あー、昨日電線に雪が被ってしょっちゅう停電しちゃったわー
決してバレンタインに間に合わなかったわけじゃないんだけど雪のせいで遅れたわー残念だわー
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さやか「んーっ、よく寝たぁ~!」
杏子「とても放課後のセリフとは思えねぇ」
さやか「へっ、どうせあんたもすやすやだったくせに」
杏子「ふ、ナメんなよ」
さやか「え、嘘、起きてたの?」
さやか「そりゃよかった。後でノート見せてよ」
杏子「じゃあ六十円な」
さやか「え、お金取るの?しかも半端な……」
杏子「そりゃ払わないと動かないし」
さやか「うご……まさか、あんた」
ほむら「……私のよ」
杏子「どこでもコピーできるって便利なもんだよな」
さやか「あんたってヤツは……」
杏子「一人二枚で二十円。だから六十円」
さやか「……ん?」
まどか「…………」
さやか「あたし」
杏子「あたし」
ほむら「…………」
まどか「……わたし」
さやか「おい帰国子女よ」
杏子「帰国子女関係ねぇ」
まどか「違うの、これは違うの」
まどか「わたし寝てないよ」
さやか「ほう?」
まどか「頭がふわふわしてとっても気持ちよくなったけど寝てないよ」
まどか「ただノートが……その……下手な筆記体みたいに」
杏子「よくあるよくある」
さやか「流石帰国子女」
杏子「だから帰国子女関係ねぇて」
杏子「全く……こん中でまともなのはほむらだけか……情けないねぇ」
ほむら「あたかもまとも側からのセリフ……」
さやか「しかし意外だなぁ。素直に貸してくれるなんて」
杏子「ほむらはまどかがお気に入りだからな。あたしらはそのおこぼれ貰ってるみたいなもんだ」
ほむら「お気に入り……まぁ間違えてはいないけれど」
さやか「認めるんだ」
まどか「う、嬉しいけど、その言い方は何だか違うんじゃないかなって」
さやか「嬉しいんだ」
さやか「ところでさ……」
まどか「どうしたの?」
さやか「世間ではバレンタインだよ!」
杏子「ん?……あぁ、そういえばそうだな」
さやか「先手打っておくけどさ」
さやか「別にあたしゃ恭介のために作るなんていう流れはないからね!」
さやか「いや、義理チョコくらいは渡すけどさ」
さやか「幼なじみだしね。うんうん。当たり前」
杏子「誰も聞いてねぇよ」
さやか「で、アクマは作るの?チョコ」
ほむら「…………」
さやか「自炊してるじゃん?」
杏子「自炊できるのとお菓子作りができるのは違うとは思うが」
ほむら(まぁ……『子供達』に作ることもあるにはあるけど)
ほむら「……バレンタインなんて別に興味ないわ」
まどか「え……じゃあ作らないの?」
ほむら「いいえ、作るわ。まどかに」
まどか「ほんとっ?だ、だったら、お互いの交換しよっ」
ほむら「えぇ。もちろん」
まどか「えへへ……よかった」
さやか「ねぇねぇ、あたしらには?あたしらには?」
杏子「あたしほむらのそういうわかりやすいとこ好きだぞ」
さやか「好き……!?ア、アクマに杏子が寝取られる……!」
さやか「杏子はあたしの嫁だ!あたしのモンだい!」
杏子「くたばれ」
さやか「そういう生意気なとこも可愛いぜニヤリ」
杏子「おまえはあたしをどうしたいんだ?」
ほむら「唐突な杏さやはNGよ」
さやか「いいなぁまどか。アクマに気に入られて」
まどか「……えへ」
杏子「バレンタイン……ねぇ」
杏子「そういやさ、アメリカではどうだったんだ?」
まどか「うん。向こうだとバレンタインは……」
杏子「あー、いや、そういうことじゃなくてだな」
まどか「?」
杏子「アメリカのチョコって味覚壊れてんじゃないかってくらい甘いというイメージがある」
さやか「あー、わかるわかる。青色のケーキとか」
杏子「そうそう。色もおかしい」
ほむら「キャラメルとかバターをドバドバ入れてね」
杏子「あー、流石のあたしでも聞いてるだけで吐きそうだ」
まどか「そ、そんな……全部が全部そうじゃないよ」
さやか「一部そうなんだ」
杏子「メリケンのセンスは理解できんね」
まどか「三年住んだけど、向こうの食生活にはもう戻りたいとは思わないよ」
まどか「ハンバーガーは大好きだけどね」
まどか「ところでほむらちゃん」
ほむら「何かしら」
まどか「お菓子作りの材料とか買った?」
ほむら「……いいえ」
さやか「おいおいアクマァ、バレンタインがいつだと思ってんのさ」
ほむら(別にどうとでもなるし)
さやか「ってことで付き合ってもらおうかな!」
まどか「今日ね、これからマミさんとなぎさちゃんとでデパートへお買い物するの」
杏子「きっと大盛況のことだろうな」
ほむら「人が多いところは苦手なのだけれど」
さやか「そんなの知るかー!」
「待たせちゃったかしら」
さやか「あ、マミさん」
杏子「遅いぞ。センコーに呼ばれたか?」
マミ「違うわよ……」
マミ「呼ばれたというより、ちょっと質問をしてただけ」
杏子「はー、真面目だねぇ」
マミ「真面目って……」
マミ「わかりにくかった部分をわからないままにするのはよくないわ」
さやか「数学か何かですか?」
マミ「英語の文法をちょっとね」
杏子「英語だったら帰国子女がここにいるぞ」
まどか「…………」
まどか「……ち、違うんですよ。違うの」
まどか「話す分には、聞く分には問題ないんです」
まどか「英語を使った外国生活と試験英語は違うんです」
まどか「スペリングとかアクセントとか……その、うん……」
まどか「単語とか……複数形とか過去形とか……いざ聞かれると、ちょっと」
マミ「……そ、そうね。そういうこともあるわ」
ほむら「そうよ、まどか。気にすることはないわ」
マミ「小説家なら読解問題必ず満点とは限らないものね」
さやか「クイズ番組なんかでは作家が漢字間違えると『先生ー!間違えるとかありえないっすー!』って流れになるよね」
杏子「まぁバカなんだなって思うよ。その辺わかってないんだ」
ほむら「いいえ、ただ笑い者にしたいだけよ」
まどか「わ、わたしの英語力から色んな人へのネガキャンに転じないで」
さやか「えくすきゅーずみー、マミさん」
マミ「はい美樹さん」
さやか「バレンタインイベントの件ですが」
さやか「アクマも加わってもいいですか?」
マミ「あら」
杏子「こいつの料理の腕は知っているだろ?」
マミ「えぇそれはもう」
マミ「勿論歓迎するわ」
ほむら(……あれ?)
