アスカ「……僕はアスカのことが大好き……」(211)

シンジの部屋

シンジ「すぅ……すぅ……」

アスカ「……バカシンジ?」

シンジ「すぅ……すぅ……」

アスカ「ふんっ。相変わらずバカな顔で寝ちゃって」

アスカ「……僕はアスカのことが大好き……僕はアスカのことが大好き……」ボソボソ

シンジ「うぅ……」

アスカ「……僕はアスカのことが大好き……僕はアスカのことが大好き……」ボソボソ

シンジ「うぅぅ……ぼ、僕は……アスカのことが……だ、い好き……」

アスカ「ふん……今日はこれぐらいにしといてあげるわ」

                 |     |    |    |
                   |ー |   l ー-  l
           /⌒ヽ   |    |   l     l
           l   l    |    |  |  0   |
            |   l   | ー-  |  l⌒) - l
             |  -‐|    |    |   | 丿   |    /⌒ヽ
           |   |    |    |  |ノ     l   |    ヽ
             l    _!   |    !__,! ‐  一 |   l     ヽ、
         /⌒ヽ l ‐ \  |, ノ⌒) ()     l    〉-‐  l
         l〉   )ヽ、   ヽノ (ノO (ノ  (つ ヽ、 | ノ)  |
        /  人 ヽ、        (⌒)      ヽノ (ノ  |
          l     ヽ、\,        )丿 / ノ/ o     l
        ヽ  ノ \,/     /  (ノ       () ヽ  l
         \    /        /     (⌒ヽ    |
          ヽ、       /  /   l      しノ      |
           ヽ、  /   /     |           l
            ヽ、          l          /

             ヽ、            |          /
              ヽ          l        /

別の日 シンジの部屋

シンジ「すぅ……すぅ……」

アスカ「……」

シンジ「うぅん……」

アスカ「ふん。相変わらず油断しきった間抜け面なんだから」

シンジ「すぅ……すぅ……」

アスカ「……よし」

アスカ「……アスカ、愛してる……アスカ、愛してる……」ボソボソ

シンジ「うぅ……ぅ……」

アスカ「……アスカ、愛してる……アスカ、愛してる……」ボソボソ

シンジ「あ……ぅ……アス、カ……あい、してる……ぅ……」

アスカ「……ふん、私は別に好きじゃないけどねっ」

別の日 ネルフ本部

ミサト「シンジくん、ちょっちいいかしら?」

シンジ「あ、はい。なんですか?」

ミサト「シンジくんも自覚があるだろうけど、最近のシンクロテストの結果があまり芳しくないのよ」

シンジ「……」

ミサト「リツコも気にしてたわ。ここ二週間ぐらいでシンクロ率の低下が著しいって」

シンジ「はい……すいません……」

ミサト「何か精神的に参ってることとか、ストレスになってることがあるなら正直に言いなさい。隠したってシンジくんを含めてみんなが困るだけだし」

シンジ「そ、そうですね……すいません……」

ミサト「学校でなにかあった?それとも……私生活で?あたしの酒癖が悪いから、とかじゃなきゃいいんだけど……」

シンジ「実は……最近、怖い夢を頻繁に見るようになったんです……」

ミサト「怖い夢ってどんな?」

シンジ「ずっと、アスカに追いかけられる夢です……。アスカが僕をずっと追いかけてくるんです……。それが怖くて……。よく夜中に目を覚ましてしまって……」

会議室

リツコ「そう。アスカに追われる夢を……」

ミサト「それがシンジくんに悪影響を及ぼしている原因のひとつと考えてもいいと思うわ」

リツコ「そうね……」

マヤ「しかし、どうしてそんな夢を見るようになってしまったんでしょうか?」

リツコ「考えられるとするなら、アスカからの負荷があるってことでしょうね」

ミサト「どういうこと?」

リツコ「ほら、アスカは何かと言葉が強いから」

マヤ「ああ。シンジくんがアスカのそういう言葉を受けて、プレッシャーを感じてしまっていると?」

リツコ「後ろから追いかけられるっていうのは、そういうことじゃないかしら?」

ミサト「なるほどね……」

リツコ「ミサトからアスカに注意しておいたほういいわね」

ミサト「そうね。アスカには余計なプレッシャーを与えないように言っておかなきゃね」

ミサト「アスカー」

アスカ「なによ?」

ミサト「最近、シンジくんに何か言った?」

アスカ「は、はぁ?な、なによ、いきなり……」

ミサト「いやぁ、ほら、シンジくん、すこーし調子悪いじゃない?」

アスカ「あ、ああ、そうね。ま、それがバカシンジの実力ってことでしょ?」

ミサト「アスカ。何かとシンジくんにプレッシャーかけてない?」

アスカ「べっつに。当然の注文をつけてるだけよ。さっさと援護しろとか、動きがおそいーとか」

ミサト「それはこっちの仕事。アスカは余計なこと言わないで」

アスカ「なんでよ。こっちだって、あのバカに背中預けてるんだからいいでしょ」

ミサト「それがシンジくんに悪い影響を与えてるの。いいから、そういうことはあたしに任せて。ね?」

アスカ「ふんっ。はいはい。シンジのお守りをしないでいいなら楽だし、いいけど」

ミサト「ありがと。じゃ、そういうことでよろしくね」

夜 シンジの部屋

シンジ(ミサトさん……なんとかするって言ってたけど……大丈夫かな……)

シンジ(……ミサトさんなら……だい……じょうぶ……だよね――)


