男「何だこれ、魚か?」 (624)

ミステリー要素やら恋愛要素は全く無いです
別のssもやってますがこういうのもやってみたかったのでつらつらとやっていきます

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1391399671

男「ちょうどいいや。腹減ってたんだ」

人魚「どこ見てんだよ、どう見ても人魚だろうが」

男「しかし見たことない魚だな…学会に持ってけばいいのかな」

人魚「おい、聞けコラ」

男「目の前の空腹を満たすか、未来の栄光を取るか…」

人魚「何だコイツ」

男「背に腹は変えられんな、持って帰ろう」

人魚「待てって言ってんだろが」

男「しかし見たことない上に喋る魚か…」

人魚「聞こえてんなら反応しろや」

男「世界は広しと言えど、こんな魚は世界初だよな」

人魚「もうやだコイツ」

男「とりあえず持って帰るか」

人魚「おい、海に戻せ」

男「え、食われる為に上がって来たんじゃないの?」

人魚「何で死ぬために上がって来なきゃなんねーんだよ、てかやっと反応したかクズが」

男「あ?あ?あ?」

人魚「『あ?』じゃねーんだよ早よしろや」

男「焼くぞコラ」

人魚「焼いてみろコラ」

男「よーし、家に持ち帰ってじっくり捌いてじっくり焼いてやろう」

人魚「やめろ、悪かった、話を聞いてくれ」

男「初対面には敬語だろうが」

人魚「テメーもタメで話してんじゃねーかゴミ」

男「え、何?焼くよ?」

人魚「すんませんでした」

男「分かればいいのよ」

人魚「で、話があるんですよ」

男「海に戻すのは無理だからな」

人魚「今持ち帰ろうとしてた奴が何言ってんだ」

男「濡れたくねえんだよ、てか敬語使えや」

人魚「うるせーな、こっちの勝手だろうが」

男「そもそもお前女の癖に何でそんな口調なんだよ」

人魚「親の影響だよ」

男「どんな親なんだよ」

人魚「いいから話を聞いてくれ」

男「じゃあ俺の家で話を聞こう」

人魚「おい、食うんじゃないだろな」

男「それはお前の話次第だ」

ーー男の家ーー

男「さあ、上がってくれ」ドサッ

人魚「おい、もうちょっと丁重に扱え」

男「さあ、話を聞こうか」

人魚「その前に1つ頼みがあるんだが」

男「何だろうか」

人魚「風呂場に連れてってくれ」

男「水に浸かりたいと申すか」

人魚「ドンピシャだ」

男「水だってただじゃないんだぞ」

人魚「こんな立派な家を持つ割にはケチなんだな」

男「金の大切さを説いてやってんだよ」

人魚「それはまた聞こう」

ーー風呂場ーー

人魚「ふぃー…」

男「完全におっさんじゃねーか」

人魚「気持ちええのう」

男「お前のキャラが分からん」

人魚「分からんでいいわ」

男「てか話しろよ」

人魚「忘れてたな」

男「内容によってはこのまま熱湯をかけるからな」

人魚「クズが」

男「最後の言葉はそれでいいのか」

人魚「待て、悪かった、謝るから」

男「お前めんどくさいわ」

人魚「慣れてくれ」

男「お前とだけは馴れ合いたくないな」

人魚「さて、話に入るぞ」

男「お前めんどくさいわ」

人魚「実は私以外にも数々の人魚が陸に上がったんだ」

男「ほう」

人魚「人間を食おうとしてるらしい」

男「何だと」シャー

人魚「熱ィ!」

男「おっとつい弾みで」

人魚「本当の話だからな」

男「なぜ人間を食うんだ」

人魚「私達は海底に棲んでいるんだが、たまに人間が落ちてくるんだ」

男「水死体だな」

人魚「それを見つけた人魚が食った所」

男「至極美味であったと」

人魚「そんな所だ」

男「お前も食ったのか?」

人魚「そんな訳無いだろう」

男「で、話はこれだけなのか?」

人魚「ああいや、まだ続きがあるんだよ」

男「聞いてやろう」

人魚「私はそいつらを止める為に上がって来たんだよ」

男「うんうん」

人魚「だがあいつら電話に電話に出やがらねえ」

男「え?電話あんの?」

人魚「そこで提案なんだが」

男「話聞けや」

人魚「そいつらを探すのを手伝ってくれ」

男「聞けって」シャー

人魚「熱ィ!」

男「電話ってお前、携帯でも持ってんの?」

人魚「当たり前だろうが」

男「ちょっと見せてみ」

人魚「ほらよ」

男「おおお…」

人魚「なんだ、人間は持ってないのか」

男「持っとるわ、人間舐めんなカス」

人魚「あ?何だコラ陸でしか生息できない下等生物が」

男「陸の上でピチピチしてた魚がよく言うわ」

人魚「え」

男「何だ、言葉も出ないか」

人魚「私、そんなピチピチしてた?」

男「見るに堪えない程にな」

人魚「よせやい」

男「もうお前よく分からん」

人魚「で、本題なんだが」

男「うん」

人魚「他の人魚を探すのを手伝ってくれ」

男「断る」シャー

人魚「熱ィ!」

男「見返りがあれば別だけどな」

人魚「見返り?」

男「そうだな、例えば」

人魚「…」

男「海底の世界を見てみたいな」

人魚「お前息できないだろうが、そんな事もわかんねーのかカス」

男「写真にでも撮ればいいだろうが」シャー

人魚「熱ィ!」

男「で、どうなんだ。呑むのか」

人魚「それくらいならお安い御用だ」

男「よし、成立だな」

人魚「じゃあ、とりあえず私を担いで街を練り歩け」

男「お前は馬鹿か」シャー

人魚「熱ィ!」

男「人魚なんか見たら大騒ぎになるだろうが」

人魚「じゃあどうすんだコラ」

男「とりあえず、ニュースに流れるのを待つか」

人魚「それで?」

男「見つかったニュースが流れたら、俺が現地に行って電話で話せばいいだろ」

人魚「よし、それにしよう」

男「じゃあ、俺は部屋に戻るか」

人魚「待てやコラ」

男「何だコラ」

人魚「寂しいだろうが、ここに居ろや」

男「お前のキャラがよく分からん」

人魚「ほら、積もる話もあるだろ」

男「いやねーよ」

人魚「人間界の話も聞きたいし」

男「話す程の事なんか無いぞ」

人魚「私からしたら興味しんしんなんだよ」

男「なるほど、確かに俺も人魚の世界に興味はある」

人魚「ほら、話すことなんか一杯あるだろ」

男「仕方ないな」

とりあえず今日はここまでです

今日の16時頃更新します

投下していきます

人魚「人間っていつも何食ってんだ?」

男「いつもって…国によって違うぞ」

人魚「クニ?」

男「人魚の世界には国が無いのか」

人魚「国ってなんだ」

男「言語やら肌の色が違う人種が違う土地で暮らしていて、それぞれの国にはちゃんと名前もある」

人魚「私達は種類豊富だが」

男「まあ、魚だしな…」

人魚「いや、魚じゃねーから」

男「どうでもいいわ」

人魚「で、結局何食ってんの?」

男「俺たちは基本的にコメを主食としている」

人魚「それは美味いのか」

男「俺は味音痴だからよく分からんな」

人魚「他のクニでは何を食ってるんだ」

男「アメリカという大国があって、そこではパンを主食としてる」

人魚「それは美味いのか」

男「食ってみるか?」

人魚「いいのか!」

男「台所に食パンがあったはずだし、持ってくるわ」

人魚「よっしゃー!」

ーーーーーーーーーーー

男「ほれ」

人魚「おお、柔らかい」

男「とりあえずハムとレタスを乗せといた」

人魚「いただきます!」

男「どうだ」

人魚「…」

男「?」

人魚「美味い…」

男「初めて食うと美味しく思えるもんだよな」

人魚「もっとくれ」

男「悪いな、それが最後の1枚なんだ」

人魚「もっと味わっておけば良かったな…」

男「人魚は何を食ってるんだ?」

人魚「主食は海藻」

男「か、海藻?」

人魚「大量に栽培してるんだ」

男「おぞましい光景だな」

人魚「意外と美味いんだ」

男「海藻の他には?」

人魚「そうだな、紛れ込んできた魚類だな」

男「おい、共食いじゃねえか」

人魚「私は人魚だからな。半共食いだ」

男「罪悪感は無いのか」

人魚「無いね。魚が哀願でもしたら別だけどな」

男「まあそうだが」

人魚「人間は牛や豚を食うんだろ?」

男「なぜ知っている」

人魚「本に書いてあった」

男「本なんかあんのか」

人魚「ちゃんと防水加工だぜ」

男「当たり前だろが」

人魚「しかし人間っていいな」

男「なぜだ」

人魚「顔がまともだ」

男「意味が分からん…」

人魚「いや、種類によっては顔に影響が出る奴がいるんだよ」

男「お前は運良く人間の顔というわけか」

人魚「両親共に上人だからな」

男「ジョーニン?」

人魚「上半身が人間の人魚のことだ」

男「え」

人魚「まあ、最近は上人しか見かけねーけどな」

男「進化でもしていると言うのか」

人魚「そうだ」

男「すげぇ…」

人魚「私が生まれる前は、下人ばっかだったらしい」

男「待て、お前何歳だ」

人魚「17だ」

男「たった17年でそんな劇的な進化を…」

人魚「凄いだろ」

男「いずれエラ呼吸が可能な人間が上がってきそうだな」

人魚「不可能じゃないな」

男「恐ろしいな」

人魚「でさ、上人のオスが少ないってことはだぞ」

男「おう」

人魚「カッコいい奴が少ねえんだよ、マジで」

男「それはメスも一緒なんじゃないのか?」

人魚「いや、メスは顔も人間な奴が多いんだよ、何でだろうな」

男(多分、卵を受精させてくれるオスを呼び寄せる為に本能でそうなるんだろうな)

人魚「たまにカッコいい奴がいるんだが」

男「すでに恋人がいると」

人魚「そういうことだ…私が先にアプローチしたにも関わらず…」

男(こいつ結構可愛いと思うけどな…けど)

男「その口調だと無理だろ」

人魚「仕方ないだろ」

男「いや、直せないことはないだろ?」

人魚「親の命令でな」

男「命令?」

人魚「優しい口調で話す所を見られるとお仕置きなんだ」

男「お、お仕置き…」

人魚「ウロコを剥がされた時は思わず涙が出た」

男「あんまり痛くねーのかよ」

人魚「何かこう、痛み自体は大きくないが尾を引くというか、刺すようなネチネチした痛みというか…」

男(鼻毛抜くみたいなもんかな)

人魚「とにかく痛いんだよ」

男「まあ、分からんでも無いな」

人魚「この口調のせいで生まれてこの方イナイ歴17年だ」

男「結構可愛い顔してんのにもったいないな」

人魚「え」

男「いや、もったいないなって」

人魚「お、おいバカそんなこと言うなって」

男「多分誰でも言うと思うけどな」

人魚「やめろよバカ、照れんじゃねーか」

男「親にその口調を直してもいいよう頼むことだ」

人魚「えへへ…」

男「聞いてねえな」

人魚「うへへ…ん?」

男「…」

人魚「…何だオイこの空気は」

男「やっぱお前その口調直した方がいいぞ」

今日はここまでです

18時頃更新します

18時から用事が入ったので20時からにします

案外早く用事が済んだので今から投下していきます

人魚「直せるもんなら直しとるわアホが」

男「見られたらまずいんだろ?」

人魚「そうだ」

男「ここなら他の人魚に絶対見られないし、俺と話してる時くらいもっと柔らかく口調にしてくれよ」

人魚「なるほど…」

男「断れば熱湯をかける」

人魚「勘弁してくれ」

男「ほら、話してみろよ」

人魚「…」

男「どうした」

人魚「どんな風に話したらいいのか分からん」

男「とりあえず敬語でいいから」

人魚「こんな感じですか」

男「いい!いいよぉ!」

人魚「あの、何か怖いです」

男「いやいやいや!怖がらなくていいからねぇ!」

人魚「いや、その手をワキワキするのを止めてもらえませんかね」

男「あああ!そんな蔑まないで!」

人魚「おい」

男「何戻してんだコラ」

人魚「ただの変態じゃねーか」

男「つい昂ぶってしまってな」

人魚「かなり引いたぞ」

男「敬語で話してくれる年下が好きなんだ」

人魚「ロリコンかお前」

男「ちゃうわアホ」シャー

人魚「熱ィ!」

男「年下と言っても2、3歳程度だ」

人魚「お前いくつなんだ?」

男「今年で20」

人魚「ジャストミートか」

男「お前が敬語を使ってくれてたらもっといい待遇になるぞ」

人魚「お前怖いから嫌だ」

男「仕方ないだろ」

人魚「キャラ変わりすぎなんだよ」

男「男なんてあんなもんだ」

人魚「いや、お前は特例だろ」

男「お前も敬語にすればもっとモテるかもしれんぞ」

人魚「その手には乗らねえぞ」

男「チッ」

人魚「舌打ちすんな」

男「しかし腹減ったな…」

人魚「何か食わせてくれ」

男「お前はワカメでいいな」

人魚「それでもいいが3kgくらい頼む」

男「そんなにあるか」

人魚「じゃあ別の物を」

男「待ってろ」

ーーーーーーーーーー

男「持ってきたぞー」

人魚「魚じゃねーか!」

男「お前らの食う魚とは違うと思うぞ」

人魚「確かに、いい臭いが…」

男「海底では焼いたりなんかできんだろう」

人魚「いただきます!」

男「待て」ヒョイ

人魚「おい」

男「ほーら、エサだぞー」プラプラ

人魚「あっちょ、こら、動かすなって!」

男「ほらこっち」

人魚「そら!」

男「残念、こっちだ」

人魚「おら!」

男「惜しい惜しい」

人魚「ちょ、遊ぶな!」

男「すまんすまん、ほら」

人魚「それでいいんだよ」

男「おっと残念」ヒョイ

人魚「あう…」

男「ほら、こっち…」

人魚「…」グス

男(ヤバい)

人魚「…もういいよ」

男「え?」

人魚「私のこと嫌いなら、追い出せばいいじゃん」

男「いや、その」

人魚「ありがとうございました。最後に海に戻してくれるとありがたいです」

男「いやいやいや!そんなことしないよぉ!」

人魚「…」

男「ああごめんごめん!ほら、今皿に置くからね!」

人魚「おら!」

男「ん?」

人魚「ケケケ、引っかかったな」バクバク

男「しまった、謀られた」

人魚「ふいー、ご馳走さん」

男「なんか悔しい」シャー

人魚「熱ィ!」

男「俺も飯食おう…」

人魚「おい、1人にすんなー!」

ーーーーーーーーーーー

男「ご馳走さまでした」

男「さて、ニュース見てみるか」

TV『本日、○○県の海岸にて、人魚が発見されました』

男「あいつが居た場所と一緒じゃねーか」

TV『非常に高い知能を持っていて、人間と遜色無い思考をするようです』

男「へぇー」

TV『しばらくの間、△△大学の研究室で世界中の学者を集めて徹底研究する予定です』

男「おいおい、よく人魚がそんなの許したな」

TV『以上です』

男「とりあえずあいつに報せておくか」

男「おーい、人魚見つかったぞー」

人魚「スー…スー…」

男「寝てやがる…」

男「というかどうやって人魚に会いに行けばいいんだ」

男「研究室の中なんて入れてくれないだろうし…」

男「どうしたもんかね」

テーテーテーテテテテーテーテーフゥー!

男「ん?」テーテーテーテテテテーテーテーフゥー!

男「何だこの低燃費のCMの着信音は」テーテーテーテテテテーテーテーフゥー!

男「あああうるせえ!どこだあいつも携帯!」テーテーテーテテテテーテーテーフゥー!

男「あったあった、ん?」

男「切れてしまった」

男「誰からだったんだ」

人魚ね 実際は危険だけどね

携帯『着信:イルネちゃん』

男「い、イルネ?」

男「もしかして名前なのか」

男「…イルカの人魚ってことか?」

男「他にはどんな奴がいるんだ」

お母様
お父様
イルネちゃん
イルモネちゃん
カニミちゃん
キスエちゃん
コイノくん
サバケミさん
シーカちゃん
スズキレさん
タイペーくん
ドジョニスさん…

男「…凄いな、何か」

男「海底はどんなネーミングセンスしてんだ」

男「ドジョニスなんてかっこよすぎだろ」

今日はここまでです

>>41-42
その辺は創作ってことで勘弁して下さい」

訂正>>40

男「あああうるせえ!どこだあいつも携帯!」テーテーテーテテテテーテーテーフゥー!



男「あああうるせえ!どこだあいつの携帯!」テーテーテーテテテテーテーテーフゥー!

よく考えたら蟹って魚じゃないじゃん(´・ω・`)
カニミちゃんは削除されました

ドジョウも淡水魚なのに何で海底いんだろ

>>46
>よく考えたら蟹って魚じゃないじゃん(´・ω・`)
>カニミちゃんは削除されました
それ言ったらイルカも魚じゃ無くね?
いいじゃん蟹や泥鰌の「人魚」が居ても
海底世界の神秘ってことで全部許されるよきっと

>>49
そう言われればそうでした
まあ、もう何でもアリですよ(´・ω・`)

投下していきます

男「おい、起きろ」ペチペチ

人魚「んー…」

男「あらあら」ペチペチ

男「困ったわねえ」ペチペチ

男「あらまあ」シャー

人魚「熱ィ!」

男「お、起きた」

人魚「『あらまあ』じゃねーだよ殺す気か!」

男「しかし魚って寝るんだっけ?」

人魚「魚だっつってんだろ!」

男「あ、イルネちゃんから電話来てたぞ」

人魚「先に言えや」

男「イルネってあれか、イルカの人魚か?」

人魚「そうだ」

男「お前とどういう関係なんだ?」

人魚「幼馴染だ」

男「海底に近所とかあんのかよ…」

人魚「もしもしー?」

イルネ『やほー!』

男「緩そうな奴だな」

人魚「お前今どこだ」

イルネ『海だよ、海!』

人魚「アバウト過ぎる」

イルネ『あ、ペンダント落ちてたよー!』

人魚「え!?」

男「ペンダント?」

人魚「お母様からのプレゼントなんだ…」

男「あの砂浜で落としたんじゃないか?」

人魚「それだ!」

イルネ『何、誰かいるの?』

人魚「見知らぬおっさんに拾われたんだ」

男「誰がおっさんだコラ」シャー

人魚「熱ィ!」

イルネ『ちょっと、大丈夫!?』

人魚「もう慣れたかな」

男「熱湯かける度に驚いてるけどな」

イルネ『ちょっとそのおっさんに代わって!』

人魚「ほれ」

男「誰がおっさんだコラ」

イルネ『ちょっと、マイプリンセスをいじめないで』

男「ま、まい…?」

イルネ『あなた今どこなの?』

男「俺の家だ」

イルネ『よし、今から砂浜に来い』

男(人魚ってキレると口調変わるよな…、普通かもしんないけど)

男「砂浜ってどこだよ、範囲広すぎだろ」

イルネ『場所分かってんだろうが、会話聞こえてたんだよ』

男「で、何で俺がお前のとこまで行かなきゃならんのだ」

イルネ『私が動けないからに決まってんだろ!』

男「…」

イルネ『おい、黙んな!』

男「なあ、人魚ってこんなのばっかなのか?」

人魚「んなわけねーだろ」

男「めんどくさいので、永久に砂浜に居てくれ」

人魚「ちょっと待て、それは困る」

男「ああ、ペンダントか」

人魚「頼む、連れてきてくれないか」

男「じゃあ、これからずっと敬語な」

人魚「…今日だけなら」

男「…」

人魚「今日だけなら、敬語にします!」

男「うっぅぅううぅん!いいよぉお!」

人魚(キモい…)

イルネ『何か今キモい声が聞こえたんだけど…』

人魚「今、このおっさんが迎えに行ってくれるそうだ」

イルネ『よし、一騎打ちだ』

男「よし、やる気出た」

人魚「相変わらず、変なスイッチの入り方ですね」

男「ごめんねえ!変でごめんねえ!」

人魚「わ、分かりましたから早く行って下さい」

男「はぁあい!行って来ます!」ダッ

人魚「…キモい…」

ーーーーーーーーーーーーー

男「…」

イルネ「何その目は」

男「いや、あの人魚も最初見た時こんな感じでピチピチしてたわ」

イルネ「魚じゃないからね」

男(こいつは褒めても普通だな)

男「んじゃ、担ぐぞ」

イルネ「ちょっ、優しくね!」

男「担ぐのに加減もクソもあるか」

イルネ「ちょ、担ぎ方が雑!」

男「文句言うな」

男「連れてきたのはいいが」

イルネ「何?」

男「風呂に2人も入らんぞ」

イルネ「私は床でいいよ?」

男「なら問題無いな」

ーーーーーーーーーー

男「うら」

イルネ「いて!」

人魚「おい、乱暴にすんな」

イルネ「ああ、マイプリンセス!」

人魚「プリンセスじゃねえって言ってんだろ」

男「何お前、姫なの?」

人魚「いや、姫はこいつだ」

イルネ「どうも、姫です」

男「ふざけてんのか」

人魚「マジだぞ」

イルネ「姫というより、王女だね」

男「違いが分からんわ」

イルネ「お母様が生きてる頃は姫だたんだけど」

人魚「悲しいことにね」

男「お前がこいつを姫って呼んでるのは?」

イルネ「ほら、好きですから」

男「サラッと言ったな…」

人魚「私は好きじゃないからな」

男「分かっとるわ」

イルネ「で、マイプリンセスに変なことしてないよね?」

男「魚に興味は無いんでな」

人魚「魚じゃねえっての」

イルネ「なら良かった」

男「てか、お前敬語は?」

人魚「…忘れてました」

男「うんうんうんうん!忘れることもあるよねぇ!」

イルネ「なんか豹変した…」

人魚「年下の敬語が好きなんだそうです」

男「そうなんだよぉ!」

イルネ「キモい…」

男「あ?焼くぞコラ」

イルネ「あ?焼いてみろコラ」

人魚(どっかで見たくだりだな)

男「よーし」

人魚「ちょっと、喧嘩しないで下さい」

イルネ「あ、ごめんね!怖かった?」

男「ああああごめんねえ!今やめるからねぇ!」

人魚(ヤバい、これめんどくさい)

