<校舎裏>
ゴッ! ガスッ!
ザコA「ぐぎゃあっ!」ドサッ
ザコB「ぐええっ……!」ドサッ
不良女「フン、バカどもが」
不良女「アタイを女だってナメてっからそうなるんだよ!」
不良「おいおい、テメェらだらしねーな。なにやってんだ?」
ザコA「あ、兄貴! すんませんっす!」
ザコB「この女が兄貴のことバカにしたから」
ザコB「校舎裏に連れ込んでボコろうとしたら逆にやられちまいました!」
不良女「やっと現れたかよ、大将が」
不良「あぁ? なんだテメェは?」
不良女「アタイはこの学校最強の女さ!」
不良女「いっとくが、男にだって何度も勝ってきた!」
不良女「今日ここでテメェをぶっ倒して、真の最強になってやるのさ!」
不良「ふぅ~……」
不良「ワリィがよ、俺は女を殴るシュミはねーんだ」
不良「こいつらボコったことは忘れてやっから、とっとと消えな」
ザコA「兄貴、甘すぎるっすよ!」
ザコB「そうですぜ! 俺らのカタキなんざ別に討たなくてもいいけど」
ザコB「このアマ、兄貴のことを腰抜けだのなんだのと……」
不良「言いたい奴には言わせとけ」
不良「心に芯がありゃ、何言われたってビクともしねェさ」
不良「テメェに自信がありゃ、何言われてもドンと構えてりゃいいんだよ」
ザコA「さっすが兄貴!」
ザコB「かっちょいい!」ポッ…
不良女「待てや、テメェ!」
不良「あ?」
不良女「この腰抜けヤロウが……」
不良女「アタイみたいな女に、言われっぱなしで悔しくねェのかい!」
不良女「逃げんのか!」
不良女「勝負しろや、コラァ!」
不良女「タマナシか、テメェは!?」
不良「めんどくせー女だな……」
不良「いいぜ、勝負してやらぁ」
不良「本当に俺がタマナシかどうか、テメェの足で確認してみな」
不良女「どういう意味だ!」
不良「こういうこった」スッ
ザコA「あ、あれは!」
ザコB「兄貴流ガニマタ!」
不良「ほら、股間ががら空きだ。好きなだけ蹴ってこいや」
不良女「なっ……」
不良女「ふざけんじゃねェ!」
不良女「どうせなんか仕込んであんだろうが! 鉄ブリーフとかよ!」
不良「なんも仕込んじゃいねーよ」
不良「それともなんだ、俺が勝負を受けてやるっていってんのに」
不良「テメェこそ、逃げんのか?」ゴゴゴ…
不良女「うっ……」ビクッ
不良女「マ、マジでタマナシになっても後悔すんじゃねーぞ!」
不良女「テメェのタマ蹴り潰してやらァ!」
不良「来いやァ!」
不良女「オッ……ラァッ!」ブンッ
ズドンッ!
ザコA「モロに!」キュンッ
ザコB「入った!」キュンッ
不良女(へっ……タマはあったがよ。もう立てねェだろ)
不良「ふん……」
不良「全然きかねえなぁ? この程度かよ?」
不良女「ンだとォ……!」
不良女「好きなだけっつったのはテメェだかんな……」
不良女「もう一発いくぜェ!」
不良「来いやァ!」
不良女「ウラァッ!」
ドゴンッ!
ザコA「はうっ!」キュンッ
ザコB「クリーンヒット!」キュンッ
不良「ハァ~……。もっと気合入れて蹴れや」
不良「こんなんじゃ浴槽にタマぶつけた時のが千倍痛かったぜ?」
不良女(コイツのタマ、どうなってやがんだ)
不良女(アタイ必殺の蹴りが……効かないなんて……)
不良女「だったらもう一発だァ!」
不良「来いやァ!」
不良女「ダラァッ!」
ズンッ!
不良女「オラァッ!」
ゴンッ!
不良女「デヤァッ!」
ズドッ!
不良女「もいっちょォッ!」
ドズンッ!
不良女「ウリャアッ!」
ゴスンッ!
不良女「ハァ……ハァ……」
不良「でよぉ~、盗んだバイクで走り出しちまったぜ」
ザコA「マジっすか?」
ザコB「ちゃんと返しましたかい、兄貴?」
不良「実は盗んだんじゃなく、買ったんだけどな!」
ワハハハハ……
不良女(アタイもう何発蹴ったんだっけ……足がいてェ……)ズキズキ…
不良女(しかもコイツ、効いてないどころか)
不良女(とうとうアタイを無視して手下どもと雑談してやがる……!)
