女武道家「ぶっ飛ばしてやる!!!」 (78)

連投の規制くらって最後までうpできなかったので最後まで
昨日の分↓
女武道家「ぶっ飛ばしてやる!!!」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1392224729/)

(昨日の分訂正 武道家→武闘家)

 数日後 昼下がり 郊外の林地帯にて

女武闘家「てりゃあああああっ!!」ドガァッ

魔物の群れをやっつけた!

女武闘家「よし、今日はこれで17体目……」

女僧侶「はりきっとるなぁ」ポリポリ

女武闘家「当然よ。あと31体でクリアなんだから。もうすぐ四年か……あーあ、長かったなぁ」

女僧侶「クリアしたらあんたどうすんの?」

女武闘家「んーまずは一応村に戻って老師や母さんに報告かな。その後はまあ、旅でもしてみるのもいいかな、この旅も結構楽しかったし」

女僧侶「ふーん……ええなあ気ままに過ごせて」

女武闘家「あんただって結構気ままに過ごしてんじゃないの?」

女僧侶「まあ確かに街の教会勤めよりはブラブラしとるけど、やっぱお勤めがあるからな」グビグビ

女武闘家「何がお勤めよ、昼間っからビールなんか飲んでるくせに」

女僧侶「これは麦茶や麦茶。シュワシュワするだけの。そもそも禁欲なんかで神への信仰が示せるわけないんやから」

女武闘家「そういうもんなの?」

女僧侶「ウチらかて人間やで? 禁欲なんか自分の行為に酔いたいだけのマゾの行為や。人間らしくない信者なんか、どんな神様が望んどるんよ」

女武闘家「へえ、言われてみればそうかもね。じゃあ女僧侶ちゃんみたいな人でもやっぱり信心はあるの」

女僧侶「あったりまえや。こんなウチでも毎日神に祈りを捧げとるし、僧侶の力は世のため人のため神のためにしか使うつもりはあらへん。ただ、信仰とウチの生き方は別やっちゅうこと」グビグビ

女武闘家「──酒飲みながら言われてもあんまり説得力ないわね」

 ガサッ

女武闘家「18体目来たぁっ!!」バッ

魔物「う──」ドサッ

女武闘家「……あれ?」

魔物「はあ、はあ……」

女僧侶「魔物っていうか、魔族やなこの人」

魔族「ぐ……」

女武闘家「随分ボロボロね、何かあったのかな」

女僧侶「大丈夫か? 喋れる?」

魔族「き、貴様らは……人間か……ぐっ」

女武闘家「そりゃここは人間界だし」

魔族「っ! そ、そうか……オレは人間界に──ぐっ」

女僧侶「あーあ、大人しくしとき……」

 女僧侶はホイミを唱えた!

女僧侶「人間の魔力やからあんまり効かんやろうけど、これで喋るくらいはできるやろ」

女武闘家「ちょっと、全快してあげないの?」

魔族「いや──魔族のオレを信用できないのは当然だろう」

女僧侶「悪いけどそういうこっちゃ。ホラ、何かあったんやろ?」

魔族「……」

女武闘家「──話すつもりはなしか。とりあえず敵なのかそうじゃないのかだけでもはっきりさせたいんだけど」

魔族「……フン、ストレートな女だな」

女武闘家「まどろっこしいのって嫌いなのよ」

魔族「──少なくとも、オレは人間に興味はない。人間界にも別に目的があって来た訳じゃない」

女僧侶「じゃあ何しに来たんよ?」

魔族「さあな、オレは別の魔族共に連れて来られただけだ」

女僧侶「連れて来られたって……攫われてきたって事?」

魔族「そういう事になるだろう。オレは魔界でただ静かに暮らしていただけなんだが……近頃オレの周りをウロチョロする連中が現れはじめてな。何かあると思っていたが──」

女武闘家「魔界の事件か何かに巻き込まれてたの?」

魔族「さあな。オレは先日見知らぬ連中に襲撃され、半殺しの状態でこちら側に連れて来られた。ずっと魔牢に幽閉されていたんだが、昨日の晩に隙をついて逃げ出したんだよ」

女僧侶「襲撃された理由に心当たりはないん?」

魔族「オレを攫った連中の事も、オレが攫われた理由も知らん」

女武闘家「なんかややこしそうねぇ」ポリポリ

女僧侶「魔族さんは一体どこに閉じ込められとったんよ」

魔族「すぐ近くの大きな街だ。かなり大きな屋敷だったと思うが」

女武闘家「屋敷……大きな……」

女僧侶「まさか──」

 同時刻 女遊び人の家

女遊び人「うーんそんなに頭を下げられてもぉ」

魔法使い「ご迷惑は承知しています……でも貴女しかお願いできる方がいないんです」ドゲザ

女遊び人「アタシももう引退しちゃった身だしぃ。魔法使いが遊び人に魔法の修行つけてもらうなんて、笑い話にもならないわよぉ」

魔法使い「いえ、貴女は元賢者なんですよね。賢者は僧侶と魔法使いの両方の魔法を操る者。僕の知る限り、貴女以上の呪文の使い手はこの街には……」

女遊び人「所詮”元”賢者よぉ。それにアタシ両親が僧侶と魔法使いだっただけでぇ、アナタの想像するような修行なんか積んでないしぃ」

魔法使い「それでもかまいません。僕に魔法を教えてください!」

女遊び人「はぁ……参っちゃったなぁ」

魔法使い「な、ならせめてアドバイスだけでも!」

女遊び人「う~ん、アナタは確か殆どの魔法は習得済みなのよねぇ?」

魔法使い「はい。ですが、コントロールが全然できなくて……良くて不発、悪くて暴発……」

女遊び人「それ多分アナタ、魔力の量が桁違いなのよ」

魔法使い「あまり自分でも自覚はないんですが……亡くなった師匠もそうおっしゃってました」

女遊び人「普通はみんなはじめのうちは魔力の量が少ないから、少しの魔力で呪文を練り上げる修練から入っていくんだけどぉ……アナタの場合は生まれつき魔力がかなり多いんじゃないかしらぁ?」

女遊び人「樽のコックを捻るとお酒が出るでしょぉ? 普通コックの捻り具合で量を調節するけど、アナタの場合は魔力の質量が大きすぎてコックが壊れちゃってると思うのぉ」

魔法使い「えっと、つまりどうすればいいんでしょうか」

女遊び人「もっと大きくて頑丈なコックをつけてぇ、それをうまく調節できるようにする……普通はレベルアップの中で、樽(魔力の最大値)や中身の量(魔力量)に合わせて自然に付け替わっていくものなんだけどぉ……う~ん」

魔法使い「──」

女遊び人「ごめんなさいねぇ……アタシなんかじゃどういう修行をすればいいかわかんないわぁ」

魔法使い「……いえ、ありがとうございます。とりあえず、基礎の瞑想からやり直してみようと思います」

女遊び人「瞑想なんて普通魔力を高めるためのものなんだけど……まあ頑張ってねぇ」

 バタン

魔法使い「はぁ──結局どうしようもないのかなぁ」

魔法使い「でももう、この間みたいな失敗は絶対したくないし……うん、頑張ってコントロールできるようになろう」

老人「お~い魔法使い君!」バッ

魔法使い「うわっ! き、急に現れないでくださいよ」

老人「そんなことはどうでもいいわい。それより、ホレみてみぃ」

魔法使い「こ、これは? 雇用契約書……?」

老人「ふぉふぉふぉ、これでワシはあの商人協会の本部の雑用係というわけじゃ」

魔法使い「よ、よく雇ってくれましたね」

老人「色んな経験をしておくと意外なところで役に立つんじゃよ。あとはおまえさんの望み通り、連中の悪事の証拠を掴んで中央に訴えるだけじゃな」

魔法使い「でも、中央は動いてくれるんでしょうか……この間出した手紙だけじゃ、結局何もしてくれなかった」

老人「おそらくそんなもん中央には届いとらんじゃろ。この街から正規で出入りする荷物は全部チェックされとる筈じゃからのう」

魔法使い「えっ!? そ、そんな……」

老人「ま、安心せい。ワシが引き受けたからには必ず突き止めてやるわい。感謝するんじゃぞ、引退したワシがこんな仕事を引き受けるなんぞ普通ありゃせんからな」

魔法使い「すいません、お願いします」

老人「ふぉふぉふぉ。ま、お主は安心して恋路の心配でもしとれ。いい加減あの武闘家の女子とは手ぐらい繋いだのかの?」

魔法使い「なっ、そ、そんなんじゃありませんってば!」カァァ

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 夜 魔法使いの家

女武闘家「ふーん、結局何にも進展しなかったわけね」

女僧侶「あの遊び人さん賢者やったんやなぁ……その逆はたまに聞くけど、意外やなぁ」

魔法使い「男商人のほうは、老人さんが何とかしてくれるそうです。きっと証拠品を掴んでくると」

女武闘家「そうそう。その男商人、なんか魔界から魔族まで攫ってきてたみたいなのよ」

魔法使い「魔族、ですか?」

女僧侶「実は今日街から逃げ出してきた魔族と今日会うてな、魔界から連れ去られてきたんやって言うとったわ」

魔法使い「あいつらは魔界の魔商人とご法度の取引をしてますから……魔物を使ってよからぬ事をしているという噂も多いですし」

女武闘家「じゃあ魔族が関わっててもおかしくないって事ね」

女僧侶「でもあの口ぶりからすると、そういう商売とは無関係っぽいけどな。まああの魔族の正体がまだ解らんから、決め付けられへんけど」

魔法使い「てゆうか、女僧侶さんなんで当然のごとくウチでご飯食べてるんですか!」

女僧侶「ええやんええやん。宿屋で一人寂しく食事ってつまらんしなー。それとも二人っきりのほうがよかったん?」

魔法使い「ふ、ふたっ!?」カァァ

女僧侶「ふふん」ニヤニヤ

魔法使い「──どうぞごゆっくり」

女僧侶「うん、そーさせてもらうわ♪」

女武闘家「???」

魔法使い「とっ、ところで、その魔族の人は今どうしてるんですか?」

女僧侶「あー少し傷の手当てだけしたったけど、今は林の中で隠れてるらしいわ」

女武闘家「大丈夫かなぁ……」

魔法使い「女武闘家さんのほうはどうなんですか?」

女武闘家「あとたったの13体。明日の早朝トレーニングで一気に片付けちゃうつもり」

--------
 男商人の屋敷

男商人「全くこの責任をどう取るつもりですか!」

魔物「ギ、ギィ……」

男商人「あの魔族の男は決して魔牢から逃がしてはいけないと魔商人様からきつく言われていたでしょう!」

***「ですがご主人、今回の件は彼らの派遣した魔物の失態、我々が責任を負うこともないのでは」

男商人「何を言っているのですか。この間の宝珠を盗まれた件に続き、先日の悪霊騒ぎ。奴隷もなかなか集まらずに、ただでさえ魔商人様達はご立腹なのです。これ以上我々の信用を失うようなことがあれば、今後の商売がやりにくくなる」

男商人「いえ、もしかすれば我々の命がなくなる恐れもあるのですよ」

***「そんなまさか──」

男商人「魔族と取引するという事はそういう事です。解ったらすぐに捜索の準備をなさい。貴方達魔物も、早く人間に化けて探しに行くのです」

魔物「ギィィ」コクッ


老人「フム、何があったのかはようわからんが、どうやら屋敷の中の人間が何かの捜索に割かれるようじゃの」コソコソ

老人「これに乗じぬ手はあるまい……もう少し内部事情を探ってからと思っておったが、善は急げじゃ。今夜中に動き出すかの」シュッ

 翌日 夜明け前 商人協会本部

老人「──よし、あと少しで他の召使い達が起きてくる頃じゃな」ゴソゴソ

老人「この間少年が荷物の中から盗み出したという宝珠があるそうじゃが……」

老人「確か魔界からの物品を保管しておく部屋が地下に……む、見張りか」

見張りA「……」

見張りB「うう……」

老人(たかだか商人の屋敷の警備にしてはちと物々しいのぉ。どう見てもありゃ警備員というより傭兵じゃぞ……)

老人(とりあえずあの見張りを退かすとしようか)


見張りB「もうすぐ夜明けかぁ。ふ~っ、やっぱりこの部屋の警備はおっかないったらないぜ……」

見張りA「ふん、情けない。たかだか部屋の門番で何を言ってるんだ」

見張りB「でもよぉ……この中には怪しげな魔界の品物が山積みなんだろぉ? なんか変な夢でも見ちまいそうで……」

見張りA「何だ、こええなら部屋に戻ってな。俺が賃金独り占めで仕事しててやるよ」

見張りB「そ、それも御免だ!」

 カツカツカツ……

見張りA「ん?」

老人「ふぉふぉふぉ、おはようさん、お勤めご苦労じゃの」

見張りA「なんだこのじじい」

見張りB「こ、この間下働きで雇われた爺さんだろ」

老人「まあの。年寄りの朝は早くてのぅ……仕事もないのに早々に目が覚めたから、ちと屋敷の中を散歩中じゃ。全く広くて覚えるのに苦労するわい」

見張りA「この部屋はお前みたいなじじいが寄り付く場所じゃねえんだよ、さっさと部屋に戻るか掃除でもしてな」

老人「そうさせて貰おうか。おお、そういえば大旦那様がお前さんの事を呼んでおったぞ」

見張りA「あ? こんな時間にか?」

老人「何でも例の魔族の男がまだ見つからんらしいから、さらに人手を集めるそうじゃ」

見張りA「ち……夜勤明けだってのについてねえぜ。おい、後頼むぞ!」ダダッ

見張りB「え、ええっ? お、おれ一人かよぉ」

老人(まずは一人……)

老人「相方は行ってしもうたのぉ。これじゃ交代で便所にも行けんの」

見張りB「全くだぜ……はぁぁ」

老人「お前さん、今のうちに便所だけでも行ってきたらどうじゃ? その間ワシがここに立っとってやるわい」

見張りB「ほ、ほんとかじいさん」

   途中で止まったら連投規制食らったと思っといてください

老人「うむ。どうせ先輩の召使い達が起きてくるまで、することもないしの」

見張りB「ありがてえ。じゃ、じゃあ行ってくるぜ」ダダッ
人「ふぉふぉふぉ、ごゆっくりの」

老人(さて……ここからが盗賊の真骨頂じゃ)チャッ

老人(──)カチャカチャ カチン

 老人は鍵を外した!

老人(ふぉふぉ、こういうのはオイボレてもサビついとらんのぅ)

 ギギギィ

老人「うーむ、薄気味悪い部屋じゃの……おっと」

老人「少年の言っとった宝珠はこいつか。うーむ……確かに禍々しい品物じゃが……こんなもん何に使うんじゃろうか」

老人「他にもこっちには──おお、禁制の麻薬やら稀少品やら呪いのアイテムまで……こんなもん取引しとったとは。到底人間界だけではこうも集まらんぞ」

老人「この辺のも証拠品になりそうじゃの。さて、見張りが戻って来んうちにそろそろ──」

見張りC「あっ!? な、なにやってんだジジイ!!」

老人「!」シャッ

 老人の攻撃!

見張りC「ぐえっ!!」

老人「しもうた……まだ交代の時間じゃない筈じゃが──!」

見張りB「あ、じ、じいさん何やってんだ?」

老人「くっ! 便所くらいゆっくりせんかいっ!」ババッ

見張りB「おいっじいさん!?」

見張りC「ぐ……泥棒だ!! そのジジイ倉庫の品物を盗んだぞーー!!」

見張りB「な、何だってぇ!? おい待てじいさん!!」ダッ

老人「全くとんだヘマじゃ! やはりいささか下調べが足らんかったか!」ダダッ

老人(とりあえず街中へ逃げるとするか、どうにかして街の外に出られればいいんじゃが──)ババッ

ダダダッ シャシャッ

見張りC「くそ! 年寄りのクセになんて素早さだ!!」

見張りA「おい! 何の騒ぎだ!」

見張りB「く、くそー!!」

 街中

追っ手「待てーー!!」

老人「ゼッ……ゼッ……」

老人(いかん、スタミナが切れてきたぞい……やはりオイボレたのぅ──)

老人(若い頃はこんな追っ手すぐにふりきれたもんじゃが……か、体が──)

 ガッ

老人「うっ!」

 ドサッ!

老人「げほっ、げほ……」

声「すまない、ご老。怪我はないか」

老人「う、ぬ?」

男戦士「大丈夫か? こんな早朝に何をしている」

老人(こ、この男は確か、町中で変態行為をして回っとる例の男戦士ではないか)

追っ手「居たぞー! こっちだー!!」

 ダダダダダダッ

男戦士「何だお前たちは」

老人「く……」

見張りA「全くこの大変な時に仕事増やしやがって……」

見張りC「おいそこの、そのジジイを大人しく渡しな」

見張りB「こ、こいつ男のクセにビキニアーマーなんか着やがって……きもちわりぃ」

追っ手A「さあ、今すぐその泥棒を渡すんだ」

男戦士「何があったかは知らんが、こんな年寄りに寄ってたかってとは、いささか卑怯ではないか」

見張りC「やかましい! 腕ずくでもいただくぜ!」

 見張りCの攻撃!

 ガギィィン!!

男戦士「ふんっ!!」バキッ

 男戦士の攻撃!

見張りC「ぐはっ!!」

男戦士「いけすかんな。弱いものいじめと殺しは俺の美学に反する」

追っ手B「こ、この野郎! やっちまえ!!」

追っ手達「うおおおお!!」

男戦士「ロト真剣流……土竜!」バッ

 男戦士は地面に向けて剣を振るった! 地面をえぐる衝撃波が追っ手達を襲う!

 ドドドドドドッ!!

男戦士「町外れまで逃げるぞ」ヒョイッ

老人「おお、すまんのぅ!」

男戦士「ただしもしご老が悪事に手を染めていたのなら、俺はしかるべき所に突き出すからな」

老人「ふぉふぉふぉ、お主の変態行為も犯罪行為なのを忘れとらんか?」

男戦士「私のショータイムと一緒にしないでもらおうっ!!」ダダッ

--------
追っ手達「く、くそーっ!!」


魔商人「全く……どうやら人間などをアテにしていたこの我が愚かだったようだな」

 魔商人の攻撃!

 ドシュゥゥ!!

追っ手達「ぐわぁぁぁぁ!!」

 追っ手達は全滅した!

男商人「も、申し訳ありません! このような失態を……」

魔商人「フン。一度ならず二度までもあの宝珠を盗まれるとはな。この責任は宝珠を取り返した後で償ってもらう。今すぐ貴様に貸した魔物共を集めよ。こうなったら我が直接奪い返してきてやる」

男商人「しかし現在あの魔族の捜索に人材を……」

魔商人「愚か者め! あんな魔族なぞ後回しだ! 宝珠が……何よりもあの宝珠が必要なのだ! 宝珠さえ我の手にあれば全てが収まる! さっさと動け!」

男商人「は、はい!!」

***「──まだあの人間共をお使いになるのですか?」

魔商人「殺すのはいつでもできるが、宝珠を取り返すまでは動いてもらう。それにしても二度も宝珠が狙われるとは……あの宝珠の価値を知る人間が存在するとでもいうのか?」

***「あるいは、貴方様と同じ候補者の連中では……」

魔商人「可能性はあるが……それなら我の命から真っ先に狙いに来たほうが早い筈だ」

魔商人「よし、さっさと逃げた奴らを追うぞ!」

***「はっ!」

ダダダダ……

 ガチャ

女遊び人「ちょっとぉ人んちの前で大声……あらぁ?」

女遊び人「おかしいわねぇ、確かに騒ぎ声が聞こえたの……に」

女遊び人「──」

女遊び人(し、しんでる……)

女遊び人(これは、魔力で殺されてるわねぇ……)パラッ

女遊び人(──こっちは魔物が人間に変装してるわぁ)

女遊び人(一体何が起こってるのかしら……)

女遊び人(とりあえずあの時の僧侶さんに相談したほうがいいかしらねぇ。中央教会の直属だって言ってたしぃ)

--------
 ほぼ同時刻 郊外の林地帯にて

女武闘家「はああっ!!」

 女武闘家の攻撃! 魔物をやっつけた!!

女武闘家「はぁ……はぁ……」

女武闘家「やった……やったぁぁぁぁぁ!!」

 女武闘家は、魔物退治5000体を達成した!!

魔族「こんな時間から修練か」

女武闘家「あ。おはよう」

魔族「人間にしてはかなりの使い手のようだな。勇者に匹敵するのではないか?」

女武闘家「勇者ねぇ。あんなのただの伝説でしょ」

魔族「何だ、人間界には伝わっていないのか。かつて魔王を倒した勇者が存在した筈なのだが」

女武闘家「昔話にはあんまり興味ないのよ」

魔族「そうか。そういえばかなり舞い上がっていたようだが、何があった」

女武闘家「ああ、ノルマを達成したというか。まあまだ課題は残ってるんだけどね」

女武闘家「とりあえずあたしは一度居候先に戻るけど、あんたも来る?」

魔族「──正気か? 俺は魔族だぞ」

女武闘家「朝のコーヒー一杯くらい付き合ったっていいでしょ」

魔族「いや、しかし……」

女武闘家「ほらほら、遠慮しないの」グイッ

 魔法使いの家 

魔法使い「──ブツブツ」パァァ

 魔法使いは静かに瞑想を唱えている。

女僧侶「Zzz……う~んもうのまれへん……」

魔法使い「──はぁっ、駄目だ……うまくいかない」

魔法使い「どうしてもコントロールができない……一体どうすれば……」 バァァン!!

魔法使い「わわっ!?」

男戦士「この家でいいのか?」

老人「そうじゃ、すまんかったの」

魔法使い「お、お前はっ!?」

男戦士「ぬ? おお、お主はこの間の」

老人「話は後じゃ! 少年! 今すぐここから出るぞ! 追っ手がきとる!」

魔法使い「ええっ!?」

女僧侶「うるさいなぁ、何の騒ぎなん?」ゴシゴシ

老人「ほれ! 僧侶の譲ちゃんも急ぐんじゃ!」

男戦士「しかし町中を逃げ回ったというのに全く撒けなかった。それほどその宝珠は重要なのだろうな」

魔法使い「宝珠? じゃあ……!」

老人「これこの通りじゃ」キラッ

魔法使い「あ、ありがとうございます!!」

男戦士「事情は道中ご老人に聞いた。そいつを中央に届ければあいつらの悪事を暴けるというのだな」

魔法使い「少なくとも、教会の捜査が入るきっかけにはなると思います。そうすれば商人協会の悪い奴らも捕まるかもしれない」

老人「よし、追っ手は目前までせまっとる! 逃げるぞ!!」

女僧侶「う~一体何が──」

 シュゥゥゥ

女僧侶(な、何やこの──とんでもなくドス黒い不吉な魔力……)

女僧侶(魔法使いクンの持っとるあの宝珠から、漏れてるみたいやけど)

魔法使い「急ぎましょう! 隣町まで逃げられれば、流石に手が回りきらない筈です!」

男戦士「ご老は俺が担ごう」ヒョイ

 バン!!

魔法使い「うっ!?」

 ズラッ

 なんと、魔法使いの家が魔物達に囲まれている!!

魔商人「そこまでだ、その宝珠を返してもらおうか」

男戦士「く──もう追い付いたというのか」

魔商人「前回も宝珠を盗み出したのは貴様らしいな、小僧」

魔法使い「どうしてここが……」

魔商人「ここは貴様の師匠の家らしいな。情報収集は我々の得意分野でね」ニヤッ

男商人「全く立て続けに私の顔に泥を塗るとは、やはりあの時殺しておくべきでした」ザッ

魔法使い「商人協会のトップ……男商人」

男商人「こんなことをしでかして……一体どういうつもりですか?」

魔法使い「僕はただこの街を昔みたいな良い街に戻したかっただけだ! お前の汚いやり口のせいで街は乱れてしまった! それを暴こうとした人達はみんな……僕の、僕の師匠も!!」

男商人「フン、綺麗事で商売ができますか! あの街はもはや私のものです。どうやら私に歯向かって街を正すつもりだったようですが……」

 ジャッ

魔法使い「う……」

男戦士「流石に多勢に無勢、だな……」

老人「これまでなのかのう……」

 ザッ

女僧侶「──一つ聞きたいことがあるんやけど」

男商人「ん?」

女僧侶「その宝珠は何やのん? とんでもない邪悪な力が渦舞いとる……一体そんなもんで何をするつもりなんや」

魔商人「──いいだろう、どうせここの連中は皆死ぬのだ。冥土の土産に教えてやろう」

男商人「は──?」

魔商人「今魔界ではある重要な儀式が行われている。今から約250年前に勇者に打ち倒され、空位となった新たな魔王を選抜するための儀式だ」

女僧侶「な、何やて!?」

魔法使い「ま、魔王──!?」

魔商人「魔王の選抜に必須とされている最重要アイテムこそが、その闇の宝珠。かつての魔王が転生する際に魔界に遺した、魔王の力の源だ」

魔商人「その宝珠に1000体の人間の魂を捧げることで、宝珠は力を解放し、魂を捧げた魔族にその力の全てを授ける──」

魔法使い「そうか──町中だけでなく近隣の町や村でも流れていた行方不明になっている人たちの噂……!」

魔商人「そういう事だ。この儀式では人間界に我々魔族の気配を必要以上に悟られてはならん。水面下で人間の魂を集めるにはもってこいだったと言うわけだ」

女僧侶「そんな……じゃあまさか魔王が復活するってことなんか」

魔商人「我もその候補者よ。最も……忌々しい事に候補者の中では力が小さい故に、こうして策を労したのだがな」

魔商人「さて、ではそろそろ死んでもらおう。……貴様らの魂を宝珠に捧げてやる」ニヤッ

魔法使い「くっ……」

老人「万事窮すかのう──」

男戦士「──ただでは死なん。魔王の復活なぞ、誰かが絶対に阻止せねば」チャキッ

女僧侶「させへん──そんなこと絶対させへん!!」

 ババッ!!


 女武闘家は持ち上げた岩を放り投げた!!

 ドゴォォ!!

魔物「ぐへっ!!」

男商人「何だっ!!」

 女武闘家が現れた!!

武闘家「何だじゃないわよ全く。話は聞かせてもらったけど、ホントとんでもない連中ね」バッ

 スタッ

魔法使い「女武闘家さん!」

男戦士「お前は……あの時の武闘家か!」

女武闘家「魔王の復活なんて、絶対にさせないんだから」ギッ

魔商人「フン、小娘が一人増えたところで同じことだ」

魔商人「──殺せぇぇぇ!!!!」

魔物達「おおおおおおお!!!」

 魔物の群れが、いっせいに襲い掛かった!!


   ピシッ

魔法使い「ん?」

   ピシッ ピシピシッ

老人「な、何の音じゃ?」

女僧侶「これは……なんや?」

魔法使い「宝珠が、割れてる?」

  ビシビシビシッ

魔商人「な、何だと──」

  ビシビシビシビシッ!!

女武闘家「ああっ! わ、われ──」

  バキィィン!!

 闇の宝珠は、粉々に砕け散った!

 宝珠の中に封印されていた邪悪な力が渦巻いている!!

魔商人「バカな……闇の宝珠が砕けるなど、ありえない……ま、まさか!!」

 ヒュルン

 邪悪な力は、勢いよく飛び去って行った!!

女武闘家「あ、あっちには……」

 ババッ

魔族「な、なんだこれは……う、ぬ、ぬぉぉぉぉぉ!!!」

 闇の宝珠の力が、魔族の男の体を包み込んでいる!!

 バチバチバチ!!

女僧侶「そんな……魔力がどんどん、ふくれあがっとる……」

魔商人「バカな──なぜ……なぜそこに”転生体”がいるのだぁぁぁぁ!!!」

  ドンッ!!!

魔法使い「わあっ!!」

男戦士「ぬううっ!!」

  ドンッ!!!

魔法使い「わあっ!!」

男戦士「ぬううっ!!」

女武闘家「ま、魔族くん!!」

  ゴゴゴゴゴゴゴ……

***「ククク……」

***「この力は──紛れもなく余のものだ──」

 バチバチッ

女武闘家「え?」

***「忌々しい勇者どもに肉体を滅ぼされてから250年。ようやく転生体が魔界に発生したのだが……記憶と力は宝珠の中に封じたまま──」

女僧侶「あ、ああ──」

***「欲にかられた眷属共がつまらん儀式を始めていたようだが、どうあがこうとこの力は余のものでしかありえない」

***「さて──このカラダもまだ幼く、弱い。いささか不十分な器ではあるが……この場にいる連中をくびり殺すには充分よ」
 カツッ

魔商人「ふ、復活……してしまったか……」

***「はっ!!」

 ドドォォォッ!!

魔物達「ぎょええええっ!!!」

 魔物達は全滅した!!

***「さあ、人間共よ。死の覚悟ができたものから、かかってくるがいい──」

魔王「余は魔王──全ての魔の頂点に立つものなり!!」

 魔王が、現れた!!

魔法使い「い、一瞬であの魔物達を……」

男戦士「なに、相手が一人だけになった分、やりやすいというもの」チャキッ

女僧侶「まだ復活して間もない……倒すなら今しかないわ」

女武闘家「魔族くん──出来れば君とは一杯飲み交わしてみたかったけど。こうなった以上仕方ないわ」

女武闘家「覚悟っ!!!」バッ

 女武闘家の攻撃!

魔王「ふ、温いわ!!」ブンッ

 ズシャァァァ!!

女武闘家「ぐっ!」

女僧侶「バギマッ!!」

 女僧侶はバギマを唱えた!

魔王「フン!!」

 魔王はバギマを唱えた!

 バシュゥゥッ!!

女僧侶「な──!?」

男戦士「古流剣術ロト真──ぐわぁっ!!」

女武闘家「く──男戦士!」

女僧侶「なんちゅう魔力や! 同じバギマやのにウチの呪文が完全に押し負けとる!」

女武闘家「こんのぉ! てりゃああああ!!!」ドガガガガガッ!!

 女武闘家は爆裂拳を放った!!!

魔王「人間にしては、なかなかいい拳をしているが──」

 魔王の攻撃!

 ズドカァァン!!

女武闘家「がふっ!!」

魔法使い「女武闘家さん!」

魔法使い「こ、こうなったら僕も……」ザッ

老人「やめておけ! 魔法のコントロールもできないお主に何ができる?」

魔法使い「で、でも!!」

男戦士「隼・一文字!!」ブンッ

 男戦士は横薙ぎの剣圧を繰り出した!!

魔王「──かあっ」ブンッ

 魔王はやり返した!!

男戦士「お、おおおっ!?」ズガァッ!!

魔王「所詮人間の技など児戯同然よ!!」

 魔王はメラゾーマを唱えた!

男戦士「ぐわぁぁぁぁぁっ!!」

女僧侶「せ、戦士の兄ちゃん! くっ!」

女武闘家「が──げほっ、げほっ……こ、このぉ」ヨロッ

  女武闘家は持ち上げた岩を放り投げた!!

魔王「ぬっ!」バッ!

女武闘家「女僧侶! お願い!!」

女僧侶「ピオリム!!」

 女僧侶はピオリムを唱えた! 女武闘家の素早さがあがった!

 シュバッ

 女武闘家の攻撃! 会心の一撃!!

魔王「ぐ──」メリッ

魔王「ふ、先ほどの爆裂拳よりはマシだが……まだまだだな!!」バチッ

女武闘家「ぎゃふっ!!」

魔王「くたばれ──小娘!!」

女武闘家「男戦士!!」

男戦士「ロト真剣流──狼牙!!」

 男戦士は鋭い突きを放った!!

 ドスッ

魔王「ぬっ!!」

男戦士「ぐ、ぐぐ──」ギリギリ

魔王「ふはは! この余に手傷を負わせるか──貴様の技を児戯だと罵ったことは訂正してやろう。だが!」

 ズブッ

男戦士「な──!?」ググッ

魔王「こんなナマクラで魔王たる余を傷つけるとは何事かぁ!!」ブンッ

 魔王は男戦士を放り投げた!!

男戦士「うおおおおっ!」

 ドンッ!!

女僧侶「あぐっ!?」

魔法使い「ま、まるで歯がたたない──」

魔商人「ふ、ふはは──これが、これが魔王様の力……すばらしい!!」

魔法使い「ま、魔商人!!」

魔商人「あの力を我が物にできなかったのは残念だったが、あのお方さえいれば、人間界など我ら魔族のもの!! 新時代がはじまる──新たな魔王様の時代だ! はーっはははははは!!!!」

  ドシュッ

魔法使い「ひっ!?」

 ピュー ビュルルッ ビチャビチャ

 ドサッ

魔王「くだらん企みをしおった下等魔族が調子に乗るな……」

魔王「しかし余がこうして復活できたのも貴様のおかげよ。故にこうして余が手ずから殺してやったのだ! 光栄に思いながら死ぬがいい!!」

魔王「さて、そちらの人間の商人も先に殺してやるか」

男商人「ひ、ひいいっ!?」ガタガタ

魔王「貴様が欲にかられたおかげで、こうして余の復活が早まったのだ。栄誉に思うのだな、新たなる神の誕生に携われた功績は冥土の土産にはすぎた栄光よ!!」

 バッ

男商人「ひええええっ!?」

 ドガァァァァッ

女武闘家「が──ふっ」ゲホッ

男商人「な──え?」

魔法使い「お、女武闘家さん!?」
男商人「ど、どうして」

魔王「──フン、始末する順番が変わったか」

女武闘家「ぐはっ! げほっ、あ、あんたは……絶対に死なせない……自分のしでかしてきた事がどれだけの悪事なのか思い知るまでは──そして、それをあんたに解らせるために頑張った……魔法使いのためにも──がふっ」ドサッ

魔法使い「あ、ああっ!?」

男商人「う、う……」

女僧侶「女武闘家ちゃんっ!!」バッ

 女僧侶はベホマを唱えた!!

女僧侶「戦士の兄ちゃん! 魔王を足止めしてっ! この傷はすぐには助けられへん!」

男戦士「ぐ、む、無茶な注文をする女だ……」チャキッ

魔王「たった一人で何ができる? いくら余の体を傷つけようとも──」

 なんと魔王の傷が塞がっていく!

魔王「所詮無駄な努力に終わるというもの」

男戦士「だがこの場は引き受けよう……行くぞッ! 魔王ッ!!」

男戦士「古流剣術ロト真剣流! 猛虎!!」

 男戦士は構えた剣を振り抜いた!!

 ズババババッ

男戦士「隼!!」

 男戦士は強烈な剣圧を繰り出した!!

 シャッ!!

男戦士「土竜!!」

 男戦士は地面に向けて剣を振るった! 地面をえぐる衝撃波が魔王を襲う!

 ドドドドドドッ!!

魔王「はははは! どうした! その程度かぁぁっ!!」


魔法使い「く、そ……僕じゃ、何もできないのか……」ブルブル

老人「オイボレやヒヨッコ魔法使いじゃ弾除けにもなりゃせん……」

女僧侶「く──傷が深い……ぜんぜん回復が進まへん!」

魔法使い「やっぱり僕、行きます!!」

声「やめなさぁい、君じゃどう頑張っても足手まといよぉ」

魔法使い「え?」

老人「お、お主はこの間の」

女遊び人「ちょっと気になることがあったからそこの女僧侶ちゃんに用があって来たんだけどぉ、とんでもないことになってるわねぇ」

魔法使い「お、お願いします! みんなを、皆を助けてください!!」

女遊び人「無理よぉ、現役を退いたアタシには何もできないわ。この間悪魔にとり憑かれた時に、残ってた魔力を無理やり搾り出されちゃったから、実は魔力なんて殆ど残ってないの。言ったでしょぉ、君の指導なんかできないって」

魔法使い「そんな──」

女遊び人「でも、一つだけできるかもしれないことがあるわぁ。かなり危険だけど……」

魔法使い「えっ!?」

女遊び人「君のその膨大な魔力を生かす呪文がたった一つだけあるのぉ、魔力の全てを解き放ち、破壊のエネルギーに変換して放つ最強魔法──マダンテ」

女僧侶「な、なんやて!?」

女僧侶「な、なんやて!?」

魔法使い「マダンテ……僕がマダンテを? そんな、無理ですよ!」

女遊び人「そう。今の君一人じゃマダンテは絶対にできないと思うわぁ。だから、アタシが協力してあげる」

魔法使い「え?」

女遊び人「君は全身の魔力を頑張って収束させて、一気に爆発させればいいのぉ。呪文のコントロールは何とかアタシがしてあげる」

魔法使い「そんなこと、できるんですか?」

女遊び人「普通は無理だと思うけどぉ、でもやらなきゃみんな死んじゃうでしょ」

魔法使い「──」

女遊び人「解ったら準備なさい。君は魔王目掛けて構えてくれればいいわぁ」

魔法使い「は、はい」ザッ

女遊び人「そしてアタシが後ろから」

 女遊び人は魔法使いの手に手を重ねた!

女遊び人「いい? 魔力を頑張って収束して──」

魔法使い「はい──」キィィ

 ムニュン

魔法使い(う、む、胸が……)

女遊び人「──雑念は捨てな。精神のコンセントレーションは魔法使いの基本だヒヨッコ」ボソッ

魔法使い「え、えっ!?」

女遊び人「ホラ、早くしなさぃ」

魔法使い「は、はいっ」キィィ


男戦士「ぐあああああっ」メキメキメキ……

魔王「思ったよりタフな人間だったが、貴様で遊ぶのももう飽きた」ゲシッ

男戦士「がっ」

魔王「そろそろくたばるがいい──はああっ」

 キラッ

魔王「ぬ?」ピタッ

 ズオオオオオオ

老人「お、おおおっ!」

女遊び人「意識を集中して──もっと、もっと──」

魔法使い「──」

女遊び人「行くわよ……」

魔法使い「はいっ」

魔王「馬鹿な……あれは、まさか最強破壊魔法!」

女遊び人「マダン──」

 バチッ

女遊び人(え──!? し、しまっ)

 魔法使いの魔力が暴発した!!

 ドゴォォォォォン!!!

老人「ぐわあっ!」

魔法使い「あ、あああああっ!!」

女遊び人「きゃああああっ!!!」

男戦士「な、何だ……一体」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

女僧侶「し、失敗、や……マダンテが、暴発した──」

女武闘家「    」

女僧侶「女武闘家ちゃん……はよ、はよ起きて……!!」

魔法使い「く、そ、そんな……」

女遊び人「うう……ご、誤算だったわぁ……君の魔力の強さ……予想外すぎた──うう」

魔法使い「ご、ごめん、なさい──また僕、失敗を……」

女遊び人「ううん、君はよくできてたわぁ、私のミスよ……君のその才能、もっと早く目覚めさせることができてたら、違った結果になったはず……」

魔王「ふ──ふはは。結局失敗か! 所詮太古に滅んだ呪文よ! もはや今の人間に扱えるものなどおらん!」

女僧侶「そんな──」

女武闘家「    」

--------

女武闘家『あったかい……解る……女僧侶ちゃんがベホマをかけ続けてくれてる』

女武闘家『起きなきゃ。こうしてられない……早くおきて、闘わないと』

声『なぜ立ち上がる? なぜ闘う?』

女武闘家『え? そんなの決まってるじゃない。友達が傷つきながら悪いやつらと闘ってるんだから。あたしだけ寝てるわけにはいかないわ』

声『勝てぬかも知れぬぞ? 命を失うかもしれんぞ?』

女武闘家『冗談じゃないわ。あたしは死なないし、誰も死なせない。そして絶対にあの魔王を叩きのめす』

声『ほう?』

女武闘家『この旅で得たのは力だけじゃない。苦しい事も楽しいことも、大切なことをいっぱい学んできた。そしてあたしは修行で得たこの力を誰かのために──ううん、自分のために使っていく』

声『自分のために力を使うだと?』

女武闘家『そうよ。だってそれは……きっと誰かのためになる。あたしは自分の中の義を信じて、これからを生きていく。誰かのために何かできることをするっていうのは……あたしがそうしたい、そう生きたいから。だから──』

声『──いい眼だ。それがお主の答えというわけか。全くそこまで自信満々に自分が正義だなどと云う奴はお主が初めてだ』

女武闘家『ほっといて』

声『合格だ、若き我が子よ。はじまりの拳聖の名において。今ここに、新たな拳聖の誕生を宣言する!!』
--------

 カッ!

 ドオオッ!!

女僧侶「わっ!?」

魔王「ぬうっ!?」

女武闘家「……」カァァァ

女僧侶「女武闘家ちゃん、その力は……」

女武闘家「聖なる力──」ギュッ

女武闘家「力が、溢れてくる……これが……これが──!」

 女武闘家は、拳聖の称号を手に入れた!!!

女武闘家「はあああっ!!」ドンッ

魔王「死にぞこないが、どうあがいたところで」

 バキッ

 女武闘家の攻撃!!

魔王「ぐはあっっ!?」

女武闘家「だだだだっ!!」ドガガガガガッ!!

 女武闘家は爆裂拳を放った!!!

魔王「がががっ!!」

魔王「ば、ばかな……先ほどと同じ爆裂拳の筈──い、一体何が」

女武闘家「──今この拳には拳聖の力……聖なる力が宿っている」

魔王「何ぃ……」

女武闘家「覚悟しなさい、魔王──」

女武闘家「ぶっ飛ばしてやる!!!」ギンッ

魔王「図に乗るなぁぁぁ!!」


魔法使い「す、すごい……」

男戦士「一体何が──」ヨロッ

女僧侶「女武闘家ちゃんの腕輪の封印が、解けた──」

老人「拳聖の力が開放されたんじゃ……噂以上の力じゃわい」

男戦士「拳聖!? き、聞いたことがある……その身に聖なる力を称え、武道の神とまで言われた伝説の……ただの武闘家ではないと思っていたが──」

男戦士「──よし、加勢に行くぞ。このままじっとはしておれん!」

女僧侶「待ちや戦士の兄ちゃん……」

 女僧侶はベホマラーを唱えた!

