とある暗部の三馬鹿(デルタフォース) (89)

とある魔術の禁書目録のssです
スレタイから分かるように上条、土御門、青髪の3人が暗部というif設定です

オリキャラは出しませんが、オリ設定があります

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1393774703

【主な登場人物】

上条当麻

ツンツン頭のとある高校3年
無能力者だが、幻想殺しを持っている
統括理事の一人親船最中直属の暗部組織〈デルタフォース〉のメンバー
原作通り不幸体質
成績はそこそこだが、戦闘中の頭のキレはピカイチ
一級フラグ建築士でもある

土御門元春

金髪グラサンアロハシャツのとある高校3年
天才陰陽師にして風水術のスペシャリスト
能力開発を受けていないので魔術は使える
上条、青髪と同じくデルタフォースのメンバー
原作通り義妹を溺愛している
多重スパイであるが、上条、青髪、親船には大きな信頼を寄せている


青髪ピアス

氏名不詳の青髪ピアスなとある高校3年
能力はレベル5の肉体変化。序列は6位
上条、土御門と同じくデルタフォースのメンバー
原作通り変態であるが、仲間のために体を張って戦う


デルタフォース

学園都市暗部のひとつ
親船最中直属の暗部であるが、アレイスターから直接仕事を受けるときもある
結成のきっかけは親船最中が以前から目を付けていた3人を集めたこと。それまでは3人それぞれがそれぞれの方法で平和のために行動していたが、すぐに意気投合。暗部として汚れ仕事をこなしつつ、表の住人のために活動中
普段はとある高校に通っている
たまに土御門の策略によって魔術に関わることもある


こんな設定で書いていきます


更新は不規則です

ここは学園都市。270万人もの学生が住む外よりも科学技術が発達した都市である。

【とある研究所】

光を失った廊下を一人の男が何かから逃げるように走っていく。

「はぁ、はぁ、何なんだアイツら!さっき見た限りだと、他のヤツらは殺されてた。まさか、俺しか生きてないとか冗談だよな!?」

男はこの研究所で置き去りを使って実験をしていた科学者の一人だった。いつものように他の科学者達と実験をしていたところ、突然停電になった。そこで男がたまたま研究所のブレーカーを見に行き、ブレーカーを元に戻し来た道を引き返したところ、さっきいた部屋にいた科学者達は全員血の海に沈んでいたのだ。それを見た男はすぐに非常口へと逃げ出した訳だが、

「あれ?まだ残っていたのか?なんつーか、お前不幸だよな…」ダンダンッ

「!?」

背後から声がしたと思い、振り返ろうとしたところ膝裏に鋭い痛みを感じ男はうつ伏せに倒れた。

「な、何が…?」

男はうつ伏せのまま首を後ろに向けるとツンツン頭の少年が立っていた。その少年の左手には銃が握られていた。
男は咄嗟に、

「た、助けてくれ。何でもするから!まだ死にたくない!!」

と叫ぶが、少年はコツコツと近付きながら

「ハッ、何をテメェは言ってんだ!実験で何の罪も無い子ども達の命を奪ってきたくせに!テメェの命は助けてくれだと?ふざけんな!!」

と言いながら銃口を男に向ける。

「ま、待ってく…」ダンダンッ

男が何か言おうとした途中で少年は引き金を引いた。

「………」

少年は黙って数秒前まで喚いていた肉塊を見下ろす。そして、懐に銃をしまい、携帯を取り出し土御門と表示された画面を見てコールを掛けた。

「もっしもーし、カーミやーん!!終わったかにゃー?」

と、いきなりテンションがやけに高い声が聞こえてきた。

「はぁーっ、相変わらずハイテンションだな、土御門。そんなに舞夏に弁当作ってもらって嬉しいのかよ」

カミやんと呼ばれた少年―上条当麻―はそういえば、今日の昼時に自慢してたなーとぼんやりと思い出しながら声を掛けた。

「カミやん!義妹に勝るものなんて無いんだにゃー!!そしてそれに加えたメイド服!舞夏は最強ぜよーー!!」

「なっ!?何を言っているんでせうか?寮の管理人のお姉さんが最強に決まってるだろうがっ!!!ほ、ほら、例えば神裂みたいな?」

上条は以前土御門を通して知り合った神裂を例に挙げた。

「カミやーん、カミやんは舞夏の素晴らしさをもっと知るべきぜよ。そしてちなみに、ねーちんはなんと18歳!!俺達同い年!!」

「なっ!?何だってーーー!?あ、あの母性の塊が18歳だとっっ?衝撃の事実に上条さんは声が出ねェっ!」

「まーまー、カミやん落ち着けっ!そんなことよりも迎えの車に乗って早く帰ってくるこい。青ピの仕事も終わったみたいだしな」

と、ふざけた漫才のようなやりとりをしていた二人だが、今は仕事中だ。土御門はトーンを変え、指示を出す。

「りょーかい」

と、上条は短く答え待たせている車へと向かった。残ったのは、誰もいない研究所だけだった。


「ただいまー」ガチャ

ここはとある高校男子寮上条の自室。

「おつかれだにゃー」

「カミやん遅すぎやー!ボクより遅いなんて珍しいなー」

上条の帰宅の挨拶に答える二人。デルタフォースのメンバー、土御門元春と青髪ピアスである。

「いやー、上条さんはもっと早く終わるはずだったんですよっ!だけど一人のバカヤローを追いかけてたらこんな時間かかっちまったんだよ…」

「ま、そんなのはどうでもいいぜよ。とりあえず親船に連絡するにゃー!」

ここは上条の自室であるが、デルタフォースのアジトのひとつでもある。もちろん、土御門の部屋も青髪の下宿しているパン屋もアジトだ。アジトと言っても見た目はただの学生寮の部屋と変わらない。しかし、ところどころに暗部で必要になるモノがカモフラージュされて置かれている。

「そうだな。あ、お前らメシ食ってく?」

上条は親船に電話を掛けようとしながら、寛いでいる二人に声を掛けた。

「食ってくにゃー!」

「もちろんやん!ボクらデルタフォースいつも一緒や!」

二人からいつものような返答を聞いた上条はそれに頷き、親船へ繋がるボタンを押した。

「はい、親船です。仕事は無事に終わりましたか?上条くん?」

「ああ、片付けは終わったよ。それで、今日潰した研究所に送られるはずだった置き去り達はどうなったんでせうか?」

「お疲れ様、いつもありがとうね。置き去りの子ども達は保護しました。安全な研究所で暮らせるように手配したわ。また貴方達に助けられたわね。」

「そっか、なら良かった。それといつも言うけど、感謝されるために俺達は闇に漬かったわけじゃねぇ。俺達は助けたいって思ったから闇と戦ってんだ。しかもこんな俺達をサポートし、更に学校に通っていられるのは親船さんのおかげだ!こっちが感謝するべきだよ」

「うふふ…流石上条くんね。それではまたよろしくね」

と言って、親船は通話を切った。

上条と麦野の出会いは上条の不幸が始まりだった。
今から11年前、上条が学園都市にやって来た時である。
持ち前の不幸体質が影響し、上条は手違いで置き去りとして扱われた。もちろん、すぐに上条刀夜、詩菜夫妻が努力して当麻を探し、大事には至らなかったが。
だが、上条はその3日程の間に預けられていた施設で正真正銘の置き去りだった麦野とかなり親しくなっていた。
その施設は珍しく置き去りで非道な実験を行わず、只、親を失うという辛い体験をした子供の精神状態を計測することのみを行っていた。

麦野は置き去りになってまだ1週間程しか経っていなかったが、幼いながらもその頃には同年代の子供達より頭脳が発達していたため、自分が親から捨てられたという事実を理解していた。
しかし、他の子供より頭脳が良くてもたった7年しか生きていない。幼い麦野の心が傷付き、他人に心を閉ざすのは無理もなかった。

そんな時に出会ったのが上条だった。
上条はその施設にいた3日間、他の置き 去り達とは違った雰囲気を放つ麦野の側を片時も離れず、根気よく話しかけ続けた。
そんな上条に心を許した麦野は徐々に会話するようになっていった。

その後、上条は両親に連れられて施設を去っていったが、その施設と上条が通う小学校が近かったため、上条と麦野の交流は幼馴染みとして続いていた。

そして、上条の右手に『幻想殺し』が宿っていると2人が気付いた時(正確には麦野が『原子崩し』の扱いにまだ慣れておら ず、誤って上条に向かって射って、上条 が無意識に右手で体を庇い『原子崩し』を打ち消した時)から秘密の特訓として、麦野が上条に向かって 『原子崩し』を射つということを繰り返していた。

それはかなり危険であったが、常に命を賭けていた上条の身体能力や反射神経を同年代の少年少女を凌駕する程まで成長させた。
また、麦野も『原子崩し』の威力、コントロール、応用力などに関わらず、身体能力 も成長させていた。

そのような中、2人の関係を終わらせる出来事が起きた。

その日は上条と麦野が中学生になっ て、初めての身体検査(システムスキャン)で麦野がレベル4の『原子崩し』に認定された翌日だった。
2人は施設の近くにあった寂れた公園に来ていた。

「当麻ー! 私、これからも頑張ればレベル5になれるかも!」

「沈利ならなれるさ、才能あるんだし。ま、上条さんは相変わらずレベル0だけどな」

ハハッと言って上条は短く笑った。

「なーに言ってるのかにゃーん? 当麻には『幻想殺し』があるじゃない」

「日常では全く役に立たないっつーの!
っていうかさ、中学生になったくせにまだにゃーんとか言ってるのか?」

「……当麻が猫が好きって言ってたからでしょ…」

「へ? 何か言ったか?」

「なーにも言ってませーん!」

この時には既に麦野は上条に対し、恋心を抱いていたが、鈍感な上条はそのことに全く気付いていなかった。

それは突然だった。
キキーーッという音と同時に公園の2つの出入り口に黒いワンボックスカーがそれぞれ停まり、中から黒いスーツを着た男達が数人降りてきたのだ。
先頭に立った男が言った。

「麦野沈利。レベル4の『原子崩し』で間違いないな」

「…誰だテメェは!?」

咄嗟に上条は麦野と男の間に割って入り問うた。

「君には用は無いのだが。邪魔するのであれば例え子供だろうと容赦しないがそれでもいいか」

「…私に何の用な訳? こんなに人相悪い中年集めて何がしたいのさ」

「我々は学園都市上層部に従っているだけに過ぎない。詳しいことは後で聞いてくれ」

「学園都市上層部だと!? 沈利、そんないかにも怪しそうな所行く必要なんかねえぞ!」

「わかってるわよ、そんなこと! 私の『原子崩し』で黒焦げにしてやるわ!」

「流石に能力を使われると面倒だ。おい、あれを使え!」

すると、男の後ろにいた別の男がポケットからリモコンを取り出すとボタンを押した。

その直後、

「アッ、アアァァァァーーーーッ!」

突然、麦野が頭を抱え悲鳴を挙げた。

「し、沈利!? 大丈夫かっ!? おい、テメェら沈利に何をした!?」

「AIMジャマーだよ。あの機械を使って能力者に能力を使わせないようにしているだけだ。凡人には全く効果が無いがね」

上条は男が指差す方へ目を向けると男達が乗ってきた車から歪な形をした機械が見えた。
上条は動こうとしたが、いつの間にか背後に迫っていた別の男に取り押さえられた。いくら同年代の少年少女より身体能力が高くても、中学生が鍛えられた大人に抵抗出来るはずがなかった。
その上条の目の前で別の男が麦野に近づき、顔に向かってスプレーをかけた。
すると、麦野は力なく倒れ伏した。

「沈利ーッ!!」

「安心しろ。眠らせただけだ。それと君に言っておくが、君は二度と麦野沈利に会うことは無い」

上条が最後に覚えていたのは、男の言葉と麦野が車に入れられていく光景だけだった。
上条も麦野同様、スプレーをかけられたからである。
上条が目を覚ました時、公園には何も残されていなかった。上条は急いで麦野がいた施設へ向かったが、もぬけの殻だった。

今回はここまでです
上条と麦野の過去編Part1でした
次回は上条と麦野のPart2をやります

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