まどか「ほむらちゃんに色々教えてもらいたいなって」
ほむら「……えぇ、教えられる範囲でね」
ほむら(……まぁいいわ。まどかとお菓子作りができるのだもの)
「マミー!マミー!」
まどか「なぎさちゃんだ」
なぎさ「おかえりなさいなのですー」
マミ「なぎさちゃん。迎えに来てくれたのね」
杏子「おう、なぎさ」
さやか「おっす、なぎさちゃん」
なぎさ「おっすなのです」
マミ「遅い……ってことは、もしかして学校終わってずっと待ってたの?」
なぎさ「ですです」
マミ「ということは……結構待ったわよね」
マミ「ごめんね待たせちゃって。退屈だったでしょ」
なぎさ「ううん、ゆまちゃんとおしゃべりしてたのです」
さやか「お、ゆまちゃんも一緒だったんだ」
ゆま「こんにちは!」
マミ「ふふ、こんにちは」
杏子「相変わらず元気そうだな」
ゆま「キョーコお姉ちゃん程でもないよ」
杏子「ん?それはバカにしてるのか?」
ゆま「ふんふふーん」
杏子「おう意味深で唐突な鼻歌やめろや」
ほむら「…………」
ほむら(……千歳ゆま)
ほむら(佐倉杏子、美国織莉子に命を救われた世界があったが、それ以外は大抵殺されている)
ほむら(魔女、使い魔、事故、あるいは家庭内暴力によって……)
ほむら(私には関係ないことだけど、知り合いになった時間軸ではよく懐いてくれたし……)
ほむら(そのまま無視するのも見殺しにするようで後味が悪い)
ほむら(と、いうことで折角だからとその場のノリで佐倉杏子ついでに見滝原に送り込んで、適当な小学校に通わせてみた)
ほむら(本当、我ながらうまい具合に引き合わさってくれていたものね……親心のような、感慨深いものがある)
ほむら(強いて言えば佐倉杏子の呼び方がイマイチしっくり来ないことね)
ほむら(まぁそこまで接点もなければ特別意気投合しているわけでもないし……そんなものよね)
ほむら(それと……)
ゆま「……ほむほむ?」
なぎさ「ほむほむどうしたのです?」
ほむら「…………」
ほむら「百江なぎさ。千歳ゆま……」
ほむら「その呼び方やめなさいといつも言っているでしょう」
ゆま「何で?」
ほむら「何でもよ」
ほむら「普通に呼びなさい」
なぎさ「……ほむら」
ゆま「……ほむらお姉ちゃん」
ほむら「そう」
なぎさ「…………」
ゆま「…………」
なぎさ「わたしはほむほむ派です」
ゆま「ほむほむ!ほむほむ!」
ほむら「だからやめなさいと言っているでしょう」
なぎさ「やなのです」
なぎさ「ほむほむはほむほむなのです」
まどか「き、気に入っちゃってるんだね」
ゆま「うん」
ほむら「……」
なぎさ「ほむほむほむほむほむほむほむほむほむ」
ほむら「……聞き分けのない子にはこうよ」
なぎさ「ふぁっ」
ゆま「あ」
なぎさ「ほっぺちゅままないでほしいのれひゅ」
マミ「ちょっ、暁美さん」
まどか「イ、イジめちゃダメだよ」
ほむら「いいえ、この物分かりの悪い口におしおきしているだけよ」
ほむら「何度も何度もあなたは人をほむほむほむほむと……何度言ったらわかるのかしら?」
なぎさ「ほむほむをからかぅのはおもろいのれふ」
さやか「超同意。アクマ面白い」
ほむら「…………」
ほむら「ならばあなたも制裁を加えるわ」
さやか「お?お?あたしのほっぺもつねっちゃう感じですか?」
ほむら「肉を千切ることも可」
さやか「ごめんなさい」
なぎさ「はにゃひてほひぃのれふ」
ゆま「えっと……えっと」
杏子「そろそろ離したれよほむら。ゆまが困ってるぞ」
ほむら「……そうね」
なぎさ「解放なのです」
ゆま「……ゆまのもつねる?いぢめる?」
ほむら「しないわよ」
マミ「……どうだった?」
ほむら「……何が?」
マミ「なぎさちゃんの頬」
ほむら「それがどうって……」
ほむら「……意外に伸びる?」
マミ「羨ましい」
杏子「何言ってんだマミ」
マミ「触りたい」
さやか「お気持ちはわかりますけども」
なぎさ「なぎさのほっぺはモテモテなのです」
ゆま「ぷにぷに」
なぎさ「くすぐったい」
なぎさ「えいえい」
ゆま「くすぐったい」
マミ「二人の頬に挟まれてダブルルミナスされたい」
杏子「なぎさと会ってからというものマミに若干ロリコンの節が」
マミ「だって二人ともかわいいんだもの。ジュルリ」
ほむら「今後の付き合いを考えるわ」
マミ「冗談よ。冗談」
マミ「私はただお姉さんぶりたいだけなのよ」
さやか「……でもさ、アクマも人のことあんま言えないよね」
ほむら「……?」
ほむら「私にロリの知り合いはいないけれど?」
さやか「ほらいるじゃん。あんたのお気に入り」
ほむら「?」
さやか「ほら、ピンクのツイン……」
まどか「……さやかちゃん?」
さやか「あ、やっぱ何でもない」
ゆま「なぎさちゃんほっぺ真っ赤」
なぎさ「そう?」
ゆま「痛かった?」
なぎさ「ううん、全然。手加減してくれたのです」
杏子「なんだかんだで優しいな」
ほむら「…………」
なぎさ「なぎさはほむほむに構ってほしかっただけなのです」
なぎさ「さぁゆまちゃん。レッツほむほむ!」
ゆま「…………」
ほむら「…………」
ゆま「……ほむほむ、ダメ?」
ほむら「ダメ」
ゆま「えー」
なぎさ「えー」
まどか「ほむほむちゃん」
ほむら「……やめて」
さやか「あ、ちょっと迷った。別にいいじゃんかほむほむ」
ほむら「よくないわよ」
さやか「かわいいのにねぇ」
杏子「ん?あ?……あぁ、うん、そうだな」
さやか「あたしの話を聞こう」
さやか「ほんとにさ、呼び方くらいいいじゃん。ちょっと冷たくない?流石アクマ!」
マミ「アクマ呼ばわりはいいのにほむほむは嫌なのね」
ほむら「別にいいってわけじゃ……」
さやか「杏子だってあんあんって呼ばれたいくらいだよ」
杏子「誰があんこだコラ」
ゆま「あんあん」
杏子「呼ぶなよ」
なぎさ「ほむほむあんあん」
ほむら「ひっくるめないで」
さやか「いいじゃんほむほむ。可愛いじゃん」
まどか「でもさやかちゃん呼ばないよね」
さやか「まぁね。アクマはアクマよ」
マミ「ところで二人とも」
なぎさ「?」
ゆま「?」
マミ「二人はどんなことお話してたの?」
なぎさ「ぷらいばしーなのです」
マミ「教えてくれたらうれしいわって」
ゆま「今日お昼休みにあすみちゃんと三人でモノポリーしたこととか」
ほむら「随分と遊びのチョイスが渋いわね」
マミ「あすみ……ちゃん?」
なぎさ「クラスメートなのです。声がなぎさにクリソツなのです」
マミ「まぁ、是非紹介して」
杏子「マミがロリコンという風潮」
マミ「冗談よ」
ほむら「……そういうテンドンはガチに見られるからやめた方がいいわ」
まどか「え、えっと、他には?」
ゆま「あとチーズのこととか」
なぎさ「今日の給食にベイクドチーズケーキ出たのです。給食のおばさんは神なのです」
さやか「安定してるねなぎなぎ」
なぎさ「なぎなぎ?」
ゆま「あとバレンタインのこと!」
まどか「小学校でも盛り上がってるの?」
なぎさ「ぼちぼちなのです」
ほむら「ぼちぼち程度なのね」
ゆま「みんなとお菓子作り楽しみだなって」
なぎさ「ですです」
さやか「それは相槌のつもり?」
なぎさ「です!」
マミ「…………」
ほむら「無意識に『かわいい』と言いそうになって食い止めたわね」
マミ「ほんとの気持ちに向き合えますか」
まどか「そこは素直にかわいいと言ってもいいと思いますよ」
さやか「二人は誰に作るの?クラスの男の子?」
なぎさ「ううん。なぎさはみんなに食べて貰いたいのです」
マミ「あら、嬉しい」
ゆま「ゆま、パパにチョコあげるの」
さやか「ほほう、パパさんが羨ましいね」
ゆま「日頃の感謝も兼ねているんだよ」
杏子「……ふっ、愛されてるな。羨ましいね」
マミ「佐倉さん……」
ほむら「……」
ほむら(この世界での千歳ゆまは「両親に愛されたい」という契約をしたことになっている……いや、なっていた)
ほむら(子が親に愛される……当然のことが、別の意味合いの当然となっているのが、いじらしい)
ほむら「あなたもあなたで色々あったかもしれないけれど……」
ほむら「両親を大切にするのよ」
ゆま「……うん!」
ほむら「いい子ね」
ゆま「ありがとうほむほむ!」
ほむら「だからそれやめなさいて」
杏子「日頃の感謝か……じゃあさやかの親父さんにも作るかね」
杏子「……マミにもな」
マミ「佐倉さん……!」
杏子「さやかは?クラスの男?」
さやか「おいやめろ」
なぎさ「ほむほむは誰にあげるのか気になるのです」
ほむら「……みんなにも作るわ。あなた達にもね」
ほむら(言うなれば、本命はまどか)
ほむら(しかし、使い魔達も含めると結構な量になるわね……)
ゆま「わーい。何を作るの?」
マミ「それはこれからのお楽しみね」
なぎさ「これから?」
杏子「ほむらも参加するってよ」
なぎさ「ほんと!?ほむほむ!」
ゆま「ほむほむと一緒!」
まどか「本当に気に入っているんだね」
ほむら「…………」
「あれ、ゆまじゃん。何してるの?」
ゆま「あ!」
さやか「ん?」
ゆま「織莉子お姉ちゃん!キリカお姉ちゃん!」
ゆま「ぎゅー」
キリカ「こらこら、織莉子に抱きつくんじゃないよ羨ましい」
杏子「本音が出たな」
織莉子「ふふ、ゆまちゃん、迎えに来てくれたのね」
なぎさ「こんにちはなのです」
キリカ「やぁ、なぎさ」
ほむら「…………」
ほむら(美国織莉子、呉キリカ……)
ほむら(かつて、二人はまどかを殺めた)
ほむら(かつて抱いた憎悪はアクマになった今でも忘れない)
ほむら(しかし、呉キリカの方は『愛』という点でほんのちょっぴり親近感がある)
ほむら(それにしても……呉キリカはまだわかる。不登校とは言えここの三年生だった)
ほむら(でも何故か美国織莉子まで見滝原中学校に来てた……そして巴マミのクラスメートに……)
ほむら(……おかしいわね)
ほむら(確かに佐倉杏子は美樹さやかに引き合わせたりはしたけど……)
ほむら(千歳ゆまの家庭に干渉した影響かしら)
ほむら(そんな遠縁というわけでもないのに)
ほむら(自分で改変した世界ながら、世の中わからないものね)
織莉子「待たせちゃったかしら」
キリカ「悪いね。つい話すのに夢中になっちゃって」
なぎさ「お二人は仲良しさんですからね」
キリカ「ふふ、仲良しなんてもんじゃないよ」
キリカ「ズバリ、愛だよ。私達は愛し合っているのさ」
キリカ「増してバレンタインというお互いの愛を甘味という形で、言葉通り味わえるイベントがある」
キリカ「普段の『大好き』に説得力が増すというものだ。お互いに」
織莉子「お互いの愛……だなんて、もう、キリカ……みんなの前で」
さやか「これから作るのにもう甘い」
杏子「お互いにって何か違ってねぇかね」
まどか「アメリカで言うなら、あながち違わなくないよ」
ゆま「そうなの?」
まどか「恋人同士がお互いにプレゼントするんだよ」
キリカ「へぇ、じゃあ私達は世界基準では正しいんだね」
織莉子「キ、キリカ……」
ほむら「女性同士ではイレギュラーだと思うけど」
なぎさ「織莉子ほっぺ真っ赤なのです」
キリカ「攻めに弱い織莉子かわいい」
織莉子「……キリカの方が弱いもの」
キリカ「ま、まぁ不意打ちにぎゅってされたりすると、私……」
さやか「はいストップ。これ以上はこっちが持ちません」
ほむら(……世界が変わってもこの二人は安定しているわね)
なぎさ「仲良しさんなのです」
ほむら「……そうね」
織莉子「あ、暁美さん……そんな目でみないで」
杏子「まぁいいんじゃねぇの」
キリカ「そ、それよりもっ」
キリカ「何の話してたんだい?」
キリカ「幼女コンビが何か喜んでたけど」
さやか「アクマがバレンタインのお菓子作りに参加することになったんです」
織莉子「あら、それはそれは」
キリカ「歓迎するよ」
ほむら(この二人に歓迎されるのもなんだか変な気分ね)
織莉子「暁美さんは料理が上手と聞いているけれど……」
まどか「はい。とっても」
織莉子「助かるわ。教えられるのが私と巴さんだけだったものね」
ゆま「ゆまほむほむに教えてもらいたい」
さやか「あたしもアクマがいい」
杏子「何か言葉だけ聞くとスパルタみたいだな」
ほむら「料理はともかく、私そこまでお菓子作りには精通していないわ」
キリカ「平気平気」
マミ「何とかなるわ」
ほむら「何とかって……」
マミ「大切なのは楽しく作ることだもの」
まどか「楽しみだなって」
マミ「それじゃ、メンツも揃ったことだし……織莉子さん」
織莉子「そうね。行きましょうか」
ほむら「……成り行きで一緒することになったけれども」
ほむら「材料を買うにしてもそもそも何をつくるというの?」
キリカ「ん?そりゃまぁ、適当に」
ほむら「適当って……」
杏子「別に一人一品作るってわけでもないからな」
さやか「あたしと杏子はトリュフチョコに挑戦するよ」
ゆま「ゆまガトーショコラを教えて貰うの」
なぎさ「チーズ」
ほむら「チーズ?」
マミ「私とチーズケーキを作るのよ」
なぎさ「チョコも好きですがチーズのデザートの方が好きなのですよ」
キリカ「安定してるね」
織莉子「私達はクッキーを焼くわ」
まどか「ほむらちゃんは?」
ほむら「まどかと同じものにしようかしら」
まどか「おそろいだねっ」
キリカ「クッキー四人かぁ」
ほむら「……四人?」
まどか「うん。わたしもクッキー焼こうかなって思ってるの」
まどか「こないだ織莉子さんのお家にお呼ばれされたんだけどね」
まどか「織莉子さんの手作りクッキーが美味しくって美味しくって」
まどか「是非教えて貰いたいなって」
織莉子「お揃いね」
ほむら(美国織莉子の家に……まどかが……)
ほむら(まどかが……美国織莉子とお揃い)
ほむら(美国織莉子からクッキーの作り方を教わる……まどかが……)
織莉子「あの時の鹿目さんったら、キリカに負けないくらいにたくさん食べちゃったのよね」
まどか「お、織莉子さんっ!」
ゆま「織莉子お姉ちゃんのクッキー大好き」
さやか「期待度べらぼうに高いですぜ」
キリカ「うんうん。織莉子のクッキーは世界一」
織莉子「そんな特別なことはしてないのだけれどね」
ほむら「…………」
まどか「どうしたの?ほむらちゃん」
キリカ「……まぁ、そんな懸念することはないよ。ほむら」
織莉子「一言にクッキーと言っても色々あるもの。なるべく被らないようにするわ」
キリカ「そうそう。ココアとか抹茶とか入れられるし」
まどか「キラキラのつぶつぶとか、トッピングもできるし」
織莉子「アラザンね」
まどか「そうですそれ」
まどか「それに形も。大きさも。あとハート型とかさ」
織莉子「とにかく、被りとか、問題ないわ」
ほむら「……別にそういうこと気にしてたわけじゃないのだけれど」
ほむら(この世界では……美国織莉子は白女から来た『転校生』……になっていた)
ほむら(そこで呉キリカと運命の再会とやらを果たして……巴マミと意気投合して……)
ほむら(そして『転校生同士』ということでまどかとも……)
ほむら(まどかに仲の良い人間がいるに越したことはない)
ほむら(それにまどかは二人に何の確執もないから別に……)
ほむら(何よりまどかが危ない目に遭うはずがないということは私が一番知っている)
ほむら(だけど……)
ほむら(わかっていても、思ってしまう)
ほむら(何だか、奇妙な気分)
ほむら(まどかが美国織莉子と仲が良いだなんて)
マミ「……と、いうことで、材料の件についてはいいかしら?暁美さん」
ほむら「……えぇ」
マミ「言ってしまえば私がいればいいのよ。ノープロブレム」
杏子「まぁそうなるわな」
織莉子「それじゃ、私は調理器具の用意しておくわ」
マミ「お願いね、美国さん」
ほむら「美国織莉子の家でやるのね」
さやか「アクマは来たことないでしょー。すごい奇麗よ。ゴージャスよ」
ほむら(中に入ったことはないけど知っているわ)
キリカ「私と織莉子はセットと考えて貰おうか」
ゆま「ゆまもー」
杏子「買い物ならあたしはついでにコピー機に用があるからな」
さやか「あたしと杏子はセットと考えて貰おうか」
なぎさ「なぎさもお買い物行きたい」
まどか「わたしもラッピングとかリボンに拘りたいなって」
ほむら「まどかが行くなら私も……」
織莉子「暁美さん、こっちお願いできる?」
ほむら「え?」
マミ「それもそうね。頭数も揃うし」
ほむら「でも……」
キリカ「決まりだね」
ほむら「……まぁ、いいわ」
マミ「暁美さん、何かリクエストある?」
ほむら「……リクエスト?」
まどか「うん。ラッピングの色とか……」
ほむら「特にこだわりはないし……まどかにお任せするわ」
まどか「うん。了解っ」
杏子「……さて、そんじゃ、ぼちぼち行きますかね」
さやか「ですです」
なぎさ「真似しないで欲しいなって」
マミ「買い物が済み次第、あなたの家に向かうわね」
織莉子「えぇ、準備しておくわ」
ゆま「行こっ、ほむほむ!」
ほむら「……えぇ」
ゆま「るんるーん」
キリカ「ご機嫌だね」
織莉子「楽しみにしていたものね」
ゆま「ほむほむも一緒にすることになってね、嬉しいの」
キリカ「本当に気に入られているね」
ほむら「……そうね」
ゆま「ほむほむ好きー」
ほむら「別に好かれるようなことをした覚えはないのだけれど」
キリカ「そうなの?知らないところでラブラブしてるんじゃないの?」
ほむら「断じてしてないわ」
ゆま「あのね、あのね」
ゆま「ゆまがここにお引っ越ししてきた時にね」
ゆま「初めてのお友達がほむほむだったの」
ほむら「え、そうだったの」
ほむら(確かに『持って』きた時に様子見に行った)
ほむら(それで少し話はしたけど……あの時から懐かれていたのね)
ゆま「魔獣との戦い方とか、ここのこととか、色々教えてくれたの!」
ほむら(そう言えばそうだったわね)
ゆま「織莉子お姉ちゃんを紹介してくれたし」
ほむら(そう言えばそんなこともあったわね。たまたま近所だったから)
ゆま「お菓子くれたし頭なでなでしてくれたし」
ほむら(あれ、そんなことあったっけ)
ゆま「大好きーむぎゅー」
ほむら「ほら、そんなくっつかないで」
ほむら「そんなことで気に入られていたのね」
織莉子「馴れ初めを忘れちゃうだなんて……」
ほむら「馴れ初めって」
キリカ「ほむほむ薄情だなー」
ほむら「ほむほむ言わない」
ゆま「ほむほむのおかげでみんなと仲良くなれたと思うの」
ほむら「ほむほむ言わない」
織莉子「ふふ、ほむほむさんって悪になりきれないアクマって感じよね」
ほむら「ほむほむ言わない」
キリカ「しかしさやか、何でアクマって呼ぶのかね」
織莉子「そうねぇ。アダ名にしては全く定着していないけれど」
ゆま「ほアクマ」
キリカ「小悪魔?」
織莉子「ほむほむと違ってアクマ呼びを止めないってことは、満更でもないのかしら?」
ほむら「別にいいわけじゃないけど……スルーというものよ」
ほむら「急にそう呼び始めて、ほっとこうと思ったままもう二月よ」
キリカ「ふーん」
ゆま「じゃあゆま達ももっともっと言い続ければ……」
ほむら「やめなさいってば」
ほむら(……アクマ、ね)
ほむら(美樹さやか……私が悪魔ということを忘れないと言っていたわね)
ほむら(彼女の記憶はもうないはずなのに……)
ほむら(これまでも何もなかったから、ついに来年になってしまったけれど)
ほむら(……言われてみれば少し気になってきたわ)
ほむら(向こうの様子……少し監視させてみようかしら)
ほむら(まぁ何もないでしょうけれどね)
キリカ「ま、いっか」
織莉子「私の家についたらまずはお茶にしましょう。喉も渇いちゃったし」
ゆま「わーい」
ほむら「随分と悠長ね」
キリカ「正直そこまで時間かからないからね。道具は昨日の時点で洗える物ももう洗っちゃったし」
ほむら「だったら何で私まで……」
ほむら「何もすることないじゃない」
織莉子「ないことはないわよ……」
キリカ「まぁいいじゃないか」
ほむら「まさかお茶をするために頭数増やしたわけじゃな……」
織莉子「……よくわかったわね」
ほむら「…………」
織莉子「だって私達……暁美さんとあんまり関わりないから……」
キリカ「学年の違うマミや小学生のゆまとなぎさとも違ってあんまりね」
ゆま「同じ魔法少女なのに……何で?」
ほむら「何でと聞かれても……」
ほむら(避けているつもりはないけれど……)
ほむら(無意識の内に苦手意識を持っているのかしら)
織莉子「折角の機会だからお話したいと思って」
キリカ「もうそろそろ中学校卒業しちゃうけどさ……」
キリカ「なんだかんだでキミのことよくわかってないからね」
ほむら「…………」
ほむら(そう言えば……そうよね。彼女達も、巴マミも……もうすぐ卒業をする)
ほむら(私が干渉しなくても時間は動く)
ほむら(もう三年生の三人は高校生になるのね)
ほむら(進路……その辺りは特に干渉していないし、するつもりはないけれど……)
織莉子「まぁ卒業しても私達、巴さんと同じ見滝原高校に行くつもりだから……」
キリカ「うん。ここからそんな遠くないし、魔法少女。キミ達との繋がりが途絶えるってわけでもない」
織莉子「でも、やっぱり……ね」
ほむら「……そうね」
ほむら「私の方こそ色々聞かせてもらうわ」
キリカ「うんうん」
ほむら(彼女達は……『彼女達』と関係ないものね。悪いことしたかしら?)