シンジ「……」

「シンジ……?シンジ……?」

シンジ「……!!!」

「寝てるの……?」

シンジ「ア、アスカ?なんなの……?」

「シンジ……シンジ……」

シンジ「やめてよ!!!いい加減にしてよ!!!僕に言いたいことがあるならはっきり言えばいいじゃないか!!!!」

「シンジ……シンジ……シンジ……シンジ……」

シンジ「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


シンジ「――はっ!?!?」ガバッ

シンジ「はぁ……はぁ……ゆ、ゆめ、か……はぁ……はぁ……」

リビング

シンジ「はぁ……はぁ……水……」

シンジ「……」ゴクッゴクッ

ミサト「あら、シンジくん?まだ起きてたの?」

シンジ「ミ、ミサトさん……」

ミサト「ど、どうしたの!?すごい汗だけど……」

シンジ「また……悪夢をみたんです……」

ミサト「シンジくん……」

シンジ「ぼく……もうだめかもしれません……」ウルウル

ミサト「な……!!」

シンジ「寝るたびにアスカの声が聞こえて……きて……それが……怖くて……こわくて……!!」

ミサト「シンジくん……あの……今日は、あたしと一緒に寝る?」

シンジ「……いいんですか?」

ミサト「シンジくんさえ良ければ、いいわよ。ほら、来なさい」

佐天「完結しててもつまんない奴も多いんだね……」

初春「本文がよくても、後書きや合いの手で興醒めするのもですね」

初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」

初春「百番煎じのSSは、書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねえ」

初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」

初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」

佐天「初春?」

ミサトの部屋

ペンペン「クェー?」

ミサト「ごめんね、ペンペン。今日はシンジくんがあたしの隣だから」

シンジ「ごめん、ペンペン」

ペンペン「クェ」トコトコ

ミサト「シンジくん。ほら、いらっしゃい」

シンジ「お、お邪魔します……」モゾモゾ

ミサト「どう?眠れそう?」

シンジ「ミサトさん……あったかい……」

ミサト「……おやすみなさい」

シンジ「ミ、サト……さん……すぅ……すぅ……」

ミサト(こりゃ、かなり参ってるわね……。どうにかしてあげないと……。とはいえ、今はこうすることしかできないし)

ミサト「シンジくん、よしよし」ナデナデ

シンジ「うぅん……ミサトさぁん……」

翌朝 リビング

アスカ「ふわぁぁ……」

ミサト「おはよう、アスカ」

アスカ「おはよう」

ミサト(アスカにはきちんと注意したし。これ以上は何も言っても逆効果よね)

シンジ「……あ、ミサトさん」

ミサト「シンジくん、おはよう」

シンジ「僕が一番遅いなんて……すいません……」

ミサト「いいのよ。ぐっすり眠れた?」

シンジ「は、はい!数日振りに良く眠れました」

アスカ「ちょっと。なんでミサトの部屋からバカシンジが起きてくるわけ?」

ミサト「昨晩、色々あって一緒の部屋で寝たのよ」

アスカ「は、はぁ!?あんた保護者でしょ!?そんなことしていいわけぇ!?」

ミサト「ほ、保護者だからこそ、シンジくんの精神的なケアを……」

佐天「完結しててもつまんない奴も多いんだね……」

初春「本文がよくても、後書きや合いの手で興醒めするのもですね」

初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」

初春「百番煎じのSSは、書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねえ」

初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」

初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」

佐天「初春?」

シンジ「アスカ!!ミサトさんは悪くないんだ!!!全部、僕が……!!!」

アスカ「なんですって?」

シンジ「最近……その……良く眠れなくて……それでミサトさんに相談したら、その一晩だけ一緒に寝ようって」

アスカ「不潔っ」

シンジ「ご、ごめん……」

アスカ「もういいわ!こんな不潔な男が作る朝食なんていらないっ!!」

シンジ「アスカ……」

アスカ「だいたい、ぬぁにが「眠れなくて」よっ!!小学生みたいな言い訳ね!!!」

シンジ「だって……本当のことだし……」

アスカ「どうせミサトと添い寝したかっただけでしょ?いやらしい」

シンジ「ち、ちが……」

ミサト「やめなさい、アスカ。そういう言葉がシンジくんを追い詰めてるのよ。シンジくんの不眠症の原因も元を辿ればアスカに……」

アスカ「なによ!!!全部私が悪いっていいたいわけ!?」

ミサト「まぁ、そうなんだけど……」

アスカ「……!!」ギリッ

シンジ「違うよ!!アスカは何も悪くない!!悪いのは……弱い僕自身だから……」

ミサト「シンジくん……」

シンジ「すぐに誰かに甘えようとする、僕が悪いんだ。だから、責めるなら僕だけにしてよ」

アスカ「ふ、ふんっ。分かってるじゃない。そーよ、あんたが全部悪いの!!」

シンジ「ご、ごめん……。あの、お詫びに朝食作るから……」

アスカ「早くしなさいよ!!お腹すいてるんだから!!」

シンジ「う、うん。すぐに用意するよ」

ミサト「はぁ……」

ミサト(これはアスカの性格、なのよね……。これを直せっていうのは難しいか)

アスカ「……」

シンジ「な、なに、アスカ?見つめられると、その……気になって……」

アスカ「なんでもないわよ!!」

シンジ「ご、ごめん……」

夜 シンジの部屋

シンジ「すぅ……すぅ……」

アスカ「……シンジ?寝てるの?」

シンジ「うぅん……」

アスカ「よし……」

アスカ「……アスカのこと嫌いじゃないよ……アスカのこと嫌いじゃないよ……」ボソボソ

シンジ「うっ……!」ピクッ

アスカ「……アスカのこと嫌いじゃないよ……アスカのこと嫌いじゃないよ……」ボソボソ

シンジ「あぅ……ぁ……アスカ、の……こと……きらい、じゃないよ……」

アスカ「むしろ……大好きだよ……」ボソボソ

シンジ「む、しろ……だいすき、だよ……」

アスカ「よかった……。それじゃ、おやすみ」

シンジ「あぁ……あぁ……ぁ……!!」

シンジ「うわぁぁぁぁ!!!!!」ガバッ!!!!

