お姫様 (17)
世界の為に死ぬことを定められた少女は何を想うのか。その運命の重さ命の重さを唯生きる人間には知る術もない。
ステンドグラスや巨大なシャンデリアの輝く謁見の間にて一際光り輝く金色に輝く玉座に座り頬杖をつき忙しなく足をパタつかせる1人の男。眼力のある蒼々しい瞳、黒く長い顎鬚を蓄えている。
するとそこに初老の男性が入ってくるなり傅き口を開く。
「陛下、お子様が産まれました!」
陛下と呼ばれた玉座に座る男は眼前で傅く男の言葉にすぐさま立ち上がり近づくなり問いかけた。
「おぉ!それで男子か女子か!」
「・・・女子にございます。」
「・・・・・そうか。だが我が子の誕生素晴らしき事よ。さぁ祝いの準備に取り掛かれ!」
「御意!」
初老の男性の言葉に陛下は顔を伏せた。陛下の顔色は我が子が産まれた親のソレとはまるっきり別のものだった。
だが陛下は何かを決心したように我が子の出産を喜び初老の男性に宴の準備を促した。
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「娘よ…この様な形でしか命を与えられぬ私を許してくれ。」
陛下は家臣が去っていき広々としたを静寂が包む中ポツリと呟く。その言葉には王たる威厳は微塵にも感じられなかった。
その後、産まれた女の子は「フウ」という名を与えられすくすくと育っていった。幼い頃から活発だったフウはよく屋敷を抜け出し街へ出て行き街の人々と触れ合っていた。街の人々も姫と触れ合える機会に会いに来てくれるのを楽しみにしていた。
15歳になったある日、フウはいつもの様に変装もせずにだがコソコソと隠し通路の地下通路から街へと繰り出していった。
「今日は何か良いことは無いかしら?」
いつもと変わらない太陽のように明るい笑顔を振りまきながら街の目抜き通りを闊歩していた。
「おう姫様じゃねえか!コレ持ってきなよ!」
「あっ姫様じゃないかい!ほら姫様が好きなチェリー水よ持って行き!」
街の者たちはフウの姿を見つけるなり彼女の笑顔に負けない程の笑顔と活気のある声で彼女に声をかけて次々と色んなモノを渡していく。
「いつもありがとう。今日もお仕事頑張ってね!皆の一日がいい一日になりますように。」
街の人々からの貰い物を両手に抱えながらフウは小走りで駆けて行く。活気のある目抜き通りを抜けていきトタン屋根のバラックの目立つ路地に入っていく。その通りの人々はお世辞にも綺麗とは言えない格好で先ほどの人たち程の元気もない。
だがそんな人たちにも笑顔を振りまきながらフウは進んでいく。
「みんなおはよう!今日も頑張ろうね!」
挨拶をしていくフウに対して挨拶を返す人は1人も居ない。
そんな中フウは一つの大きなバラックに入っていく。
P「……こ、これは…」
比奈「まぁどう見ても自作小説っスね。」
P「これもしかして比奈が書いてるのか?」
比奈「さすがにそれは無いっスよ。それに私は描く方専門っスから。」
P「だよな…。だとなると蘭子か飛鳥か…大穴でポエムから派生して森久保か……。」
比奈「また本当に書いてそうな辺りをあげてくるっスね。」
飛鳥「残念だけど僕は『ソレ』を知らないよ。」
蘭子「グリモワールに記せし記憶異界の扉を開かん!(私のじゃないですよ?)」
乃々「いくら森久保がポエムを書くからって小説は書かないんじゃないかと。」
P「うおっ!おまえら居たのか…って二人のじゃないとなるといったい……「あ、あの~…」
ウサギとカメ?残念書いとらんで。
P「ん?おぉ風香どうした?」
風香「あの~その原稿用紙…私の…です、すみませんすみません!」
比奈「あぁ…風香ちゃんの趣味って小説書くことっスもんね。」
P「そういえばそうだったな。」
風香「お騒がせしちゃってすみません!今すぐ捨ててくるので!」
P「いやいやそこまでしなくていいから…。それに結構続き気になるし。」
飛鳥「そうだね。僕はこの続き気になるよ命を運んで来た運命がその生命をどう変えるか知りたいしね。」
蘭子「狂喜する命に炎獄の扉は開かれん!(私も気になります!挿絵も描きたいな♪)」
風香「あぅ…そ…そう言って貰えるのは嬉しいです。でもちょっと恥ずかしいです。」
比奈「まぁ趣味で書いているモノを見られるのは後々ネタにされかねなくて恥ずかしいっスもんね。」チラッ
飛鳥「なんでこっちを見るんだい?僕に黒歴史なんて無いよコレが等身大の僕だからね。」
蘭子「禁忌を侵すは万死に値する!(あぅ~…恥ずかしい…。)」
乃々「別に森久保は恥ずかしいことなんて書いてないんですけど…。」
P「比奈そのくらいにしておけ…あんまりやり過ぎるとこの間お前の部屋に行った時に見つけた中高生の頃のキャンパスノートの中身言うぞ。」
比奈「ああああそれは勘弁してほしいっスねあははは…。」
P「それにしても風香が原稿用紙に書いてるなんて思わなかったな。てっきりPCとか携帯に書いてるイメージだった。」
風香「さ…最初はパソコンに書いていたんですけど…お恥ずかしながら機械に疎くて途中で原稿用紙に変えたんです。」
P「なるほど。確かに女の子はあんまりパソコンとか詳しくなさそうだしな。使ってネットサーフィン位だろうし。」
比奈「そうっスね私も絵を描く関係以外はよく分からないっス。」
P「そしてなにより驚いたのがファンタジー系を書くことに俺は一番驚いた!」
風香「え、えぇ~…そっそんなに変ですか?やっぱりダメですよねごめんなさい今すぐ捨てますから!」
P「いやいやダメとかじゃないからな。俺のイメージだと恋愛小説とか書いてる気がしてたからな。」
風香「恋愛小説ですか…前に少し書いていたんですけどどうしても書けなくて…やっぱりああいうのは実体験がないと…。」
P「なんというか……すまんかった。」
比奈「同じくすまんかったっス。」
風香「あ謝らないでくださいよ私は大丈夫ですから!」
P「ならいいんだが…ってあれ?蘭子たちはどこに行ったんだ?」
比奈「なんかあっちの方で14歳sでキャッキャウフフしてまスよ。」
風香「本当だ…なんだか楽しそうだな。」
P「蘭子が乃々と飛鳥に嬉々としてブリュンヒルデを見せている…なんか蘭子も成長したな。」
風香「成長…凄いですね蘭子ちゃん。私も成長…出来たらいいんですけど。」
P「風香もちゃんと成長していってるぞ?最近は謝る回数も減っていってるし。」
比奈「そうっスね。この間も文香ちゃんと楽しそうに話してて風香ちゃんのおかげで少しずつだけど文香ちゃんも変わっていけてるみたいっスから。」
風香「あぅ~そう面と向かって言われるとなんだか恥ずかしいです。」
P「ハハハ顔を赤くして可愛いやつめ。」
風香「か、からかわないでくださいよ~!」
比奈「いちゃついてるところ悪いんスけど…風香ちゃんこの小説ってどんな話しなんスか?」
風香「いちゃっ!?そそそそんなんじゃあないですよ~!」
P「テレなくていいって俺と風香の仲じゃないか。」
風香「真顔でそんなこと言わないでくださいよプロデューサーさん~!」
比奈「はいはいこの人の言うことは右から左へ受け流していいっスからね風香ちゃん。」
P「ちゃらちゃっちゃちゃら~ちゃ~♪」
風香「ムーディー勝山…懐かしいですね。ふふっ。」
比奈「おーい風香ちゃんそっちに行ったら戻ってこれなくなるっスよ~?早く小説のストーリー教えてくださーい?」
風香「ひゃ!?そそそそうでした!」
風香「えーとですね…主人公はですね王様の娘なんですよ。」
比奈「ちょっとだけ読んだところを見るとそんな感じっスね。」
風香「それで主人公のお父さんは詩の力で世界を手中に収めている王様なんですよ。」
風香「王様は詩の力を得る対価として自分の子どもが16歳になった時にその子の命を奪うというものだったんですよ。」
P「ほおほお…それでそれで?」
比奈「あ、戻ってきた。」
風香「そして主人公はその事実を16歳になる半年前に知るんです。そして今までの人生を振り返ったり生き延びる方法を探ったり…という感じで自分の終わりを知りながらもその間で娘が成長して変わっていく過程を書こうと…。」
比奈「おぉ…結構どこかで聞いたことがある様な設定が多々ある気もしないことも無いっスけど個人的には凄く見てみたいっス。」
P「俺もその小説は気になるな!このテの成長ものとか結構好きなんだよな歳とってからは途中で泣いちゃったりするんだけどな。」
風香「そっそう言ってもらえて嬉しいです…。」
P「因みに詩の力ってもしかしてひゅm」
比奈「それ以上いけない。」
風香「???どうしたんですか二人とも?」
比奈「あははーなんでも無いっスよー。」
P「そうだぞ風香気にしちゃ負けだぞ。」
風香「は…はぁ…。」
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