カツオ「僕達の名前って全員海に関係ある名前だよね!」
サザエ「え?」
波平「なにを言っとるんだ、カツオ」
カツオ「だってほら、僕は鰹だし、ワカメは若布、姉さんは栄螺じゃないか」
波平「!!!?」
サザエ「!!!」
フネ「!!??」
カツオ「父さんは波でしょ?母さんは船!ほら、みんな海に関係しているよ!」
サザエ「と、父さん・・・」
波平「カツオ、気付いてしまったんだな・・・」
カツオ「え・・・?」
カツオ「ど、どうしたの、顔が怖いよ・・・」
サザエ「父さん」
波平「わかっておる」
フネ「カツオ・・・」
波平「母さん、辛いかもしれんが・・・」
フネ「覚悟は・・・できていますから・・・」
カツオ「な、なにさ!僕が何かまずいこと言ったの!?」
波平「カツオ」
カツオ「!?」
波平「お前は儂の誇りだ」
カツオ「!?」
波平「思えばお前には叱咤とゲンコツばかり喰らわせていたな・・・」
カツオ「と、父さん?」
波平「長いようで短い間だった。カツオ、儂は幸せだったぞ」
カツオ「いきなりなんなの?みんな変だよ!」
カツオの意識が薄れていく
波平「カツオ、ありがとうな。許してくれ・・・」
フネ「サザエ・・・すまないね」
サザエ「いいわよ。お腹を痛めて産んだ息子なんだもの。母さんには辛すぎるわ」
カツオ(い、意識が、体が、動かな、い・・・)
カツオの腕から注射器を抜くサザエ
ワカメ「お兄ちゃん起きて、朝だよ」
カツオ「!?」
ワカメ「ほら、もー、遅刻するわよ」
カツオ「あ、あれ、ワカメ・・・」
ワカメ「え?」
カツオ「い、いや、なんでもない・・・」
ワカメ「変なお兄ちゃん」
カツオ(夢だったの、かな・・・)
サザエ「カツオ!いい加減起きたの?また遅刻するわよ」
カツオ「ね、姉さん!?」
サザエ「なによー?人の顔みて驚いちゃって」
カツオ「え、あ、いや、その」
サザエ「あんたまた悪さしたの?」
カツオ「違うよ!ただ」
サザエ「ただ?」
カツオ「昨日、僕、どうしたのかなって。寝る前の記憶がなくて・・・」
サザエ「昨日?昨日何かあったかしら?」
カツオ「え」
サザエ「別にいつもと同じだったじゃない」
カツオ「そ、そう?な、ならいいんだよ」
サザエ「何言ってるのよ、早く着替えて朝ごはん食べなさい!片付かないでしょ!」
カツオ(あれは夢だったんだ・・・きっとそうだ・・・)
朝食を食べて学校に向かうカツオ
中島「おはよー、磯野ー」
カツオ「よーぉ、中島ー」
中島「あれ、磯野、その腕どうしたんだ?」
カツオ「え?」
中島「ほら、二の腕のあたり」
カツオ「!?」
カツオの二の腕には注射の痕のようなものがついていた。
カツオ「え・・・」
中島「どうしたんだよ?顔色悪いぞ?」
カツオ「あ、いや、だ、大丈夫だよ」
カツオ「あ!!」
中島「!?」
カツオ「な、なあ、中島」
中島「ん?」
カツオ「僕達が通う小学校の名前って」
中島「え?」
カツオ(ガクガクブルブル)
中島「なんだよ?かもめ第三小学校だろ?ここに書いてあるじゃないか」
校門横を指差す中島
カツオ(鴎島・・・海に・・・関連してる・・・)
担任「出席をとるぞー」
カツオ(かもめ小学校・・・偶然かな・・・かもめ、かもめ・・・)
担任「磯野ー、磯野!」
カツオ(海に関連した名前がなんでこんなに多いんだ・・・)
花沢「磯野くん!」
カツオ「え?」
花沢「磯野くん!先生が出欠とってるわよ!」
カツオ「え、あ、はい!」
担任「なんだ磯野、朝からだらし無い。しゃきっとしないか!」
カツオ「はい、すいません・・・」
花沢「磯野くん!どうしたのよ?元気ないじゃない」
カツオ「い、いや、なんでもないよ、花沢さんには関係ないし」
花沢「なーに言ってんのよ!運命の赤い糸で結ばれた二人に関係ないことなんてあるわけないじゃない!ほーら!悩みがあるなら私が聞いたげるわよ!」
カツオ「・・・」
花沢「え?磯野くん?」
カツオ「花沢さん・・・」
カツオ(待てよ、花沢さんは・・・花沢さんになら・・・)
花沢「どんな困難も二人の愛の力で乗り越えましょう!ね!磯野くん!」
カツオ「実はさ、昨日のことだと思うんだけど」
カツオ「僕が昨日、父さんや母さんや姉さんに『僕達の名前って海に関連してるよね』って話をしたんだ」
カツオ「そしたら顔が怖くなって、父さんは僕の頭を撫でたりしてくれたんだけど姉さんは僕の腕に注射をしたみたいなんだ」
カツオ「で、朝起きたら普通に一日が始まっていたんだけど、どうも記憶が曖昧ではっきりしないんだ」
カツオ「それに僕が通っている小学校もかもめ第三小学校で『鴎島』だから海に関連してる」
カツオ「どうも朝起きてから海に関連した言葉を聞くと昨日のそれが思いだしちゃって・・・」
カツオ「ごめん、花沢さん、僕ちょっと疲れてるのかもね」
花沢「・・・」
カツオ「え、花沢、さん?」
花沢「ふ、うふふ」
花沢「ふ、ふふふ、あははは、ひひひ」
カツオ「花沢さん!?」
花沢「あは、あはは、いそ、いそのくんんん、な、なにいってるるるのののよ?」
カツオ「花沢、さん・・・」
花沢さんから距離を置くカツオ
花沢「ひひ、ひひひひ、いいそそそそそのくんんん、きききききっと、つか、つかつかつか、れれれれれ」
カツオ「う、うわああああ!」
花沢さんは満面の笑顔でカツオを追う
花沢「ききき、どこにににに、イグイグイグググググぬおおお?ぬおぬお?ぬお?いいいそのくくくく」
カツオ「だ、誰か!な、中島ー!!」
中島「え?ど、どうしたんだ!磯野!」
カツオ「中島!花沢さんが大変なんだ!」
中島「え?花沢さんが!?」
花沢「ななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななな」
カツオ「ほ、ほら!」
中島「え?磯野?」
花沢「ななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななな」
カツオ「中島?」
中島「磯野、花沢さんがどうかしたのか?」
カツオ「ど、どうかって」
中島「いつもの花沢さんじゃないかー」
花沢「ななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななな」
カツオ「そ、そんな・・・」
中島「おいおい磯野ー、朝から変だぞ?今日は早退したほうがいいんじゃないのか?」
カツオ「だって花沢さん、『な』しか言ってないし、この笑顔」
中島「ん?だからどうしたのさ?」
カツオ「え?」
中島「花沢さんはいつもこうじゃないか」
カツオ「な、なにを」
花沢「ななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななな」
中島「花沢さんはいつも『な』を言いながら笑顔で磯野を追いかけてるじゃないか」
カツオ「え・・・」
中島「しっかりしろよ、磯野ー」
花沢「ななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななな」
カツオを押し倒す花沢
教室の床に叩きつけられるカツオ
中島「お?今日は磯野捕まっちゃったな」
カツオ「中島!助けてくれー!」
中島「そうは言っても僕じゃ花沢に敵わないからなー」
カツオ「な、中島!」
花沢さんは耳元でカツオに囁き続ける
花沢「ななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななな
ななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななな
ななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななな」
カツオ「ウワアアアアアアアア!!!」
カツオ「!!」
カツオ「こ、ここは・・・」
担任「おお、磯野!気がついたか!」
カツオ「先生!」
担任「出欠を取っている最中に倒れたんだ。覚えていないのか?」
カツオ「え・・・」
担任「親御さんには連絡はしたから。今日はもう帰りなさい」
花沢「磯野くん!気がついたのね!よかった!」
カツオ「は、花沢さん!!」
花沢「よかったわ。私、磯野くんが心配で(グスッ」
カツオ(夢、だったの、かな・・・)
担任「さあ、花沢さん、教室に戻るよ。磯野はもう大丈夫だろ?」
花沢「はい!磯野くんが無事で本当によかったです」
カツオ「先生、花沢さん、ありがとう」
カツオ「なんか僕、疲れてたみたいで」
担任「そのようだな。今日はゆっくり休みなさい」
花沢「磯野くん!またあとでお見舞いにいくからね!」
保健室を出る二人
カツオ(はぁー、僕、本当に疲れてるんだな・・・。言われたとおりゆっくり休もう)
カツオ(う!)
カツオ(『な』を言われ続けたほうの耳が痛い・・・)
ノリスケ「やぁ、カツオ君!大丈夫かい?」
カツオ「ノリスケおじさん!」
ノリスケ「サザエさんから教室で倒れたって聞いてね!近くだったから僕が迎えにきたんだよ!さ、タクシーを手配してあるから家に帰ろう!」
カツオ「え、タクシー?」
ノリスケ「そうだよ!タクシーで磯野家まですぐさ!早く帰って美味しいもの食べて体調を回復させないとね!」
カツオ(そうだ。とにかく今は休もう。休まないと・・・僕は疲れているんだ、疲れているからあんな夢を・・・)
担任「困りますね。勝手に磯野を連れ出してもらっては」
カツオ「!?」
ノリスケ「勝手だなんて!僕はサザエさんから言われて」
担任「そう言われても保護者の方に来て頂かなければ」
ノリスケ「ですから僕はサザエさんから」
担任「わかっていますよ。カツオ君を『矯正』するつもりでしょう?」
カツオ「き、矯正!?」
担任「そうだ、磯野。今から私がお前を徹底的に『矯正』してやるからな。元の磯野に戻してやるからな」
カツオ「え・・・?」
ノリスケ「ち、ちょっとちょっと、止めて下さいよ!カツオ君の前で『矯正』とかー」
担任「構わないさ。どうせ忘れるんだ。何もかもな・・・」
カツオ「!?」
ノリスケ「とにかく!今日のところはカツオ君は僕と一緒に磯野家へ帰りますよ!ね?カツオ君、タクシーで帰って寿司でもとろうよ!」
カツオ(な、何がどうなってるんだ!?)
担任「さ、磯野、磯野は何も心配しなくていい。ここで休んでいなさい」
ノリスケ「そんな!困りますよ!いくら担任の先生でもそんなことをされちゃあ!カツオ君は僕が責任持って家に届けます!」
カツオ(いったい何が起こってるんだ!)
担任「さ、磯野、お前は担任の私を信じるよな?」
ノリスケ「カツオくーん、僕と一緒に帰ろうよ!ね?」
カツオ「う、あ、あ・・・」
カツオ(い、嫌だ、二人とも、信用できない!)
走り出すカツオ
カツオ(逃げなきゃ!二人とも何か違う!いつもの先生やノリスケおじさんじゃない!)
担任「待ちなさい!磯野!」
ノリスケ「カツオくーん、どこにいくんだーい?」
保健室から出たカツオ
廊下を走る
カツオ(あ、あれは、中島!)
カツオ「お、おーい、中島!」
中島「・・・ウ、ウヒ」
カツオ「え・・・」
中島「ウヒ、ウヒ、ヒヒヒ、ヒ、ヒヒ」
カツオ「な、中島・・・」
カツオ「!?」
中島「ヒ、ヒヒ、おおいいいい、ウヒ、ウヒ、いいいそそのヒ、ヒヒ」
カツオ「そ、そんな・・・」
中島「ずずずずずるいいいいウウヒヒヒ、いヒいそ、ヒヒいそそののののの、ずるるるるるるるる」
花沢「いいいいそそそのくくくんんななななななかまなかまなかまに、なななななりりなななななな」
カツオ「うわああああああ!!!」
走り出すカツオ
中島「ウヒ、ウヒ、ウヒヒうひひウヒウヒウヒ」
花沢「なななななななななななな」
カツオ(あ、あれはワカメ!)
カツオ「おい、ワカメ!」
ワカメ「え?あら、お兄ちゃん」
カツオ「ワカメ、早く逃げるんだ!」
ワカメ「え?あら、お兄ちゃん」
カツオ「ワ、カメ・・・?」
ワカメ「え?あら、お兄ちゃん、え?あら、おえええあらららららおに、おにおにちゃゃゃん」
カツオ「ワカメ、しっかりしろ!どうしたんだ!」
ワカメ「お兄ちゃん、え?あら?おあら?兄あら、ちゃんえ?ちゃん兄?あらえ?ちゃんあら?え?お、お、兄ちゃん?え、あら?」
カツオ「う、あ、ああ、ワ、ワカメ・・・」
ワカメはカツオを掴み、顔面を近付けてくる。
ワカメ「お、あらちゃん兄、ないで逃げだめ近くないで逃げ逃げ近くだめ逃げ逃げおお兄だめちゃん」
カツオ「はなせ!やめるんだ!ワカメ!」
ワカメを突き飛ばし学校を出ようとするカツオ
カツオ(駄目だ!もうみんな駄目なんだ!おかしくなってる!)
校庭を抜け、校門に到着したカツオ
担任「逃がさんぞ、磯野」
カツオ「先生!みんなが、みんながおかしいんだ!」
担任「なにを言ってるんだ、磯野。いいから保健室に戻りなさい」
カツオ「だ、だって、中島や花沢さんが!ワカメだって!」
担任「磯野、お前は疲れているんだ。ほら、先生の言うことを聞きなさい」
カツオ「せ、先生・・・」
担任「大丈夫だ、磯野、すぐに元に戻してやるから、さ、先生と保健室に行こうな?」
カツオ「嫌だ!はなしてよ先生!保健室には戻らないよ!」
担任「磯野!」
カツオを力付くで取り押さえようとする担任
担任「先生もこんなことはしたくないんだがな。言うことを聞かない磯野が悪いんだぞ」
カツオ「はなして、はなしてよ、嫌だよ、先生、はなして」
カツオを掴んでいた腕の力が抜けていく
カツオ「?」
担任「磯野さん、これは・・・」
担任の背中には包丁が刺さっている。
サザエ「カツオ!助けにきたわよ!」
カツオ「姉さん!」
サザエ「カツオ!こっちにいらっしゃい!早く逃げるのよ!」
カツオ「姉さん!姉さんは大丈夫なの?」
サザエ「私は大丈夫!早く来なさい!」
担任「逃がしませんよ、磯野さん・・・」
背中に刺さった包丁を引き抜く担任
カツオ「姉さん!先生が!」
カツオ(関節がおかしい!血も流れていない!?)
サザエ「・・・」
担任「刃物による殺傷事件。頂けませんな・・・」
サザエ「カツオ、あんたは早く家に帰りなさい。いい?今日は誰にも会っちゃ駄目!とにかく真っすぐ家に向かいなさい!」
カツオ「え・・・?」
タラヲ「全ての原因は私が打ち砕こうぞ!カツオ!よく聞け!私はお前を助ける!必ずだ!なればお前は私を信用しろ!何があってもだ!」
タラヲ「…全盛なる時の覇者よ…破滅せよ…暴落の虐殺者…狭間より出でたりし故宮の園…我は求めん…我は認めん…されど問いには答えよう…」
タラヲ「カツオ!後は任せたぞ!お前の頭脳は私が保証しよう!私を信用しろ!さぁ行け!」
タラヲ「放て!栄子の吐息!罰せよ!悠久の支配者!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!ブライリング・コメット!!!!!!」
カツオ「でも姉さん!」
サザエ「いいから早く!早く行きなさい!!!」
カツオ「!?」
ノリスケ「ほら、カツオ君!タクシーで一緒に帰ろう!」
サザエ「ノリスケ、さん・・・」
ノリスケ「サザエさーん!僕がカツオ君を連れて帰りますから安心して下さい!」
カツオ「ね、姉さん・・・」
サザエ「駄目よ、カツオ、やっぱり私と一緒にいなさい」
ノリスケ「あれあれー?どうしたの?カツオくーん?」
担任「ノリスケ、貴様・・・」
ノリスケ「やだなぁ、僕だって『超越』した人なんですよ?さ、同じ考えの者同士一緒にカツオ君を救いましょう」
担任「む・・・仕方ないな・・・」
カツオ「姉さん、どうしたら・・・」
サザエ「カツオ、とにかく私から放れないで」
ノリスケ「!!」
ノリスケ「グ、ガハッ」
ノリスケの胸を矢が貫く
サザエ「母さん!」
フネ「サザエ、無事だったのね!カツオとワカメは?」
サザエ「カツオは無事よ!でもまだワカメが見つからないの!」
フネ「なんだって!」
カツオ(ワカメ・・・?)
カツオ「ね、ねぇ、ワカメなら」
サザエ「カツオ!知ってるの!?」
カツオ「う、うん、でも、なんだかワカメも変だったよ」
サザエ「!!」
フネ「・・・」
サザエ「母さん!」
フネ「いいの、覚悟はしていたから・・・さ、いいから今は逃げるのよ、お父さんが待ってる」
サザエ「そうね!さ、カツオ、いくわよ!」
ノリスケ「グ、ガ、ハ、クソッ!逃げるつもりか!」
フネ「逃げません。ただ私達は正しく生きたいだけです」
ノリスケ「正しい、だと!『永遠』を破壊することの何が間違っているというんだ!」
フネ「あなた達、いえ、私達には『永遠』なんてなかったわ。ただ夢の中にいただけ。前に進んでいないだけだわ」
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