シンジ「ま、まただ……どうして……いつも……同じような夢を……」

学校 教室

ヒカリ「おはよう、アスカ」

アスカ「グーテンモルゲーン、ヒカリっ」

シンジ「ふぅ……」

シンジ(結局、よく眠れなかった……。完全に寝不足だ……)

トウジ「なんや、せんせ。辛そうやなぁ」

ケンスケ「さては、訓練疲れか?」

シンジ「ああ、いや……なんでもないんだ……」

トウジ「エヴァ絡みやったら力になれんかもしれんけど、なんかあったらすぐに言ってくれ。いつでも力になったる!」

ケンスケ「力になれないかもしれないのに?」

トウジ「おらぁ!!揚げ足とるな!!!」

シンジ「あはは……ありがとう……。嬉しいよ。今は、少し眠いだけなんだ」

トウジ「なんや、ならゆっくり寝とけ寝とけ。担任がなんかいうてもフォローしたる」

シンジ「うん。ありがとう」

シンジ「すぅ……すぅ……」

トウジ「なんや、ホンマに寝てもうたな」

ケンスケ「エヴァのパイロットだし、やっぱり日頃の疲労は一般中学生とは違うんだろうね」

トウジ「保健室連れて行ったほうがええんちゃうか?」

ケンスケ「そこまでしてくれとは言ってないしなぁ……」

シンジ「うぅ……ぅ……」

アスカ「何よ、バカシンジ寝てるじゃない」

トウジ「おう!邪魔はさせへんで!!」

アスカ「はぁ?もうすぐ授業が始まるのに寝てるほうが悪いんでしょ?」

シンジ「うっ……ぁ……ぁ……」

ケンスケ「静かに。うなされてるみたいだ」

トウジ「なんやと?大丈夫か?」

アスカ「ふん。頭から足の先まで弱いんだから。大体、エヴァの訓練程度で……」

シンジ「……アスカ……大好き……だよ……」

アスカ「……!!!」

トウジ「おぉ!?」

ケンスケ「割と衝撃的な寝言が聞けた」

アスカ「ちょ、ちょっと!!!バカシンジ!!!起きろ!!!」グイッ

シンジ「あ……え……?ア、スカ……?」

アスカ「何気持ち悪いこと口走ってるのよ!!!アンタ、バカぁ!?」

シンジ「え?え?」

トウジ「まぁまぁ。夫婦喧嘩なら家でゆっくりと」

アスカ「そんなんじゃないわよ!!!」

ケンスケ「一つ屋根の下で暮らしていて、そういう関係にならないほうが不自然だしね」

トウジ「あれやな。シンジの疲れっちゅうのも、嫁への気遣いとかで……」

アスカ「黙れ!!」

シンジ「……なにがあったの?」

アスカ「ちょっと……バカシンジ……寝言は寝てるときだけにしなさいよ……」

シンジ「……?」

ネルフ本部 休憩所

レイ「……」スタスタ

シンジ「……」ウトウト

レイ(碇くん……)