イルネ「ほら、マイプリンセスも怖がってるだしやめてよ」

男「お前が原因だろが」

イルネ「キャラ変わりすぎてキモかったし」

男「仕方ないだろ」

イルネ「自制できないの?」

男「できるよ?」

イルネ「できんのかよ」

男「慣れてくればな」

イルネ「少し辛抱すればいいっぽいよ」

人魚「苦行ですね」

男「僕も一緒に耐えてあげるから大丈夫だよぉ!」

イルネ「ていうか、何で敬語?」

男「お前を連れてくるって条件でな」

人魚「今日1日だけですがね」

イルネ「私と喋る時は敬語じゃなくてもいいよね?」

男「ダメに決まってんだろ」

イルネ「いちいち敬語に反応してキモいこと言われたら話しにくいだって」

男「お前も敬語で話せばいい」

イルネ「悪化するじゃん、私も年下だよ?」

男「その分慣れも早くなるからな」

イルネ「えー、じゃあ慣れるまでですよ」

男「うんうん、もう少しだからね」

人魚「ちょっとキモさが引きましたね」

イルネ「あとちょっとでしょうか?」

男「そこまではわかんないかな」

人魚「早く慣れて下さい」

イルネ「しんどいですから」

男「あと少しだと思う」

イルネ「どうも信用なりませんね」

人魚「ここは待つしかないですよ」

男「んー、あとちょっとかな」

イルネ「本当ですか?」

人魚「辛い」

男「おし、いいぞ」

イルネ「あー、疲れたー」

人魚「こんな気を遣うとは思ってなかったな」

男「おい、お前は戻したらダメだぞ」

人魚「ええ…」

イルネ「そこは許す所でしょ」

男「約束だからな」

人魚「はぁ…分かりました」

男「うん、それでいい」

イルネ「ひどいもんだね」

人魚「そういえば、イルモネちゃんは?」

イルネ「ああ、海底にいるよ」

男「イルモネ?」

イルネ「私の妹だよ」

人魚「おしとやかで可愛い子でしたね」

イルネ「マイプリンセスは、私の方が好きだよね?ね?」

人魚「イルモネです」

男「あっさりフられたな」

イルネ「照れてるだけだよ」

男「ポジティブだな…」

今日はここまでです

今見直したら妙に誤字脱字が多かった…
すみませんが脳内補修お願いします

投下していきます

男「気になってる事が1つあるんだが」

イルネ「何?」

男「こいつの名前何なのかと」

人魚「私ですか」

男「お前しかいないだろが」

イルネ「ミリスだよ」

男「ミリス?」

人魚「悪いか」

男「何の魚なんだ」

イルネ「わかんないんだって」

男「え」

人魚「私の家系は謎の人魚らしいんだ」

男「謎の人魚って…あと敬語使え」

イルネ「深海の更に深い所となると見たことない魚ばっかだもんね」

男「だから、種類が分からないと」

人魚「そういうことですね」

男「またミステリアスな名前だな」

ミリス「これでも気に入ってるんですよ」

イルネ「海底で唯一まともな名前だしね」

男「まあ、確かにな…」

ミリス「そういえば何でイルネは陸に?」

イルネ「マイプリンセスを追ってきたにきまってんじゃん!」

ミリス「はた迷惑な話だな」

男「友達思いのいい娘じゃないか」

ミリス「お前は黙ってろ」

男「敬語使えって言ってんだろコラ」

ミリス「話しにくいんだよ」

男「約束だろうが」

ミリス「…寝る」

男「あ?」

イルネ「もう22時ですもんね」

ミリス「今日だけの約束ですもんね」

男「ちょお前、それはずるい」

ミリス「おやすみなさい」

イルネ「私も寝ようかな」

男「…謀られた…」

ーー翌朝ーー

男「…ん」

男「朝か」

男「…ニュース見てみるか」

TV『先日発見され、研究室に確保されていた人魚が逃げ出した模様です』

男「どうやって逃げたんだ…」

TV『捜索隊は付近の水場、及び海岸を中心に捜索する予定です』

男「そんなことしてる間に誰か喰われるんじゃないのか」

TV『以上ニュースをお伝えしました』

男「これはちょっとマズイな」

男「とりあえずあいつに教えてくるか」

ーーーーーーーーーー

男「おい」

ミリス「…スー…」

イルネ「…ん~」

男「何かムカつく」シャー

ミリス「熱ィ!」

イルネ「あちち!」

男「おっはー」

ミリス「おっはーじゃねえよ殺す気か!」

イルネ「死ぬかと思ったよ!」

男「知らんわ」

ミリス「何て乱暴な奴だ」

イルネ「こんな美女2人を目の前にしてよくそんなことできるもんだね」

男「自分で言うな」

イルネ「事実ですから」

ミリス「自分で言うのは流石にな」

男「あれ、嬉しく無いのか」

ミリス「何がだ」

男「褒められてるのに」

ミリス「女に褒められても何も感じないな」

男「男なら誰でもいいのか」

ミリス「男に褒められて嬉しくない奴がいるのか」

イルネ「私は嬉しくないけどね」

男「お前は例外だろうな」

イルネ「偏見だよそれ」

ミリス「当然の見解だな」

男「そうだ、人魚が見つかったぞ」

ミリス「何だと」

イルネ「そういえば、マイプリンセスは人魚を止めに行くとか言ってたね」

ミリス「どこにいるんだ」

男「今、逃げ出して行方不明だ」

ミリス「逃げ出した?」

男「昨日見つかって、研究室に捉えられてたらしいな」

ミリス「人魚など捉えてどうしようと言うのか」

男「人間からしたら架空の生物だからな」

イルネ「私ら何か見たこと無い生物が居ても無視だけどね」

男「人魚の中にはそういうのが気になる奴がいないのか」

イルネ「いないね。知った所で何も無いし」

男「まあそうかもしれんが…」

ミリス「こうしてる間にも人を喰ってるかもしれん」

男「捜索隊が探してるから、すぐ見つかるだろうな」

ミリス「まずいな」

男「どうするんだ」

イルネ「どうしようも無いと思うけど」

テーレレーテレレレーテレレー♪

男「ん?」

イルネ「あ、電話鳴ってる」

ミリス「誰からだ」

イルネ「あ、イルモネだー!」

男「イルモネって確か、妹だったか」

イルネ「そうそう、あ、もしもしー?」

イルモネ『お姉様…』

イルネ「イルモネ?今どこ?」

イルモネ『分かりません…』

男「まあ人間の世界だからな」

イルネ「周りに何か無いの?」

イルモネ『えっと…豚さんが見えます』

イルネ「ぶ、豚?」

男「多分、豚足広場だな」

ミリス「豚足広場?」

男「豚肉公園の中心にある広場だ。地下水と繋がってる」

イルネ「そこから海には?」

男「多分出られん」

イルモネ『どうすればいいんでしょうか…」

男「平日の朝だし、多分人も少ないだろうから」

ミリス「迎えに行ってくれるのか」

男「約束だからな」

イルネ「でも、イルモネ担ぐのは目立つんじゃ」

男「でっかい鞄か何かに入れてくればいいだろ」

ミリス「怪しすぎないか」

男「鞄に入れたら後は車の中だ。公園で見られなきゃいい」

イルネ「イルモネ、聞こえてた?」

イルモネ『は、はい…』

イルネ「今から、おっさんが迎えに行ってくれるみたいだから」

男「おっさんじゃねえっての」

イルネ「そこで待っててね」

男「迂闊に顔を出すとヤバいから、俺から合図があるまで待ってろ」

イルモネ『合図、ですか?』

男「水の中に小石を3つ同時に投げ入れる」

イルモネ『分かりました』

男「急がないとな、捜索隊は水辺を中心に探してるらしいから」

ミリス「捜索隊までいんのか…」

イルネ「何か、やる気まんまんだったね」

ミリス「敬語だからじゃないか」

イルネ「あー…最低」

ーーーーーーーーーー

男「良かった、まだ手は回って無いな」

男「ほーれ」ポチャポチャ

イルモネ「んー」ザバ

男「ほれ、さっさとこの鞄に入れ」

イルモネ「窮屈ですね…」

男「少しの辛抱だ」

イルモネ「くぅ…」

男「うし、行くか」

ーーーーーーーーーー

男「着いたぞ」

イルモネ「はぁ、窮屈でした」

男「よく我慢したな、偉い偉い」ナデナデ

イルモネ「えへへ」

イルネ「イルモネ、久しぶりー」

イルモネ「1日くらいしか経ってませんよ」

ミリス「久しぶりだな」

イルモネ「…ミリスさんもいたんですか」

ミリス「悪かったな」

イルネ「相変わらず仲悪いね」

男「何だ、あいつ嫌いなのか?」

イルモネ「お姉様をとる輩です」

男「輩と来たか」

ミリス「とんだ誤解だな」

イルネ「イルモネ、まだそんなこと言ってるの?」

イルモネ「小さい頃言ってくれた『ずっと一緒にいるよ』って言葉は嘘だったんですか!」

イルネ「あれは小さい頃の話じゃん」

イルモネ「約束は約束です」

男「約束を破るのはよくないな」

今回はここまでです

乙です。イルモネ可愛い
サメの人魚とかはいないのかな?テンジクザメ目とかはフォルムが綺麗なので是非人魚になってほしい

20時頃投下します

投下していきます

イルネ「約束も何も…いつかは離れなきゃなんないんだしさ」

イルモネ「そんなの言い訳です」

ミリス「姉妹喧嘩が始まったな」

男「ものすごくめんどくさそうなんだが」

イルネ「じゃあ一生私と一緒にいるつもり?」

イルモネ「勿論です」

イルネ「好きな人とかいないの?」

イルモネ「お姉様だけです」

ミリス「あそこまで姉思いな妹も珍しいな」

男「いや、姉思い過ぎるだろ」

イルネ「いや、恋愛的な意味で」

イルモネ「お姉様より魅力的な人なんていまえん」

ミリス「こいつもか」

男「さすが姉妹だな、よく似てる」

イルネ「あそこにかっこいい人いるよ?魅力的だよ?」

男「棒読みで俺を指すんじゃねえ」

イルモネ「…全然魅力的じゃありません」

男「なあ、俺ってそんなひどい顔してんのかな」

ミリス「私は結構いいと思うが」

男「ありがとう、ちょっと救われた」

イルネ「そんなんじゃ一生幸せになれないよ?」

イルモネ「お姉様と一緒にいることが私の幸せです」

イルネ「重症だね…」

男「お前もな」

イルネ「私はマイプリンセスを愛してるだけだって」

ミリス「十分異常だ、私は女でお前も女だぞ」

イルネ「恋に性別は関係ないよ!」

男「まあ、稀に同性愛者はいるが…」

ミリス「姉妹揃ってそれとはな」

男「お前達の両親もそうなのか?」

イルネ「お母さんは血の存続の為に仕方なくとか言ってたね」

男「さすが親子だな、よく似てる」

イルモネ「お母様も苦労したと聞いています」

男「それにしてももったいないよな」

ミリス「何がだ」

男「姉妹揃って美形なのに姉妹揃って同性愛者なんて」

ミリス「イルネはしょっちゅう男に声をかけられていたな」

男「お前は?」

ミリス「ものすごく警戒される」

イルネ「マイプリンセスといると変な男が寄って来ないからね!」

男「まさかそんな理由でいつも一緒にいるのか」

イルモネ「お姉様、さすがにそれは」

イルネ「最初はそうだったんだけど、だんだん好きになっちゃって」

ミリス「最悪だな」

男「お前だって少しくらい声はかけられるだろ」

ミリス「そうなんだが…」

イルネ「マイプリンセスに近づく輩は全部女王権限で離れさせてるよ!」

男「最低な女だな」

ミリス「職権濫用だ」

男「イルモネはいつもイルネと一緒にいるんだろ?」

イルモネ「はい」

男「ということは、いつも3人一緒なわけか」

ミリス「イルモネはいつも不機嫌だけどな」

イルモネ「お姉様をとろうとしてる人がいるんですから、当然です」

男「さっきの話聞いてたらどう考えても誤解してるって分かると思うが」

イルモネ「ミリスさんが不快に思いながらお姉様から離れないということは、そういうことです」

ミリス「どういうことだよ…」

イルネ「マイプリンセス、隠さなくていいんだよ?」

男「めんどくせえ姉妹だな…」

ミリス「この2人にいつも挟まれる私の気持ちが分かるか!」

男「ちょっと分かる」

ミリス「このまま人間界で暮らしていたい」

男「俺は養わないからな」

イルネ「マイプリンセスの行くところならどこまでも行くよ?」

ミリス「来なくていいぞ」

イルモネ「私はお姉様にどこまでも追いて行きますから」

イルネ「来なくていいからね!」

男「なあ、イルモネ」

イルモネ「何でしょう?」

男「お前研究室に捉えられてたんだっけ」

イルモネ「そうですが…?」

男「その…どうやって逃げ出したんだ」

イルモネ「水槽に入れられてどこかに輸送されてたんですよ」

男「うんうん」

イルモネ「水の音が聞こえたので、水槽を壊して外へ出て水の勢いでそのまま…」

男「水槽を?」

イルモネ「壊しました」

男「ど、どうやって…」

ミリス「人魚は水の中ならそれくらい平気でできるぞ」

イルネ「過去に沈没船を運んで来たこともあったらしいしね」

男「恐ろしい…」

イルモネ「近くがダムだったので、這いずりながらそこへ行きました」

男「ダムのある山にたまたま大学があったってことか…」

イルネ「ラッキーだね」

ミリス「人魚なら当然だな」

男「もう船には乗れないな…」

イルネ「そんな怖がらなくても大丈夫だよー」

ミリス「人間に危害を加えることは無いからな」

男「人間を喰う為に上がってきた人魚がいるわけだが」

ミリス「…例外もいるんだ、こいつらみたいに」

イルモネ「ミリスさん、私は異常ありませんよ」

イルネ「私も例外じゃないし!」

ミリス「そういえば他の人魚はどうなったんだ」

男「知らん」

ミリス「知らんってお前…」

イルネ「正直陸に上がれても何もできないと思うけどね」

イルモネ「海水浴をしてる人がいるかもしれませんよ」

男「11月だ、それはない」

ミリス「イルモネみたいに這いずって動いてるかもしれん」

イルネ「そんなのに近づく人いるの?」

男「人間からしたら人魚を見たらまず触ろうとすると思うぞ、まして上半身が人間ならな」

ミリス「…下人が陸に上がってたらまずいな…」

イルネ「あっ」

男「下人て、下半身が人間の人魚のことか?」

ミリス「そうだ」

男「下人てもういないんじゃ?」

イルモネ「数が劇的に減っただけで、まだいることはいるんですよ」

男「…かなりイメージしにくいな」

それこそオナホじゃないですかやだーwww

ミリス「ちょっとニュースを見てきてくれ」

男「めんどくさい、ワンセグでいいだろ」

イルネ「わんせぐ?」

男「ワンセグメントの略だ」

イルネ「意味がわかんないよ」

男「つまり携帯でテレビが見れるわけだ」

イルネ「すごい!」

男「海底にはテレビとかないのか?」

イルネ「無いよ、存在は知ってるけど」

ミリス「本に何でも書いてあるからな」

男「海底の本か、ちょっと読んでみたいな…ついた」

TV『先ほど、日本海側の沿岸部でまたも人魚が発見されました』

ミリス「なんだと!」

男「静かにしろ、聞こえん」

TV『これは、海に来ていた若者が撮った画像です』

イルネ「下人…だね」

男「……これ、エビか…」

イルモネ「これ、エビウィミさんじゃないですか?」

男「え、えびうぃみ?」

ミリス「そう言われれば…」

イルネ「あんな特徴的な目はエビウィミさんだけだね」

男「どう見てもただのエビじゃねーか」

TV『人魚は、若者を見ると一目散に逃げて行きました』

イルネ「エビウィミさんが逃げた?」

男「エビ逃げだろうな、絶対」

ミリス「馬鹿な、目立ちたがり屋のエビウィミさんが?」

イルモネ「謎ですね…」

男「おい、エビのことでそんな深刻な顔すんのやめろ」

TV『捜索隊は研究室から逃げ出した人魚と共に、こちらの人魚も捜索する方針です』

男「まずいな、誰か喰われるんじゃないか」

ミリス「エビウィミさんはそんなことはしない、絶対にだ」

イルネ「エビウィミさんは優しいんですよ!」

男「分かった、エビは人を喰わないんだよな、分かってるよ」

ミリス「エビじゃねえ、エビウィミさんだ」

男「言いにくいんだよアホ」

イルモネ「エビウィミさん、私達を心配して追ってきたんでしょうか…」

イルネ「あの鬼亭主が許してくれるとは思えないけど…」

男「…亭主は何の魚なんだ。当然エビだよな。エビは魚じゃないけど」

ミリス「確か、ウツボだったと思うが」

男「ウツボ…」

イルモネ「イカですよ」

男「い、イカ…」

イルネ「えー?私はサンマだって聞いてるよ?」

男「分かった、分からないなら無理しなくていいから黙ってくれ」

今日はここまでです

>>88
エビオナホをどうぞ(´・ω・`)

>>77
すいませんレス気づきませんでした
ぶっちゃけ先の展開は大まかにしか決めて無いのでどこで誰が登場するかとかは全く決まってないです
サメの人魚を使いたい場面が出れば使いたい(´・ω・`)

13時半頃から投下します

ミリス「まあ、普通に考えればエビだな」

男「違う生物同士で生殖できるならエビ以外もあり得るが」

イルモネ「それは海底では禁忌の愛とされているんですよ」

男「え、そうなのか」

ミリス「違う種族同士で生殖行為をすると異形の生物が生まれると言われている」

男「じゃあ、お前…」

イルネ「…」

男「禁忌の愛と知っていながらこいつが好きなのか」

イルネ「好きなもんは仕方ないよね」

ミリス「何ちょっといい話にしてんだ」

イルモネ「それ以前にメス同士ですから…」

男「あ、そっか…」

イルネ「幸せならそれでいいけどね!」

ミリス「私の幸せは眼中に無いのか」

イルネ「マイプリンセスの幸せは私といれることじゃん」

男「こいつ傲慢だな」

ミリス「自分が世界の中心的な思考だな」

イルモネ「私はそんなお姉様が好きですけどね」

男「お前は同じ種族だからいいとして、姉妹の恋愛もご法度じゃないのか?」

ミリス「それについては何も触れられてないな」

イルネ「普通に兄妹でイチャイチャしてるの見るもんね」

男「よく分からん世界だな」

イルネ「人間界はルールが多すぎるんだよ」

男「そのルールで安全に暮らせるから、文句は言えないな」

イルモネ「そのルールのせいで自由に生きることもできないんじゃないですか?」

男「まあな。でも、自分が幸せならそれでいいんじゃないか」

ミリス「お前は幸せなのか」

男「今はそんなに幸せじゃないな」

イルネ「そんなんじゃ人生嫌になってこない?」

男「最近そんな感じだな」

イルネ「最近?」

男「1年程前は目的があってそれを達成するために色々やってたんだ」

イルモネ「目的って何ですか?」

男「くだらんこと」

ミリス「曖昧過ぎる」

男「言うほどのことじゃないからな」

イルモネ「気になります」

男「…まあ、その色々やってた時は本当に充実してたな」

イルネ「目的を達成した時が一番充実するんじゃないの?」

男「いや、過程の方が楽しかったし、幸せだったな。達成した後はただ無気力だよ」

イルモネ「じゃあ、また目的を見つければいいじゃないですか」

男「そう思ってたんだけどな」

ミリス「目的が無いと幸せじゃないと言っておきながら目的を探さないと。よく分からんな」

男「…これから先、ずっとそれの繰り返しかと思うとな…」

イルネ「それでもいいじゃん」

男「良くねーよ。いずれ嫌気が差すに決まってる」

イルモネ「それも含めて人生ですよ。人間はそういうものだと聞いてます」

男「憐れな生物ってか」

ミリス「自分がやりたいことをして満足に死んでいくのが立派な人間だとも聞くな」

イルネ「半生を他人に捧げた人も立派な人間だって聞いたよ」

男「そんな奴は本当に優しい奴だけだ。見かけが優しい人間でも、中身は欲で一杯だぞ」

イルモネ「それも人間の在るべき姿の1つですよ」

イルネ「好きに生きればいいよ」

男「ルールの中でな…」

ミリス「人間の中で全てのルールを守る奴なんていないと聞くが」

男「まあそうかもな。知らないだけで犯罪になってることもあるからな」

イルネ「知らないふりしてルール破ればいいんじゃない?」

男「知らなかったで通る世界じゃないからな…」

イルモネ「大事なのはそんなのじゃなくて、自分の気持ちなんじゃないですか?」

ミリス「そうだ。『ルールを破ること』はただの口実で、理由に過ぎないからな」

男「それで他人が不幸になってもか?」

イルモネ「そういう形の幸せもあると思います」

男「俺の求める幸せはそんなのじゃないから、お断りだな」

ミリス「何にせよ、自分の意思が大事だからな」

男「まさか人魚に諭されるとは思ってなかったがな」

イルモネ「一種の教訓ですよ」

イルネ「あ、ねえねえ」

イルモネ「はい?」

男「海底の本にはそんなことまで書いてあるのか」

ミリス「人間界の書物を模倣したものだ」

イルネ「おーい」

イルモネ「お姉様、どうしたんですか?」

イルネ「あの2人だけ全く反応しないんだけど…」

男「パクリか」

ミリス「参考にしてるだけだ。人魚の思想も合わさって面白いぞ」

イルネ「しかも何か仲良さげに話してるし」

イルモネ「お似合いですね、何か」

イルネ「おーい…」

男「何だそれ、面白そうだな。今度持ってこいよ」

ミリス「今度がいつか分からんが、いいぞ」

イルネ「おーい!構えー!」

男「…急に大声出すなよ」

ミリス「相変わらず寂しがりやだな」

男「お前もな」

イルモネ「お姉様は1人なって1時間経つと泣きますからね」

イルネ「ちょっと、それ言わないで!」

男「寂しがりや同士お似合いなんじゃないか」

イルモネ「お姉様に最もふさわしいのはこの世で私だけなので、それは無いですね」

男「お前も相当な自信家だよな…」

ミリス「ここだけの話、イルモネは嫌いな相手に対してはかなり態度が変わるんだ」

男「何でだろう、かなりイメージしやすいんだが」

イルネ「私が怒ったらその時のイルモネにそっくりだよね」

男「この姉妹、とことん似てるな」

イルモネ「私はお姉様より機転がききますよ」

イルネ「私はイルモネより愛想いいからね!」

ミリス「イルモネは愛想いいと思うが」

男「嫌いな奴には愛想悪いんだろ?」

ミリス「そうだったな…」

イルネ「私の方がイルモネより人気あるし!」

イルモネ「お姉様の方が年上ですから、当然です」

男「何、人気とかあんの?」

ミリス「オスの間での評判だよ」

イルネ「年なんか関係無いよ」

イルモネ「あと2年経てば私の方が人気出ますよ」

ミリス「くだらない喧嘩だな」

男「ひがむなよ」

ミリス「ひがんでない!」

男「なあ、1つ気になることがあるんだが」

ミリス「何だ」

男「イルモネってお前のこと輩とか言ってた割には、そんなに悪態ついてないよな」

イルモネ「ミリスさんは確かにお姉様をとる輩ですが、嫌いでは無いですよ」

イルネ「つくづく謎だよね」

イルモネ「私が今のところ嫌いなのはタイペーだけです」

男「呼び捨てにするあたりを見ると、本当に嫌いなんだろうな」

ミリス「この前タイペーとイルモネのやり取りを見ていたが、ひどかったな」

男「そんなにか?」

イルネ「私もタイペーくん嫌いだけど、思わずかばっちゃったよ」

男「恐ろしい…」

イルモネ「何というか、生理的に無理です」

男「…俺は、大丈夫だよな」

イルモネ「ええ。むしろちょっと好感が持てますよ、友人として」

今日はここまでです


ところで、この会話してる場所って風呂場なんだよな
すし詰め状態ってところか?

>>107
吹いたわwww

イルネとイルモネはイルカの人魚ならミリスはなんの人魚なの?

>>107
床のスペースが広い風呂場ってことにしておきます(´・ω・`)後付け申し訳ない

>>108
一応深海魚という設定にしてあります
ただ触れることが無いと思うので別の魚でもいいです

明後日頃まで更新できそうもないので今投下しておきます

男「友人としてか」

イルネ「ちょっと不本意そうだね」

男「いや、そんなことは」

ミリス「何だ、イルモネのこと好きなのか」

イルモネ「私そっちの趣味は無いんですよ」

男「ああうん、まさか女にこんなセリフ言われるとは思ってなかったね」

イルネ「貴重な経験だね!」

男「違う意味でな」

イルモネ「何かさっきミリスさん残念そうな顔してましたよね」

ミリス「え?」

イルネ「マイプリンセス、まさか」

男(嫌な予感が)

イルモネ「もしかして、好きなんじゃないですか?」

ミリス「あれが残念そうな顔なら私はいつも残念な女になるな」

イルネ「嘘だよね?」

ミリス「本当だと思うのか」

イルネ「だって否定しないし!」

ミリス「お前の目は節穴か?」

イルモネ「本当のこと言った方が楽ですよ」

ミリス「いい加減にしろ」

イルネ「ならマイプリンセス、そうじゃないって認めてよ」

ミリス「私はあいつのことは別に好きじゃない、これでいいか」

イルネ「…信用できない」

ミリス「はぁ」

イルモネ「ミリスさんの気持ちを確かめるより、お兄さんがどう思ってるか聞いた方が早いんじゃないですか?」

イルネ「ねえ、おっさんはマイプリンセスのこと…」

ミリス「いねえ」

イルモネ「逃げましたね」

イルネ「私達が動けないのをいいことに…」

イルモネ「這いずることはできますよ。私が行ってきます」

ーーリビングーー

男「今頃めんどくさいことになってるんだろうな」

男「イルモネの魂胆なんか見え見えだしな…」

男「飯もできたし、ゆっくり食うか」

男「いただきまs」

イルモネ「私にもください」

男「うわあああああ」

イルモネ「男の人に叫ばれたのは初めてです」

男「テーブルの下から出てくれば誰だってびっくりするだろ」

イルモネ「くださいください」

男「う…ほら」

イルモネ「ふぉれははんというふぉのでふね」

男「食いながら喋るな、意地汚い」

イルモネ「美味しいです」

男「そうか」

イルモネ「ところで、私の魂胆は分かってるって言ってましたよね」

男「聞こえてたのか」

イルモネ「丸聞こえですよ」

男「で、分かってるからなんなんだ」

イルモネ「お願いします、協力してください」

男「え」

イルモネ「お兄さんとミリスさんなら、お姉様も諦めると思います」

男「…断りにくいな」

イルモネ「じゃあ」

男「けど断る」

イルモネ「お兄さんもミリスさんと付き合えるんですよ?」

男「別にミリスのことは好きじゃないし、それ以前に魚に興味は無い」

イルモネ「案外堅いんですね」

男「いや、堅いって…」

イルモネ「普通あんな美女3人を目の前にしたら、誰か1人欲しいと思うのが普通だと思いますよ」

男「確かに美人だけど、魚に興味は無いって言ってんだろ」

イルモネ「強情ですね」

男「お前がな…」

ーー風呂場ーー

男「勝手に出たせいで床が濡れたじゃねえか」

イルモネ「拭けばいい話ですよ」

男「拭くのは俺だからな?」

イルネ「で、おっさんマイプリンセスのことどう思ってんの?」

男「別に、好きでも何でも無い」

ミリス「私もだ」

イルネ「ほんとに?ほんとだよね?」

ミリス「くどい」

男「魚に興味は無いからな」

イルネ「信じるからね?」

男「めんどくせえ…」

イルモネ「良かったですね、お姉様」

男(自分で煽っておいてよくもまあいけしゃあしゃあと…)

イルネ「マイプリンセス、浮気しちゃダメだからね」

ミリス「浮気も何も付き合ってすらないだろうが」

イルネ「え、誓いのキスしたじゃん!」

イルモネ「キス…?」

男(これはまさか、またか)

イルモネ「お姉様、キスしたって…」

イルネ「本当だよ」

イルモネ「ミリスさん」

ミリス「したのは本当だが、したというよりはされたの方が正しいな」

イルモネ「?」

ミリス「無理やりされた」

イルネ「無理やりじゃないよ、キスしてもいいって言ってくれたじゃん!」

イルモネ「ミリスさん、本当のことを言ってください」

ミリス「キスしてもいいとは言ったが、私は頬にしろと言ったんだがな」

イルネ「そんなの言ってたっけ?」

ミリス「言い切る前にされたからな…」

イルモネ「そうだとしても、拒むことくらいはできたはずです!」

イルネ「もういいじゃんイルモネ、私達は結ばれてるんだし」

イルモネ「認めません!」

男「お前、あいつらと関わらない方がいいんじゃないか」

ミリス「最近そうしようと思っている」

男「あんなのに挟まれて生活してたら気が狂いそうだ」

ミリス「自分でもよく保つなと思っている」

イルネ「イルモネがいくら私のこと好きでも、私の気持ちがイルモネに向くことは無いよ」

イルモネ「あと数年したら、ミリスさんより私の方が遥かに魅力的に見えますよ」

ミリス「あ、ちょっとテレビつけてくれ。その…ワンなんちゃらで」

男「ワンセグな」

ミリス「そう、それだ」

イルネ「私の気持ちが揺れることは無いからね!」

イルモネ「何年も同じ人を好きになり続けるなんて不可能です」

男「お、写った写った」

ミリス「ちょっと、よく見えない」

男「この魚2匹が邪魔なんだ」

ミリス「イルカは魚じゃないからな」

男「似たようなもんだろ」

ミリス「全然ちゃうわ」

男「お、エビのニュースやってるぞ」

ミリス「ちょ、見せてくれ」

TV『先程発見され逃亡した人魚が、同海岸にて再び発見されました』

男「戻って来たのか」

TV『捜索隊が発見した時、人魚は逃げることなく自身を誇示するかのような動きを見せました』

ミリス「さすがエビウィミさん、目立ちたいんだろうな」

TV『こちらが実際の映像です』

エビウィミ『フーゥ!皆見てるぅー!?』

男「ただの馬鹿じゃねえか」

ミリス「エビウィミさんらしいな」

イルネ「イルモネだって、あと少ししたらきっと考えが変わるよ」

イルモネ「私は死ぬまでお姉様と一緒です」

イルネ「そんなんじゃ血を残せないんだよ?王家の血が絶えるって、かなりヤバいからね?」

イルモネ「それもやむなしです」

男「あのエビ元気そうじゃん、良かったな」

ミリス「あの人ならどこでも生きていけるな」

男「まあこの後捜索隊に連れられるだろうが」

ミリス「え」

男「捜索隊が『もっと目立てる場所を用意してやる』とか言えばイチコロだろうな」

ミリス「それはまずいだろ!」

イルネ「血を絶やすのだけはダメなんだって!海底の秩序が…」

イルモネ「じゃあお姉様はいつかはミリスさんを諦めて他の男性と愛し合うことができるんですか?」

男「まあエビなら逃げれるだろ、多分」

ミリス「馬鹿言うな、エビウィミさんの性格がバレたら利用され放題だぞ」

男「性格?」

ミリス「あの人、おだてられると何でも言うこと聞くからな…」

男「それすぐバレるだろ」

イルネ「それは…愛すことはできないかもしれないけど、子孫は絶対に残すよ」

イルモネ「本当にできるんですか?ミリスさんを捨てて?」

イルネ「う…」

イルモネ「お姉様と私は似てますから。きっとできませんよ」

男「あとお前ら、さっきからうるさい」

ミリス「話を大きくし過ぎだ」

イルネ「でも、海底の秩序に関わるんだよ!?」

ミリス「もしお前がいつまでも私から離れれないようなら、私は死んでやるからな」

イルネ「…マイプリンセス、お願いだから死ぬなんで言わないで」

ミリス「じゃあ、私のことは諦めることだ」

イルネ「……」

イルモネ「お姉様」

イルネ「…やだ、やだよ」

ミリス「お前…」

イルネ「そんなのやだ!マイプリンセスと離れたくない!」

今日はここまでです
用事が予定通り済めば明後日昼以降に投下します

今回投下した内容を見る限り恋愛要素にしか見えないのでアリでもいいんですがそれをやるとかなりグダグダになるのであんましやりたくなかったり(´・ω・`)

あと時間ができたので投下しておきます

男「わがまま過ぎるだろ」

イルネ「でも」

ミリス「でもじゃない。今まで自分の好きなようにやってきたんだろうが、もう大人なんだから」

イルネ「大人なんて関係ない!私はマイプリンセスと一緒にいたい!」

イルモネ「お姉様…」

男「お前の母親もそうだったんだろうな」

ミリス「イルネの母上は、その欲望を断ち切って立派に血を存続させたぞ」

イルネ「う…」

男「お前も母親と同じ決断をする時が近づいてきてるんだ」

イルモネ「…」

イルネ「…この」

ミリス「?」

イルネ「この血のせいなんだ」

男「…おい、それだけは言うなよ」

イルネ「王女になんか生まれなければ良かったんだ」

男「やめろ」

イルネ「私じゃない。私は悪くない!」

ミリス「…はあ」

男「お前、自分が何を言ってるかわかるか?」

イルネ「私は悪くない、私じゃないんだよ…」

男「お前はただ他人のせいにして自分の都合のいいようにしてるだけだ」

ミリス「…」

男「今、お前が誰のせいにしてるか分かるか?」

イルネ「…知らないよ、そんなの」

男「お前の母親だよ」

イルネ「…」

男「お前の母親は、お前を苦しめる為にお前を生んだんじゃないんだぞ」

イルネ「…わかってる…」

男「お前と同じだ。海底の平和を守りたかっただけなんだ」

イルネ「知ってるよ!そんなこと!」

男「なら」

イルネ「でも、好きになっちゃったから仕方ないじゃん!」

ミリス「イルネ…」

イルネ「ねえ、私マイプリンセスのこと好きになったらダメだったのかな?」

ミリス「…そんなわけ無いだろう。好きになるのにいいも悪いも無い」

男「でもな、お前はそれ以上の使命を背負ってるんだ」

イルネ「…うん…」

男「辛いだろうが、お前が最優先にすべきはそれなんじゃないか」

イルネ「…わかってる…」

ミリス「今はまだ悩めばいい。でも、答えは1つだ」

イルネ「…」

イルモネ「お姉様、すいません…。私が変なことを言ったばかりに」

イルネ「…ううん、イルモネのせいじゃないよ。いつかは思い知らされることだったんだし」

男「タイミングが遅いか早いかだけだな」

ミリス「イルネ、お前が血の存続をしようと私はお前の友達だ」

イルネ「…友達じゃ嫌」

ミリス「じゃあ、親友だ」

イルネ「…マイプリンセスとは、恋人で居たいよ」

ミリス「だから、それは…」

男「おい、いいこと思いついたぞ」

ミリス「?」

イルモネ(とてつもない嫌な予感が)

男「イルネが血の存続をした後、夫と別れてミリスと付き合えばいいだろ」

イルネ「!」

ミリス「おい馬鹿」

イルモネ「ちょっと、お兄さん!」

男「我ながら名案だな」

イルネ「いい!凄くいいよ!」

ミリス「ちょっと待てって」

イルモネ「王と王女が別れるなんて血の存続をしないより危ういですよ!」

男「何でだ、別れてもどっちも王家なんだから問題無いだろ」

イルモネ「それはつまり、海底が2つに別れるも同然なんですよ?」

男「勢力が別れるって所か」

ミリス「そうだ、海底の秩序が失われるぞ!」

男「大丈夫だろ、イルネがミリスと死んだってことにして一緒にどっか遠くに行けばいい。そうすれば海底には王だけが残る」

イルモネ「海底に逃げ場なんかありませんよ、どこに行っても人魚の集落があります」

イルネ「…人魚の目の届かない所ならあるよ!」

ミリス「そんな馬鹿な。洞穴だろうといずれ見つかる」

イルネ「この家だよ!」

男「え」

ミリス「え」

イルネ「こんな提案したぐらいだから、それくらい許すよね?」

男「いや、さすがにそれは」

イルネ「…いいですよね?」

男「はい!」

ミリス「馬鹿ぁあああ」

男「あ、つい反射で…」

イルモネ「ついじゃ済まされませんよ…」

ミリス「イルモネ、この案だけは阻止しないとまずいぞ」

イルモネ「一時休戦と行きましょう!」

イルネ「イルモネも来るよね?」

イルモネ「え?」

イルネ「イルモネ、私がいなくなったらどうなるかわかんないし…」

イルモネ「お、お姉様…」

イルネ「イルモネも、一緒に暮らそ!」

イルモネ「はい!」

ミリス「馬鹿ぁああああ」

ミリス「おい、いいのか!お前の家がある意味占拠されようとしてるんだぞ!」

男「いや、さっき『はい』って言っちゃったし…」

ミリス「口約束なんかあって無いようなものだ!」

男「いやいや、不本意でも約束は絶対に守らないと」

ミリス「馬鹿ぁああああ」

イルネ「ね、マイプリンセス。これで私達ずっと一緒だよ!」

イルモネ「お姉様とずっと一緒…夢のようです」

ミリス「…悪夢だ…」

男「お前が逃げれば済む話なんじゃないのか?」

ミリス「…王家の血というのは恐ろしいものでな…」

男「変わるものなのか?」

ミリス「人魚は水の中なら基本的に人間の20倍以上の力があるが…」

男「王家は?」

ミリス「…噂では、40倍と聞いたが」

男「倍プッシュだ」

ミリス「何言ってんだコラ」

男「いや、こっちの話だ」

ミリス「私の2倍も早いこいつらから逃げれると思うか?」

男「無理だな。小学生とウサイン・ボルトがかけっこをするようなものだ」

ミリス「何だウサイン・ボルトって。ウサギにボルトでも刺さってるのか?」

男「いや、こっちの話だ」

イルネ「マイプリンセスー、ツンデレもほどほどにしないと」

ミリス「誰がツンデレだコラ!」

男「人魚ってツンデレも知ってるのか」

イルモネ「人魚の文献は必要以上に豊富ですから」

男「お前らどんだけ本読んでんだよ」

イルモネ「ミリスさん、私達から逃げられないのは分かってるんですから観念してください」

ミリス「…死にたい…」

男「死ぬなら死ぬ前に魚肉を分けてくれ」

イルネ「おっさん、冗談でも今のは許さないよ」

男「あ?今すぐムニエルにしてもいいんだぞ」

イルモネ「おい」

男「え?」

イルモネ「今、お姉様を何にするって…?」

男「いやその、ムニエールに…」

イルモネ「殺すぞ」

男「すいませんでしたぁ!」

今日はここまでです

お久しぶりです
予定がかさんで更新すると言ってできませんでした…
なので今日の昼頃更新しますΣd(´・ω・`)

投下していきます

イルネ「そういやタイペーくんも私の悪口言ってイルモネ怒らせたよね」

ミリス「そういえばそうだったな」

男「それ先に言ってくれよ…」

イルモネ「つい取り乱してしまいました」

男「ついなんてレベルじゃねえぞ」

イルモネ「もしまたあんなことを言おうものなら次は『つい』じゃ済ましませんよ」

男「こえーよ」

イルネ「お父さんが私を叱った時もあんな感じだったよ」

ミリス「親より姉か」

イルモネ「私の中でお姉様が一番大事なだけです」

男「だとしてもお前父親に死ねとか言うなよ…」

イルモネ「そんな他力本願なことは言いませんよ」

男「こいついつか本当にやらかすんじゃないのか」

ミリス「そんな気はしないでもないな」

イルネ「私は確実に起こると思うよ」

ピリリリリ…ピリリリリ…

男「お、メールだ」

イルネ「質素な着信だねー」

男「俺そういうのは気にしないからな」

ミリス「私と一緒だな」

男「嘘つけ低燃費が」

イルネ「低燃費?」

ミリス「私の着信音は低燃費のCMの曲だ」

イルモネ「ミリスさん、さすがにそれは…」

ミリス「私はそんなの気にしないからな、何と言われようと構わない」

男「いや、お前はダメだろ」

イルネ「もったいないよね」

ミリス「もったいない?」

イルモネ「もったいないですね」

男「自分でマイナス要素付けたしまくってるよな」

イルネ「それも魅力だけどね!」

ミリス「こいつらは何を言ってるんだ」

イルモネ「というかお兄さん、メール見なくていいんですか?」

男「どうせ迷惑メールだろ」

イルネ「とか思ってたら結構大事なメールだったりするんだよね」

ミリス「周りからどう見られようと別に恥ずかしくないのに『もったいない』…?」ブツブツ

男「ここ数日迷惑メールしか来てないからな…別に…」

イルネ「ほらー、大事なメールだったでしょ!」

イルモネ「よくあることですよ」

男「………」

イルネ「どうしたの?」

男「やばいぞ」

イルモネ「何のメールだったんですか?」

ミリス「もったいないとは何だ…そんなところで使う曲じゃないというのか」ブツブツ

男「女が来る!」

イルネ「女?」

イルモネ「誰ですか?」

男「タチの悪い知り合いというか…悪魔というか」

イルネ「どんな人なの…」

ミリス「何だなんだ、修羅場か」

イルモネ「多分、そうなんじゃないでしょうか」

男「お前ら、海に帰れ」

イルネ「えー?何いきなり」

男「捌かれるぞ」

イルモネ「冗談は」

男「冗談じゃない。あいつはとことんやるからな」

イルネ「って言っても動けないし」

男「車に全員乗せてく」

イルモネ「そこまでするんですか?」

男「本当にヤバいからな」

ミリス「おい、私との約束は…」

男「すまんが忘れてくれ、緊急事態だ」

イルネ「そんな焦ることかねー?」

男「いいから急ぐぞ!」

ピンポーン

男「うわあああああ」

イルモネ「お兄さん、何か鳴りましたよ」

男「終わった…」

ミリス「何だ、殺人鬼でも来るのか」

イルネ「そんな物騒な」

男「お前ら、短い付き合いだったな」

イルネ「え」

イルモネ「冗談が過ぎますよ」

男「精一杯フォローするけど…しきれなかったらさよならだ」

ピンポーン

イルネ「な、何か怖くなってきた」

イルモネ「お姉様は私が守りますよ」

ミリス「訳が分からん」

男「憂鬱だ…」

ピンポーンピンポーンピンポーン

イルネ「ひっ」

イルモネ「私も怖くなってきました…」

男「俺もだよ」

ミリス「話が全くつかめない」

男「行ってくる…出なかったら窓ぶち破られるからな…」

イルモネ「人の皮を被った化物なんじゃないですか?」

イルネ「人間怖い…」

ミリス「何が来るんだ、何が」

ーー玄関ーー

男「はあ…」

ガチャ

男「あーい…」

女「久しぶりーーーー!」ギュ

男「くっつくな、暑苦しい」

女「いいじゃんかよこれくらいー」

男「よくない、離れてくれ」

女「ケチ」

男「ケチで結構だ」

女「にしてもなかなか出てきてくれなかったね」

男「そ、そうか?」

女「いつもすぐ出てきてくれるのに…」

男(まずい)

女「中に誰かいるの…?」

男「いや、ちょっと友達と電話してたんだ」

女「電話なんていつでもできるじゃん。何で切らなかったの?」

男「ちょっと話が弾んじゃってな」

女「へー…私より大事な話なんだね…」

男「いや、そんなことは」

女「ならすぐに電話切れるはずだよね?」

男「だから、その」

女「誰かいるんだよね?」

男「え」

女「隠しても分かるよ…男とは長い付き合いだからね」

男「そんな憶測で」

女「とか言ってこの前女いたじゃん」

男「あれは押し売りだって」

女「へー、押し売りをリビングまで入れるんだ」

男「まあ…そういうことも」

女「無いよね?」

男「無いです…はい」

女「本当のこと言おうよ」

男「あの時来たのは高校の時の先輩だよ」

女「そっちじゃない、今」

男「えっと…お客さんが」

女「ふーん、じゃあ私も挨拶しよっかな」

男「いやいや、そんなの必要無いって」

女「何で?妻として挨拶くらいしないとダメじゃん」

男「だから、お前と俺は結婚なんかしてないだろ」

女「18になったら結婚しようって嘘だったんだ…約束守らないんだ」

男「そんな小さい頃の話は…」

女「17の時も言ってたよね?」

男「いやあれは言わざるを得ないというか」

女「自分の意思だったんだよね…?」

男「…はい…」

女「なら、私が妻でもおかしくないじゃん」

男「…」

女「ねえ、そろそろ入ってもいい?」

男「…どうぞ」

女「ここまで渋ったってことは…女の子でも来てるの?」

男「いや、女の子というか、まあ珍客が」

女「お客さんに対してずいぶん失礼だね」

男「…決して浮気じゃないからな」

女「信じてるよ。けど女の子の方がどう言うかだよね?」

男「そうだが…」

女「本当に付き合ってないなら何も後ろめたいことないもんね」

男(…晩飯は魚料理かな…)

今日はここまでです

とりあえず復旧記念に更新します。
朝5時にメンテ入るので焦る必要は無いんですが、できるだけ早くということで(´・ω・`)

ーー風呂場ーー

イルネ「ムニエル…」ガタガタ

ミリス「いつまで怯えているんだ」

イルモネ「人生初の死の危機ですからね…」ガタガタ

ミリス「そもそも何に怯えているんだ?」

イルモネ「ミリスさん、聞いてなかったんですか?」

ミリス「ちょっと考え事をしててな」

イルネ「怖い…怖い…」

ミリス「で、何が起きるんだ」

イルモネ「えっとですね…」

ガラッ

イルネ「ひぃ!」

男「…」

女「…魚?」

ミリス「どう見ても人魚だろ」

男「やめろ、あんまり刺激すると殺されるぞ」ヒソヒソ

女「…」ガッ

男「何だ」

女「何ヒソヒソ話してるの?私にも聞こえるように言ってよ」

ミリス(言ってるそばから刺激してんじゃねーか)

男「たいしたことじゃない」

女「ふーん…」

イルネ「うぅぅ…」

女「で?あなた達はなんなのかな?」

男「こいつらは…」

女「男には聞いてないよ」

男「う」

ミリス「一時的に匿ってもらってるだけだ」

女「ふーん…」

イルモネ「私もです」

イルネ「わ、私も!」

女「何で匿ってもらってるのかな」

ミリス「外に出ると人間に捕まるんだ。くだらんことで拘束されたくないからな」

女「それなら海に帰ればいいじゃん。何で陸に上がったの?」

ミリス「他の人魚が人間を喰おうとしてる。それを止めに来た」

女「…私、冗談は好きじゃないんだけどな」

ミリス「本当だ。そのうち人魚が人間を食うニュースが流れるだろう」

女「真実味に欠けるね」

ミリス「別に信じなくてもいいさ。でも本当のことだ」

女「…男にそう言えって言われたの?」

ミリス「?何のことだ」

女「とぼけないで。男に嘘をつくように言われたんだよね?」

ミリス「すまん、話がつかめない」

イルモネ「女さんはミリスさんがお兄さんのことを好きなのかどうか疑ってるんですよ」

女「お兄さん?」

イルモネ「え?」

男(嫌な予感が)

女「男、あの子にお兄さんって言わせてるの?」

男「いや、俺が指示した訳じゃない」

女「不倫の上に妹まで欲しかったの?」

男「だから違うって」

イルモネ「私はお兄さんのことは何とも思っていませんよ!」

女「あなたが思ってなくても男が言わせてる可能性があるからね」

イルモネ「そんな」

女「それで?あなたは?」

イルネ「私?」

女「あなたしかいないでしょ」

イルネ「私はマイプリンセスを追ってきただけだよ!」

女「マイプリンセス…?」

イルネ「この人のこと!」

ミリス「…」

女「…あなた、女だよね?もしかしてオカマとかじゃ…」

イルネ「違うよ!」

男「あいつは女だ。というか、そこにいる魚は全部女だぞ」

ミリス「魚じゃねえって言ってんだろ」

女「何、あなた達同性愛者なの?」

ミリス「私は違うぞ」

イルネ「そうだよ」

女「…」

男「本当のことだ」

女「…じゃあ証拠に、キスしてみせて」

ミリス「え」

イルネ「いいよ!」

ミリス「おいちょっと待て」

女「何か問題でも?魚ちゃん」

ミリス「魚じゃねえ、人魚だ。あと名前はミリスだ!」

女「何でもいいし。早くやって」

男(ここでイルネが同性愛者ってことが証明されればとりあえずイルネは助かるな…。ミリスが拒みきれなかった場合はミリスも助かりそうだ)

イルネ「マイプリンセス、私達ならできるよ」

男(ただ最悪なのは…)

ミリス「ふざけるな、誰がするか!」

男(ミリスが拒み続けて、ミリスがかなり疑わしい存在になることだな…)

女「何でできないの?キスするだけじゃん」

ミリス「お前は好きでもない奴とキスできるのか?」

イルネ「…私のこと、嫌いなの?」

ミリス「そういうことを言ってるんじゃない」

イルネ「じゃあどういうことなの」

ミリス「恋人とか、異性に対してだとか、そういう好きなら私もできるさ。でもな、友達として好きなのはまた別だ」

イルネ「でも、私と一回キスしてるじゃん」

ミリス「あれはお前が無理やり」

イルネ「あの時キスしてもいいって言ったよね?」

ミリス「頬ならな」

女「頬にキスなんて誰でもできるからね?」

イルネ「マイプリンセス、私達恋人だよね?」

ミリス「だから」

イルネ「誓いのキスしたじゃん」

ミリス「私の同意無く誓いのキスか」

男「…確か海底では、キスしたら恋人同士になる習わしがあったよな」

ミリス「は?」

イルネ「?」

イルモネ「…ありましたね。ミリスさん、知らなかったんですか?」

女「へえ、そんなのあるんだ」

ミリス「おい、嘘も大概にしろ」

イルモネ「嘘じゃないですよ」

男(イルモネは気づいてくれたか…)

イルネ「…?」

男(イルネはまだ気づいてないか。というより、ミリスと本当に恋人同士だと思ってるあいつが俺の思惑に気づいたらもっと最悪な事態になりそうな気もするが…)

女「なら、ミリスちゃんが恋人だと思ってなくても恋人だよね」

ミリス「……」

男(ミリスも気づいたか?イルネが気づく前に済ましてしまいたいけど…)

ミリス「…そうだな。恋人同士なら、キスくらいなんでもないな」

イルネ「!」

男(…後で、ミリスに殺されるかも…。下手したらイルモネも加わるな…)

ミリス「ほら、さっさとするぞ」

イルネ「うん!」

女「…」

男(…女が気づいてたら俺ほんとに死ぬかも)

ミリス「…」

イルネ「…」

男(……まあいいか。死んでも悔いは無いし)

ミリス「…いくぞ」

イルネ「う、うん…」

男(俺が死ぬ代わりにこいつらが生きるんだ。無駄死にじゃないだけましだ)

ミリス「…」

イルネ「ん…」チュ

男(…)

ミリス「…これで、疑いは晴れたか?」

女「うん、疑ってごめんね」

ミリス「何、いいさ」

男(いざ死ぬとなると怖いな)

女「さて次は」

男「おい、まだあんのか」

女「当たり前じゃん。1人残ってるでしょ?」

イルモネ「私ですか」

女「そそ。お兄さんて呼んでるあたり、怪しいからね」

男「そいつが好きに呼んでるだけだ。他意は無い」

女「えっと…名前なんだっけ」

イルモネ「イルモネです」

女「イルモネちゃんは何で陸に来たのかな」

イルモネ「お姉様を追ってきました」

女「お姉様って…そこの?」

イルモネ「はい」

女「へえ…」

男「ちなみに言っとくと、そいつも同性愛者だ」

女「そうなの?」

イルモネ「そうですよ」

女「…信じられないなー、姉妹揃って同じなんて」

男「母親も同じだったそうだ」

女「うーん…」

男(さて、どうなるか)

女「…もしかして、お姉ちゃんが好きとかじゃないよね?」

男(ジャストミーーーート!)

イルモネ「そうですよ」

女「…」

男(また、キスしろって落ちか?)

女「じゃあ…」

イルモネ「でも、海底では血の繋がった者同士の恋愛は認められて無いんですよ」

ミリス(え)

女「実らない愛なのに、陸まで追って来たんだ?」

イルモネ「それ以前に、お姉様は私のことは好きじゃないですし」

女「まあ、ミリスちゃんと付き合ってるしね」

男(何考えてるんだ)

イルモネ「そういうことですね」

女「そこまで諦めてるんなら、追って来なくても良かったんじゃない?」

イルモネ「好きな人の動向を絶えず知っておきたいですから」

女「…分かるよ」

男(実際女は同じ理由でここまで来てるからな)

イルモネ「正直言うとちょっと諦めてます」

女「…そう…」

男「…これで疑いは晴れただろ。俺は浮気なんかしてない」

女「ごめんね、疑って」

ミリス「…」

女「…男、ちょっとリビングで話そ」

男「…ああ」

イルネ「イルモネ…」

イルモネ(…)

今回はここまでです

投下していきます
約2週間の間にネタが溜まってしまって3作同時にやりたい(´・ω・`)

ーーリビングーー

女「…」

男(…やっぱり気づいてるかな)

女「…」

男(さっきからうつむいてるし…泣いてる様子も無いし)

女「…」

男(俺が喋るのを待ってるのか)

女「…」

男「なあ」

女「なに」

男「俺が浮気してないってのは分かっただろ。何でそんな不機嫌そうなんだ」

女「…分からないの?」

男「…まあ、付き合ってる女がいるのに他の女と会うのはダメだよな。悪かった」

女「…それ以前の問題だよ!」

男「それ以前?」

女「私の性格、もう分かってるでしょ」

男「ああ、病的なまでに俺と親密な女を排除しようとするよな」

女「そこまで分かってて、よくあの娘達を家に入れれたね」

男「…」

女「まさか、人魚だからセーフとか思ってないよね?」

男「…俺は優しいからな」

女「…」

男「困ってる奴を助けて、それがたまたま女だったってだけでお前は非難するのか」

女「…別に、家に入れなくても色々方法はあったでしょ」

男「あいつらは人魚だぞ?人間が見たら捉えて見世物にされるか研究材料にされるに決まってる」

女「…匿ってたら、危険なんだよ?」

男「だから何だ」

女「始めて会う人魚の為にそこまでする義理はあるの?」

男「無いな」

女「なら」

男「けど、義理が無いからって助けないのは最低だ。目の前に助けれる人魚が転がっていて、それを見て見ぬ振りなんて人間として終わってる」

女「もしそれで、男が死ぬことになっても?」

男「自分でやったことだからな、悔いは無いよ」

女「…男が死んで、悲しむ人もいるんだよ」

男「お前は悲しんでくれるのか。良かった」

女「…悲しいよ」

男「…」

女「悲しいに決まってるじゃん」

男「…」

女「私だけじゃない」

女「あの娘達も悲しむよ」

男「あいつらと俺は赤の他人だ。死んでも何も思わないさ」

女「そんなことない。きっとあなたに好意を抱いている」

男「…まだ疑ってたのか。呆れた」

女「そういうのじゃない!」

男「…何だ、あいつらは俺を友好的に見てくれてるのか」

20分程空けます

再開します

女「…きっとそうだと思う」

男「…ふーん…」

女「男は意味の分からない所で怒るけど、ほんとは優しいし」

男「お前な、俺がそんなかっこいい男に見えるか?」

女「見えるよ。だから好きなんだし」

男「変な奴だな」

女「変な奴同士、お似合いだよ」

男「…」

女「…」

男「…お前、ほんとは気づいてるんだろ?」

女「…」

男「あんなこと言ったら余計疑われると思ったけど、お前なら本当に殺しかねないからな」

女「うん、知ってた」

男「…まだ疑ってるのか」

女「ううん。さっきの男の話聞いて、吹っ切れたよ」

男「そうか、良かった」

女「男が真剣な表情で話す時は本当のことしか言わないもんね」

男「そうなのか?」

女「私しか知らないと思うよ」

男「お前だけだもんな。俺とこんな長い付き合いしてるの」

女「町に変えれば、皆いるよ」

男「今更恥ずかしくて会いにいけねえよ」

女「2年しか経ってないじゃん」

男「2年て結構長いからな。俺にとっては短かったけど、あいつらは長く感じてるだろ」

女「そうかもね」

男「それに、あいつらと会って何したらいいんだか」

女「飲みに行って、くだらない話をすればいいんじゃないかな」

男「そんで、最終的にはお涙頂戴か」

女「いいじゃん。青春っぽいよ」

男「青春って年じゃねえだろ」

女「10代ならセーフだよ」

男「19って、10代って感じしないよな。殆ど成人だ」

女「その辺は気持ちの問題だよね」

男「でも、やっぱやりきれないだろうな」

女「やりきれないって?」

男「楽しんでる途中に、正気に戻るだろ。『何でこんなことしてるんだろう』って」

女「夢中になってれば、そんなの微塵も思わないよ?」

男「それをやりきれないんだよ。夢中になってても、少し熱が引いたらそれで終わり」

女「男、喋るより考えることの方が多いもんね」

男「喋ってても考えるけどな」

女「頭いいからねー」

男「考え過ぎるのも良くないけどな。結局マイナス思考になる」

女「それは皆一緒じゃない?」

男「お前もか?」

女「私は男のことしか考えないから」

男「答えになってないぞ」

女「男のこと考えるだけで幸せだし」

男「ある意味、羨ましいな」

女「悩みはあるけどね」

男「お前、悩みだらけだろ」

女「9割9分男のことで悩んでるんだけど」

男「そうか、苦労かけるな」

女「男が私だけ見てくれればいいんだけどね」

男「他の奴を見ても、お前以外を好きになることは無いからな」

女「笑って言うな、ばか」

男「かっこよかっただろ」

女「男はいつでもかっこいいよ」

男「お前よくそんなこと恥ずかしげもなく言えるな」

女「男が恥ずかしがり過ぎなんだよ」

男「俺は正常だからな」

女「男」

男「ん?」

女「ずっと私と一緒にいてね」

男「…」

女「…」

男「なあ」

女「なに」

男「お前、やっぱり変な奴だな」

今回はここまでです

17:30頃更新します

すいません予定が入ったので19時以降に更新します

遅れました(´・ω・`)
今から投下します

ーー10分ほど前の風呂場ーー

ミリス「…」

イルモネ「…」

イルネ「…」

ミリス(気まずいな)

イルモネ(…)

ミリス(イルモネと話がしたいけど…)

イルネ「…」

ミリス(イルネがあの話を嘘と気づいてるかだな)

イルモネ「…あの」

イルネ「何?」

イルモネ「…お姉様は、気づいているのですか?」

ミリス「…イルモネ」

イルネ「…何となく、ね」

イルモネ「そうですか…」

イルネ「…何か、言いたいことあるんじゃないの?」

イルモネ「…」

ミリス「私が代わりに言おうか?」

イルモネ「……お願いします…」

イルネ「…」

ミリス「なあ、あの話が嘘って分かってるんならさ」

イルネ「何で、怒ってないのか、って?」

ミリス「そうだ」

イルネ「…怒ってるというより」

イルモネ「…」

イルネ「…ちょっと悲しくなったかな」

ミリス「何でだ」

イルネ「…」

イルモネ「ミリスさん」

ミリス「いいんだ。イルネが自分を見直すいい機会じゃないか」

イルネ「…マイプリンセス、私のこと好きじゃなかったんだね」

ミリス「友達として好きだけどな」

イルネ「私、てっきりもう恋人同士かと思ってたよ」

ミリス「そうか」

イルネ「『そうか』って…何も言わないの?」

ミリス「お前が全部言ったあとでゆっくり言うよ」

イルネ「…マイプリンセスがキスしてくれるって言ってくれた時、本当に嬉しかった」

イルネ「けど、後から凄く悲しくなった」

イルネ「…なんか、私と距離が空くような感じがして…」

イルネ「…イルモネも、私と同じだったんだって思うと…」

イルネ「私ね、分かったの」

イルネ「今まで私はわがままを言ってただけだって。思い通りにならなかったら都合のいいように考えて…」

イルネ「…相手の気持ちも考えないで…」

ミリス「…最後まで聞いてやるから、泣くな」

イルモネ「お姉様…」

イルネ「…だからね」

ミリス「…」

イルネ「これからは、ちゃんと気配りするよ」

イルネ「今まで以上に優しくするし」

イルネ「…それで、マイプリンセスを振り向かせるからね!」

ミリス「…うん、それでこそイルネだよな」

イルモネ「お姉様がミリスさんと出会った時、いっつも言ってましたもんね」

ミリス「会う度に『付き合おう』だからな」

イルネ「ちょっ、そんな昔の話はいいじゃん!」

ミリス「昔って言っても、1年程だぞ」

イルネ「結構長いからね!」

イルモネ「私は短く感じましたね」

イルネ「もう」

ミリス「…それで、イルモネ」

イルモネ「はい?」

ミリス「お前に聞きたいことがあるんだよ」

イルモネ「…」

イルネ「まだ何かあるの?」

ミリス「何で嘘ついたんだ?」

イルモネ「…」

ミリス「男が言ってた『海底でのキス』の話も『海底では血縁者同士の恋愛は禁止』って話も」

イルモネ「…ああでもしないと、皆死んでたかもしれないんですよ」

ミリス「男への嫉妬で私達を殺すとでも?」

イルモネ「そうですよ、お兄さんもそう言ってました」

ミリス「なら、最初から本当のことだけを言ってればいいんだ」

イルモネ「…」

ミリス「イルモネはイルネが好き、イルネは私が好き、私は誰も恋愛的に好きとは思っていない」

ミリス「これでもあの女は納得いったはずだ」

イルモネ「…でもそれだと、ミリスさんに疑いが残ります」

ミリス「私のことは私で片付ける。年下に心配してもらう筋合いは無い」

イルネ「…マイプリンセス、イルモネは心配して…」

ミリス「分かってる。けど、私はそこまで子供じゃない」

イルモネ「…」

ミリス「…なあ、本当のこと言ってくれないか」

イルネ「イルモネ…」

ミリス「…別に責めたりしないさ」

イルモネ「…」

イルネ「…私も、何も言わないよ」

イルモネ「…ほんとですか?」

イルネ「うん、約束するよ」

ミリス「私もだ」

イルモネ「…私…」

イルネ「…」

ミリス「…」

イルモネ「あの…えっと」

イルネ「落ち着いてからでいいからね」

ミリス「そうだ、時間はいくらでもある」

イルモネ「…私、ミリスさんが好きです!」

イルネ「え」

ミリス「は?」

ーーリビングーー

男「話もついたし、あいつらと色々話してみろよ。結構面白いぞ」

女「海底から来てるんだよね。海底の文化とか気になる」

男「…何か、騒がしいぞ」

女「揉めてる?」

男「世話のかかる…」

ガラッ

男「おい、何揉めてんだ」

ミリス「助けてくれ、サンドイッチだ!」

男「は?」

イルネ「ちょっとイルモネ、横取りする気なの!?」

イルモネ「そんなんじゃないですよ、好きになっちゃっただけですから」

イルネ「それ同じじゃん!」

女「…」

男「…またカオスなことに…」

ミリス「大体お前はイルネが好きなんじゃ無かったのか!」

イルモネ「女さんに殺されるかもしれないのに悠然と立ち向かって行く態度、かっこよかったです…」

ミリス「うわああああ」

男「どうするんだ、これ」

女「…まあ、男を好きにならなければそれでいいかな、私は」

イルネ「じゃあ何であの時私とマイプリンセスが付き合ってるみたいなこと言ったの?」

イルモネ「あの話で揉めてミリスさんが死んじゃったら元も子もないですから」

男「筋は通ってるな」

ミリス「おい、何とかしてくれ」

男「俺に言われてもな」

イルモネ「大体2人共、私の言ったことに責めないし何も言わないって約束したじゃないですか」

イルネ「いや、まさかこんなこと言うとは…」

ミリス「そうだ、これは特例だ!」

男「いや、約束を破るのは何があってもダメだ。お前らが悪い」

ミリス「うわああああ」

女「面白い娘達だね」

男「見ていて疲れるがな」

今回はここまでです

乙です
ミリスモテモテだね(同性に)
ところで最初の目的忘れてない?

>>187
忘れてないですよ、かなり逸れてますが(´・ω・`)

17:30頃更新します

投下していきます

ーー30分後ーー

男「落ち着いたか」

ミリス「私は元から落ち着いてるが」

男「俺が入った時の慌て方はなんだったんだ」

イルネ「それもこれもイルモネが悪い!」

イルモネ「かっこいいミリスさんが悪いですね」

ミリス「いや、どう考えてもお前らだろ」

男「うるさいしめんどくさいからお前らは黙ってろ」

女「何ともめんどくさい事態になってるね」

男「まあ俺たちは関係無いからどうでもいいんだけどな」

ミリス「そんなこと言わずに助けてくれ」

男「義理が無い」

女「あんなこと言っておいてこういう時は助けないんだね」

男「ほら、自分で解決できることは自分でさせた方がいいだろ」

女「屁理屈じゃん」

ミリス「何の話なんだ」

男「いや、なんでもない」

女「ほら、助けてあげなよ」

男「めんどくさい」

女「クズだね」

男「じゃあお前が助けてやれよ」

女「私が助けるのは男だけだし」

男「お前こそクズじゃねーか」

女「そこは変わり者って言って欲しかったね」

ミリス「はぁ…」

男「ていうかな」

ミリス「何だ」

男「狭いんだよここ!」

イルネ「風呂場に5人だもんね」

男「2人と3匹だ」

ミリス「魚じゃねえよ」

男「半分魚なんだから匹でも間違いじゃねえだろ」

イルモネ「半分人なので人で数えても間違いじゃありませんよ」

男「あああうるせえ!」

女「とりあえず移動しようよ、ほんとに狭いし」

イルネ「動きにくいー…」

イルモネ「慣れれば楽ですよ」

ミリス「こういう時エビウィミさんならサクサク動くんだろうな」

男「いや、陸上でエビ逃げはできないだろ」

女「半分人なんだしできそうな気もするけど」

イルモネ「エビウィミさんで思い出しましたけど、ミリスさん忘れてませんか?」

ミリス「……完全に忘れてた」

ーーリビングーー

男「ふう」

ミリス「おい椅子に座んな」

男「俺の勝手だろうな」

ミリス「顔上げなきゃならんから首疲れるんだよ」

イルネ「仰向けになれば楽だよ」

ミリス「それだとアホみたいだろ…」

イルモネ「そんなことないですよ」

女「私はちゃんと床に座ってあげるからね」

男「出た、女の偽善行為」

女「え?何か言った?」

男「何も言ってないです、はい」

ミリス「とりあえずニュース見せてくれ、ニュース!」

男「おらよ」ピッ

TV『…で、新たな人魚が発見されました』

男「なんと都合のいい」

TV『こちらが現地で撮影された人魚の映像です』

ミリス「下人じゃねーか」

TV『今まで発見された3体の人魚とは異なり、下半身が人間の身体になっている模様です』

男「3体?」

ミリス「イルモネとエビウィミさんの他に1人いるのか」

TV『この人魚は人間を見るなり襲いかかり、服を奪い逃走しました』

男「え?喰うんじゃねーの?」

イルモネ「不可解ですね」

TV『現在も逃走を続けており、捜索隊を組み捜索する予定です』

イルネ「イルモネの時と同じパターンだね」

TV『続いて他の人魚の現時点での情報をお届けします』

男「3匹目の人魚が気になる所だな」

TV『最初に見つかったイルカの人魚は、大学の研究室に輸送中、逃げ出し捜索隊が捜していますが依然見つかっておりません』

女「可愛く映ってるね」

イルモネ「えへへ」

TV『次に見つかったエビの人魚は、一度海に戻ったかと思われましたが、その後もう1体のエビの人魚を引き連れ、砂浜で自信を誇示するかのように踊り続けています』

ミリス「夫を連れて来たんだな」

男「ただのバカじゃねーか」

TV『人魚の正体がよく分かっておらず、危害も加えた例があることから一部では危険視する意見も出ています』

イルネ「まあ、喰われるかもしれないし警戒してくれた方がありがたいよね」

男「4匹目の人魚というか魚人が何で喰わなかったのかは謎だけどな」

TV『また、「これは人魚ではないのでは」との声も上がっています』

男「?」

ミリス「どうみても人魚だろ」

TV『例えば最初に発見されたイルカの人魚ですが、イルカは魚類ではなく哺乳類であり、厳密には人魚では無いとのことです』

男「確かにな」

ミリス「海底ではそんなの気にしないがな」

TV『これについて解説さん、どう思いますか?』

解説『そうですね、確かに厳密には人魚では無いかもしれません』

男「だよな」

イルネ「何か侮辱されてる気分」

解説『人魚というのは「上半身がヒト、下半身がサカナ」とされていますが…』

TV『今回見つかった人魚はどれも下半身は魚類ではない人魚ばかりでしたね』

解説『はい。ですが人魚というのは想像上の生物であり、現実に存在するとは考えられてきませんでした』

男「だよな。俺も絵本でしか知らないし」

解説『ですが今まで見つかった人魚は我々人間の想像するイメージの人魚と酷似しています。ですので人魚と呼んでもいいのではないでしょうか』

ミリス「こいついいこと言うな」

男「これいいことなのか」

解説『しかし正式に名称を付けるのなら、人魚という名称を付けることはできませんね』

イルネ「意味わかんない人だね」

イルモネ「はっきりしない人は嫌いです」

TV『では解説さんが考える正式な名称とは何でしょうか?』

解説『そうですね…。人魚と付けることができない以上、モンスターとするのが相応しいのかもしれませんね』

ミリス「こいつ絶対最初に喰われるな」

男「人間を喰ったら本物のモンスターだな」

TV『モンスターですか…』

イルネ「ね、ムカつくからテレビ消して」

男「へいへい」ピッ

女「散々な言われようだね」

イルモネ「こんな可愛いモンスターなんていませんよ」

イルネ「ねー」

男「自分で言うな」

ミリス「最後に見つかった下人の動向が気になるな」

女「ね、下人て何なの?」

男「下半身が人間の人魚だそうだ」

女「あー、魚人ね」

ミリス「映像を見る限りサメの人魚だったな」

男「サメ…ジョーンズなんて名前じゃねえだろうな」

イルネ「サメの知り合いなんてサメリオンしかいないね」

男「またかっちょいい名前だな」

イルモネ「私と同い年のサメザーくんという人魚もいますよ」

ミリス「サメザーは知らないな…」

男「どっちも下人なのか?」

イルネ「サメリオンは上人だよ」

イルモネ「サメザーくんは下人ですが…」

男「それやばいんじゃないのか?」

イルモネ「サメザーくんはシュモクザメの人魚なので大丈夫ですよ」

女「シュモクザメ?」

イルネ「サメの中でも小さくて、人間を襲わないとされるサメだね」

ミリス「じゃあ、私たちの知らない人魚か…」

男「そもそもどこにいるのかも分からないしな」

女「打つ手無しだね」

イルネ「見つかった下人の人魚がシュモクザメの人魚ならいいんだけどねー」

男「あり得るかもな、服を奪っただけだし」

ミリス「その服を奪った理由も謎だがな」

イルモネ「人間に変装して疑われないように、ってことじゃないですか?」

男「顔はサメなんだろ?一瞬でバレる」

女「人間の服に興味あったとか」

男「喰ってから脱がせばいいんじゃないのか?」

イルネ「喰ったらボロボロになるじゃん」

男「…脱がしてから喰えばいいだろ」

ミリス「脱がした段階で誰かに見られたら逃げるしかないだろう」

男「…分からんな」

女「まあ、どれもあり得ることだよね」

今回はここまでです
ちんくるがしょっちゅう落ちてその度に書き直すから投下に時間がかかる(´・ω・`)

