ハンジ「私と契約書交わして家政夫になってよ」リヴァイ「検討中」(564)

ハンジ「巨人の発生源突き止めて対処した」

ハンジ「すなわち人類は巨人に怯えなくてよくなったわけだ」

ハンジ「というわけで憲兵団以外は解体され、みな新しい戦争に向かった」

ハンジ「就職戦争というやつだ」

ハンジ「私は趣味でやってた酵母の研究成果が認められて、キリン酵母研究所ウォールシーナ支店に就職がきまった」

ハンジ「流石天下のキリン様だけあって待遇いい。好きなだけ研究してられるとかマジ最高」

リヴァイ「それは絶賛就活中の俺に対して喧嘩売ってるのか」

ハンジ「違う違う」

ハンジ「あのね、宿舎も出て部下もいなくなったため、基本身の回りは自分でやることになったんだよ」

リヴァイ「普通の人間はそうだ」

ハンジ「うん。今まで大変恵まれていたのを実感したよ!

私は、知っての通りものすごく人間としての生活に対して不具合まみれだ」

リヴァイ「知ってる」

ハンジ「というわけで、表題の件に戻るんだけどどうかな?リヴァイ」

リヴァイ「悪くねぇ。むしろ就職先見つかって願ったりかなったり」

ハンジ「やったね!じゃあ契約成立」

リヴァイ「おはようからお休みまで、ハンジの生活を見守る元人類最強」

リヴァイ「てわけで目覚めの悪いハンジを起こすのが日課」

リヴァイ「あいつ、兵団にいた時よりも寝起きが悪くなってる」

リヴァイ「夜更かしは得意なくせに」

リヴァイ「寝付きもわるい」

リヴァイ「起きろ起きろ起きろ!!マスかきやめ!パンツ上げ!」

ハンジ「ふぁい…あと…ごふん…」

リヴァイ「早く起きねぇと削ぐぞ。布団を」

ハンジ「うー……リヴァイ……」

リヴァイ「なんだ」

ハンジ「私にはマスカキするような道具は股間に付いてないよ……」

ばっ

ハンジ「ぎゃああああ!!さっみい!くっっっっそさっみいいい!!!ファッキンコールド!!」

リヴァイ「起きろマジレス野郎」

ハンジ「野郎でもないよ……ああくっそさっむい。目ぇ覚めた」

ハンジ「うーん眠いー……」

リヴァイ「髪がぼさぼさだ。顔は洗ったようだがヘアクリームは塗ったのか。ババァなんだから保湿くらいしっかりしろ」

ハンジ「リヴァイ家政夫さんがリヴァイ寮父さんに変身しちゃったよ…」

リヴァイ「そこに服が全部そろえてある。着ろ」

ハンジ「手際いいねぇリヴァイ。ああ雇ってよかった。自分のことにかまける時間があったら他のことを考えていたい私にとっては最高の家政夫さんだよ」

リヴァイ「着替えたら化粧しろ。それは手伝えねぇからな」

ハンジ「はーい」

リヴァイ「朝飯は、調査兵団やめてそんなに量を食べなくなったハンジのためにつくった腹持ちのいい米粉入りのスコーンとレンズ豆のスープ。あとはりんご。りんごはウサちゃん剥きだ」

リヴァイ「巨人がいなくなったおかげで海という所から多少塩を持ってくることができるようになった。それなりに市場に出回ってる。独占禁止法みたいなのもあるぽ」

リヴァイ「つーか塩味のあるスープうめぇ」

ハンジ「ごっはんーごっはんー」

リヴァイ「生きてるだけでうるせぇやつだ」

ハンジ「塩味のきいたスープは極上だから、そりゃあうるさくもなるよ。あーおいしい」

リヴァイ「早く食え。出かける時間になるぞ」

ハンジ「スコーンも美味しいねぇ。私、あの固めのお菓子みたいなスコーンも好きだけど、ちょっとふんわりもっちりしたこのスコーンも好きだよ。リヴァイが作るご飯は美味しいねぇ」

ハンジ「はぁごちそうさま!
それじゃ行ってくるね。今日も遅くなると思うから夕ごはんは先に食べてて」リヴァイ「わかった」

ハンジ「いってきまーす」

リヴァイ「弁当忘れるなよ」

リヴァイ「ハンジが家をでたらそのまま食器を水につけて掃除と洗濯を開始」

リヴァイ「終わる頃には昼になってる」

リヴァイ「掃除洗濯終わった。やっぱ超楽しい。ピカピカ最高」

リヴァイ「というわけで昼飯」

リヴァイ「ハンジには弁当を持たせてあるし俺も同じ昼飯」

リヴァイ「これも海に行けるようになったおかげでイトヨシガンシナ支店にたまに入荷するようになった海の魚。タラというらしい」

リヴァイ「フライにして野菜と一緒にパンに挟んで食うとうまい」

リヴァイ「しかしなんていってもやっぱり塩が自由に手にはいるのはいい」

リヴァイ「終わったら片付けて今度は夕飯の買い出し」

リヴァイ「今日はやっぱり肉にするか…」

リヴァイ「しかしハンジの奴、生活費ね!ってこんだけポンとおいていきやがって…出納帳とかつけてねぇだろあいつ…」

リヴァイ「無駄遣いはしねぇが、ずさんなのもよくねぇ。帳簿はちゃんとつける。貯金額もわかるし」

リヴァイ「俺、事務のおじさんもできるんじゃね」

リヴァイ「近所の奥さんとすれ違った。犬に吠えかかられたが俺は元々犬がそんなに嫌いじゃねぇ」

リヴァイ「犬いいな」

リヴァイ「いやよくないわ。部屋が毛だらけになるし」

リヴァイ「ハンジ自体がでかい犬だからあれで十分だわ」

リヴァイ「大野屋シガンシナ支店についたわ。チェーン店で単価はちょっと高いけどものはしっかりしてる」

リヴァイ「大野屋シガンシナ支店についたわ。チェーン店で単価はちょっと高いけどものはしっかりしてる」

リヴァイ「パン種からパン焼き上がりまで四時間位。今から仕込めば夕飯にはちょうどいい」

リヴァイ「今日の夕食はいいソーセージが手にはいったからホットドッグと、レンズ豆にベーコンのスープ。あとはアスパラとキノコとほうれん草のキッシュ」

リヴァイ「ホットドッグ用のパンはちょっと重くて噛みごたえあるほうがいい」

リヴァイ「ザワークラウト元人類最強手抜きバージョン」

リヴァイ「キャベツ・塩・胡椒・酢・砂糖を入れてレンジで蒸す」

リヴァイ「蒸しあがったら冷ます」

リヴァイ「完了。これでも十分うまい」

リヴァイ「レンズ豆とベーコンのスープ」

リヴァイ「レンズ豆が煮溶けてどろっとしてるがこれも悪くねぇ」

リヴァイ「っていうか塩がいっぱい使えていい」

リヴァイ「塩最強」

リヴァイ「アスパラとキノコとほうれん草のキッシュ」

リヴァイ「いままで卵を使った料理なんてぜいたく品すぎて食えなかった」

リヴァイ「肉でさえ貴重なのに、次の鶏を作る可能性を捨てる卵を食べるという文化」

リヴァイ「これの復刻をしたのは、あの食に汚い104期生のサシャだったな」

リヴァイ「あいつ確かレストラン勤務になったんだっけ」

リヴァイ「あいつ確かレストラン勤務になったんだっけ」

リヴァイ「食い意地張ってるのと味覚の鋭さでどこからも引っ張りだこってはなしだ」

リヴァイ「俺も調理師免許とってみようかな」

リヴァイ「でも料理より洗い物がきになるから料理人とかきっと無理だわ」

リヴァイ「レストランとか料理人は自分でコップとか洗わないとかきいたし」

リヴァイ「俺は洗い場の人でいいわ」

リヴァイ「あれ、洗い場の人でいいんじゃね」

リヴァイ「よし決めた。いつまでもハンジの世話になるわけにはいかねぇし、職安に洗い場の人募集ないか聞いてみる」

リヴァイ「明日の目標が決まった」

リヴァイ「脱線したがキッシュ。こいつはなかなか美味い」

リヴァイ「アスパラとそこらに生えてたきのこ、あとほうれん草ぽいものを炒めて塩胡椒」

リヴァイ「炒めたらキッシュ型、なけりゃ油を塗った耐熱容器に塩コショウとチーズで味付けした卵液とともに流し込む」

リヴァイ「パイの台はあってもなくてもいい。俺はなくても好き」

リヴァイ「でもハンジはパイの台があったほうが好きだというから台をつける」

リヴァイ「これをオーブンに入れて三十分くらい待つ」

リヴァイ「パンの二次発酵も終わった」

リヴァイ「オーブンもちょうどいい感じに温まってる」

リヴァイ「パンは焼きあがったら窯から出して粗熱取る」

リヴァイ「粗熱を取り終わったら紙袋の中にいれておくと、しっとりしたままでいい」

リヴァイ「食うときはそのまま食ってもいいけど、俺はもう一回軽くトーストした奴が好き」

リヴァイ「もっちりしてて美味い」

リヴァイ「二人分なのに8個は焼き過ぎたな」

リヴァイ「まいっか、明日の朝飯だ」

リヴァイ「塩気の強いパンというのもオツだな」

リヴァイ「やっぱ塩最強。俺より強いから世界最強の称号をやろう」

リヴァイ「塩気有るだけで飯食った気分になるもんな」

リヴァイ「やっぱ巨人駆除してよかったわ」

リヴァイ「そろそろパン2回め焼くか」

リヴァイ「俺もハンジもあんまり甘いのは食わないが、デザートもある」

リヴァイ「といっても余ったパンをラム酒に浸して水分絞って丸めて、ココアパウダー振るだけ」

リヴァイ「そこまで甘くないしほんのり酒の味もするし、酒のアテになる」

リヴァイ「酒飲みながら酒ってどうよ」

リヴァイ「でもブランデーのアテはこういうのがいい」

リヴァイ「夕食の用意おわり」

リヴァイ「もう4時か」

リヴァイ「洗濯とりこも」

リヴァイ「未だにハンジのパンツ見るのに慣れない」

リヴァイ「あいつ調査兵団やってたときは色気ねぇ支給品パンツばっか履いてたのに、勤め人になったらひらひらのパンツとブラジャーするようになった」

リヴァイ「なんだよ、こういうの最初からつけとけよ」

リヴァイ「でもくたびれたパンツも悪くねぇがな」

リヴァイ「なんていうか、生活感があるってちょっとエロス」

リヴァイ「脱がせるときは断然今履いてる紐パンがいいけどな」

リヴァイ「脱がせた事ねぇけど」

リヴァイ「むしろ起こすときと掃除以外であいつの部屋にはいることねぇけど」

リヴァイ「しかし紐パンはロマンだ」

リヴァイ「よし、たたみおわり」

リヴァイ「収納収納」

リヴァイ「しかし俺の服すくねぇな」

リヴァイ「ユニクロで買った部屋着セット10年くらい着てるわ」

リヴァイ「そうこうしてる間にもう飯の時間だわ」

リヴァイ「家事やってると一日があっというまだな」

リヴァイ「ハンジ、夜遅くなるとかいってたな」

リヴァイ「でも飯は一人で食っても美味くねぇな……」

変な所だけど疲れたので残りはまた明日

残念ながら無職童貞の人じゃないんだ
ただかなり影響うけてるしあの作品好き
あんなゆるい感じでだらだら書きつつ完結させたい

ガチャッ

エレン「え、兵長どうしたんですか」

リヴァイ「俺はもう兵長じゃねぇ」

エレン「リヴァイさんて呼んだらヤクザ屋さんみたいじゃないですか。ただでさえカタギの人には見えないのに。その袋どうしたんです?」

リヴァイ「差し入れだ」

エレン「あ、いつもありがとうございます」

リヴァイ「ミカサとアルミンはどうした」

エレン「ミカサはもう帰ってきてますよ。どうぞ入ってください」

エレン「ミカサー。茶、お茶だしてくれ」

ミカサ「……わかった」

エレン「兵長も紅茶でいいですか」

リヴァイ「悪くない」

エレン「いつも差し入れありがとうございます。この間もらったロールキャベツもうまかったです」

リヴァイ「俺は元々、飯を作るのは得意だ」

ミカサ「お茶どうぞ……」

リヴァイ「ああ、悪いな」

リヴァイ「お前ら仕事は順調か」

エレン「はい! 俺は害虫駆除の会社に就職決まりました!」

ミカサ「エレンは働かなくても、私が食べさせてあげるのに……」

エレン「そんなのヒモみたいでよくねぇよ!」

リヴァイ「グサッ」

エレン「害虫駆除なんですけど、スズメバチの案件が一番多いですね。駆逐してやりますよ!あんなやつら」

ミカサ「毒針があって危ないから、エレンは気をつけること……」

エレン「大丈夫だって言ってるだろ」

ミカサ「家族の心配をするのは、当然……」

エレン「確かに家族だけど、そこまで世話焼かなくていい」

リヴァイ「家族か……」

エレン「あ、そういえばミカサが働いてる仕立屋で、今キャンペーンやってるんですけど」

リヴァイ「キャンペーン?」

ミカサ「古着のリメイクや仕立てをしています……。捨てたくないけど着られなくなったものや、放置してる布とかあれば、ドレスや、ワンピースとかに仕立てあげられます……」

リヴァイ「へぇ、器用だなお前」

ミカサ「裁縫は乙女のたしなみ……。キャンペーン中につき、30%OFF」

リヴァイ「なるほど、ハンジの家に、たしか昔の家から持ってきたけど使い道のねぇ広い布が眠ってたな」

リヴァイ「両親はもう亡くなってるから形見分けで貰ったそうだ」

リヴァイ「あのまま眠らせておくにしても勿体無い良い布だから、スーツかワンピースに仕立てたいと言ってた。ちょうどいい。できるか?」

ミカサ「多分」

リヴァイ「じゃあ相談してみる。邪魔したな」

ミカサ「あ、夕飯食べていかないんですか?」

リヴァイ「作りすぎたものを持ってきただけだ。じゃあな」

ハンジ「ただいまー」

リヴァイ「おかえり」

ハンジ「お、いい匂い。今日は何?」

リヴァイ「パンとキッシュとスープだ」

ハンジ「わーい、お腹すいた。ごっはんーごっはんー」

リヴァイ「その前に手を洗ってうがいしろ。インフルエンザはまだまだ流行ってるんだからな」

ハンジ「あれ?リヴァイもまだ食べてないの?」

リヴァイ「ガキ共の所におすそ分けに行ってたからな」

ハンジ「そうか。みんな元気だった?最近会いに行けてないからまたみんなで一緒にごはん食べたいね」

リヴァイ「向こうも土日休みみたいだからな。調整しておいてやる」

ハンジ「おっ、流石兵士長!気がまわりますなぁ!
よーしご飯ご飯」

ハンジ「このキッシュおいしいねぇ。付け合せのザワークラウトもおいしい!ハイボールにもあうよ!」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「このレンズ豆のスープは故郷にかえってきた!って味がするね!」

リヴァイ「故郷ってなんだ」

ハンジ「おふくろの味ってやつ?うちのお母さんはこんなに料理上手じゃなかったけどさ。
パンもふかふかでおいしい!ほんのり甘いのがまたソーセージとケチャップにあうねー。
ホットドッグはジャンクフードの一種だとおもってたけど、こうやってしっかりした素材で組み合わせて食べればちゃんとした主食になるんだね。美味しいね」

リヴァイ「お前、料理のコメンテーターも向いてるんじゃねぇのか」

ハンジ「ん?そう?でもあんまり気の利いたこと言えないからねー。美味しい美味しいだけじゃ間が持たないよ」

リヴァイ「美味そうに食うだけでも美徳だと思うがな」

ハンジ「あなたは何食べても『これが最後の晩餐か……』みたいに思いつめた顔してるもんね」

ハンジ「ああ美味しかった。ごちそうさまー」

リヴァイ「デザートもある」

ハンジ「あ!このデザート好き。ルムクーゲルだね!兵団がまだ有った時、金曜日に出てくるちょっとだけ豪華なデザート」

リヴァイ「そうだ。というか名前は初めて知った。そんな名前だったのかこれ。余り物で作ったんだが」

ハンジ「昔はお母さんが作ってくれたんだよ。お酒もチョコも貴重品だったから特別なときにね。
なので私にとっては特別なお菓子なのです」

リヴァイ「といいつつハイボールで流し込むのはやめろ。せめてブランデーのロックにしておけ」

ハンジ「ふいー。お風呂気持ちよかったー」

リヴァイ「頭はちゃんと乾かせ」

ハンジ「はいはいっと。いやぁ、リヴァイが来てからちゃんと湯船に浸かるようになったわ。あれなに?アロマオイルとかどこで買うの?女子力高いよリヴァイ」

リヴァイ「ミカサが、いつも飯をくれるからお礼に、と言ってくれたものだ」

ハンジ「へぇー!ミカサもやっぱ女の子だね。リヴァイもお風呂入ってきなよ」

リヴァイ「そうする」

リヴァイ「といったものの」

リヴァイ「女が入った後の風呂とかいつ来ても緊張するわ」

リヴァイ「しかも俺、今、全裸で無防備。パーソナル領域がすげぇ少ない。なんという危機感」

リヴァイ「今の俺は出たての新兵より弱い。巨人に対してなんぞ赤子よりも無力」

リヴァイ「巨人はもう居ねぇけどな」

リヴァイ「ちんこぶらぶらさせていう話でもない」

リヴァイ「頭あらお」

リヴァイ「あー、この風呂はハンジの出汁が出てるのか……」ザパ―

リヴァイ「巨人倒す前のハンジ。風呂くらい入らなくても死なない、とか言ってたあいつが出た後の風呂とかマジ使い物にならなくて一回お湯落としてたもんな……」

リヴァイ「しかし今はどうだ。毎日清潔に保ってるおかげで髪の毛は潤々のさらさら。ミカサオイル配合でいい匂いまでする」

リヴァイ「俺は元々いい匂いに弱い」

リヴァイ「この風呂を出たら俺もいい匂い?」

リヴァイ「自分の匂いは自分じゃわかんねぇな」

リヴァイ「100数えたら上がろ」

ハンジ「わー!リヴァイいい匂い!くんかくんか」

リヴァイ(犬が新しいおもちゃもらった時、こんなかんじでとりあえず匂いかいでたな……)

ハンジ「いい匂い!!美味しそう!」

リヴァイ「美味しそう!?」

ハンジ「それでね、今日はシステムの入れ替えがあってさ……」

リヴァイ「うん」

ハンジ「最近、モブリットが胃は痛くなくなってきたけど何か物足りないとかいいだしてね……」

リヴァイ「ああ」

ハンジ「あ、そろそろ十二時まわるね。寝ようか」

リヴァイ「明日も仕事か」

ハンジ「ううん、明日はお休みだよ。だから今日はちょっと頑張って実験の仕込みやってきたんだ」

ハンジ「ほしい本があるから、明日は買い物に付き合ってね」

リヴァイ「わかった。何時に起こせばいい」

ハンジ「私が起きた時間から活動開始で」

リヴァイ「日が暮れる。9時には叩き起こす」

ハンジ「はぁ。寝る前に読もうと思ってた本取り上げられちゃったよ」

ハンジ「ああでも、お布団が幸せ~。こうしてゴロゴロして本読んでたいなぁ」

ハンジ「シーツは綺麗だし、部屋もピカピカだし、ご飯は美味しいし、帰ってきたらただいまって言ってくれる人がいるのはいいなぁ」

ハンジ「集団生活長かったし、一人でずっと居るなんて初めてだったもん。誰かしら兵舎にいたもんね」

ハンジ「しゃべりたければ談話室に行けばよかったし」

ハンジ「誰も居なければエルヴィンかリヴァイの部屋に遊びに行けば、ほぼほぼ居たし」

ハンジ「今の生活もいいけどね」

ハンジ「紀伊國屋トロスト区支店が一番大きいんだっけ……。専門書はやっぱり出版社が集まりつつあるトロスト区だね。でもはしけ船の時間調べてないや」

ハンジ「まいっか……」

ハンジ「ぐう」

リヴァイ「本を取り上げた」

リヴァイ「研究に必要な本? と思って中身を見たら信用格付けについての本だった。あいつは何がしたいんだ」

リヴァイ「金融用語とか全然わかんね」

リヴァイ「金融崩壊も危機もアングロサクソン人が全部悪いって書いてある」

リヴァイ「この著者そんな個人的に恨みでもあんのか」

リヴァイ「よく考えたら、ハンジが明日休みってことは職安も休みか」

リヴァイ「俺の就職活動、休み明けまで停止」

リヴァイ「いかん、活字読んだら眠くなってきたわ」

リヴァイ「明日の朝飯を考えねば……」

リヴァイ「俺、一日中飯と掃除の事考えてるな」

リヴァイ「まいっか」

リヴァイ「ぐぅ」

とりあえず今日はこんなところで
だらっとした日常書いていければいい

ユミル達どうしような
ゆるい世界観で作ってるからそのうちひょっこり出てくるかもしれん


リヴァイ「今日も気持ちのいい朝だ」

リヴァイ「最近は夜があけるの早くなってきたからな。裏の家で飼ってる鶏の鳴き声で起きるのが常だ」

リヴァイ「でもまださみい。暖炉にコークスいれてこよ」


リヴァイ「あー水ひゃっこい。でも目が覚めたわ」

リヴァイ「とりあえず朝の紅茶一杯。はちみつ入り。ストレートもいいが頭の周りきらないこの時間は糖分が欲しくなる」

リヴァイ「紅茶うめぇ」

リヴァイ「ハンジが一括で買い上げたこの一軒家、はしけ船の船着場からはちょいと遠いが部屋は一人で住むには広すぎる」


リヴァイ「なんであいつこんな広い家買ったんだ」

リヴァイ「本が置きたいからかもな。どこもかしこも本だらけだ」

リヴァイ「俺が私室として借りてる部屋も本棚で埋まってる。地震あったら死ぬんじゃね」

リヴァイ「地震ストッパーつけねぇとな」


リヴァイ「うっし飲み終わった。朝飯は……スープとパンは昨日の残りがある。あとはスクランブルエッグか目玉焼きだな」

リヴァイ「卵2個わっておっぱい目玉焼き!」

リヴァイ「ってやったら引くかな」

リヴァイ「やめとこ」

リヴァイ「スクランブルエッグドッグも上手いからスクランブルエッグだな。方針だけ決めた」


リヴァイ「とりあえず洗濯物。昨日の夜分」

リヴァイ「湿度が低いので部屋干ししておくと適度に湿気が出ていい」

リヴァイ「朝にはカラカラだ」

リヴァイ「というわけでたたむ」

リヴァイ「ハンジのブラジャー……思ったより小さくもねぇしデカすぎもしない」

リヴァイ「あれだ、手に掴んでちょっと余るってやつだ」

リヴァイ「……」

リヴァイ「うさぎ―!」


リヴァイ「気が済んだ。頭にかぶるのも悪くねぇ」

リヴァイ「ウルトラマンはやめておこう」

リヴァイ「こんな小せぇ布によく股間が収まりきるよな。女ってすげぇ」

リヴァイ「俺だったらはみ出す。なんたって元人類最強」

リヴァイ「多分人類最強じゃなくてもはみ出すけど。毛とか」

リヴァイ「畳んだ」


リヴァイ「畳んだので衣装箪笥にしまっておく。ハンジの下着類はこの小さなケース」

リヴァイ「アルミンお手製ポプリとか入れてみた」

リヴァイ「俺のはまた別途買ってもらった。まぁさすがに一緒のケースに入れとくのはおかしいよな」

リヴァイ「このパンツもう10年くらい履いてるんだけどいい加減くたびれてきたな……」


リヴァイ「いい加減買い直そうと思ってるんだが、まだ履けるって思うとアップリケも愛おしい」

リヴァイ「ちなみに繕い物も得意だ」

リヴァイ「洗濯もの片付け完了」

リヴァイ「タオルのケースにもポプリ入れてある。いい匂いだ。柔軟剤と匂いが交じると気持ち悪くなるから要注意だ」


リヴァイ「てわけで洗濯。本命。洗濯はいい」

リヴァイ「工業都市で作られた最新式自動洗濯機(二槽式)」

リヴァイ「自動っていいながら脱水は脱水用の層に自分の手で移さねぇとならねぇ」

リヴァイ「しかし全自動より洗ってる感が結構あるので俺は二層式を愛用」

リヴァイ「タイマーに呼ばれるまで放置」


リヴァイ「次は掃除」

リヴァイ「部屋が無駄にあるのと本が多いのでホコリがたまりやすい。掃除しがいがある」

リヴァイ「しかしジャンルごちゃまぜだな。何でもかんでも頭に詰め込めばいいってもんじゃねぇだろう」

リヴァイ「編み物の本が若干読み込んである」

リヴァイ「何か編んでたのかあいつ」

リヴァイ「意外と細かい作業できるんだよな」


リヴァイ「とりあえず主要な部屋の掃除おわり」

リヴァイ「洗濯も干した」

リヴァイ「ハンジを起こしたらシーツも洗おう。いい天気の日に干しておかないとな」

リヴァイ「起こす前に飯つくろ」


リヴァイ「スクランブルエッグドッグ」

リヴァイ「パンは挟みこむ隙間をパン切り包丁で切って、トースターに入れておく」

リヴァイ「牛乳、卵、塩コショウにあれば粉チーズ入れて混ぜる」

リヴァイ「フライパンにバター引いて流し込んだら手早くかき混ぜ、半熟直前で火から下ろす」

リヴァイ「水で濡らしたタオルの上にフライパンおいとく」


リヴァイ「予熱で固まるからこれでオケ」

リヴァイ「パンが焼ける前にハンジを起こそう」

リヴァイ「最終手段、布団削ぎをつかおう。寒い季節には効果的だ」


リヴァイ「おいハンジ!起きろ!」

ハンジ「……うー」

リヴァイ「ハンジ、飯だ」

ハンジ「うー……おはよ……。起きるよ……」

リヴァイ(珍しく一発でおきたわ)

