小鷹「耳鼻科に行ったら夜空がいてそのあと星奈も来た」(150)

難聴物語

夜空「なんだ、小鷹も耳鼻科か」

小鷹「奇遇だな」

小鷹「今日はどういった症状で?」

夜空「最近肉の声が届かなくてな……」

小鷹「へぇー」

夜空「いや、普段は聞こえているのだが油断すると聞こえなくなるのだ」

夜空「で、そういう小鷹はどうしたんだ?」

小鷹「俺はー……何かみんなに勧められた」

夜空「なんとなく分かる気がするな」

夜空「まぁ大丈夫だろう、小鷹は」

ナース「羽瀬川小鷹さーん」

小鷹「じゃ、行ってくるわ」

夜空「うむ」

小鷹「異常なしだってさ」

夜空「やはりな」

小鷹「俺だって最初っから難聴だなんて思ってなかったし」

夜空「皮肉だろうな」

小鷹「うるせぇ」

ナース「三日月夜空さーん」

夜空「では私も行くとするか」スック

医者「特定の人物からの台詞が聞きとりづらい……と」

夜空「はい」

医者「その人は滑舌が悪かったりしますかな?」

夜空「いいえ」

医者「ではあなたがその人物を特別嫌っていたりとかはしますかな?」

夜空「はい」

医者「病名が分かりました」

夜空「何ですか?」

医者「無視ですね」

夜空「ふざけるな」

医者「ですが特に異常は見られないし、そうとしか判断できませんな」

夜空「嫌いですし無視もしますが彼女の発言には人一倍耳を傾けているつもりです」

医者「今日その方は連れて来られてますか?」

夜空「いいえ、ですが呼べばマッハで来ると思います」ピッポッパッポ

夜空「もしもし、肉か?夜空だ。私の耳がおかしくなってヤバいから耳鼻科に来い」ピッ

ドドドドドドドド……

ドドドドドドドドドドドドドドドド

ガチャッ

星奈「夜空ぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!!!!!!!」

夜空「ほら」

医者「ほう、この方が……これは中々……」

ナース「先生、早く検査の方を」

医者「では三日月さんに向かって何か喋ってみてください」

星奈「え?あたしが……?」

夜空「頼む」

星奈「まぁ、それでなんとかなるなら―――って今思いっ切り聞こえてるじゃない!」

夜空「ほんとだな」

医者「やはり問題はないようですな」

星奈「何だ、せっかく心配して飛んで来たのに……」ゴニョゴニョ…

夜空「先生、今の聞こえませんでした」

医者「え?今割と大事なこと言ってたのに」

夜空「悪口ですか?」

星奈「何で疑ってかかるのよ!!」

医者「いいえ、プラスの言葉ですよ」

夜空「なんて言ってたのですか?」

医者「『あなたが心配だから急いで来た』と」

夜空「あれ?今も『あなたが』と『と』しか聞こえませんでした」

医者「ふむ、どうやら誰が言ったかは関係ないのかもしれませんな」

医者「あの」

星奈「はいっ」

医者「一応あなたが原因という可能性も拭い切れませんのでしばらく一緒に居てあげてください」

医者「あと誰のどんな言葉が聞こえなかったのかメモをとってください」

星奈「は、はぁ……」

夜空「終わった」

小鷹「何だって?」

夜空「おっ難聴か?」

小鷹「いやそういう意味じゃなくって」

夜空「フフ、分かっているさ。肉に来てもらって検査をした」

小鷹「あー何かすげーの走ってきたなと思ったら」

夜空「予想以上に早く来て私も度肝を抜かれた」

小鷹「何だかんだであいつお前のことすげー好きだからな」

夜空「え?何だって?」

星奈「はい、さっきのと合わせて2難聴。あと小鷹、余計なこと言ったら殺すわよ」

小鷹「うおっ!星奈」

夜空「と、このようにしばらく肉に見張られることになった」