シンジ「……すぅ……すぅ……」

レイ「碇くん、こんなところで寝てしまうと、体調を崩すわ」

シンジ「うぅん……」

レイ「……」

レイ(こんなとき、どうしたらいいの……?)オロオロ

アスカ「ああ、こんなところに居たのね」

レイ「……」

アスカ「バカシンジ、何寝てるのよ。ミサトが呼んでるわよ」

シンジ「うぅ……ぁ……アスカ……愛してる……よ……好きだ……キスしたい……」

アスカ「なっ……!!」

レイ「……」

アスカ「これはシンジの寝言よ!!!真に受けないで!!!」

レイ「……」

アスカ「早く起きろ!!!」グイッ

シンジ「……え?」

アスカ「ほんっとにバカなんだから!!」

シンジ「ご、ごめん……つい、うたた寝しちゃって……」

アスカ「そんなことはどうでもいいの!!!」

レイ「……」

アスカ「これはバカの寝言だから」

レイ「……わかったわ」

アスカ「ほら、行くわよ」

シンジ「う、うん……」

アスカ「ふんっ。……ふふっ」

シンジ「アスカ?なににやけてるの?」

レイ「……」

会議室

リツコ「あまり回復の兆しは見えないわね。むしろ悪くなっているわ」

ミサト「母性で包んでも駄目か」

リツコ「……何してるのかはあえて訊かないけど、保護者だからって何をしてもいいわけじゃないわよ?」

ミサト「中学生に手を出すわけないでしょ。もー」

マヤ「あの、アスカの件はどうなったんですか?」

ミサト「注意はしておいたけど、アスカの性格があれでしょ?どーにもすぐに改善はねぇ……」

リツコ「このままでは作戦にも支障が出るわよ?」

ミサト「でも、どうしろっていうのよ。これでもがんばってるのよ?」

マヤ「どのようなことをされたんですか?」

ミサト「同じ布団で寝てあげたの」

リツコ「ミサトっ!!!」

ミサト「添い寝しただけだって!!それでシンちゃんもぐっすり眠れたって言ってたし!!」

マヤ「なら、暫く添い寝してあげてみては……?」

ミサト「うーん。そうしたいんだけど、アスカが反対するのよねぇ……」

リツコ「パイロットの精神状態を常に正常に保つこともあなたの役目よ。どのような理由があろうともパイロットが使い物にならなくなったら……」

マヤ「それなりの処分はあるでしょうね」

ミサト「うっ……」

リツコ「そうなったら貴方の大好きなお酒が遠くにいってしまうわね」

ミサト「わかった。わかりました。アスカを説得したらいいんでしょ?」

リツコ「そういうことになるわね」

ミサト「でも、アスカも年頃だから……分かってくれるかしら……」

リツコ「分からせるのよ」

ミサト「簡単に言うわね」

マヤ「まぁ、不潔だと思われるのは仕方ないですけど」

ミサト「……」

リツコ「現状で添い寝することが最も効率的で効果的なら実行するべきよ。アスカの反対なんて問題ではないわね」

ミサト「はぁ……」

リツコ「保護者でしょ?しっかりやるのね、ミサト」

型に嵌まればミサトは良い奴だ

葛城宅

アスカ「ぬぁんですって!?もう一回言ってみなさいよ!!!ミサト!!!」

ミサト「だから、暫くはシンジくんと添い寝をするから。これは決定事項」

シンジ「ミ、ミサトさん……そんな……悪いですよ……」

ミサト「いいのよ、シンジくん。たっぷり甘えなさい」

シンジ「……は、はい……」

アスカ「は、はい……じゃないわよ!!!アンタ、ブァカぁ!?」

シンジ「で、でも、本当に最近は寝不足なんだ!!!今日だって本部の休憩所で寝ちゃってたし……」

アスカ「あんたの体調管理が悪いからでしょうが!!!」

ミサト「アスカ」

アスカ「な、なによ?」

ミサト「これは葛城ミサトが決めたことよ」

アスカ「……命令ってわけ?」

ミサト「そゆこと。反対は許さないわ」

アスカ「ふんっ!!そのまま寝てる間にエッチなことでもされたらいいのよ!!!」

ミサト「ごめんね、シンジくん。こういう方法しか思いつかなくて」

シンジ「いいんです。あのとき本当にぐっすり眠れましたから……」

ミサト「そう。まぁ、添い寝するからにはあたしもお酒は暫く控えるから」

シンジ「え……」

ミサト「酒臭い人と一緒には寝たくないでしょ?」

シンジ「ミサトさん……そこまで……」

ミサト(まぁーちょっち厳しいけど、シンジくんのためだし……)

シンジ「うっ……くっ……」ウルウル

ミサト「え?シンジくん?ど、どうしたの?」オロオロ

シンジ「違うんです……こんなに優しくされたの……初めてで……嬉しくて……すいません……」

ミサト「シンジくん……」

シンジ「あの……ミサトさん……お世話になります……」モジモジ

ミサト「遠慮はなしよ。どうする?もう寝ちゃう?」

シンジ「は、はい。お願いします」

アスカ「バッカみたい!マザコンみたいできもちわるいっ!」

ミサトの部屋

シンジ「おやすみなさい……」

ミサト「はい、おやすみなさい」

シンジ「……ミサトさん、いい匂い……」

ミサト「……」

ミサト(うーん……。反応に困るわね。ありがとうって言うべきなのかしら?)

