恭介「お化け退治をしよう」
理樹「え?」
真人「は?」
恭介「チーム名は、ゴーストバスターズだ!」
謙吾「お前はいつも唐突だな」
鈴「どうせまた漫画の影響だ。気にするな、すぐに飽きる」
恭介「ふん、今回は漫画じゃないんだぜ……映画さ」
理樹「いやいやいや……」
真人「どっちだって同じだろ」
恭介「同じなもんか。かたや静止画の集まり、かたや実写の映像。そっちの方が躍動感がある」
鈴「こいつバカだ!」
謙吾「どちらも空想ということに関しては同じだろう。俺はやらん」
恭介「えっ……。真人は」
真人「やらねえよお化け退治なんか」
恭介「マジかよ……鈴はどうする」
鈴「あたしは猫の世話がある」
恭介「猫の世話は大切だな……」
恭介「なあ理樹」
理樹「ごめん恭介。今回ばっかりは僕でも遠慮させてもらうよ」
恭介「な……」ショボーン
鈴「男どもに振られて凹んでる、ちょっときしょいな」
恭介「鈴?」
鈴「馬鹿兄貴」
恭介「兄だぞ」
鈴「うっさいバーカ」
恭介「うわああああ!!」ダッ
理樹「恭介!」ガタッ
理樹「ちょっと言い過ぎたかな……」
真人「かまやしねえよ。野球、バンドならともかくお化け退治はないだろ」
謙吾「ちょっとどころじゃなく、かなり意味が分からないからな」
理樹「うん……そうだね……」
真人「だってよ、お化けだぞ? お化け。存在すら怪しいもんを退治って」
理樹「恭介が見たって映画はなんなんだろう。僕たちもそれを見れば――」
謙吾「やめておけ。恭介の馬鹿が加速するだけだ」
真人「ホントだぜ。これ以上馬鹿になったらもう付き合いきれねえよ」
鈴「馬鹿が馬鹿に馬鹿って言ってる。馬鹿ながら可哀そうになってくるな」
真人「お? なら鈴はやるのか、えぇと……ゴッサムバスターズとやらを」
鈴「そんなキショいのやるかー!!」
真人「ぐはぁっ……!?」
葉留佳「ヘイガーイズ! なにかお困りのよーですネ!」
真人「別に困っちゃいねえよ」
謙吾「同じく」
葉留佳「まままあそう言わずにー」
鈴「騒がしいのが来たな……レノンあっちに行こう」
葉留佳「およよよ待たれよ鈴ちゃん!」
鈴「離せ馬鹿あたしに触るなあっちいけ!」
葉留佳「ガーン!? ひどいっスよ鈴ちゃん!」
鈴「はるかはうるさい!」
葉留佳「よーし! 鈴ちゃんがそういうつもりなら理樹くん!」
理樹「……あ、うん。おはよう三枝さん」
葉留佳「うむ! おはよう理樹くん!」ダキッ
理樹「えぇ!?」
鈴「!? はるかあっちいけ! 理樹から離れろ!」
謙吾「ふん。俺はもう行くぞ」
理樹「うん。また後で」
葉留佳「およ。謙吾くんどこに行っちゃうんだー?」
謙吾「稽古があるからな」スタスタ
葉留佳「謙吾くんは忙しないですなー」
真人「三枝はなにしにきたんだ。ただ騒ぎたいだけならあっち行けってんだ」
葉留佳「うわー傷付くーはるちん大ショックー!」>ワ<
葉留佳「なんだなんだーみんな悩みがあるなら私が聞いてあげようではないか!」
鈴「ああたしに触るな! ふかー!」
葉留佳「うぇー……完全に警戒されちゃってますねコレ!」
理樹「ごめん、今のみんなには何言っても無駄だと思うよ」
葉留佳「なんでなんでーみんなどうしちゃったのさー」
理樹「いやぁ、それがね……」
葉留佳「ほほう。つまりみんな、恭介さんにうんざりってわけですネ!」
理樹「うん……」
葉留佳「でも?」
理樹「でも?」
葉留佳「面白そーじゃないっスかお化け退治!」
真人「お前本気かよ」
葉留佳「はるちんはいつだって本気、真面目、気合十分ですヨ!!」
理樹「あれで真面目だったんだ」
葉留佳「理樹くんひっどーい(棒」
理樹「めちゃくちゃ棒読みだからね」