小鷹「なるほど」

バス車内

プー

小鷹「じゃあ俺はこれで」

夜空「じゃあな小鷹」

ブーン

プー

夜空「さて……私も帰るとするか」スッ

星奈「ちょっと待ちなさい」ガシ

星奈「あんた、降りるとこ間違ってるわよ」

夜空「はぁ?このバス停で合っているのだが」

星奈「あんたがウチに泊まってくれないとあたしが監視できないじゃない」

夜空「分かったから荷物取りに戻らせてくれ」

柏崎邸前

プー

運転手「柏崎邸前ー柏崎邸前ー」

星奈「着いたわ」

夜空「山ではないか」

星奈「山じゃないわ、あたしの家よ!」

夜空「貴様山に住んでいたのか」

星奈「山に住んじゃいないわ!ここからあたしんちの敷地なのよ!」

夜空「なるほど」

柏崎邸

夜空「やっと着いた」

星奈「ここがあたしの家よ!」

ガチャ

天馬「……」

ステラ「お帰りなさいませ、お嬢様」

星奈「あっパパ!ステラ!」

夜空「ど、どうも……」

天馬「……星奈」

星奈「?」

天馬「小鷹くんはどうした」

星奈「え?なんで小鷹??」

夜空(第一声から小鷹とは相当気に入られているな)

天馬「彼ほどの男を放り出して別の男を作るとは!!」

星奈「は」

天馬「私はお前をそんな子に育てた覚えはないぞ!!」クワッ

ステラ「……旦那様」

星奈「パパ、この娘が夜空よ」

天馬「よ、よぞらっ……?あ、あぁ、知ってた知ってた!いっつもお前が話してるからな!」カァァ

夜空(素直に間違ったと言えばいいのに……)

天馬「ゴホンッ! 夜空……くん」

夜空「はい」

天馬「……娘は渡さんぞ」

星奈「ちょっ!?パパ何言ってんの!?」

夜空(あれっ?今何て言ったんだろう?初めましてとかか……??とりあえず返さないと……)

夜空「こちらこそ」

星奈「よぞらまでっ……///」

天馬「ふっ既に我が物顔と言ったところか……その図太さだけは認めよう。だが、私も譲る気はないからな……」コツコツ…

ステラ「お待ちを。まだ旦那様がお名前を名乗っていらっしゃいません」

天馬「……ぐっ」ピタッ

天馬「私は……柏崎……名前は、天の馬と書く……!」

夜空「天の馬……なるほど、差し詰めペガサスさんとでも言ったところですか」フフ

天馬「なっ!?」

ステラ「これは驚きました」

星奈「すごいわ夜空っ!」

夜空「え(ギャグのつもりだったのだが)」

天馬「……食事の準備ができている、来なさい」

夜空「はぁ……」

夜空(ところで肉、さっき理事長の言葉が聞こえなかったのだが)

星奈(さっきって?)

夜空(貴様が「パパ何言ってんの」と言ったとき。私が「こちらこそ」と返した、あれだ)

夜空(適当な返事をしてしまったせいで何か変なことになってはいなかったか?)

星奈(あ~あれね……適当だったんだ……まぁそこまで変じゃなかったわよ……多分)カキカキ

夜空(ならいいのだが)

夜空(あぁ、あと小鷹がここに来た際の話もじっくり聞かせてもらおう)

星奈(べっ別に何もないわよ、このあたしにつまらない話をさせるつもり?)

夜空(たまには取留めのない話でもどうだ?友達ができたときのための練習に)

星奈(そ、そうねっ……たまには……///)

夜空(ちょろい)

食堂

天馬「夜空くんはそこに座りなさい」

夜空「はい」

天馬「星奈はこっち向かい側の席に」星奈「夜空ぁ~、一人じゃ寂しいでしょ?隣座ってあげようか?」ズイッ

天馬「……」

夜空「別に寂しくなどないのだがそうだな……隣に座ると正面が寂しくなるな……」

天馬「!」

星奈「じゃあ正面に座ってあげる!」イキイキ

天馬(中々自然にフォローしてくれるじゃないか……)

夜空(このテンションが隣は無理)

