ミカサ「エレンの心の声だけが聞こえる都合のいい薬を作ってほしい」(74)

──2350 訓練兵食堂

アルミン「それで話ってなにさミカサ?こんな時間に呼び出して……」

ミカサ「本当にすまないと思っている」

アルミン「今夜は期末テストの勉強しようかと思ったんだけど」

ミカサ「そう言わずに」

アルミン「分かったよ、それでどんな用なの?エレンの事?」

ミカサ「エレンの心の声だけが聞こえる都合のいい薬を作ってほしい」

アルミン「え?」

ミカサ「エレンの心の声だけが聞こえる──」

アルミン「2回も言わなくていいよ!聞こえてるから!」

ミカサ「では作って」

アルミン「いや無理だよ……常識的に考えて」

ミカサ「もしエレンの心が読めればエレンの事をもっと知る事が出来る。違わない?」

アルミン「よ、読めればね……でもそんなの無理だよ」

ミカサ「できる」

アルミン「は?」

ミカサ「アルミンは、賢い。私より、賢い。すごく、賢い。ので、都合のいい薬を作ることができる。例えば一晩でも」

アルミン「いやいやいやいや」

ミカサ「私は座学の成績が低いどころか、エレンの事しか考えられない病気だ」

アルミン「自覚はあったのか……」

ミカサ「とても残念だ。私は寝ながら指を咥えたりしてればいい。咥えてみてる。エレンの指を咥えたい」

アルミン「ちょっとミカサ!君はなにも手伝わない気か!?そもそもそんな薬作れるわけが──」

ミカサ「できなければ、死ぬだけ」

アルミン「……僕が?」

ミカサ「でも、作れば生きれる。やってみなければわからない!それじゃ、明け方に取りにくる」スッ

アルミン「ミカサ待っ……行っちゃった。一晩で作れって言ったって……もう日付変わっちゃうじゃないか」

──0430 訓練兵食堂

アルミン(まさか本当にできるとは思わなかった……もう何でもできる気がする)

ミカサ「できた?」ガラッ

アルミン「物凄くいいタイミングで来たね……今できたばっかだよ」

ミカサ「さすがアルミン。『正解を導くチカラ』を宿した能力者」

アルミン「意味の分からない設定を増やさないでくれ……で、僕は見返りに何を貰えるのさ?」

ミカサ「何でもいい」

アルミン「体でも!?」

ミカサ「拳が欲しいならいくらでも」

アルミン「やっぱり何も要らないよ……これがその薬だよ」

ミカサ「こ、これが……!」

アルミン「512錠入りだよ。1日1錠飲めば効く。ただし体に悪いから服用は2日に1回にしてくれ」

ミカサ(冗談のつもりで言ったのに……本当に作るとは……)

アルミン「で、使い方だけど……」

ミカサ「飲むだけじゃないの?」

アルミン「その薬を飲んでから5分以内に相手を手を繋ぐんだ。そして5秒以上手を繋げば聞こえるようになる」

ミカサ「なんでそんなにめんどくさい事になっているの?」

アルミン「誤爆や事故を防ぐための安全設計さ。間違えてジャンの心を……なんて事がないように」

ミカサ「分かった!今すぐエレンを起こしてくる!!ダッ

アルミン「待ってミカサ!まだ副作用の説明が!!……行っちゃった。まぁいいか」

アルミン「今日は立体機動訓練があるのに……今から寝ちゃお」

──0500 男子寮201号室~エレン・アルミン・ライナー・ベルトルトの部屋

エレン「みか……さぁ……あいしてぅ……」zzz

アルミン「ぐへ……ぐへへぇ……」zzz

ライナー「くりすたぁ……」zzz

ベルトルト「にゅー……」zzz

ミカサ(アルミンいつの間に!?ま、まぁ……そんな事はどうでもいい。エレンを起こそう。薬を飲んで……)ゴクン

ミカサ「エレン、おっきして」ユッサユッサ

エレン「ん……?」

ミカサ(なぅ!)ギュ

エレン「ん……ミカサ……?」

ミカサ(1!2!3!4!5!どう!?)

