妹友「お、お兄さんをわたしにくださいっ!」妹「あ゛?」(231)

妹友「え、えと、妹ちゃん?」
妹「すいません、もう一度お願いします」
妹友「そ、その、お兄さんをわたしに――」
妹「申し訳ありません、訂正します。
 授業一コマごとの休み時間毎にお兄様の教室へ向かって時間ぎりぎりまでお兄様にひっつきながらお話しをしているような自他共に認める超ブラコンの私の面前であることを踏まえて、もう一度お願いします」
妹友「う、うぅ……」
隣「アンタ、いつも休み時間いないと思ったらそんなことしてたの……」
妹友「あ、妹ちゃんと隣の席の隣ちゃん」

隣「何故に説明口調?」

妹友「宇宙の意志を感じました」

妹「ご用件がないのでしたら、もういいでしょうか?
 できれば早めにお兄様へお弁当を届けたいのですが」

妹友「ちょ、ちょっと待って!」

妹友(きょ、今日こそは、宣言してみせるんだ! 頑張れ、わたし!)

妹友「わ、わたしは、兄さんが――」

兄「妹ー」

妹友「!!」

妹友「あ、兄さん!? どうしてここに?」

兄「あ、妹友ちゃん、こんにちわ。
 妹が遅かったし、たまには僕からでむこうと思ってね」

妹「すいませんお兄様、私のせいでお手を煩わせてしまって……」

兄「いや、別にそんなに気にしなくてもいいって」

妹「お、お兄様! 何とお優しい!
 妹はお兄様の妹でいられてとても幸せです!」

隣「キャラがてんで違う……」

兄「隣ちゃんも。こんにちわ」

隣「あ、ども」

妹「これ以上お兄様に迷惑を掛けるわけには参りません。
 ささ、お昼にしましょう。今日はお兄様の好物の鳥の空揚げです」

妹友(い、今だ!)

妹友「あ、あの! わ、わたしもご一緒させてもらってもいいですか?」

兄「ん? ああ、全然構わないよ」

妹友(やたっ!)

兄「あ、それじゃあ隣ちゃんも一緒にどう?」

隣「あ、はい」

妹「な、何故隣まで?」

兄「んー、何か、三人組ってイメージが僕の中であるから」

隣「いや、別にそんなことは――」

妹(お兄様のおっしゃることを否定するつもりですか?)ギロッ

隣「あります、めっちゃあります」

兄「いただきます」

妹・妹友・隣「いただきます!」

妹「ど、どうですか?」

兄「うん、いつも通りおいしいよ」

妹「そ、そうですか?」テレ

妹友(むっ)

妹友「お兄さん。わ、わたしの作った卵焼きも食べてみてください!」

兄「あ、ありがとう」モグモグ

妹友 ドキドキ

兄「うん! とってもおいしいよ。卵焼きって家によって味付けが違うけど、僕好みの味がする」

妹友「ほ、ほんとですか!?」

兄「あはは、毎日食べたいくらいだよ」

妹友(やったあ! ……ハッ!)

妹 ギリギリ

妹友 ビクビク

妹友(ヒィッ!)

妹「お兄様、私の卵焼きはどうですか?」

兄「うん、いつも通りおいしいよ」

妹「そ、そうですか?」デレデレ

隣(それでいいんだ)

兄「隣ちゃんのももらっていい?」

隣「え? あ、どうぞ」

兄「ありがとう」モグモグ

兄「あ、青ノリが入ってる」

隣「あ、はい。うちの母がその方がおいしいって。
 あ、でも、それはあたしが作ったのだからおいしくないかもです」

兄「え! 隣ちゃんが作ったの!? すごいなー。
 うん、すっごくおいしいよ!」

隣「あ、ありがとう、ございます」

隣(これって……)チラッ

妹 ゴゴゴ…

隣(ヒッ!)

兄「ごちそうさま」

妹「ふふっ。おそまつさまでした」

妹友(チャンス!)

妹友「あ、あの、お兄さん!
 メルアド交換しませんか!?」

兄「え、うん、いいよ」

妹(!?)

兄「送信、っと」

妹友「あ、ありがとうございますっ!」

妹友(やったやった!)

妹 ムスッ

兄「あ、じゃあ隣ちゃんもいいかな?」

妹(!!!?)

隣「いや、あたしは――」

妹(お兄様が聞いておられるのに、断るんですか?)

隣「実はずっと前から知りたかったんです!」

兄「え、あ、いや、ちょっと照れるな……」

妹 キッ!

隣(り、理不尽だ……)

―その夜―

隣(あ、兄先輩からメールだ)

兄『夜分遅くにごめんね? 伝えたいことがあってさ。
 直接言うのがいいんだろうけど、緊張してきっと言えないだろうからメールで言います。
 その……僕、実は隣ちゃんのことが好きです! 付き合ってください!
 返事は、その、明日、お昼休みに屋上でお願い』

隣(!!!!!!!!)