ハンジ「顔洗ってくるね」フラフラ

リヴァイ(しかも自主的に顔を洗いに行った。今日は雨でも振るのか)


リヴァイ「出かけるし洗濯取り込んでいったほうがいいかな……雨降ると悪い」

ハンジ「はー、水が冷たいね。おはよ」

リヴァイ「紅茶はストレートでいいか。砂糖入りか」

ハンジ「砂糖いれてー」

リヴァイ「わかった」


ハンジ「一晩おいたスープもまたおいしいよね」

リヴァイ「お前レンズ豆好きだな」

ハンジ「これだけあれば行きていける位好きだね。あと芋とサンドイッチ」

リヴァイ「なんでそんなに好きなんだ」

ハンジ「食べるのが楽だから?片手間に食べられるものが好きだったんだ」

ハンジ「今はもう片手間じゃなくていいんだけど。名残?」


ハンジ「まぁ最も、片手間に食べてたんじゃ作ってくれるリヴァイに悪いしね。こんな美味しいものならちゃんと味わいながら食べたいし」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「ふー!おいしかった!ごちそうさま!」

リヴァイ「紅茶もういっぱい飲むか」

リヴァイ「うん、頂戴。今度はストレートで」


ハンジ「でさ、リヴァイ」

リヴァイ「うん?」

ハンジ「うさぎー!ってな… リヴァイ「ブフォッ」

ハンジ「だ、大丈夫!?」

リヴァイ「お、おま…おまえみて……みてたのか……」

ハンジ「寒いからおしっこー、と思って起きたらリヴァイが私のブラを頭に装着してて楽しそうだったから」

リヴァイ「……(死にたい)」


ハンジ「あれ楽しそうだね!今度ある歓迎会でかくし芸としてやろうかな」

リヴァイ「やめろ」

ハンジ「だめ?」

リヴァイ「ドン引きだ」

ハンジ「そっかー」

リヴァイ「やるなら家の中だけにしておけ」

ハンジ「そうするよ」

とりあえず終わり
続きはまた来週ー

リヴァイ「というわけでおでかけ。ハンジは支度中」

リヴァイ「土曜日はトロスト区中央通でマーケットが開かれる。そこに古本屋もでてくるらしい」

リヴァイ「巨人も壁も無くなったんで、今までは焚書だった本も普通に解禁」

リヴァイ「というわけで倉庫の奥にしまわれた本がいっぱい出てくるそうだ」

リヴァイ「なにせ外の世界に関するノウハウなんてさっぱこれから商売起こして一攫千金狙うやつはここらで情報仕入れたりするらしい」

リヴァイ「紀伊國屋行くついでに寄るとか何とか」

リヴァイ「らしいというのは俺が調べたわけじゃねぇ。ハンジからの入れ知恵だ」

リヴァイ「あいつ知識を吸収することとなると眼の色がかわる」

リヴァイ「ヨダレがでるくらい勉強好きなんだろう」

リヴァイ「実験大好きHENTAIクレイジーババァだな」

リヴァイ「文字面だけみるとひどい」

リヴァイ「せっかくだし俺もいい本があったらほしい。掃除に関するものとか」

リヴァイ「しかし遅い」

リヴァイ「おいハンジ。出かけるのかでかけねぇのかはっきりしろ」

ハンジ「はいはい、せっかちだね」

ハンジ「せっかちさんはなんで右手にバスケット持ってるの?」

リヴァイ「昼飯だ」

ハンジ「……せっかく出かけるんだし、毎日作ってもらうのも大変だろうから外食で手を抜いてもらおうと思ったんだけど」

リヴァイ「気にするな、趣味だ」

ハンジ「趣味なら仕方ない。ワインもよろしくね」

リヴァイ「昼間から飲むつもりか」

ハンジ「だって天気いいし、きっといい本出てるだろうし、買えてきっと気分いいだろうし、そんなときに昼間っから外で飲むお酒って背徳的でよくない?」

リヴァイ「人として駄目だな。でもまぁ個人的には悪くねぇ。テーブルワインの買い置きに何かあったか」

ハンジ「前のんだ甘いのがいいな」

リヴァイ「無いので買い出しに行く」

ハンジ「よしよし、リヴァイにも買い物に行く理由ができたね」

リヴァイ「まるで俺が酒を欲してるみてぇじゃねぇか」

ハンジ「あれば飲むでしょ」

リヴァイ「飲むな」

ハンジ「飲むよね」

ハンジ「ついたついた!マーケットだ―!わああああ本がいっぱいでくっそ滾る!!!」

リヴァイ「あ」

リヴァイ「あーあ」

リヴァイ「行き先は紀伊國屋じゃねぇのか」

リヴァイ「ハンジ、一時間後にそこの噴水の前に来い」

リヴァイ「首輪つけておくの忘れてたわ」

リヴァイ「好きなもののことになると、突然視野が極端に狭くなる」

リヴァイ「食費と雑務用の財布は持ってきてるから買い出し行こ」

リヴァイ「酒のカクヤス、トロスト区店」

リヴァイ「名前だけ聞くと焼酎メインに日本酒くらい?と思いがちだが、なかなかどうしてワインの品揃えもいい」

リヴァイ「ここの店の唯一の問題といえば、POS端末の音声が何故かゆっくりボイスなので会計途中で吹き出しそうになることくらいだ」

リヴァイ「ニヒャクエン↑(裏声)」

リヴァイ「最初に聞いた時は我が耳を疑った」

リヴァイ「ハンジの奇声聞くよりはまぁいっか。と思い直した」

リヴァイ「さてワインワイン。この間飲んだ甘いのがいいといってたな」

リヴァイ「ピースポーター ミヒェルスベルク リースリング カビネット。これだ」

リヴァイ「手頃な値段と、リースリングの特徴である癒しの甘さ。アルコール度数が比較的低めなのも飲みやすさの秘訣」

リヴァイ「白は魚料理にあわせるもの、というなんとなくの掟はあるものの、好きな料理にあう好きなワインなら俺はなんでもいいと思う」

リヴァイ「食欲の落ちる夏に、フルボディの赤はキツイしな」

リヴァイ「これケースでください。一本は持ち帰りで」

店員「はい」

ゆっくりPOS「センサンビャクニユヨエン↑ン~→」

リヴァイ(なんでPOS端末に音声入れようとしたんだろうか_)

リヴァイ「ケースの方は家に配送してもらった。さすがに元人類最強でも肩に酒ケース担いで何時間もウロウロするのはちょと辛い」

リヴァイ「壁外調査行ってたときは、背?とかは主に馬にのせてたしな。あとは輸送科の奴らに任せてたし」

リヴァイ「輸送科といや、口と人使いの上手いアルミンははしけ船と馬を使った配送業者の新規事業たちあげてたんだっけ」

リヴァイ「あいつ若いのにすげぇな」

リヴァイ「アルレルトエクスプレスって舌噛みそうな名前の会社だけど」

リヴァイ「結構時間食ったな。ちょうどいいか」

リヴァイ「噴水前にはまだ居ねぇだろうが……」

リヴァイ「と思ったらハンジのやつ居たわ」

ハンジ「あ!リヴァイ!」

リヴァイ「目的の本は見つかったのか」

ハンジ「うん、有ったんだけど」

リヴァイ「有ったんだけど?」

ハンジ「おさいふ忘れてたよ」

リヴァイ「生活費が入ってる財布ならあるが」

ハンジ「貸して!!!あとでまた生活費に入れるから!」

リヴァイ「……お前の金なんだから、好きに使えばいい」

ハンジ「ありがとう!!ああよかったー。せっかくトロスト区まで出てきたのに無駄足になる所だったよ」

リヴァイ「全くだ」

ハンジ「というわけで無事に買えました」

リヴァイ「よかったな」

ハンジ「これ欲しかったんだよね!サルでもわかる!金融学入門!」

リヴァイ「仕事に関連するのか?」

ハンジ「いいや、ただの趣味だよ」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「読む?」

リヴァイ「俺の趣味じゃねぇな」

ハンジ「そっかー」

ハンジ「リヴァイ、お腹が空きました」

リヴァイ「飯にするか」

ハンジ「この近くにテーブルセットがいくつか置いてある公園があるよ。行こう」

ハンジ「家族連れや友達同士の組がちらほらいるね。いいねぇ、お休みの日に友達と昼間から酒のんでご飯するなんて最高だね」

リヴァイ「たしかに背徳的だ」

ハンジ「調査兵団時代も、お休みの日は昼間から女子会(酒)やってたよ」

リヴァイ「それはもう女子会じゃねぇだろ。女子(だった)会だろう」

ハンジ「新兵もいたからアベレージ女子会だよ。それでもこんなに女子らしい食べ物はなかったけど。
バスケットから出しちゃうね」

リヴァイ「ああ頼む」

ハンジ(とりあえず机の上と椅子の拭き掃除はするんだ)


ハンジ「美味しそうだね。これなに?オリーブ?」

リヴァイ「オリーブとチーズの盛り合わせだ。あとはナスとキュウリのようなものとかぼちゃのラタトゥイユ」

ハンジ「こっちはメイン…?なんだろう?」

リヴァイ「ミカサが害獣駆除に呼ばれたらしく、サシャ指導の元仕留めた鹿の肉のシチューだ」

ハンジ「詳しい入手経路まで説明してくれてありがとう」


ハンジ「セッティング終わり!あ、リヴァイ、ワインは?」

リヴァイ「買ってきた。家にもなかったからケースで頼んでおいた」

ハンジ「ありがとう!ああ、この白いワイン!美味しいよね。リースリング」


ハンジ「さぁ一杯どうぞどうぞ」

リヴァイ「……」

ハンジ「どうもどうも。ああ!それくらいで。
じゃ、かんぱーい!」

リヴァイ「乾杯」

ハンジ「……ぷっはー!!!この一杯目がサイコー!」

リヴァイ「……いつも思うんだが」

ハンジ「なに?」

リヴァイ「ワインの飲み方じゃねぇよな」

ハンジ「そう?」


ハンジ「甘いワインに、このラタトウィユの仄かな酸味とパンがあうねぇ。美味しいね」

リヴァイ「お前はホント美味そうに食うな」

ハンジ「どんなふうに美味しいのか感想を述べながら食べるのは、美味しいものを作ってくれたあなたに対する感謝だよ。
あと次にもっと美味しいものが出てくるようになるしね」

ハンジ「仕事中の食事は効率的な方が嬉しいけど、今は効率を求めるような時間じゃないだろう?
じゃあ、美味しさを噛みしめるだけだよ」

リヴァイ「そうか。というかそんな考えながら食っててまずくならねぇのか」

ハンジ「全然!会話だって美味しい食事のシーズニングの一部だからね!」


ハンジ「おお、この鹿肉すごくどっしりしてる。あと一緒に煮込んである芋が美味しい」

リヴァイ「まだ鹿肉が大量にあるから、コンビーフも仕込んである」

ハンジ「コンビーフ!いやぁ贅沢品だね。ワインが進む」

リヴァイ「土地が広がったおかげで多少肉にも余裕できてきたな。全然生産力が足りてねぇが」

ハンジ「今まではじゃがいもがあっても、土地がなさすぎるのと生産者がいなくて輪作が難しかったけど、今はもう土地が広がったからね。
川沿いの比較的肥沃な土地が輪作に向いてるのと、開拓した土地は自分のものに出来るという制度ができてから一気に農作物の生産力あがったね」

リヴァイ「あの豚の放し飼いか」


ハンジ「そうそう。輪作にするためにも肥料がたりなさすぎるから、飼育用のカブを育てて豚に食べさせる。で、糞がそのまま肥料になると。
他にも土地に足りない石灰成分とか栄養は、海に出て漁を開始することで大分解消されたりね」

リヴァイ「お前よく調べてるな」

ハンジ「世界が大きく変わってるんだ。毎日新聞見るのが楽しいよ。魚の骨を畑にばらまくなんて、一昔前じゃ勿体無くてできなかったことだ」

リヴァイ「……」

ハンジ「あっ!お酒とりあげないでよ」

リヴァイ「だめだ」

ハンジ「けーちー」


リヴァイ「今は仕事じゃねぇんだろ。あんまり小難しいこと考えねぇで飯を食え」

ハンジ「このご飯の元だって、新しい知恵と努力がつまってるんだよー。つまりは調査兵団だよー。食の調査兵団ー」

リヴァイ「食の調査兵団で最強の兵士を教えてやろう」

ハンジ「え!?誰?リヴァイが最強の座を譲っちゃう?」

リヴァイ「ああ」

ハンジ「誰?」


リヴァイ「塩だ」

ハンジ「塩……」

リヴァイ「塩は最強。塩があれば大体のものは美味い」

ハンジ「最強の座を塩に譲るの?」

リヴァイ「ああ。飯が美味ければ大体は平和だ」

ハンジ「おなかすいてるのはよくないもんね」

ハンジ「リヴァイ」

リヴァイ「何だ」

ハンジ「あなた酔っ払ってるね」

リヴァイ「酔っぱらいが何をいう」


ハンジ「はー、飲んで食べた!おいしかったよ!」

リヴァイ「帰るか」

ハンジ「かえろっか。本も読みたいしね」

リヴァイ「夕飯なにがいい。材料を買って帰る」

ハンジ「昼ごはんたべたばっかりなのに夕飯のことを考えるって、なんだかよくわかんないよね」

リヴァイ「まぁいいだろう」

ちょっと真面目な話になっちゃったんでまた軌道修正してくる
また来週ー

リヴァイ「今日は日曜日。あのクソメガネもまだ休みだ」
リヴァイ「昨日買ってきた本を読むために窓際のソファーで寝転んでる」
リヴァイ「掃除するのに邪魔だから、一時間ほど公園にでも行ってて欲しいんだが」
リヴァイ「さてどうやって追い出すか」

ハンジ「イーーーーヤッホオオオオオゥッ!」

ズドッ

ハンジ「あなたは髪型を変えないの?」
リヴァイ「刈り上げは一回やってみると便利だからな。変える気はねぇよ」
ハンジ「そっかー。じゃあ私が変えてみていい?」
リヴァイ「好きにしろ」
ハンジ「あなたは冷静だね。私はちょっと悲しいよ?」

リヴァイ「リビングのソファーで黙々と本を読んで、時々思いついたように奇声を上げながら俺に突進してくるのやめてほしい」
リヴァイ「ひとしきり人の髪の毛で遊んだら飽きたのかまた読書に戻っていった」
リヴァイ「兵舎に居た頃は、たしかにほぼ毎日談話室で本を読んでたような奴だったが、あんな奇声をあげて突進してくるとは思わなかった」
リヴァイ「でかいのを受け止めるには体力が結構必要だ」

リヴァイ「まるでそびえたつ大型犬」
リヴァイ「犬のほうが喋らねぇ分可愛げがある」
リヴァイ「でも吠えるか」
リヴァイ「毛も撒き散らすしな」
リヴァイ「毛をまき散らすのはあのクソメガネも一緒か」

リヴァイ「おい、クソメガネ」
ハンジ「何?」
リヴァイ「部屋の掃除をするから一時間ほど外に出て来い」
ハンジ「おやつのバスケットを渡しながらそのセリフを言うとは、よほど掃除がしたいんだね。
    わかったよ。でも私が居なくて大丈夫?」
リヴァイ「どういう意味だ?」

ハンジ「あなたの背の届かない所は私がかわりに掃除してあげるよ?」
リヴァイ「いい。お前に任せると適当な掃除になる」
ハンジ「こだわりマンだなぁ。わかったよ、じゃあ1時間くらい外にでてるね」

リヴァイ「というわけで追いやった。エレン達の家に遊びに行くらしい」
リヴァイ「マドレーヌとクッキーを大量にもたせておいてよかったわ」
リヴァイ「マドレーヌいうても簡単なやつだけどな」
リヴァイ「砂糖、卵、小麦粉、バター、全部同量で混ぜて焼くだけ」
リヴァイ「カトル・カールとか洒落た別名もあるらしい」

リヴァイ「好みでバニラオイルも入れればいい」
リヴァイ「バニラエッセンスは焼くと香りが飛ぶからな。焼くときはバニライオルだ」
リヴァイ「最初はよくエッセンスとオイル間違って買って失敗したわ」
リヴァイ「最近は結構料理できるようになったわ」
リヴァイ「作らないと食えなくて死ぬという事態になればできるもんだ」

リヴァイ「食にこだわりなくても死にやしねぇが、楽しくもねぇな」
リヴァイ「調査兵団在籍の時代は、飯の時間が唯一の楽しみみたいなもんだったし。糧秣部は食糧事情が悪くてもどうにか工夫凝らしてくれたもんな」
リヴァイ「今はそこそこ食糧事情もよくなったが、まぁ何かにこだわり持つのもわるくないわ」
リヴァイ「掃除とかもな」

リヴァイ「掃除は高いところから。まず窓のさんにたまったホコリを払っていく」
リヴァイ「本棚の上もだ。脚立などを使いつつ」
リヴァイ「ホコリを落としたら次は床だ。濡れた新聞紙などをちぎって巻く」
リヴァイ「こうするとホコリが立たなくていい」
リヴァイ「先人の知恵すげぇわやっぱ」

リヴァイ「掃き掃除終わり」
リヴァイ「次は拭き掃除。窓は昨日やった」
リヴァイ「燭台を綺麗にするにはやっぱピカールが一番」
リヴァイ「名前は安直だが、金属製のもの磨くには最強の道具だ」
リヴァイ「ピカールと古布があれば幸せになれる」

リヴァイ「ピカールでの掃除も終わってしまった…」
リヴァイ「リビングはこれくらいか」
リヴァイ「あとはハンジの部屋だな」
リヴァイ「俺が掃除するようになってから大分マシになった。たまにパンツとかパンストが転がってるが」
リヴァイ「使ったタオルをそのまま部屋に持ち込んで洗い場に投げないでおくのやめてほしい」

リヴァイ「またタオルが部屋に転がってた」
リヴァイ「ちゃんと洗わねぇと雑菌の匂いが篭もりやすくなって最悪」
リヴァイ「注意しねぇとな」
リヴァイ「俺の部屋は物がないので掃いて拭くだけだが、メガネの部屋は本まみれだ」
リヴァイ「細心の注意が必要」
リヴァイ「毎月3万は本につぎ込むとかいつ読んでいるんだ…毎日読んでるけど」

リヴァイ「掃除終わり」
リヴァイ「昼飯何にするかな」
リヴァイ「白菜がまだ大量にあるし、白菜と白えびのペペロンチーノ風うどんでも作るか」
リヴァイ「乾麺が細いうどんしかない」
リヴァイ「白えびは隣の家の人からもらった」
リヴァイ「作るのはあっという間だから、用意するのはハンジ帰ってきてからでいいわ」

ハンジ「ただいまー」

リヴァイ「帰ってきた」

ハンジ「お菓子はみんな置いてきちゃったけどよかった?」
リヴァイ「構わねぇ」
ハンジ「向こうも丁度同期の子達が遊びに来てたから配っちゃったよ」
ハンジ「サシャがね、お菓子を絶賛してたよ。素朴で美味しいって」
リヴァイ「そうか」
ハンジ「……」
リヴァイ「……なんだ」
ハンジ「あなたも褒められれば照れるんだね」
ハンジ「私ももっと積極的に褒めるようにしよう」

リヴァイ「手を洗って来い。昼飯にするぞ」
ハンジ「はいはーい」

リヴァイ「あいつが今読んでる本てなんだ?」
リヴァイ「……契約履行について。契約書作成手続き」
リヴァイ「なんだあいつ、暇になったからってインキュベーターにでもなるつもりか」
リヴァイ「私と契約して巨人に傾倒してた5年間の話を聞いてよ!(裏声)」
リヴァイ「勘弁だな」

リヴァイ「白菜と白えびのペペロンチーノ風うどん」
リヴァイ「白菜は適当に短冊切りに。白えびは殻付きのままでも剥いてもどっちでもオケ」
リヴァイ「剥くのは死ぬほど時間かかるからそのままのほうが時間短縮のためにはいい」
リヴァイ「美味いけどな」

リヴァイ「うどん茹でてる間に具を作る」
リヴァイ「ハーブ類にオイルで漬け込んだにんにくを刻む。オイルはそのまま炒め用のものとしてつかう」
リヴァイ「刻んだにんにくとオイルをフライパンにいれてじわじわ温める」
リヴァイ「にんにくは焦がすと不味いから要注意」
リヴァイ「あったまってきたら白菜と小エビ投入」

リヴァイ「白菜が透き通るくらいになったら味付け。鰹だしと塩。あと唐辛子をサヤで2本くらい」
リヴァイ「あとでうどん入れるから味の調整はその時に」
リヴァイ「うどん湯で終わりそ」
リヴァイ「うどんはちょい固めに茹でてもいいが、まぁ柔らかくてもいい。好み」

リヴァイ「ざるにあけて湯切りしたらフライパンにぶちこむ」
リヴァイ「適度に茹でて、味を塩で整えたら終わり」
リヴァイ「よく考えたらこれ焼きうどんじゃねぇか」
リヴァイ「ペペロンチーノ風うどんとか洒落た名前をハンジの前で披露しなくてよかった」
リヴァイ「俺の恥ずかしい歴史に新たなるエピソードが加わる所だった」

リヴァイ「飯できたぞ」
ハンジ「ごっはんー♪ごっはんー♪」
ハンジ「お昼ごはんはうどんかな?うどん♪うどん♪」
リヴァイ(やっぱペペロンチーノとか名乗らなくてよかった)
ハンジ「早く食べようよ!お腹すいた!」

ハンジ「お昼ごはんもおいしかった!エビはいいねエビは」
ハンジ「ああそうそう。ミカサがあなたのジャケットのサイズを測りに来るって」
リヴァイ「俺の?」
ハンジ「そう」
リヴァイ「何で俺の」
ハンジ「前にミカサと話したんでしょ?余ってる布があるから私の服作ってくれるとか。
    多分一着作っただけじゃ余るだろうから、あなたのジャケットもどうかなと思って」
リヴァイ「……」
ハンジ「まぁまぁ、いいじゃないお揃いでも。スカート履けって言ってるわけじゃないしさ。
タータンチェックのいい布だよ。私はワンピース作ってもらうことにした」

トントン

ミカサ「ハンジさん」
ハンジ「ほら、噂をすれば。
    はーい、今開けるよー」
ミカサ「どうも」
ハンジ「いらっしゃい。悪いね、こっちにまで来てもらっちゃって」
ミカサ「いえ、先ほどのお菓子のお礼もありますし」
ハンジ「どうぞあがって」
ミカサ「おじゃましま……ブハッ!」
リヴァイ「!?」
ミカサ「……し、失礼しま……ぶふっ」

ハンジ「おお、とうとうリヴァイの顔がおかしくなっちゃった?」
ミカサ「い、いえ……顔じゃなくて……頭が……ぶふっ」
ハンジ「リヴァイの頭がおかしくなった? そりゃぁ時々おかしいけどさ」
リヴァイ(そういえば朝ハンジにいじくられたような‥…あっ)

ハンジ「あー、リヴァイ、それ気づいてなかったの?
    子泣きじじいみたいにしたやつ」
リヴァイ「なっ……お前!」
ハンジ「てっきり気がついてるものだと思っちゃったよごめんごめん。
    ぱぱーっととっちゃって。ほらほら」ムシリ
ハンジ「あー、なんか癖がついて公然わいせつカットみたいになっちゃったね」

ハンジ「まぁいいやほら、サイズ測ってもらいなよ。ミカサよろしくー」
ミカサ「ぶふっ……は、はい……」
リヴァイ(おいおいどんなパワハラだよこれ)
ミカサ「く、首周りもはかりたいのでできればシャツ1枚になってもらえれば……」プルプル

ミカサ「測り終わりました」
ハンジ「ありがとう。私のはさっき測ってもらったサイズで、二着ともデザインはミカサにお願いしていいかな?
    はやりの服はミカサのほうが詳しいだろうし」
ミカサ「わかりました。リクエストは」
ハンジ「うーん。可愛いやつ?」
ミカサ「‥…可愛いやつ」コクコク
ハンジ「可愛いやつ」コクコク

ハンジ「とりあえずこれだけ渡しておくけど、まだ追加で布や他の道具が必要な場合は言ってほしいな。
    値段はあまり気にしないで、ミカサのセンスが一番生きるのを作って欲しい」
ミカサ「……わかりました」
ハンジ「頼んだよ。よろしくね」

ハンジ「二週間後くらいには出来るって。楽しみだなー!」
リヴァイ「おい」
ハンジ「ん?ああ、ごめんごめん、公然猥褻カットも大体直ってきたよ」
ハンジ「違う。なんで俺のは揃いのスーツにグレードアップしてるんだ」
ハンジ「私のスカートをもう一着つくろうとすると、布の長さが足りないし」

ハンジ「じゃあリヴァイの上下揃いのスーツなら丁度いいよね。あ、ベストもあればよかった?」
リヴァイ「お前の家から見つかったものなんだから、お前のものを作っておけばよかっただろうが」
ハンジ「ん?まぁいいでしょ。それにほら、ちょっといい服着て食事なんていうのも行ってみたいしね」

リヴァイ「結局ごまかされた」
リヴァイ「ごまかされたわけじゃねぇか。それ以上特に考えてねぇだけだな」
リヴァイ「本を読むー、といいながらあいつはソファーの上で絶賛寝落ち祭りだ」
リヴァイ「まだ寒いから寝るならベッド行けというのに」
リヴァイ「おい、風邪引くぞ」
ハンジ「んー……まだ読む―……」

リヴァイ「とりあえず毛布かけてきてみた」
リヴァイ「あのソファーは日当たりがいいので毛布干しついでだ」
リヴァイ「誰かが寝てると眠くなるな」
リヴァイ「俺もちょっと昼寝」

ハンジ「……!」
リヴァイ「……?」
ハンジ「……リヴァイ」
リヴァイ「ん……?」
ハンジ「……リヴァイ!おーい、風邪引くよー。こんな所で寝てると」
リヴァイ「お……?」
ハンジ「もー、人には毛布かけておいて自分はそのまま机に顔面から突っ伏して寝るなんて器用だなぁ」
リヴァイ「ああ、済まない……」
ハンジ「あれ?」

ハンジ「声がちょっと変な気がする」
リヴァイ「いつも通りだ」
ハンジ「そうかな?無理はしないでね」
リヴァイ「それはそうと、今何時だ」
ハンジ「五時くらいかな。まだ明るいけど」
リヴァイ「飯作るか……。その前に洗濯物取り込まねぇと」
ハンジ「ああ、洗濯物は取り込んでおいたよ」
リヴァイ「助かる」
ハンジ「畳むのはお任せだけど」
リヴァイ「構わねぇ」

リヴァイ「昼は麺だったし夜はどうするか」
リヴァイ「鶏肉と白菜のクリームグラタンに、ジャーマンポテトと白菜の甘酢漬けか」
リヴァイ「うーん、どうにも頭がぼーっとするわ」
リヴァイ「寝過ぎたか」

ハンジ「あ、リヴァイ!昨日頼んでたお酒が来たよー。どこに置いておけばいい?」
リヴァイ「食料庫に入れておいてくれ」
ハンジ「わか……あああああっ!?」
リヴァイ「あ?」
ハンジ「リヴァイ、顔が真っ赤だよ!?やっぱり風邪引いてるって!」
リヴァイ「別に至極普通だが」
ハンジ「駄目だって。今日はもう寝る!いいね!」

リヴァイ「頭に冷えピタはられて部屋に押し込められた」
リヴァイ「今の体温計すげぇ。測り始めて10秒測定」
リヴァイ「39度とかあった」
リヴァイ「うーん、机の上で寝たのが悪かったか」
リヴァイ「うーん」

ハンジ「リヴァイリヴァイ!喉乾いた!?ポカリ薄めたやつもってきたよ!!」
リヴァイ「……ああ、うん」
ハンジ「食欲は?」
リヴァイ「……あるような、ないような」
ハンジ「気持ち悪くないならこれ食べてね!私これだけは得意なんだ!パン粥!あとりんごね。りんごすりおろしたやつ」
リヴァイ「いいから、お前は明日仕事だろ」

リヴァイ「感染らねぇうちに部屋に非難しておけ。マスクして、手洗いとうがいを……」
ハンジ「今はリヴァイのほうが病人だよ。いいから、大人しく私の言うことを聞くこと。いいね?」
リヴァイ「……」
リヴァイ(こういう時のハンジは何言っても聞かねぇからなぁ)
リヴァイ「わかった」
ハンジ「よーし!」

ハンジ「それじゃ張り切ってハンジさんが看病してあげるよー!何がいい何がいい?添い寝?」
リヴァイ「放っておいてくれ」
ハンジ「あ、体拭いてあげようか??気持ち悪いでしょ?」
リヴァイ(眠い……)

ハンジ「眠そうな顔してるね!じゃあ食べて食べて。見てるから」
リヴァイ「……」
ハンジ「……じー」
リヴァイ(食べづらい……)モグモグ
ハンジ「食べ終わったら湯たんぽもってきてあげるから、ハンジさんだと思って抱きしめて寝なよ?」
リヴァイ「なんで抱きしめなきゃいけねぇんだ…」
ハンジ「温かいから?」

ハンジ「もういい?」
リヴァイ「ああ……」
ハンジ「うんうん、よく頑張りました!これだけ食欲あるなら一晩寝れば大丈夫かな?それじゃ湯たんぽ持ってくるね」
リヴァイ(食べ終わったらより一層頭がぼーっとする……)
ハンジ「座薬入れようか?」
リヴァイ「いらん」

ハンジ「それじゃ薬飲んでね」
リヴァイ(こくこく)
ハンジ「水差しはサイドボードの所においておくからね。何か有ったらこの拡声器を使って大声で叫ぶか、ベッド脇の銅鑼を鳴らして」
リヴァイ「もうちょっと静かに伝えに行くわ」
ハンジ「残念」

ハンジ「明日の朝も早起きとかしなくていいからね。また様子見に来るけど」
リヴァイ「わかった」
ハンジ「それじゃお休み」
リヴァイ「……ハンジ」
ハンジ「なぁに?」
リヴァイ「……バン粥、美味かった」
ハンジ「うん、よかった」

ハンジ「リヴァイ、めずらしくふらふらだったなぁ」
ハンジ「彼は結構丈夫だから、調査兵団時代はそんなに風邪引いたりしてるところ見たことなかった……あー、二回くらいはあったかな?だし」
ハンジ「ゆっくり風邪引いたり出来るくらい平和になったんだね。よかったなぁ」

ハンジ「さて、当面の問題は私に家事スキルがさっぱりないことだ」
ハンジ「パン粥は私の作ることができる唯一の飯」
ハンジ「私はまぁ適当に食べるにしても、明日の朝どうしようかな。風邪には果物とかがいいんだっけ?」
ハンジ「サプリメントじゃ味気ないもんね」

ハンジ「ドラッグストアも夜遅くまでやっててくれてよかった。流石」
ハンジ「そして私はなぜ口の中がパッサパサになりそうな食べ物ばかり買ってきてしまったんだろう」
ハンジ「カロリーメイト10箱……?」
ハンジ「あとたまごボーロとか懐かしくなって買ってきたけど食べないね」
ハンジ「たべっこどうぶつはつまみかな」

ハンジ「私はリヴァイが来るまで一体どうやってご飯食べてきたんだろう」
ハンジ「サプリと蒟蒻畑と缶詰と酒で体ができてた気がする。あとパン」
ハンジ「たった三ヶ月なのにすっかりリヴァイに生活が寝食されてるなぁ」
ハンジ「まぁ元々の付き合いは長いもんね」

ハンジ「一人で食べるご飯はやっぱり味気ないなぁ」
ハンジ「私は意外と寂しがりやだったんだね」
ハンジ「研究中はたしかに一人だけど、食堂行けば人が居たから一緒に食べてたしなぁ」
ハンジ「どこかしら、なにかしら人がいるというのはよかったな」
ハンジ「まぁでも平和のほうがいいけどね」

ハンジ「うーん、味ないわー。ごちそうさま」
ハンジ「洗い物くらいはしとこう」
ハンジ「洗濯物…も畳んでおこう」
ハンジ「お風呂は……うーん、ここでサボったらリヴァイの熱が上がりそうだから入っておこう」

ハンジ「リヴァイの様子どうかなー」
ハンジ(こっそりこっそり)
ハンジ(寝てるかな?)
リヴァイ「……ぐー」
ハンジ(寝てる寝てる)
ハンジ(眉毛下がってるし、眉間のシワもないね)
リヴァイ「……うぅ」
ハンジ(あれ)
ハンジ(うなされてるなぁ)

ハンジ(まぁ一年やそこらじゃ戦ってきた記憶はなくならないよね)
ハンジ(多分私も一緒だとは思うんだけど)
ハンジ(夢見悪い時なんていっぱいあるしね)
ハンジ(まぁ、時間が解決してくれるよ。きっとね)
ハンジ(うなされるのが終わるまで手を握っててあげよう)

リヴァイ「……すー……すー」
ハンジ(大分落ち着いたみたいだね)
ハンジ(もう大丈夫かな?)
ハンジ「おやすみリヴァイ。またあしたね」

ーー翌日

ハンジ「おはよーリヴァイ!どうかな?」ガチャッ
リヴァイ「……」ちょいちょい
ハンジ「どしたの?」
リヴァイ(声が枯れて殆どでない)
ハンジ「悪化しちゃったね!!あー、どうしようかな!とりあえず医者いこっか!」
ハンジ「大丈夫!こんなこともあろうかと!リヴァイは私個人で雇っているので雇用保険と健康保険はバッチリはいってもらってるよ!」
リヴァイ「……」
ハンジ「保険証もこのとおり!」
リヴァイ(俺、一応健康保険入ってたんだ……)

キリがいいので今回はここでおわり
また来週

リヴァイ(お前)

ハンジ「ん?」

リヴァイ(会社はいいのか)

ハンジ「家族が病気なので病院に付き添います、って言ってあるから大丈夫だよ」

ハンジ「あんまり喋っちゃだめだよ。喉痛めてるんだから」

リヴァイ(子供じゃないし一人で行ける)

ハンジ「いいからいいから。たまーには、ハンジさんにも朝ちょっと遅刻していい理由つけさせてよ」

リヴァイ(……悪知恵働くやつだな)

ハンジ「はいはい。暖かくして病院いくよー」

ハンジ「……どうだった?」

リヴァイ(ただの風邪。処方箋出して貰った)

ハンジ「よかったよかった。じゃあ朝ごはん兼昼ごはん買って帰ろうね」

ハンジ「あと薬局かぁ」

リヴァイ「……」ふらふら

ハンジ「おんぶしようか?」

リヴァイ(必要ない)


ハンジ「よっし、枕元にポカリと水と、あと薬」

ハンジ「ご飯はあんまり食べられなかったね。無理しなくていいけど、でもエネルギーになりやすい糖分はなるべくとってね」

リヴァイ「……」こくこく

ハンジ「無理してご飯作ったり掃除してたりしちゃだめだからね。ここに本も置いておくから、どうしても暇ならこれ読んで」

ハンジ「それじゃ行ってきます。なるべく早く帰ってくるよ」

リヴァイ「……」うとうと


リヴァイ(……出かけて行った)

リヴァイ(午前休とらせて悪かったな……)

リヴァイ(……)

リヴァイ(あいつさらっと『家族が』って言ってなかったか……)

リヴァイ(熱であんまりうまく頭がまわらねぇ……)

リヴァイ(調査兵団に居た時もみんな家族みたいなもんだったしな……)

リヴァイ(……風邪治すのも仕事のうちだ)

リヴァイ(難しいことは考えないで、今は寝とこ……)


リヴァイ「……」

リヴァイ「ん?」

リヴァイ「あーあー」

リヴァイ「喉も治ってる気がする」

リヴァイ「……って、外も暗いな。今何時だ」

リヴァイ「……もっとびっくりするのが枕元にいた」

リヴァイ「おい」

リヴァイ「ハンジ。おい。どうした?」

ハンジ「ん―?
    んう……」

リヴァイ「こんなところで突っ伏して寝るな。おい。お前、仕事行ったんじゃなかったのか?」


ハンジ「行ったよ―……で、帰ってきたんだよ」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「リヴァイの寝顔見てたらそのまま寝ちゃった。
    声、もう治ったんだね。熱は?苦しくない?」

リヴァイ「大丈夫だ」

ハンジ「よかったよかった。顔色もいつもどおり真っ白になったね。血が足りてないかな?」

リヴァイ「大丈夫だ。足りてる」


リヴァイ「今何時だ?」

ハンジ「えっと……私が帰ってきたのが八時で……。十時かな……時計上は」

リヴァイ「そんなに寝てたのか俺は。全然起きなかった」

ハンジ「あはは、疲れてたんだよ。お腹すいた?」

リヴァイ「いや」

ハンジ「寝汗がすごいね。着替える?体拭いてあげようか?」

リヴァイ「着替えたいし体も拭きたいが自分でやる」

ハンジ「ちえっ。仕方ないなぁ。じゃあお湯持ってきてあげるよ。着替えのパジャマはもうあるよ。下着もね」

リヴァイ「ああ……助かる」


ぱたぱた

リヴァイ「……俺の下着入れがどこにあるかよくわかったな」バサッ

リヴァイ「……これハンジのじゃねぇか」

リヴァイ「こんな小さな下着になにを納めろと」

リヴァイ「パジャマもあいつのじゃねーか」

リヴァイ「起きよう。もう動くはず……」

リヴァイ「やべぇ膝が痛い。関節がきしむ」

リヴァイ「そろそろ皇潤かグルコサミン飲むべきだろうか」

リヴァイ「足の関節いてぇ」


ハンジ「あっ!何動いて台所まで来てるの!?」

リヴァイ「このパジャマと下着、お前のだ」

ハンジ「えっ!?ああ……ごめん!リヴァイにそういうの任せっきりだから場所がわかんなくて」

リヴァイ「いい。構わねぇ。でもコレは着ない」

ハンジ「ちえっ」

リヴァイ「着させる気だったのか」

ハンジ「……そ、そんなことナイヨー」


ハンジ「お湯わいたよ」

リヴァイ「助かる」

ハンジ「……じー」

リヴァイ「ずっと見てるつもりか?」

ハンジ「駄目?」

リヴァイ「駄目じゃねぇが……お前も着替えろ。まだ仕事着のままだろ」

ハンジ「あ、そうだった。着替えてくるー」ぱたぱた

リヴァイ「……ほっ」

リヴァイ「まぁ素っ裸見られるのは慣れっこだったしな。慣れっこだったか」

リヴァイ「うーん」


リヴァイ「暫くブランク置くと異様に気恥ずかしいな」

リヴァイ「しかもここは台所」

リヴァイ「風呂場に持っていくか……」

リヴァイ「いや風呂場なら風呂に入ればいいんじゃ。髪もベトベトだし……」

リヴァイ「しかしストーブ用の薪も暖かいしもういいやってストック買いそびれてたわ。髪の毛乾かす手段がね
ぇな」

リヴァイ「王都ガスのガスパッチョ導入を提案するか?」


ざぱー

リヴァイ「結局風呂に入っちまった」

リヴァイ「炊いてあるんだから仕方ない。風呂の誘惑には勝てねぇ」

ハンジ「あれーリヴァイ!お風呂入っちゃったの!?」

リヴァイ「ノックくらいしろ。びっくりしたじゃねぇか……」

ハンジ「私も入っていいー?」

リヴァイ「一緒にか」

ハンジ「一緒に」

リヴァイ「駄目だ」


ハンジ「何でさー?調査兵団に居た時はよくみんなで一緒に入ったじゃない」

リヴァイ「風紀が乱れたからっていってエルヴィンが途中からやめさせただろうが」

ハンジ「そうだっけ」

リヴァイ「そうだ」

ハンジ「私は兵団が解散するまで男湯にも女湯にも出現してたけど?」


リヴァイ「ああそうだな。おかげでお前の雌雄同体説は確固たるものだった」

ハンジ「てへへ」

ハンジ「で、入っちゃ駄目なの?」

リヴァイ「駄目だ」

ハンジ「脱いじゃったよ」

リヴァイ「着ろ」

ハンジ「わーーーーッ!お湯もかぶっちゃえーッ!」


だぱーん

ハンジ「入っちゃった」

リヴァイ「……俺は一応病人だぞ。静かにしろ」

リヴァイ「はーい」


リヴァイ「あと一回上がれ。先にかけ湯してから湯船に浸かるのがマナーだ」

ハンジ「はいはーい。リヴァイはうるさいよねそういうの」ざぱー

リヴァイ(……あいかわらずびっくりするくらい胸がねぇなこいつ)

リヴァイ(……ブラは盛って盛ってパッド詰めまくりだったしな)

リヴァイ(いや、ちょっとだが丘が見える)

リヴァイ(壁外でよくみた荒涼とした大地が若干隆起している程度だが)


ハンジ「リヴァイリヴァイ、シャンプーとリンスとってよ」

リヴァイ「ほら」

ハンジ「ありがとう」ちまちま

リヴァイ「泡立ちが足りねぇ。洗うてのはこうやるんだ」ごしゃごしゃ

ハンジ「わーー洗濯物みたいに洗われてるよーー」

リヴァイ「馬鹿を言え。洗濯物はもっと丁寧に洗う……」

ハンジ「もっとよくないよ!」


ハンジ「乱暴されてしまった……」

リヴァイ「満足そうに湯船に浸かってる奴がいうセリフじゃねぇな」

ハンジ「リヴァイも洗いなよ。なんなら洗ってあげるよ」

リヴァイ「遠慮する」

ハンジ「何で?」

リヴァイ「お前にやられると雑に洗われそうだからな」

ハンジ「大丈夫だよー。ほら、胸でご奉仕しちゃうよ」

リヴァイ「洗濯板か」

ハンジ「そう!」


ハンジ「よくナナバに洗濯板で洗濯しちゃうよー?って背中洗ってあげてたよ」

リヴァイ「セクハラだな」

ハンジ「ミカサやサシャは喜んでくれてたよ。よく落ちるって」

リヴァイ(……何が?)