シンジ「ミサト……さん……」

ミサト「え、えーと、これが大人の色香よ?なんちゃって」

シンジ「すぅ……すぅ……」

ミサト「シンちゃん?寝ちゃったの?」

シンジ「うぅん……」

ミサト「本当に疲れたのね。無理も無いか」

ミサト「おやすみなさい、シンジくん。ゆっくり休みなさい」ナデナデ

シンジ「ふふっ……すぅ……すぅ……」

翌朝

アスカ「ふわぁぁ……」

シンジ「おはようっ、アスカっ」

アスカ「……」

ミサト「あー、よくねたー」

シンジ「おはようございます、ミサトさんっ。もうすぐ朝食ができますからっ」

ミサト「シンジくん、よく眠れた?」

シンジ「はいっ!」

ミサト「それはよかったわ」

アスカ「ふけつー」

ミサト「添い寝しただけ」

アスカ「信じられるわけないでしょ」

ミサト「シンジくんにそんな度胸があると思うの?」

アスカ「ミサトがシンジを襲った可能性しか考えてないけど?」

ミサト「あぁ……それは……あるかも……」

アスカ「ぬぁんですってぇ!?」

ミサト「だ、だから、禁酒始めたの!!!だいじょーぶよ。流石のあたしでもシラフで手を出したりはしないって。きっと」

アスカ「ふんっ。ま、シンジもガキだし?胸も大きければ大きいほどいいんでしょうけど」

シンジ「もう、アスカ……。僕はそんなこと思ってないよ」

ミサト「思ってないの?」

シンジ「なんていうか……とても落ち着くんだ……。悪い夢も見なかったし……」

アスカ「マザコンっ!ふけつっ!」

ミサト「アスカ、やめなさい」

アスカ「事実を言っただけでしょ?」

ミサト「あのね」

シンジ「ミサトさん。いいですから。アスカの言うことも尤もですし」

ミサト「でも……」

シンジ「雑音は気にしません」

アスカ「誰が雑音よ!!!誰が!!!」

アスカ「マザコンっ!フケツっ!」
ミサト「アスカ、やめなさい」ちょいギレ

学校 教室

シンジ「おはようっ」

トウジ「おはようさん。なんや、今日はえらい元気やないか」

ケンスケ「よく眠れたって顔だ」

シンジ「うん。ミサトさんのお陰で」

トウジ「なんやとぉ!?おらぁ!!シンジぃ!!!なにしてくれたっちゅうんやぁ!?」

シンジ「そのまぁ……色々……」

トウジ「色々ぉ!?あ、あかん……!!!もう、ああいうことやこういうことしかおもいつかへん……!!!」

ケンスケ「エヴァパイロットのケアも仕事の内ってことか」

シンジ「そんな感じだと思う」

トウジ「悪いな、せんせ。ワイはせんせを殴らなあかん……」

シンジ「ど、どうしてだよ!?」

ヒカリ「よかったね、アスカ。碇くん、元気になって」

アスカ「不潔なだけよ。あんなの。私だって……」

レイ「……」

数日後 ネルフ本部

リツコ「すごいわね。たった数日で元の平均数値を上回っている」

ミサト「ふふーん。これでシンジくんは完全復活ってことでいいわよね?」

マヤ「ですね。問題が見当たりません」

リツコ「やるわね、ミサト。保護者としての貴方を見直したわ」

ミサト「まぁねぇ、これぐらいは楽勝楽勝」

マヤ「悪夢は見なくなったんですか?」

ミサト「ええ。あたしと添い寝を始めてからは一切見てないって」

リツコ「この訓練時の成績にもそれが見事に反映されているし、それは本当のようね」

ミサト「伊達に年食ってないんだから、あたしだってね、中学生の男の子を元気にするぐらいわけないのよ」

リツコ「……なら、もう少しだけ経過を見て再発の兆候がなければ、シンジくんのケアは終了でいいわね」

ミサト「もう少しってどれくらい?」

リツコ「そうね……。最低でも1週間から10日かしら」

ミサト「それまでお酒はお預けね……」

リツコ「保護者としての貴方に幻滅したわ」

葛城宅

シンジ「ミサトさん、お布団の用意できました」

ミサト「ありがと」

アスカ「……ちょっと。いつまで続けるつもりなのよ」

ミサト「シンジくんが夢をみなくなるまでよ」

アスカ「もう見てないんでしょ?なら、いいじゃない」

ミサト「一人になったら見ちゃうかもしれないでしょ?」

アスカ「そうね!!シンジは子どもだから、夢みておねしょまでしちゃうんじゃないの!!!あー!!笑えるわ!!!」

シンジ「……な、なんだよ。そこまで言うこと無いじゃないか」

アスカ「一人で眠れないって幼稚園児ぃ?」

シンジ「……」

ミサト「アスカ!!これはシンジくんのためにやってることで――」

シンジ「いいです、ミサトさん。今日からは一人で寝ます。僕はもう大丈夫ですから」

ミサト「え……そんな……無理しなくても……」

シンジ「これで文句無いだろ、アスカ」

アスカ「……ふんっ。ちゃんと一人で寝なさいよ。結局、ミサトの隣で寝るとかは本当に笑えないから」

シンジ「そんなことしないよ」

アスカ「どーだか」

ミサト「ちょっと、シンちゃん」

シンジ「今まで本当にありがとうございました。ミサトさんがいなかったら、僕はきっと駄目になっていたと思います」

ミサト「そう?」

シンジ「でも、このままミサトさんに甘え続けても、きっと駄目になると思います。だから……今日で終わりにしましょう」

ミサト「シンジくん……」

シンジ「それじゃあ、おやすみなさい」

ミサト「……うん」

シンジ(そうだ。いつまでもミサトさんに甘えていても駄目なんだ。僕が、僕自身がしっかりしなきゃ)

シンジ(少し心細いけど、一人で寝てみせます)

ミサト「なんだか、寂しい……。子離れできない親の気持ちが少しだけわかった気がする……」

ミサトの部屋

ミサト「……」

ミサト(一肌が恋しいなんて思うのは、何年ぶりかしら……)

「ミ、ミサト……さん……お、起きてますか……?」

ミサト「え?シンジくん?どうしたの?」

「入っても……いいですか……?」

ミサト「え、ええ」

シンジ「――すいません」

ミサト「シンジくん?」

シンジ「あの……また……夢を……みて……」

ミサト「あちゃー……やっぱり……」

シンジ「すいません……すいません……僕……なにがどうして……わけがわからなくて……」

ミサト「いいのよ。シンジくん。誰にだってそういうときはあるわ。よしよし。怖かったのね。こんなに震えて……」ナデナデ

シンジ「アスカが……迫ってきて……何百ものアスカが……僕を取り囲んで……もう……殺されるって……おもって……おもって……」

ミサト(あぁ……こうしてシンジくんがあたしを頼ってくれるのは嬉しいけど、このままじゃ本当にマズいわね。あたしがここに帰ってこれない日だってあるのに……)

何百ものアスカワロロ

翌日 ネルフ本部 休憩所

シンジ「すぅ……すぅ……」

ミサト「……」ナデナデ

加持「葛城」

ミサト「邪魔」

加持「つれないな。心配して声をかけたのに」

ミサト「何か用事?」

加持「シンジくんのことでな」

ミサト「シンジくん?」

加持「碇司令からの通達だ。これ以上、初号機パイロットになんらかの精神的負荷がかかるのなら――」

ミサト「ここで生活させろってこと?」

加持「仕方ないんじゃないか?葛城が傍にいないとろくに眠れもしないっていうなら」

ミサト「まぁ、確かにあたしとここで寝泊りしたほうがいいのはわかるけど……」

加持「葛城の好きにするといい。俺が司令からの通達を葛城に伝え忘れたってことも十分にありえるからな」

ミサト「もう……」

アスカ「ミサト。なにやってるのよ。シンクロテスト始まるけど、監督しなくていいわけ?」

ミサト「ああ、もうそんな時間なのね」

レイ「……碇くん」

シンジ「すぅ……すぅ……」

加持「もう少しシンジくんを寝かせてやってもいいんじゃないか?」

アスカ「そういうわけにも……。ほら、シンジ」

シンジ「うぅ……アスカ……あ、いして……る……」

ミサト「え……!?」

加持「ん……?」

レイ「……」

アスカ「ちょ、ちょっと!!バッカ!!!おきろ!!!」

シンジ「ア、アスカ……?」

アスカ「ほら、いくわよ!!!こんなところで寝言は吐かないで!!!きっもちわるいんだからぁ!!!」

シンジ「ご、ごめん……」

ミサト「えぇ……シンジくん……そんな……」

加持「シンジくんはそうか……」

ミサト「あぁ……なんか、ショック……。息子が彼女を連れて来たときの母親の心境ってこんな感じなのかしら……」

レイ「……また……」

加持「……」

ミサト「はぁ……ま、そうよね……。年頃同士が一番よね……」

ミサト「よっし!!さっ、気を取り直していくわよ!!!レイ!!!」

レイ「はい」

加持「……葛城」

ミサト「なによ?」

加持「あの二人の仲は良好なのか?」

ミサト「シンジくんとアスカ?シンジくんはアスカからのプレッシャーに悩まされて今の状態になったんだから、良好ってわけじゃないと思うけど」

加持「そうだな……」

ミサト「なに?どうかしたの?」

加持「……提案がある」

ミサト「提案?」

葛城宅

アスカ「はぁ!?なんていったのよ、ミサト!?」

ミサト「だから、今度はアスカも一緒にシンジくんと添い寝をしてみたらどうかなーって」

アスカ「なんでそうなるのよ!?」

シンジ「そ、そうですよ……ミサトさん……」

ミサト「ほら、別にあたしとシンジくんが疚しいことをしていないって証明にもなるじゃない」

アスカ「一人で眠れるようになったんでしょ、シンジ?」

シンジ「……」

アスカ「あんた……まさか……」

ミサト「まぁまぁ、アスカ。別にアスカがシンちゃんの隣で寝るってわけでもないから。私も二人でサンドする形で寝たらいいでしょ?」

アスカ「こんな奴の近くで寝たら何されるかわからないじゃない!!!」

ミサト「シンジくんにそんな度胸はない。でしょ?」

シンジ「は、はい。僕にも選ぶ権利が……」

アスカ「ぬぁんですって!?バカシンジの分際で選べると思ってるわけ!?」

ミサト「はいはい。ストップ。今日は3人並んで仲良く寝ましょう。これ命令よん」

ミサトの部屋

アスカ「ふんっ……」

ミサト「おやすみー二人とも」

シンジ「ミサトさん……あの……」

ミサト「あたしが隣にいるから大丈夫でしょ?」

シンジ「え、ええ……」

アスカ「ここマザコン臭いわね」

ミサト「こらー」

アスカ「本当のことじゃない」

シンジ「ミサトさん、僕、不安です……」

ミサト「心配しないで、シンジくん。あたしを信じなさい」

シンジ「は、はい」

ミサト(シンジくん、ごめんね。朝になれば、隣にいるのはアスカだけなの)