隣(え、う、うそ……兄先輩があたしを……?
 だ、だって、あたしってガサツだし、女ッ気なんて全然……。
 それに、兄先輩ってやさしいし、妹に……はちょっと劣るけど美形で、運動は普通で、頭もいいし……ってかモテるでしょ、絶対。
 なんであたしなんかに……。
 兄先輩のマイナスポイントなんて……あ、ブラコンの妹。
 ……ハッ! い、妹に殺される……)

―昼休み―

隣「兄先輩っ」

兄「あ、隣ちゃん……きてくれたんだ」

隣「そりゃ、もちろん」

兄「…………」

隣「…………」

兄「……隣ちゃん」

隣「!!」

兄「昨日の返事……聞かせてもらってもいいかな?」

隣(き、きたっ!
 ど、どうしよ……兄先輩は、あたしには勿体ないくらいだし……。
 う、で、でも、妹にばれたら……ただで済むはずが……。
 だ、駄目だ……あたしはやっぱり、恋よりも命が大事だよ……。
 兄先輩には悪いけど、無理、かなぁ)

隣「あ、あのっ」

兄「う、うううう、うん! な、ななな、何、かな?」

隣(こ、断りずらい……)

隣「あ、兄先輩は、何であたしのことが?」

兄「……うーん、何でだろうね。特にこれといった理由はないんだよね」

隣「そ、そうなんですか」

兄「でもさ、隣ちゃんを初めて見た時、あ、この娘と結婚したいな、って思ったんだ」

隣「!!!!」カアッ

兄「って僕、な、何言ってるんだろうね。
 ご、ごめん、変なこと言っちゃって」

隣「い、いえ! そんなの全然!」

兄「だ、だから、その……」

隣「?」

兄「す、好きです! 僕と付き合ってください!」

隣「な、あ、はい! あたしもです!」

隣(……あ、いっちゃった……)

隣 (♪♪~)

妹「隣、えらくご機嫌ですね」

隣(げっ! 妹……)

隣「ま、まあね……」

妹「? まぁ、どうでもいいですけど、お兄様をお見かけしませんでしたか?」

隣(!!)

隣「い、いやぁ? み、見なかったわよ?」

妹「……ふーん、そうですか」

隣 ハラハラ

妹「ま、隣がそう言うのでしたらそうなのでしょう」

隣(ホッ)

妹「でも、もし嘘でもついていたら」

隣「つ、ついていたら?」

妹「両手両足の指の爪に10本ずつ針を刺してその後ペンチで爪を――」

隣「やぁぁぁぁー!」

妹「大丈夫ですよ。嘘をついていたらの話ですから。
 ……それとも、嘘をついているのですか?」

隣 ブンブン!

隣「あ、あのぉ……」

妹「何でしょうか?」

隣「も、もしだよ? もしもの話だよ? IFの話、IFの」

妹「前置きはいいですから、さっさと言ってください」

隣「う、うん。
 その、もし、もし兄先輩にか、彼女なんていたら、どうするのかなぁ、なんて」

妹「…………」

隣(ち、沈黙はやめて……)

妹「……そうですねぇ。
 まずは豚にり――」

キーンコーンカーンコーン

妹「あ、予鈴。席につかないと……」

隣(途中で止めるのやめてぇー! あ、やっぱ最後まで言わないでぇー!)

―放課後―

兄「隣ちゃーん」

隣(兄先輩!)

妹「お兄様、お昼休みはどこにいらしたので?
 私、ずっと探していたんですよ」

兄「あ、ああ、ごめんごめん。
 実はさ、と――」

隣(ストーップ!)

兄(ど、どうしたの? 隣ちゃん)

隣(妹には、いや誰にも内緒にしていてください!)

兄(な、何で?)

隣(い、いえ、その……は、恥ずかしいから……)

兄(そ、そう?
 ……わかった、秘密にしておくよ)

隣(ありがとうございます!)

妹「お兄様? 隣と何を話しておられるんですか?」

隣(!!)

隣「えーと、い、委員会のこと!」

妹「委員会? ……あぁ、そういえば、お兄様と隣は同じ委員会でしたね」

兄「そ、そうそう。実は、昼も委員会だったんだ」

妹「え? でも、だったら隣は知っているはずじゃあ――」

隣「い、いや、その……それが、あたしてっきり委員会のこと忘れてて」

兄「う、うん、そうそう。だから、今昼休みの委員会について話てたとこなんだ!」

妹「……ふーん」

兄「あ、そうそう、隣ちゃん。今日一緒に帰らない?」

妹(ギロッ!)

隣(ビクッ!)

隣「い、いえ……今日、部活あるんで……」

兄「あ、そう、なんだ……」

妹(ジー)

隣(ギクッ!)

隣「そ、それじゃあ、いってきます!」

兄「あ、うん、じゃあね」

隣「さよならっ!」

妹(……怪しい)

妹友「お兄さんっ! 今日、一緒に帰りませんか?」

妹(あっ!)

妹「ちょ、ちょっと、妹友!」


隣(はぁ……今日、部活ないんだけどな……。
 一人で帰ろ……あれ? さっき、あたし結構危なかったんじゃない?)

―夜―

隣(はぁ、命がいくつあっても足りないよ……。
 でも、兄先輩、あんなこと言って……)

兄『この娘と結婚したいな、って思ったんだ』

隣(カァァ
 お、思い出しちゃったよ
 ……あ。あたし、今、兄先輩の彼女なんだ……)

隣「! う、うふふ……」

隣弟「姉ちゃん、気持ち悪い!」

隣「なっ! ば、バカっ!」

すいません、夕食食べてきます

アンケート

1、ルート隣2
2、ルート妹1
3、ルート妹友1

成程、1か……

隣「ね、ねぇ」

隣弟「ん? なんだ、姉ちゃん?」

隣「アンタ、兄先輩と仲良かったわよね」

隣弟「おお。中学ん時同じ部活だったからな」

因みに

兄 高二
隣 高一
妹 高一
妹友 高一
隣弟 中三

隣「そ、その、兄先輩って、その時どうだった?」

隣弟「どうって言われてもな……。なんつーか、草食系って感じかな。
 まぁ、女受けはよかった」

隣「も、モテてた?」

隣弟「そりゃまぁ、人気はあったみたいなんだけど……。
 って何だ? もしかして姉ちゃん、兄先輩に惚れてんの?」

隣「ばっ! ……そ、そんなわけないじゃない!」

隣(うっ! な、なんか、凄い罪悪感……)

隣弟「それならいいんだけどな……実際、兄先輩はやめといた方がいいぜ?」

隣「な、なによ。あたしじゃ釣り合わないっての?」

隣弟「……まぁ、それもあるんだけどな」

隣「な、何よ、渋っちゃって」

隣弟「いや、それがさ――」

隣弟「兄先輩に告白するって女子がいたんだけどさ」

隣「そ、その娘がどうしたのよ」

隣弟「その次の日……そいつ、隣妹の奴に告ったらしい」

隣(え、えぇぇぇー! そ、その娘に何があったの!?)

隣「そ、その話、本当なの?」

隣弟「ああ……隣妹が言ってたんだから本当だよ。
 俺達双子だからさ、結構相談とかしてるの、姉ちゃん知ってるだろ?」

隣「や、その発想はなかった」

隣弟「発想って」

隣「な、何でそんなことになったの?」

隣弟「いや、俺も怖くて聞けなかった」

隣「そ、そっか……」

隣弟「……ま、まぁ、本人に聞けばわかるんじゃね?」

隣「そ、そうね」

隣(ど、どうしよう。できれば知らないでいたい。
 で、でも、下手したらあたし、妹友あたりと……だ、だめっ! 怖いけど聞いておいた方が……)

隣「と、隣妹ー」

隣妹「なーにー? お姉ちゃん」

隣「え、ええ。そ、その、兄先輩に告白しようとしたっていう娘のことなんだけど……」

隣妹「…………」

隣・隣弟「?」

隣妹「……や、やめてっ! わたし達、女の子どうしなんだよ?
 や、ちょ、んんっ! な、は、初めてだったのに……。
 あ、や、やめ、それはいくらなんでも、……んんっ!
 ど、どうしちゃったの? 前は普通に……え? 妹先輩がどうしたって?
 にゃ、いや、やめて……た、助けて! 隣弟ー!」キュー、バタン

隣・隣弟(ヒ、ヒィっ!)

隣「……隣弟、隣妹をお願い」

隣弟「お、おう、わかった」

隣「悪いけど、あたしが謝ってったって伝えといて。
 それから……今日は、側にいてあげてね」

隣弟「……おう」


隣(当面の問題は妹か……あたし、来週までノーマルでいられるかな……)

初めてすぐで悪いけど

ネタ募集

兄『隣ちゃん?』

隣「あ、兄先輩」

兄『どうしたの? 気分悪そうだけど』

隣「いえ、大したことではないので……」

兄『そ、そう?
 あ、あの、隣ちゃん!』

兄『そ、その、前に隣ちゃんが行きたいって言ってた映画のチケット、二枚もってるんだけど……一緒に行かない?』

隣(え、それって……デート!?)

隣「い、行きます行きます! 行かせてください!」

兄『う、うん。じゃあ、明日、駅前に――』

―次の日―

兄「隣ちゃん、おはよう」

隣「あ、あああ兄先輩、おはようございます!」

兄「元気あるねぇ」

隣「す、すいません」

兄「あはは、謝らないでよ。隣ちゃんのそういう所、僕はか、可愛いと思うよ」

隣(カァっ)

兄「って、僕、また何言ってるんだろ……。
 ご、ごめん、引いた、よね?」

隣「いえいえまさかっ!
 あ、兄先輩のそういうこと言えるとこ、か、か、カッコイイな、と思います、よ……」

兄・隣(カァっ!)

妹友「あ、お兄さん! と隣?」

兄「あ、い、妹友ちゃん。こんにちわ」

隣「こ、こんにちわ」

妹友「あ、こんにちわ……って、何で隣ちゃんがお兄さんと一緒にいるの?」

隣(ギクッ!)

隣(って、妹友なら別にいいか。ばれた所で死にはしないし。)

兄「妹友ちゃんはどうしたの?」

妹友「あ、はい。お姉ちゃんに頼まれてBL雑誌の新刊を買ってきたんです。
 お姉ちゃん、恥ずかしいからってわたしに買いに行かせるんですよ。わたしだって恥ずかしいのに」

兄「あ、あはは、そうなんだ……」

隣(駄目だ、この子口軽い)

隣(兄先輩! 妹友にもあたし達がつ、付き合ってることは秘密ですよ)

兄(うん、わかったよ)

妹友「お兄さん、一体隣ちゃんと何してるんですか?」

兄「ああ、この一緒に映画を見ようと――」

隣(兄先輩ぃー!)