葉留佳「いやー私は大真面目に馬鹿騒ぎをしてるんデス!」
真人「こっちはいい迷惑だぜ……」
鈴「……レノン、あっちで遊ぼう」ソロリ
葉留佳「鈴ちゃんストーップ!」
鈴「やばい気付かれた。逃げろレノン!」
葉留佳「出ました新聞紙ブレード! アーンドかたじけのうござるぅ!」スパーン
鈴「む、無念なり……ってなにすんじゃボケー!」
葉留佳「もうもう、ここまで来て逃げるのはなしっスよ鈴ちゃん!」
鈴「いやじゃ離せー!」
真人「けっ、これだから三枝には関わりたくねえんだよ……」
葉留佳「いざ行かん!! ゴーストバスターズ!」
鈴「いーやーじゃああああ!!」ジタバタ
理樹「あははは……」
真人「ったく、ほら理樹。帰ろうぜ」
理樹「え? でも鈴を放ってはいけないよ」
葉留佳「大丈夫ッスよ理樹くん! 鈴ちゃんはこのはるちんが責任を持ってお預かりしますヨ!」
理樹「うわ、それめちゃくちゃ不安だから。やっぱり僕も行くよ」
真人「え……理樹は俺と一緒に来てくれないのかよ……」
理樹「だ、だって三枝さんだよ? 鈴になにが起きるかわからないんだよ?」
真人「それはそうだが……こいつに関わるとロクなことがないからな」
葉留佳「ひどい言われようデスね……」
理樹「真人、僕たち親友でしょ?」
真人「ぐ……」
理樹「親友が困ってるときは何がなんでも守らなきゃいけない、そう思うんだよ」
真人「うっ……そうだな……すまねえ理樹。俺が間違ってたぜ……」
理樹「真人、分かってくれたみたいだね。うん、大丈夫さ! 僕たちやっぱり大親友だよ!」
理樹「ほら顔を上げて真人! 筋肉筋肉~!」
真人「ま、まさか、また筋肉で遊んでくれるのかよ……!」
理樹「当り前さ! 僕たち、なんたって大親友でしょ?」
真人「理樹……! そうだな、俺がこんな顔してちゃ理樹が笑えないもんな!」
理樹「そうと決まったら皆一緒に筋肉筋肉~!!」
真人「よっしゃぁ! 筋肉筋肉~!!」
鈴「やばい、理樹が馬鹿になってる」
葉留佳「お~い! 理樹くん戻ってこーい!!」
真人「ふぅ、楽しかったな!」
理樹「うん! やっぱり持つべきものは筋友だね!」
真人「へっ、そろそろ理樹も筋肉を極めつつあるな」
理樹「えぇ!? 全然そんなことないよ! 真人に比べたらさ」
真人「いやあ謙遜しなくていいぜ。ほらよ」
理樹「はい?」
真人「マッスルエクササイザーサードだ! セカンドは失敗作だったが今回は最高の出来だ。筋肉が保障するぜ」
理樹「すごい。見るだけでもう……げげごぼぅおぇっ」
真人「理樹、これ飲んでメガ筋肉目指そうぜ!」
鈴「そんなキショいもん理樹に飲ませるな!!」ゴシュ
理樹「こら鈴!」
真人「が……」シュ~…
葉留佳「じゃあ、そろそろ行きますヨ」グイグイ
鈴「だーかーらーはるかはうっとい!」
恭介「お、戻ってきたな」
葉留佳「ばっちりやってきたっすよ棗せんぱい!」
恭介「さすがは三枝、ミッション・コンプリートだ。俺の見込んだだけのことはあるぜ」
理樹「え?」
真人「どういうことだ」
葉留佳「私は恭介さんに頼まれてー、任務を果たしたまで! 見たか私の名演技ー!」
鈴「はーなーせー」
葉留佳「はいはい暴れない暴れない」
恭介「よし。みんな集まったな」
恭介「ん、謙吾がいないようだが……まあいいか」
恭介「お前らよく聞け。さっそくだが依頼だ」
理樹「依頼ってゴーストバスターズの?」
恭介「あぁ。聞いて驚くなよ」
真人「そんなに大げさにしなくても、お化け退治だろ」
恭介「ただのお化け退治じゃないんだなーこれが」
恭介「おっと、理樹。そっちの端を持ってくれないか」
理樹「あ、うん」
クルクルクルージャジャーン!
恭介「題して、『肝試し前夜祭、ゴースト追い出せ大作戦』!」
恭介「はい拍手~」パチパチパチ~
葉留佳「イェーイ!!」パチパチパチ~
恭介「……」
恭介「おい、なんで三枝しか拍手してないんだ」
理樹「いやあまりに意味がわからなすぎて皆固まっちゃってるんだよ」
恭介「なんでだ。肝試し前の準備としてお化けを追い出すだけだろ」
真人「それだよそれ。追い出しちまったら肝試しにならないだろうが」
恭介「ん……あー、それもそうだな……」
真人「やっぱいつも何かしら抜けてるよなお前」
恭介「まあ初依頼だし、なんでもいいじゃないか! 今を楽しもうぜ!!」
葉留佳「イェース!!」パラッパラー
理樹「いやいやいや。って三枝さんはどっからそのラッパ出してきたの?」
葉留佳「え、ポケットからだよ?」
理樹「三枝さんのポケットはどうなってるのさ……」
葉留佳「ビー玉でしょー画鋲でしょーお菓子にタンバリンにボンドにヨーヨー!」
葉留佳「おまんら許さんぜよ! なんちって!」
理樹「……」
葉留佳「あ、鈴ちゃんにはこのタンバリンをあげよう! シャカシャカヘーイ!」シャンシャンパシーン
鈴「いらん」
葉留佳「えぇー? 楽しいのにーシャカシャカヘイ!」シャンシャンパッパラー
葉留佳「ほらほら鈴ちゃんシャカシャカヘイ!」シャンシャンパシーン
鈴「いらないって言ってるだろ」
葉留佳「拒否権はないですヨ!」グイグイ
鈴「ぐぬぬ……」
鈴「……」
鈴「……」シャンシャン
鈴「う……」シャンシャンシャンシャン
鈴「おぉ……シャカシャカヘイっ」シャカシャカパシーン
理樹「結局やるんだ……」
鈴「結構楽しい。シャカシャカヘイッ」シャカシャカパシーン!
理樹「楽しいんだ……」
恭介「なあもういいか。説明を始めたいんだが」
理樹「ああごめん。いいよ」
恭介「おっほん。と言っても作戦名そのままなんだがな」
恭介「今日の夜、校舎に忍び込み、一匹残らず追い出す。それだけだ」
理樹「でも、一口に追い出すって言ってもどうするのさ?」
真人「そもそも幽霊がいるかどうかすらわかんねえだろうが」
恭介「その点は心配ご無用。ほれ」
鈴「なんだそれ」シャンシャン
恭介「これぞ、お化け退治の必需品。プロトンパックさ!」
葉留佳「うひょー、かっこいいッスね!」
恭介「科学部に無理を言って作って貰ったんだ。これを背負ってだな……」
恭介「見て驚くなよ……?」キュイーン
理樹「ごくり……」
葉留佳「どきどき……」
鈴「なにが起きるんだ……」シャンシャン
恭介「ファイヤあああ!!」ビジジジジ
真人「おわああっ――」
ドッカーン
恭介「……」
理樹「……」
鈴「……」
葉留佳「……」
真人「……」ピクピク
葉留佳「うわぁ……ぴくぴくしてる……これにははるちんもドン引きッス……」
恭介「……よ、よし。試運転はこんなもんでいいだろ! 早速ミッションスタートと行こうぜ!」
理樹「いやいやいや……真人の心配もしてあげてよ……」
タタタタッタッ
「騒々しいわね、こんな朝からなにやってるの」
葉留佳「ん? あ、お姉ちゃんやはー」
佳奈多「おはよう葉留佳。またあなたなの?」
葉留佳「えぇいきなり!? はるちん今回はなにもやってないですヨ!?」
佳奈多「そうなの?」
理樹「おはよう二木さん」
佳奈多「あら、おはよう直枝」
理樹「えぇとね二木さん。あっち」
佳奈多「……?」クルッ
恭介「……」ソロリソロリ
佳奈多「……あれのことかしら?」
理樹「うん、まさに今逃げようとしてるあれが元凶」
佳奈多「はぁ……呆れた」
佳奈多「どこに行くんですか棗先輩」
恭介「なんだ、二木じゃないか。お前斉藤っす!」
佳奈多「おはようございます」
恭介「悪いが急いでるんだ、またあとで頼むわ」
佳奈多「それはできない相談です棗先輩。その背中に背負ってる怪しい機械を今すぐ下してください」
恭介「はっ、これは俺の商売道具なんだぜ?」
佳奈多「そうですか。それで?」
恭介「つまり、それはできない相談ってことだ」
佳奈多「そう。分かりました、下しなさい」
恭介「……」
佳奈多「聞こえなかったのかしら。今すぐにそれを下しなさい」
恭介「はい」
佳奈多「なに? 散々渋っておいて、その理由がお化け退治って。馬鹿じゃないの」
恭介「あい……」
佳奈多「そんなくだらないことをやってる暇があったら……」
いやあああああああああああ!!
佳奈多「……!?」
恭介「女子の悲鳴!? 事件の匂い!!」
恭介「行くぜリトルバスターズ改めゴーストバスターズ!」ダッ
理樹「あ」
真人「あいつ体よく逃げやがった」
佳奈多「棗先輩どこに行くんですか! まだ説教は終わってませんから!!」ダッ
葉留佳「まったくお姉ちゃんも恭介さんも諦めが悪いんだから」
理樹「で、プロトンパック置いていってるけど」
真人「うおおおおおお! これもまた俺のトラウマになりそうだああああ!!」
葉留佳「よいしょっと……」
理樹「って三枝さん勝手に触っちゃダメだよ!?」
葉留佳「理樹くんは心配性だなぁ。大丈夫大丈夫、後で返すって!」
葉留佳「ぐふふふふ、こうして最強の武器を手に入れたはるちんはNYPでCyberなみおちんのもとへと旅立つのであった!」ダッシュ
理樹「あーあ、行っちゃった……」
鈴「馬鹿だな」
理樹「あ、鈴。どこに行ってたのさ」
鈴「かな……二木は苦手だからな。猫にモンペチ食わせに行ってた」
理樹「かなたさんでいいと思うけど」
鈴「嫌だ、何を言われるか分からない」
理樹「なにもないと思うんだけどなぁ……」
真人「まあまあいいじゃねえか。俺だってあいつは怖えからな」
佳奈多「怖くて悪かったわね」
真人「そりゃな。あいつより怖い風紀委員はいないぜってうおおおおおおおおおおおお!!」
理樹「真人が燃え尽きちゃったよ二木さん」
佳奈多「私のせいじゃないでしょう」
鈴「レノン、あっちで遊ぼう」
理樹「鈴」
鈴「……そ、そうか。理樹も遊びたいんだな」
理樹「違うよ。そうやってすぐ逃げないの」
鈴「う……」
理樹「それで、恭介はどうしたの」
佳奈多「逃げられたわ。まったくあの人は努力の方向を間違えてるとしか思えない」
理樹「それが、恭介が恭介たるものだと思うけどね」
佳奈多「そういうものかしら。そういえば、葉留佳はどこ」
理樹「あー三枝さんならさっきプロトンパックを背負ってあっちに……」
ドオオオオオオオン!!
佳奈多「!?」
理樹「まさか三枝さん!?」
真人「こいつぁやべえな。急いだ方がよさそうだぞ」
理樹「あ、真人起きたんだ」
真人「おう! ついに俺の筋肉が役立つ時が来たってもんだぜ!」
鈴「来るかー!! きしょい!」
佳奈多「もし葉留佳だったら心配だわ、色々と」
理樹「うん……そうだね」
真人「だったら早く行こうぜ!」
鈴「あたしはどうでもいい」
理樹「鈴、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ急ごう」
葉留佳「ファイヤアアアア!!」ビジジジ
美魚「NYPシールド!」
葉留佳「ぬぬぬ、っていうかみおちんシールドは卑怯っしょ! これじゃあこっちの攻撃が一切届かないじゃん!」
マッド鈴木「西園くん! メガバズーカランチャー、チャージ完了だ!」
美魚「了解」
葉留佳「ぐぬぬ……ひじょーにマズイですヨこれは」
美魚「三枝さん、あなたに恨みはありませんでもこれがあなたの望みなら」キュイイーン
葉留佳「最大出力うううう!」ビィインジジジジジ
美魚「Fire!!」
葉留佳「はるちん! スーパーウルトラダイナミックハイパーローリングエスケープ! 避け!」
ズドオオオオオオオオオオオン!
葉留佳「うっきゃあああ~!! る~り~ら~~~……」バッターン
美魚「私に挑戦しようなどと、百万年早いですよ。三枝さん」
マッド鈴木「流石は西園くん。我々の想像を遥かに超えている……」
葉留佳は『一安心と思ったのも束の間、次のページでは死んでいる役』の称号を得た。
タッタッタッタッ
佳奈多「葉留佳ー!!」
理樹「三枝さーん!」
美魚「? 直枝さんに二木さん。血相変えてどうかしましたか?」
佳奈多「どうしたもこうしたもないわ。葉留佳はどこ」
美魚「そこに倒れてますが」
葉留佳「うっきゅう……」
佳奈多「葉留佳!」
理樹「目を回して気絶してる……」
鈴「はるかといえども可哀そうだな」
真人「ったくよう、筋肉がないからこうなるんだぜ」
理樹「いやいや、真人と同じにしないであげてよ……」
佳奈多「葉留佳……!」
美魚「大丈夫です。数時間も眠れば起きるでしょう」
理樹「そういえば恭介は――」
「おーい!!」
理樹「ん?」
「おーい!!」ダダダダッ
理樹「恭介!?」
恭介「ハァハァ……理樹、丁度良かった! プロトンパックを知らないか!」
理樹「えぇと、三枝さんが背負ってるけど……もしかして」
恭介「あぁ俺としたことが、丸腰の状態でゴーストに出会っちまってよ」
恭介「大慌てで逃げて来ちまったのさ……ハァ」
鈴「馬鹿だな」
佳奈多「棗先輩」
恭介「なんだ二木か……説教なら後にしてくれ。今は学園を守るのが先だ」
佳奈多「そういうわけにも行きません。あなたのこの変な機械のせいで葉留佳が――」
ぎゃはははははっ!!
全員「!?」
恭介「まずいな。もうすぐ近くにいるぜ……」
理樹「追いつかれたって?」
恭介「ゴーストさ……」
真人「へっ、なにビビッてやがる。ゴーストの一匹や二匹、俺の筋肉で!
うぉおおおおおおおおっ!!」ダッ
鈴「あいつ上着を脱いでいったぞ。かなりきしょいな」
恭介「ゴーストには物理的に触れないんだがまあいいか。おい三枝、起きろ三枝」ユサユサ
佳奈多「ちょっと棗先輩」
恭介「今は有事だ堅いこというなよ」
葉留佳「も、もう食べれないですヨ~……」Zzz
恭介「んな……なんて典型的な寝言なんだ……逆に感動すら覚えるぜ……」
理樹「そんな感銘受けてる場合じゃないんじゃないの」
恭介「おっとそうだった。二木、ちょっと三枝を借りるぜ」
葉留佳「ぐへへ、兄さん兄さんそんなところ触っちゃダメっす~」Zzz
恭介「プロトンパックを……よしっと」
恭介「ゴーストバスターズ! 推参!」
佳奈多「はぁ……」
恭介「これさえあれば百人力。ささっとやっつけてやるぜ」
美魚「でも、戦えるのは棗さんだけでは? 私もNYPが使えれば良かったのですが今しがた使い切ってしまいましたし」
恭介「なあに心配はご無用。俺を誰だと思っている? リトルバスターズのリーダー、棗恭介だぜ?」
鈴「自分で言うな」
恭介「とはいえ、一人じゃ心許ないのが正直なところだ」
鈴「なんだ、強がりか」
恭介「うるさいぞ鈴。そこで、実は理樹の部屋に通信機を隠しておいたんだ」
理樹「え?」
恭介「机替わりの段ボール箱の裏だ。そこにリトルバスターズメンバー全員分の通信機がある」
理樹「知らなかった……」
恭介「奴の足止めはしておく。話はそれからだ」
理樹「……分かった」
恭介「じゃあな。鈴のことは頼んだぜ理樹」ダッ
理樹「恭介……!」
ぐいっ
理樹「いっ……。鈴?」
鈴「行こう理樹、恭介の死が無駄になる前に」
理樹「鈴……うん」
佳奈多「まったく、あの人はどうしてこう毎度毎度面倒を起こしてくれるのかしらね」
美魚「ああいうところがなければいい人なのですが」
理樹「今は愚痴っても仕方ないよ、とりあえず僕の部屋に向かおう」
理樹「三枝さんは」
佳奈多「私がおんぶするわ」
理樹「段ボールの裏……あった!」
鈴「ひぃふぅみぃ……十二個あるな」
美魚「恭介さんを除いて九人のはずですが……」
佳奈多「私もおまけってわけかしら」
理樹「それでも十人だよ」
鈴「まさか、させ子も入ってるのか!?」
理樹「笹瀬川さんか……。だとしても十一人。やっぱり一人足りないよ」
佳奈多「それより、早く電源を入れた方がいいんじゃないの」
理樹「あぁそうだね」
ジジジージザザッ――おおう、やっとつながったか。お前ら無事か?
理樹「恭介! 僕たちは全員無事だよ! 恭介こそ大丈夫なの!?」
――俺か? 俺はだな……できれば早く援護に来てほしいところだが、まあその前に、メンバー集めだ。
――今そこに五人、真人はすでに手遅れだが残りのメンバー六人。謙吾、来ヶ谷が最優先だな。
ガチャッ!
理樹「あ、ちょっと待って誰か来た」
来ヶ谷「君たちが面白そうなことをやっていると聞いてな。邪魔するぞ」
小毬「やっほー理樹くん! 鈴ちゃーん!」
鈴「こまりちゃん!」
クド「グッモーニンです、リキ!」
理樹「来ヶ谷さん! それに小毬さんクドまで!」
「あなたたちねぇ……どうしてわたくしまで一緒なんですの?」
理樹「あれ、もう一人……?」
鈴「おまえは! ざぜんだぜん子!」
佐々美「はっ、棗さん!? わたくしの名前は笹!瀬!川!佐!々!美!ですわ!!」
来ヶ谷「まあいいじゃないか。小毬君を誘いにきた私の目に留まったのが運の尽きと思え」
佐々美「……あなたって人は……」
来ヶ谷「はっはっはっ。よいではないかよいではないか」モニュ
佐々美「ひゃっ!?」
来ヶ谷「ほれ、ほっぺをぷにぷにしてやろう」
佐々美「な、なにをなひゃいまふの!」
クド「わふー! 私もしたいのですー!」ペタペタ
佐々美「!? 能美さんまで!?」
来ヶ谷「はっはっは、観念して大人しくすることだ」
佐々美「納得いきませんわね……」
理樹「ともかく、来ヶ谷さんは見つかったよ恭介!」
――よくやった! それじゃ早速だが
来ヶ谷「ほう。これはなにかね」
理樹「通信機だけど……来ヶ谷さん?」
来ヶ谷「あーあーテステス」
――お? ああ来ヶ谷か。ちょうど良かったぜ
来ヶ谷「私に用だったのかね恭介氏」
――ああ。詳しいことは合流してから話すが、まずは部室に向かってくれ
来ヶ谷「野球部のか。了解だ」
――話が早くて助かる。そうそう通信機全員分も忘れないでくれ。じゃあまた後で会おうザザッ
来ヶ谷「と、いうことだ。まあとりあえず行ってみようじゃないか」
理樹「何事もなく部室に来れちゃったけど……」
クド「なんですかこれは! とってもカッコイイのです!」
鈴「これってアレか……」
美魚「プロトンパックですね」
佳奈多「しかもまた十二人分……」
葉留佳「ん~お姉ちゃん……Zzz」
佳奈多「はいはい。ここにいるわよ」
葉留佳「うん……Zzz」
小毬「プロトンパック?」
理樹「うん。恭介が科学部に作って貰ったらしいんだけど……」
来ヶ谷「なるほど、読めたぞ」
理樹「これで分かるの?」
来ヶ谷「あぁ。恭介氏はお化け退治でもしようとしているのだろう」
理樹「そうだけど……」
来ヶ谷「やはりな……いやなに、昔にそういう映画を見たことがあるだけだよ」
佐々美「ふん、お化け退治だなんて馬鹿馬鹿しいですわ」
佐々美「わたくしは帰らせていただきます」
がちゃっ
あははははははっ!! やーっははははは!!
佐々美「っ!?」
佐々美「な……」
全員「……」
来ヶ谷「まずい! ドアを締めろ!」
鈴「させ子! ドアだ! ドアを締めろ!」
佐々美「あ……っ」
小毬「さーちゃん危な~~い!」ダッ
「うぉりゃ!」ビジジジジジ
佐々美「!?」
小毬「!?」
あはははああああぁぁぁ――
恭介「ふぅ……二匹目捕獲完了っと」
恭介「大丈夫か笹瀬川」
佐々美「わたくし……助かりましたの……?」
恭介「ああ。だが危なかったぞ」
理樹「恭介!」
恭介「ははっ、なんだよ理樹。そんな数年間も会ってなかったような顔して」
理樹「無事で良かった……でも、真人は……」
恭介「おぉ、そうだ……真人は……すまん。俺では救ってやれなかった……」チラッ
真人「オレノキンニクガ……オレノキンニクガアアア……」ドヨヨヨ~ン
理樹「あー……まあ無事でなによりだよ……」
小毬「さーちゃん! 良かったよ~……」
佐々美「神北さん……」
クド「わふーっ一時はどうなるかと思いました!」
来ヶ谷「しかしまあ……本当にお化け退治できるのか……このプロトンパックは……」
来ヶ谷「やはりこれも無許可の原子炉を背負うことになるのだろうか」
恭介「なんだ来ヶ谷は知ってたのか」
来ヶ谷「知っている、というより少し記憶に残っている程度だよ」
恭介「こいつが劇中設定で再現できているのかまでは俺も知らないが」
恭介「NYP兵器といい科学部の連中はまったくクレイジーだぜ」
美魚「そうですね……」
恭介「ゴーストなんて非科学的なことにゃ、冷たいだろうなと思っていたが」
恭介「快く協力してくれたしな、改めて感謝しようぜ」
佳奈多「ところで棗先輩」
恭介「あん? ……げっ」
佳奈多「人の顔を見るなり『げっ』とは何事ですか」
恭介「説教なら後にしてくれよ。俺はちょっと休みたいんだ」
佳奈多「今の光景を見てれば説教なんてしてる場合じゃないなんてことぐらいわかります」
佳奈多「通信機やプロトンパックの数についてです」
恭介「あぁ? あー……そういえば忘れていた」
随分ゆっくりだな
恭介「今いるのが俺、理樹、鈴、真人」
理樹「うん」
鈴「うむ」
真人「俺の筋肉が……」
恭介「小毬、能美、来ヶ谷、三枝、西園」
小毬「はい」
クド「はい」
来ヶ谷「うむ」
葉留佳「は~い……Zzz」
美魚「はい」
恭介「そして、二木、笹瀬川だ」
佳奈多「やっぱり私も含まれてたんですね」
佐々美「なぜわたくしまで」
恭介「残りが謙吾と、あと一人だが。それは理樹、お前が見つけ出せ」
理樹「えぇ僕?」
恭介「そうだ。この学園内に一人、お前のことをよく知っている人物がいる」
理樹「……」
恭介「そいつは今でも、お前に見つけてもらうのを待っている」
恭介「俺が言えるのはそこまでだ」
>>76
すまんな……。
その頃。学園のどこかで
「きっとここに財宝が眠ってるはずなんだから……」
しゃはははははは!
ピトッ
「ひゃあああ!!? いきなりなんなの!? 私処女なのよ!? 幽霊のあんたに責任とれんの!?」
ひゃははははは!!
ぶにょん
「いやあああああああっ!!」ダッシュ
「ハァハァ……そうよ……そうよ! 私はスパイの癖に幽霊なんかに怖がってるダメスパイなのよ!」
「滑稽ね、滑稽でしょ、滑稽よね、笑えるでしょ、笑いなさいよ、ほら、笑っちゃいなさいよ!あーっはっはっはって!」
「あーっはっはっはっは!!」
あーっはっはっはっは!
ぶるぎにょん
「いいやあああああああああ!!」ダッシュ
バンッ
「あーいたいた」
佳奈多「あーちゃん先輩?」
あーちゃん「正解。いやーかなちゃんがいないと仕事が捗らなくてさー」
あーちゃん「まだ午前中なのに肩は凝るわ腕はだるいわもう大変よ」
佳奈多「はぁ……もともとは全て自分でやらないといけない仕事なんですからね」
あーちゃん「それは分かってるんだけど……モチベーションが下がるっていうか」
あーちゃん「あとそうだ。棗君」
恭介「なんだ」
あーちゃん「なんだか学校中に気持ち悪いぶよぶよしたのがいーっぱいいるんだけどまた変な遊び?」
あーちゃん「騒ぐのはいいけど、他の生徒さんがみんなびっくりしてたわよ」
恭介「そうか……じゃあなおさら早くやらないとな……」
あーちゃん「お願いだからね。? あら、棗君が背負ってるのってプロトンパックじゃない?」
あーちゃん「懐かしい、ゴーストバスターズ。昔流行ったわよね~」
あーちゃん「……もしかして、あのぶよぶよしたのって……ゴースト?」
恭介「紛れもなくゴーストだが」
あーちゃん「やっぱりねぇ……へぇ……にゅふふ……」
佳奈多「(絶対またなにかロクでもないことをたくらんでるわね)」
あーちゃん「決ーめた!」
恭介「は?」
あーちゃん「私もちょーっとだけリトルバスターズに入っちゃおうかなって」
佳奈多「(やっぱり)」
恭介「ちょ、ちょっと待て」
あーちゃん「あらー止めても無駄よ棗君。さっさとゴーストたちをやっつけないとかなちゃんを返してくれなさそうだし」
恭介「いや、そりゃまあ味方は強力な方がいいしな?」
あーちゃん「にゅっふっふっ、それに鬼の風紀委員長が見過ごしてくれる状況、乗らないわけにはいかないでしょ?」
恭介「」
あーちゃん「返事がないのは同意とみなしまーす。ということでみんなよろしくー」
鈴「あたしはいつでも大歓迎だぞ」
小毬「クーちゃーん! 仲間が増えたよ! わ~い!」
クド「わふー! 改めてよろしくなのですー!」
来ヶ谷「ほう、女性陣の士気が一気にあがったな」
美魚「つまり、最後のメンバーとは」
理樹「女子寮長だったのかな……(でも僕のことをよく知ってる?)」
佳奈多「異議あり!」
あーちゃん「どうしたのかなちゃん。あー、私が皆に取られるんじゃないかって心配なんだー?
佳奈多「ち、違います! 変なこと言わないでください!」
あーちゃん「えぇー違うのー? ほんとに?」
佳奈多「違います!」
あーちゃん「なーんだ残念」
まあ今仕事でそろそろ休憩終了だからこれ以上書けないんですけどね!
申し訳ない!
りっきゅん>>146どれくらい保守するのりっきゅん
>>148
早くても9時頃だぞ……すまない
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続けろ。