は冥土帰しの尽力によって女性となっていることは君も知っているだろう?』
エイワス「ああ、確かにそうらしいね。
もっとも私自身は性別というものに対する固定的観念を持たない故に、そのことについてはとるに足りない問題だと感じているが」
アレイスター『いいや。彼……いや彼女が女性であったこと。こここそが重要だ』
エイワス「……うん?」
アレイスター『その女性である第一位と男性である第二位を交差させる。それが私の『プラン』を大きく前進させるのだよ』
エイワス「…………。ちょっと待ってくれ。なんだか既に嫌な予感がするよアレイスター」
アレイスター『いや、正確には交差じゃなく交尾だ。生殖行為だ』
エイワス「アレイスター、君は何を言って…」
アレイスター『――――第一位と第二位の間に生まれる子供。……実に興味深いと思わないか?』
エイワス「帰る」クルッ
アレイスター『待てエイワス。私は真剣だ。かなり』
エイワス「真剣に言っているのならばなおさら私は君を軽蔑しなければならないなアレイスター」
アレイスター『考えてもみたまえ。量産型能力者計画による超電磁砲のクローンは皆レベル2から3程度までにしか育たなかった。
第三次製造計画でも4止まりだ。だが生身の人間であるレベル5同士を掛け合わせたらどうなる?
ことによってはレベル6、いやそれ以上に達する程の子供が…』
エイワス「…………アレイスター。今初めて私は君にこういった感情を抱いたよ。“ドン引き”という奴だ」
アレイスター『ふ。そう誉めないでくれエイワス』
エイワス「君は貶されて喜ぶマゾヒストだったのか?」
アレイスター『やはり理想は一姫二太郎だ。
彼女の白髪と彼の茶髪が混ざり合うことであなたのような美しい金髪の子供が生まれるかもしれないな』ワクワク
エイワス「死ね」
アレイスター『私もこう永く生きていると孫というものが欲しくなるのだよエイワス』
エイワス「いや、孫も何もあの二人は君とはまったく血の繋がりなどないだろう」
アレイスター『学園都市の子供達は皆私の血が通った我が子だ!!!』カッ!
エイワス「ああうん、そう……」
アレイスター『当初は幻想殺しと第一位を掛け合わせるというプランも考えてみたのだが
あの二人だと互いの能力を相殺してしまって逆効果かなと思ってね』
エイワス「そうか、死ね」
アレイスター『あるいはあの破天荒な第七位と掛け合わせてみるのも面白いかもしれないな』
エイワス「死ね」
アレイスター『……さっきからあなたは私に死ね死ねと何がそんなに気に食わないんだ?
未元崩しならいいのか? それとも未元掌握か、はたまた電磁通行派か? 百合が好みなのか?』
エイワス「死ね」
アレイスター『はっ! そうか、あなたは腐女子……いや腐女天使だったのか!!!』クワッ
エイワス「死ね」
アレイスター『すまない、私にはそういった趣味はないのであなたの期待には答えられそうにない』
エイワス「……」
アレイスター『ああ、それにしても私も妻が生きていた頃には毎晩……』フフ
エイワス「……アレイスター、君がそんなに気持ちの悪い人間だったとは知らなかったよ。
とにかく私は暫く君の前から消えさせてもらう」スタスタスタ
アレイスター『え、待て。本当に待ってくれエイワス。あなたがいてくれないと私は話し相手が……』
エイワス「アリーデヴェルチだ、アレイスター。出来れば永遠に」シュンッ
アレイスター『えっえっ、待って。本当に行って……』
シーン
アレイスター『…………エイワス』グスッ
っていうね、でもこのアレイスターは流石に酷過ぎるなと思って……
ではまた!
―――
垣根「……で、『じゃあ私はあくまで自然に振る舞ってるアンタたちを観察出来るよう少し離れたところから見てるから』
っつって奴は今向こうのテーブルに座ってる訳だが」
百合子「……どォしてこうなった。もう一度言う、どォしてこうなった」
垣根「第三位ってあんな頭弱そうなガキだったのかよ……常盤台のお嬢とか言うからもっと利発そうなイメージ持ってたのによー。
……あ、でもいつぞやのツインテ風紀委員も頭おかしいド変態だったな。
やっぱ女子校のお嬢様なんて実態はそんなもんなのか」
百合子「一応言っとくがオマエも十分変態だからな。……どォするよ?」
垣根「どうするつったってお前次第だろ。
適当にいつも通りやってりゃいいんじゃねーの? つーかもう面倒臭ぇ。帰りたい」ダラダラ
百合子「……」
百合子「実験のこともあるけどよォ」
垣根「ああ?」
百合子「ウチのガキ共や妹達はオリジナルのことすげェ慕ってンだよ。
それに向こうもよく分かンねェが少なくとも善意でやってるみてェだしここで適当にあしらうことは出来ねェ」
垣根「えぇー…?」
百合子「……そもそも本来なら俺はアイツの前にツラ出せるよォな立場でもなけりゃ、
膝ついて地面に額擦りつけて謝罪した上で自分で首掻っ切って死ぬ程度じゃ全然足りねェ負債がある。なンせ一万人だ」
垣根「……」
百合子「だがそれは出来ねェ。もし俺が自決なンざしたらクソガキ達を絶対泣かせることになるし俺は生きてアイツらのことを守らなきゃならねェ。
第一、根っからの善人なオリジナルが俺にそンなこと望ンじゃいねェのも十分理解してる」
百合子「……いや。そンなのはただの言い訳で単純に俺自身アイツらともっと生きて一緒にいてェンだ」
垣根「一方通行…」
百合子「それに俺は小っせェ人間だからやっぱり死ぬのは怖い。
だから都合が良過ぎるかもしれねェが、なンつーか…」
垣根「……そうか」
百合子「何よりオリジナルの存在がなかったら俺はクソガキ達に出会うこともなかった。もしアイツらがいなかったら俺は…」
垣根「……」
垣根(こいつマジでどんだけミサコン拗らせてんだよ)
百合子「……オマエなンか今すげェ失礼なこと考えなかったか?」
垣根「なんのことだ?」キリッ
百合子「……」
百合子「とにかくオマエも表の人間無下にすンのは良しとしねェだろ?
日の当たるとこにいたアイツをこっち側に引っ張り込ンだ一番の原因は紛れもなく俺だ。
これは俺自身が招いた種で自分で一生かけて摘み取らなきゃならねェことだってのは分かってる。
でも頼む、今日だけは協力してくれ」ペコ
垣根「……お前が俺に頭下げるなんてな。分かった、そういうことならきっちり最後まで付き合ってやるよ」
百合子「悪い」
垣根「いいってことよ。ただ一つ言っておくがこれはもう貸し借りの問題じゃねえ。
単純に俺がお前の友人としてやってることだ、だから別にお前は俺に対して何一つ申し訳なく感じる必要はねえよ」
百合子「垣根……」
百合子「じゃあさっきからずっと言おうと思ってたことがあるンだがイイか?
最初オリジナルの前でキャラ作ってたオマエ最高にキモかったわ」ズバッ
垣根「だからなんでお前はそうやっていちいち余計な一言付け加えんの?
つい今しがたお前に対して感じたちょっと優しい気持ちを返せよ」
百合子「……で、具体的にこれからどォするかだが」
垣根「そうだな。とりあえず……」
百合子「ただ」
垣根「ん?」
百合子「オリジナルは今勘違いから俺に同情(?)してる訳だから……この誤解が解けたらまた前みたいな関係に戻るかもしれねェ」
垣根「あー」
百合子「それはイイ。俺はそれでイイ。だが少なくともクソガキは俺とオリジナルに和解して欲しがってるみてェなンだよ」
垣根「ああ、まああの優しいお嬢ちゃんならそう考えるだろうな」
百合子「……いや。それすらも言い訳かもしれねェ。
正直、こっちの話はスルーされまくってるとはいえオリジナルからあンな風に普通っぽく話しかけられたのが……実は結構嬉しかった、つーか」ボソボソ
垣根「……」
垣根(あんなクソ生意気な態度取られてそれが嬉しいとかこいつ実はドMなんじゃ…)
百合子「……オマエなンか今すげェ腹立つこと考えなかったか?」
垣根「なんのことだ?」キリッ
百合子「……」
垣根「んで? 要するにお前は第三位ともオトモダチになりたいってことか」
百合子「お、おこがましいかもしンねェが……せめて普通に話せるくらいには、出来れば」
垣根「んー」
おずおずとした一方通行の希望を聞いて垣根は頬杖をついて思案し始める。
その軽く眉間に皺を寄せた顔にちらりと掠めるような視線を送ると、再び一方通行は手の中のカップに目を落とした。
黒々とした液体の表面に揺れる自身の顔は既に普段通りの平均に比べてやや低い体温に戻っている。
そのことに内心ほっとしつつ、けれど今度はまた違うことに動揺していた。
百合子(……前はここまで欲しいなンて思わなかった。クソガキ達がいればそれでよかった)
ついさっき御坂美琴に掴まれた肩や腕。
まるでごく親しい間柄で交わされるような馴れ馴れしいとも言えるその行為にびくつきながらも、
そういう風に接せられることが確かにどこかで気持ち良かったのだ。
ぐいぐいと遠慮なく自分の手を引っ張る姿が一瞬打ち止めとダブって見えたからかもしれない。
落ち着かない気持ちで無意識に紙コップの柔らかな縁を何度も指でなぞる。
許されてしまう方が苦しい。糾弾されるか遠ざけていてくれた方が気が楽だ。自分は弱い人間だから。
そう、それが一番座りのいい形のはずなのだ。
百合子(でも)
百合子(でもオマエが手放す必要なンてねェ、エゴイストになってもイイなンてしれっと言うから……余計傲慢で強欲になっちまうンだよ)
思えば今まで散々言い訳と開き直りと逆ギレの八つ当たりばかりしてきた。結局のところ本質的な部分は幼稚なままだ。
なのにその上さらにこんな利己的な考えを持ってしまっている自分はやはり醜いと思う。
このことを口に出したら垣根にはまた自虐癖の悲劇のヒロイン気取りかと言われてしまうのだろうが。
だけどそれもある意味オマエのせいなンだよ、と声には出さず舌の上だけで言葉を転がす。
こんな風に恥知らずな程もっといろんなものが欲しいと思うようになってしまったのは、やっぱりこの少年の影響に他ならないのだから。
超短くてごめんなさい、明日か明後日にはまた続き投下しに来ます
とりあえずていとくん復活おめでとう
垣根「大体お前ちょっと第三位に対してだけ卑屈過ぎんじゃねーの?
まあお前が根暗いのは今に始まったことじゃねえが、基本的に誰に対しても高圧的なくせに」
百合子「それは…」
垣根「だって妹達とは普通に話せてんだろ?」
百合子「……アイツらの場合はクソガキ達とネットワークで繋がってるし、道で会ったりすると向こうから勝手に話しかけてくンだよ」
垣根「ちなみにどんな風に?」
百合子「このクレープ奢れとかあのぬいぐるみ買えとか…」
垣根(完全に財布扱いじゃねえか)
百合子「だがオリジナルの場合は…なンか…」
垣根「……」
垣根(あー、なるほど。こいつコミュ障だから相手から声かけられる分には対応出来るが自分からは行けねえのか)
百合子「誰がコミュ障だコラァ!!!」ガタッ!
垣根「人の思考読んでんじゃねーよ!!!」
垣根「……まあ確かにお前の気持ちも分からないでもないけどな。俺も最初黄泉川お姉さんにちゃんと会った時は緊張したし」
百合子「あー…」
垣根「つーかさ」
百合子「ン?」
垣根「そもそもの発端の勘違いって一体何なんだよ? さっき言ってたトラウマ云々って何の話だ?」
百合子「うっ…」ギクッ
百合子「そ、それは……」ゴニョゴニョ
垣根「それは?」
―説明中―
垣根「~~~っ!~~~っっ…!!」バンバン!!
百合子「………」
垣根「な、なにお前第三位にそんな愉快な勘違いされてた訳?」ククッ
百合子「………」
垣根「あるあ……ねーよwwwwだって処女じゃん。お前完全無欠の処女じゃん!!」ゲラゲラゲラ
百合子「…………」プルプルプル
垣根「そのお前が……ぶはぁっwwおい、そんな面白い話ならなんでもっと早く言わなかったんだよ!!wwww」ケラケラ
百合子「オマエなら絶対そォいう反応するってことが分かりきってたからだよ」イラッ
垣根「へえ、ふーん。なるほどね、それで……」
垣根「っつかよ。まあ俺は別に構わねえけどお前はいい訳? これはこれで問題なんじゃねえの?」
百合子「え?」
垣根「その勘違いが解けたところで今度は俺と付き合ってるって第三位に誤解されるんだぞ。そっちの方が後々面倒なんじゃねえのか?」
百合子「……」
百合子「……」
百合子「…………………、あ」
垣根「お前も大概バカだな」ハァ
百合子「う、うるせェェェ! パニクってて咄嗟にこォするしか思いつかなかったンだよ!!」バンバン!!
垣根「つくづく不測の事態に弱いよなお前」
百合子「ぐっ…。クソ、っつか元を辿ればあのカエルが全部……あ゛ーーー」グシャグシャ
垣根「おーおー向こうで睨んでる睨んでる。とりあえず落ち着け」ポン
百合子「くっ…」
百合子(そォだよ、よく考えたらそっちの方が……こンな恋人ごっこみてェな…)
百合子(……“ごっこ”)
百合子(そォいえば今までは見てくれだけは良くても肝心の中身がアレだから、どォせコイツとまともに付き合おうって女なンざいないと思って真面目に考えたことなかったが)
百合子(なンだかンだ根は気のイイ奴だってのは既によく知ってる。コイツのそォいうとこに気が付く女もきっとその内出てくる)
百合子(それで、そォいう奴とコイツが付き合うようになったとしたら当然そっち優先になる。あンま遊ンだり出来なくなる。コイツの家にも行きにくくなる)
百合子(………俺が女だから?)
百合子(俺が普通に男だったら、男友達同士だったら別に一緒にいてもそンなに…)
百合子(……だからなンで俺は―――)
百合子「……」ポロッ
垣根「!!!?」ビクゥッ
百合子「……」ポロポロ
垣根「え、はぁぁぁぁ? な、……え? お前なんでいきなり泣…」
バチィ!!!
垣根「うおっ!?」バッ
美琴「ちょっと、アンタなに一方通行泣かせてんのよ!!?」ズカズカ
百合子「あ……」
美琴「ほら、やっぱり無理してたんじゃない! もう見てられないわ、私と行きましょう一方通行!」グイッ
百合子「いや、違……今のは俺が勝手に…」
美琴「ええ、確かに私は昨日一方通行に恋をすればトラウマを克服出来るってアドバイスしたわ。
でもこいつは駄目! だってどっからどう見てもヤリ○ンじゃない!!」
百合子「こふっwww」
垣根「……」←童貞
垣根「やっぱこのガキ愉快な死体にしていい?」ビキビキビキ
美琴「ふん、出来るもんならやってみなさいよ!」ビリビリ
垣根「マジでナメてやがるなこの発電所娘が」
美琴「誰が自家発電娘ですって!?」
垣根「いや、言ってねーよ」
百合子「……」
美琴「そんでもって『なんだ?既にお前の粒子加速装置はこんなにぐちゃぐちゃじゃねえか。
そんなに俺のヒッグス粒子が欲しいのか?よほど愉快なメス豚になりてえと見える!』
『ああっダメ!質量獲得しちゃう!物理学革命が起きちゃうのォおおお!常識の通用しない身体になっちゃうゥうううううう!!』
的なプレイをする気なんでしょう!? エロ同人みたいに………エロ同人みたいに!!!」
垣根「ここまで残念だと十周くらい回って逆に可愛い気がしてきた」
百合子(マジでオリジナルってこンな奴だったっけ…?)
美琴「絶対にそんなことさせないんだから! 一方通行、ほら早く立って」グイグイ
垣根「やべえ、こいつ俺の今までの人生の中で確実に一番面倒臭ぇ奴だ」
百合子「……待てオリジナル。ちゃンと聞いてくれ。違ェンだ」グイ
美琴「え?」
百合子「俺は」
百合子「俺は本当にコイツのことが―――」
百合子「好きなンだ」
垣根「げほっ!!」ゲホゴホ
百合子「友達なンだ。大事な奴なンだ」
垣根(……あ、そういう意味か)ドキドキ
美琴「………友達?」
百合子「嘘じゃねェ。信じてくれ」
美琴「え、ちょっと待って。一方通行アンタ――」
百合子「俺は確かに妹達を一万人以上ぶっ殺した。そンな奴にダチを作る資格なンざないって言われても仕方ねェ。でも俺は、」
美琴「え、待って待って待って。アンタ今確かに“友達”って言ったよね?」
百合子「え? ああ、うン」
美琴「え? じゃあ10032号が言ってたのって…」
百合子「は? 10032号?」ポカン
美琴「私、この前あの子に会った時に一方通行に友達が出来たって言われたんだけど」
百合子「…………え?」
垣根「ん?」
百合子(……あれ? そォだ、妹達は既に垣根のことを知ってる。
で、オリジナルはアイツらと定期的に連絡取り合ってるはずだ。ってことはコイツがアイツらから垣根のことを聞いてないはずが……あれー?)
百合子「……オリジナル。10032号から聞いたってのは具体的にどンな話だ?」
美琴「え? えーっとね…」
~美琴ちゃんの回想~
御坂妹『おや。そこにおられるのはお姉様ではありませんか、とミサカは気さくに声をかけます』テクテク
美琴『ん? あら、10032号じゃない。久しぶりね』テクテク
御坂妹『お久しぶりですお姉様、とミサカは偶然会ったお姉様にせっかくだからパフェでも奢ってもらおうという下心を隠しつつにこやかに話しかけます』
美琴『1ミリも隠す気ないでしょアンタ。まあパフェくらい別にいいけどさ』
御坂妹『流石ミサカ達のオリジナル、太っ腹です。……ところで知っていますかお姉様』
美琴『うん?』
御坂妹『実はですね、最近一方通行に友人(笑)が出来ましたよ、
とミサカはあのコミュ障モヤシに友達……ぶふぉwwと耐えきれず思いきり噴き出しますwwww』プフー
美琴『えっ、そうなの!!?』
御坂妹『はい。確かなスジからの情報ですとミサカは肯定します』コクン
美琴『……そっか。そうなんだ。よかった…』
御坂妹『? はあ。よかった、ですか? とミサカは意外なお姉様の反応に首を傾げます』
美琴『うん。だってあいつ……ううん、あの子の事情はリアルゲコ太先生から聞いたからね』
御坂妹『はい?』
御坂妹『……あの、事情とは一体何のことでしょうかとミサカは謎のワードに頭にクエスチョンマークを浮かべます』
美琴『悪いけどこれはアンタにも言えないわ。デリケートな問題だから軽々しく口には出来ないの』フルフル
御坂妹『……』
御坂妹『いえ。このミサカはちゃんと守秘義務は守ります。
一方通行についての話ならミサカ達とも無関係という訳ではないでしょう、よろしければ教えて頂けませんか? とミサカは食い下がってみます』
美琴『……んー、そっか。そうよね。分かった、そういうことなら話すわ。でもくれぐれも下手に他言はしないでね?』
御坂妹『了承しました、とミサカはしっかり頷きます』
美琴『えっとね……』
―間―
美琴『……っていう辛い辛い過去があいつにはあるんだって…』グスッ
御坂妹『~~~っ!~~~~っっ!!www』プルプルプル
御坂妹『な、なるほど。ミサカ達の主治医が言っていたあのモヤシをからかう為にお姉様に仕込んだネタというのはそういうことでしたか、とミサカは……っくwww』フルフル
美琴『へ?』キョトン
御坂妹『いえ、こちらの話です』キリッ
美琴『それでね、だから今度あいつに会ってちゃんと和解っていうか……とにかく同じ女の子同士なんだしこれからは私で出来ることなら力になってあげようと思って。
そりゃ幼少期に大の男に〔ピーー〕や〔ピーー〕されたりしたら誰だって人格歪むわよね…』
御坂妹『そんなあからさまな嘘に簡単に騙される単純なお姉様が大好きです』
美琴『へ?』キョトン
御坂妹『いえ、なんでも』キリッ
美琴『ただね、アンタ達がどう思うかなって。
いくらそんな辛い過去があったからって一方通行のやってきたことをあっさり水に流すことはやっぱり出来ないわ。
もしかしたらアンタ達の目には私があいつに迎合してる風に映るかもしれない、でも、それでも私は……っ!』
御坂妹『いえ、そんな無理矢理シリアスな方向へ持っていかなくてもいいですよお姉様。
今ではミサカ達は殆どの個体が一方通行のことをただのオモチャ兼財布……もとい、生暖かい目で観察する対象と見なしています。
ですからお姉様が一方通行と仲良くなることに反対する者などいません。むしろミサカの上司や末っ子はそのことを喜ぶでしょう』
美琴『……そう。そうだよね。あはは、なんか馬鹿みたい。アンタ達はそうやって既に受け入れてるのに私だけいつまでもうだうだしてて…』
御坂妹『いいえ。そんなちょっと頭の残ねn……真っ直ぐ過ぎて空回りしているお姉様のことをミサカ達は皆慕っています』
美琴『10032号…!』ジーン
御坂妹『では一方通行及びその友人と何か進展がありましたらその時にはまたミサカに報告して下さい、とミサカは念を押します』
美琴『うん、分かった!!』
―――――
―――
――
美琴「……って」
百合子「……」
垣根「……」
垣根「お前マジでどんだけそのクローンに嫌われてんの?」
百合子「……」グスッ
美琴「え? え? でも私はゲコ太先生から一方通行はその、そういう過去のトラウマがあるって聞かされてたからてっきりその友人って女の子のことだと…」
垣根「あー、見事に噛み合ってねえな」
美琴「えっと、じゃああの子の言ってた一方通行の友達って……」
垣根「200%俺のことだな」
美琴「そんな…」
美琴「…………ごめんなさい」ボソッ
垣根「あー、いいっていいって。事情は分かったから。今更そんな猫被んなくt…」
美琴「私、勝手にあなたのこと一方通行の貞操を奪ったあげく妹達にまで手をかけてあんなことやこんなことやそんなことしようとする最低の人間のクズの超絶ゲス野郎だって決めつけて……」
垣根「おい」
美琴「本当にごめんなさい!!!」ガバッ
垣根「……いまいち謝られてる気がしねえが、まあこっちも後ろ暗いとこは多々あるしお互い様だ。とりあえず顔上げてくれ」
美琴「……ごめんなさい、ありがとう」
垣根「よしよし。素直な子供は好きだぜ?」
美琴「一方通行も……ごめんね?」
百合子「あ、いや、俺は…」アセッ
百合子「……それで、だから、つまりオマエは俺に気ィ遣う必要とか全然ねェンだよ」
美琴「……でも、さ。でもやっぱり私は」
百合子「……」
美琴「私は―――」グー
百合子「……ン?」
垣根「……あ?」
美琴「あっ」カァー
美琴「ち、違うのよ!? 今のはほら、甘い物でも食べに行こうかなーとか思っててそれでちょっと朝ごはんとお昼ごはんをセーブしてきてたりっていうか、だからあの…」アセアセ
百合子(あ、やっぱ今の腹の音か)
垣根「……要するに腹減ってんだな?」
美琴「う……」カァァ
垣根「じゃあなんか食いに行くか。そういや一方通行、お前俺の教えた喫茶店まだ行ってねえんだろ? ちょうどここ出てすぐんとこにあるしそこでいいか?」
百合子「ン? あァ」
垣根「第三位、お前もそれで構わねえか?」
美琴「え? あ、ああ。うん?」
垣根「んじゃ行こうぜ」ガタッ
百合子「ン」ガタッ
美琴「あっ、あれ? え?」オロオロ
垣根「ほら、さっさとしねえと置いてくぞ」スタスタスタ
美琴「あ、う、うん」テッテッテ
やっぱ短いけどここまでで
禁書はどのキャラもみんな好きだよ!上条さんからモツ鍋までみんな大好きだよ!!
また遅れててマジごめんなさい、続きはもうちょっと待ってて下さい
あと毎回こんな投下遅いのにレスありがとう、超嬉しい!
またメールでイチャイチャしてほしい
――喫茶店 『amakusa』
<カランカラン♪
<いらっしゃいませー
店員A「おう、お客様なのよな。3名様でいいのよな?」クルッ
垣根「(ゴリラとピアス女に続いて今度はクワガタか)……ハイハイ」
店員A「ではお席にご案内するのよ。三名様ごあんなーい!」スタスタ
垣根「一方通行の奢りな」スタスタ
百合子「ン」カツカツ
美琴(どうしよう、流されてついて来ちゃったけど…)ウロウロ
垣根「だから何突っ立ってんだ第三位。早く来いって」
美琴「あ、うん」テテッ
―――
店員A「じゃあ注文決まったら店員に声かけて欲しいのよ」
垣根「どーも。……どっこいせ」ドカッ
百合子「親父臭ェ掛け声」ガタン
垣根「うるせーよ。ほら第三位、お前も座れ」チョイチョイ
美琴「……うん」ガタン チラッ
百合子「……」チラッ
美琴(う。気まずい…)
百合子「……その、オリジナル」
美琴「えっ? な、なに?」
百合子「あー…」
店員B「いらっしゃいませ。こちらお冷やとおしぼりをどうぞ~」コトン
美琴「……あれ?」
百合子「? どォした」
美琴「え? ああうん、ちょっと…(なんかこの店員すごい見覚えある気がするんだけど敢えてスルーしておこう)」
店員B「もしご注文既にお決まりでしたらお伺いしますね」ニコニコ
百合子「オリジナル。オマエは?」
美琴「え、と…」
垣根「腹減ってんだろ? 遠慮しなくていいぜ、どうせこいつの奢りだし」
百合子「ン。好きなもン頼め」
美琴「……じゃあミルクティーで」
垣根「んじゃ俺も同じのでいいや。つーか食いもん頼めって」
美琴「うー」
店員B「はい、ミルクティーがお二つですね」ピッピッ
百合子「俺はコーヒー。ホット」
店員B「ホットコーヒーがお一つ」ピッ
美琴「えーと…」ペラッ
垣根「お前今日コーヒー何杯めだよ、いくらなんでも飲み過ぎだろ」
百合子「オマエ今まで食ったパンの枚数覚えてンの?」
垣根「納得した」
美琴「!!!??」ガターンッ!!
百合子「」ビクッ
垣根「」ビクッ
店員B「」ビクッ
百合子「お、オリジナル…?」ビクビク
美琴「ね、ねえ。今のアンタ達の会話ってもしかして…」ワナワナ
垣根「!?」
垣根「なっ、……まさか第三位テメェ…!」
美琴「そうよ、私もジョジョラーなのよ!!!」ババーン
垣根「なん……」
百合子「だと……?」
垣根「マジかよ……常盤台のお嬢様もああいうの読むのか」
百合子「そォいえばオマエは漫画の立ち読みが趣味だとか妹達から聞いたことがあったよォな…」
垣根「いや、そこは買えよ」
美琴「正直私の周りだと殆ど読んでる子いないんだけどね。だから肩身が狭くって」
百合子「あァ、漫画読む奴と読まない奴の間には絶対的な壁があるからな」
美琴「少女漫画ならまだ読んでる子もいるんだけどアレはただでさえ絵柄も作風も濃ゆいからね~。
あ、でも友達の婚后さんって子に布教してみたらハマってくれて今は一緒にジョジョ立ちの練習してるわ」
垣根「………俺はテメェを誤解してたぜ第三位、いや御坂美琴。同士であるジョジョ好きを否定することは俺には出来ねえ」
美琴「ちなみに、えっと」
垣根「垣根でいいぜ」
美琴「垣根のお兄さんは――」
店員B「あ、あのー…」
垣根「あ、やべ。第三位、先に注文決めとけ」
美琴「あ、じゃあ……一方通行、アンタはお腹減ってる?」
百合子「いや……あー、やっぱ少し」
美琴「なら一応みんなで食べられるようにピザにするわ。すいません、このマルゲリータで。あ、あとポテトも」
店員B「はい、かしこまりました。では少々お待ち下さい」テクテク
美琴「で、で、垣根のお兄さんは何部が好きなの?」ワクワク
垣根「四部だな。ちなみにこいつは三部派」
百合子「なンだかンだで一番王道っぽくてイイと思う」
美琴「私は五、六部派かな。特に六部のラストは賛否両論だったりするけど私は良かったと思う」
垣根「最後のシーンにFFはいないとこがまたいいよな」
美琴「そうそうそう!!」
百合子「やべェ、今すぐ読み返したくなってきた」ソワソワ
美琴「ジョセフの波紋の呼吸をやめた理由もいいわよね!」
垣根「その割には浮気してるがな」
百合子「まァそれは……うン」
美琴「スタンドはセックスピストルズが一番好きだなあ。可愛くて」
百合子「アレは可愛いとは違くねェか? いや好きだが」
垣根「現役JCの口からセックスとかいう単語出てくるとなんかちょっと興奮すんな」
美琴「……うわ」
百合子「……うわ」
垣根「テメェら自分は散々下ネタぶちまけといてなんで俺が言った時だけドン引きすんの?」
美琴「……って、え、あれっ!? 一方通行もしかしてそれ!」ガバッ
百合子「ン?」
美琴「その紙袋の中身! そう、それそれ!」
百合子「これか?」ガサゴソ
美琴「や、やっぱりゲコ太……!」
垣根「ああ、さっきゲーセンで取ったやつ」
美琴「も、もももしかしてアンタ達そのキャラ好きだったりするの?」ソワソワ
垣根「いや、まったく」
百合子「これは番外個体の奴にやる為にコイツが取ったンだよ」
美琴「あ、そ、そっか。そうよねあの子達用よね」チラッチラッ
百合子「……欲しいのか?」
美琴「えっ!?」
垣根「いや、流石にねえだろ。お嬢ちゃん達は実質0歳だから分かるけどどう見ても幼児向けじゃん。モノホンの中学生が欲しがるようなもんじゃ…」
美琴「……」
百合子「……」
垣根「……」
美琴「………ゲコ太はね。よく幼児向けのレッテルを貼られがちだけど本来は老若男女問わず愛されるべき普遍的愛くるしさを持ったラブリーミトンの生み出した最高のキャラクターなのよ」
垣根「なんかゴメン」
百合子「……これ持ってくか?」スッ
美琴「ううん。やっぱりそれは番外個体にあげて。ゲーセンって地下街のあそこよね? 私も今度自力で取るわ」
百合子「……そォか」
美琴「ふふ」
美琴(……あれ? さっきまで気まずかったはずなのにいつの間にか普通に話せてる。なんでだろ)
美琴「そういえば二人って普段は何してるの?」
百合子「あン?」
垣根「うん?」
美琴「今日は休日だけど平日はやっぱ高校通ってるの? どこの学校?」
百合子「えっ」
垣根「えっ」
美琴「え?」
百合子「……」←学校行ってない
垣根「……」←学校行ってない
百合子「い、いや俺は一応長点上機に籍はあるし? 書庫上のデータは学生になってるし?
そもそも行ったところでどォせ特別クラスに入れられるだけだし? だ、だから決してニートという訳じゃなくてだな……」カタカタカタ
垣根「お、俺も別に学校なんざ通う必要がないっていうかそもそも行ったところで既に学ぶことがねえし?
むしろ俺がお前らに教えてやんよみたいな。だ、だから決してニートという訳じゃなくてだな……」カタカタカタ
美琴「なんかゴメン」
垣根「そ、それよりも常盤台はどんなとこなんだ? やっぱお嬢様校ならではみたいなのあんの?」
美琴「そうねー、確かに規則とかは結構堅苦しいかな。ああでもそれより何よりウチの寮監がやばいわ…」ガクガク
百合子「やばい?」
美琴「簡単に言うとあの人は30秒以内に片腕一本で私を沈められる化け物よ」キッパリ
垣根「……いやいや、レベル5を片腕でとかいくらなんでも…」
美琴「……」
垣根「……マジかよ」
百合子(第二の黄泉川、だと……?)ガクガク
美琴「あ、そうだ。学舎の園は男子禁制だから垣根のお兄さんは無理だけど一方通行アンタ一度来てみない? 招待すれば他校生でも入れるから」
百合子「え?」
美琴「あそこにしかないお店とかもあるし。
そうそう、有名なケーキさんがあるから打ち止めと番外個体に買っていってあげたらきっと喜ぶわよ」
百合子「いや、俺は…」
垣根「えーいいなー。俺も行きてぇなー。周り見渡したら一面女の子とか天国じゃねえか」
百合子「オマエみてェなのがいるから男子禁制なンだろ」
美琴「あはは、女装でもする?」
垣根「このガタイで180越えの女とか軽くホラーだろ…」
百合子「純粋に気持ち悪いな」
垣根「そういえばさっき学食レストランでお前んとこの学校のメニュー見たがふざけてるとしか思えない値段だったぞ」
美琴「あっはwwそれってあれでしょ、ウチの給食って売りで出してるやつよね?
ないない! あんなもん食べてるのごくごく一部の超温室育ちな子達だけよ。私だって大抵いつもは購買とかだもん」
垣根「へー、そうなのか。そうか、あれだけいいもん食ってる割には大事なとこに栄養行ってねえもんな」チラッ
美琴「ちょ、どこ見てんのよ!? セクハラ!」バッ
百合子「コイツは呼吸レベルの平然さでその手の発言かます奴だから適当に聞き流しときゃイイぞ」
垣根「だってワーストちゃんはあんなエロい身体つきしてんのにさあ」
美琴「な、何よ、クローンにいろいろ負けてるオリジナルには存在価値なんてないって言うの!?」キッ
垣根「だからどうしてそう拡大解釈するかねこのクソ生意気なお嬢さんは」
美琴「ふんだ、私達はこれから大きくなるからいいんだもん。ねー?」
百合子「いや、俺は胸なンざ出てきて欲しくねェンだが…」
垣根「心配しなくてもお前の胸は一生デカくならねえって」
百合子「………オマエはデカいのが好きだもンな」
垣根「大好きだ」フッ
百合子「……」ショボン
垣根「?」
百合子(なンで凹ンでンだ俺…)
美琴「……やっぱり男の人って大きい方がいいのかな」
百合子「あァ、三s……ヒーローのことか」
美琴「!?」
美琴「なっ、なななななんでそこであいつが出てくんのよ!? わっわた、私はべべ別にあんな馬鹿のことなんか全然っ……!」アタフタ
百合子(すげェ、第四位の時と反応がまったく一緒だ)
垣根「なに、もしかしてそれってあのツンツン頭のこと?」
美琴「えっ? 垣根のお兄さんもあいつのこと知ってるの?」
垣根「一回会っただけだけどな」
美琴「そ、そうなんだ」
垣根「つーかなんだよ、あいつモテんのか。ぱっと見冴えない感じだったけどなあ。まあ見るからに人は良さそうだったが」
美琴「いやだから私はそんなんじゃ…っ」
百合子「オマエと違って中身がイインだよ」
垣根「なんだ、妙にあいつのこと庇うなお前」
百合子「だからアイツにはデカい借りがあンだって言っただろ」
垣根「ふーん?」
百合子「なンだよ」
垣根「べぇつにぃ~~?」
百合子「妬いてンじゃねェぞ」
垣根「ばーか死ね」
美琴(……あれ? こいつらって友達なのよね? え、普通にいちゃついてない? あれ?)
垣根「俺だってまだ本気出してないだけだし。本気出せばモテるし。モテまくりだし」
百合子「はいはい、ゲンコロゲンコロ」
美琴「……」
百合子「まァ確かにアイツのフラグ建築能力はもはや病気の域だからなァ」
美琴「そうなのよね……見かける度にいっつも違う女の子連れて歩いてるもの」ギリギリ
垣根「そんなすげえのかよ……やべえ、イラついてきた」
百合子「オマエはむしろ爪の垢貰って煎じて飲ンだ方がイイだろ」
垣根「そしたら俺もフラグ立てられるようになると思う?」
百合子「オマエがおっ勃たせられンのは所詮自分の下半身だけだ」
垣根「……前からツッコもうと思ってたけどお前の下ネタって俺よりエグいよな?」
美琴(……なんかこの二人って)
百合子「つーか確かヒーローはあのシスターと同棲……あ、」
垣根「え、同棲? おいおいそれってもう完全に……あ、」
美琴「…………」
美琴「ふ、ふふ。そうなのよね、あいつに群がる女の子達はたくさんいるけどなんかあのシスターだけは違うのよ。なんか特別オーラが出てるのよ。ふ、ふふふふ」
百合子「あ、あー……その、オリジナル。多分アイツらは(少なくとも今は)そォいう関係じゃ…」
美琴「いいのよ、いいの。変にフォローされると余計虚しくなるから…」フフ
垣根「……頑張れ」
美琴(あ、あれ、でもやっぱりもしかしたら既に…? あのシスターとあいつが…)
美琴「……」
『す、すごいんだよ……とうまのがもうこんなに熱膨張して…!』
『へっへっへ、そう言うお前のペンデックスこそ既にこんなにドラゴンブレスだぜ?』
『ああっだめ!そんなに激しくしたらとうまのスペルマが私の歩く教会にインターセプトしちゃうよぅ!』
『アーメンならぬザーメンってな………シスターだけに(キリッ』
『とうま…///』
『そう、そのまま飲み込んで―――俺の幻想殺し』
美琴「いやあああああああああ!!!!!」ガターン!!
百合子「」ビクッ
垣根「」ビクッ
美琴「ご、ごめんなさい。取り乱したわ…」ハァハァ
百合子「お、おう」
垣根(……本当に大丈夫かこの子)
――
店員C「お待たせしてすいませんっす。ご注文の品お持ちしたっす」コトッ
美琴「あ、来た来た」ウキウキ
店員C「以上でお揃いすか?」
垣根「はいはい」
百合子「コーヒー美味ェ」ズズッ
美琴「飲むの早っ」
客A「第一の解答ですがそこの店員の方、こちらも注文するものが決まりましたので聞きに来て下さい」ピンポンピンポンピンポン
店員C「あっ、ハイ! じゃあごゆっくりどうぞっす」スタスタ
美琴「はーい」
垣根「なあなあ、ピザにタバスコ山盛りかけていい?」
美琴「えー」
百合子「オマエ本当甘党なのか辛党なのか分かンねェな」ズズズ
<お待たせしたっす
<第二の解答ですがこのアップルパイを所望します
<はい、アップルパイがお一つ…
<ああんサーシャちゃんそれなら私が口移しでねっとりぐっちょり食べさせt…ぐはぁっ!!?
<第三の解答ですが死ね
<あ、あわわわ…
ここまでです、遅くなってごめんね!
>>853
メールネタはまた書きたいけど肝心のネタがなくてなかなか書けない状態です、すいません……
百合子たんprpr(^ω^)
百合子たんprpr(^ω^)
また遅れててごめんなさい、続きはまたその内に……
とりあえず綺麗なていとくんに爆笑した後、あのお茶目っぷりにキュンとしました
あと一方さんは相変わらず豆腐メンタルなようで何よりです
かみじょうさんは あたらしいふらぐを かくとくした!▼
・バードウェイ(幼女)←NEW!
・サンドリヨン(幼女)←NEW!
・フロイライン(幼女)←NEW!
美琴「あ、一方通行。そこの塩胡椒取ってくれる?」
百合子「ン」スッ
美琴「ありがと」
垣根「一方通行」
百合子「ほらよ」つケチャップ
垣根「さんきゅ」ヒョイ
美琴(え、なんで今垣根のお兄さん何も言ってないのにケチャップって分かったの?)
垣根「油っこいものってなんでこんな美味いんだろうな」モグモグ
百合子「口の周りソース付きまくってンぞオマエ」
垣根「ん」ゴシゴシ
百合子「そこじゃねェ、こっちだ」グイ
垣根「なに、やっぱお前が拭いてくれんの?」
百合子「………………自分でやれ」ポイ
美琴(何この同棲生活1年目のカップルみたいなノリ)
垣根「あーポテト美味ぇ」モグモグ
美琴「んー、フライドポテトって美味しいけど冷めるとすぐ固くなっちゃうのがネックよね」モグモグ
垣根「モックで頼む時はチキンナゲットのソースに付けて食うよな」モグモグ
百合子「マスタードが俺のジャスティス」モグモグ
美琴「え、バーベキューでしょ?」
垣根「マスタードかバーベキュー、どちらか片方しか選べないなんて常識は俺には通用しねえ。……両方まとめて愛してやんよ!!!」
美琴「やだ、カッコイイ……」
百合子「いや、どこが?」
美琴「ちなみにうまい棒は?」
垣根「めんたい一択」キッパリ
百合子「思いっきり選ンでンじゃねェか」
美琴「コンポタの良さが分からないとか……」ヤレヤレ
百合子「サラミこそ至高だろ」
垣根「サラミ(笑)」
美琴「サラミ(笑)」
百合子「」イラッ
垣根「何なの? お前は駄菓子にまで肉要素を求めるの? 肉食女子なの? ……この邪道が!!」
美琴「ないわーサラミはないわー百歩譲ってもチーズだわー」
垣根「お前はアレだろ、どうせ周りがきのこかたけのこかの話してる時に一人だけすぎのこ派とか言っちゃうタイプなんだろ?」
美琴「いるのよねー、そういう自分はあなた達とは違うんですみたいな? 異端厨っていうの?」
垣根「お前は白い恋人かホワイトロリータ(笑)でも食ってろこのリアルインキュベーターが」
百合子「いや、なンでサラミ好きって言っただけでここまでフルボッコされてンの俺?」
美琴「そういえばさ、さっきも言ったけど一方通行アンタ今日可愛い服着てるわよね。自分で選んだの?」ズズッ
百合子「うっ…」ギクッ
垣根「可愛いだろ? 俺の見立てだ」フフン
美琴「あ、そうなんだ」
百合子「なンでオマエが誇らしげなンだよ」
垣根「だって似合ってるし」
美琴「うん、似合ってる」
百合子「……嬉しくねェし」
美琴「……照れてる?」
垣根「照れてるな」
美琴「ツンデレ?」
垣根「ツンデレだ」
美琴「あざといわね……」
垣根「ああ、あざといな……」
百合子「だから何なンだよオマエらは!!」バン!