不良「ん?」
不良「なんだテメェ、まだ蹴ってたのか」ギロッ
不良女「ひっ!」ビクッ
不良「ビビってんじゃねーよ、テメェで売った喧嘩だろーが」
不良女「あ、あ……」ガタガタ…
不良「どうする、まだやんのか? やめんのか?」
不良女「あ、あ……あ……」ガタガタ…
不良「ハッキリ答えろやッ!」
不良女「はぁうっ!」ガクンッ
不良女(怖い怖い怖い怖い怖い!)ガタガタ…
ザコA「このアマ、兄貴の迫力に腰抜かしちまったっす!」
ザコB「兄貴、トドメ刺しちまいましょうぜ!」
不良「その必要はねェよ。コイツの負けだ」
不良「オイ……返事がないなら、もういくぜ」
不良「んじゃあな」ザッ
ザコA「あ、兄貴~!」スタタッ
ザコB「待って下さいよう!」スタタッ
不良女「ま、待てやァ!」
不良「ん?」
不良女「テメェのタマ……いつか必ず蹴り潰してやっからな!」
不良「いつでも来いや」ニッ
不良「よ~し、帰りにサイゼリアでも寄ってくか!」
ザコA「またミラノ風ドリアっすか、兄貴~!」
ザコB「兄貴はあれ大好きですからね~~!」
不良女「……ち、ちくしょう」グスッ
<空手道場>
師範「ほう、我が道場で空手を習いたいと」
師範「習いたい理由は?」
不良女「アタイは、ある男のキンタマを蹴り潰してェんだ!」
不良女「だから空手を習わせてくれ!」
師範「ふむ、正直でよろしい」
師範「よかろう、入門を認めよう!」
不良女「ありがとよっ!」
師範「蹴りは……こうっ!」シュバッ
不良女「こう、か?」シュバッ
師範「ふむ、スジがいい」
師範「さすがケンカ慣れしているだけのことはあるな」
不良女「ふん、褒めてもなんも出ねーぞ」
師範「君ならば、きっとよい空手家になれるよ」
不良女「アタイはタマさえ潰せればそれでいいんだよ」
師範「さあ、ミットに蹴り込んでくるのだ」
不良女「おうよっ!」
ドズッ!
ドズンッ!
ドゴンッ!
師範「いい蹴りだ」
不良女「そうかい?」
不良女(前とは全然ちげェ……この調子でいきゃ必ずアイツのタマを潰せる!)
師範「蹴りたまえ」
不良女「セイヤァッ!」
バキィッ!
師範「おみごと」
師範「たった数週間で、木製バットを軽々とへし折ってしまうとは」
不良女(イケる……イケるぜ!)
不良女(もうすぐアイツのタマァ、アイツのバットもろとも蹴り潰してやらァ!)
一ヶ月後──
師範「君は強くなった」
師範「もはや女子の中ではトップレベル、男子に混ざっても十分通用するレベルだ」
不良女「ありがとよ」
不良女「あ、そういや月謝持ってきたんだ。払ってくよ」
師範「いやぁ、そんなものはいらんよ」
不良女「え? なんでだよ?」
師範「その代わり──」
師範「君の体で払ってもらう」
不良女「体でってイミわかんねーよ。なんだよそれ」
師範「ようするにだ」
師範「ヤラせろって意味だよ」
ガバッ!
不良女「うわっ!」ドサッ
不良女「な、何しやがる!」
師範「君は言葉遣いも素行も悪いが、顔とスタイルは申し分ナシだ」
師範「ずっとそそられていたんだが、もう我慢できなくなった」
不良女「ざっけんじゃねえ! オラァッ!」
バシッ!
師範「無駄無駄、こんな密着状態じゃ打撃なんてほとんど効果はないよ」
師範「それに一ヶ月の間で、君のクセは知り尽くした」
師範「君は絶対私に勝てないよ」ガシッ
師範「ふむ」ビリビリッ
師範「張りとツヤのあるいい胸だ。たまらん」
不良女「や、やだ……」
不良女「や、やめてくれよォ……やめてよ……お願い……」
師範「無駄無駄、今日は稽古がないから誰も来んよ」ビリッ
不良女「いや……やだよ……」
不良女(助けて……助けて……誰か──)
不良女(不良!)
バンッ!
不良「なにやってんだ、ゴラァァァッ!」
師範「だれだ君は?」
不良女「え、どうしてここに……!」
不良「実は俺、一ヶ月前のあの時、テメェに一目惚れしちまってよ……」
不良女「え」
不良「それはいいとしてオメェ、なかなか再戦しに来ないから」
不良「じゃあこっちから探してみるかって町内を探してたら……」
不良「空手道場に入るとこ見かけたからよ……」
不良「のぞいてみたら、なんかとんでもねェことになってんじゃねーか!」
不良「さっさと女からはなれろや!」
師範「ジャマするのなら病院送りになってもらう」
不良「来いやァ!」
ドゴッ! バキッ! ドズッ! ドゴッ! ガンッ!
師範「ぐ……」
師範(素人のくせになんという強さ。これが才能というやつか)
師範(だが、まだ私の方が強い)
ドゴォッ!
不良「うごぉ……っ!」
師範「君が空手をやっていたら、もしかしたら今頃学生チャンピオンになれたかもな」
師範「ただし、残念ながら君は空手をやっていなかった。歴史にもしもはない」
師範「トドメだ、死ねいっ!」
ズドッ!
師範「おうふぅっ……!?」
師範「キサマ、後ろから私のタマに蹴りを! ──あだだっ!」ピョンピョン
不良女「ざまーみやがれ! テメェに教わった蹴りだ!」
不良女「今だ、トドメは頼んだぞ!」
不良「助かったぜ……!」
不良「このクサレ外道がァッ!」
ガツンッ!
師範「ぐおあぁっ!」ドサッ
不良「……だいじょーぶか」
不良女「ああ、服破られただけで怪我はしてねーよ」
不良「さっさとちゃんとした服に着替えてこいや」
不良女「なに赤くなってやがんだ、バカ」
不良「ちっ……」
不良「そういや、テメェがこの道場に通ってたの、多分俺のタマ蹴るためだろ?」
不良「なんなら今やってみろよ」
不良「今のテメェなら潰せるかもしれないぜ?」
不良女「いや……やめとく」
不良「あ? どうしてだ? せっかく習った空手が無駄になっちまうぜ?」
不良女「だってよ……」
不良女「アタイがテメェのタマ潰しちまったらよ……」
不良女「だれがアタイにガキ産ませるってんだよ……」
不良「オイオイ……なんだそりゃ告白のつもりかよ」
不良「愛してるぜ……」ギュッ…
不良女「ア、アタイだって……」ギュッ…
HAPPY END
よい週末を!
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