宥「炬燵あったかーい」玄「あったかいねー」菫「全くだな」(101)

宥「玄ちゃんみかん剥いてぇ」

玄「いいよー」

菫「いや、私が剥こう」

玄「本当? じゃあお任せすますのだー……って菫さん!? なんでここにいるんですか!?」

菫「スミレという花を知ってるか」

玄「え? 知ってますけど……」

菫「あの花は暖かい場所じゃないと咲かない。つまりは、そういうことだ」

玄「へー……いや、そんなことないよ!? 結構どこでも咲きますよスミレ!? っていうかここにいる理由になってない!」

宥「みかん……」

菫「ああ、すまないな。今剥こう」

玄「ええー……」

菫「……」ムシムシ

玄「うわぁ、丁寧にスジまで取ってる……」

菫「剥けたぞ」

宥「ありがとー」

宥「……」モグモグ

宥「おいしい」ニパー

菫「宥姉は可愛いなぁ」

玄「全くなのです――なんで菫さんがお姉ちゃんを宥姉って呼ぶんですか!?」

菫「宥姉はみんなの宥姉だろ我が義妹よ」

玄「貴女に妹呼ばわりされる筋合いはありません!」

                      ,.....---......、                        {三三三三三|
                    /        \                   |三三三三三|
                      / .:::::::l::::::i:::l::::::::..  ?                    |三三三三三|
                    i ? .::::::::|::::::レ?|:::::|::|:j_: |.|                       |三三三三三|
                      | :::l:::::l::::::lシ|:::::iフノレリ ,、,、               |三三三三三|
                      | :::l::::::::::::l`1::::|=i,,  ヽノ              /j,.----------
                      |/7:l:::::j:::::::l-|::::|,,___/ ,, , ,,            _____|i|ニ三三三三三|________
                     ノ|;/:/:::ム:::::??:::|:.:.ノ/ツ{/ム,,   ___,,..-―ニ三三三三;|ニニ三三三三|三三三
                /:r'/::/::/"二ヽ:?:?|、{,L.'レj レj   |三三三三三三三三?|ニニ三三三三|三三三
                ?/:/レ:;イ:::{/  i?}::リ:.:_///`7‐7   |=二三三三三三三?|ニニ三三三三|三三三
                レV{ イ:/:.{;ヘ| 、  lii:ハト/   / /    ?|二二二=====?|ニニ三三三三|三三三
                 //:.:.:.:.:ト、 \ iト、i/l   i  }    |三三三三三三三三?|ニニ三三三三|三三三
                   / i:.:.:.:.:::|ヽi  `iiソ´ l   /、_/     ??|三三三三三三三三?|ニ三三三三三|三三三
               ?/ l:.:.:.:.:::|  l  ,イ'|    /:.ヽ?    |三三三三三三三三?|?三三三三三;/三三三
               i  |:.:.:.:::::|  ?ii | |  /l:.:.:.:.,,イ?  ?|三三三三三三三三;??三三三三;/ニ三三三
                 |  |:.:.:.:.:::|/:.:.ii、  ./---'"//:.:.>'  ??|三三三三三三三三三?三三三/ニ三三三
                 /に|:.:.:.:.::::|,,-‐イ`-/;;;;;;;;;;;;;;//-‐`     ?|=================
                {  |:.:.:.:.::::|:.:.:.ィi":/;;;;;;;;;;;;/'         |三三三三三三三三三三三三三三三三三
              l  |:.:.:.:.::::|/::ii:./;;;;;;;;;/             |=================
                 l.....|:.:.:.:.:.::|__,:.:.ii:';;;;;;/ii             |三三三三三三三三三三三三三三三三三
                 `ー|:.:.:.:.:i::|_:.:.:/ii;;;;/;  ii              {三三}  {三三}         {三三}
      ,..-,..、  ,..-ー-.、.|:.:.:../:ノイ/;;;ii;;/;{_  ii               ?三三三三三三三三三三三三三三三
      /:.:.:.{:::::::`<.\:/:.:.:./:/:::/_;_;ii;7>;-`=-.、           ?三三三三三三三三三三三三三三三
    /:.:.:.:.:?::::::::::::::...:.:.:二;ン-ム--.、ii_二ニ'ン)ノ              ?三三三三三三三三三三三三三三
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ` ̄ ̄ ̄ ̄