ミサト(でも、もしシンジくんがアスカのことを好きすぎてそんな夢を見てしまうのなら、きっとアスカが添い寝するだけでこの問題は解決する……って、加持って男が言っていた)

ミサト(恨むなら、加持って奴をうらんで……)

深夜

アスカ「……ん?」

シンジ「すぅ……すぅ……」

アスカ「ミサト?」

シンジ「うぅん……」

アスカ「トイレかしら……」

シンジ「すぅ……すぅ……」

アスカ「……」

アスカ「……僕はアスカのことが大好き……」ボソッ

シンジ「うぅ……!?あぁ……!!」

アスカ「僕はアスカを愛しているんです……結婚したいです……」ボソッ

シンジ「ぼ、くは……うぅ……ア、スカのこ、とが……だい、すきです……ぼ、くは……アスカを……あいしているんです……けっこ……けっこ……うぅぁ……」

アスカ「結婚したいです」ボソッ

シンジ「結婚……した、いで、す……!!」

アスカ「し、仕方ないから、してあげてもいいけど?」

シンジ「はぁ……はぁ……!!!」

アスカ「シンジ?どこに行くの?」

シンジ「うわぁぁぁぁ!!!!」ダダダッ

アスカ「逃げられると思ってるの?」

シンジ「なんだよ!!!いやだ……!!!いやだぁぁ!!!ミサトさぁぁぁん!!!!」

ミサト「……」

シンジ「ミサトさん!!!助けて!!!ミサトさん!!!アスカが迫ってくるんです!!!」

ミサト「……」

シンジ「ミサト……さん……?」

ミサト「ミサト……?」クルッ

アスカ「――私はアスカよ?」

シンジ「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」


シンジ「――あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」ガバッ

アスカ「きゃっ!?なによ!!急に起きないでよ!?」

シンジ「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!ミサトさんがぁぁぁぁ!!!!ミサトさんがぁぁぁぁぁ!!!!!」

翌日 ネルフ本部

ミサト「ごめんなさい」

リツコ「私に謝られても困るわ」

ミサト「でも……」

マヤ「シンジくんの今の状態では、エヴァを起動させることも難しいですね」

リツコ「何をしたの?」

ミサト「……荒療治を」

リツコ「そう。繊細な時期の繊細な少年に荒療治。……ありえないわ」

ミサト「ごめんなさい」

マヤ「現状の問題をどうするか考えないといけませんね」

リツコ「そうね……」

レイ「――失礼します」

リツコ「……レイ。何のよう?」

レイ「碇くんのことで」

ミサト「レイ……?」

リツコ「呻き声を?」

レイ「はい」

ミサト「ええと。アスカが声をかけたときにシンジくんが呻き声をあげて、寝言を言ったのは確かだけど……」

マヤ「アスカの声に問題があるというのは少し突拍子が無いような気がしますね」

ミサト「レイはシンジくんの今の状態がアスカからのプレッシャーではなく、寝ているときに聞こえるアスカの声だと言いたいわけね」

レイ「はい」

マヤ「それは耳障りということ?」

レイ「碇くんにとってはそうじゃないかと思いました」

ミサト「寝ているときにアスカの声を聞いたから反射的に寝言を言う理由は?」

レイ「碇くんが寝ている間に耳元で同様の台詞を呟き続けていたのでは?」

ミサト「あっはっはっは。レイにしては面白いわねー」

レイ「……」

リツコ「睡眠中に暗示をかけているということね。ありえないわ」

レイ「何故ですか?」

ミサト「アスカがそんなことしてなんのメリットがあるのって話だし、あのアスカがそんな陰湿なことするとは思えないからよ」

リツコ「あの子なら実力で証明しようとするはず。自分が碇シンジよりも優れていると」

レイ「……」

ミサト「そういうことよん」

レイ「……わかりました」

ミサト「あ、レイ」

レイ「……失礼しました」

ミサト「レイなりにシンジくんのことを心配してくれてるみたいね」

リツコ「レイらしい、荒唐無稽な考えだったけれどね」

マヤ「先輩……」

ミサト「とりあえず、今後はこっちでシンジくんを寝泊りさせることになりそうだから、そのときはよろしく」

リツコ「よろしくと言っても、貴方の管轄でしょ」

ミサト「こっちで生活するならそれなりに顔を合わす機会も増えるでしょ」

リツコ「分かったわ。休憩所でうたた寝していれば毛布ぐらいはかけてあげることにするから」

ミサト「それぐらいでいいから、おねがい」

休憩所

シンジ「……うぅ……瞼が重い……」

シンジ(でも、寝ちゃ駄目だ……寝ちゃ駄目だ……寝ちゃ駄目だ……。寝たら……またアスカが色んな人に化けて僕を追い回すんだ……!!)

レイ「……碇くん」

シンジ「あ、綾波?」

レイ「隣、いい?」

シンジ「う、うん」

レイ「……」

シンジ「あの……綾波……?」

レイ「……」ナデナデ

シンジ「あ、綾波!?な、にをして……!!」

レイ「頭を撫でると安心して眠れるって、本で読んだことがあるから」

シンジ「なんの本?」

レイ「子育ての本、だったと思うわ」

シンジ「そ、そうなんだ……」

レイ「……」ナデナデ

シンジ「綾波……」

レイ「碇くん、私が隣にいてあげるわ」

シンジ「え……」

レイ「だから、ゆっくり休んだほうがいい」

シンジ「あや、なみ……」

レイ「おやすみなさい」

シンジ(なんだろう……この感じ……母さん……?)