美琴「いやでも絶対そっちの恰好の方がいいわよ」
百合子「ぐ……」
垣根「お前は結局何なの? 女になっちゃうふざけた体質なの? あかねの許嫁なの? 言っとくが俺はシャンプー派だからな?」
百合子「」カチッ
垣根「ごめんなさい」
百合子「なァ、オマエさっきからそンなに俺に喧嘩売って楽しい? なァ、そンなに楽しい?」ガシッ
垣根「むしろゾクゾクする」キリッ
美琴「うわぁ……」
百合子「……」ギリギリギリギリ
垣根「あ、痛い痛い、ベクトルヘッドロックはやめて、出ちゃう、脳ミソ出ちゃう」
百合子「出せよ、イっちまえよ、死ンじまえよ、そのカスしか詰まってねェ汚ェもン盛大にぶち撒けてよォ…!」ギリギリ
垣根「マジで出る、死んじゃう、やばい、マジでやばい、ごめんなさい無理無理無理」グイグイ
百合子「心配すンな、オマエが世界のどこかに証を望むなら俺がその爪痕になってやる」ギギギギ
垣根「やめて、それガチの死亡フラグだからやめて!!」
百合子「オマエが死ンでも代わりはいるもの(カブトムシ的な意味で)」
垣根「完全に要らない子認定された!?」ガビーン!!
美琴「……ホント仲良いわねぇアンタら」
――厨房
店員A「……はっ! なんか今唐突に俺に仲間が出来たような気がするのよ! 昆虫的な意味で!!」
店員B「? 何言ってるんですか建み……店長?」
店長C「アップルパイ上がったすよー」コトッ
百合子「ふン」ポイッ
垣根「あー痛ってぇ…。あのな、一方通行。昨今はな、軽々しくバイオレンスに走る女はエセツンデレとか理不尽暴力ヒロインとか言われて叩かれまくるんだからな?」ヒリヒリヒリ
美琴「……」←しょっちゅうビリビリやってる人
百合子「……」ツーン
垣根「あーあーまた拗ねちまったよ。ホント面倒臭ぇなこいつ」
百合子「誰のせいだ。そろそろ本気で羽毟り取って出荷すンぞ羽毛」ギロ
垣根「だから誰が羽毛だ」
美琴「は、羽??」
垣根「……あー」
百合子「……あー」
垣根(……どうする?)ヒソヒソ
百合子(とりあえず暗部云々は抜かせば言っちまっても大丈夫だろ。既にほぼ全バレしてるよォなもンだし)ヒソヒソ
垣根(分かった)ヒソヒソ
垣根「ああ、まあ羽っつーのは俺の能力で不可抗力に出ちまうもんなんだが」
美琴「羽が出る能力?? 一応私も限定条件下なら水翼は出せるけど……ていうかそういえば垣根のお兄さんの能力って」
垣根「第二位の未元物質だ」ハイ
美琴「」
美琴「え? えっ?」
百合子「まァそォなるよな」ウン
美琴「え、ちょっと待って。え? 本当に? ダークマターってなに? 暗黒物質?」
垣根「ざっくり分けると二つ、未元物質っつーこの世に存在しない新物質の生成とその未元物質を介しての既存の物質の操作だな」
美琴「えっ、なにそれすごい。ていうかもうそれ超能力とかじゃなくない?」
垣根「まあぶっちゃけそういう意見もなきにしもあらず」
百合子「普通の太陽光を殺人光線にも変えられるとかいう訳分かンねェ能力の持ち主だ」
美琴「へぇー。じゃあもしかして一方通行とも互角に戦えたりするの?」
垣根「まあこいつだって普通に呼吸してる訳だし、耳も聴こえりゃ目も見える。やっぱ一番の穴はそこなんだよな。
だから未元物質をそれら受け入れてる空気や音や光に擬態させて取り込ませることで有害と無害のフィルターを解析すりゃとりあえず反射は破れるんだが……」
垣根「こいつの場合それすら含めて再演算してきやがるからなあ。
それだけ『自分だけの現実』が強固っつうか……要は厨二妄想力が強いってことだな」
百合子「オイ、語るに落ちてンぞナンバーツー」
美琴「えっ、待って。その理屈だと私も…」
百合子「えっ」
美琴「……」←第三位
垣根「……」←第二位
百合子「……」←第一位
垣根「い、いや俺は別に妄想力が強いとか変態とかメルヘンとかそういうんじゃなくて気付いた時には既に第二位だったし。うん。
別に好きでこんな厨二丸出しな天使(笑)みたいな羽出してる訳じゃねーし、うん」カタカタカタ
百合子「お、俺だって別に気付いた時には既に第一位だっただけだし?
いっぽうつうこうって書いてアクセラレータと読ませるのがなンかカッコイイとか思ってこの能力名にした訳じゃねェし…」カタカタカタ
美琴「そ、そうよね。私だって別に妄想狂とか暴走癖とかそういうんじゃないし。私なんかより絶対食蜂とかの方がアレだし、うん」カタカタカタ
※五十歩百歩
垣根「つかまあ、こいつがチョーカーのスイッチ入れる前に電波ジャミングしちまうのが一番手っ取り早い訳だが」
百合子「そりゃライダーの変身中にショッカーが特攻仕掛けるよォなもンだ」
垣根「お前の場合そこまでやってもさらにあの訳分かんねえ黒い翼っつー隠し玉まで持ってるだろうがこのチートが」
百合子「黒いのだけじゃありませンー白いのも出せますゥ~」
垣根「やだ、白いの出るとか何それエロい……」
百合子「黙れ垣根ホワイト」
垣根「………………」
美琴(垣根ホワイトってなんだろう)
美琴「そういえば今日は打ち止めと番外個体連れてないけどあの子達は元気?」
百合子「うぜェくらい元気だ」
美琴「そっか。なら良かった」
百合子「つーか番外個体の奴は最近夜遊び覚えやがって遊び回ってンだよなァ。ったく」
垣根「出たよ心配性な親御さん発言」
百合子「いや、むしろアイツに無理矢理パシり要員にされてるであろうスキルアウトとかの連中の身の方がな……」
美琴「……あー」
垣根「……あー」
百合子(アイツまたなンかやらかしてねェだろォな……?)
~その頃の黄泉川家~
番外個体「クー…ロ~~~……にゃあああああああああん!!!」ガバッ
黒夜「いやァあああああああああああ!!! 近寄んな触んな撫でんな掴むなァァァァァ!!」ジタバタ
番外個体「やーん、クロにゃんちょーカワイイ☆はいはいここでせくすぃ~ポーズ!」
黒夜「あはん♪……………やらせんなああああァァァァ!!!!」
番外個体「やだなにこの子可愛い…ミサカ濡れちゃう…///」キュン
黒夜「もォイヤだァァァァァ!!!!」
打ち止め「ねーねーねーねーみんなでトランプしようよーってミサカはミサカは二人ばっかり楽しそうでずーるーいー!!」グイグイ
黒夜「どこが楽しそうに見えんだよ!? 目ェイカれてんじゃねえのかこのガキ!!」
黄泉川「ホント番外個体はこの子のこと気に入ってるじゃんねー。まあ仲良きことは美しき哉じゃん?」
黒夜「だからどこが仲良さそォに見えンだ止めろよこの巨乳ジャージ女ァァァァァァ!!!!」ギャース
芳川「ちょっと、もう少し静かにしてくれない? わたしの至福のネトゲタイムが台無しじゃないの」カチカチ
黒夜「ダメ人間しかいねェのかこの家は!? って、ちょ、どこ触ってンだオマエ!?」バッ
番外個体「クロにゃんのちっぱいだけど?」モミモミ
黒夜「サラッと言ってンじゃねェよ! つーか誰がちっぱ……」
番外個体「はいはい、クロにゃんのちょっとイイとこ見てみたい! にゃんにゃんポーズ☆」
黒夜「にゃお♪…………あ゛あ゛あ゛あああァァァァァ!!!!」
打ち止め「ねーねークロちゃん遊びに来たついでに今日はお家に泊まっていってよ!
ってミサカはミサカは子供の特権を最大限に利用した無邪気なキラキラ眼差しでクロちゃんを期待の目で見つめてみたり」キラキラ
黒夜「誰がクロちゃンだっつーか自分で自分のこと無邪気とか言ってる時点で無邪気さの欠片もねェだろっつーか
絹旗ちゃンと遊ンでた私をオマエらがほぼ強制的に拉致して無理矢理ここまで連れてきたンだろォがァァァァァ!!」
番外個体「クロにゃんそんなに一息にツッコみまくって疲れない?
今度はミサカがクロにゃんにツッコんであげようか? もちろん性的な意味で」
黒夜「うわあああああん! もォ帰るゥゥゥゥゥゥ!!」バタバタ
番外個体「と見せかけてそこからの~~~…?」
黒夜「――――クロちゃんです☆(裏声)」キャピ
番外個体「………」
打ち止め「………」
黄泉川「………」
芳川「………」
黒夜「……え、え?」アセッ
黄泉川「……流石に今のはちょっと」
芳川「……心配しなくていいわよ。わたしは甘い人間だから明らかに滑ったあなたに対して
『いくらなんでも中学生にもなって今のはキッツいわー』なんてこと思ったりしてないわ。
人は失敗を繰り返して大人になるんだから」
打ち止め「うわあ。……うわあ」
番外個体「……ドンマイ」
黒夜「オ、オマ、オマエがやらせたンだろォがァァァァァ!! なンだよそンなに私が嫌いか!?
だったらストレートにそォ言えよちくしょうがァ!!」
番外個体「!!!??」
番外個体「……………ごめんクロにゃん。ミサカどうかしてた」ボソッ
黒夜「え?」ピタッ
番外個体「ミサカはまだ生まれたばっかで知らないことも多いし……嫌でもネットワーク内の悪意を抽出しちゃうから。
だからスキな子にどういう風に接すれば好意を持ってもらえるか分からなくて……それでこんなこと…。
でもクロにゃんは本当に嫌がってたんだね」グスッ
黒夜「えっ……し、性悪オマエ…」ドキッ
番外個体「ごめん。もうこんなことしないから。
これでもクロにゃんと仲良くなりたくてスキンシップとってるつもりだったんだけど……ミサカやり方がヘタだったんだね」
黒夜「あ、いや……。っつか性悪オマエ私のこと……」
番外個体「ミサカはクロにゃんのことが大好きだよ?」
黒夜「……そ、そか。だったら別に…」
番外個体「えっ?」
番外個体「……もしかしてミサカのこと許してくれるの?」
黒夜「え? ああ、まあ、うん。反省してんなら」
番外個体「ミサカのこと好き?」
黒夜「す!? い、いや、まあそこまでキライでは……ない、っつか」ゴニョゴニョ
番外個体「……嬉しいっ! ありがとクロにゃん。ミサカもクロにゃん大好き!」ギュッ
黒夜「……………おォ」
番外個体「じゃあ両想い記念にさっそく猫耳いってみよっか☆」スチャ
黒夜「絶対こうなるって分かってたよちくしょう!! び、び……びええええええええええん!!!!」
百合子「……ッ!」ゾクッ
美琴「? どうしたの一方通行、いきなり身震いして。寒い?」
百合子「い、いや……なンか今唐突に自分と同類の匂いを感じたというか……。
ダーク系()クールキャラ気取ってたはずがいつの間にか弄られ残念ポジにクラスチェンジさせられた奴の末路の匂いがするというか…」ボソボソ
美琴「は?」
百合子「……何でもねェ。ちょっとトイレ行ってくる」ガタッ
垣根「ちゃんと女子トイレ入れよ?」
百合子「死ね」カツカツカツ
ここまでです、短くてごめんなさい!
遅れててごめんなさい、なんか最近全然書けない……
その内投下するので待ってて下さい
ごめんなさい、なんかどうしても書けないので代わりにちょっと小ネタ書こうと思うんだけど
その小ネタの内容すら思い付かないのでなんかこんな話読みたいみたいなのあったら教えて下さい
ごめんなさい相変わらず書けない状態が続いてます待っててくれてる人本当すいません、とりあえず生存報告だけ……
新約7巻土御門兄妹の関係が掘り下げられててすげーよかったですね、みさきちも超可愛かった
ほんとごめんね、残り少ないから短い話でもいいから書いてキリよく1000まで行きたいなーとか思ったままだらだら残してしまった……
続きはまた書けるようになったらスレ立て直そうと思います、待っててくれた方本当にごめんなさい
代わりといってはなんですがこの話とは全然関係ない別のシリアス系の話でいつか書こうと思ってちょっとだけ書き溜めてたやつがあるのでそれの冒頭だけ投下させて下さい
若干グロ描写アリなので注意
――→17 years ago
その医者は白髪が交じりやや薄くなりつつある自身の額を億劫そうに撫で上げ、手元のカルテに目を落とした。
そろそろ五十に届く頃合いかと思われる脂の程よく抜けてきた中年の男。
暫く無言のまま、それから彼は深く椅子に背を預けると、ひととき長い息を吐いた。
清潔な白衣を羽織った身体つきは恰幅がよく、間延びした平たく剽軽な顔つきは見る者にカエルを連想させる。
いつの頃からか、どんな患者でも救い上げるその手腕に対する強い賞賛の意味を込めて――彼には『冥土帰し』という異名が付けられた。
けれども日頃は朗らかで無条件に万人に好意を抱かせる雰囲気と人柄を持ち合わせている彼が今は酷く疲れた表情を見せている。
その姿に傍らの若い看護師は沈痛な目を向けた。
「……同様の件が後を絶ちませんね」
「学生が人口の七割を占めている街だからね」
常らしからぬ苛立った声に看護師がやや怯む。
「アンチスキルの方は?」
「どうも書庫(バンク)に検索をかけても見つからないらしいね? 彼女の通っている学校も、名前も、年齢も」
「……そんな、おかしいですよ。あの子は発見当時、学生証も保険証も身分証明になるものは何も持っていませんでしたし、早く何とかしてあげなきゃ――」
「うん、そうだね」
「……。本当に……統括理事が対策を練っているとはいえ、こんな」
「かといって」
看護師の苦いものを吐き出すような言葉尻を医者は堅い口調で断ち切った。
「かといって十代の内からそういった薬を服用するというのもあまり勧めたくはない。
学園都市製のものはかなり副作用を抑え、安全性は高いけれど――」
痛むこめかみを指で揉み解しながら医者はもう片方の手に持ったペンでコツコツとデスクを叩く。
「もしかしたらそれらの服用が能力の成長の妨げになるかもしれないと考え嫌がる生徒も多い。単純に思春期の感じやすさから生理的な嫌悪感を持っている子もね。
それに薬さえ飲めば好き勝手していいとむしろ余計乱れるかもしれないしね?」
「……」
「すまないね? 君だってまだ若いのにこういった話は気が滅入るだろう」
「いえ……」
今年になってこの病院に配属されたばかりの新任の看護師はそれだけぽつりと溢すと押し黙る。
それから数日前にこちらに緊急搬送されてきた一人の女生徒の顔を思い浮かべ、小さく頭を垂れた。
「ところで君は何故この街に来ようと思った?」
「え?」
唐突な医者からの質問にふと顔を上げる。
「この科学の街に憧れてやって来た人間の心理はよく分かる。未知の超能力というものに対する知的好奇心は古来から人を魅力してきたからね。
けれど人それぞれきっかけや一番の理由は異なるだろう? それを聞いてみたいんだけど、いいかな?」
「……ああ」
脈絡のない話に若干混乱しつつも小さく頷いた。
「凄く単純なことです。数年前に初めてテレビで学園都市の大覇星祭の中継を見たんですよ。
そしてその時、本物の超能力というものを知りました。本当に……本当に凄かった……」
抑えても口調に滲み出る興奮の色に医者は僅かな苦笑を浮かべた。
「まだまだこの街の可能性は未知数なんですよね。つい最近学園都市が世界中の全ての機関に先駆けて完成させた『樹形図の設計者』。
今後四十二年間は誰にも抜かれないことが判明している世界一の演算能力を持つ超高度並列演算処理器(アブソリュートシミュレーター)……」
つい先程まで暗い顔をしていたというのに途端に恍惚の表情に変わる辺りが若さ故の単純さだろうか。
「今、この都市で開発を受けている子供達に与えられた区分は2つ。
能力の発現までには至っていない――こういう言い方は好きませんけど――俗に無能力者と呼ばれるレベル0。そして発現に至った子供達はレベル1、と。