照「菫、私にも剥いて」

菫「断る。自分で向け」

照「ケチ」

菫「それで結構」

玄「今頃気づいたけど照さんもいるー!?」

照「玄(いもうと)ちゃん、久しぶり」

玄「なんか私の名前に不穏なルビが振られてる!?」

照「宥姉、菫の奴が酷い。私にみかんを剥いてくれないんだ」

宥「なら私が剥いてあげるねー」

菫「はぁ!? は? ――はあああああぁ!? ま、まて宥、なら私のも! 私のも剥いてくれ!」

玄「なんでそんなに必死なんですか……」

宥「ふん、ふん、ふふーん」ムシムシ

照「みかんを向きながら鼻歌を歌う宥姉可愛い」

菫「癒されるな」

玄「実に……照さんもお姉ちゃんのこと宥姉って呼んでるよー!」ワーン

照「宥姉を宥姉と呼ぶのは世界の真理。当然のこと」

照「それに私、一人っ子だから姉妹に憧れてた」

玄「息を吐くように嘘をつかないでください!」

照「私に妹はいない。宥姉はいるけど」

玄「お姉ちゃんは、お姉ちゃんは私だけのお姉ちゃんだもんー!」ポロポロ

宥「玄ちゃん泣かないで……」ナデナデ

宥「もう、2人共玄ちゃんをいじめたら駄目だよ、めっ」

照(『めっ』って怒る宥姉可愛い)

菫(可愛い)

 ――後日

玄「酷いよね! 人のお姉ちゃんを勝手に宥姉宥姉って!」プンプン

憧「でも私も宥姉って呼んでるよ?」

玄「憧ちゃんはチームメイトだからいいの!」

穏乃「でも、宥さんを宥姉って呼びたくなる気持ち、わかるなぁ」

灼「わかる」ウンウン

晴絵「わかる」ウンウン

玄「なんで赤土先生もわかるの!?」


宥「囲炉裏あったかーい」

穏乃「見た目からして包容力高そうだし」

灼「どれだけ甘えても笑顔で甘えさせてくれそう」

晴絵「宥にお酌とかされたらいくらでも熱燗が飲めそうだ」

憧「前に抱きしめてもらった時、宥姉の体温を全身で感じて、暖かかったなぁ」

玄「――うわああああああああああああああああああん!」ダッダッダ

晴絵「っておい!? どこいくんだ玄ー!?」

玄「……」トボトボ

玄「お姉ちゃんがみんなと仲良くしてくれるのは嬉しいけど」

玄「ずっとお姉ちゃんをお姉ちゃんって呼んでたのは私なのに……」

玄「お姉ちゃんをお姉ちゃんって、呼んでいいのは、私だけだもん……」




智美「ここが奈良に着いたぞー」ワハハ ブーン

衣「うむ! 中々遠かったな!」 ドリフトキキー

玄「――ぁ」





智美「あ」

衣「あ」







                       グシャ

/  /  . : . |  . : |. : . : . :.|.|| . :  ゚,: . 。: .   ゚。
  .:′. : . /: |  . : .:|. : . :} : /|.||. : . |.: . ゚: ..  ハ
  ゚ . : . 。 : .| . : . :|. : . 斗匕"「||. : . ト、 : :。_/i! :
 .° . : . ゚ : /| . : . 斗匕´: ./: / j/1 . : / | |\: .! ̄`ヽ} }

 ′. : . |..: .|. : . : | . : イ:/ 〃 ′:../j:/ jノ |: .|: .  || |
/ . : . : |...../|. : . : |_/ノ.-=示ミ / :/〃    :...j. :j :゚}.i
 . : . : . | 〃:。 . : . : .| 〃|゚:i:i:i:i:i:i:|/イ     示ミ|ィ: . / / j:′
. : . 。 : .lー<゚. : . :.|《  ,)、:i:i刈|        |爿∨/ィ′
. : . :°: |⌒ヽ゚: . : .l  込:.:.:.:ノ      リ:!/|: . |