どうも
投下していきます

男「というか上人でもサメの人魚だったら人を喰う可能性もあるんじゃないのか?」

イルネ「いや、上人は人間を喰わないよ」

イルモネ「何でも共食いしてる気分になるとか」

男「魚は食うくせに…」

ミリス「逆に下人は魚を食わないそうだ」

女「上半身で食うものが変わるんだね」

男「じゃあ上人が下人を喰うことも…」

ミリス「いや、同じ人魚だからそれはない」

女「あったら本当にモンスターだよね」

イルネ「それで、どうするの?」

男「何がだ」

イルネ「最後に見つかったサメの人魚」

ミリス「正直、打つ手無しだな」

イルモネ「せめて居場所が分かればいいんですけどね」

女「ネットで検索すればすぐ出てくるよ」

イルネ「ネット?網?」

男「ネットっていうのは電脳世界のことだ」

イルモネ「で、電脳世界…?」

ミリス「私たちがいるこことは別に世界が存在するとでも言うのか?」

男「そうだ。人間が人工的に作った世界で、人間は1人1人ナビを持つんだ」

イルモネ「ナビ、ですか」

男「見ろ、女は今ナビに情報を探させてるんだ」

イルネ「へぇぇ…」

男「電脳世界は現実のこの世界と違って他国の人と一瞬でコミュニケーションできるんだ」

ミリス「すごいな…」

男「さらにな、電脳世界にはウイルスってのも存在してな」

イルネ「ウイルス?」

男「俺たちのナビを殺してしまう悪いナビのことなんだ」

イルモネ「何でそんなのが存在するんですか?」

男「電脳世界に新しくサイトを構築したりするとその過程でエラーやバグが起きるんだ。それが元でウイルスナビが発生する」

ミリス「怖いな…」

男「一度数年前にそのウイルスの集合体であるゴスペルってウイルスが発生してな…」

イルネ「うんうん」

男「我ら日本人が誇る少年光くんとそのナビロックm」

女「いつまでやってんの」ゲシッ

男「蹴ることないだろ」

女「くだらない嘘ばっかついてるから」

イルモネ「え、嘘なんですか…?」

男(何だこのチワワのような可憐な目は)

イルネ「信じてたのに…」

男「いや待て」

ミリス「約束は守るくせに嘘はつくんだな」

男「あい、すんませんでした」

イルモネ「まあ分かってましたけど」

イルネ「バレバレだよね」

ミリス「海底の情報力を舐めないことだ」

男「海底の情報量が凄いとしても何で嘘ってわかんだよ」

女「で、結果聞かなくていいの?」

イルモネ「忘れてました!」

ミリス「この男が訳のわからん話をするから」

男「面白いおとぎ話だっただろ」

イルネ「正直かなりつまんなかった」

男「マジかよ…」

女「あのサメの人魚、○○県の沿岸部に出たらしいよ」

ミリス「アバウトだな…」

男「機械音痴が」

女「え?」

男「ん?」

女「……」

男「すいませんでした」

女「よろしい」

イルネ「仲良いねー」

イルモネ「ほんとお似合いですよね」

ミリス「お前ら結婚したらどうだ」

男「結婚はしてないがこいつは一応妻ってことになってる」

女「籍は入れてるもんね」

イルモネ「羨ましいです」

ミリス「こっち見て言うな」

イルネ「ちょっとイルモネ、マイプリンセスは私のものだからね!」

ミリス「違うからな」

男「はっはっは、お前も結婚したらどうだ」

女「この話題引っ張ると長くなりそうだよね」

男「ついでにかなりめんどくさいぞ」

イルモネ「お姉様、私の方が可愛いんですから諦めて下さい」

イルネ「海底では私くらいの年の方がモテるもんね!」

ミリス「それで、結局沿岸部しか?」

女「わかんなかったけど、十分だよ」

男「沿岸部って言ってもかなり広いだろ、どうするんだ?」

女「あのね、○○県に沿岸部なんて一部しかないでしょ」

ミリス「そうなのか?」

男「知らん」

女「地図見てよ、あんまり広くないじゃん」

男「いやお前地図上では狭いけどな」

ミリス「実際はどのくらいなんだ」

男「んー…まあ、50kmくらい…」

女「えっ」

男「いや、かなり適当だけどな」

ミリス「広すぎるな」

男「捜索隊に見つけてもらう方が早いんじゃないのか」

ミリス「確かにな…」

女「ねえねえ」

男「なんだ」

女「最新ニュースにまた人魚が見つかったってあるよ」

ミリス「本当か」

男「えっと……」

ミリス「どうなんだ」

男「…海外で見つかったそうだ。ちなみにマグロ」

女「美味しそう」

ミリス「食うなよ…」

男「もう1匹見つかってるぞ」

ミリス「次はどこだ!」

男「えー…あ、お前がいたのと同じ場所だな」

女「どこどこ?」

男「ほら、俺の家から歩いて5分くらいの所に砂浜あるだろ」

女「近いねー」

ミリス「そういえばイルネもあそこにいたんだよな…」

男「ずいぶん昔のことに思えるな」

ミリス「…あ」

女「?」

ミリス「ペンダント…」

男「イルネが見つけたとか言ってたな」

ミリス「おい、イルネ!」

イルネ「そもそもイルモネは私の妹じゃん、私に譲るのが普通じゃん!」

イルモネ「恋敵となったら話は別ですよ」

女「まだやってたんだ」

男「面白いだろ?」

ミリス「イルネ!」

イルネ「あ、マイプリンセス聞いてよ!」

イルモネ「いえいえ、私の話を…」

ミリス「私の話を聞け!後から聞いてやるから!」

男「あー、後で絶対後悔するな」

女「なんで?」

男「あの2匹に挟まれて話するとかなり疲れるからな」

女「あー…分かる」

ミリス「イルネ、私のペンダントは?」

イルネ「あ、ここにあるよー」

ミリス「良かった…」

男「……なあ、今どこから出したんだろうな」

女「ちょうど死角でいまいちわかんなかったね…」

イルモネ「そのペンダント、いっつも付けてたけど何なんですか?」

ミリス「お母様からのプレゼントなんだ」

イルネ「何か変な文字が刻まれてるんだよね…」

男「さすがに聞けないよな」

女「…鱗の隙間から出したってことにしとこうよ」

男「イルカって鱗あったっけ…」

ミリス「私にも読めないんだ」

イルモネ「んー…昔の海底の言語ですかね?」

イルネ「昔の海底って違う言語だったの?」

ミリス「昔と言っても数千年前だ」

男「…人と魚の境目に隙間があるんだろ」

女「どう見てもピッタリくっついてる…というより結合してるけどね…」

イルネ「数千年前って…」

イルモネ「気の遠くなる話ですね…」

ミリス「その頃の文献が少しあるんだけどな…」

女「…きっと触れちゃいけないんだよ、きっと」

男「…残るはさ、もう1つしk」

女「はい、おしまい。それ以上言ったら万力ね」

男「サラッと怖いこと言うなよ」

イルモネ「ミリスさん、そんな昔の文献持ってるんですか?」

ミリス「いや、海底にはまだ存在してるそうだ」

イルネ「どこにあるの?」

ミリス「王家が保管してると聞いたが」

女「それだけは言っちゃダメだからね」

男「いや、何言うか分かってたのか?」

女「…はい、おしまいおしまい!」

男「大丈夫か、耳赤いぞ」

今回はここまでです

22時から投下します

投下していきます

イルネ「王家って、私たちの家にあるの?」

ミリス「一概には何とも言えんが、王家がどこかに保管してるのは確かだ」

イルモネ「帰ったらお父様に聞いてみましょう」

女「ほら、私たちもあっちの話に混ざろうよ」

男「いやそれはいいけど、お前顔も赤くなってきてるぞ」

女「ああもう、それ以上言うな!」

男「何で俺怒られてんの…」

ミリス「何だ、さっきから賑やかだな」

男「こいつだけな」

女「男が変なこと言うから!」

男「いや、言ってないぞ」

イルネ「やらしー」

イルモネ「お兄さん、変態だったんですね」

男「なんでやねん」

ミリス「お前、最低だな…」

男「おい女、お前のせいで俺の評価が地の底だぞ」

女「知らない知らない」

イルネ「まあ何話してたか知らないけど」

男「変なノリにすんなよ」

すいません、急用が入ったので明日の朝か昼に投下します…
本当に申し訳ない(´・ω・`)

おはようございます
投下していきます

ミリス「そういえば、私と同じ場所で見つかった人魚はどうなった」

男「完全に忘れてた」

イルネ「何、また見つかったんだ?」

女「30分程前だね」

男「ニュースになったのはな」

女「え?」

男「お前、ちゃんと記事読んだのか」

女「いや、見出ししか見てない」

男「機械オンチなんてレベルじゃねーぞ」

イルモネ「人間得手不得手があるものですよ」

男「魚が何言ってんだ」

ミリス「人魚舐めんなカス」

男「所詮半魚ごときが何を」

イルネ「おっさん、ほんと最低だよね」

男「何で俺こんな責められてんの?」

女「ほんとだ、見つかったのは1時間前だね」

男「ほら、どう考えてもこいつが悪いだろ」

イルモネ「人間誰にでもミスはありますよ」

男「わかった、もうこの話はやめよう」

ミリス「結局何の人魚が見つかったんだ?」

女「ドジョウって書いてある」

男「ドジョニスか…」

ミリス「知ってるのか?」

男「お前の連絡先に載ってただろ」

ミリス「何人の携帯勝手に見てんだコラ」

男「見られて困るもんなんかねーだろカス」

イルネ「ほんとおっさん口悪いよね」

イルモネ「怖いです」

男「あえて俺は突っ込まないからな」

女「ドジョウの人魚なんているんだね…」

男「正直何の人魚がいても不思議じゃないな」

ミリス「ドジョニスさんはいい人だぞ」

イルネ「私ドジョニスさん見たこと無いんだけど…」

イルモネ「神出鬼没って言われてますからね」

男「見つけたらラッキー的な存在か」

ミリス「いや、単に人見知りなんだ」

イルモネ「可愛いですね」

男「ドジョニスって名前を聞く限りおっさんしかイメージできないんだがな」

ミリス「確か今年で25だ」

男「意外に若かった…」

女「人魚にも年齢があるのがびっくりだよ」

ミリス「生きとし生ける者全てに年齢があるんだぞ」

男「話を大きくし過ぎだろ」

イルネ「私は17だよ」

男「聞いてないんだけど」

イルモネ「私は14ですよ」

男「分かった、分かったから」

女「私何歳だったっけ」

男「俺と幼馴染なんだから同じ19だろうが」

ミリス「19の割には精神が子供だな」

男「お前よりは大人だと思うけどな」

イルネ「海底で私たちと同い年でマイプリンセスより大人びた人いないよ」

男「魚な」

女「もうどっちでもいいよ」

ミリス「おい、くだらん話をしてる場合じゃないだろ」

男「お前がふったんだよな」

女「ノったら負けだよ」

男「もうお前ら黙っててくれ」

イルネ「ドジョニスさんて下人なの?」

ミリス「一応下人だが、気の優しい人だから人を喰うことはないはずだ」

男「本当にそう言い切れるのか、そんなこと言って安心してると喰われるんだぞ」

女「喰う前に食えば問題無いよ」

男「お前ほんとサラッと恐ろしいこと言うよな」

女「チャームポイントだしね」

男「減点だらけじゃねえか」

イルモネ「何で陸に上がってきたんでしょうか?」

ミリス「私に会いに来たんじゃないか」

男「もう家には入れたくない、生臭いし」

イルモネ「まあ、話だけでもしたいですよね」

男「ドジョニスは今人に見られて海に逃げてるらしい」

女「人見知りならではだね」

男「人魚の携帯って海中でも使えるんだろ?電話してみたらどうだ」

ミリス「もし人間に捕まってたらどうするんだ、わざわざ私たちの存在を教えるだけだぞ」

男「人見知りなんだろ?じゃあ陸に上がるなんて大胆な真似はしないだろ。そもそも陸に上がっても何もできないし」

イルネ「おっさんが砂浜に行っているかどうか見ればいいんじゃない?」

イルモネ「一番確実ですね」

男「めんどくせえ…」

女「約束だし行かないとダメだよ」

男「へいへい」

ミリス「すまんな」

男「見返り期待するからな」

イルネ「見返り?」

ミリス「人魚探しを手伝ってくれる代わりに海底の世界を見せると約束した」

イルモネ「海中で呼吸もできないのにどうやって見るんですか?」

男「写真に撮ってもらう」

イルネ「海底は綺麗でいいところだよ」

男「俺はアトランティスみたいなのをイメージしてる」

イルモネ「海底都市程度に思っておいた方がいいですよ」

女「幻想的だねー」

男「早く見たいもんだな」

ミリス「そう思うなら、早く行ってくれ」

男「分かってるっての」

ーーーーーーーーーーー

ミリス「前から気になってたんだが」

イルネ「何?」

ミリス「何であいつ、あんな約束を守ることにこだわりみたいなのがあるんだろうな」

イルネ「あー、確かに」

イルモネ「そんな節はありますね」

女「多分、私のせいだね」

イルネ「何かしたの?」

女「前に約束破られた時にお仕置きしたから」

ミリス「お、お仕置き…」

女「それ以来約束は破らなくなったね」

イルモネ「どんなお仕置きなのかちょっと気になりますね」

女「聞きたい?」

イルネ「聞きたい!」

女「えっとね…」

ーー砂浜ーー

男「誰もいないな」

男「まあ、11月だし当たり前か」

男「目撃者もたまたまデートで来てただけだしな」

男「おーい、ドジョー」

男「…」

男「出るわけないか、人見知りだって言ってたしな」

ドジョニス「…」ザバッ

男「おおう」

ドジョニス「呼ばれた気がした」

男「いやまあ、呼んだけど」

ドジョニス「ミリスの知り合い?」

男「そうだ」

ドジョニス「…」

男「なぜ黙る…」

ドジョニス「えと、ミリス元気なのか?」

男「あーまあ、元気なんじゃないか」

今回はここまでです

投下していきます

ドジョニス「な、何だその曖昧な感じは」

男「いや、普段のあいつとか知らねーからな」

ドジョニス「ああ、そうか…」

男「とりあえず電話してやれよ」

ドジョニス「あ、ああ」

男「…」

ドジョニス「…」

男「いや、電話しろよ」

ドジョニス「ん、ああ」

男「…分かったよ、俺はゆっくり家に戻る」

ドジョニス「…恩に着る」

男「お前らの携帯海でも使えるんだろ?できるだけ見つからないようにしとけよ」

ドジョニス「ああ」

男「じゃ、俺は行くな」

ドジョニス「うむ」

ーーリビングーー

ミリス「はい、大丈夫です」

ドジョニス『そうか…良かった』

ミリス「ドジョニスさん、危ないから陸に上がらない方がいいですよ」

ドジョニス『いや、沖の方で監視を続ける』

ミリス「人間に見つかったら捕まるんですよ?」

ドジョニス『潜ればすぐ逃げれるさ』

ミリス「ならいいんですが…」

ドジョニス『…』

ミリス「あの、無茶なことはしないで下さいね」

ドジョニス『…ああ、分かってる』

ミリス「…」

ドジョニス『…』

ミリス「…じゃあ、また、電話して下さい」

ドジョニス『あ、ああ…』

ミリス「では…」ピッ

男「何だ、青春してるな」ガチャ

女「うわぁ!」

ミリス「いきなり出てくるなよ」

男「退屈だったからな」

イルモネ「お兄さん、辛い目にあってきたんですね…同情します」

男「は?」

イルネ「頑張ったね」

男「ドジョウに会っただけなんだけど」

ミリス「これからもっと大変だろうが、頑張ってくれ」

男「なあ、こいつら何の話してるんだ」

女「あの話しただけ」

男「何の話だよ…」

イルモネ「それで、これからどうするんですか?」

ミリス「情報を待つしかないな」

女「また海外で見つかったらどうするの?」

男「行くこともできないしな」

イルネ「打つ手無しだね…」

男「なあ、これだけ経ってまだそれっぽい人魚が出てないんなら海底に行った方が早いんじゃないのか?」

ミリス「…まあ、そうかもしれないな」

男「イルネとイルモネも、王家の権限で抑止するくらいできるだろ」

イルモネ「まあ、お父様に頼めばできるかもしれませんね」

男「なら、さっさと海底に行くべきだな」

ミリス「その間に人魚が地上に出てきたらどうするんだ?」

男「俺が行ける範囲なら俺が行く」

女「名案じゃない?」

ミリス「しかし海底と言ってもかなり広いんだ。探しきれる訳がない」

男「それでも、ここにいるよりマシなんじゃないか」

女「地上と情報を共有すれば探せないこともなさそうだしね」

イルネ「いいんじゃない?」

ミリス「…まあ、その方がいいか」

男「あとは、連絡する方法だな」

女「多分、こっちの携帯じゃ海底まで電波届かないよね」

男「それ以前に地上と海底で通信できるかも疑問だけどな」

ミリス「通信ができるギリギリの位置まで調べて、そこに誰かいて中継すればいいだろう」

男「ドジョニスに頼んでおいてくれ」

ミリス「じゃあ、私の携帯を置いていく。海底にもう1台あるからな」

男「じゃあ、さっさと行動するか。見つからないようにしないといけないしな」

ーーーーーーーーーーーー

ーー砂浜ーー

男「そういえば、海底までどのくらいで着くんだ?」

イルネ「私は5分で着くよ」

イルモネ「私は7、8分です」

ミリス「私は20分強だ」

女「やっぱイルカって速いんだね」

男「いや、王家は元々速いらしい」

ミリス「それじゃあ、この携帯を渡しておく」

男「イルネ、通信が切れるまで電話切るなよ」

イルネ「分かってるよ!」

ミリス「私はドジョニスさんと話してから行くから、通信が切れた位置で待っててくれ」

イルネ「了解!」

イルモネ「お姉様、私がついていけるスピードでお願いしますね」

イルネ「あい」

男「じゃ、またな」

女「元気でね」

ミリス「解決したら、また来るぞ」

男「手土産持って来いよ、海藻以外で」

イルモネ「たっぷり本を持ってきますよ」

男「それは嬉しいな」

イルネ「じゃあ私はアクセサリー一杯持ってくるね!」

女「やった!」

ミリス「…じゃあ」

男「おう、待ってるぞ」

ミリス「ああ」

ーー3分後、リビングーー

男「聞こえるかー?」

イルネ『まだ聞こえるよー!』

女「結構繋がるね」

男「いや、雑音が紛れて来たしそろそろだな」

イルネ『…こえるー?』

男「イルネ、ストップだ。もう少し戻れ」

イルネ『…ーい』

女「今どれくらいの深さなんだろうね」

男「5分で海底に着くって言ってたし、相当深いんじゃないか」

イルネ『聞こえる?』

男「ああ、この辺がちょうどいいな」

イルネ『じゃあ、マイプリンセスとドジョニスさんを待つね!』

男「ん、了解」

今回はここまでです

19時頃更新します

すいません、今日は疲れたので起きたら更新します

昼頃更新します!

すいません、予定が入ったので21時頃更新します

すいません、遅れましたが投下していきます!

ーーーーーーーーー

男「来たか?」

イルネ『来たよー!』

男「よし、ちょっとミリスに変わってくれ」

イルネ『あい!』

ミリス『どうした』

男「やることは分かってるよな?」

ミリス『私は海底で人喰い人魚探し、イルネとイルモネは人との接触を避けるよう他の人魚に勧告』

男「よし、大丈夫だな」

ミリス『地上で人魚が見つかったら、まずは私に報告してくれ。イルネとイルモネには私が連絡する』

男「ああ」

女「ねえ」

男「ん?」

女「ミリスちゃんにはさ、まず○○県で見つかったサメの人魚を探してもらった方がいいんじゃない?」

男「確かにな…広いけど、人魚なら大丈夫か」

ミリス『聞こえてたぞ』

男「そうか、じゃあ頼むな。位置は分かるか?」

ミリス『海底地図があるから大丈夫だ』

男「捜索隊もいるだろうから、気をつけろよ」

ミリス『分かってる』

男「最後に、ドジョニスに代わってくれ』

ミリス『ああ』

ドジョニス『…どうした?』

男「一番退屈な役目だろうけど、辛抱してくれ」

ドジョニス『分かってる』

男「そうか、なら安心だ。絶対に動かないでくれよ」

ドジョニス『ああ』

男「よし、じゃあそろそろ行動しよう」

ドジョニス『分かった』

男「それじゃ、一回切るぞ」

ドジョニス『ああ』

ピッ

男「よし、ニュースを見るか」

女「俄然盛り上がってきたね!」

男「ていうか、最初からこうすれば良かったな…」

女「男ってそういう所抜けてるよね」

男「…チャームポイントだしな」

女「私的にはプラスだね」

男「相変わらずの変人だな…」

女「いーじゃん」

男「…それらしいニュースはやってないな…」

女「じゃあじゃあどうする?何する?」

男「お前、何でそんなイキイキしてんだ…」

ーー海底ーー

イルネ「ふぅ」

イルネ「イルモネ、早く行こ!」

イルネ「って、いない…」

イルモネ「お姉様、速すぎです」

イルネ「うわぁ!」

イルモネ「気づいてなかったんですか?」

イルネ「いきなり背後から話しかけないでよ…」

キッスマイ「あ、イル姉妹じゃん」

キッスバビー「どこ行ってたの?」

イルネ「げ、キッス兄弟だ」

イルモネ「相変わらず嫌な口の形してますね」

キッスマイ「で?どっか行くの?」

キッスバビー「行かないなら遊ぼー!」

イルモネ「お姉様、さっさと行きましょう」ヒュン

イルネ「がってんしょーち」ヒュン

キッスマイ「おい、ちょっとー!」

キッスバビー「早いねー」

ーーーーーーーーーーーー

イルモネ「あの2人を見ると嫌悪感が…」

イルネ「バビーの方は私結構好きだけどねー」

イルモネ「あの口の形が、生理的に無理です」

イルネ「まあ、あれは仕方ないよ…」

イルモネ「それに、弟が可愛くて女の人が寄ってくるのをダシにかっこつける兄が許せません」

イルネ「うん、あれは私も大っ嫌い」

イルモネ「それより、お父様に何て話します?」

イルネ「人喰い人魚がいるかもしれないから地上へ行かないよう全人魚に警告してって」

イルモネ「いいですね」

イルネ「これで防げるといいんだけど」

イルモネ「まあそれでも何人かは行くと思いますよ」

イルネ「見張りとか付けれないかな?」

イルモネ「さすがに量が多すぎて無理なんじゃないでしょうか…?」

イルネ「うーん…」

イルモネ「人口密集地帯周辺に配置してもらうのはどうでしょう」

イルネ「あ、いいかもね!」

イルモネ「では、それもお父様に掛け合ってみましょう!」

イルネ」りょーかいー!」

ーー○○県、沿岸部ーー

ミリス(…着いたな…)

ミリス(砂浜までは行けないから、海の中から見てるが…)

ミリス(…誰もいなさそう…だな)

ミリス(ニュースでは、なぜか服だけ奪って逃走したそうだが…)

ミリス(その辺は、皆で議論したが分からずじまいだな)

ミリス(…まあ、ここでサメの人魚が出るのを待ちつつ、男の連絡を待つか…)

ミリス(…)

ミリス(…あああっ!)

ミリス(海底に携帯取りに行くの忘れてた!)

ミリス(海底まで往復40分程度だが…その間に現れる可能性も…)

ミリス(ええい善は急げだ!)

