シュガーハート「佐藤心」(52)
―都内居酒屋にて―
心「はじめまして~♪ 佐藤心こと『しゅがーはぁと』でーす☆ ヨロピク~☆」キャルーン☆
早苗「あっはっはっ!佐藤が『しゅがー』で心が『はぁと』ね!面白いわ!」ゲラゲラ
麻理菜「」
夏美(あかん)
佐藤心(26)
http://i.imgur.com/VK3naq5.jpg
片桐早苗(28)
http://i.imgur.com/UOurVAX.jpg
沢田麻理菜(26)
http://i.imgur.com/Prap8zl.jpg
相馬夏美(25)
http://i.imgur.com/0XrSwqM.jpg
心「あれ~?どうしたのかな麻理菜ちゃ~ん?元気がないぞ~?」オーイ?
早苗「きっと久しぶりにはぁとちゃんに会えて嬉しくて言葉が出ないのよ。気にしないで
飲みましょ。すみませ~ん生4つくださ~い!」
心「あ、はぁとはチューハイでお願いしま~す♪ 明日は事務所でアイドルの面接だから、
二日酔いは避けないとね☆」サッ ←液キャベ
麻理菜「」
夏美「麻理菜さん、しっかりして下さい麻理菜さん」ユッサユッサ
早苗「大丈夫よサマービューティーちゃん。マリンちゃんはちょっとノスタルジックな
雰囲気になってるだけだから♪」
夏美「誰がサマービューティーですか。麻理菜さんノスタルジックどころか走馬灯でも
見てるみたいな遠い目をしてますけど……」サッサッ
心「相馬だけに走馬灯?やだー夏美ちゃん、チョーウケるー☆」キャハハハ☆
夏美(菜々さんより絡み辛い……!)イラッ
―――
心・早苗「「カンパ~イ♪」」アハハハハ…
麻理菜「ありがとう夏美、もう大丈夫よ……」フラフラ
夏美「いや全然大丈夫そうじゃないですよ。今日は帰った方がいいんじゃないですか?」
麻理菜「(そういうわけにはいかないわ。高校の同級生としては、アッパー系のドラッグ
キメてるあのバカ女を何とか更正させないと……)」ヒソヒソ
夏美「(もう手遅れじゃないですか…… ていうか薬物常習者だったらさすがに早苗さんも
気付きますよ。麻理菜さんの考え過ぎだと思いますけど……)」ヒソヒソ
心「このカッコで東京歩いたら、み~んなはぁとを写メで撮るの♪ もうはぁとすっかり
アイドルってカンジ?おまわりさんにもいっぱいナンパされちゃった~☆」テヘ☆
早苗「はぁとちゃん可愛いもんね。そりゃおまわりさんもほっとかないわ!東京の男達は
み~んなスケベだから、はぁとちゃんも気を付けなさいよ」アハハ
麻理菜「(ほら、やっぱり職質受けてるじゃない。早苗さんも勘が鈍ったんじゃないの?
高校の時は教室の隅で静かにドレスのデザインを描いてた子が、あんな風に
なっちゃうのは絶対おかしいわよ)」ヒソヒソ
夏美「(私は昔の佐藤さんを知らないので何とも言えませんけど……)」ヒソヒソ
心「なになにふたりとも~?さっきから暗いゾ☆」ズイッ
夏美(うわこっちに来た!? )ビクッ!!
麻理菜「何でもないわよ。それより心、あんた本当にアイドルになるの?」ジロリ
心「もう麻理菜ちゃんったら~! 『はぁと』って呼んでって言ってるでしょ?」キャピ☆
麻理菜「いいから真面目に答えなさいよ。だいたい高校の時も、私達数えるくらいしか
話した事ないじゃない。あんたも私を昔は『沢田さん』って苗字で呼んでたし、
クラスも3年生の時しか一緒じゃなかったでしょ」
早苗「そうなの?あたしてっきり二人はもっと仲良しだと思ってたわ」
心「あははー☆ 高校時代のはぁとは手芸部の部員で、学校でも目立たないグループにいた
からね☆ 麻理菜ちゃんはチョイワルのギャル系グループで、ピアスに茶髪で登校して
よく生徒指導室に呼ばれてたっけ☆」
早苗・夏美「「へえ~……」」
麻理菜「よ、余計な事言わないでよ!あの時は私も色々とバカだったのよ!」カアア
早苗「そのあたりの事、お姉さんぜひ詳しく聞きたいわ~?」ニヤニヤ
麻理菜「べ、別にグレてたわけじゃないわよ?ただ東京の女子高生ファッションに憧れて
マネしてただけで、警察のお世話にはなってないから!」アセアセ
夏美(私もルーズソックス履いてたなあ……)
心「麻理菜ちゃんはクラスの人気者だったもんね☆ いっつも元気でみんなのリーダーで、
運動会の時は1人で何種目も掛け持ちしてカッコよかったなぁ~♪」キラキラ
早苗「運動神経いいもんね麻理菜ちゃん。アイドルになる前はプロのサーファーだったし」
麻理菜「わ、私の事は別にいいでしょ!今はあんたの話をしてるのよ!実家のテーラーは
どうしたのよ?あんた卒業文集に家を継ぐって書いてたじゃないの!」
心「2年前に潰れたよー☆ だからはぁとはアイドルになろうと思ったの♪」ケロリ
夏美( 軽っ!? )
麻理菜「おじさんとおばさんに追い打ちかけてんじゃないわよ!あんたがそんなカッコで
アイドルやるなんて言ったら二人ともストレスで胃に穴が空くわよ!」グワッ!!
早苗「大丈夫よ麻理菜ちゃん、麻理菜ちゃんとあたしだってブルマ履いて運動会に出た
じゃない。あれと似たようなものでしょ」グビッ
麻理菜「あれとこれを一緒にしないで―――――っ!! 」ムキ―!!
夏美「お、落ち着いて下さいよ麻理菜さん。ほら水でも飲んで……」サッ
麻理菜「ごくごくごく……ぷは。とにかくっ!本気でアイドルになるならそのキャラは
やめなさい。面接に辿り着く前に警察に連行されておしまいよ。大体長野から
東京までそのカッコで来るって、一体どういう神経してるのよ。菜々さんでも
通勤の時は普通のカッコしてるのに……」
心「『アナタのはぁとをシュガシュガスウィート☆ 』これキャッチフレーズにしようと
思ってるんだけどどうかなー?」キラン☆
麻理菜「私の話を聞きなさいよ―――――っ!! 」グワッ!!
夏美(結局麻理菜さんの必死の説得は、心さんにはまったく響きませんでした―――――)
―――
心「それじゃあはぁとはそろそろ失礼しまーす☆」スクッ
早苗「まだ9時じゃない。もうちょっとゆっくりしていけば?」
心「ごめんなさーい☆ はぁともも~っと飲みたいけど、歳が歳なんで。麻理菜ちゃんと
夏美ちゃんもまったねー☆」ヒラヒラ
麻理菜「」グッタリ
夏美「が、頑張ってくださいね佐藤…じゃなくてはぁとさん……」ゼエ…ゼエ…
ガラガラ…ピシャッ <マイドアリー
麻理菜「…………心は帰ったの?」ピクリ
夏美「気付いてなかったんですか?今さっき出て行きましたよ」ヤレヤレ
麻理菜「どうしてああなっちゃったのよ…… 昔は地味であまり目立つ子じゃなかったけど、
誰にでも親切でとっても優しい子だったのに……」シクシク
夏美「泣くほどショックだったんですか…… いいじゃないですか、ご本人はとっても
楽しそうでしたし、あの様子だと面接に落ちてもへこたれませんよ」ナデナデ
早苗「いや、あの子多分受かるわよ。ていうか間違いなくアイドルになるわ」グビッ
夏美「またそんな適当な事言って。心さんには悪いですけど、私もキツいんじゃないかと
思いましたよ。タイプは菜々さんと同じですけど心さんは結構身長もありますし、
それに年齢も隠さずにやっていくって言ってましたし」グビッ
早苗「そのあたりはP君がうまくやってくれるんじゃない?それよりも夏美ちゃん、
はぁとちゃんの目をちゃんと見た?あの子一見ふざけてるように見えたけど、
ものすごくあたし達を観察してたわよ。あれはプロの目だったわ」ギラリ
夏美「何のプロですか。もしそうだとしても方向性がおかしいですよ」
麻理菜「もしあの子が受かったら社長とP君の正気を疑うわ。でもあの子を応援したい
気持ちもあるの。実家のテーラーが潰れて夢を諦めて、崖っぷちに追い込まれて
あんな衣装を自作してアイドルになろうとするなんて、昔のあの子を知ってたら
誰でも応援したくなるわよ……」グビッ
早苗「心配しすぎよ麻理菜ちゃん。麻理菜ちゃんが思ってるよりあの子はずっと強いわ。
どこから来る自信か分からないけど、あの子は自分がアイドルになれないなんて
少しも思ってないわよ。心配だったら明日の面接について行ってあげたら?」
麻理菜「最初からそのつもりよ。明日は午前中オフだし、せめてエールのひとつくらい
送ってあげないと。落ちても慰めたりするつもりはないけどね」スクッ
夏美「麻理菜さんも帰るんですか?」
麻理菜「ええ。何だか今日は疲れたわ。ちょっと早いけどおやすみ……」トボトボ
ガラガラ…ピシャッ <マイドアリー
夏美「大丈夫かな麻理菜さん。すっごく落ち込んでたけど……」
早苗「本当にあの子は面倒見が良いというか、心配性ね。もうはぁとちゃんも26だし、
自分の事くらい自分で出来るでしょうに」グビッ
夏美「ちょっと早苗さんさっきから冷たくないですか?確かにそうかもしれませんけど、
麻理菜さんの気持ちも分からなくはないでしょう?」ジロリ
早苗「あれれ?その様子だともしかして、夏美ちゃんは何も知らないのかな?あたしは
てっきり夏美ちゃんもはぁとちゃんに遠慮して黙ってたと思ったんだけど?」
夏美「何の話ですか?」キョトン
早苗「夏美ちゃん、はぁとちゃんの事を知らないの―――――?」
***
―翌日朝・事務所前にて―
心「シュガシュガスウィート♪ シュガシュガ……あれ?麻理菜ちゃん?」ピタ
麻理菜「まさか本当に自信満々でその恰好で来るなんてね……」ハア
心「麻理菜ちゃんも面接受けるの?」キョトン
麻理菜「私が受けて何の意味があるのよ。暇だったからたまたま事務所に寄っただけよ。
ついでにたまたまクリーニングに出してたスーツを取りに行ったから、あんたに
貸してあげようと思ったんだけど余計なお世話みたいね」サッ
心「あ、お父さんが作ったスーツだ!麻理菜ちゃんまだ持っててくれたんだね☆」ニコッ
麻理菜「高校卒業してサーファーになる前に、あんたの店で一着仕立ててもらったのよ。
スポンサー集めに企業訪問した時によく着させてもらったわ。今も大事にして
時々着てるわよ」フフッ
心「ありがと☆ お父さんもすごく喜ぶよ♪ でもさすがに8年前に作ったスーツだから
ちょっとくたびれちゃってるね。お父さんの所に持って行ったら直してくれるよ。
麻理菜ちゃんならはぁとがサービスしちゃう♪」キャピ☆
麻理菜「いいわよ別に。引退したお父さんにまた働いてもらうのは悪いし。いつかまた
あんたの店で一着仕立ててもらいたかったけど、ちょっと遅かったみたいね。
どうして地元のみんなは教えてくれなかったのよ……」ブツブツ
心「あれ?麻理菜ちゃん何か勘違いしてない?お父さんは現役バリバリだよ。今も長野で
ふつーにお仕事してるけど?」キョトン
麻理菜「え?でもあんた昨日、実家のテーラー潰れたって言ってなかった?」
心「うん。店は潰れちゃったけど、服はまだ作ってるよ。スーツやシャツを仕立てるのは
副業になっちゃったけど、お客さんもまだいっぱいいるからやめられないって言って
お父さんは工房の隅っこで細々とテーラーを続けてるよ」
麻理菜「工房?一体どういう事―――――?」
―事務所内にて―
P「遠路はるばるようこそお越し下さいました。本来ならばこちらからお迎えに行くのが
筋ですのに、『佐藤社長』直々にお越しいただいて……」ペコペコ
心「もうっ!『社長』はやめてよプロデューサー!はぁとは今日からアイドルになるん
だから『しゅがーはぁと』って呼べよ☆」ペシペシ
礼子「まさか本当にあんたがアイドルになるなんてね。工房の方は大丈夫でしょうね?
仕事が雑になったら遠慮なくクレーム入れさせてもらうわよ」ジロリ
心「心配しないで礼子ちゃん♪ 工房のみんなは優秀だから、はぁとがいなくてもしっかり
作ってくれるよ☆ 最終チェックはいつも通りお父さんがしてくれるしね☆」
志乃「今日の衣装も見事な出来ねぇ。さすが『シュガーハート』だわ…」ウフフ…
心「いや~、それほどでもあるかなー♪ 志乃ちゃん後でちょっと時間ちょうだいね☆
志乃ちゃんのボディの採寸を測りたいからさ。志乃ちゃんは過去の撮影用衣装の
サイズに合わせてだいたいで作ってくれたらいいって言ってたけど、お父さんが
しっかりと測らないと作らないって言うからさ☆」
志乃「はいはいわかったわ。社長様直々に採寸してもらえるなんて光栄よ」クスクス
高橋礼子(31)
http://i.imgur.com/umWIV04.jpg
柊志乃(31)
http://i.imgur.com/DmuY7C0.jpg
P「それではウチの社長が社長室でお待ちですので参りましょうか。ちひろさん、『松』の
お茶とお菓子をお願いします」スタスタ
礼子「特別扱いするんじゃないわよ。心はウチのアイドルになるんだから『梅』で充分よ。
あ、ちひろ。私は『松』でお願いするわ」スタスタ
志乃「図々しいわねあんたは。ちひろさん、ここは間をとって『竹』にして頂戴。後で
佐藤社長は私が個人的にもてなすから…」スタスタ
心「おねがいだからふつーにしてよみんな~!ぷんぷん!」スタスタ
ワイワイガヤガヤ… バタン
麻理菜「」
ちひろ「ええと、結局『竹』を準備すればいいのかしら……?」ゴソゴソ
麻理菜「ち、ちちちちちひろさんどういう事なの!? 」ガタガタ
ちひろ「あれ?麻理菜さんはご存知なかったんですか?麻理菜さんは佐藤社長の高校の
同級生だと聞いてましたから、てっきり知ってると思ってましたけど」キョトン
麻理菜「P君はともかく、事務所の幹部クラスの礼子さんと志乃さんまで揃って出迎えて
いきなり社長面接ってまるでVIPの客じゃない!心は崖っぷちに追い込まれて、
頭のネジが飛んだ脳内お花畑の不思議ちゃんじゃないの!? 」グワッ!!
ちひろ「あはは、麻理菜さんも言いにくい事をずいぶんはっきり言いますね。とりあえず
あのポスター見てくれますか?」ユビサシ
[シンデレラガール]神崎蘭子
http://i.imgur.com/Cr6OfAi.jpg
麻理菜「蘭子ちゃんが総選挙で1位になったやつ?あれが何なの?」
ちひろ「右下の枠外にある小さな字をよ~く見てください」
麻理菜「そんなのカメラマンとかスタッフの名前じゃ……」マジマジ
◆衣装デザイン:Shin Sato ◆衣装制作:Sugar Heart工房(長野県○○市)
麻理菜「」
ちひろ「大人組の皆さんはあまり着る機会が無いのでピンと来ないかもしれませんけど、
ファンタジー系の撮影衣装のほとんどが、佐藤社長と社長の工房で制作されて
いるんですよ。特に蘭子ちゃんの衣装は全て佐藤社長がデザインされています。
佐藤社長はMBプロの最重要取引相手と言っても過言ではありません」
麻理菜「」
―面接終了後―
P「それでは佐藤社長…じゃなくて心さん、今後の活動方針について説明を……」ガチャ
礼子「そんなの今更この子にする必要ないでしょ。それより次の撮影衣装用のドレスを
注文したいから心を借りるわよ。この子なかなかアポ取れないし」グイッ
志乃「ずるいわよ礼子。私が先に採寸してもらう約束なんだからね」グイッ
心「イタイイタイ!2人とも気持ちは嬉しいけどはぁとをひっぱらないで~!」ギューギュー
麻理菜「礼子さん志乃さん、悪いけどその子私に譲ってくれないかしら?」ズイッ
礼子「何よあんた急に。順番は守りなさい」ギロ
麻理菜「どうせ心はパッション所属になるでしょ。だったら同じパッションのアイドルの
私が色々と教えてあげるわよ。P君もそれでいいわよね?」ジロリ
P「そ、そうしてくれると俺も助かりますが……」
心「はぁとも麻理菜ちゃんがいい!」バッ!!