レイ「……」ナデナデ

シンジ「すぅ……すぅ……」

レイ「……」

レイ「碇くん、貴方が安心して眠ることができるようにするから」

レイ「もう、碇くんが困らなくていいようにする……」

シンジ「かあ……さぁん……」

レイ「碇くん、待っていて」

アスカ「お、ファーストの言ったとおりホントにいた」

シンジ「すぅ……すぅ……」

アスカ「ったく、どこでもよく寝るわね」

アスカ(それにしても、シンジの不調が私の所為っていうなら、やめないと……)

シンジ「うぅん……」

アスカ(でも、バカシンジは絶対に私が望む台詞は言ってくれないし……)

シンジ「かあさん……いかないで……」

アスカ(これで最後にすればいいわよね。うん)

アスカ「……僕はアスカのことが大好き……僕はアスカのことが大好き……」ボソボソ

シンジ「うぅん……」

アスカ「……僕はアスカのことが大好き……僕はアスカのことが大好き……」ボソボソ

シンジ「すぅ……すぅ……」

アスカ「あれ?なんで……いつもなら……」

レイ「――もう少し大きな声で呼びかけないと反応しないわ。碇くんは安眠のために耳栓を装着しているから」

アスカ「ひゃっ……!?」ビクッ

レイ「どうしたの?」

アスカ「い、いつから……そこに……」

レイ「貴方がどこでもよく寝るわねって言ったところから」

アスカ「……っ」

レイ「……」

シンジ「すぅ……すぅ……うぅん……とうさん……かあさんをいじめないでぇ……」

アスカ「な、にが望みよ……」

レイ「別に」

アスカ「う、嘘つかないで!!」

レイ「私の望みは碇くんの安眠だけだから」

アスカ「あ、安眠って……」

レイ「どうしてこんなことをするの?」

アスカ「シ、シンジがパイロットじゃなくなれば、エースは自動的に私でしょ?」

レイ「……」

アスカ「だから不調にしてやったのよ。悪い?」

レイ「……そう」

アスカ「ま、まぁ、私の作戦は見事に成功したわけね」

レイ「そう……良かったわね」

アスカ「……え?」

シンジ「あぁ……かあさん……とうさんが泣いちゃうよぉ……もういじめた……こと……ゆるしてあげて……」

アスカ「な、なによ……」

レイ「この件は葛城三佐、碇司令に報告するわ」

アスカ「……」

レイ「そうなれば貴方には現住居からの退去命令が下り、碇くんとの接触は厳禁になる」

アスカ「……」

レイ「さよなら」

アスカ「ま、まちなさいよ……」

レイ「……」

アスカ「あ、あんたに何の権限があって、そんなこというわけ?」

シンジ「あぁ……やめてよ……とうさん、の負けだから……すぅ……すぅ……」

レイ「……」

アスカ「別にあんたが困るわけじゃないでしょ?」

レイ「……」

アスカ「バカシンジが一人使えなくなったからって」

レイ「碇くんの代わりはいるの?」

アスカ「な……」

レイ「……」

アスカ「いないけど」

レイ「そう。碇くんの代わりはいない。だから、ダメ。碇くんは大切な存在だから」

アスカ「……」

レイ「さよなら」

アスカ「待って!!」

レイ「なに?」

アスカ「もうしない……から……報告はしなくてもいいでしょ?」

レイ「……」

アスカ「シンジの安眠はこのアスカ様が約束す――」

レイ「反省、してないのね」

アスカ「いや……だから……」

レイ「報告、するわ」

アスカ「やめてっていってるでしょ!!!」

レイ「……」

アスカ「謝るから!!!報告だけはしないで!!!」

レイ「……」

アスカ「なによ!!頭を下げてもダメなの!?」

レイ「貴方の目的はなんだったの?」

アスカ「シンジが言いそうにない台詞を……言わせてやろーと思っただけよ……」

レイ「どうして直接頼まないの?」

アスカ「頼めないからこういう方法をとったんでしょ!!アンタ、バカぁ!?」

レイ「……」

アスカ「頼めるなら、頼んでるっちゅーの……」

レイ「どんな台詞?」

アスカ「言う必要あるわけ?」

レイ「……」

アスカ「……ぼ……こ……き……とかよ……」

レイ「……」

アスカ「ぼ、僕はアスカのことが大好き、とかよ!文句ある!?」

レイ「他にもあるはず」

アスカ「……アスカ、愛してる……と、とか……」

レイ「他には?」

アスカ「け、結婚してほしいとか……」

レイ「他には?」

アスカ「もういいわ!!!殺すなら殺しなさいよ!!!」

レイ「他には?」

アスカ「……か、かわいいね……とか……」

レイ「他には?」

レイ「碇くん、おきて」

シンジ「ん……?」

レイ「おはよう」

シンジ「綾波……。あ、ごめん……。僕、綾波に甘えて……」

レイ「碇くん。何も言わずにこのメモに書かれていることを呟いてほしいのだけれど」

シンジ「え?えーと……僕はアスカのことが大好き……?な、なにこれ?」

レイ「これで碇くんを守れるはずだから」

シンジ「ど、どういうこと?」

レイ「もう、碇くんが苦しみことはないから」

シンジ「綾波、それって」

レイ「言ってほしいの」

シンジ「……綾波がそこまでいうなら」

レイ「ありがとう」

シンジ「僕はアスカのことが大好き……アスカ、愛してる……アスカ、結婚してほしい……」

レイ「……」

更衣室

レイ「できたわ」

アスカ「……」

レイ「もし同じ事態が起こった場合は……」

アスカ「もうしないわよ!!早く頂戴」バッ!!

レイ「……」

アスカ「ほ、本当に録音されてるの……?」

レイ「ええ」

アスカ「……」ピッ

『僕はアスカのことが大好き――』

アスカ「ほ、本物みたいね……」

レイ「聞きたくなったら、それで我慢すること」

アスカ「はいはい。分かってるわよ。でも、どうしてあんたがこんなことを……?」

レイ「ひみつ」

アスカ「ふんっ。気持ち悪いわね……」

廊下

シンジ(綾波、なんだったんだろう……。色んな台詞を言わされたけど……)

ミサト「シンジくん!!」

シンジ「ミサトさん」

ミサト「レイから聞いたんだけど、もう悪夢は見なくなって本当なの?」

シンジ「え?ああ、そうですね。さっきは見ませんでした」

ミサト「私が傍にいなかったのに?」

シンジ「はい」

ミサト「なら、やっぱりアスカに原因が……?」

シンジ「でも、ずっと傍に母さんがいてくれたような気がします」

ミサト「それって……」

シンジ「本当は綾波が膝枕してくれただけなんですけど……」

ミサト「だ、だけって……!!」

シンジ「なんだか、今はすごく気分がいいんです」

ミサト(若さには勝てないってことなの……)

葛城宅

ミサト「あー、だから、シンジくんもこっちに居たいっていってるのよ。分かってるわよ。責任ならあたしが取るから。はいはい」

シンジ「ミサトさん?」

ミサト「全く、リツコももう少し信頼してくれてもいいのにねー?うぐっ……うぐっ……ぷはぁ!!くぅー!!!」

シンジ「なにかあったんですか?」

ミサト「あぁ、ちょっちね。でも、本当に良かったの?アスカが傍にいたら……」

シンジ「綾波ももう悪夢は見ることがないって言ってましたし、それを信じてみることにします」

ミサト「そう?」

シンジ「はい」

ミサト(はぁーあ。結局、若人たちがかっさらっていくのよねぇ……)

シンジ「それじゃあ、晩御飯の準備しますね」

ミサト「ねえー?シンちゃーん?また、添い寝しよって誘ったら添い寝してくれるぅ?なんちゃっ――」

シンジ「……ミサトさんから言われたら、断れませんね」

ミサト「シンちゃぁぁん!!だぁぁいすきっ!!」ギュゥゥ

シンジ「あの……ミサトさん……お酒臭いです……」

アスカの部屋

アスカ(なによ、シンジのやつミサトなんかにデレデレして……)

アスカ「あーもー!!」

アスカ「……」ピッ

『僕はアスカのことが大好き』

アスカ「……」ゾクゾクッ

『アスカと結婚したい』

アスカ「バカシンジのくせに妙に感情篭ってて……」

『アスカ、かわいいね』

アスカ「……っ」

アスカ「これよ……この声が……一番聞きたかっ……」

『アスカ、先にお風呂入りなよ』

アスカ「きゃー!!もうバカシンジー!!!!」

シンジ「アスカー?なにさわいでるのー?晩御飯できたよー」

アスカ「い、いまいくわよ!!!」

数週間後 ネルフ本部

リツコ「その後の経過も良好。問題はないみたいね」

ミサト「ええ。アスカも妙にシンジくんに優しくなったし、何も心配はないみたい。やっぱり、シンジくん自身が自覚できないストレスかなにかだったのかもね」

リツコ「それにしても、最近のミサトは肌艶が良くなったわね。何かあったのかしら?」

ミサト「ま、色々よ。色々」

リツコ「そう」

アスカ「シンジー!!」

シンジ「どうしたの?」

アスカ「今日の訓練での動き良かったわよ」

シンジ「ありがとう」

アスカ「それだけ!」

シンジ「う、うん」

レイ「……」

シンジ「あ、あの、綾波」

レイ「……さよなら」

後は……頼んだ……zzZ

シンジ「綾波……」

ミサト「どうしたの、シンちゃん?」

シンジ「いえ、最近の綾波、目すら合わせてくれなくなって。僕、嫌われちゃったのかなって……」

ミサト「だーいじょうぶよ。きっと、シンちゃんを男として意識し出したとかそんなところでしょ」

シンジ「えぇ!?」

リツコ「レイに限ってそんなこと、ありえないわ」

シンジ(本当にどうしたんだろう、綾波)


レイ(ダメ……碇くんと目を合わせられない……。もう声を聞くだけで、息がつまりそうになる……)

レイ「……」ピッ

『これから毎日、僕のためにお味噌汁を作ってほしい』

レイ「……」

レイ(声を聞くだけなのに、私は碇くんのことを考える時間が多くなっている)

レイ(これが言葉と声の力……。司令が言っていた通り……)

レイ「でも、いつか……直接碇くんから……聞きたい……」

一ヶ月前 ネルフ本部 廊下

アスカ「あー、やっとおわったー。ん?あれは……」

レイ「司令……」

冬月「なるほどな。要するにもっと息子との距離を縮めたいということか」

ゲンドウ「ああ」

冬月「ならば、手っ取り早い方法がある。息子が寝ているときに耳元で自分に向けた好意を言葉を囁き続ける」

ゲンドウ「……効果はあるのか」

冬月「早ければ数日で囁いた言葉を寝言で発するようになり、一ヶ月もすれば相手の心は見事に染まることだろう」

ゲンドウ「言葉の声の力は人を操る、か。ならば、シンジを葛城三佐の自宅からこちらへ移送する手続きを考えなくてはならない」

冬月「プレイベートでの粗を探せばいくらでも移送理由が見つけられるだろう」

ゲンドウ「ああ、問題ない。急げ」

レイ「……言葉と声の力……」

アスカ「ふぅん……そんなことができるのね……よぉし……」テテテッ

レイ(言葉と声の力……きっと私には分からないこと……理解できないこと……)


END

佐天「完結しててもつまんない奴も多いんだね……」

初春「本文がよくても、後書きや合いの手で興醒めするのもですね」

初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」

初春「百番煎じのSSは、書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねえ」

初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」

初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」

佐天「初春?」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年02月09日 (日) 06:34:38   ID: caICjG5E

うまいことオチがついてるね

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