ハンジ「リヴァイも大好き、掃除グッズだよ!ハンジさんの洗濯板!」

ハンジ「自分で言ってて若干落ち込んできたよ」

リヴァイ「自業自得だ」


リヴァイ「俺は自分で洗うからいい」

ハンジ「ちえっ」

ハンジ「私もう上がるね。温まったし!先にストーブいれておくよー」

リヴァイ「え?あ……」

リヴァイ「なんというカラスの行水」


リヴァイ「結局自分をフル掃除してしまった」

リヴァイ「どうやって髪を乾かすか」

リヴァイ「ハンジの奴ストーブがどうって言ってたけど薪切らしてるの知らねぇよな」

リヴァイ「このままだと風邪が悪化する」

リヴァイ「コンロのガスでどうにかなんねぇかな」

リヴァイ「確か昔のヘアアイロンは豆炭みたいなのを入れて髪に当ててたとか」

リヴァイ「お?」

ハンジ「おかえりーリヴァイ」

リヴァイ「そのストーブどうした?」


ハンジ「リヴァイが寒くないかなーとおもって帰りがけに薪を買ってきたよ。いいよね薪ストーブ」

リヴァイ「……手際いいな」

ハンジ「あとね、食欲ないだろうなーって思って。食べやすい牛乳と白パンとチーズ」

ハンジ「これ、ストーブの上で焼いて食べると美味しいんだよね」


ハンジ「はいはいストーブの前に座って。髪の毛乾かしてあげるよ」

リヴァイ「……」

ハンジ「リヴァイの髪の毛はふわふわで細いねぇ。すぐ乾くね」

リヴァイ「そうだな」

ハンジ「焼きあがったの食べたら、ホットミルクのんで寝ようね」

リヴァイ「ああ」

ハンジ「ねぇリヴァイ、知ってる?」

リヴァイ「何をだ?」


ハンジ「温めた牛乳にみかんとかレモンの絞り汁いれると固まるんだよ!」

リヴァイ「リコッタチーズだろそれ……」

ハンジ「え、これ超メジャー?あたらしい反応とかじゃなくて?」

リヴァイ「メジャーかどうかはしらねぇが、とりあえず料理本には書いてあった」

ハンジ「えええーーっ!!世紀の発見かとおもったのに……」


ハンジ「髪の毛乾かし完了。次は私ね」

リヴァイ「俺がやるのか?」

ハンジ「そう」

リヴァイ「……病人使いが荒いな」

ハンジ「まだまだパンが焼けないからね。仕方ないね」

リヴァイ「髪の毛絡みすぎだ。丁寧にブラッシングしてるのか」

ハンジ「いたたったたあたたた!!!いたい!!!めっちゃ痛い!!!!」


リヴァイ「世のトリマーの気分がわかった。毛並みはいつも整えておかねぇと後々面倒だ」

ハンジ「私は犬じゃないよぉ……」

ハンジ「あっ!パン焼けたかな!」

リヴァイ「切り替えが早くて現金なところが犬っぽい」


ハンジ「はいはい。どーぞどーぞ。おいしいとおもうよ!」

リヴァイ「ああ」

ハンジ「リヴァイの料理には敵わないけどね。たまにはこういう質素なのも。
    って調査兵団の時よりは豪華だけどね。パンも白いし。チーズもあるし」

リヴァイ「……美味いな」

ハンジ「おいしいね」


ハンジ「はー、食べた食べた。結局食べたしお風呂入っちゃったね」

リヴァイ「そうだな」

ハンジ「片付けは私がしとくから、リヴァイはもう寝なよ。夜更かしはよくないよ」

リヴァイ「悪いな。頼む。明日には治ってると思う」

ハンジ「いいんだよ」


リヴァイ「薬飲んで一日でこれだけ回復すれば上出来だ」

リヴァイ「明日から取り戻さねぇとな。色々」

リヴァイ「……」

リヴァイ「……」

リヴァイ「……昼間寝すぎて全然眠れねぇ」


ハンジ「リヴァイー。片付け終わったよ―。薬飲んだ?」

リヴァイ「飲んだ」

ハンジ「よしよし。それじゃこのマスクつけて。乾燥は厳禁だからね!」

リヴァイ「……」

ハンジ「わー、なんていうか。リヴァイすごくマスクが似合うね!」

ハンジ「不運と踊っちまった!って感じ!」

リヴァイ「褒められてる気がしない」


ハンジ「それじゃ詰めて詰めて?」

リヴァイ「は?」

ハンジ「一緒に寝るよ。人間湯たんぽだよ」

リヴァイ「いや」

ハンジ「眠いから早く早く。枕と布団は持ってきたから布団も奪わないよ」

リヴァイ「いや」

ハンジ「はいはーい。ハンジ入りまーす」


ハンジ「あー……あったかい!やっぱりリヴァイに先にお布団にはいっててもらってよかった!人間湯たんぽ!」

リヴァイ「お前が湯たんぽじゃなくて俺がか」

ハンジ「そうだよ?元々リヴァイのほうが熱高いし。
    ああ~暖かくてしあわせ~。ぬくい~」

リヴァイ「おい、お前な」

ハンジ「ぐぅ」


リヴァイ「おい」ぺちぺち

ハンジ「ぐー……」

リヴァイ「入って即寝三秒とか鍛えられすぎだろ……。
     会って即ハメ◯秒シリーズみたいじゃねぇか」

ハンジ「ぐー……」

リヴァイ「まぁいいか」

リヴァイ「どうせ眠れない」


リヴァイ「おい」ぺちぺち

ハンジ「ぐー……」

リヴァイ「入って即寝三秒とか鍛えられすぎだろ……。
     会って即ハメ◯秒シリーズみたいじゃねぇか」

ハンジ「ぐー……」

リヴァイ「まぁいいか」

リヴァイ「どうせ眠れない」

同じの2回かいてもた
すみませぬ


リヴァイ「……明日や将来の事を考えても陰鬱にならなくなったから、夜も悪くない」

リヴァイ「夢見悪すぎて夜中起きることもあったからな」

リヴァイ「それは今も同じだけど」

リヴァイ「昔よりは十分マシだ」


ハンジ「……う……」

リヴァイ「……?」

ハンジ「……ごめんね、ごめん……」


ハンジ「……うう……ごめんね……」

リヴァイ「誰に謝ってるんだ……?」

ハンジ「……っ……ごめんなさい……ごめんね……」

リヴァイ「聞くまでもねぇか……」

リヴァイ「夢の中くらい詫てこい。
     実際に、ごめんなんて謝れねぇんだからな。誰に対しても」


リヴァイ「……ん?」

リヴァイ「この明るさは六時」

リヴァイ「……体にも異常なし。動く。喉も痛くない」

リヴァイ「……隣にいるのは大型犬……」

リヴァイ「ハンジ」

ハンジ「んうー……あとごふん……」

リヴァイ「起きろ。会社だろ。支度しろ」

ハンジ「うー……」ばさっ


リヴァイ「顔洗って来い。飯の支度しておく」

ハンジ「ん~……」

リヴァイ「ほら早く」

ハンジ「うー……わかったよぅ起きるよぉ……」ふらふら

リヴァイ「さて俺も起きるか」

リヴァイ「サボった分取り返そ」


ハンジ「おはよう……ねむい……」ふらふら

リヴァイ「飯もできてるぞ。簡単なものしかねぇけどな」

ハンジ「んん……だいじょうぶ……」


ハンジ「朝の紅茶は身にしみる~。はー!久しぶりに朝ごはんっぽいものたべた気がするよ!一日だけなのに!」

リヴァイ「そうか。弁当だ」

ハンジ「ありがとう!今日は鶏肉がいいなー。蒸したやつ!」

リヴァイ「わかった。作っておく」

ハンジ「やったー!それじゃいってくるねー!」


リヴァイ「おかしい」

リヴァイ「超元気じゃねぇかあいつ」

リヴァイ「風邪をうつしてなおるもんだろう。こういうのは」

リヴァイ「まぁ健康一番か。年をとると実感しまくってやばい」

リヴァイ「俺の関節はまだちょっと軋んでいる」

リヴァイ「成長期かな?」

とりあえずキリがいいので今週はここで
いつもコメントくれたり見てくれたりする人ありがとう
完結まで 1/3消化
あともうちょいおつきあいください

リヴァイ「というわけで風邪も治ったし完全復帰」

リヴァイ「まずは家の掃除から」

リヴァイ「この家は二人暮らしするにはちょっと広い」

リヴァイ「一階部分はリビング、ダイニング、バスルーム、書斎、貯蔵庫」

リヴァイ「二階には6畳ずつの部屋が2つとゲストルーム、ゲスト用のバスルーム」


リヴァイ「6畳の一部屋は俺の部屋として使わせてもらってる」

リヴァイ「もう一つはハンジの部屋」

リヴァイ「さすが都市部から離れてる一軒家」

リヴァイ「掃除のやりがいもある」

リヴァイ「まずは天井から埃落とし」

リヴァイ「リビングの天井は吹き抜けになってて高い」

リヴァイ「すっかり使わなくなったと思われがちだが、立体機動装置はこんなところで役に立つ」

リヴァイ「垂直移動だけならガスもいらねぇしな」

リヴァイ「さすがに毎回柱にアンカー打つわけにもいかねぇから、よく使う場所には滑車つけてある」

リヴァイ「家の中でもボルタリング練習できる仕様」

リヴァイ「体もなまらない」


リヴァイ「どうでもいい豆知識だが、シガンシナの壁は一部ボルタリング練習場になってる」

リヴァイ「俺もボルタリングの先生になろうかな」

リヴァイ「求人あれば」

リヴァイ「まだここ以外に就職するのはあきらめてない」

リヴァイ「雇い主のハンジに副業の許可もらえればだけど」


リヴァイ「上から埃を落としたら、次は家具についた埃落とし」

リヴァイ「埃落としが終わったら掃き掃除」

リヴァイ「掃き掃除が終わったら家具を磨く」

リヴァイ「このローテで部屋をきれいにしていく」

リヴァイ「充実」


リヴァイ「……掃除が終わってしまった」

リヴァイ「久しぶりだから熱が入りすぎたわ」

リヴァイ「ジャスト14時」

リヴァイ「昼飯食いそびれてた」

リヴァイ「まいっか。これから食えば」


リヴァイ「一人だとどうにも飯が適当になるわ」

リヴァイ「ポテトサラダのサンドイッチって炭水化物を炭水化物で挟んで食ってる狂気の代物だよな」

リヴァイ「焼きそばパンもだけど」

リヴァイ「スパゲティパンもか」

リヴァイ「コロッケパンもだ」


リヴァイ「……」

リヴァイ「まぁ美味いからいっか」


リヴァイ「夕飯何にするかな」

リヴァイ「ハロワ行がてら決めよう」

リヴァイ「帰りがけに買い物だな」

リヴァイ「ここ二日、まともなものをハンジに食わせてねぇからな」

リヴァイ「あいつの好きなものにしてやろう」

リヴァイ「何が好きなんだっけか」


リヴァイ「あ、やべ。俺、ハンジの好物しらねぇわ」

リヴァイ「なんでも美味い美味いって食うしな」

リヴァイ「飯をうまそうに食う女はいい」

リヴァイ「そういうことじゃない」

リヴァイ「うーん。何だろう。今日聞いてみよう」

リヴァイ「とりあえず肉だな。肉。肉食うよって顔してるし」

リヴァイ「庭に植えておいたローズマリーがわさわさし始めたから似非ロティサリーチキンにでもするか」

リヴァイ「串刺しでぐるぐる回しながら焼くかまどとか作ればいいのか」

リヴァイ「そうすればガキ共にも食わせてやれるな」

リヴァイ「ふむ」


リヴァイ「ハンジはガキ共への差し入れ用に飯を多く作った?とか聞いてくる」

リヴァイ「あんまりに毎日聞かれるので、いつも二人暮らし用の飯の量じゃないのができてる」

リヴァイ「かわいがるのはいいが食わせすぎると太るぞ」

リヴァイ「エレンは外仕事だからいいが、ミカサとアルミンは内勤だ」

リヴァイ「この間家に行ったらミカサは片手で逆立ちして筋トレしてたな」

リヴァイ「ミカサは太らねぇなあれ」

リヴァイ「むしろ現役時より逞しい気がするわ」

リヴァイ「洗濯物も終わってしまった」

リヴァイ「こっちを掃除始める前に終わらせておくべきだったな」

リヴァイ「もう夕暮れになるわ」

リヴァイ「乾かなかったら暖炉の横で干すしかないわ」

リヴァイ「俺の作業ミスだわ」

リヴァイ「気が付いたらハロワ閉館まであと1時間」

リヴァイ「財布持って行こ」

リヴァイ「求人はあったけど倍率高そうなのばっかだったわ」

リヴァイ「シガンシナ区の職員で害獣駆除のもあったわ」

リヴァイ「でもこれ猟銃所持の資格いるけどとればいいのかな」

リヴァイ「そんな簡単に取れるかしらんけど」

リヴァイ「サシャに聞いてみよ。詳しそうだし」

リヴァイ「弓と矢ですよ弓と矢、って言われそうだわ」

リヴァイ「ボウガンも一応危険物じゃねぇのかな」

リヴァイ「ほかには学童保育の職員」

リヴァイ「急激に増えた子供と、働きに出たい親が増えたおかげでこんな求人も結構出てた」

リヴァイ「俺は結構子供のお守りが得意だ」

リヴァイ「104期のガキどものお守りもやってたくらいだしな」

リヴァイ「聡いアルミンと、目上の人間には比較的従順なジャンのおかげでだいぶ楽だったが」

リヴァイ「たまにジャンは暴走してたけどな。エレンがミカサとつるんでる時だけ」

リヴァイ「ジャガイモとサシャの芋コンビはアホで大変だった」

リヴァイ「目を離すと落とし穴掘るか動物捕獲用の罠張るのやめてほしい」

リヴァイ「何度俺が捕獲されたかわからねぇ」

リヴァイ「あれ、むしろ俺を捉えるための罠だったのか」

リヴァイ「捕まるたびに【食べられるもの以外捕獲されちゃいけないんですよ!!そのうちほんとに食べますよ!!】ってサシャが叫んでたわ」

リヴァイ「隠れ家の裏口に罠仕掛けておくほうがおかしい」

リヴァイ「あれもまぁ今となっちゃ懐かしい」

リヴァイ「とりあえず害獣駆除と学童保育に応募しよかな」

リヴァイ「次は罠を張ってもいいけど食おうとしない子供がいい」


リヴァイ「肉購入終了」

リヴァイ「いつもの肉屋は閉まってたから、店を新規開拓してみた」

リヴァイ「で、頼んだはいいけどその場で鶏一羽まるっと〆るとは思わなかったわ」

リヴァイ「びっくりして一羽丸ごと買っちまったじゃねぇか」

リヴァイ「内臓付きで」

リヴァイ「……どうしよう」

リヴァイ「とりあえず鳥レバーは塩焼きにするか……」

リヴァイ「問題はきんかんだな。甘辛く煮たらいいって言われたわ」

リヴァイ「でもこんなん初めてみたわ」

リヴァイ「メスの腹の中って次に生まれる卵の種?がぎっしり詰まってるんだな」

リヴァイ「あー……」

リヴァイ「深く考えないことにしよう」

リヴァイ「特に人間に置き換えたらいけない」

リヴァイ「それ以上いけない」

リヴァイ「レバーは水の中で手でつぶしつつ血抜きする」

リヴァイ「3時間もおけばまぁ大丈夫じゃねぇかな」

リヴァイ「レバーの下ごしらえは終わったから放置」

リヴァイ「次は心臓と砂肝。こいつは2つくらいに切って衣つけて揚げる」

リヴァイ「揚げてる間にマリネ液準備」


リヴァイ「セロリ・にんじん・玉ねぎを全部薄くスライス」

リヴァイ「オリーブオイルに塩とレモン汁を入れる。グレープフルーツでも美味い」

リヴァイ「とりあえず酸っぱければオケ」

リヴァイ「二つを混ぜ合わせて塩コショウで味整える」

リヴァイ「心臓と砂肝は、揚げ終わったら油を切って用意しておいたマリネ液に入れて混ぜる」

リヴァイ「モツのマリネというとなんだか色気がないがまぁそういうのができた」


リヴァイ「さて鳥本体だ」

リヴァイ「血抜きはしてあるから、あとは…お湯をかけつつ残ってる毛を毟る」

リヴァイ「中の骨についてる血もきれいに洗う」

リヴァイ「トサカが生々しいな……」

リヴァイ「ついでにいうと首もぶらぶらしてる」

リヴァイ「もぐか……」ポッニョ


リヴァイ「さすがに頭を食うほど飢えてはいねぇ」

リヴァイ「安らかに眠ってくれ」

リヴァイ「下ごしらえが終わったら、とりあえずローズマリー攻めにする」

リヴァイ「塩コショウに生ローズマリーだけでもいいが、バジルとクミンシードあたりもまぶしておくとなんだかそれっぽい」

リヴァイ「ボールの中に香辛料をぶち込む」

リヴァイ「ちょっと大目に作っておくといい」

リヴァイ「この料理はこれ以上塩っ気があると食えないけど、これ以下の塩気は物足りない、くらいの塩加減が重要」


リヴァイ「ぶち込んだ香辛料を鳥に塗りたくっていく」

リヴァイ「隅々まで塗りこんだら、適度にオリーブをかける」

リヴァイ「サラダオイルでもいいが、でも俺は、オリーブオイル」

リヴァイ「ほどほどのところでオーブンにクッキングシートを引いて鳥を入れる」

リヴァイ「焼き上がりまで大体一時間くらい」


リヴァイ「時々ひっくり返しつつ、様子見る」

リヴァイ「俺は今までハーブなどという草はそのまま食っても苦いし匂いは強いし不味いものだと思ってた」

リヴァイ「違うんだ」

リヴァイ「ハーブは生でそのまま食うもんじゃねぇ」

リヴァイ「何かと一緒に食うから美味いんだ」

リヴァイ「料理と一緒だ」

リヴァイ「一人で食っても美味くねぇ」


リヴァイ「俺いいこと言ったわ」

リヴァイ「メモっとこ」

リヴァイ「いつか使う日が来るかな」

リヴァイ「こねぇな」

リヴァイ「大体ハンジは、一人で飯食うのを嫌がる」

リヴァイ「俺が来る前は、わざわざ旧兵舎に戻って食ってた」

リヴァイ「もしくはエレンミカサアルミンの家」

リヴァイ「元とはいえ上司が来るとかおちつかねぇ食卓にしてたなあいつ」

リヴァイ「……俺が病気してる間、悪かったな」


リヴァイ「因みにこの知識は地下街に居たときそこらに生えてる草を適当に食べた経験からきている」

リヴァイ「ハコベなどは筋があるがまぁそこそこ美味い。甘いし」

リヴァイ「タンポポは苦い」

リヴァイ「イタドリは酸っぱいが果肉はある。おやつに最適」

リヴァイ「地下街は割と植物が豊富」

リヴァイ「何を栄養にして育ってるかは考えない」


リヴァイ「あとはパンを焼いて終わりか」

リヴァイ「これはハンジが帰ってきたらにしよう」

リヴァイ「洗濯取り込も」


リヴァイ「俺の選択は間違ってた」

リヴァイ「悔いなき洗濯がしたい」

リヴァイ「生乾きじゃねぇか」

リヴァイ「暖炉の横に干しておくか」

リヴァイ「今日もちょっと冷え込むから暖炉つけるし、まぁいい湿気発生装置だとおもえば……」


リヴァイ「もう暗いな」

リヴァイ「夏に向けてどんどん日が長くなっていくが、朝夜は肌寒い」

リヴァイ「もうちょっとしたら庭の花も咲き始めるかな」

リヴァイ「ハンジの奴、俺の植えたハーブの花を楽しむんじゃなくて食うか食えるかだけで判断するのやめてほしい」

リヴァイ「おっさんにも秘めた乙女心はあるんだ」


ハンジ「ただーいまー」

リヴァイ「帰ったか」

ハンジ「遅くなっちゃってごめんね」

リヴァイ「おお、なんだか家がぴかぴか……?」

リヴァイ「たまりにたまってた埃を吐き出したからな」

ハンジ「二日休んだだけじゃない」

ハンジ「私だけで住んでた時なんて、一か月掃除しないとかざらだったよ」


リヴァイ「よく気が狂わねぇな」

ハンジ「掃除しなくても生きてはいけるからね!」

リヴァイ「生きていけるが、でも居住するのに快適さを求めないのは向上心にかける」

ハンジ「代わりにリヴァイが掃除してくれるからもう大丈夫だよ」

リヴァイ「先に風呂入って埃を全部落として着替えてこい」

リヴァイ「飯はそれからだ」

ハンジ「はいはーい!ごっはんーごっはんー」


ハンジ「ごはーん!」

リヴァイ「髪は乾かしたのか」

ハンジ「乾かしたよ!!」びしゃびしゃ

ハンジ「体はまぁ、ほっとけばかわく!」びしゃびしゃ

リヴァイ「タオル巻いたまま来るな」

リヴァイ「素っ裸で食う気かお前」

ハンジ「パジャマとガウンを部屋に忘れたんだよ」

ハンジ「あとパンツ」

リヴァイ「早くとりにいけ。そして着替えろ」


ハンジ「はー、リヴァイがパンツ履けっていうから履いたよ」

リヴァイ「人間としての尊厳は守れ」

リヴァイ「これがリヴァイの場合だと、最低限ペニスケースはめるってことになるのかな」

リヴァイ「あれは正装だ」

リヴァイ「毎日正装はしない」

ハンジ「なるほど」


ハンジ「ごはんはー?ねぇごはん」

リヴァイ「とりあえず座れ」

リヴァイ「今日はロティサリーチキンといつもの豆のスープ。あとはモツを適当に合わせたマリネにレバーの塩焼きだ」

ハンジ「鳥ずくしだね!鳥!」

ハンジ「いただきまーす!」


ハンジ「このはっぱなに?肉からすごくいい匂いがしておいしいね!」

リヴァイ「ローズマリーだ。安い肉でも美味くなる魔法の草だ」

ハンジ「大麻?」

リヴァイ「ちがう」

ハンジ「地下街生まれ地下街育ちの知識をここで生かしたのかと」

リヴァイ「確かに半分当たってるが、はずれだ」

リヴァイ「地下街で体当たりして見つけた食える草の知識がここで役に立った」

リヴァイ「お前が無駄に集めた料理の本を読んだところ、これらはハーブというものに相当するらしい」

ハンジ「へええ、すごいねぇ。ハーブっていうのは」


ハンジ「知識としては、ハーブや香辛料というものを使うと料理がおいしくなる、というのは知ってたけど」

ハンジ「やっぱり経験が一番だね!おいしい!」

ハンジ「ワインもすすむわー」

ハンジ「マリネもやさしい酸味でおいしいねぇ」

ハンジ「グレープフルーツ?っていうの?最近よく交易で持ってくるようになったよねこれ」

ハンジ「海の向こうにこんなの育ててる人がいるとはねー」


ハンジ「ふいー、食べた食べた。ごちそうさま!」

リヴァイ「二人で一羽まるっとっていうのも多いな……」

ハンジ「幼馴染ーズのところには持って行った?」

リヴァイ「持っていこうと思ったが、買い物に行ったときミカサと会ってな」

リヴァイ「今日は三人で外食に行くそうだ」

ハンジ「そっかー!外食!いいねぇ、ミカサもうきうきだねぇ」


リヴァイ「お前は外食のほうがいいか?」

ハンジ「んー?いや、リヴァイの手料理が一番好きだけどね」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「無理しないで、たまには休んでほしいけど」

リヴァイ「この間休んだばかりだ」

ハンジ「私も週休二日なんだから、リヴァイも週休二日とっていいのに」


リヴァイ「ああそうだ。じゃあ一つ許可がほしい」

ハンジ「許可?」

リヴァイ「一応俺の現在の雇い主はお前だ」

リヴァイ「雇用契約書に副業についての事項が何も書かれてなかったので問いたい」

リヴァイ「副業は可能か?」

ハンジ「え、いいけど。リヴァイ働くの?暇?」

リヴァイ「お前や近所の子としか話さない生活というのも悪くねぇが」

ハンジ「まぁお外で仕事するのも息抜きだよね。いいよいいよ」


ハンジ「で、何やるの?」

リヴァイ「受かれば学童保育の教員か、シガンシナ区の害獣駆除職員」

リヴァイ「……両極端だね」

リヴァイ「猟銃はまぁ、使い慣れてる」

ハンジ「そうだね。うん」

リヴァイ「いざとなれば立体機動装置もあるし」

リヴァイ「害獣駆除はもちろん、子供の要望にも応えられるだろう」

ハンジ「一体どんな教員を目指してるの?」


リヴァイ「じゃあ応募してくる」

リヴァイ「こちらの仕事に支障は出さないつもりだ」

リヴァイ「どちらも臨時職員で、勤務時間も短い」

リヴァイ「害獣駆除は、農作物ができ始める秋が一番忙しいみてぇだが。それでも朝と夕方しかやらねぇみたいだしな」

ハンジ「へー」


ハンジ「……」うとうと

リヴァイ「ハンジ」

ハンジ「はっ!?」

リヴァイ「本読みながら寝落ちするくらいなら、ベッドに行って寝ろ」

ハンジ「んー……まだもうちょっと」

リヴァイ「だめだ」

ハンジ「しょうがないなぁ」

ハンジ「おやすみ、リヴァイ」ぱたぱた

リヴァイ「おやすみ」

リヴァイ「俺も寝るか」


リヴァイ「って言いながら」

リヴァイ「なんでお前は俺の部屋のベッドに転がり込んでるんだ」

ハンジ「部屋が近かったので」

リヴァイ「部屋に帰れ」

ハンジ「いいじゃん一緒に寝ようよ。今日も寒いよ。温めあおうよ」

リヴァイ「湯たんぽでもいるか?」

ハンジ「リヴァイが湯たんぽでいいよ」


ハンジ「ほらほら。早く早く。私は明日も早いよ」

リヴァイ「……」

ハンジ「はぁ、あったか。おやすみー」ぎゅっ

リヴァイ「……」

ハンジ「ぐおー」

リヴァイ(どうしよう)

リヴァイ(布団に入って即寝3秒のせいで全然色っぽい展開になりやしねぇ)


ハンジ「……うう……」

ハンジ「ごめんなさい……ごめん……」

リヴァイ(こいつ、寝てる時うなされてるの自覚あるのかな)

ハンジ「……ううっ……」

リヴァイ(戦いは終わって、普通の人間であれば幸せを噛み締めていいんだけどな)

リヴァイ(俺たちには一生背負わなきゃいけないものがある)


ハンジ「……ごめんね」

リヴァイ(頭ではわかってるんだがな)

ハンジ「……」

リヴァイ(夢の中ですら、見殺しにしてきた者達に許してくれと言えないお前が、どうか)

リヴァイ(せめて夢を見ないでも済む方法があればいいと願うのは)

リヴァイ(……俺のエゴだな)


ハンジ「……リヴァイ」

リヴァイ「?」

ハンジ「お願い、どうかあなただけでも……」

リヴァイ(何の夢見てるんだ?)

ハンジ「……」ぽろぽろ

リヴァイ(泣いてるし)

リヴァイ(手ぐらい握っててやるか)ギュッ


リヴァイ(握るはずが反対に抱きまくらにされた)

ハンジ「……すぅすぅ」

リヴァイ(うなされるのも終わったみたいだ)

リヴァイ(意外に胸がふかふかしてる)

リヴァイ(女に抱かれて寝るのも、まぁ悪くねぇか)

リヴァイ(明日もまた叩き起こさねぇとな……)


今回はおわり
なんとかスマホから続きが投稿できそう
最後あたりはエロ入る予定です
それではまた来週あたりにでも

規制されっぱなんでなかなか張りにこれなくてすんませ
待っててくれる人ありがとうな
とりあえずはってくよー

リヴァイ「というわけで害獣駆除科の方に受かった」

ハンジ「おめでとう! 職が決まったね?」

リヴァイ「勝手はよくわからねぇが、まぁいい。勤務開始は来週からだが、本格的な駆除が始まるのは来月頭からだそうだ」

ハンジ「今は月の半ばだね」

リヴァイ「半月は研修があるらしい」

ハンジ「害獣駆除の研修ってなんだろうね?獣の解体とかするのかな」

ハンジ「私としてはあんまり危ないことはしてほしくないけど、あなたが選んだのなら仕方ないね。頑張ってね」

リヴァイ「ああ」

リヴァイ「でだ」

サシャ「なんで兵長が害獣駆除科の職員登用合格者説明会会場に居るんですか!?」

リヴァイ「お前こそ何でいる、サシャ」

サシャ「私は、だって元々は狩猟民族ですよ!?実家だと狩りで生計立ててたんですよ!?獣の匂いがするところには現れますよ!そりゃあ!」

リヴァイ「聞くところによると」

サシャ「はい」

リヴァイ「有名レストランからは引く手数多らしいじゃねぇか」

サシャ「レストランはせいぜいが作るだけじゃないですか!おいしいお肉があっても自分が食べられるわけじゃないですよ!?
    それが、害獣駆除だと駆除したお肉や皮はもらっていいって話じゃないですか!」

リヴァイ「……猟友会もあるだろう」

サシャ「個人で加入する猟友会じゃあ、当然ですけど仕事の斡旋が少ないんですよ!!」

リヴァイ「有名レストランで働いた給料の方が、こんな非常勤勤務の給与が安定しない職業よりよほどいいもの食えるだろうが」


サシャ「私は!自分で食べるものは自分の手で狩りたいんです!命をいただいてるんですから!」

リヴァイ「愁傷な心がけだな」

サシャ「えへへ」

リヴァイ「でも分け前は狩猟班全体でだぞ」

サシャ「ええーっ!?自分で狩ったやつは全部持って行っていいんじゃないんですかーっ!?」

リヴァイ「それなら個人でやれ、個人で」

サシャ「うう、仕方ありません……兵長の前でくすねたりしたら私が切り刻まれてしまいそうです……」

リヴァイ(これが同僚になるとかどうしたらいいんだろ……)


リヴァイ「害獣駆除科の説明終わった」

リヴァイ「いやぁ、大丈夫かな俺。害獣駆除って結構心痛むわ」

リヴァイ「でも誰かがやらねぇとなぁ」


サシャ「これから季節はハクビシン狩りで血沸き肉踊りますね!」

リヴァイ「巨人相手じゃねぇと気おくれするな」

サシャ「何言ってるんですか!ハクビシンは皮をなめすとそりゃあ綺麗なんですよ!
    この季節はあんまり脂が載ってなくておいしくないんですが…まぁいいでしょう!
    大人しく山奥で暮らしていればいいものの、欲を出して人里に移り住んでしまったのが運のつきです!」
    
リヴァイ(あ、やばい。こいつも趣味のこととなると人の話聞いてるようで全然聞かないタイプだったわ)

リヴァイ「お前は飯と肉と狩りのことになるとイキイキし始めるな」

サシャ「おいしいごはんを食べるためには、適度な運動が必要です!
    よーし!頑張りますよー!」
    
リヴァイ(俺はサシャについていけるかなぁ……若いし……)


リヴァイ「というわけでサシャが同僚になった」

ハンジ「あはははは!
    サシャはすごいね!有名レストランのシェフの座を全部蹴ってきちゃったんでしょう? ガッツある子だねぇ」
    
リヴァイ「いろいろ聞こうと思ってたから、まぁ手間は省けてよかった。
     でもあいつ刈った獣ガンガン食う気だぞ」
     
ハンジ「いいじゃないか。命を大事にしつつ必要な者だけ狩るんでしょ?
    目的を伴った狩りというのは、まったくもって否定できないよ」
    
リヴァイ「……まぁ、そうだな」


リヴァイ「一つ相談がある」

ハンジ「何?」

リヴァイ「もしもの時、狩猟事故による共済金制度に加入しなきゃいけねぇ。ただ、受取人は本人じゃだめらしい。
     というわけで、受取人になってほしいんだが」
     
ハンジ「私でいいの?」

リヴァイ「お前しか頼めるようなのが居ねぇ」

ハンジ「そっかー。えへへ。いいよいいよ。
    でも事故なんて起こらない方がいいな」
    
リヴァイ「もしもの時の共済金だ。害獣とはいえ生きるために必死な獣をぶち殺すんだ。いつかは相応の報いがきてしかりだろう。膝に矢を受けてしまうこともある」


ハンジ「よしっと、これでサインの場所はいいかな」

リヴァイ「あとここに、受取人と俺の関係を」

ハンジ「関係」

リヴァイ「……」

ハンジ「……同居人」

リヴァイ「……そうだな」

ハンジ「これ同居人でもいいのかな」

リヴァイ「約定にはダメと書いていない」

ハンジ「じゃあいいのか」カリカリ


ハンジ「これでいいかな?」

リヴァイ「ああ、助かる」

ハンジ「一生受け取らなくて済むことを祈るよ」

リヴァイ「俺だってヘマはしたくねぇ」

ハンジ「明日も早いの?」

リヴァイ「明日も今日と同じくらいの時間に出る。お前より少し遅いくらいだ」

ハンジ「そうかぁ。じゃあお風呂はいろうよ」

リヴァイ「……お前」

ハンジ「ん?」

リヴァイ「かなり酔ってるだろ?」

ハンジ「らいじょうぶらよー。リヴァイが何とかしてくれるよー」


リヴァイ「で」

ハンジ「で?」

リヴァイ「なんでお前も一緒に入ってるんだ」

ハンジ「リヴァイの就職祝いの祝杯でべろんべろんなんらもん?」

リヴァイ「飲み過ぎにも程が有るだろう」

ハンジ「はいはい、背中流すよ背中」

リヴァイ「……」さぱー


ハンジ「お客さんツカレテルネー。胸デ流ソウカー?」

リヴァイ「お前はどっちが胸でどっちが背中かわからねぇじゃねぇか」

ハンジ「リヴァイは結構胸板厚いからわかりやすいよね! 乳首ツン☆」

リヴァイ「やめて下さい消滅してしまいます」

ハンジ「リヴァイスイッチ! リ!」乳首ツン

リヴァイ「……」

ハンジ「り……輪姦はやめて! せめてゴムつけて!」

リヴァイ「……」

ハンジ「ヴ!」乳首ツン

リヴァイ「……」

ハンジ「ヴァイブ攻めなんてらめえええ!」


リヴァイ「……」

ハンジ「ァ」乳首ツン

リヴァイ「」ハンジ「ァアーッ!」

リヴァイ「」

ハンジ「イ!」乳首ツン

リヴァイ「」ハンジ「イッチャウー!」

ハンジ「反応鈍いなぁリヴァイ」

リヴァイ「どちらかというとどう反応していいかわかんねぇだけだ。お前酔ったまま風呂はいるのやめろ」

ハンジ「大丈夫だよ~お風呂に沈む前にリヴァイが助けてくれるもんね! えへへ~」

リヴァイ「あ・が・れ」

ハンジ「うひょー」


リヴァイ「酔っぱらいは乾かして布団に押し込めた」

リヴァイ「しかし泣き喚く」

リヴァイ「……」

リヴァイ「寝たい! は、いい」

ハンジ「んー」

リヴァイ「なんで俺の部屋で、俺にしがみつくんだ」

ハンジ「だってー、リヴァイと一緒に寝ると嫌な夢みないんらもんー」

リヴァイ「……」

ハンジ「最初からこうしてればよかったよー」

リヴァイ「ここで寝るのか」

ハンジ「これからは一緒に寝てよ」

リヴァイ「まぁいいけど」

ハンジ「よかった。おやすみ、リヴァイ」


リヴァイ「……」すぅすぅ

ハンジ「……」ぱちり

ハンジ(よく寝てるなぁ……)

ハンジ(一緒に寝ると、あなたはうなされながら寝ないんだよ? 知ってた? リヴァイ?)

ハンジ(私もだけどね)

ハンジ(自分の泣き声で目が覚めるってことがなくなったんだよ)

ハンジ(最初から遠慮しないで一緒に寝てればよかったなぁ)


ハンジ(それに就職も決まってよかった)

ハンジ(やっぱり仕事してる時のあなたは一番キラキラしてるね)

ハンジ(料理も掃除してるときもいきいきしてるけど)

ハンジ(よかったなぁ)

ハンジ(早く、今考えてる計画話せるようになるといいなぁ)

ハンジ(乗ってくれるといいけど)


ハンジ(にしても)

ハンジ(酔った勢いとはいえ、ちょっと、リヴァイと一緒にお風呂入るのは……なんていうか……)

ハンジ(うーん、もやもやするな)

ハンジ(なんだろうな、これ)

ハンジ(まぁいいや、もうちょっと)

ハンジ(もうちょっとこのまま、曖昧な時間を過ごせればいいな)

ハンジ(いつかはきっと、はっきりさせなきゃいけないんだから)

今回はおわりー
次落ちてたらまた新しいスレ立ててかきます
本当遅くて申し訳ない

終盤までかいたので貼ってきます
途中で害獣駆除として野うさぎ狩りしてみたり
捌いてみたりしてるんで
苦手な人は気をつけてね

リヴァイ「という訳で何故かサシャと組むことになった」

サシャ「兵長は猟銃なんですね」

リヴァイ「お前みたいにクロスボウで仕留めるとか器用な真似はできねぇからな」

サシャ「免許ないと弓もてないなんて聞いてませんでしたよおおお!!!」

リヴァイ「そういう世の中になったんだ。平和ってことじゃねぇか」

サシャ「アルミンに教わらなかったら私落ちてたらましたよ!しけん!!!!」

リヴァイ「受かったんだからいいじゃねぇか」


サシャ「今回の対象は野うさぎ駆除です」

サシャ「壁外の川沿いの開拓も進んで、畑が広がったはいいんですがやっぱり獣も美味しい匂いをかぎつけてやってくるようになりました」
サシャ「野うさぎは新芽や林檎の若木の幹を噛んで駄目にしちゃうんです」

サシャ「今まではそんなに多くなかったんですが、美味しいものが定期的に同じ場所にある、ってわかったのかちょっと見逃せないくらい増えました」

サシャ「というわけで役所が害獣駆除班を結成!最低限の数は駆除しておこう!というのが我々の使命です!」

リヴァイ「そいつはわかった」

リヴァイ「で、有効な捕獲方法はなんだ?」

サシャ「巣穴前に罠を張って生け捕りが一番無難ですね」

サシャ「大きな網を張っておいて、そこに追い込む方法もあるんですが、あれは必要以上に捕獲してしまうので私はすきじゃないです」

リヴァイ「ほう」

サシャ「だって取り尽くしてしまったら増えないですよ!」

サシャ「お肉は大好きですが、明日から食べられなくなるのは嫌です!」

リヴァイ「上官の食料庫から肉を盗み出した奴のセリフとは思えねぇな」

サシャ「ぎくっ」


リヴァイ「幼馴染三人組にお前のことを聞いたらそうおしえてくれたぞ」

サシャ「そそそそんなことはしてないですよ私結局食べられてないですし」

リヴァイ「やってるんじゃねぇか」

サシャ「と、ともかく一定数以上は狩らないです!」

リヴァイ「まぁその考え方には同意する。で、俺はどう動けばいい」

サシャ「ふえ?」

リヴァイ「獣狩りの経験はお前の方が上だろう」


サシャ「そうですね!えへん!
じゃあですね、あぶり出し作戦で行くので先ずは生木の葉っぱ集めましょう」

リヴァイ「木」

サシャ「はい!」

リヴァイ「ここは畑と草原しかねぇぞ」

サシャ「気合でなんとか!」

リヴァイ「ならねぇよ」

サシャ「仕方ないですねー。じゃあ ヨモギでいいです。火種用の紙はあるんで適当にぶちぶちもってきましょう!」



リヴァイ「これくらいでいいか」

サシャ「十分です。えっとじゃあ、空に向かって銃を何発かおねがいします」

リヴァイ「威嚇か」

サシャ「はい。この辺りの畑は駆除の通知出しているから人はいないはずですが、念のため開始の合図も兼ねて」

リヴァイ「わかった。耳ふさいでろ」

ドンッドンッ

リヴァイ「これくらいでいいか」

サシャ「オッケーです。
人影は……ありませんね。じゃ、行きましょうか」


リヴァイ「目星はついてるのか」

サシャ「さっきそこら辺一帯で動きいっぱいあったじゃないですかー!」

リヴァイ(全然わからんかったわ……)

サシャ「巣穴に戻ったと思うので、検討つけたら罠しかけて行きましょう」


サシャ「ここもですー」

サシャ「ここもー」

サシャ「こっちもですー」

リヴァイ「結構あるんだな」

サシャ「私たちのノルマは三十羽なんで、なるべく年寄りのを選んで行きました」

リヴァイ「わかるもんなのか」

サシャ「プロですからね!」

リヴァイ(なんの)


サシャ「あとはこっちで燻し出しするんで、反対側から土をドンドンと踏みしめてください」

リヴァイ「反対側?」

サシャ「その辺ですー踏みしめてーくださいー」

リヴァイ「ほう」バンバン

サシャ「はーい、一羽おさえましたー!」

リヴァイ「早っ」

サシャ「苦しいですからね。じゃ、次行きますよ」


リヴァイ「これで三十羽か」

サシャ「こんなもんですね!」

サシャ「私たちのところのは〆て皮は行政に提出、肉の方は持って帰っていいってことでしたよね!」

サシャ「他の所の野うさぎは捕獲のみってのもありましたけど、何処かで飼うんですか?それとも養殖?」

リヴァイ「恐らくだが、まぁ無難に考えてドッグレースの餌だな。あそこなら高値で引き取るだろう」

サシャ「ドッグレース?」

リヴァイ「賭け事の一種だ」

サシャ「競馬みたいなやつですか?でもなんでうさぎ……あっ」

リヴァイ「犬は獲物を追うだろう。それで順位を決める。ウサギは食い殺される。飢えた犬のエサだからな」

リヴァイ「賭け事の中でも下の下のやつだ」

リヴァイ「こいつらは俺らが責任持って殺して食ってやれる。クソみてぇな人間に嬲り殺される玩具よりはマシだろう」


サシャ「……」

リヴァイ「どうした」

サシャ「……兵長は物知りだったんですね」

サシャ「私たちと同じくらいだとおもってました」

リヴァイ「達?ジャガイモとお前か?」

サシャ「コニーをジャガイモって呼ぶのやめてください!お腹がすきます!」

サシャ「ウサギは、たしかに。兵長の言うとおりだと思います」

サシャ「犬だって食べなきゃ死にます」

サシャ「でも私は、少なくともそんなオモチャになるためだけだったら害獣駆除科には応募しなかったです」

サシャ「狩りは食べる為に行うものです」



リヴァイ「まぁ、正解なんざ誰にもわからねぇよ」

リヴァイ「こうやって俺らが殺して食う方がマシだって思ってるのもエゴだ」

リヴァイ「あんまり深く考えるな」

リヴァイ「とりあえずこいつらの〆方教えろ」

リヴァイ「どうやったら一番苦しまねぇで殺せる」

サシャ「あ、えっとですね。やっぱり殴って気絶させてから、このピックで頚椎刺して殺して首落とすのが一番いい〆方だと思ってます」

サシャ「内臓もとらなきゃなんで、お腹からさばきますよ。体力使うんでついてきてくださいね!」
リヴァイ「わかった」


リヴァイ「結構あっさりはらわた出せるもんだな。心臓止まる前に首の切って血抜きしてやらねぇといけないのは手間だが」

サシャ「手際いいですね!あっさりおわりましたよー」

サシャ「血抜きおわったら、あとは皮剥ぎするだけです」

サシャ「ミカサが明日暇だっていうから、皮の加工はてつだってもらいましょう!」

サシャ「皮をなめすにしても、やっぱりその筋の人がもう一人いるとはやいですし」

リヴァイ(なめし革とか人間以外でもつくられるんだな)

サシャ「うさぎのお肉はちょっと熟成させたほうがおいしいんですよ」

サシャ「このままでもまぁいけないことはないんですけど」


サシャ「そうそう、ここまできたらあとは足の骨を脱臼させて」

サシャ「で、いっきにはがす」

サシャ「首の所もサクサク切ると耳まで綺麗にとれますよ」

リヴァイ「ほう」

サシャ「腸や胃は、絶食させればソーセージなんかにも使えるんですが。まぁ今はだめなので捨てていきます」

サシャ「鳥やそこらの獣が勝手に始末してくれます。おすそ分けですね」

サシャ「この調子で捌いていきますよー!」

支援あざっす
続きはっていきますー


リヴァイ「疲れた」

サシャ「兵長すごいですね!手際がいいというか」

リヴァイ「コツさえわかればバラすのは慣れてる」

サシャ「慣れ……」

サシャ「えっとですね、肉はともかく頭は今日中に食べてしまわないといけないんです」

サシャ「腐っちゃうので」


リヴァイ「頭……」

サシャ「頬肉美味しいんですよ!」

リヴァイ「あたま……」

リヴァイ「……」

リヴァイ「お前、全部持って帰っていいぞ……」

サシャ「えええええええええ!!!!???」

サシャ「い……いいんですか!?」

サシャ「頭おいしいんですよ!!!!????」

サシャ「後で欲しいっていってもあげませんからね!?!?!」

リヴァイ「いや、いい」

サシャ「神ですか!?神!?兵長は神様!?ひゃっほーーーー!!」


リヴァイ(さすがに目が合うのはちょっとなぁ……)

リヴァイ「この肉はどうするんだ?熟成させるんだろう?」

サシャ「そうですね!」

リヴァイ「場所は?」

サシャ「……家じゃだめですかねぇ」

リヴァイ「腐るだろう」

リヴァイ「……シガンシナの旧調査兵団の地下倉庫がある」

リヴァイ「あそこなら温度も一定だ」

サシャ「!!!」

リヴァイ「管轄が確かシガンシナの役場だったな」

リヴァイ「聞いてみよう」


リヴァイ「一日くらいなら肉もそこらに干しておいて大丈夫か?」

サシャ「大丈夫ですよ!私の実家では納屋に干してたくらいですし!!」

リヴァイ「地下倉庫つかえるにしても、掃除は必須だ」

サシャ「……掃除」

リヴァイ「報告書あげて、役所に皮は置いてくる。馬と荷台に積みこむぞ」

サシャ「はーい」


リヴァイ「今日の仕事ぜんぶおわた」

リヴァイ「馬車貸し出してもらっててよかった。うさぎ割りと重い」

リヴァイ「報告書難しかった」

リヴァイ「サシャも唸ってたし」

リヴァイ「俺らに頭をつかうような作業させるのは間違ってるわ……」

リヴァイ「でも地下倉庫使っていい許可は貰った」

リヴァイ「明日は害獣駆除はなし。書類終わったら出勤終了。なんで旧調査兵団の倉庫掃除しながら肉を干す」

リヴァイ「しかしうさぎの頭を抱えて喜ぶ姿はカオスだな」

リヴァイ「私の頭はあげませんよ!!!!って威嚇されたけど」

リヴァイ「まだちょっとそこまで辿りつけない」

リヴァイ「目が合うし」

リヴァイ「……とりあえず一羽は持って帰って食うか」

リヴァイ「サシャが懇切丁寧にさばき方教えてくれた」

リヴァイ「結構でかいんだよな。半分は幼なじみズの所に持っていくか」


リヴァイ「というわけで家についた。ハンジはまだ戻ってきてない」

リヴァイ「兵長クッキング、野生編」

リヴァイ「まず取り出したのは野うさぎ」

リヴァイ「サシャおすすめの食い方はまるごと焼きだった」

リヴァイ「一応レストランのシェフとしてスカウト来るくらいの腕前らしいけど、いかんせんあれだ」

リヴァイ「がー!ってやってごー!って焼いて!!ばーっとかけるんです!」

リヴァイ「みたいなレシピしか教えてもらえなかったので人に教えるのは向いてないっぽいな」

リヴァイ「俺もだけど」


リヴァイ「とりあえず赤ワイン煮込みにする」

リヴァイ「煮込めば食えるだろうという安直さ」

リヴァイ「肋骨の所さえとってしまえば、まぁあんまり普通の鶏肉と見かけは変わらん」

リヴァイ「肋骨のところ鶏ガラみたいだなこれ。クズ野菜と一緒に煮て出汁でもとってみるか」

リヴァイ「多分フォンドボーっぽいものになるきもする」

リヴァイ「肉が臭くなければ」

リヴァイ「肉の臭み取るのにローズマリーとセージとタイムぶちこんで、塩胡椒して暫く放置」

リヴァイ「これだけやればなんとかなるだろ」


リヴァイ「付け合せに人参のグラッセ。ついでに適当に葉っぱらしきもの」

リヴァイ「グラッセはバターで焼いて砂糖かけて蒸し焼きにするだけでいいから楽ちん」

リヴァイ「それでいて美味い」

リヴァイ「葉物は軽く煮て水切っておく」

リヴァイ「ワイン煮込みにこういう葉物が添えてあるといい口直しになる」

リヴァイ「うさぎ漬かったかな」

リヴァイ「漬かったっぽい」

リヴァイ「取り出してまるごと焼いておく。ついでに玉ねぎも焼く」


リヴァイ「臭みもあんまりないし、鶏肉に近いのかこれ」

リヴァイ「兵長初めての食材に戸惑いを隠せない」

リヴァイ「ハンジは好きそうだけどな。食ったことない食材食べるの」

リヴァイ「表面焼けたので、赤ワイン、ベイリーフ、あとアクセントに干しぶどう入れてみる」

リヴァイ「とりあえずこれで煮詰めて行けばいいだろ」


リヴァイ「いい感じに煮詰まった」

リヴァイ「あとは一回冷まして味なじませる」

リヴァイ「家のことはとりあえず終わった……洗濯は干したやつ取り込んで畳んだし」

リヴァイ「ちょと休憩」

リヴァイ「外に出て働くの久しぶりだから疲れた」

リヴァイ「すげぇ、ニートみたい」

リヴァイ「でも俺は今ちゃんと就職してるのでニートじゃねぇ」

リヴァイ「ふふふ、怖いか?」

リヴァイ「ハンジまだ帰ってこねぇのかな……」


ハンジ「おーい」

リヴァイ「んー……」

ハンジ「おーい、おーい」

リヴァイ「……ハンジ?」

ハンジ「ただいまー。よく寝てたね」

リヴァイ「あれ、いつの間に……」

ハンジ「疲れてたんだね。お仕事お疲れ様!」

ハンジ「ワイン買ってきたよ!あとチーズ」

リヴァイ「ああ、助かる。じゃあ飯温めなおすか……」


ハンジ「今日のご飯すごい凝ってるねー。なにこれ?」

リヴァイ「うさぎだ。害獣駆除でとれたやつ。肉は持って帰っていいらしいのでとりあえず一羽持ってきた」

ハンジ「へえええええ!!!うさぎ!!!!!初めて食べるよ!!!!」

リヴァイ(あ、やっぱ珍しいものに目を輝かせてる)

ハンジ「カエルは食べたことあるけどうさぎは初めてだね!」

リヴァイ「俺はカエルのほうがねぇよ」

ハンジ「そう?結構美味しかったよ。あっさりしてて」

ハンジ「へええそうかこれがうさぎかー!!うさぎ!!本を見るとふんわりして美味しいってかいてあったな!わーい!いただきます!」

リヴァイ「どうぞ」


ハンジ「!!!」

ハンジ「すごい!!おいしい!!!本当にふんわりしてる!!!」

ハンジ「わーーー!!これがウサギ肉かー!!!鶏肉っぽいようで、でも鳥よりはちょっと脂肪分が少ないのかな!?」

ハンジ「野うさぎでしょ?これ?もっと野性味が強いかなー!っておもったけど全然そんなことないね!美味しい!!」

ハンジ「この一緒に煮てある干しぶどうもいいアクセントになってるよ!美味しい美味しい!」

リヴァイ(すげぇテンションだなオイ)

リヴァイ(まぁ巨人研究してる時も似たようなもんだったけど)

ハンジ「肉自体にも甘みがあるんだね!噛みしめると味がよく分かるよ」

ハンジ「初めて食べるものはおもしろいなー!発見がいっぱいあるね!すごい!」

リヴァイ「そうか。まぁ食えるならいい」


ハンジ「これ、リヴァイが捌いたの?」

リヴァイ「そうだ。サシャがその道のプロだからな。指導の元捌いた」

ハンジ「へえええええ!じゃあ尚更美味しく食べてあげないとね」

リヴァイ「まだ残りがあるんだが、熟成させると美味いということで旧調査兵団の地下倉庫で熟成させる」

ハンジ「確かにお肉は熟成させたほうがおいしいね。そっかー、あの地下倉庫ならちょっと寒いけど肉の熟成には向いてるね。温度も一定だし」

リヴァイ「また持ってくる」

ハンジ「うん。楽しみにしてるよ」


ハンジ「そうそう、就職祝いに今度の週末は外食にしようよ」

ハンジ「美味しそうなレストランを見つけたんだ」

リヴァイ「ほう」

ハンジ「リヴァイの料理の参考にもなればいいなー。結構色々品揃もよかったし」

リヴァイ「わかった」

ハンジ「ふぅ、ごちそうさま!今日のご飯も美味しかったよ」

ハンジ「うさぎというのもなかなか美味しいねぇ」

リヴァイ「どんなものなのか俺も知らなかったがな」

ハンジ「まだまだ世の中には知らないことがいっぱいだね!」


リヴァイ「洗い物と洗濯をたたむのもおわった」

リヴァイ「風呂も入った」

リヴァイ「歯磨きもした」

リヴァイ「あとは寝るだけ」

リヴァイ「……」

リヴァイ「なんだか落ち着かない」

リヴァイ「……いやいや。童貞じゃあるまいし」

リヴァイ「じゃあ髪の毛乾かしたら部屋いくねー」

リヴァイ「って言われたからそわそわしてるわけじゃねぇし」


リヴァイ「……うーん」

リヴァイ「就職も決まったし」

リヴァイ「そろそろこの曖昧すぎる関係にも決着つけねぇとなぁ」

リヴァイ「……」

リヴァイ「よっし」

リヴァイ「考えるの面倒になったから明日考えよう」

リヴァイ「明日できることは明日やる」

ハンジ「リヴァーイ、入るよ―」

リヴァイ「ああ」

ハンジ「あーもう眠い。寝よう寝よう」ゴソゴソ

ハンジ「明かり消すね」

ハンジ「おやすみー」

ハンジ「ぐー」

リヴァイ「……」


リヴァイ「本当に寝に来てるだけだな」

リヴァイ「人の話聞く素振りすらみせぬこの流れるような就寝」

リヴァイ「俺もこれくらい速攻眠りたい」

リヴァイ「とりあえず寝よう」

リヴァイ「っていうかここで寝るなら、このベッドもうちょいでかくしたほうがいいんでは」

リヴァイ「明日ハンジに言ってみよう」


リヴァイ(ハンジの髪の毛いい匂いするな)

リヴァイ(同じ石鹸つかってるんだがなぁ)

リヴァイ(なんでこんなに匂いが違うんだ)

リヴァイ(あっ、まずいわ)

リヴァイ(勃ってきた)

リヴァイ(色んな意味で悪いわ)


ハンジ「んん~……リヴァイ……」

リヴァイ(え?呼んだ?俺?)

ハンジ「……だめだよー、変な顔しちゃぁ……」

リヴァイ(何の夢見てるんだ)

ハンジ「ん~すきだよ~リヴァイ」

ハンジ「かわいいねぇあはは……」

リヴァイ(え?俺?)

リヴァイ(可愛いってのはわけわからねぇけど)

リヴァイ(この勃ってきた息子さんどうしましょうね)

リヴァイ(こまりましたね)

リヴァイ(いくら俺でもこの状態で勃起してるのまずいってのはよくわかる)


リヴァイ「……ふぅ」

リヴァイ「人生で1,2を争うピンチだった」

リヴァイ「さすがにハンジの居る部屋で抜くのはまだ気が引ける」

リヴァイ「寝てる女の隣で起こさないように抜くとかどういうプレイだ」

リヴァイ「戻ろう」


ハンジ「んー……」ぎゅっ

リヴァイ(抱きまくら状態……)

リヴァイ(悪くない)

リヴァイ「……」

リヴァイ「……よし!」

リヴァイ(息子さんはとりあえず反応しなくなりました)

リヴァイ(いい子だ兵長Jr.)

リヴァイ(もうじき使ってやるからな)

リヴァイ(といいつつハンジの胸の中に潜り込むのもなんだか不思議)

ハンジ「んぅ~」ぎゅっ

リヴァイ(今日は寝よう)

リヴァイ(週末楽しみだな)

リヴァイ(寝よ)

今日は眠さの限界なのでねます
あと3回で終わる予定です
2回分は書き終わってるんで明日以降はりにきますー

やっとこられた!
てわけではってきます
今回は長い上に後半エロです
喘ぐ兵長とか苦手な人は気をつけてね


サシャ「というわけでうさぎの皮は役所に納品なので、なめし革加工しましょう!」

サシャ「とはいえ、手間がかかるので今日は洗って干しておきます」

サシャ「干し終わったら明日はミョウバン・石灰・食塩と混ぜた液に一週間ほどつけ置きます」

サシャ「西友シガンシナ支店で揃えられるものばかりです!素晴らしい!」

サシャ「ひまし油の塗り方や干し方なんかはまた追々」


ミカサ「……」

リヴァイ「……なんだ?」

ミカサ「……頭」

リヴァイ「……頭?」

ミカサ「サシャから分けてもらった」

リヴァイ「ああ」

リヴァイ「うさぎか」

ミカサ「こくり」


ミカサ「美味しかった」

ミカサ「しかし、目があった」

ミカサ「アルミンはちょっとびっくりしてた」

ミカサ「エレンは……目があったって大騒ぎしてた」

ミカサ「でも食べてた」

リヴァイ(……???)

ミカサ「サシャにはお礼をした」

ミカサ「まだハンジさんの家にはお礼をしに行っていない」

ミカサ「前に頼まれていたワンピースとスーツが出来たので、家に届ける」

ミカサ「ついでにお礼も持っていく」

ミカサ「ごちそうさまでした」

リヴァイ「……」

リヴァイ「お粗末さまでした」


リヴァイ(ミカサのいうことも大概わかりにくいわ)

リヴァイ(人のこと言えねぇけど)

リヴァイ(洗った皮を干しながら言われるとちょっと怖い)

サシャ「はーい二人共!今日の作業は終わりですよー!」

ミカサ「こくり」


ミカサ「……皮」

サシャ「ミカサもラビットファーつけるんですか?」

ミカサ「……つけない、けど。革製品は、温かいから好評」

サシャ「ああ、ミカサの勤めてる洋品店でも人気あるんですね!」

ミカサ「ある。すごく、ある。けど、もう暖かくなってきたから一旦オフシーズン」

ミカサ「だけど、また寒くなれば需要が出てくる」

ミカサ「なかなか問屋でも革製品は出回らない、ので、貴重」

ミカサ「……」

リヴァイ「定期的に害獣駆除があるから、そのたびに皮が手に入る」

リヴァイ「連絡をよこせ、ってことか?」

ミカサ「こくり」


リヴァイ「……まぁ、役所経由で買ってもらうことになるだろうがな」

リヴァイ「連絡はいれてやる」

ミカサ「恩に着る」

リヴァイ「じゃあこれからは俺のターンだな」

リヴァイ「肉を熟成させる」

リヴァイ「そのためには旧調査兵団の地下倉庫を使う」

リヴァイ「というわけで掃除だ」

サシャ「美味しいお肉食べるためにがんばりますよー!」

リヴァイ「他の駆除班が捕まえてきた肉も、干すところが無くて困ってたらしい」


リヴァイ「旧調査兵団はまだ兵舎の方には人がまだ何人か住んでるらしい」

サシャ「へえええ!ああ、でもわかるかもしれません!」

リヴァイ「はしけ船ののりばも近いし便利だしな」

リヴァイ「一人暮らしなら便利だろう」

サシャ「でも私は今の場所も気に入ってます!」

サシャ「食堂のアルバイトしながら住み込み出来るんですよ!まかない付きです!」

サシャ「美味しいものがいっぱい食べられて幸せです!」

ミカサ「……その肉は」

サシャ「これは私のお夜食です!!」

サシャ「肉は別腹!」

ミカサ「……そう」


サシャ「ミカサの家も楽しそうですよね」

ミカサ「こくり」

ミカサ「家族が一緒に住むのはいいこと」

ミカサ「私が帰るのが一番早いから、ご飯を作って、エレンとアルミンが帰ってくるの待ってるのは幸せ」

ミカサ「必ず帰って来てくれるのは嬉しい」

リヴァイ(あ、なんか今はじめてミカサと嬉しい事が合致したわ)

ミカサ「ウサギ肉にはびっくりしてたけど」

リヴァイ「びっくりするよな」

ミカサ「する」こくり


リヴァイ「というわけで地下倉庫」

リヴァイ「閉めきっていたので通気口確保して空気全部入れ替えた」

リヴァイ「ホコリも駆除した」

リヴァイ「完璧」

リヴァイ「熟成するまでに時間かかりすぎるので、樽をもらってきたから半分は塩漬けにした」

リヴァイ「塩漬け期間終わったらベーコン作りたい放題だわ」

リヴァイ「向かう途中、町で暇そうにしてたジャンにミカサが話しかけたらついてきたので、塩漬け要員として手伝ってもらった」


リヴァイ「しかし塩がいっぱい使えるのはいい」

リヴァイ「俺は塩教になら入ってもいい」

リヴァイ「塩すげぇ」

リヴァイ「役場の人間に配ってもこれ終わらねぇな」

リヴァイ「でも一定時期にしか手に入らないし、売り物に出来ないわ」

リヴァイ「安定したルートがねぇと、生鮮食品は商売としては成り立たねぇ」


リヴァイ「今日の作業は全て終了したので帰ってきた」

リヴァイ「サシャもミカサも、今日はうさぎのシチューにすると言ってたので、俺も見習ってシチューに」

リヴァイ「シチュー……うーん、ホワイトにするべきかブラウンにするべきか」

リヴァイ「この前はちょっとこってりしてたからホワイトだな」

リヴァイ「うさぎといえば、兵団に入りたての頃、ハンジから借りた本にピーターラビットってのがあった」

リヴァイ「牧歌的な絵だが、のっけからピーターラビットの父親は農場に入り込んだせいでミートパイにされていたと説明がはいってる」

リヴァイ「紹介絵もミートパイだった」

リヴァイ「……」

リヴァイ「俺はうさぎにとってマクレガーおじさん?」

リヴァイ「マクレガーさんらしく調理しよう」


リヴァイ「昨日と同じくうさぎは捌いて下処理した後、ローズマリー、タイム、クミンシード、塩コショウと混ぜあわせて放置」

リヴァイ「野菜はシンプルに人参と玉葱とじゃがいも」

リヴァイ「切って適当に炒める」

リヴァイ「で、ここで昨日作っておいたベースのスープの登場ですよ」

リヴァイ「いい出汁が出た気がする。ので、鍋に移して混ぜあわせてにんにくとローレルとともに煮込む」

リヴァイ「しばし放置」

リヴァイ「漬かった肉を取り出して焼き上げていく」

リヴァイ「焦げ目がついたら鍋に放り込む」

リヴァイ「これで材料のほうはオケ」


リヴァイ「ホワイトソース作る」

リヴァイ「牛乳2カップ、小麦粉大さじ4、バター一欠片をダマがなくなるまで一緒に混ぜ合わせる」

リヴァイ「塩コショウで味整えて、合わせたら火にかける」

リヴァイ「すぐ煮立ってくるので、泡だて器で丁寧にかき混ぜながらとろみをつける」

リヴァイ「適当な所で火からおろして完成」

リヴァイ「手抜きだけどこれはこれでおいしい」


リヴァイ「シチューの具が煮えてきたので、さっき作ったホワイトソースを入れる」

リヴァイ「塩味が若干ついてるので、あとは味をみながら塩足していく」

リヴァイ「仕上げに牛乳入れる」

リヴァイ「おわり」

リヴァイ「これだけ牛乳が入ってるんだから、俺の背も一寸伸びるかもせん」

リヴァイ「……」

リヴァイ「言ってて虚しくなったのでやめよ」


ハンジ「ただいまー!」

リヴァイ「おかえり」

リヴァイ「ミカサと丁度道で会ってね!おいでおいで」

ミカサ「おじゃまします……」

ミカサ「この間オーダー貰ったワンピースとスーツです」

ミカサ「着心地良くないところや、丈を詰めなければいけないところがあるかもしれないので試着してみてください」


ハンジ「ありがとう!じゃあ、お言葉に甘えて早速!」ぬぎ

リヴァイ「おい」

ハンジ「ん?」

リヴァイ「せめて人が居ないところで着替えろ」

ハンジ「あ!そっか!」

ハンジ「いやぁいつもの癖で」

ミカサ「私は気にしません」

ハンジ「私も気にしないよ?」

リヴァイ「俺は気にする」


ハンジ「うーん」

ハンジ「じゃあ隣に部屋に行ってくるね」

ハンジ「ごめんねミカサ、ちょっとまっててね」

ミカサ「かまいません」

リヴァイ「そこ座っていろ。茶くらい出す」

ミカサ「こくり」

ミカサ「私はベルガモットが好き」

リヴァイ「……」

リヴァイ「……おまえ結構遠慮なくなってきたな」

ミカサ「私は最初から遠慮ない……」


ハンジ「すごいよミカサ―!!これすっげぇ!!!すっげぇよ!ぴったりい!!」

リヴァイ「……」

ミカサ「ハンジさんは細身でスタイルがいいから、ハイウェスト気味のマーメイドラインに、ダーツとってバッスル大きめなスカートに仕立ててみました」

ミカサ「ジャケットも結構脇のダーツとったんですがぴったりですね」

ミカサ「布も灰色がかった青だったので、リボンや襟も合わせて黒のベルベット地使いました」

ハンジ「うんうん!すごいよコレ!きれいだね~!」

リヴァイ「……」


ミカサ「中に着るのは白いドレスシャツでもいいのですが、胸元が開いたシンプルなインナーでもいいとおもいます」

ミカサ「その場合はアクセサリーを派手なものにしたほうが映えます」

ハンジ「そっかー!わー!すごいすごい!ドレスっぽいのにちゃんとよそ行きのワンピースとして着られるのなんてすごいよ!」

ハンジ「これバッスルの部分は着脱できるんだね!」

ミカサ「TOPに合わせて選んで下さい」

ハンジ「うん、そうするよ」

ハンジ「しかしミカサ、自分の得意分野になるとよく喋るんだね」

ミカサ「……!」

ミカサ「……照れ」

ハンジ「いやいや、気持ちはよく分かるよ!目を輝かして好きなものをかたるのはいいことだ!」


ハンジ「で、リヴァイは?」

リヴァイ「……」

リヴァイ「茶をミカサに飲ませていた」

リヴァイ「着替えてくる」

ハンジ「いってらっしゃーい」


ハンジ「いやぁ、リヴァイ驚いてたね!よほどミカサの腕に驚いたと見えるよ!」

ハンジ「すごいなーすごいなー。こんな特技もあったんだね!」

ハンジ「えっと、で、これ……」

ミカサ「……スッ」

ハンジ「ん?」

ミカサ「アルミンが、ちゃんと請求書と内訳の明細持って行けって」

ミカサ「商売なんだから」

ミカサ「じゃないと、ハンジさんはこれで美味しいものでもお食べって色をつけるんじゃないかなって」

ミカサ「……言ってました」


ハンジ「……あちゃー」

ミカサ「私も商売人として、今回の依頼うけました」

ミカサ「なので、気に入ってくれたのなら、定期的に使ってくれると嬉しい、です」

ミカサ「……洋品店のミカサをご指名で」

ハンジ「わかったよ。敵わないな、二人には」

ハンジ「これだけの仕事をしてくれるなら、定期的に使わせてもらうよ」

ミカサ「こくり」


リヴァイの部屋

リヴァイ「はー」

リヴァイ「びっくりした」

リヴァイ「ミカサの裁縫能力にもビビったけどハンジのドレスアップとかまじびびった」

リヴァイ「衣装一つでかわるもんだ」

リヴァイ「……」

リヴァイ「女教師みたいでよかったな」

リヴァイ「あれだ、ガヴァネスってやつだ」

リヴァイ「……うん」

リヴァイ「よし」


リヴァイ「着た」

ハンジ「お、リヴァイかっこいいじゃない!」

ミカサ「兵士長のは、フロックコート仕立てにしました」

ミカサ「普通の丈のスーツでもよかったんですが、お洒落着ということだったので」

ミカサ「思ったよりも肩幅と腰回りが筋肉でがっしりしてるので、ダーツも体のラインにあわせてとってます」

ハンジ「ほうほう!そうだね、胸元がすごいきれいにみえるねこれ」

ハンジ「うん、さすが私のお抱え家政夫長様だ」

ハンジ「どこに出しても恥ずかしくないよ」

ハンジ「有難うね、ミカサ」

ミカサ「仕事をしっかりこなしただけ……です」


ミカサ「何か丈が長すぎるとかは?」

リヴァイ「いや、とくに無い」

ミカサ「袖が長すぎるとか?」

リヴァイ「無い」

ミカサ「長すぎるとか」

リヴァイ「お前はそんなに俺をちんちくりんにしたいのか」

ミカサ「いいえ、そんなわけはない」

ミカサ「切り替えをジャストウェストにして、ボタンやポケットも上半身に集中させたとか」

ミカサ「そういう苦労はあった」

リヴァイ「……」


ミカサ「じゃあ、後ほど洋品店に振込でも持ち込みでも」

ハンジ「ありがとうねーわざわざ!」

リヴァイ「待て」

ミカサ「?」

リヴァイ「持っていけ」

ミカサ「これは……」

リヴァイ「手作りフルーツグラノーラだ」

リヴァイ「干しぶどうが余ったからつくってみた」

リヴァイ「ヨーグルトなどにかけても、牛乳で食っても美味い」

ミカサ「……恩に着る」

リヴァイ「ああ」


ハンジ「なんであなた達の別れの挨拶って無駄に任侠ものっぽいの?」

リヴァイ「そうでもない」

ハンジ「そうかなー?」

リヴァイ「ああ」

ハンジ「んふー」

ハンジ「しかしリヴァイ似合うね!かっこいいなぁ!」

ハンジ「下に着るシャツとクラバットも丁度いいね」

ハンジ「ふふ、出かけるの楽しみだなぁ」

ハンジ「ちょっとおめかししていくのに良いレストランだからね」

リヴァイ「そうなのか」


ハンジ「……」

リヴァイ「お前も」

ハンジ「ん?」

リヴァイ「悪くない」

ハンジ「これ?そうだよね!ミカサの職人芸が光るっていうか……」

リヴァイ「ではなく」

リヴァイ「似合う」

ハンジ「……」

ハンジ「そ、そう?」

リヴァイ「インナーのデコルテは、ドレスシャツよりもオープンなものにして、胸を古風に盛ったほうが俺好みだ」

ハンジ「……ソレは聞いてないね」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「まぁ、そういうなら盛ってみるよ。うん」


ハンジ「さてさて、ミカサのサプライズではしゃいじゃったね」

ハンジ「ご飯食べようよ」

リヴァイ「ああ」

リヴァイ「今日も今日とてうさぎ祭りだ」

リヴァイ「シチューと、人参の細切りサラダ。デザートにフルーツグラノーラのヨーグルトがけ」

リヴァイ「昨日あまったガラで出汁をとってみた」

ハンジ「わーい!いただきます!」

ハンジ「おいしい!!昨日のこってりしたワイン煮とは打って変わって今度はふっくらと煮てあるね!」

ハンジ「クリーム系とすごく相性がいいんだね!おいしいなぁ!」

ハンジ「うさぎといえば、リヴァイにだいぶ前にかしたピーターラビットって本に……」

リヴァイ「俺も思い出した」

リヴァイ「ミートパイだろ」

ハンジ「そう!」


リヴァイ「ミートパイ食うのか?」

ハンジ「うーん、それもいいなぁ。あれ、マッシュポテトとかはいってるんでしょ?」

ハンジ「マクレガーさんの行動に驚いたけど、あれ、あの時代に生きた人にとっては普通だったんだろうなぁ」

ハンジ「絵本そのままの食べものっていいよね。食べてみたいよ」

ハンジ「ぐりとぐらのパンケーキとか、どんな味がするんだろう!って子供心にわくわくしたものだし」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「作ってくれるの??」

リヴァイ「いいだろう」

リヴァイ「ぐりとぐらは知らねぇが」


ハンジ「今夜読んであげるよ」

ハンジ「寝物語にいいよ?」

ハンジ「私はお母さんに読んでもらったよ」

ハンジ「懐かしいなぁ」

リヴァイ(え、俺子供扱い……?)

リヴァイ(まんまーおっぱーいとかいえばいいのか?)


リヴァイ「というわけで今日も寝る時間がやってまいりました」

リヴァイ「俺はなぜベッドの上に正座しているのでしょう」

リヴァイ「今話題のハッピーグルメ弁当といえば?」

リヴァイ「どんどん?」

リヴァイ「じゃなくて、ハンジがそのうちやってくるからです」

リヴァイ「動揺すしぎだろう」

リヴァイ「昨日ハンジの横で抜かなかった俺の理性を褒めたい」

リヴァイ「俺超すごい」

リヴァイ「今日は大分自信がない」


リヴァイ「ワンピースの仕立てすげぇよかったわ」

リヴァイ「さすがミッカリーン」

リヴァイ「あいつああいうしっとりした服も似合うんだな」

リヴァイ「……もうちょっとちゃんと誉めればよかった」

リヴァイ「でも俺の語録だとどう似合うか表せねぇわ」

リヴァイ「似合うとしか言えない」

リヴァイ「俺は語録がないおじさん」


リヴァイ「やたらと綺麗に見えたしな」

リヴァイ「……」

リヴァイ「おじさんのなかにも乙女はいるんだよ」

ハンジ「本探してたらからだ冷えちゃった~」

リヴァイ「ひょぅ!」

ハンジ「今の鳴き声なに?」

リヴァイ「別に泣いてねぇし」

ハンジ「さてさて本読みながら寝ますかね」ごそごそ

ハンジ「読み聞かせしてあげるね」


ハンジ「おいでおいで」

ハンジ「はいはい、ねんねしましょうね~」

リヴァイ「子供扱いするな」

ハンジ「たまにはいいでしょ?
    読み聞かせなんて子供の時にしてもらったきりだもん」

ハンジ「ちょっと雰囲気だしてみたいしね」ぎゅっ

リヴァイ(ああ、やっぱいい匂いがする)

リヴァイ(なんで女ってのは甘い匂いがするんだろうな)

リヴァイ(読み聞かせおわったら今日こそは……)


ハンジ「……絶体絶命のぐりとぐらの大ピンチに駆けつけたのは、なんとその昔はライバルであったティップとディルだったのだ」

ハンジ「なぜお前らが」

ハンジ「我々とてたくさんの創作物のひとつだ。ただ我々を産み出した人間は、ただの作家であるには才能がありすぎた」

ハンジ「著作拳というものを振りかざさねば生きていけぬ、家族や会社、大事なものを守るためにはやらねばならなかった」

ハンジ「そう、栗と二匹のリスはいい放つと」

リヴァイ「ハンジ」

ハンジ「ちょっとまって、まだ途中だよ」


リヴァイ「いくら原本をしらなくても、たぶんこれ絶対ぐりとぐらじゃねぇというのはわかる」

リヴァイ「パンケーキのパの時もでてこねぇじゃねぇか」

ハンジ「栗とリスは出てくるよ」

リヴァイ「誰だこんな本書いたの」

ハンジ「私の父が」

リヴァイ「……父が?」

ハンジ「これは大きくなったときに読むぐりとぐらだよ、って調査兵団に入るときにくれたよ」

ハンジ「たしかに大人向けだね」

リヴァイ「誰向けでもねぇよ」


リヴァイ「もういい寝る」

ハンジ「ええーー!じゃあ勝手に読んでるね」

リヴァイ「読み聞かせじゃねぇのかよ」

ハンジ「読み聞かせてるよ?リヴァイがそのまま聞いていてくれればいいだけだもん」

リヴァイ(寝ないのかよ……)


ハンジ「生き別れになった娘ともう一度会う、それだけが、俺の心残りだったのさ。そうぐらははにかみながら朝日を見上げた」

リヴァイ(なんでハードボイルドなんだ……)

ハンジ「まさか、敵として会うなんて、それも考えたこともあったが。ああなんという運命のいたずら!まるでマグロのようであった!コワイ!ぐりは覚悟をきめたぐらにオタッシャ重点」

リヴァイ(すでにどこの国の言葉だかもわかんねぇし)

リヴァイ(やばいねむい)

リヴァイ(おじさん寝ちゃうよ?)

リヴァイ(変な読み聞かせのせいでおじさんのちんちんもしょんぼりですよ)


リヴァイ「ぐぅ」

ハンジ「ああ!!おもしろかった!」

ハンジ「さすがマイファザー!小説家だけあるよ」

ハンジ「最後にぐりが太陽にむかって中指を立てながら溶鉱炉に沈んでいくところは涙が止まらなかった」

ハンジ「すぅすぅ」

ハンジ「あ、リヴァイ寝ちゃった」

ハンジ「エクストリームぐりとぐら気に入ってくれたかな」

ハンジ「私もねよーっと」


リヴァイ「というわけでですね」

リヴァイ「あれから夜の日課がですね」

リヴァイ「ハンジ父の書いたという小説だかなんだかよくわからないのを読み聞かせてくれるようになったんですよね」

リヴァイ「俺もよく眠れるわけですよ」

リヴァイ「大体超展開すぎて眠くなるんで」

リヴァイ「しかしです」

リヴァイ「俺はどちらかというとハメたい系男子」

リヴァイ「ハメたい系とはいえ、ちゃんと儀式くらいはしとこうという理性はあります」

リヴァイ「しかしフラグバッキバキに折られて困りました」

リヴァイ「そりゃもうおじさんの口調だって変わっちゃいますよ」

リヴァイ「ごめんな兵長Jr. 不甲斐ない親で」


リヴァイ「まぁいい匂いはするのでしばらく我慢かな……」

リヴァイ「今週末の食事でどうにか決着つけよう」

ハンジ「ふわーいリヴァーイ寝るよー」

リヴァイ「今日もまた本抱えてきたのか」

ハンジ「ううん、今日はなんだか調子わるくて」

リヴァイ「ん?」

リヴァイ「おい、こっちこい」


ハンジ「んー?」

ハンジ「リヴァイのおでこ冷たくて気持ちいいー」

リヴァイ「熱があるな」

ハンジ「これくらい大丈夫だよ。寝れば治るよ」

ハンジ「明日は休みだ!お外で食事だし!」

リヴァイ「いいから、ちょっと待ってろ」

ハンジ「んー……」


リヴァイ「白湯と解熱剤、それにマスクだ」

リヴァイ「治す気あるならこれくらいのんでおけ」

ハンジ「わかったよ、リヴァイは心配性だなぁ」こくこく

ハンジ「飲んだから寝るね」

リヴァイ「早く寝ろ」

ハンジ「ふぅ。おやすみなさい」


ケホッケホッ



リヴァイ(なんだ、この音)



けほっ


リヴァイ「ん?」

ハンジ「けほっ、けほっ」

リヴァイ「ハンジ?」

ハンジ「あ、ああごめ……けほっ、起こしちゃったね、ゲホッゲホッ」

ハンジ「熱が本格的に出てきちゃったみた……けほっけほっ」

リヴァイ「おい、しゃべるな」

ハンジ「こくこく」


リヴァイ「水分と解熱剤に咳止めだ。飲め」

ハンジ「ありがと……けほっ」

リヴァイ「しゃべるな。のどに悪い」

ハンジ「うん。そうする」

ハンジ「リヴァイ、うつるとわるいから、申し訳ないけど私を部屋まで送ってくれないかな?ゲホッゲホッ」

リヴァイ「いい、ここで寝ていろ」

ハンジ「でも」

リヴァイ「俺のことは気にするな」

リヴァイ「……家族が病気になったら、看病するだろう」

リヴァイ「おまえもしてくれた」

ハンジ「……うん」


リヴァイ「まだ朝早い」

リヴァイ「寝てろ。ほかのことは気にするな」

ハンジ「うん」

リヴァイ「俺は家事を済ませてくる」

ハンジ「こくこく」

リヴァイ「すぐ帰ってくるから、おとなしくしてろ」

ハンジ「うん」


ハンジ(優しいなぁリヴァイは……)

ハンジ(だめだ、頭がぼーっとする)

ハンジ(今日はお出かけして外食して、楽しんでもらうつもりだったんだけどなぁ……)

ハンジ(体調管理できてなくて申し訳ないや……)

ハンジ(リヴァイ、私のこと家族って言ってくれた)

ハンジ(うれしいな)

ハンジ(私は、私の面倒みるので手一杯だとおもってたけど)

ハンジ(守りたい人のために、ちょっと自分のリソースを裂いてみるのもいいことかもね)


ハンジ(私は、放っておいても大丈夫な人じゃないと付き合えないとおもってたんだけどなぁ)

ハンジ(私はいろんなところにほいほいといっちゃうし知りたがっちゃうから)

ハンジ(でも別に、それでもどこまででも付き合ってくれる人なら)

ハンジ(リヴァイは、別に無理してる感じもなく適当にあわせてくれるからすごく楽でいいな……)

ハンジ(ああ、考えがまとまらないなぁ)


ハンジ(そうか、その人のためになら必要なリソースを裂いてもいいと思えること)

ハンジ(私にとっての最大限の愛情表現になるんだけど)

ハンジ(どうやって解説しようかなぁ)

ハンジ(とりあえず寝よう)

ハンジ(頭すっきりさせたらいい案が思いつくかも)


リヴァイ「ハンジ」

ハンジ「……ん」

リヴァイ「辛いだろうがちょっと起きろ」

リヴァイ「パン粥に白湯だ。あとポカリ薄めた奴」

リヴァイ「とりあえず食べられるところまで食え」

リヴァイ「食い終わったら薬飲んで熱測れ」

ハンジ「うん……」

リヴァイ「あと会社には連絡入れておいた。レストランはまだ開いてないから開き次第キャンセルしておく」

ハンジ「ありがとうね。ごめんね」

リヴァイ「謝るな」

ハンジ「うん」


リヴァイ「もういいのか?」

ハンジ「うん、ごめんね、あんまり食欲ないんだ」

リヴァイ「いやいい。ちょっと喰うだけでも違う。薬飲んだら寝ろ」

ハンジ「リヴァイ」

リヴァイ「なんだ?何か足りねぇことでもあるのか?」

ハンジ「……今日は一日、一緒にいてほしいな」

ハンジ「寝てて、つまらないだろうけど」

リヴァイ「……」

リヴァイ「わかった」


ハンジ「うつすかもだよ?」

リヴァイ「うつってるならとっくにうつってるだろ」

リヴァイ「今更だ」

ハンジ「そだね……」

ハンジ「ごめんね、ちょっと寝るね」

リヴァイ「ここにいるから安心してろ」

ハンジ「うん」


ハンジ「すぅすぅ」

リヴァイ「咳はちょっと止まったが、まだ顔は真っ赤だ」

リヴァイ「俺がこの間風邪になったとおもったら時間差でハンジが今度は病気だ」

リヴァイ「……よく寝てるな」

リヴァイ(……ただの風邪なんだがな)

リヴァイ(家族が病気になるってのは、どうにもおちつかねぇ)

リヴァイ(死ぬわけじゃねぇのにな……)

リヴァイ(参ったな、ほんと)


リヴァイ「ん……」

リヴァイ「俺まで寝てた」

ハンジ「すうすう」

リヴァイ「昼過ぎか」

リヴァイ「よく寝てるが、この時間で薬飲んでちょっと熱がさがったならいいのかもしれねぇ」

リヴァイ「起こさないで飯たべて、あと洗濯しとこ」

リヴァイ「ちょっとだけ行ってくる」


リヴァイ「ただいま」

ハンジ「すうすう」

リヴァイ「起きない」

リヴァイ「よく寝るな」

リヴァイ「体力有り余った人間が回復しようとするとこれくらい寝るらしいな」

リヴァイ「まぁいい、とにかく眠れ」

リヴァイ「俺も寝る」


リヴァイ「はっ」

ハンジ「すうすう」

リヴァイ「もう夕方だな」

リヴァイ「……もう寝苦しそうじゃねぇな」

リヴァイ「顔色も普通に戻った」

リヴァイ「洗濯物取り込んで、飯作ってくる」

ハンジ「すうすう」

リヴァイ「……」

リヴァイ「行ってくる」ちゅっ


リヴァイ「これはアイロンがけ」

リヴァイ「これはそろそろ繕うか。ボタンがとれかけだ」

リヴァイ「……」

リヴァイ「ふう」

リヴァイ「飯なに作るか」

リヴァイ「パン粥二回も飽きるだろうし、野菜のポタージュスープかな」

リヴァイ「……作るものの中心が、ハンジがなに食べたいかで決めてるな」

リヴァイ「まぁ、雇い主なんだから当然なんだけど」

リヴァイ「一応まだ忘れてはいない雇用契約」


リヴァイ「それ抜きでもな」

リヴァイ「自分のためだけなんて別に作る気にならねぇしな」

リヴァイ「……生活の中心になってるな、ほんと」

リヴァイ「人参のポタージュにしよ」

リヴァイ「元人類最強もしょんぼりする」

リヴァイ「俺は元々繊細だ」

リヴァイ「人参をざく切りにして煮立てて、火が通ったところですり鉢などで粉砕し、漉し布で丁寧に漉してやる」

リヴァイ「終わったらもう一度火にかけ、牛乳とブイヨンと共に温める」

リヴァイ「塩コショウで味整えておわり」

リヴァイ「あとは白パンかな」

リヴァイ「そんなくえねぇだろうし」

リヴァイ「っていうかおきてるかな」


リヴァイ「ハンジ、起きてるか?」

ハンジ「んー……」

リヴァイ「飯食えるなら食え。いらねぇならいい」

リヴァイ「食べるよ。おなかすいた」


ハンジ「このスープ美味しいね……」

リヴァイ「ゆっくり飲め」

ハンジ「うん」

ハンジ「リヴァイの料理はあったかいね」

ハンジ「ちゃんと食べる人のこと考えて作ってる味がするよ」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「うん」


ハンジ「ごちそうさま。美味しかったよ」

リヴァイ「汗かいたなら着替えろ。体拭きたいなら湯をもってきてやる」

ハンジ「うん」


リヴァイ「ここに湯を置いとくぞ」

ハンジ「リヴァイ手伝ってよ」

リヴァイ「……」

ハンジ「背中よろしくね。一人じゃふけないし」

リヴァイ「……」


リヴァイ「ハンジ」

ハンジ「なぁに?」

リヴァイ「俺は男だ。お前の親でもなければ兄弟でもねぇ」

ハンジ「私にとっては、最初にであった時からリヴァイは男の人だったよ」

ハンジ「だからね」

ハンジ「うーん」

ハンジ「親兄弟に頼むような感覚ではお願いしてないよ」

リヴァイ「……」

ハンジ「勘違いさせるつもりではないってことだよ」

ハンジ「行動の通り受け取って欲しいな」

リヴァイ「……とりあえず、背中拭く」

ハンジ「よろしくね」

リヴァイ「ベッドに座って、背中向けておけ」


リヴァイ「熱くないか」ごしごし

ハンジ「ちょうどいいよ」

リヴァイ(勘違いじゃない、とか)

リヴァイ(またハンジに先手越されてしまった)

リヴァイ(つまりはいいってことだよなぁ)

リヴァイ(据え膳)

リヴァイ(用意されてしまった)


リヴァイ(首筋細いな)

リヴァイ(背中も、傷だらけだけど細くて華奢だ)

リヴァイ(明らかに筋肉量おちてるよな)

リヴァイ(兵士からただの女になると、ほんと、華奢だよなこいつは)

リヴァイ「……ちゅ」

ハンジ「……んっ!?」


リヴァイ(お湯に香油いれておいたから首筋からいい匂いがする)

ハンジ「リヴァ……」

リヴァイ「行動の通りの意味合いとして取れ、と言っただろう?」

リヴァイ「そうさせてもらう」

ハンジ「やっ……ひゃうっ」


リヴァイ「逃げるな」

ハンジ「突然首筋にキスされたらびっくりするよ」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「んっ、ああっ……!」

リヴァイ(とりあえず前の方も拭いておいた)

リヴァイ(タオル越しでも胸はふにふにしてやわらかい)

リヴァイ(直接揉んでいいかな……)


リヴァイ(後ろから抱き抱えておくと全然顔見えない)

リヴァイ(これは早急に体位変えないと)

リヴァイ「ハンジ、こっちむけ……」

ハンジ「ん、もう……。急ぎすぎだよ」

ハンジ「これでいい?」

リヴァイ「……」こくこく


リヴァイ「……背中」

ハンジ「ん?」

リヴァイ「背中みてたら、我慢出来なくなった」

ハンジ「……ふふっ」

リヴァイ「変か?」

ハンジ「変じゃないよ。嬉しいよ。
    私でも、リヴァイの性欲求の対象になれるなんてね」

リヴァイ「なる」

ハンジ「私はほら、胸も平らだし、これといって楽しい部品もないし」

ハンジ「ああ、うん。膣は楽しめるかもしれないけど」

リヴァイ「触るぞ?」

ハンジ「いいよ」


リヴァイ(もうびしょびしょだった)

リヴァイ(愛液すげぇぬるぬるする)

リヴァイ(膣の中指でなでるとふにふにして気持ちいい)

ハンジ「んんっ……!! んっ」

リヴァイ「痛いか?」

ハンジ「ううん、ただ、慣れないところ触られたからびっくりして……」

リヴァイ「ハンジ」

ハンジ「んっ……」

ハンジ「んぅ……はぁっ」

リヴァイ(ハンジの顔、すごいエロい)

リヴァイ(キスしてるだけなのに、どんどん濡れてくるし)

リヴァイ(膣の中かき回すと指がすげぇ締め付けられる)


ハンジ「ん……ぷはっ」

ハンジ「リヴァイ」

リヴァイ「はっ……ふぅ」

ハンジ「顔、真っ赤だね」

ハンジ「えへへ。リヴァイ、すごくキスが丁寧だね」

ハンジ「気持ちいいよ。もっとしよ?」

リヴァイ「……」こくこく

リヴァイ「ハンジ」

ハンジ「何?」

リヴァイ「抱きしめていいか?」

ハンジ「うん、ぎゅーってして」


リヴァイ(肉がほとんどないのに柔らかい……)ぎゅぅ

リヴァイ(温かいし)

リヴァイ「ハンジ」

ハンジ「なあに?」

リヴァイ「好きだ」

ハンジ「……っ!?」

リヴァイ「ハンジ、好きだ」

ハンジ「う……うん」

リヴァイ「好きだ」

ハンジ「……んぅ」

ハンジ「はっ……んっ」


リヴァイ(さっき指でいじってたときよりももっと融けてどろどろになってる……)

リヴァイ(ハンジかわいい)

リヴァイ(……俺ももう、割と、限界だ)

リヴァイ(抱きしめればキスしたくなるし、キスすれば挿れたくなる)

リヴァイ「ハンジ、挿れていいか?」

ハンジ「うん、いいよ。リヴァイのおちんちん欲しい」


ハンジ「ここ持てばいいの?」

リヴァイ「そうだ、膝の裏を手で持って……」

ハンジ「結構、すごい格好だね」

ハンジ「……わ!!」

ハンジ「すご、リヴァイの大きいねぇ……」

ハンジ「さ、触っちゃだめ?」

リヴァイ「また後でな」

リヴァイ「今触られたら出る」

リヴァイ「出すならお前の中で出したい」

ハンジ「リヴァイって、結構、その、直接的だね……」

ハンジ「わかりやすくていいけど」

リヴァイ「そうか?」


リヴァイ「挿れるぞ、力抜け」

ハンジ「うん」

リヴァイ(あ、だめだ)

リヴァイ(入り口の時点で出そう)

リヴァイ(ちょい!ちょっと!!まだ頑張れ俺!!!)

リヴァイ(射精はせめて奥に着いてから!!!!)

リヴァイ「……くっ……ううっ」

ハンジ「大丈夫だよ、ちょっと乱暴にしても」

ハンジ「私はそんなに壊れ物じゃないよ」

リヴァイ(そういうわけじゃないんだ)

リヴァイ(でもここでしゃべったら出そう)

リヴァイ「はっ……」


ハンジ「もっとおいで、リヴァイ」

リヴァイ「!?」

リヴァイ(背中に足が絡みついてきて腰が押されてる!!)

リヴァイ(ちょ、この早さやば……)

リヴァイ「は……ああっ!あっ!!!」

ハンジ「リヴァイの声可愛い……」

ハンジ「ね、もっと聞かせて?」ギュッ

リヴァイ「だ……やめ……!!足で押すな……!!」

リヴァイ「ああっ!……はぁっ!あっ!!」


ハンジ「泣きそうな顔も可愛いね……」

リヴァイ「うっ……くぅっ……!!ハンジっ……」

リヴァイ「あっ!はぁっ!ああっ!」

ハンジ「リヴァイ、リヴァイっ!」

ハンジ「リヴァイのおちんちんでかき混ぜられると、おかしくなりそぅだよ……っ」

リヴァイ「ハンジっ……好きっ」

ハンジ「んぅ……」

ハンジ「やぁ……っ、挿れながら好きっていうのは卑怯だよ……っ」

リヴァイ「好きだ、ハンジ、好き……」

ハンジ「んんっ!!?」

リヴァイ「膣内で出してもいいか……?」

ハンジ「うん、いいよ。いっぱい出して」

ハンジ「私の中、リヴァイの精子でいっぱいにして」


リヴァイ「あ……っ!はあっ!!あ!」

リヴァイ「出すぞハンジ……っ!」

ハンジ「んんーっ!!」

リヴァイ「あっ……はああっ!!ああっ」

ハンジ「らめぇ……っリヴァイの精液がいっぱいでてるっ……」

ハンジ「おちんちんがびゅくびゅく言ってるのわかるよぉ……」

リヴァイ「くっ……ううっ……」


リヴァイ「はぁっ……はぁ……」

ハンジ「はぁ……ふぅ……」ぎゅっ

ハンジ「リヴァイ」

リヴァイ「ん……」

ハンジ「がんばったね、気持ちよかったよ……」ぎゅう

リヴァイ「ん……うん……」

ハンジ「ちゅうしよ?」

リヴァイ「……ん」

ハンジ「ぷは……んむ……」


リヴァイ(ハンジの中気持ちよすぎてよくわかんなかった)

リヴァイ(とりあえずまだ繋がったままだ)

リヴァイ(ちんこがちょっとくすぐったいけど、このまま離れたくない)

リヴァイ(って考えてたらまた大きくなってきた)

ハンジ「あれ、リヴァイ」

ハンジ「まだ足りないの?」

リヴァイ「……足りるわけねぇだろ……」

リヴァイ「もっとお前を抱きたい」

ハンジ「もう」

ハンジ「しょうがない人だなぁ……」


ハンジ「あれ……」

ハンジ「寝ちゃってた」

ハンジ「ああ、もう日が高い」

ハンジ「風邪も……。うん、よくなってる」

リヴァイ「すうすう」

ハンジ「寝顔は穏やかだなぁ」

ハンジ「昨日は……えーっと、12回目に突入して、それからあんまり覚えてないや」

ハンジ「寝ちゃったのかな」


ハンジ「リヴァイ、ずっと好きとか可愛いとかいうんだもん」

ハンジ「びっくりしたよ」

ハンジ「でも嬉しいな」

ハンジ「やっと曖昧だったのが片づいたよ」

リヴァイ「……ん」

ハンジ「あ、起こしちゃった?」

リヴァイ「……いや」

リヴァイ「起きる時間過ぎてる……」


リヴァイ「ハンジ、熱は」

ハンジ「もうないよ」

ハンジ「ね、もうちょっと寝ようよ」

ハンジ「お休みなんだからさ。こうやって裸で抱き合って、お布団でごろごろしてたいなぁ」

リヴァイ「……いいだろう」

ハンジ「わーい」


ハンジ「リヴァイ」

ハンジ「何だ」

ハンジ「昨日、ずーっと好き好きっていってたけど、また聞きたいな。可愛いし」

リヴァイ「……」

リヴァイ「ちょっと寝たらな」

ハンジ「うん」ぎゅ

リヴァイ(ハンジの胸枕でねるのも悪くない)

リヴァイ(いや、むしろ……これは……)

今回はここで終わりー
途中で励ましてくれた人ありがとう
次も特に意味のないエロ回になります

あと体位がわかりにくい気がするからあとで図説はりにくるかも
正常位でだいしゅきほーるどです

あと2回分よろしくおつきあいください

リヴァイ「忘れ物はねぇか」

ハンジ「大丈夫だよ」

リヴァイ「ハンカチは持ったか。化粧直す道具は?バッグはどこやった」

ハンジ「あるってばもう。そんなに私は忘れ物するように見える?」

リヴァイ「見える。自分用の道具はまず忘れる」

ハンジ「ううっ……まぁそうだけど。でも大丈夫だよ! 忘れても財布があればなんとかなる!」

リヴァイ「いいからしっかり持っておけ」

ハンジ「レストランに行くだけなのに大げさだなぁ」

ハンジ「ミカサに仕立ててもらったお揃いの外出着でお出かけがうれしいからってはしゃぎすぎだよ」

リヴァイ「……別に」

ハンジ「おっ? 私の最強主夫殿は照れておいでだ」

ハンジ「ふふふ、あなたでも照れることはあるんだねぇ」

ハンジ「ごめんごめん、そんなに睨まないでよ」

ハンジ「さ、行こうよ。ちょうどいい時間だ」


ハンジ「鍵はかけたしー、明かりは消したしー」

リヴァイ「おい」

ハンジ「ん?」

リヴァイ「腕出せ」

ハンジ「んん? ああ、エスコートしてくれるの? ありがとう!」ガシッ

リヴァイ「……大型犬みてぇだな」

ハンジ「私に尻尾があったらきっとぶんぶん振ってるよ」


ハンジ「日が暮れるねぇ」

リヴァイ「そうだな」

ハンジ「ガス灯が燈りはじめたね」

リヴァイ「そうだな」

ハンジ「この調子でいけば、予約した時間ぴったりくらいにつくね」

ハンジ「あなたと二人で、夏の始まりの夕焼けを見るのはこれで何度目だろうね」

リヴァイ「……さぁな」

ハンジ「あなたとこんな色っぽい関係になって見る夕暮れは今年が初めてだけどね」

リヴァイ「……」

リヴァイ「浮かれてるのか」

ハンジ「自分でもびっくりするくらいにね」


ハンジ「おお、ここだここ。肉、特に豚料理がおいしいと評判のお店だよ」

ハンジ「すみませんー、予約してたハンジ・ゾエですけど」

店員「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。お二階の席へご案内いたします」

リヴァイ(掃除が行き届いている……いい店だ)


店員「お飲みのもはいかがされますか?」

ハンジ「ワインにはあまり詳しくないのでお任せしたいと思います。料理にあうものを選んで出してもらえませんか?」

店員「承知しました。それではこちらで選ばせていただきます」

リヴァイ「……」

ハンジ「ん?」

ハンジ「何かついてる?」

リヴァイ「いや」


リヴァイ「お前ともあろうものが、とりあえずビールとか言い出さないなと思ってな」

ハンジ「そりゃあ、私だってTPOくらいわきまえますよ!」

ハンジ「あや、ビール飲みたかった?」

リヴァイ「いや」

リヴァイ「お前は意外と品行方正なところがあるなとびっくりしただけだ」

ハンジ「あなたはいつもびっくりするくらい口が悪いよね」


店員「お待たせいたしました。食前酒になります」

店員「こちらはベルンカステラー・ドクトール・リースリング・シュペトレーゼになります。

リースリングは甘みが強いワインが多いですが、こちらはさわやかな酸味の中にもさわやかな味わいの辛口になります」

ハンジ「へぇへぇ。楽しみだねぇ」

リヴァイ(グラスもよく磨かれている……完璧だな)


ハンジ「うーん!おいしい!甘酸っぱくて飲みやすいねこれ。香りもさわやかで食欲をそそってくれるね!」

リヴァイ「……いい味だな」

ハンジ「リヴァイがいつも作ってくれる肉料理にもあいそうだねー。ウサギとレンズ豆のビール煮込みとかさ」

ハンジ「あと私、あれが好きだな。豚肉の肉団子のトマト煮込みとザワークラウト」

リヴァイ「ザワークラウトは手抜きにも程があるやつだが」

ハンジ「あれくらいゆるい味が好きだよ」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「うん」


店員「こちらが前菜です。桃を薄くスライスしたビアシンケンで包んだものと、チーズとキュウリとアイスバインの冷製パイ包み。サーモンパテのビスケット添えです」

ハンジ「桃!桃かぁ。久しぶりだなぁ桃食べるの」

ハンジ「どうして桃っていう甘いものと、ビアシンケンみたいな肉が合うんだろうね。いつも不思議に思うよ」

リヴァイ「スイカに塩かけて食うのと一緒じゃねぇのか」

ハンジ「突然の家庭的な食べ物に戻っちゃったね。あと私は塩をかけて食べないよ」

リヴァイ「……!!?」

ハンジ「そんな驚いた顔、今更しないでよ」


店員「こちらが本日のスープ、ホワイトアスパラガスのポタージュ。それと、メインの鯉のから揚げ・オランデーズソースとホワイトアスパラガスを添えたものになります」

ハンジ「アスパラおいしいねぇ。これを食べると初夏!ってかんじだよね。まだちょっと肌寒いけど」

リヴァイ「……」

ハンジ「あれ?アスパラガス嫌いだっけ?」

リヴァイ「……いや」

ハンジ「?」


リヴァイ「地下街にいたとき、この白くて細長げぇのはなんだろうとずっと思ってたんだ」

ハンジ「うん」

リヴァイ「食い物にしては白すぎるし、でも毒はなさそうだし」

ハンジ「うん」

リヴァイ「外に出て、初めてあの、アスパラというものを食ったんだ。青い方な」

リヴァイ「信じられねぇくらいうまかった」

リヴァイ「あれと、この白いものは一緒の植物なのか……」

ハンジ「……ええと」


ハンジ「……うーんと、要するにあなたの苦い思い出と幸せな思いでが両方詰まった食べ物ってわけかな?」

リヴァイ「そうだ」

ハンジ「うん。えっと。リヴァイのことをまた一つ教えてくれてありがとうね。まだまだ分からないことがいっぱいだよ」

リヴァイ「ああ」

ハンジ「……」

リヴァイ「……」

ハンジ「アスパラガスって包茎のちんちんみたいだよね」

リヴァイ「黙って食え」


ハンジ「ああ、日が暮れるねぇ」

リヴァイ「そうだな」

ハンジ「テラス席はいいねぇ。風が気持ちいいよ」

ハンジ「おいしいワイン飲みながら、おいしい料理を食べて、生ぬるい大気に体を任せるのは心地いいものだね」

ハンジ「それも、命を危険に晒すことはないときたものだ」

リヴァイ「感傷に浸るのは酒のせいか」

ハンジ「そうかもしれないね」


ハンジ「さて、会計も済ましたし帰ろうか」

ハンジ「すっかり日も暮れてしまったよ」

リヴァイ「立てるか?」

ハンジ「勿論」ふらふら

リヴァイ「……」

ハンジ「……」

リヴァイ「……」

ハンジ「一番いいエスコートを頼めないかな」

リヴァイ「……飲みすぎだ」


ハンジ「ねぇリヴァイ」

リヴァイ「なんだ?」

ハンジ「道端で寝たくならない?」

リヴァイ「絶対にならねぇな」

ハンジ「こう、冷たそうな地面に体を横たえてそのまま眠れたらさぞかし気持ちいいだろうなぁって」

リヴァイ「壁外調査してた頃はいつでもそんなことしてたじゃねぇか」

ハンジ「うん」

ハンジ「朝露に濡れた草の香りと、湿った土の香り」

ハンジ「懐かしい」

リヴァイ「そのまま寝るか。今。ここで」

ハンジ「今日は遠慮しておこうかな」


ハンジ「あー、やっと家だ家。足痛いー」

ハンジ「慣れないヒールは足が疲れるなぁ」

リヴァイ「おい。そのままベッドで寝るな。着替えろ。風呂に入れ」

ハンジ「寝ないよ!だって夜はこれからだもんね」


リヴァイ「……? 着替えねぇのか」

ハンジ「ふふーん。このシャツねぇ、ホルターネックになってるんだよね」

ハンジ「背中がガラあきなわけだ」

ハンジ「じゃーん! どう? そそらない?」

リヴァイ「……」

ハンジ「おや? お好みではなかった……」

ハンジ「わぁ」どさり


リヴァイ「そそらねぇわけねぇだろ」

ハンジ「んぅ……」

ハンジ「首筋に噛みつかれると痛いよリヴァイ」

リヴァイ「噛みつきたくなるようなお前が悪い」

ハンジ「あっ……!や……」

リヴァイ「シャツの下何もねぇな。下着つけてねぇのか」

ハンジ「……とったんだよ。これ着たまましたいなって思って」


ハンジ「あぅ……服の上から乳首擦るのやだよ……触ってよ」

リヴァイ「いきなり触ったら楽しみが無くなるだろうが」

ハンジ「やっ!痛いっ!! 痛っ! 首筋に歯たてないで……!」

リヴァイ「痛い痛いとわめく割にはびしょ濡れじゃねぇか」

ハンジ「ひああっ!?」


リヴァイ「下着の上から触ると、ずいぶんといやらしい音を立てるもんだな」

ハンジ「うっ……くぁ……っ!」

ハンジ「や……野獣みたいにがっつかないでよ……」

ハンジ「リヴァイもずいぶんと酔っぱらってるじゃない」

リヴァイ「酔ってねぇとは言ってない」

ハンジ「わ、ちょっと……!? 下着くらい自分で脱ぐよ……!?」

リヴァイ「遅い」

リヴァイ「紐でよかったな。じゃなかったら引きちぎってるかもしれねぇ」

ハンジ「ゴロツキだー!」


リヴァイ「少し静かにしてろ」

ハンジ「むぐっ!?」

ハンジ「んーーーー!!?んーーっ!」

リヴァイ「自分の下着を自分で咥えてるなんていい眺めだな」

ハンジ「んんーーーっ!!」

リヴァイ「挿れるぞ」

ハンジ「!?」


ハンジ「んーー!!」

リヴァイ「エロい眺めだな、ハンジよ」

ハンジ「んっ!!んぅっ!?」

ハンジ(このおっさん……!?変態すぎだろ……!!)

