魔王「いつかまた会うその時まで」 (106)

命の尊厳を説いた師は、同じ者よりも価値がなかった

命の大切さを話した君は、その大切な命に含まれなかった

生きろ、と言う言葉は残酷だ

君がもし僕だったら、同じ様に感じただろうか

感じて欲しい、そうあって欲しい、幸せになって欲しい

人間とは面倒だな

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1367859976

****「ーーーい。ーーーきみ。」

ーーー

****「おーー、ーー丈夫か?」

****「君、目を覚ましなさい!」

青年「ん、あー・・・?」

****「君!、大丈夫か!?」

青年「? 貴方は?」

戦士「おーい、そいつ大丈夫そうかぁ?」

****「ああ、今しがた目を覚ましたところだ」

****「君、どこか怪我はないかね? 体調は大丈夫か?」

青年「え、あぁはい、どこも悪くありませんよ」

****「・・・そうか。なら良かった」

勇者「私は勇者だ。こんな所に倒れていたものだから心配したよ」

青年「?」

勇者「?」

青年「あぁ」

勇者「?」

青年「俺はただ寝ていただけですよ?」


勇者「だけって・・・」

勇者「ここは人里離れた道端だぞ?」

青年「えぇ、急に眠たくなったもので」

勇者「・・・」

青年「?」

勇者「はぁ・・・」

戦士「おっ、ほんとだ。目覚ましたみたいだな」

青年「貴方は?」


戦士「俺か? 俺は戦士ってんだ、宜しくな!」

青年「はい、こちらこそ。俺は青年って言います」

戦士「んで、こいつが勇者だ」

青年「はい、先程そう伺いました」

戦士「そうだったか。しかしなんだってこんな所に倒れてたんだ?」

青年「いえ、倒れてたのではなく寝ていただけなのですが・・・」

戦士「寝ていた、のか? こんな所で?」

勇者「どうやら、そうらしい」

青年「はい。睡魔には勝てませんでした」

戦士「・・・」

勇者「・・・」


戦士「しかし何だってこんな所に?」

戦士「冒険者にも見えねぇし・・・何より寝具すら持ってねぇ」

戦士「それとも寝ている内に盗られたのか?」

青年「いえいえ」

青年「俺は冒険者ですし、寝具は元から持っていませんでしたから。大丈夫ですよ」

勇者「・・・」

戦士「お前、良く生きてこられたな」


青年「そう言えば」

青年「勇者さん達って、もしかして大国の王の使いの?」

勇者「そうだ。私達は王から魔王討伐の命を受けている」

戦士「まぁ、今は各国周っているだけだけどな」

勇者「まずは魔物の脅威を鎮静させねば」

勇者「何事も土台が大切だからな」

青年「へぇ〜、本物の勇者達って初めて見ましたよ」

青年「パーティーはお二人だけ?」

戦士「いんや。後もう二人いるよ」

戦士「忘れ物をしたらしくてな。暫くしたら合流するぜ」



僧侶「お待たせ」

僧侶「おっ? そちらの方は?」

青年「初めまして、青年と言います」

僧侶「宜しく、私は僧侶だ」

僧侶「で、こっちが」

魔法「初めまして、魔法使いといいます」

青年「こちらこそ」

僧侶「で、勇者よ。この方とはどうしたのだ?」

勇者「いや・・・」



魔法「・・・」

僧侶「・・・」

勇者「やっぱりそういう反応になるよな」

青年「そんなものですかねぇ〜?」

戦士「そりゃそうだろ・・・」

青年「まぁ、慣れっこですけどね」

戦士「自覚が有るのか無いのか・・・」



青年「そうだ!」

戦士「?」

青年「勇者さん方、私もパーティーに入れて頂けませんか?」

勇者「えっ?」

僧侶「いや、いきなりだな」

魔法「どういう経緯なんでしょうかね?」

青年「あれ? けっこう冷たい反応」

戦士「唐突だしなぁ、仕方ないんじゃね?」

勇者「まぁ、理由だけでも聴こうか」

僧侶「さすがに寛容だな」


青年「いやぁ〜、一人旅って結構寂しいんですよ?」

魔法「つまらない理由だったね」

戦士「嘘でももっとマシなのが良かったな」

僧侶「気持ちは判るけどね」

勇者「・・・我々は魔王討伐の使命をおびているのだ」

勇者「そんな生半可な気持ちではいけない」

僧侶「さすが真面目君」


青年「あっ、でもこう見えて俺結構強いですから。」

青年「お役には立てるかと」

戦士「の割には武器さえ持ってないみたいだが」

青年「基本は魔法を扱いますからね」

僧侶「魔道士でも棍はいるでしょう」

魔法「お気に入りが見付からなかったのかな?」

僧侶「そりゃ、あんただけだよ」

青年「う〜ん、まいったなぁ」


青年「勇者さん。入団試験をお願いできませんか?」

青年「俺の有用性を判って頂ければ、きっと許してくれるはずですし」

戦士「だ、そうだ」

勇者「・・・」

青年「お願いします」

勇者「・・・そうだな、してみるか」

戦士「するのか?」

勇者「微かにとは言え縁を持った者だ」

勇者「勇者として、人として、その者の頼みを無碍にはできない」

僧侶「相変わらず堅いわね」

戦士「寛容だがな」

魔法「まぁ、今回が初めてじゃないですしね」


勇者「君は魔法職だったな?」

青年「はい、一応は」

勇者「剣は扱えるかい?」

青年「・・・あぁ、成程」

青年「でも勇者さん自らが相手で良いのですか?」

勇者「? 入団試験で流石に殺し合いにはならんだろ?」

青年「未来のお仲間ですからね」

勇者「そういう訳だ、戦士。剣を貸してくれないか?」

戦士「いやいや、置いてくなって。どういう訳だよ!」


勇者「? あぁ、済まない・・・」

戦士「なんか哀れみを感じるんだが」

僧侶「実際哀れだからでしょ」

魔法「青年さんでも理解されましたのに・・・」

僧侶「残念な頭ね・・・」

戦士「ひでぇな」

僧侶「いい? 一に私は戦闘職ではないの」

戦士「知ってるよ!」

僧侶「次に魔法ちゃんは小動物だからね」

魔法「敵でもない方と戦うなんて・・・」

僧侶「で、あんたは魔法が使えない」

僧侶「適性を計れるのは、残る勇者しかいないでしょう」

僧侶「その位判りなさいよ脳筋」

戦士「うるせぇ! お前らが言葉足らず過ぎんだよ!」

戦士「・・・判ったよ。ほら」

勇者「助かる」


青年「それで。どうすれば合格なんでしょうか?」

勇者「私も魔法が扱えるから気兼ねなく攻めてくるといい」

勇者「僧侶がいるからある程度の傷は大丈夫だ」

僧侶「致命傷は避けなよ?」

勇者「暫くの仕合いを通して、最終的に皆の総評で決める」

勇者「異論は?」

青年「勿論ないです」

戦士「良いみたいだな。んじゃ、・・・よーい。始め!」


戦士の掛け声を聴き、まず動いたのは意外にも勇者であった。手の平大の火球を放つと共に青年目掛けて走りこむ。
志望者の攻撃をいなし、自身に敗北を認めさせる。その様な素振りなど皆無であった。

戦士「今回のはどんくらい持つと思う?」

戦士の質問はどこか空虚に響きわたる。静観するその目には、どことない期待しか宿っていなかった。
見飽きた光景。予想の答えには時間しか残されていない。それが全てを物語っていた。

僧侶「まぁ、だからあんたはいつまで経っても馬鹿なんだけどね」

魔法「僧侶さん。本当のことでも言い過ぎですよ」

しかし、魔法職二人の反応はこれも意外なものであった。
戦士がそれに反応するより数瞬早く、勇者の火球の第二撃が青年を襲う。直撃だった。戦士は成り行きを見定める為に視線を逸らすのを止めた。

勇者「まぁ、そうなるよな」

そう漏らす勇者の視線の先、無傷の青年が静かににやける。
と、同時に勇者は青年目掛け斬りかかった。青年は剣で受け切る。その型にブレは見受けられない。
吹き荒ぶ風の音が聞こえてきたのはそのすぐ後。青年は勇者の剣を弾くと、とたんに後ろへと跳ね退いた。

勇者「参ったな・・・」

そう呟くのと同時、青年の詠唱により巨大な氷塊が出現する。それは勇者のすぐ近くに出現し、砕け散った。
氷片が勇者を襲う。小手に、鎧に、剣に、鈍い金属音が鳴る。露出した顔を防ぐ為、勇者は守りの型をとらずにはいられなかった。
そこに後方からの突風がさらう。前方へ意識を固めた勇者は、成す術なく体勢を崩してしまった。

ぽんっ

実際は金属音が響いたのだが、あたかもそう聞こえてしまうかの様に、青年の持つ剣の柄と勇者の鎧とが優しくぶつかった。

勇者「参ったよ」

差し出された手を取り、勇者は小さく声を漏らした。その時をもって入団試験は終わりとなった。


こんな駄文をここまで読んで頂いてありがとうございます。
何分、SSのみならず、スレッドを立てるという行為さえ初ですので、
現状右も左も判っていない始末です。

文章の稚拙さに関しては、厳しい意見を募集します。
後、普通のコメントも欲しいです。主にヤル気に繋がります。

書き溜めは終わり、日中は時間が取れない為、
かなりのスローペース更新にはなりますが、
どうかこれからも読んで頂けると嬉しい限りです。

宜しくお願い致します。

始まったばかりでよくわからないけれど期待してます。地の文の指示語の多さと所々気になる文章がある(例:予想の答えには時間しか残されていない→青年が保つ時間だけを尋ねる、でも問題ないのかなぁと)。あと最初の火の玉はどうしたのかが気になります

面白い

>>20
ありがとうございます。頑張って続けていきます。
>>19
ありがとうございます。
ご指摘の件ですが、地の文章は中々痛い所ですね。
随所に挟む予定ですので、次からしっかりと改善していきたいと思います。次からもどんどんご指摘ください。

最初の火の玉に関してですが、けん制ととって頂けたら幸いです。
勇者側からの攻撃を予期していない、集中力の足らないほかの志願者は、
このけん制で流れをもっていかれるという設定です。
今回は青年の横をかすめていっただけに留まりました。

まだまだ至らない点等ございますが、これからも宜しくお願いいたします。


戦士「マジかよ・・・」

僧侶「まぁ、あんたの反応はもっともよ」

魔法「・・・」

戦士「お前強ぇんだな」

青年「いえ、たまたまですよ。今回は手の内を明かしていませんでしたからね」

勇者「いや、そんなことはない。戦士はともかく、私達は多少予測していたからな」

戦士「そうなの!?」

僧侶「あんたは魔法の心得がないからね」


僧侶「私達の使う杖や棍にも意味があるのよ」

僧侶「魔翌力の集中点を作ることで精度を上げてる訳」

僧侶「標準装備なのは、初心者はこれがないと、まず魔術を練り上げられないからよ」

僧侶「熟練者でも、魔術の精度を上げる為、有るに越したことはないの」

戦士「つまり、杖を持っていなかったってのは」

僧侶「単なる馬鹿か、ある程度の実力の持ち主ってことね」

僧侶「あんた以外、みんな出会った時に意識してたわよ?」

僧侶「結果は・・・『ある程度』なんかじゃなかってだけね」


勇者「さて。私は負けてしまったのだが、一応皆の意見を聴こうか」

青年「宜しくお願いします」

戦士「俺は構わないぜ? 見た所剣の腕も相当だ」

僧侶「私も、むしろって感じね。後は楽しい人だったら万々歳」

魔法「・・・」

戦士「残るは魔法使いの意見だけだな」

魔法「私は・・・」

魔法「私は嫌です・・・」


戦士「ほぉう」

僧侶「怖い人には見えないけどねぇ?」

勇者「理由を聞いても良いかな?」

青年「・・・」

魔法「だって・・・」

魔法「だって、私。この人なんかに全然及ばないもん」

魔法「・・・ぇぐっ、やっとみんなに、必要とされたのに」

魔法「この、人が入るなら・・・私要らない子になっちゃう・・・」

魔法「ひっく・・・我が儘なのは判ってるけど、嫌なんだもん」

勇者「魔法使い・・・」


青年「・・・判りました!」

勇者「青年さん・・・」

青年「旅は何よりも人間関係ですから」

青年「俺のせいで空気を悪くしてしまって済みませんでした」

魔法「・・・」

戦士「なんか、悪ぃな・・・」

僧侶「そうねぇ・・・」

青年「いえいえ、条件は総評だと伺っていましたし。気にしないで下さいな」

魔法「・・・」

勇者「・・・」

勇者「なぁ、魔法使い?」

中途半端ですが、今日はこれで落ちます。
今後は、恐らく隔日での更新になります。
全体的な流れは決まっているのですが、もう少し進むと文面に書き起こすのに更に時間を要してしまいますので、
更にスローペースな更新になってしまいます。

どうか、末長く見守ってやって下さい。


魔法使いは俺が責任もって寝かし付けとくから

勇者は女?

おつ

会話で済むところは今回のようにセリフだけで良いけど、戦闘時はやはり地の文が欲しいな。
セリフと擬音だけだと何やってるかさっぱりだし、戦闘中に長々と喋っているのも変だからね。

あと、メール欄にsagaを入れよう。
入れないと>>23のように特定のキーワードが置き換えられてしまうよ。

>>28
そうして下さると助かります。私は僧侶派なので、僧侶は渡しませんが。
>>29
勇者は女じゃないです。因みに戦士も女ではないです。
>>30
ご助言ありがとうございます。
地の文章ですが、私もそう考えております。
なるべく読み易いように頑張っていきますので、これからも読んでやって下さい。

今日もいくつかすすめたら落ちます。
土日は少しペースを上げますので、どうかご容赦下さいますようお願い致します。
・・・実際は、一つもコメント付かないのではと考えていましたので、正直嬉しいです。
頑張って進めていきます。


勇者「私は彼に負けてしまったのだが、私は要らない子かな?」

魔法「・・・ぅぅん」

勇者「戦士なんて、魔法の才もなければ剣術も今一だ」

戦士「言い過ぎだ」

勇者「戦士は要らない子か?」

魔法「・・・ううん」

戦士(ほっ・・・)

僧侶「胸を撫で下ろしなさんな」

勇者「私達の仲は、多少強い仲間が出来た所で変わるものではない」

勇者「でなければ戦士など、とっくにさよならだ」

戦士「あっ、ちょっと泣きそう」

僧侶「少し散歩でもしてきたら?」


勇者「けれど無理強いはしない」

勇者「物分かりの良い方みたいだから、それでも駄目なら断るよ」

魔法「・・・」

勇者「・・・そうだな、判った」

勇者「青年さん」

青年「はい」

勇者「残念ながら今回はーー」

魔法「ーー待って」

勇者「! 魔法使い・・・」

魔法「・・・私はまだ氷系の魔法が使えないの」

青年「あっ、はい」

魔法「他のも貴方には遠く及ばないの」

青年「はい」

魔法「・・・意地悪しない?」

青年「むしろ良いパートナー志望ですよ」

魔法「・・・ありがとう」

青年「こちらこそ」


戦士「ん、あ〜・・・。解決?」

僧侶「みたいね。改めて宜しく」

青年「はい! 戦士さんも」

戦士「おう、お手柔らかに頼むぞ」

勇者「まとまったな?」

勇者「では、紆余曲折はあったがこれで君もパーティーの仲間だ」

勇者「これからも宜しく頼むよ」

青年「はい、こちらこそ」

僧侶「賑やかになるわね」

おー期待

乙です。
メール欄にsagaって入れるとちゃんと魔力って変換できるよ。「死ね」「殺す」も同じく。

乙でした
投下ペースはこの程度で全然問題無いから完結はしてくれ

ほう
実に興味深い

>>35
ありがとうございます。励みになります。
>>36
詳しくありがとうございます。また何かありましたらお願い致します。
>>37
そう言って頂けると助かります。末長く付き合ってやって下さい。
>>38
もっと興味をそそれる様に精進していきたいです。

今日はしっかりと更新します。


ーーーーー

僧侶「ところで青年君?」

青年「はい、何でしょうか?」

僧侶「君はもともと、どうして旅をしていたのか気になってね」

青年「あぁ、はい」

戦士「おっ、それに関しては俺も気になってたぜ」

勇者「そうだな。私も聴こうかと思っていたところだ」

青年「そうですねぇ〜。実際大した理由なんて持ち合わせていなかったのが実情ですが・・・」

魔法「旅に出たのは最近なのですか?」

青年「あぁ、そういうことですか」

青年「故郷を離れてからかなり経ちましたがね。俺、少し人間不信なんですよ」


青年「何人かは良い人を見つけはしたんですけどね」

青年「そのパーティー内には決まって嫉妬深い人がいまして・・・」

魔法「・・・」

青年「ごめんなさい、魔法使いさん。貴女のことではありませんから」

青年「まぁ、そんなこんなで一人旅がメインで。おかげでずっと強くなれましたけどね」

戦士「苦労してきたんだな」

僧侶「ってことは回復術もいけるのかい?」

青年「いえ、回復はできませんから僧侶さんのお株は奪いませんよ」

勇者「先の手合わせで妙に相殺が上手いと感じたが」

青年「はい、如何に攻撃を回避するかの戦闘を繰り返して来ましたので」

魔法「それも教えて下さいね」

青年「そう言って頂けて嬉しいです」


勇者「・・・そろそろ日没だな」

戦士「もう休むか? それとも進む?」

勇者「今日は余り魔物と遭遇しなかったが、な・・・」

僧侶「それ以上に激しい戦闘だったものね」

青年「面目ないです」

魔法「私も今日は休みたいです」

勇者「決まりだな。私達は使えそうな木片を探してくるよ」

僧侶「ほいさ。じゃあ魔法ちゃん、私達もテントを張りますか」

魔法「はい」


勇者「で、だ」

青年「あっ、やっぱり気になりますか?」

戦士「俺は手荷物に関して知りたいぞ」

青年「そうでしょうね〜」

勇者「私は剣術に関してで十分だよ。教えてもらえるかな?」

青年「判りました」

青年「まず剣術に関してですが、勇者さんの勘違いです」

勇者「勘違い?」

青年「尋常にやりあえば、まず俺では勝てませんでしたよ」

青年「やけに氷塊の展開が速いとは思いませんでしたか?」

勇者「! 君がとてつもないだけかと思っていたよ」

青年「あはは、ごめんなさい。実際は事前に冷気の流れを作っていただけです」

青年「勇者さんの火球を簡単に相殺できたのもそのせいです」

青年「寒気に俺は慣れていますが、勇者さんはそれで筋肉が弛緩したのですね」

勇者「・・・私もまだまだだな」

青年「そこは俺を褒めて下さいな」


青年「そして手荷物に関してですが」

青年「これも一人旅のせいです」

青年「俺は言うほど剣が上手くないので。加えて武器って重いでしょう? 囲まれた際に逃げる時邪魔なんですよ」

戦士「それだけ?」

青年「はい、それだけです。寝具も何度か捨ててしまって・・・」

戦士「・・・次の町に着いたらまずは武器を買うか」

青年「そうですね。次からは逃げなくても良さそうですし」


僧侶「ねぇ、魔法ちゃん?」

魔法「何でしょう、僧侶さん?」

僧侶「もう大丈夫そうかなぁ〜って」

魔法「青年さんのことですか?」

僧侶「うん、それもある」

魔法「大丈夫ですよ。ちょっとコンプレックスを感じちゃいましたけど」

魔法「それに、改めて勇者さんに慰めてもらって、あぁここは本当に私の居場所なんだなぁって実感しましたから」

僧侶「落ちちゃった?」

魔法「残念ですが純粋な憧れですよ。それに、見掛けなら青年さんの方が好みですし」

僧侶「おっと、予想外のコメントね」

魔法「そうでしたか? そういう僧侶さんはどうなんです?」

僧侶「私?」


僧侶「そうねぇ〜」

僧侶「魔法ちゃんを傷付けまいと考えると、丁度良い盾ができたかなぁ〜」

僧侶「男だから怪我も平気、後衛からも攻撃できて、なおかつ新入り従順」

僧侶「今はまだ、背中を預けられるかな・・・」

魔法「今は良いの? 逆じゃなくて?」

僧侶「え? あぁ、ごめん、言い間違い。今はまだただの壁よ。魔法ちゃんの背中は私のもの」

魔法「僧侶さんが女の子で良かった」

僧侶「あれ? 魔法ちゃん、そっちの気があったっけ?」

魔法「ち、違います!」


僧侶「あははっ。ーーおっと、みんな戻ってきたみたいよ」

勇者「ただいま。テントありがとうな」

戦士「食える野草も摘んできたから、多少良い飯になるぞ」

僧侶「おっ、最近緑が足りてなかったからね。やるじゃないか」

青年「楽しい・・・。つくづく今に感謝しますよ」

魔法「ご飯の後はさっそく授業ね」

青年「えぇ。ふふっ、ふふふっ」

戦士「何か青年が気色悪ぃ」


青年「乾燥肉に野草数種。中々良いですね」

僧侶「そうね。穀物が恋しくなるのが難点だけれど」

戦士「そう言や、青年は飯とかどうしてたんだ?」

青年「御飯ですか? そうですね、大抵は食べてなかったですね」

勇者「・・・よく生きてこれたな」

青年「はははっ。俺、食べ溜めができるんですよ。その分食べる時は食べますけどね」

魔法「今日はお預けですね」

青年「とんでもないですよ。本来なら今日も食べず終いだったんですから」

青年「本当に有難いことです」


戦士「飯を食った後の、この時間って気持ち良いんだよな」

僧侶「それには全面的に賛同するよ」

魔法「後は、戦士さんがもっと綺麗に食べてくれれば良いんですけどね」

勇者「・・・それにも賛同だな」

勇者「さて。私はもう休むよ」

僧侶「そうか、では私もそうしよう」

戦士「お休み、俺はまだいいかな」

魔法「お休みなさい。私達は魔法のお勉強がありますので」

青年「そうですね。勇者さん、僧侶さん、お休みなさい」

勇者「あぁ、お休み。明日からも宜しくお願いするよ」

僧侶「お休み、青年君。魔法ちゃんと戦士もね」



と、言うことで私も落ちます。
明日も今日位更新できたらと思っております。
皆様、おやすみなさい。



面白い!

乙でした

おつ
まあ、マイペースでかんばってな



>>51
ありがとうございます。!付きで言われると少し照れますね。
>>52
ありがとうございます。読まれていると分かるのは、とても励みになります。
>>53
ありがとうございます。これからも頑張ります。
>>54
ありがとうございます。今日も書きます。

明日は更新出来なさそうですので、今日きっちり更新します。


嬉しいのは分かるけど一々レスに反応しなくていいから
投下はよ


僧侶「今日のは良い疲労感なんじゃないかな?」

勇者「複雑な心持ちだがな」

勇者「彼の言っていたこと。嫉妬深い人達だったか・・・」

勇者「恐らく、魔法使いではなく私のような者のことだ」

僧侶「理解が良いってのも疲れるわねぇ」

勇者「でなければ、君がいなくなってしまうからな」

勇者「少し矛盾してしまうが、これからも私を諭していってくれ」

僧侶「任せなさい。さっ、今日はもうお休み。大分疲れているでしょう」

勇者「あぁ、そうだな。お休み」

僧侶「お休み、勇者」



>>56
済みません。
次からは一括でご返答していきたいと思います。

全レスするやつもいるし、全く無駄なレスはしないやつもいる
人それぞれだから自分の好きなように


魔法「・・・相変わらず良い関係だね」

戦士「二人でこそこそしてさ。なんかこう、大人の関係ってやつを感じるよなぁ」

青年「お二方は交際を?」

戦士「だったら面白ぇんだけどな」

魔法「お二人ともそういうのに興味がないみたいです」

青年「お二人は?」

戦士「俺はさっぱりだ。まぁ、今は無理だしな。旅が終わってからの話だよ」

魔法「やっぱりバ・・。良い家族ですから。私にはそれで充分ですよ」

青年「家族・・・。羨ましい響きですね」

魔法「今日からは青年さんも家族ですよ」

戦士「出来る弟・・・。いかん、また涙が」

魔法「もう寝たら?」

>>59
かしこまりました。
その時々でしっかり判断していければと思います。


魔法「と、言うことで。では青年さん。何から教えて頂けますか?」

青年「そうですね。じゃあ魔導の応用からいきますか」

青年「一般的に、私達の扱う魔導とは理と呼ばれています」

青年「自然の摂理。それらを操るわけですね」

青年「今回は、俺が最初に取り組んだことを教えましょうか」

魔法「お願いします!」

青年「初級編その1は、いきなりですが魔力の集中点についてです」

戦士「あっ、もう俺についていけない世界になったよ。悲しいけど俺も寝るわ」

魔法「あっ、起きてたんだ」

青年「お休みなさい」


青年「では改めて」

青年「この集中点ですが、これを少し意識すれば大体の魔法が扱えます」

青年「ですので、氷系の魔法を扱えるようにする為にも、まずは集中点からいきますね」

魔法「はい、青年さん」

青年「恐らく、今の魔法使いさんは魔法を発動するにあたって杖の先端部を意識しているかと思いますが」

魔法「はい」

青年「次からは、意識を拳に向けてみて下さい」

青年「最初は多分意味が判らないと思いますし、集中点も杖の先端のままでしょう」

青年「ですが、それで良いのです」

青年「よく、最初から杖なしで手の平に集中点を作ろうとする方がいますが」

青年「才能でもない限り、間違いなく集中点は分散してしまいます」

魔法「青年さんは?」

青年「・・・安心して下さいな。教えるとはつまりそういうことです」

青年「違和感を覚えてきたら次のステップです。それまで頑張りましょうね」

魔法「はい!」

青年「ではもう遅いですし、今日はお互い休みましょうか。大切なのは焦らないことですから」

魔法「そうですね」

青年「はい、ではお休みなさい。火は私が処理しますので」

魔法「はい、青年さんおやすみなさい」


青年「・・・」

青年(勇者一行か・・・)

青年(それに魔法使いとの授業・・・)

青年(これが運命というのならタチが悪い)

青年(・・・俺も今日は寝よう)

青年(月があまりにも綺麗だから)


最初に君と出会ったのは、月が綺麗な夜だった

君が消え、私の心に空いた穴はまるで月のように

夜風と共に現れては消える

夢に消え、喧騒に消え、過去に消え

いつしか私も大人になった

今も私は月を眺める

あの頃と変わらない月は無常だ


今日はこれで落ちます。
ありがとうございました。

乙でした

乙です

おつ

パーティー全員の性別を教えていただきたい

>>70
>>31と内容から察するに
勇者と戦士と青年は男
僧侶と魔法使いは女
じゃないか?

まだかなまだかなー


>>67 >>68 >>69
ありがとうございます。頑張ります。
>>70
71さんのおっしゃる通り、勇者、戦士、青年が男
僧侶と魔法使いが女です。
>>71
お答えして頂いてありがとうございます。
これからはなるべく判り易く書いていきます。
>>72
お待たせしてしまいましたが、今から更新していきます。

今日は3時までに幾つか更新していきます。
宜しくお願いします。


青年「おはようございます・・・。皆さんお早いですね」

戦士「おはよう。お前が遅いだけだぜ」

僧侶「昨日はお楽しみだったのかい?」

魔法「今日から集中点のお勉強ですね」

勇者「今日中に街に着きたいからな。ご飯はしっかり食べておきなさい」

青年「あっ、ありがとうございます」

魔法「僧侶さんって集中点はもうマスターしてるんですか?」

僧侶「あぁ〜、治癒術は分野が違うからねぇ。似たようなのはあるけど、それはもう習得しちゃったなぁ」

戦士「勇者よ〜。剣術磨ける方法ってねぇの?」

勇者「素振りから始めろ。怠けてるからそうなるんだ」

戦士「俺もそろそろ頑張んねぇとな・・・」

青年「いや〜、久々に大勢で囲む食事は良いものですね」

僧侶「今食べてるのは君だけだけどね」


魔法「集中点、集中点・・・杖ではなく拳に」

僧侶「魔法ちゃん。集中するのは良いけど、コケない様にね」

戦士「まぁ、今は素振り出来ないし。俺はまた今度で良いか」

勇者「はぁ・・・」

戦士「どうした、勇者? 溜め息なんかついて」

勇者「・・・数えるのを止めてからかなり経ったと思ってな」

戦士「何か数えてたのか?」

勇者「いや、いいんだ。今は青年が入ってくれてるからな」

戦士「?」

僧侶「因みに回数だけで言うと27回目ね」

勇者「もう、そんなになるのか・・・」

魔法「最初は慣れる様に・・・ゆっくりと。焦らずに」

僧侶「人間性の差かな」

勇者「そうだな。もはや人としての差だな」


僧侶「おっと、どうやら魔物の群れだよ」

戦士「1,2,3・・・結構数が居るな。早めに始末しておくか」

勇者「そうだな。戦士は前方に、僧侶は青年に付いて、魔法使いは私の後ろへ、青年は左に展開してくれ」

勇者「戦士! 後ろにも気を付けろよ。数が多いから魔法で蹴散らす」

戦士「ちょっと待て! それなら俺が前に出た意味はあるのか!?」

勇者「・・・いくぞ! 全員火炎を放て!」

青年「火炎ですね。火炎は・・・風上から風に乗せて、勇者さんが前面だから・・・」

僧侶「君は戦士とは真逆の性格みたいだ」

青年「・・・多分、貴女なら理由に気付いていらっしゃるのでは?」

僧侶「あぁ、やっぱりそうなんだ。てっきり勘違いかと思っていたよ」

青年「魔法使いさんには、まだ内緒にして下さいますか?」

僧侶「大変だねぇ、お師匠さん」

魔法「ーー拳に集中。魔力の流れを拳に・・・。あっ、魔力が散っていく・・・」

魔法「あっ、戦闘が終わっちゃった。結局、私何もできなかったな・・・」


魔法「中々難しいですね・・・」

青年「最初の目安は一週間強ですから。今はそんなところですよ」

戦士「何やってるのか知らねぇけど、青年も居るんだ。こっちは意識しなくても良いぞ」

勇者「その通りだ。私達も強くなった魔法使いを見てみたいからな」

僧侶「だってさ。それに魔法ちゃんも魔力だけは消耗しちゃってるんだし。それも一つの戦いだよ」

魔法「みんな・・・。ありがと」

青年「しかし、魔力が散っていったのですよね?」

魔法「あっ、はい。魔法さえ形成できなかったです」

青年「う〜ん。やっぱり俺が才能なかっただけか・・・」

魔法「?」

青年「あぁ、いえ。そこまでいけば、後は流れですよ」

青年「無理やり形成しようとはせず、繰り返しで自然と形成出来れば次に進めますので」

戦士「・・・なぁ勇者よ、お前もあれやったのか?」

勇者「学校で習ったよ」

僧侶「今現在で習ってないのはあんただけよ、戦士」

戦士「なんかすっげー疎外感」


魔法「戦士さんも青年さんに教わってみたら良いのに」

戦士「いや、俺はいいよ。なんつぅか、絶対に上達しないことはやらない主義なんだ」

魔法「成る程。それで剣術も磨かれないのですか?」

戦士「・・・」

戦士「お前、やっぱり俺に対してだけ性格キツ過ぎねぇか?」

魔法「そうですか? 普通に疑問に思ったことを聞いただけですよ」

魔法「だから一緒に強くなりましょうね。戦士さん」

戦士(・・・嫌だなぁ)

ーーーーー

青年「済みません、少し宜しいですか?」

僧侶「どうかしたかい? そんなに畏まっちゃって」

青年「いえ。・・・その、もしかしたら失礼に当たるのではないかと思いまして」

僧侶「魔法ちゃんのこと?」

青年「! はい、そうです」

僧侶「別段、構わないわよ。気にならない方が変だしね」


僧侶「勇者一行の魔法職が、どうして集中点さえ習得していないのかってことでしょう?」

青年「・・・言ってしまえば、ですが」

僧侶「良いのよ、当然の反応なんだから」

僧侶「・・・そうね、彼女は決して強くはないわ」

僧侶「戦士もね。かと言って特別な家柄って訳でもないの」

僧侶「何でそんなパーティーかって言うとね。これは、私から勇者に出した課題の答えなのよ」

青年「課題、ですか?」

僧侶「そう、課題ね」

青年「・・・」

僧侶「あっ、私からは教えないからね? その内、勇者に聞きなさいな」

青年「あっ、はい、判りました」

僧侶「・・・まぁ、あれね。君の質問への解答としては弱いから付け加えると」

僧侶「勇者は先生には向かなかったってことよ」

僧侶「だからね? 実際結構助かっているのよ。青年先生?」


本日は以上です。
また明後日の終わりに更新出来ればと思っております。
ありがとうございました。

ふむ。いい引きだ。

乙!
パーティの年齢は10代後半ぐらい?

僧侶は何に気付いたんだ……?


>>81
ありがとうございます。私も、良いタイミングで切れたと思ってます。
>>82
年齢ですが、青年、勇者、僧侶が20代前半。戦士、魔法使いが10代後半辺りを想定してます。
>>83
気付いたことですが、これはかなり先にならないと回収されない為、
今は(何かあるんだなぁ〜)と思って頂ければと思います。

更新遅れてしまいまして、済みません。
今からまた再開します。


ーーーーー

戦士「・・・やっと着いたぜ・・・」

僧侶「流石の私も疲れたわ・・・」

魔法「・・・」

青年「女国、来るのは初めてです。大きい国ですね」

僧侶「一応大国の定義に当て嵌まる国だからねぇ」

勇者「・・・青年は身分を証明出来るものを持っているか?」

僧侶「そう言えばそうだったわね」

戦士「お前勇者なんだし、何とかなるんじゃねぇの?」

青年「残念ながら持ち合わせてないですね。何かに必要でしたか?」

勇者「いや、これから城に謁見に行くんだがな。君の身分を証明できなければ」

青年「成る程」


魔法「どうします?」

勇者「とりあえず謁見の要求だけでもしてみるか」

青年「あっ、俺なら大丈夫ですよ」

青年「流石に出会ってから間もないですし。そんなにご迷惑をおかけしたくもないです」

青年「それに、純粋に街を周ってみたいですし」

僧侶「・・・まぁ、君がそう言うなら話は早いんだけどね」

戦士「悪ぃな。俺からも謁見の機会を頼んでみるからよ」

魔法「せめて、次の国への推薦状だけでも頂いて来ますね」

青年「あはは。皆さんありがとうございます」

勇者「適当な時間になったら女神像の噴水前に来てくれ。後、これを」

青年「お金。そういえば俺無一文でしたね・・・」

勇者「装備だったりの補填は明日行う予定だ。それは好きなことにあてがうと良い」

青年「何から何までありがとうございます」

勇者「気にすることはない。では、また後で」

青年「はい、皆さん」


青年「・・・流石に、いきなり謁見はできないからな」

青年(下手に色々薦めて貰うのも良いとは言い難い。とは言え、この国の王には取り合う必要がある)

青年(まぁ、急ぐ必要もないか。明日すぐに国を発つ訳でもないだろうし)

青年(・・・女国。成程、巡回している兵にも女性が目立つな)

青年(だが、見た所数人程度が相手なら俺でも勝ててしまうだろう)

青年(争いを好まぬ、平和の象徴としての女官優位の体制)

青年(例え国同士で和平を結んだとて、やはり突発的な事象には脆そうだな)

青年(・・・変なことを考えていても仕方ない。せっかくだ、とりあえず店に寄ってみるか)


店主「いらっしゃい。何をお探しですかな?」

青年「何を、というものでもないんだ。済まない」

店主「そうですか。何か御入り用でしたらお声をかけて下さい」

青年「あぁ、そうするよ」

青年(馴染みの多いよろず屋といったとこか。買いたいものが見付かれば万々歳だな)

青年(・・・)

王女「店主さん、こちらを頂けますか?」

店主「おぉ、王女様。今日も麗しゅうございます。こちらの代金は・・・」

青年(・・・王女?)

王女「いつもありがとうございます」

店主「いえいえ、滅相も御座いません」

青年「あの〜、王女・・様?」

王女「はい、何でしょうか?」

青年「王女様って、あの、女国の王女様?」

王女「それ以外の王女様とお知り合いなのでしょうか?」


青年「何で王女様がこんな商店で買い物などを?」

店主「これ、こんなとは何ですか。客人はこの国は初めてなのかな?」

青年「はぁ」

店主「この国の王は民との交流を大事にして下さっている。王女様は幼い頃より私の店に足を運んで下さっているのですよ」

青年(王女が馴染みの店ってすげぇな・・・)

王女「初めてのお使いでは泣いてしまいましたわね」

店主「そんなことも有りましたな」

青年「ははは・・・」

店主「これも全ては王の寛大さ故。客人も粗相のない様にな」

王女「いいえ、良くして下さっている皆様のおかげですわ」

店主「嬉しいお言葉ですな」

青年「・・・あっ、あの!」

王女「はい」

青年「ちょっとお食事でもいかがですか?」


済みません。
今日はこれで落ちます。ありがとうございました。

乙でした

女王ナンパしやがったぜ


年齢サンクス

いきなりナンパw

>>91 >>92 >>93 >>94
ありがとうございます。

更新速度の遅延が顕著になってきましたが、
どうか最後まで気長にお付き合いください。


王女「え〜っと・・・」

青年(・・・これは失敗だわ。幾ら何でもこれはないわ)

王女「申し訳ありませんが、今日はお母様と食べる予定がありますので」

青年(やっぱり断られるよな)

青年「いえ、こちらこそ無理を言ってしまって・・・」

青年「! 店主、これお金」

店主「おっ、まいど」

青年「でしたらこのヌイグルミを貰って頂けませんか?」

王女「えっ?」

青年「お近付きの印に。いけませんか?」

王女「駄目ではないですが・・・。貴方の期待には応えられませんよ? それでも宜しいのですか?」

青年「大丈夫です。またいつかの、お食事の機会の為ですから」

王女「判りました。では有り難く受け取らせて頂きますね」

青年「大事にして下さいね」


青年「・・・行ったか」

店主「客人、やりおるな。どこで知りおった? 再会の念のヌイグルミのことを」

青年「昔同じものを買おうかと思っていたんですよ。また会いたい人へのプレゼントで」

青年「結局買いませんでしたけどね。ははは・・・、しかし初めてのナンパが王女様ですよ」

店主「因みに同じ様な輩を、今まで数十人と見てきたな」

青年「ですよね」

店主「まぁ、期待は持たんことだ。・・・しかしなぁ〜」

店主「幼い頃から知っているとな。こう、浮いた話一つないのも寂しいものだよ」

青年「あのお年で一つもないのですか?」

店主「私もそこまで内政には詳しくないのだがな。一度も話題に挙がらないからなぁ」

店主「客人含めて淡い期待を抱くのも、それが原因だよ」

店主「まっ、うだうだ言ってもしょうがないさ。せめて生きてる内に世継ぎをお披露目になってくれれば嬉しいんだがな」

青年(確かにしょうがないか。知ったとこで俺には関係ない・・・)

青年(ヌイグルミ、大切にしてくれると良いなぁ)

青年「店主、また来るよ」

店主「はいはい、お待ちしてるよ」


青年(さて・・・、これからどうするかな)

青年(金を尽かせてしまった、待ち合わせがあるから稼ぎにもいけない)

青年(・・・大人しく待つか)

青年(・・・女国は民との交流を大切にする、か)

青年(この分だと案外俺も、あっさりと謁見できそうだな)

青年(そうなると可能性としては宿泊場所は城だろう。着いた時間から考えるに、多分食事を共にすることになる)

青年(・・・もしかしてお母様とって、あしらいでも何でもない、純真無垢な言葉なのか)

青年(あぁ、冷静に考えれば考える程、さっきの行動は馬鹿らしいな。後で顔を合わせることになるだろうに)

青年(まぁ、何だかんだ言って、俺だって王家の人と話すのは初めてなんだ。緊張だってするさ)

青年(・・・しかし、俺個人は見向きもされなかった。それが今は勇者一行だから、繋がりを持てる可能性がでてくる)

青年(結局、大成を成すのは一般人なんかじゃないってことだ)

青年(悲しい運命だよ、ほんとに)


久々の寝落ちを体験しました。
今日はこれで終わります。ありがとうございました。




>>95
自分のペースで投下したらいいんじゃないかと思う

乙でした

乙です
青年が何者なのか楽しみ

>>100 >>101 >>102
ありがとうございます。程好く更新していきたいと思っております。
ついに内容を上手く文面に起こせなくなって来ましたが、頑張ります。
>>103
ありがとうございます。
楽しみを打ち砕かないように展開させていきたいです。

久しぶりになりますが、今日も幾つか更新させていきます。


ーーーーー

勇者「以上で報告を終わります」

女王「そうですか。やはり魔物の動きは活発化しているのですね」

勇者「はい。このままではいずれ、より強大な魔物も出現するでしょう」

勇者「私達もそろそろ、根本を断ち切るべく魔王討伐に打って出ようかと考えております」

女王「相判りました。では、今回こちらに参られた件に関してですが」

勇者「特に明確な意図はございません。寄らせて頂いたので、ご報告致した次第です」

勇者「ただ、このままですと魔物による被害が拡大する恐れがありますので」

女王「そうですね。兵にはより一層の警戒を指示します」

女王「貴方がたもこの先お気を付けて下さい」

勇者「ありがとうございます」

女王「道中は野営でお疲れでしょう。本日はこの城にて休息を取られて下さい。食事等は追って連絡致します」

勇者「・・・そのことなのですが」

女王「なにか問題でも?」


勇者「道中で新しい仲間を迎えましたが、紹介状に記名されてませんので現在城下街に待たせているのです」

勇者「残念ながら身分を証明出来ませんので…」

女王「成る程。ですが貴方がたが認められたお相手なのでしょう?」

勇者「その点については」

女王「でしたら通しても構いません。貴方がたのお仲間なら不逞を働くこともないでしょう」

勇者「しかし・・・」

女王「この国は民との交流を主に今までやって来ました。私はこの姿勢を変える気はありません」

女王「これは信頼なのです。私を守る兵と、そして貴方がたとの」

勇者「・・・私達が監視していれば?」

女王「その通りです。悪い言い方をすればですが」

女王「では使いを出しましょう。待ち合わせ場所はお決めになられていますか?」

勇者「はい、女神像の噴水前です」

女王「名は何と申されるのですか?」

勇者「青年と言います」

女王「判りました。食事の準備をさせますので、それまでお部屋でお待ち下さい」

勇者「かしこまりました」

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