ゆま「高校生……ゆままだ中学生にもなってないのにずるい」
キリカ「いや、ずるいって……」
織莉子「……そういえば、ゆまちゃんは見滝原中に行くって言ってたわね」
ゆま「うん。なぎさちゃんとあすみちゃんと一緒」
ゆま「だけど入学する頃にはほむほむ達も卒業しちゃってるんだよね……」
ゆま「ずるーい!」
ほむら「そんなこと言われても……」
ゆま「寂しいなぁ」
ほむら「年齢ばかりは仕方ないわよ……」
キリカ「ほむらは進路考えてんの?」
ほむら「別に……」
織莉子「バレンタインから来年の高校受験ってあっという間よ。考えておいた方がいいわ」
ほむら「そうね……体験者がそういうなら、考えておくわ」
ゆま「ゆまも考えようかな」
キリカ「それは流石に気ぃ早いね。JSを堪能してな」
ゆま「JS?」
織莉子「女子小学生ね」
ゆま「何でもかんでも略すのはゆまいただけないなって」
ほむら「あら、言うじゃない」
ほむら「将来安泰ね」
織莉子「ふふ、暁美さんも気が早いわね」
ほむら「そうね」
キリカ「見滝原中も視野に入れて、考えておいてよ」
ほむら「えぇ」
キリカ「さて、ほむら。もうそろそろ織莉子んちだよ」
「待ちなさい!」
ゆま「!?」
織莉子「こ、この声は……!」
ほむら「…………」
「美国!呉!今日こそ決着をつけるわよ!」
「くふふ、逃しませんよ」
織莉子「浅古さん、優木さん」
ほむら(何か増えた)
キリカ「今帰り?」
沙々「うん」
ゆま「小巻お姉ちゃん」
小巻「あ、千歳ちゃぁ~ん」
小巻「美国と呉は気に入らないけど千歳ちゃんのかわいいことかわいいこと」
小巻「よちよち」
ゆま「もうっ、子ども扱いしないでよ」
小巻「かわいい」
沙々「ロリコンめ」
小巻「ヤキモチ妬かないのよ優木」
沙々「べ、別にヤキモチなんかしてませんよ」
ほむら(優木沙々、浅古小巻……白女の生徒)
ほむら(そして、美国織莉子の元クラスメート)
ほむら(浅古小巻の方は白女で見たことあるけど、優木沙々は……)
ほむら(改変のしわ寄せというか……会う度に彼女の起源が気になるわ)
キリカ「えりかは一緒じゃないの?」
小巻「間宮は部活よ」
キリカ「部活……はー、青春してるねぇ」
沙々「一緒と言えば、ほむらも一緒なのは珍しいですね」
小巻「そうね。鹿目は一緒じゃないの?いつも一緒のイメージがあるけど」
ほむら「後で合流するわ」
ほむら「美国織莉子の家に集まることになっているのよ」
小巻「……」
沙々「集まってゲームでもするんですか?」
ゆま「ううん」
ゆま「みんなでお菓子作るの!」
小巻「お菓子作り……?あぁ、バレンタインね」
沙々「わたし達んとこは女子校ですから関係ありませんね」
ほむら「女子校だからっていうのは関係ないわよ」
沙々「そう?」
キリカ「だって私、織莉子とほむら達にしかあげないし」
ほむら「殿方に渡す予定はないわ」
織莉子「私も」
ゆま「ゆまはパパにあげるよ」
小巻「……まぁ、そういうバレンタインもあるわよね」
沙々「世の中には友チョコとやらもありますからね」
小巻「まぁ女子校というのはおいといて、実際はそもそも『そういうの』は持ち込みが禁止されているのよね」
織莉子「……そうだったかしら」
沙々「おいおい」
キリカ「っていうかそこは守るんだ」
沙々「お嬢様学校ですからね。そういうのはうるさいんですよ」
ゆま「え、学校にチョコ持ってきちゃダメなの?」
小巻「チョコというか……うん、まぁ、そうね」
ゆま「大変なんだね……」
ほむら「実際に守っている人間はいるのかしら?」
小巻「……見つかったら注意される。それは誰だって避けたがるものよ」
沙々「だから白女のバレンタインとクリスマスは放課後からっていうのが昔からの伝統らしいですよ」
ほむら「大変ね」
沙々「もちろん小巻、わたしにくれますよね?」
小巻「当たり前じゃないの」
沙々「えへぇ。わたしもあげますよ」
ゆま「仲良しさん」
沙々「うん」
小巻「……そうか、手作りか」
小巻「私達は毎年帰りに適当なのを買ってそれを家で一緒に食べる……というパターンよね」
沙々「ですね」
小巻「手作り……か」
小巻「……作ってみる?」
沙々「えー、めんどい」
小巻「めんどいって……」
小巻「お菓子作りはバレンタインの醍醐味というものよ」
沙々「お菓子作りに対して何の技量も持ち合わせてませんよ。多分失敗します」
小巻「優木があれこれ努力したものというのがね」
沙々「お菓子が友愛の形なら、失敗作より既製品でも美味しいものの方がいいに決まってます」
沙々「それに作るのはともかくとして片付けが死ぬほど嫌いです」
小巻「もう……まぁ私もお菓子作りなんてしたことないけど」
沙々「おうコラ、人に言っておいて何だよそれ」
織莉子「それだったら、私達と作らない?」
ゆま「うん!一緒に作ろうよ!」
小巻「……美国と?」
織莉子「今なら連絡すれば材料追加できるわ」
キリカ「織莉子の何が気に入らないのか知らないけどさ」
キリカ「一時休戦ってやつ?」
小巻「……ふ、ふん。美国の世話にはなりたくないわ」
沙々「急にお邪魔するのも悪いですしね」
ほむら「会場提供者がいいと言っているんだしいいんじゃないかしら」
ほむら「私も今日の参加は急に決まったことだし」
ゆま「一緒に作ろうよ!なぎさちゃんも来るよ」
小巻「なぎさちゃんも……」
沙々「なぎさはちょっと敬語キャラが被ってて苦手意識あるんですが」
小巻「…………」
小巻「ま、まぁ……そこまで言うなら……」
織莉子「別に無理にとは言わないけれど……」
小巻「い、行くわよ!行くわよ!」
沙々「なぎゆまと出くわしてからというもの、小巻にロリコンの節が……」
小巻「うるさいわね!優木!あなたも来るのよね!」
沙々「行きます。行きたいです」
ゆま「わーい。たくさん」
キリカ「えっと、織莉子、私、ゆま、ほむら、小巻、沙々、マミ、まどか、さやか、杏子、なぎさ……十一人か。多いけど、大丈夫なの?」
ゆま「サッカーできるね!」
織莉子「しないけれどね」
ほむら「……素直じゃないわね。浅古小巻」
小巻「…………」
小巻「暁美さぁ……」
ほむら「なにかしら」
小巻「学校違うとは言え……私、三年生よ」
ほむら「そうね」
小巻「堅苦しいくらいにとまでは言わないけど……丁寧語の一つくらい……」
ほむら「別に先輩でもないでしょう」
ほむら(精神的にはむしろ私の方が年上でもあるし)
キリカ「そんなん気にするなんて小さい小さい」
小巻「優木でさえ常時敬語なのに……」
沙々「それは、わたしのキャラというか、癖というか……」
ほむら「私だって、丁寧語くらい言うわ」
ほむら「先生とか、知り合いの親とか、目上の人というか、初対面だったり、年上の人にはね」
小巻「年上……」
ゆま「ゆま敬語の方がいい?」
小巻「あ、いや、そうじゃなくってね、ゆまちゃん」
沙々「いくら生徒会長だからって、そんな強制させるような威厳も権限もないですよ」
織莉子「あら、生徒会長だったのね」
小巻「そうよ……ちなみに学級委員はあなたの後釜についたわよ」
キリカ「大変だね」
ほむら「……で?あなた、私にどうしてほしいわけ?」
小巻「……もういいわ。気にしないで。もう」
ほむら「ところで、浅古小巻、優木沙々」
小巻「何かしら」
ほむら「私達を呼び止めた時……決着がどうとか言っていたけど」
ほむら「優木沙々は逃がさないというようなことを」
ほむら「何の話だったのかしら?」
小巻「…………」
沙々「…………」
小巻「……なんだったかしら」
沙々「えっと……えっと?」
織莉子「…………」
キリカ「…………」
ほむら「…………」
ゆま「喉かわいた」
――デパート
マミ「……と、いうことで、参加者が二人増えたわよ」
まどか「小巻さんと沙々さん」
さやか「おおー、実際に会うのは久しぶり」
マミ「と、いうことで買う物が増えたわ」
さやか「了解でーす」
まどか「ラッピングとかは……」
マミ「お任せですって」
さやか「まどかのセンスが問われますなぁ」
まどか「そ、そんなこと言われちゃうと……」
マミ「ふふ、大丈夫よ。鹿目さんのセンス、素敵よ」
まどか「い、いやぁ……」
さやか「まどかの選ぶリボンはどれもナイスだと思うよ。うん」
まどか「そ、そんな誉めるほどじゃ……」
まどか「確かに、このリボン貰ってから……ちょっと、リボンには拘りがあるつもりだけど……」
さやか「でもアクマに貰った『それ』しかつけないよね。まどか」
まどか「わたしも何でかわかんないけど、これ以外のがしっくりこないというか……」
マミ「いつもつけてるからか、私も『それ』以外の鹿目さんがイメージつかないわ」
さやか「イメチェンしたら?」
まどか「うーん……でもやっぱりわたし、このリボンが好き」
マミ「ふふ、そう……」
さやか「アクマにまどかのリボン観が縛られた」
まどか「リボン観って……」
マミ「さて……その前に……」
さやか「……そうですね」
まどか「うん……」
マミ「……センターに行けばいいのかしら」
さやか「でも、多分……いや、きっと、いや、絶対杏子怒りますよ」
マミ「そうよねぇ」
まどか「杏子ちゃんとなぎさちゃん、ケータイ持ってませんもんね」
マミ「……どこにいるのかしら」
さやか「迷い杏子と迷いなぎさ」
マミ「…………」
まどか「…………」
マミ「……最後に見たのはどこかしら」
さやか「コンビニにはいました」
まどか「お菓子売り場にはいました」
マミ「……じゃあ、食品コーナーあたりかしら」
まどか「試食コーナーにチーズがあったよね」
さやか「……そうだね」
マミ「…………」
マミ「……捜してくるわね」
マミ「二人は待ってて。特設のバレンタインコーナーだから、来るかもしれないし」
まどか「……はい」
さやか「来たら連絡します」
さやか「……しょうがないな。杏子となぎさは」
まどか「あはは……」
さやか「時間が勿体ないよ!」
まどか「まぁまぁ」
まどか「その分、ほむらちゃん織莉子さん達とお話できるだろうし」
さやか「ポジティブに考えるねぇ」
さやか「アクマ、仲良くできてるかしら」
まどか「…………」
さやか「……ん?どうかした?まどか」
まどか「……ねぇ、さやかちゃん」
さやか「んー?」
まどか「あの……ずっと思ってたんだけど……」
さやか「うん」
まどか「その……」
まどか「どうしてさやかちゃん、ほむらちゃんのことアクマって呼ぶの?」
さやか「…………」
まどか「むしろ天使」
さやか「脈絡のないまどほむはNG」
まどか「それはおいといて、どうして?」
さやか「…………」
まどか「?」
さやか「…………」
さやか「……そうだね」
さやか「別に秘密にしてたつもりはなかったんだけど……」
さやか「…………」
さやか「……あたしさ、アイツと……ケンカしてたんだ」
まどか「ケンカ?」
まどか「何だか意外……仲良しさんなのに」
さやか「そうかな?あたし若干アクマにウザがられている節が……」
まどか「それで?」
さやか「おう……スルーッスか」
さやか「まぁ、うん……ケンカの内容は全く覚えてないけど、確かにあいつが許せなかったって思ったのは覚えてる」
まどか「あはは、さやかちゃんらしい」
さやか「な、なにをー!?」
さやか「……でもさ」
さやか「まどかが転校してきて……あいつ、あたしに言ったんだ」
さやか「普段は仲良くしましょうって」
まどか「……ほむらちゃんが?」
さやか「本当にそう言ったんだ。それだけは絶対に忘れない」
まどか「…………」
さやか「……うん、言いたいことはわかるよ。信じられないよね……アクマがそんなこと言うなんて」
さやか「あいつがあたしに仲良くしようって言ったのは……まどか」
まどか「わたし?」
さやか「まどかを気遣ってだったんだ」
まどか「わたしを……」
さやか「まどかに気を使わせるだか、怖がらせるだとか……」
さやか「結果論だけど、あんた気ぃ弱いじゃん」
さやか「だから知り合い同士の中が険悪だと
さやか「結局アクマはまどかなんだ」
さやか「あたしは何でケンカしたのかも覚えてないけど……」
さやか「結局あたしは理由もわからず許さないとか思ってたんだ」
さやか「だけどさ……あたし、嬉しかったんだよ」
さやか「この先、高校なり大学なり行って……離ればなったとしても……」
さやか「あたし、ずっとみんなと、アイツとも友達でいたい。だから……」
さやか「これだけは絶対に忘れない。あいつがアクマだってこと」
まどか「さやかちゃん……」
まどか「……で、何でアクマって呼ぶの?」
さやか「さあ、忘れた」
まどか「…………」
――翌日
ほむら「……そう」
ほむら「美樹さやか……私と別れた時、そんなことを……」
ほむら「えぇ、ありがとう」
ほむら「…………」
世界を改変して……私は日記をつけるという習慣がついた。
そのきっかけは、彼女達と出会ったから。
美国織莉子、呉キリカ。千歳ゆま、優木沙々、浅古小巻。
イレギュラーな出来事、存在。故に、悪魔日和の記録をとっている。
ついでに『子供達』の母子手帳を兼ねている。
ほむら「……え?何?」
ほむら「……あぁ、これ?これは私の。あなた達の分は冷蔵庫にあるからね」
ほむら「ほら慌てないの。……公平に分けなさいよ」
私には、いつの間にか友人が二桁できていた。
まどか、美樹さやか、巴マミ、佐倉杏子、百江なぎさ、
志筑仁美、美国織莉子、呉キリカ、千歳ゆま、優木沙々、浅古小巻。
他クラスメート。
最も友人という友人が多いのが悪魔の今という、皮肉というものだが……
そんな友人からもらったものを、物欲しそうにしている子供達に与えることはない。
特にこのピンクの包装がされたココアクッキーは絶対に渡さない。
苗字しか知らないクラスメートから貰ったものならあげてもいい。
最も、貰い物をあげるなんてことがないようにわざわざチョコケーキを焼いておいたのだから。
ほむら「……は?トマト?」
ほむら「入ってるわけないでしょう」
昨日作られた物。
ピンク、黄緑、白、黄色……色とりどりの収穫をテーブルに並べる。
水色が一番大きい。無駄に大きい。
これと一緒についてきた「彼女」からの言葉を思い出す。
そして、過去の出来事を思い出す。
時に頼もしく、時に憎く、時に憐れみ、時に愛おしく思った彼女。
彼女はかつて、神に遣わされた……所謂、天使だった。
私は対なる存在。
悪魔として、思うところはある。
……美樹さやか。
ほむら「本当に悪魔ってことしか覚えてないじゃない」
_人人人_
> 劇 終 <
 ̄Y^Y^YY ̄
と、いうことで終わり。イベント系SSは何気に初めてだなって
まぁ間に合わなかったけど
ご閲覧どうもでした
過去作聞かれたから答えますが、
挙げられた ほむら「世の中わからないものね」 と 沙々「美国織莉子をギャフンと言わせたい委員会」を書きましたなんでわかったんだろう。
他にもあるけどこれ以上はまぁ、ノーコメントで
しまった。HTML化依頼するの忘れてた上にミスってました。訂正します
>>51
キリカ「見滝原中も視野に入れて、考えておいてよ」
↓
キリカ「見滝原高も視野に入れて、考えておいてよ」
地味なミスですが。多分きっと他にも色々ミスってるだろうな……
余談of余談ですが、次はなぎほむを考えています。まだ何も手ぇつけてませんしアクマでも予定ですが
メガほむとのなぎほむを成し遂げる。
このSSまとめへのコメント
おりことかいろいろと出てきたのはいいけど…かずみ☆マギカさんが可哀想だなーって、思うのでした
1米
それな
面白かったよ