. : . :..゚, :.|   :, : . :.:,    ¨¨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.¨:.: |: . |
. : . : ゚,:.|     :, . : .:′  i::i::i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.i::i:.|: . |
. : . : ..゚:|\__,゚. : . :,                |: . |
. : . :  八.--〈 ゚, . : . ′     ( ー―ァ    丿.:..│  すごく…うれしい…っ
. : . : . : \. .\:,. : . ,        ̄  -=ニニニヽ:.ノ
\.. : . : . : \ . ゚, . : .′   __   ィニニニニニニム.―┐
. . .ゝ . : . : . : ヽ..゚,__/ヽ ¬/ ノイニニニニニニニニム  「ヽ
. . . . \>  。: . :/  ヽ  ‘ , }ニニニニニニニニニニニ} } 「}、
. . . . . . \. . .}\ / \   ‘:,  } ノニニニニニニニニニニニ|..ノ // 〉

晴絵「あれから、1ヶ月が立ったけど……」

穏乃「宥さんはずっと部屋に引きこもって……」

憧「仕方ないわよ……私達だって、まだ……立ち直ってないもん」

灼「まさか玄が……」






灼「事故死、なんて……」

 ――松美旅館

女将「宥ちゃん……」

従業員「ご飯くらい、ちゃんと食べて欲しいのに……」

女将「玄ちゃんの遺品を整理しなくちゃいけないけど、宥ちゃんが玄ちゃんの部屋から出てこないから難しいわね……」






 ――玄ちゃんの部屋

宥「……」

宥「……」








宥「……」

玄『やめるのですボクたち!』

玄『おねーちゃん!』

玄『えへへー』

玄『一緒に、全国へ行こうね!』

玄『点棒、いっぱい取られちゃって……うわああぁ!』

玄『お姉ちゃんは、お姉ちゃんは私だけのお姉ちゃんだもんー!』

玄『お姉ちゃん、大好きだよ』




宥「……うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
  あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
  あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁ!」

宥「……玄ちゃん、いつも私と一緒にいてくれた玄ちゃん」

宥「あったかくって、優しくて、頼もしくて、自慢の妹」

宥「……玄ちゃんがいない世界なんて」




宥「生きてたって、意味ないよね……」

宥「玄ちゃん、今――」




宥「いくから」 ナイフキラリ

咲「そうして、宥姉はナイフを自らの胸に――」

玄「やめて! お姉ちゃあああああああああああああああああんってちょっと待てええええええええええええええええええぇ!」

咲「え? どうしたの?」

玄「お姉ちゃん×私の小説じゃなかったの!? 咲ちゃんが書いた自作小説!?」

咲「そうだけど……」

玄「暗すぎるよ!? もはや心中だよ!」

咲「で、でもほら。純文学とか、そういうので有名な小説は心中だとか、そんな内容ばっかりだし……」

玄「ならライトノベル風にしようよ! 私が死ぬならまだしも、お姉ちゃんまでなんて……うっ、うっ」ポロポロ

咲「ご、ごめんなさい玄さん! 私、たまには心中物が書きたかったんです!」

玄「咲ちゃん酷いよぉ……」ポロポロ

咲「ごめんなさいごめんなさい!」ペコペコ

咲「す、捨てるね、こんな小説!」 ゴミ箱ポイー





宥「あれ? ゴミ箱にノートが捨ててある……」

宥「……」ペラ

宥「……」ペラ

宥「……」ペラ

宥「そっかぁ」

宥「――こうすれば」




宥「玄ちゃんはずっと私だけのものなんだぁ」ニコ

 ――旅館屋上

玄「お姉ちゃん、どうしたの? こんな夜中に星を見ようなんて」

宥「……」

玄「それにしても夜風は冷たいねー。お姉ちゃん、寒くない?」

宥「……」

玄「お姉ちゃん?」

宥「私ね、玄ちゃんの事がだぁいすき」

玄「私もお姉ちゃんのことが大好きだよ!」

宥「でもね、いつか玄ちゃんは居なくなっちゃう」

玄「へ?」

宥「玄ちゃんは美人で器量がよくて、優しいから、きっと誰か私じゃない別の人のところにいっちゃう」

玄「そ、そんなわけないよ! 私はお姉ちゃんとずっと一緒だよ!?」

宥「本当?」

玄「本当!」





宥「なら最近、なんでしずちゃんのことばっかり話てるのかなぁ」ニコ

玄「そ、それは……」

宥「穏乃ちゃん可愛いよねぇ。麻雀もとっても強いし、目上の人にはちゃんと敬語つかえて礼儀正しいし」

玄「……」

宥「玄ちゃんが好きになっちゃうのも、私わかるなぁ」

宥「わかるけどね」

宥「玄ちゃんが私以外の人を好きになっちゃうのは」







宥「絶対に認めない」ガシッ

玄「きゃぁ!」

宥「だから、こうするんだぁ」

宥「こうすれば、私達はずっと一緒だよぉ」

玄「お姉ちゃん、正気に戻って!」

宥「大丈夫、私は正気だよ?」

宥「正気だからぁ」ガッ




宥「こうするんだぁ」









                       グシャ

咲「そうして、2人は深い闇の中へと落ちた。けれども2人の手は、最後まで繋がって離れることはなく――」

玄「やめて! お姉ちゃあああああああああああああああああんってちょっと待てええええええええええええええええええぇ!」

咲「え? どうしたの?」

玄「変わってないよぉ!? 全っ然変わってないよー! また心中だよぉ!」

咲「今度は後追いじゃなくしてみたんだけど……」

玄「そこじゃないなー変えて欲しかったとこ!」

玄「途中から落ち見えてたしなー!」

玄「え、なに? 咲ちゃんなにが実生活で嫌なことでもあったの!?」

玄「私これでも年上だし、いくらでも相談にのるよ!?」

咲「うーん、全国が終ってもお姉ちゃんとあまりうまく行ってなかったりはするんですけど……」

玄「それだよ原因! このままじゃ咲ちゃんが病んじゃうよ!」

玄「よし、私が姉妹の中を取り持ってあげる!」

咲「本当ですか!?」パー

玄「うん、姉妹なのに不仲なんて、そんな悲しいことないもん!」

玄「おまかせあれ!」

――白糸台

照「帰って」

玄「一度だけでもいい! 咲ちゃんとお話してあげてください!」

照「私に妹はいない」

玄「そんなの、酷すぎます!」

玄「咲ちゃんは、あんなに照さんのことを思ってるのに……」

照「……はぁー」

照「……そこまでいうなら、なら教えてあげる」

照「――真実を」

玄「しん、じつ?」

照「私に妹はいない」

照「これは本当のこと」

照「確かに私には1人、妹がいた」

照「それも、本当のこと」

照「――それがどういうことか、わかる」

玄「え? え?」

照「私の妹はもう――死んでる」





玄「え?」

照「金髪の、可愛い子だった。でも足に傷害があって、いつも車椅子」

照「だからあの日――私の家で火事が起きた時、あの子は逃げられなかった」

照「その時、たまたま来ていた親戚の子――咲は私の妹を助けられなかったことを悔やみに悔やんだ」

照「その後精神を病ませたあの子は、私のことを姉だと思い込んだ」

照「きっと罪滅ぼしのつもりだったはず。助けられなかったあの子の変わりに、妹になろうとした」

玄「……」ガタガタ

照「――あの子は、咲は……私の、本当の妹じゃない」

玄「そん、な……」

照「私は何度も咲に言った。もう妹の真似なんてしなくていいって。あれは事故だったんだって」

照「咲が悪いんじゃないんだって」

照「でも、咲は聞かない。そう話しても、すぐに記憶は改竄されてしまう」

照「それほどに、あの子の罪の意識は強すぎる」

照「突き放せば元に戻る可能性もあるかと思ったけど……駄目、だった」

玄「……咲ちゃん」

照「私がいえることは、ただ1つ」

照「私に、妹はいない」

玄「……」ポロポロ

照「……玄ちゃん」

照「真実を話したのは、貴女だったから」

照「とても優しい心を持つ、貴女だったから、全てを話した」

照「どうかあの子を、救ってあげて欲しい」

照「本当のあの子を目覚めさせて上げて欲しい」

照「私じゃ――無理だったから」

玄「……」ナミダグシグシ




玄「お任せ、あれ!」ゴッ

咲「私が、本当の妹じゃない? 玄さん、なに言ってるんですか?」

玄「咲ちゃん! もういいんだよ!」

玄「照さんの妹さんが亡くなっちゃったのは、咲ちゃんのせいじゃないじゃない!」

咲「――」

玄「ね、もうやめよ? 照さんだって、ずっと辛がってるよ」

咲「――チガウ」

玄「っ」ビク

咲「お姉ちゃんの妹は私……私が妹なんだ。他に妹なんていない……私が、妹」

咲「私が妹にならなくちゃいけないんだ。あの子を助けられなかった癖にのうのうと生きることなんて……」

咲「妹、姉。私達、姉妹。照、他人、私、妹。あの子、妹、私は――」

玄「咲ちゃん!」

咲「――あれ? 玄さんどうしたんですか? あ、お姉ちゃんの件、どうでした?」

咲「やっぱり、駄目でしたよね」シュン

玄「……」ポロポロ

玄「咲ちゃん、ごめんね――」



 ――パァン!



咲「……」ヒリヒリ

玄「……」

咲「……」

咲「わかって、るよ」

咲「こんなことしてたって……」

咲「意味がないこと、くらい……っ」ポロポロ

咲「あの子の事が、私は大好きだった」

咲「良くしてくれる照さんのことが、大好きだった」

咲「あの子が死んだ時の、照さんの絶望の顔が――今でも、脳裏に焼き付いて、離れないんだっ……」

咲「玄さん……私、どうすれば、いいのかなぁ――!」ポロポロ

玄「……」ギュ

玄「一歩でもいい、1センチでもいい――前に、進もう」

玄「照さんは、もう前に進んでる」

玄「いつまでも咲ちゃんが止まってちゃ――あの子だって、安心して天国にいれないよ」

咲「うああぁ、うあああああああああああああぁ!」

 ――後日

咲「照さん……いままで、すみませんでした」

照「いいんだよ。咲が妹を演じていたのは、私を思ってのこと」

照「今までありがとう、咲。これからは――自分のことを大切にして」

咲「……はい」




玄「ちゃんと、お話出来た?」

咲「うん……」

咲「玄さん、今まで、ありがとう。迷惑をかけて、すみません」

玄「いいよ、咲ちゃんの為だもん!」

玄「また、小説読ませてね! 暗い話は無しだけど」アハハ

咲「……本当に、ありが――」



                                           グシャ

咲「……ぁ……ぇ……?」ドサ

玄「……なに、これ……」ドサ













菫「――シャープシュート、成功だな」

照「咲、咲いいいいいいいいいいぃ!」

照「嫌だよ、せっかく、せっかく元に戻れたんじゃないか!」

照「本当の咲に! 本当の私達の関係に戻れたんじゃないか!」

照「なんで、なんで――!」ポロポロ



宥「玄ち”ゃ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ん”……!」

宥「目をあけてよぉ……!」

宥「こんなお別れの仕方、あんまりだよぉ……!」ポロポロ



菫「この度は、ご愁傷様……まさか2人が通り魔に会ってしまうなんてな……」

照「菫ぇ……私、咲と、ようやく本当の咲と仲良くなれたんだ! 全部、これからだったんだ! それがっ……!」

照「一体2人を刺したのはどこのどいつなんだ! 殺人者め! 畜生、畜生! 絶対に! 絶対に許さない! う、うううぅ」

宥「菫ちゃん、菫ちゃぁぁぁん……うううう、うああああぁ」

菫「……」

菫「宥、照。これからお前たちは私の側から絶対に離れるな」

菫「いつ何時通り魔に襲われるかわからない」

菫「私は武の心得がある。お前たちを、咲や玄の二の舞にしたくない」

菫「お前たちには、私が守る」



照「菫……っ」ダキ

宥「菫ちゃん……」ダキ

菫「私達で、天国へ言った2人の分まで生きていこう」




菫「ずっと、私達3人は一緒だ」ニヤァ

菫(長かったな……)

菫(玄はともかく、以前の妹の振りをした咲では、照の心に残るであろう傷は浅かったかもしれない)

菫(照に生涯残り続ける恐怖を与えるには、真に絆を取り戻すことが必要だった)

菫(2人の心に残った傷は、私に依存することで癒されていく)

菫(何年か後に例え立ち直ったとしても、私という精神的支柱から逃げることは出来ない)

菫(照、お前と白糸台で出会った日から好きだったぞ。宥、私はひと目見た時からお前が好きになった)

菫(愛しているぞ。お前たちは)






菫(ずっと、私のものだ)

菫(ああ、そうそう)

菫(どうせ作り話オチだろと思った奴)

菫(そこのお前だよ、お前)

菫(安心しろ)











菫「これ、本当だから」

灼「……」ワクワク

宥「……」ペラ

灼「どうだった? 私の自信作。漫画って書いてみると意外と楽しいもんだね」

宥「……灼ちゃん」

灼「どう? どう?」

                   グシャ


灼「漫画握りつぶされたー!?」

宥「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ





宥「めっ」


カン!

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom