C.C.「ゼロはハニートラップに弱い」カレン「はぁ?」ゼロ「……」(171)

カレン「今回の作戦も上手くいきましたね、ゼロ」

ゼロ「そうだな。得られた結果は悪くない。成功と言えるだろう。だが、これは通過点に過ぎない。満足はするな、カレン」

カレン「はい。勝って兜の緒を締めよ、ですね」

ゼロ「そういうことだな」

扇「流石はゼロだ。玉城だったら勝利に酔いしれて、隙だらけになるっていうのに」

玉城「そりゃ、扇もだろぉ!」

藤堂「ゼロの言う通りだな。我々の目的は日本解放にある。そのための手段で浮かれていては成功など掴めないだろう」

カレン「でも、ゼロがいれば大丈夫ですよ。ゼロにはこれといった弱点とかないですし、ブリタニアだっていつか弾けるはず」

ゼロ「あまり私を過信するな。私とてそこまで万能ではない。まぁ、有能ではあるがな」キリッ

C.C.「……」

ゼロの自室

ルルーシュ「さてと、次の作戦を練るとするか」

C.C.「なぁ、ぼーやぁ?」スリスリ

ルルーシュ「なんだ?」

C.C.「騎士団の軍資金を少しばかり私個人に流してくれないか?」

ルルーシュ「無駄と分かって言ってるのか?」

C.C.「いーや。私の要求が通らないなんてこれっぽっちも思っちゃいないよ」ギュッ

ルルーシュ「……近いぞ」

C.C.「なぁ、ルルーシュ……?」

ルルーシュ「な、なんだ……離れろ……」

C.C.「もし、私の願いを叶えてくれるなら、なんでもしてやる。私の体を好きなように使っていいぞ?」

ルルーシュ「やめろ。寒気がする」

C.C.「私の体温は人並みのはずだが?」ギュゥゥ

ルルーシュ「お、おい!! なんのつもりだ!!」

C.C.「どうした、ルルーシュ。破格の条件だろうに」

ルルーシュ「何が破格だ!! 裏があるようにしか思えない!!!」

C.C.「裏もなにも、運用資金の一部を自由に使わせてくれと言っている。その代わり、私の麗しい肉体を自由にしていい。それだけのことだ」

ルルーシュ「ならば、交渉は決裂だな。俺は劣情に流されて信条や信念を折るようなことはしないし、その程度で失敗するほど愚かじゃない」

C.C.「ふぅん……そうか……」

ルルーシュ「目的が俺にとって有益であるのなら使わせてやらないこともないがな」

C.C.「なら、目の保養をさせてやるから、お小遣いをくれ」スルッ

ルルーシュ「おい!! やめろ!! 脱ぐんじゃない!!!」

C.C.「いいじゃないか。見慣れているだろう?」

ルルーシュ「俺はいつも目を背けている!!」

C.C.「そうなのか。なら、この機会にじっくり嘗め回すように見るがいい。ほーらっ」

ルルーシュ「やめろぉ!!!」

C.C.「大声を出せば誰かが部屋に来てしまうぞ。いいのか?」

ルルーシュ「い、いくら、ほしいんだ……それによる……」

C.C.「……」

カレン「ゼロ。紅月カレンです」

『入れ』

カレン「失礼します。キョウトからの補給物資の件で――って、C.C.じゃない。どうしてここにいるの?」

C.C.「私がどこにいようが、小娘には関係ない」

カレン「なんですって?」

ゼロ「相手にするな、カレン。それよりもリストを」

カレン「は、はい。これです」

ゼロ「ふむ……」

カレン「何してたのよ?」

C.C.「ん? 気になるのか?」

カレン「……べ、別にっ」

ゼロ「カレン。相手にするな。時間の無駄だ」

カレン「はい。ゼロがそう言うなら」

C.C.「それにしてもカレンも他の連中もゼロのことをかなり信頼しているようだな。私からすればお前たちが可愛くてしかたがないよ。こんな奴を信じるなんてな」

カレン「は? なにいってんの?」

ゼロ「おい」

C.C.「お前は言ったな。これといった弱点がないと」

カレン「ああ、言ったよ。だって、その通りじゃない。カリスマだってあるし、作戦考案力もあるし政治にも強いし。いつも新聞読んでるし」

ゼロ「新聞ぐらいカレンも読め」

C.C.「お前が信頼を寄せる理由はそれだけか?」

カレン「そうだけど、文句あるわけ?」

C.C.「こいつには致命的な弱点がある。今、お前が挙げた有能な部分を帳消しにして余りあるほどのな」

カレン「ゼロにそんなのあるわけないでしょ」

ゼロ「おい、C.C.。なんのつもりだ」

C.C.「最近のゼロはどうにも調子に乗っている。そんなことではブリタニアを潰すことは勿論、日本を解放するなんて夢のまた夢だ」

カレン「なんの根拠があってそんなことをいうわけ?」

C.C.「お前には教えておいてやろう。こいつは、ゼロはハニートラップに弱い」

カレン「はぁ?」

C.C.「本当だ」

ゼロ「……」

初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」

初春「百番煎じのSSは、書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねぇ」

初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」

初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」

佐天「初春?」

初春「結果として面白くないのは許せます。許せるだけで面白くはないんですが」

初春「パクリ二匹目のドジョウ百番煎じは許せませんね。書いてて恥ずかしくないんですか?」

初春「ドヤ顔してる暇があればとっとと首吊って死ねよ」

初春「そうネットに書いてありました」

佐天「なあんだネットかあ」

初春「一番の害悪はそういったSSを持ち上げてる人たちなんですけどね」

佐天「ふーん」

カレン「ゼロ。好き放題言われてますけど、いいんですか?」

ゼロ「あ、ああ……。そうだな。C.C.、でたらめを言うな」

C.C.「おいおい。お前、さっき――」

ゼロ「それ以上言ってみろ!!! 俺は予想外の行動を取る!!!」

カレン「あ、あの……」

C.C.「ほう? 私の想像が追いつかないほどの行動か。面白いな。やってみろ。ほら」

ゼロ「……出て行け」

カレン「そーだ、出て行けー」

ゼロ「私はカレンに言ったのだが」

カレン「え?」

ゼロ「君の用事は済んだだろう」

カレン「それは……はい……」

ゼロ「持ち場に戻ってくれ」

カレン「……はい。失礼しました」

C.C.「ふっ」

ルルーシュ「なんのつもりだ、魔女」

C.C.「お前の欠点を詳らかにしてやったまでだ。自分自身の弱点には気がつかないものだからな」

ルルーシュ「なるほどな。共犯者としては正しい行動だ。評価してやってもいい」

C.C.「そうだろう」

ルルーシュ「だが、ゼロの評価を貶めようとしてもお互いにメリットはないはずだが?」

C.C.「カレンは親衛隊だ。ゼロの弱点を知っていても問題あるまい」

ルルーシュ「あるに決まっているだろ!!!」

C.C.「よくわからないな。どこにある?」

ルルーシュ「ゼロは完璧でなければならない。少なくとも黒の騎士団にとってはな」

C.C.「色仕掛けに弱いなんて口が裂けてもいえないということか」

ルルーシュ「俺に色仕掛けなど通じない」

C.C.「さっきは私の裸を見てドキマギしていたくせに」

ルルーシュ「していない」

C.C.「絶妙なボディバランスだろ?」

ルルーシュ「くっ……!! お前も出て行けっ!! 仕事の邪魔だ!!」

ゼロ「暫く部屋に入ってくるな!!」ポイッ

C.C.「こら、何をする。女に乱暴するとは何事だ、坊や」

ゼロ「私が良いというまで入室を禁じるっ!!!」

C.C.「おい。――ちっ。閉めたか。仕方ない、ピザでも食べるか」

カレン「ちょっと」

C.C.「なんだ?」

カレン「さっきのどういうこと?」

C.C.「どういうこと、とは?」

カレン「……ゼロがハニートラップに弱いってことよ」

C.C.「そのままの意味だ。奴は女の色香に対しては無防備、というよりは耐性がない」

カレン「嘘でしょ?」

C.C.「疑うならやってみろ。何でも答えてくれるはずだ」

カレン「あんたの言うことなんて信じられるわけないでしょ」

C.C.「信じるも信じないもお前の勝手。好きにしろ。私はピザを食べてくる」

カレン「……」

カレン「……」

千葉「どうした、紅月?」

カレン「千葉さん……。あの……」

千葉「なんだ? 悩み事か?」

カレン「千葉さんは、ハニートラップを仕掛けた経験とかありますか?」

千葉「突然なんだ?」

カレン「いや……その、どうなのかなーって……」

千葉「生憎とそのような間諜行動はしたことがない。が、やろうと思えばできる」

カレン「本当ですか!?」

千葉「当然だ。私も無駄に生きてきたわけではないからな」キリッ

カレン「えっと……。なら、教えてくれませんか?」

千葉「……え?」

カレン「おねがいします」

千葉「……いや、紅月はあれだ、未成年だから、ダメだ」

カレン「そんな!! 私も戦士です!! 役に立つことなら身に付けたいんです!!」

千葉「紅月、生き急ぐな。お前はナイトメアに搭乗し、前線で戦果を挙げていればいいだけだ」

カレン「女に生まれたことを、女の体を利用することで更なる成果が期待できます」

千葉「お前にはまだ早い」

カレン「17歳でもダメですか?」

千葉「ハニートラップは20歳からだ」

カレン「誰がそんなことを決めたんですか!?」

千葉「ほ、法律で決まっている」

カレン「知らなかった……」

千葉「この話は終わりだ。ではな」

カレン「は、はい。変なことを訊いてごめんなさい」

千葉「気にするな」

カレン「どうしよう……」

千葉「ふぅ……」

藤堂「……千葉、今の話は本当か?」

千葉「と、藤堂さん!?」

カレン(でも、ハニートラップって要するに色仕掛けでしょ? なら、昔テレビで見た少しエッチな女性をイメージすれば……)

カレン(ゼロがそんな単純な罠に引っ掛からないってことを、私が証明してやる。C.C.の言っていることは絶対に嘘なんだから)

カレン「ふぅー……」

カレン「ゼロ!」

『な、なんだ!?』

カレン「紅月カレンです!!」

『声を聞けばわかる!!』

カレン「入ってもいいですか?」

『ダメだ!!』

カレン「え? なにか、されているんですか?」

『まだダメだ。後ほど来てくれ』

カレン「わかりました!」

カレン「……」

カレン「……はぁ」

カレン(私ってば、なにやってるのよ。これってゼロを疑ってるってことでしょ……。でも……)

会議室

藤堂「そうか……。千葉にそのような特技があったとはな……」

千葉「その……すいません……」

藤堂「謝る必要はない。女であることを利用し、情報を得る。昔からどこの国でもやってきたことだ」

千葉「……」

藤堂「だが、千葉が……そうか……うむぅ……」

千葉「あの……知識として、その……あるだけで、経験は……」モジモジ

藤堂「なに? 千葉、経験がないのか?」

千葉「あ、ありません!! 一度も!!」

藤堂「そうか。それならば紅月に講義を行うことはできないか」

千葉「え、ええ。そうなんです!」

藤堂「……」

千葉「あの……」

藤堂「千葉よ。ハニートラップの心得をこのホワイトボードに書いてみてくれ。黒の騎士団にも諜報部員は存在している。何かの参考になるやもしれない」

千葉「え……そ、それは……」

千葉「えーと……えーと……」オロオロ

藤堂「ゆっくりでいいぞ」

千葉「は、はい……」

藤堂「……」

千葉「ま、まずは……その……出会います……」

藤堂「それから?」

千葉「それから、その……誘います……」

藤堂「どこに?」

千葉「ホ、ホテルとか……」

藤堂「相手は警戒しないか?」

千葉「まぁ、容姿がいいなら油断するかと……」

藤堂「顔か……」

朝比奈「藤堂さん、ここに居たんですか。……何をしているんですか?」

藤堂「ハニートラップのレクチャーを受けている」

朝比奈「ハニートラップ……?」

廊下

カレン「そろそろいいかな。よしっ」

南「会議室で講義の最中らしい」

玉城「マジかよ!! うっひょー!!!」

カレン「何……?」

ラクシャータ「ハニートラップのノウハウを教えてくれるみたいだよぉ?」

カレン「ラクシャータさん!? ハニートラップですか!?」

ラクシャータ「あたしは興味ないんだけどねぇ。行ってみたら、どうだい?」

カレン「だ、誰がそんなことを……」

ラクシャータ「さぁ、そこまではねえ」

カレン(ゼロのところに行かないと……。でも、ハニートラップの基礎ぐらいは知っておきたいし……)

ラクシャータ「まぁ、ハニートラップはどうでもいいけど、男の落とし方は学べるかもねぇ」

カレン「……行って来ます」

ラクシャータ「あとで紅蓮のテストするから」

カレン「はいっ!」

会議室

カレン「失礼しまーす」

千葉「それで……あの……お風呂にはいって……」モジモジ

扇「それから?」

仙波「老いぼれでもハニートラップは可能なのか」

玉城「その先が大事だろぉ!!」

朝比奈「さっきから何を当たり前のことばかりを……。そうか。基本が大事ということか」

藤堂「うむ。千葉、風呂にはいってどうすればいい?」

卜部「……」カキカキ

千葉「それから、多分……ベッドに入って……」

扇「多分じゃ分からない。具体的に頼む」

千葉「……」

カレン(ホントにしてる。よし、技術を盗もう)

千葉「あの、藤堂さん……」

藤堂「続けてくれ、千葉」

千葉(何だこの状況は……!! どうして騎士団の連中が集まって……!!!)

カレン「……」ワクワク

千葉(くっ……!! 紅月まで……!! 仕方ない、いつか見た書物を参考にするしか……!!)

千葉「……よし」キリッ

カレン(千葉さんの顔つきが変わった……!!)

千葉「おほん。まず重要なのが耳元で囁くことだ。はい、玉城。どう囁くのが効果的だと思う?」

玉城「え? えーと、愛してるぜ、とか?」

千葉「違う。最も効果的な台詞は「今日は私に身を委ねていればいい。それだけで気持ちよくなる」だ」

藤堂「なるほど」カキカキ

千葉「そして相手を仰向けに寝かせ、馬乗りになる」

扇「それは男が上でもいいのか?」

千葉「いいや、女が上だ」

朝比奈「そうだったのか……」カキカキ

千葉「あとは腰が重要になる。グラインドが肝要になる」

カレン「グラインドってなんですか?」

C.C.(さーてと、またあの童貞坊やをからかいに行くかな)

『おぉー!!』

C.C.(なんだ? 会議室から歓声が……)

C.C.「おい、なんの催し――」

千葉「グラインドとは、腰を滑らかに動かすことだ」

カレン「男性の上でですか?」

千葉「ああ」

扇(千草にやってもらおう)

玉城「あれ、すげーよな」

仙波「うむ」

カレン「へー。どうやるんですか?」

千葉「どうって……」

藤堂「千葉、実演してみればいい。ここにクッションがある」

千葉「……」

C.C.(こいつら……何を……)

千葉「……わかりました」

カレン「お願いします」

玉城「マジかよ!!」

朝比奈「興味深いね」

千葉「……四聖剣が一人、千葉凪沙!! 参ります!!!」

C.C.「……」

千葉「こうっ……こうっ……!!」

カレン「すごいですね」

千葉(何故……私はこのような辱めを……!!)

藤堂「うむ……」

朝比奈「藤堂さん、ビデオカメラで撮影しておきましょう。映像資料になります」

藤堂「そうだな。諜報員たち用の教材として使えるな」

卜部「ダビングしてくれると助かる」

千葉「こうっ……こうっ……うぅ……」

カレン「千葉さん、泣いてるんですか?」

ゼロの自室

ルルーシュ「……ふぅ」

ルルーシュ「これでよし。今の俺にハニートラップは通用しない。フハハハハ……」

カレン『ゼロ!! 紅月カレンです!!』

ゼロ「――入れ」

カレン「失礼します」

ゼロ「何か用か、カレン?」

カレン「……ゼロ」

ゼロ「な、なんだ?」

カレン「あの、お風呂に入ってきてもいいですか?」

ゼロ「……好きにしろ」

カレン「はい!」ダダダッ

ゼロ「なんだったんだ?」

C.C.「――やぁ、坊や」

ゼロ「何をしにきた、この魔女め。またハニートラップか? 残念だが、今の私には通じないぞ」

C.C.「それはどうかな。お前はまた、私の巧妙な罠に引っ掛かる」

ゼロ「なんだと?」

C.C.「ほら、立て」

ゼロ「一体なんだというんだ?」

C.C.「よし、寝ろ」ドンッ

ゼロ「うお!? な、なにをす――」

C.C.「よいしょっと」ギシッ

ゼロ「な、なにを……!! おのれ、C.C.……!!! 今度は何が望みだ!! 俺を篭絡させようとしても今は無駄だ!!!」

C.C.「それはどうかな? 私のテクニックは常に進化している」

ゼロ「なんだと……?」

C.C.「ふふ……。さて、次なるお願いだ。もっといい寝床を用意してくれ。できれば、皇族が眠るような豪華なベッドが欲しいな」

ゼロ「そんなものどこにも置けないだろうが!!!」

C.C.「でも、お前は私の要望に答えざるを得ない……」グニッグニッ

ゼロ「おま……!!! なにをしている!? どけぇ!!!」

C.C.「どーだ、私の腰使いは。どんなことでも応えたくなるだろぉ?」

ゼロ(ダメだ……この女の考えていることが分からない……!!)

C.C.(確か、こうだったはず……)グニッグニッ

ゼロ「やめろ!! こんなところ他人に見られたらどうする!?」

C.C.「何を恥ずかしがることがある? 見せ付けてやればいい」

ゼロ「馬鹿か!!! 貴様が俺に馬乗りになっている光景など、ゼロの威厳を損なうことになる!!!」

C.C.「知らんな。損なうのが嫌なら、私の要望を聞け」

ゼロ「ぐぅぅ……!! 魔女がぁ……!!!」

C.C.「ほーら、どうするんだ、ぼーやぁ? どんどん私の腰が速度をあげるぞぉ?」グイッグイッ

ゼロ「くっ……!! だが、どこに置けというのだ……!!!」

C.C.「買ってくれるのか?」

ゼロ「買ってやる!!! 早くどけ!!!」

C.C.「ふふっ。やはり、お前はハニートラップに弱いなぁ。いや、私に弱いのかな?」グニッグニッ

ゼロ「やめろ!! 艶かしく動くなぁ!!!」

C.C.「サービスだよ。快く受け取れ」

ゼロ「いいからどけ!!!」

カレン「ゼロ!! 紅月カレンです!!!」

『あ、ああ……』

カレン「入りま――」

C.C.「それじゃあな、ゼロ。楽しかったよ」

ゼロ「……」

カレン「C.C.? なんで……」

C.C.「私がゼロの部屋から出てきたら何か問題でもあるのか?」

カレン「……べ、別に」

C.C.「だろうな」

カレン(なによ、あいつ)

ゼロ「……」

カレン「ゼロ、あの……」

ゼロ「なんだ?」

カレン「あの、疲れていませんか? 横になってください」

ゼロ「……断る」

廊下

カレン(流石、ゼロ。私がハニートラップを仕掛けることを察して、断ってくるなんて……)

カレン(やっぱり、ゼロにハニートラップなんて通用しないんだ!!)

カレン(ん? あれは神楽耶様とC.C.……)

神楽耶「あら、C.C.さん。どうかしたのですか? 機嫌がよろしいようですけど」

C.C.「分かるか? 神楽耶には隠し事はできないな」

神楽耶「そんなことありませんわ。今日のC.C.さんは分かりやすく表情に表れているだけですから」

C.C.「まぁな。自然と顔も綻ぶというものだ。ゼロの欠点が判明したからな。奴も完璧ではない」

神楽耶「そうなのですか?」

C.C.「興味あるか?」

神楽耶「まぁ、そうですわね。未来の妻としたら、夫の短所を補う必要がありますし」

C.C.「だろうな。よし、特別に教えてやろう。ゼロの弱点は色仕掛けだ」

神楽耶「色仕掛け……?」

カレン「ちょっと待って!! C.C.!! 言いがかりも大概にしてよね!!!」

C.C.「カレンか。言いがかりとは随分だな。これは事実だぞ? あいつは少し色を出せばすぐに落ちる、無能な男だ」

神楽耶「……」

カレン「ないない。現に私がハニートラップを仕掛けようとしたら、仕掛ける前に察して断ってきたんだからね」

C.C.「それはお前のやりかたが悪いからじゃないのか?」

カレン「違うね。ゼロが凄いのよ」

C.C.「お前はもう少し自分の色気というものを自覚したほうがいい。全く、ないぞ?」

カレン「なんですってぇ……!!!」

神楽耶「あの、よろしいですか? C.C.さんはどのような色仕掛けを?」

C.C.「特別なことは何もしていない。少し甘い声を出すだけで十分だ」

カレン(甘い声……)カキカキ

神楽耶「それはおかしいですわ」

C.C.「……なんだと?」

神楽耶「それなら私の色仕掛けにゼロ様がいつも無反応なんてありえませんわ」

カレン「神楽耶様、何をしているんですか!?」

神楽耶「何って、少し服を着崩して近づいたり、ワイシャツ一枚になってゼロ様の部屋で寝てみたり……。でも、ゼロ様はいつも部屋に戻るように促すだけですもの」

C.C.(当然だ。どちらも私がルルーシュの自宅で行っていること。今更、奴が反応するわけがない)

カレン「神楽耶様、ならグラインドは試しましたか?」

神楽耶「グラインド? 殿方の上で腰を動かす、あれですか?」

カレン「はい。ハニートラップのエキスパートである千葉さんによると、それだけで九割の男性は骨抜きになるとのことです」

神楽耶「そうなのですか?」

カレン「はい。そういうことは千葉さんに訊いてみるといいかもしれません。でも、未成年には教えないって言ってましたから、講習会を開いているときに紛れ込むしか……」

神楽耶「分かりましたわ。千葉さんですわね」テテテッ

カレン「あ、神楽耶様!!」

C.C.「さてと。私は寝るかな」

カレン「ちょっと!! あんたの仕事は!?」

C.C.「私は働かない。C.C.だからな」

カレン「操縦の練習あるでしょ!?」

C.C.「明日から本気を出す。グチグチ言うな」

カレン「もう!!!」

カレン「……」

カレン(でも、C.C.があそこまで言うってことは、ゼロが私のハニートラップに引っ掛からなかった原因が、私の力量不足にあるなら……)

会議室

藤堂「そもそも容姿が良くなければハニートラップは使えん」

玉城「でもよぉ、口がよければいけんじゃねーの?」

朝比奈「その自信はどこからくるのか」

仙波「こんな老いぼれでも若い生娘は靡いてくれるのか……」

卜部「千葉のこしづかい……たまらん……」

南「神楽耶様にやってほしいなぁ……」

藤堂「その映像資料だが、欲しいものが居れば無料配布を――」

神楽耶「藤堂さん。よろしいですか?」

藤堂「む!? 映像を消せ!!!」

卜部「承知!!!」ピッ!!!

神楽耶「あの、今何をなさっていたのですか?」

藤堂「いえ、今後の作戦についての会議を少々行っていただけです」キリッ

玉城「おうよ!!」

神楽耶「そうですか。流石ですわね。それはそうと、お頼みしたいことがあります」

廊下

千葉「はぁ……もう生きていけない……」

藤堂「千葉」

千葉「と、藤堂さん!? な、なんでしょうか!?」

藤堂「千葉。お前にしか頼めないことだ」

千葉「わ、私にしか……?」

藤堂「ああ……」

千葉「……はい。やります」

藤堂「いいのか?」

千葉「藤堂さんのためなら」

藤堂「そうか。助かる。神楽耶様、許可が出ました」

神楽耶「よかったですわー!!」

千葉「え……?」

藤堂「神楽耶様はお前の技量を高く評価してくれた。もう一度、あの講義を開いてくれないだろうか」

千葉「も、もういちど……って……!!」

会議室

千葉「しかし、その、いくら神楽耶様でも……」

神楽耶「お願いしますわ。私に足りないのは知識だけです」

千葉「藤堂さぁん……」

藤堂「前回の講義内容については既に熟知されていた。別の手段で頼む」

千葉「べ、べつ?」

神楽耶「グラインドは淑女のたしなみですから」

南「……」

玉城「おーい!!! また千葉が講義ひらくってよぉー!!!!」

卜部「承知」

朝比奈「まさかの二回講演とは。僕も驚きだ」

扇「頼もしいな」

千葉(私がつまらない見栄を張ったばかりに……!! い、いや、泣き言は許されない!! 全ては私が招いたことだ!!!)

神楽耶「……」ワクワク

千葉「――では、取って置きの技術を教えます。事後のあとにある一言を告げるだけで、多くの者は陥落するのです」キリッ

神楽耶「事後のあとですか」

藤堂「なるほど、一回目の講義と繋がっているというわけか。すばらしい構成だな」

千葉「その一言とは、こうです。「あんな声を出したのは、初めて」です」

玉城「おぉ……!!」

扇(千草に言ってもらおう)

朝比奈「男なら台詞が変わってくるんじゃない?」

千葉「そうだな。男なら「今日はたくさん出た」とかでいいんじゃないか?」

藤堂「なるほど」カキカキ

神楽耶「それを言うことで殿方は骨抜きに?」

千葉「なります」

千葉(私が見た書物では)

カレン「千葉さん。できれば最初から通してやってくれませんか? 男性を誘うところからお願いします」

千葉「なんだと!?」

神楽耶「それは良い考えですわ。是非ともお願いします」

千葉「……」

廊下

ラクシャータ「まったく、紅蓮のテストがあるっていったのに……」

『おぉぉぉぉ!!!!』

ラクシャータ「ん?」

千葉「そして、押し倒す。――今日は私に身を委ねるだけでいい。それだけで気持ちよくしてやろう」

千葉「すかさず唇を奪う!! そこから一糸纏わぬ姿になり、そのままグラインドへと移行する!!」

カレン「……」

神楽耶「なるほど」

千葉「そして双方共に果てたところで、気だるい感じで……。あんな声だしたの、初めて」

玉城「うっひょぉー!!!」

南「神楽耶様も実演するべきでは?」

朝比奈「撮れた?」

卜部「ああ。抜かりなし」

千葉「そのあとは少し冷たくすると、尚よろしいかと。――今日だけにしましょう、と告げると相手の心はこちらのモノになる」

神楽耶「押してだめなら引く、というわけですわね。恋愛とは男女の駆け引きと聞いた事があります」

カレン「あー、勉強になったー」

神楽耶「はい。あとはこれを実践して……」

ラクシャータ「ちょっといいかい?」

カレン「ラクシャータさん!!」

ラクシャータ「なにかわすれてない?」

カレン「あ……」

ラクシャータ「はやく、いくよぉ」

カレン「は、はい!! 神楽耶様!! また後ほど!!」

神楽耶「分かりましたわ」

神楽耶「さてと」テテテッ

カレン(ゼロにハニートラップを仕掛けるのは紅蓮の起動テストのあとでか……)

カレン(しっかり復習しておかないと)

ラクシャータ「ところで、さっきのはなんだい?」

カレン「え? ああ、ハニートラップの講義ですけど」

ラクシャータ「ふぅん……」

ゼロの自室

ルルーシュ「ふぅ……。今度こそ、何があっても心配ないだろう。もう誰も俺を誘惑することはできない」

ゼロ「――さてと、ナイトメアのチェックに向かうか」

神楽耶『ゼロさまー。いらっしゃいますかー?』

ゼロ「どうぞ、神楽耶様」

神楽耶「ゼロ様ぁ?」ギュゥゥ

ゼロ「なんですか?」

神楽耶(まずは……)

神楽耶「今日は帰りたくないですわ……。ゼロ様、泊めてくれませんかぁ?」

ゼロ「ええ、どうぞ。暖かくして寝てください」

神楽耶「……」

ゼロ「……」スタスタ

神楽耶(次は押し倒して……!!)

神楽耶「ふーん……!! ふーん……!!!」ググッ

ゼロ「神楽耶様? 私を押して何を……。これはどのような遊戯ですか?」

廊下

神楽耶「今日は私に全てを委ねてくださいまし。それだけでゼロ様を気持ちよくしてさしあげますわ」

ゼロ「残念ですが、これから用事がありますので」

神楽耶(すかさず唇を……!!)

神楽耶「ゼロさま!!」

ゼロ「なんですか?」

神楽耶「んー!」ピョンピョン

ゼロ「……?」

神楽耶(やはり身長差で届きませんわ!!!)

ゼロ「ではこれで」

神楽耶(もう脱ぐしか……!!!)

ゼロ「神楽耶様?」

神楽耶「ゼロ様……」スルッ

ゼロ「お風邪を召しますよ。しっかり服は着てください」

神楽耶「……」

C.C.「んー。さてと、昼寝後のピザでも食べるか」

C.C.(そーだ。また、ルルーシュを……。ふふっ。次はどんな風に困らせてやろうかな……)

神楽耶「うぇぇぇぇん……!!!!」ダダダッ

C.C.「神楽耶? どうした?」

神楽耶「あぁぁぁん……!!!」ダダダッ

C.C.「……まぁ、どうでもいいか」

ゼロ「神楽耶様!!」タタタッ

C.C.「どうした、お前まで。鬼ごっこか?」

ゼロ「そんなものではない!!」

C.C.「そうか」

ゼロ「待ってください!!!」

C.C.「待て」ガシッ

ゼロ「なんだ、はなせ!!」

C.C.「ふふっ……。次の願いが決まったよ。無論、断れるなら断ってもいいぞ?」

ゼロ「C.C.!! 貴様……!!!」

格納庫

ラクシャータ「はい。もういいよぉ」

カレン「はい! お疲れ様でした!! それでは失礼します!!!」

ラクシャータ「まちなよ」

カレン「な、なんですか?」

ラクシャータ「ハニートラップの件だけどさ」

カレン「ハニートラップ?」

神楽耶「あぁぁぁ……!!! 妻失格ですわぁぁ……!!!」

カレン「神楽耶様!? どうしたんですか!?」

神楽耶「ゼロ様には何をしても……通じない……!!」

カレン「まさか、ハニートラップを?」

神楽耶「は、はい……」

カレン「やっぱりゼロにはそんなの効果がないんですよ」

神楽耶「そうなのですか? でも、C.C.さんは……」

ラクシャータ「ああ、ちょっといいかい?」

廊下

C.C.「私のためにピザ屋を作れ。このアジト内にな」

ゼロ「いい加減にしろ!!! C.C.!! これ以上、お前の我侭になど付き合ってられるか!!!」

C.C.「そんなこというな」ギュゥゥ

ゼロ「……離せ」バッ!!

C.C.「む……。今日は私に身を委ねろ。それだけで気持ちよくしてやろう」

ゼロ「……なんだと?」

C.C.(食いついたか……。ふふっ。あの本に書いてあったのは本当だ――)

ゼロ「調べ物ができた。放せ」

C.C.「なんだと!? まて!!」

ゼロ「……」

C.C.「これでも行くのか?」ギュゥゥ

ゼロ「……C.C.」

C.C.「なんだ?」

ゼロ「離れろと言ってる」

会議室

ゼロ「……ここか?」

ゼロ「む? このノートは……?」

ゼロ「……」ペラッ

ゼロ「……」

神楽耶「ゼロ様、こちらにいたのですね」

ゼロ「神楽耶様。心配していたんですよ」

神楽耶「申し訳ありません。取り乱してしまって」

ゼロ「いいんですよ」

カレン「ゼロ……」

ゼロ「カレンか。丁度よかった。二人に訊きたいことが……」

カレン「あの……。その前に……」

ゼロ「なんだ?」

カレン「……ゼロ。私、いえ、私たち、ゼロのことを愛しています」

ゼロ「……なに?」

神楽耶「ゼロ様……」

ゼロ「何を言って……」

カレン「ゼロっ!!」ギュッ

ゼロ「なっ……!?」

カレン「好きです……ゼロ……」

ゼロ「ま、まて、カレン……!! こんなところで……!!」

神楽耶「ゼロ様、実はずっと競っていたのです」

ゼロ「き、きそって……?」

神楽耶「私とカレンさん、どちらがゼロ様に愛されるのかを。でも、ゼロ様の心はC.C.さんのところにある」

ゼロ「そんなわけないでしょう」

カレン「でも、ゼロは私たちの気持ちに気がついてくれない」

神楽耶「私も本気ですのよ、ゼロ様。貴方のためになら、純潔を捧げてもいいと……」

カレン「わ、わたしもです!!」

ゼロ「な、なにを……ばかなことを……きゅうにそんな……」

神楽耶「ゼロ様、一夜限りで構いませんわ。私とカレンさんを抱いてくれませんか? それだけで私たちは身を引きますわ」

ゼロ「ま、待ってください。私は……」

神楽耶「施錠はしてあります。誰かが入って来ることはありませんわ」

ゼロ「いや……」

カレン「ゼロ……顔は見せなくても良いですから……」

ゼロ「ま、まて……!! カレン!! 何をしようとしているのかわかっているのか!?」

神楽耶「私たちのことがお嫌いですか?」

ゼロ「そんなことは決して……!!」

神楽耶「なら……」スルッ

ゼロ「なぁ……!?」

カレン「ゼロ……もう、疼きをとめられないんです……自分だけじゃ……だから……」スルッ

ゼロ「……!!」

ゼロ(ギアスを使うか……!! 俺にはそんな気は一つもない!! 愛もなく二人を受け入れるなど、あってはならない!!)

ゼロ「……っ」キュィィン

カレン「ゼロ……お願い……」

ゼロ(ギアス……。そうだ、カレンにはギアスをかけていたな……)

ゼロ「私の質問に答えろ、カレン」

カレン「――はい」

神楽耶「え?」

ゼロ「何故、このようなことをする?」

カレン「ゼロが本当にハニートラップに引っ掛からないのか調べるためです」

神楽耶「カレンさん!?」

ゼロ「なるほど。どうやって調べるつもりだったんだ?」

カレン「誘惑してゼロから本当の気持ちを聞きだすつもりでした。ゼロの愛する人を」

ゼロ「なるほど……。そういうことですか」

神楽耶「そ、そんな……。もう少しでしたのに……」

ゼロ「残念でしたね。カレンの忠誠は本物ですから」

神楽耶「あぁ……」

カレン「……」

ゼロ「カレン」

カレン「さぁ、ゼロ? 私の全てを受け取って……く、だ、さ、いっ」

ゼロ「顔を近づけろ」

カレン「はい……」

ゼロ「……」

カレン「んー……」

ゼロ「バカモノ」パチンッ

カレン「いった!? え!? どうしてデコピン……!?」

ゼロ「こんな単純なハニートラップに引っ掛かるわけないだろうが」

カレン「な……!!」

神楽耶「流石ですわ……。ゼロ様に隙なんてありはしなかったのですね……」

カレン「せっかくラクシャータさんに本当のハニートラップを教えてもらったのに……。でも、良かった。やっぱりC.C.の言ってたことは嘘だったのね」

ゼロ「……ハニートラップか。このノートを見るに、千葉がここで講釈をたれていたようだな」

カレン「は、はい」

ゼロ「C.C.もか」

神楽耶「みたいですわ。二回目のときは姿がありませんでしたが」

ゼロ「……ということは、ここに書かれていること全てをC.C.は知らないということか。なるほど。二人に頼みたいことが」

廊下

C.C.(ちっ。ルルーシュのやつ、やはり私には慣れてきたということか。ならば、また千葉の持っている本から情報を得るか)

C.C.「よーし」

カレン「C.C.、ちょっと」

C.C.「どうした?」

カレン「ゼロが呼んでる。部屋にいるからって」

C.C.「ゼロが? そうか、わざわざご苦労だったな」

カレン「確かに伝えたからね」

C.C.「はいはい」

C.C.(さて、坊やは一体なにを……)

C.C.(そうだ。またいいことを思いついてしまったな)

C.C.(私に何かを言ってきたら、色仕掛けで私への要求を撤回させてやろう)

C.C.(ふふ。やつの困る顔が目に浮かぶな)

C.C.「ふふふ……」

カレン「……」

ゼロの自室

C.C.「来てやったぞ。話とはなんだ?」

ゼロ「……まぁ、座れ」

C.C.「お説教か?」

ゼロ「操縦訓練、サボっているらしいな。あれは必要不可欠だ。いますぐやれ」

C.C.「明日からやるとカレンに言った」

ゼロ「今日、やれ」

C.C.「やらん。明日やる」

ゼロ「貴様……!!」

C.C.「おいおい、私に強要するのかぁ?」

ゼロ「……」

C.C.「別に構わんぞ? 私に命令してもな。ただし、お前は今からその命令を撤回することになるだろうが」

ゼロ「ほう?」

C.C.「なぁ、ぼーやぁ? 今日はお前にエクスタシーをくれてやろう。だから、な?」スリスリ

ゼロ「……」

C.C.「いっぱい、感じさせてやろう……ふふっ……そのかわり――」

ゼロ「ふんっ!」ドンッ

C.C.「きゃぁ!? な、なにをする!!」

ゼロ「――そうだな。お前は誰の命令も聞かない。そういう女だ」

C.C.「そうだ。ようやく理解できたか」

ゼロ「ああ。そこがお前の魅力であることもな」

C.C.「なに?」

ゼロ「猫のように気まぐれで、それでいて愛くるしい。それがC.C.という女の魅力だと言っている」

C.C.「褒めても何も出ないぞ?」

ゼロ「さぁ、それはどうかな?」グイッ

C.C.「なっ……」

ゼロ「今日は俺に身を委ねろ、C.C.。それだけで満足させてやる」

C.C.「な、何をいっている!!」

ゼロ「何をうろたえる?」

C.C.「お前、何をするつもりだ……」

ゼロ「男の部屋に来た時点で、どうなるか予想ぐらいつくだろう。純情な乙女でもあるまいし」

C.C.「貴様にそんな甲斐性があるとは思えないがな」

ゼロ「それは今から分かる」

C.C.「なんだと……?」

ゼロ「さぁ、C.C.?」

C.C.「な、なんだ……?」

ゼロ「いつも俺を誘惑し、篭絡させようとしていたな?」

C.C.「それがなんだ?」

ゼロ「どうやら俺はその術中に嵌ってしまったようだ」

C.C.「貴様……冗談は……」

ゼロ「冗談は嫌いだ」

C.C.「……!」

ゼロ「お前の色香に見事に落ちてしまった。もうお前のことしか考えられない」

C.C.「な、に……」

ゼロ「次の作戦のこともあるのに、頭に浮かんでくるのはお前と夜とどうすごそうかという妄想だけだ。どうしてくれる?」

C.C.「ピ、ピザを用意していれば、私はそれで満足だ」

ゼロ「ああ、用意している。問題はない。――ほら」

C.C.「……」

ゼロ「そうか。食べさせて欲しいというのか。仕方の無いやつだ」

C.C.「ま、まて……」

ゼロ「ほら、チーズが糸を引いて、おいしそうだろ? 口をあけろ」

C.C.「……」

ゼロ「はやく」

C.C.「あ、あー……」

ゼロ「どうだ?」

C.C.「……」モグモグ

ゼロ「チーズが口についているぞ。拭いてやろう」

C.C.「やめろ。気持ち悪い」バシッ

ゼロ「……」

C.C.「……私にハニートラップなんて100年早いぞ、坊や」

ゼロ「そうか……」

ルルーシュ「――なら、俺がどれだけ本気かを教えてやる」

C.C.「もうそう言うのには飽きたんだよ、ルルーシュ。残念だけどな」

ルルーシュ「……」

C.C.「もうやめよう。ピザがまずくなる」

ルルーシュ「C.C.」

C.C.「なんだ?」

ルルーシュ「今夜だけにしよう。だから……」

C.C.「お、おまえ……」

ルルーシュ「今夜だけ、俺の上に乗ってくれ」

C.C.「……」

ルルーシュ「もう一度、見せてくれないか。あの腰捌きを。目に焼きついて離れないんだ」

C.C.「あ、あれは……」

ルルーシュ「頼む。それで忘れる。お前に対する想いを」

C.C.「いや、忘れる必要はないが……」

ルルーシュ「本番の前にまずはこのままでやってくれ」

C.C.「脱がないのか?」

ルルーシュ「お前のアレは服を脱ぐまでも無く、官能的だった。むしろ、着衣しているほうが興奮する」

C.C.「な、なにを馬鹿なことを……」

ルルーシュ「やってくれるな?」

C.C.「そこまで言うのなら、仕方ない。童貞坊やを少しばかりリードしてやろう」

ルルーシュ「こんなにも可憐な少女が、俺をリードするとは。それだけでも血が滾るようだ」

C.C.「馬鹿。早く寝ろ」

ルルーシュ「お手柔らかに頼む」

C.C.「よっと」ギシッ

C.C.(服の上から擦れってことか……?)

ルルーシュ「どうした?」

C.C.「……お前に身を委ねればいいんじゃなかったのか?」

ルルーシュ「経験値の差ではお前が上だ。とりあえず見本を見せてくれ。どこを攻めればお前が悦ぶのか一度で理解してやるよ」

C.C.「で、できるかな、童貞坊やに……」

ルルーシュ「やってやる。俺はゼロだ。不可能などない」

C.C.「で、では……はじめるぞ……」

ルルーシュ「ああ……」

C.C.「んっ……んっ……」グニッグニッ

ルルーシュ「……」ピッ

C.C.「んっ……どうかな?」

ルルーシュ「もっと頼む」

C.C.「はいはい。きちんと私を悦ばせろよ?」

ルルーシュ「任せろ」

C.C.「んっ……ふっ……」グニッグニッ

ルルーシュ「もっと速度を上げてくれ」

C.C.「注文が多いな。まったく」グイッグイッ

ルルーシュ「いいぞ。すばらしい腰使いだ。もっと激しくたのむ」

C.C.「こ、これいじょうは……むりっ……だ……」

ルルーシュ「そうか……くくく……」

C.C.「おい、そろそろ――」

ゼロ「そうだな。本番と行こうか」

C.C.「何故、仮面をつける?」

ゼロ「それはな……」

C.C.「それは……?」ドキドキ

ゼロ「――神楽耶様、今の映像はきちんと映りましたか?」

C.C.「……え?」

神楽耶『はい。ばっちりハイビジョンでモニターに映りましたわ。C.C.さんが必死に腰を振る様が』

C.C.「……」

ゼロ「藤堂、いるか?」

藤堂『ゼロの言ったとおり、C.C.の腰使いは千葉を凌駕していたな。今後は今の映像を教材用にする』

ゼロ「各地にいる数千人の諜報員が全員、C.C.の淫乱な姿を見ながらハニートラップを学ぶわけか」

C.C.「お、おい……」

ゼロ「なんだ?」

C.C.「ど、どういうことだ?」

ゼロ「藤堂の案でな。黒の騎士団の諜報部員にハニートラップの技術を学ばせてはどうかと言われてな。そこでそういった心得があるものを探していた」

ゼロ「しかし、騎士団内の多くはそう言うのとは無縁のレジスタンス上がりの者たちばかり。だから、半ば計画は頓挫していたのだが」

C.C.「……」

ゼロ「千葉という有力な者が現れた。藤堂は千葉から様々な知識、技術を聞き出したが、どれもこれも、このような雑誌から学んだことがわかった」

ゼロ「千葉はただ本の記述を説明したに過ぎなかったらしい」

C.C.「それで」

ゼロ「その話を聞いた私は熟練の腰使いを見せたC.C.を教材に使ってはどうかと提案した。そして撮影に望んだ」

C.C.「き、きさま……」

ゼロ「正直に話してもお前はまず協力しない。故にハニートラップを仕掛けた」

C.C.「ハニートラップである必要性がないだろ!!」

ゼロ「あるな。なぜならお前は何も疑うことなく、私の上で腰を振った。あとはそんないやらしく乱れるお前だけを撮影すればいい」

C.C.「な……」

ゼロ「そうだ。最後にこれを言っておかないとな。――あんな声を出したのは、初めてか?」

C.C.「……っ!!」ダダダッ

ゼロ「フフフハハハハハハ!!!!!」

カレン「ゼロ、入ってもいいですか?」

ゼロ「ああ、構わない」

カレン「C.C.なんですけど、大丈夫ですか?」

ゼロ「ふん。あの程度では何も傷つかない、鉄の女だ。気にするな」

カレン「なら、いいんですけど」

ゼロ「……どうした? C.C.の代わりにカレンがやりたかったか?」

カレン「そ、それは……!! 撮影が……なし……なら……」モジモジ

ゼロ「さてと。出かけてくる」

カレン「どちらへ?」

ゼロ「色々あるのだよ。カレンは明日学校に行くんだろ? もう帰ったほうがいい」

カレン「は、はい。わかりました」

ゼロ「ではな」

カレン「ゆっくり休んでください」

ゼロ「ああ、ありがとう」

カレン(C.C.みたいに器用に腰が振れるように練習しないと……)

ルルーシュの自宅

C.C.「……」

ナナリー「……C.C.さん? お兄様はまだ戻っては……」

C.C.「そうか。お前の兄はサイテーだな!!」ダダダッ

ナナリー「……え?」

咲世子「どうかされたのでしょうか?」

ナナリー「お兄様ったら、C.C.さんを怒らせたんじゃ……」

咲世子「困りましたね」

ナナリー「ですね」

ルルーシュ「――ただいま、ナナリー」

ナナリー「お兄様、おかえりなさい。C.C.さんがお兄様の部屋にいますけど」

ルルーシュ「そうか。何か言っていたか?」

ナナリー「サイテーだーって言ってました。ケンカですか? 早く仲直りしてくださいね」

ルルーシュ「そうだな。咲世子さん、ピザをお願いします」

咲世子「畏まりました」

C.C.「……」

ルルーシュ「C.C.。とりあえず一度出て行け。ナナリーに気づかれているんだろ」

C.C.「……ふんっ」

ルルーシュ「怒っているのか? まぁ、当然だろうな。俺もあんなことをされたら怒り心頭だ」

C.C.「じゃあ、やるな……」

ルルーシュ「あの映像も使われることは無い。すぐに処分させた」

C.C.「……」

ルルーシュ「それにしてもお前がまさかハニートラップに引っ掛かるとはな。実に面白かったぞ。フフハハハ」

C.C.「……」

ルルーシュ「魔女が慌てふためく様もいいものだな」

C.C.「……」

ルルーシュ「……お前だって悪い。それぐらい分かっているだろ?」

C.C.「……ピザは?」

ルルーシュ「もうすぐ届く。しばし待て」

C.C.「そうか……」

ルルーシュ「少しは反省し――」

C.C.「ルルーシュっ」ギュッ

ルルーシュ「……!」

C.C.「すまない……わたしがわるかった……だから……だから……」

ルルーシュ「……お前、何も反省してないようだな。いいか? もうそんな――」

C.C.「……っ」ウルウル

ルルーシュ「……!!」

C.C.「ごめんっ……ルルーシュ……ごめんね……」ポロポロ

ルルーシュ「お、おい……!!」

C.C.「あのときは本気だったのに……私……本当にルルーシュと……」

ルルーシュ「し、しーつー……」

C.C.「また、名前を呼んでくれ。もうお前以外に私の名前を知っている奴はいないんだ……。そして優しく、抱きしめてくれ……」

ルルーシュ「いや……」

C.C.「ルルーシュ……すまない……もうあんなことしない……お前に全てを捧げる……だから……」

ルルーシュ「……約束だぞ?」

C.C.「ああ、約束だ」ギュッ

ルルーシュ「C.C.……」

咲世子「ルルーシュ様。ピザが――」

ナナリー「お兄様、一緒に食べませんか?」

ルルーシュ「な……!?」

C.C.「……」ギュゥゥ

咲世子「失礼しました。いきましょう、ナナリー様」

ナナリー「あの、え? どうしてですか? ……お兄様とC.C.さんの息遣いが近いですね。もしかして、抱き合って……」

咲世子「ナナリー様!」

ナナリー「は、はい」

ルルーシュ「……」

C.C.「……好きだ。離すな」

ルルーシュ「本気か?」

C.C.「嘘だ」

ルルーシュ「貴様ぁ!!!」

翌日 学園 中庭

ルルーシュ(全く、C.C.め。ナナリーと咲世子の誤解を解くのに苦労してしまった……)

ルルーシュ(まぁ、これで――)

ミレイ「ルルーシュ!! 一緒にお昼でもどーかな!?」

リヴァル「シャーリーも一緒がいいっていってるぞー」

シャーリー「い、いってません!!」

ニーナ「ふふっ」

ルルーシュ「そうか。今日はスザクがまだ来ていないのか……。わかった。一緒に――」

C.C.「あぁん。ルルーシュくぅん。こんなところにいたぁー」ギュッ

ルルーシュ「!?」

シャーリー「誰!?」

ルルーシュ「おまえ……!!!」

C.C.「ほら、はやく、さっきのつづきしよう? まだ、乾いてないのぉ」

シャーリー「か、かわ……いて、ない……?」

ミレイ「……あー、ごゆっくりー……」

リヴァル「うらぎりもんー!!!」

ニーナ(あの子、可愛い……)

ルルーシュ「貴様!! その制服はどうした!?」

C.C.「これぐらい余裕で手に入る。私を舐めるな」

ルルーシュ「何を考えている!?」

C.C.「これぐらいの復讐は想定済みじゃなかったのか? 撃っていいのは撃たれる覚悟のある者だけだろ、ルルーシュ?」

ルルーシュ「だからって学園内にくるやつがあるか!! カレンやスザクがいないからいいものの!!」

C.C.「そこまで馬鹿じゃない。カレンやスザクがいたらこんなことはしなかったさ。ちゃーんと、面子を見て抱きついた」

ルルーシュ「ぐぅぅ……!!!」

C.C.「共犯者だからな。足を引っ張るようなことはしないさ」

ルルーシュ「こんなことをしてただで済むと思うなよ……!!!」

C.C.「さぁ、どうする? 事実上、私はお前の恋人になったわけだ。いいか、浮気は許さん。そして一生養え」

ルルーシュ「おのれ、魔女め……!!!」

C.C.「ほらな、お前はハニートラップに弱い。だから、まぁ、守ってはやるさ。感謝しろ、ルルーシュ?」ギュッ

ルルーシュ「……勝手にしろ!!!」

生徒会室

カレン(この辺で……)

カレン「……」クイックイッ

カレン(ゼロ……ゼロ……)クイックイッ

シャーリー「はぁ……あの子はだれなの……」

ミレイ「まぁ、また今度尋問しましょう。いや、拷問して吐かせましょう」

リヴァル「会長、怖いです」

ニーナ(可愛かったなぁ)ガチャ

カレン「ゼロ……ゼ――」

シャーリー「……カレン、なにやってるの?」

カレン「……!!」

ミレイ「ごゆっくり……」

ニーナ「……ともだち」

カレン「これが……ハニートラップ……!!」


おしまい。

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