礼子「あ、ちょっと……」
志乃「仕方ないわね。これからあの子はアイドルになるんだし、いつまでもデザイナー
扱いをするのは良くないわ。それはあんたが言った事よ礼子」クスクス
礼子「……まあいいわ、これからはわざわざ長野に行かなくても事務所で会えるわけだし。
それじゃまた今度、ゆっくりお酒でも飲みながら打ち合わせしましょうか」
志乃「頑張ってね心ちゃん…じゃなくてシュガーちゃんだったかしら?」
心「『しゅがーはぁと』だよお!『ハート』じゃなくて『はぁと』だからね☆」ウィンク☆
麻理菜「バカな事言ってないでさっさと行くわよ。私も午後からレッスンだし」グイッ
心「あ、イタイイタイ、えりがのびちゃうよ麻理菜ちゃ~ん!」ズルズル
P「ま、待って下さい麻理菜さん、俺も行きますから!」スタスタ
―会議室―
P「心さんに仕事を依頼するようになったのは、亜里沙のウサちゃんがきっかけでした。
ウサちゃんの衣装は基本的に亜里沙の自前なんですけど、亜里沙は毎回自分の撮影
衣装に似せたとても精巧なウサちゃんの衣装を準備して来るんです。それでどこから
仕入れるのか聞いたら、心さんを紹介されました」
心「亜里沙ちゃんは昔から近所に住んでた女の子で、ウサちゃんの服もずっとはぁとが
作ってたの☆ それがMBプロさんの目に留まって、アイドルの撮影衣装を作って
みませんかってお願いされたのが始まりかな」
麻理菜「テーラーが潰れたっていうのは、おじさんからあんたに代替わりして撮影衣装の
制作会社に転向したって意味だったの?」ジロリ
心「はぁとは昔から趣味で自分がデザインしたお人形さん用の洋服を作って、ネットで
ちょこちょこお小遣い稼ぎをしてたの。その頃テーラーは潰れそうになってたから、
MBプロさんからお話をもらった時に思いきって撮影衣装を制作する工房にしたの。
MBプロさんも出資してくれたから助かったよ☆」キャハ☆
麻理菜「紛らわしい言い方しないでよ!私はてっきりあんたが実家を継ぐ夢を泣く泣く
諦めて、不退転の覚悟で上京してきたと思ったのに!」グワッ!!
心「はぁとゼンゼン苦労してないよ?むしろ生活は昔よりも楽になったかな。家も大きく
なったし、隣に工房も建てて従業員さんもいっぱい働いてるしね。MBプロさんと
アイドルのみんなのおかげでガッチリ\ってカンジかな☆」キャハ☆
P「いえいえ、ウチは大した事はしてませんよ。これも心さんがデザインされた素晴らしい
衣装と、お父上が率いる工房スタッフの確かな技術があったからこそです」ハハハ
麻理菜「あんたが工房の社長でおじさんが現場のチーフらしいわね…… どうして勝ち組の
人生を自分から捨てて、26でアイドルなんて茨の道を歩こうとするのよ……」ハア
心「工房のみんなも腕が上がったし、はぁとがいなくても回るようになったから社長は
もういいかなって。衣装のデザインを考えるのは工房の外でも出来るし、はぁとも
アイドルの子達みたいにカワイイ衣装が着てみたくなったの☆」キャハ☆
P「俺も心さんがアイドルになるって聞いて耳を疑いましたよ。ですが心さんの才能と
センスは非凡なものがあります。俺も誠心誠意プロデュースさせてもらいます」ペコリ
麻理菜「元取引先の社長をアイドルにプロデュースなんて出来るの?何だかすっごく
やり辛そうだけど。『女の子は誰でもシンデレラ』も例外はあると思うわよ?」
心「それにアイドルになったら麻理菜ちゃんと一緒にお仕事出来るしね♪ 麻理菜ちゃんは
クラスの人気者で運動会のスターで、昔からはぁとの憧れだったの☆ 工房の社長とか
デザイナーよりも、はぁとは麻理菜ちゃんとアイドルがやりたいな☆」ニコッ
麻理菜「……いつの話をしてるのよ。今はあんたの方が全然すごいじゃないの」グリグリ
心「いたーい!頭をぐりぐりしないでー!」ジタバタ
P(麻理菜さん真っ赤になって照れてる。珍しい表情だな)フフッ
麻理菜「まぁだいたい事情はわかったわ。ファンタジー系の衣装ばっかり作っていたから、
そんな残念な性格になっちゃったのね。一種の職業病みたいなものかしら」
心「確かにはぁとはファンタジー系のフリフリ衣装が得意だけど、肇ちゃんのお花見の
時の『夜桜小町』や奏ちゃんの『蒼翼の乙女』みたいなカッコいい衣装もデザイン
してるよ?好きなのは千佳ちゃんやありすちゃんの衣装だけどね☆」
~しゅがーはぁと先生の作品(ほんの一例)~
夜桜小町
http://i.imgur.com/XVFWWDx.jpg
蒼翼の乙女
http://i.imgur.com/Ps8D0ND.jpg
小さなおひな様
http://i.imgur.com/nPyUygT.jpg
小さな妖精
http://i.imgur.com/r2nKUVX.jpg
麻理菜「だったらせめてもう少し落ち着いた歳相応の見た目というか、自分が着る衣装も
こう、なんとかならないものなの……?」ウ~ン
心「自分が作った衣装を恥ずかしがっていたら、アイドルの子達に着てもらえないよ☆
はぁとが自信を持って着こなして、アイドルの子達にカッコいいとかカワイイって
思ってもらわないとね♪ 最初ははぁともちょっとだけ恥ずかしかったケド、最近は
結構楽しんでるよ☆」キャハ☆
麻理菜「そういう所は昔のままなのね。でもほんのちょっとだけ安心したわ……」フッ
P「そう言えば先程の面接で、今回の衣装のポイントはスカートに付いてるハートだって
言ってましたけど、何か工夫してあるんですか?」マジマジ
心「よくぞ聞いてくれました~!名付けて『物理的はぁとアタック』って名前なのん☆
こうやってマジックテープで着けたり外したり出来て、ファンのみんなにポイポイ
投げつけるのってカワイくない?」バリッ
麻理菜「マジックテープ痕が見えると急に安っぽくなるわね。投げつける事に何の意味が
あるのよ。私だったらイラっと来るけど」
心「え~そうかなあ?カワイイと思うんだけどなー。それに結構飛ぶんだよこのハート。
こんな感じでぽーん☆ って放り投げたらさ……」ポ~ン
ひゅるるるるるるるるるるるる……
麻理菜「おぉー確かに、意外と飛距離出るわね」ジ―…
P「会議室の入り口まで届きそうですね」ジ―…
レナ「Pさん、志希の寮準備出来た?」ガチャ
ごち~ん☆
レナ「」バタン
志希「どしたのレナちゃん?急にレナちゃんの匂いが薄くなったケド」スンスン
P「レナさん!? しっかりして下さいレナさん!! 」ダッ!!
兵藤レナ(27)
http://i.imgur.com/mFgrUdM.jpg
一ノ瀬志希(18)
http://i.imgur.com/2ahtrvj.jpg
麻理菜「…………」
心「…………」
麻理菜「…………あんた、あのハートの中に何か入れたの?」
心「…………鉛のオモリを100gくらいかな?スカートに付けたまま歩いたら、ついでに
はぁとのダイエットにもなって一石二鳥かな~って☆ も、もちろんお客さん用のは
もっと中のオモリを軽くするよ?」アセアセ
麻理菜「今すぐ全部外しなさい!こんな危険な衣装は永久に封印よ!」ブチブチブチブチ!!
心「ちょっと麻理菜ちゃん!スカートまで破れちゃう!破れちゃうから!」イヤーン!!
<レナサーン!! <パンツデカエレ!! <ソレハムリ―!!
ちひろ「今日も事務所は平和ですねえ」ズズ…
おわり
え?アイドルの名前とタイトルが逆?気のせいじゃないっすか?しゅがーはぁとさんは
色々と想像をかき立てられるキャラなので、こういうのもアリじゃないかと思いました。
パリコレとかでトンデモファッションを作ってる人は、きっとどこか頭のネジがおかしい
しゅがーはぁとさんみたいな人だと思うんだ(超偏見)。
しかし大人組のグループにとんでもない超新星が現われたなあ。これからどんな風に
展開するのか楽しみやら怖いやら。今回はオチ要員でしたが頑張れレナさん(いつもか)。
レナさんと志希の話は
一ノ瀬志希「ギフテッドパフューム」
をお読みください。では。
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