でも例の樹形図の設計者を早速使用しての予測演算によれば、今後十数年以内にレベルは5まで引き上げることが可能だと判明したそうですね」
「ああ。もっとも樹形図の設計者は本来、気象データ解析の為という名目で作られたものだがね。
とはいえそんな便利なものだ、それ以外のことにも使わない手はない。
おおっぴらに新薬開発などに用いようとする研究者達からの申請依頼が殺到して大変だそうだね?」
「技術を盗もうと考える輩も多く、いつまでも保管庫に安置していることも出来ないみたいですね。人工衛星として打ち上げるという話も出ているとか――」
早口にまくし立て続け、そこで急にはっとして彼女は頬を赤らめた。
「すみません、話が逸れてしまいましたね」
「いやいや。興味深いよ」
「とにかくこれから……遠からずの将来にきっとそのレベル5が誕生する。さらにその先に学園都市が掲げる目標は、」
「“神ならぬ身にて天上の意思に辿り着くもの”」
「―――はい。人の枠を超えた存在、そんな凄い存在がいつか生まれるかもしれない。そう考えるとドキドキしますよね」
「だから君は学園都市に?」
「ええ。……けれど実を言えば開発を受けていない生身の私から見たら今の時点でも十二分に凄いと思うんですよ」
「ふむ」
「あの時、数年前にテレビで学園都市を知った時……ひどく胸が高鳴ったんです。
手から火が出て、電気が出て、水が操られて、風が起こって、物体に触れなくとも球が宙に浮いて本当に夢のようでした」
「どんな映画のCGよりも、どんなアニメーションよりもリアルで迫真で興奮に指先が震えました。
夜も眠れないくらい何度も何度も頭の中にその時の感動がふつふつと沸き上がって、そして私もあの場所で学んでみたいと思ったんです」
「一体自分だったらどんな能力に目覚めるだろう。発火能力、発電能力、念動力、透視や予知や念話、特に憧れたのはテレポートでした。
まだ十代で今以上に夢見がちな時期でしたから、過剰な自意識も働いてもしかしたらテレビで見た彼ら以上の能力者になれるかも……なんて空想もしたりして」
照れる看護師の微笑ましさに医者が慈しむように目を細める。
「でもうちの両親は古風な人達だったので結局最後まで反対されて入学はさせてもらえませんでした。
子供の脳を弄くって怪しい開発を施す胡散臭い研究機関、というイメージも一部の人達の間では未だ根強いですからね」
「まあ、そもそも能力開発というものは小さい時から訓練を受けてじっくり成長させていくものですから。
どっちみちその時既に高校も卒業していた私には無理だろうなってことも分かってましたけど、ふふ」
「……でもそうやって諦観が強くなればなる程、両親に反対されればされる程、どこかで相反した気持ちは……学園都市に対する憧れは尚更強くなっていきました」
「だから先端科学に懐疑的な両親の考えを古臭いと切り捨てて、そうして逃げ込むようにこの街に来たんです。
開発を受けられないのならせめて受けられる子供達の側で働きたいと。それが私が学園都市に来た理由です」
「なるほどね?」
「これから絶対にこの街の技術はさらにさらに進歩する。
テープレコーダーが出てきてレコードが淘汰されたように、CDが出てきてテープレコーダーが淘汰されたように、最近また新しいデジタル携帯音楽プレイヤーが出てきてCDが淘汰されつつあるように。
古い殻を脱ぎ捨て、古い時代を呑み込んで、科学はどんどん大きくなっていく……」
「……」
「だけど正直、最近は考えるんです。子供達は本当にそれで幸せになれるのかって。
超能力に憧れる気持ちは痛いほど分かるんです、だって私もそうだったから。
でも大き過ぎる力を持ってしまって彼らはその力を持て余してしまわないかって。
それに今回のような問題も起こる……もしかしたらこの先、学園都市の子供達は不幸に向かって加速していくんじゃないかって」
「……」
「今後レベルが引き上げられていくということは当然格差も生まれるということ。
先生、高位の能力を持った相手に対する低能力者の劣等感は凄まじいものになるんじゃないでしょうか? 何より……」
「何より?」
「……樹形図の設計者の予測演算なら、将来的に高位能力を得られる者とそうでない者も判明してしまうんじゃないでしょうか?
私には詳しいことは分かりませんけど、もしそうなら……既に学園都市の技術がそこまで到達しているのなら……子供達はきっと絶望する。努力を否定するようになる。
例え才能があろうが努力無しにその域に達することは出来ないとしても、きっと努力をするのが馬鹿らしくなってしまう」
「それは……」
「先生。私、学園都市を夢のような場所だと思ってました。いいえ、今でも信じています。
でももしかしたらそれは私の都合の良い甘い思い込みに過ぎなかったのかもしれません」
「……ただの虚構、なのかもしれません。やっぱりネバーランドなんてお伽噺の中にしかあり得なくて、実際はユートピアに見せかけたディストピアで、現実に人の手で創ろうなんておこがましかったのかもしれません」
「この街そのものが幻想なんじゃないかとすら時々思うんです……」
そう言って再び俯く看護師にかける言葉が見つからず、医者はただじっとそのまだまだ若く美しいはずの顔を見詰めていた。
にわかに廊下からぱたぱたと慌ただしく駆けてくる音がする。
「―――先生!」
バタン! と勢いつけてスライド式のドアが開かれ、また別の看護師が険しい表情で入ってきた。
「うん? なんだい? ドアの開け閉めは静かに……」
「例の患者さんが目を覚ましました!」
「!」
***
静かな一人部屋の病室。その窓際に置かれたベッドに上体を起こし、線の細い少女が座っている。
「――人工中絶薬RU486。これは妊娠49日以内に使用すれば自然流産と同じ状態を人工的に発生させて中絶することが出来る経口薬だ。
そしてそれを学園都市内でさらに改良してより安全性を高めたものがある」
なるべく柔らかく聞こえるように話すが少女は身動ぎ一つしない。
何故こんな残酷な話をしなくてはならないのだろう。まだ年端も行かない子供に。
胸を痛めながら、しかし医者は同時に自嘲する。今更何を後悔しているのか。
この都市を作り上げることに手を貸したのは紛れもなく自分自身だというのに。
いつかこうなることは予測出来たはずだ。子供達によって形作られるネバーランド。一聞すれば甘美に耳を打つ、大人達を排除した幻想の理想郷。
「君がどういう決断を下そうとも何も心配はしなくていい。生きてさえいれば必ず患者を救い上げてみせる。それが僕の信条でね?」
少女は何も言わない。
長い沈黙。
医者の頭の中に電子カルテとアンチスキルから渡された資料の文言が流れていく。
×月×日一九時未明、第一八学区の廃車置き場にて十四歳前後と思われる女子学生が複数の男子学生により暴行を受けているところを警邏中のアンチスキル二名が発見、その場で保護。第七学区の病院に至急搬送。
全身打撲、右前腕部の複雑骨折と腫瘍、背中から腹部にかけて重度の火傷と裂傷、左目失明。
捕縛された男子学生らの供述により一ヶ月近くに渡り監禁、暴行を受けていたことが発覚。
また、彼女はその時妊娠三週目に入っていることが検査によって判明。引き続き厳重な捜査が――――
世界が静止したような静寂の中、暫く黙っていた少女がやっと口を開いた。
「大丈夫ですよ」
「……大、丈夫……?」
何が、と聞こうとして聞けなかった。
何故なら顔が腫れ上がり、腕と脚にギプスをつけ、燃やされ切られた髪を剃った為に坊主になっている痩せぎすの小柄な少女がその時確かに楽しそうに微笑んでいたからだ。
「私は大丈夫です」
白い肌に赤い目をした少女が笑う。
「――――木原ですから」
からん、と医者の手の中から握ったままだったペンが落ちた。
17年前、とある病院の一室から、物語は始まる。
こんな感じ。要はもし一方さんが木原だったらというネタです
ではHTML依頼出してきます、今まで読んでくれた人本当にありがとうございました!
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません