照「四季日和」咲「夏だね、お姉ちゃん」(177)

照「……おはよう」

咲「おはよう、お姉ちゃん」

照「また雨…」

咲「梅雨とはいえこうも雨続きだと陰欝な気分になるよね」

照「なんだが、梅雨は苦手」

咲「得意なひとはいないと思うけど、わたしも苦手かな」

照「このジトジトした暑さが……今なら蒸されてる肉まんの気持ちが分かる」

咲「あはは…」

照「…肉まんといえば」

咲「…?」

照「撮り溜めてた“ちはやふる”まだ見てない」

咲「ああ、そういえばわたしも…」

照「ちはやふるを見ながらの肉まんは美味しい」

咲「ちはやふるあんま関係ないと思うけど…」

照「…? 咲は肉まんにしなかったの?」

咲「私はカレーまんにしたよ」

照「咲、一口ちょうだい」

咲「別に良いけど、お姉ちゃんのも一口ちょうだいね」

照「…ん。はい、あーん」

咲「あーん♪」パクッ

照「咲、カレーまんも美味しい」

咲「肉まんも美味しいね、お姉ちゃん」

照「……」

咲「どうしたの、お姉ちゃん」

照「カレーまんを食べたら余計に暑くなった…」

咲「ああ、結構カレーの部分を食べてたからね」

照「……蒸される」

咲「そうだねー…」


照「……このままだと照まんになる」

咲「その言い方は何だか卑猥だよ、お姉ちゃん」

照「?」

照「咲、そろそろ扇風機を出そう」

咲「小判製造機の招き猫?」

照「そっちじゃない方の普通の扇風機。羽が回って風を発生させるタイプの…」

咲「そこまで説明しなくても分かるよ、お姉ちゃん」

照「……あ゙ーぁ゙ーー」

咲「お姉ちゃん、扇風機の前を陣取らないでよ」

照「…………わ゙ーれ゙ーわ゙ーれ゙ーばーゔちゅ゙ーゔーじーん゙ーだ」

咲「ああ、扇風機を見るとついついやりたくなるよね。でも、やっぱり扇風機の前を陣取るのはやめて」

咲「…扇風機が没収されたね」

照「…横暴。もう6月下旬なのに扇風機がまだ早いなんて、おかしい」

咲「…お母さんは暑くないのかな」

照「……もしかすると独り占めしているのかもしれない」

咲「それは流石に………ありえるね」

照「ふぅ……仕方ない。あの、すいません…」

咲「いきなりどうしたの」

照「脱いでも良いですか?」

咲「えっ」

照「服」

咲「ダメだよ、お姉ちゃん。それとあれは負けそうだったから慌てててつい言葉の並びを間違えただけだからね。私にとっては黒歴史なんだよ!」

咲「それに私が脱いでも良いのか聞いたのは服じゃないよ。靴下だよ」

照「…知ってる」

咲「………とにかく服は脱いじゃダメだよ」

照「冗談……」

照「……あつい」

咲「団扇あるよ?」

照「余計に暑くなる…」

咲「それなら扇子なら…」

照「団扇と変わらないよ、咲。だけど扇子の方が見栄えがいい。そっちを貸して」

咲「ああ、ごめんね、お姉ちゃん。やっぱりセンスはなかった」

照「……」

咲「せめて何か言ってよ!!」

咲「そろそろ梅雨は終わるね、お姉ちゃん」

照「…ん」

咲「あれ? そういえば今日は新人王のインタビュー日じゃなかった?」

照「……」

咲「さっさと行った方が良いよ、お姉ちゃん」

照『遅れてごめんなさい♪ 妹が体調不良で……』ニコニコ

記者『妹さん? 妹さんといえば清澄高校の宮永咲さんですよね。大丈夫なんですか?』

照『はい! 安静にしてればよくなるそうです!』ニコニコ

記者『それで本題ですが、全日本新人プロ麻雀大会の新人王の冠を得た感想は?』

照『とても嬉しいです♪』ニコッ


咲「ねぇ、お姉ちゃん。遅刻の言い訳に私の名前を出すのはどういう了見なのかな?」

照「…ごめんなさい」