隣(言っちゃってるじゃないですか!)

兄(ご、ごめん、つい)

妹友「あー! その映画、わたしも丁度見たいと思ってたやつです!
 よろしければ、一緒に見ませんか?」

隣(よろしくないってーの)

兄「いいよ」

隣(兄先輩ぃー!)

兄(ご、ごめん)

妹友「えへへ」

隣(妹友の奴、空気読めっての。
 ……いや、空気読めてあたし達の関係がわかられたら妹に……。
 あぁ、妹友がバカでよかった)

妹友「さ、行きましょう、お兄さん!」

隣(……やっぱりムカつく)

―映画館―

妹友「ゾンビバザード6? ……こ、これ見るんですか?」

妹友(ど、どうしよう。お兄さんと映画のチャンスだって、チケットちゃんと見てなかった……)

兄「あれ? 確かさっき、見たいって……」

妹友「は、はい! わたし、こういうのが昔から大好きなんです!」

隣(何だろう、今、凄く妹友に親近感が)

妹友「きゃ、きゃぁぁぁー!」ガシっ

兄「い、妹友ちゃん!? そ、その、あたって――」

妹友「きゃぁー!」

兄「わわ!」

隣(ぐぅ。な、何よ、妹友の奴)

兄「妹友ちゃん、大丈夫?」

妹友「は、はひ」

兄「苦手なら無理して見なければいいのに」

妹友「うぅっ。
 でも、お兄さんと映画見たかったですし……」

兄「映画くらいいつでも一緒に見てあげるよ。
 今度は妹友ちゃんの好きな映画見にいこう。ね?」

妹友「お、お兄さんっ!」

兄「あ、ちょ、くっついちゃダメだって」

隣(ジー)

兄「隣ちゃん、どうしたの?」

隣「……兄先輩のたらし」

兄「うぐっ」

隣「兄先輩何て、もうしりませんっ!」

兄「ま、待って! 隣ちゃん!」

妹友「そ、それでですね、今度は、この映画が見たいんです。
 れ、恋愛ものですけど、お兄さんはこういうのどう思いま……あれ? お兄さん? 隣ちゃん?」

隣(はぁ、あたし、何やってんだろ。
 今日は兄先輩との初デートだっていうのに……)

隣「……戻ろ。って、あれ? ここ、どこ?」

隣(く、暗くなってきちゃった……。
 ど、どうしよう。帰れないよぅ)

兄「隣ちゃーん!」

隣「!!」

隣「あ、兄先輩!」

兄「隣ちゃん! 大丈夫……わっ」

隣「うぅっ、先輩~」

兄「……よしよし」ナデナデ

隣「う、ん」

兄「ごめんね、僕のせいで」

隣「……いえ、あたしが勝手に嫉妬したのがいけないんです。ごめんなさい」

兄「いや、謝らなくて」

妹「お兄様ー」

兄・隣(!?)

隣(い、妹……? 何でここに?
 い、いや、それよりも……こんな所見つかったら、こ、殺される!)

隣「あ、兄先輩、逃げますよ!」

兄「あ、うん。……って、ここ行き止まりなんだけど」

隣「あっ、やばっ、とりあえず、この建物に入りますよ」

兄「わかった」


妹「お兄様、遅くまでどこに行かれたのでしょうか? あぁっ、お兄様に4時間も会っていないなんて……」

隣「ふぅ、どこかに行ったみたいですね」

兄「……あれ? この建物――」

隣「ラ、ラブホテル!」

隣「す、すいません、あたしの分まで料金払わせてしまって」

兄「いや、気にしないで」

隣(ど、どど、どうしよう。流れで入ってしまった)

兄「と、隣ちゃん」

隣「はひっ!」

兄「いや、その……」

隣「うっ! あ、あたし、シャワー浴びてきますね!」

兄「う、うん!」

濡れ場は入れるべきか否か……

兄「…………」

隣「あ、あがりましたよ……」

兄「う、うん……えっ! ちょ、ふ、服着て!」

隣「…………」

バタっ

兄「え? ……えっ?」

隣「……あたしって、そんなに魅力ないですか?」

兄「いや、その……」

隣「……やっぱり、妹友の方が可愛いですよね。
 あたしなんてガサツだし、女ッ気ないし、バスタオル一枚だっていうのに、襲われるような気配もありませんし」

隣「どうせ、あたしなんて……」

兄「そ、そんなことないよ!」

隣「でも……」

兄「い、今だって、心臓バクバクで、く、苦しいくらいだし……」

隣「でも、こんな格好なのに……やっぱり、あたしに色気ないから……」

兄「い、いや。だから、最初に言ったよね? け、結婚したいって。
 それって、つまり、こういうあれだし……」

隣「兄、先輩……」

チュっ

兄「んん!」

隣「んっ……プハっ!
 兄先輩、そんな顔されたら、我慢できるわけないじゃないですか……」

隣「先輩っ!」

ドサっ

隣「せん、ぱい?」

兄「だ、だめだって! そんな……」

お風呂入ってきます

兄「僕達、まだ昨日付き合い始めたばっかりなんだよ?
 そ、その、さ、最終的には、まぁ、あれだけど……でも、そんなに焦らなくてもいいんじゃないかな?」

隣「兄先輩……」

隣「……ごめんなさい。あたし、どうかしてました。
 あたし、今まで恋より運動っ! って感じで、こういうの苦手なんです。
 それで、妹友と兄先輩が仲良くしているのを見ると、こう、ムカムカっていうか、その……」

兄「隣ちゃん……ごめん。でも、僕が好きなのは隣ちゃんだから。
 隣ちゃんのことが好きだから、大丈夫だよ」

隣「……でも、やっぱり不安なんです。
 兄先輩はモテるし、あたしは女らしくないし……。
 兄先輩が誰かに取られるかと思うと、あたし、あたし……」

兄「だから、僕は隣ちゃんと付き合ってるんだって。わかれたりするようなことは絶対にしない。
 まぁ、隣ちゃんが僕に愛想つかしちゃったりしなければだけど」

隣「そ、そんなことこそ絶対にありません!」

兄「だったら、ずっと一緒だよ」

隣「兄先輩……」

兄「それに、その、僕にだってこ、心の準備とかがあるし……」

隣「ふふっ。乙女ですねー、兄先輩は」

隣「そんな乙女な先輩には、こうです」

チュっ

兄「!!」

隣「ふふっ。今日の所は、これくらいで勘弁してあげますよ」

隣(ん? いつの間にか寝ちゃってた?)

兄「すぅ、すぅ」

隣(これで、よかったんだよね?
 ……信じてますよ、先輩。
 でも、もし浮気でもしたら……ふふっ、寝取るくらいのことはしちゃいますからねっ!)

隣「ただいまー」

隣弟「お、おお、お帰り……」

隣「ん? どうしたのよ、どもっちゃって?」

隣弟「いや、だって、姉ちゃんが朝帰りなんて……。
 お、男?」

隣「ち、違うってば!」

隣妹「じゃ、じゃあ、まさか、お姉ちゃんまで……」

隣「そういう意味の違うじゃない!」

隣妹「う、うわーん!」

隣「ちょ、ま、待ちなさいって!」

隣(あぁ、今日は大変なことになりそうだ)

兄「ただいまー」

妹「お帰りなさいませ、お兄様。
 私が心配にして夜遅くまで探していたというのに、連絡の一つもよこさずに朝帰りですか……うふ、うふふふふ」

兄(い、妹の背後に、修羅が見える……)

妹「うふっ、うふふふふっ! 堪忍袋の緒が切れるとはこのことですか……いくらお兄様でも、こればかりは許し難いですねぇ。うふ、うふふっ!」

兄(ヒっ!)

妹「うふ、うふふふふ、うふふふふふふっ、うふっ!」

兄「ちょ、ま、待って、ね?」

兄(あ、あぁ、今日はた、たたた大変なことになりそうだ……)

妹「まったく、お兄様は一体誰とナニを……いや、何を……あ、メールですね」

『昨日、映画館の前で兄先輩に妹友が抱きついてたよー。
 いや、妹友も見かけによらず、やるよねー。
 このままだと、愛しのお兄様が取られちゃうかもよ?
 なんちゃって、あはは』

妹「…………へぇ、妹友ですか、成程……」

今日はここまで。

ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。

ちょっとだけ続き

―翌日―

隣「おはよー」

妹友「うん、おはよう」

隣「あ、一昨日はごめんね? 急にいなくなったりして」

妹友「うん、気にしてないよ」

隣「……何読んでんの?」

妹友「これっ!」

隣「……犬の雑誌?
 あれ? アンタ、犬そんなに好きだったっけ?」

妹友「あー、この子可愛いなぁ。あっ! この子イケメンさんだぁ」

隣(な、何か、背筋がぞわぞわする……)

今はここまで

妹「お兄様。まことに名残惜しいのですが、妹めは教室に戻らなければなりません」

兄「うん、遅れないようにね」

妹「お兄様がそうおっしゃるのなら、妹は時さえ遡ってみせましょう!」シュタッ

兄「大げさだなぁ」

女(…………)

女「あ、あに」

兄「ん? どうしたの、女ちゃん?」

女「し、しすこんもたいがいにしなさいよっ!」

兄 ジー

女「な、なによ?」

兄 ナデナデ

女「!! な、なでるな!」

兄「あ、ごめんごめん」ナデナデ

女「て、てをとめてからいいなさいよっ!」

兄「わかった」ナデナデ

女「てをとーめろー!」

―次の休み時間―

女「あに! こんどこそ――やっ!」

兄 ナデナデ

女「な、なでるな!」

兄「ごめんごめん」ナデナデ

女「このっ……やっ!」ダッ

兄「あ……」

女「い、いちいちなでないでよっ!」

兄「あはは。いやぁ、丁度いい位置に頭があってさ」

女「ひ、ひとがきにしていることを……もうしらない!」テクテク ズドッ

兄「だ、大丈夫!?」

女「い、いたい……」

兄「……あ、擦りむいちゃってるよ……はい、絆創膏」

女「あ、ありがと……べ、べつにたのんでないしっ!」

兄「僕が勝手にやってるだけだから、気にしないで」

女「……まぁ、そういうことなら……」

兄「あはは。よしよし」ナデナデ

女「はにゃぁ……な、なでるな!」

兄「何か、こういうのって新鮮だな」

女「な、なによ」

兄「うちの妹はしっかりしてるからさ、あんまり手がやけないんだよね。
 女ちゃんみたいな、ドジで可愛い妹を世話するのってちょっと憧れてたんだ」

女「かわいい……ば、ばかっ!」

妹(…………)

妹(ど、どういうことですか!?
 お兄様は、清楚で素直な女性が好みなはずです。だから私は言葉使いや仕草を徹底的に……。
 いや、そんな2年と2ヶ月と11日と1時間と39分と13秒も古い情報などを当てにしていてはいけません! 妹失格です!
 妹ならば、お兄様のご希望に答えなければっ!)

―昼休み―

隣「……で、何であたしに相談するって結論にいたったわけ?」

妹「隣は妹がいるではありませんか」

隣「まぁ、いるけどさ」

隣(兄先輩とお昼……)

隣「つか、兄先輩のお弁当は妹が持ってるんじゃないの?」

妹「先程お兄様に渡してきたので、問題ありません」

隣「!!」

隣(い、妹が、兄先輩と一緒にお昼を食べないなんて……ほ、本気なんだ。
 こ、これは、いつも命とか大切なものとかが聞きに晒されているとはいえ、一応友人としては協力してあげないと……)

妹「これまで私はお兄様が清楚で素直な女性が好みだと思い込み、そのようになったわけですけど――」

隣「いや、アンタは清楚でも素直でもないって……いや、そんなバカな! みたいな顔されても」

隣(でも、そっか……兄先輩、清楚で素直な人がタイプなんだ。
 ……一体、何であたしなんかを……。
 ううん! そういうこと考えちゃだめ! 兄先輩を信じるって決めたんだから)

妹「わ、私はどうすればよろしいのでしょうか?」

隣「うーん、妹友とかそれっぽいキャラじゃない?」

妹友「♪♪~」

妹「あ、アレはもうだめです。他に方法は――」

隣「え、な、何で!? 妹友? どうしたの?」

妹友「お馬さん~♪」

隣「!!」

妹「そんなことはどうでもいいので、何か――」

隣(ヒ、ヒイッ!)

隣「じゃ、じゃあ、その女先輩? だかの真似をすればいいんじゃない?」

妹「……まぁ、それが無難な所ですかね。
 相談に乗って頂き、ありがとうございました」

隣「あはは、何言ってんの。あたし達は友達なんだから、遠慮なく頼っていいって」

妹「はい。では、また放課後もお願いします」

隣(しまった!)

―放課後―

兄「隣ちゃん、一緒に帰らない?」

隣「あ、ああ、兄先輩。
 すいません、あたし、今日は部活が……」

兄「そう? 頑張ってね。
 じゃあ、妹ー」

妹「あ、すみません、お兄様。
 私も今日はちょっと用事が……」

兄「あ、そうなの?
 わかった、先に帰ってるね」

妹(あ、あああ。お兄様のお誘いを断ってしまいました。
 ……いや、しっかりするのです、妹!
 これも、全てはお兄様のため! 心を鬼にするのです!)

隣(妹、何か大変そうだな)

女「あ、あに!」

隣・妹(!!)

兄「あ、女ちゃん。どうしたの?」

女「あ、そ、その、じつは、ワタシとあにのいえってちかくにあって……」

兄「あ、んじゃ、一緒に帰ろっか?」

女「やたっ! ――あ、あにがどうしてもっていうなら、し、しかたない!
 いっしょにかえってあげる!」

兄「はいはい」ナデナデ

女「な、なでるな!」

妹 ゴゴゴ

隣(ヒッ!)

お風呂入ってきます

>136
了解

女「あ、あに!」

兄「ん? どうしたの?」

女「そ、その……て」

兄「んー? あぁ、はい」ギュッ

女「――! しょ、しょうがないな、もう!」

妹(あのアバズレお兄様と手など握ってお兄様の綺麗なお手に汚れでもついたらどうする……)ブツブツ

隣「お、おおお、落ち着いて妹」

犬「ウー、バウバウッ!」

女「ひゃっ!」ガシッ

兄「だ、大丈夫だよ、女ちゃん。
 ほら、吠えない吠えない」

犬「バウッ!」

女「うっ!」ギュッ

妹(お兄様に抱きついてあのクソビッチシュレッターにでもかけて差し上げましょうかねうふふ……)ブツブツ

隣(か、帰りたい……)

妹(よし! よく観察しましたし、もう問題ないはずです)ガチャ

兄「あ、おかえりー」

妹「た、ただいまっ、お兄ちゃん!」

兄「!!」

兄「い、妹?」

妹「なーに? お兄ちゃん」

兄「ど、どうしたの?」

妹「なにがー?」

兄「いや、いつもと言葉使いが違うし。というか、その下っ足らずな喋り方はどうしたの?」

妹「んー、いめちぇん」

兄「そ、そうなんだ……」

兄(しかし……まるで女ちゃんみたいだな)

―翌日―

隣「あ、妹。おっはー」

妹「おはよー、隣ちゃん」

隣「!!」

妹「んー? どうしたのー?」

隣「あ、あ、あ、アンタ! どうしたのその下っ足らずな幼い喋り方は! い、いや。それよりも、その純粋な笑みをやめて! 寒気がする!」

妹「どーいういみー?」

隣「あ、ああ。そう言えば、昨日そんなことしてたわね……」

妹「んー」

隣(しかし…………これはもはや別人でしょ……)

隣「あ、妹友。おっはー」

妹友「おはよっ」

妹「おはー」

妹「!!!!」

妹「なんでー、きょうしつのすみっこでちぢこまってるのー?」

隣(わかる……その気持ちは、痛いほどわかる)

長らく放置スマン

リアがマジで忙しい
というか、当時が暇すぎた

こんなのを呼んで貰っている皆には悪いけど、
何とか亀ペースで更新頑張ってみる

隣「ま、まぁいいじゃない。妹友だし」

妹「んー、そだねー」

隣「……てかさ、その喋り方やめない?」

妹「やー」

隣 ビクッ

妹「どうしたの?」

隣「や、やっぱり不自然よ! そんな妹。
 と、鳥肌が止まらない……」

妹「そんなに?」

隣「悪いこと言わないからさ、止めようよ。ね?
 その方が全人類、いや全世界のためだから。ほら、ね?」

妹「……んー、でもだめー」

隣「な。なんで?」

妹「だって、おにーちゃんのためだもん」

―昼休み―

隣「というわけで、妹の暴虐を止められるのは兄先輩だけなんです」

兄「暴虐って」

隣「あ、ああああんなの暴虐じゃなければ何だって言うんですかっ!
 妹友なんて、授業中に倒れて早退したんですよ!」

兄「わ、わかったから、落ち着いて」

隣「ハッ。す、すいません、見苦しい所を見せてしまって」

兄「いやまぁ、それは別にいいんだけどさ。うーん……わかったよ。
 僕もあんまり今の妹は好きじゃないしね」

隣「お、お願いしますっ!」

―夜―

兄「妹ー」

妹「なーにー、おにいちゃーん?」

兄「……」

妹「どうしたのー」

兄「あのさ、それやめない?」

駄目だ……
こうなれば、一日一投作戦しか……

妹「えー? おにいちゃん、こーゆーのすきでしょー?」

兄「まぁ、嫌いじゃないけど……ってそうじゃなくて!」

兄「僕はさ、妹のこと好きだよ」

妹「……ふぇっ?」

兄「そりゃまぁ、ちょっとどうかなー、と思う所はあるけどさ、かといってそこを直せだなんて思ってないんだよ。
 良い所も悪い所も、みんなまとめて『妹』なんだから、そんな無理して直さなくていいんだよ。
 いや、むしろ直さないで欲しいな。
 僕はそんな妹が、結構好きなんだからさ」

妹「……兄さん」

↑間違い

↓訂正

兄「僕はさ、妹のこと好きだよ」

妹「……ふぇっ?」

兄「そりゃまぁ、ちょっとどうかなー、と思う所はあるけどさ、かといってそこを直せだなんて思ってないんだよ。
 良い所も悪い所も、みんなまとめて『妹』なんだから、そんな無理して直さなくていいんだよ。
 いや、むしろ直さないで欲しいな。
 僕はそんな妹が、結構好きなんだからさ」

妹「……お兄様」

―その後―

妹(お兄様ったらもうもうもうもう!
 これ以上私をメロメロにしてどうなさるおつもりですかっ!
 それ以前から、私はこんなにもお慕いしているというのに!
 どうしてそんなにカッコイイんですか!

妹「……あ、そう言えば、お兄様の携帯電話の定時メールチェックをここの所忘れていました。
 まったく、妹友が変なことを言いだすから……

妹「えっと、着信は……妹、妹、妹、妹、妹、母、妹、隣、妹、妹、隣、妹、妹、妹
 ――妹、妹、隣、隣、隣、隣、妹、妹――
 ……何故か隣のメールが多いですね。
 あれ? 連続してやり取りしている時がありますね。
 どれどれ、内容は――

―次の日―

妹友「わたしの扱いってなんか悪くない?」

隣「何を今さら」

妹友「だってさ、まずタイトルからしてメインか、そうでなくともサブヒロインくらいっぴじゃん?
 なのにさ、初デート乱入で悪者扱いで、その後は再起不能とか言われてるんだよ?」

隣「言ってることが意味不明なんだけど……」

妹友「遂にはメタ要員で、しかもこれで出番終わりなんてあんまりだよ!」

↑ミス

↓修正

―次の日―

妹友「わたしの扱いってなんか悪くない?」

隣「何を今さら」

妹友「だってさ、まずタイトルからしてメインか、そうでなくともサブヒロインくらにはなりそうじゃん?
 なのにさ、初デート乱入で悪者扱いで、その後は再起不能とか言われてるんだよ?」

隣「言ってることが意味不明なんだけど……」

妹友「遂にはメタ要員で、しかもこれで出番終わりなんてあんまりだよ!」

女「ふっ、しょせんあんたはそのていどのうつわだったってことよ!」

隣「女先輩、ここ一年の教室です」

女「ま、あんたはおとなしく、わたしのかつやくをみていることね!」

妹友「いや、女先輩もこれで出番終わりですよ」

女「――っ!
 う、うそよ! だって、まだでたばっかりだし……」

妹友「現実を受け止めてください」

女「ば、ばかなーー!」

隣(何この二人……?)

女「ふっ、しょせんあんたはそのていどのうつわだったってことよ!」

隣「女先輩、ここ一年の教室です」

女「ま、あんたはおとなしく、わたしのかつやくをみていることね!」

妹友「いや、女先輩もこれで出番終わりですよ」

女「――っ!
 う、うそよ! だって、まだでたばっかりだし……」

妹友「現実を受け止めてください」

女「ば、ばかなーー!」

隣(何この二人……?)

妹友「大体、そのロリ+ツンデレなんて流行にそのまま乗っかった感じの設定が駄目なんですよ」

女「つ、つんでれじゃないいもん!
 あ、あああ、あにのことなんてなんともおもってないんだからね!」

妹友「あーはいはいそうですねー」

女「そ、それに、だったらどうすればいいのよ!?」

妹友「体育会系の自信がないスポーツ少女。
 そんな古典的なキャラが実は人気がでるんですっ!」

女 ガガーン

妹「……騒がしいですね」

隣「うん、何か妹友と女先輩がね……。
 あの二人、案外気が合うのかも」

妹「どーでもいいです」

隣「バッサリと!?」

妹「そんなことより、一緒に屋上にきて頂けませんか?」

隣「え? 別にいいけど……」

女「こわい! このまましぜんふぇーどあうととかこわい!」

妹友「どうせ、わたし達みたいな脇役なんてそんなもんですよ……」

〓屋上〓

隣「妹、結局何の用なの?」

妹「……灯台元暗しとはこのことですね」

隣「妹?」

妹「ええ本当に、私としたことがまったく気づきませんでしたよ。
 まさか、あなたとお兄様が付き合っていたとは」

隣 !?

隣「どうしてそれを……」

妹「おかしいとは思ったんですよ。あまり接点のないお兄様と隣が頻繁にメールのやり取りをしているだなんて」

隣「あんた、兄先輩のケータイを勝手に見たの?」

妹「そんなこと、妹として当然です」

隣「……まぁ、あんなならそうでしょうね」

妹「もしやと思ってお兄様の送信履歴を見たら、なんとあなた宛ての告白メールがあるではありませんか。
 あれには流石に度肝を抜かれましたよ。あのお兄様が自分から告白なんて、考えられませんもの」

隣「…………」

妹「で、隣。
 単刀直入に言います、お兄様と別れてください」

隣「――っ!」

妹「お兄様と数日であれ付き合っていただなんて、本来ならタダでは済まさない所なのですが、仮にもあなたは私の友達ですし、そして何より近づいたのはお兄様の方からです。
 今回は多めに見て許して差し上げましょう。ただし、お兄様と別れて頂きますけど」

隣「……ぃゃ」

妹「はい? すいませんが、もう一度言ってくれませんか?」

隣「……ぃゃょ」

妹「はい?」

隣「いやよ! 兄先輩と別れるだなんて、絶っ対にいや!」

妹「お兄様と数日であれ付き合っていただなんて、本来ならタダでは済まさない所なのですが、仮にもあなたは私の友達ですし、そして何より近づいたのはお兄様の方からです。
 今回は多めに見て許して差し上げましょう。ただし、お兄様と別れて頂きますけど」

隣「……ぃゃ」

妹「はい? すいませんが、もう一度言ってくれませんか?」

隣「……ぃゃょ」

妹「はい?」

隣「いやよ! 兄先輩と別れるだなんて、絶っ対にいや!」

妹「お兄様と数日であれ付き合っていただなんて、本来ならタダでは済まさない所なのですが、仮にもあなたは私の友達ですし、そして何より近づいたのはお兄様の方からです。
 今回は多めに見て許して差し上げましょう。ただし、お兄様と別れて頂きますけど」

隣「……ぃゃ」

妹「はい? すいませんが、もう一度言ってくれませんか?」

隣「……ぃゃょ」

妹「はい?」

隣「いやよ! 兄先輩と別れるだなんて、絶っ対にいや!」

妹「……へぇ、では、あなたはお兄様とのお付き合いを続けたいと、そう言うわけですね?」

隣「ええ、そうよ」

妹「ふーん、そーですか、成程。では、これではどうですか?」チャキッ

隣「……何であんた、ナイフなんか持ってるの、よ……」

妹「ナイフ? 何のことでしょうか?
 それよりも隣、もう一度言います。お兄様と別れてください」

隣「だから、いやだって――」

妹 ザッ

隣「うっ……」

妹「最後です、お兄様と、わ・か・れ・て・く・だ・さ・い」

隣「……やっぱり、いや」

妹「この期に及んで、まだ――」

隣「確かに、あたしは妹と違ってガサツだし、妹友みたいに女の子っぽくもなし、女先輩みたいに可愛くもない。
 でも、でも、あたしは兄先輩のことが好きなの! あんたに負けないくらい好きなの!」

妹「…………」

隣「だから、だから、あたしは兄先輩と別れたくなんてない。絶対にいや! 死んでも別れない!」

妹「……そうですか、では――」ドスッ

隣「うぐっ」

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