メトロン星人「ああ、侵略も楽ではないな」 (146)

ウルトラマンシリーズに登場するメトロン星人を主役に据えたSSです。
戦闘シーン?ねえです、んなもん。

原作でも様々な個体がいますが、当作に登場するのはそのどれでもない別個体です。

いわゆるオリキャラ的な感じですので、過去のメトロン星人と比べて違和感があるかもしれません。
また、地の文がかなり多めになります。

もし嫌だという方はブラウザバックをお願いします。
それかべリアル陛下に相談してください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1474741548

メトロン「………ふむ、もう朝か」


いつの間にやらと馴染んできた布団から起き上がれば、すでにカーテンの向こうからは朝日が差し込み始めている。

申し遅れた。
私の名はメトロン星人。個体名は、まあいいだろう。
この地球の侵略の糸口をつかむため、地球人に扮して潜入を行っている。

正直な話、我が母星の化学力の足元にも及ばぬような星など、母星に援軍を要請し正面から攻めることもできる………のだが。

下手にそういった正面攻勢に出ると、あの厄介な連中に嗅ぎつけられることになりかねない。
同族がどこぞのチョンパマンにえらい目にあわされた話は母星では語り草だ。

知的に、冷静に。奴らが嗅ぎつけたとしてもすでに手遅れになっているようにしなくてはならん。





メトロン「さて、本日も侵略のための調査を始めるとしよう」

………と、その前に。




メトロン「む、牛乳がもう少ないか………確か3丁目のスーパーは月曜日、その先の店が水曜日特売だったな」


ならば今日は3丁目か。

食事は大切だ。栄養補給だけではなくその一日のモチベーションにもかかわる重要な要素だ。
その点において、私が………というか、大半の宇宙人が拠点として選ぶこの国の民族はそれを大いに理解していると言える。


メトロン「米はしっかり炊けているな。先に歯を磨いてくるとしよう」


一度人間の姿に変身、そして洗面所で顔を洗い、歯を磨く。
何故こんなことを?調査対象の事はどんな些細な事でも調べ上げ、できる事なら体験する。それがデキる宇宙人の秘訣なのだ。

一通りのことをすませ、今度は調理の準備をする。

様々な食事を試してみたが、この国固有の食事………いわゆるところの、米と味噌汁をメインとした食事は私に合っているようだ。
おっと、沢庵がそろそろ無い。買い出しのついでに買ってこなければ。


メトロン「っと、そろそろ完成か。アジの干物もいい具合だ」


しかし、この干物というものは興味深い。
最近私も干しネットを購入し自作を行っているが、水生生物を味付けし乾燥させるだけだというのにこの変わりようである。
米と異様なまでに相性がいいということも評価できる。

人間は愚かで劣った存在ではあるが、食に関しての追求という点では私はこれに勝る宇宙人を知らない。


メトロン「さて、それでは」


卓袱台に今朝の朝餉が並ぶ。

米もよそった。我ながら最高の炊け具合だ。
コシヒカリという種類はいろいろ試した結果でも最も安定していて素晴らしい。

味噌汁は豆腐と油揚げ。シンプルこそが至高というのは宇宙でも共通の認識だ。
しかし調査したところ、この二つは………どころか、味噌という調味料すらも全て原材料が『大豆』という植物とは。

全く同じ素材だけでこれだけのものを仕立てられる。人間は貧弱だが、なかなかに探究心があるようじゃないか。

アジの開きはさっきも言ったが自作した。
塩加減から何から試行錯誤の結果、私の口に最も合うレシピを完成。脂もよく乗ったいい品になった。

余談だが、この間この星の流通の一つ「通販」というもので釣り竿という道具を購入した。もうそろそろ届くころだ。
人間の狩猟方法のひとつ、実に調査のし甲斐がある。

沢庵は自家製の物を販売している小ぢんまりとした店舗で購入した。
香りと味を両立させた逸品だ。歯ごたえも含め、これを機械化せず手作業で行うとは………
不可解ではあるが、それを実行できる人間というものはまさしく興味が尽きない。

メトロン「いただきます」



そうして、今日も私の地球侵略調査が始まった。


メトロン「若干草が伸びてきたな。今日の午後にでもむしっておくか」


この星での拠点として購入………いや、借用した住宅。その庭の雑草の状態が目についた。
身分偽装など簡単であるし、まあいろいろな手段でこの国の通貨も手に入れたのだが、そこそこの住居を手に入れられた。

あまり辺鄙な所でも、あまり豪華でも困る。
潜入調査という目的のためにも、乗り出しやすさは大事だし目立つことはタブーだ。

その結果選んだのは、いわゆるところの賃料を払って居住する借家というやつだ。
小さいが庭もある。まあ、どこにでもある目立たない家だ。

しかし住宅が条件を満たしても、その外観が荒れてしまったりしては近所の不興を買うことになる。
それは目立つことを避けたい身としてはマズイ。なので、定期的なメンテナンスは欠かせない。

まあ清潔感は大事だ。これは大概の宇宙人も同意してくれるはずだ。

メンテナンスとはいっても、人間の姿になって鎌などで行う原始的で簡単なものではあるが。


メトロン「さて、まずはスーパー、次に商店街での買い出しだな。昼は………そうだな。一度戻って買った物を置いてから、適当に店で食べるか」


何度も言うが、この星、特にこの国の人類は食に関して驚くべき探求心と行動力、そして追及を誇る。
近所で見つけた「ラーメン」という食べ物を提供する店は絶品というしかない。上に乗ったチャーシューの味わいがまたいいものだ。

侵略のためにはどんな小さな情報も見逃せない。
これからも調査のために、様々な飲食店を食べ歩かねば。無論、自炊で試すことを軸にした上ではあるが。

メトロン「ではいくか」


この星には様々な移動手段があるが、私が選んだのはこの「自転車」だ。
運動エネルギーを利用した原始的極まる乗り物ではあるが、「自動車」というものがあまりこの街並みでの移動に向かないこともある。
また、自動車よりも停車させておける場所が豊富なのも利点だ。無論、他者の迷惑になるような場所は論外だが。

目立つことは得策ではない。何度も言うように、そういうことだ。

私は自転車に跨り、ペダルをこぐ。
言うまでもないとは思うのだが、人間の姿に変身した上で、だ。


「あら、目兎さん。おはようございます」


家を出てすぐのところで、近所に住む人類の老婆に話しかけられる。

目兎、というのは私がこの地球で生活するにおいて使用している偽名だ。
安直な、とか思った者は出てこい。ムルチあたりと同じ目に合わせてやる。



目兎「ああ、おはようございます。いい天気ですねぇ」

老婆「ええ、そうねぇ。これからお買い物?」

目兎「あ、はい。スーパーと商店街までちょっと。そちらはお散歩ですか?」

老婆「そうそう。暖かくなって、歩いてるだけでも気持ちいのよ」


ふん、その程度の事で快感を感じるとは安っぽい種族め。

………ん?

目兎「おや、歩き方が何かおかしいですが………」

老婆「ああ、ちょっと膝が痛くてねぇ。散歩できないほどじゃないし、ついでに病院に行こうとしてるのよ」

目兎「なんと。しかし、一人暮らしでしたよね?買い出しなども困るのでは」

老婆「ええ。お煎餅程度ならいいんだけど、重いものはねぇ」


なんと!!何故無理をするのだ!!
膝は我らのような二足歩行を行う種族にとって要の一つ!!悪化させては一大事ではないか!!
ええい、愚かなる人類め!!!何故その程度のこともわからん!!


目兎「それはいけない!!何か必要な物はありませんか。私が代わりに買ってきましょう!!」

老婆「え?ありがたいけど、悪いわよ」

目兎「無理をされて悪化したらどうしますか!!遠慮せず申し付けてください!!」


説明しておくが、これも調査に支障をきたさないためである。
目立つことは得策ではないのは当然だが、周辺住民からはある程度好意的に思われた方が事はうまく運びやすい。
そう、それだけのことだ。

老婆「相変わらず優しいわねぇ。ありがとう。それじゃあ、トイレットペーパーだけおねがいしてもよろしいかしら?」

目兎「わかりました。他にも必要なものがあったら無理せずに仰ってください」


トイレットペーパーか。ならばちょうど牛乳の特売と同じ場所で買えるな。手間が省けた。


目兎「後ほどご自宅にお届けしますので。しっかりご静養なさってください」

老婆「ありがとうねぇ。ほんとうに優しいわねぇ」


ふっ、私にかかれば地球人の篭絡などたやすいことだ。
おっと、確かこの老婆は煎餅を好んでいたな。しかし最近固いものを食べるのが辛いと聞いた。
千葉県という場所の一部地方の名産、濡れせんべいが売っていたな。それもついでに買っていくか。


目兎「それでは、失礼します。どうぞお大事に」

老婆「ええ、お気をつけて」


さて、買い出しリストにトイレットペーパーが加わった。
ついでに何かよさそうなものがあれば見繕うか。

目兎(ぬ、砂糖が安いな………しかしまだ備蓄はある。無理して買い込んではむしろ無駄金だ)


できる宇宙人はこの程度の倹約など当たり前だ。

というわけで、私は3丁目のスーパーで目的の牛乳とトイレットペーパーをカゴに入れ、しばし品定めをしていた。


目兎「む、カリカリ梅がもうなかったか」


あれはいいものだ。ちょっとした時の口慰みにちょうどいい。買い足しておくとしよう。

その後もイワシのミリン干しや銀鮭、納豆などをカゴに入れていく。

ビールはまだあったな………アレも素晴らしいものだ。酒という文化は素直に評価に値する。
特に今日は草刈りの予定がある。汗をかいた後のキンキンに冷えたビールは至高の一言に尽きる。

とはいえ、それらは後だ。自転車を運転する予定が無くなった後でないと、飲酒運転になってしまう。
何度も言うが、人類の文化に迎合しているわけではなく目立たないためだ。

あと、スーパードライの安心感はなんなのだろうな本当に。エビスが一番好きだが、高い。


「おや、目兎さん」


突如偽名を呼ばれる。
振り返れば、そこには人類の中年男性が立っていた。
記憶を呼び起こすと………そうだ。この人は蕎麦屋を生業にする人で、近所の飲み屋で知り合ったのだった。


目兎「おや、これはどうも。買い出しですか?」

中年「ええ。とはいえ、かみさんがいない間に酒のつまみ買ってるだけですがねぇ」

恐妻家のようだな。まったく、情けない。
カゴの中にはタタミイワシとスモークジャーキー。いいセンスではないか。


目兎「あまり飲みすぎ無い様になさってください。とはいえ、酒の誘惑は抗いがたいですなぁ」

中年「まさに。目兎さんは自宅では?」

目兎「ビールか焼酎ですな。たまにウィスキーも飲みますが」


この星にきて驚いたのは、酒の種類の豊富さだ。
まさしく、素晴らしいの一言だ。一日の終わりを晩酌で飾れることは至福の極みである。


中年「また、あの店で飲みましょう。では、これで」

目兎「ええ、またお店にもお邪魔させていただきますよ。お気をつけて」


そういって中年と別れる。
最近娘との折り合いで苦労していると言っていたな。
今度また行った時、話の一つでも聞いてやるか。

………私も宇宙人的にもいい歳だし、伴侶を探さねばかもな………


「あれ?目兎さんじゃないですか」


また話しかけられた。今日は、というか狭い地域内ではよく知り合いに遭遇するものだ。

目兎「おや、久しぶりだね。またカレーかい?」

「ええ。今日はシーフードカレーを試そうと思って」


ヒビノ・ミライ君は相変わらず無邪気なものだ。今どきの人類の若者にしては珍しい。
近所ではないが、今はこの町に住んでいると言っていたな。仕事が忙しいとかで、なかなか落ち着けないらしいが。


目兎「いいねぇ。いつかご相伴にあずかりたいものだ」

ミライ「でしたら、今度いらしてくださいよ!!!この間目兎さんに頂いたスモークチーズのお礼もしたいんです!!」


ああ、この間作ったものをおすそ分けしたあれか。
燻製、という文化もまた人類の評価するに値することだ。
煙を使うだけで様々な食品が進化を遂げる。アルコールに合うものが多いのも素晴らしい。


目兎「いいねぇ。その時は是非、だ。私もまたいい燻製を持っていこう」

ミライ「本当ですか!?ありがとうございます!!楽しみにしてますね!!じゃあ!!」

目兎「ああ、気を付けて」


初々しい青年の篭絡、なんと容易いものか。

これがあの忌々しい光の戦士共ではこうもいくまい。


しかし、相変わらず派手な腕時計だ。今はああいったものが流行りなのか?

本日はここまで。導入の一部だけですが。

不定期になる事請け合いですが、またゾゾゾッと顔を出しに来ます。

では、また



追記:オーブのあのメトロン、生きてるだろうか………

ゾゾゾッと沸いて出ました。

少しだけ更新したいと思います。
あと、例のカレー好き光の戦士さんとかいますが、基本的に時系列は考えてるようで考えてないです。
なので矛盾もでるかもですが、ピグモンに免じて許していただけると。

続いては商店街だ。
牛乳を買っている以上、あまり時間はかけられん。早急に目的の物を買おう。


「お、目兎さん、らっしゃい!!!いい魚入ってるよ!!」


魚屋の店主の声。
ふむ、確かにいい型のアジとイワシだ。刺し身にいいかもしれん。


目兎「どうも。あ、そのアジとイワシください」

魚屋「まいど!!ついでに、このタコおまけしとくよ!!小せえけど、味はいいぜ!!」


ほう、タコか。
この星の事を調査するにあたって一通り調べたが、素晴らしいものだ。
いろいろ似ている怪獣などもいるので最初は戸惑ったが、あの歯ごたえは病みつきになる。

………アレらを同じようにして食おうとは思わんが。


目兎「すみませんね、いつも」

魚屋「なぁに、いいってことよ!!またあの焼き鳥屋であったらよろしくな!!」

目兎「ええ、こちらこそ」


そういえば最近あの焼き鳥屋にも行ってないな。
今度夕餉の支度を省くのも含めて立ち寄るか。

ああ、さらっとした脂のネギマ塩と歯ごたえの嬉しい砂肝が想起される。


次に向かうのは肉屋だ。
余談だが、豚という生物のコマ肉は汎用性が高くいいものだと思う。


肉屋「お、目兎さん。いらっしゃい、今日は何にする?」

目兎「ええ、豚コマを200gと鶏ももを200gお願いします。それと、ポークステーキ用カットを2枚」


ポークステーキは塩コショウだけであれだけ美味いのだから困る。
米によし、酒によし。

むぅ、地球人め。気を抜くと篭絡されそうだ。愚かな種族の癖に狡猾な。


肉屋「あいよ!!少々おまち!!」


そういえば、この間手羽先の燻製のレシピも見つけたな。今度買って試すか。

「おや、目兎さん」


またか。また知り合いか。
本当にこの星は狭い。


目兎「おや、ゲンさん」

ゲン「どうも、お久しぶりです」


この人は確か、おゝとりゲンさんだったか。


目兎「最近お会いしてませんでしたが、お元気でしたか?」

ゲン「ええ、まあ………仕事が忙しくて。ようやくの休暇ですよ」


ふん、労働の配分すらまともにできんとは、地球人は相変わらず愚かだ。
宇宙ではそのような事はありえぬというのに。

しかし、ミライ君もそうだがいったい何の仕事なのだろうか。あちこち駆けまわっているとは聞いたが。


ゲン「せっかくなので、肉を食べて力を付けようかと。弟も近々来るみたいですし、何か美味いもの食わせてやろうかと」

目兎「ほう、弟さんが。それはいいことですね」

ゲン「ええ。目兎さんは今晩の食材ですか?」

目兎「まあ、そうですね。野菜は十分にあるんですが、肉と魚が不足してることに気づきまして」

ゲン「家庭的でいいですねぇ。それでは、また」


そういって彼は立ち去る。

しかし、ミライ君の腕時計もそうだが、彼の指輪もなかなかに派手だ。

今の地球人の文化というものはまこと、不可解だ。

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老婆「ありがとうねぇ。これ、お代だから」

目兎「はい、どうも。どうか静養なさってくださいね。困ったことがあったらいつでも言ってください」


買い物を終え、自宅に戻って生鮮食品を冷蔵庫に投げ込んでから老婆の自宅へ。

頼まれていたトイレットペーパーと、ついでに買ってきた濡れせんべいを渡してお代を受け取る。
ぬ、少し多いではないか。計算もできぬのか、劣った種族め。


老婆「ああ、いいのよ。お煎餅まで買ってもらっちゃって、手間賃だと思って」


ぬう。実のところは好感を得るための策略だとは。愚かと思えば狡猾、読めぬ種族だ人類は。


目兎「申し訳ないです。なおさら、何かあったら仰ってください。すぐ駆けつけますよ」

老婆「ありがとうねえ、目兎さんみたいな優しい人が近くにいて、本当に助かるわぁ」


老婆と別れ、ほど近い自宅へ戻る。

さて、今日の食事は朝決めたとおりに久方ぶりの外食とするか。

目兎「と、その前にだ」


縁側に腰かけ、七つの星が描かれたパッケージのタバコを取り出し、火をつける。

かつてこれを用いて地球を侵略しようとした同族がいたが、まさにこれぞ不可解の極み。
健康を自ら害し、短絡的な快楽を得て何がしたいのか。
私のような異星人には何の問題もないが、なぜもっと体を大事にしない。命をの大切さを説く割に行動が伴っておらんではないか。

まあ、この感覚は好きだし私はいいのだが。
うむ、文化の一つではあるが、ほどほどにした方がいいと私は思う。
どんな生物でも、精神体でもない限り体が資本なのだから。
うん、私は別に嫌いではないがね?


目兎「さて、そろそろ行くか」


灰皿に煙草を押し付け消火。準備を整える。

草刈りの予定もあることだし、食べ過ぎはよくない。だが腹にたまるものがいい。

………そうだ。さっきミライ君と会ったことだし、カレーにしよう。久々に近所のあの店に行くか。

腰を上げ、自転車にまたがり一息。

.














「しかし、侵略も楽ではないなぁ」


調べることが多すぎる。ああ、大変だ大変だ。

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カレー。
それは単純なようで複雑な、人類の為す巧妙なる技巧の一つ。

一口にカレーと言ってもなかなかに奥が深い。種類も店の数だけ、家の数だけあると言ってもいい。

私も時折作るが、アレンジが容易で失敗が少ないというのも魅力だと思っている。


店主「らっしゃい!!ひさしぶり!!」

目兎「お久しぶりです。ローエッグカレーを一つ」


店に入ってから悩むのではなく、前もって決めて置きスムーズに注文。
うむ、完璧だ。

今回選んだのは、インド風とかエスニックとかの前置きのない、いわば家庭のカレーの延長線上の店。
大したことなさそう?ほう、外食慣れしていないと見えるな。

さっきも言ったが、カレーは店の数家の数だけ種類がある。
よほどのところでもない限り、カレー屋には「新発見」はあってもハズレはない。
少なくとも、私はそう思っている。

この店のカレーは野菜が大きく切ってあり、とろとろに溶けた玉ねぎとホクホクのジャガイモがまた憎い。
無論肉もしっかりだ。食べにくくはないのに食べごたえはしっかり、絶妙な大きさといえる。

そして注文したローエッグカレー、これはいわゆるところの生卵カレーだ。
生卵一つを落とすだけでまた味わいがまろやかになり、舌触りも滑らかに。人類よ、まさに食の追求の鬼といえる。

とはいえ、最初からそれでは意味がない。


店主「おまち!!いつも通り、卵は別ね!!」

目兎「ああ、ありがとうございます」


普通は最初から生卵が乗ってくるのだが、私は頼み込んであえて別にしてもらっている。
何故?単純な事だろう。

まず、卵を落としていない状態でライスにルーを絡め、口に運ぶ。

おお、これだこれ。ピリリとした辛みとスパイスの香り、しかし味を阻害する程の主張はなくお互いを引き立てる。
まずは素のまま、本来の味。これを楽しむべきだ。でなければその店の料理を語る事などできん。


一口、二口。ああ、うまい。美味いだけでなく、体の芯から温まる。
油断すると、このまますべて食べてしまいそうだ。


目兎「さて」


ここで、ようやく卵を落とす。
割って小皿に入れてくれるので、手間が省けてありがたい。
ふむ、黄身も色濃く型崩れしておらず、白身もぷるぷる。新鮮な卵だ。

行儀が悪い?放っておけ。これをスプーンでかき混ぜる。

ねこまんまなどもそうなのだが、必要以上に見た目に拘るよりも味であろう。
今も店内には私と、離れた場所に一人だけ。ならば遠慮することなどない。

10人中10人が嫌悪感を示すようなことでもなければ、自分の好みを試すべきだ。


店主「お、トウマさん言い食べっぷりだねぇ。今日も仕事帰りかい?」

トウマ「ええ、またすぐに出なくてはいけないのですが」


あの客も常連か。
ふむ、大盛りのカツカレーとはまた健啖な。健康的でいい事だ。

卵を混ぜ合わせたルーとライスを口に運ぶ。

ああ、まろやかで、しかしスパイスの香りはそのままで。


目兎「ああ………美味い」


今日のこれからも頑張れる。そう思わせてくれる素晴らしい味わいだ。

肉に優しく絡んだ卵が肉汁と合わさって、それがスパイスと共に口の中に流れゆく。
スパイシー、しかし優しい。この矛盾を成立させるには、この調和された香りの働きも欠かせない。
しっかり煮込んでいるから溶け込んだ野菜が目に見えないのに確かに存在を主張して、しかしさりげなく………

食べ物一つでここまで精神を昂ぶらせ安らがせる。
地球の文化は侵略だけでなく母星の発展にも必要な物がある、調査の必要性は絶えない。

あの野蛮な光の戦士共はこのようなことは知らんだろうな。
まったく、損なことだ。


トウマ「あいつがおススメするだけの事はあるなぁ………やっぱり美味い」


誰かにおススメされて来たのか。おススメした人類もいいセンスをしている。

目兎「あ、すみません。ウーロン茶一つ」

店主「はいよ!」


………そういえば、母星のあの変人が自ブランドの茶をこの地球で作ったと自慢していたな。
今度調査サンプルを送る際に、返信便で送ってもらおうか。

ていうか例のチョンパマンにえらい目にあわされた後にその同族おちょくって帰ってくるって、あいつは何なんだ本当に。


しかし、この食べ物に限ったことではないが、特にこいつには厄介なことがある。

まかり間違って服に付けてしまうと、その洗濯がまた大変なのだ。
染み抜きの手段なども無論侵略の一環として調査済みではあるが、その手間は多大なものになる。

母星の技術を遣えば造作もない。だが、あくまで調査のため、地球人の技術を体験しなくては。


とか言っているうちに食べ終えてしまった。むぅ、名残惜しいが食べ過ぎは後の労働に支障をきたす。


目兎「ご馳走さまでした。お会計おねがいします」

店主「あいよ!!620円です、ありがとね!!」


支払いを済ませ、店を出る。しかしこの量でこの値段、安いな本当に。


目兎「そういえば、鎌も最近砥いでないな………今日終わったらやっておくか」


物の手入れは基本中の基本。
それは宇宙船の機器であろうと鎌の一本であろうと、革靴の一足であっても変わらない。

料理をした後の調理器具も、干物を干した後のネットもだ。

それができぬ種族には滅びあるのみだ。

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自転車を走らせ、家へと向かう。

家からそんなに離れていない店だ、すぐに自宅へ着いてしまう。
自転車を止め鍵をかけ、雨よけのカバーをかぶせて一度室内へ。

庭に出る以上、人間の姿を解くわけにはいかない。
そしてその姿で作業するのであれば、その作業に適した格好になるのが当然というものだ。

うむ、目立たずに人類の生活に溶け込むためにもだ。

とはいえ、服を選ぶような時くらい、元の姿に戻ってもいいだろう。
慣れていているとはいえ、割と肩こるのだ。


メトロン「ぬ、作業服のポケットがほつれてきてるな………」


随分使ったから仕方ない。今日使って、選択を済ませてから後ほど縫うとしよう。
裁縫などという原始的なことであっても、侵略する星の文化は調査体験が原則だ、何度も言うがな。

あ、ついでにエプロンにアップリケも付けてしまうか。
この間買った猫のやつが可愛かったことだし。


メトロン「日差しも強くなってきたな………帽子は、これにするか」


愚かなる人類、しかしてその発明は本当に時々侮れん。
この麦わら帽子、この快適さよ。

これからもっと暑くなる。パンドンあたりでも近くにいなければ、これは最高の防暑手段だ。

と、ここでそろそろ人間の姿に変身し、着替える。


目兎「では始めるか」


作業服に麦わら帽子、首元にタオルを巻いて軍手着用、靴は動きやすいスニーカー。
長靴でもいいが、無駄に履くと足に負担がかかるし蒸れる。
おおっと、虫よけスプレーを忘れてはいかん。まったく、害虫は厄介なものだ。

縁側に冷えた麦茶の水筒を置いて、準備は万全。さて、そろそろ作業を始めよう。


目兎「草の匂い、この陽ざし………そろそろ夏だなぁ」


四季折々などというこの気候変化、全く煩わしい。
時期に合わせた服選びと室内インテリアの選択が大変ではないか。全く。

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目兎「ふむ、だいたいこんなものか」


あれから3時間ほど。
途中途中に麦茶と煙草で休憩しつつではあるが、まあ満足といったところだろう。

あらかた草もむしり、一か所に纏めて土も均した。
幸いこの近辺は野焼きに寛容なので、乾燥したら近所に申告してから自作したレンガの小型焼却炉で焼けばいい。

………しかし、思いのほか自由が利くのだな、自作というものは。
DIY、というのだったか。
今度は、前に雑誌で見たピザ窯というのも作ってみてもいいかもしれん。

庭にその手の物を作るならば申請すればいいというのは、ここの大家が寛容だからだろう。



いやはや、地球侵略のために調査することは絶えんものだ本当に

目兎「さて、と………」


まだやるべきことは残っている。

手と顔を洗って泥を落とし、服を着替える。
これからは別に出かける用事もない。ならば、この作務衣で決まりだろう。
温かくなってくるとこれが便利すぎて楽過ぎて困る。

そして洗濯物を回収し、アイロンをかけていく。
ぴちっと皺のとれた洗濯物はかくも美しい。ずぼらはどんな生命体でも敵というものだ。しっかりせねば。

それらをタンスに仕舞い、ハンガーを片付ける。


目兎「しまった、掃除が遅れたな」


致し方ない。簡単ではあるが、箒である程度はいて掃除機をかけ、廊下は雑巾がけで終わらせよう。
本当ならば新聞紙を使って窓の掃除もしたいが、それは明日にする。

しかし、この新聞というものは本当に便利だな………
発行元によっていろいろ偏向はあるが情報を得られ、読み終わった後の用途も豊富だ。

窓掃除、ちぎって撒けば畳の掃除、ゴミ焼却の時の点火用、何かしらの敷物。
その他、枚挙にいとまがない。


そんなこんなで掃除も終了。我ながら、簡略化したにしては上出来ではないだろうか。

さて、そろそろ夕餉の支度をせねばならないが、その前に私の楽しみが待っている。


目兎「………うむ、よく冷えている」


普段、変に違和感を覚えられても困るので使わないが。
実は私は、一定の範囲を不可視にし、認識を阻害する空間を発生させることのできる道具を持っている。

じゃあなんでそれをこのタイミングでのみ使うのか。
それこそが、私の楽しみだ。

メトロン「………いい具合に陽も傾いてきたな」


周囲が認識できなくなったのをいいことに、私は元の姿に戻って縁側へ腰かける。
先ほど冷え具合に満足したビールを手に、灰皿を横に置いて。


メトロン「………この星の夕日は、本当に美しいなぁ」


煙草に火を点け、一服。
そしてスーパードライの缶を開け、口に運ぶ。













メトロン「ああ、今日も一日、終わったなぁ」



まったく、地球侵略は楽じゃない。
毎日疲れてしょうがないじゃないか。

更新終了。

区切る長さバラッバラなせいで読みづらくなってしまいました。

なんかSSとかで出すならメトロンって一番動かしやすい気がしてきました。
次点でメフィラス。

あとメトロンが食事のことでいろいろ言ってますが、あれは目兎さんの持論であり、人それぞれですので。
皆さんも食事はTPOわきまえつつ自由に楽しみましょう。ムルチの三枚おろしとか。

では、また時間が空いたらゾゾゾッと沸いてきます。
ただ、毎日とはいかないと思いますのでご了承ください。

では、また。




追記:もっと書き溜めしてたんですが、重大なミスに気付いたので修正中になり時間がかかるかもです。ごめんエース兄さん。

こんばんワイアール星人

更新はありませんが、ちょっとした問というか相談を

今書いてて、途中別の宇宙人ちょい登場させるか………とか考えてます。
ただ、どう絡むかは謎だしそもそもお互い気付かない可能性大。あと、すぐに出るとも限らない。

一応現在の候補は、

・ラッキョウ紳士
・変身得意で、最近ヒーローになったり清掃員になったりした金ぴか
・プロレス染みたリング作っちゃうような目立つの大好き偽物戦士
・何でも工場生産しちゃう星、に住んでた暗いとこ好き宇宙人

など。まだ未定も未定ですが。

上記の中、もしくはそれ以外で「こいつでいいんじゃね?(鼻ほじ」などがあったり、もしくはメトロンだけでいいという意見が合ればおきかせください。
ただし、反映できるかは本気でわかりません。ごめんなさい。


あと、どれが出ることになってもどの劇中に出たものとも違う別個体です

こんばんワイルドジョーカー
ほんのちょっとだけ更新します。かなり少なめ申し訳なし。


ご意見様々ありがとうございます。ラムネのおお兄さんと馬場先輩の人気ワロス。
ただ、ラムネのお兄さんはともかく>>52の通り、馬場先輩は本人出せるかどうか………

メトロン「ふむ、これは中々」


翌朝。
先ほど届いた品を見て、私はご満悦というやつだ。

これの調査を行うことで、私はまた一歩地球侵略へ近づくというもの。


メトロン「その他のものはすべて揃っている。これで問題なく、調査と体験へ繰り出せるというものだ」


この星に存在する密林の名を冠した通販サイトは相変わらずいい仕事をしてくれる。

揃っているもの以外は道中で買い足す計画は立てている。ならば、あとは行動あるのみだ。


メトロン「では調査といこう」




動きやすい服装に、ポケットの多いメッシュのベストを装着。
携帯灰皿と水筒も準備完了。
帽子もかぶり、今朝早起きして作った弁当も持った。保冷もぬかりない。
クーラーボックスを担ぎ、今朝届いた竿も持った。


メトロン「狙うは、大ぶりのアジ」










そうして、今日の地球侵略調査。

【釣り】が始まった。

.
















メトロン「ぬ、服がキツイと思ったら人間に変身し忘れていたか」


いかんいかん。

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自転車を走らせ15分、目的の場所についた。

漁礁の豊富な海岸の堤防。目的のアジもここに多数生息していることは調査済みだ。
私の今晩の夕餉のためにも、張り切っていかねば。


目兎「ええっと、これで準備はいいのだな」


釣竿を取り出し、一式の仕掛けを整える。
今回はまあ、簡単なサビキでいこうと思う。何分最初だ、呼吸を掴むことこそ肝要というもの。

投げる前には周囲の安全確認、これはマナーだ。調査するまでもないが、守れない輩もいて困ったものだ。


目兎「よし………では、いざ!!」


仕掛けを全て整え、記念すべき第一投。




この一投を以って、私の地球侵略調査の一項【堤防釣りについて】がスタートしたのだ。

目兎「おっとと。水をくむのを忘れていた」


一度竿を置いて携帯バケツを投げ、水をくむ。

少しずつ慣れていこうではないか。取り返しのつかないものでなければ、失敗もまた一興。
それすら楽しんでこそ一流の侵略宇宙人というものだ。


目兎「いやぁ………しかし、暑くなってきたなぁ」


水筒から麦茶をくんで一杯。
何なのだろうな、この暑い時の麦茶の浸透する感覚は。
人類はこの茶に何か細工でもしているのではないかと疑いたくなってくる。


携帯灰皿を取り出し、セブンスターに火をつける。

我が母星ではこの星の夕焼けが人気だったりするが、透き通るような海の青空もまたいいものだと思う。
これも貴重な情報だ。地元の名産品・特産品の情報を添えて報告に入れるとしよう。
最近味わう機会があったが、「カジキのハラワタの塩辛」とはすばらしいものだった。あれはどこの産物なのだろうか。


しかして、釣れるとは限らないものの、もし釣れたらどう調理しようか。


いや、まず刺身と塩焼き、それに朝食用の干物は鉄板だ。
しかし、釣れた量によってはそれだけでは捌ききれないこともあるだろう。ご近所におすそわけもいいが、まずは考えろ私。


目兎「………この国では、こういうのをなんというのだったか」


ああ、そうだ。取らぬ狸の皮算用だ。

でもいいじゃないか。スポーツ感満載のアクティブな釣りもいいかもしれないが、こうしてのんびり益体もないことを考えながら釣り糸を垂らす。
そんな時間は心の波を穏やかに凪がせてくれる。これは海の恩恵の一つだ。

この星の人類の祖先は遥かな昔、この海から生まれたという。
ならばもっと海に感謝するべきだ。その命に、自然に、恵みに。

後でこのあたり一帯のゴミを拾って帰るとしよう。
まったく、愚かなる人類が我々の侵略の前にこの美しさを壊さぬようにするのも一苦労だ。


で、なんだったか。そうだ調理法だ。

せっかくなので、この間「クックパッド」というもので見つけたアジの叩きとサンガ焼きなるものを………


目兎「ん?ぬぅ?」


とか言っていたら、だ。
そんなものは釣ってから考えろと言わんばかりに、まさに狙ったかの如くこのタイミングでの初釣果である。


目兎「お、おおぉ?おっとっとっとととと!!!」


おっかなびっくり、リールを巻いて手繰り寄せ、ぱしゃりと水面から跳ね上がったそれを確保する。
素晴らしい。初めてにしてはできすぎなほどにいい型のアジだ、脂もよく乗ってそうで、既にヨダレが出そうになる。

初めてのエモノに感謝し、記念の写真を一枚。これは現像して部屋の片隅に飾っておこう、いい思い出だ。母星にも自慢してやろう。
もしや、釣りを嗜んだメトロン星人は私が初なのではないか?