咲「いい? お姉ちゃんは自覚ないかもしれないけど今のお姉ちゃんは一時期の松坂投手並の人気と知名度なんだよ? また学校で質問責めにあうことになるよ…」

照「……本当に悪いと思ってる。とりあえず手土産にアイス買ってきた」

咲「…………特別に許します」

照「………ふふ」

時は経ち、七月下旬の宮永家。

咲「今日から夏休みだよ、お姉ちゃん」

照「私も自由に有給休暇を取れるからいっぱい遊べるよ、咲」

咲「手始めにプールに行こうよ」

照「却下」

咲「なんで?」

照「なんだが惨めな気分になるから」

咲「大丈夫だよ、お姉ちゃん。大差ない。私たち大差ないからあんまり目立たないよ」

照「……妹と大差ない…それはそれで何だか複雑…」

結局、プールに来ました。

照「……ひとがゴミのようだ」

咲「………いっぱいいるね」

照「もうやだ。今すぐ帰る」

咲「ダメだよ、お姉ちゃん。折角来たんだから泳いでいこうよ」

照「ねぇ、咲。知ってる?」

咲「なにを?」

照「人間はね。水に浮くように出来てないんだよ」

咲「泳げないんだね、お姉ちゃん」

咲「向こうに子供用のプールがあるけど……あれ? お姉ちゃ…いない」

ミヤナガテルサンデスヨネ、サインクダサイ!
エッ、ミヤナガテル!?
ホンモノカ
ホンモノダ!

照「助けて、咲」

咲「あっ…」

咲「衣ちゃんがいてくれて助かったよ。ありがと」なでなで

衣「なーでーるーなー」

照「…ありがと」なでなで

衣「うむ。十分に感謝するが…だーかーらー撫ーでーるーなー!」

結局、泳ぐことはないままプールでビーチバレーをしました。

照「……ただいま」

咲「ただいまー!」

照「はぁ……疲れた。もう無理。当分はコークスクリューを起こせる気がしない」

咲「…だね」

照「咲、アイス」

咲「私はアイスじゃないよ」

照「咲、アイス持ってきて」

咲「えーっ……」

照「お願い。もう一歩も動けない。何でもするからアイス持ってきて」

咲「ん、今なんでもするって言ったよね?」

照「え?」

咲「わかった。アイス持ってくるよ、お姉ちゃん」

咲「はい、ソフトクリームで良かったよね?」

照「うん、ありがと。咲」

咲「それで何をしてもらおうかなー♪」

照「私に出来る範囲で…」

咲「それは分かってるよ、お姉ちゃん」

咲「そうだ。昔みたいに一緒にお風呂に入ろうよ」

照「それは……」

咲「出来る範囲のことだよね?」

照「だけど恥ずかし……」

咲「さっき出来る範囲のことなら何でもするって言ったよね」

照「……分かった」

咲「やった♪ じゃあ昔みたいに洗いっこしようね、お姉ちゃん♪」

照「え?」

咲「言ったはずだよね? 昔みたいに一緒にお風呂入ろうって」ニコッ

照「………」

入浴中。

咲「……お姉ちゃん。こうしてると何だか昔を思い出すよね」

照「…そうだね」

咲「去年の今頃まではまたこういう風にお姉ちゃんと一緒に居られるなんて夢にも思わなかったよ…」

照「……咲」

照「私も…かな。去年の今頃は…咲の事を考えるだけでも虫ずが走るくらいに嫌悪していたんだけどね」

咲「…お姉ちゃん」

照「なに?」

咲「そこまで嫌ってたんだ…」

照「それは、ね。しかも好きじゃなかった麻雀を再び始めてまで私の最後の大会を邪魔しにきたと疎んじ、さらに咲に対する嫌悪感が増したよ」

咲「………」

照「でも、今はそんなことないよ。咲のことは好きだから…」ギュッ

咲「…お姉ちゃん」

照「……そろそろ出よう。これ以上はのぼせる…////」

咲「うん、そうだね♪」

咲(照れてるのを隠そうと言い訳するお姉ちゃん可愛い…)

照「……なに?」

咲「ううん、なんでもないよ」ニコッ

照「咲、ここに座って…」

咲「うん? 分かった…」

照「髪の毛を乾かしてあげる」

咲「えへへ、ありがとう、お姉ちゃん♪」

照「どこか痒いとこらはない?」

咲「うん、特にないかな」

照「力加減は?」

咲「調度良いよ♪」

照「そういえば、咲。そろそろインターハイだけど合宿はしたりしないの?」

咲「今度の日曜日、合宿かな。去年残した結果や部員が増えたことで部費が大幅にアップしたから学校側も本格的に麻雀部に力を注ぎ始めたみたい。部長が喜んでた」

照「……へぇ」

咲「お姉ちゃんはどっちの学校を応援してくれるの?」

照「白糸台」

咲「少しくらいは考えて欲しかったよ、お姉ちゃん」

照「私は咲の姉である前に淡たちの先輩でもある。母校を応援したい」

咲「ふふ、でも今年こそは絶対に清澄高校が優勝するからね」

照「いや、白糸台の四連覇に期待しているよ」

照「そういえば今年が最後だから衣も個人戦に参加するらしいね♪」

咲「衣ちゃんが?」

照「昼間に言ってた。麻雀は運の要素が強い競技だけど長野の個人戦上位三人の内に咲と衣が入ると思う」

咲「まだ分からないよ? 去年だって私はギリギリ個人戦に勝ち残れたんだし…」

照「それは途中までプラマイ0にしてたからでしょ?」

咲「……」

咲(お姉ちゃんは私の牌譜をきちんと見てくれてたんだね)

照「…咲。今年の個人戦は最初から真面目にやって」

咲「うん、分かってるよ。衣ちゃんにも負けないよ」

照「……頑張って」

咲「ねぇねぇ、お姉ちゃん」

照「なに?」

咲「もういっこだけお願い良いかな?」

照「…内容による」

咲「今日はお姉ちゃんと一緒に寝たい…」

照「別に良いけど、今日はどうしたの?」

咲「……?」

照「いつも以上に甘えっ子だね」

咲「そろそろインターハイが近いでしょ。それで去年のことを思い出しちゃって……そのっ…」

照「……分かった。今日は一緒に寝よう、咲」

咲「! ありがと、お姉ちゃん」ニコッ

照(暑いだろうけどこの笑顔が見られるなら……それくらいは我慢)

衣は留年でもしたのか?

就寝前。

照「咲、そろそろ寝るよ。おいで」ポンポン

咲「うん!」

照「……」

照(やっぱり暑い…)

>>52
原作の衣は二年生だよ

>>54
マジだった・・・
俺、どこで間違えたんだろう・・・

>>55
衣「衣がいちばんお姉さんなんだぞ!」の部分じゃね?

照「……ねぇ、咲」

咲「…なに?」

照「……寂しい思いさせてごめんね」ダキッ

咲「ううん………お姉ちゃん」ギュッ

照「咲……おやすみ」

咲「うん、おやすみ」

夏編おわり

夏祭り編。

咲「ねぇねぇ、お姉ちゃん。浴衣着て近所のお祭りに行こうよ!」

照「嫌だ。暑い。動きたくない」

咲「お姉ちゃん!」

照「咲がひとりで行けば良いと思う」

結局、咲に半ば強制的に浴衣を着せられ、強引に照は外に連れ出された。

咲「もうしっかり自分の足で…歩いてよ」

照「…ん…はぁー…分かった…」

照(折角の休日。咲と家でのんびりしてたかったけど……仕方ない)

咲「やっと乗り気になってくれたんだね♪」

咲「屋台がいっぱいだね、お姉ちゃん」

照「うん。まずは何を食べる?」

咲「あれがいい」

照「チョコバナナ…?」

照「……一本買えばもう一本当たるチャンス?」

照(成る程。当たりクジを引けばもう一本もらえるのか…)ガサゴソ

咲「あっ、当たりクジだ! やったよ、お姉ちゃん♪」

照「……こっちも当たり」

咲「次は何を食べる?」

照「…咲は何が食べたい?」

咲「わたあめかな」

照「分かった」

照「…買ってきた」

咲「随分と大きいね…」

照「何でもあの店では浴衣を着たひとには増量のサービスがあるらしい」

咲「着物で来て良かったね、お姉ちゃん♪」

照「…ん」

照「次は…そろそろ腹持ちの良いものを食べたい」

咲「それもそうだね。焼きそばとかはどうかな?」

照「良いよ。ちょっと買ってくるから待ってて…」

咲「え、一緒に行こうか?」

照「ひとりで大丈夫」

照「…一応、買ってきた」

咲「遅かったね、お姉ちゃん」

照「だけど、これは私が買ってきたものといえるのか…」

咲「どうしたの?」

照「途中、藤田プロに会って奢ってもらったんだけど、これは私が買ったものじゃないから“買ってきた”は間違いかもしれない。訂正する。藤田プロに奢ってもらってきた」

咲「…お姉ちゃん。細かいよ」

咲「金魚すくいがあるね。あれをやろうよ、お姉ちゃん」

照「金魚すくい…。金魚を救うとかいて金魚救いじゃきん!」キリッ

咲「……お姉ちゃん。恥ずかしいからやめて」

照「参る…」ギュイイイン

照(コークスクリュー掬い上げ!)シュッ

咲「大量に掬えたのに全部返して良かったの?」

照「…生き物の世話は大変。私に救われるよりはきちんと世話をしてくれるひとに救われたほうが金魚も幸せ…」

咲「お姉ちゃん…」

咲(要するに金魚の世話をするのが面倒なだけなんだね…)

咲「くじ引きがあるね。やってみようよ、お姉ちゃん」

照「……そうだね。お祭りの屋台のくじ引きとかやったことがない…」

咲「すいません。クジを引かせてください。おいくらですか?」



咲「お姉ちゃん、一回二百円だって。やってみようよ」





照「一等の新型PS3(カセット付き)が当たった…」

照「咲はどうだった?」

咲「私は三等の人類は衰退しましたのDVDだったよ」

照「今まで敬遠してたけど、クジ引きとか結構よく当たるもんなんだ…」

咲「わたしもあまりやんないから分からないけど、今回はたまたま偶然かもしれないよ?」

照「…やっぱりそうだよね」

ヒュウウウ…ドォオオオオン

咲「あっ、花火だ」

照「…ホントだ。最近は近隣住民からの苦情でやらなくなってる祭も増えてるけど、ここの祭の打ち上げ花火はまだ無事なんだ」

咲「………」

照「……どうしたの?」

咲「…なんでもないよ」

咲「綺麗だね、お姉ちゃん」

照「うん……綺麗。だけど終わった後に首が痛むのが難点。やっぱり見上げてばかりだと疲れるよね」

咲「もうお姉ちゃん。さっきから花火の幻想的な雰囲気が台なしだよ!」

照「あっ、ごめん」

打ち上げ花火が終わりました。

咲「首が…いたい」

照「……大丈夫?」

咲「なんで、お姉ちゃんはそんなに平然としてられるの?」

照「ふふ…私は花火より咲の方を見てたから…」

咲「なっ!////」

照「…なんてね。半分冗談…」

咲「は、半分はホントってこと?」

照「さてね。それは咲の想像に任せる」

咲「も、もう、お姉ちゃんなんて知らない!////」プイッ

照「ふふふ。それじゃあ家に帰ろうか、咲」

咲「…うん!」


夏編(夏祭り編)おわり

ふぅ……疲れました

夏編(海)

咲「ねぇねぇ、お姉ちゃん! 海に行こうよ」

照「咲、それは所謂公開処刑というやつ…?」

咲「違うよ。和ちゃんたちに誘われたんだけど、一緒に行こうよ!」

照「咲、それは確実に公開処刑というやつだね」

咲「ねっ、お姉ちゃん。きっと楽しいよ?」

照「水着がない」

咲「この間の水着があるじゃん」

照「あれはプール用。塩分が付着すると溶ける仕様の水着だから海には入れない」

咲「そんなわけないよね、お姉ちゃん」

結局、咲の誘いを断り切れず、承諾してしまいました。

当日。

和「えっと、お久しぶりですね、咲さんのお姉さん。原村和です。覚えていますか?」

照「……去年の個人戦で戦った原村さん」

照(…主にその胸の無駄な脂肪が印象深かった)

照「結構、苦戦したのは覚えてる」

和「いえ、あの時は完敗でした。流石は咲さんのお姉さ…」

照「…照で良い。咲さんのお姉さんだと呼びづらいでしょ?」

和「はい。それではこれからは照さんとお呼びしますね」ニコッ

咲「優希ちゃん? そんなとこに座り込んでどうしたの?」

優希「去年の全国大会団体戦決勝のトラウマが沸々とよみがえってくるじぇ…」

咲「ああ、そういえば団体戦でのお姉ちゃんの相手は優希ちゃんだったね」

優希「くっ、こうなったら…」タッ

照「?」

優希「次は負けないじぇ!」ビシッ

照「え?」

和「…優希。インターハイでは照さんともう戦いませんよ?」

照「ああ、あの時のタコスの子。東場での勢いを止めるのは苦労した」

優希「…えっ」

和(去年の牌譜。照さんには苦労したような様子はなかったんですけど、それは言わないでおきましょうか)

咲「そういえば、お姉ちゃんは誰か連れてきた?」

照「三尋木プロと小鍛治プロ」

咏「久しぶりだねぃ」フリフリ

健夜「今日はよろしくね」

照「一応、大人を同伴させようと思って来てもらった」

照「電車移動なんだね」

咲「うん、電車の車窓から見える海の景色が綺麗らしいからね。それに…」

和「…すいません。父に頼んではみたんですけど今日はどうしても外せない用事があるらしいので…」

照「ううん、別に責めてるわけではない。電車移動も乙なものだと思って…」

健夜「ちょ、ちょっと三尋木プロ!? そんな子供みたいな…」

咏「ほほぉ、絶景かな、絶景かな」

優希「おっ、海が見えてきたじぇ!」

照「…どれ?」

咲「お、お姉ちゃん! せめて靴は脱いで景色を眺めてね!」

照「そういえば清澄の現在の部長さんの姿が見えないけど、今日は来てないの?」

咲「うん、誘ったんだけどどうやら店の方が忙しいらしくて」

照「店? アルバイトでもしてるの?」

和「いえ、祖父の喫茶店のお手伝いだそうです」

照「それは、立派だね。私も見習わないと…」ニコッ

咲「それはそうとお姉ちゃんの事だからてっきりチーム虎姫の皆を連れて来るのかと思ったよ」

照「……全国大会出場を決めた高校同士が一緒に何処かに行けば、どうなると思う?」

咲「?」

和「ああ、なるほど。確かにそうですね。下手すれば出場停止処分を食らう可能性もありますか…」

咲「えっ」

照「…そういうこと。本当は虎姫の皆を連れて来たかったんだけど運営側の勘違いを防ぐ為には出来る限りの接触は避けるべき」

咲「……ああ! そういうことか!」

海に到着。

優希「ひゃっほう! 海だじぇー!」

照「ひとがいっぱい。こんなに大勢の観衆の前で肌を晒すなんて……ただの痴女だと思う。だから私は服を着たまま荷物番を任された…」

咲「ダメだよ。折角、この日の為に水着を新調したんだから一緒に海に入ろうよ!」

和「そうですよ、照さん! 折角、来たんです。一緒に遊びませんか」

照「……ん。分かった」

咏「私は水着を持ってないから荷物番は任されたよ~」フリフリ

咲「水着を持ってないのに何で来たんですか…」

咏「そりゃあれしかないっしょ! 女体観察?」

咲「………」

和「とりあえず着替える為、更衣室に行きますか」

優希「…ふふん。その必要はないじぇ」

照「えっ?」

優希「刮目せよ、我が変貌を!」バーン

和「ああ、成程。衣類の下に既に着込んでいたと。そういうことですか」

優希「そうだじぇ! 我が一挙一動に無駄はないのだ!」

咲「それで優希ちゃん。きちんと帰りの下着は持ってきてるんだよね?」

優希「………」


※優希のはフリルの付いたワンピースタイプの水着だと脳内変換してください

更衣室。

照「…………」

照「………はぁー」

照「…………」ペターン

照(パッド入りの水着とはいえ……あまりサイズは変わらない。これは詐欺だ)

咲「お姉ちゃん、着替え終わっ……なんで上着を羽織ってるのかな?」

照「ちょっと冷えるから…」

咲「今日の気温は三十度以上なんだけど………」

照「…………」

咲「とりあえず大丈夫上着を脱いでみようか」

照「…嫌だ」

※咲は花柄のワンピースタイプの水着。照は無地の黒いワンピースタイプの水着に上着を羽織っています。

健夜「はぁー…」

健夜(宮永姉妹に胸の大きさは勝ってると思うけど……はぁー)

和「小鍛治プロ。溜息なんて吐いてどうかしました?」

健夜「!?」


※和は普通の白いビキニ。すこやんはフリルの付いたビキニ。

和「遅れてすいません。ちょっと手間取ってしまって…」

照「………咲」

咲「なにかな、お姉ちゃん」

照「あれで咲と同い年なんだよね……」ズーン

咲「……大丈夫。まだ希望を捨てたらダメだよ、お姉ちゃん。諦めたらそこで試合終了だよ!」

健夜「……わたしは既に試合終了してるみたい」ズーン

咲「ついに小鍛治プロが自虐に走った!?」

健夜「だって、もうすぐ、アラフォーだし……今だに結婚相手が見付からないし…」

和「なんですか、折角海に来たんですからもっと元気いっぱいで楽しみましょうか。そんな暗鬱な気分なんて捨て去……」

優希「のどちゃんの言う通りだじぇ! そんなことでいちいち気にしてたら人生損するだけだじぇ!」キリッ

その頃、荷物番の咏ちゃんは……

咏「………」

咏「………」

咏「……あつい」

咏(もっと風通しの良い着物を着てくるんだった…)

咲「お姉ちゃん、日焼け止めを塗ってよ」

照「……分かった」

和「それじゃあ私は優希。日焼け止めをお願いします」

優希「ラジャー!」

健夜「私は…三尋木プロ。お願いしま…」

咏「えーっ、どうしようかなー♪」

健夜「!?」

健夜「ちょっ、三尋木プロ…」

咏「冗談。冗談だからそんな顔すんなってー」フリフリ

健夜「ほっ、良かった…」

咏「アラフォーなんだからシミになったら大変だもんなー」

健夜「アラサーだよ!!」

咲「ちょ…お姉ちゃ…そこ…くすぐったいよ…」

照「ああ、ごめん」ヌリヌリ

咲「ひゃっ…だから…脇腹は…」

照「…塗り終わった。咲、次はお願い」

咲「う、うん。分かったよ」

照「…っ……」

咲「お姉ちゃん。平気?」ヌリヌリ

照「…大丈夫。…っ…だから続けて…」

咲「…お姉ちゃん。うん、分かったよ。出来る限り優しくするよ…」ヌリヌリ

ちょっとご飯を食べてくる。保守オナシャス

ふぅ

日焼け止めの塗り合いをした後。

照「ねぇ、咲」

咲「なに?」

照「人間は水に浮くようには…」

咲「ああ、そういえばお姉ちゃんは泳げなかったよね」

照「違う。別に泳げないわけではない」

優希「ほほーう。成る程。照ちゃんは泳げないんだなー」

照「泳げないわけではないと何度も…」

優希「仕方ない。照ちゃんに我が片岡家に代々伝わる遊泳術。タコス泳法を伝授してやるじぇ」

照「それは遠慮する」

照「咲、お前は皆と遊んできていいよ」

咲「で、でも」

照「私は砂浜に宮城の建設を営むから…」

咲「宮城?」

照「宮永照の城。その略称…」

咲「………」

咲「うん、分かったよ。その城の建設が終わったら見せてね」

照「…分かった。それと単なる城ではない。宮城だ」

咲「………宮城が完成したら見せてね」

照「うん」

照「…おいしょ…よいしょ…」

咏「テルテルー、さっきからなにしてるのかな?」

照(テルテル?)

照「…見れば分かるはず。宮城の建設」

咏「ふむふむ。成程、宮永照の城を建設してるんだねぃ! オッケー! 不躾ながらこのわたしも手伝…」

照「…荷物番は?」

咏「すこやんに任せてきたよ~」フリフリ

男の子A「お姉ちゃん達なにしてるのー?」
照「宮城の建設」

男の子B「宮永照の城を作ってるの? すごーい! 僕たちも混ぜてー!」

照「うん、良いよ」

男の子達「やったー♪」

咏「うんしょ、おいしょ、よいしょ」

女の子A「皆して何を作ってるの?」

照「宮城」

女の子B「マジで!? 宮永照の城の建設とかマジやばくね? とりま私たちも手伝いたいんだけど」

照「良いよ」


男の子達「おいしょ、よいしょ」

咏「ふぅ…中々の重労働だねぃ」

数時間後。

照「完成…」

衣「わーい! ついに念願の宮永照の城が完成したな!」

小蒔「長かったですね…」

咏「ふぃー…疲れたぁ…」

男の子達「中々、立派な宮城だ」

女の子達「とりま私たちの宮城じゃね?」



咲「……なにあれ」

和「さ、さぁ。なんでしょうね」

照「ああ、咲。これが私の建設した宮城だ。どうだ?」ドヤァ

咲「…凄いね」

照「さてと、後は壊すだけだな」

咲「えっ、壊すの!? 折角作ったのに?」

照「…何を言ってるの? 壊す為に作ったに決まってるよ」

※宮城スタッフが楽しく壊させていただきました。

咲「それで衣ちゃんと神代さんがどうしてここに…?」

衣「偶然、此処を通り掛かったのだが何やら面白そうなことをしていたのでな。参加してみたまでだ」

小蒔「私も似たようなものです」

咲「そうなんだ。今からスイカ割りをしようと思ってたんだけど良かったら一緒にやらないかな?」

衣「スイカ割りか中々に面白そうだ。衣は参加するぞ」

小蒔「私も誠意を持って割らせていただきます!」

照「………」

照(まずは目隠しをする)ギュッ

照(そして、その後に十回まわる)

照「……っ…」フラフラ

照(その後に周囲のひとの言葉の虚偽を見抜き、スイカを割る。ふふふ。楽勝だな。私には照魔鏡がある。それを使えば…誰が正しいのかは容易に分かること)キラーン

『右。左。そのまま直進。そこで振り下ろして!』

照「ふっ…」シュッ

照(あれ? 手応えがない)

健夜「あ、危なっ…||||」サァアア

照「え?」

咏「テルちゃーん。ズルはダメだよ、ズルは…」

照「……何の事?」

咏「鏡を使ったっしょ?」

照「使ってない」

健夜「ね、ねぇねぇ、まずは私に何か一言でも謝罪がないのはおかしいよね!? それと三尋木プロ! なんで私に向かって振り下ろすように照魔鏡を妨害してるのかな!」

衣「次は衣の番だぞ!」

衣(ふふふ。衣には感覚をフル活動すればスイカ程度イチコロだ!)

衣(感覚を研ぎ澄ます。そして…)

衣「そこだ…えいっ」スカッ

衣(あれ?)

衣「えいえい!!」スカスカ

『衣ちゃーん。もっと前だよ!』

和「次は私の番ですね」

咲「頑張って、和ちゃん!」

照「原村さん、私と衣の敵を…」

和「はい! 任せてください」








和「すいません。まったく掠りもしませんでした…」

優希「次は…私の番だじぇ!」

優希「とりゃ! おりゃ!」

優希(スイカの“殺し”を感じるんだじぇ!)

優希「そこだー!」スカッ



和「まったく違う方向に進んでいますね」

小蒔「次は私ですね。誠意を込めて当たらせて頂きます」









小蒔「あっ、割れました」


咲「はやっ!」

衣(これが永水女子の神代小蒔。その本領か…)

照「私だって邪魔さえ入らなければ割れたのに……」

和「スイカ美味しいですね…」

優希「食塩をかければなお美味しいじぇ」

衣「スイカに食塩? ふん、邪道だな。スイカはそのままのみずみずしい状態が一番、美味なのだ」

優希「やれやれ何も分かっていないお子様はこれだからダメなんだじぇ…」

衣「なにを! 衣よりも年下のくせに!」

ギャーギャーガヤガヤ

照「…もう日没前なのに元気なやつら。騒がしい…」

咲「あははは、そうだね。だけどたまには騒がしいのも悪くはないでしょ?」

照「……そうだな」

照(……スイカ美味しい)

咲「お姉ちゃん…」

照「?」

咲「スイカ美味しいね」ニコッ

照「……ああ」

咏「てーるーちゃん♪ どう、一緒に飲もうぜぃ♪」

咲「うわっ、三尋木プロ!?」

照「私はまだ未成年だから飲めない。それにお酒くさいから向こうに行って」

咏「なにをー! わたしの酒が飲めないのかー?」

照「うん、未成年だから飲めない」

健夜「照ちゃーん。もう照ちゃんで良いよ。どうかな? 今晩、わたしと良いことしない♪」ダキッ

照「…暑苦しい。離れて…」

咲「………ふ、二人とも、お姉ちゃん困ってるから…」

咏「いーやーだー! 照ちゃーん♪ 一緒に飲もうぜぃ」ダキッ

照「お断りします」

健夜「えへへ… 照ちゃーん♪ 一緒に気持ちいいことしようよ♪」ダキッ

照「福与アナとよろしくすればいいんじゃない?」


咲「ねぇねぇ、二人とも。酔っ払いすぎだよ! はやくお姉ちゃんから離れてよ!」グイグイ

咏「うわっと」グラッ

健夜「ふぇっ」グラッ


咲「お姉ちゃんにくっつきすぎ! それにいつの間にそんなに飲んでるの!? 飲み過ぎだよ!」

ギャーギャーガヤガヤ!!


照(でも―――やっぱり騒がしい…)


夏編(海)おわり

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