ハンジ(腕もガッチリ掴まれてて身動きとれないし……)

ハンジ(ああもうこんなぐちゃぐちゃなパンツ口の中に突っ込まれてわけがわからない……!)


リヴァイ「嫌がってる割には俺のチンコがっちり咥えこんで離さねぇじゃねぇか」

ハンジ「んーっ!んんーーーーっ!!」

ハンジ(うう、リヴァイの顔も赤くなってて色っぽいなぁ)

ハンジ(このまま中で射精されたい)

ハンジ「……」ぎゅっ


リヴァイ「おい……ハンジ。腰を足で抑える……」

ハンジ「……」こくこく

リヴァイ「いいのか?中で射精すぞ?」

ハンジ「……」ぎゅっ

リヴァイ「…っ!!ハンジっ!!くっ……!!!」

ハンジ「~~ッ!!!」

リヴァイ「うっ……くぅっ!!あああっ!」


リヴァイ「はぁ……はぁ……」

ハンジ(ああ、頭のなかまっしろ……)

ハンジ(リヴァイの顔もまっかだぁ……)

ハンジ(可愛いなぁリヴァイ……胸の中でビクビクしてる)

ハンジ(ああ、中で射精してもらったんだなぁ……)


ハンジ「はぁ」

リヴァイ「どうした」

ハンジ「まるで強姦の様だよ。楽しかったけど」

リヴァイ「何が」

ハンジ「私のパンツをさるぐつわのように咥えさせてから突き放題とか、元ゴロツキさんのセックスは激しいなぁって」

リヴァイ「……」

ハンジ「いやぁ、想像もしなかったよ。うん。なかなかこれはこれで」

ハンジ「リヴァイも自分のパンツ咥えてみる?何か新発見あるかもよ?」

リヴァイ「勘弁しろ」


リヴァイ「酔いはさめたか」

ハンジ「大分ね」

リヴァイ「じゃあ風呂に入るぞ」

ハンジ「私をお風呂に入れて洗うの好きだよねリヴァイ。一人で入るときは烏の行水みたいなのに」

リヴァイ「人を洗うのは別だ」

リヴァイ「念入りに洗ってやろう」

ハンジ「顔が怖いよ???手加減してよ???」


ハンジ「さっぱりしたー!気持ちいいー」

ハンジ「さぁ寝よう!明日は休みだ仕事もない!」

ハンジ「さぁさぁリヴァイ!どうぞどうぞ!私の腕枕は空いてるよ!」

リヴァイ「また酔いが回ったのか」

ハンジ「すっかり酔いはさめてるけど一緒に寝ようよ」

ハンジ「寝物語も完璧だよ。まずは今研究している酵母君と私のなれ初めについてからかな」

リヴァイ「静かに眠らせてくれ」

今日の分終了です
あとラス1ー
明日か明後日位に張りにきます

リクもらったホルターネックー
http://up4.viploader.net/ero2d/src/vlero2d109402.jpg
パンツを口に突っ込んでるのもかきやす

それじゃラストはっていきます
よろしくです


リヴァイ「なんだかんだで害獣駆除の仕事も一旦終了だ」

リヴァイ「狩猟時期終わるからな」

リヴァイ「ウサギ美味かった」

リヴァイ「ウサギ美味しかの山」

リヴァイ「ウサギ追いしというのを美味しいというものだと疑っていなかった純朴な時期が俺にもあった」

リヴァイ「今はすっかり汚れちまった悲しみに」


リヴァイ「サシャもすっかり狩猟民族に戻っている」

リヴァイ「野性を取り戻したというべきか」

リヴァイ「時々野性にかえりすぎて人間に戻すのが大変だった」

リヴァイ「犬の号令が通用するのはともかく、犬笛が聞こえるとは思わなかった」

リヴァイ「遠いところにいるときは、犬笛で合図を送ると鏑矢で返事をしてくる」

リヴァイ「……」

リヴァイ「俺の狩猟の相棒は狩猟犬だったのか……」


リヴァイ「噂をすれば戻ってきた」

リヴァイ「そろそろ飯の時間か?」

リヴァイ「手に魚を持っているから飯かもしれねぇ」

リヴァイ「作ってきたサンドイッチどうしよう」

リヴァイ「まぁサシャなら食うか……」


サシャ「兵長」

リヴァイ「なんだ。飯か」

サシャ「あっ!!ごはん!!ごはんですね!!ごはん食べます!!!」

サシャ「ああああこれ!魚取ってきたんですよ!!」

サシャ「兵長にも一匹差し上げますが残りは私のです!!!」

リヴァイ「別に一匹もありゃ十分だ」


サシャ「あああっ!このサンドイッチおいしい!!!ポテトサラダとサンドイッチって炭水化物のオンアンドオンで贅沢ですおいしいいいいい!!」

リヴァイ「水も飲め」

サシャ「ふぁりふぁとふございまふ!!!」ごくごく

リヴァイ(飯食っててもやかましいやつがハンジ以外にもいるという事実に動じなくなったな……)


サシャ「ぷはー!!! 水おいしいい!! 魚もおいしいです!! やっぱりニジマスの塩焼き最高ですね!!!」

サシャ「ふー、おなかいっぱい」

サシャ「あのですね! 兵長! 私! 農場やりたいです!!!」

リヴァイ「は?」

リヴァイ(え、なにこいつ突然言い出すの……? え?)

サシャ「お肉を定期的にいっぱい食べたいです!」

リヴァイ「レストラン勤務じゃだめなのか」

サシャ「自分の気に入ったお肉をたくさん育てて、納得のいくサシャ印肉を作りたいんです!!」

リヴァイ「はぁ」


サシャ「害獣駆除をやってみて思ったんですけど、壁外の、それも川沿いの地域はまだまだ手つかずな土地が多いです」

サシャ「でも川沿いだから船を出せばそれなりに便はいいし、南の地域は気候も穏やかで農地用に開墾するには時間かかりますが、放牧地に向いてます」

サシャ「というわけで!」

リヴァイ「待てっ!」

サシャ「はいッ!?」ビクッ

リヴァイ「先走るのはしかたねぇ。が、一度冷静になれ」

リヴァイ「農場やるのはいいが、まず畜産用の動物はどう仕入れてくる? 畜産のノウハウは? その後育てたとして肉にした後の流通は? 品質の管理は?」

サシャ「うっ……」


リヴァイ「別にやろうとしてることを否定するわけじゃねぇ。なんせお前は自由に生きる権利を自分の手で勝ち取ったんだ。いいとおもう。やってみろ」

リヴァイ「だがその前に前準備ってのも必要だろう」

サシャ「う、うう」

リヴァイ「お前の知り合いの中で誰が一番冷静に物事を見ることができる? まずはそいつに相談してみろ」

サシャ「兵長のほかには……。

あ、アルミンです! アルミンが多分一番冷静です!」

リヴァイ「じゃあアルミンに一言相談してみろ。あいつならきっといいアドバイスをくれるんじゃねぇか?」

サシャ「はい!」


リヴァイ「……ということがあった」

ハンジ「へぇ、サシャが農場を。へぇへぇ!」

ハンジ「着眼点はすごくいいと思うよ!私も」

ハンジ「そしてアルミンに相談か……」

リヴァイ「どうした?」

ハンジ「いや、うーん」

リヴァイ「???」


アルミン「ハンジさんー!」どんどん

ハンジ「はーい」

ハンジ「噂をすればさっそく」

ハンジ「はいはい、アルミンだね」ガチャ

アルミン「こんばんは。あの、サシャが相談したいことがあるって」

ハンジ「うん、今リヴァイから聞いたよ。それでどうする?」

アルミン「そうですね。ハンジさんと、リヴァイ兵長にも僕たちの家に来ていただいて、サシャの話を一緒に聞いてもらいたいんですけど」

ハンジ「いいよ。エルヴィンには連絡とってある?」

アルミン「はい、とってあります。ハンジさんが同席するなら、話を進めておいてほしいって。

エルヴィン団長は別途リーブス商会と話し合いをしているらしいです」

ハンジ「なるほど、わかったよ」


ハンジ「話は聞いてたよね?」

リヴァイ「ああ」

ハンジ「それじゃぁ行こうか」

リヴァイ「十分ほど待て」

ハンジ「十分?」

リヴァイ「手土産の用意をする。作り置きのアップルパイみたいなものがあったはずだ」

アルミン「あ、あの、兵長。お気になさらず……。ミカサも何か用意してると思うので」

リヴァイ「ミカサなら塩気あるものを用意するだろう。ならこちらは甘いものだ」

アルミン「……ミカサの性格、よく把握してますね」

リヴァイ「差し入れする度にレシピを聞かれるからな」

ハンジ「仲良くなったね、あなたたち」にこにこ


サシャ「ええと!お集まりいただきありがとうございます!!

あの、こんな盛大になるなんて思いもしなかったんですけど!」

アルミン「いいよいいよサシャ、思うとおりに喋って」

サシャ「あああ、アルミン優しいですね!!はい!わかりました。

でもその前にミートパイ食べていいですか!」

ミカサ「……自信作」

サシャ「ありがとうございますミカサ!!おいしいいい!!」

エレン「お前、このパイちょっと肉が詰まりすぎじゃねぇか?」

ミカサ「ウサギ肉がまだ余ってたからおもいきり詰めてみた……」

ミカサ「マクレガーパイを再現」


ハンジ「ミカサの料理はたくましくて元気がでるなぁ」

サシャ「おいしいおいしい」

ミカサ「パイ生地は兵士長に教えてもらった」

ミカサ「とてもとても力のいる作業だった……」

エレン「お前、あの時机破壊しかけてたのはパイ生地のせいかよ!」

ミカサ「うん」


ハンジ「あなた作るパイ生地おいしいよね」

リヴァイ「力を小麦に対して思う存分振るってるからな」

リヴァイ「パイ生地は練りすぎはよくないが」

サシャ「こっちのアップルパイもおいひいいいい!!!」

サシャ「はぁ、幸せ……」あへ顔ダブルピース


サシャ「ふぅ、おなかもいっぱいになったところで!いいでしょうか!」

サシャ「アルミン、私は農場をやりたいです」

アルミン「うん、その話は兵長とハンジさんから聞いてる」

サシャ「それでですね、私にはノウハウとかさっぱりありません!あるのはお肉に対する意欲のみです!あと体は頑丈です。こんな私でもこれから畜産を学びたいんですがどうでしょうか!」

アルミン「いいと思うよ。

そう、それでね、僕もサシャに頼みたいことがある」

サシャ「なんでしょう?」


アルミン「あのね、僕は今起業しているでしょう?アルレルト・エクスプレスっていう配送業者」

アルミン「アルレルト・エクスプレスの代表取締役はエルヴィン団長なんだけど」

サシャ「ええ」

アルミン「とりあえず先行部隊の経営が上手くいったら事業拡大する。安定して給与が払えるようになったら、元調査兵団の人員の希望者を雇うっていう目的をもって今までやってきたわけだ」

アルミン「それまではみんな、自力で職を探してもらっていたわけだよ」

サシャ「みんなそれぞれ職探ししてましたねー」

ミカサ「ニートになりかけた人もいた」

リヴァイ(ぎくり)


アルミン「うん。でね、あちらの配送業がうまく軌道にのりそうだから、元調査兵団の人に声をかけていてね」

アルミン「ついでに、業種で部門を分けてグループ会社にしようってことで」

アルミン「僕らの会社は今まで通り、引き下げた軍馬を機動力にした配送業を。ハンジさんはグループ会社の代表取締役になってもらう。ハンジさんのグループ会社の方は倉庫と交通網整備で生活インフラの事業を担ってもらうことになるんだ」

アルミン「ハンジさんの会社の内容をかいつまんで話すとね。現在僕たちの生活の足は、主にはしけ船と馬車だろう?」

アルミン「ただし定期便で出しているはしけ船は、レールの整備されている主要な水路しか通れない」

アルミン「レールの整備されていない地域をどうやって開拓していくかが課題だったんだけど、馬にひかせるタイプのはしけ船ならば水の流れをそこまで意識しなくてもいい。その代り馬や牛を温存しておくコストはかかるけど」


アルミン「リーブス商会も提携先企業になっているんだ。交通網と倉庫と配送を使って、ここの区だけじゃなく違う地区へも事業展開をしたいみたいでね」

アルミン「あちらも独自の流通経路の確保ができるというのなら、ということで協定を結んだんだ」

アルミン「衣料品、嗜好品、酒類が得意らしいんだけど、地域密着型だからなかなかほかの地区への出店が難しかったそうだ」

アルミン「大通りはもう大手スーパーが出店しているから、そこの競争には勝てない」

アルミン「ただそこが使っている配送業者は王政が主力のものだよ」

アルミン「さすが王政主力の配送業者は資金力が違うけど、まだまだ配送が行き届かない地域や、街中でもインフラが整わない地域もあるよ」

アルミン「狙うのはそこだね」


アルミン「というのが大まかな内容」

サシャ「えーっと」

サシャ「で、私のやりたいことと何がつながるんでしょうか?」

アルミン「うん。それでね、リーブス商会が不得手な部門。生鮮食品」

アルミン「それを自社ブランドとして早いうちに打ち出していきたいから、契約農場を作ったりとりあえず自社農場を打ち立てようってことで」

アルミン「で、自社農場の方でサシャもそこで働いてみない?自分の農場を持つのにノウハウが役に立つと思う……」

サシャ「やります!!!!!!」


サシャ「そんな素敵な話が!!!」

サシャ「アルミンに相談してよかったです!!!!!」

サシャ「いつからですか!?明日から!?」

アルミン「いやいや、そんな近々ではないけど……」

アルミン「今、この件についてエルヴィン団長……えーと、もう団長じゃないや。代表取締役が交渉をしている」

アルミン「今日中には結果がわかると思うよ」

アルミン「そしたら相談しようか」

サシャ「はい!!!」


???「おーい、アルミン」

アルミン「ああ、噂をすれば」

アルミン「ちょっとまってて……」

ミカサ「アルミン、私が出る」


ミカサ「どうぞ」ガチャ

ジャン「あ、お、ミカサ……!?あああそりゃアルミンはミカサ達と一緒に住んでるんだもんな」

アルミン「ジャン、団長からの伝言?」

ジャン「ああそうだ。交渉成立だそうだ」

ジャン「って、ここで言って良いんだっけ」

サシャ「わああああああ!!!ジャン!ありがとうございます!!!馬!」

ジャン「おいちょっと抱き着くな芋女!!」

ジャン「あと馬っていうな!」


ハンジ「……やぁ、賑やかだったね。家についたけど日が変わっちゃったよ。楽しかったけど」

リヴァイ「そうだな」


ハンジ「あーあ、あの後コニーもヒストリアも来て大変なことになったね」

ハンジ「なんでエルヴィンは三重に伝言持たせたんだろう」

リヴァイ「潜んでる時代の癖がでたんじゃねぇか」

リヴァイ「伝言は何通りかのルートたどって出せっていう」

ハンジ「難儀な癖がぬけないねぇ」


ハンジ「しかし差し入れを大量に持って行って正解だったわけだね」

リヴァイ「そうだろう」

リヴァイ「ミカサの無限のパイ錬成には恐れ入ったが」

リヴァイ「夕飯はもういらないね」


ハンジ「えーとね、それでね、リヴァイ」

ハンジ「まだあの話には、続きがあるんだ」

リヴァイ「俺もアルミンが話したところまでは知っている」

ハンジ「うん」

リヴァイ「何かほかに報告があるんだろう?」

ハンジ「……うん」


ハンジ「えっと、リヴァイにはその、リーブス商会がこれから先に出店するお店の一つを持ってほしいなって」

リヴァイ「あ?」

ハンジ「うん。提携店としての第一号店。生鮮食品専門の大型商品店の店長」


ハンジ「生鮮食品は鮮度が命だよ、味もいいと噂の店ならいい宣伝になる」

ハンジ「その店が使っている配送業者は、アルレルト・エクスプレス」

ハンジ「巨人討伐で培った機動力を、次は配送に生かす!って体でさ」

ハンジ「兵站……じゃないけど、運送の要は、必要なところに、必要なものを、必要なだけ」

ハンジ「……というのを宣伝したいけれど、サービスっていうのは使ってみていいから、じゃダメだよ。使う前からいいなと思わせないと」


ハンジ「こんなところであなたの肩書を借りるのは、とても申し訳ないなとおもう」

ハンジ「あなたもあまり好んで使われたくはないものだろう」

ハンジ「しかし、あえてあなたの名前を貸してほしい」

ハンジ「私は、新しい概念を作りたいんだ」

ハンジ「巨人を倒して自由を手に入れる、という共通意識が無くなった今、次に人類に必要なのは日々を過ごすための毎日の小さな希望だろう」

ハンジ「王政に関わる以外の人間が、インフラを整えて作るなんて、今までの世界じゃ考えられもしないし実現もしなかったことだよ」

ハンジ「今度は目に見えない壁を超え、自分の力で考えて、新しい事をしてもいいんだ!」


ハンジ「……というのが私の主張なんだけど。どうだろうか」

ハンジ「あなたの意見ももちろん尊重したい。受け入れてもらえなければ、またほかの案を考える」

リヴァイ「……」

ハンジ「だめかな?」

リヴァイ「……期間はどれくらいだ」

ハンジ「え?」

リヴァイ「俺の肩書を使う期間だ。そのインフラを整えるだの事業を軌道に乗せるとか、準備期間を含めて、どれくらいの時間を考えてる」

ハンジ「え?ええと……うーん。とりあえず五年くらいかな。新規事業は大体一年、三年、五年が節目っていうし」

リヴァイ「そんなものか。わかった。いいだろう」

リヴァイ「代わりに、お前の人生の二年ほど前借させろ」

リヴァイ「そうすれば残りの俺の人生、五年と言わずお前が自由に使っていい」

ハンジ「え!?いいのそんなあっさり」


リヴァイ「条件はある」

リヴァイ「ハンジ」

ハンジ「うん?」

リヴァイ「俺はまだ、お前に雇われている状態だったな?」

ハンジ「あ……ああ、そうだね。うん。でも突然なに?」

リヴァイ「じゃあ今日で契約を破棄したい」

リヴァイ「でだ。これは俺から提示する契約書だ。読め」


ハンジ「……これは」

リヴァイ「契約書だ」

ハンジ「俺と契約をして、一生を俺と共に添い遂げろ」


ハンジ「……あは、あはははは!!」

ハンジ「そう、こうくるのリヴァイ!! あははは! いいね!」

ハンジ「うん、これは、そう、私へのプロポーズの言葉として最高だよ、リヴァイ」

ハンジ「いいよ、契約しよう!」

リヴァイ「契約成立だ」


ハンジ「……よし、名前を書いた」

リヴァイ「ん」

ハンジ「戦いの象徴だったあなたが、今度は平和な世界を謳歌している象徴になる」

ハンジ「それはとてもとても、嬉しい事だよ」

ハンジ「これからもよろしくね」

ハンジ「で、あなたはゾエの姓でいいの?」

リヴァイ「かまわねぇ」

リヴァイ「その言葉には、生命という意味があるそうだ」

ハンジ「ああ、うんそうだね?」


リヴァイ「新しい名前になったやつが、新しい生命を作るのというのもなかなか気が利いてるだろう」

ハンジ「ふえっ」

ハンジ「ところで、何で私の二年前を今から借りなの?」

リヴァイ「今から一年でガキを作る」

ハンジ「ふぁっ!?」

リヴァイ「残り一年は家族水入らずでゆっくり育てる」

ハンジ「任せておけ」


これにて終わりです
足かけ半年近く、途中で投稿できなくなったりとお休みもはさみましたがお付き合いくださった方々
本当にありがとうございました!
保守や感想くださってやる気にもつながりましたです
最後のセリフは話書きはじめの頃に考えていたものなので、ちゃんとつかえてよかったです
多分この後もゆるーいかんじでみんな幸せに暮らしていくんだろうなーという

今回に限らずここらの絵が見たいーとかあったらかきますです
リクエストあったらよろしゅうです

次の話はちょいと暗めなやつ書いております
またどこかでお見かけしたらお願いします

ああー最後の最後でやっちまった
任せておけ、っていってるのはリヴァイです
が、まぁハンジでもおかしくはないのでもうこのままで
ああーっ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年03月29日 (土) 23:08:35   ID: Lm5C-rjc

面白い

2 :  SS好きの774さん   2014年03月30日 (日) 01:03:52   ID: -Vqcwrur

スレ消えた…何故…

3 :  なぎ   2014年08月17日 (日) 01:51:24   ID: oxLmr6vt

これすき(*≧∀≦*)

4 :  SS好きの774さん   2014年08月29日 (金) 02:19:01   ID: zAlR20D6

リアルタイムで読めたしあわせ(*´∀`*)

5 :  SS好きの774さん   2014年08月29日 (金) 03:18:19   ID: FBoWmrVX

超面白かった…本当に…

6 :  SS好きの774さん   2019年05月01日 (水) 00:12:38   ID: WrD_CzEN

10回くらい読んだ気がする…
これは超良作






ありがとう平成
こんにちは令和

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