恭介「鈴にコスプレさせたい」(422)
真人「……」
謙吾「……」
理樹「……」
恭介「何を固まっている。聞こえなかったのか?」
恭介「んじゃもう一度言うぞ」
恭介「鈴にコスプレさせたい」
理樹・真人・謙吾「…………」
真人「……恭介、兼ねてからお前に言っておきたかったことがある」
恭介「ふん。何だ、言ってみろ」
真人「お前頭おかしいんじゃねえのか?」
恭介「その通りだが?」
理樹(うわぁ……否定しないよ……)
真人「う……そこを否定されないと言葉に詰まるぜ……」
恭介「要するに、だ」
恭介「鈴にコスプレさせたいんだよ俺は」
理樹「いやそれは分かったから」
謙吾「恭介。俺も一言良いか」
恭介「ああ、いいぜ」
謙吾「面白そうだなっ!」
恭介「分かってくれるか!」
理樹(謙吾ぉぉぉ……すっかりバカの一員だよ……)
理樹(……それにしても鈴のコスプレか……)
理樹(…………)
理樹(……って、僕は何本気で考えてるんだっ!)
恭介「よし、士気も高まったところで具体的な作戦を講じるぞ」
理樹「えーと、恭介。ちょっとそれはどうかと思うんだけどさ」
恭介「ん、何か腑に落ちない点でもあるか」
真人「ダメだなこりゃ……」
理樹「そうだね……。ていうか真人がまともで驚いてるよ」
真人「いや、俺も自分では少々頭おかしいとは思っちゃいるが、流石にこれは俺でも疑問だぜ」
理樹(自覚あったんだ!)
恭介「コスプレのレパートリーにはな……」
恭介「……メイドもあるが?」
真人「……!!」
真人「……理樹」
理樹「え、どうしたの?」
真人「わりいな……俺だけでも、理樹派に与していたかったんだが」
真人「……筋肉指令が下った」
理樹「えっ、何それ」
真人「これより俺は恭介一派にこむらがえる」
理樹「こむらがえらないでよっ!!」
恭介「3対1だ。多数決により、理樹も従ってもらうぞ」
理樹「ああもう……結局こうなるんじゃないかっ」
謙吾「そう言ってやるな、理樹。何たってあのコスプレだぞ?」
理樹「どのコスプレだよ……それに鈴がコスプレなんてするわけないよ」
恭介「ほう、分かるのか。流石は理樹だな。鈴のことならやはりお前が一番理解しているか」
理樹「な、何か言い方が引っかかるんだけど」
真人「よしゃ!! で、恭介、早くその作戦とやらを早く教えろよ早くよ!!」
理樹「何でいきなりそんな積極的になってるのさ!?」
恭介「コスは俺のツテで色々用意は出来ている」
理樹「本当にツテなの? そんなんじゃなくて自分で調達したんじゃないの」
恭介「……」
恭介「そこでだ、ここで最も重要なのはだな」
理樹「今の間はなんだよっ!」
恭介「『理樹の視点』だ」
理樹「……え?」
恭介「コスプレは幅広い。何十、何百と枚挙にいとまがなくバラエティに富んでいる」
恭介「しかし。人間の趣味というのは画一的なものではなく、これも実に幅広い」
謙吾「確かに」
恭介「加えてだ。当人と服飾の相性というものもある」
恭介「例えば、西園にはメイドは合うが女王様は似合わない、とかな」
真人「いや……意外と女王様もいけるんじゃねえか?」
恭介「ん? そう思うか……?」
謙吾「大人しい西園のキャラクターと、気性の激しい過激な服装の二面性か。アリかもな」
恭介「なるほど。だが、やはり俺は本人の性格、発する雰囲気とコスとの親和性を重視したいのであって……」
理樹「コスプレ談義はもういいよ!」
恭介「おっと、脱線しちまったな」
理樹「……で、僕の視点が何だっていうの」
恭介「ああ。俺は鈴にコスプレさせたいと言ったがな」
恭介「現実的に考えると、そう上手くいかないことは百も承知だ」
恭介「首尾よく進行したとしても、精々一着二着着させるのが関の山だろう」
理樹「……」
恭介「そうなるとだ」
恭介「その数少ない機会を利用して最大限の成果を上げなければならないのだから……」
恭介「鈴に最も調和するコスを選びたい、と考えるのは自明の理だろう?」
理樹「……まさかとは思うんだけどさ」
恭介「ああ、そうだ!」
恭介「頼む、理樹! 鈴に一番似合うコスをチョイスしてくれっ!!」
理樹「出来るわけないよっ!?」
恭介「謙遜しなくていい、理樹。俺はお前の確かな視点を信じる」
理樹「意味が分からない……」
理樹「大体、そんなのは恭介が良く分かってるんじゃないの……」
恭介「俺も出来る限り、客観的に鈴を観察し試行錯誤を重ねた……」
恭介「だが、ダメだった。俺では、どうしても主観が入り過ぎる」
真人「どうせ『園児』とかだろてめーは」
恭介「……」
恭介「それならば、と思い俺は鈴に明るい理樹に助言を求めたくなったというわけだ」
理樹「だから、今の間は何さっ!?」
恭介「お願いだ、理樹。俺に神の一手を示してくれ」
理樹「無理だよ……何が似合うか、なんて分かりっこないよ」
恭介「むう……」
恭介「ならば、この際鈴のことは一切合切考慮から外そう」
恭介「理樹、お前の好きなコスは何だ?」
理樹「な、何でそうなるのっ!?」
恭介「俺が見るに、お前は鈴のことを考え過ぎて思考がショートしている」
理樹「べべべっ、別に考え過ぎてなんかないよっ!!」
恭介「ここは一度、単純にお前の欲望を吐き出してみろ」
理樹「……何か嫌な表現だなぁ……」
真人「お、それは俺も興味あるな」
謙吾「理樹の好きなコスか……胸が熱くなるな!」
理樹「ぼ、僕の好きなコスだからって鈴に似合う根拠にならないしっ」
恭介「否、なるっ!!」
理樹「!?」
恭介「お前は俺たちと永い間、共に過ごしてきた」
恭介「その傍らには当然、鈴の姿もあった」
理樹「そ、それがどうかしたの?」
恭介「理樹だってこんな可愛い顔してるが、中身は立派な男だ」
恭介「色々とイケナイ妄想を巡らせることだってしてるに違いない」
謙吾「はっはっは、理樹も成長してるなぁ」
理樹「からかうのはやめてよっ」
恭介「となると、一体全体誰を対象に煩悩に耽っているのか」
恭介「真実はただ一つ! それは鈴だっ!!」
理樹「な、何でそうなるのっ!?」
恭介「必然だ。理樹が性に目覚めたのは一般的に考えて高校入学以前だろう」
真人「へえ、そうだったのか」
理樹「……ご、誤解だ」
謙吾「目覚めてないのか?」
理樹「知らないよそんなのっ!」
恭介「つまり、その時点で理樹に一番親しい女が候補の筆頭となる」
恭介「そしてそれは鈴だというわけだ」
理樹「なんて横暴な理屈なんだ……」
恭介「スタートが鈴なのだから、理樹の趣味は鈴がベースになっている」
恭介「となると、理樹の属性が鈴とは無関係であるとは言い難い」
理樹「濡れ衣だよ……」
恭介「否定したいのならば、お前が最も好きなコスを言え」
恭介「それが鈴に似合わないのなら、俺たちは黙ってお前の主張を受け入れよう」
理樹「……例え何を言っても、似合うとか言われたらそこまでじゃないか」
恭介「俺たちはそんな卑怯な手段など使わん。厳然たる態度で審判を下す」
恭介「だよな、てめーらっ!!」
真人「ああ!」
謙吾「当然だな」
恭介「よし、お前ら理樹の尊いご教示を賜るぞ!」
真人&謙吾「おうっ!!」
理樹「も、もうっ!」
理樹「え、えぇと……だからさ……」
恭介「…………」
真人「…………」
謙吾「…………」
理樹「……ナ」
理樹「ナース……とか」
三馬鹿「採用ッッッ!!!」
真人「流石理樹っちだぜ! まさかそこを突いてくるとはな!」
謙吾「ああ! これには俺も度胆を抜かれたぞ!」
恭介「満場一致のようだな。全く、理樹の慧眼には恐れ入るぜ」
理樹(そんな意外なコスなのか……?)
恭介「コスプレ計画は大幅な加筆修正だが、これで活路は開けた」
恭介「それにしても理樹はナース萌えだったんだな」
理樹「も、萌えとか言わないでよっ、恥ずかしいんだからさ……」
恭介「理樹の属性を知ってまたお前に一歩近づけたぜ、ヒャッホウ!」
理樹「うわぁあああぁあぁあああぁああぁ……」
翌日・廊下――
恭介「鈴、ちょいちょい」
鈴「なんだ馬鹿兄貴」
恭介「ひでー言い草だな。もう少し兄貴を敬えっての」
恭介「……と説教したいところだが、今日は別件だ」
鈴「?」
恭介「理樹についてなんだがな」
鈴「理樹がどうかしたのか」
恭介「……ここじゃちょっとアレだな。場所を変える、付いて来い」
鈴「??」
裏庭――
鈴「で、なんだ。理樹がなんかやらかしたのか?」
恭介「あいつは問題児じゃねーだろ……そうじゃない」
恭介「お前の目から見て、最近の理樹に何か変化は感じるか?」
鈴「感じない」
恭介「……そうか」
鈴「まどろっこいな。なんかあるならさっさと言えばいいだろ」
恭介「ん、ああ。そうだったな」
恭介「俺からは、どうも最近無理してるんじゃないかって思うんだ」
鈴「むり?」
恭介「理樹の持病が完治したのは知ってるだろ」
鈴「ぶっ倒れるとこはもう見てないな」
恭介「ああ。だからこそ、なんだ」
恭介「治ったってことはつまり、理樹の覚醒時間が延びたってことだ」
鈴「まあそうだな」
恭介「考えてもみろ。ガキの時分から日中眠り落ちる日常に身を置いていた人間が、急に活動の間隔が長くなる……」
恭介「その分、身体に負担がのしかかると思わないか?」
鈴「あ……」
恭介「昏倒していたとはいえ、あれで理樹の体は定期的に必要な休息を取っていたと言える」
恭介「それなら、現在は果たして休養が足りているのか。俺が憂慮しているのはそこだ」
鈴「じゃ、じゃあ理樹が、またなるとぺぷしを再発して……?」
恭介「ナルコレプシーな。いや、あれは確かに理樹が乗り越えたはずだ」