夜空「いただきます」

星奈「♪~」

天馬「―――そういえば前に小鷹くんが来たときは食べるラー油を頂いたなぁ」チラッ

天馬「いやぁあれは大層美味であったなぁ」チラチラッ

夜空「あっ、その……うぅ(しまった!しばらく世話になる身でありながら差し入れの一つも用意していない!)」

夜空(私としたことが……迂闊だった……)

星奈「ちょっとパp」ステラ「そのことでしたら」

ステラ「既に頂いております。それもお釣りがでるくらいに」

星奈「えっ(夜空ったらいつの間に……?)」

天馬「何っ!?どうして私に言わないのだ!?」

ステラ「おいそれと見せられる物ではないのです、特に旦那様には」

天馬「ぐぬぬ……」

ステラ「御安心下さい。わたくしではなく全てお嬢様が管理されておりますので」

星奈「ギクッ(まさか……)」

天馬「星奈、何を頂いたんだ?言いなさい」

夜空(この執事……どういうつもりかは知らんが余計こじれてはいないか……?)

星奈「ぱっぱぱぱパパには関係ないものだから……」アハハ

天馬「関係ないはずがないだろう。親として、これは聞いておかねばならぬ」

ステラ「旦那様、年頃の女の子には色々あるのです。ここはわたくしに免じて」

天馬「むぅ……そこまで言うのなら仕方あるまい……」

星奈「ほっ」

夜空(とりあえずは助かったが―――)

夜空(私と理事長が知らなくて肉と執事が知っている私が肉に捧げた物……)

夜空(また聞くことが増えたな)

天馬「どうやら君は根回しが上手なようだな……」

夜空「どちらかといえば(今のところ一切発揮してないが)」

天馬「だがこれだけは言っておこう」

天馬「いくら献上しても星奈はなびかんからな!!」

星奈「なんなのもう……///」

夜空(不味いな……凄く怒っているようだが全く聞きとれなかった)

夜空(しかし逆に肉は恥ずかしそうだな。察するに親バカ発言だろう)

夜空(で、私が何か根回しをしていると思っているところから……)

夜空(「星奈を洗脳するな!!」といった感じか?)

夜空「私は星奈さんの意思を尊重しているつもりです」

星奈(星奈さん……///)

夜空(肉、今の4難聴目だ)ヨンホンユビ

星奈(あっそ……)ハァ

天馬「流石に口は達者だな……」

夜空(よく分からんが褒められたので良しとするか)

夜空「ごちそうさまでした」

ステラ「夜空様、来客用の部屋に案内致しますので付いて来て下さい」

夜空「はい」

トットットットッ

ガチャ

ステラ「こちらになります」

夜空(ひ、広い……それになんだか雰囲気があって怖い)

ステラ「お気に召しませんでしたか?」

夜空「いや、そういうわけじゃないんですが」

夜空「にk星奈さんのお部屋では駄目なのでしょうか?」

ステラ「……」

ステラ「わたくしは構いませんが、一つ忠告を」

夜空「忠告?」

ステラ「決して天井を見てはなりません」

夜空「どういうことですか?」

ステラ「見れば分かります、しかし見てはいけません」

夜空「??(意味が分からん……)」

夜空「怖い物でもあるんですか?」

ステラ「そのような物が御座いましたらお嬢様が堪えられません」

夜空「た、確かに……」

食いすぎだろ

夜空(肉にとって無害で……私にとって有害なもの……)

夜空「!」

夜空「小鷹ですか?小鷹が関係しているんですか?」

ステラ「さて、どうでしょうか」

夜空(確定だな)

