P「アオイィィィィィトリィィッィ♪」
千早「!?」
千早(プロデューサーが私の歌を口ずさんでる)
小鳥「プロデューサーさん、ご機嫌ですね」
P「え? 何ですか?」
小鳥「だって歌ってたじゃないですか」
P「ああ、作業中に歌っちゃうのが癖なんですよ。うるさかったです?」
小鳥「いえ~、それくらいの声量なら大丈夫ですよ」
P「そうですか、ありがとうございます」
千早(プロデューサー、鼻歌が癖なんだ…ちょっと意外)
千早(でも、私の曲を気に入って歌ってくれるのは嬉しいかも)
翌日
P「アオイィィイィィィトリィィィィ♪」
千早(あ…また歌ってる)
千早(それでも作業は滞ってないみたいだから不思議だわ)
P「アノソォォォォォラヘェェェ♪」
千早(ふふ…)
P「フンフン…ゴニョゴニョ」
千早「?」
P「アオイィィィィィトリィィィィ♪」
千早(ループ!?)
千早(もしかしたら…プロデューサーって)
千早(サビの所しか覚えてない!?)
P「ゴニョゴニョ…」
千早(やっぱり…わからない所は適当にごまかしているわ)
千早(せっかくだからちゃんと歌ってほしいわね…)
春香「でねー千早ちゃん」
千早「」スック
春香「? 千早ちゃんどうしたの? 突然立ち上がって」
千早「……」
千早「泣く事~ならたやすいけれど~♪」
春香「!?」
千早「悲しみには流されない~♪」
春香「え? え? どうしちゃったの!?」
千早「春香、今は黙ってて」
春香「は、はい」
千早「恋した事~♪」
春香「……」
P「……」
千早「……そう悔やんでも~♪」
千早「……ふぅ」
春香「や、やっぱり千早ちゃんは、歌上手だね」
千早「そう、ありがとう」
春香「でも突然どうしたの?」
千早「いえ、急に持ち歌の歌詞を確認したくなって」チラッ
春香「そ、そうなんだ」
千早(どうかしら。プロデューサー、おぼえてくれたかしら……)
P「……」
千早「……」
P「……ナァ…」
P「ナクコトォナラタヤスイケェレドォ♪」
千早(よしっ!)ガッツ
春香(千早ちゃんが謎だ…)
翌々日
P「ムレヲハナレタトリノヨォニ♪」
千早(歌ってる歌ってる)
P「アスノイキサキナドシラナイ♪」
千早(どうやら歌詞はほぼ完ぺきみたいね)
千早(でも…)
P「ダケドキズツイテ♪」
千早(今度は音程が気になるわ…!)
P「イツモココロノママタダハバタクヨォ♪」
千早(あっそこっ! そこ半音高い!)
千早(どうしても気になるわ…。どうせなら正しく歌ってもらいたいし…)
P「アオイィィィィトリィィィ♪♪」
千早(ここは物凄く気持ちよさそうに歌うわね)
千早(でもやっぱり教えなきゃ気が済まないわ)
春香「でねー千早ちゃん」
千早「」スック
春香「千早ちゃん…?」
千早「……」
春香「……」
千早「いつも心のまま ただ羽ばたくよ♪」
春香「また!?」
春香「どうしたの千早ちゃん!?」
千早「いえ、ここの音程を確かめたくて」
春香「えぇぇ…? でもいっつも完璧じゃない?」
千早「でも、ここはサビの前だから大事な所なのよ」
千早「ギリギリで張り詰めた感じを出して、音程を狂わさないようにしないと」チラッ
春香「そうなんだ……」
千早(どうかしら。プロデューサー、ちゃんとわかってくれたかしら…)
P「……」
千早「……」
P「……」
P「……ィィ……」
P「イツモココロノママ タダハバクタクヨォ♪」
千早(そうっ! それっ! それでいいのっ!)ガッツ
春香(絶対おかしい)
翌翌々日
P「マドカラミルヒカルウミヨリィ♪」
千早(うん…今日も歌ってるわね)
P「ナミノナカヘトミコミタァイ♪」
千早(音程も歌詞も完璧だわ。良かった)
千早(でも…)
P「ヒキトメテルゥ♪」
千早(今度は感情をこめて歌ってほしいわ……!)
千早(これじゃあただ、正しく歌っているだけだもの…!)
千早(もっと歌詞の意味を考えて、感情豊かに聞かせないと…)
P「アオイィィィィトリィィィ♪♪」
千早(それにしても、ここホント気持ちよさそうね)
千早(それは置いといて……よし…)
春香「そしたらね、千早ちゃん」
千早「」スック
春香「!?」
春香(来る…)
千早「……」
千早「…すうっ」
千早「泣く事ならたやすいけれど♪」
P「!」
春香(マジ歌いだ!)
千早「ふう…」
春香「すごい! 感動しちゃった」
千早「はあはあ…ありがとう春香」
千早「歌ってただ歌えばいいってものじゃないのよね…」
千早「歌詞の意味や旋律の繋がりを理解して初めて歌えたってことになるのよね」チラッ
春香「難しいね」
千早「ええ。でも、だからこそやりがいがあるのよね」チラッチラッ
P「……」
春香「そっかあ…」
千早(プロデューサーに伝わったかしら……)
P「……」
千早「……」
P「……~♪」
P「泣く事ならたやすいけれど♪」イイコエ
千早「キタァ!」グッ
春香「」ビクッ
その翌日も翌々日も
Pの鼻歌に対する千早のさりげないレッスンは続いた
P「あの空へ 私は飛ぶ♪」
千早「はい、そこ声揺らさない! 飛び立つ事をイメージして!」
P「行くべき場所 どこかにある♪」
千早「なあなあで歌わないで! もっと歌詞の意味を考えて!」
P「いつかこの別れを そう悔やんでも♪」
千早「ああもう、そうじゃなくて…! ちょっと歌うから聞いてて!」
春香(何が起こっているの……!?)
一週間後
千早(プロデューサー、だいぶ上達してきたわね)
千早(今日はBメロを完璧にしましょう)
千早「こんにちわ」ガチャ
小鳥「こんにちわー」
P「おう、千早」
千早「どうも」
千早(さあ、歌いだして…)
P「……」
千早「……」
P「……~♪」
P「ねえ 消えてしまっても探してくれますか♪」
千早「!?」
千早(私の曲じゃない…!? 美希の曲!)
千早「どういうことですか、プロデューサー!」
P「え? なんだ?」
千早「今プロデューサーが歌ってたの…マリオネットの心ですよね」
P「ん? ああ、いい曲だよな。美希もがんばって…」
千早「私の、蒼い鳥はどうしたんですか!?」
P「? 好きだよ?」
千早「そうじゃなくて…! 最近ずっと歌ってたじゃないですか」
P「そうだったか?」
千早「そうですよ! 覚えてないとは言わせません」
P「いや、鼻歌なんて無意識だしなあ……。いちいち何歌ったかなんて覚えてないよ」
千早「なっ……!?」
P「適当に気に入ったの歌ってただけだし」
千早「……プロデューサーにとって…私とのレッスンは…」
千早「遊びだったんですね!?」ダッ
P「あっ! 千早!?」
春香(千早ちゃんが勝手にレッスンしてただけじゃ……)
翌日
千早「昨日は取り乱してすいませんでした……」
P「いや、俺の方こそ…。事情は春香から聞いたよ」
P「無意識のうちに俺は千早から歌を教わってたんだな……」
P「どーりで最近声がよく通るようになったと思ったよ」
小鳥「日に日にうまくなっていくので、私も驚いちゃいました」
千早「勝手な真似をしてすいませんでした。これからは自粛します」
P「……」
P「目と目が逢う 瞬間好きだと気付いた♪」
千早「!?」
千早(私の曲……!)
P「はは……せっかくだから他の千早の曲も全部覚えてみたんだ」
千早「プロデューサー……」
P「千早のプロデューサーとして、俺ももっと歌の事勉強しないとと思って」
P「ソラでも千早の曲を歌えるように家で練習したんだ」
千早「プロ…デューサー……」ジーン
P「これもいい機会かもな」
P「これからも暇があったら、レッスン頼むよ千早」
千早「……!」
千早「はい、わかりました!」
小鳥「めでたしめでたし、ですね」
春香「千早ちゃん、ずるい!」
千早・P「!?」
春香「私もプロデューサーさんに自分の曲歌ってほしいよ!」
美希「美希もハニーにもっと歌ってほしいのー!」
雪歩「わ、私も……自分の曲覚えてほしいですぅ!」
やよい「うっうー! プロデューサーさんと一緒に歌いたいですー!」
伊織「わ、私の曲も覚えてもいいわよ!」
あずさ「あらあら、じゃあ私もいいかしら~?」
貴音「まこと、素晴らしい『あいであ』です」
亜美「どうせならさ→」
真美「完璧に歌ってほしいよね→」
真「そうだ、振付も覚えましょうよプロデューサー!」
響「そうだな! 自分、ダンス教えるぞ!」
P「お、おいおい待て待て! 全員分か!?」
律子「ちょっと、そんな事したら仕事に支障が出るでしょ!」
P「そ、そうだよなあ」
律子「だから、おぼえるのは一番最後でいいですよ」
P「え?」
律子「私の曲です」
P「……りつこぉ~」
小鳥「プロデューサーさん、歌手になっちゃいそうですね」
舞台のステージ袖
P「いよいよだな……」
千早「そうですね……」
P「正直、俺も不安だ。でもやるだけのことはやった。自信持っていこう」
千早「はい、絶対成功です」
P「じゃあ……」
千早「はい!」
千早「行って来い!」
P「おうっ!」バッ
Pファン「うおおおおおおおおおプロデューァァァ!!!」
P「みんな、俺のために集まってくれてありがとう!」
Pファン「うおおおおおおおおおおお!!」
P「お馴染み千の声を持つ元プロデューサーの俺が、765プロ所属アイドルの持ち歌を」
P「全て一人で歌っちゃうぜえええ!」
Pファン「すげえええええええええ!」
P「それじゃあ行くぜ、『アイドルマスターメドレー』!」
ウオオオオオオオオオオオ
春香「私たち…出番ないね」
千早「そうね」
おしまい
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