恭介「懸念すべきは、理樹の疲労蓄積だな。幸い、現状は問題ないようだが……」
恭介「或いは……お前の言う通り、最悪ナルコレプシー再発の可能性も拭えないかもしれん」
鈴「り、理樹……」
恭介(おお……すげえ心配そうな顔してるな。まるで乙女じゃねえか)
鈴「じゃあ、このことをみんなに……」
恭介「秘密だ。何のためにこんな人気のない場所まで連れて来たんだ」
鈴「う」
恭介「飽くまでもこれは俺の推測の域を出ない」
恭介「あいつらに不要な不安感を煽る必要性はないからな」
恭介「……ただ、もしかしたらその予想が当たっているかもしれない」
恭介「俺がお前だけに話したのは、つまりそういうことだ。お前が一番理樹のことを見てやれるからな」
鈴「……」
恭介「正直、俺も認識が甘かった」
恭介「これからはなるべく理樹に逐一、休憩を取るよう勧めておく」
恭介「お前も、何か気付いたことがあったら俺に報告してくれ」
恭介「話は以上だ。質問あるか?」
鈴「いや。分かった」
鈴「……理樹のことはあたしに任せろ」
恭介「そりゃ、頼もしいこって。時間取っちまって悪かったな」
鈴「ん。じゃあな」
恭介「……フゥ」
恭介(かなりこじつけが酷かったが、まあこんなもんでいいだろ)
恭介(さて、もう一丁外せないことをやらねばな)
恭介「ワクワクしてきたぜ、ヒャッホウ!」
夕食後・理樹と真人の部屋――
恭介「……というわけだ。理樹、過剰に演技をすることはないがそれっぽく頼むぞ」
理樹「うーん、罪悪感をひしひしと感じる……」
恭介「なに、気にしないでいいさ。全ては、鈴のコスプレ姿を拝むためなんだから」
理樹「少しは気にしようよっ」
恭介「とか何とか言って、お前も鈴のコスプレ見たいんだろ?」
理樹「え……それは……」
恭介「はっはっは、どーんと任せておけ」
恭介「あ、そうだ。何ならお前もコスプレしてみるか?」
理樹「やだよっ!?」
翌日・教室――
理樹(演技って言ってもなぁ……)
理樹(とりあえず、ボーっとしてようか……)
小毬「理樹く~ん、おはよ~」
クド「ぐっどもーにんぐなのです、リキー」
理樹「……え、ああ。おはよう二人とも」
小毬「あれれ? ちょっと元気ない?」
理樹「あ、ゆうべ夜更かししちゃってさ……」
クド「夜更かしですか? 習慣になるといけないのですよ」
理樹「うん。気をつけるよ」
鈴(……)
恭介(お、鈴からメールか)
恭介(『理樹が夜更かししてたらしい(∵)』)
恭介(……何だこの妙な顔文字は)
恭介(『報告ご苦労。引き続き調査を頼む』)
恭介(送信っと)
恭介(……ん? またかよ……ったく授業中だってのに)
恭介(『夜更かしだぞ、心配だ(∵)』)
恭介(『夜更かしくらい誰でもする。まだ何とも言えない』)
恭介(『休憩時間にまた裏庭で話す。今は黙って授業を受けてろ』)
恭介(『あと、その顔文字やめろ』)
恭介(よし、これでいいな)
鈴(む……)
恭介(……チッ、まだ何かあるのかよ)
恭介(えーと?)
『(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)
(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)
(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)
(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)
(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)(∵)』
恭介「うわぁあああぁああっ!!?」
教師「ん、何だ棗。大声上げて」
恭介(鈴っ……覚えてろよ……!!)
裏庭――
恭介「おい、鈴! さっきはよくも赤っ恥かかせやがったな」
鈴「知らん」
鈴「それより理樹はどうなんだ」
恭介「どうなんだって言われてもな。お前の方がよく分かってるんじゃないのか?」
鈴「ちょっとふらふらしてた」
鈴「けど、やばいほどではないと思う」
恭介「ふーん……」
恭介(よし、このタイミングだな)
恭介「今のとこ、問題はないように思えるが……」
恭介「万が一を考えて介抱してやる準備も整えておいた方が良いだろう」
鈴「うん。あたしもそれがいい」
恭介「俺が理樹の傍に付いててやりたいが、鈴の方がより適役だ。学年、クラスも同じだしな」
恭介「それにあいつも俺より鈴が近くにいる方が嬉しいだろ」
鈴「ん? なんでだ?」
恭介「そりゃお前、野郎より女に看護されたいに決まってるじゃないか」
鈴「あいつは恭介が好きだぞ」
恭介「え……」
恭介(……やべっ、一瞬キュンとしちまった!)
鈴「……なに顔赤くしてるんだ、きしょいな」
恭介(惑わされるな、今は鈴のコスプレが至上命令……心頭滅却……)
恭介「だとしてもだ。理樹はお前も好きなんだよ」
鈴「!?」
恭介「だからだな、俺を好きでも女のお前の方が更に良いと言って……」
鈴「……」
恭介「……何、顔赤くしてんだよ」
鈴「う、うっさいこの馬鹿兄貴!」
恭介「で、理樹を保護したとして」
恭介「大事に至らなければいいが、疲労が重いと回復には時間がかかるだろう」
鈴「ん……」
恭介「だが、俺たちとしてもなるべく早く理樹に復帰してもらいたい」
鈴「それはそうだな」
恭介「一説によると、患者の心理状態が良ければ通常より回復速度が早まるらしい」
鈴「しんりじょうたい?」
恭介「簡単に言えば、気分が良けりゃ早く健康になるってことだ」
鈴「気分か……」
恭介「つっても倒れて寝てる状態じゃ、気分なんざそうそう良くなんかならん」
恭介「むしろ悪化の一途だろう」
鈴「じゃ、どうするんだ」
恭介「そうだな……」
恭介「横になってるだけでもテンションが上がるような……」
恭介「そう、『何か』を見るだけで気分が高揚する。そんなものがあればいいんだが」
鈴「『何か』ってなんだ」
恭介「それが分かりゃ苦労しねーよ」
恭介「……あ。待てよ」
鈴「なんだっ、なにか思い出したのかっ」
恭介「あーいや……これはちょっとな」
鈴「いいから教えろっ、恭介!」
恭介(はっはっは! その食いつきっぷり最高だぜ!)
恭介「……あんまり言いふらすなよ?」
鈴「んっ!」
恭介「理樹はさ、ナースが好きなんだよ」
鈴「!?」
鈴「なにぃ!?」
恭介「病院にいるだろ、看護婦。あのカッコがもうビンビン来るんだとさ」
鈴「し、知らんかった……まさか理樹がそんな変態だったとは……」
恭介「男ってのは得てしてそんなもんだ。理解してやれ」
鈴「そ、そういえば……」
鈴「お前らのお見舞いに行ったときだった……」
恭介「ん?」
鈴「理樹に話しかけても無視されて、なんだと思ったら看護婦に目を向けてたな……」
恭介「へえ……」
恭介(理樹のナース萌えは本当だったってことか)
恭介(しかし……これは思わぬところから援軍だ。よし、一気呵成に攻めよう)
鈴「……なんか思い出したらムカついてきた」
恭介「それだけ、好きだったんだろ。男の性ってもんだ」
鈴「じゃあ、なんだ。理樹が倒れたら病院に連れて行けってことか?」
鈴「なんというか、当たり前すぎるぞ」
恭介「確かに然るべき処置だと思うが……」
恭介「病院に行ったんだから分かってるだろ。都合よく看護『婦』だけが来てくれるわけじゃない」
鈴「あ、そうか……男もいたな」
恭介「更に、患者は他にも大勢だ。例え入院したとしても短時間ですぐに別の病人のとこに回される」
恭介「もっと身も蓋もないことを言えば、金かかるしな」
恭介「まあよっぽどの重体なら病院送りも止むを得ないだろうが」
鈴「うーみゅ……」
恭介「結論としては」
恭介「病院には行かず、しかしナースに理樹を看護してもらう」
恭介「これが一番、理想的な対応となるわけだが……」
鈴「うちの学校にナースはいないだろ」
恭介「ごもっともな指摘だな」
鈴「なら、保健室の先生はどうだ」
恭介「ただの白衣には興味がないらしい」
鈴「うー……面倒くさいな、理樹のやつ」
恭介「別に本物のナースじゃなくていいんだよな、要はあのカッコが良いわけだから」
鈴「こすぷれってやつか」
恭介「お、知ってたのか。そう、コスプレで十分理樹は満足するはずだ」
鈴「……」
恭介「……」
恭介「……チラッ」
鈴「な、なんだその目は」
恭介「誰か、コスプレしてくんねーかな……」
鈴「ぜ、絶対いやじゃぼけーっ!!」
恭介「どうして。理樹は喜ぶぞ?」
鈴「だってなんか恥ずいだろっ」
恭介「お前さっき、病院で理樹に無視されてムカつくとか言ってたろ」
恭介「……理樹の視線を独占出来るかもしれないぞ?」
鈴「……!!」
鈴「で、でも、やじゃっ!」
恭介(ふん、天邪鬼な奴め)
恭介「……そうだな。無理言って悪かった」
恭介「んじゃこの役目は来ヶ谷に頼むとしよう」
鈴「!?」
恭介「来ヶ谷のナースコス……理樹にとっては垂涎ものだろう」
恭介「何たってお前なんかと違って、出るとこ出てるしな。オトナの魅力ってやつだ」
鈴「なにぃ……!」
恭介(こいつは理樹と来ヶ谷が絡んでると、何かと不服そうにするんだよな)
恭介(まあ対抗意識を燃やしてるんだろうが……これでどうだ?)
鈴「……」
恭介「来ヶ谷も理樹を可愛がるの好きだし、必ず引き受けてくれるだろう。早速あいつに……」
鈴「ま、待て……恭介」
恭介(来たか!?)
鈴「くるがや……というか、みんなに言わないんじゃなかったのか」
恭介「確かにそうは言ったが、お前が嫌なら代役を頼むのは仕方ないだろう」
鈴「あ、あたしは……」
恭介(コッスプレ♪ コッスプレ♪)
鈴「……こすぷれなんかするかこのぼけーーーーっ!!!」
鈴「理樹のどあほーーーーーっっ!!!」
恭介「ありゃ……逃げちまったか」
恭介「……まあいい。元より、逃げ場など与えていない」
恭介「最終段階だ。これで決めてやるぜ!」
休日・理樹と真人の部屋――
恭介「諸君、機は訪れた」
真人「ついに来たか……」
理樹「あー……もう憂鬱になる」
恭介「本日の任務を確認する」
恭介「まず俺、真人、謙吾の3人は女連中といつも通り野球の練習」
恭介「重要なのは、全員『場に留まらせる』ということ」
謙吾「善処しよう」
恭介「そして理樹……」
恭介「お前と鈴は、練習には来られない」
理樹「分かってるよ……貧血で立ちくらみ、卒倒するんでしょ」
恭介「ああ。仰々しくする必要はないからな」
理樹「上手くいかなくても文句言わないでよ」
恭介「信じてるさ」
理樹「こんなしょうもないことで信頼されてもなぁ……」
恭介「……時間だ。俺たちは出るぞ」
恭介「……武運長久を祈る」
理樹「はいはい」
真人「行ってくるぜ」
謙吾「理樹、お前ならきっと大丈夫だ」
理樹(何かいい雰囲気になってる……ズレてるのに)
……………………
鈴「理樹」
理樹「あ、おはよう鈴」
鈴(……大丈夫そうだな)
理樹「どうかした?」
鈴「なんでもない。それよりあの馬鹿三人は?」
理樹「先に行ったよ」
鈴「そうか。それじゃ行くぞ」
理樹「うん……っと」
鈴「! ど、どうした理樹」
理樹「ちょっと足元がふらついただけだよ」
鈴「……だ、大丈夫か」
理樹「何心配してるのさ。大丈夫だって」
鈴「……」
鈴「理樹、訊きたいんだが……」
理樹(……よし、もういいかな)
鈴「……ナー……」
理樹「うっ……」
鈴「!!? り、理樹っ!!」
理樹「……」
鈴「理樹っ、理樹!! しっかりしろっ!」
理樹(鈴、ごめんね……)
鈴「え、えらいことになった……」
鈴「とにかく、ベッドに……!」
鈴「んしょ、んしょ!」
鈴「……よし、これでひとまずは安心だな」
鈴「あとはみんなに言って……」
鈴「……? なんだあの紙袋」
理樹(……!)
鈴「怪しいな……理樹、ごめん。勝手に見るぞ」
鈴「……!?」
鈴「な……なんじゃこれはぁーーーーーっ!?」
理樹(ビックリし過ぎだよ鈴……)
鈴「ナ……ナース服……」
鈴「もしかして……自分でこすぷれしてたのか?」
理樹「!!?」
理樹「ちがっ……!!」
鈴「! 理樹、気がついたか!?」
理樹(っ……しまった……)
鈴「理樹……」
理樹「り、鈴……。ごめん、ちょっと疲れが出ちゃって」
鈴「大人しくしてろ。ゆっくり休んでおけ」
理樹「う、うん」
鈴「こすぷれは体調が戻ってからだ」
理樹「違うよっ!?」
鈴「だってこれ、ナース服……」
鈴「? なんか紙が乗っかってるな」
鈴「……くるがやへ。理樹が好きだから着てやってくれ。恭介……」
鈴「あ、あいつの仕業かー!」
理樹(ホッ……何とかド変態扱いはされずに済みそう……)
鈴「まったく……理樹、あたしはみんなに知らせに……」
鈴「……!」
鈴(みんなに言ったら、理樹に会いに来る)
鈴(もちろん、くるがやも……)
鈴(どこかに隠すかっ……でも、見つけられそうだ……)
鈴「ーーーっ!」
理樹「……鈴?」
鈴「……理樹、訊きたいことがある」
理樹「え、何?」
鈴「ナ、ナースは好きか?」
理樹「えっ!? きゅ、急にどうし……」
鈴「こ、答えろ早くっ!」
理樹「う……」
理樹「す……好き、です……」
鈴「う~っ!!」
鈴「と、特別だからなっ!? これっきりだからなっ!!」
理樹(え……ホ、ホントにコスプレしちゃうの……!?)
鈴「……っ、何だこれ。小さくないか……?」
鈴「着れるのか、こんなの……」
鈴「一回、確かめて……」
理樹「……っ!?」
理樹(ま、まさかここで着替えるのか……!?)
理樹「……ふーっ、ふーっ」
鈴「ん……?」
鈴「……ふにゃっ!?」
鈴「み……見るな、ぼけーーーっ!!」
理樹(あぁ……隠れちゃった)
理樹(ちょっと残念……いやいや、羞恥心持ってくれて良かったんだ、うん)
グラウンド――
恭介(行動が特に予想できないのは三枝)
恭介(理屈抜きで要注意人物なのが来ヶ谷……)
恭介(この二人を抑えときゃ、理樹に渡した消音カメラで全てを収められる)
恭介「ショート! 来ヶ谷もう一球!」
来ヶ谷「うむ!」
来ヶ谷(……未だ理樹君と鈴君は現れず、か)
来ヶ谷(ふん……何やらきな臭い)
来ヶ谷(恐らくは恭介氏がまた一枚噛んでいるのだろう)
クド「わふーっ! 相変わらずの美技ですっ、来ヶ谷さんっ」
来ヶ谷「はっはっは。クドリャフカ君も俊敏に動けているぞ」
葉留佳「よーし、私もクド公に負けてられないっ! とりゃーっ!」
小毬「わわっ、はるちゃんすごい……大暴投だよ……」
真人「おい、三枝っ! どこ投げてやがんだ!」
葉留佳「ありゃー……?」
真人「ったく、てめーでボール取りに」
謙吾(馬鹿、違うだろ!)
謙吾「うおおおおおっ、リトルバスターズ・フルパワーダーーーッシュッ!!!」
恭介(ナイスだ、謙吾!)
来ヶ谷(……ふむ)
理樹と真人の部屋――
――エロシーンスキップ――
♪しゃららららら
♪うー、わー
♪……
♪えくすったっすぃ~
――遡及解除――
鈴「理樹……これでいいのか?」
理樹「……!!」
理樹(こっ……これはっ……!!)
鈴「り、理樹っ、あんま見るな。恥ずい」
理樹「あ、ご、ごめん……」
鈴「まったく……この服、丈が短すぎるぞ……」
理樹(り、鈴の太ももがっ……太ももがああああっ!!)
鈴「……理樹はこーいうのが好きなのか……」
鈴「……変態だな」
理樹(うわぁあああぁぁ……)
鈴「ちょっと待ってろ。水持ってくる」
理樹「う、うん」
理樹(……!!)
理樹(この角度だと、ぱ、ぱんつがっ……!)
鈴「……?」
理樹(白ォ!!)
鈴「理樹、水だ」
理樹「ハァッ……ハァッ……」
鈴「だ、大丈夫か理樹……すごい汗だぞ」
理樹「お、お構いなく……」
理樹(不味い……こんな刺激的なもの見せられたら僕はっ……!)
理樹(うっ……勃ってきちゃった……)
鈴「……ん?」
鈴「理樹、なにか布団に入れてるのか?」
理樹「!!?」
鈴「へんなもん入れるな。気になるぞ」
理樹「こ、こ、これは何でもありませんからっ!」
鈴「なんだ急に。とにかく、一度ふとん剥ぐからな」
理樹「や、やめっ!?」
鈴「……?」
鈴「なんだこれ……ぼっこ?」
理樹「ーーーっ!!」
鈴「ズボンにぼっこ? なんだ、どんな趣味してるんだお前」
理樹「い、いいからっ! もういいんだっ、やめてくれ鈴っ!!」
鈴「そうはいかない。あたしは理樹に付きっきりで看病するって決めたんだ」
鈴「こんな遊びしてないで、ゆっくり休め理樹」
鈴「……あたしがずっと傍にいてやる」
理樹「……!!」
鈴「? なんか今ぼっこが動いたぞ」
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鈴「なんだこれは、気になるな」
理樹「それ以上は……あぅっ!?」
鈴「うわっ、かたい……?」
理樹「――――」
鈴「それに熱い……?」
理樹「――――アッ」
どびゅっ、びゅくっ、びゅるっ、びゅるるっ
どくっ、どくんっ、どぷっどぷっ、どびゅっ
鈴「…………」
理樹(……しゃ、射精しちゃった……)
理樹(……最低だ、僕)
鈴「……理樹」
理樹「うん……今まで、色々ありがとね」
理樹「僕は最高に楽しかった……」
鈴「な、なにお別れみたいなこと言ってるんだっ」
理樹「だ、だって……こんな情けない姿を見られたらさ……もう終わりだよ」
理樹「幼馴染の手コキでズボンにくっさい精液ぶちまけたんだよ?」
鈴「んと……そのぼっこみたいなのは、その……」
鈴「り、理樹の、……ちんちん、だったんだな……」
理樹「あ、その言い方可愛い」
鈴「ツ、ツッコむな!」
理樹「はは……何だろう、この解放感」
理樹「今ならこの上なく素直になれる……」
理樹「あぁ……素晴らしいな……」
鈴「理樹……」
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鈴「理樹、お前の出した、それ……」
理樹「精液?」
鈴「す、少しは遠慮がちに言えっ!」
理樹「ご、ごめん……つい投げ槍に」
鈴「……し、知ってるぞ、それは」
鈴「……き、気持ちよくなったら、ぴゅって出るんだろ」
理樹「え? うん、そうだけど……知ってたんだ」
理樹「勃起も知らなかったのに……」
鈴「し、知っとるわ! ただ、ホンモノを見たことなかったから……」
理樹「そっか」
理樹「ふぅ……それじゃ、鈴」
理樹「今まで、ありがと……って」
鈴「んっ」
理樹「……鈴!?」
理樹「ぱ、ぱんつを脱いで、何を……」
鈴「あ、あたしはしたくないんだぞっ!?」
鈴「したくないんだがっ……!」
鈴「り、理樹一人、勝手に気持ちよくなったのはダメだろっ」
理樹「……!?」
鈴「理樹……あたしのもしないとダメだっ……」
俺のちんこがこむら返りした
理樹「そ、それってつまり……」
鈴「は、恥ずかしいんだから早くしろうすのろっ」
理樹「!!?」
理樹(り……鈴のっ! 鈴の秘孔が、目の前にっ……!?)
理樹(あっ……ま、また勃っちゃう……)
鈴「!!?」
鈴「り、理樹っ!? なんか、またぼっこになったぞ!?」
鈴「すごい反り返ってるぞ!?」
ぼっこてなんなん
理樹「こ、これは、急に興奮するとまた大きくなっちゃうんだよ」
鈴「い、一回出たらしばらくは休むんじゃないのか?」
理樹「普通はそうなんだけど……」
理樹「相手の女の子が、とっても魅力的に映るとね……」
鈴「り、理樹……」
鈴「あたしのこと、どう思ってる……?」
鈴「ナースのこすぷれして、ぱんつ脱いで男の前に仁王立ちしてるド変態と思ってないか……?」
理樹(改めて思うと酷い状況だな……)
理樹「ちょっぴり思ってる……かな」
鈴「や、やっぱりあたしド変態なのかっ……!?」
>>312
調べたら北海道の方言だったわ
木の棒って意味、すまんね
理樹「だ、大丈夫だよ鈴」
理樹「この状況見るとさ……僕も立派なド変態なんだ」
鈴「理樹……」
鈴「……なんかいやだな」
理樹「う……ごめん」
鈴「と、とにかくっ!」
鈴「……き、気持ちよくさせてくれ」
理樹「うん……分かったよ、鈴」
理樹「……好きだよ、鈴」
鈴「ん……あたしも好きだ、理樹」
グラウンド――
恭介「ぜえっ、ぜえっ」
謙吾「はぁっ……くはぁっ!」
真人「ぐっ……ぐぐっ……!」
来ヶ谷「ほらほら、もうお終いか野郎共」
葉留佳「あ、姉御……殺人ノック、パネェッス……」
小毬「ちょ、ちょっと可哀相……」
来ヶ谷「もう粘れない様子だな。私は行かせてもらうぞ」
恭介「まっ……待てえっ……!」
恭介「……ヒューッ、ヒューッ」
クド「き、気管支喘息なのですっ……」
来ヶ谷(かなり手間取ったな……余程、大きなことを隠しているのか)
来ヶ谷(しかし、二人の場所が分からんな)
来ヶ谷「……真人君! 二人はどこにいる!」
真人「ヘェッ、ヘェッ……し、知らねえよっ!」
来ヶ谷「……教室か?」
真人「ちげーよっ!」
恭介「まっ……まざどぉっ……ぐぢをひらぐなあっ……!」
来ヶ谷「ならば……君達の部屋か?」
真人「……さ、さあな」
謙吾「真人ぉっ、誤魔化しがお粗末過ぎだっ……!」
恭介「バ……バガヤロッ、でめーもだろーがっ……!」
来ヶ谷「ふん、そこか」
真人「ち、ちげーよっ!?」
来ヶ谷「返答が遅い。さらばだ」
真人「ちょっ、まっ……!」
恭介「まざどおぉおぉおおぉっ、げんごおおぉおおおぉおぉっ……!!」
理樹と真人の部屋――
来ヶ谷(……静かだな)
来ヶ谷(鍵は……ん? かかってないな)
来ヶ谷(……入るか)
来ヶ谷「やあ、二人共元気に……」
来ヶ谷「……気配なし。一歩、遅かったか」
来ヶ谷「ふむ? これは一体……」
来ヶ谷「……!?」
鈴の部屋――
鈴「理樹」
理樹「あ、うん。もう平気だよ」
鈴「ん。ところで、どうしてあたしの部屋に?」
理樹(あれ以上くっさいニオイこびりついたらマズいからね……)
理樹(この部屋なら個室だし大丈夫だろう……。僕はしないし)
鈴「理樹……まだ、してもらってないんだぞ」
理樹「はは。何、鈴。そんなんじゃエッチな子だよ」
鈴「!? ふかーっ!」
鈴「も、本はと言えばお前がびゅーびゅーへんなの出すからだろっ」
理樹「あ、あれは鈴が可愛すぎてさ」
鈴「……!」
鈴「許す」
理樹「ありがと……」
理樹「え、えぇとさ……。着替えちゃったんだけど……」
理樹「どうせやるなら、またナース服に……」
鈴「なにぃっ!? またか、またなのかっ!?」
理樹「あのピチピチ具合がどうしても忘れられなくて……」
理樹「り、鈴の太ももとか……」
鈴「う~……なんかお前、すごいえろいこと言ってるぞ」
理樹「食い込んだぱんつとかさ……」
鈴「え、えろいな……」
理樹「露わになった紅い蕾とか……」
鈴「いい加減にしろっ」
理樹「いたっ」
鈴「理樹ぃ……」
理樹(う、甘えてくるのも可愛い……)
理樹「そ、それじゃ鈴……約束は約束だから……」
鈴「んっ……た、頼むぞ」
理樹「……ハァッ、ハァッ」
鈴「ーっ」
ブブブブブブ……
理樹&鈴「うわああああっ!!?」
理樹「何だっ、携帯……?」
鈴「邪魔するなふにゃーっ!」
理樹「メール……来ヶ谷さんからだ」
鈴「!?」
理樹「『大切なブツは預かった』……?」
鈴「たいせつなぶつってなんだ」
理樹「……!」
理樹(カ、カメラがないっ……置き忘れたんだ!)
理樹(まずいっ、あれには鈴のナース姿が……)
鈴「理樹? なに焦ってるんだ」
理樹「鈴っ、ごめんちょっと待ってて!」
鈴「ど、どうしたんだ理樹っ」
理樹(既に見られてるのは確実……けど一刻も早く取り返さないと!)
理樹(……! またメール!)
理樹(『尚、私はこの画像集の一枚目しか見ていない。安心するといい』)
理樹(見られちゃ同じだよっ!)
理樹と真人の部屋――
理樹「来ヶ谷さんっ!」
来ヶ谷「やあ理樹君。首を長くして待っていたよ」
理樹「そ、そのカメラを、返して……」
来ヶ谷「ふふ。これだな」
来ヶ谷「……ハイ、そうですかと私が素直に応じるとでも?」
理樹「くっ……」
来ヶ谷「ふっ……」
来ヶ谷「……ハイ、そうですか」
理樹「えっ?」
来ヶ谷「? どうした、いらないのか」
理樹「い、いや……そうじゃないけど」
理樹「……ど、どうして」
来ヶ谷「どうして、とな」
来ヶ谷「……いくらおねーさんとは言ってもだな」
来ヶ谷「何だ、まあ仲睦まじいカップルの詮索までしようという気は起こらんのだよ」
理樹「……!」
来ヶ谷「……君達がそんな関係になっていたとは露知らずだったぞ」
来ヶ谷「……水臭いな、君達は」
理樹「く、来ヶ谷さん……」
来ヶ谷「好奇心によって、初めの一枚は見てしまったが……」
来ヶ谷「以降は見ていない。信じてほしい」
来ヶ谷「ただ、他人のプライベートを覗いたのは事実だ。非礼を詫びよう」
理樹「いや、そんな謝ることは」
来ヶ谷「うむ。老婆心ながら一言付け加えるのなら」
来ヶ谷「……中々いい趣味をしているな?」
理樹「ーーーっ!!」
来ヶ谷「はっはっは。理樹君も隅に置けないな」
理樹「もうっ」
鈴「理樹ーっ!!」
理樹「あ、鈴……」
鈴「!? く、くるがやっ!?」
鈴「ど、どうしてくるがやがここにっ」
来ヶ谷「鈴君か」
来ヶ谷「うむ。君はやはり理樹君の隣が定位置なのだな」
鈴「……?」
来ヶ谷「おねーさんは満足だよ。幸せを祈っているぞ」
理樹「あ……来ヶ谷さんっ!」
理樹「ありがとうっ……!」
来ヶ谷「……理樹君」
来ヶ谷「それは、理樹君の意志によるものだったのかな?」
理樹「え……と」
理樹「実は、全部恭介の謀だったんだよ……」
来ヶ谷「やはりな……」
鈴「?」
理樹「で、でも、僕の鈴の気持ちはっ」
来ヶ谷(!)
来ヶ谷「……データは、消去してしまうのが望ましいな」
理樹「!」
来ヶ谷「……そんなものを残さなくとも、これから続いていくのだろう?」
理樹「あ……うんっ」
鈴「お前ら、なにを話してるんだ?」
理樹「来ヶ谷さん、ホントにありがとうっ」
来ヶ谷「うむ。お幸せにな」
来ヶ谷(……油断ならぬ)
…………………
……………
………
恭介「……そうか、データの保存は失敗に終わったか」
理樹「う、うん……」
理樹「きょ、恭介、実はさ……。言いたいことが……」
恭介「鈴と付き合うことか?」
理樹「えっ!? ど、どうしてっ……!」
恭介「ふ、お前の顔見りゃ一発で分かるさ」
恭介「……ずっと昔に言った覚えがあるが」
恭介「そうなればいいなって、俺は思ってたんだぜ」
理樹「きょ、恭介……!」
恭介「ちょっと不純な動機ではあったが」
恭介「結果的には万々歳だな。おめでとさん」
理樹「ありがとう、恭介……」
恭介「ほら、鈴のとこに行かなくていいのかい、彼氏さん」
理樹「あ、うん……! それじゃ、行ってくるよ!」
恭介「おうっ!」
恭介(…………)
恭介(……よしっ)
未明・恭介の部屋――
恭介(……ふっふっふ。理樹は知る由もないが)
恭介(お前の部屋にはな、もう一つだけカメラを仕込んであったのさ)
恭介(コスプレ自体は上手くいったんだから、こっちにはしっかり残ってるはずだ)
恭介(それに、理樹と鈴が恋人になった。嬉しい誤算だ)
恭介「……ふっふっふ。一挙両得か」
恭介「笑いが止まらないぜっ」
恭介(さて、お待ちかね・鈴のナースコスプレ集……)
恭介「スタートッ!」
恭介「……」
恭介「……あ、あれ? おかしいな、表示されない」
恭介「んー……?」
(グロ画像)
恭介「――」
恭介「――」
恭介「――」
恭介「……ッ! ハッ……ハァッ……!!」
恭介「こっ……この悪趣味なイタズラ……」
恭介「来ヶ谷かっ!? クソッ、やっぱりあの時気付かれていたか……!」
恭介「……周到に準備したのにっ」
恭介「畜生っ!!」
生徒「ん~……うるさいぞ棗~……」
恭介「っ……!」
恭介(……ふん。いいだろう)
恭介(俺は決して諦めない……)
恭介(不屈の根性で以て……いつか全てを白日の下に晒してやんよっ!!)
END
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// ヽ
| | ヽ |
| | | | | |
Ⅵ | | | |/リ じゃ、解散
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| | | | l_l^l イー--W--┴..、
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ヽ ノ/:::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ_
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盛大にわろた