ミカサ「おはようエレン。もう朝」

エレン「あれ……なんでミカサがここに……?」

エレン(今日も可愛いな……)

ミカサ(!?)

エレン「どうしたんだよこんな時間に?まだ起床時間じゃねぇだろ」

エレン(ミカサに起こしてもらうのって久し振りだな……毎日起こしてくれればいいのに)

ミカサ「あ……えっと、その……」

ミカサ(か……かっかかか、可愛いって言われた!?)

エレン「……どうしたんだよぼーっとして。俺の顔に何か付いてるのか?」

エレン(そんな見つめられると恥ずかしいだろ……お前可愛いんだから自覚持てよ我慢すんの大変なんだよ)

ミカサ「エレンを起こすのは私の日課。訓練兵になってもそれは変わらない」

ミカサ(エレンがさっきから可愛い可愛い言ってくる……!嬉しい……嬉しいけど、本物のエレンなの?)

ミカサ(でも瞬きのタイミング、呼吸のリズム、指紋、網膜、静脈パターン、DNAはエレンと一致している)

ミカサ(目の前に居るのは間違いなくエレン。ということは普段の態度は照れ隠しだったの!?)

エレン「そうだったけどさ……なんで今さら……。まぁいいけどさ」

エレン(何かあったのか?心配な事とか不安な事とかそういう事があったのか?)

ミカサ(エレンに心配してもらえるなんて……幸せ……)

ミカサ「えへへ……」

エレン「なんでいきなり笑うんだよ」

エレン(ミカサの笑顔なんて久しぶりに見れたな。今日はいい事ありそうだ)

ミカサ「な、なんでもない」

ミカサ(普段からこんな風に思ってくれていたなんて……知らなかった……)

エレン「なんだよ」

エレン(寂しくなった……とかじゃないよな?)

ミカサ「会いにきただけ。急に会いたくなった」

ミカサ(う、嘘は言ってない……)

エレン「毎日会ってんだろうが」

エレン(昔から二人きりになると甘えん坊になるんだよなこいつ。そこが可愛いんだけどさ)

ミカサ(うぅ……///)

エレン(今さらだけど何で手握ってんだ……?離す気はねぇけど)

ミカサ(薬飲まなければよかった!恥ずかしくて死にそう!!)

エレン「……」

エレン(な、なんか話せよ……恥ずかしくなってきたじゃねぇか……///)

ミカサ(ご、ごめんなさい……)

ミカサ「しゅ、週末に何か予定ある?今度の日曜」

エレン「自主トレでもしようかと思ってたけど、どうかしたのか?」

エレン(デートのお誘いかっ!?)

ミカサ(デートしたいの!?ごめんなさい、来週までに予定立てておく!)

ミカサ「私もトレーニングに付き合っていい?」

エレン「ああ、いいぜ」

エレン(なんだ、違うのか……)

ミカサ(期待させてしまってごめんなさい……)

──0600 起床時刻

アルミン「ふぁ……ぁ~……おはよー……」

ライナー「おはよう。ってなんでミカサがここに居るだ?」

ベルトルト「いつの間に……」

ミカサ「そ、それは……えぇっと……」オロオロ

エレン(理由くらい考えておけよ……)

ミカサ(ごめんなさい……)

エレン「ミカサは俺の家族なんだから一緒に居たっていいだろ」

アルミン「……そうだね!」

ライナー「……ん?」

ベルトルト「そういう話じゃなくて」

エレン「何もおかしい事なんてねぇよ。俺とミカサはいつだって一緒だ。家族だし」

エレン(細かい事に一々と……アルミンは空気読んでくれたけど)

ミカサ(いつだって一緒……一緒///)

ライナー「家族って言ったって……なぁ?」

ベルトルト「ここ男子寮だし」

ミカサ「それは、そうだけど」

エレン「んなもん関係ねぇだろ。ミカサは俺の大事な家族だ。家族と過ごして何が悪い」

エレン(将来の嫁と一緒に居るだけじゃねぇか)

ミカサ(おおおおよおよおよおよお嫁さん!?)

ミカサ「うん……家族……」

ライナー「そ、そうか……?」

ベルトルト「う、うん……?」

エレン「まぁいいけどよ。さ、飯食いに行こうぜ」

アルミン(ミカサの反応が……。薬の効果はいい感じみたいだね)

──0630 訓練兵食堂

エレン「また堅いパンと薄いスープかよ」

エレン(たまにはミカサの手料理が食べてぇな……)

ミカサ(頑張る!)

ミカサ「じゃあ今度私が何か作ってあげる」

エレン「お?ホントか?」

エレン(エプロン姿を拝めたりするのか!?そうなんだな!?)

ミカサ(エ、エレンがお望みならそうしよう……///)

ミカサ「さすがに肉が貴重になってしまったからチーズハンバーグは無理だけど」

エレン「ココの飯と比べれば何だっていいさ」

エレン(お前が作ってくれんなら何だって美味いに決まってる)

ミカサ「が、がんばる!」

アルミン(なんだろう、会話に混ざれない)

ジャン「何!?ミカサの手料理だと!?」

エレン(ミカサに擦り寄ってくる害虫が……)

ミカサ(そこまでジャンの評価低かったの!?)

エレン「お前にはやらねぇよ」

ジャン「別にいいじゃねぇか!なぁミカサ!?」

エレン(他の男に食わせたかねぇんだよ)

ミカサ(エ、エレンがそういうなら……!)

ミカサ「だめ、エレンの分しか作らない」

ジャン「ちくしょう……!」

コニー「残念だったなジャン!」

ライナー「ミカサがお前の為に作るわけないだろう」

エレン(俺の女に手出すんじゃねぇよ)

サシャ「わ、私の分は……?」

ミカサ「ない」

ミカサ(他の女を近づけさせるわけがない)

エレン「……」モグモグ

エレン(さりげなく頬っぺたにパンくずを付けるように……)

ミカサ(えっ!?いつも取ってたけど、それわざと付けていたの!?)

ミカサ「……付いてる」ヒョイパク

エレン「いちいちしなくていいから!俺はお前の弟でも子供でもねぇ!」

エレン(たまんねぇ……新婚みてえ……)

ミカサ(新婚!弟でも子供でもないというのはつまり夫!?)

ミカサ「……///」

エレン「ん?どうしたんだ黙り込んで?……顔赤いけど大丈夫か?熱でもあんのか?」

エレン(呼吸のリズムが狂ってるし、脳波が乱れてる。体温も普段より0.54℃高い)

ミカサ(私と同じような事考えてる……)

ミカサ「大丈夫。問題ない。私は自分の体を完全に支配できる」

エレン「そ、そうか」

エレン(じゃあ何が違うんだ……?)

──0700 女子寮103号室~ミカサ・サシャ・クリスタ・ユミルの部屋

ミカサ(エレンが私のことをこんなに……)カァァァ

ミカサ(いつもぶっきらぼうだから気付かなかったけど……)カァァ

ミカサ(将来の事まで考えてくれてたなんて……)カァァ

ミカサ(私、頑張っていいお嫁さんになる!)グッ

サシャ「ミカサにいったい何があったんでしょうか?」

クリスタ「ずっと考え事してるね」

ユミル「どうせ愛しのエレンだろ」

クリスタ「そんな決めつけは……他に思いつかないけど」

ミカサ「エレン……エレン……愛しの……エレン……愛おしい……エレン……」ブツブツ

ユミル「おい、エレンの名前をブツブツ言い始めたぞ」

クリスタ「大丈夫かな……?」

サシャ「羨ましいですね~。私にもいい人が見つかるといいのですが」

ユミル「お前が食べ物以外に関心を示すとは驚きだな」

サシャ「失礼な人ですね!私だって乙女ですよ!」

──0800 座学

座学教官「全員居るようだね、それでは始めよう。今日は立体機動装置のガスについてだ」

エレン(俺は巨人を駆逐する立派な兵士になるんだ……!)

ミカサ(エレンカッコいい……)

座学教官「アンカーは氷爆石のガス圧によって射出される。ガスの充填圧は……コニー君、分かるかね?」

エレン(14.7めがぱ……なんとかだったような)

ミカサ(さすがエレン。カッコいいだけじゃなくて頭もいい)

コニー「分かりません!」

座学教官「じゃあしっかり聞いておくんだよ。アルミン君、わかるかい?」

アルミン「はい、19.6MPaです」

座学教官「そうだね、正解だ」

エレン(あれ?)

ミカサ(あれ?)

座学教官「これほど高圧のガスが使用するため、黒金竹という非常に強固な竹をボンベに使用している」

座学教官「しかし、いくら強度があるとはいえ立体機動という過酷な状況下では損傷などあらゆる危険が想定される」

座学教官「その時に兵士を守る為、様々な安全装置がガスボンベに設置されて──」

エレン(ミカサと夜の立体機動してえな……)

ミカサ(とっ突然何を考え出したの!?)

座学教官「──異常な温度上昇により圧力が上がりすぎると可溶栓や破裂板などといった──」

エレン(ミカサの破裂板……)

ミカサ(どういう事!?)

座学教官「──異常な温度上昇により圧力が上がりすぎた場合噴出口から急激にガスを吹き出して──」

エレン(ミカサの事考えてると色々と出そうになっちまうな……)

ミカサ(何を出す気なの!?)

座学教官「──圧力を下げるためとは言えガスを放出させるのは危険である。が、爆発するより──」

エレン(定期的に抜いとかないと爆発しちゃうよな)

ミカサ(ば、爆発!?)

座学教官「──ガスボンベを取り扱うには立体機動技能講習、もしくは氷爆石取扱主任者の──」

エレン(ん?さっきからミカサが俺を見ている気が……?)チラッ

ミカサ(ごめんなさい……ずっと見てた……)

エレン(まったくあいつは……俺の事しか頭にねぇんだから……)

ミカサ(あなただって一緒じゃない)

エレン(ミカサは俺の事どう見てんのかな?やっぱただの家族としか見られてないのか?)

ミカサ(家族……だけど、特別な人……)

エレン(ミカサは家族なのに恋愛感情なんておかしいよな……)

ミカサ(そんなことない!普通!すごく普通!エレン好き!大好き!愛してる!結婚しよう!)

座学教官「エレン君?聞いているかね?」

エレン「あっ、はい!!」

座学教官「……敷島型の四番艦は?」

エレン「ミカサ!」

座学教官「さすがだな」

ミカサ(……なんの授業?)

──0850 休憩時間

エレン「なぁミカサ」

ミカサ「なに?」

エレン「授業中に俺のこと見てなかったか?」

エレン(およそ27分54.77秒くらい視線を浴びていた気がする)

ミカサ(残念、27分54.86秒)

ミカサ「悪かった。気が散ってしまったなら謝る。ごめんなさい」

エレン「別に謝んなくてもいいけどさ、どうかしたのか?」

エレン(そんなに俺が恋しいのか!?そうなんだな!?きっとそうに違いない!)

ミカサ(そんなに喜ばれるとちょっと恥ずかしい……///)

ミカサ「別になんでもない」

ミカサ(エレンを視界に入れてないと落ち着かない……なんて言えない……)

エレン「ん?そうか……」

エレン(照れやがって……)

ミカサ(当たり前じゃない……)

──0900 馬術

キース「──説明は以上だ!各自始めろ!」

「「「はっ!」」」

エレン(馬術か……馬見てるとジャンが思い浮かんでくるから好きじゃないんだよな……)

ミカサ(それ凄く分かる)

ミカサ「エレン、よかったら一緒にしよう」

エレン「おぅ、いいぜ。俺馬術苦手でさ、コツとか教えてくれよ」

ミカサ「もちろん」

エレン(やっぱミカサは優しいな)

ミカサ(あ、ありがとう……)

エレン「なんか馬が懐かないっていうかさ、言う事を聞いてくれないんだけどどうすればいいんだ?」

ミカサ「馬と心を通わせるようにすればいい。この馬を家族だと思って」

エレン「家族って言われても……ミカサだと思えばいいのか?」

ミカサ「……とりあえずそれでやってみて」

ミカサ(教え方を間違えた気がする)

エレン(この馬はミカサだ。愛しのミカサ、ミカサ、ミカサ……ぜ、全裸じゃねぇか!?)

ミカサ(そういう事は考えなくていい!)

エレン(そして綱で繋がれてて従順で……従順なミカサが縄で繋がれてる!?)

ミカサ(そういうのがお好みなの!?べ、勉強しておく……)

エレン(そして俺はこいつに乗るのか……従順で縄に繋がれてる全裸のミカサに、馬乗り!!)

ミカサ(え、えれん……///)

エレン「お、俺にはまだ早い……」

エレン(そういうのは大人になってからって父さんが言ってた!)

ミカサ(結婚は約束されてるから今しても問題ないはず!)

ミカサ「大丈夫。今しよう。すぐしよう。すぐできる」

エレン「んなこと言われても……」

エレン(するって何をだよ///)

ミカサ(ずっと考えてたくせに///)

ミカサ「まずは優しくしてあげればいい。撫でてあげると凄く喜ぶ」

ミカサ(私ならすごく喜ぶ!)

エレン「こ、こうか……?」ナデナデ

馬「ヒヒーンwwww」

エレン(なんかすっげぇムカつく)

ミカサ(それ凄く分かる)

エレン「喜んでる……のか?」

ミカサ「きっと喜んでる」

ミカサ(と思う)

エレン「……」ナデナデ

馬「ヒヒーンwwww」

エレン(ジャン撫でてるみたいで駆逐欲が抑えられないんだけど……)

ミカサ(それ凄く分かる)

エレン(って違う違う!これはジャンじゃない、ミカサだ!ミカサをなでなでしてるんだ俺は!!)

エレン「……悪くない」

ミカサ「そう?」

ミカサ(それはつまり……その)

エレン「なんか今日は上手くできそうな気がしてきた」

エレン(本物のミカサもなでなでしたい)

ミカサ(い、今なら少しくらい攻めても平気なはず……)

ミカサ「私の教えによって懐かせることに成功した。ので、私も撫でるべき」

エレン(いいのか!?いいんだな!?)

エレン「は、はぁ!?何でお前を撫でないといけねぇんだよ!」

ミカサ(心の声と言ってる事がここまで違うなんて……明日にでも告白して楽にしてあげる!)

ミカサ「……撫でて」

エレン(か、可愛い……)

エレン「ったく……しょうがねぇな」ナデナデ

ミカサ「んっ……」

エレン(幸せ……♪)

ミカサ(幸せ……///)

ジャン「おいエレン!てめぇ何してんだ!!」

エレン(邪魔すんなよ馬)

ミカサ(邪魔しないで馬)

エレン「何だっていいだろ」ナデナデ

ミカサ「ジャンには関係ない」

ジャン「ミカサを撫でるのと訓練がどう関係すんだよ!」

エレン「お前が突っかかってくんのは訓練に関係あんのかよ」ナデナデ

エレン(ミカサは俺の女だぞ、撫でて何が悪い)

ミカサ(私はエレンのもの!エレンのお嫁さん!!)

ミカサ「私が暫定1位を維持しているのはこれのおかげ。訓練に大いに関係する」

エレン「そういうことだ」ナデナデ

ジャン「はんっ!そうかよ。くそっ……」

エレン(つまり毎日撫でていいってことか?)

ミカサ(つまり毎日なでなでしてほしい)

──1200 訓練兵食堂~昼休み

エレン「また堅いパンとスープか、たまにでいいから肉出してくれたっていいじゃねぇか」

ミカサ「仕方ない、土地が減ってしまったから……」

エレン(土地を奪還すれば肉が手に入るようになる→ミカサにチーハン作ってもらえる→俺勝利)

ミカサ(わ、私の手料理のせいでエレンを危険な目に合わせてしまう……嬉しいのか悲しいのか分からない)

エレン「つまり俺が調査兵団に入って巨人共を駆逐すれば、こんな飯ともおさらばできるって事だろ?」

ミカサ「そんな理由で調査兵団に行く気ならやめたほうがいい」

エレン「食料事情が改善されればアルミンのお祖父さんみたいな人だって減るじゃねぇか!」

エレン(そんな理由とか言うな!お前の作ってくれるチーズハンバーグが大好きなんだよ!)

ミカサ「それは……」

ミカサ(人口の2割と私の料理を天秤にかけられても……)


アルミン(今ごろ一方的な脳内会話が繰り広げられているんだろうな……)

──1300 立体機動術

キース「これより立体機動術の訓練を始める!整列後、速やかに装備の点検を始めろ!」

「「「はっ!」」」

エレン(ハーネス異常なし、操作装置異常なし、接続問題なし、ガス圧正常──)ガチャガチャ

ミカサ(やっぱり真面目なエレンが一番好き……)ガチャガチャ

エレン「おいミカサ!ガスのバルブ閉まったままだぞ!」

ミカサ「え?……あっ、ごめんなさい。ぼーっとしてた」

エレン「珍しいな、お前がぼーっとしてるなんて」

エレン(体温が普段より1.23℃高い…!やっぱり熱が……?)

ミカサ「もう大丈夫だから心配しないで」

ミカサ(ただのエレン病だから)

キース「おいそこ!まだ終わらんのか!?」

キース(グリシャの言ってた通りだな、実に仲睦まじい……)

エレン「今終わりました!」

ミカサ「終了しました」

キース「それでは普段通り巨人を攻撃しろ!総員、立体機動に移れ!」

「「「はっ!」」」

ミカサ(エレンにいいとこ見せる……!!)

エレン(今日こそミカサに追いついてやる!!)

ミカサ(エレンが私を追いかけている!なんて幸せな時間!)

エレン(くっそ!どうやってあんなに速く動いてるんだ!?)

ミカサ(ん、目標補足。11時方向、距離300)

エレン(ミカサが向きを変えた!あっちに的があるんだな!!)

ミカサ(私の動きで的を察知していた?どうりで……)


コニー「お、あいつら向こうに行くみたいだな!向こうに的があるんだ!」

ジャン「俺には何も見えねぇぞ!?」

ライナー「ミカサの視力を考えろ!5km先に居るエレンを目視できるんだぞ!?」

ベルトルト「この先に的があるのは間違いない」

アニ「あんたらそうやって見つけてたのかい」

ミカサ(目標接近……3、2、1、攻撃、今)ズバッ

エレン「でぇぁあああああ!!!」スカッ

エレン(くそ!ミカサに追いつけねぇ!斬撃もミカサより浅い!!)

ミカサ(手加減するのはエレンに失礼。だから私は本気を出さなければならない!)

エレン(次こそ……!!)

ミカサ(次もエレンにいいとこ見せる……!新たな目標、2時方向、距離800)

エレン(ミカサに……追いついてやる!!)

ミカサ(エレンが普段より651.3mmも早く巻き取りを始めた?勝負を仕掛けられている?なら私も)

エレン(ミカサが普段より26.57%もガスを強めに吹かしている?逃げ切るつもりか!)



ライナー「なぁ?あの2人、一言も喋ってないのに連携取れてないか?」

ベルトルト「お互いの息がぴったりというか、動きが合っているね」

アニ「私達もやってみる?」

ジャン「あいつらには敵わねぇさ……」

ミカサ(接敵5秒前、3、2、1、今)ズバッ

エレン「くっそ……!」スカッ

エレン(まただ!また追いつけなかった!!)

ミカサ(少し可哀相かもしれない……)

エレン(こんなんじゃ……ミカサを守れるような男になんてなれねぇじゃねぇか)

ミカサ(エレン?)

エレン(俺はミカサより強くなってあいつを守るんだろ……これがこの体たらくかよ!!)

エレン(ミカサは俺の事を守ろうと必死に強くなろうとした。ならそのミカサは誰が守る!?)

ミカサ(エレン……私は……)

エレン「はっ!?ミカサ!前!前!木にぶつかる!!」

ミカサ「え……?あっ!」ガツン

エレン「ミカサ!?」

ミカサ「うっ……」バサッ

エレン「お、おい!ミカサ!?」

ジャン「ライナー!信号弾を撃て!教官を呼ぶんだ!!」

ライナー「おう!!」バシュウゥゥ

エレン「ミカサ!おい!しっかりしろよ!」ユサユサ

ジャン「バカ!あんま動かすな!」

キース「何事だ?」

エレン「ミ……ミカサが……ミカサが……」

ジャン「……アッカーマン訓練兵が立体起動中に木と衝突しました。前方不注視と思われます」

キース「そうか。私が医務室まで運ぶ。貴様等は訓練を続行しろ」

エレン「待ってくれ!俺も医務室に行く!」

キース「これは命令だ、イェーガー」

エレン「んな命令聞けるかこのハゲ!」

キース(ったく……グリシャめ、どこが素直でいい子なんだ)

キース「なら命令違反の罰則を与えねばならん。今から明朝0600まで医務室にて謹慎処分とする」

エレン「それって……」

キース「飯もトイレも許すつもりはない……分かったら行け」

ミカサ「私が呼び掛けても反応がなかった!もう誰の声も届かない!」

アルミン「海見に行こう」

エレン目覚める

ミカサとは一体

──2100 医務室

ミカサ「んっ……?」

エレン「ミ、ミカサ!?」

エレン(よかった……無事だ……)

ミカサ「ここは……?私はいったい……?」

エレン「医務室だ。訓練中にお前が事故ってさ……もう平気なのか?」

エレン(覚えていないのか!?そんなに酷いのか!?)

ミカサ「もう平気。心配しなくていい」

エレン「し、心配なんてしてねぇよ。心配するほどお前弱くねぇだろ」

ミカサ(嘘つき、心配してくれたくせに)

ミカサ「そうだった、私は強かった。だから心配いらない」

エレン「だからしてねぇって」

エレン(心配しないわけねぇだろバカ……)

ミカサ(ごめんなさい……でも、そういうことならバカでいい)

ミカサ「ところでエレン、部屋には戻らないの?」

エレン「謹慎処分だとよ。明日の6時までこっから出られねぇ」

ミカサ「謹慎処分?何かしたの?」

エレン「ただの命令違反だよ……飯もトイレもダメなんだってさ」

エレン(ミカサと一緒に居ることのどこが罰則なんだか……)

ミカサ(つまり今夜はエレンと一緒に寝られるという事!?)

ミカサ「それは大変。お腹が空いてしまう前に寝てしまったほうがいい」

エレン「それもそうだな。ミカサも休んだほうがいいだろうし」

エレン(ミカサと一緒に寝るなんていつ振りだろ……)

ミカサ「おやすみなさい、エレン」

エレン「おう、おやすみ」

エレン(早く元気になれよ?)

ミカサ(大丈夫、明日には治す)

──0000

ミカサ(……眠れない)

エレン「すぅ……すぅ……」zzz

ミカサ(エレンの声が聞こえないからエレンは寝ているみたいだけど)

エレン「みか……しゃぁ……」zzz

ミカサ(どんな夢を見てるのかな?夢は聞こえないみたい)ナデナデ

ミカサ(後5時間くらいで薬が切れてしまうのか)

ミカサ(……この薬は使って正解だったの?)

ミカサ(確かにエレンの事をいろいろ知ることはできた。けど)

ミカサ(ずっと私の事を想っていてくれていたのに、裏切ってしまったような気がしてならない)

ミカサ(エレンの気持ちを知ってしまった。こんなずるいやり方で)

ミカサ(もしエレンが勇気を出して告白してきたとしても、私はその勇気を無駄にしてしまう)

ミカサ(私はその時、どんな反応をするのだろうか……?)

ミカサ(……もうやめよう、こんな薬。もう2度と使わない。せっかく作ってもらって悪いけど)

ミカサ(もう、寝よう)

──0600 医務室~起床時刻

ミカサ(もう朝……エレンを起こさないと)

ミカサ(確かにエレンの気持ちは知ってしまった。エレンは私の事を愛してくれている)

ミカサ(そんな事を知ってしまっても私達の関係は変わらない。変わるわけがない)

ミカサ(だって、私も──)

ミカサ「エレン、おっきして」ユッサユッサ

エレン「ん……もう朝か……」

ミカサ(エレン、大好き……愛してる)

──同時刻 男子寮201号室~エレン・アルミン・ライナー・ベルトルトの部屋

アルミン(そろそろ副作用の影響で、今度はミカサの心の声がエレンに聞こえてくる頃合いだけど……)

アルミン(まぁ、いいか)

終わり

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom