霊夢「そういえば、あんたの名前は?」一方通行「………」(1000)


VIPで立った『一方通行「おィおィ、どこですかァここはァ?」霊夢「幻想郷よ」』の続きです。

一方通行が幻想入りです。禁書キャラは一方通行以外出さないつもりです。
禁書、東方双方ともににわかの域を出ません。また、東方は二次創作ネタも入る可能性があります。
個人的な解釈を元に書いていきますのでその辺は優しく見守ってやってください。

ゆるいほのぼのです。ですので、考察などはしない方がいいです。それほど深くないです。女性陣に振り回される一方さんが書きてぇだけです。

基本遅筆です。週一投下くらいが目標なんでまったりペースでお楽しみください。




以下VIPで書いた分。


霊夢「あんた妖怪? 雪女とか?」

一方通行「男だっつの。冗談でも気分悪ィぞ紅白女。あと妖怪ってなンだよ。俺のどこが妖怪に見えンだよ」

霊夢「外見そのものよ。首輪もしてるし、それで力を抑えてるとか?」

一方通行「残念でしたァ。これはむしろ能力補助だ。ンで、紅白コスプレ女」

霊夢「巫女よ。素敵な巫女。敬いなさい。雪男」

一方通行「だから…、あァめンどくせェ。ンで、『幻想郷』ってのはなンだ? ここは日本だろ? どこだ?」

霊夢「あぁ、そういう事情ね…。神隠しよ、神隠し。あんた外界の人間ね?」

一方通行「外界…。ここはなンだ? 別の世界とかそォいうことか?」

霊夢「とりあえず、立ち話もなんだし。来なさい。仕方ないから煎餅一枚くらいはあげるわ」

一方通行「いや、それより帰り方を教えろ。目が覚めたらこの賽銭箱の前にいた。出る方法もあるだろ?」

霊夢「さぁ、どうかしら?」

一方通行「ここは神社、神を祭る場所だ。そンでお前は巫女…。この場所を管理してるオマエが知らないワケねェだろ?」

霊夢「馬鹿そうな外見の割にそこまで馬鹿じゃないみたいね。嫌いじゃないわよ。あとは、んっ。」ズイッ

一方通行「なンだよ、その手は」


霊夢「神社入場料取りまーす。話が聞きたかったらさらに徴収しまーす」

一方通行「解った、お前は巫女じゃねェ。もっとマシな場所探す」スタスタ

霊夢「逃がすかぁ!!あんたの見た目面白いからあんたをそれっぽく祀れば参拝客増えそうじゃない!!?」ガバッ

一方通行「ぐァ!?」

霊夢「あんたなんか芸とか出来ない? 条件によってはここに住まわせてあげるわ!こう、涼しく雪を降らせるとか」

一方通行「だァから雪男じゃねェっつってンだろォが!!」

霊夢「じゃあ、座ってるだけでいいわ。私の神事用の着物を着せて…。そうね…、賽銭の中身は3割で手をうつわ」

一方通行「さっきから寝言言ってンじゃねェェ!!」カチッ

霊夢「!?」バッ

一方通行「ったく…」

霊夢「あんた、やっぱり妖怪じゃない。今、何か変な感覚がしたわ」

一方通行「妖怪じゃねェ。オマエが知ってるか知らねェが超能力だ」

霊夢「なにそれ?」

一方通行「オマエらの言うところの外界で存在する所謂『不思議な力』っつーヤツだ」

霊夢「ふぅん。興味あるわ。特別に煎餅二枚あげるから話聞かせて頂戴」

一方通行「交換条件だ」

霊夢「緑茶も淹れるわ」

一方通行「違ェ! 帰る方法だ。それを教えろ」

霊夢「…ま、いいでしょう」


神社内


一方通行「幻想郷、ねェ…」ズズズ

霊夢「結界で隔離したまぁ、ちょっとした特殊な場所よ。だから異次元にあるとかじゃなくて結界から出れば普通に日本の場所に出るわ」

一方通行「その、迷い込む人間、幻想入りの頻度は?」

霊夢「多くないわ。物は時々あるけどね」

一方通行「物?」

霊夢「あんたたちの世界でもう忘れられた道具とか、そういうのが時々入ってくるのよ」

一方通行「ここ最近じゃ頻度高いンじゃね? 技術力の向上のスピードが速ェからな…。目まぐるしいくらい新しいものが生み出されてる」

霊夢「そういえばそうね。ここ数年は倍になってるかも…。あ、霖之助さんのとこに持って行こうと思ってたものがあったのよね」ガサゴソ

一方通行「?」

霊夢「これって何か解る? たまには名称を当てて驚かせたいのよ」

一方通行「カセットテープか…。まぁ、今じゃ化石みたいなもンだな」

霊夢「かせっとてーぷね。ふむふむ」


一方通行「つってもそれだけじゃどうしようもねェけどな」スッ

霊夢「煎餅は二枚までって言ったわよ」バシッ

一方通行「腹減ってンだよ。朝飯食ってねェンだからな」

霊夢「で、あんたのその超能力は?」

一方通行「超能力を開発し、能力者を育成する特殊な街があンだよ」

霊夢「開発…、ってことは後から超能力を付けたすってこと?」

一方通行「あァ。脳みそ弄繰り回してどンな人間にでも不思議な力をプレゼントォ…って具合だ。
     ま、そうはいっても天性の才能があるから殆ど何も出来ないヤツの方が多いけどな」

霊夢「じゃ、あんたがさっき何かしたのはその超能力だったのね。妖怪ではなく」

一方通行「そォいうことだ。…で、帰る方法は?」バリッ

霊夢「あっ、ちょっと何三枚目食べてんのよ!!」

ズバン!!

魔理沙「霊夢ー!お茶飲みに来たぜー!!」

霊夢「うっさい!食べ物のお土産でも持って来てからうちの敷居跨ぎなさいッ!!!」

一方通行(不可思議巫女のコスプレの次は魔女かよ…。東洋西洋混ざり過ぎだろォが)

魔理沙「ん? なんだそこの真っ白妖怪。雪女?」


霊夢「そうよ、暑い夏を乗り切るためにとっ捕まえて来たのよ」

一方通行「おい」

魔理沙「その割に緑茶一気飲みしてるけど?」

一方通行「りょくちゃうめー。つぎはあっついふろでもはいりてェなー」

魔理沙「って言ってるぜ?」

霊夢「厚かましいわよあんた」

一方通行「で、霊夢…っつったか? 帰る方…」

ズバン!!

萃香「霊夢!今日は久々に宴会やるよ!夏の夜は宴会日和なのにここ連日の雨。参ってたけど今日は見事な晴天!」バン

霊夢「そうね。今日はやっと晴れたし…思い切りやりましょう!」

魔理沙「雪女もいるし涼しく宴会出来そうだな!」

一方通行「…………なンなンだよ…」

霊夢「それじゃお酒用意しましょうか」

一方通行「お、おい!帰る方法を…!」

魔理沙「西瓜割りやろうぜ!夏の風物詩!」

霊夢「あれって本来は海でやるものなんでしょ?」

萃香「どこでやっても味は変わらないものよ」

一方通行「………………不幸だ…」ハァ





霊夢「ちょっとぉ~、あんたも宴会参加しなさいよぉ~!何引きこもってるのよ~。人見知りぃ?」ノタノタ

一方通行「つーか、少し外見たけど殆ど未成年ばっかじゃねェかよ。いいのかよ酒飲ンで…」

霊夢「妖怪だらけの宴会で何言ってんのよ。今日はレミリアがいいお酒持って来てくれたんだから飲まなきゃ損よー」

一方通行「やめろ、それ以上こっち来るな。酔っ払いは嫌いなンだよ! 結局帰る方法も教えねェで酒かっくらいやがって!!」

霊夢「ちょっとぉ、魔理沙ぁ!こいつ引きずり出すから手伝ってよー!」

一方通行「だから俺は行かねェっつの!どこでもいいから先に寝かせてもらうからな!そンで明日実力でお前から帰る方法を聞きだしィ!?」ガッ

萃香「酒を飲まねぇ子はどこだぁ~!」羽交い絞め

一方通行(ぐっ、両腕を押さえられた…!? つーか、このクソガキなンつー力だよ!? 角もあるしこれが妖怪の力!?)

魔理沙「よっしゃ、そのまま外に連行ー!」

萃香「宴会で酒を飲まないとか人生の10割損してるよ」

一方通行「オマエの人生はそンなンでい、やめろ!マジでやめろ!!離せ!!せめて片腕だけでも離せェ!!!」ジタバタ

魔理沙「おーい、雪女連れてきたー!」

妹紅「はぁ? 夏なのに?」

早苗「へぇ、初めて見ますね」


霊夢「これこれ。今日神社で拾ったのよ」

萃香「誰かお酒持って来て!まだ一滴も飲んでないよ、こいつ!」

一方通行「だからやめろォォォォ!!!」

文「あやや。本当に雪女なんですね。今日は炎天下だというのによく溶けないでいられましたね?」ズイッ

一方通行「雪女でもねェし俺は男だ。ンだよ、オマエの背中の羽は。メルヘン野郎思い出すからしまえ」

文「おやまぁ。烏天狗を馬鹿にすると、恐ろしいことになりますよ?」

一方通行「知らねェよ。俺は今日ここに迷い込んだ、いわゆる幻想入りっつーヤツらしいぜ?」

文「外来人ですか!? 久々のビッグニュースじゃないですか!」

霊夢「ネタにしたければ御賽銭。こいつの所有権は私にあるのよ」

レミリア「へぇ、外来人? なかなかいい反抗的な目つきじゃない」

咲夜「お嬢様、こいつは首輪をしています。獰猛で品の無さそうな犬に近づくのは良くないですよ」

レミリア「そういうのを手懐けるのが楽しいんじゃない。フランの消耗品のおもちゃくらいにはなりそうじゃない」

一方通行「人をおもちゃ扱いかよ。オマエ、教育係か? もう少しまともなガキに育てろ。将来やりたい放題のわがまま女になるぜ?」

咲夜「お嬢様、この野蛮人を的にしていいでしょうか? 宴会の余興に面白い見世物になりますよ」

霊夢「だから人の所有物を的にしないでちょうだい。こいつはうちの神社の客引きに使うんだから…」

一方通行「オマエも話聞け」


てゐ「外来人の男かー。今まで見たことある人間の男とは全然違うね~」ニヤニヤ

一方通行「またガキかよ」

てゐ「人を見かけで判断してると、痛・い・目・見・る・よ・人・間・?」ニヤッ

ガボッ

一方通行「ンぐっ!?」

鈴仙「て、てゐ!一升瓶一気飲みはさすがに人間にはキツいわよ!」

てゐ「あはははっ!ただの人間があの霊夢の所有物になってるわけないじゃん!これくらいで潰れるようなつまらない人間じゃないでしょ~」

一方通行「…………ま、っず…。クソ…ガキが!!」

てゐ「まだ足りない? 足りない?」ニヤニヤ

萃香「おい、兎。折角のお酒なんだしもっときちんと飲ましてやれって」

てゐ「はぁーい…。そんじゃ、この幸せ兎ちゃんがお酌して…」トクトク

鈴仙「萃香さんも、この人は普通の人間なんですよ。嫌がってたしお酒弱いだけじゃ…」

萃香「イケそうな顔してたんだけどなぁ~。おーい、あんた、大丈夫か? まさか、あれだけの量で潰れたりはしてないよな?」パッ

一方通行「だから…酔っ払いは…」ブツブツ バタリ

鈴仙「ほ、ほら!倒れちゃったじゃないですか!だ、大丈夫ですか雪女…じゃなくて白い男の人!」

霊夢「えー、こいつ潰れちゃったの? あの量で?」

魔理沙「うわ、すっごい顔真っ赤…」



※一方通行が酔うとどうなるか、安価をする。

安価の結果

『54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/15(月) 01:11:39.83 ID:D5jaknfI0

    鈴仙に性的に襲いかかる』


安価は絶対。


文「外来人は下戸…。潰れられては何も聞き出せないじゃないですか。…まぁ、続報を待て!という引きで…その後私が独占取材を…」

早苗「あ、あの…外界では20歳未満はお酒飲んじゃダメって何度も言ったじゃないですか…」

妹紅「ここは幻想郷。あんたは何を言ってるのさ」

早苗「だっ、だからお酒慣れてないんですよ! 諏訪子様、神奈子様!この人たちに外界の一般常識を…!」

諏訪子「そんなことよりこっちの団子がおいしいよ」

神奈子「外来人なんてみんなすぐに飽きるさ。それより今日は今日の宴会を楽しみましょう」

早苗「も、もぉー!」

妹紅「酔い覚ましの薬を取りに行こうか? 永琳なら輝夜と永遠亭にいるだろう?」

鈴仙「お願いします。私が看てますので…」

てゐ「膝枕なんかしちゃって。外来人気に入ったの?」

鈴仙「あのねぇ、もとはといえばあなたが原因なのよ? 具合悪い人を見るのは当然ですっ」プイッ

一方通行「う…」モゾ

鈴仙「あっ、目が覚めました? 今、酔い覚ましの良い薬を用意するので少し横になって…、てゐ!霊夢からお水貰ってきて」

てゐ「はぁい。はぁ、めんどくさーい」


<霊夢。お水頂戴よ
<台所よ。場所は解るでしょう。自分で取り行きなさい
<ちぇっ



萃香「大丈夫大丈夫。ここでひと月も宴会してればすぐ強くなるよ」

鈴仙「また飲ませる気ですか」

スッ

モニョ

鈴仙「…………は?」

萃香「あら、大胆。酔った勢い?」

鈴仙「なっ、何この人はひっ、人の胸を触って…きゃあああああ!!!腰にしがみ付かれたぁぁ!!!」

文「鈴仙さん、わざわざ文々。新聞の購読者を増やすために協力してくれてありがとうございます!」カシャ

鈴仙「いやああああああ!!!」

鈴仙「ちょ、本当に外れないんですけどこの人!!いやっ、こ、これだから人間の男はぁぁ!!!」

文「ひと夏のアバンチュールってことですよ!」

萃香「なにそれ?」


文「先日、香霖堂で見た外界からの書物に書かれてました」

鈴仙「ちょ、ちょっと!!本当に助けて!きゃぁぁぁ!!裾から手入れて来たぁぁぁ!!!!」

霊夢「酒癖悪いの? はぁ、面倒なヤツね…」

鈴仙「霊夢っ!あ、あなたのっ、ちょ、どこ触って…! これ、あなたの所有物なんでしょ!!どうにかしてよぉぉ!!」

霊夢「あー…えっと、じゃあ破棄するわ」シレッ

鈴仙「こっ、このぉぉ!!」

カッ

一方通行「…!?」ビクン

バタッ

霊夢「具合悪い人を看るんじゃなかったの?」

鈴仙「こんな変態な人間は管轄外ですっ!」

萃香「どうせ酔った状態だし、こいつは覚えてないし故意じゃないよ」

鈴仙「これがこの人間の本性ですっ!もう騙されません!」プンプン

妹紅「薬貰って…って、鈴仙…職務放棄は良くないと思うわ。何患者さんに幻覚見せてるのよ」

鈴仙「幻覚は見せてませんっ。ちょっと頭の波長を弄って気絶させただけですっ!」

妹紅「…何があったの?」


文「ひと夏のアバンチュールですね」

鈴仙「言っておくけど、記事にしたら購読者全員に幻覚を見せて行きますからね…?」ギリッ

文「あやや。それは大変」

トコトコトコ

てゐ「お水持ってきたよー。えいっ」バシャッ

魔理沙「それは顔面にぶちまけるために用意した水じゃないだろ。ほら、予備の水」

てゐ「あ、霊夢。ついでに台所にいたずらしておいたよっ」

霊夢「たまには私の賽銭箱にお金入れるご利益くらい持って来なさいよ。ほら、さっそく罰があたったわ」クスッ

てゐ「へ?」

鈴仙「あーんーたーのーせーいーでー…!」ゴゴゴゴゴ

てゐ「ひっ!? あっ、頭掴まないでよ!」

鈴仙「ちょっと、こっちに来なさい…!」ズルズル

てゐ「いやああああああーーーー!!!な、なにすんだよぉぉぉ!!!」

霊夢「はぁ…。ほら、薬飲みなさい」ペチペチ

一方通行「……ン、……打ち、止め?」


霊夢「酔ってるの? 幻覚なの? まぁどっちでもいいわ。萃香。こいつの口開けて」

萃香「はいはい」グイ

一方通行「ぐァ!?」

霊夢「薬流し込んでー、水も流し込んでー」ザラザラ ザバー

萃香「はい、閉じて」

一方通行「~~~ッ!?」ゴクン

魔理沙「今度は真っ青になってるぜ?」

文「…永琳さんが泣いてる様子が浮かびますね」

妹紅「まさかこんな適当な服用されるとは思ってなかっただろうしね。少し寝かせておけばすぐよくなると思うよ」

霊夢「それじゃこの木の下に寝かせておきましょう。まだまだ集まってくるんだから構ってられないわ」

文「では、私ももう何枚か外来人の写真を撮っておきましょう。交渉にも使えそうですし」

魔理沙「霊夢、レミリアが新しい酒を開けたぜ。早速飲んでみよう」

霊夢「今度はどんな果物酒かしら」


数時間後


一方通行「う…、…」

ワイワイ

一方通行(クソ…、目が覚めてもこの景色ってことは夢じゃねェのか…)

ワイワイ

一方通行「頭痛ェ…。確か、兎の耳の生えたクソガキに一升瓶突っ込まれて…、そっから…」

一方通行「……まァ、普通に潰れちまったンだろォな…。クソが…だから嫌だったンだ…」

鈴仙「きゃっ!?」

一方通行「あン? …おい、オマエ…今何時…」

鈴仙「れっ、霊夢!あの変態人間起きましたよ!!」スタタタ!!

一方通行「?」

紫「あなたが霊夢の言っていた外来人?」


一方通行「そォらしいぜ…。普通に寝てて目が覚めたら神社にいた」

紫「不思議なこともあるものね」

幽々子「それは災難だったわね~」クスクス

一方通行「…ここはなンなンだ? 外界から遮断して独自の世界を作る必要があったのか?」

紫「あったから作ったに決まってるわ。ここは幻が存在する場所なの。私たちはここじゃないと生きていけない」

一方通行「ンな非科学的であやふやな定義のもンがあるのかよ?」

幽々子「ふふ、あなたは今そのあやふやなものの中の一つになっているのよ?」

一方通行「俺は出て行くつもりだ」

紫「霊夢は幻想郷の結界を守護する巫女なのよ」

一方通行「なンだ。あいつに頼めばすぐじゃねェか。一時的に結界を解くとか…」

紫「結界を解いたらどうなると思う? そんなこと出来ないわ」

幽々子「ここにやってきて出て行った人間なんて、幻想郷が出来てからいたかしら…?」


一方通行「チッ」

紫「霊夢が言っていたわ。あなた、妖怪でも幻想郷の人間でもないのに何か不思議な力を持っているとか?」

幽々子「そうそう。気になるのよ」

一方通行「………説明は出来るけど見せることは出来ねェ」

紫「出し惜しみ? どっちにしろ幻想郷で生きて行くならそれが生死を別けることになるかもしれないわよ?」

一方通行「どういう意味だ?」

紫「ここ幻想郷はたくさんの妖怪と人間が住んでいる。妖怪が全員あんな風に楽しくしてるヤツだと思ったら間違いよ」

一方通行「妖怪…なァ…。あの角の生えたガキとか兎の耳のクソガキ、黒い羽の生えたヤツ、吸血鬼みたいな羽のクソガキを見たけどよォ…」

幽々子「ふふふっ。すごいわね、ガキ呼ばわりなんて。あなた、死んでてもおかしくないわよ?」

一方通行「はァ?」

紫「あなたがガキと言った連中はあなたの何十倍も年上よ」

一方通行「………ふゥン…」

幽々子「あら? 思ったより落ち着いてるわね。大抵の外来人は「えぇー!?」とか「うそーっ!?」って言うのに」


一方通行「まァ、兎耳のガキが見た目で判断するなっつってたし、妖怪の定説通りだしな…」

紫「妖怪の存在は受け入れたのね?」

一方通行「さァな。…霊夢も妖怪なのか?」

幽々子「あの子は人間よ」

紫「すぐに死んで行ってしまう人間、ね?」

一方通行「オマエらは妖怪…だな」

幽々子「私は外見から解りやすいでしょう?」

一方通行「いかにも幽霊ですって雰囲気出てるしな。…で、オマエは?」

紫「内緒、よ」

一方通行「…………」

幽々子「ねぇ、あなたの力教えて頂戴よ」

一方通行「ベクトル…っつって解るか?」


紫「向き、大きさの持つ量ね。風の流れ、強さ、水、光…」

幽々子「あとは方向性とか、もっとくだけたものね」

一方通行「俺が持つのは前者だ。そのベクトルをすべて観測し、触れたものなら変換することが出来る」

紫「それは強力ね」

幽々子「視覚的に解りやすく見たいんだけど」

一方通行「それは無理だ。今はこの首のチョーカーで能力を行使してンだけど…、充電が切れたら自分で動くことすら叶わなくなっちまう」

幽々子「あらっ、大変ね。まだ持つの?」

一方通行「…あと一日くらいだな…。充電出来る場所を知ってるか? ここは電気も通ってなさそうだしよォ…」

紫「河童に見てもらえばいいかもしれないわね。何か代用できる良いもの作ってくれるんじゃないかしら? 発電機とか」

一方通行「河童ァ?」

幽々子「烏天狗に案内してもらうといいんじゃない?」

紫「その力見てみたいものね」


一方通行「……………オマエら、結構な実力者だろ?」

幽々子「あははっ、こんなに穏やかで笑顔の可愛い私が?」クスクス

紫「そう思った理由は?」

一方通行「勘。」

幽々子「それだけじゃないでしょ? あなた、頭良いみたいだし」

一方通行「…何か、腹に秘めてそうだしな。本心で語ってなさそうだしよォ。正直、オマエらのことは疑ってるぜ?」

紫「面白くなりそうね」

一方通行「そりゃどーも」

幽々子「あなたも私たちに近いかもしれないわね。最近身体鈍ってるし勝負したいわぁ」

一方通行「妖怪なンかと闘いたくねェよ」

霊夢「あんたらうちの所有物になにしてるのよ?」

幽々子「あら。怖いのが来た~」

霊夢「失礼ね。あんたは具合はどうなの?」

一方通行「まだ軽く頭痛がしてる。つーか、もとはと言えばオマエらのせいだからな」

霊夢「まさかあんなに弱いなんてね。あ、鈴仙に謝っておきなさいよ」


一方通行「れいせん?」

霊夢「あの兎よ。酔って倒れたあんたを介抱してたの」

一方通行「あぁ…。けどよォ、あいつさっき俺見て逃げていったぜ?」

霊夢「だから謝りなさい」

一方通行「?」

文「人間の若い男の子ですもの。欲求不満なお年頃ですよね?」ニヤァ

一方通行「はァ?」

文「この写真、明日の号外にしようと思うんです。あ。私、烏天狗の新聞記者やってるものです」ピラッ

一方通行「…………条件は?」

文「あはっ。話が早くて助かりますっ。外界のお話、あなたの半生聞かせてください。あ、都合は合わせますのでっ。じっくり聞いて濃密な新聞出したいですしっ」

一方通行「…………」


霊夢「大丈夫よ、文の書く新聞真に受けるヤツなんていないし」

一方通行「明日、河童のいるとこまで案内しろ。そしたら多少は話す」

文「やったぁ!」

霊夢「文、こいつが見たかったら博麗神社に参拝に来ることを条件に書きなさいよ? それっぽくご利益があるとか書いて…」

文「あやや? 真に受けるヤツなんていないんじゃないですか?」

霊夢「保険」

幽々子「河童のところまで連れて行けばこの子、実力見せてくれるみたいよ」

文「ふふ、楽しみにしてますよ。人間さん」

一方通行「条件が揃えばな」




一日目終了


以上VIP投下分

以下新規投下分になります。大した量ないですが。


翌朝

霊夢「朝食よ」

一方通行「……………やっぱ、夢じゃねェのかよ…」ハァ

霊夢「あんた寝起き最悪ね。折角手伝いさせようと思ったのに…。布団畳みたいから早く出て頂戴」

一方通行「この布団薄くて寝心地悪ィンだよ。なンでベッドねェンだよ…」

霊夢「あんたねぇ、外に捨てないで神社に泊めてあげてるのよ? 外で寝てたら今頃妖怪に食われて骨だけよ」

一方通行「どうせ骨しかねェもン」モソモソ

霊夢「い・い・か・ら・起・き・ろ・!」布団引き

一方通行「ぐっ」ゴテン

文「今日も夏らしい良い天気ですね!おはようございます!」

霊夢「ちょうどいいわ、文。こいつのこの間抜けな姿を撮ってさらに弱み握っておいてよ」

一方通行「朝飯」キリッ

文「髪の毛ボサボサですよ」カシャ

一方通行「はァ…まさかここまで生活水準落ちた場所で過ごすことになるなンてなァ…」グシグシ

霊夢「失礼ね。あなたの生活はどうだったのよ」

一方通行「ボタン押せば冷え固まったメシも出来立てみたいに湯気を出す。汚れた服は機械に突っ込んでりゃ綺麗になる。離れたヤツとも瞬時に連絡が取れる」


霊夢「あんたのいる現世は人間が堕落したひどい世界ね」

文「利便性が上がると人間は堕落する生き物ですよ」

一方通行「…まァ、その通りだろォな。けど、それが普通だったンだよ」

文「もっと具体的な道具を教えてください」

霊夢「それより朝食よ。顔洗ってきなさい。場所は解るでしょ?」

一方通行「知らねェよ。オマエ昨晩縁側で爆睡し初めて俺は適当に布団があった部屋を見つけて寝てただけだ」

霊夢「教えてなかったかしら? ちなみにここは私の部屋でその布団は私のよ。ここを出て左側の突き当りの右の扉よ。朝食はこの部屋から右側歩いて奥。
   ご飯よそっておくから早くしなさい」スタスタ

一方通行「はいはい」

文「昨日は鈴仙さんを襲ったのに、霊夢さんの布団と聞かされても動揺しないんですね。くんかくんか~とかすると思いました」

一方通行「だァから、昨日のアレは知らねーっつの。あンなガキなンかに発情するかよ」

文「………ま、まさか私のようなちょっと大人っぽさを兼ね備えた魅惑的な女性を襲うつもりですか?」スッ

一方通行「あからさまに逃げてンじゃねェよ。どうせ演技だろォが。女にゃ興味ねェよ」

文「…………外来人は同性にしか興味がな、おっと」サッ

一方通行「そォいう意味でもねェ。あンまふざけたことばっか書くようならその羽ごと身体を引き裂くぞ…」

一方通行(電極のスイッチを入れた状態の俺の動きを避けた…か。こいつも見かけに寄らず相当出来る妖怪だな…)

文「人間ごときに私は倒せませんよ。あなたは私の取材対象。…ですが…」ガッ


一方通行「ぐっ、ゥ!?」バンッ

一方通行(こいつっ、…攻撃が、見えなかった…!それに、片手で…首を…俺の身体を持ち上げ…)

文「敵と認識したら…容赦なく喰らい付くわよ? 覚悟しておきなさい、人間」パッ

ドサッ

一方通行「かはっ、…げほっげほっ…。はっ、精々オマエの逆鱗に触れねェよォにさせてもらうぜ…」ゲホゲホ

文「良い心構えですねっ。さぁ、霊夢さんの食事はなかなかイケるんですよ。私もそちらで待ってますので」ニコッ

トコトコトコ

一方通行「ったく…、面倒な場所に来ちまったもンだな…。この俺がまるで赤子じゃねェか……クソが…」チッ







霊夢「いただきます」

一方通行「……………」

文「あや、私のことは気にしないでどうぞ食べてください」

一方通行「霊夢、聞いていいか?」

霊夢「どうぞ」


一方通行「肉とか…ねェの?」

霊夢「贅沢言わない。あんたに食事を施す慈悲深さを感謝してほしいくらいだわ」

一方通行「あとコーヒーとか、ねェよな?」

霊夢「…珈琲…聞いたことがあるわね。飲み物だったかしら? レミリア辺りが持っているんじゃない?」

一方通行「レミリア?」

霊夢「メイドといた吸血鬼よ」

一方通行「あァ、あのクソ生意気なガキと血生臭いメイドか…」

文「レミリアさんはあなたに興味を持っていましたし喜んでご馳走してくれますよ」

一方通行「考えとく」

霊夢「で、今日は河童のところに行くのよね」

文「霊夢さんも行きますか?」

霊夢「まぁ、付いていくわ。帰りに香霖堂寄って、人間の里にも買い出し行きたいし」

一方通行「で、その河童ってェのは信用出来るのか?」

文「そうですねぇ…偏屈ぞろいですが、技術力ではかなりレベルは高いですよ。その、あなたの首輪の機械? 見せれば大喜びで協力してくれます」

一方通行「技術力…つっても、外界の今の技術を余裕で追い越しまくってる場所の機械だからな…」

霊夢「ま、どうとでもなるわよ。それよりあんたは酒に強くなりなさい。これじゃ宴会に出せないじゃない」

一方通行「出なくていいっつの」


神社外


文「では、朝食も終わりましたしさくっと妖怪の山に行きましょうか」フワッ

霊夢「さっさと行ってさっさと終わらせるわよ」フワッ

一方通行「霊夢、オマエ人間じゃねェの?」

霊夢「人間よ。それがどうしたの?」

一方通行「人間は宙に浮かねェ」

文「霊夢さんは巫女ですから」

一方通行「巫女も浮かねェよ!」

霊夢「面倒ね」

一方通行「俺だってやろうと思えば能力で飛べねェこともない。けど、今はそれにバッテリー使ってる余裕はねェンだよ」

文「では、私がつまんで運びましょう」

一方通行「つま!?…ぐェっ」

文「では、霊夢さんお先にっ」ビュンッ

霊夢「あいつ、貧弱そうだし、文のスピードに耐えられるかしら…」

霊夢「ま、どうでもいいか」ヒュンッ





以上、短いですがここまでで。週一くらい投下出来たら嬉しいです。
ただ、投下したてなので次回は今週中にまた少しとかできたらと思います。では。

モチベあるうちにやっときます。
一応俺はここでは一年以上書き手やってるのでSS速報の最低限のルールは把握してるんでご安心を。
時間かかろうとも完結させます。

あと、電極に関しては節電中なのもあるのでさっとスイッチ入れてさっとスイッチ切ってます。
んで、俺の嫁は最強クラスの妖怪なので小童な一方さんはそう簡単には太刀打ちできないかと。
俺の中では最強クラスの妖怪=天使に近い力を持っているイメージです。
一方さんも妖怪というわけわからん存在にほいほいバトル挑むような子じゃないのでバトル描写はそんなに書かないはずです。
強さ議論に発展しそうですし。


およそ30分後


霊夢「日差しきついわねぇ。河童のところで水浴びでもしようかしら…」

霊夢「えっと、文は…。……あ、いたいた」ヒュン

ヒュルル

トン

霊夢「文」

文「あ、霊夢さん。早かったですね」

霊夢「日差しが強いからのんびりしてられないわよ。で、こいつはぐったりしてるけどどうしたの?」

文「あはは…ちょっと…」

霊夢「どうせ、調子に乗ってスピード上げたまま飛んだんでしょう。人間にはキツすぎるわよ」

文「すみません」

霊夢「で、河童は? いつもならわらわらいるのに…」

文「見知らぬ人間を連れてきたもので、散り散りになりました」

霊夢「本当、しょうもない連中ね。…ちょっと!誰でもいいから手伝ってくれない!?」


河童「は、博麗の巫女が叫んでるよ…」

河童「あんたが行けばいいじゃない」

河童「し、知らない人間がいるし…」


河童「そ、そうだ。河城を使いましょう。あいつなら博麗の巫女とも付き合い多いし」

河童「河城はどこ?」

河童「自分のとこに籠ってるんじゃないか?」


霊夢「あー!もー!さっさと来ないとこの弾幕で…」

河童「河城連れてきた!」

にとり「な、なんなのさ!? いたたた、引っ張らないでよ!わひゃっ!?」ブンッ

ズベッ

にとり「い、いたたた…。ん?」

霊夢「河童ゲットォ…」ニヤリ

にとり「ひっ!?」

文「ちょっと見てもらいたい機械があるんですよ」

にとり「本当!? どんな機械?」バッ

霊夢「なんでも現代の外界の最先端の機械だそうよ」

にとり「おお!たまには巫女もいいことするね!で、その機械は?」キラキラ

文・霊夢「「あれ」」指差し

にとり「……………」


一方通行「……………」グッタリ

にとり「にっ、人間っ!?」ズザザッ

一方通行「くそっ、…こっち来てからろくな目に遭わねェ…」モソモソ

霊夢「起きた? ほら、河童を呼んだわよ。さっさと見てもらいなさい」

一方通行「ン?…あァ、…あれが河童か? 想像と違…」

にとり「うわわわっ!!?」バッ コソコソ

一方通行「…………あの兎と似たような状況なンだが…」

文「大丈夫ですよ。あなたはまだ何もしてません」

霊夢「河童って人間が好きな癖に人見知りなのよ」

一方通行「………厄介な…。おい…河童…。この首の機械を充電してェンだけど…」

にとり「はっ、ははは!そ、それくらいっ、か、簡単じゃない、か!」ビクビク

霊夢「だったら出て来なさいよ」

にとり「そ、その機械見せて、くれる!?」

一方通行「こっちは見せる気満々だから、こっち来てくれ」

文「未知の機械と人間への人見知りの間で必死に闘ってますね」

霊夢「どうでもいいけど早くしてくれないかしら」


しばらくして


にとり「これ、はずしていいの?」

一方通行「はずされると困る。設計図は覚えてるから紙とペンを貸してくれ」

霊夢「はずしたり、充電切れるとどうなるの?」

一方通行「動けなくなる。思考出来なくなる。言葉が解らなくなる。言語化出来なくなる。あと、たまに暴走する」

文「あやや。思ったより深刻なんですね」

霊夢「ねぇ、なんとかなりそう?」

にとり「そうだなぁ…。とりあえずこの機械に効率的に電気を送る方法を…。ちょっとはずさないで蓋だけ外させてもらうよ」

一方通行「ン」

にとり「…よいしょ…。…うわぁ、すっごい。これが外界の最先端の機械かぁ…」カパ

一方通行「これが設計図だ」

にとり「ここからケーブルを挿して充電だね。ケーブルはなんとかなりそうだから、次は発電が問題かな」

一方通行「出来ればコンパクトにまとめてくれ」

にとり「とりあえず少し時間貰っていいかい?」

霊夢「それが残りの充電一日も持たないみたいよ」

にとり「……解った、一日で作ることを約束するよ」


妖怪の山


霊夢「あー、ここの水は冷たくて気持ちいいわ」パシャパシャ

文「なんとかなりそうで良かったじゃないですか」

一方通行「…まぁ、無駄にバッテリー消費しなけりゃギリギリってとこだな」

霊夢「それにしても、外界の人間は今じゃ電気によって動くようになってしまったの?」

一方通行「ンなワケあるかよ。俺は昔、脳みそがヤられちまったンだよ」トントン

霊夢「うわぁ…」

文「あ、だからその首輪から電気刺激を受けて脳の機能しなくなった部分を補っていると…」

一方通行「まァ、もっと複雑なンだけどめンどいからその解釈でいい」

一方通行(そういや、妹達の電波がちゃんと受け取れてるってことは…やっぱここは別の次元の世界じゃなく俺たちと同じ世界ってことか…)

一方通行「妖怪って、現実にいたンだな…」ハァ

文「何をいまさら。さっ、次は文々。新聞の記事ですよっ!色々質問させてもらいます!」キラキラ

一方通行「あァ、はいはい…」

文「では、まず外界のことを…」



2時間後


一方通行「おい」

文「はぁ、なるほど。世界の情勢はだいぶ変わっているのですね。しかし、まさかここまで変化しているとは…」

一方通行「おいっ」

文「はい?」

一方通行「俺はいつまでオマエにつき合わされンだよ」

霊夢「その割に質問されたら的確に答えてたじゃない。あんたかなり頭いいヤツなのね。記憶力がいいのかしら?」

文「まだまだですよ。これからはあなたという一個人への質問を…」

早苗「あら? 博麗の巫女と烏天狗…と、昨晩の白い外来人の…」

霊夢「ちょっと野暮用でね。あなたは?」

早苗「まぁ、お散歩みたいなものです。色々付近を知るのも巫女の仕事ですから」

一方通行「ここにいる巫女にしっかり聞かせてやりたいもンだな」

霊夢「私だって色々やってるわよ。あんたはまだ一日しかここにいないじゃない」

文「お茶を飲んで神社を箒で掃除するだけじゃないですか」

霊夢「立派に巫女の仕事じゃない」

一方通行「一日でオマエのことがよォく解ったぜ」


早苗「あの、あなたは本当に外来人なんですよね」

一方通行「あァ? そンなに珍しいか?」

早苗「いえ、私も数年前に外界から幻想郷へ来たんです。それから幻想郷に来た外来人は私が知っているだけであなたが初めてです」

一方通行「オマエも、その…幻想入りっつーヤツか?」

早苗「私は自分の意思でここに来たんですよ」

一方通行「そンなことが可能なのか?」

霊夢「神様が二人、いるからね」

文「神奈子様、諏訪子様たちが外界で信仰が集められなくなり、幻想郷へ引っ越してきたんです。神社ごと」

一方通行「神社ごと…。随分大がかりな引っ越しだな」

早苗「ニュースになりませんでした?」

一方通行「……あァ、そういや何年か前に一時期聞いたかもな。湖と神社、現人神と地元で有名だった女が行方不明…とかなンとか」

早苗「それが私ですっ」エッヘン

一方通行「あっ、そォ」

早苗「ありゃ、食い付き悪いですね」

一方通行「大して興味ねェし」

早苗「でも、私はあなたに聞きたいことがあります!」ズイ


一方通行「現在の情勢やらなンやらはそこの烏天狗に話したからそいつから聞け」

文「射命丸文ですっ。親しみを込めて「文さん」でいいですよっ」

早苗「そんなことよりもっと大事なことです!」


早苗「超機動少女カナミンって最終回どうなりましたか!?」


一方通行「は、ァ?」

早苗「カナミンですよカナミンっ!一時期すごく人気だったじゃないですか!でも、最終回はどうしても見れなくて…」

一方通行「いや、…知らねェよ。俺の知り合いのガキがよく見てた気がするけど…」

早苗「あー…うー…。昨日からこれを聞こうと思ってたのにあなたは早々にお酒で潰れちゃうし…あなたが気が付いたと思ったら今度は私がダウンしちゃうし…」

一方通行「…………」

早苗「あっ!それじゃ、お台場ガンダム!あれはどうなりました!? やっぱり次は実際に動くように…!?」

一方通行「いや、あれはもうとっくに解体されちまったはずだったぞ…」

早苗「えぇー!? み、観に行きました?」

一方通行「行くか。俺ァ、学園都市出身なンだよ。早々出れるかってェの」

早苗「学園都市!? あの学園都市出身だったんですか!あ、だから何か妖怪でもないのに不思議な能力を…って…」

一方通行「学園都市は知ってンのか」


早苗「当たり前です。数年前まで外界で生活していたんですから。それにしても学園都市の学生をこんなところで見るとは…」

一方通行「そういや烏天狗…」

文「文です」

一方通行「…文。オマエ、現代の外界について聞きたいならこいつの方が先にいたンじゃねーの?」

文「それが、早苗さんにも話を聞こうとしたんですが…神様お二人が立ち会って…その、居心地が悪く…」

一方通行「神、なァ…」

早苗「学園都市って外とでは2~30年も技術力が違うってよく聞きます。ほら、街中をロボが警備してるって、あれ本当ですか?」

一方通行「あァ」

早苗「いいですよねぇ。あの、すっごい大規模な体育祭? 外でも有名ですよね。なんでしたっけ、あの学園都市の学生さんの中でも
   とても優秀な生徒さん。電気を操ってる女の子いましたよね。ご存じですか?」

一方通行「…………さァな」

一方通行(まさか、そいつに殺したい程恨まれてますなンて言えねェしな)

早苗「街中もお洒落だし、さぞ住みやすい場所なんでしょうねぇ」

一方通行「そんな願望抱いてるならやめとけ。そこまでいいことばかりじゃねェよ」

早苗「………。あなたも、色々あったんでしょうね。どうせ、外界なんてそんなものです」スクッ

一方通行「…ここは、どうなンだ?」

早苗「幻想郷ですか。………とても、不思議ばかりで退屈しませんね。外界にいたときよりずっとずっと毎日が楽しいです。では」ペコ




ここまで。

どうも。
一年以上っていうのはもちろん製作速報も含めてです。もう少し解りやすく書けばよかったですね。


一方通行「…………そりゃ、退屈しねェだろォな」

霊夢「人を見ながら退屈しないとか喧嘩売ってるの、あんた?」

文「霊夢さんの傍は本当に退屈しませんよ。ブン屋の私が保証します」

椛「射命丸文様」

文「あややや。これはこれは白狼天狗の犬走椛。どうしたの?」

椛「大天狗様から、文様が見知らぬ人間を妖怪の山に入れていると聞きまして、調査に参りました。…どうやら、そちらが噂の人間ですね」

文「ええ。それで、報告に行くの?」

椛「「相変わらずあいつには手を焼かされる。ちょっと灸でも据えてやれ」とのことです」

文「おやまぁ。この射命丸文、随分と見縊られているみたい。あなたごときがこの私に仕置き出来るかしら?」

椛「行きます!」



一方通行「おい、止めなくていいのか?」

霊夢「放っておいて平気よ。どうせ文が負けるわけないもの。気になるならあんたが行けば? あんたが原因みたいだし」

一方通行「ふざけンな。妖怪同士に喧嘩に飛び込む程マゾヒストじゃねェよ」

霊夢「あぁ、そういえばあんたには「スペルカード」教えてなかったわね」

一方通行「スペルカード?」


霊夢「弾幕ごっこよ。幻想郷での喧嘩のやり方。まぁ、見てれば解るわ。ほら」

一方通行「………おいおい。どこまでファンタジーな世界なンですかァ、ここは。昼間っから花火の打ち合いですかァ?」

霊夢「妖怪同士で喧嘩されるとその威力が強すぎるのよね。それに、人間も太刀打ちできないから退治出来なくなる。そのための喧嘩よ」

一方通行「…なるほどな」

霊夢「見てるの結構面白いわよ。そう、文が弾幕を避けてるでしょう? あーいう風に事前に宣言された数の攻撃を避けて行って避けきれば文の勝ち。
   避けきれなければ、あっちの白狼天狗の勝ち。ま、文が勝つでしょうけど」

一方通行「その割にゃ演出だけの無駄弾が多い気がするけどな。倒しに行くならもっと密度を詰めて囲っちまえばいいンじゃねェの?」

霊夢「だから、弾幕ごっこなのよ。ゲームよ、ゲーム。攻略できないゲームをして楽しい? だから、見た目の美しさを兼ね備えた余地のある弾幕なのよ」

一方通行「うまく考えられた仕組みだな。良く出来てる」

霊夢「もっと褒めていいわよ?」

一方通行「はァ?」

霊夢「スペルカードルールを制定したのは博麗の巫女こと、この博麗霊夢よ」

一方通行「…オマエ、その制定に尽力した反動でこうなっちまったンだな」

霊夢「あんたねぇ、その内私の弾幕打ち込むわよ」

一方通行「あァ、そォですか…って、おい…なンかこっちに向かってねェか?」

霊夢「うげ、追尾弾!? なにやってんのよあの白狼天狗!」バッ

カチッ

霊夢「!?」


パキィィン

霊夢「え?」

文「ん? うわっと!? う、後ろから弾幕!? い、今のは不意打ち。やるじゃない椛!」

椛「え?」

霊夢「あんた…今、弾幕を…弾いた?」

一方通行「やっぱ、反射が上手く効かねェ。これも、アレと同じ…」


ピーッ


一方通行「あァ、クソ…やっぱ容量足りなかっ…」バタリ

霊夢「えっ? ちょっと、あんた大丈夫!?」

一方通行「………………」ガタガタガタ

霊夢「あ、あー…そっか。これがその充電が切れた状態ってヤツね…」


霊夢「………仕方ない。運ぶか…」ハァ

霊夢「ちょっと文ー!こいつ倒れたから運ぶの手伝ってよー!」

霊夢「………聞こえてないし…」


にとり「うーん…ここをこうすれば通電率が上がる…けど、重量が…」

霊夢「にとり」

にとり「あー、ごめん。今手が離せなくて…」

霊夢「こいつ…、急いで充電出来ないの? さっき、その能力を使ったみたいで倒れちゃったのよ」

にとり「ひゅい!? な、なんで!? まだ猶予はあったはずじゃ!と、とりあえずここに寝せて」

霊夢「はぁ、なんでこいつこんなに軽いの?」

にとり「ケーブルは出来てるんだけど肝心の発電機の小型化にてこずってるんだよね。どういう形状にしよう…」

霊夢「あんたが前に作ってた発電システムはどうなの?」

にとり「あれは風力を使うからむらがあるんだよ。だからもう使ってないんだけど…、今は応急処置であれを使って…。…ね、文はどこ?」

霊夢「そとで白狼天狗と弾幕ごっこ中よ」

にとり「はぁ、何してるんだか…。呼んで来て。このスパナ貸してあげるから」

霊夢「そうね、声は届かなかったけど、これなら楽に届くわね」

にとり「それまでにセッティングはしておくから」

霊夢「頼んだわよ。そいつ動けないと帰りの荷物持ちがいなくなるんだから」

にとり「はいはい」


数分後

文「呼ばれましたよぉ~」タンコブ

霊夢「呼んだわよ」

文「全く、私が人間だったら死んでましたよ」

霊夢「避ければ良かったじゃない」

文「追尾かけておいてそれはないです」

霊夢「余裕で避けられる癖に…」

にとり「文、あの風車を回して欲しいんだけど」

文「あれ動くの? 風がなくて動かなかったじゃない」

にとり「だからあなたが動かしてよ」

文「はぁ、この私の力で発電とは…。仕方ないわね」

にとり「壊さない程度に全力でやってもらっていいよ。調節するから」

文「最近あまり豪快に使ってなかった葉団扇、役立てようかしら」スッ

にとり「やめて!それまで使われると本当に壊れるぅぅ!!」

文「冗談よ冗談。ただでさえ大天狗様に睨まれてるからもう大人しくするわ」

霊夢「どうせなら大目玉喰らって外出禁止にでもなればいいのよ」


にとり「よっし、接続完了。いいよ、文!」

文「はいはい、いっくわよー」ゴォォッ

ブオン・・・ゴン、ゴンゴンゴンゴン

霊夢「こんなんで電気が作れるならあの竜宮の使いみたいな雷を発生させる妖怪はいらないわね」

にとり「むしろそういう妖怪が手伝ってくれた方が幻想郷に良いインフラ作れそうだけどね。こっちはコストかかるし」

霊夢「大人しく従ってくれれば、ね」

にとり「うん。この変換機で送り込む量を調節して、よしよし。では、スイッチオーン」

ピッピピピ

霊夢「変化ないけど、ちゃんと出来てるの?」

にとり「うん。応急処置だから機械に負担かからない程度に強めに送ってるよ。数分で一日は活動できるようになるはず」

霊夢「ふぅん。なんでもいいわ、早く終われば」

にとり「次の充電切れるまでにはちゃんとしたの持って行くよ。今の発電方法でいいアイディア浮かんだし」

霊夢「それは何よりね」

文「ねぇ、にとりまだぁ?」

にとり「ん。そろそろ大丈夫かな? えっと、確かここのスイッチを…」カチッ

一方通行「ッ、は!?」ビクッ


霊夢「良さそうね。じゃ、さっさと買い物して帰りましょう」

一方通行「へ?…あ、あァ?」

にとり「応急処置だよ。きちんとしたのは明日、神社まで持って行く」

一方通行「そォか…。悪ィな…」

にとり「それは文に言ってほしいな」

一方通行「…うォ、なンかすっげェ大がかりなことしてたンだな…」

文「本当ですよ。この分はきっちり密着取材させてもらいますから」

一方通行「オマエは飽きねェな…。俺なンかに興味持って楽しいか?」

文「楽しいですよ。私の仕事はこの幻想郷を見て、この幻想郷を知ることです。毎日変化するのに変わらない幻想郷を、ね。あなたも例外ではありません」

一方通行「……くっだらねェ」

文「ふふっ。さ、香霖堂と人間の里に寄るんでしょう? また私があなたを運びますよ」

一方通行「う」タジッ

霊夢「今度は私のスピードに合わせてもらうわよ」

文「あら、残念。もっともっと私ご自慢のスピードを披露したかったのですが…。本気を出す前に妖怪に山に着いてしまいましたし」

一方通行「本気出されたら俺ァ、空中でミンチになってるっつの」

文「そしたらおいしく食べて差し上げますよ」ニッコリ




ここまで

誤字はよくあるので寛大な心で脳内変換してください。


翌日


霊夢「朝よ!」バンッ

一方通行「…………」スヤスヤ

霊夢「うりゃ」ゲシゲシ

一方通行「うぐ…、フザけンな…やめろ…」モゾモゾ

霊夢「朝食作るから、その間に境内掃除して来て」

一方通行「断る。…絶対ェ外暑ィもン…」

霊夢「じゃあ食事抜きよ。今日は忙しいの。昨日香霖堂に行ったら霖之助さんいなかったからまた行かなきゃいけないし…」

一方通行「まァ、一食くらいなら…、寝てれば問題ねェな…。おやすみ…」モゴモゴ

霊夢「いっとくけど、今後の食事抜きって意味よ?」

一方通行「鬼巫女」

霊夢「あんた、立場解ってるの? 居候よ、居候。そして私はそんなあんたに無償で住居を提供している心優しき巫女」

一方通行「あァ、解ったよ解りましたァ!慈悲深い巫女さンッ!」モソモソ

霊夢「あんた、あれでしょ。「にいと」って言う種族でしょう。スキマ妖怪から聞いたことあるわ」

一方通行「俺はニートじゃねェェェええええ!!!!」

霊夢「そう言うならさっさと働く!でないと文に「外来人はにいと!」って見出しで新聞ばら撒かせるわよ」


境内

シャッ シャッ

一方通行「クソ…、あの外道巫女が…」

一方通行「なァンでこの俺がこンな寂れた神社の境内で箒持って掃除しなきゃなンねェンだよ…」シャッシャッ

一方通行「こっちは杖持ちだっつの…」ブツブツ

カシャ

一方通行「…………文…」

文「おはようございます。今日はしっかり働いているんですね」

一方通行「オマエ、本気で俺に付きまとう気か?」

文「元々巫女の動向はチェックしているんですよ。色々厄介ごとが舞い込みやすいですし」

一方通行「こンな参拝客の来なさそうな神社にか?」

文「巫女の仕事は異変解決ですからね。幻想郷で異変が起これば巫女の元へ報告が行く。そして、巫女は解決しに行く。と」

一方通行「あいつ、ンなことしてンのか」

文「色々やっていますよ」

霊夢「朝食用意できたわよ。…って、文…飽きもせずよく来るわね」

文「あやや。心外です。それをいうならあなたも飽きもせずこの外来人を手元に置いてますよね」

霊夢「まぁね。こいつはうちの神社で使うものだから。そろそろ噂が広まって参拝客でも来るころよ」


文「昨日も、人間の里で物珍しそうに見られてましたしね」

一方通行「オマエ、そのために俺を人間の里に連れだしたり、客寄せで境内の掃除させてンだろ」

霊夢「うん」

一方通行「つーか、俺はもともと外界じゃ人を寄せ付けないタイプだったぜ。逆効果だろォが」

霊夢「そう? それじゃあここに来れて良かったじゃない」

一方通行「はァァ?」

霊夢「ここなら物怖じしない連中ばかりだし、楽しいんじゃない?」

一方通行「…………」

霊夢「さ、朝食よ朝食」スタスタ

文「私が山を出る時には、にとりもそろそろ完成だーと言ってたので朝食終わったころには来ると思いますよ」

一方通行「………チッ」

霊夢「昨日はあんたのお陰で食材少しおまけしてもらったし、昨日よりは豪華よ」

一方通行「あのじいさンか…。人の顔見て拝みやがって…」

霊夢「お陰さまでもやし沢山もらえたわ」

一方通行「…もやし…」

文「似てますよね」

一方通行「この野郎…!」


朝食後

にとり「毎度ぉ~」ニトッ

文「どう、調子は? 徹夜だったんでしょ?」

にとり「これくらい慣れてるからね」

一方通行「悪ィな。ンで、出来たか?」

にとり「うん。ちゃんと小型発電機の開発に成功したよ。実用化してもいいくらいだね」

霊夢「もう、電気を操る妖怪はいらないわね」

にとり「あんまり妖怪のアイデンティティーを奪わないでくれよ」

一方通行「妖怪はどォでもいいから見せてくれ」

にとり「ふっふぅー。我が盟友のためだからね!性能は約束するよ!…では…!」


パカッ

霊夢「…………意外としょぼ…」

文「これと、昨日の風車のヒントがどこに反映されているの?」

一方通行「つーか…、これ…」



一方通行「ただの手回し充電機じゃねェかよ…」


少女説明中

にとり「と、いうわけでこんな小さい外見の中身はかなりの技術が埋め込まれているんだ!」ドヤッ

霊夢「あぁ、そう。それはおいしそうね…」バリボリ ←煎餅

文「うーん、ここのネタはもう少しはしょって…、このネタはもう少し大き目に…」ブツブツ

一方通行「………………」グルグルグルグルグルグル

霊夢「ねぇ、もう十分回したでしょう。そんな部屋の隅っこで壁の方向いて体育座りしてないでお茶淹れて来てよ」

一方通行「クソ…、あンま俺の方見るな…。惨めな気持ちになる…」グルグルグルグルグルグルグルグルグル

にとり「ちゃんと充電出来てるよ? あと10分くらいでフルになると思うけど」

一方通行「…まァ、これがねェと俺は今頃廃人だしな…。感謝はしてるぜ…。霊夢、あれどこだ?」

霊夢「んー…」指差し

にとり「?」

一方通行「報酬」ズイッ

にとり「え? い、いいよそんなの! こっちは珍しい機械の設計図も貰えたし、楽しかったし! 何より人間のために役立てたし…」アワワ

一方通行「ン。そこの湧水で冷やしてたからうまいと思うぜ」

にとり「わ、わわ…。きゅ、きゅうり…?」

一方通行「文から聞いたけどよォ、河童って本当にきゅうり好きなンだな…」

にとり「あ、ありっ、ありがとう!!! へ、へへへ、えへへへ。やっぱり人間って好きだ~」ニコニコ


ここまで。
次はもう少し早めに来ます。


魔法の森入口

霖之助「…誰か来たかな?」


魔理沙「だから、この茸は魔法の応用の幅が広くて…」

霊夢「もう茸の話はいいわ。食べれる茸を持って来てくれるだけでいいの」

魔理沙「だったらこれは食べれるぜ。幻覚見るけど」

霊夢「それは食べれない茸って言うのよ」


霖之助「魔理沙と霊夢…。また好き放題お茶だけ飲んでいくのか…。ん? まだ一人…」


一方通行「おい、どォでもいいけどここに用事があンだろ? いつまで茸観察してンだよオマエら」

霊夢「私はしてないわよ。魔理沙が動かないだけ」

魔理沙「あーもー解ったよ。さっさとお茶飲もうぜ」


カランカラン

魔理沙「香霖ー!お茶ちょーだーい!」

霖之助「やる気はないんだが?」

魔理沙「えーと湯呑みは~♪」トコトコトコ


霊夢「霖之助さん。この間拾ったもの持って来たの」

霖之助「その白い人間? さすがに珍しいからって人間はいらないよ。ここは道具屋だ」

一方通行「俺じゃねェよ」

霊夢「そうよ。これはうちの神社で使うの。それじゃなくてこっち」

霖之助「これは…」

霊夢「かせっとてーぷ!…当たりでしょ?」

霖之助「どうせ、その人間から聞いたんだろう?」

霊夢「う…」

霖之助「魔理沙が昨日言ってた。霊夢のとこに外来人が来たってね」

霊夢「ちぇ。魔理沙、私もお茶ちょうだい」


一方通行「…………」

霖之助「…………。何か、気になるものでも?」

一方通行「いや…、古いもンばっかあるが、これは外界から入ってきたものなのか?」

霖之助「魔法具とか、そういうものもあるがね。大体はそんなものかな」

一方通行「こういうのは、どっから拾ってくるンだ?」

霖之助「君も商売始めるつもりかい?」


一方通行「ンなわけあるか。そォいうよく物が入ってくる場所なら帰るヒントがあるかもしれねェだろ」

霖之助「なるほど。大抵の外来人はそう言って、妖怪に食われたり、幻想郷で生きる道を選ぶものさ。精々、夢を見続けることだ」

一方通行「ふン…」

霊夢「あ、忘れてた。霖之助さん。そいつに何か着るものやってくれない?」

霖之助「着るもの? …あぁ、確かにおかしな格好してるしなぁ」

一方通行「オマエらに言われたくねェよ」

霊夢「その服しかないし、昨日水辺で倒れたから汚れててさ。そんな格好で境内立たせてたら浮浪者に思われるわ。祀る予定なのに…」

霖之助「人間祀るなんて、博麗神社が泣くね」

霊夢「いっそ泣いてくれた方が見世物になるわ」

霖之助「はいはい。僕のお古でいい?」

一方通行「なンでもいい」

霖之助「それじゃ、こっち」

一方通行「ン」

魔理沙「香霖ー!これなんだ? 新しいものが増えてるぜ」

霖之助「悪いけどあとにしてくれ」

魔理沙「ちぇっ」


霊夢「あ、この茶葉新しい。私これがいいわ魔理沙」

魔理沙「なんかお茶菓子ないかな~」

一方通行「あの厚かましいヤツら放っておいていいのかよ」

霖之助「別に。いつものことだし」

一方通行「慣れるもンかね」

霖之助「人間は順応性が高いから、君はすぐ慣れるだろう。ほら、これでいい?」

一方通行「ン…」モソモソ

霖之助「やっぱり裾上げ必要か…。腰回りは?」

一方通行「ぶっかぶか」

霖之助「だろうな。少し詰めるから君もお茶飲んでればいいよ」

一方通行「あァ…」

霖之助「そういえば、さっき霊夢が持って来たカセットテープ。用途は解ったが、具体的にどう使うんだ?」

一方通行「専用の再生機がいる。たしか、入口左側の壁にあったから、それにテープ入れればいい。つっても、電池が必要だろうけどな」

霖之助「なるほど。試してみるよ」

一方通行「何か入ってれば聴けるはずだ」

霖之助「期待はしないさ」


魔理沙「んで、昨日は紅魔館近くで妖精を捕まえてて…」

霊夢「あの馬鹿妖精? この間も捕まえて遊んでなかった?」

魔理沙「それが前回と同じ方法で捕まったんだよ」

一方通行「オマエら我が物顔だな…」

魔理沙「終わったのか?」

一方通行「詰め直しだと。…つーかここにもコーヒーねェの?」

霊夢「いいじゃない、お茶おいしいわよ。はい」

一方通行「その内干乾びそうだぜ…」ズズズ

魔理沙「…なんっていうか…」ジーッ

一方通行「ンだよ…」

魔理沙「良かったな。すぐ馴染んで」

一方通行「馴染むかよ。俺はすぐ帰るつもりだ」

霊夢「そんなこと言うと大体一年経ってるものよ」

魔理沙「フラグフラグ」ケタケタ

一方通行「……帰るためのヒントは収穫ねェしな…。はァ…、イヤになるぜ…」

魔理沙「ま、あちこち見て回ればいいじゃん」


1時間後

霖之助「おまたせ」

霊夢「ありがとう、霖之助さん。支払いはこいつが」ポン

一方通行「無一文に何言ってやがる」

霖之助「ま、お古だし処分しようと思ってたものだからそのままあげるよ。それと、予備の服。これも詰めておいた」

一方通行「ン、あァ…すまねェな」

霖之助「生身の人間にこのメンツの相手は大変だろう。それにカセットテープの使い方を教えてくれたしね」

一方通行「ンなことだけでいいのか?」

霖之助「僕はその物の名前と用途は解っても使い方は知らないからな。助かったよ。使いこなせたらこれでまた売りやすくなる」

魔理沙「売り物じゃなくなるの間違いだろ?」

霊夢「こいつに聞けば使い方は全部教えてくれるじゃない」

霖之助「自分で試行錯誤して覚えていくのが楽しいんだ、霊夢」

霊夢「そういうもんかしら?」

魔理沙「そういうもんだぜ。香霖の言いたいこと解る解る」

一方通行「とりあえず着替えてくる」カツカツ

霖之助「…それにしても、普通の子だな…。よく霊夢と魔理沙に付いていけるよ。…いや、無理やり付いていかされてるのか…」

魔理沙「それは人聞きが悪いぜ。な、霊夢」


霊夢「あれで結構普通じゃないみたいよ。あいつが興味持ってるんだもの」

霖之助「………なるほど。それは難儀なことだ」

魔理沙「それまではここで生きていけるんだし、両方にメリットあるぜ?」

霊夢「飽きたら捨てられるわよ」

霖之助「霊夢も捨てる気あるのか?」

霊夢「………どうかしら」


一方通行「着方これであってンのか?」

霖之助「そこを結んで」

一方通行「俺までコスプレはじめちまうとはなァ…」ハァ

霊夢「さてと、この後は里でお札を渡して買い物して…うん。じゃ行くわよ」

魔理沙「おー、またなー」

霊夢「行くわよ」

一方通行「はいはい…」

カランカラン

霖之助「霊夢は「便利なしもべが出来た」とか思ってるんだろうな」

魔理沙「だろーなぁ」



ここまでです。遅くなりました。




一方通行「えーと、あそこが寺子屋で…、あそこが茶屋…。茶屋…。…コーヒーとかあっかな…?」

一方通行「…行ってみっか…」カツ

ドンッ

一方通行「うォ!?」ドテッ

幽香「きゃっ…」

バラバラ

一方通行「っつ…」

幽香「大丈夫? ごめんなさいね」

一方通行「いや…こっちこそ悪かった」

幽香「なら、尻もちついているついでに落としてしまった種を拾うの手伝ってくださる?」

一方通行「ンあ? …あァ…」

幽香「久々に人里に来たら、珍しい花の種、というものが置いてあったからね。買ってみたのよ」

一方通行「ふゥン…。ほら、これでいいか?」

幽香「えぇ、ありがとう。…あなたは、花好き?」

一方通行「は…?」

幽香「………」


一方通行「まァ、嫌いでは…ねェンじゃね?」

幽香「今は夏。向日葵が見頃よ。気が向いたら太陽の畑にいらっしゃい。あなたなら歓迎するわ」

一方通行「……?」

幽香「はい、杖。立ち上がれるかしら? 手を貸すわ」スッ

一方通行「どォも…」スクッ

幽香「それでは、失礼。…人間さん」トコトコトコ

一方通行「………妖怪、か…なンかだったのか?」

霊夢「この辺の地理覚えた?」

一方通行「あ?」

霊夢「何ぼーっとしてんのよ。八百屋行くわよ。あんたがいればまたおまけ貰えそうだし」グイグイ

一方通行「茶屋行きてェンですけどォ…」

霊夢「お茶なら家にあるからそれでいいでしょ。ほら、さっさと行くっ!」ズルズル

一方通行「クソが…。なァンでオマエはそう、がさつなンだよ。コーヒー飲ませろ、このクソガキが」

霊夢「はいはい。がさつでもなんでもいいけど、食事は抜きで構わないのね」

一方通行「…ゥ、ぐ…」

チルノ「博麗の巫女ォ、勝負だぁぁ…、あちゅい…」グテッ

一方通行「………、なンかすげェぐったりしたヤツが来たぞ」


霊夢「あら、湖にいる妖精じゃない。あんた夏は弱いんじゃないの?」

チルノ「弱いんだけどさぁ、湖周辺の森の中も暑いから里に来たらもっと暑いんだよ。いつもはそれなりに涼しいんだけどなぁ…」

一方通行「こいつ馬鹿だろ」

チルノ「馬鹿じゃないやい!馬鹿って言った方が馬鹿なんだ!この馬鹿!」

一方通行「あァはいはい」

霊夢「じゃあ八百屋行くわよ」

一方通行「ン」

チルノ「置いてくなー!」ガシッ

一方通行「ぐふっ」ビッターン

霊夢「何の用よ。買い物して帰りたいんだけど」

チルノ「巫女がいたら勝負を申し込むのが妖精の足並み!」

霊夢「嗜みね。足並みもそろわないくせに」

チルノ「難しいことはいいから早速勝負!勝負に勝ったらこの雪女くれるんだよね!?」

一方通行「だから俺は雪女じゃねェっつの…。いつまで引っ張ってンだよ、このネタ。あと、さっさとどけ。この馬鹿」

霊夢「なんで突拍子もなく、私の所有物をあげる条件になってるのよ」

チルノ「兎から、博麗の巫女に弾幕勝負で勝ったら雪女もらえるって聞いた。夏は暑いからこの雪女で涼むんだ!ふふん!」

霊夢「氷精が何言ってるんだか…」


一方通行「つーか、こいつかなり涼しいじゃねェか。おい霊夢、俺はむしろこいつをクーラー替わりに部屋ン中の壁に貼り付けてェンだけど?」

霊夢「あ、名案。そうしましょう」

チルノ「へ?」

霊夢「私が勝ったらこいつを一時間レンタル許可するわ。んで、あんたが負けたら今年の夏はうちの神社で冷房機代わりね」

チルノ「え? え…? なんか、条件に差があるよーな気がするんだけど!?」

霊夢「いい条件よ。だって、一時間レンタルの内にこいつと仲良くなればいつでも会えるようになるじゃない」

チルノ「あ、そっか!それなら秋や冬も一緒にいられるじゃん!」

一方通行「こいつ馬鹿だ」

霊夢「それじゃ、さくっとやるわよ」

チルノ「どんどんかかってこーい!」




2時間後・博麗神社



チルノ「あれー!?」

霊夢「あー、快適」ソヨソヨ

一方通行「いいねェ、天然クーラー」ソヨソヨ

チルノ「ちょ、ちょっと!あたい逆さ吊りなんだけど!?」ジタバタ

霊夢「さ、夕飯の支度しよ。ね、ちょっと大き目の氷作ってよ。それ台所に持って行くから」


チルノ「あ、うん…」パキィン

一方通行「今日の飯は、焼き魚と煮物だっけか。もォ少し肉食わせろよな」

霊夢「私だって食べれるものなら食べたいわ。あんた今日は大根とか野菜切ってよ」トコトコ

一方通行「へいへい。そォいや萃香は? あいつも一応ここ住ンでンだろ?」トコトコ

霊夢「さぁ? 好き勝手にあちこち歩き回っているし、ここもそんな中の一つなんじゃないのかしら? 宴会開けば呼んでもいないのに出てくるし」

一方通行「なンつーか、羨ましくなるほどに自由だな…」

パタン


チルノ「………あれ?」ポツーン

チルノ「あれー!?」ポツーン

チルノ「お、おーい!巫女ー!雪女ー!あたいここにいなきゃダメなのー!?」

チルノ「……………やっぱ一時間より夏終わるまでの方が長いじゃん!くっそぉ!博麗の巫女めぇ!」


<おい、なンかクーラーがうっせェぞ。

<冷房機って「くーらー」って言うの?

<俺ンとこじゃあそう呼ぶ。しかし、ありゃ欠陥品だな。あとで口でも縫い付けるか?

<面倒だから顔に濡らしたタオルでも当てておけばいいんじゃない?


チルノ「ひ、ひぇぇええええ!!?」ガタガタガタガタ




翌朝、霊夢が暑さで目覚めるとクーラーは脱走していました。





ここまで。この辺りプロットが出来てなかったからひたすら悩んでました。
次はおおまかなプロット出来てるし、今回かなり待たせてしまったので週末には来ます。
紅魔館編になります。

>>1
出来れば次から投下するときはageて欲しいな

>>191
では最初だけageます。


一方通行「はァ?」

レミリア「何度も言わせないでくれるかしら。それとも、あなたは一度で物事を理解出来ない阿呆な人間なの?」

一方通行「突然「我が館に招待するからさっさと来やがれ」なンて言われたらそォ返すっつの。相変わらず傍若無人のお嬢様っぷりだな、クソガキ」

レミリア「まぁ、どちらにしろあなたが館に来る運命なのは決まっているのよ」

一方通行「?」

レミリア「珈琲」

一方通行「!!」ピクッ

レミリア「もしかしたら咲夜曰くの最高級品の豆がまだ残っているかもしれないわ」

一方通行「…………!!」

レミリア「あと、我が館には大図書館があって、かなりの蔵書を誇っているの。知識豊富で有能な魔女もいるし、脱出する方法も解るんじゃないかしらね」

一方通行「あァ、それなら行かなきゃやべェな。早く帰りてェもンな。勘違いするンじゃねェぞ?
     あくまで帰る方法を調べるためであって、コーヒーが飲みてェわけじゃねェからな」

レミリア「そうね。それじゃあ行きましょう」

一方通行「待て。霊夢は、今出掛けてて俺留守番なンだが…。ケータイもねェし、そもそもここじゃあ、ンなもン誰も持ってネェしな」

レミリア「こんな寂れた神社に来訪者なんて来るわけないじゃない。珈琲はいらないのかしら?」トコトコ

一方通行「それもそうだな」キリッ

レミリア「ふふ」


紅魔館

レミリア「戻ったわ。さっそく昼食を用意して頂戴」

咲夜「はぁ、本当にこの外来人を連れてきたのですね。汚れが溜まりそうですし今日は徹底的に館を掃除しなくては…」

レミリア「あら、大丈夫よ。あの宴会の時よりも小奇麗な格好をしているし」

咲夜「お嬢様。どっちにしろあの格好は道具屋の店主のお古です。新品ではありませんよ」

一方通行「オマエらも宴会の時と変わらねェ無礼っぷりだな…」ハァ

咲夜「一応、客人ですから」

一方通行「オマエ俺が館入った途端すげー嫌そうな目で見てたじゃねェか。門番の女はケラケラ笑いながら背中叩いて来たぜ?」

咲夜「私は、メイドですから」

一方通行「あァ、そォですか」

レミリア「咲夜ぁ、昼食。お腹空いた」

咲夜「すぐお持ち致します、お嬢様」カツカツ

レミリア「…こっちよ、案内するわ」

一方通行「あのメイド、毒でも盛りそうだな…」

レミリア「咲夜ならやりそうね。今この瞬間あなたの目が自分自身を見上げることもありそうだわ」

一方通行「物騒過ぎンだろ…」

レミリア「それくらいじゃないと、このレミリア・スカーレットの従者は務まらないのよ。さぁ、ここ。すぐ食事が運ばれてくるわ」


数分後

一方通行「うォ、…お…」キラキラ

レミリア「咲夜、ちゃんといたずらしないでくれた?」

咲夜「一応、客人ですから。もちろん牛肉ですよ」

レミリア「気遣いご苦労」

一方通行「俺、なンであンな神社の前にいたンだろォな。ここに流れてれば毎日ステーキ三昧だったンじゃねェの?」

レミリア「ステーキ三昧か、あなたが数日間、我が館のステーキとして食卓に並ぶか…だったでしょうけどね」

一方通行「やめとけ、腹壊すぜ」

レミリア「そうね。食べれるところなさそうだし。私だったらもう少し肥えさせてから食べるわ」

咲夜「育てましょうか? 出来る限りおいしい部位を選んでお出ししますよ?」

一方通行「オマエはそォいう斜め上方向の発言を直せ」

レミリア「咲夜って出来る子なんだけど、結構ズレたとこあるのよね。いただきます」カチャカチャ

一方通行「ズレたっていう一言で片付けれるオマエも相当だけどな。もォ、慣れたわ。ここにゃそーいうヤツが多過ぎる」カチャ

レミリア「幻想郷はどうかしら?」

一方通行「里と、山…あと香霖堂は行ったが…、まァ…マジで妖怪だらけだな…」

レミリア「ここは外界で忘れられたものが入り込んでくるからね」

一方通行「妖怪なンて今じゃファンタジーだ。不思議な力だって科学の力で再現出来る」

レミリア「なんでもかんでも解明させて、粋じゃないわ」

一方通行「知識を欲しがるのが人間だから」


レミリア「寿命など限られている人間が、よく頑張るわよね。世代が変わって記憶が薄れているから我々も忘れ去られたというのに」

一方通行「外界での居場所が欲しいのなら自分から「私は妖怪です」なンて主張すりゃいいじゃねェか」

レミリア「そうね。そこまでして外界での居場所が欲しいわけでもないわ。逆に人間を襲いにくくなる」

一方通行「しかし、昔は妖怪が信じられていたのに徐々に御伽話に切り替わっていったな。まァ、科学力が上がって疫病だのなンだのって
     種明かしが増えて行ったからなァ…」

レミリア「…それらも妖怪たちが操作していたとしたら?」

一方通行「はァン?」

レミリア「必要のない争いを避けるために…」

一方通行「………」

レミリア「なんてね。くだらない話をしたわ。おかわりはどうかしら? このスープとてもおいしいでしょう」

一方通行「…そォだな。もう一杯いただこうか」

咲夜「はい」

レミリア「そういえば、咲夜咲夜」

咲夜「なんでしょうか?」

レミリア「珈琲ってここ、あったわよね?」

咲夜「いえ、もう何年か前に在庫切らしましたよ」

一方通行「な!?」ガーン

レミリア「あらま。それじゃあ紅茶。最高級の紅茶を食後によろしく頼む」

咲夜「畏まりました」


一方通行「クッ、ソ…がァ…!」ブルブルブルブル

レミリア「カフェインは紅茶でも取れるわ。茶葉をお土産に持たせてあげる」

一方通行「ちっげェンだよ、コーヒーが飲みてェンだよ…」

レミリア「珈琲ねぇ。まぁ…それなりに癖のある飲み物だけれど、あれ泥水みたいじゃない」

一方通行「コーヒー好きにケンカ売ってンのか?」

咲夜「買うわよ?」

一方通行「オマエは呼んでねェよ」

レミリア「まぁまぁ。その内また取り寄せるわ」

一方通行「はァ…。肉が食えただけでも良しとするか…。はァ…」ガックリ

レミリア「こういうの、珈琲中毒って言うのよね」

一方通行「なンとでも言え。…それにしても、この館、窓が少なくねェか? 夏の昼間だってのに随分薄暗いぜ?」

レミリア「当たり前よ。私は吸血鬼だもの」

一方通行「あァ、やっぱそォなのか?」

レミリア「なんだと思ってたの?」

一方通行「ただのマセたガキだと」

レミリア「ちゃんと羽あるじゃない。日傘も差していたし、解りやすいくらいの典型的吸血鬼よ?」

一方通行「真昼間から散歩がてら神社まで俺を呼びにくる時点でそりゃねェわ。飾りみてェな羽でよォ」


レミリア「手入れを怠らないのよ。…とはいえ…まぁ、どちらかというとあなたの方が吸血鬼のようだ」

一方通行「見た目がか? ったく、雪女だの吸血鬼だの…、里でもじじぃに拝まれるしよォ…。俺はただの人間だっつーの…」ヤレヤレ

レミリア「…ふふ、私は吸血鬼で血の匂いに敏感なの」

一方通行「あ?」

レミリア「あなた、何人の血を浴びたのかしら? そこらの吸血鬼より、血生臭いわよ?」クスクス

一方通行「………オマエ…」ギリッ

シュッ

一方通行「………はっ。なかなか出来た従者をお持ちですねェ、お嬢様ァ?」

レミリア「でしょう? あげないわよ」

一方通行「いらねェよ。こンな、客人の喉元にナイフを当てるメイドなンてな」

レミリア「咲夜、離れなさい」

咲夜「はい、お嬢様」スッ

レミリア「その立ち振る舞い。あなた、本当に面白そうね。やはり私の目に狂いはない…、気に入ったわ」

一方通行「そォかよ。厄介なのに目ェつけられた気分だ」

レミリア「大丈夫。血は吸わない。…まずそうだし」

一方通行「一言余計だ」

レミリア「あは」



ここまでです。またのろくなると思います。


大図書館


レミリア「パチェ。パチェはどこ?」

小悪魔「レミリア様。パチュリー様でしたら右奥のソファにいますよ」

レミリア「ありがとう。…こっちよ」

一方通行「言ってただけのことはあるな。すげェ蔵書だ…」

レミリア「まぁね。…パチェ、ここかしら?」

パチュリー「レミィ、何か用?」

レミリア「客人よ」

パチュリー「客人?」

一方通行「あんたが魔女か」

魔理沙「お、霊夢ンとこの雪女じゃん」

一方通行「オマエ、わざとやってンだろ…」

アリス「雪女…? あぁ、博麗神社で飼われてるっていう外来人?」

レミリア「あなたたちもいたの?」

魔理沙「あぁ、借りてく本を物色するついでにお茶会ってな」

アリス「死ぬまで返さないだけでしょう。結局それって返してないじゃない」

魔理沙「返してるぜ。最終的に本は元の場所に戻るだろ?」

パチュリー「どうせ100年も経たずに戻ってくるわ。だからと言って盗人は進入禁止にしてほしいのだけれどね」


レミリア「鼠はどこへでも侵入するわ」

魔理沙「そりゃ怖いなぁ」

パチュリー「駆除装置仕掛けても壊すんだから面倒よ、まったく。…それで、あなたは?」

レミリア「外界に出る方法を探しているのよ、何か書物はないかしら?」

アリス「その前に、出ようと思って出れるものなのかしら?」

一方通行「知らねェよ」

魔理沙「まだ外に出ようと思ってるのか? いいじゃん、あんたならここでも生きていけそうだぜ。知り合いも増えて来たし」

一方通行「お断りだ。自分のいなきゃいけない場所くらい、弁えてる」チッ

パチュリー「とは言っても…、そんな書物ないわ」

一方通行「本当に、出て行ったヤツはいねェのか?」

パチュリー「出て行った人間が方法を記した書物も向こうで書いて、ここに流れ着いていればね」

一方通行「オマエ自身はそういう話聞いてないのか?」

パチュリー「ないわね」

一方通行「じゃあここの歴史を記した本や結界について記されたものは?」

アリス「歴史だったら里にいる寺子屋の教師、もしくは歴代に渡って手記を残している阿礼乙女に聞いた方が速そうな気がするけど…」

魔理沙「結界なら霊夢が適任だろ?」

パチュリー「わが図書館の蔵書よりもそっちを頼るっていうの? それに阿礼乙女の手記は人間が集めたもので幻想郷の歴史というよりも妖怪への対抗策じゃない」ムッ


アリス「だって、色々聞きたいならそっちの方が質問に的確に答えられるでしょう?
    読み物は楽しいけれどこの人間はそんなにのんびりしていたくないらしいし…」

一方通行「まァ、…今日はどっちにしろすることねェからな。何か良い本でもあれば読ませてもらおうとは思ってた」

レミリア「読み物しそうな顔じゃないのにねぇ」

一方通行「あァ、はいはい。これでも外じゃ優秀な方なンだよ、これでもなァ」

レミリア「あなたには…そうね、幻想郷の妖怪のことについて書かれた本なんかどうかしら?」

一方通行「ここらの不可思議集団を知るには良さそうだな」

魔理沙「あー、幻想郷って変なヤツおおいもんな~」

レミリア「あなたもその内の一人にカウントされてるわよ」

アリス「でも、なかなか謙虚な外来人じゃない。たまに来る外来人はありえないありえないと連呼して死んでいくし」

パチュリー「それもそうね。大事なのは相手を知ろうとすることよ。外来人って頭の固い連中が多いって言うし」

一方通行「そりゃ、外じゃ不可思議なことは科学的に解明されてるからな…」

魔理沙「じゃーあんたは? なんで私らのことを知ろうとするんだ?」

一方通行「………突き詰めれば俺もオマエらと似てるかもしれねェからな」

魔理沙「あー、そういや文屋が何か言ってたなぁ。あんたもよく解らない力があるとかなんとか…」

アリス「あぁ、そういえば私も聞いたわ」

パチュリー「初耳だわ。聞かせてもらおうかしら」

ジリジリ

一方通行「は?」


数時間後

トコトコ

一方通行「…………はァァ…」

一方通行「くっそ、結局超能力の説明だけで終わっちまった…」

一方通行「これから知らねェ連中に会うたびに同じような説明しなきゃならねェよォになンのかねェ…」

一方通行「はっ、…くっだらねェ…」

フラン「あれ? 人間?」

一方通行「あ?」

フラン「人間だ。見たことない人間。うふ、うふふ。なぁに? 咲夜が捕まえてきたの? お夕食用? でも、それにしては食べるところなさそう」

一方通行「客人だ。手ェ出したら家主に怒られンじゃねェの?」

フラン「お姉様の客人? 珍しい。お姉様にお客様が来るなんて。ねぇねぇ、フランとも遊びましょう。あなた今からフランのお客様ね」

一方通行「フザけンなクソガキが。俺はオマエに付き合ってる暇ねェンだよ」

フラン「私の部屋はあっち。ほら行きましょう」グイグイ

一方通行「お断りだ。ただでさえ今日は収穫なしで疲れてンだ」

フラン「ダメなの?」

一方通行「ダメだ」

フラン「じゃあ死んじゃえ」ニタリ


一方通行「!?」カチッ

ボゴッ

一方通行「照明が…凹ンだ?」

フラン「あれ? なんでだろ。焦点がズレた。おかしいの。…まぁいっか」

フラン「ねぇ、咲夜知らない? 退屈なの。…ん、この際咲夜じゃなくてあなたでいいや。ほら、フランの部屋に行きましょう」

一方通行「話がループしてンぞクソガキ」

フラン「はぁやぁくぅ」

一方通行「あァ、クソ。昼飯以外いいことなしじゃねェか…」

フラン「あのね、フランの部屋は地下なのよ。今は暇だからここから出てきたの。今は割といつでも出られるのよ。素敵でしょ?」

一方通行「今は?」

フラン「前は出れなかったの。でも、特に寂しくはなかったのよ。だって、一人だったから。一人しかいない世界だったから」

一方通行「ふゥン…」

フラン「でも、今はずーっと一人でいると寂しいの。だから外に出るのよ。495年も一人でいれたのに、今は1日持たないもの」

一方通行「………」

フラン「ねぇ、あなたは外楽しい? フランは楽しい。だって、毎日見たことないものばかり。私、もしかしたら最近生まれたばかりなのかも」

一方通行「…………どォだろォな…。嫌なことも山ほどあンだろ」

フラン「そっか。楽しいのね」

一方通行「今の短い文章のどこに楽しさ感じる言葉があったよ?」

フラン「だって、嫌なこと山ほどあっても、あなたが生きてるってことは楽しいことも山ほどあるからでしょう?」


一方通行「…………そォいう考え方は…、割と嫌いじゃねェな…」

フラン「それは好きってことだ。うふふ。あなた、捻くれるフリが下手ね」

一方通行「めんどくさいガキだ…」

フラン「ねぇ、紅茶飲む? あ、ちゃんと人間用の紅茶ね。あなた面白いから私が淹れるわ。
    ほら、咲夜がいつでも紅茶が飲めるようにポットを置いてくれたの。あなた何がいい? ダージリン? セイロン? アールグレイ?」

一方通行「コーヒー」

フラン「アールグレイね」コポコポ

一方通行「はー…なンでマジでコーヒーと巡り会えねェンだろォなァ…。もォ、裏でそう工作してるヤローがいるとしか思えねー」

フラン「私ね。外出たらみーんな壊しちゃうんだって。その気になればすべてのものを壊せる。だからね、閉じ込められてたの」

一方通行「そりゃ…ゴクローサン」

フラン「フラン解ってた。だから、この扉を開けることもなくここにいた」

フラン「だって、きっと妖怪だらけの幻想郷でも化け物だってことなの。…なんて、そう思ってた」

一方通行「心境の変化でもあったのか?」

フラン「うん。前に面白いことがあったから。それから気付いたの。…私がここから出れないのは化け物だからじゃなくて、
    力に頼りきりで、なんでもかんでも力に頼ってただけだったから。私より化け物はたくさんいるのに、どうして私だけ閉じ込められてるのかって。
    当たり前よね。本当に強いやつは、力だけに頼らないもの。私は、力を誇示しながら、誰か遊んでよ。って叫んでた」

一方通行「………」

フラン「紅茶、飲んで」

一方通行「…」ゴクゴク

一方通行「…うまい」

フラン「えへへ…」




ここまで。フランと会わせるのは最初から決めてました。
それでは、まあ…その内来ます。すみません。

age忘れたから今上げます。どんまい。

なんか遅くてごめん。


一方通行「………外出てみりゃ…」

フラン「ん?」

一方通行「意外と、悪くねェもンだって…気付くンだよな」

フラン「ね。時間かかっちゃったけど、私もやっと気付いたわ」

一方通行「オマエらどうせ長命か不老不死だろォが。時間なンてあってないようなもンじゃねェか」

フラン「そうね。あなたは早めに気付けた?」

一方通行「………少し、遅かったかもな」

フラン「それじゃあ大丈夫ね」

一方通行「なンでだよ」

フラン「だって、気付けたんだからっ」

一方通行「……はァー…」

フラン「うふ、うふふ。あなた気に入っちゃった。ね、人間やめてここでフランとずっと一緒に遊びましょうよ」

一方通行「勘弁。そしたらオマエまた引きこもりそォだしな」

フラン「うー」

一方通行「それに、俺は幻想郷の住人じゃねェ。外来人ってヤツだ。住む世界が違うンだよ」

フラン「外来人…」

一方通行「ま、向こうに帰る前にまた遊びに来てやる。その時にゃコーヒーをッ!?」

ガバッ


フラン「外来人!!ねぇ、ねぇねぇねぇ!素敵!フランにいっぱいお話して頂戴!あなたの世界はどんな世界なの!? 
    きっとフランが知っているどんな物語よりも素敵なお話だわ!この幻想郷にあるありふれた物語よりも刺激的で魅力的!」

一方通行「だァから、時間切れだクソガキ!俺はあの守銭奴がさつ巫女ンとこ行かなきゃ」

ガチャ

レミリア「泊まっていいわよ。歓迎してあげる」

一方通行「は?」

フラン「お姉様っ。こいつフランがもらうわ!こんなに楽しい日はあの時以来なの!」

一方通行「は?」

レミリア「ダメよ。こいつは博麗の巫女の監視下にいるの。…まぁ、一日レンタルの許可は取り付けたから今日だけは好きにしていいわよ」

一方通行「は?」

フラン「んー、まぁそれで手を打つわ。巫女はあまり怒らせたくないもの」クスクス

レミリア「ふふ、物分かりが良くて助かるわ。では夕食にするわよ。フランも、上で食べましょう」

一方通行「おっ、おい!!」

レミリア「何かしら」

一方通行「何かしら、じゃねェよ!クソガキ!!本人の意思を無視して何勝手に…」

レミリア「夕食は昼と同じ肉料理で申し訳ないけれど牛肉を使った咲夜特製のハンバーグよ」

一方通行「よし来た」ガタッ


食堂

咲夜「お嬢様も、妹様も…こんな人間のどこがいいのですか?」ハァァ

一方通行「こっちが聞きてェよ」

レミリア「ふふ、それは同族嫌悪かな? 咲夜」

フラン「同じ人間だし、色合いも似てるし、雰囲気もちょっと似てるものね」

一方・咲夜「「やめてください」」

一方通行「こンな殺気立ってる落ち着きのねェメイドと一緒にすンな」

咲夜「こんな無愛想で上品さのかけらもない人間と一緒にしないでください」

一方・咲夜「「真似すんなっ!」」

レミリア「一周通り越して意外と仲良くなれるかもしれないわね」

フラン「咲夜にも渡さないんだから」

咲夜「妹様、こんなヤツはこっちから願い下げです。も、もう…早くお召し上がりくださいませ」

フラン「はぁい」


レミリア「それにしても、おもちゃに与えて暇つぶしになればいいとは思っていたけれど…フラン、こいつのどこが気に入ったの?」

一方通行「おい、俺がこの扱いになれたと思ってンじゃねェぞ」

フラン「そうねぇ…。咲夜が同族嫌悪してるけど、私は同族好意?」

レミリア「ふぅん…」

フラン「人間と同じというのもなんだか癪だけど、似てると思うの。密度は違えど、似たような経験をしてるはず。ねぇ?」

一方通行「どォだかが。オマエらと比較したら俺は赤子みてェなもンだろ」

レミリア「あなた、自己評価が低いのね」

一方通行「俺の持ってる能力全般は過信どころじゃなく最高峰だと自負してるけどな。それ以外が欠陥品ってだけだ」

フラン「いいじゃない。人間らしくて」

一方通行「妖怪の価値観わけわかンねェ…」


翌日

霊夢「全く、あんたって妖怪に好かれるタイプなのかしら」

一方通行「知るかよ…」

フラン「今日は日差しが強くなくて助かったわ。昼の外出なんて久しぶりだもの」ギュ

霊夢「こうしてると兄妹みたいね。子どもの扱い慣れてるのかしら?」

一方通行「多少はなァ…」

フラン「失礼ね。この場ではフランが最年長よ。敬ってほしいくらいにね」

霊夢「はいはい。それじゃお茶くらい淹れてあげるわ。入れてきて」

一方通行「俺かよ…」トコトコ


フラン「…あいつ、何者なの?」

霊夢「さぁ。とりあえず、「今はまだ外に出すな」とのことよ」

フラン「あの妖怪が何を考えてるか、さっぱり解らないわ」

霊夢「どうせ、くだらないことよ。考えるだけ無駄ね」

フラン「とにかく、妖怪に好かれるヤツなのは解ったわ。あの雰囲気は普通の人間じゃないもの。咲夜とも違う…別の力の流れ…」

霊夢「考えるだけ無駄よ。どうせ大した理由なんかないわ」

フラン「霊夢も、あいつのあのよく解らない力に惹かれたからここに置いているんじゃないの?」

霊夢「どうかしらね。それこそ大した理由なんかないのよ」

フラン「まぁ、あなただしね…」


ガラッ

一方通行「おらよ」

霊夢「次は境内の掃除よろしくね」

一方通行「ふざけンな」

フラン「フランも手伝う。面白そう」

一方通行「日傘差した状態で出来ンのかよ」

霊夢「大丈夫よ。あんたは杖つきながら掃除出来るじゃない」

一方通行「オマエ本当に鬼だな」

霊夢「なんとでも」

フラン「平気。今日は陽が強くないから。ほら、行きましょう」グイグイ

一方通行「あァ、クソ。なンかうまく嵌められた気がするな…」トコトコ



霊夢「………」

霊夢「どうせ、小さな異変でも起こして暇つぶしでも考えてたんでしょう?」

紫「どうかしらね?」

霊夢「緘口令までしっかりやって、あいつを幻想郷に閉じ込める気なの?」

紫「いやだわ。人聞きの悪い…。ちゃんと満足したら元の場所に帰してあげるわよ」

霊夢「…まぁ、今のところあんたもそれ以外面倒なことしてないみたいだし…」

紫「あなたが言ってたじゃない。「大した理由なんかない」って。その通り、なんじゃないかしら?」

霊夢「はぁ…。胡散臭いにもほどがあるわ…」




紅魔館編終わり。

次はどうしようか。そろそろ妖怪退治させたいっす。のんびりお待ちください。

あ、このキャラ出してほしいとかありますか?
最近のキャラほどついていけてないんだよなぁ。空は好きなんだけど…。

暇なようで割とばたばたしてるかもしれないです。筆が進まないのもありますが。
結構書いたと思ったら4投下分しかなかったですが、いつも通りゆるい感じでどうぞ。








一方通行「妖怪退治?」

霊夢「ついてくる?」

一方通行「めンどい」

霊夢「でしょうね。足手まといだと思うからそれが正解よ」

一方通行「餅は餅屋だ。さっさと行け」

霊夢「夕飯の支度よろしく!」

一方通行「はっ、はァァ!?」

ブワッ


ヒューン


一方通行「くそっ、言い逃げしやがった…」

一方通行「……はァ…」

空「こんにちはー」

一方通行「あ? 霊夢ならたった今出て行ったぜ? あっちの方角だから追いかければ今なら間に合うはずだ」

空「ううん。博麗の巫女にも用があるけど、必要なのはお茶と空腹を緩和するおいしいものよ」

一方通行「あいつ必要ねェじゃねェか…。つーか場所はここじゃなくてもいいだろうが」

空「いいでしょう。何も問題ないって」

一方通行「オマエ烏天狗だろ? だったら妖怪の山で食え」

空「失礼だなぁ!私は地獄鴉の八咫烏だよっ」エッヘン

一方通行「八咫烏ゥ? 足が三本でもあるってか?」

空「やだなぁ。私は二本しか足ないよー」

一方通行「八咫烏っつったら足が三本あるだろォが…」

空「………あれ?」


一方通行「………とりあえず茶くらいは出してやる。他に用がないならさっさと飲んで帰れ」

空「えっ? おもてなししてくれるの? ありがとう!」

一方通行「茶と茶菓子要求したのはそっちだろうが」

空「………あれ? そうだっけ?」

一方通行「……………。あァ、鳥頭ってことか…。賢い烏の名が廃るな、こりゃァ」

空「うにゅ?」

一方通行「……えーと、茶葉は…」トテトテ

空「お邪魔しまーす。そういえばあなたは神社にいるから巫女なの?」

一方通行「………以前からここにいる連中に聞きたいことがあったンだけどよォ…」

空「何かな?」

一方通行「俺はそンっなに!男に見えねェのか!?」

空「さぁ? だって神社にいるのは巫女しかないよ」

一方通行「男だっているだろォが。神主とか…」

空「幻想郷の神社には男いないし」

一方通行「………雪女には見えるか?」

空「言われれば見える、かな」

一方通行「………やっぱ色か…」

空「あなた色以外特徴ないからね」

一方通行「地味に傷付くな、今の…」

空「お茶ーまだー」バタバタ

一方通行「うっせェ!」


数刻後


空「それで、さっき間欠泉地下センターから出てきてふらふらしてたの」

一方通行「なンでこっちでも実用化が困難な核融合をこの烏が使えるンだよ…。不条理すぎンだろォが…」ハァァ

空「そこはかとなく馬鹿にしてるねぇ…?」

一方通行「まァ…これも幻想ってヤツなンだろォな…」

空「そして勝手に納得された」

一方通行「しっかし…、技術的に遅れている箇所があれば現代を軽く凌駕する技術があったり…不可思議なとこだな…」

さとり「神様の力がこの幻想郷に蔓延っているのだから、当然だと思うわ」

一方通行「オマエ…」

さとり「初めまして。私は地霊殿の主で空の飼い主の古明地さとりです。ここに来た目的は空の道草にちょっぴり制裁を、ね?」クスッ

空「ふぇぇーっ!?」

一方通行「…そォかよ。ならさっさと連れて帰ってくれ」

さとり「あら、心では空の話が興味深かったのに? あなたは素直じゃない人なのですね」

一方通行「…………」

さとり「うん。当たりです。すごい、一瞬で当ててしまうなんて…。そう、私は心を読む妖怪…」

一方通行「そンな厄介な妖怪までいンのかよ…」

さとり「…超能力? 妖怪でなくてもそのような力を保有する人間が…。へぇ、人間も人間でやはり悪趣味なことを考えて日進月歩してるのですね」

一方通行「あァ、クソ。面倒だ…」

さとり「ごめんなさい。…それにしてもあなたの思考はとても速いのね。こんなにあふれんばかりの思考は初めて。それなのに、しっかり整理されていて
    人間ではないみたい…、あ、いいえ、ごめんなさい。思考の端に見えるものはとても人間らしくて可愛らしい。あら、とても可愛い女の子…」

一方通行「だァァ!もォそれやめろ!!!」

さとり「情報量が多過ぎて私も少し疲れました。お茶、いただいていい?」

一方通行「………」

さとり「…そう、諦めは大事ですよ、人間さん」

一方通行「お茶、淹れてきまァす…」トボトボ


空「さとり様。一緒にお茶出来て嬉しいですっ」

さとり「えぇ、私もよ。案外落ち着くのよね、この神社」

空「えへへー」

さとり「それはそれとして。間欠泉センターに戻ってこないと燐から報告があったのだけど…」

空「………あは…」

さとり「そうよ。私にごまかしは効きません」

空「うっ、うぅ…」

一方通行「心が読めるってのは便利なのか厄介なのか解らねェなァ…」

さとり「私は便利さが勝っていると思います。…私にはペットが多いから意思の疎通が出来ますし…」

一方通行「けど、その能力は…」

さとり「…えぇ。もちろん、人や妖怪には疎まれます。…だから、私は地霊殿から出ることは滅多になかった…」

空「今のさとり様は毎日楽しそうですよね。私も嬉しいですっ」

さとり「ありがとう」

一方通行「で、今出てる理由は?」

さとり「博麗の巫女たちです。この子が以前ちょっとした異変を起こしてしまって、それを巫女たちが解決に来て…ね」

一方通行「あいつ、色々やってンだな」

さとり「ふふ」

空「霊夢はすごいと思うよ、実際。あなたは神社にいるのに妖怪退治とかしないの?」

一方通行「俺はただの人間だからな」




空はすげー好きなんだけど、地霊殿メンバーの創作物をあまり見ないからキャラを落としきれなくて難しい。
っていうか昨日までずっと地霊殿を「じれいでん」と読んでたよ。すいません。
空のテーマ曲や東方闘犬劇は大好きです。

>>1

>>316 えェ、怪物やめて、只の人間になった!

幻想郷で、心が折れたのか…

こいつっていま手回し発電で充電だろ?
もし能力で発電できたら力学の法則に反するよな……
そういうところどうなってんだろ禁書って
似非科学とは分かっちゃいるけど気にはなる

>>330
美琴「…………。」
打ち止め「…………。」
妹達「「「「…………。」」」」
番外固体「…………。」
他電気能力者「…………。」

>>323
ホンモノの怪物たちの中で「俺怪物です」なんて失笑ものかと思ったので&人間だから面倒に巻き込むなというニュアンスです。
あと>>338の人気に嫉妬。




空「あなた旧地獄行ってみない? 地霊が多いけれどあまり害はないだろうし」

一方通行「旧地獄、ねェ。ンなとこは真っ平御免だ。大体この神社の境内の裏にばンばン霊が出てくるらしいンだよ。幸い俺はまだ見たことねェが、
     何度かそれっぽい現象に遭遇してる。しかも、胡散臭い妖精が近くに住み着いてるみてェだしなァ…、………」

さとり「…「あァ、なンでこンな非科学的な単語口にしてンだ俺は…」」

一方通行「やめろ」

空「うぅー、それじゃあこの退屈をどう紛らわせればいいんだろー!」バタバタ

さとり「退屈じゃあないでしょう、あなたは」

空「あうー…」

さとり「…全くもう、しょうがない子ですね。それなら、お使いを頼まれてくれないかしら?」

空「お使いっ!はい、さとり様のお願いでしたら喜んで行きますよ!」

さとり「永遠亭へ、お薬をもらってきてほしいの。ほら、こいしが昨日から調子が悪いでしょう。症状はここに書いてあるからこのメモを医者に渡して頂戴」

空「えぇ、お任せください!それじゃあ、行きましょうか!」グイッ

一方通行「当然のことのように俺の腕をひっぱるのやめてくれませンー? 大体俺は、」

さとり「夕食でしたら、私が用意しておきますよ。空の面倒を見てくれるお礼も兼ねて」ニッコリ

一方通行「…………、俺はオマエが苦手だ…」

さとり「嫌いではないんですね。安心しました。いってらっしゃい」

空「はいっ、行って参ります!」

一方通行「はァ…、なンでいつもこォなるンだ…」


人間の里

空「あれれ、なんだかいつもより人通りが少ないかもしれないわ…」キョロキョロ

一方通行「いつもこンなンじゃねェのか?」

空「…そうかも? そんな気がしてきた」

一方通行「で、永遠亭っていうのはこっちの方向でいいのかよ。オマエの道案内不安なンだが…」

空「合ってるよ!合ってますぅ!いいの大丈夫安心して!」

一方通行「オマエだけが頼りなンだぞ? この年になって迷子なンてなりたくねェからな」

空「こっちから抜けれるから!やめてちょうだい!そんな目で見ないで!」

一方通行「あァ、ちょうどいい。そこに人がいるから合ってるか聞くぞ」

空「ひどいっ!」

一方通行「あのォ…?」

女性「あっ、あの!このくらいの男の子を見ませんでしたか!?」

一方通行「………は?」

空「どうしました?」


女性「このくらいの背丈の子どもがっ…、昨日から…帰って来なくて…」フラフラ

一方通行(あー…。これは面倒事に巻き込まれるパターンだ…)

空「えっ、大変じゃない?」

女性「私が、病気になったので…。恐らく…あの迷いの竹林にある薬屋に行ったのだと思うのですが…けほっ、ごほっ…」

空「それなら私たちもその薬屋に用があるから、探してあげるわ」

一方通行(ほらなァ!!)

女性「…あなたは、妖怪…ですよね…?」

空「そうよ。巫女じゃなきゃダメかしら?」

女性「いえ…、ここ最近満月が近づいているせいか妖怪が活発化しているようで…。もしかしたら、子どもも…妖怪にさらわれていないかと…」

空「あ、そういえば最近調子いいと思ったらそっか、満月なのか…。ま、いいや!行こう!」

一方通行「オマエ、霊夢より強引だよな…」

空「えっへん!」

一方通行「一切褒めてねェっつの」


魔法の森の外

一方通行「しっかし、ここの妖怪も人間襲うンだな…」

空「そりゃ襲うよ。必要なときはね」テクテク

一方通行「ふゥン。……まァ、それはいい。それよりだ、俺はこの場所に見覚えがある」

空「魔法の森来たことあるんだ?」

一方通行「やっぱりな!!! 薬屋があンのは竹林だろォが!!! オマエ絶対迷子になってンだろォが!!!!」

空「ちっ、違うってば!子ども探しだよ!」

一方通行「ガキも竹林行ったっつってただろォが!!!」

空「い、いるかもしれないもん!」

一方通行「もうオマエダメだ。ダメだ…」

空「空飛べたら楽ちんなんだもん!あなたに合わせてたからだもん!」ジタバタジタバタ

一方通行「うっせェ、駄々こねンな! 妖怪と遭遇したらオマエが相手しろよ。そうすりゃ少しは許してやる」

空「ふっふー!それならお任せあれだ!うりゃー!妖怪でーておいでー!」ガサガサ

一方通行「なンで森の中入ってくンだよ!!」

空「だって妖怪ってこの中にいそうじゃん」ガサガサ

一方通行「オマエなァ、道中で見つかればそれでいいってあの女も言ってただろォが。無理して探す必要は…」

スッ

一方通行「!?」

空「うにゅ?」

一方通行(何か、今視界が不自然に…、いや…日差しが…無理やり遮られたような…)

空「どうしたのかしら?」


一方通行「オマエがぎゃンぎゃン騒ぐから妖怪さンがお出ましのようだぜ?」

空「やったね! それで、そいつはどこにいるの?」

一方通行「……今、一瞬上空を通過したと思う。光のベクトルが変に曲がったからな…」

空「うん? とにかく、私にも確認出来れば、あとはどーんと任せておいて!」

ルーミア「わぁ、また人間発見! 久々に食べたけど、やっぱりおいしいものはいいわよね」

一方通行「………オマエが妖怪か? いや、外見で騙されるのはナシだな…」

ルーミア「妖怪だよ。あなたは食べるところが少なさそうだけど、昨日捕まえた子どもと一緒に食べればちょうどいいかな」

一方通行「こンくらいのガキを捕まえたのはオマエか。もう食っちまったのか?」

ルーミア「ううん。今日のお夕飯のメインディッシュの予定。あなたも一緒においしく食べてあげる」

一方通行「お断りだ」

ルーミア「うふ、それじゃあたくさん抵抗してほしいな」ゾワワワ

ザザザ・・・

一方通行「やっぱり、日差しを遮ったのはオマエか」

ルーミア「私の拡散した闇の中で怯え苦しむがいい、人間さん」

一方通行「生憎、抵抗するのは俺じゃなくてこっちの妖怪だ。ほら、出番だぞ」

空「うー、…真っ暗で何も見えないー…」

一方通行「………は?」

空「私、真っ暗苦手…。ねー、どこにいるのよー…あぅんっ!?」ゴチッ

ルーミア「あ、木にぶつかった。あははー、おまぬけさーんっ…ぎゃうん!?」ゴチン

一方通行「…………はァァ…」ガックシ


ルーミア「ぬむむー!命のやり取りしてる時にその溜息は失礼じゃないかしら!」プンプン

一方通行「この間抜けどものやりとりのどこが命のやり取りなンだよ。何も危機感感じねェぞ」

空「うぐー…、顔が痛いぃー…。うー、どこだー妖怪ー!ふぃぎゃ!」ドテッ

一方通行「オマエもう動くな。自滅すンぞ」

空「うっうっ…、この妖怪強いよぉぉー…。へぶぅ!」ドターン

一方通行「だからその場から動くなっつの。オマエも自分で場所を把握出来ないなら辺りを暗くすンのやめろ」

ルーミア「やだ!そしたらあなたが逃げるじゃない!」

一方通行「仕方ねェ…」カチッ

トッ タタン タン

ルーミア「移動したっ? どこに…」

一方通行「はい、捕獲」ガッ

ルーミア「あわわ、いつのまに後ろに!っていうか離してー!」バタバタ

一方通行「仕掛けが解らないなら、下手に動かない方がいいンじゃねェの?」

ルーミア「…うー…。解ったわよ。降参します…」

サァァ

空「あ、明るくなった…。って、うわわ、私すごい傷だらけ!くっ、いつの間にこんな攻撃を…!」グッ

ルーミア「恐れ入ったか!」

一方通行「あァ、すげェすげェ。だから、ガキも解放しろ。あいつの母親が病気で薬が必要なンだとよ」

ルーミア「そういえば、母さんに薬が必要って言ってたっけ。いいわ、解放してあげる」

一方通行「随分物分かりがいいな」

ルーミア「負けちゃったのは事実だもの。しかも人間に。…人間に負けたのは白黒魔法使いと博麗の…」

霊夢「見つけたわよルーミアー!!!」ドカッ

ルーミア「みぎゃぁ!」ズザザー

空「うわ、豪快なキック!」


一方通行「何してンだ霊夢…」

霊夢「あら? あんたどうしてここにいるのよ。夕飯作っててよ。ほーら、ルーミア。あんたでしょ、ここ最近人間を襲って遊んでるのは」

ルーミア「妖怪は人を襲うものよ。私以外の襲っている妖怪だってたくさんいるじゃない」

霊夢「まぁ、とにかく妖怪退治の依頼をされてしまったからには手頃な妖怪をとっ捕まえないといけないのよ」

ルーミア「あら残念。今まさに退治されたところよ。そこの人間に」

霊夢「へ?」

一方通行「退治っつーか、降参させただけだ」

ルーミア「気付いたら後ろに回り込まれてたの。手の内が解らないから大人しく降参したけど、どうやったのかしら…」

一方通行「視界は真っ暗で塞がれてるが、音は通るからな。コウモリが超音波で飛ぶのと同じようなもンだ。音が跳ね返った部分に障害物またはターゲットがいる。
     視界が遮られる前のここは周りに木しかねェ。ぎゃンぎゃン喚いてたからオマエの位置は把握してる。あとは木を使って跳躍して後ろに回り込むだけ」

ルーミア「………仕組みは解ったけど…、人間にそれが出来るの?」

霊夢「出来るんじゃないのー? まぁ、これに懲りたらあまり人間を襲わないようにね。あんた元々人間なんて滅多に襲わないんだし、我慢出来るでしょう?」

ルーミア「まぁね。でも、たまには食べたくなるのよ。今は満月が近いから、みんなそう。…けど、まぁ「あんま調子乗ると博麗の巫女に飛び蹴りされる」って、警告はしとくわ」

霊夢「警告ねぇ、すでに適当に遭遇した妖怪たちには「警告」しておいたから無駄にならなきゃいいけど」

ルーミア「はぁ。手当が必要かも…。子どもは、こっちよ、来て」フヨフヨ

霊夢「子ども…。あぁ、子どもが昨日から行方不明だって言う話もあったわね。解ったわ、案内してちょうだい」テクテク

空「ねぇ、私も手当してほしいんだけど…」テクテク

一方通行「オマエ、当初の目的忘れてねェよなァ…」テクテク




ここまでです。以前ハンタ待つ気持ちでって言ったけど今ハンタ長期掲載してるんですね。俺も少しは富樫先生見習います。

あけましておめでとうございます。今年も気長にお付き合い下さい。



子ども「ありがとう。お姉ちゃんたち」

空「このメモを医者に見せればいいのね。薬はちゃんと届けるわ」

霊夢「あんたに持たせてると無くしそうだから、こいつに預けるわよ」ヒョイ

空「あーんっ!」

一方通行「別にこいつでも構わねェぞ。内容は覚えたしな。無くしても問題ねェ」

空「それって、私がメモ持ってる意味ないじゃない」

一方通行「持ちたかったンだろォ? ほら、持ってろよ」

空「うぐぐぐ…」

ルーミア「あなたたち早く行かないと日が暮れるんじゃない?」

空「夏は日が長いから大丈夫よ」

ルーミア「まどろっこしい言い方はやめるわ。『さっさと行ってちょうだい。私は忙しいの』」

霊夢「はいはい。あんたももう面倒起こさないでよ? あぁ、でも退治すれば色々野菜とかお米貰えるし、やっぱ暴れてほしいわ。思い切り」

一方通行「暴れて里の人間減ったら貢物も減るだろォが」

霊夢「さじ加減が大事なのよ。さ、母親のところへ帰るわよ。掴まって」

子ども「うん」ギュ

霊夢「あんたも早く帰ってきなさいよ?」

一方通行「飯は他のヤツが作ってるから平気だぜ?」

霊夢「失礼ね。たまには居候の心配くらいするわ」

ヒューン




迷いの竹林前

空「ほら、ちゃんと着いた」

一方通行「へェ、竹林なンて初めて見たな……」

空「ちょっと、ちゃんと着いたって言ってるじゃない!」

一方通行「ちゃンと着くのが普通なのに、そンな偉そうな顔してンじゃねェよ。ようやく普通のラインに立っただけだろォが」

空「うぐー!」

妹紅「やあ。ここで会うのは初めてね。どうしたの? 案内希望?」

一方通行「オマエは…、確か博麗神社の宴会にいたな」

妹紅「ぐでぐでに酔ってたのに覚えてたんだ?」

一方通行「物覚えはいい方だから…」

妹紅「んで、あれから酒は強くなった?」

一方通行「一口も飲ンでねェよ。つーか、あの時のことは全部忘れろ」

妹紅「あはは、でもここで……、特に博麗神社で生きていくなら強くなっておかないと大変だと思うよ」

一方通行「そのつもりはねェから必要ない。つーか、俺らはこの先にあるっつー医者ンとこに用があるンだよ。じゃァな」

妹紅「おっと、何も知らない素人さん。ちゃんと人の話は聞くべきだ」

一方通行「は?」

空「ここは迷いの竹林って言って、普通の人間はおろか、妖精ですら迷う竹林なの」

一方通行「なンで、ンなとこに病院があンだよ」

妹紅「隠れる必要があったから、かな?」

一方通行「ふゥン? ま、ンなことはいい。医者の元へ行くにはどうすればいい?」

妹紅「私が案内すれば、確実」

一方通行「へェ?」

妹紅「この竹林は熟知してるからね。おいで、案内してあげる」

空「よろしく~」

一方通行「頼む」

妹紅「お任せあれ」



トコトコトコ


空「うーん……」ジーッ

一方・妹紅「「何?」」

空「もしかして、あなたたちは同じ種族なのかなぁ、って」

一方通行「結局色判断なンだな」

妹紅「そちらさんは天然もの。こちらさんは経年劣化、じゃないかな?」

一方通行「純日本人だから元々黒なンだけどな。俺もある意味経年劣化か……退化なのかもな」

空「???」キョトーン

妹紅「けど、あんたは綺麗な色してるじゃない。肌まで氷雪のようで」

一方通行「綺麗っつーか、不気味なだけだろォ。ここは妖怪が多いからいいかもしンねェが、俺ンとこじゃ無駄に目立つンだよ」

空「そうか、あなたって大人しいから目立つのは苦手そうだものね」

妹紅「悪目立ちするのは納得だね。苦労してそうだ」

一方通行「人間っつーのは、自分と違うものを排他しようとするからな。自己防衛の一種なンだろう」

妹紅「強くないから、仕方ないさ。そうやって自分の体と心を守らなくてはいけない」

空「うーん……。あなたは迫害でもされていたの?」

一方通行「さァな。そこまで不運な人生送ってるつもりはねェよ」

空「……まぁ、いいや。後でさとり様に聞いてみる」

一方通行(……どうせ、聞くときにゃ忘れてンだろ……)



妹紅「妖怪さとりか。あはは、その様子だと色々読まれたんだね。どうだった?」

一方通行「どうもこうもねェよ。……っつーかあいつは、俺が不快感を感じればそれもすぐ解っちまうンだろう? なンで、平然としていられる?」

空「平然となんて……してないよ……。だから、今までずっと地霊殿にいた。旧地獄の中にある、地霊殿。そう、ずっと地霊殿の中で過ごしていた……」

一方通行「……あの、宝石羽のガキみてェな状態ってことか……」

妹紅「お、あの吸血鬼の妹に会ったの? よく生きてられるね」

一方通行「まァ、多少どっかイっちまってるとこがあるが……。……あー……なンつーか、それほど悪ィヤツでもねェよ」ガシガシ

空「なに? なになに? 煮え切らない。全部話してよ、気になる!」

妹紅「それこそ、あんたのとこの主が必要ね」

空「うにゅぅ! さ、さとり様呼んでこようかな!」ウズウズ

一方通行「オマエ、絶対目的忘れてンだろ……?」

空「忘れてない! 薬! こいし様の薬! 子どもの薬も!」

一方通行「おー、よく出来ましたァ」パチパチ

妹紅「いやー、見事にここに馴染んで来たわねぇ」

一方通行「ぐ……」

妹紅「その様子だともう何度も言われてるみたいね。不本意だろうけど」

一方通行「あー、クソ。自分を見失わねェよーにしねェとな……」



永遠亭

鈴仙「……あら? 妹紅さん、こんにちは」

妹紅「や、こんにちは。鈴仙。お客さんを連れて来たよ」

鈴仙「いつもご苦労様です。良かったらお茶でも……」

一方通行「あ」

鈴仙「……出口は、あちらになりますよお客さん?」ニコッ

一方通行「まだ怒ってンのかよ……。だから、あれは酒飲まされてやったことだし、記憶もねェし、故意でもねェンだよ」

鈴仙「ふんっ!」プイッ

一方通行「どォすりゃいいンだよ……」

妹紅「さぁ?」

一方通行「大体、オマエみてェなガキにゃ興味ねェし。酒だって飲みたくて飲ンだワケじゃねェし……。悪ィのは酒飲ませた連中だろォが……」

空「それって責任転嫁?」

一方通行「責任転嫁じゃねェよ。宴会になンか最初っから参加する気が無かったのに、神社から引きずり出されて鬼のガキが飲ませたンだよ」

鈴仙「さ、触ったのはあなたの意思でしょう!?///」

一方通行「だァから、記憶もねェし、故意でもねェつってンだろォ」

鈴仙「あ、あああああれがあなたの本性なんだぁ!」

一方通行「だから、どォすりゃいいンだよ……」

てゐ「こうすれば、いいんじゃないっかなー!」

ドン

一方通行「はっ?」ガクッ

鈴仙「ひぇ、あ!?」

モニュ




一方通行「………………」

妹紅「あー、顔面から行っちゃった……」

空「それってセクハラって言うんでしょ?」

てゐ「ほら、これで胸を揉んだのは帳消し!」

鈴仙「………………」スッ

妹紅「鈴仙、それ……」

鈴仙「……スペルカード、「幻朧月睨」……」

てゐ「ちょ、ちょちょちょちょ!!! 鈴仙ストップ! ストップゥ!」ガバッ

鈴仙「こっ、この変態人間がぁぁぁ!///」ゴッ

一方通行「ごふっ」

空「うわぁ、見事にお腹に決まったね」

妹紅「患者が一人増えたわ」

鈴仙「適当にお茶していってくださいっ!!!」プンプン ツカツカツカツカ

てゐ「あー、行っちゃった。仲直りさせようとしたのになぁ~」

一方通行「おれが、なにしたって、いうンだよ……」プルプル

妹紅「まぁ、タイミングが悪かったんだろうね」



永琳「あら、こんにちは。初めて見る顔もいるわね」

妹紅「薬が欲しいんだとさ」

空「はい! メモ! これ! メモ! メモ!」ズズイッ

永琳「はいはい、預かりました。で、あなたは腹痛か何か?」

妹紅「鈴仙の右ストレートが決まったのよ」

一方通行「あの兎女……クソ……」

永琳「珍しいわね。あの子が人間に暴力をふるうなんて……何をしたの?」

てゐ「前に言った、鈴仙にセクハラした人間よ、お師匠様」

永琳「ふふ、それは災難だったわね。うちのてゐがごめんなさい。代わって謝罪するわ」

てゐ「はう!?」

一方通行「全くだ」

永琳「薬を調合するから、別室でお茶でも飲んでいてくださいな。おもてなしするから」

空「やったね!」

妹紅「それじゃ、あがらせてもらうよ」

一方通行「……はァ」

永琳「お腹、大丈夫かしら? ちょっと見せて」

一方通行「別に平気だ。この服脱ぎにくいしな……」

永琳「あとで塗り薬をサービスしておくわね」

一方通行「そォかい」



てゐ「うーん。鈴仙がお茶出し嫌がってるからって、なんで私が……」

輝夜「あら? 何してるの? また何かいたずら仕掛けてるの?」

てゐ「姫様。そんな四六時中いたずら仕掛けてるなんて、心外!」

輝夜「はいはい。それじゃあ患者さん?」

てゐ「お客さん、かな。さっき一人人間が患者さんになりかけたけど……」

輝夜「人間、ねぇ」

てゐ「ほら、あの博麗神社に来た外来人!」

輝夜「へぇ、面白そうね。そのお茶、私が運ぶから、あなたは遊んでていいわよ」

てゐ「え、でも仮にも姫様に……」

輝夜「仮にって、失礼ね。今更気にしないでしょう、ほら貸しなさい」

てゐ「はーい」トコトコトコ

輝夜「ふふ、幻想郷に染まっていない地上の人間か」


輝夜「話し相手には十分楽しめそうね」






姫様登場フラグを作って今回はこのくらいで。
富樫先生見習うと言った矢先にこれだったので、もう何も言いませんorz
また次回よろしくお願いします。


一方通行「随分赴きある屋敷だな」

妹紅「美しい場所だと思うよ」

空「はぁ、お茶まだかな……」

一方通行「こーいう純和風の建物はあまり経験がないからここに来てからは毎日が新鮮だな。神社やら人里やら……和食やら……」

妹紅「ふぅん? あんたのいる場所は日本じゃないの?」

一方通行「日本だ。けど、日本の中でも隔離されたような場所で、技術力も周りより30年追い抜いてる。
     景色は、ビルばかりか、場所によっては西洋建築で統一してる場所もある……。まァ、寂れた工業地帯のような場所もあるがな」

妹紅「ビル、……あの、窓が壁になっていて縦に長い建築物だったかしら?」

一方通行「それだ。街自体は綺麗だが、……こういう場所の何とも言えない安心感は不思議だな……。やっぱ俺も、日本人か……」

輝夜「それでは、お茶うけに和菓子を添えましょう。ようこそ、永遠亭へ。歓迎致します」

一方通行「……」ポカン

妹紅「邪魔してるよ。それで、なんだその作ったような営業顔は。何をたくらんでいるの?」

輝夜「全く、揃いも揃って無礼者ばかりね。お客の手前、許してあげるけど、明日はまたいつも通りの日常よ?」

妹紅「はいはい」

空「こんにちは」

輝夜「こんにちは、旧地獄の八咫烏」

一方通行「……」

スッ

輝夜「初めまして、わたくし、蓬莱山輝夜と申します。以後お見知りおきを」ペコリ

妹紅「おやおや、正座で普通礼なんて慣れないことしちゃって。あんたも騙されない方がいいよ、こいつ結構性悪なとこあるから」

輝夜「妹紅の戯言にも困ったものですね。さぁ、あなたもお茶をどうぞ……?」

一方通行「……」

空「? おーい、どうしたのー?」パッパッ



一方通行「……あ、いや、なンでもねェ」

空「?」

一方通行「輝夜……、かぐや姫の伝記で「竹取物語」というものが、日本最古の物語として語られているが……」

輝夜「あら、きっとそれは私のことね。まぁ、驚いた。誰かが残したのかしら? でも、名前だけでよく解ったものね」

一方通行「それだけ有名な物語だからな……。後は、オマエの容姿」

輝夜「ふぅん」

一方通行「かぐや姫は『この世のものとは思えぬ程の絶世の美女』だと言い伝えられている」

輝夜「……あれ? 今、私口説かれたのかしら?」

妹紅「自惚れてるんじゃないよ」

空「でも、相当な美人だよね」

一方通行「なるほどなァ。思わず見惚れるっつーのはこーいう現象なンだな……。いいもン見せてもらった。素直に感謝させてもらうぜ」

輝夜「その割には結構淡泊なのね。毎日毎日大勢の男が覗いていくし、あの5人には随分としつこく求婚されたものだけれど……」

一方通行「確かに見惚れてしまうほどの美しさであるのは否定しねェが、俺は芸術品を見ているような気分だな。手元に置きたいという支配欲は出てこねェ」

輝夜「おそらくはあの5人も、私を手元に置いて自慢したり、自己の強さを誇示しようとしていたんでしょうねぇ」

妹紅「く、お前は本当に私を腹立たせるのが好きだな?」

輝夜「名指しでは言っていないじゃない。自意識過剰なのではなくて?」

妹紅「~~~ッ!」

一方通行「オマエら仲悪ィのか?」

空「悪いみたいよ? あ、お茶おいしい」ズズズ


妹紅「ふんっ。ちょっとした因縁の仲ってヤツよ」

一方通行「あっそォ……。お、この和菓子うまそうだな」

空「おいしいよ。はい、どうぞ」

一方通行「甘いものはあンま食わねェが、これくらいは食べやすいな……。茶にも良く合う」モグモグ

輝夜「まだあるわよ。好きなだけ食べていいわ」

一方通行「しっかし、日本最古の物語の登場人物が目の前にいるっつーのは……、いや、深く考えねェ方がいいか……」

輝夜「どのような物語になっているの?」

一方通行「確か、竹取の翁がある日竹林で、光る竹の中に三寸ほどの子どもがいたのを見つけた。んで、翁の夫婦はそいつを育てたら三ヶ月で成長した。
     んで、名づけも終わって祝宴をして人目に付いて気に入った男が言い寄り始めた。んで、最後に残ったしつこい5人に無理難題をふっかけて
     結婚の約束を取ったものの、誰も成功させなかった。それから、話題を聞きつけた御門が言い寄り始めたがこいつも拒否。
     まぁ、とりあえず、歌の交換を始めることにした。それから、ある日かぐや姫は自分はこの世界の人間ではなく、月の住人で、もうじき月に
     戻る運命だと言う。んで、月に帰った。これがかぐや姫の話だ。ガキ用に簡単にアレンジされてる話だ。
     ンで、そのベースとなった竹取物語では、月に帰る時、御門に「不老不死の薬」を渡してから月に帰った。
     その後御門は「かぐや姫がいない世界で不老不死になっても仕方がない」として当時火山活動が活発だった山でそれを焼いた。それが不死の山。
     まァ、つまりは現在の富士山っつーことだな。こンな物語だ」

輝夜「お見事。なかなか綺麗にまとめているし、概ね事実ね。ふむふむ、なるほど」

空「へぇ、あなたってそんな過去があったのね」

一方通行「日本最古の物語っつーことで、時代背景や舞台地、作者などの研究が今でも行われてるぜ?」

輝夜「ふふ。それでは、あなたがその物語の本当の結末を知る唯一の外の人間になるのかしらね?」

一方通行「ほォ?」

輝夜「その物語、疑問に思ったことはなくて?」

一方通行「『なぜ、月に帰ったはずのかぐや姫が地上にいるか?』」

輝夜「…………」


妹紅「部外者に話していいの?」

輝夜「いいんじゃないかしら? たとえばこの人間が言いふらして回ったところで私は何も困らないし」


一方通行「いや、別に知りてェワケじゃねェし」ケロッ


輝夜「え、えぇー? このゴクリと息を飲む状況でそれを言うかしら? その、研究とかされているところに真相を話したらきっと一大騒動よ? 面白そうじゃない?」

一方通行「伝えたとこで信じてもらえねェだろ? 「かぐや姫本人に聞きました」って誰が信じるかよ」

輝夜「それもそうだー……。なんだ、つまらない……。じゃあ、いいわ。月に帰らないで永琳と共に残りの使者を殺して幻想郷のここに逃げ込んでいたのよ。はいおしまい」

一方通行「すげェ、さらっと……。つーか、随分物騒な姫だったンだな、オマエ。わざわざ迎えに来た使者に何してンだよ」

輝夜「元々追放されてたのよ。蓬莱の薬を飲んで、不死になったから月から地上へ流刑された。まぁ、地上に来たかったからそうしたんだけれど。
   その辺の事情はめんどいから省略ぅ」

妹紅「ちなみに最後の不老不死の薬は富士山で燃えてないよ。木花咲耶姫に燃やすなって言われて下山途中に私が奪って飲んだから。詳しいことはめんどいから省略」

一方通行「………………知っても有難味感じねェし、学者は絶対に信じねェな……」

空「んぐんぐ。おいひい」

一方通行「ン? 不老不死の薬を飲ンだっつーことはオマエらは不老不死なのか?」

輝夜「えぇ。月の人間が穢れの多い地上で生きるには不老不死の薬は必須なの。永琳も飲んでいる」

妹紅「私は地上の人間だけど、まぁ、……勢いで」

輝夜「こいつバカよね」

妹紅「それ以上言うと客人の前であんたを消し炭にするわよ?」

輝夜「きゃあこわーい。人間様、わたくしをお守りくださいな」

一方通行「お断りだ」

輝夜「うぐ。想像以上に朴念仁な人間ね。あなたが絶賛する容姿の女が隣にいるのに」

一方通行「そォいう性格だと解れば、余計に芸術鑑賞レベルで収まるぜ。残念だったな姫様」

妹紅「くふっ、あしらわれてやんの……!」クスクス

輝夜「うぅー!」


永琳「お待たせ。頼まれていたお薬出来ましたよ」

妹紅「ありがとう」

空「わぁ、ありがとうございます!」

永琳「こちらが、あなたのお使いの分。こちらが里の人の分ね。それと、あなたへ塗り薬のサービス」

一方通行「どォも……」

空「よぉし! 早くこいし様に届けて元気になってもらわないと!」

永琳「服用してもまだ具合が悪い様だったら言って頂戴。私が旧地獄に足を運ぶわ」

空「はいっ、さとり様に伝えておきます!」

一方通行「ンじゃ、さっさと戻るか……」

永琳「また何かあったらいらっしゃい」

妹紅「帰りも案内するからちゃんと付いてきてよ?」

輝夜「もう帰ってしまうの? はぁ、また退屈になってしまうわ」

一方通行「あちこち散策にでも出ればいいじゃねェか」

輝夜「……そうね。近いうちに博麗神社に遊びに行こうかしら」

一方通行「別に神社に来いっつー意味で言ったワケじゃないンだが……」

輝夜「あら、そういう口説き文句なのかと思っちゃったわ」

一方通行「言ってろ」

輝夜「あまり冷たくしないでちょうだいよ。久々の退屈しのぎを見つけて上機嫌なのだから」

一方通行「あの吸血鬼のガキといい、俺の何が楽しいのやら……」ハァ

空「あなたって妖怪に好かれやすそうだからじゃない?」

一方通行「ンー……」


博麗神社


霊夢「おかえり」

さとり「おかえりなさい。空、今日はここで夕食を取って帰りましょう」

空「こいし様は大丈夫なんですか?」

さとり「急くほどでもないんじゃないかしら。私もお腹が空いたし、あなたもお腹が空いたでしょう?」

空「それもそうですね!」

一方通行「いいのかよ、それで……」

霊夢「あの、ルーミアに襲われていた子どもの薬は?」

一方通行「あァ、それなら道案内してくれたヤツが持って行ったぜ。ちょうど、人里まで行く用事があるからって」

霊夢「そう。彼女なら安心ね。ほら、もう夕食出来てるから食べましょう」

一方通行「こう、帰ったら飯が出来てるっていうのはいいもンだな」

霊夢「今日は特別。こいつが作っていたし、私も楽出来たわ」

さとり「ちゃんと人間が食べれるものを作ったから安心してね」ニコー

霊夢「代わりにうちの残ってた食材を惜しげもなく使われたけれど……」

空「さとり様の手料理♪ さとり様の手料理っ♪」

さとり「はい、空。こぼさないようにね」

空「いっただっきまーす!」

燐「そうはさせるかぁー!!」ピョーン

空「わっ、私の御茶碗ー!!」

燐「ずるいです! ずるいです、さとり様!! あたいだってさとり様の手料理食べたいです!!」

一方通行「……いや、ここは妖怪がわんさかいる場所だ……。猫が喋ったって驚きやしねェよ……」ブツブツ


さとり「燐、あなたにはこいしを看病してねってお願いしたじゃない」

燐「こ、こいし様が……「そんなにひどくないから大丈夫。お燐は好きなことしてて」って言うから……」

さとり「……。そうね、私とお空だけ食事をしているのに、あなただけ除け者にしてはダメね。解ったわ、一緒に食べましょう」

燐「やったぁ!」ドロン

一方通行「……いや、相当なレアケースだが肉体変化の能力者もいるワケだし、猫が人間に化けたって驚きやしねェよ……」ブツブツ

さとり「残りの食材でこいし用の粥も作ったし、まぁ、大丈夫ね」

霊夢「あんた、どれだけうちの食材使ったのよぉ!! あぁ、もういい! 食べる! 食べてやるわ!」モグモグ

さとり「こうやって大人数で食事をするのは久々ね。楽しみましょう」

一方通行「…………」モグモグ

さとり「……妖怪に好かれるなんて珍しいことですからね。良い様にも、悪い様にも受け取ってください」

一方通行「だから、心を読むなっつの」

さとり「好かれることに、思い当たる節があるんでしょう?」

一方通行「オマエは今読ンだンだろう?」

さとり「えぇ。あなたはこの子みたいに、神を飲む込むのではなく、神を突き落としそうな子だと言うことだけは読みました」

一方通行「『だけ』ねェ。胡散臭いにもほどがある」

霊夢「妖怪なんて胡散臭いだけよ。何を今更」

燐「ところで、どうして博麗神社に男がいるの?」

空「えーと……、浮浪者?」

一方通行「誰が浮浪者だ。あと、この猫女は見る目があると思う」

燐「何こいつ」

霊夢「気にしないで。喜んでいるだけよ」

一方通行「案外今日はいい日かもな。姫さンといい、この猫女といい」ウンウン

空「殴られたことは忘れてるのね」


1時間後

さとり「それでは、ごちそうさま」

霊夢「全く、しっかり粥までお土産にして……」

空「まぁまぁ、今度何か持ってくるよ」

燐「ごちそうさまでした」

さとり「空、燐、さきに行ってて。はい、これはこいしの薬ね」

空「はぁい!」

サッ

燐「お空には危なっかしくて持たせられないよ。あたいがちゃんと預かっておきます」ヒュン

空「うぇぇーん!」ヒュン



さとり「ねぇ、霊夢」

霊夢「何かしら?」

さとり「あなたは平気なの?」

霊夢「……あいつのこと? 平気じゃなかったら私は今ここで立ち話なんかしてないわ」

さとり「あの人間、妙な力を持っているみたい」

霊夢「あぁ、たしか、「ちょーのーりょく」ってヤツ? 私も、最初触れようとしたときに手を弾かれたわね」

さとり「それとはもっと違うような、まるで神へ抗うかのような……。そこらの妖怪よりも、もっと、淀んだ……力……。
    平然と食事をしていたように見せかけて、震えを隠していたのよ、私。ほら、まだ少し震えてる」カタ・・・

霊夢「……思うに、あんたは色々読み過ぎなのよ。あいつはそんなことしないわ」

さとり「たった数日で、あなたがそこまで信頼するなんてね」

霊夢「理由はいくつかあるけれど、読んでみれば?」

さとり「いいわ。たった今「読み過ぎ」なんて言われてしまったしね」

霊夢「ふふ、おやすみ」

さとり「おやすみ」

お使い編はこれにて終了です。
次回「最強の超能力者、たんぽぽコーヒーに目覚める」の巻、乞うご期待!!
(今のレスには嘘が含まれています)

俺は一方さんは、普段は大人しい人間だと思ってる。自分から率先して闘うっていうのは、己の危険や、打ち止め、妹達への危険があった時で。
まぁ、俺が感じた一方さんしか書けないので大目に見てやってくだせい。

というわけできっと誰もが予想外の速さで持って来ました。休憩編。いつもよりも力が抜けてるから早かったんだろう。


シャッシャッ

霊夢「………………もう一週間」

シャッシャッ

霊夢「馴染むものね」

シャッシャッ

霊夢「……おはよう」

シャッ、・・・

一方通行「ン。朝の境内掃除はそろそろ終わるぜ」

霊夢「ありがと……。もう言わなくてもやるようになったのね」

一方通行「人間は学習するもンだ。っつーか、早起きすると妙に体を動かしたくなるもンだな。朝飯前にこれくらいが丁度いい」

霊夢「そう。朝食すぐ用意するわ」

一方通行「解った。……つーか、夏のこの時期は境内の掃除も楽でいいな」シャッシャッ

霊夢「そうね。どうせなら、秋にここに来てくれるか、秋もここにいてくれればいいわね」

一方通行「冗談言うな」

霊夢「冗談じゃないわよ」

一方通行「余計悪ィ」

霊夢「今日はどうするの?」

一方通行「どォするかね……。文は協力すると言いつつここ数日は来ねェし」

霊夢「新聞作ってるんじゃないかしらね」

一方通行「ああ……」


朝食


魔理沙「珈琲?」

一方通行「どっか売ってる場所知らねェか?」

魔理沙「さぁ。紅茶は飲むけど」

一方通行「オマエ意外と飲ンでそうなのにな」

魔理沙「そりゃ偏見だ。そもそも私は和食派だし。紅茶も「お茶会」で飲むくらいだぜ」

一方通行「ンな西洋魔女丸出しの格好で毎朝和食食ってンのか」

魔理沙「あんたは霞でも食ってそうだな」ククク

一方通行「そりゃ偏見だ」

霊夢「緑茶もなかなかいい、とか言ってたのに。あまり一つのモノに執着していると何も見えなくなるわよ」

一方通行「それは実体験でよォく解ってるつもりだ」

霊夢「解ってなさそうだけれどね」

魔理沙「あんたは一人で突っ走りそうだしなぁ」

一方通行「たかがコーヒー一つで何、俺の人となりを解ったつもりでいンだよ……」

霊夢「意外と、そういうものの方が人を表すのよ」

一方通行「……あー……。オマエが守銭奴でガサツで慈悲とほど遠い巫女っていうのもか。納得」

霊夢「あら、それは私じゃないわね」

魔理沙「そういや、珈琲と言えば、前にたんぽぽから珈琲作れるって聞いたっけ」

一方通行「なンだそりゃ」

魔理沙「確か根を乾燥させて焙煎して飲むんだっけか」

一方通行「そりゃもうコーヒーじゃねェじゃン」

魔理沙「だからたんぽぽの珈琲なんじゃない?」




ソヨソヨ

一方通行「たんぽぽのコーヒー、なァ……」

霊夢「はい、お茶」コト

一方通行「ン」

霊夢「今日もいい天気ね。夏の日差しは気持ちいいわ」

一方通行「オマエは毎日この縁側に座ってこの景色を見てンのか?」

霊夢「そうよ。この博麗神社からはね、幻想郷全てが見えるの。素敵でしょ?」

一方通行「……そォだな。……けどよォ、全部見えるっつーのは、どういう気持ちなンだろな」

霊夢「どうもしないわよ。あぁ、向こうの山で紅葉が始まった。もう秋ね。とか、そのくらいよ」

一方通行「……そうか」

霊夢「あんたはどう思ったの? この幻想郷の景色を見て」

一方通行「どォだろォな。すべてが俺の知ってる世界や概念と違い過ぎてて良く解らンねェ」

霊夢「なら、それでいいじゃない」

一方通行「そーいうもンかね」

霊夢「そーいうもんよ」

一方通行「……やっぱ、この場所は俺には合わねェな」

霊夢「幻想郷はね、すべてを受け入れるところなのよ。例えば、ここで不貞腐れている白い外来人もね」

一方通行「外で俺の役目全部終わって、居場所無くなったら世話になるかね」

霊夢「体力あるうちに来て頂戴」

一方通行「いや、今度こそ紅魔館行く」

霊夢「ちっ」

一方通行「……ぼーっとしててもしょォがねェから外に出るヒントでも探しに行くかね」


香霖堂

霖之助「よく一人で来れたもんだ」

一方通行「道は前回来たときで覚えてっからな」

霖之助「いや、そうじゃなくて……無事に来たという意味で」

一方通行「あァ、……そうか。ここの妖怪は人を襲うンだったな」

霖之助「その文化も薄々と廃れて行ってるけどね。平和なものだ。……とは言っても襲われない確率は0ではない」

一方通行「先日襲われかけたばっかだ。平和的に解決させたが」

霖之助「君らしいね」

一方通行「…………いや、……平和的、だよな……?」

霖之助「双方、心身ともに怪我がなければ平和的さ」

一方通行「自滅はしてたけどな」

霖之助「ところで、今日は何しに来たんだい? お茶を飲みに来たわけでもあるまい」

一方通行「このガラクタを拾ってくる場所を聞きたくてな」

霖之助「ガラクタじゃない。売り物さ」

一方通行「失礼」

霖之助「よろしい。大体は結界の境目だけれど、無縁塚がいい場所だね」

一方通行「場所は?」

霖之助「魔法の森を抜けた先にある再思の道を越えた先だ。あそこは結界の綻びがある場所だから穴場スポットになる」

一方通行「解った。なンかいいもン拾ったら持ってくる」

霖之助「ああ、期待しないで待ってる」

カランカラン

霖之助「生きて帰ってくることをね。」


無縁塚

一方通行「…………危ない橋っつーのは、何度も渡って来たが、渡りたくねェと思ったのはこれが初めてかな」

一方通行「薄気味悪ィとこだ。こンな場所もあるンだな」

一方通行「あー、……。縁側から見えてたかもな……」

一方通行「…………ここは……」

小町「おーい、若人さん。あんたの死期はまだ先だから、変なこと考えるんじゃないよ?」

一方通行「……はァ?」

小町「よいしょっと……」ストン

一方通行「なンだ、オマエ?」

小町「あたいは三途の川の一級案内人。小野塚の小町だよ。小野塚さんでも、小町さんでも、可愛いお姉さんでもお好きなように?」

一方通行「はァ、それはどォも……」

小町「とりあえず、まだ元気な人間が死に急ぐんじゃないよ」ポンポン

一方通行「は?」

小町「自殺、ダメ、絶対」ナデナデ

一方通行「いや、外に出る方法探しに来ただけなンだが……」

小町「へ?」

一方通行「え?」

小町「あれ? 自殺者じゃないんだ?」

一方通行「なンで自殺しなきゃならねェンだよ」

小町「ここってそういう場所なんだ。外の人間が死にやすい」



一方通行「外の人間、っつーことはやっぱここは外に近い場所なのか……」

小町「ここはね、外の人間たちの墓場なのさ。あんたの足元にごろごろと石があるだろう? それが墓石。外の世界から来たから縁者なんていない。
   だから、ここは「無縁塚」。さぁ、解ったらズカズカ入るのはやめてもらおうか。全く、知りもしないでよくこんな危ない場所に来たなぁ……」

一方通行「悪い……。っつーか、危ない場所なのか? 霊でも出るのか?」

小町「んー。そういうのもあるっちゃあるけど、ここは結界が薄いから幻想郷と、外、そして冥界や三途の川とも繋がることもあるのよね」

一方通行「冥界……、三途の川……。はァァ、ンなもンもあるのかよ幻想郷……」ゲンナリ

小町「ここは幻想郷内でも屈指の激ヤバスポットなんだ。もっとも危険度が高い場所に分類されてる」

一方通行「……あンのやろォ……。ンなこと一言も言ってなかったぞ……」

小町「さー、解ったら帰った帰った」ヒラヒラ

一方通行「イヤですゥ。俺は外に出る方法を探してンだよ」

小町「へぇ? 叶わない努力は感心しないね」

一方通行「なンとでも言え」

小町「あ、そうか。あんた博麗神社に来た外来人か!」

一方通行「……どこまで知れ渡ってンだよ……」ハァァ

小町「あは。だったら尚更ここでうろつかせるわけにはいかない。さー、帰るよ」グイッ

一方通行「おい、やめろ!! 襟元掴むンじゃねェ!」

映姫「おやめなさい」

小町「ぴっ!?」ビクゥ

一方通行「ぎゃっ」ドサッ

映姫「全く……小町、あなたは何度言えば解るのですか?」ツカツカ


小町「ちっ、違うんです! 今はサボってたじゃなくて、あの! ほら! この人間が無縁塚に迷い込んでいたので、それを注意して……」アタフタアタフタ

映姫「けれど、その前はサボっていたのでしょう?」

小町「あはー……」

映姫「何を言っても無駄とは思いません。あなたがきちんと会心し、真っ当な死神となること。それを導くのも私の役目です」

小町「あぁ、もう。もっと早くこの人間連れて里でも行けば良かった……」

映姫「迷い人、ですか」

小町「そうなんです! だから、里まで送り届けようと……!」

一方通行「何も迷ってはいねェぞ」

小町「人生に迷ってるんだよね!?」

映姫「……やや誇張はあれど、ここが危険であることを教え、帰そうとしていたのは事実のようね。……そこのあなた」

一方通行「あ?」

映姫「ここは、死者の魂が渦巻く場所です。立ち入ることはオススメしません。あなたのような普通の――……」

一方通行「?」

映姫「…………あなたは、……なんて、罪多き人間なのでしょう……」

一方通行「!?」

映姫「あなたは決していい意味ではなく、……無垢過ぎたのですね。あなたは、幼過ぎたのです。そして、それ故に止め方も知らなかった。あぁ、なんという」

一方通行「オマエ、何者だ……」

映姫「私は、閻魔です。ですので、あなたの罪も善行も私は全て見通せるのです」

一方通行「そォかよ」

映姫「その罪、今ここで裁きたいものですが、やめておきましょう。あなたは後悔もせず、誰かのせいにするでもなく、きちんと罪と向き合っているようですしね」


一方通行「逃げてるだけかもしれねェぞ?」

映姫「逃げれるのなら、いつだって逃げる機会があったでしょう? あなたは自らに枷を付けて、一生涯を使って償おうとしている。過ちに気付いている」

一方通行「…………」

映姫「しかし。決してその罪は消えません。死んでも尚あなたに付きまといます。そう、地獄で裁きを受けるまでは……覚悟しておきなさい」

一方通行「あァ、そォするわ」

映姫「あなたは幻想郷の人間ではありませんが、あなたがこちらに来た際は私が直々にその罪を裁いて差し上げましょう。この悔悟棒で万回以上あなたを叩くことになりそうだわ」

小町「はぁ!? そんなに!?」

映姫「あなたがこちらに来る時を楽しみに待っています。……さて、小町」

小町「ぴゃいっ!」ビシッ

映姫「彼を人里まで送って差し上げなさい。そうすれば、今日のサボりは少し大目に見てあげましょう」

小町「は、はぁい!!」

映姫「……終わったらすぐに仕事に戻ること!!」

スッ

小町「は、はぁぁー、……びっくりした」

一方通行「なンなンだよ、あいつは……」

小町「あまり悪口言うとおしおき回数が増えるだけだよ。……あの人はさっきも言ってた通り閻魔様だよ。地獄の最高裁判長様」

一方通行「……いや、もう驚くのはやめにする。身体が持たねェ……。…………」

小町「……あ、あのさぁ……」

一方通行「あン?」

小町「あたいみたいな死神が人間の罪に口出しするのもおかしいけど……、精一杯生きな。死ぬ直前まで、生にしがみ付きな。少しでも長く、償いな」

一方通行「あァ……」



人間の里・茶屋

小町「でさぁ、その時の四季様のお説教が……」

一方通行「なンで俺はオマエの世間話に付き合わなきゃならねェンだよ」

小町「これも、善行だと思って!」

一方通行「どこの世界に死神の世間話を聞く善行があンだよ」

小町「幻想郷」

一方通行「くっそ。やっぱこの世界は合わねェ……。これなら、下手に出かけないで神社にいた方がマシだったな……」

小町「けど、こうやって話してると、どこにでもいる大人しい人間なんだけどね。やれやれ、外で何をしたんだか……」クスクス

一方通行「オマエは、見えないのか」

小町「あのスキルは閻魔様専用。けど、あんたが何か大きなものを背負ってるのはなんとなく解るよ。幼い人間なのに、何千という年月を越えた妖怪と似た目をしてる」

一方通行「……外じゃ、見た目も相まって、本当に妖怪や化け物に見えてンだろォけどな」

小町「あ、あー……、ごめんごめん。気を悪くさせちゃったな。そういう意味じゃないから。あたいはね、もっと年相応に振る舞っていいと思うんだ」

一方通行「はァ?」

小町「外の、あんたくらいの年の人間がどんな感じか解らないけどさ。長いこと死神やってるとあんたくらいの年の人間もたくさん運んだから解るよ」

一方通行「……」

小町「犯した罪を忘れることはあってはならない。けど、少しくらい、生きている世界を好きになってさ、生きてみたらいいんじゃないかな」

一方通行「よく解ンねェ」

小町「あはは、あたいも。……なんか、なんていうか……。無縁塚であんたの後ろ姿を見たときは、本当に寿命に逆らってまで死んでしまうんじゃないかって
   焦ったくらいには、不安定な背中だったんだよ。放っておけない感じ? きっと、四季様も同じ気持ちだったんだろうね」

一方通行「……ホンット、幻想郷ってワケ解ンねェ……」チッ

小町「ん。握手」ズイ


一方通行「なンだよ、唐突に」

小町「あんた、友達いなさそうだし、あたいが友達になってあげる。あんたくらいの人間はたくさん友達作っておくものだ」

一方通行「くっだらねェ……」パシッ

小町「おっと」グイッ

一方通行「ッ!?」

小町「はい、握手ー」ニギニギ

一方通行「離せッ!」ブンブン

小町「あったかい、綺麗な手してるね。うんうん」ニギニギ

一方通行「どこがだ、……こンな、手……」

小町「……あんたが、死んだら幻想郷内だろうが、外だろうが、あたいが駆けつけて四季様の元まで届けてあげるよ。その時の舟の上でじっくりあんたの罪を聞いてあげる。
   そうだな、もし、死ぬまでにあたい以外友達いなくて、渡し賃が0でもあたいが出すから大丈夫だね」

一方通行「遠まわしにひでェこと言ってる自覚あンのかよ」

小町「さぁ、どうだろ? 少しは元気出たかい?」

一方通行「元気も何も、……」

小町「四季様にお説教されてから、かなりへこんでたように見えたが?」

一方通行「…………」ムスッ

小町「よしよし、見栄張らないのは偉い」

一方通行「やっぱ、幻想郷は俺のいる場所じゃねェな……」

小町「自分の居場所をきちんと把握しておくのは大事だ。迷子になることもなくなるだろう」ニコッ

一方通行「ここじゃ、ぬるま湯だ」

今回はここいらで。

当初から小町は出す予定だったけど、書いてたらなんか出張って来て焦った。
最初は里ですれ違って寿命に付いて助言するくらいだった。こういうことあるね。映姫様は出てくる予定すらなかったのになぁ。

まぁ、またその内。age忘れてたから今やります。

キテター\(゜∇゜)/
>>1乙です。

一方通行の「居心地はいいけどやっぱり帰らなきゃ」って感じの心理状態が読んでて切なかったです。
そろそろシリアスパートかしらん(´・ω・`)

俺は別にage気にしないよ。あとお待たせしやしたー。


一方通行「朝食食ったら出掛ける」

霊夢「珍しい。朝食後のおでかけなんて」

一方通行「だらだらしてっとオマエに面倒なこと押し付けられるからな」

霊夢「面倒じゃないわよ。私が楽出来てるもの」

一方通行「…………。昨日は「結界に関する資料があるかもしれない」と、倉庫掃除させられた。しかも、資料なンてなかった」

霊夢「その分あったかくて気持ちいいお風呂を用意してあげてたのよ。あんた埃まみれだったし」

一方通行「その風呂だって、寛いで入ってたら、入口にあの烏天狗が居座りやがって……」

一方通行「『ほらほら、早くあなたの生い立ちを吐かないと茹蛸になりますよ?』とか言いながら30分以上いやがったからな……」

霊夢「で? 結局あの後は文に何か教えてあげたの?」

一方通行「教えてねェからのぼせたンじゃねェか」

霊夢「すっごい真っ赤になってたものねー。そういえば、文は「また引き出せなかったわ」と悔しそうにしていたっけ……」

一方通行「あいつは、敵に回すと厄介なタイプだな」

霊夢「そうね、賢明な判断よ」

一方通行「まァ、ハナっからここの連中は信用してねェけど……」

霊夢「心外ね。衣食住提供してあげてる優しい巫女がここにいるっていうのに」

一方通行「衣は提供してねェだろ。……まァ、無一文の俺を置いてくれてるっつーのは感謝してるけどな」

霊夢「うむ、よろしい。……あ、一人で出掛けるなら妖怪に遭遇しないように気を付けなさいよ」

一方通行「りょォかい」

霊夢「弱い馬鹿と強い馬鹿以外には「博麗の者」だとか言えば大抵は見逃してもらえると思うけどね」


妖怪の山入口

椛「…………おひとりでどうしました? 自殺願望、もしくは我々の餌願望ですか? 餌ならここで加工させていただきますが」シュッ

一方通行「オマエらはどうしてそう物騒なンだよ。……あー……えーと、「博麗の者」なンだが……」

椛「知ってます」

一方通行「だよな」

椛「それで、何の用ですか? ここは人間が簡単に立ち入るような場所ではないのですよ」

一方通行「神社に参拝、だな」

椛「博麗神社じゃダメなんですね」

一方通行「ダメだな。あそこいると神社が綺麗になるだけだ」

椛「……通しましょう」スッ

一方通行「おォ、同情してくれたのか?」

椛「特には。しかし、ここを通ることを許可しただけで安全の保障にはなりませんのであしからず」

一方通行「まァ、なンかあったらフォローしてくれ」

椛「嫌です。私まで上に怒られるじゃないですか。何かあったら文様に押し付けてください」

一方通行「はいはい」

椛「解ったならさっさと行って下さい」

一方通行「はァーい」


一方通行「すげェ自然だらけだよなァ……。……空気が良いっつーのはこういうことなンだな」

一方通行「……やべェな。だンだンこっちの環境に馴染ンできやがる……」

にとり「あれ……? どうしたんだい、こんなところに……。一人?」

一方通行「よォ。今日は一人で神社に参拝だ」

にとり「洩矢神社かぁ。どうしたの? 住居変更?」

一方通行「あー、出来るならそうしてェかもな」

にとり「あはは、冗談を。結構楽しそうにしてるじゃないか。……あ、充電器の調子はどう?」

一方通行「充電器は調子いいぜ。手回しの手間は仕方ないが、この環境でしっかり充電出来るのが本当に助かってる」

にとり「えへへ……/// そ、そんな褒められると照れるね。あ、あの。不具合あったり困ったことあったら何でも相談に乗るからさ! 人間は盟友だもん!」

一方通行「人間に好感を持ってくれるのは嬉しいが、俺は人間としては出来そこないの部類だぜ? 何かで幻滅されても困るンだが……」

にとり「そもそも出来のいい人間なんてつまらないだけだよ。私はね、人間にそんなにたくさんのものを求めてもいないし、期待もしていない。
    なんていうんだろうね。……触れ合いたいんだ。妖怪や人間なんていう、そういう種族の違いだけで解りあえないのは悲しいだろう?」

一方通行「………………」

にとり「どちらかが歩み寄らなきゃ、何も解らない。いつか誰か解ってるなんて思ってたらずっと悲しいままだよ。
    そのくせ誰も自分のことを解ってくれない、なんて……言いたくないからね。怖がってたらダメだ。自分で進まないと」

一方通行「…………そう、だな」

にとり「……あ、あはは、ごめんよ。なんか語ってしまったね……」オロ

一方通行「いや、構わない……」

にとり「……お、お茶! お茶でも飲んでくかい!? すぐそこだし!!」アセアセ

一方通行「いや、平気だ。神社に行く……、じゃあな」

にとり「あ、う……うん……」ショボン

一方通行「お茶はまた次の機会にでも。遊びに行く」

にとり「!! う、うん! うん! 楽しみにしてるよ! いいお茶とお茶菓子を用意して!」

トコトコ

にとり「……なんか、やなこと……突いちゃったかな……。今度来てくれたときにたくさん持て成してあげよう。あ、新しい発明品見せようかな!」


一方通行「…………いつか誰か解ってくれる、ねェ。……チッ、今更、後悔も懺悔もしねェっつの」トコトコ

一方通行「……はァ、そういや博麗神社から歩きっぱなしで疲れたな……。休憩するか……」ヨイショ

文「椛からあなたが妖怪の山に入ったと聞いて文字通り飛んできたんですよ。っていうか、私の家は向こうです。そっちは神社方面です」パタパタ

一方通行「そっちで当たりだボケ。誰が好き好んでオマエの家に行くか。昨日の恨みも残ってるし顔見たくねェくらいだよ」ケッ

文「まぁまぁ。そんな石段に座ってないでお茶でもいかがです? 私の家は向こうです」

一方通行「お茶だけで済むならな。そろそろ拘束されるンじゃねェかと警戒してるとこだ」

文「え、なんで解ったんですか? 椛が喋りました? それともにとり?」

一方通行「………………さすがに冗談だと言ってくれ。ここでくらい安眠してェンだよ……」

文「いやですよぅ、冗談に決まってるじゃないですか!」

一方通行「目が笑ってねェ……」

文「そもそも、あなたが生い立ちを話してくれないのがいけないのですよ? そうすれば今頃新聞も発行出来て博麗神社に見物客が殺到だと言うのに……」

一方通行「見世物になるのは勘弁だからちょうどいいな。そンじゃ、さっさと神社に行くか……」

文「では道中、安全に神社に行けるように私がボディガードを……」

一方通行「オマエに会った時点でそうなると思ってるから諦めてる」トコトコ

文「……そんなに語りたくない過去なら、まったく関係ない私に話してすっきりしてもいいんじゃないでしょうかね?」

一方通行「…………オマエ、それで情報仕入れたら幻想郷中に撒くンだろ?」

文「あのねぇ……。私はそこまで分別がない記者じゃないのよ? そう思われてるのは少し心外」

一方通行「そう思われるような行動してただろォが」ハァ

文「あや? そうだったかしら?」クスクス

一方通行「白々しい……」


文「あ、ここですよ。洩矢神社」

一方通行「おォ、やっと着いた……。あー、すげェ高さまで登ったンだな。我ながら頑張った」

文「どうせだからお茶をいただきましょう」

早苗「勝手に決めないでくださいっ」

文「どうも。私はウーロン茶がいいです。冷たいので」

一方通行「コーヒー。冷たいので」

早苗「コーヒーはありません。あっつあつのウーロン茶をご用意しますよ? そもそも神社に来たら参拝です。神様へのお願いごとはあちら」→賽銭箱

一方通行「生憎財布は自宅に置きっぱなしで無一文なンだよ。けど、神様っつーのに用事はある」

早苗「今は諏訪子様がいらっしゃいますよ? 何用でしょうか?」

一方通行「あんたらは外から来たンだろ? だったら、外で出る方法も知ってるはずだ。だから聴きに来た」

早苗「あ、あぁ…なるほど。諏訪子様に聞いてきますね。その間に参拝でもどうぞ。ご利益ありますよ?」

一方通行「神様ねェ……」

早苗「学園都市の学生さんは、やっぱり非科学的なものは受け付けませんか?」

一方通行「いや、非科学じゃねェものもいくつか見てきてるからな……。とりあえず祈るだけはしておくか。早く元の居場所へ帰れますようにってな」

文「では、私はそうですね……、文々。新聞の購読者が増えますように……でしょうか」

早苗「……さてさて、諏訪子様は中かな?」

諏訪子「ううん。ここだよ」ピョコン

早苗「あ、諏訪子様。博麗神社の外来人さんがお話を聞きたいそうですよ」

諏訪子「そうらしいね。さてさてどう撒くかな……」

早苗「あまり、いじめないであげてくださいね」


諏訪子「そんなことしないもんっ」

早苗「からかうのもダメですよ?」

諏訪子「あの人間には随分優しいのね?」

早苗「失礼なっ。私は、誰にでも平等に優しいですよ?」

諏訪子「あはは、そうだったわ」

早苗「お二人とも、諏訪子様はこちらですよ」

諏訪子「やあ、こんにちは」

文「こんにちは、諏訪子さん」

一方通行「どォも」

諏訪子「よく来たね。あなたは私のこと、覚えてるかな?」

一方通行「宴会の時にいたような気がする程度だ」

諏訪子「うん。あなたとは喋ってなかったものね。覚えててくれて嬉しいわ」

文「結構離れたところにいらっしゃったのに、本当に記憶力がいいんですね」

一方通行「褒めてもなンも出ねェぞ」

諏訪子「それで、外への出方だっけ?」

一方通行「そこの巫女が前に言ってた。「神社ごと幻想郷に引っ越した」ってな。幻想郷へ自由に入れるンだ。外へも出れるだろ?」

諏訪子「んんー。その考え方はあなたにしては短絡的じゃないかしら? 例えば、悪行に自ら足を突っ込んだ人間がすぐにそこから出て明るい世界に戻れるとでも?」

一方通行「!?」

諏訪子「………………なんてね。ものの例えだよ。だからそんな怖い顔をしたらダメ。可愛らしいお顔が台無し」クス

一方通行「もともと可愛らしい顔なンて持ち合わせてねェ。……で、結論は「そう簡単に出れない」でオーケー?」


諏訪子「ま、人間やそんじょそこらの妖怪じゃ無理ってこと。お諦めなさいな」

一方通行「つまり神様には出来るってことか。そもそもどうやって幻想郷に引っ越してきたンだ?」

諏訪子「その質問には答えられない」

一方通行「あァ、よくある門外不出の奥義ーとか、そンなことか」

諏訪子「ううん。私じゃなくて神奈子が勝手に引っ越しをやっちゃったからね。知らないから答えられないだけだよーだ」ニシシ

一方通行「………………おい、こいつ本当に神様なのか?」

早苗「そうですよ、たぶん」

文「そうですよ、たぶん」

諏訪子「失礼だなぁ。ぷんぷん」

一方通行「……神隠し、なァ……」

諏訪子「けれど、神隠しという言葉も一方的よね。神様は何もしていないっていうのに」

一方通行「それこそ、神様の仕業としか思えなかったンだろ。昔は」

早苗「そういえば、神隠しって天狗隠しとも言うそうですね」

一方通行「ほォ……?」ジーッ

文「なんでしょうかね、その熱い視線は? まさか、私があなたを幻想郷へ連れ去ったとでも?」

一方通行「別に。しかし、まァ……天狗って言葉にゃしばらく嫌悪感を示すかもな」

文「なぜそこまで嫌われているのかさっぱり解りませんね。早苗さんはご存じで? 同じ人間同士、理解しやすいかと」

早苗「うわあ、あなたって本当にもう、あははー笑っちゃうわー」

一方通行「あァ、この棒読みでなンつーか、もう、……色々解った……」



諏訪子「まぁ、得たかった収穫はないにしろ、この見晴らしの良い景色はいい収穫になったんじゃないかな。あぁ、心地よい夏の日差し……」

一方通行「俺はごまかされねェぞ。神様ってのはまだいるンだろ? そいつに話を聞く」

諏訪子「神奈子ねぇ……。知ってても喋らないと思うけどなぁ」

一方通行「……神様に実力行使って手段は?」

諏訪子「なしだね。罰当たりな。……あ、ちなみに私は祟り神を操れるんだ。有益なことを知ったね」

一方通行「わァお……」

早苗「学園都市の学生さんでも、神様に歯向かうのは無理があると思いますよ? 所詮は科学力によってもたらされた副産物の力……」

一方通行「やめとくやめとく。わァった。ここはアウェーだし無暗に敵は作らねェって決めてンだよ」

文「ホームでも敵は作らないに越したことはありませんがね。特にあなたは世渡り下手そうですし」

一方通行「知ったクチを……」

早苗「では、お友達の数を教えてください」ニコッ

一方通行「……………………」

諏訪子「だめじゃない早苗。私にこの子をいじめるな、からかうなと言っておきながら……。よしよし、友達がいなくてもこの洩矢諏訪子があなたを加護してあげよう」ナデナデ

一方通行「気安く撫でンな。祟り神の加護ってェのは不安極まるからお断りだ。あとは俺は友達がいないンじゃねェ。作らねェの」ペシッ

早苗「………………」

一方通行「だからその可哀想なものを見るような顔やめろ。別に友達なンざ俺には作る様なしか……」

早苗「いえ、そうやって現実から目を背けて、孤高を演じるような可哀想な中二病の人が、同級生にいたけれど、あの子は今どうしてるかな……って……」

一方通行「あァァァァァァァ、やりずれェェェェ!!」うー

投稿ボタンを押した直後に「守矢神社」の漢字が「洩矢神社」になってることに気付いたけどいつものことです。
次は妖夢が出てくるかもしれないし出てこないかもしれないです。ではまた気長に。

>>504「死ぬまでにあたい以外友達いなくて、渡し賃が0でも」

>>592 早苗「では、お友達の数を教えてください」ニコッ

現世で友達を作らない理由が最強で、幻想郷では… 楽しみに舞っている


妖夢「あの……」オズオズ

一方通行「あ……?」

文「おや、妖夢さん。こんなところに来るなんて珍しい。お使いですか?」

妖夢「えぇ、まあそんな感じです……」チラッチラッ

一方通行「……何か?」

妖夢「いえ、そのポーズはレミリア・スカーレットの専売特許だと思っていましたが……」→しゃがみガード

一方通行「世に絶望した人間だって取るポーズだ……」

早苗「ところで用件はなんでしょうか? 成仏希望ですか?」

妖夢「いえ、私は普通に生きてますし。そこの外来人を連れて来いと言われまして」

諏訪子「おやまぁ、モテモテじゃない」

一方通行「嬉しくねェよ。ンで、連れて来いってどォいうことだ? どンな用件で連れて行くンだよ」

妖夢「ただ、雑談でもしたいだけだと思いますが……、私も「今日はあの外来人と遊びましょう。だから連れて来て」くらいしか解らなくて……」

一方通行「嫌な予感しかしねェ……」

早苗「あの亡霊さんは気まぐれですからね」

一方通行「亡霊……ってェと、あの宴会の時にいた周りに魂みたいなの浮かばせてたヤツか?」

妖夢「えぇ、西行寺幽々子。我が主です」

文「あやや、今日はお散歩日和ですね。妖怪の山から冥界へ」


一方通行「冥界ィ?」

妖夢「はい、冥界です。じゃあ用件もはっきりしたことですし行きましょうか」

一方通行「待ァて!」グイッ

妖夢「ぎゅぷっ」

一方通行「なンでこの俺が素直に冥界とやらに行かなきゃいけねェンだよ」

早苗「メリットはあると思いますよ? 冥界を統べる人物に会うんですもん」

諏訪子「このタイミングで彼女から接触を図るというのも、なにか裏があるかもしれないしね」

一方通行「…………そうか……」フム

妖夢(たぶん、本当に気まぐれか、退屈なだけだと思うけれど……)

一方通行「仕方ねェ。ンじゃ行くか……」

文「冥界は涼しいので、快適に過ごせそうですね」

一方通行「マジか。ならさっさと行こうぜ。正直、この日差しと熱量はキツいンだよ」

妖夢「その割に、汗をかいていませんが……?」

一方通行「少しは調整してるからな。ただ、この過度な熱量は結構堪える」

文「あぁ、熱量などもその能力の適用範囲なのですか。なるほど」

妖夢「不思議な力ですね。そのスイッチでもっと強力な力を行使出来るのですよね?」マジマジ

一方通行「あァ。しっかし、俺からしてみればオマエらの能力の方が不思議だけどな……」



文「そういうものですよ。こちらではこの力が普通、あなたの居場所ではその力が普通。郷に入れば郷に従え、です」

妖夢「なんか使い方違うような気もしますが。まぁ、とりあえず来ていただけるということで案内します。さぁ、下山しますよ」

一方通行「下りはきっついンだよなァ……」ヤレヤレ

文「よろしければ私があなたを引っ張ってひとっ飛びしますが?」

一方通行「ノーセンキューだ。大体オマエは抱え方にも優しさが見えねェ。飛び方だってこっちに気を使わねェし……」

文「あやや、随分不評だったようですね」

早苗「彼女、首根っこ掴んだような運搬しますよね」

文「効率的だと思うのですが……」

妖夢「けれど、のんびり下山してのんびり歩きながら冥界に行くというのは時間がかかり過ぎますし、私としても飛んで行く方が効率がいいと思います」

一方通行「けどなァ」

文「あ、それじゃあ最大限に気を使った優しい抱え方で妖夢さんのスピードに合わせて飛びましょう。では行きますよ」グイッ

一方通行「へ?」

早苗「わお! 御姫様だっこなんて、素敵ですね! 皆さん、お気をつけていってらっしゃいませ。また守矢神社に遊びに来て下さいね」

諏訪子「良い道を歩めることを願っているよ」

妖夢「では行きましょう」ヒュッ

文「それでは、お邪魔致しました」

一方通行「やっ、やめろォォォォォォ!!!」ジタバタ


冥界

妖夢「ここからは歩いて行きますね」

文「えぇ。……って、おや? どうしました? またそんなレミリアさんの専売特許ポーズをして……」

一方通行「オマエ、俺のこと男として見てくれねェのな……。クソ、ここ来てからプライドがズタボロだ……」

文「あはは、人間なんて童のようなものです。それにしても、男として見てほしいだなんて、私の魅力に惑わされてしまいましたか?」

一方通行「そォじゃねェけど、ガキ扱いっつーのはなンか悔しいもンがあンだよ」

妖夢「仕方ないですよ、このブン屋さんの年は……みぎゃっ」ペシッ

文「レディの年を暴露だなんて感心しませんよ?」

一方通行「どうせレディっていうような年でもねェンだ……ぎゃう!」ペシッ

文「見た目はこんなにも可憐な美少女じゃないですか。ちょっと長く生きているだけですよ」

一方通行「………………いや、やめた。先を急ごう」テクテク

妖夢「あまり一人で行かないでください。そこらにいる幽霊に絡まれますよ?」

一方通行「……この、さっきからなンとなくモヤのように見えていたものは……」

妖夢「幽霊です」

一方通行「じゃあ山にいた時から気になっていたオマエの周りにいるそれも……」

妖夢「幽霊です」

一方通行「オマエも絶賛絡まれ中じゃないか」


妖夢「私は半人半霊なので、この幽霊も私ですよ?」

一方通行「……………………はい?」

妖夢「ですから、この幽霊も私なんです。私は人間と幽霊のハーフです」

一方通行「いや、ハーフって……、え? ……ハーフ?」

妖夢「? 何か、変なこと言いましたかね、私……」

文「まぁ、外の常識は幻想郷では非常識、幻想郷の常識は外では非常識と言いますからね。理解が追い付かないことも多いのでしょう」

妖夢「そうですよね……、外には妖怪もいませんし、ハーフって珍しいのかもしれません」

一方通行「いや、ハーフよりも幽霊が分裂してるっつー方が……あぁ、いいや、もう行こう。先に行こう、さっさと行こう」

妖夢「……???」

文「あぁ、それにしても冥界は涼しくて本当に気持ちいいです。夏にはもってこいですよ」

妖夢「冥界を避暑地代わりにするのやめていただけませんかね……」

一方通行(人間と幽霊でどーやってガキ作ンだよ……。あと、ハーフって、人間と幽霊が分裂してるだけじゃねーか……。いや、それがそういう種族なのか……?)

一方通行「ここは外じゃねェし、真面目に考えるだけ無駄……か」ハァ

妖夢「どうしました、溜息なんてついて……。魂が逃げちゃいますよ?」

一方通行「溜息だけで魂が逃げてたら人類は空っぽだな。21グラム常に減った状態だ」

文「軽くなっていいですね。天国に近くなります」

妖夢「勝手にうろちょろしない魂なら大歓迎なんですけどね。また大脱走をやらかされないか心配です」

文「大脱走があったら教えてください。妖夢さんの捕獲劇をかっこよく書いて差し上げますから」


妖夢「遠慮します。目立つのはあまり好きではありません。あ、ここです白玉楼。階段お疲れ様でした」

一方通行「今日は階段日和だった……。帰りは多少リスキーでも文に頼むか……。背に腹は変えられねェっつーし……」ブツブツ

文「私は構いませんよ。恩は売れるうちに沢山売っておきたいですし、それに、階段って下りの方がキツいですからね」

妖夢「お疲れのところ申し訳ないですが、もう少々歩いてもらいますね。主というものは一番奥にいるものです」

幽々子「そうそう。けれど、待ちくたびれて一番最初から出てしまったりもするものなのよね」ヒラヒラ

妖夢「わひゃぁ!?」ビクッ

幽々子「お使いありがとう、妖夢」

妖夢「ゆ、幽々子様っ、せっかく仰々しい感じを演出して緊張感を出したのにっ!」

一方通行「緊張感あったか?」

文「いえ?」

妖夢「はうっ!?」

一方通行「つーか、そうか。やっぱ亡霊と言われてもしやと思ってたが……」

幽々子「あの宴会の時以来ね? どう、あれからお酒は……」

一方通行「ここの連中は酒に対する耐性が一番大事なのかよ!? 飲めませンッ! あれから一滴も飲ンでませンッ! これからも飲みませンッ!!」

幽々子「そう、それじゃあ、お土産にこの秘蔵のお酒を持って行ってね」

一方通行「今ここで生涯禁酒宣言したのに、一升瓶差し出すヤツがあるか」

幽々子「だって、強くなってくれないと……。宴会するたびに潰れられてたら困るもの」

一方通行「絶対に飲む前提で話が進むのか……。飲めない新人に命令で飲ませるパワハラ上司だろ……。そういう会社はブラックですよォ?」


幽々子「とりあえず、お酒は帰りに持たせるとして今はお茶ね。妖夢、ウーロン茶ちょうだいな。お茶菓子もちゃんとね?」

妖夢「は、はい!」

幽々子「白玉楼での人気スポットでお茶会と致しましょう」

文「春じゃないのが惜しいですが、青々とした木々を眺めるのもまたいいものですね」

一方通行「へェ?」

幽々子「春はね、桜が満開で、それはそれは素晴らしい景色が堪能できるのよ?」

一方通行「桜か……、じっくり鑑賞したことは無かったかもな」

文「あや、それは勿体無い。はらはらと、儚く散りゆく桜を眺めながらいただくお酒がおいしいのに」

一方通行「おい、酒の話はやめろ」

妖夢「あっ、あの、ウーロン茶です……」

幽々子「ありがとう。ほら、妖夢もここにかけなさい」ポンポン

妖夢「は、はい」

一方通行「で、なンで俺をここに連れて来たンだ?」

幽々子「とりあえず、花札でもしましょうか?」

一方通行「………………はい?」

幽々子「あら? もしかして、今時の若い外来人はルール解らないかしら。……んー、そうね。それじゃあやっぱり世間話がいいかしら?」

一方通行「いや、ちょっと待て。……は? マジで、ただ単純に遊び相手が欲しいからって用件で連れてこられたのか?」


幽々子「あら? そうよ。なんだか退屈なので、あなたで遊びたかったの。妖夢、他に何か言ったの?」

妖夢「いえ、雑談でもしたいのでは、とは伝えましたが」

一方通行「いや、このタイミングでの接触は何か裏があるとか……」

文「それを言っていたのは諏訪子さんたちでしたね」

一方通行「……………………クソ……!」

幽々子「裏、裏ねぇ……」ウーン

一方通行「何か有益な情報でも恵ンでくれるっつーなら、多少のリスクは覚悟してるけどな」

幽々子「ほほう」

文「そんな大口叩いて大丈夫ですか? 後悔しても知りませんよ。ほら、幽々子さんも楽しそうな顔をしている……」

幽々子「余興ね。あなた、妖夢と一戦交えてみてちょうだいな。それで、妖夢に勝てたら有益な情報を一つだけあげる、というのは?」

一方通行「…………情報の内容は、本当に俺にとって有益な内容か?」

幽々子「あなたは、外の世界へ戻る方法を探しているのでしょう?」

一方通行「…………今、ここで外の世界へ戻るための有益な情報を与えるという明示は、つまり「外の世界へ戻る方法は確実に存在する」ということの肯定だな?」

幽々子「その逆かもしれないわよ?」

一方通行「それは有益じゃねェな」

幽々子「あら、有益よ。無駄に足掻く必要が無くなるのだし」

一方通行「そういう有益はいらねェ」


妖夢「そもそも、幽々子様はあなたに情報を与える気はさらさらないのでは?」

一方通行「あ?」

妖夢「私が、あなたに負けるなんて思えません」

一方通行「……………………」

妖夢「いくら、博麗の巫女が気に入っている人間とはいえ、不可思議な未知数の能力を持っているとはいえ、所詮は弾幕も使えない人間です」

一方通行「……………………」

妖夢「それに、見るからに体力もなさそうですし、歩行にすら難がある。負ける要素が見当たらないです、幽々子様」

幽々子「そう。それなら仕方ないわね」チラッ

一方通行「オマエらなァ……」


一方通行「そうやって俺の逆上を煽って、勝負させるつもりか? ったく、性根が悪い連中だぜ」ヤレヤレ

文「おやまぁ。このくらいの挑発にも乗りそうだと思ってましたが……」

一方通行「前から言ってンだろ。アウェーでケンカするほど馬鹿じゃねェンだよ」

幽々子「ざぁんねん。あなたの本気はいつになったら見れるようになるのかしら」

一方通行「………………一応、言っておくが」

幽々子「うん?」

一方通行「俺を本気にさせたいからって、俺を追い詰めようとしないでくれよな」

幽々子「そうねぇ、私はそんなことはしないわね」

一方通行「アウェーだが、それなりにこの場所は嫌いじゃねェンだ」

書き込む寸前に「一戦交えて」が「一線交えて」になってて焦った。なんか、本が薄くなりそうじゃないか。気付いて良かった。
妖夢は前に香霖堂を読んだのに、最近某ゆっくり妖夢のTRPGにハマってるせいかアホの子設定に引っ張られそうになって危なかったです。
語尾にみょんを付けたい衝動を抑えて。

眠たいの堪えながら書いてて添削しないで投下したから文章はちゃめちゃな部分あって朝恥ずかしくなったよ。
すまぬ・・・すまぬ・・・。まぁ、いつものことだと思って目を瞑ってやって下さい。

当初は本当に妖夢と軽く手合せさせるつもりで書いてたんだけど、一方さんが乗ってくれなかった。どうしてだ……。



幽々子「むぐむぐ」

一方通行「むぐむぐ……」

妖夢「幽々子さま、ウーロン茶です」

幽々子「あ、ありがとう。この大福は相変わらずおいしいわね。もう店主ごと雇いたいくらい。……あ、あなたもウーロン茶どうぞ」

一方通行「むぐ。………………ぷはっ、今まで食った大福ン中で一番うめェ。これ、土産で外に持って帰れねェかな……」

文「おいしそうに頬張ってましたもんね。確かにここの大福はおいしいけれど……」

妖夢「売っているお店くらいは教えてあげますよ。まぁ、里のお店ですから知っているとは思いますが」

一方通行「まァ、場所を知っていても霊夢を説得出来ないなら食えねェから……」

文「紅魔館のお嬢様たちにお願いでもしてみればどうですか? 両姉妹ともあなたのことを気に入ってるようですし、用意してくれますよ、きっと」

一方通行「……ちょっと待て。なンであいつらと会ったこと知ってンだ?」

文「知ってますよ? あの怠惰な死神や、旧地獄の地霊殿の妖怪たちとも交流を持ったことも」

一方通行「………………。」

妖夢「無理ですよ、彼女はしつこいですから」

幽々子「頑張りなさいな」

一方通行「プライバシーなンてものは一切ないってことを改めて実感した」

文「あはっ」

一方通行「ンなに俺の行動を記録して何が楽しいンだか……」

文「趣味と実益を兼ねていますので、もちろん楽しいからやっているんですよ。外からの人間の行動なんて、あまり知る機会もないですし」


一方通行「……実益、な……」

文「おっと、口が滑りました」

幽々子「うっかり屋さんね、烏天狗」

一方通行「………………」ジッ

妖夢「そのように、睨みをきかせても私たちは怯みませんし、口を割ることもありませんよ?」

一方通行「…………最初から、信頼なンてしてねェよ」

幽々子「それが適切な判断よ」

文「我々は元々信頼関係なんてないですしね。信頼しても裏切ることは目に見えてます」

妖夢「私たちは本来そのような生温い世界では生きていません」

一方通行「ふン。結局は俺のいる世界となんも変わらないってことか。楽園みてェな世界っつーのはねェのかねェ……」

幽々子「天国なら、私が誘ってあげるわよ?」

一方通行「はァ?」

文「あや、言ってませんでしたっけ? 幽々子さんは、死を操る能力を持っているのですよ」

一方通行「そりゃあまぁ、えらく解りやすく恐ろしい能力だな。チートなンじゃねェの?」

幽々子「そうかしら。私よりも他のみんなの能力の方が面白そうだけれどね」

文「一番恐ろしい能力を持っている人が何を言っているのですか、死の操るなんてそれこそ最も畏怖されるべき能力ですよ」

幽々子「畏怖、ねぇ……。恐れられず、人を引き寄せる能力って素敵よ?」

一方通行「超能力にだって、そんな直接的で一方的な能力なんてねェンじゃねェの?
     どっかの天才学生だか天才研究者みてェのがそーいう風に見せかけて話術で敵をハメるっつーのは聞いたけどな」

妖夢「話術で人が死ぬなんてあるんですか?」


一方通行「あるンじゃねェの? 実際殺したのか解らねェが、その場をやり過ごすには気絶させるだけで充分だからな……。
     あァ、けどたしか、思い込みで人が死ぬっつーのはあったな」

幽々子「へぇ、それは災難ね」

一方通行「人間の身体は三分の一の血液が流れると死ぬ、と事前に伝えておく。
     ンで、目隠しして拘束した状態で、手首を少しひっかいてその後ぬるい水を垂らしていくと自分の手首から血が流れたと錯覚するんだと。
     ぽたぽた滴る水滴の音が続いて「今、三分の一抜けました」と教えると、そいつは失血死するんだったかな。まぁ、実際は思い込みによるショック死だが」

妖夢「うわぁ、エグぅ……」

文「身体は綺麗なままですが、精神汚染は半端ないでしょうね。まぁ、参考程度に聞いておきましょう」

一方通行「確か、なるべく身体を傷つけず死刑執行するための方法だったと思うぞ。だからその実験の被験者も死刑囚だったはずだ」

幽々子「今度、そういう死者いないか探してみようかしら。そしたら種明かししてあげましょう♪」

一方通行「やめてやれ……。……はァ、そンじゃそろそろ帰るかねェ……」ヨイショ

幽々子「えー、もう帰るの? ほら、あなたの好きな大福まだあるわよ? お団子もあるし」

一方通行「収穫なンもねェし、口を割ってくれなさそうだからな」

幽々子「残念。けれど、そんなに急いで詮索しなくても大丈夫よ。すぐに時は満ちるもの」

一方通行「ふゥン。不死の連中の時間感覚は俺ら人間と同じならいいけどな」

文「よろしければ神社まで送りましょうか?」

一方通行「いや、里まででいい。……丁重に運んでくれるならな?」

妖夢「では、冥界の外まで案内しましょう。幽々子様、よろしいでしょうか?」

幽々子「仕方ないわ。無理強いも出来ないし、霊夢を怒らせてもいいことないもの。またね」



人間の里

文「ここでいいですか?」

一方通行「あァ。……つーかオマエ普通に運べるじゃねェかよ」

文「当たり前ですよ、何を仰る!」アッハハハハ

一方通行「このっ……!」グイッ

文「おぉ、怖い怖いっ」ヒラッ

一方通行「くそ、逃げ足早ェな……」

文「逃げ足ではありません。単純にスピードが速いだけ。それでは、また」

一方通行「ったく……。……さてと、確かこの先だったな……。……たまには自主的な行動もしねェと……」




太陽の畑


一方通行「あっちィ……、だっりィ……、足いてェ……」ゼーハーゼーハー

一方通行「ここ、だったよな……。『太陽の畑』……。里の連中が説明してた通りに来たし……なにより……」


ソヨソヨ


一方通行「まァ、見事な向日葵畑だしなァ……間違いねェだろ……」

一方通行「……まさかいねェとかいうオチじゃねェだろォな……」キョロ

一方通行「………………」


30分後

一方通行「……やめた、もう帰る……クソ……。日差しは強ェし、いくら紫外線は反射してるからっつっても、この日差しはさすがに焦げンぞ……」

幽香「……あら? あなたいつからここに?」

一方通行「オマエ、30分前に出て来いよ……」ガックリ

幽香「それにしても、良かったわ。あれから数日来なかったから見頃を終えてしまったらどうしようかと思ってた」

一方通行「オイ」

幽香「どう、この向日葵たち。綺麗に元気に咲いているでしょう?」

一方通行「ン? あァ、そうだな……。そもそも向日葵自体こンな間近で見たのは記憶にねェかもな……」

幽香「それならば、しかと記憶なさい。この香り、色、形を」

一方通行「それならこの30分で嫌というほど覚えた」

幽香「お土産に一本くらい抜いて行ってもいいわよ? それとも種がいいかしら?」

一方通行「…………もらえるなら種で」

幽香「そう。それならこちらへいらっしゃい。ついでにお茶でもどう?」

一方通行「……茶に誘われることが多くなったな、俺」

幽香「ハーブティなんてどうかしら?」

一方通行「……コーヒー豆栽培とか……してねェの?」

幽香「……はい?」

一方通行「なンでもない……」



幽香「それで、どうしてわざわざ私を探していたの? 30分も探していたのでしょう?」

一方通行「俺の話ちゃンと聞いてたンじゃねェか! あァクソ、この手のやり取りはもう不毛だ……」

幽香「それで?」

一方通行「まァ、前に会った時に誘われたからな」

幽香「気が向いたらで良かったのに、律儀なのね」

一方通行「したいことは山ほどあるが、割と暇なンだよ」

幽香「神社に閉じこもっていても異変でも起こらなければ退屈なだけだもの」

一方通行「…………やっぱオマエも、俺が博麗神社にいるってこと知ってンのか。あのブン屋か?」

幽香「いいえ、この幻想郷の賢者から」

一方通行「賢、者……?」

幽香「『幻想郷に連れ込んだ雪の如く、無の如くただただ白い人間を、私の許可を得ずに外へ出すことを禁ずる』ってね」

一方通行「………………賢者の名は?」

幽香「さぁ、どうしようかしら。あら、そういえばこのことも一切言うなと緘口令が敷かれたような気がしたわ」クスクス

ガタンッ

一方通行「言え。そのまま口を閉ざすなら手足を引きちぎるぞ?」

幽香「聞いているわ。あなたは外の世界で人間が科学を発達させその技術を昇華させた上で生まれた、人間では最も強い超能力者だということを」

一方通行「そンな戯言はあとで聞く。この俺の殺気が解らねェはずないだろォが? こっちは本気だ。妖怪がくたばろうが関係ねェ」

幽香「折角淹れたハーブティーが冷めてしまうわよ? あぁ、いい香り……」

一方通行「…………」カチッ


バヂッ

一方通行「ッ、痛ゥ……!」

幽香「無駄よ。いかにあなたが人類最高峰の能力と頭脳を持っていても……こんなものでは私や彼女の足元にも及ばない。
   全く、この程度の小僧のために幻想郷中に緘口令? はっ、笑わせないでほしいものだわ」

一方通行「反射は効いていた……。触れた気配もなかった……、何をした?」

幽香「ここでの争いは好まないの。いいから大人しく座りなさいな」

一方通行「…………」ストン

幽香「そう。素直が一番よ」ニコッ

一方通行「俺はオマエが嫌いだ」

幽香「私はあなたのこと、思ったより好きよ」

一方通行「そォかよ……」ムスッ

幽香「変わった能力ね。全く、相撃ちなんて割に合わないわ」

一方通行「相撃ち?」

幽香「気に入ってた傘なんだけど、曲がってしまったから香霖堂の店主に直して貰わないと」ヒラヒラ

一方通行「……いつの間に攻撃しやがった……」

幽香「攻撃したから相撃ちになったのよ。良かったわね、傘で。私が直接攻撃していればたぶん、お互い複雑骨折よ」

一方通行「納得いかねェー……」

幽香「ここは幻想郷。あなたの持つ知識や外の概念だけでは測れないものもあるのよ」


一方通行「……で、なンで賢者のことや緘口令のことを話した?」

幽香「別に。従う義理もないだけよ」

一方通行「言ったことでオマエに罰則でもあるンじゃねェの?」

幽香「小言を言われるかもしれないし、喧嘩があるかもしれないけれど、それは向こうにとってもデメリットになるだろうから何もないでしょう。
   この私が、素直に従うとも考えてないでしょうし」

一方通行「……デメリット?」

幽香「彼女と本気で喧嘩すれば、こんな小さな幻想郷なんて消えてしまうもの」

一方通行「………………はァ」

幽香「あなたこそ同等の力を持つものと本気で戦えば同じことになるでしょう?」

一方通行「……同等、とは認めねェが、もうまとめてここら一帯消し尽くしちまえー、どォせ俺を止められるヤツなンざいねェし、
     もォ欲しかった地位もなンもいらねェから……って壊しかけたことは、ある」

幽香「若いわね」

一方通行「……つーか、待て。大事なことを忘れていたが、幻想郷中に俺を外に出すなという命令と同時にそのことを俺に言わないよう緘口令が敷かれていたンだよな?」

幽香「ええ」

一方通行「…………あいつら、……知っていたのか……」

幽香「あなたの言うあいつらがどいつらなのかは解らないけれど、きっとそうでしょうね。博麗の巫女も、あの白黒の魔法使いも……」

一方通行「そォか……」

幽香「そんな悲しそうな顔してはダメよ」

一方通行「悲しむかボケ」



幽香「違うの?」

一方通行「違うな」

幽香「寂しいのならこっちの鉢植えで育てている崑崙花をあげるわよ。可愛らしい花だから咲いたらきっと心癒されるわ」

一方通行「水やるだけでいいのか?」

幽香「水を切らさないようにね。冬は少なくていい。夏場は日向よりも、陽の差し込む明るい日陰に置いてあげてちょうだい。
   冬の寒さには弱いから室内の日当りの良いところね。具合が悪そうなら私のところへ持って来て」

一方通行「ン。どうせ神社にいても暇なだけだし、これくらいの娯楽はしてやらァ」

幽香「愛着持って育ててくれれば見返りはあるわ。あなたの今の状況も同じ」

一方通行「つってもなァ、このままじゃあ踊らされてるだけな気がしてつまンねェ」

幽香「いいじゃない。それが今ここにいるあなたの役割。観察なのよ、観察」

一方通行「こっちから仕掛けてその賢者とやらの首根っこ捕まえて幻想郷から出せっつーのはアリか?」

幽香「ナシ。今聞かれているもの」

一方通行「……ンだと?」キョロ・・・

幽香「彼女の力、あまく見ない方がいいんじゃないかしら」

一方通行「あー……面倒だ厄介だ、クソ……。なンで俺がこンな目に……」グテー

幽香「あ、本人に直接聞いてみればいいのではなくて?」

一方通行「は?」キョトン

紫「あなたがいつまでも手を付けないから私がいただきましたわよ、このハーブティ」カチャン



一方通行「なっ、……うォ、お? ……オマエ……」

紫「お久しぶりね、幻想郷での生活はどうかしら?」

幽香「仕方ない、もう一組ティーカップを用意しましょう」スッ

一方通行「……オマエが、幻想郷の賢者なのか?」

紫「いかにも。八雲紫よ、外の世界の最強の能力者さん」

一方通行「最初に話したときから胡散臭ェ女だとは思っていたが……。で、オマエが黒幕と考えていいのか?」

紫「いいんじゃないかしら」

一方通行「………………学園都市の統括理事長との交流は?」

紫「アレイスター=クロウリーのこと?」

一方通行「あー、やっぱあいつの仕業か……。想定はしていたが……チッ、胸糞悪ィ」

幽香「随分苦手なヤツみたいね。はい、あなたの新しいお茶。リラックス効能があるから飲みなさい」

一方通行「おかしいとは思ってたンだよ。俺は学園都市の超能力者で一番上位。価値も高い。外部から狙われる要素はいくらでもある。
     最初はそれも考えていたがここで過ごしていてあまりに何もなくて違うと確信した……」

紫「んー、ちょうどお互い暇だったのよね。それで提案したのよ、幻想郷に能力者を一人入れてみたいって。何か面白い行動をして、退屈しのぎになりそうなのを貸せ、と。
  そうしたらあなたをオススメされたの。あなたならこちらのプランにも良い影響を与えるだろうってね。それで、あなたを連れて来た」

一方通行「俺はレンタル商品か」

紫「まぁ、あちらは今のとこ満足そうにしているのであちらにとっての利益は十分あったみたいね」

一方通行「毎日だらっだら縁側で茶と茶菓子貪って、境内の箒掛けして、どっかしらで茶飲んで話聞いてるだけだけどな?」

紫「あなたがまだ知らない未知の法則、概念を着実に知識として吸収しているのがいいんじゃないのかしら? 外でいう魔術とも違う力を、ね」


一方通行「で、オマエ側の利益は満たせたのか?」

紫「そうねぇ……、多くの妖怪が霊夢と同じように強大な力を持つ人間に惹かれ、あなたと接触しているのは面白かったわ。けれど、思ったよりあなたが平和主義でね。
  こちらとしてはあなたの実力を見てみたいのだけれど……、あなた全然能力を使おうとしないんですもの」ハァ

一方通行「もしかして、何度か能力を使わせるような場面に遭遇したのも……」

紫「さぁ、どうかしら?」クスクス

一方通行「で、オマエは俺にどうして欲しいンだ?」

紫「そうねぇ……、手っ取り早く私と手合せでもしてもらおうかしら?」

一方通行「はァ? ……って、おい、オマエはオマエでなに人のツラ見て手合わせてンだやめろ」

幽香「ご愁傷様。花はしっかり手向けてあげるわ。向日葵でいいかしら?」

紫「いやぁね。殺すわけないでしょう。あちらに返却しなきゃいけないものなんだから。無茶しても半殺し程度にしますわ」ケラケラ

一方通行「……頭痛い……」

紫「喜びなさいな。あなたが一生懸命探していた帰る方法も見つかったし、必ず帰れるのだから」

一方通行「出来れば今すぐにでも帰りたいンだが?」

紫「それはダァメ。そうね、まだ1週間と数日しか経過していないもの。そうね、契約ではひと月だったのだけれど……せめてあと1週間から2週間くらいはいてもらわないと」

一方通行「2週間もだァ? フザけンな!!」ダンッ

紫「あなたが戻りたい理由は、守るべき存在たちでしょう? それなら心配はいらないわ。あなたがいない間私が彼女たちを監視し、守っているから」

一方通行「……可能なのか?」


幽香「彼女の能力なら可能よ。外の世界も自由に行き来出来る能力だし」

紫「それに、アレイスター=クロウリーもあなたのいないところで何か事を起こす気はないとのことよ。安心なさい。
  ……ふふ、むしろあなたがここにいた方があちらも安全かもね」

一方通行「……2週間もここでぼーっと過ごせってことかよ……」

紫「夏休みだと思えばいいじゃない。こんな落ち着いた日常なんて、あなたにとって最後かもしれないわよ?
  安心なさいな。守っているのは本当よ? なんなら毎日あなたに報告しに行ってもいいわ」

一方通行「いや、無事ならそれでいい……。異変があれば報告してくれ」

幽香「あら、2週間の条件を飲んだのね。つまらない」

一方通行「俺に面白さを求めるな。そういうのは苦手なンだ」

幽香「それで、手合せをするの? その時は呼んでちょうだいな」ニコッ

紫「では、1週間から2週間の内にまたふらっとあなたの前に馳せ参じてあげましょう。それが合図……」

一方通行「お手柔らかにィ。……あァ、バッテリーの充電少ないときはやめろよ?」

紫「えぇ、それでは。……あ、お茶ご馳走様」

スッ

一方通行「……空間移動能力、なのか……?」

幽香「それは実際手合せしてからのお楽しみでいいんじゃないかしら」

一方通行「俺が勝てる確率は?」

幽香「そうね、あなたの能力は私も先ほど攻撃した時に感じたことだけれど、身体の表面に結界のようなものを張っているわね?」

一方通行「あァ。それに触れたものの全ての向きを自在に変えることが出来る」

幽香「それだけじゃダメね。頑張りなさい」

一方通行「あー……、メンドくせェことになった……」

今回はここまで。
なんかすっげー終盤こじつけっぽくね? 大丈夫? 大丈夫だよな、うん。
手合せとか言ってるけど俺の脳みそで捻れる能力バトルなんてたかが知れてるので基本いつも通りです。
最初からハードル下げとく。
はい、またゲームに戻る。ばい。

フヒヒwwwwwwwwサーモンww
なんかすっげー伸びててすいません。俺が遅いからね。ごめんね。
ゴッドイーターバーストポチったから届く前になんとか今回分仕上げた。
ロリポップチェーンソークリアしてねぇのに。


一方通行「ただいま」

霊夢「おかえりなさい。夕飯手伝って」

一方通行「あァ。この花を貰ったンだが、そこの縁側の横に置いていいか? 直射日光はダメらしい」

霊夢「いいわよ。……はい、この野菜切って。煮物作るから」

一方通行「……なァ、霊夢」

霊夢「んー?」

一方通行「八雲紫という妖怪の能力を使えば俺は外に出られるンだな?」

霊夢「そうよー。本人から種明かし聞いたの?」

一方通行「軽ッ!?」

霊夢「どこまで話を聞いたかは知らないけれど、そういうことよ。…………ふふ、私のこと嫌いになった? あぁ、元から好きでもないか」クスクス

一方通行「最初からか?」

霊夢「ん?」

一方通行「全部、最初から知ってたのか?」

霊夢「いいえ。最初は本当にただの神隠しだと思っていたわ。まぁ、途中で「んー?」とは思ったけどね。
   宴会の時に紫から聞いて。あの場にいた連中も一緒よ。いなかった連中は文と紫が伝えていたみたい。
   まぁ、聞いていないヤツらも少しいたようだけれど。……そーいうのは大体、そこまで考えが及ばない馬鹿なヤツね」

一方通行「ふゥン」

霊夢「恐ろしい場所でしょう?」

一方通行「そうだな。今まで会った連中の殆どが真実を知りながら知らないふりして俺に接してたと思うと疑心暗鬼にでもなりそうだ」

霊夢「あっははは。あんたって結構繊細だものね」

一方通行「オマエが豪快なだけだろォが……ったく」


霊夢「けれどね、からかって遊んでいたわけではないのよ。全員「あー、そうなの? はいはい、解った解った。乗ってあげましょう」っていう程度だから」

一方通行「軽すぎじゃねェの?」

霊夢「いいのよ、そのくらいで。……そして、あんたもそのままでいいのよ。どうせ、幻想郷と外来人は馴染まないのだからね」

一方通行「……今回の経験は、そうだな……俺の人生で役立てる時があれば、役立てとくわ」

霊夢「ありがとう。私はあんたから役立てる経験なさそうだけどね」

一方通行「素直に「ありがとう」だけで言葉切っておけ、ボケ」

霊夢「はいはい。……ん、おいしい。味見する? 出し巻き卵」

一方通行「ン。……いいンじゃねェの? つーか腹減った。今日は歩き過ぎた……」

霊夢「どこ行ってたのよ」

一方通行「山の神社と冥界の白玉楼っつーとこと太陽の畑」

霊夢「まぁた胡散臭いのがいるとこばかり行ったわね……。あぁ、あの花はあそこの妖怪から貰ったのね?」

一方通行「幻想郷に胡散臭くないヤツがいるならぜひとも教えて欲しいものだな」

霊夢「ふむ、……それもそうね。あ、人参から先に切って」

一方通行「はいはい」

霊夢「それで、あんたはあとどれくらいここにいるの?」

一方通行「1~2週間だそうだ」

霊夢「そう、寂しくなるわね」

一方通行「心にもないことを」

霊夢「そうかしら?」



霊夢「…………で、あの妖怪と本気で闘うつもりなの?」

一方通行「どォだかな。向こうがどれだけやってくンのかも解ンねェし」

霊夢「ホント、厄介なのに目を付けられたわね。ご愁傷様」

一方通行「オマエはどっちの味方してくれンだ?」

霊夢「どちらにもしないわ。そもそも対立してるわけでもないし、どちらが勝手も結果は変わらず。あんたが勝つか、あいつが勝つかだけよ」

一方通行「まァ、それもそォだな。勝敗は関係ねェ……。だからと言って痛いのはごめンだがな……」

霊夢「けれど力を抜くことはオススメしないわ。美しいやり方とも思えないし」

一方通行「魔術とはまた違ってうまく変換出来ねェから面倒なンだよなァ。つーか、未知のパワーとか謎能力多過ぎだろ……。何が科学だよ……」

霊夢「私にしてみれば科学の方が謎だけれど」

一方通行「……俺が学園都市で、科学でガチガチにされてなきゃまた違った展開になってたンだろォな」

霊夢「何言ってるのよ。そしたらここに連れてこられた理由も無くなるじゃない」

一方通行「……オマエ、俺以上にリアリストじゃねェの?」

霊夢「それじゃああんたは夢見がちってことかしらね」

一方通行「…………ワカンネ」

霊夢「はい、お夕飯出来上がり。持って行って」

一方通行「うーい」


翌日



フラン「だぁから、こう。空間ごとドカーンって握りつぶしちゃえばいいのよ」ギュッ

パリン

霊夢「あぁっ、私のお気に入りの湯呑みィィ!!!」

フラン「妖怪だって、空間だって、なんだって、こーんな感じで脆く壊れちゃうのよ?」

霊夢「ちょっとレミリア!! この湯呑みどうしてくれるのよ! 私の安らぎのお茶生活返してよ!」

レミリア「全く、フランドールはまだまだお転婆な娘ね。淑女たるもの私のように気品が無くてはならないのに」モグモグ

一方通行「気品ある淑女は大福頬張ったりしねェと思うがな」ムグムグ

レミリア「この大福がおいしいのがいけないのよ。あー、おいしー♪」

霊夢「咲夜ッ!! 湯呑みどうにかしなさい!!」

咲夜「仕方ないからうちの茶器あげるわ。この間買い換えたばかりで捨てようと思ってたから丁度いいわね」

霊夢「……はぁ、それでいいわ。早くよこしなさい」

咲夜「はいはい。お嬢様、少し席をはずしますね」

レミリア「あぁ、悪いわね。あ、大福買ってきて」

咲夜「……お夕飯、入らなくなりますよ?」

レミリア「……お夕飯のあとに食べる」

咲夜「太りますよ?」

レミリア「なっ……!?」

一方通行「俺も食いてェから買ってきてくれよ」

咲夜「黙れ」

一方通行「俺が何をしたってンだよ……」


フラン「私も大福食べたーい。もっと食べたーい!」

咲夜「もう、仕方ないですね。えーと、では4つ買ってくればいいのかしら。では」スタスタ

一方通行「あァ、絶対ハブられてるな……」

フラン「半分あげる」

霊夢「炎天下の夏の神社だってのに吸血鬼は沸くし、異変で吸血鬼がいなくなればいいのに……」

一方通行「クーラーがあればいいのにな……」

霊夢「また氷精捕まえてくればいいんじゃない?」

レミリア「あぁ、紅魔館の前で時々カエルを凍らせている妖精? なるほど、氷精がいれば涼しくなりそうね。その内試してみましょう」

フラン「夏って本当、びっくりするくらい暑いのね。フラン、ずっと地下にいたから初めて夏の暑さを知った時は思わず焦げちゃったもの」

一方通行「あー……、俺も紫外線の反射を切ったら焦げるかもな……」

霊夢「溶けるんじゃなくて?」

一方通行「まだそのネタ引き摺ってンのかよ」

レミリア「ねぇ、あなたはもっと進んだ時代を知っているんでしょう? 何か良い暑さ対策って知らないの?」

一方通行「……クーラー……」

レミリア「そういうここにないものじゃなくて」

一方通行「……打ち水?」

霊夢「あぁ、それいいわね。吸血鬼ども、やってきてちょうだいよ」

フラン「ヤ」

一方通行「かき氷……?」

レミリア「やはり、氷精が必要なようね」


霊夢「……外来人も、大した知識ないのねぇ……」ヤレヤレ

一方通行「家電製品使えねェとかハードル高すぎンだろォが」

フラン「夜になれば涼しくなるから、みんな夜に活動して昼は眠っていればいいのよ」

霊夢「じゃあやっぱりお酒飲んで暑いのぱーっと忘れちゃうのが一番よねぇ」

魔翌理沙「おっ、宴会か!?」

フラン「あら、また暑苦しそうなのが来た」

レミリア「夏なのに、この外来人が来てから宴会の回数は減っていたし、たまにはしたいわね」

一方通行「俺のせいかよ」

霊夢「宴会よ。宴会にするわ!」

魔翌理沙「おーけー。じゃあ人を集めるためにひとっ走り……」

霊夢「氷精は必ず捕まえて来てちょうだい」

魔翌理沙「うん? 了解」ヒュンッ

レミリア「咲夜が戻って来たらお酒の手配をさせましょう」

フラン「わーい、この前の宴会は行かなかったから楽しみ。お姉様、あのとっておきのお酒持っていきましょう。あなたも是非飲んでちょうだいよ」

一方通行「俺は飲めねェ。だから、飲ませようとするンじゃねェぞ? いいな!?」

フラン「おいしいお肉料理も作らせましょう。ねー?」ニヤリ

一方通行「…………ま、まァ、一口くらいなら……大丈夫だろ……」

レミリア「落とし易いわね」

霊夢「はいはい、お喋りしてないであんたたちも準備に取り掛かりなさいよ! とにかくうまい酒とうまい食べ物! それを持って博麗神社に集合!」パンパン

レミリア「咲夜が戻って来てからね」


霊夢「えーと、あんたは……そうね、霖之助さんから氷を砕く道具を借りてきて。かき氷器、だったかしら」

一方通行「はいはい。じゃあメイドが戻る前にさっさと行くかねェ……」

フラン「フランも行くわ。面白そう」

霊夢「あ、あと茶屋で抹茶粉を貰って来てね」

一方通行「抹茶……、あァ……宇治金時か」

レミリア「かき氷と言えば抹茶と白玉、小豆でしょう? 他になにかおいしい食べ方をご存じかしら?」

一方通行「いや、かき氷を食べたことがないから解らない」

フラン「じゃあ、ワインをかけましょう。紅茶もかけましょう」

霊夢「いやよ、水で薄まったワインなんて」

フラン「じゃあ、人間の血でもかける?」

霊夢「吸血鬼の血ならおいしくなるかもね」

フラン「うぇー……。いいわ、行きましょう。道具屋よね。ほら、ほらほら」グイグイ

一方通行「炎天下の中人間より元気な吸血鬼ってどうなンだよ」

レミリア「灰になったら神社に撒いてやりましょう」

フラン「そうしましょう♪」

霊夢「水で流してやるから早く行け」

一方通行「行くぞ」

フラン「はぁい」


香霖堂


霖之助「はい、これでいいかな」ドン

一方通行「まだ何も言ってねェンだが……まァ、目的はそれだ」

フラン「ここ狭くて羽がぶつかるんだけど……」カツンカツン

霖之助「使い方は解るかい?」

一方通行「あれだろ、ここ回すだけだろ?」

霖之助「まぁ、霊夢が知ってるから君が知らなくても支障はないか」

一方通行「………………。……借りてくぞ」

霖之助「どうぞ」

フラン「えっ、もう行くの? まだここで遊びたーい」カチャンカッチャン

霖之助「いや、もう勘弁してくれ」

一方通行「だな。オマエが動くたびにそこのガラクタが揺れて落ちそうだ」

フラン「どうせ最後は壊れてしまうじゃない。今壊れても変わらないわ」

霖之助「君も何かを慈しむようになれば考え方が変わるんじゃないかな」

フラン「…………どう思う?」カチャン

一方通行「俺に聞くな。あとあンま動くな。行くぞ」

フラン「あーん!」ズルズル

カランカラン

小町「おいすー! ちょっとここで涼ませ……って、あんたも涼んでたのかい?」

一方通行「いや、これを借りに来ただけだ」

小町「へぇ、かき氷かー」


フラン「今日は神社で宴会よ。それに使うんじゃないかな」

小町「おっ、いいこと聞いた。よーしじゃー神社に戻ろー♪」

一方通行「えーと、次は抹茶か……」

小町「えー……もう行くの? 茶屋? 休憩? 休憩だよね!」

一方通行「この前上司に怒られてたばっかだろォが。いいのかよ、サボって」

小町「失礼ねぇ。サボってるんじゃなくて休憩、きゅーうーけーい」

霖之助「そうそう。休憩なら茶屋でしてくれ」

小町「はいはい。また来るよ店主」

霖之助「君が来ると世間話の相手にさせられるから本が読めない」

小町「さー行こう行こう!」

カランカラン

霖之助「…やれやれ」


茶屋


小町「休憩……は?」

店主「まいどあり」

フラン「するなんて一言も言ってないじゃない」

一方通行「俺は抹茶としか言ってないからな」

小町「抹茶=茶屋の抹茶=茶屋=休憩 っていう方程式じゃないかい!」

一方通行「かき氷器と抹茶が必要なンだ。これで何するか解るだろ。行くぞ、フランドール」

フラン「はーい」

小町「あー、かき氷もいいね。なになに? これから博麗神社で作るの? あたいも行く!」

一方通行「また怒られても知らねェぞ」

小町「だいじょーぶだいじょーぶ」

フラン「そういうの、フラグっていうのよ」

小町「うぐぐ」

フラン「大福、まだあるかなぁ。アイツ全部食べちゃってないでしょうね」

一方通行「オマエの分は、メイドがしっかり残しておいてくれるだろォが」

フラン「お姉様、あれで結構おこちゃまだから」

一方通行「確かに。メイドいなけりゃ全部食いそうだ」

小町「大福もあるの? やったーぁ!」バンザイ

フラン「ねぇ、この厚かましいヤツきゅってしていい?」グイグイ

一方通行「死神が死ぬならな」

フラン「えーいっ」キュッ





映姫「またあなたは凝りもせず職務を放棄し……って、どうしてコゲ気味なのです、小町?」

小町「色々調子に乗り過ぎたみたいで……あ、えーき様もかき氷食べます? 夏の風物詩ですよ、はい、あーん」

映姫「んむ。……仕方ないですね。今日は久々の神社での宴会です。特別に目を瞑りましょう」

小町「かき氷パワー恐るべし」



魔翌理沙「ほらほら、頑張ってかき氷量産しまくれ~」

チルノ「氷食べて何が楽しいの?」ガリガリ

大妖精「夏は暑いから、チルノちゃんのそばにいると涼しくて私は好きだなぁ」

チルノ「……えへへ、ありがとー!」

魔翌理沙「いや、答えになってないんだぜ」

アリス「完全に夏の便利グッズのような扱いになっているわよ。それでいいのかしら、氷精は」

魔翌理沙「本人たちが納得して満足しているみたいだし……、いいんじゃない?」

萃香「二人とも、お酒が進んでないみたいだけど? 久々の宴会なのにみんなかき氷に舌鼓……、はぁ……風流だからそれもいいんだけれどね」

アリス「あっちは楽しそうに両方楽しんでいるわ」


空「さとり様! 見てください大発見! この焼酎に何もかけていないかき氷を入れると冷たくて絶対おいしくなります!!」ドバドバ


魔翌理沙「なんでかき氷を入れようと思ったんだろうな……」

萃香「あぁ、勿体ない……」


神社・裏手

一方通行「……あァ、ここなら酒からも離れられるな」

シャクシャク

一方通行「……かき氷……ねェ」サク

一方通行「まァ、悪くないか」


藍「やあ人間」

一方通行「酒の勧誘はお断りだぞ」

藍「いやいや、少しばかり話をしてみたかっただけ。隣、いいかな」

一方通行「どォぞ」

藍「さすがに幻想郷にも慣れてきた様子だね」

一方通行「慣れてるように見えたか?」

藍「馴染んでいるように見えた」

一方通行「…………時々、自分の本来いるべき場所が夢なのかと疑っちまうくらいにはこっちに長く居過ぎたと思う」

藍「それは安心するといい。ここは夢の現だ、君にとってはね。……君の居場所は間違いなく他にある」

一方通行「そーだな。俺の夢の中には、ンな不可思議な尾を持ったヤツはいねェ」

藍「あははは。……触るかい? 自慢の尻尾なんだけど」

一方通行「暑苦しいから遠慮しておく」

藍「それは残念。橙は喜んで撫でるのに」

一方通行「……世間話はいい。そンなこと話に来たワケじゃねェンだろ?」

藍「そうだね。……まぁ、ちょっとズレた言葉になってしまうだろうけど、君に謝罪をしようかと思ったんだ」


一方通行「はァ?」

藍「私だって、自分の主様を尊敬し、畏怖している。その命令には従順に従う忠実なしもべなんだけれど……」

藍「『迷惑をかけたね』」

一方通行「……あ、あー……、主ってそうか、あいつの従者みてェなもンか…オマエ」

藍「八雲藍だ。覚えなくてもいいよ」

一方通行「悪いが覚えた。ココの出来は良い方でね」トントン

藍「あぁ、そうだったね。すまない」

一方通行「迷惑、迷惑なァ」

藍「私は紫様のしたことに特に何も思ってはいないよ。そういう存在なんだ。けれど、君は何もしていないのに巻き込まれただけだからね」

一方通行「そりゃ、俺が一番最初にここに来た時点で言えよな。そォすりゃブチ切れてオマエを半殺しにしてた」

藍「ははは、君は面白い人間だ。今言って正解だったね」

一方通行「はァー……、完全にここの空気に感化されてきちまってる」

藍「それが今回君に迷惑をかけた人物たちの狙いなんだよ」

一方通行「……もしかしたら、俺がここにいた方が全てがうまく行くのかもな」

藍「ダメだ。帰りなさい、自分の居場所へ」

一方通行「無理やり連れて来ておいてよく言うぜ」

藍「我が主様に振り回されるのは従者も同じさ」

一方通行「苦労人同士ってことか、くっはは、どォりで気が合いそうだと思った」

藍「そうだね。お近づきの印にかき氷、一口貰っていいかな」

一方通行「あァ、勝手に食え」





やっぱ宴会させなきゃ東方じゃないよなと思って。
藍様出す予定無かったんだけど、一方さんと気が合いそうだなというわけで。

出来ればこのスレだけで終わらせたい。

あ、やべ。久々過ぎてsaga入れてなかったからどこかで崩れてたらスイマセン。


紫「私もかき氷下さいな」

一方通行「……あちらで氷の妖精が身を削っておりますよ、賢者サマ」

紫「あら、藍には「あーん」なんて食べさせていたのに私にはしてくださらないの?」

一方通行「……あちらでは八咫烏のバカが焼酎ぶっかけて食っておりますよ、賢者サマ」

紫「私はあなたから食べたいのだけれど」

一方通行「あー、そういうの間に合ってるンで」

紫「あらあら、警戒させすぎてしまったかしら。残念、すべてを明かす前にしていればよかった」

一方通行「で、ふらっと出て来たってことは今からやろうっていうのか?」

紫「宴会に呼ばれただけよ。酒の席で良い余興にはなるでしょうけど、この美しい月光の元で争うのは美しくありませんわ」

一方通行「だったらずっと月の綺麗な夜のままであってほしいものだ」

紫「血まみれな割に平和主義なのね」

一方通行「無駄な争いはしたくねェンだよ。こちとら制限付きなもンでね」

紫「あら、私は本気のあなたが見たいんだけれども。……んん、そうね……」


紫「あなたの大切にしている少女を私のスキマから」


一方通行「………………」

紫「……冗談よ。そのようなことはしないわ。だから、そのような殺気はお止めなさい。ほら、向こうのどんちゃん騒ぎが止まってしまった」

一方通行「ふン」

紫「かき氷食べて、落ち着きなさいな。はい、あーん」

一方通行「そういうの間に合ってるンでェ」



霊夢「悪趣味」

一方通行「げ」

紫「からかって遊んでいるだけよ、いつも通りにね」

霊夢「かき氷だけでぇ!!! 宴会は終わらないぞぉぉー!!」

紫「…………それじゃあ、私はみんなのところへ戻ろうかしら」スイッ

一方通行「ちょっと待て逃げるンじゃねェ!!! 俺を今ここで一人にするンじゃねェェ!!」

霊夢「右手にぃー、一升瓶! 左手にぃー、一升瓶!」ジャジャーン

一方通行「違ェ! 右手は升だ! あァ、余計な突っ込みをッ!! チッ、能力使って逃げ……」

ガシッ

ビターン

一方通行「クッソがァ!! だから酔っ払いは嫌いなンだよォ!!!」

霊夢「なんでお酒飲まないのー?」

一方通行「だから、俺はッ」

霊夢「私は、お酒だいしゅきー! お酒も私のこと、だいしゅきー!」

一方通行「あー……、こういう時はアレだ。関わらない方がいいんだ。無視すりゃいいンだ、反応すりゃ付け上がるのが酔っ払、がふっ!?」

霊夢「はぁぁい、一升瓶♪」

一方通行「むぐゥゥ!?」


紫「ご愁傷様」


翌朝

一方通行「………………」ボーッ

魔理沙「展開がお約束過ぎて逆に泣けてくるな」

アリス「いいんじゃない? ここに馴染む前にいなくなるのでしょう?」

魔理沙「いや、もう馴染んできてるから逆に可哀想かな、と……」

霊夢「二人ともー! 朝食出来たからそいつ起こしてちょうだい」

魔理沙「いや、起きてはいるんだけどさぁ。二日酔いみたいだぜ?」

霊夢「はぁ? なっさけないわねぇ、一升瓶一本一気飲みした程度で……。竹林から医者でも引っ張ってくればいいのよ」

アリス「このためだけに神社まで来させるのは酷じゃない? 仕方ないわね。私の人形にお使いを頼みましょうか」

上海「……!」トコトコ

霊夢「じゃあそいつの朝食は残しておくから私たちだけで食べましょう。そしたら片付けね。ふう、アリスだけでも捕まったのは不幸中の幸いね。ったくあいつらすぐ逃げるんだから」

アリス「あなたの手料理って結構おいしいからね。だからそれが片付けの報酬よ」

霊夢「朝食だけで受けてくれるならまぁまぁ安いものよ」

アリス「いいえ、昼食とおやつ、夕食もセットよ」

霊夢「ぐぬぬ」

魔理沙「さー、飯だ飯。じゃあな、大人しくしてろよ?」

一方通行「あー……、もォ、さっさと行け……。うゥ、ダメだ……もっかい寝る……」ポスン

アリス「人形を一体置いておくから、遊んでていいわよ」

上海「!」フリフリ

一方通行「そーいう趣……、もォめンどくせ……」グテッ

アリス「じゃあ、看病してあげてちょうだいね。いってきます」

上海「!!」バイバーイ

一方通行「ったく……、貴重な一日丸つぶれだ……」



上海「……」ジーッ

一方通行「……」グテッ

上海「……」ジーッ

一方通行「用はないから主人のとこ行ってろ」

上海「……!」イヤイヤ

一方通行「……勝手にしろ」

上海「……」トコトコ

萃香「やあ。相変わらず二日酔いなんて情けないね。だいじょうぶ?」

一方通行「大丈夫なように、見えるのかよ、これが。あと話かけんな」

萃香「紫に言っておかないと。今度は酒豪を連れて来い、ってね」

一方通行「…………」

萃香「紫はね、この幻想郷を作った者の一人とされている幻想郷の賢者なのよ」

一方通行「…………」

萃香「一人一種族の妖怪で、境界を操る力を持っている」

一方通行「……境界?」

萃香「すべての境界はあいつの手にうちだよ。空と地上の境界、現実と非現実の境界……」

一方通行「…………突然現れたり消えたりしてるのは、空間の境界、ってことか」

萃香「飲み込みが早いね、さすが」

一方通行「……ちょっと待て、それはさすがにズルいだろ……。物質と物質、例えば俺一人の個体は境界によってこの空間に存在する。
     その境界が無ければ、俺という個体はこの空間と同一化するってワケだ……。で、それをいともたやすく操れる」



萃香「あんたも十分、ズルい能力だと思うけどね」

一方通行「いや、境界の方がズルいだろ……」

萃香「まぁ、例えば忌み嫌ってる者同士の心の境界を弄って和解させる、なんてことも出来ると思うけど」

一方通行「そいつァすげェズルい」

萃香「だから、こうやってあんたにヒントを教えてあげてるのよ。まぁ、あいつはそこまで本気で能力を使ってこないけどね」

一方通行「……さすがに俺を仕留めるような使い方はしないだろ……。いや、そもそもあの女は読めないから保証はないけどな」

萃香「きしし。面白そうだね、あの紫相手にどこまでやってくれるかな、人間さんは」

一方通行「楽しい見世物にはならないだろォよ、解ったら寝かせてくれ。頭が痛い」

萃香「その、あんたの能力について少し聞いたんだけど、こう、体内の循環機器? とかそーゆーので治せないの? 言いたいこと解るかな?」

一方通行「無駄に手回ししたくねェの。あれ、結構疲れるンだぞ?」

萃香「気になるから見せてよ。手回しなら私がいっぱい回してあげるし。紫のヒントのお礼でいいわ」

一方通行「………………」カチッ

萃香「それがスイッチね」

一方通行「………………ン、治った。はー、やれやれ、そンじゃ充電頼むわ」カチッ ムクリ

萃香「へ?」

一方通行「これ充電器。20~30分くらい回してくれ」スッ

萃香「いや、え?」

一方通行「ふァー、飯食うか……」

萃香「なんだこれー……。すごくつまらない……。損したぁ!」

一方通行「ほら、回せよ?」ニヤニヤ


萃香「うぐー。や、約束は守るよ? けれど、本当に治ったの? どうやったの?」

一方通行「アルコールってのは、体内に入って酸化してアセトアルデヒドっていう成分に変わる。で、こいつが二日酔いの原因だな。
     で、体内に回ってるこいつを高速で分解して水と二酸化炭素に変えた。以上」

萃香「お、おぉ?」

一方通行「おーい、霊夢ー。俺の分の飯あるンだろォな?」

<げ、もう起きやがった。
<魔理沙があいつの分も食べ始めるからいけないんでしょう?

一方通行「あー……、人形?」

上海「!」ピクン

一方通行「最初で最後の用件だ。俺の分の飯確保しておけ」

上海「!!」コクコク

テコテコ

スタタタタタ

<うわっ、上海人形!? こ、これは違うんだぜ!?
<食卓を荒らさなければなんでもいいわ。
<アリス! こいつ止めてくれ! 私の分のおかずをぶんどるつもりだ!
<自業自得でしょう? 元々あなたがあいつのおかずを横取りするからいけないのよ?


萃香「私も霊夢のご飯食べたいなぁ……」クルクル

一方通行「残ってンじゃねェの?」

萃香「そうだとありがたいね。この家戻ってくるの久々だったし、忘れられてたかもしれない」

一方通行「ふゥン。あいつ、一人暮らしじゃなかったンだな」

萃香「まぁ、実質一人だよ。私はふらふら色んなところを渡っているし」


昼・紅魔館


パチュリー「…………こんにちは、読書家さん」

一方通行「生憎ここに来てから一冊も読ンでねェけどな。というわけで図書館利用に来た」

パチュリー「まだ外へ出るための本探しているのかしら?」

一方通行「話は聞いてンじゃねェの? 賢者サマに出してもらえるそうだ」

パチュリー「あらそう。おめでとう」

一方通行「で、今日はこの幻想郷の妖怪についての本といわゆる弾幕ごっこについての本を探そうかと……」

パチュリー「弾幕ごっこだったら霊夢に聞くのが一番いいと思うけれどね。小悪魔、幻想郷の妖怪について書かれた本を適当に見繕って頂戴」

小悪魔「……八雲紫のことが書かれた本はないと思いますが、それでもいいですか?」

一方通行「まァ、ないと思ってたさ。構わない」

パチュリー「どうぞ、ここに掛けなさい。私の読書を邪魔しないのであればいつまでいても構わないわ」

一方通行「どォも。随分至れり尽くせりしてくれンだな。てっきり本持ってさっさとどっか行けと言われるかと思ってた」

パチュリー「以前、外の知識をいただいたからね。お礼よ」

一方通行「あー、そンじゃもう一個我がまま聞いてもらっても構わないか?」

パチュリー「何かしら」

一方通行「しばらくここで本を読ませてほしいのと、魔法体系に詳しいオマエの知識を貸してほしい」

パチュリー「………………パチュリーよ。パチュリー・ノーレッジ」

一方通行「おう?」

パチュリー「察しが悪いわ。興味がわいたから協力してあげると言ったのよ、人間。ふふ、外の人間が妖怪に挑むなんて聞いたことが無い」クスクス

一方通行「挑まれたンだよ、不本意ながら」


進んでいなさそうで微妙に進んでいる気がするのは俺の筆のスピードと内容に比例している気がする。
結構書いてて楽しいんだけど、終わりが見えてくると物悲しい気がして速度が落ちる悪い癖だけどそれ言い訳だな。

一応次スレ立ててくる!

立てたのはいいけど、10スレ書き込まないといけなかったんだっけか?
出来る限り早めに少量でも投下したいと思います。
落ちたらまた立てます。じゃあの。

埋めついでに。
超電磁砲の2期が決まったのがすげー嬉しくて今からワクワクしてる。しかも妹達編がメインでさ。
麦のんとか麦のんが楽しみ。みさきちも出てくるといいけどなー。
妹達編だと嫁の黒子の出番減るのが悲しいけどさ。そこら辺考えてるって言ってるけどあの重たい感じの話を変に崩されないか心配でもある。
あと気になるのが一方さんは1期の声なのか、2期の声なのか。
2期ってデスボイスに拍車かかってんじゃん? 俺1期のハイな感じ好きなんだけどなー。
超電磁砲のアニメから禁書入ったから2期はホント楽しみである。

あと新しいスレで鳥付けてくれと言われたんだけど、鳥の付け方よく解ってないし毎回投下が遅いからその度に忘れそうなんで。
なりすましされることもないから必要ないと思ってる。
SS投下以外で何かレスする時は↑みたいに>>1って入れるし。
なりすましでSSは投下しないだろうと思う。

さて、ただ埋めるのもつまらないから何か雑談しつつ埋めようとしたんだけどもうネタ切れしてる。どうしようか。
暇なんでなんか聞きたいことあれば答えます。今まで書いたSSの話でもいいです。
とか、こーいうことしてみるのが良さそうかな。馴れ合いと言われそうだ。

まぁ急いで埋める必要もないので、あとは適当に埋めてください。AA乱舞でもいいよ!

>>1の他のSSが見たいな

>>994
2年以上前のSSで今さらURL貼るのすっげー恥ずかしいんだけど羞恥プレイとして我慢しとくよ!
俺は最初のはもう読めない。布団の上でバッタンバッタンすることになる。
あとはVIPで二つ書いたけどそれは墓まで持って行きます。大手(?)SSまとめさんにいくつかまとめてもらったみたいなので読んでるかもしれない。

2期は春かね。楽しみだ。本当に楽しみだ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年05月25日 (日) 11:07:36   ID: 0PnwIh_p

結局このSSは完結したんだっけ?

2 :  SS好きの774さん   2015年07月30日 (木) 09:46:36   ID: 5IlsB430

アクセレータうぜえと思ってたけど好きになりました

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