少し優越感に浸ろうとしたが、あの変人なら経験しててもおかしくないと思い至り我に返る。

手早く氷水を張ったクーラーボックスに入れ、蓋を固く締める。
ああ、今日の夕餉は忘れられないものになりそうだ。

さあ、引き続いて頑張っていこうではないか。まだまだ地球侵略のために体験しなくてはならないことは多いのだ。


目兎「それっ!!」


カゴにエサを詰めてからもう一度海へと投げ、また腰を据える。

ああ、もうこの一匹だけで終わっても私は満足だ。今日の酒はまた格別になる。












「どうも、釣れますかな?」

む?何奴………と思ったが。
そうか、この星この国では、釣り人同士は気軽に声を掛け合い交流するものだったな。

ふり向けば、竿を持ち同じように釣りスタイルで身を固めた一人の地球人の男性。
むぅ、竿の感じからして、少なくとも完全な初心者という感じではないな。


目兎「ええ、今しがた始めて一匹ほど。いや、今日が初めての釣りなのですが、嬉しいものです」

「おや、それはよかった。これからもっと楽しくなりますよ」


ふん、言われるまでもない。
一匹釣れただけでこれだけ嬉しいのだ。これからもっと様々な経験をしていけば、もっと楽しくなるなど当たり前のことではないか。
………そういえば、乗り合いの釣り船が近くにあったな………

目兎「ええ、楽しみです。そちらはこれからですか?」

「ええ。久しぶりの休暇なもので、私も数回しかやったことがないのですが竿を持つ感覚を忘れていなかったことが嬉しくて」


また仕事仕事か。この星の住民は何なのだ?仕事量の管理すらできんとは、本当に嘆かわしく救えぬ。
充実した休暇と打ち込める趣味があってこそ、仕事も張りが出るというものだ。

私のように、公私をキッチリ分けたうえでしっかり仕事をこなして見せろというものだよ。


目兎「それはお疲れ様です。是非今日は楽しんでください」

「ええ。っと、そろそろ船が出るので失礼します。よい釣りを」

目兎「ええ、そちらも」


なるほど、乗り合いの釣り船で行くのか。
………料金とスケジュールを調べておくか。もっと慣れたらだが、うん。



しかし、妙な感じだが………ぬぅ?

会ったことはないのだが、確かに知っているような………

.









「ふぅ………久々の息抜きだ。今度はゼロの奴も来れればいいのだが………父親らしいこと、してやれてないもんなぁ………」

本日の更新はここで終了です。
実はミスの修正以外に結構訂正してました。
本当ならここで手乗りべムスター出したり、長兄が調査に、とかあったんですが。

まあ、なかったことに。どこぞの裸エプロン先輩にご協力いただきました。

馬場先輩の件については検討中。ああ、お兄さんにはラムネ出して待機してもらってます。

また時間あれば沸いて出ます。ではまた

こんばんワイルドアームズ

すっかり間が空いてしまったよファッキン!!!!!!
いやぁ、オーブのメトロンさん生きててよかったよか………



(15話視聴中)

(          ゚Д゚      )



おしょんしょんもれた



少ないですがちょーっとだけ更新します

目兎「私は釣りがもっと好きになれそうだ」


ビギナーズラック、というものだったか?
いや、想像以上だ。予想以上だ。

アジが6匹、イシモチが3匹。

初めての釣りで3時間。それでこの釣果は上々に過ぎるというものだ。

まずい。今私は今晩の食卓に何を並べるべきか、とても悩んでいる。
そして楽しんでいる。ああ、包丁の振るい甲斐があるというものだ。

………そう。調査だ。地球人類の英知の一つといえる【食】に限られた食材でどれだけ挑むか。
実践を兼ねた調査だ。地球侵略への一歩、昂ぶらぬわけがない。

危ない危ない、危うく昂ぶりすぎて変身が解けてしまいそうだ。


目兎「さて、魚が傷まぬうちに行くとしようか」


自転車への荷物の積みこみも、重くなったはずのそれが異様に軽く感じる。
いやぁ、人間は残忍さを排除した上で、娯楽と実益を兼ねた素晴らしい狩猟法を生み出したものだ。珍しく称賛に値するぞ。

さて、あとは調理法を考えながら帰るだけだ。
意識が散漫になって自動車と事故を起こすなどは避けなければ………

目兎「まずは刺身と塩焼きだな………新鮮な魚はまずシンプルに味わうに限る」


言いながら自転車に跨り、ペダルを漕ぐ。
足取りは軽い。少なくとも疲れているはずなのに、心理的な物だろう。

鮮魚を積んでいる関係上あまり寄り道はしたくないのだが、ふと思いついたことがある。


目兎「………そうだ。片栗粉と、ショウガを買おう」


南蛮漬け。
以前料理のデータベースで発見し、興味を持ったものだ。

揚げ物とはそのからりとした揚がり方と、香ばしさ。その二つこそが本来の売りのはずだ。
だがこの料理は違う。からりと揚がった魚を、なんと狂気の沙汰かそれをタレに漬けてしまうのだ。
それもサッと通すなどという甘いものではない。文字通り漬けるのだ。長ければ、一日以上も。

しかしそれが一つの料理として成立している。それは一つの、奇跡だ。
この国の人間は特に食事に対してのこだわりを持っている。
その異質なこだわりの持ち主たちが生み出し、存続させ、愛される。

興味を持つなという方が無理な話だ。


目兎「レシピだけは暗記してある。ならばあとは実行に移すのみ」


帰路に存在するスーパーで早急にそれらを購入、帰宅後、夕餉のメニューとは別に仕込みに入る。

そうすれば、明日の夕餉で私を待っているのは至福の一時であると確約されるのだ。


目兎「おのれ地球人。異星の住人すらも惑わせるとは、何たる狡猾な文明を」


全く油断できん。これだから侵略は楽ではない。


考えながら走っていれば、いつの間にか目的のスーパーが目に入ってきていた。

目兎「よし、片栗粉は………これだな」


目的の品である片栗粉をカゴに入れる。
ショウガはすでに道中でカゴに入っている。あとはレジに向かうだけだ。

しかし、随分と混雑している。レジの前の行列が若干憂鬱を誘った。
しまった、そういえばこの曜日この時間帯は卵の特売ではないか。


目兎(………流石に、卵はもうストックがあるし買うものでもないだろう)


安物買いの銭失い。この星に存在する至言だ。
いくら買い得だからとそれに飛びついてばかりいては結局は無駄な浪費になる。

故に、自宅の食卓事情と冷蔵庫の在庫の把握は必須といえる。
これすらできぬようであれば、星の侵略など夢のまた夢。
私のように「できる宇宙人」は献立の組み上げから特売の把握、資金のやりくりまで全部できて当然なのだ。


目兎「む、4番レジが空いたか」


目測で一番空いているレジに並ぶ。

冷水で鮮度はある程度保たれているのは理解している。
しかし、新鮮な魚、それも自身で釣り上げたそれに早くありつきたいというのは心を急かす要素として十分だ。

「………むう、買い過ぎたか?いや、どの道用途の多いものだ、かまわんか」







後ろの客の独り言が耳に入る。

悟られぬようにそっとカゴを見れば、そこには特売の卵と、牛乳。
バターなども入っているようだ。ここから導き出される推論は………


目兎(………オムレツか!!!!)


この後ろの客である初老の男性が呟くように、これらの食材は汎用性が高く、決してその時ばかりで終わるものではない。
その気になれば、様々な別料理に転用することだって簡単な上、お菓子の材料にもなる。

しかし、それら凡庸な食材から生み出される「ふわふわトロトロオムレツ」という存在は、私もかつて経験した雷鳴のごとき衝撃だ。

箸でつつけばぷにぷにと柔らかい感触。そこに箸を差し込んだ時にとろりと流れ出る黄金色の半熟部分。
ケチャップもいい。デミソースもいい。

しかし、この料理はそこだけで終わらないのだ。
その答えはこの初老の男性の言葉を聞けばわかるだろう。

「そうだ、ハヤシライスにするのもいいな」


オムハヤシ――――――――――――――!!!

それは、半熟のふわトロオムレツをハヤシライスの上に乗せ、皿の上で割り開くという視覚味覚嗅覚すべてに対する暴力的な誘惑。
黄色い花が満開に花開くかのように広がる半熟オムレツが、芳醇で濃厚なハヤシライスを優しく、慈しむように包み込む。

半熟オムレツの黄身は、ハヤシライスの一切を損なうことなく引き立て、同時に鼻孔と舌を、果てには喉を支配する幸福を生み出す。

濃厚芳醇。されどまろやか。

これは、人類が生んだ宇宙の真理へたどり着くための鍵なのかもしれない。


「デミグラスはまだあったな。いやぁ、一人暮らしでもここまで食が充実するのはすばらしいなぁ」


なんと。この男性も一人暮らしとは。
地球人でその年齢で一人。しかしそれでもそれを理由に自堕落に堕ちず、自炊し美味を求めるとは。

地球人よ。見習うべき姿がここにはあるではないか。



レジ「お客様、お待たせいたしました」





おっと、私の番が来ていた。

.















「地球の食事は本当に素晴らしいなぁ………ラッキョウもまだあるし、今晩も楽しめそうだ」


「………しかし、一人の食卓よりやはり団欒だよなぁ………メフィラス星の同胞、誰か呼ぶかな………伴侶、欲しいなぁ………」






というわけで、本日の更新終了。
ゲストは今までのどの作品の個体とも違う、この世界独自の個体のメフィラスさん(人間擬態)でした。

メフィラス星人って、一回堕ちたらガチで地球馴染みそうなイメージが何故かあったのです。



サンダーブレスター………今回で見納めかなぁ。もう使えない言っちゃったし。
でも正直それだけで終わるには惜しい気が………

ていうか、ゾフィーさんとの組み合わせでアレなら、サンダーミラクルとかダイナさん大丈夫なんすかマジで。
あと劇場版でもいいのでゼペリオンソルジェントの登場マジでお願いします!!!!職場の上司生贄に捧げますので!!!!!



では、また時間が空いたら沸いて出ます。皆さま、よい猿夢を

生存報告になります。長らくお待たせしてしまって申し訳ありません。
時間を作って少しずつ書いてはいますが、ちょっとリアル事情もあって滞ってしまっています。
今日なんとか見れたタルデさんの雄姿にエネルギー的なナニカをもらってもう少し早く更新できるよう頑張りますので、
もしよろしければお付き合いください。あとジャグはハゲて、どうぞ。







………最もスタイリッシュにアクションしたメトロンじゃないだろうか、あの人

ルームシェアしてるイカルス、バルキー、ナックルでないかな

大変遅くなりました。
明日………というか、今日か明日には、一応少しだけの更新予定してます。本当に少ないですが


>>91
あの人達、出しやすそうで逆に迷うんですよぉ!!!

こんばんワドルディ。マジでほんの少しだけの更新です。

あとすみません、なんか今回、侵略活動というか………

目兎「さて、それでは調理といこう」



家に帰って軽く休憩後、私は厨房に立つ。

せっかく釣った魚なのだ、丁寧にしっかりと料理せねば。
そう考え、さっそく包丁を手に取る。

しかしまず捌くのは二尾だけだ。


目兎「刺し身はまあ、私はどうせ一人なのだし大きめの物を一尾でいいだろう。もう一尾は塩焼きだな」


少し考えたのだが、そもそも私は一人暮らしなのだ。

あの時皮算用で脳内計算したメニューをバシバシ作ったりなどしたら確実に持て余す。
ならば、最もおいしくいただけるように揃えるのが賢いものだろう。

水の音と、包丁を捌く音。それらの中に混じって、気まぐれにつけておいたテレビの放送が耳に入る。


『………ということもあり、この誘拐未遂を受けて警察は目撃された『角ばった顔に白と黒の特徴的なメイクのようなもの』をした3人組とみられる集団を追っています』


………また妙な事件が起きるものだな。見た目がすでに人間ではないではないか。
まるであのダダだ。もしくは以前研究資料で見た「ピエロ」というやつか?


『次のニュースです。突然発生した謎の怪現象、通称『どんより』について………』


む、塩が少なくなってきたな。買い溜めはある、あとで足しておこう。

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本当に素晴らしい焼き魚は、箸をいれた瞬間にわかる。

そんな言葉をどこかで見たことがある気がするが、それはまさしく至言であったと私がこの瞬間に理解した。


目兎「脂が………溢れる………!!!!」


アジの皮下にあった、旨みを独裁的なまでに凝縮したその脂が。

パリッと、そのこんがりとした皮を箸で破った瞬間にあふれ出るのだぞ。

おい、これはどういうことだ地球人。
私は今まで何度も焼き魚を食べたが、ここまでの侵略的魅力はなかった。
はたまた、もしやこれは私が自身で釣り上げたことに起因するのか?

ならば、私はこれを口に入れた瞬間こう言うしかないではないか。

目兎「美味い――――――――――――――――――――――――――――――!!!」






もう限界だとばかりに皮下に蓄えられていた脂が、箸の一突きで溢れ出す。
旨みと香りはその時点で対象の五感を支配征服し、口内に早く叩き込めと警鐘すら鳴らしてくる。

それをいざ、と口に入れたらどうだ。

弾けるのはまず香り。
臭みは一切なく、口内を侵略し蹂躙し支配する圧倒的な芳醇。

そして極一拍遅れてやってくるのは旨みだ。
ジュワリと広がったその旨みを忘れることなど許さないと言わんばかりに、口内に脂が広がりまとわりつく。
もっと食え、もっと俺を味わえと殴りかかるかの如く!!
しかしてそれは全くと言っていいほどにくどくなく、むしろ、ああもう少し余韻を!!と言いたくなるほどに自然に去っていく。

だがその余韻は確かに残されているのだ。うっすらと残る脂の薄膜と、香ばしさと旨みのブレンドフレーバー。






ここに、だ。

この、単品でこれだけの輝きを残す存在を、もし口に含んだまま



ここに、白米を放り込んだらどうなる?



目兎「………はむっ!!」



意を決してほかほかのコシヒカリを口にした私を待っていたのは、蹂躙であった。

米の香りと魚の旨みの香り、それらが喧嘩など創作上の産物と嘲笑うかの如く手を繋ぐ。


まろやかに。

それぞれが持っていたものの角、棘。そのようなものはお互いが補えばいいと言わんばかりに打消し、合わさった姿は完成された芳醇かつマイルドな旨み!!

喉を通る感覚、その後の食べ物、それら一切の邪魔を消すかのごとく同盟を組んだ彼らは今、私の喉を通って胃へと流れ、その姿を満腹感へと変える!!!!



目兎「………涙すら出るな」

おのれ………おのれ人類ぃ!!!
このような凶悪な文化を持つとは!!これは………宇宙の均衡すら乱しかねん悪魔的兵器だ!!!!

これを!!これほどのものを、軍事力とは無縁の存在が日常的に手にできるだと!?


ふざけるな!!これでは、地球人類がもし食文化という兵器を以って宇宙外交に臨めば、数多の星が虜となってしまう!!
何という狡猾!!なんという暴力性!!なんという文化ああああ美味いぃ!!


………まて、待ってくれ。


私の手には、今味噌汁がある。

もしこれを、今このタイミングで飲んでしまったら



わ………………………私、は………………………









ズズッ

創世だ。



味噌汁の柔らかな味わいと香りが、一種暴力的ですらあったアジの脂と白米の組み合わせ。

その連合軍すら調伏し、安らぎを、聖母の愛すら感じる慈しみをもたらす。

胃は休まり、温まり、次の箸を何のためらいもなく、迷いもなくすすめさせる。
以前私が敗退を喫した『味噌汁ぶっかけ飯』は、この女神の慈愛があってこそのものか。

もしもその途上、悪魔の誘惑があった時には『漬物』という天よりの使者が道を示すのだ。
聖母の愛ですら消し去れぬ『脂』在りしなら、それを漬物の風味という一矢が射貫き消し去る。

後に残るは、爽やか、しかしてもっと!!もっと恵みを!!と叫ばせる背徳的かつ甘美な感覚!!!




メトロン「私は今、大宇宙の真理、その一端に触れた」



そう



メトロン「これは、神話だ――――――――」

思わず変身を解いてしまうほどの衝撃。

しかし、それも仕方がないだろう。私の母星の奴らを連れてきても、この甘美な魅力に抗える者などいるはずもない。
茶を勧めて光の国の戦士をからかうなどという奇行に走ったあの変人ですら、この存在相手では危ういはず!!


目兎「………危ない危ない。変身はむやみに解くものではない」


しかし、これは………








目兎「地球人………なんと………なんと侮れぬ………!!!」


これは、もっと綿密に、正確に、密着しての超!!長期的調査が認められる………………!!!

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結局、おかわり二回もしてしまった。我ながら満足というしかない。


目兎「刺し身もまた素晴らしかった………瑞々しくされど薄くなく。濃縮された魚そのものの味が、舌を滑りねっとりと纏わりついて………」


そしてあの白米だ。

白米、というのは別の食べ物と組み合わせることで真価の発揮どころか一種の洗脳兵器にまで達するのではないか。
なんと危険な。この星の食べ物は宇宙ケシ以上の中毒性があるというのか。


洗い物をしながらあの至福の時の余韻に浸り、思わず笑みがこぼれる。
まったくどれだけ調査してもしたりんな。調査期間をもっと延長せねば。


食器についた洗剤の泡をしっかりと落とし、乾燥スペースに並べて蓋をする。
魚料理は味こそ至福なのだが、調理後の調理機材の片付けの手間が何というか。とくに鱗がまた厄介だ。


目兎「母星の技術なら一瞬なのだが………」


いやいや、それでは意味がない。
これこそが釣り人の醍醐m………ではなくてだな。異星における実地調査において最も重要な事なのだ。
出来うる限り自身で体験し、挑戦し、修得する。

そうすることでこそ、真にその文明を知ることができるというもの。

そんなことをしていると、ついつけたままにしていたテレビがまた何やらニュースを流していることに気づく。」


『………ということで、婆羅慈遺跡の調査結果が待たれるところです。次に、風の街風都で………』


ピッ


あまり侵略に役立ちそうな情報は無い様に思える。電気代の無駄もそうだし、これからの時間には邪魔だ。消しておこう。
ちょっと変わったニュースがあるならばすぐに聞くがな。それこそ一流の侵略調査員というものだ。

………そういえば、タルデの奴は元気だろうか。
最近とんと連絡がつかなかったが………どこか変に熱い部分がある奴でもあったし、変なことになってないといいのだが。

目兎「さて、魚の残りは後日だから、と………」


実は。さっきの夕餉の時にはビールを、というかアルコールを飲まなかった。
酒というものの素晴らしさは重々知ってはいるが、あれはデメリットも多く抱える諸刃の剣。


目兎(せっかくの初釣果を味わうのに、アルコールで味覚を鈍らせてはもったいない)


なので、アルコールは食後へと回し、食器類の片づけが終わった私はようやくその時を迎えたというわけだ。


目兎「あったあった。さて、これを………」


取り出したのは鮭         の、皮だ。

今日の釣りに出掛ける際、私が弁当を持ったと言ったのを覚えているだろうか。
その時のメニューに焼き鮭の身をほぐしたものを白米に混ぜ込んでおにぎりにしたのだが、その時に皮だけをこうしてとっておいた。

理由など、知れたこと。

目兎「焦がさぬように、慎重に………」


あまり大きくないオーブンの中の鮭の皮が焦げ過ぎぬように細心の注意を払い、頃合いを見て取り出す。
そして香ばしい香りで早く食えと誘ってくるそれに、まあ少し待てと醤油をさっと。

熱を持った鮭の皮が醤油を一瞬弾き、そして熱しながら吸い上げる。
その焦がし醤油という至高の香りは、嗅覚さえあるならばどんな宇宙怪獣であっても虜にするのではないだろうか。


目兎「うむ、申し分ない。さて、始めるか」


その鮭皮を乗せた皿を冷めぬうちに縁側へと運び、腰かけて認識阻害装置を展開。
慣れ親しんだ元の姿へと戻り、右に視線をやればそこにはタライ。先ほど用意した氷水、そこにビールだ。

つまみをこれにしたのは、これ自体が素晴らしい逸品であるというのももちろんだが、食後なのでつまみは腹にたまらぬものの方がいいだろうと判断した。

カシュッと音を立て、ビールを開ける。

メトロン「では、侵略調査の大いなる進展に乾杯」


ひとり缶をかかげ、濃厚な泡立ちと共に飲みこみ、喉を潤す。

このキンキンに冷えたビールが喉を通る瞬間は、一日の締めくくりとして最高のねぎらいだと私は確信する。

鮭皮を口に入れれば、ジュワリと広がる皮と身の間に残っていた最上の脂。
そこに醤油の横やり、かと思えばそれらは瞬時に手を繋いで口の中で合わさり混ざり溶けていく。

パリパリとした食感、その裏に隠されたプルプルの脂。それらを邪魔せず引き立て取りまとめる醤油。


メトロン「シンプル………だが、だからこその至高」


ああ、初めてこれを食した時の感動が蘇るかのようだ。

後味残るそこにもう一口ビール。ああ、脂の残る口の中が麦酒の苦みと炭酸で洗い流され、それでも確かに残る残り香。
思わずほぅっとため息が出るのも、何一つ不思議はない。


耳をすませば、静寂の中にいくつかの音。

夏の虫、その鳴き声。
どこかの家庭の団欒の声。
風が木々を揺らし、踊る草々の音。







メトロン「………夏、だなぁ」


今度、線香花火でも買ってみようか。

まだ、侵略調査は終わらない。道は長いなぁ

                                                                        .












「………へっ。何かおかしい気配がすると思えば………」


「そんな装置じゃ、俺の眼はごまかせねえ。他の奴らに見つからなかったのは運がよかったんだろうが………」


「俺がここに居合わせたのが運のつきだぜ」


「はっきりとはわからなかったが、野郎侵略とか言いだしてやがった」


「いったい何をするつもりなのか、はっきりと見定めてやる。そして、事を起こすつもりなら容赦はしねえ」


「何のつもりで地球人になりすまし、どんな計画を練ってやがるのか………いずれにせよ、地球侵略なんざ―――――――――――――――」

                                                                       .









「このウルトラマンゼロが、許しはしねえぜ!!!!!!!」

というわけで、本日の更新は終了になります。

当初の予定が流石に少なすぎると判断したため、途中から書きながらの投稿になってました。
皆さま、長良熊を空けて申し訳ありません。

諸々の都合上、また間が空く可能性は高いですが何とか書ききりたいとは思っておりますので、よろしければ気長にお付き合いください。

では、また





独り言:オーブももう次で最終回………切ないなぁ………寂しいなぁ………(Amazonプライム入会しながら

善良な目兎さんがチャラそうな若者に攻撃される話か…


やっぱりゼロはヤンキーじゃないか

人間以上に人生を楽しんでいる目兎さんに迫るゼロの魔の手か….…

凶悪な宇宙人に襲われる目兎さん…
ウルトラ警備隊呼ばなくちゃ…!!

ところでニュースの劇場版Xとドライブとダブルはわかったけど、白と黒のメイクの三人組でだれやろ?

【次回予告】




「ふふふ、ようやくの完成だ」


「ば、馬鹿な………あんなもん、どうしろってんだ!!親父たちでも太刀打ちできるかどうか―――!!」


「徹底的に練った計画。よもや、失敗はあるまいよ」


「あいつ………!!なん、てことを、しやがる!!!!!」


「では、始めよう」



「や         やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」













「………俺の、負け………だ」

というわけで、続きがまだ投稿できないのでお茶濁しの次回予告です。
作業進まない時は適当に何か入れとけばいいって乾巧って奴が教えてくれたんだ。

みなさん、メリークリスマス。一人ですか?一人ですよね?一人じゃないとか言った貴方、自宅にマガタノオロチ沸かせておきますね。

オーブもとうとう最終回、その後も楽しみは沢山ありますがなかなか寂しいものが。
映画版ではちゃんと元気にジャグジャグしてるジャグジャグさんは見れるのでしょうか。

それでは、最終回はしっかり録画予約して、明日の仕事片づけてきます

みなさま、よい聖夜を。



【独り言】目兎さんクリスマス番外とか間に合わなかったよ!!!!

【追記の追記】
>>118
ただのどこにでもいるダダですね。漫画の怪獣酒場ではめっちゃいいキャラしてますよねあの人

>>114
>>115
>>117
>>118
ゼロの評価に大草原不可避なんですがそれは

こんばんワルサー

うごごご、完全に想定外なレベルで時間がかかってしまった。
予定の半分ですが、少しばかり投下します。

目兎「ふう、ようやくのこと運び込めたな」


目の前には、一般的に言うところのベニヤ板や2×4材などの木材、その他もろもろの品が揃っている。
つい先ほど、人間が工作作業などを行う際に多々利用するという【ホームセンター】なる場所に行って購入した。

運搬には店舗にあった軽トラックをレンタルした。そちらは先ほど返してきたので、あとはこれらの始末だ。

免許?無論取ったさ。調査のためにこの星にきてから少しして、しっかりと教習所という場所に行った上で。
何度も言うが、小さなことであっても地球という星の事を知るためには実地に手体験するのが一番なのだ。

以前自転車を選んだ理由の際に色々説明したとは思うが、私は免許を持っていないなどとは一言も言っていない。
しっかり取得し、自身の技術と可能な事の幅を広げた上でチョイスしただけだ。


目兎「工具の類も、これでいいはずだ。図面も何度もチェックした」


事ここに至って失敗などありえん。
私はこの日のために、徹底的に計画を練り、図面を起こし、書籍にインターネットにと精力的に情報を集め、ようやくの決行にこぎつけたのだ。


目兎「さて、それでは開始と行こうか。まずは寸法からだ」





私の計画は、今こうして始まったのだ。

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ゼロ「………野郎、何か運び込んできやがったな」

ゼロ「あれは、木材………と、金属片は釘かネジか何かか?」

ゼロ「何を始めるつもりだ………わざわざ地球の素材を人間に化けてまで集めたんだ。何か理由があるはず」

ゼロ「地球外の素材、技術は入ってねえみたいだが………油断はしねえ」

ゼロ「ノコギリ………普通の工具だが、あの手の物で俺の師匠さんがえらい目にあってるからな」

ゼロ「あいつらの種族は、例外はあるが長期的でじわじわ蝕むような侵略をする傾向がある」

ゼロ「見定めてやるぜ、メトロン星人。どんな悪辣な計画を練ってやがるのか!!」



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ちょっとした耳慰みにつけてあるラジオから、ニュースが聞こえてくる。


『………と、ガイアメ………罪は増加の一途をたどっており………ぎのニュースです。警察は、未確認………体………の………』


ん?チューニング………いや、さっきまで合っていた。
混線か。


『………パイナーR………の使用を………』


まったく、こんな原始的な技術に頼っているからだ地球人め。
確かに味があって他の先進技術ではない何かを感じるし非常時に便利かもしれんが、非効率的な。

そんなことを考えつつ、私は木材に寸法通りの印をつけ、それに沿ってカットしていく。

ホームセンターでカットしてくれるサービスもあるらしいが、私は遠慮した。
それではせっかくなのに面白く………ではなく、調査のための体験を重視したためだ。

工具はまあ、あまり大掛かりなものでなければ今後も使う機会があるやも知れぬ。なので購入した。

………私の収入源?
ああ、そういえばまだ話していなかったか。

まあ、それは後日話そう。


目兎「隙間ができては意味がない。ある程度はパテも使うかもしれぬが、できる限りかっちりと閉じ込めなければ………」


何分、庭の小型焼却炉以来のDIYという奴だ。

慎重に、しかし楽しんで。


………まあ、そうすることで文化を知ることができるのだ。うむ。










ゼロ「………なにしてやがるんだ、あいつは」

ゼロ「大きさは………せいぜい人間の子供一人が入るくらいの、箱、か?」

ゼロ「何を作る気だ………これから地球外の技術であーだこーだするってか?」

ゼロ「………なんか一人で見張るのも疲れてきたな。ダイナあたりでも近く通らねえかな………」

目兎「ふむ、一度休憩をはさむか」


休憩というか、昼飯だ。
以前も思ったのだが、朝からずっと大工仕事というのは思いのほか体力を消耗する。
こんな原始的なことを続けるとはなんと愚かな………ああ、いい汗かいた。


目兎「食事は簡単に済ませるか」


実はもう用意………というか、正直用意がいらないのだよ、この料理は。


目兎「さてさて、まずはニラを………」


取り出したのはニラ。
見た目はただのありふれた植物の葉という感じだが、その食感と香りは様々な料理に重宝する。

それらをまずは適当な大きさに切っていくのだが、ここがポイントだ。
包丁を使わず、ブチブチと手で捩じって切っていく。

え?何故そんなことを?見た目?

違う、大事なのは香りだ。包丁などで切ってもいいのだが、それよりもこうした方がよりニラの香りが出る。
正直私も最初は半信半疑だったが、以前やってみてその違いを実感したものだ。

で、次は卵だ。新鮮で黄身も型崩れしておらず白身もプリプリ。素晴らしいではないか。
これを割って器に入れておく。

そしてここで行うのが、丼に白米をよそっておくことだ。
早い?うむ、確かに早いな。普通ならこんなタイミングでよそったりなどしない。
そんなことをしてしまえば、上に乗せる具材が出来上がるころにはすっかり冷めてしまい、どんぶり飯の価値が失われてしまうだろう。

しかし、この料理に関しては話が別なのだ。
なんせ、この料理はそれこそ「早い」のだから。

フライパンは中火。熱したら、そこに薄く油を敷く。

さて、


目兎「………いざ!!!」









ゼロ「………本当に何やってるんだよ」

ゼロ「地球に人間の姿で長期滞在したことねーけど、何回か親父に地球の飯食わされたよなぁ………」

ゼロ「なんでこの星の飯ってあんなにうめーんだろ………俺たちこの部分完全に地球に敗北してるじゃねえか」

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ニラを入れ、さっとかき混ぜるようにして素早く炒める。
しかし火を通し過ぎるようなことがあってはならない。大半が生くらいでいいのだ。

そこに用意しておいた酒を入れ、アルコールを飛ばすために一煮立ちさせる。
一煮立ちといってもほとんど時間はかからない。この料理はまさに、時間との勝負だ。


目兎「っと、いかんいかん!!」


一煮立ちしたらすぐに醤油を入れる。
この醤油の量はお好みでいいのだが、あらかじめ好きな量を小皿か何かに入れておくとすぐに適量入れられて便利だ。
洗い物が増えると言っても小皿一つ、そんなことまで気にしていたら何もできない。

私のように、拘るべきポイントを押さえた宇宙人はそんなことは気にしないのだ。


醤油を入れたら間髪入れずに先ほどの溶き卵。

ここでまたポイントだ。決してドバっと入れてはいけない。全体にいきわたる様に、軽く回すようにできるだけ均等に。
もちろん早くやらなくてはいけない、が。そこで焦って一か所に投入などすれば後で後悔するのは自分だ。

そんな事の無い様に、決して焦りに負けぬよう自分を律して溶き卵を操ってこそ一人前の侵略者なのだよ。

そして蓋をし、即火力を弱火に調整。
ここでこれを忘れると後でとんでもないことになる。そう、とんでもないことに、な。

………決して実体験などではない。ないのだ。

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ゼロ「………おっかしいなぁ………ウルトラマンって飯食わなくても活動余裕のはずだってのに」

ゼロ「てか俺は割と無尽蔵だってのに」

ゼロ「………なんか腹減ってきた。マジでダイナでもこねえかな………見張り代わってくれる奴………」

ゼロ「かつどん、だっけ?アレ食いたい………」

ゼロ「てかあいつ、マジで何してんだ」



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さて、蓋をして火を弱めてから、待つこと15秒。そう、15秒だ。
そしたら火を消して10秒前後余熱で蒸らす。ここ当たりは個人の好みも出てくるだろうし、試行錯誤をおススメする。

もうわかっただろう。先ほど、料理開始前に白飯を予想といった行動に出た理由が。

何度も言う通り本当に早いのだ、この―――――――――「ニラとじ丼」は。


目兎「おっとっと」


あとはもう、先ほどの白飯に完成した具を乗せれば完成だ。滑らせるように乗せるのがコツだ。火傷には気を付けて、な。


先ほどから随分色々手順を説明したように見えるだろう?
やってみるといい。笑ってしまうほどに早く終わる。本当に、これは料理か?と言わんばかりの早さだ。そして速さだ。

しっかり頭の中で順番を理解して、不安ならすぐ見える位置にメモを張っておくといい。
手早く、しかし焦らず落ち着いて行えばまず失敗もない。


目兎「以前拝読した『クッキング〇パ』は本当に偉大な書物だ。我が星にも欲しいものだな」


原始的な手法で描かれるイラストレーションで架空の物語に乗せて叡智を記載し、理解の容易さを求める。
相変わらず侮れぬ、地球人。私もこんな家族が………いや、私の任務は侵略だ。私情に流されぬプロが私だ。

………任務終わったら、まあ………考えるか。

目兎「おっと、ウーロン茶がもう少ないか」


本気で一度取り寄せてみようか、あれ。あの変人の自作という茶。
ついでにタルデの奴にも連絡を取ってみようか。まあ心配はいらないだろうが、同じ種族同士仲良くすることに越したことはない。


目兎「さて、それでは、だ」


この一瞬のための、先ほどの料理だ。

心を込めて



目兎「――――いただきます!!!」












ゼロ「………………………………」

ゼロ「………俺はひょっとして、激しく無駄な監視をしてるんじゃないか………?」

書きながら更新して、このままいけばもっと更新量増やせるかも………とか考えてた私が甘かったです。

本日はここで終了になります。予告のところまで行けんかった………

オーブも終わり新しい番組、そして待ちきれない映画。ジャグジャグさんの今後。
どれもが楽しみ過ぎていいですね。仕事がなければもっといいのですが。

ちなみに、目兎さんの外見はご想像にお任せします。

それでは、また

えー、生存報告になります

大変申し訳ないことに、真面目に身動き取れない事情のため、更新どころか書き溜めが作れない状況になっていました。
流石にこんなことはもうないだろうとかタカ括ってた私の不徳です。大変申し訳ありません。

もう少しで更バーーーローー度分くらいは書けると思いますので、もうしばし、もうしばしお待ちいただければと。

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