千早「クラスの新年会に出向くわ」 (367)

千早「今年はクラスメイトともうまくやると決めたわ」

千早「行かなきゃ……」

千早「……」ウロウロ

千早「この緊張は何なのかしら。恐いわけじゃないのだけれど」

千早「アイドルとして人前に出るのは慣れているのに……」

千早「みんなも気を使ってくれるはずよね。アイドルということで盛り上げてくれるだろうし」

千早「でも、無分別なクラスメイトから『他のアイドル呼んでよwwww』とか言われるかも……」

千早「……そうよ。先手を打って765プロの誰かにいっしょに来てもらいましょう」

千早「クラスメイトへのサービス精神よ、これは。恐いわけじゃないわ。――さて、>>5に来てもらいましょうか」

我那覇響

千早「春香は今日事務所でお年玉をあげてくるって言っていたわね……」

千早「できれば高校生…………萩原さん、真……いや、ここは」





響「おーいっ! 千早ー!!」

千早「こっちよ我那覇さん」

響「えへへ、千早が自分を呼び出すなんて珍しいな!」

千早「迷惑だったかしら?」

響「全然いいぞっ! どこに遊びに行くんだー?」

千早「……私のクラスの新年会に」

響「え?」

響「な、なんで? 自分も行くのかー?」

千早「ええ、お願いしたいわ」

響「千早のクラスなんだろー、自分場違いだと思うさー……」

千早「私のクラスでも我那覇さんは人気なのよ」

響「それはーうれしいけど……やっぱり……」

千早「途中でロケがあるとか言って抜けていいから……お願いします」ペコリ

響「うぅ」

千早「我那覇さんは完璧よ! 私、完璧な所見たいわ!」

響「プロデューサーみたいなヨイショしてー!」

千早「お願い。友達を助けると思って!」

響「うがー! しょうがないなー! ちょっとだけだからなー!」

千早「ありがとう、我那覇さん!!」

もやし連れてってやれよ食ってないんだし

――
――――

幹事「全員集まったかー!?」

女子A「如月さんがまだよ」

男子A「また、来れないのかな」

女子B「如月さん、行きたいわって言ってたけどなぁ……あ、来たんじゃない!? おーい!」

千早「ごめんなさい、遅れたかしら?」

幹事「いや、大丈夫大丈夫! 来てくれてありがとう!」

女子B「レコ大に出てたの見たよ! カッコ良かった!」

千早「どうもありがとう」

響(なんだ、いいクラスメイトたちじゃないか……)

響(心細いから呼んだんだろうけど、自分がいなくても良かったぞ)

幹事「はいじゃ、店前でたむろするのもアレなんで、もう入ってくださーい!」

千早「あ、あの、もう一人追加いいかしら」

幹事「え、まだ誰かいた?」

千早「実は……この人も参加希望で……お金は払うから、入れてくれないかしら」

響「急に来てゴメンね!」

幹事「ひび……っ!!!」

響「無理ならいいんだけど……」

幹事「おっけ! おっけおっけ! ゲストね! ゲスト的な立ち位置ね!! サプライズってやつね!!! おっけおっけ!」

幹事「……店側に、一人前追加って言ってくる! 我那覇響登場の時間も取るから! 帰らないでな!」ダダダ

千早「ふぅ、良かった!」

響「ああー参加が決まっちゃったぞ……うう、ちょっと緊張する」





店内

ガヤガヤ・・・

千早「ここよ、我那覇さん。こういう会は席取りが重要なのよ」

響「自分、フードで顔隠してるから、千早の隣でいいぞ……」

千早(談笑する男子ゾーン、歓談する女子ゾーン……どこに座ろうかしら。>>40

最近、響ちゃんがかわいいことに気付いたんだ!!

千早「安価下で…………というか、普通に女子のところね」

響「?」


女子A「みんな元気だった?」

女子C「おーっす! あたしライブ行ってきたぜ」

女子B「いーなー」

女子D「あんた彼氏とディズニーランド行って来たって言ったじゃんか」

女子B「それがさ……」

女子C「なに? 不満足だったわけ?」

女子B「ケンカして別れちゃったんだ」

女子D「ざまぁwwww」

女子B「ひどっ!!」

千早「……」

響「……」

千早(話に入るタイミングが掴めないわ……!!)

男子α「メトロポリタン歌劇場でのコンサート行ってきたよ」

男子β「そうか。ギドン・クレーメルの演奏を聞きにいっただけさ、僕は」

男子Θ「まったく。ようやくハーゲン弦楽四重奏団のCDを返せるわけだ……」


千早(あっちに入れば良かったかしら……)

千早(今の状況……きっと今までの私の振る舞いが原因でしょうね。そっとしておかれてる)

千早(これは、我那覇さん紹介シーンで突破口を開くしかないわね)




幹事「えーみなさん! 乾杯の前にサプライズがあります!!」

エー! ナニー!?

千早「きたっ」

幹事「我がクラスが誇るアイドル! 希代の歌姫! 如月千早が、事務所の友人を連れて来てくれました!!」

なるほど何言ってるかわからん

幹事「我那覇響さん!! 来て下さってありがとうございます!!!」

響「あはは! みんなー、急にお邪魔してゴメンねー!!」

響「千早に聞いたら興味出ちゃってさー!! 無理矢理参加しちゃったぞ!!」

響「自分、みんなと仲良くなれるようにがんばるから、よろしく頼むぞっ!!」


ウオオオオ!!!
ヨロシクー!! ヒビキチャン!! スッゴー!!

千早(我那覇さん、なんて如才ない挨拶を……!)

千早(私が馴染むにはこのタイミングしかないわね)

千早「みなさん、私からも一つ!!」スクッ

千早「>>61

クチバシつけて歌います

これは滑る

千早「クチバシを付けて歌います!!」

一同「!!??」

千早「装着!」スチャ

千早「すぅー」

千早「泣くことならたやすいけれど~♪」

千早「悲しみには流されない~♪」

幹事(最初から歌うのか)

女子B(ボケてるんだよ……ね? でもなんで切ない『蒼い鳥』をチョイスするの……?)





千早「……あおいいいいいいいいとりいいいいい!!!!!」

千早「もしぃいいしあわぁせぇぇええええ!!」

一同(熱唱だよ)

一生懸命でちょっとずれてる千早

千早「――――はぁはぁ、ご清聴、ありがとうございました……」

パチパチ パチパチ・・・

男子A「お、おう」

女子D「さ、さすが、歌姫! すごかったよ!」

男子α「ノビは驚異的だが……クチバシのせいで声がこもってしまったね」

店員「あの、お客様、あまり声が大きすぎますと……」

幹事「すいませんすいません!」

響「千早! 皆ちょっと引いちゃってるぞ!」

千早「え?」

響「みんなーなんか、ごめんな? 千早はさーすっごい頑張り屋なんだけど、不器用なコなんだよね!」

響「でも千早がこんなことするのは自分と同じでみんなと仲良くなりたいからなんだ!」

響「ちょっと面倒くさい子ですが、どうかこれからもよろしくお願いします!」フカブカ

千早「が、我那覇さん!?」カァァ

女子A「ぷ」

……あはははは!!
ホゴシャカヨー!! チハヤチャン コレカラモヨロシクー!!

響連れてきて良かったな

ガヤガヤ

女子B「アイドルって年末年始も休みないんでしょ? 大変だねー!」

千早「ええ。でも私今の仕事が好きだから……。それに休みが取れないことも無いのよ? 水瀬さんは海外旅行に行ったし」

女子B「伊織ちゃんのことだよね! あの子すごい可愛いよねー!」

千早「ええ、でも水瀬さんは、それ以上に強い人よ」

女子A「ふふ、如月さん、仕事や同僚のことこんなに楽しそうに話すの初めてね」

千早「……ごめんなさい。私きっと自分で壁を作っていたんだと思う」

女子A「謝ることは無いわよ。真面目ねぇ」

千早「ごめ……あっ」

女子A「……ふふ」


響(おお、なんだ話せてるじゃないか)

壁は最初からあるだろ

>>88  __       
  :/   u\;       ___

 ;/   ノル(<)\;   / ;u  ノ し\    
 ;|  (>)  _)  \;/      ⌒  \          
 ;|::: ⌒(__ノェソ   /       、     |
 ;\ u ´   ソ  /        ^     |
   ;\     ,  |              |
   ,ヾ \_ n^^- \         j; __/
  ;/ ∠_;i  ̄丶/ ̄        \
  ;(    ⌒)  ´   ノ         \

女子D「響ちゃーん」ギュー

響「わー! なにするんさー!」

男子B(響……俺の響……かわいいぜ……)

男子C(如月と違って、でかいな……)

女子C「おうこら男子! 響ちゃんをやらしい目で見るなや!」



男子A「響チャレンジあれ、面白いよな! いつも見てるよ!」

響「あ、ありがとう!!」

女子D「あれ、やらせじゃないんでしょ?」

響「もちろん! いつもいつも体当たりさー!」

女子D「じゃあさじゃあさ! 今ここで>>96できる? してもらいたいんだけど!」

千早とキス

女子D「千早ちゃんとキスできる? してもらいたいんだけど!」

響「ぶふっ!? な、なに言ってるんさー!?」

男子B「出たぞ……あいつの百合百合脳が……」

女子D「ひびちはいいよね!!! 同い年なのに対照的で!! でもお互いを認め合ってるんだよ!? 身長差もひびたかほどではないけど――」

女子A「黙りなさい」パシン

女子D「あうっ」

女子A「ごめんなさいね我那覇さん。この子病気なの。如月さんも気にしないでね」

千早「いえ……やらせていただくわ!」

響「!?」

女子D「ホント!! やった!! 千早ちゃん大好き!!」

響「違うぞ! 千早それは違う!! それは空気を読むってことじゃないぞ!!」

千早「別に女の子どうしならノーカンでしょう? やりましょう我那覇さん!」

響(この姿勢……微妙に春香に影響されてるな!)

オイオイ! マジカヨ・・・!! ヒビチハァ・・・!!

女子D「あーみんな! カメラはNGだかんねっ! 私も血の涙を呑んで撮らないからっ!!」

オ、オウ・・・ ゴクリ・・・

響「待って! 待って待って!! なんでする流れになってるのさ!?」

千早「諦めましょう、我那覇さん」

響「いやいや! 諦めつく要素がないぞっ!? 罰ゲームならともかく」

千早「……罰ゲームだったら諦めが付くの?」

響「えっ……そりゃあ……」

女子D「じゃあさ! 勝負して、負けたらやってね!」

響「え」

幹事「この会場でできる勝負なんて……>>113ぐらいじゃないかな」

一発芸

――
――――
幹事「えーではこれより、765プロアイドル如月千早VS我那覇響の一発芸勝負を始めます!」

ウォオオオオオ!!!

響「何この盛り上がり」

千早「全力でいくわ!」

幹事「お互いに一発芸を披露し、クラス全員にどちらの方が良かったか決をとります!」

幹事「公正な勝負のために、みんな協力お願いします!」

千早「――あ、まずいわ」カタカタ

響「今度はどうしたのさ……」

千早「もうすでに『クチバシ歌姫』は披露してしまったのだったわ……」

響「レパートリーそれだけなのか……しょうがない。自分が先にやるから、考えればいいさー」

千早「我那覇さんありがとう!」

響(はー、自分ってば、お人よしだぞ)

響「じゃっ! 自分から――>>121をするぞ!」

編み物

響「編み物をするぞっ!」

女子B「あっ、知ってる! 実は響ちゃんは編み物と卓球が得意なインドア系なんだよね!」

男子B(実は女の子らしい趣味持ってる響、愛しいよ……)

男子β「編み物、か……一発芸の範疇にどう入れてくる?」

響「えへへ、実は編み物キットいつも持ち歩いてるんだよね」スッ

女子D(かわいい)

響「じゃっ、こっから……自分の身体能力をフルに活かして……高速で編みぐるみを作るぞ!!」

千早「えっ!」

響「ふぅ……――――――はぁっ!!!」

高速。かつ流麗。
色とりどりの毛糸が宙を舞い、かぎ針が照明を受けて煌めいた。
深い色を湛えた目は、ただ一意専心目の前の編みぐるみに視線を注いでいる。

時間にして、なんと20秒。
千早を模した編みぐるみが作りあげられていた。

一同「」

これは勝てない

女子A「――すごい」

男子A「速え……!」

女子B「はわわ……私も編み物が趣味だけどレベルが違うよぉ……!」

幹事「す、素晴らしい!!」

パチパチパチパチパチ!!

響「ふふん!」

響「自分」

響「完璧」

響「――っだからなっ!!!」

幹事「完璧いただきましたー!!!」


ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

響完璧
千早完壁

     γ´`ヽ
     _ゝ -''` ー- _
   /          \
  /             ヽ    、′     、 ’、  ′     ’      ;  、
  ,':..              ',       . ’      ’、   ′ ’   . ・
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   l:::::::::::::::::....        /        、(⌒ ;;;:;´'从 ;'>>147-149 ;:;;) ;⌒ ;; :) )、   ヽ
   |:::::..ヽ:::::::::::....      /         ( ´;`ヾ,;⌒)´  从⌒ ;) `⌒ )⌒:`.・ ヽ
   |:::::::....` 、:::::::::..  /  ′‘: ;゜+° ′、:::::. :::  ´⌒(,ゞ、⌒) ;;:::)::ノ
   }::::::::::::::::...`ヽ_人,ノ{          `:::、 ノ  ...;:;_)  ...::ノ  ソ ...::ノ
  ̄:::::::::::::::.:::::::::::::::::::..  ̄ ー- _

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::....       \

響「ふふふふ! ……ってあれ? 千早、何か考えついた?」

千早「」フリフリ

響「あちゃ……あれでもまだ速すぎたか!」

響「もー少し時間稼ぐから、なんとかするんだぞ!」

響「じゃあ、次は……年齢順で真美の編みぐるみを作るぞ!」

響「――」シュババババ


千早「まずいわ……このままだと確実に負けてしまう」

千早「せっかく仲良くなれたクラスの人達に情けないところを見せたくないわ……」

千早「これから事あるごとに『あの時響ちゃんに負けたよねー』ってネタにされるのも辛い……」

千早「この気持ちを分かってくれて、親身に協力してくれそうな人……萩原さん辺りかしら」

千早「早く出て萩原さん」トゥルルル!

雪歩『はぁい、千早ちゃん?』

千早「萩原さん……! 実は、斯く斯く然り然りの状況なのよ!」

雪歩『ええっ! それは胃が痛くなる状態だよぉ……!』

千早「『歌う』ことはもうやってしまったの。二番煎じに見られてしまうのよ」

千早「……くっ! 歌さえ! 歌さえ歌うことができれば……っ!!」

雪歩『ち、千早ちゃん……!』

雪歩『わかった、い、一発芸だよね……! >>164すればいいと思うよ!』

千早「あ、それはいい案ね!」

アイドルの持ち歌モノマネ3連発

響「これで全部だぞっ! 事務員のピヨ子も特別に作ったぞ!」

男A「こ、このPヘッドは何?」

響「プロデューサーだぞ!」

女子A「あれ? 双海亜美さんがいないわよ」

響「あっ、亜美か! 真美作ったらやよいって考えてたから忘れちゃったぞ!」

響「亜美ーごめーん!」

男子α「新年早々不運だね……」

響「じゃあ、今から作るさー」

千早「その必要はないわ!」バァーン!1

響「あっ、千早」

千早「ありがとう我那覇さん、もう時間稼ぎは必要ないわ!」

響「そーかー、思いついたんだな! 良かったぞ!」

幹事「そうですね! そろそろ如月さんの芸を拝見しましょう!!」

千早(春香の持ち歌と言ったら、特徴的なあれしかないわ)

千早「え、えと……再生、はここ、よね」ポチ

~~♪

女子B「この音楽……!」

響「まさか……」

千早「泣くことならたやすいけれど~♪」

千早「悲しみには流されない~♪」

幹事(またかよ……!!)


男子Θ「クチバシはつけてないけど……。先ほどとは歌い方が違うな」

響「――!! この歌い方は……!」


千早「あのそーらへーーーー、わたーしーはー(・3・)トブー」


響「ぶふぅっ!」

千早(次は高槻さん!)カチッ

千早「――みーらいはだれぇにもみえないものーぉー」

千早「だから誰もがゆーめを」

千早「ζ*'ヮ')ζ<みてれぅ~♪」

響「ぶふっ……や、よ、いwww」


千早(フィナーレ!)

千早「この坂道を登るたびに~!♪」

男子β「この歌唱力……いきなり本気出してきたな!」

響「あずささんだ……」

千早「わたしのとなりにいてええええええええええええええええええええええ!!!!」

千早「ふれてほしい~~!♪」

ジャーン

千早「ふぅ……ど、どうでしたか! 一生懸命やりました!」

響「よかったぞ! 千早! 予想以上だ!」

女子C「うん。ボケ、ボケ、ガチっていう構成は良かった」

響「……」

女子B「春香ちゃん、やよいちゃん、あずささんの順番だよね! わかったよ!」

千早「ふふふ。嬉しいわ」

幹事「これは……伯仲した勝負だな!」

男子A「幹事、店員さんが呼んでっぞ」

幹事「……ああ、わかってる。でも歌を止めなかったことに後悔はしてないさ」



女子D「いい勝負だったね! 流石アイドル!」

女子D「でも勝負は勝負……どっちが良かったか決を採るよ!!」

千早or響 >>225まで集計

千早
罰ゲームしてもらわないと

千早「これは……」

響「うわぁ!」

女子D「よっしゃ! みんな空気読んでるね!! 千早ちゃんの圧勝だぁああああ!!」

千早「あ、ありがとうございます! ありがとうございます!!」ペコペコ

女子B(72ばかりを言わないであげて……)

女子D「そして、ということは――!?」

女子D「あれぇー!? 千早ちゃんとぉー響ちゃんがぁー……?」


「「「キス!!!」」」


女子D「その通りだてめーらぁああああ!! よっしゃあああああああ!!!!」

キースシロ!! キースシロ!!

響「わわわ……」

千早「――い、いくわよ我那覇さん」

じっと、水色の眼に視線を注ぐ。
そこに湛えられた水をこぼさぬよう、願いながら。

響「ほ、ほっぺじゃダメ……?」

女子D「テレビ的にぃー――ノォー!! 唇と唇! これ絶対!!」

千早「や、優しくするわ、だから我那覇さん……お願い」

響「お願いって、なんだよ……ぉ」

鼻が当たらぬように、顔を少しだけ横に傾ける。
あの水色が視界に広がっていく。

小さな体の震えを止めるように、背中に手を回し――

響「あ、ちは」

千早「――ンッ」

私は我那覇さんにくちづけを落とす。

響「……ん……ふぅ……っ」

千早「……ぅ…………ふっ……むぅ……う」

口の中が暖かい。
柔らかく、滑らかな小さな舌の感覚。

息苦しさがゆえの、口の開放。

舌が入ってきたのはその理由でしかありえない。

だが――この幼けない闖入者を愛でたい気持ちが湧きあがる。


千早「……ン……レロ……」

響「……ムゥ、ンー!! ……ンン! ン……フ……ッ」


時が止まったように感じる。
私の世界は――今この瞬間、我那覇さんとの接触点のみだ。

千早「…………ん……ふ……」

響「……っ……ぁぁ……ん……」

女子A「は、はい! オッケー!!」

千早「!!」バッ!!

響「……ぁ」

幹事「ぷ、プロ根性を見た!! すげえよ! な、みんな!」

男子C「お、おお!」

女子D「は、鼻血がとまらない……最高だわ、これ」

千早「初めてなもので、加減が分からなくて……」

響「はぁ、はぁ……ん、いいよ……」

女子B「良かった! なんか良かった! 私も千早ちゃんとキスしたくなった!!」

男子B「俺も! 俺も響――あ、我那覇さんとキスしたくなった!!」

男子A「お、お前それアウトーっ!!」

ア、アハハ、アハハハ!!

千早(何かみんなムリして笑ってる気がするわ)

――
――――

ワイワイ ガヤガヤ・・・

女子A「如月さん」

千早「何かしら?」

女子A「参加してくれてありがとう」

千早「え、ああ……そんな……今まではこっちが素っ気なくて……」

女子A「ふふ。色々あったけど、楽しいわ、私。如月さんと……我那覇さんのおかげね」

響「あんまりなでないでよー……」

女子B「いいこいいこー」

千早「……我那覇さんはともかく、私は――」

女子A「ううん、あなたのおかげよ。私、如月さんのことよく知れて良かったと思ってるもの。学校以外の、テレビ以外の姿……」

千早「う、うぅ……ごめんなさい! お手洗いに行ってきます」

女子A「照れ屋なのよね、結局」

千早「はぁ……ふぅ……慣れない感覚ね、やっぱり」

千早「でも、仲良くなれて良かった……」

千早「我那覇さんには感謝ね」

千早「――あれ」

千早「あそこにいるのはもしかして>>272さん?」

ζ*'ヮ')ζ

千早「ζ*'ヮ')ζさん!?」

千早「ってなによそれ……?」

千早「春香とか小鳥さんがたまにメールで打ってくるのよね……あの顔文字。なぜか愛おしく思ってしまうけど」

子ども「あはは」テテテ

千早「子どもを高槻さんに見間違えたのね……高槻さんは今日は事務所にいるはず……よね?」

千早「……そうだ! 思い切ってメールしてみようかしら」

千早「え、と……」

タイトル 如月千早です今年もよろしくお願いします
本文
高槻さん、事務所の様子はどうかしら?
春香からお年玉は貰えましたか?

千早「なんか業務的ね……送信」ピッ

千早「返信が……来たわ!」


タイトル Re:如月千早です今年もよろしくお願いします
本文
今年もよろしくお願いしまーすっ!!
春香さんからお年玉いただきましたーっ!! お米券でした!
とってもうれしいですーっ!

でもちょっと亜美が色々あって落ち込んでます……
事務所に来たらはげましてあげてほしいですっ!!


千早「亜美が……? どうしたのかしら? お年玉が不服だったのかしら……励ます、か」

千早「私不器用だから、どう励ましていいか……そうよ! こういうときこそ友達に頼ればいいのよ!」




千早「……ということなんだけれど」

響「亜美がか? わーさっき編みぐるみ作り忘れちゃったしなー、そのせいかなー」

千早「励ます方法どうすればいいかしら」

女子A「聞く限り、イタズラ好きで活発な女の子なのよね」

女子D「だったら、>>283しかないでしょう!」

拍手

女子D「だったら拍手しかないでしょう!!」

女子A「あなた、意味が分からないわよ。キスとかまた言い出さないだけマシだけど」

女子D「うぇへっへっへ」

千早「拍手……確かに、歓声と拍手を受けるのは大好きだって言っていたけれど」

響「一人でやるもんじゃないよなー」

幹事「えーみなさん、もうそろそろ宴もたけなわで……」

女子D「ふっふっふ! もう新年会も終わるし、これから765プロにいっしょに行くよ私」

千早「え?」

女子D「一人じゃカッコつかないなら、みんなで拍手を贈ればいいよっ!!」

女子A「あら……なかなかいい案かもしれないわね。押しかけて大丈夫なものなのかしら?」

千早「えっと、今日は……仕事はあんまりなくて、新年の顔見せみたいなものだから、忙しくは、ないと思うけど」

女子D「決まりねっ!! ――はいちゅーもく!! みんなー!! これから失意に打ちひしがれてる女の子を救いに行くぞー!!
    ニ次会より女の涙の方が気になる奴はついてこいっ!!」

千早「!!」

――
――――

ゾロゾロ……
ワイワイ ガヤガヤ

千早「まさか全員来るなんて……」

響「とんだサプライズだぞ」ヌイヌイ

女子B「あっ、亜美ちゃんの編みぐるみを作ってるんだね!」

女子D(ぐへへ……やよいおりもいいけど、みきいおもいいんだよねぇ……おっとよだれが!)

女子A「あなた……ちゃんと段取り決めてるの?」

女子D「大丈夫大丈夫! 私の作戦は完璧! 我がクラスの結束を見せてやろうではないか!!」

女子D「まず事務所前で私達が半円になって待ち構え、メールで亜美ちゃんを呼びだすでしょー?」

女子D「でてきた亜美ちゃんに、千早ちゃんがまず駆けよってまず>>296をするわけよ」

女子D「それで驚く亜美ちゃんに、今度は響ちゃんが『>>301』って声をかけて抱きしめる」

女子D「それをきっかけに、後は私達が口々に『>>306』と言いながら、拍手喝采! それで感動の嵐が吹き荒れるって寸法よ!」

女子D「響ちゃん風に言うなら――この作戦完璧だぞ!!」

ぎゅーってハグ

真美ーー!

>>301
やっちまったなst

oh……もしかしたらハッピーエンドにならないかもしんない

さ、最悪だぜこいつら……!

1クラス分の人間の塊は、一途に765プロに向かう。
女子Dを先頭に歩くその一団は、レミングスの死に向かう後進のようにも見えた――





765プロ

亜美「このこのっ!! しんじゃえ! この!!」カチカチ

伊織「ゲームに逃げたか……無理も無いけど」

真美「亜美……機嫌直してよー落ち込まないで」

亜美「え、なにが!? 全然、落ち込んでないし!? 亜美元気だもーん!!」

やよい(お年玉をかけた勝負の結果のせいで……亜美……)

伊織「あんたはやるだけやったわよ……私すごいと思うわ」

亜美「いおりん! 亜美なにも思ってないって言ってんじゃん!」

亜美「もー……! あ、メールだ!! ちょっとしつれー!」ピュー

亜美「ふん……いいもんいいもん……これからはるるんを見返してやるんだもん……」

亜美「――って、このメール千早お姉ちゃんからだ……『下に来て』?」

亜美「なんだろ……今日新年会に行くとか聞いてたけど……」

亜美「あ、もしかして! 亜美だけにお年玉くれるのかな!?」

亜美「んっふっふ~!! あの千早お姉ちゃんがそんなことをしてくれるはずがないと思いますが……」

亜美「きっと今日はありえないことが色々起こる日なんだYO!」

亜美「『すぐ行く』っと! よ→し! 急げ→!!」


タタタタ・・・

バン!!


亜美「ちはやおね……おぉう!? なんだこりゃ」

亜美の目の前には、半円状に広がった人の一団があった。

千早「よく来てくれたわ……!」タタタ

亜美「え、え?」

千早「辛かったわね」ギュッ!!

亜美「ふぁ!? な、なにいきなり!? っていうかなんなのこれ!?」

響「……」タタタ

亜美「あっひびきん!! これはいったい」

響「真美!!」ギュッ!!

亜美「……は?」

亜美「見間違えないでよ!! 亜美は亜美だよ!!」


      『『『真美!!!』』』

亜美「わ!」ビクッ


パチパチパチパチパチ……!!!!

   /.   ノ、i.|i     、、         ヽ
  i    | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ        |
  |   i 、ヽ_ヽ、_i  , / `__,;―’彡-i     |
  i  ,’i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三”―-―’ /    .|

   iイ | |’ ;’((   ,;/ ’~ ゛   ̄`;)” c ミ     i.
   .i i.| ‘ ,||  i| ._ _-i    ||:i   | r-、  ヽ、   /    /   /  | _|_ ― // ̄7l l _|_
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  /    i ||  i` – -、` i    ノノ  ’i /ヽ | ヽ     |    |  /    |   丿 _/  /     丿
  ‘ノ  .. i ))  ’–、_`7   ((   , ‘i ノノ  ヽ
 ノ     Y  `–  ”    ))  ノ “”i    ヽ
      ノヽ、       ノノ  _/   i     \
     /ヽ ヽヽ、___,;//–’”;;”  ,/ヽ、    ヾヽ

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マミ!! マミ!! マミ!! マミ!! マミ!! マミ!! マミ!! マミ!!

ワァアアアアアアアアアアアアアアアアア……!!!!!!!

亜美「」

亜美(あれ……亜美って真美だっけ?)

亜美(あたし、亜美、だよね……?)

亜美「あみ、だもん……!」グスッ

響(……虚勢が崩れたっ!! ここだっ!)

女子D「そう、ここまでは――前振り!!」

女子A「すべてはこの時のため――!!」

女子D「千早ちゃん! 決めなさい!!」

千早「ええ!! ありがとうみんな!!」

次の瞬間。
祝祭に溢れた千早の行動 >>343が亜美に炸裂した。

ディープキス

 
千早「――『亜美』」

亜美「あ、あたしの名前――」

千早「――ン」

亜美「っ」



暮れかけた冬空。
級友が成す人いきれの白い霧に囲まれて――

二人の重なり合った影は、真なる一として結実した。

 
 

千早「……ん……ふ、ぁ……」

亜美「ぅ……ん! ……は……」

千早「あむ……れろ……」

亜美「ぅ……ふぅ……ッ……ん……っ!!」


女子A「ふ、あなたの作戦、結局あれに行きついちゃうんだから」

女子D「ふふふ。いいわぁ……美しいものを愛でるのは、女として……いや、人として当たり前のことよ」

響「ふぅ……一件落着だな。亜美の目が……やさしいぞ」

男子α「――親愛は形をとればああも神々しく映るのだな」

女子B「あっ、みんな! 雪が降ってきたよ!!」

男子C「おお、すげー!!」

幹事「来年も、また集まろうな」

女子A「――ええ。私達、きっとなんだってできるのよ」


完!

だもんげ!乙

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