 男戦士のキズが回復した!

 女僧侶のキズが回復した!

 老人のキズが回復した!

 魔法使いのキズが回復した!

 女遊び人のキズが回復した!

女僧侶「よっしゃ、行こか」

男戦士「うむっ」

魔法使い「……」スクッ

老人「ぬ、少年?」

タタッ


魔王「フン、少しはマシになったようだが、その程度ではいくら頑張っても余には勝てんぞ!!」

女武闘家「はああっ」

 女武闘家の攻撃!

魔王「ぐっ!!」

 魔王の攻撃!

女武闘家「あぐっ!!」

 魔王の攻撃!

 魔王の攻撃!

 女武闘家の攻撃!

女武闘家「はぁ……はぁ……」

魔王「はははは!! そらそらぁ!!」

男戦士「隼!」

 男戦士は強烈な剣圧を繰り出した!!

 シャッ!!

魔王「ぬうっ!?」

女僧侶「ベホマ!!」

 女僧侶はベホマを唱えた! 女武闘家のキズが回復した!

女武闘家「あ、あなた達、大丈夫なの?」

女僧侶「そらこっちの台詞や。さっきあんた死にかけとったのに、起き抜けでバタバタ動いたらあかんで」

男戦士「加勢するぞ拳聖。かの武術の神と同じ称号を持つものと肩を並べて闘えるとは、戦士冥利に尽きるというもの」

魔王「フン……死にぞこないが何匹集まってきても同じことよ。いいだろう、あれだけ痛めつけられてまだ立ち向かってくるその見上げた勇気が、ただの無謀にすぎんという事を痛感して死んでいくがいい!!」

女武闘家&女僧侶&男戦士「はぁぁぁぁっ!!」ババッ

--------
魔法使い「女遊び人さん……」

女遊び人「なぁに? アタシまだちょっと立てそうにないんだけどぉ」フラッ

魔法使い「もう一度、もう一度マダンテを手伝ってもらえませんか?」

女遊び人「え、ええっ!? 正気なのぉ?」

魔法使い「解っています……今度また暴発すれば、それこそ女遊び人さんも僕も──」

女遊び人「そうじゃなくてぇ! い、いやそれもあるけど……君さっきのマダンテの暴発で、魔力はもう空っぽじゃないのぉ?」

魔法使い「いえ……まだ大丈夫です」

女遊び人(う、嘘でしょぉ? マダンテって全部の魔力を一気に消費する魔法の筈なのに……)

女遊び人「──全く、ほんとにとんでもない才能……」

魔法使い「お願いします!!」

女遊び人「どうして、そこまでしたいの?」

魔法使い「あそこで、女武闘家さん達が闘ってるのに──ただ待ってるなんてできません。こんな僕でも何かできるかもしれないなら……精一杯やってみたいんです」

女遊び人「良く言った。それでこそ男だ」スクッ

魔法使い「お、女遊び人さん?」

女遊び人「ホラ、ぐだぐだしてねえでとっとと構えやがれヒヨッコ!! 今度こそあの魔王をふっとばすぞ!!」

魔法使い「は、はい!!」

女遊び人「ったくガキも作って気ままな遊び人生活を続けようって思ってたのによぉ……ガチガチに固めてたオレのスイッチを入れやがって」

 ギュッ

 女遊び人は魔法使いの手を力強く握った!!

女遊び人「いいか? 今度こそチャンスは一度。お前のやることはさっきと一緒だが、今度は失敗を恐れるんじゃねえ。全力でぶっ放すつもりで魔力を集中しろ」

魔法使い「はい」

女遊び人「タイミングはオレが指示する。集中力を乱すんじゃねえぞ」

魔法使い「コンセントレーションは魔法使いの基本ですね。同じことを、師匠にも何度も言われました」

女遊び人「はん。弟子はまだまだ三流以下だが、師匠のウデは一流だったみてえだな。よし、はじめるぞ……」

 キィィィン


女武闘家「だあああっ!!」

 女武闘家の攻撃!

魔王「ぬんっ!!」

 魔王の攻撃!

女武闘家「はっ!!」

女僧侶「バギクロス!!」

 女僧侶はバギクロスを唱えた!

男戦士「ロト真剣流、飛竜!!」

 男戦士は高く飛び上がり、剣を叩き付けた!

魔王「ぐううっ!!」

魔王「甘いわぁっ!!」

 魔王はイオナズンを唱えた!

 魔王はもえさかる火炎を吐いた!

男戦士「ぐあああっ!!」

女僧侶「ど、同時攻撃!? きゃああっ!!」

魔王「はははは!! 人間ふせいがぁぁ!!」

女武闘家「はあっ!!」ドガッ

 女武闘家の攻撃! 会心の一撃!

魔王「ぐおおっ!!」

魔王「あ、あの一瞬で、大防御をしていたのか……」

女武闘家「女僧侶ちゃんのおかげで大防御が間に合ったわ」

女僧侶「あ、さ、さっきのピオリムか!」

男戦士「しかしこのままでは勝てん……それに魔王もかなりアタマにきているようだ」

魔王「おのれ……人間ごときが……」ユラッ

女武闘家「来る──!!」

魔王「殺す……殺してやる!!! 死ねえええっ!!!」

男戦士「古流剣術──」

女僧侶「バギ──」

女武闘家「はああ──」



女遊び人「お前ら散れぇーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

女武闘家&女僧侶&男戦士「「「!」」」

魔王「ぬうっ!? あ、あれはまさか!?」

ババッ!

男戦士「離脱するぞ!!」

女僧侶「女武闘家ちゃん!? はよ!」

女武闘家「はああっ!!」

 女武闘家は聖なる力を込め、真っ直ぐ魔王を突いた!!

 ズドォォォッ

魔王「ぐ、ぐは──」グラッ

女武闘家「いけぇぇぇぇぇぇ!!!」

魔法使い&女遊び人「マ ダ ン テ !!」

 魔法使いは、全ての魔力を解き放った!!

 カッ!!

 ドグァァァァァァァ!!!!

男戦士「う、うおおおおおっ!?」

女僧侶「わあああっ!!」

老人「こっ、これはもう呪文とかいうシロモンじゃないぞい!!」

 ゴゴゴゴゴゴゴ──……


魔法使い「はぁ……はぁ……はぁぁ……」

女遊び人「よく、やったわ……確実に、決まった……ふぅぅぅ」

魔法使い「   」ドサッ

 魔法使いは、気を失った!

 ゴゴゴゴゴゴゴ──……

男戦士「爆風が、収まってきたか」

女僧侶「魔王は……女武闘家ちゃんは……」

老人「解らん、しかし魔王はおそらく木っ端微塵じゃろう。あんなもんが直撃したんじゃ。どう考えても生きてられんぞ」

 バッ!!

魔王「がはああっ!!」グアッ

男戦士「な──!?」

女僧侶「う、嘘……」

老人「こ、こやつ……化けモンじゃ……」

女僧侶「女武闘家ちゃん──女武闘家ちゃんはどないしたんや!?」

男戦士「まさか、爆心地の間近にいたせいで……」

魔王「が、う……し、ぬ、死ぬかと思った──」

魔王「この余が、死の予感を……命の危機を感じただと!? ありえん……かつて余を葬ったあの勇者達ならともかく……こんななんでもないただの人間共に……!!!」

魔王「余は──余は闇の世界の神だぁぁぁぁ!!」

規制くらってた
最後まで寝ないお

 シャッ

 ドガアッ!

魔王「が──ぁ?」

女武闘家「これで──終わりよっ!!」

 女武闘家は聖なる力を込め、真っ直ぐ相手を突いた!!

 ズドォォォッ!

魔王「ぶ──」

 ビシッ

魔王「おのれ……おのれおのれ……人間ごときに……余が、二度も──ぉぉ──ぉぉぉぁぁぁあああああああ!!!!」

 魔王の体が、ボロボロと崩れ去って行く!!

 魔王をやっつけた!!


女武闘家「はぁ……や、ったぁ~~~~~」バタッ

女僧侶「女武闘家ちゃん!!」バッ

女武闘家「わっとと!!」

女僧侶「アホ! なんであんな無茶したんや!」

女武闘家「だってあそこで足止めしないと、直撃しなかったじゃん」

男戦士「しかし幾らなんでも危険すぎだ」

老人「全くじゃ。オイボレの前で若モンが死ぬ姿なぞ見せんでくれ」

女武闘家「大丈夫よ、あたしはあの子の事信じてたから」

女遊び人「そうねぇ。この子も頑張ったんだからぁ」ズリズリ

魔法使い「あ、あの、引き摺らないで……」

女僧侶「みんなボロボロやな……ベホマラー!」

 女僧侶はベホマラーを唱えた!

女僧侶「これでよし、っととと」フラッ

女武闘家「大丈夫?」

女僧侶「あ~ウチも魔力がすっからかんになったみたいやぁ」

老人「ま、ゆっくり休んだほうがええ。それにしてもまさか魔王をやっつけてしまうとは。死ぬ前に凄いもんに立ち会ったわい」

男戦士「やはり拳聖の力は偉大だったというわけか」

女武闘家「何言ってんの。皆がいたから勝てたのよ。それに、今回の一番の功労者は──」

魔法使い「え、ええっ!?」

女遊び人「そうねぇ、あのマダンテが成功しなかったら魔王に致命傷を与えられなかったわねぇ」

女僧侶「そうやな。魔法使いクンが今回のMVPってコトで!」

魔法使い「そ、そんな僕なんか!!」アセアセ

男戦士「ところで女武闘家。なぜ俺との戦いではあの力を出さなかった?」

女武闘家「出さなかったんじゃなくて出せなかったの。修行の課題をまだクリアしてなかったからね」

女僧侶「そう言えばなんでいきなり腕輪の封印が解けたん?」

女武闘家「多分魔王の攻撃からあの男商人を助けたのがカウントされたんだと思う」

魔法使い「そうだ! 男商人は!?」バッ

老人「安心せい、そこですっかり伸びておるわい。このままふんじばっておいて中央に連絡すれば良かろう」

女武闘家「さーて! 魔王撃破の祝杯ってことで、今日はいっぱい食べてたっぷり寝ましょ」

--------
 その後……

女僧侶「中央教会からの使者が来たわ。男商人のやってたことは全部明るみに出てきたって。中央の治安部隊もこの街に出向してくれるらしいから、もう大丈夫やで」

魔法使い「そう、ですか……。よかった、きっと師匠もほっとしてると思います」

女武闘家「それにしても、一番の大物が捕まったとはいえ、随分スムーズに解決したのね」

女僧侶「アンタに助けられた時の激が効いたみたいでなぁ。あの男商人すっかり観念して捜査にも協力的らしいわ。まあ懲役100年っちゅう話やから、一生檻の中やろけどな」

魔法使い「とにかく、法の裁きが下ったんですね」

女僧侶「そういうこっちゃ」

女武闘家「さて……それじゃ無事に修行も終わったし、事件も解決したし。一旦村に帰りますか」

女僧侶「う~ん、ウチは今回のことで一回中央教会に出頭せなあかんのやけど、よかったら中央まで一緒せえへん?」

女武闘家「え? あたしと?」

女僧侶「何か女武闘家ちゃんとは結構ええ仲になれそうな気がするんやけど」

女武闘家「あ、あはは、そう言われるとなんか恥ずかしいけど……そっか、考えてみたらあたし同年代の友達っていなかったな」

女僧侶「じゃあ友達一号ってことでヨロシクな」

女武闘家「いや、故郷に幼馴染くらいいるからっ!! 年違うだけでっ!!」

魔法使い「僕もこの町が少し落ち着いたら、旅に出てみようと思います」

女武闘家「えっ?」

魔法使い「女遊び人さんに言われました。僕が魔法使いをやらないのはもったいないって。だから、師匠のような立派な魔法使いになれるよう、修行を積みたいんです」

女武闘家「そっか。どっかで会えるといいわね……いえ、必ず会いましょ」

 スッ

魔法使い「はいっ」

女武闘家「ちょっと待った!」

魔法使い「え?」

女武闘家「”友達”に敬語ってのも、ないんじゃない?」ニコッ

魔法使い「あ──」

魔法使い「うん……いつか、会おう!」

 ギュッ

女僧侶(──ええシーンっぽいけど、これただのお友達宣言と一緒やからな……哀れ魔法使いクン……)

--------
女僧侶「で、もう出て行くんか。ちょっと気ぃ早ない?」

女武闘家「善は急げって言うでしょ。っていっても別に急ぐ旅でもないけど、まあこれからあの町もバタバタするだろうし、余所者がずっと居座っても迷惑でしょ」

女僧侶「事情はどうあれ、事実上のトップを失ったわけやからなぁ。これからが大変やで──ん?」

女武闘家「──やっぱり、来ると思ってた」

 ザッ

男戦士「──やり残したことがあるからな」ザッ

女僧侶「あ、あんたら──」

女武闘家「ケリをつけておかないとね」ザッ

男戦士「ふっ、かの拳聖を前にして臆したとあれば、一生後悔するだろう」ジャリッ

女僧侶「全く体育会系やなぁ……はは」

男戦士「行くぞ!!」

女戦士「行くわよ!!」

女武闘家 「「はあああああっ!!」」男戦士

 パキン

 男戦士の股間のガードが外れた!!

 ビキーン

女武闘家「──へ?」

女僧侶「ひっ!?」

男戦士「見るがいい拳聖! この変態戦士の最後の雄姿をっっっ!!」ムキムキィッ


男戦士「さあ……ショー☆タイムのはじまりだーーーっ!!!」バッ


  ぎゃあああああああっ!!!



 おしまい


老人はどーなったんだ

>>75
女遊び人と老人は地元民なので多分そのまま生活してる
男戦士は変態行為で逮捕ってことで

書き溜めでSSやってみたのはじめてだけど楽しかったわ
付き合ってくれた人ありがとう
みんなの冒険に幸あれ!
おやすみ

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