ステラ「夜空様」

夜空「なんですか」

ステラ「お嬢様に素敵なプレゼント、ありがとうございます」

夜空「はぁ……?」

ステラ「ではわたくしはこれで」

夜空「おい肉」

星奈「夜空!?来客用の部屋で寝るんじゃなかったの!?」

夜空「気分が変わった。ここで寝かせてもらおう」

星奈「じゃ、じゃあちょっと待ってて!」

夜空「貴様、何を隠している?」ガシ

星奈「ヒィッ!!」

夜空「執事から聞いたのだが天井に何かあるらしいな」

星奈「何もないって……」

夜空「では小鷹がこの家に来たとき何があった?」

星奈「なっ何で小鷹……??」

何この名前マジで

夜空「しらばっくれるな。私に見られたら不味いのに小鷹が関わっていないわけがないだろう」

星奈「な、何であんたに関係あったら小鷹にも関係するのよ!」

夜空「すると何か?貴様が私個人に興味を持つ可能性があるとでも言いたいのか……ん、待てよ」

夜空「そうか……そういうことか……」

夜空「私に関する物が天井にあって貴様はそれに悪戯でもして日頃の恨みを晴らしているのだな」

夜空「そしてそれが私の貴様への貢ぎ物というわけだ。なるほど、合点がいった」

星奈「!」

・小鷹に関係する物がある→実は夜空の写真びっしり→驚愕卒倒失禁

・夜空に関係する物に鬱憤を晴らしている→単に夜空の写真びっしりなだけ→なんだこの程度か

星奈(この流れならいける!!)

星奈「そそそそんなに言うならははは入ってもいいわよっ」

夜空「ふっ……」

夜空「終わりだ!肉!!!!!!」ガチャッ

http://uploader.sakura.ne.jp/src/up116881.jpg

夜空「……」

星奈(残念、この程度でした!)

星奈(あんたのマイナス思考でハードルを上げてくれたお陰で助かったわ)

夜空「……」バタッ

星奈「……夜空?」

夜空「」チーン

星奈「気絶してる……」



星奈(終わった……)

夜空「―――ハッ!?」

キョロキョロ

夜空「ここは……客室?」

夜空「いつの間に寝てしまったんだ私は……?」

夜空「肉の部屋に行って……いや、そもそも本当に行ったのだろうか?」



夜空「風呂でも入るか……」

浴場

夜空「薔薇風呂って……まぁ別に良いが……」

ギャーギャー

夜空「ん?」

―脱衣所―

天馬「離せ星奈!私は夜空くんの背中も流さねば気が済まんのだ!!」

星奈「だ か ら 夜空は女の子だって言ってるでしょ!?」

天馬「小鷹くんとも裸の付き合いをしたんだ!何も恥ずかしいことはない!!」

星奈「恥ずかしいって次元じゃないわよ!!パパの変態エロ親父!!鬼父!!」

天馬「なにぃ!?親に向かってその口の利き方は何だぁぁあ!?」

―――

夜空「早くどっか行ってくれ……」

ガラッ

夜空「!?」

星奈「よ、夜空……背中流してあげよっか?」

夜空「なんだ肉か……」ホッ

夜空(……「ホッ」?)

星奈「ほら、上がって」

夜空「う、うむ……」ザバァ

夜空「ときに肉、私は貴様の部屋に訪れてはいなかったか?」

星奈「き、来てないけど……?」

夜空「そうか、すまない、変なことを聞いたな」

星奈(よかった覚えてない……)

夜空「……」

星奈「♪~」ゴシゴシ

夜空「楽しそうだな」

星奈「そ、そりゃあ初めて同い年の女t、女の子が家に泊まりに来たんだし……」

星奈「っていうか、よく背中流させてくれたわね。いつものあんたなら絶対断るはずなのに」

夜空「理事長に流されるのを想像したら肉如き気にならなくなっただけだ」

星奈「聞いてたのっ!?」

夜空「こっちだって不本意だ」

星奈「ご、ごめん……」

夜空「謝るな。それに、理事長だって貴様のことを心配しているだけだろう?」

星奈「それでも……まさか夜空とお風呂入ろうとするなんて思ってもみなかったから……」

夜空「確かに」

夜空「で、肉こそ何故風呂に入って来たんだ?」

星奈「そ、それは……」

夜空「……」

星奈「夜空と一緒に入りたかったから……」

夜空「……」

星奈「……」

夜空「どうした?『それは』の続きを早く言え」

星奈「えぇっ!!聞こえてなかったの!?」

夜空「何か言っていたのか?……すまん」

星奈(もしかして『楽しそうだな』のあとも聞こえなかったのかなぁ……)ハァ

星奈(それにしても……)

ゴシゴシ

星奈(綺麗な肌……)ポーッ

星奈(今なら許される気がする)

夜空「で、何と言ったのだ肉」

星奈「……」ソロ~

夜空「どうしたんだ肉??」

ムニィ

夜空「なッ……!?///」

夜空「き、きさまぁ~~~!!」

夜空「どういうつもりだ肉ッ!!」バッ

星奈「」タラー

夜空「の、逆上せたのか……?」

夜空(バランスを崩して当たっちゃっただけだそうだ違いない)

脱衣所

夜空「何故私がこいつの身体まで拭かなくてはならんのだ……」

星奈「……」ポケェ~

夜空「ったく、なんて間抜けな顔をしているんだ」

星奈「……」たぷん

夜空「……」

星奈「……」ドタプン

夜空「……」ゴクリ

夜空「し、仕返しだからな、仕返し……」ソロ~

モニュ

夜空「おっ、おおぉ……!?」

夜空「これは……世の男共の気持ちも分からなくもないような……」モミモミ

星奈(う、うぅん……あれ?)

星奈「よ……よよよ夜空!?///」

夜空「」ビクッ

夜空「知らん知らん知らん知らん私は何も悪くない貴様のせいだくっそぉぉぉおおお!!!!!!」ダッ

星奈「……プッ(なんか可愛いわね)」

―廊下―

夜空「うわああああああユニバァァァーーーーーーーーーッス!!!!!!」

天馬「ど、どうしたんだ夜空くん!?」

夜空「はっ!?///」ハラリ

天馬「ぬわっ……」oh

星奈「あ……おかえり夜空」

夜空「……」

星奈「どうしたのよ?」

夜空「死にたい……」

星奈「え」

夜空「死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にt」

星奈「い、いいから取り敢えず服を着なさい」

夜空「……ウン」

夜空「さっさと寝たい……今日という日を記憶から消し去りたい……」

星奈「ど、どうしたのよ本当に……ってそっちはあたしの部屋!」

夜空「うるさい」ドン

星奈「きゃっ」スッテーン

ガチャ

夜空「……」テクテク

ぼふぅっ

夜空「Zzz...」

星奈「一直線にベッドに潜り込んじゃった……」

星奈「ふぁ~あ、あたしも寝よ」

夜空「スー…スー…」

星奈(不器用な奴……こんなに優しい顔してるくせに)

星奈「おやすみ夜空……」



夜空「うぅん……肉?」

夜空「そっか……私は肉の部屋で寝てて……な゛っ!?」

http://uploader.sakura.ne.jp/src/up116881.jpg

夜空「肉ぅぅぅ……」

星奈「えへへ……小鳩ちゃぐひっw」

夜空「さっさと起きろ!!ユッケ!!勘坂康弘!!こばと幼稚園!!焼肉酒家えびす!!」

星奈「こっこばとちゃっ……」

ガシッ

夜空「いつまで寝ぼけているのだッ!!起きろフーズフォーラス!!!!!!」ブンブン

星奈「あひあひぃ~……ん?よっ、よ、ぞ、ら、ぁ、~、ど、う、し、た、のぉおぉおぉおぉお~」

夜空「やっと起きたか……」ハァハァ

星奈「な、なにすんのよ……」ゼェゼェ

夜空「それはこっちの台詞だ!!全部思い出したぞ!!」

勘坂康弘って誰だ?

夜空「昨日私は貴様の部屋に訪れた!この写真の群れを見てから記憶が飛んでいるが確かに訪れたのだ!!」

夜空「それなのに貴様は何事もなかったかのように風呂に入って来て……!!」

夜空「答えろ!これは何だ!!」

星奈「こ、これは……隣人部での今までの思い出を貼って」

夜空「私が多いな……!!」

星奈「ぐ、ぐうぜんね……」

夜空「偶然なわけがあるか!!執事だって私が撮られていることを理解している口振りだったぞ!!」

星奈「くっ……そうよ、あんたを撮ってたのよ」

夜空「何のためにだ?」

星奈「それは……毎日あんたにやられたことを忘れないように……」

夜空「臥薪嘗胆というわけか、実に殊勝だな……それが事実であればな」

星奈「どういうことよ?」

夜空「ベッドからこんなものが出てきたぞ」バッ

星奈「あっ……」

夜空「これは前に私が被っていたカツラだな。何故ベッドから出てくる?」

星奈「その……」

夜空「いい加減白状しろ」

星奈「わかったわよ……!」

>>95
http://www.youtube.com/watch?v=eDE_ukud00c

星奈「よ、よぞらの……」

夜空「……」

星奈「よぞらの、写真を見て、カツラの匂いを嗅ぎながら……その……××××してたのよ……」ググ

夜空「……はぁ?今何と言ったのだ?もう一度聞こえるように言ってみろ」

星奈「だ・か・ら!夜空のこと考えて……××××してた……って言ってるでしょ!?」

夜空「聞こえんと言っているだろ!!もう一回言え!!」

星奈「」カチン

星奈「もういいわよっ!!どうせ夜空はあたしの言ってること聞いてくれないんだから言う意味なんてないでしょっ!?」

夜空「ッ!!」

夜空「―――私だって」プルプル…

夜空「私だって聞きたくなくて聞こえてないわけじゃないんだッ!!!!!!」ダッ

星奈「夜空っ!!」

ガチャ バタンッ

星奈「……はぁ、最悪の目覚めね」

ちょっと休む

食堂

夜空「……」

星奈「……」

天馬(気まずい……)

夜空「ごちそうさまでした、いってきます」ガタッ

天馬「ん?夜空くん、星奈と一緒に学校に行かないのか?」

星奈「ごちそうさま。じゃ、学校の準備してくるわ」

天馬「お前まで……」

天馬(どうやらこの空気に私は関係ない……?)

部室

小鷹「夜空と星奈が喧嘩した?いつものことだろ?」

理科「そうじゃありません!」

幸村「たがいにひとこともことばを交わさないのです」

夜空「……」

星奈「……」

小鷹「昨日あのあと何かあったってことか」

理科「あのあと?」

小鷹「実はな……」

カクカクシカジカ

理科「なるほど……何があったか聞いてみた方が良さそうですね」

小鷹「確かにこの空気は不味い」

理科「小鷹先輩は夜空先輩を頼みます、星奈先輩は理科と幸村くんに任せてください!」

小鷹「悪いな」

理科「星奈せんぱーい!ちょっといいですかー?」

小鷹「夜空、今日はやけに不機嫌だな。昨日なんかあったのか?」

夜空「……それで理科と幸村が肉を連れ出したというわけか」

小鷹「分かってるんなら話が早い」

夜空「―――小鷹には関係ないだろ」

小鷹「なんだって?」

夜空「小鷹には関係ないと言っている!」

小鷹「確かにお前と星奈だけの問題かもしれない。けどこのまま険悪な空気でいられたら俺達隣人部にも関わってくるんだよ」

夜空「……」

小鷹「お前は変わったよ」

夜空「悪かったな」

小鷹「違う、最初に会ってからじゃない。俺が転校してきたときからだ」

夜空「……何?」

小鷹「俺が最初にこの学校に来たとき、お前はいつも不機嫌そうで近寄りがたい雰囲気の奴だった」

小鷹「まぁクラスにいるときは今もそんな感じだけどな」

夜空「うるさい」

小鷹「でも俺と話して隣人部が出来てみんなが入ってきて……夜空は少しずつ変わっていった」

小鷹「特に星奈と話してるときは教室での姿が嘘みたいに生き生きしてて」

夜空「やめろ……」

小鷹「お前にとっちゃ星奈をどうやってからかおうか考えてるだけなんだろうけど」

小鷹「俺はすっごく安心してるんだ。お前が本当は明るい奴だってのを知ってるから」

夜空「やめろッ!!」



夜空「―――お前にそんなこと言われたら……どんな顔をすればいいのかわからないだろ……」ポタポタ

小鷹「夜空……」

夜空「こだかぁ……わたしはっわたしはぁ……」ギュ

小鷹「おう、泣いとけ泣いとけ」

お外

星奈「外なんかに連れ出して、あんた達どういうつもりよ?」

幸村「星奈のあねごと夜空のあねごになかなおりしていただきたく……」

星奈「仲直りって……余計なお世話よ!あたしたち元々仲悪いんだし」

幸村「あねご……昨日あにきと別れたあと、なにがあったのですか……?」

星奈「別に何もないわよ(小鷹の奴……!)」

理科「なら、星奈先輩はこのままでいいんですか!?」

星奈「それはっ……」

幸村「ことばを詰まらせる、それはすなわち迷いがあるというしょうこ」

理科「星奈先輩の中でも答えはもう出ているはずです」

星奈「―――はぁ……参ったわ、降参よ降参。はいこれ」サッ

理科「星奈先輩、これは?」

星奈「夜空が聞こえなかった言葉のリストよ」

幸村「あねご……!」

星奈(面倒臭い後輩をもっちゃったわねあたしも……)

理科「これは……ふむふむ、見たところ星奈先輩の思い切った発言がことごとく聞かれていませんね……」

星奈「べっ別にあたしはどうでもいいのよ?あいつが一人じゃ可哀想だからその……」

理科「こんなときにまで意地を張らないでください」

星奈「ごめんなさい」ウゥ

幸村「星奈のあねごはじぶんのきもちが夜空のあねごに届かないことをもどかしく思われたのですね」

理科「で、この最後の言葉はなんですか?やたらと伏字が多いんですけど……」

星奈「だっダメッ!それはっ!!」バッ

理科「あ」

幸村「なにやらあやしげなかおりが」

理科「今日は特別に深追いしないであげましょう」ニヤニヤ

星奈「明日も明後日も勘弁して……」

部室
夜空「……」

小鷹「落ち着いたか?」

夜空「―――うん」

小鷹「星奈とちゃんと話せるか?」

夜空「うん」

小鷹「よし、じゃあ俺からはもう何も聞かない。星奈呼んでくるから待っとけよー」ガチャ

トントン

星奈「夜空……いる?」

夜空「肉か……」

ガチャ

星奈「夜空、あのね……その……」

夜空「ごっ、ごめん」

星奈「えっ……?」

夜空「だから……聞こえないのをいいことに……言いすぎて悪かったと言っている……」

星奈「あたしも……ごめん。夜空の気持ちも考えないであんなこと言っちゃって……」

夜空「とっ特別に許してやろう!肉だからだぞ……」

星奈「じゃああたしも夜空だから特別に許す!」

夜空「フフ……」

星奈「えへへ……」

廊下

小鷹「無事に仲直りできたみたいだな」

幸村「おなごどうしのゆうじょうにも、グッとくるものがあるとは……べんきょうになりました」

理科「果たして友情だけで収まりますかねぇ~」フヒヒw

ガチャ

夜空「貴様ら何をしている?」

理科「わぁあ!?先輩方これはこれはお元気そうで……」

夜空「―――そうだな、貴様らのお陰で少しは元気かもな。一応礼は言っておこう」

星奈(あんなこと言ってるけど本当はあたしも夜空もすっごく感謝してるから!)ボソ

夜空「肉、早く帰るぞ」

星奈「ごめんごめん!」タッタッタッ…

夜空「今日は来客用の部屋で寝る」星奈「あ、あたしの部屋は」夜空「却下。一緒に寝たければお前が来い」星奈「ほんと!?」



小鷹「これにて一件落着ってかぁ」

幸村「ですがなにかわすれているような」

翌週 耳鼻科

星奈「そろそろ呼ばれる頃ね」

ナース「三日月夜空さーん」

夜空「はい」

女医「こんにちは」

夜空「あれ?担当医が違うのですが」

女医「先週診てくれた先生は出張で居ないの。だから私」

夜空「なるほど」

女医「で~、柏崎さん?メモを取ってくるよう頼まれてたみたいだけど」

星奈「あっはい!」サッ

女医「これねぇ~……」ペラペラ

女医「柏崎さんに一つ聞きたいがあるんだけど」

星奈「何ですか……?」

女医「柏崎さんは三日月さんのことが好きなの?」

星奈「ふぇっ!?」

星奈(な、なんてこと言うんですかっ!///)

女医「あぁ、大丈夫大丈夫、彼女には聞こえてないから」

夜空「?」

女医「それに好きといってもどういう意味で好きなのかなんて私には分からないし」

星奈「そうは言っても……」

女医「別に今のままで良いっていうのならこれで終わりにするけど」

星奈「うぅっ……」

女医「どうする?」

星奈「あたしは―――」

星奈「あたしは、夜空が好き。夜空にあたしの気持ちを知ってもらいたい!」

女医「……そっか」

女医「じゃあ柏崎さん、退室してもらえないかしら」

星奈「えぇっ!?……わ、分かりました」ガチャ

女医「―――さて、三日月さん」

夜空「はいっ?」

女医「あなた、人と関わるのが怖いってことはない?」

夜空「あっ……そのぅ……はい」

女医「やっぱりね……これ、この一週間の柏崎さんのメモ」

夜空「これが……こんなことを言っていたのか……!」ペラ

女医「聞こえていれば柏崎さんとあなたの距離が縮まったり関係が深くなったりする言葉ばかりなんだけど」

女医「あなたの身体がそれを怖がって無意識に聴覚を遮断していた……これが今回の症状の正体」

女医「今のあなたは心を許さない限り友達を作れない状態にあるのよ」

夜空「そ、そんな……!」

夜空(お笑いだな。私の友達を作りたい気持ちは本物だったのに自ら拒絶していたとは……)

夜空「しかし私が心を開いても意味がありません……あいつは私のこと嫌いですから」

女医「本当にそう思っているの?」

夜空「そんなことはないけど……怖いんです。もしも違っていたらと考えると……」

女医「たまには人を信じてみたら?」

夜空「人を、信じる……」

夜空(小鷹以外の人を……?でも、肉なら……)

女医「あと自分の気持ちにも素直にね」

夜空「……」

待合室

夜空「……」トボトボ

星奈「夜空、どうだった……?」

夜空「すまない、少し時間をくれ」

星奈「……」

夜空「それと、もうメモを取らなくていいそうだ。泊まる必要もない、世話になった」

星奈「そう」

夜空「心配するな。絶対に答えは出す」

星奈「!」

星奈「分かった。あたし……待ってるから!」

夜空「うむ」

数日後 部室

ガチャ

星奈「あら、夜空だけ?」

夜空「今日の部活は休みというメールを送ったからな」

星奈「えぇっ!?あたしのところには届いてないわよ!!」

夜空「そうでなくては困る。貴様と私は休みじゃないからな」

星奈「休みじゃないって……あっ」

夜空「そうだ、そのことについてだが……」

夜空「その……肉は私のこと……どう思っているのだ?///」

星奈(もう迷わない!)

星奈「……あたしは夜空のことが大好き!!」

夜空「なっ!?///」

夜空「きききき貴様!よくもそんな恥ずかしいことを堂々と言えたものだな!!」

星奈「あれっ?夜空……」

夜空「あっ……」

夜空「やっと聞こえた……!」ポタポタ

星奈「夜空!」ギュ

夜空「うぅ……にくぅ……」

星奈「でも、どうして……?」

夜空「私も……好きだから」ボソ

星奈「え?何?」

夜空「フッ、馬鹿者、私もお前のことが好きだと言ったのだ」グスン

星奈「じゃ、じゃあ想いが通じ合ったから聞こえたのね……!」

夜空「認めよう、貴様の真っ直ぐな気持ちに惹かれたと……しかし」

夜空「こうなったからには尚更盗撮は許せんな」

星奈「えぇっ!?そこをなんとかっ!!」

夜空「カメラは隠すな。貴様と一緒に写れないだろ……///」



おわり

そうだよみなみけで誤爆して死にたいんだ寝る

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