八幡「え、いいんすか!?」
平塚「ただし、主夫としての実力を測らせてもらうために私が同行する。あと職場は私の部屋だ」
八幡「え?は?」
平塚「なんだ?異論でもあるのか?」ギロッ
八幡「はひ!ありません!サー!」
職場見学開始日
平塚「今日から三日間お前は私の部屋で専業主夫として実習してもらう。すでに君の親御さんには三日間の外泊許可をいただいている」
八幡「え?外泊?てか3人1組じゃないんですか?僕しかいないみたいなんですけど・・・」
平塚「ああ君は一人あぶれてたのでな。ちょうどいいのでそのままにしておいた。グループ決めの時に寝ている奴が悪い」
八幡「鬼め・・・てか三日間先生の部屋に住めってことですか!?ふ、二人っきりで・・・」
平塚「ああそうだ。主夫としての技量を測るためだからな。主夫に就労規則など無いのだよ。異論はあるまい?」
八幡「いやいやおかしいでしょ!教師と生徒が同じ屋根の下一緒に寝泊まりというのは・・・」
平塚「気にするな。さすがに私も生徒に手を出すようなしないし君もそんなことはしないしできないだろう?」
八幡「はぁ・・・帰りたい・・・」
平塚「では行こうか」
平塚邸
平塚「ほら入れ。ちょっと散らかっているが気にするな」
八幡「おじゃまします・・・って汚ったな!」
雑誌グチャグチャ ビール館ゴロゴロ カップ麺どっさり 吸殻もっさあ
平塚「どうした?これくらい一人暮らしの部屋としては普通だろう?まぁくつろげ」
八幡「くつろげって・・・歩くスペースすら危ういですよこれ・・・」
平塚「まぁこれくらいの方が主夫としてのやりがいもあるだろう。感謝しろよ」
平塚「よし、とりあえず飯を作ってもらおうか」
八幡「いやいやそれくらい自分でしてくださいよ!てかどうせカップ麺なんだからすぐでしょ!」
平塚「忘れたのか?今は貴様の専業主夫体験の真っ最中なのだぞ?主夫たるものその家の長たる私の言うことは黙って聞いていればいいのだ」
八幡「ぐ・・・なんて横暴な・・・わかりました・・でもとりあえず部屋の掃除からしましょうこれじゃ何も作れませんよ」
ガサガサ ゴソゴソ ドンドン ガシャーン 「こ、これはブラジャー!・・・って、まるで色気がない・・・」
八幡「ふぅ・・なんとか人並みの部屋くらいにはなったか・・・」
平塚「御苦労。では食事を頼む」
八幡「くそ・・・食材食材っと・・・」
平塚「ああ、言い忘れていたが食材は何もないからな。金は出す、買い出しに行ってきてくれ」
八幡「はぁ・・・・」
八幡「ただ今戻りました~」ガチャ
平塚「待ちわびたぞ比企谷、酒に合いそうなものを頼む」
八幡「飲む気かよ・・・てか食材無いのに酒はあるってどんだけ・・・」
調理中 トントン サクサク グツグツ
平塚「おお~!比企谷お前目の腐り具合からは想像もできないような煌びやかな料理ではないか!」
八幡「いやぁ煌びやかなんて・・・小6レベルですよこれ・・・最近はずっと小町が作ってたし」
平塚「いやいや謙遜するでない比企谷よ。お前にしてはという意味であってそこまで褒めたわけではないぞ」
八幡(うっぜ・・・)
平塚「それではいただきます!かんぱーい!」
八幡「いただきます。かんぱーいってそれ酒じゃないですか俺未成年なんで飲めませんよ。大体教師が生徒に 平塚「うるさいここは治外法権だ私が許可する飲みたまえ」
八幡「うわっぷちょっと先生!」
平塚「これも職場見学の一環だ。家長の晩酌に付き合えないで主夫が務まると思うか」
八幡「うぇぇ・・・」
しばらく経って
平塚「うわああああん私だって辛いんだぞ!わかるか比企谷!」
八幡「はいはいわかりますから落ちつきましょう先生・・・」(完全に酔ってやがる・・・)
平塚「いいやわかってない!専業主夫などと甘えた考えをしている貴様に社会人の辛さなど!!!」ドンッ
八幡「うわああごめんなさいわかってませんでしたわかってませんでした」
平塚「zzz・・・」
八幡「はぁ・・・やっと静かになった・・・」
八幡「それにしても・・・」
部屋中グッチャグチャ 色々散乱
八幡「せっかく片づけたのに・・・この人毎日こんなことしてんのか・・・」
八幡「とりあえず後片付けをっと・・・」
カチャカチャ ゴシゴシ キュッキュッ
平塚「・・・んん・・比企谷?」
八幡「あ、先生気がつきましたか。とりあえず片づけしときましたんで俺はこれで・・・」そそそ~キタクキタク
平塚「おい、誰が帰れと言ったぁ?お前は今私の夫なのだぞぉ・・・妻を置いてどこに行くつもりだぁ」フラフラ
八幡「いやぁやっぱりまずいっすよこんなの・・・明日朝またくるんで勘弁してください」
平塚「なんだとぉ?この期に及んで何を怖気づいている比企谷ぁ・・・ここでは私が法なのだ・・・貴様を返すわけにはいか・・・うぷ・・おろろろろろろろろ」
八幡「あわわわわわわそんな状態で起き上がるから!」
平塚「おぼぼぼぼぼぼ・・・はぁ・・・はぁ・・・」ベチョベチョ
八幡「・・・・・・とりあえず先生シャワー浴びてきてください・・・これは俺がなんとかしときますから・・・」
シャー
八幡「はぁ・・・まさか教え子におう吐物の処理をさせる教師がいたとは・・・」
八幡「せっかく作ったもん全部吐いたのか・・・」
八幡「下着もみんなゲロまみれじゃねーか・・・元からない色気がもっと無くなる・・・」
ガチャ
平塚「ふぅ・・・」
八幡「着替え置いといたんで着てください」
平塚「ああ、すまんな・・・色々と・・・」
八幡「気にしないでください」
平塚「なあ比企谷・・・怒っているか?」
八幡「怒っては・・いませんけど・・・」
平塚「けど?」
八幡「すごくめんどくさい人だと思いました」
平塚「が・・・・」
平塚「めんど・・・くさい・・・」ガク
八幡「あ・・・」
平塚「そうか・・・めんどくさいか・・・そうだよな・・・伊達にアラサーしてないもんな・・・私なんて・・・私なんて・・・」
八幡「あわわわわ」
平塚「すまなかった比企谷・・・今日は帰って良いぞ・・・というかもう職場見学は終わりにしてもいい・・・」
八幡「え・・先生?」
平塚「私はただ寂しかっただけなのかもしれない・・・ただ毎日学校と自宅を往復する生活」
八幡「あ、あの」
平塚「食事は即席めん、飲み物は酒・・・毎晩記憶を無くすほど飲んで部屋はめちゃくちゃ」
八幡「先生?」
平塚「それでも私は学校では気丈にふるまっていたつもりだった・・・生徒たちに舐められてはいけないしな・・・」
平塚「でもそうして気丈にふるまえばふるまうほど私の中の女としての本能が警告を出すんだ・・・」
平塚「それを忘れるがごとくまた酒を飲む・・・」
平塚「そんな暮らしをしていた中で比企谷、お前を見つけた」
八幡「え?」
平塚「お前は今まで私が出会って来た男たちとは全く違った男だった」
平塚「目は腐り根性はねじ曲がり卑屈で最悪の男だった」
八幡(喧嘩売ってんのか?)
平塚「だがお前のその腐りきった性格には理由があった・・・」
平塚「私は知っているぞ比企谷。お前は最悪な性格と最高の優しさを持っている」
平塚「私はその優しさに甘えていた。お前の優しさに甘えてこんなことまでしてしまった・・・」
八幡「あ、いや、そんな・・・」
平塚「すまん比企谷!職場見学も何もただ私がお前と一緒にいたかっただけなんだ!おかしいというのはわかっていた。こんなこと学校にばれたらタダでは済まないことも!」
八幡「先生・・・」
平塚「だから今日のことは全部忘れてくれ!奉仕部だって嫌なら行かなくてもいい!」
八幡「・・・」
平塚「・・・」
八幡「そんなの・・・そんなのって無いですよ先生」
平塚「ひき・・がや・・?」
八幡「これは職場見学なんですよ?単位だってかかってるんですよ?先生の勝手でやめれるわけないじゃないですか。」
平塚「おい何言って・・・」
八幡「先生は俺に主夫になってほしいんですよね?そのためにわざわざ自宅まで用意してくれたんですよね?」
平塚「あ、いやそれ私が」
八幡「教育者たるもの個人的理由で生徒を動かしたりなんかしませんよね?」
平塚「あ・・いや・・・」
八幡「先生、職場見学の続きをしましょう」
シャー
八幡(勢いであんなこと言ってしまったが・・・)
八幡(主夫の夜の務めってあれだよな・・・)
八幡(ゴクリ・・・)
ガチャ
平塚「比企谷・・・」
八幡「先生・・・」
平塚「げ、幻滅してほしくないのだがな・・・私は実は・・・まだ・・・したことが・・・な・・なくてな・・・」
八幡「えぇ!だって先生この間同棲相手に家具まで持ってかれたとかって話してたじゃないですか・・・」
平塚「それは事実だが・・・あの頃はまだ清い付き合いでな・・・その・・ことに至る前に出て行かれてな・・・」
八幡「あぁ・・・俺も初めてなんで気にしないでください」
平塚「ああ、それについては問題ない」
八幡(ぐっ・・・当然だってか・・・)
八幡「それじゃ先生・・!」
平塚「あ、ああ!来い!」
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チュンチュン
平塚「ん・・・」
八幡「おはようございま先生」
平塚「うむ・・・おはよう比企谷」
八幡「昨夜は・・その・・・」
平塚「うむ、なかなかの主夫っぷりであったぞ。これなら単位もばっちりだな」
八幡「だはは・・・俺もなんだか主夫に自身もてましたよハハハ・・・」
平塚「比企谷よ・・・後悔はしていないか?」
八幡「後悔だなんて・・・俺は過去を振り返らない人間なんですよ」
平塚「そうか・・・その言葉忘れないぞ」
八幡「あの・・・先生・・・今回は三日間だけですけど・・・卒業したら・・・その・・・」
平塚「!」
八幡「し・・・静さんのところに就職させてください!」
平塚「!!!」
八幡「だ・・駄目ですか?」
平塚「・・・ま・・・待っているぞ・・・八幡!」
完
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