佐天「妖精さんと楽しくおしゃべりできる能力かぁ...」 (26)

とある×人類は衰退しましたのクロス。

「人類は衰退しました」からは妖精さんだけの登場ということで。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1391784057

確か、最初はこの能力についてこんな説明を受けたと思います

佐天「自分の周りの電磁波を...」

先生「うーん、阻害する能力...なのかなぁ? 」

佐天「かなぁって...そこは自信を持って言って欲しいんですけど」

先生「一応、そういった力があるはずって結果が出たには出たんだけど...」

先生「なんというか、それだけじゃないとも...」

佐天「......」

先生「うん、これは実際に見てもらったほうが早いかな」

先生「はいこれ、検査結果の紙」スッ

佐天「えっとドレドレ...うわぁ...」

先生「ね。解析不能ばかりでしょ? 」

先生「だから、現時点では何とも言えない状態ってのが正しいのかな」



佐天「せ、折角能力者に仲間入りしたかと思ったのに...」

佐天「こんな、意味不明な...」

佐天「......」

先生「ははっ、そう気を落とすことはないよ」

先生「今はまだ解析不能でも、レベルが上がったりすれば変わるかもしれないし」

先生「検査技術の向上で、次回以降は分かったりするかもしれない」

先生「だから今は、素直に能力者になれたことを喜ぶべきだと思うかなぁ」

佐天「...ですかねぇ」


この時、先生は私を元気づけようとしていたのか、はて...


先生「それにほら、実はとんでも能力に目覚めた可能性だって」

佐天「無いです。それだけは」


即答。我ながら、ズバっと言えたと思います


先生「いーや、大いにありえるね」

先生「なんたって、この学園都市が誇る機材をもってしても正体をつかめなかった能力なんだ」

先生「もっと自信を持ちなさい! 」


結果として、この言葉は正鵠を射ていたのですが...

それに気づくのはもう少し先になりました

佐天「自信って...先生にだけは言われたくないです」

先生「な、なんだって!? 」


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帰り道、頭の中ではあの検査結果が渦巻いていました

解析不能、解析不能

わかっているのは、電磁波を阻害する能力がある筈だという抽象的なものだけ

具体性に裏付けされた学園都市には似つかない、不思議なものです


佐天「なんだかなぁ...」


気がつけば、部屋はもう目の前でした

考え事とは、まこと恐ろしきものです

こうして、時間までも飲み込んでしまうのですから


『...んさん、..げんさん』

佐天「...えっ? 」


空耳でしょうか

何か、聞こえたような...


『おつかれの、ごようす』

『かたでも、もみますぅ? 』


今度ははっきりと

甲高く、可愛らしい声が...

......

確かに、それは私に向けられたものでした

しかし、あたりを見渡しても声の主らしきものは見つからず...


佐天「なんだったんだろ...」


釈然としない思いを抱えながらも、諦めて鍵を開けることにしました

ハテナマークは、据え置きということで

...部屋の鍵は、いつも鞄の脇の小さなポケットに入れています

なんとはなしに取り出そうとした時、なんだか違和感

鍵を取り出す右手には、水色のミサンガが...が?







佐天「あ、これ結構可愛いかも」

...じゃなくて

こんなもの、身につけた覚えがありません

いつから右手に...

と、ここで一つ閃いたことがありました


佐天「ミサンガさーん、出ておいでー...」


......

なぜ、そういった考えが浮かんだのかは謎ですが...

不思議な声とミサンガ、両者には何らかの関係があると思えました

考え事をしすぎたせいで、頭がおかしくなっていたのかもしれませんね

ミサンガが言葉を話す筈もないのに...


ただ、思考同様、事態までもおかしな方向へと転がっていきます


『みさんがとはかりのすがた』

『わたしはまだ、みっつのへんしんをのこしてるのですぅ』


ミサンガの独白は続きます


『ただし、ここはきけんばかりゆえ、できませぬ』

『あいほーぷごーほむ』

『にんげんさんにおねがいするです』

佐天「......」


絶句、話の途中で言葉に詰まること

まさしく、今の私がそんな状態です

ああ、目眩もしてきました

少し、寝不足なのかもしれません

今日はもう寝ましょう。宿題なんて、どうでもいいんです

ただぐっすり、ふかふかのベッドで...

......

いや、現実逃避はやめましょう

こうやって会話が成立してしまったのですから、晴れて私も不思議の国の住人に仲間入りです

ミサンガが変身したり、喋ったり、要求を突きつけてきたり...

こんなものは、すべてアタリマエの世界にやってきたのですから...


パンッ

一度両手で頬を叩き、気合を入れます

受け入れてやりましょう、何もかも


私は、ゆっくりとドアノブを掴みました

この扉を開けば...いや、開かなくても結果は同じなのですが...


佐天「さあ、新世界へ! 」


そして、一歩を踏み出します




黒歴史の誕生です。今日の出来事は一生忘れないでしょう



寝ます

佐天さんですが、独白部分が私ちゃん、行動発言部分は佐天さんという感じで行きます

今更ですが、キャラ崩壊注意です

一ヶ月後...

『にんげんさん、にんげんさん』

『おやつはいつになったらもらえるです? 』

佐天「うーん、そうだなー」

佐天「買ってくるとなるとコストがアレだし...」

佐天「作るとしても今度は手間がなぁ...」ウーム

佐天「ねえねえ、やっぱりガムじゃだめなの? 」

『がむはおやつではありませぬ』

『のみこめぬゆえ』

『ばななとはちがうのです』

佐天「厳しいなぁ。だってこんなに美味しいのに」パクッ

『どうしてもというのなら、つめこみますが? 』

『ちっそくするとわかっていても、おとこにはひけぬときが』

『あったり、なかったり? 』キョトン

佐天「あーもう、そんなことに命を懸けなくてもいいから」

佐天「明日帰りに買ってくるから、それまで待ってて」

『わああ』


私と話していたのは、妖精さん

手のひらサイズのデフォルメボディと甲高い声

そして、それに似合わぬシビアな思考とハイパーなテクノロジーを持つ

なんとも言い難い、不思議な子達です

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