ーー20分後、リビングーー

TV『先程、海上で人魚が発見されました』

男「海上?」

TV『目撃した漁師の○○さんによりますと、シャチのような人魚だったと言っています』

男「シャチか…」

女「やばいの?」

男「シャチはかなり人間臭いんだよ」

女「じゃあ、大丈夫なの?」

男「でも、それはあくまで普通のシャチの話であって…」

女「そっか、人魚ならわかんないね」

TV『こちらは漁師の方々を取材した時の映像です』

漁師『いやびっくりしたよ。まず何かの尻尾が見えてさ』

取材班『尻尾ですか』

漁師『おうよ。そんで、海に潜ったと思ったら、いきなり高く飛び上がったんだよ!』

取材班『その時に、シャチと?』

漁師『おう。あれはシャチみてえだったな』

男「ここで漁師を襲わなかったってことなら、ひとまず安心か?」

女「だと思う」

取材班『その後、シャチの人魚は…?』

漁師『ああ、陸の方に向かって泳いで行ったな』

男「陸…」

女「ちょっとわかんなくなってきたね」

TV『以上が取材の映像です。シャチの人魚が真っ直ぐ陸に泳いで行ったとすると、△△県の砂浜に出ると予想されます』

男「またアバウトだな…」

女「でも、途中で曲がったら全然違う場所行っちゃうしね」

今回はここまでです

2:30頃更新します

すいませんちょっと用事が入ったので遅れます

かなり遅れましたが投下していきます

男「とりあえず、ミリスに連絡しよう」ピッ

女「でも上人だったし、大丈夫だと思うんだけどね」

男「一応連絡しておいた方がいいだろ…あれ、出ない」

女「ええ?」

男「というか、電波が届かない」

女「じゃあ、海底にいるってこと?」

男「多分、そうなるな。何でか分からねえけど」

女「ドジョニスに連絡して、経由してもらおうよ」

男「それしかないな」ピッ

ドジョニス『どうした?』

男「ミリスが電話に出ないんだ。悪いけど伝言を頼む」

ドジョニス『…すまん、ミリスのもう1つの番号は知らないんだ』

男「ちょっと待ってろ、今言う」

ドジョニス『ああ』

男「えー…○○○-△△△△-□□□□□だ」

ドジョニス『…それで、何を伝えればいいんだ』

男「さっき、海上でシャチの人魚が見つかった」

ドジョニス『シャチ?』

男「ああ。漁師に発見されたけど、漁師は無事だ」

ドジョニス『なら、害はないんじゃないのか』

男「いや、その後△△県の砂浜の方へ向かったらしい」

ドジョニス『…分かった、伝えておく』

男「あと、電波が繋がる場所に行ったら俺に連絡するように伝えてくれ」

ドジョニス『ああ』

男「すまん、頼むぞ」ピッ

女「あのシャチ、危険なのかな?」

男「分からん。けど、上人だし急ぐことじゃないと思うんだが…」

女「何考えてるか、だね」

男「あと、イルネ達にも連絡しないと」

女「じゃ、すぐしないと」

男「ドジョニスがまだミリスに電話してるかもしれないし、もう少し待つぞ」

女「私たちの何もしてない感が凄いね」

男「行ける範囲なら行く」

女「行ける範囲って、どこまで?」

男「まあ、車で1時間以内の場所なら」

女「△△県は遠いしね」

男「…もう終わってるかな」

女「そんなソワソワするくらいなら電話すればいいじゃん」

男「よし」ピッ

女「ほんと変わってるよね」

男「お前に言われたくないわ」

ドジョニス『どうした?』

男「ミリスに連絡してくれたか?」

ドジョニス『ああ』

男「じゃあ、次はイルネかイルモネに電話して現状を聞いてきてくれ」

ドジョニス『分かった』

男「終わったら、俺とミリスに電話して伝えてくれ」

ドジョニス『ああ』

男「頼むぞ」ピッ

女「ドジョニスさん、大変だね」

男「まあ、あいつがいないと連絡すらとれないしな…」

ーー10分前、海底、王の間ーー

イルリオネス「ふむ…」

イルネ「ね、お願い!」

イルモネ「お願いします、お父様」

イルリオネス「しかし、まだ実害が出ていないんだ」

イルネ「被害が出てからじゃ遅いんだって!」

イルモネ「せめて、勧告だけでもお願いします」

イルリオネス「…ふむ、では、全人魚に地上へ行かぬよう警告しよう」

イルネ「監視は?」

イルリオネス「実害が出てない上に、そのような事件が起こる確証も無い」

イルネ「そんな!」

イルモネ「地上へ上がる人魚の数は明らかに増えているんですよ?」

イルリオネス「たまたまだろう。これまでにそんなことは何度もあった」

イルネ「そんなこと言って、人が死んだらどうすんのさ!」

イルリオネス「…元々、我々と人間は関わりを持たないはずだ。人間が死のうと関係無い」

イルモネ「…ひどいです…」

イルネ「お父さん、それはさすがにひどいよ!」

イルリオネス「逆に聞こう。なぜそんなに人間に肩入れをする?」

イルネ「…それは…」

イルモネ「好きな人がいるからです」

イルリオネス「その人間が、喰われると思うのか?」

イルモネ「その人は、全く関係の無い私たちの友人を他の人間から匿ってくれました」

イルリオネス「物好きな人間もいたものだな」

イルモネ「その上、私たちに協力してくれています」

イルネ「そうだよ!」

イルリオネス「だから何だと言うのだ?」

イルモネ「この問題に人間が首を突っ込むということは、他の人間より喰われる可能性が遥かに高まることになります」

イルリオネス「ならば、やめさせてお前たちで対処すればいいのだろう」

イルネ「…その人はね、絶対に約束を破らない人なんだよ」

イルリオネス「…」

イルネ「くだらない口約束も、大事な約束も!」

イルモネ「彼は、素晴らしい人間です。私たち人魚のくだらない欲望で死なせたくはありません」

イルリオネス「…惚れたか?」

イルモネ「…そうかもしませんね」

イルネ「イルモネ…」

イルリオネス「…そうか」

イルネ「私の好きな人も、今海を駆け回って人喰い人魚を探してる」

イルリオネス「…」

イルネ「…私は、その人を死なせたくない」

イルリオネス「…ふふふ」

イルモネ「…どうしたんですか」

イルリオネス「お前達は、私にそっくりだな」

イルネ「そっくり?」

イルリオネス「母さんが、何で死んだか知っているか?」

イルモネ「事故としか聞かされていませんが…」

イルリオネス「あれは事故などではない。…ひどい事件だった」

イルネ「事件?」

イルリオネス「地上に上がった女の子の人魚が、海へ戻れなくなったのだ」

イルモネ「なぜですか?」

イルリオネス「人間に捕らえられたそうだ。…研究目的ではない。弄ぶ為に…」

イルネ「…最低」

イルリオネス「妻は、私に秘密でその子を助けに行った」

イルネ「お母さんが…」

イルリオネス「人間との交渉の結果、財宝と引き換えにその女の子は解放されるはずだった」

イルモネ「はずだった?」

イルリオネス「人間共は裏切ったのだ。財宝を受け取り、妻を撃った」

イルモネ「お母様を…」

イルリオネス「奴等は女の子のに人魚と財宝、どちらも手にしたかったのだろう」

イルネ「ひどい…」

イルリオネス「私はその交渉のことを知っていた。そこへ向かっている最中に起きた出来事だった」

イルモネ「…お父様は、どうしたのですか?」

イルリオネス「怒り狂ったよ。下人の兵を引き連れて、人間を皆殺しにしようとした」

イルネ「?」

イルリオネス「妻が止めたのだ」

イルモネ「…なぜですか?」

イルリオネス「『ここで彼等を殺したら、他の誰かがまた私たちを殺しに来る』」

イルネ「…」

イルリオネス「『私で終わりにして。あの子を助けて、終わりにして』」

イルモネ「お母様…」

イルリオネス「妻の、最後の言葉だった」

イルネ「…」

イルリオネス「例え人間を殺そうと、彼らが
我々に報復する術は無い」

イルモネ「でも、お母様は…」

イルリオネス「…立派な人だった」

イルネ「全然、知らなかった…」

イルモネ「素晴らしい方だったのですね…」

イルリオネス「…さあ、兵を用意しよう」

イルネ「え?」

イルリオネス「被害が出てからでは遅い。お前達も協力してくれ」

イルモネ「え…あ、はい!」

イルリオネス「さあ、忙しくなるぞ」

今回はここまでです

18時頃おそらく更新します

すいません起きたら更新します

投下していきます

ーー男宅、リビングーー

男「お、かかってきた」

女「待ちわびたね」

男「もしもし」

ドジョニス『ダメだ、繋がらない』

男「繋がらない?」

女「え」

ドジョニス『ああ、何回電話してもダメだ』

男「じゃあ、出るまでかけ続けてみてくれ」

ドジョニス『分かった、結果が出たら報告する』

男「おう」ピッ

女「出ないって…何かあったのかな」

男「分からんけど、あいつらなら捕まることは無いだろ」

女「まあ、かなり速いしね」

男「…ん、また電話か」

女「ミリスちゃんじゃない?」

男「ビンゴ」ピッ

ミリス『どうした?』

男「ドジョニスからシャチの人魚の話は聞いたか?」

ミリス『ああ』

男「どうする、先にサメの人魚を追うか?」

ミリス『シャチの人魚が何を考えてるか分からんから何とも言えないな』

男「そうなんだよな…」

ミリス『どうする?』

男「…とりあえず、サメの人魚から頼む。シャチの方に動きがあったら連絡する」

ミリス『分かった』

男「あと、イルネ達が電話に出ないんだけど何か知らないか?」

ミリス『分からん』

男「そうか…じゃあ、進展があったら連絡する」

ミリス『ああ』

男「よし」ピッ

女「さて、どうしよう?」

男「とりあえずニュース見ながら、ドジョニスからの連絡を待つか」

女「じゃ、私はニュース見てるね」

男「俺はネットで色々見てみるよ」

女「それにしても、シャチの人魚はほんとに何考えてるんだろうね」

男「さあ…喰うのが目的じゃないとは思うが」

女「サメの人魚も不明なままだし」

男「謎だらけだな」

女「イルネちゃん達も心配だしね」

男「海底で警戒できないとなると、かなり辛いからな…」

女「うーん…」

男「とりあえず、今は待つだけだな」

ーー海底ーー

イルリオネス「3番隊、4番隊はオホーツク集落の西、5番隊、6番隊は東だ!」

イルネ「8番隊から20番隊は500mほど上から通ってくる人魚を止めて!」

イルモネ「7番隊、21番隊は王家周辺の少数の集落の監視をお願いします!」

イルリオネス「貴様!装備を忘れているぞ!」

イルネ「通ろうとする人魚がいたら、説得して通さないようにして!」

イルモネ「22番隊、23番隊はオホーツク集落の北、24番隊、25番隊は南をお願いします!」

イルリオネス「人手が足りんな」

イルモネ「各大規模集落の自治体にも協力を要請しましょう!」

イルネ「青年団にもね!」

イルリオネス「うむ、各大規模集落の自治体に伝令を送れ!」

イルネ「あああ、忙しい!」

イルモネ「26番隊、は日本集落の南、東を、27番隊は北と西をお願いします!」

兵士「カリブ集落自治体より伝令です!」

イルリオネス「要約して報告しろ」

兵士「はっ!自治体だけでは集落全体を監視できないとのことです!100人程度の人手を要求しております!」

イルリオネス「26、27番隊を送れ!少し足りんがそこは説得しろ!」

兵士「はっ!」

イルネ「あといくつ隊が残ってるの?」

イルモネ「1、2番隊と、28から33番隊ですね」

イルリオネス「残る大規模集落は?」

イルモネ「大西洋、太平洋集落ですね」

イルネ「あそこには自治体の大きさがハンパじゃないから大丈夫じゃない?」

イルリオネス「一応、28、29番隊を送る」

イルモネ「了解です!」

イルリオネス「残るは小規模集落か?」

イルネ「小規模集落は多すぎてカバーできないよ」

イルモネ「先ほど8から20番隊を500m上に送らせました。これでカバーするしかありません」

イルリオネス「その数では全域を監視しきれないだろう」

イルネ「小規模集落だと自治体や青年団がないところも多いからね…」

イルリオネス「28番隊から33番隊を小規模集落を中心としたパトロールへ向かわせろ!」

兵士「しかし、それでは」

イルリオネス「2人1組になって各集落を周れ!自治体が居たら次の集落へ向かって構わん!」

兵士「はっ!」

イルネ「1、2番隊はどうするの?」

イルリオネス「王家の護衛にあたってもらう」

イルモネ「護衛…必要なんですか?」

イルリオネス「過激派の集団が今を好機と見て王家を襲撃する可能性も高い」

イルネ「確かに、そうかもね…」

イルモネ「…そういえばさっきから、振動が聞こえるような気がするんですが」

イルネ「え、あ!携帯鳴ってた」

イルモネ「ドジョニスさんからですか?」

イルネ「うん、早くしないと!」ピッ

ドジョニス『もしもし』

イルネ「ドジョニスさん、どうしたの!?」

ドジョニス『ああ、男が現状を聞きたいそうだ』

イルネ「今、ありったけの兵士を監視に向かわせたよ!」

ドジョニス『おお…凄いな』

イルネ「でも、人手は足りてないよ。監視の目を抜けて地上に行く可能性があるかも」

ドジョニス『分かった、伝えておく』

イルネ「あ、地上の方はどうなってるの?」

ドジョニス『今新たに人魚が現れたそうだ』

イルネ「え、何の人魚なの!?下人!?」

ドジョニス『…すまん、忘れた…。だが、確か上人だったはずだ』

イルネ「そっか、良かった」

ドジョニス『じゃあ、報告があったら電話する』

イルネ「了解!」

イルモネ「どうだったんですか?」

イルネ「何か、新しい人魚が見つかったみたい」

イルモネ「危険なんですか?」

イルネ「上人だし、多分大丈夫」

イルモネ「そうですか、良かったです…」

イルリオネス「さて、私は海底全域に放送で呼びかけてくる」

イルネ「あ、お願い!」

イルモネ「こっちはこれで何とかなりそうですね」

イルネ「私達も地上に人魚を探しに行く?」

イルモネ「万が一に備えて、ここにいた方がいいんじゃないでしょうか」

イルネ「万が一?」

イルモネ「お父様がさっき言っていた、過激派の集団が来た時です」

イルネ「兵士に任せておけばいいんじゃないの?」

イルモネ「防ぎきれなかった場合が危険なんですよ」

イルネ「だったら、なおのこと地上で安全にしてた方がいいんじゃ」

イルモネ「私達がいない状況で、もしお父様がやられたらどうなりますか?」

イルネ「…命令系統が…」

イルモネ「そうです。兵の統率も危うくなるでしょう」

イルネ「それは大変なことだよ!」

イルモネ「ですので、私達3人の誰かがいれば命令系統は失われませんし」

イルネ「そっか、そうだね」

イルモネ「心苦しいかもしれませんが、じっとしていましょう」

イルネ「うん」

ーー5分前ーー

男「電話だ!」

女「ドジョニスさん?」

男「ああ、どうした?」ピッ

ドジョニス『イルネ達と連絡がとれた』

男「何て言ってた?」

ドジョニス『全ての兵士を監視に向かわせたそうだ。ただ、人手は足りてないそうだ』

男「ということは、カバーしきれてないってことか」

ドジョニス『ああ、監視を抜けて地上に行く可能性もある』

男「そうか…」

ドジョニス『何か報告することはあるか?』

男「いや、今は無いな」

ドジョニス『分かった』

男「すまんな」ピッ

今回はここまでです

てすと

もっかいテスト

もう少ししたら投下します

投下していきます

女「とりあえず、海底の方は心配無さそうだね」

男「でも完璧じゃないし、気は抜かない方がいいな」

女「監視を抜ける可能性もあるって言ってたしね…」

男「人手が足りないとか言ってたけど…」

女「人じゃなくて魚だって?」

男「そうなじゃなくて、あんな広い海を殆ど監視してるって凄いよな」

女「遊泳してるんじゃない?」

男「もしくは、広範囲を探知できるセンサーとか」

女「海底の科学力って恐ろしいね…」

男「携帯があること事態かなり謎なんだけどな」

女「何で壊れないんだろうね」

男「防水加工とか言ってたけど」

女「作る過程がかなり気になるね…」

男「気になると言えば…」

女「?」

男「イルネ、どうやってペンダント出したんだろうな」

女「…」ゲシッ

男「痛え!」

女「エッチ」

男「いや、何がだよ」

女「変態」

男「訳分からん…」

女「男はそんな人じゃないと思ってたのに…」

男「重い空気にすんなよ、めんどくさいから」

女「男が悪い!」

男「俺のせいかよ」

女「男は今後それらしいことを一切言わないこと」

男「それらしいって、マンホールとかも?」

女「…」ベシッ

男「痛え!」

女「注意したそばから言うな!」

男「いや試しに言っただけじゃん」

女「悪意しか感じなかったよ!」

男「お前が過敏に反応し過ぎなんだよ」

女「もう男は喋らないで」

男「無茶言うなよ…」

女「大体、こんな話してる場合じゃないんだって!」

男「あ、そうだった」

女「私ニュース見てるから」

男「何でちょっと怒ってるんだ…」

女「…」

男「…」

女「ねえ、何ch見ればいいかな」

男「何でもいいだろ、ニュースなら」

女「そんな適当じゃ駄目なの!」

ー○○県、沿岸部ーー

ミリス「やっと着いた…」

ミリス(…)

ミリス(さっきと変わったことは無いな…)

ミリス(シャチの人魚も気になるけど…)

ミリス(まずは、下人のサメの人魚を優先すべきだな)

ミリス(あと、海外でマグロの人魚も見つかっていたが…)

ミリス(まあ、それは後でもいいだろう)

ミリス(今のところ被害は出てないからな)

ミリス(…)

ミリス(しかし、何も起きないな)

ミリス(まあ、何も起きないのはいいことなんだが…)

ミリス(…そういえば、男がイルネ達と連絡が取れないと言ってたな)

ミリス(ドジョニスさんに電話して確かめてみるか…)ピッ

ミリス「…」

ドジョニス『もしもし』

ミリス「あ、ドジョニスさん」

ドジョニス『どうした?』

ミリス「男がイルネ達と連絡が取れないって言ってたんですが…」

ドジョニス『ああ、忙しくて出られなかったそうだ』

ミリス「今は連絡つくんですか?」

ドジョニス『ああ、海底の全域に監視をつけたそうだ』

ミリス「じゃあ、海底の方はもう大丈夫なんですね?」

ドジョニス『いや、人手が足りなかったらしい』

ミリス「ってことは…」

ドジョニス『監視を抜けて地上へ行く可能性はあるそうだ』

ミリス「そうなんですか…」

ドジョニス『そっちは何か進展はあったのか?』

ミリス「いや、何も起きてないですね」

ドジョニス『そうか。何かあったらまた連絡する』

ミリス「はい、分かりました」

ドジョニス『…無茶はしないようにな』

ミリス「え、あ…はい」

ドジョニス『…』

ミリス「…えと、切りますね」

ドジョニス『ああ』

ミリス「では」ピッ

ミリス(ドジョニスさん、何か言いたそうな感じがしたな…)

ミリス(…)

ミリス(…まあ、考えても分かることじゃないか)

ミリス(…)

ミリス(!)

ミリス(あれは、サメの人魚…?)

ミリス(こっちには気づいてないようだな…)

ミリス(まっすぐ砂浜に向かっている)

ミリス(下人のあいつに陸へ上がられたら厄介だし、先に捕まえるか)

ミリス「待て!」

???「!」

ミリス「そこのサメ!止まれ!」

???「うわぁ!何だお前!」

ミリス「それは私のセリフだ!いいから止まれ!」

???「くそ!」

ミリス「逃がすか!」

???「はっ、訳の分かんねえ人魚なんかに捕まってたまるかよ!」

ミリス「貴様!」

???「おら、こっちだ!」

ミリス「くそっ!」

???「どうした、遅いぞー?」

ミリス「貴様、今海底で何が起きているか知っているのか!?」

???「知るかよ!」

ミリス「人喰い人魚が出たせいで、地上も海底も大騒ぎだ!」

???「何?」ピタッ

ミリス「ようやく止まったか、とりあえず私の話を聞け!」

???「人喰い人魚って何のことだよ」

ミリス「とぼけるな、貴様がその人喰い人魚だろうが!」

???「おいおい、人聞きの悪いこと言うなよ」

ミリス「あくまでしらを切るか」

???「いや、ほんとに知らないんだって」

ミリス「なら、何故陸に上がろうとする?」

???「あ、それは…」

ミリス「…」

???「えっと…」

ミリス「決定だな」

???「いや、ちゃんとした理由があるんだって!」

ミリス「なら、早くその理由を言え」

???「んー、いやちょっと言いにくいことなんだよ」

ミリス「人喰いだろうが!」

???「だから違うって!」

ミリス「なら早く言え!」

???「…じゃあ誰にも言うなよ?」

ミリス「理由次第だな」

???「じゃあ、よっぽど悪い理由じゃなかったら誰にも言うなよ!」

ミリス「…いいだろう」

???「…服」

ミリス「は?」

???「服、欲しかったんだよ…」

ミリス「…」

???「ほんとだって!」

ミリス「服って…人間の」

???「そう、人間の服!」

ミリス「…」

???「あ、あんたイルモネの友達だろ?」

ミリス「何だ、イルモネを知ってるのか」

???「同い年だしな!」

ミリス「…もしかして、サメザーか」

サメザー「そうだよ!」

ミリス「…」

サメザー「いや、人間の服ってかっこいいじゃん?」

ミリス「…」

サメザー「海底にも服はあることはあるけどさ」

ミリス「…」

サメザー「何か、これといってかっこいい服が無いからさ」

ミリス「…」

サメザー「人間から奪いに来たって訳ね!」

ミリス「とりあえず」

サメザー「ん?」

ミリス「年上には敬語を使え」ベシッ

サメザー「いてっ!」

ミリス「また、服を奪いに行こうとしたのか」

サメザー「そうだy…そうです」

ミリス「…はあ」

サメザー「…」

ミリス「無駄足だった…」

サメザー「…あの、もう行っていいですか」

ミリス「今すぐ海底に帰れ。帰らなければ」

サメザー「帰らなければ…?」

ミリス「…」

サメザー「さよなら!」ビュン

ミリス「最初から素直にしてればいいものを…」

今回はここまでです

22時頃投下します

投下していきます

ーー男宅、リビングーー

男「ん、電話?」

男「もしもし」ピッ

ミリス『例のサメの人魚を捕らえた』

男「今そこにいるのか?」

ミリス『いや、海底に送り戻した』

男「おいおい、それはまずいだろ」

ミリス『あのサメの人魚、イルモネの言っていたサメザーとかいう小僧だった』

男(小僧ときたか…)

ミリス『どうやら人間の服を狙っていたらしい』

男「でも、嘘ついてるかもしれないだろ」

ミリス『いや、もし人間を喰う為に地上に来たのなら最初に服を奪った時に喰っているはずだ』

男「あ、確かに」

ミリス『というわけで、次の人魚の場所に向かいたいんだが…』

男「海外で見つかったマグロか、シャチかどっちかだな」

ミリス『そういえばマグロの人魚の方は何も情報が無い気がするな』

男「下人か上人かさえわからないな」

ミリス『ちょっと調べてみてくれないか』

男「ああ」

ミリス『シャチの方はあれから何も無いのか?』

男「無いな」

ミリス『上人なのか?』

男「ああ」

ミリス『なら被害は無いだろう』

男「けど、一応警戒しておいた方がいいだろ」

ミリス『まあ、何か怪しい所があれば捕らえに行くさ』

男「…えっと、マグロの人魚だけど」

ミリス『ああ』

男「見つかった時は人間を見て逃走、その後全く姿を現さないそうだ」

ミリス『ふむ…』

男「ちなみに、下人だ」

ミリス『一応、探しに行くか』

男「逃げた後どこに行ったか分からないから捜索範囲はかなり広いぞ」

ミリス『それでも、危険性があるなら捕らえた方がいい』

男「いや、そっちに無駄な時間をかけるくらいならシャチを追った方がいいだろ」

ミリス『上人で、人間を見ても何もしなかった人魚をか?』

男「正体がよく分かってないんだから、ハッキリさせといた方がいいに決まってる」


ミリス『危険性のあるマグロの人魚を追った方がいい。何かあってからじゃ遅い』

男「でも、かなり時間がかかるぞ」

ミリス『それでも、こっちを優先すべきだ』

男「発見現場付近にいるかもわからないんだぞ」

ミリス『くどい』

男「いや、だからな」

ミリス『もういい、切るぞ』

男「…ああそうかよ、好きにしろ!」ピッ

女「ちょっと、何喧嘩してるの」

男「俺の話を聞かずに行きやがった」

女「こんな時に喧嘩してどうすんの!」

男「俺は穏便に話していたけどな」

女「そんなの聞いてない!」

男「じゃあ何だ、自分勝手なあいつは何も悪くないのか」

女「いい加減にして!」

男「…」

女「いつまでそんな子供みたいなこと言ってるの!」

男「…分かったよ、後で謝っとくよ」

女「今謝って」

男「先にしなきゃいけないことがある」

女「…何」

男「イルネ達にシャチの人魚を捕らえてもらう」

女「そんなの、後でも連絡できるでしょ!」

男「何か起こる前にシャチの人魚をマークしてもらってた方がいいだろ」

女「そうかもしんないけど」

男「…大丈夫だって、ちゃんと謝るから」

女「絶対だよ」

男「ああ」

女「約束だからね?」

男「…分かってるって」

女「よし」

男「じゃあ、ドジョニスに電話するぞ」

女「早く済ませてね」

男「…」ピッ

ドジョニス『どうした』

男「イルネ達に伝言頼む」

ドジョニス『用件は?』

男「地上に出たシャチの人魚を捜して欲しい」

ドジョニス『分かった、伝えておく』

男「ああ」ピッ

ーー海底ーー

イルネ「ん、電話だ」

イルモネ「誰からですか?」

イルネ「ドジョニスさんだ…もしもし」ピッ

ドジョニス『男から伝言がある』

イルネ「何?」

ドジョニス『地上に出たシャチの人魚を捜して欲しいそうだ』

イルネ「あー…私達今動けないんだ…」

ドジョニス『そうか…』

イルネ「ね、理由言った方がいいかな」ボソボソ

イルモネ「余計な心配をさせないように、黙っておきましょう」ボソボソ

イルネ「了解」ボソボソ

ドジョニス『じゃあ、切るぞ』

イルネ「うん」ピッ

ーー男宅、リビングーー

男「もしもし」ピッ

ドジョニス『今は動けないそうだ』

男「…なんでだ」

ドジョニス『すまん、分からない』

男「…そうか…」

ドジョニス『…』

男「…」ピッ

女「…さ、ミリスちゃんに電話して」

男「…ああ」ピッ

女「ちゃんと謝ってね」

ミリス『…何だ』

男「…」

ミリス『…』

女「ほら、早く!」ボソボソ

男「あー…その…」

ミリス『…』

男「…さっきはすまんかった」

ミリス『…いや、私も熱くなってた。お互い様だ』

男「ああ…悪かったな」

ミリス『今マグロの人魚の所に向かっているが…』

男「…どうした」

ミリス『…どうしてもシャチの人魚が気になるなら、今すぐ向かうが』

男「…いや、マグロの人魚を追ってくれ。お前の言う通り、危険性が高い方から捜すべきだ」

ミリス『そうか…分かった』ピッ

女「…何でそんな険悪なムードなの」

男「俺とあいつの性格考えたらこんなもんだろ」

今回はここまでです

1時頃更新します

ちょっと遅れましたが投下していきます

ーー30分後ーー

男「何も進展無いな」

女「いいことじゃん」

男「いいことなんだけど、シャチとマグロの動向が掴めないのが嫌なんだよな」

女「まだ気にしてたの?シャチ」

男「一番謎だからな」

女「大丈夫だって」

男「だといいけどな」

ピリリリリリリリ

男「ん、もしもし?」

ミリス『今のところ何も起きてないか?』

男「ああ。そっちは?」

ミリス『とりあえずマグロの人魚が出た現場の周辺をうろついてるが、何も無いな』

男「そうか、しんどいだろうけど捜索頼むぞ」

ミリス『…ふふっ』

男「何笑ってんだ」

ミリス『いや、あれだけ反対してたのに今は協力的だったからな』

男「俺は別に何もしてないからな、反省したんだ」

ミリス『ははははは』

男「…ははは」

ミリス『ふふ』

男「はははははは!」

ミリス『はーっはっはっは!』

男「いつまで笑ってんだコラ」

ミリス『お前その急に態度変えるのやめろ』

男「お前もだろが」

ミリス『もういい、切るぞ』

男「おい逃げんなコラ」

ピッ

男「不完全燃焼だ」

女「何わけ分かんないこと言ってんの」

男「…さ、ニュース見るか」

女「あ、何か怪しい」

TV『先程、○○沖でボートが沈没しました』

男「ボート?」

女「どうせ変なヤンキーが調子こいてたんでしょ」

TV『ボートに乗船していた人達は行方不明となっております』

男「沈んだんだろ?」

女「え、それは無いでしょ」

TV『こちらが現場の映像です』

男「うわ、煙上がってるよ」

女「事故だったのかな?」

TV『船底に大きな穴が空いており、何かが衝突したものかと思われます』

男「何が衝突するんだよ」

女「マグロの人魚とか」

TV『海上保安庁は乗組員の捜索を続けています』

男「沈んだんだし出てこないだろ」

女「でも、変な話だよね」

男「何が?」

女「普通、転覆したら船にしがみついてたりするものじゃない?」

男「何かあったんだろ、離れざるを得ない状況だったとか」

女「転覆しただけだよ?」

男「サメが近づいて来たとか」

TV『以上、ニュースをお送りしました』

女「それでも、船から離れないと思うけどね」

男「サメが近づいてパニックになったんじゃないか?」

女「んー…」

男「焦って逃げようとして喰われたとか」

女「そうなのかな」

男「それくらいしか無いだろ」

女「人魚に喰われた可能性もあるじゃん」

男「マグロの人魚か?」

女「そうそう」

男「なら、船に血痕が残るんじゃないか?」

女「海の中に引きずり込めば血は残らないでしょ」

男「でも、海に血が混ざって赤くなるだろ。喰おうとしたらかなりの出血量だろうし」

女「流れていったとか」

男「海上保安庁はすぐ来たんだろ?さすがに気づくだろ」

女「離れた場所で喰ったとか」

男「そこまで人魚は用意周到じゃないだろ」

女「警戒する人魚もいるでしょ」

男「仮に人間に見つかっても、海底に逃げればいいだけだろ」

女「あ、そっか…」

男「船底に穴が空いたのも、でっかいマグロがぶつかったとかだろ」

女「うーん…」

男「…まあ、一応確認してみるか?」

女「どうやって?」

男「監視してる連中に、人間が沈んで来てないか確かめてもらえばいい」

女「見逃したら?」

男「あいつらには悪いけど、一時的に○○沖の底の方に向かってもらえばいいだろ」

女「あ、なるほど…」

男「善は急げだ、パパッと連絡しよう」ピッ

女「もし人間が沈んで来なかったら大変なことだよ」

ドジョニス『どうした』

男「イルネ達に、監視してる人魚を○○沖の底の方に集めてもらえるよう伝えてくれないか?」

ドジョニス『別にいいが…』

男「○○沖でボートが転覆して、乗組員が消えてるんだ。人魚に喰われた可能性もある」

ドジョニス『なら、監視を集める必要は無いんじゃないのか』

男「もし人間がそこに沈んで来たら、乗組員がただ溺れただけだからな」

ドジョニス『なるほど…分かった』

男「よし、結果出たら報告頼むぞ!」

ドジョニス『ああ』ピッ

女「沈んでくれてる方がありがたいんだけどね…」

男「まあ、静かに報告を待つか」

ーー20分後ーー

ピリリリリリリリ

男「もしもし」

ドジョニス『監視兵の1人が、沈んで来る人間を見つけたそうだ』

男「おお、そうか!」

ドジョニス『ちなみに沈んできた人数は1人で、10代前半の子だった。外傷は無し』

男「10代前半…」

ドジョニス『以上だ』

男「ん、ありがとな」ピッ

女「どうだったの?」

男「10代前半の子供が1人だけ沈んで来たそうだ」

女「喰われてたの?」

男「いや、外傷は無かったらしい」

女「じゃあ、人魚が沈ませた訳じゃないんだね」

男「いや、大変なことになってきたぞ」

女「え?」

男「10代前半の子供が、1人でボートなんか乗ると思うか?」

女「いや乗らないでしょ。親が…あ」

男「沈んで来るはずの親が沈んで来ないってことは…」

女「その親は、喰われた可能性が?」

男「かもしれん。監視が見逃してるとは考えにくいし」

女「えっと、つまり…」

男「人魚はボートを転覆させて、なぜか親だけを喰った訳だな」

女「何で、子供は喰わなかったんだろ?」

男「分からん…けど、緊急事態だ。ミリスに連絡しよう」

今回はここまでです
最後酉付け忘れてますが気にしない(´・ω・` )

0時頃更新します

投下していきます

男「ミリスか」

ミリス『どうした?』

男「恐らくだが、人魚に喰われた人間が出た」

ミリス『何だと!?』

男「○○沖でボートが転覆したんだ。乗組員が行方不明になってたからもしやと思ったんだが」

ミリス『なぜ早く連絡しないんだ!』

男「その時点じゃまだ喰われてるっていう確証が無かったからな」

ミリス『…どういうことだ』

男「乗組員が海に沈んだんじゃないかと考えたんだ。○○沖の底の方を監視してた人魚に、集中して捜索してもらったら人間が1人沈んで来た」

ミリス『1人…?じゃあただ溺れただけじゃないのか?』

男「沈んで来たのは子供だった。子供が1人でボートを操縦できると思うか?」

ミリス『…親が、喰われたということか?』

男「多分というか、十中八九間違いない」

ミリス『詳しい場所を教えろ、すぐに向かう!』

男「今は海上保安庁がウロウロしてるぞ」

ミリス『少し底の方を泳いでいけば問題無いだろう!』

男「…分かった。けど、絶対に見つかるなよ」

ミリス『分かってる』

男「今、地図をメールに添付して送る」

ミリス『ああ、頼むぞ』ピッ

女「大変なことになっちゃったね…」

男「とりあえず、犯人を早く見つけないともっと大変なことになる」

女「でも、どこにいるか分からないんだよね?」

男「そこが問題なんだよな…人間に見つかるような場所にはいないだろうし」

女「かといって、ミリスちゃんだけじゃ多分見つけれないよ」

男「イルネ達は動けないし、監視してる人魚を動かす訳にもいかないしな…」

女「どうするの、打つ手無いよ?」

男「…」

女「…とりあえず、ミリスちゃんにメール送っとこうよ」

男「…ああ、そうだな」

ピッ

男「よし」

女「何もできないのが歯がゆいね…」

男「…何か、方法は無いのか」

女「うーん…」

男「…イルネ達にも伝えておこう。応援をくれるかもしれない」ピッ

女「でも、海底も人手が足りないって…」

男「分かってる。けど、今はイルネ達が頼りなんだ」

ドジョニス『どうした?』

男「被害者が出た。海底から応援をくれないかイルネ達に言ってみてくれ」

ドジョニス『分かった。それだけか?』

男「ああ」

ドジョニス『分かった』ピッ

男「…くそ、どうすりゃいいんだ」

女「ボート襲ったの、マグロの人魚だったのかな?」

男「分からん。シャチでもマグロでも無い可能性もあるからな」

女「海上保安庁の人達が見つけてくれればいいんだけどね」

男「…」

女「…どうしたの?」

男「…そうか、それだ」

女「え?」

男「犯人は、次の獲物を求めてるはずだよな?」

女「まあ、その確率が高いと思うよ」

男「次に狙うとしたら、多分ボートを調査してる海上保安庁だ」

女「あ!」

男「ミリスにボート周辺の海域を見張ってもらえば多分捕まえられる!」

女「早く連絡しようよ!」

男「分かってる!」

ピリリリリリリリ

男「もしもし!」

ドジョニス『電話が繋がらない…』

男「何!?」

ドジョニス『何が起きたのかは分からないが…』

男「くそっ…」

ドジョニス『最初繋がらなかった時は忙しかっただけだが、今は分からん』

男「…とりあえず、かけ続けてみてくれ」

ドジョニス『分かった…』

男「くそっ」ピッ

女「電話、出ないの…?」

男「ああ、なんでかは分からないけどな…」

女「こっちもピンチなのに…」

男「泣き言言ってても始まらん。やれる事をやる」ピッ

ミリス『どうした!』

男「あとどれくらいで着く?」

ミリス『全速力で向かっているが、10分はかかりそうだ』

男「そうか…着いたら、ボート周辺を見張ってくれ」

ミリス『それはいいが…なぜだ?』

男「今海上保安庁がボートを調査してる。格好の餌食みたいなもんだ」

ミリス『なるほど…次はそいつらを狙うと?』

男「俺はそう考えてる。闇雲に探すより、効率はいいだろ」

ミリス『確かにそうだな…分かった』

男「頼むぞ」ピッ

女「あとは、ミリスちゃん次第だね…」

男「俺達も、できる限り情報を集めよう。女はニュースを色々チェックしてみてくれ」

女「分かった!」

男「俺はネットで色々調べてみる」

女「新しい情報があればいいんだけど…」ピッ

TV『先程のボートが転覆した事故で、乗組員が明らかになりました』

男「聞く価値はあるか」

TV『ボートの所持者はロックス・J・マリンフォードさんで、息子のメイディくんが乗っていたことが判明しました』

女「外人だったんだね」

男「犠牲になったのはロックスって奴か」

TV『両者は依然発見されておらず、警察は溺死したものとしています』

男「まあ、人魚に喰われたなんて夢にも思ってないだろうな」

女「というか、それが判明したらどうなるんだろうね」

男「まあ、人魚のイメージはかなり悪くなるよな」

女「次に人魚見つかったら真っ先に射殺されたりするのかな…」

男「ありえるかもな…有無を言わさず殺すかも…あっ!」

女「?」

男「そうなったら、エビがヤバいぞ…」

女「え、エビ?」

男「最初の方に見つかったエビの人魚だよ。砂浜で夫婦揃って踊ってるらしい」

女「まずいよ!」

男「人魚の仕業って判明する前に何とかしねえと!」

女「って言っても、どうするの?ミリスちゃんもボートの所に向かってるし」

男「ミリスには悪いけど、先にエビの所に向かってもらう!」

女「…電話、できないのかな?」

男「…あ、その手があったな」

女「とりあえずミリスちゃんに連絡してもらおうよ!」

男「ああ、急がないと…」

今回はここまでです

22:45分頃更新します

遅れましたが投下していきます

男「…早く出ろよ」

女「焦ってもいいことないよ」

男「まあそうなんだけど…」

ミリス『なんだ!』

男「ミリスか、エビの所に行って避難してくれって伝えてくれ!」

ミリス『エビ…エビウィミさんか?』

男「そう、その…エビ…ウィムィさん」

ミリス『そんな時間は無い、一刻も早くそのボートの所へ向かうべきだろうが!』

男「もしボートの件が人魚の仕業って分かったら、エビだって危ないんだぞ!」

ミリス『しかし、時間が無い!』

男「かといって見殺しにするわけにもいかないだろうが!」

女「ね」

男「ん?」

女「ミリスちゃんが電話すればいいんじゃないの?」

男「…その手があったか」

女「いや、いくらなんでも焦りすぎでしょ…」

男「ミリス、エビに電話しろ!」

ミリス『…エビウィミさん、携帯持ってないぞ』

男「えっ」

ミリス『家に一台あれば十分だとか言って、頑なに買おうとしない』

男「…」

ミリス『…』

男「じゃあ、エビの所に向かってくれ」

ミリス『だから、時間が無いと言ってるだろう!』

男「でも、ほっとけないだろ!」

ミリス『ええい……あ』

男「どうした!?」

ミリス『すまん、お前がエビウィミさんの所まで行ってくれ』

男「は?」

ミリス『現状これが最善策だ。すまんが頼む』

男「いや、俺は情報収集しなきゃならないし」

ミリス『女に任せればいい』

男「…」チラッ

女「?」

男(こいつで大丈夫なのか)

女「今なんか最低なこと考えてたでしょ?」

男「分かった、そうしよう」

ミリス『そうか、恩に着る』

男「けど、いきなり俺が行った所でエビが言うこと聞くとも思えないが」

ミリス『私の携帯を見せれば、私の知り合いだと分かるだろう』

男「なんだこの携帯、名刺代わりにでもなってんのか」

ミリス『エビウィミさん、私が遊びに行くたびに嬉々として携帯をいじってたからな』

男「可愛い」

女「…男」

男「おい、そういう意味じゃないからな」

女「…ふーん」

男(めんどくせえ)

ミリス『じゃあ、そういうことだ』

男「ああ、そっちも何かあったら連絡頼む」ピッ

女「で、誰が可愛いの?私のことだよね?ね?」

男「いや、それしかないだろ」

女「目が泳いでる」

男「泳いでねえよ。よく見ろ」

女「…」ジー

男「やっぱ恥ずかしいから見んな」

女「…もし浮気したら…」

男「分かってる、分かってるって」

女「…で、ミリスちゃんに何言われたの?愛の告白…?」

男(何でこいつこういう時こんな迫力増すんだろう)

女「ねえ、答えて」

男「ミリスの代わりに、俺がエビの所に行くことになった」

女「私も行く」

男「お前はここで情報収集しててくれ」

女「そんなのどこでもできるじゃん」

男「…まあ、そうだな」

女「じゃあ異論無いよね?」

男「うん、まあ無いな」

女「じゃあ行こ。変な動き見せたらどうなるか分からないよ?」

男(こいつの本性久々に見た気がするな…)

女「ほら、早く準備して」

男「ちょっと待てよ。まだ詳しい位置も分かってないんだぞ」

女「…じゃあ、待つ」

男(訳の分からん所で素直な所は可愛いんだけど)

女「…なんか、嬉しいこと考えてた?」

男「待て、それはどういう意味だ」

女「私にとって嬉しいこと考えてたのかなーって」

男「お前エスパーかよ。心読むなよ怖えよ」

女「男の考えてることなんて大体分かるよ」

男「何で分かるんだよ…」

女「まあ、妻だしね!」

男「訳分かんねえ」

女「で、場所分かったの?」

男「ん、大体分かった」

ーー30分前、海底ーー

イルネ「ふう、とりあえず落ち着いたね」

イルモネ「何が起こるか分からないですから、油断したらダメですよ」

イルネ「分かってるよ」

イルリオネス「このまま何も起こらなければいいのだがな」

イルネ「だねー」

イルモネ「…お姉様、電話鳴ってませんか?」

イルネ「え、あ。ほんとだ」ピッ

ドジョニス『イルネか』

イルネ「どうしたの?こっちは大体落ち着いたよ」

ドジョニス『男が監視している人魚を◯◯沖の底に集めて欲しいとのことだ』

イルネ「?何で?」

ドジョニス『◯◯沖でボートが転覆して、乗組員が行方不明になってるらしい』

イルネ「…乗組員が、沈んでくるかもってこと?」

ドジョニス『ただ溺死しただけならばな』

イルネ「どういうこと?」

ドジョニス『もし誰も沈んで来なかったら、人魚に喰われてるかもしれないと男は考えている』

イルネ「なるほど…分かったよ!」

ドジョニス『ああ、結果が出たら連絡頼む』

イルネ「あい、了解!」ピッ

イルモネ「どうしたんですか?」

イルネ「◯◯沖でボートが転覆して、乗組員が行方不明になってるみたい」

イルリオネス「まさか、喰われたのではあるまいな!」

イルネ「まだ分かんないんだって。で、それを確かめる為に◯◯沖の底に監視兵を集めて欲しいんだって!」

イルモネ「なぜですか?」

イルネ「誰か沈んで来たら溺死だけど、誰も沈んで来なかったら人魚に喰われてるかもしれないかららしいよ」

イルリオネス「なるほど…」

イルモネ「どうするんですか?」

イルリオネス「おい!」

兵「はっ、お呼びでしょうか!」

イルリオネス「監視している兵を◯◯沖の底に集めろ!人間が沈んで来たら報告しろ!」

兵「はっ!」

イルネ「複雑だけど、溺死であって欲しいね…」

イルモネ「一番いい結果は、どこかに流れ着くことなんですが」

イルネ「んー、とりあえず結果待ちだね…」

ーーーーーーーーーーーー

ーー約20分後ーー

兵「王様、監視兵が沈んで来る人間を発見しました!」

イルリオネス「詳細を伝達しろ」

兵「沈んで来たのは1名、年は10代前半、女性だと思われます」

イルリオネス「ふむ…分かった、監視兵を元の配置に戻すよう伝えろ」

兵「はっ!」

イルネ「よし、ドジョニスさんに電話するよ!」ピッ

イルモネ「何にせよ、喰われてなくて良かったです」

イルネ「ほんとにね。…あ、もしもし」

ドジョニス『結果が出たか?』

イルネ「10代前半の子供だけ沈んで来たよ!」

ドジョニス『…』

イルネ「あと、多分ほぼ無傷だから人魚は関与してないと思う!」

ドジョニス『分かった。伝えておく』ピッ

イルモネ「お姉様、変なこと付け加えていいんですか?」

イルネ「その方が安心するじゃん」

イルモネ「そうなのでしょうか…」

イルリオネス「いや、結局危機だということに気づくだろう」

イルネ「え、何で?」

イルリオネス「沈んで来たのが子供だけというのは、変だと思わないか?」

イルモネ「あ…」

今回はここまでです

0時頃更新します

遅れましたが投下していきます

イルネ「親が喰われたかもしれないってこと?」

イルリオネス「間違いないだろうな」

イルモネ「でも、何で子供は見逃したんでしょうか?」

イルリオネス「分からん…」

イルネ「何か理由があったはずだよね、親だけ喰って子供は喰わないなんておかしいし」

イルモネ「謎ですね」

イルリオネス「しかし、早めに解明させておくべきだ。何が起こるか分からんからな」

イルネ「んー…子供は美味しくないとか」

イルモネ「まああり得そうですけど…正直大人も子供も変わらないと思います」

イルネ「大人の方が筋肉あって美味しいかもしんないじゃん」

イルモネ「もしかしたら情けで子供は見逃したのかもしれませんよ」

イルリオネス「それならば子供は生きているはずだ。そもそも、人間を喰う時点で情けなどないだろう」

イルネ「うーん…」

???「動くな!」

イルリオネス「!」

???「手を上げろ。大人しくするんだな」

イルリオネス「側近はどうした!」

???「ここにいるぜ、もう動かないけどな」

イルネ「誰なの!?」

???「反逆派とでも言っておくかね。あんたら前から目障りだったんだよな」

イルリオネス「チッ…」

???「おっと、変な動きを見せたら一瞬で一突きだぜ」

イルモネ「…まずは、名乗るのが礼儀なんじゃないですか?」

???「はっはっは、こいつは強気なお嬢さんだ」

イルモネ「…」

マグラス「じゃあ名乗っとくか。マグラスだ、よろしくな」

イルリオネス「私達の暗殺が目的か?」

マグラス「いや、あんたらを人質にとるのが目的だな。海底の勢力図を塗り替える為にな」

イルネ(この人が、お父さんの言ってた過激派の人なの?)

マグラス「俺達だって好き勝手暴れてえんだよ。邪魔ばっかしやがって」

イルモネ「地上にいるマグロの人魚はあなたのご友人ですか?」

マグラス「ああ?知らねえよそんな奴」

イルネ「…で、どうする気なの?」

マグラス「とりあえず、全部隊に連絡をとれるようにしろ」

イルリオネス「…」

マグラス「変な気は起こすなよ?仲間が周りで見張ってる。一言で何十体も集まってくるぜ」

イルリオネス「…分かった」

イルモネ「お父様!」

イルリオネス(…私は死んでもいいが、娘達だけは死なす訳にはいかないな)

マグラス「おい、まだか」

イルリオネス「…今、終わった」

マグラス「あーあー、テステス」

兵『…王、ですか?』

マグラス「王は今喉元に槍を突きつけられて大人しくしてるぜ?」

兵『!貴様、何者だ!』

マグラス「お前らが反抗するなら、この親父は死ぬことになるからな?」

兵『くそっ…王様、ご返事を!』

マグラス「おっと、喋るなよ。死にたくなけりゃあな」

イルリオネス「…」

兵『王様!』

マグラス「お前らは今から俺達に黙って殺されればいいんだよ。俺達の仲間が1人でも死んだらその瞬間親父は死ぬからな?』

兵『くそっ!』

兵2『おい!どうなってる!』

兵3『王様!声をお聞かせ下さい!』

マグラス「じゃ、そんだけだ。反抗すんなよ」

イルネ「…」

マグラス「おい、切れ」

イルリオネス「…」ブチッ

イルネ「お父さん、こんな奴やっちゃおうよ!」

マグラス「さっきの話聞いてなかったのか?周りには仲間がいるんだよ」

イルネ「うう…!」

ピリリリリリリリリ

マグラス「あん?誰の携帯だ?」

イルネ「…」

マグラス「お前か、よこせ」

イルネ「…嫌だ」

マグラス「とっととよこせってんだよ!」

イルリオネス「やめろ!」

マグラス「はっ、そんな娘が大事か」

イルリオネス「…」

マグラス「ほら、さっさと渡せ」

イルリオネス「…イルネ、悔しいだろうが言うとおりにしてくれ」

イルネ「お父さん…」

イルモネ「お姉様、ここは耐えましょう」

イルネ「…」スッ

マグラス「お前らも通信機器を持ってたら出せよ」

イルリオネス(…どうする、助かる道はあるのか?)

イルリオネス(兵は完全に無力化された今、監視は無いも同然だ)

イルリオネス(こうしてる間にも兵達は殺されているのだろうか…?)

イルリオネス(…何か、策は無いのか…)

イルネ「…イルモネ、大丈夫?」

イルモネ「お姉様が付いていますから、怖くないですよ」

イルネ「うん…頑張ろうね」

マグラス「…」

イルリオネス(…喉元に槍を突きつけられたこの状態では、動けないか…)

マグラス(…何とかハッタリは効いたか)

イルリオネス(…せめて、娘達は救ってやりたいが…)

マグラス(俺達の少ねえ戦力じゃ、この周辺に仲間を配置するより少しでも無力化した敵兵を削った方が効率がいいからな)

イルネ(…イルモネ、ちょっと震えてる。やっぱり怖いんだ…)

イルリオネス(こいつから離れれば確実に逃げおおせるが…)

マグラス(…こいつらが気づくのも時間の問題か?)

イルモネ(お姉様…お姉様…)

イルネ「…大丈夫、大丈夫だよ」

イルリオネス(私が死に、娘達が生き残れば兵達は動ける)

マグラス(現状で、人質を預かる大役に1人しかいないってことに不自然を感じてない限り俺達は自由に動ける)

イルネ「イルモネだけは、絶対に守るからね」

イルモネ「…お姉様がいなくなるなんて、絶対に嫌ですからね」

イルリオネス(…私達の方が戦力は圧倒的に多い。だが、時間がかかりすぎると敵の戦力を下回ることになる)

マグラス(俺は別に死んでもいい。こいつらが気づくまでに、敵の戦力をどれだけ削れるか…)

イルネ「…うん、分かってるよ」

イルモネ「お姉様、…怖いです」

イルリオネス(急ぐべきだな…)

マグラス(大体、俺達の戦力が低すぎるんだよな。こいつらの分隊4つ分だしな)

イルリオネス(…私が死に、その間に娘達を逃がす…。王家の泳力なら、追いつかれることはあり得ない)

マグラス(せめてあと1人、こっちに回せよな…リーダーは何考えてんだか)

イルリオネス(……死ぬのは、やはり怖いものだな)

マグラス(…つか、もし周りに仲間いないことバレたら俺死ぬ…?)

イルリオネス(…一歩、踏み出せばいいだけなのに…踏み出せないとは)

マグラス(こいつらのうち誰かを人質にとれば、こいつらは手を出せないか?)

イルリオネス(…妻は、死を恐れていなかったのか…?)

マグラス(…今のままなら、誰も動けないはずだ)

イルリオネス(…イルシィ、私ももうすぐ行くよ)

マグラス(…いや、あの妹を人質にすべきだな…。姉は絶対に手を出せないし、親父が動こうとしても姉が止めるはずだ)

マグラス(…だが)

マグラス(人質を変えることで、仲間がいないことを悟られる可能性もあるか…?)

イルリオネス(…さあ)

マグラス(…悟られても、手を出せない状況になれば、それでよしか…)

イルリオネス(私を…殺せ!)

マグラス(善は急げ、だ!)

イルリオネス「おい」

マグラス「っ、黙れ」

イルリオネス「殺せ、私を…殺せ」

今回はここまでです

起きたら更新します
恐らく夜中になると思います

投下していきます

ーー一方その頃ーー

男「意外に遠いな…」

女「でも、車で20分くらいだよ」

男「20分で結構長いぞ」

女「ボートの件が人魚の仕業だってバレる前にエビの人魚さんに避難してもらえばいいんでしょ?」

男「そうだ」

女「人魚の仕業だって発覚してからエビの人魚さんがいる所まで広まるのに時間かかるでしょ」

男「まあ…間に合うのか?」

女「運が悪ければアウトだね」

男「じゃあ急ぐか。被害者は減らしたいからな」

女「じゃ、早く乗ろうよ!」

男「ちょっと待ってくれ、キーを探してるんだ」

女「何でそんな大事な物失くすの!」

男「いや、どこやったっけな、ほんとに」

女「早くー!」

ーー車内ーー

男「GOGOGO!」ブロロロロロ

女「結局車に刺したまんまって…」

男「危ない危ない」

女「ほんとに危ないよ!見られてたらおしまいだよ?」

男「ラッキーボーイだからな、安心しろ」

女「ごめん、意味分かんない」

男「運がいいってことだよ、悟れ」

女「あー、こういう時の男ほんとめんどくさい…」

男「あれ、誰だタバコ置いて行ったの」

女「男吸ってないよね?」

男「吸ってねえよ、誰だろ」

女「まあ誰でもいいじゃん、コンビニにでも捨てればいいよ」

男「そうするか」

女「でさ、結局喰ったの何の人魚なんだろうね」

男「またその話かよ、前もしただろ」

女「でも気になるじゃん」

男「どんだけ考えても答え出ないし、それっぽい答え出ても未確定だろ」

女「そうだけどさ…」

男「…」

女「…」

男「そんなしょんぼりすんなよ。昔話でもしてやろうか」

女「いや、それはいらない」

男「なんだ、和ませてやろうと思ったのに」

女「和むと思ったの?」

男「思わん」

女「あーもう、訳分かんないこと言わないで」

男「じゃあ、考えてみるか?」

女「ほら、最初からそうすれば良かったんだよ」

男「そもそも、どんな人魚が喰ってても違和感無いだろ」

女「今喰う可能性があるのはシャチかマグロの人魚だけじゃん」

男「シャチは無い。下人だし、漁師に見つかった時も漁師を喰ってないしな」

女「わかんないよ?」

男「じゃあ、シャチが漁師を見逃したのにボートに乗ってた親を喰った可能性はあるのか?」

女「…うーん…」

男「ほれみろ」

女「漁師が好みじゃなかったとか」

男「意味分からんわ」

女「魚の匂いして、喰う気にならなかったかもしれないよ」

男「ミリス達の話だと、下人は魚は平気で食うけど人間は喰わないらしい」

女「うー…」

男「あるとしたら、女性じゃなかったからじゃねえか」

女「ゲスじゃん」

男「でも、理由としては十分あり得るだろ」

女「そうかもしんないけどさ…」

男「沈んで行ったのが女の子だったら分からんけどな」

女「そういやそこまで細かく聞いてなかったね」

男「まあ、シャチの可能性は結局低いだろうな。むしろ可能性が高いのはマグロだ」

女「何で?」

男「前も言ったけど、船底に大きな穴が空いてたんだろ?」

女「確かそうだったよ」

男「マグロの人魚が高速で泳いでてぶつかったとしたら、船底に穴空けるくらい余裕だろ」

女「あ、確かに」

男「あとは転覆したボートから沈んで来る人間を喰うだけだろ。下人だしな」

女「じゃあ何で子供は喰わないの?」

男「そこなんだよな」

女「私はお腹いっぱいになったとしか思えないんだよね」

男「確かに、人間1人丸々喰えば腹は膨れそうだな」

女「満腹になったら喰う気にならないでしょ」

男「…いや、保存食としてとっておく事もできるだろ」

女「あ…、あり得るね」

男「結局好みの問題なのか」

女「最終的にその結論になっちゃうよね」

ーーボート事件現場ーー

ミリス(警察まで来たな…海上保安庁も潜って来たし…)

ミリス(ダイバーの動きを見張るか…)

ミリス(犯人の人魚からすれば格好の餌食だ)

ミリス(しかしあえて子供を喰わなかった理由はなんだ?)

ミリス(単に好みの問題なのか…)

ミリス(…)

ミリス(いや、そんな簡単な問題ではなさそうだ)

ミリス(何か…理由があるはずだ)

ミリス(犯人の気持ちになって考えるんだ)

ミリス(もし私が犯人なら…)

ミリス(…まず、船底に穴を空ける)

ミリス(沈んで来た人間を喰う…ここまではいい)

ミリス(まずは親を喰う…)

ミリス(その後に、子供を喰うはずだ)

ミリス(…なぜ、喰わない?)

ミリス(…単純に、腹が一杯だったのか?)

ミリス(いや、後で喰う為にもそのまま沈ませることはしないはずだ)

ミリス(…喰っている最中に、子供が予想以上に深く沈んで行って…)

ミリス(海底に監視兵がいることを知っている犯人は、見つかることを恐れて子供を見逃した…?)

ミリス(…)

ミリス(いや、海底まではかなり距離がある。親を喰った後でも、子供を捕まえれる時間はあったはずだ)

ミリス(…親が2人揃っていれば喰うのには時間がかかるか?)

ミリス(1人目を喰ったあと、沈んで行った2人目を喰った…)

ミリス(2人目は、たまたま親じゃなかったというだけか)

ミリス(…大人の方が重いから、親の方が沈むのは早い可能性もあるな)

ミリス(だとすれば、意図的に子供を無視したことになる…)

ミリス(そうなれば、単に好みの問題だが…)

ミリス(…大人と子供で、味の違いなどあるのか?)

ミリス(大人の方が筋肉質で、歯ごたえでもあるのか?)

ミリス(若しくは、大人方が大きいから食いごたえがある…?)

ミリス(…分からないな)

ミリス(……)

ミリス(…いや)

ミリス(もし、監視兵に見つかるのを恐れて子供を見逃したなら…)

ミリス(犯人は、監視兵の存在を知っていたことになる…)

ミリス(監視がザルだったとは考えたくないな)

ミリス(あるとするなら)

ミリス(海底から、犯人に連絡した奴がいるか…)

ミリス(海底に戻ろうとして、引き返したからになるな)

ミリス(どちらもあり得る…)

ミリス(が、確証は無い)

ミリス(そもそも、最初の監視兵を恐れて子供を見逃したという考え自体間違っている可能性もある…)

ミリス(結局、袋小路の問題か?)

ミリス(…待てよ)

ミリス(犯人が、今ここに来ない可能性もあるか…?)

ミリス(もし今、海底で暴動が起きていれば…)

ミリス(監視兵は、鎮圧に派遣され機能しなくなる…!)

ミリス(海底には、反発派と言われる集団がいると聞いたことがある)

ミリス(もし犯人がその1人なら、その暴動に参加しているかもしれない)

今回はここまでです

エイプリルフールのSSが完結したので、23時頃投下します

遅れました、投下していきます

ミリス(今回の監視で王家付近の兵も駆り出されたはずだ)

ミリス(反発派がこのチャンスを逃すはずがない)

ミリス(…イルネ達も、危険な状態にあるか…?)

ミリス(あり得る…というより、暴動が起きていれば確実に危険だ)

ミリス(…どうする?)

ミリス(犯人が海底へ行ったとなれば、ここにいても何の意味も無い)

ミリス(…が、もし犯人がここに現れれば最悪の結果になるな)

ミリス(…)

ミリス(…男に、相談してみるか)

ミリス(…)ピッ

男『ん、もしもし?』

ミリス「ちょっと相談があるんだが」

男『どうした、何かあったか?』

ミリス「少し考えてみたんだが…犯人が海底に逃げた可能性はあると思うか?」

男『んー…』

ミリス「海底で暴動が起きていれば、可能性はあると思うんだが」

男『暴動って、何でだ?』

ミリス「海底には反発派と言われる集団がいる。監視に兵を派遣することで王家の警備が手薄になってたとしたら、反発派からすれば絶好のチャンスだと思ってな」

男『なるほど…あり得るな。イルネ達と連絡が取れないのもそのせいかもしれない』

ミリス「ほぼ確定と言ってもいいんじゃないか」

男『ああ。けど、犯人が海底に行ったかどうかは分からないだろ』

ミリス「そうだ。だからお前に相談してるんだ」

男『そもそも、海底で暴動が起きてるからって犯人が海底に戻る理由があるのか?』

ミリス「犯人もその手先なら、戻らざるを得ないだろう」

男『あ、そうだな…』

ミリス「…どうすればいい」

男『…イルネ達も心配だしな』

ミリス「じゃあ、海底に向かえばいいのか」

男『けど、ミリスが海底に行った所で何も変わらないぞ』

ミリス「っ、何だと!」

男『事実だから仕方ない。行ってどうする?』

ミリス「…」

男『犯人を捕まえて、鎮圧して、イルネ達も助け出せるのか?』

ミリス「…」

男『すまん。言い過ぎたな。けど、間違ったことは言ってないだろ』

ミリス「ああ…お前の言う通りだ」

男『海底のことは海底の奴らに任せよう』

ミリス「ああ…」

男『…仮に行っても、イルネ達に怒られるだけだぞ』

ミリス「…なぜだ」

男『心配事が増えるからな』

ミリス「…そんな単純な」

男『…まあ、今は辛抱してくれ。俺達がどうにもできない以上、目の前の解決出来る問題を処理してくしかない』

ミリス「…ああ、そうだな」

男『俺ももう少しでエビの所に着く。そっちも頼むぞ』

ミリス「分かった…」

男『…色々大変な状況になってきてる。お前も気をつけろよ』

ミリス「ああ」

男『…じゃあな』ピッ

ーー10分前、海底ーー

マグラス「来るな、…来んなっ!」

イルリオネス「どうした。殺さないのか」

マグラス「ええい、くそ!」

イルリオネス「…今だ、逃げろ!」

イルネ「えっ!?」

マグラス「ちっ、そういうことかじじい!」

イルリオネス「急げ!」

イルネ「っ、イルモネ!」

イルモネ「あ、はい!」

マグラス「待て!」

イルリオネス「させるか!」ガバッ

マグラス「くそ、どけじじい!」

イルリオネス「諦めるんだな」

マグラス「…いいのか、仲間を呼ぶぞ?」

イルリオネス「呼ぶなら呼べばいい」

マグラス「…死ぬのが怖くねえのか」

イルリオネス「娘達が生きるならばそれでいい」

マグラス「…まあ、もう無駄か」

イルリオネス「…?」

マグラス「仲間なんて最初からいねえよ。街で暴れてるのは本当だけどな」

イルリオネス「どういう意味だ?」

マグラス「この周りには誰もいねえよ。ここを占拠しにきたのは俺だけだ」

イルリオネス「作戦の根幹にお前1人だけとはな」

マグラス「それぐらい人手が足りねえんだよ。せめてあと1人欲しかったけどな」

イルリオネス「…」

マグラス「降参だよ。早くしないとどんどん兵が死ぬぞ」

イルリオネス「…」

マグラス「何だよ、まだ疑ってんのか?なんならあんたが武器を預かってろよ」

イルリオネス「…他に、隠し持っているのか?」

マグラス「いや、この槍だけだ。武器も枯渇してるんでな」

イルリオネス「…つくづく哀れだな」

マグラス「ほんとにな。…アホらしくなってきた」

イルリオネス「…全部隊、聞こえるか」

兵『王!?』

イルリオネス「今解放された。今すぐ反撃しろ」

兵『はっ!』

マグラス「終わったな」

イルリオネス「…」

マグラス「…あんた、娘さんを追わなくて良いのか」

イルリオネス「…ここに、貴様1人を残してはおけん」

マグラス「牢にでも入れとけばいいだろ」

イルリオネス「…」

マグラス「俺はもう何もする気ねえよ。やる気もねえし」

イルリオネス「信じるぞ、その言葉」

マグラス「ああ、誓ってやるよ」

イルリオネス「…」ピッ

マグラス「うおっ」ピリリリリリリ

イルリオネス「そうか、貴様が持っているんだったな…」

マグラス「返しとくぜ、俺のじゃないからな」

イルリオネス「…妙な真似はするなよ」

マグラス「しねえって。自分から牢に入ってもいいくらいだ」

イルリオネス「…」ビュン

マグラス「おー、やっぱ王家の奴は速えなあ」

マグラス「…」

マグラス「どーっすかなぁ…」

マグラス「このまま生き残っても、反逆罪。逃げても反発派の奴らに殺される」

マグラス「あー、終わったな」

マグラス「はぁ…」

ーー地上ーー

男「着いたな」

女「案外早く着いたね」

男「道空いてたしな…ラッキーだった」

女「…で、エビの人魚はどこなの?」

男「んー、あ、あれっぽいな」

女「…岩場で首垂れてるよ」

男「燃え尽きたんだろうな」

女「茹でられてないのに真っ白だね」

男「…周りに誰もいないな。何でだ?」

女「皆飽きたんじゃない?」

男「そんな安直な…あり得そうだけど」

女「チャンスだよ、さっさと済ませようよ」

男「ん、ああ」

男「おーい」

エビウィミ「あら?」

エビンウェ「ん?」

女「あの…」

エビウィミ「あらあらあら、まだダンスが見たいのかしら」

エビンウェ「すまんね、今日はもう疲れたんだ」

男「いや、そうなじゃくて」

エビウィミ「今日は一杯見に来てくれたわねえ」

エビンウェ「ああ、海底とは大違いだ」

女「あの、大変なことが起きてですね」

エビウィミ「そうそう!そうなのよ!」

男「何だ、知ってたのか?」

エビンウェ「こいつと来たら、フィナーレで腰痛めやがってよ」

女「え」

エビウィミ「仕方ないじゃない!」

エビンウェ「お前は張り切り過ぎなんだよ!」

女「…違うみたいだね」

男「…ええいお前ら、話を聞けコラ!」

今回はここまでです

23時頃投下します

すいません…投下すると言っておきながら忙しくて全然できませんでした

今日の23時必ず更新します!

投下していきます

エビウィミ「人間ってやっぱ凶暴なのね」

エビンウェ「母さん、分かってたことだろ」

女「何か悪いイメージだけ植え付いたよ」

男「何とめんどくさいことか」

エビウィミ「あなたも昔はこれくらい凶暴だったわねぇ」

エビンウェ「母さん、その話はやめてくれよ」

女「いい夫婦だね…」

男「とりあえずお前ら話を聞け」

エビウィミ「あら、ただならない雰囲気ね」

男「感じ取るの遅すぎだろ」

エビンウェ「どうしたんだ」

男「◯◯沖でボートが転覆して、人が行方不明になってる」

エビウィミ「知り合いかしら?」

男「いや、外人だ」

エビンウェ「じゃあ君にはなんの関係も無いじゃないか」

男「人魚に喰われた可能性があるんだ」

エビウィミ「何ですって!」

エビンウェ「我々では無いぞ!」

男「分かっとるわ」

女「私達ミリスちゃんのお手伝いで、人を喰おうとする人魚を探しているんです」

エビウィミ「私達は断じて喰ってないからね!」

男「…で、もし本当に行方不明になった人間が人魚に喰われてたらお前らにも危害が及ぶからな」

エビンウェ「何?」

女「犯人の人魚が捕まったら、マスコミは人魚を徹底的に叩くでしょう。警察も危険視して捕らえに来ます」

エビウィミ「怖いわねぇ…」

男「そうなる前に逃げてもらおうと思ってな」

エビンウェ「しかし、我々だって馬鹿じゃない。危険だと思ったら逃げるさ」

男「ちょっと耳貸せ、どこにあるか知らんけど」

エビンウェ「何だ」ズイッ

男「あんたの奥さんが大勢の人間が押しかけて来たら逃げると思うか?」ボソボソ

エビンウェ「逃げないな、間違いない」

男「まあそういうことだ」

エビウィミ「ちょっと、何話してたの」

エビンウェ「はっはっは、何でもないよ母さん」

女「信じてもらえました?」

エビウィミ「ええ。ありがとうね」

エビンウェ「恩に着るよ」

男「どういたしまして」

女「じゃあ、さようなら」

エビウィミ「ええ、ミリスちゃんによろしく言っておいてね」

男「分かったよ」

エビンウェ「すまんね、我々なんかの為に」

男「まあ、約束だし」

女「ふふふ」

ーーーーーーーーーーーーー

男「これでエビの問題は解決だな」

女「そうだ、イルネちゃん達のことも確認しないと」

男「そうだった…完全に忘れてた」

女「最低」

男「覚えてても同じこと言うんだろ」

女「さあ?」

男「まあどっちでもいいけど…」ピッ

ドジョニス『どうした?』

男「イルネ達、電話出たか?」

ドジョニス『いや、いくらかけても出なかったからもうかけてない』

男「そうか…悪いけど、もう少し電話してみてくれるか?」

ドジョニス『分かった』

男「すまん」ピッ

女「まだ出ないんだ?」

男「ああ、まだ暴動は続いてるみたいだな」

女「…死んでないよね」

男「王家の人魚は普通の人魚の20倍は速いらしい」

女「逃げ切れる、ってこと?」

男「ああ。途中で携帯を落としたって考えれば電話に出れないのも納得いくし」

女「確かにそうだね」

男「多分大丈夫だろ。あいつら見た目に反して意外と頭いいからな」

女「やっぱ人魚って賢いんだね」

男「賢さで言えば人間以上なんじゃないか?携帯とか作っちゃうくらいだしな」

女「凄いよね…」

男「本ばっか読んでるらしいしな」

ピリリリリリリリリ

女「電話鳴ってるよ」

男「ドジョニスだ」ピッ

ドジョニス『もしもし』

男「おう、どうだった?」

ドジョニス『さっき父親と共に人質にされていたらしいが、何とか全員逃げ出したそうだ』

男「そうか…良かった」

ドジョニス『今は父親が前線で兵を指揮して、暴動の鎮圧にあたっているらしい。監視を再開するまでには時間がかかる』

男「ああ」

ドジョニス『以上だ』

男「分かった、ありがとな」ピッ

女「大丈夫だったの…?」

男「何とか逃げ出したらしい。暴動の鎮圧で監視の再開には時間がかかるらしいけど」

女「そっか、良かった…」

男「さて、俺達は情報収集に励むか」

女「そだね」

男「俺は運転してるから、お前が色々調べてくれよ」

女「じゃあまずはニュースから」

男「これ以上何も無いのが望ましいんだけどな」

女「!ちょっと、静かにして!」

男「なんだなんだ」

女「今ボリューム上げるね!」

TV『先程、◯◯島で磔にされた人間が発見されました』

男「は、磔…?」

TV『こちらが実際の映像です』

女「…ひどい…」

TV『頭部は鋭利な刃物で切られているようで、また、謎の文字と思われるものが描かれた紙が張り付いています』

女「何だろう、これ」

男「写真撮っておくか、何かあるかもしれない」

TV『また砂浜に海に向かって血痕が残っていたことから、海から運ばれて来たのではないかと考えられます』

男「人魚だな」

TV『警察は捜査と共に、◯◯島付近に近づかないよう警告を出しています』

女「と、とりあえずミリスちゃんに伝えよう!」

男「ああ…」

女「…なんなの、あれ…」

男「さあな…ますます謎だ」ピッ

ミリス『なんだ』

男「◯◯島で磔にされた死体が発見された」

ミリス『磔…?』

男「頭部が斬り落とされてて、海から運んで砂浜に置いていったらしい」

ミリス『人魚か…』

男「ああ。あと、変な文字が書かれた紙が張り付いていた」

ミリス『文字?』

男「よく分からんけど、一応メールで送っておく」

ミリス『分かった。私も◯◯島に向かう』

男「気をつけろよ。島周辺の海もカバーされてるからな」

ミリス『ああ』

男「じゃあ、頼むぞ」ピッ

女「何もできないのが心苦しいね…」

男「何もできない訳じゃないだろ。現に今こうやって新しい情報を伝えたから」

女「そうなんだけど…」

男「何とかしてやりたい気持ちは分かるけど、ハッキリ言って人魚は危険だからな。仮に陸に上がった人魚がいても手も足も出ない」

女「…うぅ」

男「そんな落ち込むなって。役に立ちたいって思うなら、自分の仕事に精一杯になればいいんだし」

女「…うん」

男「ほら、まだ何か情報があるかもしれないだろ。見てみろよ」

女「…分かった…」

男(…意外に正義感強いんだよな)

ピリリリリリリリリ

男「ん?」

女「誰から?」

男「…ミリス?」ピッ

ミリス『あの文字のことだが…』

男「何か分かったのか?」

ミリス『海底の昔の文字だ。私のペンダントに刻んである文字と同じ文字があった』

男「…読めるのか?」

ミリス『いや、読めない。イルネ達に頼んで、調べてもらう』

男「なるほど、それがいいな」

ミリス『数少ない手がかりだからな…』

男「こっちも色々調べてみる」

ミリス『ああ、頼むぞ』ピッ

男「海底の昔の文字か」

女「古代文字ってやつ?」

男「らしいな。なんて書いてあるか知らんが」

女「何だろうね…というか、何で古代文字を知ってるんだろ」

男「あ、確かに…。古代文字は王家のイルネ達すら知らなかったらしいし…」

今回はここまでです

すいません、用事が入ったので明日更新します…

投下していきます

女「犯人が王家だってことは無いよね?」

男「あり得るな…普通の人魚なら古代文字の存在すら知らないってことにもなりそうだし」

女「うーん…」

男「…というかさ」

女「?」

男「ミリスのペンダントにも古代文字みたいなの書いてあったんだろ?」

女「そんなこと言ってたね」

男「あいつも王家の可能性があるんじゃないのか」

女「あ…」

男「…でも、イルカじゃないしな…」

女「…謎だね」

男「その辺は気にしても仕方ないか」

女「とりあえずできることやっていこうよ」

男「そうだな」

ーー海底ーー

イルネ「んー…」

イルモネ「どれだけ見つめても読めるはずが無いですよ」

イルネ「お父さん遅いしねー…」

イルモネ「仕方ないですよ、かなり混乱してる状態ですから」

イルネ「長くなりそうだね」

イルモネ「でも、お父様でも読めるんでしょうか?」

イルネ「…多分、読めるんじゃないかな」

イルモネ「不安ですね」

イルネ「まあ、あの文字が何だろうと犯人を捕まえればいいんだから」

イルモネ「…何もできないですね」

イルネ「…ひたすらお父さんを待つしかないね」

イルモネ「…辛抱ですよ、辛抱」

イルネ「何かやることないかな」

イルモネ「…」

イルネ「何かやることないかな!」

イルモネ「叫んでも何も無いですよ」

イルネ「…あ」

イルモネ「?」

イルネ「ちょっと気になってたんだけどさ」

イルモネ「何ですか?」

イルネ「お父さん説得してる時にさ、好きな人がいるからですって言ってたよね」

イルモネ「…」

イルネ「あれ、おっさんのことだよね?」

イルモネ「…」

イルネ「…正直、今のイルモネよくわかんないよ」

イルモネ「…そうでしょうか」

イルネ「だっておっさんの家にいた時、マイプリンセスが好きとか言ってたじゃん」

イルモネ「…」

イルネ「…そんな心変わりするはずないよね?」

イルモネ「…」

イルネ「…イルモネが、誰を好きになろうと何も言わないよ」

イルモネ「…」

イルネ「でも、よくわかんないかな」

イルモネ「…お兄さんのことは、人として好きなだけですよ」

イルネ「…」

イルモネ「…嘘じゃないですよ、ほんとです」

イルネ「イルモネがそういうなら信じるけどさ…」

イルモネ「…」

イルネ「…でも」

イルモネ「…何ですか」

イルネ「…」

イルモネ「…」

イルネ「…やっぱ、なんでもない」

ーー10分後、○○島ーー

ミリス(警戒が厳しいな…)

ミリス(島がうっすらとしか見えやしない)

ミリス(…あの文字、何かの意味があるのか…)

ミリス(…解読を待つしかない、か)

ミリス(しかし…なぜ犯人は古代文字を書けるのか…)

ミリス(…)

ミリス(…王家の人間…?)

ミリス(しかし…王家の人間は今イルネ、イルモネ、王だけのはず)

ミリス(…あり得ないな)

ミリス(…しかし…王家にしか古代文字は伝わってないはずだ)

ミリス(必然的に、王家が限りなく怪しい…)

ミリス(…イルネやイルモネがそんなことをするはずが無い)

ミリス(王も、今まで私達を守ってきてくれた…)

ミリス(…謎だな…)

ミリス(…古代文字を理解できるのが王家だけじゃないとすれば、可能性は広がるか)

ミリス(しかし…古代文字が書かれた文献は王家に保管されている)

ミリス(他の人魚がやすやすと読めるものではない)

ミリス(…このペンダントも、古代文字が書かれている…)

ミリス(お母様から受け取ったペンダント…)

ミリス(…今、どこにいるのだろうか)

ミリス(…)

ミリス(…)

ミリス(…まさか…)

ミリス(お母様か、お父様が王家の人間の可能性が…?)

ミリス(…古代文字を理解できるのは王家だけ…)

ミリス(…ならばなぜ、私の両親は古代文字を扱えるのか…?)

ミリス(…)

ミリス(単純に、王家の人間からペンダントを授かっただけなのかもしれないか…)

ミリス(…しかし)

ミリス(もし…両親が王家の人魚だったら…)

ミリス(…私も、王家の血を引いてることに…?)

ミリス(…)

ミリス(いや、あり得ないな。まず王家は純粋なイルカの人魚だ)

ミリス(それに、私はイルネ達ほど泳力が高くない)

ミリス(…やはり、このペンダントは王家から授かった物か?)

ミリス(…だとしても…)

ミリス(古代文字で書かれたペンダントを渡すということは、私の両親は王家と相当な繋がりがあったのか?)

ミリス(…確かめようがないか)

ミリス(…もう、いないから…)

今回はここまでです

明日の夜更新します

投下するの、夜中になりそうです

23時頃投下します

投下します

ミリス(…論点がズレたな)

ミリス(あの紙に何と書いてあったかだけでも分かれば、犯人の目的も分かりそうなんだが…)

ミリス(しかし、犯人は王家と繋がりがあるのか…)

ミリス(…どういう繋がりがあるのか、だな)

ミリス(単純に王家と知り合いだろうと、古代文字は読めないはずだ)

ミリス(古代文字は、王家のみ相続していく知識だ)

ミリス(今でいえば、イルネの父親が古代文字を読めるはず)

ミリス(聞いた話では、古代文字の継承を許されるのは純血の王家のみ)

ミリス(血の濃さで純血度は変わるらしい)

ミリス(最近では、純血度に関係無く王の子息には継承されるそうだが)

ミリス(…犯人は、王の隠し子の可能性もあるか?)

ミリス(辻褄は合うが、考えたくない可能性だな。尊厳される王が、そんなことをしていたとなると…)

ーー海底ーー

イルモネ「…」

イルネ「ね」

イルモネ「…なんですか?」

イルネ「もうさ、私達だけで調べちゃおうよ」

イルモネ「?」

イルネ「ほら、古代文字」

イルモネ「どうやって、ですか?」

イルネ「ほら、この前マイプリンセスが『王家が古代文字の文献を保管してる』って言ってたじゃん」

イルモネ「そういえば、そうですね」

イルネ「それ探しに行こうよ。私達だけ何もしないなんてもどかしいし」

イルモネ「でも…バレたらどうなるか分かりませんよ?」

イルネ「一刻を争う時なんだし、いいでしょ」

イルモネ「まあ、いいとは思いますけど」

イルネ「じゃあいいじゃん。ぱぱっと行こうよ!」

イルモネ「今私達がまた人質にされたら、もうどうなるか分かりませんよ」

イルネ「あ…」

イルモネ「確かに私達なら逃げ切れますけど、回り込まれたり挟み撃ちされたりしたら厳しいですし」

イルネ「うぅん…」

イルモネ「…お姉様が行くなら、私も行きますよ」

イルネ「イルモネ」

イルモネ「大事なお姉様ですから」

イルネ「…ふふっ」

イルモネ「ほら、どうするんですか?」

イルネ「行こ。…ありがとね、イルモネ」

イルモネ「…どういたしまして、ですね」

イルネ「ちょっと、分かった気がする」

イルモネ「何がですか?」

イルネ「イルモネの気持ち」

イルモネ「?」

イルネ「何でおっさんのこと好きって言ったのかとか」

イルモネ「ちょっ、お姉様」

イルネ「いひひ」

イルモネ「もう、やめてください」

イルネ「ごめんごめん」

イルモネ「意地悪ですね」

イルネ「楽しくって」

イルモネ「…にしても、そこまで見透かされると怖いですね」

イルネ「そりゃ姉妹だし。わかるよ」

イルモネ「そんなものなんでしょうか…?」

イルネ「そんなもんだよ。元々私達似てるんだし」

イルモネ「…そういえば、そうですね」

イルネ「イルモネも、おっきくなったなー」

イルモネ「?何ですか急に」

イルネ「いや、ちっさい頃が懐かしいなと」

イルモネ「小さい頃の記憶、あまりないんですよね」

イルネ「…あの事件?」

イルモネ「…はい…」

イルネ「イルモネが迷子になったやつだっけ」

イルモネ「ほんとに怖かったんですよ!」

イルネ「まあ、まだ7歳だったしね」

イルモネ「あの事件のショックで、7歳以前の記憶が無いんですよ」

イルネ「じゃあ、私がイルモネにこっそり猫耳つけてたのとか覚えてない?」

イルモネ「ちょっと、何してるんですか」

イルネ「こしょぐりすぎて次の日筋肉痛になったこととか」

イルモネ「全然記憶に無いですね」

イルネ「…ね、全部解決したらさ、思い出そうよ」

イルモネ「そう言って思い出せるんなら、最初からやってますよ」

イルネ「いや、おっさんとかマイプリンセスに手伝ってもらってさ」

イルモネ「…」

イルネ「どう?」

イルモネ「…楽しそうですね」

短いですが、今日はここまでにします。
火曜日投下します

23時半頃更新します

投下します

イルネ「おっさんといると楽しいよね」

イルモネ「お姉さんやミリスさんとのやり取り見てるだけでも面白いですもんね」

イルネ「あっちにいる時、『ずっとここにいてもいいかな』なんて思っちゃったくらいだし」

イルモネ「私も、そんな気持ちが少しありましたよ」

イルネ「…まあ、無理なんだけどね」

イルモネ「…」

イルネ「…」

イルモネ「…王家だから、ですか?」

イルネ「…それも、あるよ」

イルモネ「…」

イルネ「…」

イルモネ「やっぱり私達、似てますね」

イルネ「姉妹だもんね」

イルモネ「お母様も、似ていたんでしょうか」

イルネ「さぁ…わかんないね」

イルモネ「そういえば、私お母様のことほとんど知らないんですよね」

イルネ「イルモネが生まれて少ししたら死んじゃったからね…私も小さかったからよく覚えてないけど」

イルモネ「お父様にお母様との思い出を聞いたら、私の記憶も少しは戻るのでしょうか?」

イルネ「うーん…どうだろ」

イルモネ「断片的にでも思い出せればいいんですけどね」

イルネ「お母さんと印象強い思い出があれば思い出せそうだけどね…」

イルモネ「…」

イルネ「…そろそろ行こっか」

イルモネ「はい」

イルネ「…」

イルモネ「…」

イルネ「…私も怖いよ」

イルモネ「…やっぱり、姉妹ですね」

ーー男宅ーー

男「とりあえず、できる限り情報収集するか」

女「うへぇ…」

男「どうした」

女「ネットで色々調べてたんだけどさ、『食人鬼現る!』とか書いてあって背筋ゾッとしたよ」

男「食人鬼でも間違いじゃないけどな…」

女「意味不明な文字が書いてあるから、異星人の仕業じゃないかって言う人もいるよ」

男「人魚は異星人じゃないからな」

女「警察も相当混乱してるらしいね」

男「人魚がやったなんて露にも思ってないだろうからな」

女「警察の調査だと『浜辺にて被害者を殺害、死後に首を鋭利な刃物で切断し、その後死体を磔にし、意味不明の文字を残して自殺』」

男「自殺?」

女「警察が島中をくまなく捜査したらしいけど、一人も人がいなかったらしいよ」

男「だとしても自殺は極端すぎだろ。ボートで逃げた可能性もあるし」

女「それが、死体が結構早い段階で見つかったらしいよ。警察が検死した時は死後1時間って判明したらしいし」

男「死後1時間…」

女「被害者と思われる人から通報があって、すぐに駆けつけたんだって」

男「すぐに駆けつけて1時間後かよ」

女「通報したのが被害者かどうかわかんないらしいけどね。名前言わなかったらしいし」

男「混迷してるな…」

女「それに、詳しい位置が分からなかったから捜索も難しかったって」

男「じゃあ、死後1時間で見つけれたのはかなりすごいよな」

女「死んじゃってるから意味ないけどね…」

男「…事件が起きたのって、何時だっけ?」

女「え?…今から15分ほど前だけど」

男「じゃあ15時ちょうどくらいか」

女「そうだけど…」

男「ボートが転覆した事件は14時くらいだったよな」

女「?」

男「ボートから見つからなかった親って、磔になって死んだ奴じゃないのか」

女「あ…」

男「時間もピッタリだし」

女「かなり確率は高そうだね…」

男「でも、確か沈んだ子供って外人だったよな」

女「親はロックス…なんたらだったね。それがどうしたの?」

男「いや、外人が日本の警察に通報するものなのかなーと」

ちょっと中断します。
2時頃には投下します

10時頃更新します

すいませんちょっと遅れます

投下していきます

女「んー…日本に住み慣れてたとか」

男「海域も一応日本の領海内だし…そういうことなのか」

女「じゃない?深く考えないでもいいと思うけど」

男「まあそんな感じするけど…」

女「それより、このこと報告しないと」

男「報告?こんな情報いらないだろ」

女「次に狙われるのは外人の可能性が高いじゃん」

男「そうかもしんないけど、憶測だろ?犯人の意図が全く違うかもしんないし」

女「えー…」

男「俺も次に狙うのは外人の可能性は高いと思うけど…」

女「じゃあいいじゃん」

男「けど、それが的外れだったらどうするんだよ」

女「その時はただの読み違いってことになるよ」

男「ただの読み違いって…人が死ぬんだぞ?」

女「でも、闇雲に探すより当たりをつけて探す方が犯人を捕らえる可能性高いじゃん」

男「あー…確かに…」

女「報告する価値はあるよね?」

男「…言っておくか」ピッ

女「やりー」

ミリス『なんだ』

男「なんだ、不機嫌だな」

ミリス『別に不機嫌じゃないが…ちょっとな』

男「なんかあったのか」

ミリス『いや、些細なことだ』

男「ならいいけど…」

ミリス『で、どうした?』

男「ああ、さっき女と話してたんだけど。海底に沈んでいった子供いただろ?」

ミリス『ああ、外人の』

男「そう。あれの親が磔にされてた死体と同じ可能性が高いんだ」

ミリス『根拠は?』

男「時間がピッタリなんだよ。死体は死後1時間で、ボートの転覆も1時間前だ」

ミリス『なるほどな…可能性は高いか』

男「死体の身元まではまだ公表されてないから確定じゃないけどな。でもほぼ間違いないと思う」

ミリス『そう考えてよさそうだな…』

男「で、次に狙われるのも外人の可能性が高いんじゃないかってことだ」

ミリス『?なぜだ?』

男「俺の意見だけど、犯人はなにか強い恨みを持ってると思う。じゃなきゃあんな見せしめみたいな殺し方しないだろ」

ミリス『…』

男「なにか人間との関わりがあって、そこから恨みが沸いてるんじゃないか?例えば事件だとか」

ミリス『ふむ』

男「何で今になって復讐しようとしたのかはわからんけど」

ミリス『その線はありそうだな』

男「だとしたら、犯人と関わりのある人間が狙われる可能性は高いだろ」

ミリス『…分かった。捜してみよう』

男「こっちも色々調べてみる。なにか分かったら連絡する」

ミリス『ああ。頼む』ピッ

男「これでよし」

女「あとはひたすら情報収集だね」

男「俺は被害者の人間関係とか探ってみるし、女はニュースを絶え間無くチェックしてくれ」

女「いいけど…個人の人間関係なんか探せるの?」

男「そいつがブログとかTwitterとかやってれば、いくらでも割り出せるだろ」

女「なるほど…」

男「とにかく先手を打たなきゃ多分犯人は捕まえられないし…」

女「イルネちゃん達が調べてる古代文字も気になるしね」

男「あれはかなりのヒントになりそうなんだけどな」

女「犯人の意図が分かれば調べやすいしね…」

男「ミリスには復讐って言ったけど、そうじゃない可能性も高いんだよな」

女「?」

男「人間を磔にして[ピーーー]ことで、人魚の存在を知らしめるつもりなんじゃないか?」

女「でも、人魚の仕業だってばれてないよ?」

男「最初はな。徐々に人魚だってことをアピールしていくんじゃないか?」

女「そんなことする必要ある?」

男「なんていうか…宣戦布告みたいな…」

女「宣戦布告?」

男「『人魚は人間より優秀』だってことを知らしめようとしてるんじゃないか」

女「そんなことする必要あるの?」

男「陰に隠れてきた人魚が、牙を剥いた感じだな」

女「人間と戦争でもするつもりなの…?」

男「そこまでは知らんけど…」

女「肝心なところなのに」

男「それか、殺人鬼みたいな思考かもしれないし」

女「連続殺人の初まりだー、みたいな?」

男「そんな感じ」

女「漫画じゃあるまいし…」

男「まあ、そういう可能性もあるってことだ」

女「もしそうなら、ミリスちゃんに教えた情報は無駄ってこと?」

男「無駄だな」

女「じゃあヤバいじゃん!無駄骨だよ」

男「でも、復讐の可能性もあるんだぞ。それに、この可能性が一番捜索しやすいし」

女「次に狙う人の当たりがつけやすいし、そうかもしんないけど…」

男「まあそういうことだ。ほら、情報収集するぞ」

女「うーん…」

男「いくら考えても分からないって」

女「うー…もどかしい」

男「こうしてる間にも重要なニュースがやってるかもしんないだろ。テレビに集中しろよ」

女「はーい…ん」

男「?」

女「それっぽいニュースやってるよ!」

TV『今回発見された死体は、先程発見された磔にされた被害者と似たような死に方で、警察は同一犯の可能性があると見て捜査をしています』

男「もう2人目かよ!」

女「場所は…?」

TV『この事件について解説さん。どう思われますか?』

解説『はい。まず、同一犯は無いというところですね』

女「?」

TV『と、いいますと…?』

解説『確かにどちらの被害者も同じように首を鋭利な刃物で切られて死んでいますが、同一犯である可能性はありえないんです』

男「早く理由を言えっつの」

女「尺でも稼いでるのかな」

TV『その理由とは?』

解説『まず、磔にされた被害者(A)が発見されたのが10分前です』

TV『そうですね。今回の被害者も死後1時間以内と発表されました』

解説『そうです。でも、今回の被害者(B)が前の被害者(A)と同時に殺されていたとしても、発見現場で殺されていたとしても、同一犯ではありえません』

男「どこまで延ばすんだよ」

女「じらすねぇ…」

解説『まず第一の被害者(A)は、○○島で発見されました。そして第二の、つまり今回の被害者(B)は○○沖で発見されています』

TV『そうでしたね』

解説『第一の被害者(A)発見から第二の被害者(B)発見までの時間差は10分です。しかし、○○島から○○沖までは確実に10分以上かかるのです』

男「あくまで船とかでの話だろ、これ」

女「人魚はもっと早いんだっけ」

解説『飛行機でも使わない限り、10分で○○沖まで行くことは不可能です。しかし、○○沖付近を航海していた漁師はそんなものは見なかったと言っています』

TV『なるほど…』

解説『以上のことから、同一犯であることはありえません。ただ…』

男「?」

解説『犯人が化物の類なら可能かもしれませんがね』

女「…実は、わかってるんじゃないの?」

男「かもな」

女「でも人魚ってほんと早いんだね…たった10分であんな距離移動しちゃうし」

男「…ちょっと引っかかるな」

女「なんで?」

男「いくら人魚でも、そこまで早く移動できるわけない」

女「人魚ってどのくらい速いの?」

男「確か、普通の人魚で人間の20倍だ」

女「王家はもっと速いんだっけ?」

男「人間の40倍って聞いたな」

女「凄いね…」

男「…あの距離間を10分で移動できるなんて、普通の人魚じゃ不可能だ」

女「え、そうなの?」

男「恐らくだけどな」

女「でも、もしそうなら」

男「大変なことだな…考えたくないけど」

女「…イルネちゃん達に知らせた方が…」

男「…いや、まずはミリスに報告しよう。あいつの意見も聞きたい」

女「そ、そうだね…」

男「最悪だな…」

今回はここまでです
途中saga入れ忘れて[ピーーー]になっていますが気にしない(´・ω・` )

22時半か23時頃更新します

すみません、今日は眠いので明日にします…

もう少ししたら投下します

投下していきます

ーー海ーー

ミリス(強い恨みか…)

ミリス(犯人は人間と何かあったのか?)

ミリス(あいつは何か事件だと言っていたが…)

ミリス(私の記憶では、過去に人魚と人間の関わりは無い)

ミリス(それとも、一般の人魚には知らされていない、隠蔽された事件がある…?)

ミリス(…)

ミリス(前に、犯人が王家だという仮説をたてたが…)

ミリス(もし過去に人間との事件を隠蔽してるとしたら、犯人は王家、もしくは王家の関係者の可能性が出てくるな…)

ミリス(隠蔽するほどの事件となれば、王家が絡んでくるはずだ)

ミリス(人魚の歴史には、人間との関わりも少なからずある)

ミリス(それが悪いことだろうといいことだろうと、歴史書には包み隠さず書いてあった)

ミリス(…今回の犯行が史実が原因で起きたとは考えにくい)

ミリス(ほとんどの人魚は過去にこだわらない)

ミリス(それは王家も一緒だ)

ミリス(『過去を見つめていても、何も進みはしない』…)

ミリス(王が演説の時に必ず言っていたセリフ…)

ミリス(…しかし…)

ミリス(犯人には、どうしても忘れられない過去があった…?)

ミリス(人間との戦争に勃発しかねない危険性があると知りながらも、犯行に及ぶほどの強い怨恨…)

ミリス(…犯人を見つけても、私が止めれるだろうか…)

ミリス(…)

テーテーテーテテテテーテーテーフゥー!

ミリス「うわっ!」

ミリス「…電話か…」ピッ

ミリス「もしもし?」

男『報告がある』

ミリス「犠牲者が出たのか」

男『ああ。場所は○○沖。磔にされてはいないけど、死因は同じっぽいな』

ミリス「同一犯とみて間違いないだろう』

男『ちょっと疑問があるんだよ』

ミリス「?」

男『最初に磔にされた奴が見つかったのは○○島だろ?』

ミリス「ああ」

男『で、その島から○○沖まではどう頑張っても10分以上かかるらしいんだ』

ミリス「…で、だからなんだ」

男『ミリスなら、○○島から○○沖まで10分で移動できるか?』

ミリス「不可能だな。私はモーターボートくらいの速さだと言えばわかりやすいか」

男『最初の事件から10分後に○○沖で事件が起きたんだ』

ミリス「…まさか」

男『考えたくないけどな。そんな早く移動できるのなんて王家だけだろ?』

ミリス「…○○島の死体がすぐ発見されたわけじゃないだろう」

男『けど、海上保安庁や警察は○○沖を通って○○島まで行ってるんだぞ』

ミリス「人魚なら海底も泳げる。それに、最初の犠牲者は死後1時間だ。殺害後細工して1時間の猶予があることになる」

男『問題なのは、2人目だろ。死後1時間以内ってことは、少なくとも最初の犠牲者と一緒に殺されたわけじゃないのはわかるよな』

ミリス「それくらいわかる。馬鹿にするな」

男『最初の犠牲者の所に警察が駆けつけた時には、すでに死後1時間の状態だった』

ミリス「…」

男『第二の犠牲者は、10分後に見つかって死後1時間以内だ』

ミリス「…なるほど」

男『最初の犠牲者を殺してすぐ2人目を殺したとしても、普通の人魚じゃ無理だ』

ミリス「…○○沖で殺したのなら説明はつくが」

男『何も無い沖に人がいると思うか?どこかから運ばれたに決まってる』

ミリス「…間違いなさそうだな…」

男『嫌なことだけどな』

ミリス「しかし…」

男『ん?』

ミリス「王家が犯人だとすると、そいつは誰だ?」

男『…分からない』

ミリス「王家は今現在でイルネ、イルモネ、王だけだ」

男『親戚とかは?』

ミリス「純血じゃないと王家としては見なされない。稀にほぼ純血の混血の人魚が生まれるそうだが」

男『それだろ』

ミリス「だが、そんな人魚が生まれればすぐに話題になる。私が生まれてない時にそういう人魚が生まれたとしても、海底ではそういう人魚はアイドルのような存在だ」

男『…知らないはずがない、か』

ミリス「そういうことだな」

男『けど、それ以外に考えられる可能性ってないだろ』

ミリス「確かにそうだが、その1つの可能性すらありえない状況なんだ」

男『…けど、犯人は必ず存在する』

ミリス「ああ。それも王家だ」

男『こんな不可解なことってあるか?王家の亡霊がいたりでもすんのかよ』

ミリス「…いや、まだ可能性はある」

男『?』

ミリス「誰かに代わりに殺させているのかもしれない」

男『…なるほど…』

ミリス「何人か使えば、王家のスピードが無くても犯行が可能だ」

男『それを指示する人魚も王家じゃない可能性が十分あるな』

ミリス「…ただの推測だがな」

男『推測でも、今は少しでも犯人像を捉えるべきだ。それに、考えることで分かることもある』

ミリス「…そうだな」

男『でも、こうなってくると余計に犯人像が絞りにくいな』

ミリス「人間が犯人の可能性も一縷はあったが…2人目の犠牲者でその可能性は無くなったな」

男『次に狙われそうな奴もほとんど見当がつかないし…どうする?』

ミリス「闇雲に探すしかないだろう。犯行がそこで起きたかは分からないが、こうして海のど真ん中で死体が見つかったりするどもはやどこに行けばいいのかすら分からない」

男『まだまだ情報がいるな』

ミリス「それも、確信的なものがな」

男『先手を打たないと、こいつは多分捕らえられない。海底の兵士も鎮圧で手伝ってもらうことはできないし』

ミリス「イルネ達の報告待ちか」

男『こっちもこっちで、犠牲者の経歴とか前科とか色々調べてみる。なんとか2人の共通点が見つかれば、かなりやりやすくなる』

ミリス「頼むぞ…」

男『任しとけよ。俺の裏コネを駆使する時が来たな』

ミリス「裏コネ?」

男『現役刑事とか、医者だとか。便利だぞ』

ミリス「犯罪者かお前は…」

男『連絡するのは何年ぶりか分からんけどな。俺の番号消されてなきゃいいけど』

ミリス「…だが、期待できそうだな」

男『けど、外人こと細かな情報を探そうとしてるんだ。あまり期待しない方がいいぞ』


ミリス「それでも、賭けるしかないだろう」

男『そこまで言われたら頑張るしかないな』

ミリス「敬語使っておけばもっと仕事は捗ったか?」

男『なんか、全然時間経ってないのに1週間くらい敬語を聞いてない感覚だ』

ミリス「なんだ、聞きたいのか?」

男『あー、聞きたいね』

ミリス「頑張って下さいね。応援してますよっ」

男『うん。頑張る。めっちゃやる気出た』

ミリス「そうか。気持ち悪いな」

男『大きなお世話だコラ』

ミリス「…」

男『……なんだよ』

ミリス「頑張ろうな」

男『…おう。任せとけ』

女『頑張って下さい!ご主人様!』

ミリス「?」

男『なにやってんだお前』

女『え、敬語好きじゃないの?』

ミリス「…ふふっ」

男『年下に言われてこその敬語なんだよ』

女『うっわ、変態だ』

ミリス「…ありがとう」ピッ

今回はここまでです



>>1 「ミステリー要素やら恋愛要素は全く無いです」

いつの間にかモロミステリーに・・・

>>497
途中までほのぼのやってましたけどネタ詰まって終わらせ方が思いつかなかったのでこんなことになっちゃいました

23時頃更新します

すいません用事が入ったので明日になります

すいません…
自分もいつ呼び出しもらうか分からないのでどうしても不定期になってしまいます

もう1つのスレ更新したらこっちも更新します

投下します

ーー海底ーー

イルネ「久々の我が家だねー」

イルモネ「中に入るのは久々な感じがしますね」

イルネ「どこに置いてあんだろね」

イルモネ「さぁ…でも、宝物並みの扱いで保存されてると思いますよ」

イルネ「この暴動で皆避難してるから、ガラガラだねー」

イルモネ「今がチャンスですね。鎮圧して皆さんが戻って来る前に見つけてしまいましょう」

イルネ「と言っても、この家にそんな場所あったっけ」

イルモネ「私が知ってる範囲ではそんな場所はありませんね…」

イルネ「私達が行くような部屋には置いてないはずだし、行ってない場所探してみよっか!」

イルモネ「行ってない場所?」

イルネ「まあ、倉庫とお父さんの部屋くらいしかないけどね」

イルモネ「お父様の部屋は確かに入れる雰囲気じゃありませんね…」

イルネ「というより、入ってるの見つかったらどうなるかわかんないもんね」

イルモネ「お父様が戻って来る前に、そっちから探してしまいましょう」

イルネ「了解!」

ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーイルリオネスの部屋ーー

イルネ「改めて入ると緊張するね…」

イルモネ「案外広いんですね」

イルネ「あ、イルモネ、これ見て!」

イルモネ「何ですか…あ」

イルネ「…これ、お母さんかな」

イルモネ「お姉様にそっくりですね」

イルネ「イルモネにも似てるよ」

イルモネ「…人間に、殺された…」

イルネ「でも、お母さんが体を張ったおかげで大きなことにはならなかったんだよね」

イルモネ「私達も、お父様に聞かされるまでは知りませんでしたからね」

イルネ「凄いよね、私そんなことできる自信ないもん」

イルモネ「次期女王なんですから、もっと自信を持って下さい」

イルネ「イルモネの方がしっかりしてるんだし、イルモネが女王になればいいじゃん」

イルモネ「私にそんな器はありませんよ。皆、お姉様に期待してます」

イルネ「期待されても、困るよね…」

イルモネ「でも、この荒れた海底を正すのはお姉様の仕事なんですよ」

イルネ「そんな大役、できる訳ないじゃん…」

イルモネ「今はそうかもしれませんが、女王になる頃にはそんなことないかもしれませんよ」

イルネ「だといいけどね…やだなあ」

イルモネ「…裏に、古代文字で何か書いてありますね…」

イルネ「やっぱり、お父さんは古代文字読めるんだ…」

イルモネ「でも、お父様を待ってる時間はないかもしれませんよ」

イルネ「分かってる。早く見つけなきゃ」

イルモネ「…でも、それっぽいものはありませんね」

イルネ「こっちにでっかい本棚あるよ!」

イルモネ「こんな所に置いているんですか?」

イルネ「木を隠すなら森の中ってね」

イルモネ「…あ、ここに古代文字の本が…」

イルネ「凄い古い書物だね…」

イルモネ「古代文字がある時代の本ですかね?」

イルネ「かもね。ボロボロだもん」

イルモネ「…でも、全ページ古代文字で書かれてますね」

イルネ「参考にならないかー」

イルモネ「こっちは…同じですね」

イルネ「うーん…お父さんの部屋は外れかぁー」

イルモネ「…というより、これがミリスさんの言ってた物なんじゃないですか?」

イルネ「えっ」

イルモネ「ミリスさんは、古代文字が存在した頃の文献が王家にあるとしか言ってないですし…」

イルネ「…解読できるようなものは…」

イルモネ「あるかは分かりませんね…」

イルネ「無駄骨かー」

イルモネ「やはり、お父様を待つしかないんでしょうか」

???「あああ、何でこんなことに」

イルネ「…?」

イルモネ「何か聞こえましたね…」

???「最悪だ…」

イルネ「誰かいるのー?」

イルモネ「ちょっ、お姉様!」

???「その声は…イルネ様?」

イルネ「あ、タイレンだー!」

イルモネ「タイレン様?」

タイレン「おお、イルネ様、イルモネ様も!」

イルネ「何してるの?」

タイレン「いや、王から宮殿内に残ってる者を全員避難させるよう通告を受けまして…」

イルモネ「私達しかいませんよ」

タイレン「そうなのですか、ああ、良かった…」

イルネ「そういや、何かだるそうだったね」

タイレン「あ、王には内緒でお願いしますね!」

イルネ「分かってるよー」

タイレン「この暴動の中、1人で宮殿に戻るのは自殺行為に等しいですからね…」

イルネ「まあ、その自殺行為を私達もした訳だけどね」

タイレン「何と危険な…ここは危ないですから、早く避難しましょう」

イルモネ「あ、ちょっと待って下さい」

タイレン「?」

イルネ「イルモネ、どうしたの?」

イルモネ「タイレン様は、王家の中でもかなりご長寿な方ですよね?」

タイレン「そうですね…恥ずかしながら、長生きさせてもらっております」

イルネ「?」

イルモネ「古代文字、読めますか?」

タイレン「え、ああ、一応読めますが…」

イルモネ「ちょっと読んでほしいものがあるんですが…」

タイレン「王の部屋にあった書物ですか…?」

イルネ「え、違うよ」

タイレン「そうですか…良かった」

イルネ「何で?あの本なにかまずいことでも書いてあるの?」

タイレン「内容に関しては何も言えませんが、あの書物はイルネ様、イルモネ様が王から古代文字を教わってから自分で読むものとなっています」

イルモネ「儀式みたいですね」

タイレン「それに近いものがあります。あの書物は、王家でも強い力を持つ者しか読むことを許されていません」

イルネ「そういや、何でタイレンは古代文字読めるの?」

タイレン「王家では、古代文字の知識を絶やさないように常に複数の人魚が古代文字をマスターすることが決められています」

イルネ「それが、お父さんとタイレン?」

タイレン「そうです。今王家では、王とその側近3人だけですね」

イルネ「そんな少ないんだ…」

タイレン「イルネ様も、20の時に王から教えられますよ」

イルネ「…その本、読みたいけど読みたくないなぁ…」

タイレン「読むことは強いられていません。ただ、未知の事象を知る勇気を試されるだけです」

イルネ「…お父さんもお母さんも、それ読んだの?」

タイレン「はい」

イルモネ「…お母様は、どのような様子で読んでおられましたか?」

タイレン「それは…私の口からは言えません。その時に、王からお聞きになって下さい」

イルネ「なんか、怖いね…」

イルモネ「それも、王家の宿命ですよ」

タイレン「それで…読んでほしいものとは?」

イルネ「あ、忘れてた」

イルモネ「えっと…あ、お姉様の携帯に保存されてるんでした」

イルネ「これ!」

タイレン「…て…ん…ば…つ…」

イルネ「天罰?」

タイレン「正しくは、『Retribution』となってますね」

イルネ「え、英語なの?」

タイレン「古代文字は、人間の扱う英語を暗号化したものです。Aも、複数の文字で表されたりします」

イルネ「ややこしいねー」

タイレン「慣れればすんなり読めますよ」

イルモネ「…天罰…」

イルネ「でも、英語の知識も必要なんだよね?」

タイレン「そうですね。なので、古代文字の会得には長い時間がかかります」

イルモネ「お姉様」

イルネ「ん?」

イルモネ「天罰って…」

イルネ「?」

イルモネ「犯人は、人魚に強い恨みを持っていると…?」

イルネ「え、あー…そういうことになるのかな」

イルモネ「だとしたら、犯人は過去に人間と接点が?」

イルネ「だと思うよ。そうじゃなきゃ、こんなことしないと思うし」

イルモネ「…犯人は、人間に恨みを持っていてかつ古代文字を操れる」

イルネ「…?」

イルモネ「タイレン様!過去に人間と人魚が接触したことは?」

タイレン「…私の知る限りでは、1つだけ…」

イルネ「???」

イルモネ「それは何ですか、話して下さい!」

タイレン「…いいのですか?女王の死の真実を知ることになりますが…」

イルネ「え…お母さんが死んだ、あの話?」

タイレン「もう、知っているのですか?」

イルネ「お父さんから聞いたんだよ」

今回はここまでです

22時頃更新します

多分ちょっと遅れます

投下していきます

タイレン「王からお聞きになったのですか…」

イルモネ「あの事件の関係者に犯人がいるはずです」

イルネ「って言っても、記録とか残ってないんだよね?」

タイレン「そうですね。人間と関わった事件は基本的に歴史に記されませんので」

イルネ「じゃあ、詰み?」

タイレン「私の覚えてる限りでいいのなら、事件の詳細を話しますが…」

イルネ「覚えてるの?」

タイレン「女王の死を忘れる訳にはいきませんから…」

イルモネ「話して下さい!」

タイレン「あれは…そうですね、13年前のことでした」

イルネ「13年前って…まだ私が4歳の頃だね」

イルモネ「私は1歳の頃ですね」

タイレン「女王と仲の良かった人魚の子供が母親と共に地上の視察をしていて、子供が母親が目を離した隙にどこかに行ってしまったようです」

イルネ「お母さんと仲の良かった人魚…誰なんだろ」

タイレン「よく分からない種類でしたね…少なくとも、私にはわかりませんでした」

イルモネ「そんな種類の人魚がいるんですか?」

イルネ「マイプリンセスみたいだね」

タイレン「それで、その子供はどうやら陸に上がってしまいました」

イルモネ「なぜ陸に?」

タイレン「さぁ…子供ですから、単に好奇心じゃないでしょうか?」

イルネ「下人だったの?」

タイレン「いえ、確か上人でした」

イルモネ「謎ですね」

タイレン「その後、子供は人間にさらわれたそうです」

イルネ「人魚が人間にさらわれるなんて…」

イルモネ「水の中じゃないとやっぱり劣りますよね。それに子供ですし」

タイレン「子供を探し回っていた親は、子供を弄ぶ人間を見つけ、交渉しました」

イルネ「ほんと、ひどい話だね」

タイレン「人間の要求はこうでした。『財宝を持って来い。俺たちが一生遊んで暮らせるだけの財宝を』」

イルモネ「財宝なんかに何の価値があるんですか?」

イルネ「地上だと多額のお金に換えれるらしいよ」

タイレン「海底の財宝は、ほとんどは王家が所有しています。そこで、母親は女王に相談したそうです」

イルモネ「お母様に…」

タイレン「女王は快くこれを承諾しました。そして母親の身の危険を案じて1人で交渉に行きました」

イルネ「お母さん、凄いね」

イルモネ「ほんとに優しい人だったんですね」

タイレン「人間は、交渉に応じませんでした。財宝を受け取った後、女王を銃で撃ったのです」

イルネ「…ほんと、ひどいね…」

イルモネ「お母様…」

タイレン「実は、その時女王に何人かの護衛がついていました」

イルモネ「護衛が?」

タイレン「はい。私も含めて、5人でした」

イルネ「その中に、犯人がいるのかな?」

タイレン「いえ、それはあり得ません。私以外の護衛は殺されてしまいました」

イルネ「…!」

イルモネ「…人間に、ですか」

タイレン「はい。私も重傷を負いました。このお腹の傷は、その時撃たれたものです」

イルネ「うぅ…」

タイレン「その時、王もこちらへ向かっていました」

イルネ「お父さんも?」

タイレン「はい。王も地上の視察に行っていて、こちらに到着するまでに時間がかかりましたが…」

イルモネ「…」

タイレン「…王が到着して、少しして女王は死にました」

イルネ「お母さん…」

タイレン「しかし、まだ事件は終わっていません。子供は人間にさらわれたままです」

イルモネ「そういえば、お父様からはここまでしか聞いていませんでしたね」

イルネ「子供はどうなったの?」

タイレン「女王が息を引き取った後、砂浜にいた人間に向かって飛びついた人魚がいました」

イルモネ「それは何の人魚なんですか?」

タイレン「とても印象が強かったので、今でもハッキリ覚えていますよ。シャチの人魚でした」

イルネ「シャチ…!」

イルモネ「それです!」

タイレン「しかし、彼は消息不明のはずですが…?」

イルネ「最近、地上でシャチの人魚を見たってニュースをやってたよ!」

イルモネ「ということは、磔にされた人間はその事件の…?」

イルネ「子供をさらった人間だね!」

イルモネ「しかし、子供とそのシャチの人魚の接点は何なのでしょうか?」

タイレン「私もよく分かりませんね…それに、彼は死んだと思ってましたから…」

イルネ「え、何で?」

タイレン「彼も人間達に撃たれたのです。相当の銃弾を浴びたはずですから、死んだものかと…」

イルモネ「今になって復讐したのは、傷が癒えたからでしょうか?」

イルネ「でも、13年前もかかる?」

イルモネ「あ、確かにそうですね…」

タイレン「タイミングを伺っていたのではないでしょうか?」

イルネ「タイミング?」

タイレン「はい。自分が行動しやすいようなタイミングを」

イルモネ「この暴動が、そのタイミングですか?」

タイレン「恐らくですが、そうだと思います。暴動に兵を回している間は、地上の出来事はここまで回ってきませんからね…」

イルネ「なるほど…」

イルモネ「子供をさらった人間というのは、何人だったんですか?」

タイレン「4人です。全員、西洋人でした」

イルネ「磔にされてた人は西洋人だったし…ビンゴだね」

イルモネ「とりあえず、ミリスさんとお兄さんに伝えましょう!」

イルネ「けど…これを伝えても、シャチの人魚を見つけれる訳じゃないよね?」

イルモネ「え、あ…確かに、そうですね…」

ピリリリリリリリリ

イルネ「うぁあ!」

イルモネ「びっくりしました…電話ですか?」

イルネ「うん…あ、おっさんからだ」ピッ

イルモネ「え、お兄さんから?」

イルネ「あ、いや、ドジョニスさんから」

ドジョニス『男から伝言がある』

イルネ「伝言?」

ドジョニス『ロックス・J・マリンフォードが13年前、人魚と接点があったか確かめて欲しいそうだ』

イルネ「えっと…誰?」

ドジョニス『最初の被害者だ』

イルネ「最初のって…また犠牲が出たの!?」

ドジョニス『ああ』

イルネ「うぅ…」

イルモネ「2人も…」

ドジョニス『とりあえず、分かったら報告してくれ』

イルネ「あ、ちょっと待って!」

ドジョニス『?』

イルネ「ねえ、13年前に人魚とあった西洋人の名前って、ロックス…なんとかって人?」

タイレン「そこまでは分かりませんが…恐らく間違いないでしょう」

イルネ「おっさんに伝えて!接点があったって!」

ドジョニス『分かった。他に何か伝えておくことはあるか?』

イルネ「あと、犯人はシャチの人魚だよ!」

ドジョニス『シャチの…分かった』

イルモネ「事件の詳細まで伝えている時間は無いですね…」

イルネ「それは、メールで送っとこっか」

イルモネ「そうですね」

イルネ「じゃあ、よろしくね!」

ドジョニス『分かった』ピッ

イルネ「おっさん…どうやって調べたんだろ?」

イルモネ「さあ…人間ならではの情報網なんですかね…?」

イルネ「とりあえず、あとはおっさんとマイプリンセスに任せよっか」

イルモネ「そうですね…私達も手助けできればいいんですが…」

イルネ「私達は、暴動を鎮めて早くマイプリンセスの加勢に行くことが先決だよ」

タイレン「そんな、危険過ぎます!お2人は避難して下さい!」

今回はここまでです
>>528で間違えて男から電話がかかってきたことにしちゃいましたが>>529で無理やり修正しました(´・ω・` )

23時頃更新します

投下していきます

ーー男宅ーー

男「もうそろそろ大詰めか」

女「ほとんど情報も集まったからね!」

男「しかし天罰か…恐ろしいこと考える人魚もいたもんだな」

女「でも、復讐するならもっと早くても良かったと思うけどね」

男「そこは何か理由があったんだろ。イルネからのメールだと、自由に動けるタイミングを狙ったらしいけど」

女「今起きてる暴動だっけ」

男「だろうな。海底はほんと平和らしくて、小さな事件はちょくちょく起きるけど今回の暴動みたいな大規模な事件はあんま起きないらしいし」

女「怖いねえ…」

男「俺はこの暴動もシャチの人魚が煽ったものだと思ってるけどな」

女「え、なんで?」

男「勘」

女「勘って…」

男「まあ勘というか…そんな感じがするだけだけどな」

女「でもなんか理由があるんでしょ?」

男「あるっちゃある」

女「はい。じゃあ言って」

男「いや、そんなこと話してる暇ないだろ…」

女「ん、まあそうだけど」

男「…」

女「…」

男「分かった分かった。分かったからそんな目で見るな」

女「いえい」

男「元々ミリスは、『人を喰うために地上に来た人魚を探しに来てた』らしいけどさ」

女「うん」

男「その噂話も、そのシャチの人魚が流したんじゃないかって思うんだよ」

女「え、そこまで?」

男「そんな噂話を流しておけば地上に行く人魚も必然と何匹か出て来るだろうし、そっちに目が行ってくれれば行動しやすいだろうし」

女「あー、確かにね」

男「そんで、更に暴動するように過激派の集団を煽れば…」

女「もっと行動しやすくなるね」

男「王も、兵をそっちの鎮圧に向けざるを得ないしな」

女「でも、暴動を煽るって相当難しいんじゃないの?」

男「さぁ…一個人でもできるもんじゃないのか?」

女「そういうとこは曖昧だねー」

男「分からないもんは分からないしな…ほら、そろそろやるぞ」

女「やるのはいいんだけど、何やるの?」

男「まず、13年前の事件の関係者だ」

女「関係者って…いわゆる人間側?」

男「そっちしかないだろ…加害者というか、誘拐犯の身元を調査するのが仕事だ」

女「…ぶっちゃけ思うんだけどさ」

男「ん?」

女「その誘拐犯も相当ひどいことしてるんだし、別に…」

男「おい、それ以上言うなよ」

女「え、あ、うん…」

男「…俺だってそんな奴ら死ねばいいと思ってるよ。でも、もし人魚の仕業だってバレれば大変なことになるだろ」

女「大変なこと…?」

男「まず、人魚が凶暴性がある生物として見られるんだ。あんまし人魚が地上に来ることなんか無いけど、もし地上に来たら…」

女「そっか、人間からしたら恐怖の存在にしか見えないんだ…」

男「幸いまだ人魚の仕業とはバレてないし、今のうちにシャチの人魚を捕まえることが最優先なんだよ」

女「うん」

男「人魚を排除させようなんて奴らも出て来るし、軍事に利用する奴も出て来るかもな」

女「…やだ」

男「俺だって嫌だよ。人魚なんて言っても、俺たち人間と何ら変わらない」

女「…じゃあ、絶対止めないと!」

男「それに」

女「?」

男「…土産、もらえないし」

女「…ぷぷっ」

男「ちょ、何笑ってんだ」

女「いや、土産目当てに頑張ってるのかなーって思ったら笑えるよ」

男「そんなんじゃねえって」

女「じゃあ何?…まさか好きだからとか言わないよね?」

男「違うって言ってんだろ」

女「…ふーん…」

男「…お前さ、事あるごとに俺を疑うけどたまには信じてみろよ」

女「性格だしね。もう無理」

男「…はあ」

女「で、理由は?」

男「…ほら、約束だし」

女「約束?」

男「俺はあいつの手伝いをする代わりに、海底の世界を見せてもらう約束」

女「…そんなくだらない約束のために?」

男「約束は守るもんだろうが」

女「確かにそうだけどさ」

男「もしここであいつらが諦めたりしたらミリスだけでもぶん殴る」

女「…男って、妙に約束にこだわるよね」

男「お前のせいだろ…」

女「あー、そうだっけ」

男「…ほら、とにかくやるぞ」

女「分かった………ねえ」

男「なんだよ、ほんとに時間無いんだぞ」

女「ほんとに、約束守る為にそんな頑張ってるの?」

男「…」

女「…」

男「…なんと言うか、うーん…」

女「正直に言いなよ。ミリスちゃんのこと、好きなんでしょ?」

男「…いや」

女「ねえ、嘘つかなくていいよ?」

男「嘘じゃねえって」

女「…別に怒らないよ。何とか抑えるから」

男「違うって」

女「……やっぱ、私って変だよね」

男「おい、無理すんなよ」

女「男だって、私のこと嫌いでしょ?」

男「そんなことねえよ。とりあえず俺の話聞けって」

女「私が来るたびに嫌そうな顔して追い返そうとするし…」

男「…おい」

女「ここまできたら、正直に言ってよ」

男「おい!」

女「…何」

男「俺がいつお前のこと嫌いなんて言ったんだよ」

女「言ってなくても、態度に出てるじゃん!」

男「それはお前の妄想だろうが!いいから落ち着け!」

女「…うるさい!」ダッ

男「ちょっ、おい!」

男「…どこ行く気だよ」

ーー2人目の事件現場付近ーー

ミリス(…ドジョニスさんから報告があってから、男から連絡が来ないな…)

ミリス(…次は、どうすればいいんだ…)

ミリス(さっきまでは闇雲に動き回ってたが…)

ミリス(ほとんど情報が揃った今、次行くべき場所がすぐ分かってもおかしくないと思うが…)

テーテーテーテテテテーテーテーフゥー!

ミリス「ん?」

テーテーテーテテテテーテーテーフゥー!

ミリス「…男か」ピッ

ミリス「もしもし?」

男『ミリスか…』

ミリス「どうした…何かあったのか?」

男『…女、どっか行っちまった』

ミリス「…何かあったのか?」

男『…喧嘩した』

ミリス「…子供か、お前は」

男『俺からしたら重大な問題なんだよ』

ミリス「…で?まさかその報告だけか」

男『いや、どうすればいいのかと思って…』

ミリス「…?」

男『俺としてはあいつをすぐにでも探して話をしたいけど、聞いてくれるような状態じゃないし…』

ミリス「…」

男『…お前との約束も守らなきゃいけないしな』

ミリス「…はあ」

男『今まだ人魚の仕業だってバレてないし、少し時間をくれれば次どこに行くかも多分分かる』

ミリス「…」

男『…あいつ、ほっといたらどうなるかわかんないんだよ。被害妄想激しいから…』

ミリス「…分かった」

男『分かったって…』

ミリス「こっちのことはこっちに任せろ。お前はとりあえず探しに行け」

男『でも、今そんなことしてたら』

ミリス「いいから行け。誰も責めない」

男『…』

ミリス「…こっちのことは気にしなくていいから、早く行け!」

男『…すまん…』ピッ

ミリス「…」

ミリス(…妬いてるのか、私は…アホらしい)

今回はここまでです

21時頃更新します

投下していきます

男「あいつどこだよ…」

男「…」

男「…めんどくせえな…」

男「何で一人で勝手に妄想膨らますんだ?」

男「いつ嫌いなんて言ったんだか…」

男「…」

男「…俺があいつのこと理解できてないだけなのか」

男「幼馴染だから分かってるつもりなんだけどな…」

女「ね」

男「うおぉう!」

女「探してたの?」

男「当たり前だろ。勝手にどっか行くなよ」

女「…ごめん」

男「落ち着いたか」

女「…さあ」

男「は?」

女「当ててみて」

男「…何言ってんだよ。そんな時間無いんだぞ」

女「…やっぱ、あっち優先なの?」

男「いや、何というかな…」

女「ほら、答えられない時点で違うじゃん」

男「そんなことねえよ」

女「何?男は今どうしたいの?」

男「…お前を呼び戻しに」

女「じゃあさ。私が今何考えていると思う?」

男「…そんなの分かるわけねえじゃん」

女「なんで?」

男「なんでって…人間の考えることなんて分かる訳ないだろ」

女「私は男の考えてること分かるよ?」

男「…」

女「今、とにかく私を連れ戻してミリスちゃんの方なんとかしたいって思ってるでしょ」

男「…」

女「ほら、図星じゃん」

男「図星じゃねえよ、呆れてんだよ」

女「なんで?当たってるから何も言えないんじゃないの?」

男「違うって」

女「ねえ?何が違うの?ねえ」

男「お前の言ってることだよ」

女「違わないよ。男の考えることすぐ分かるもん」

男「…じゃあなんだよ。お前はどうしてほしいんだ」

女「私に言わせるの?」

男「…」

女「私達、幼馴染だよね」

男「…18年来の付き合いだな」

女「私は男の考えてること分かるんだし、男も分かってくれるよね?」

男「俺とお前を一緒にすんなよ。お前に分かるもんが俺に分かるとは限らないだろ?」

女「分かるはずだと思うけどね」

男「…分かったよ。考えてみるよ」

女「…」

男「…」

女「…めんどくさい女だって思ってる?」

男「…なんだよ、考えてる時に」

女「私さ、自分で自分のことすっごくめんどくさい女だと思うんだよね」

男「なら、治す努力しろよ」

女「何度もしたよ。でもさ、男のことになるとそうなるんだよね」

男「…俺のせいか」

女「なんていうかさ。母性本能みたいな…よく分かんないんだけどね」

男「どんだけ心配なんだよ」

女「私さ、男のこと大好きだよ」

男「なんだよ急に…」

女「男が他の女の子と喋ってるの見るだけで嫉妬しちゃうんだよね。例え人魚でも」

男「それは考えすぎだろ…」

女「でも、女の子ってそんなものなんじゃないかな」

男「お前みたいにマイナス思考に走りまくって挙句一人で解決するのが一番やっかいだけどな」

女「うん、それは私の悪い所だって私も分かってるよ」

男「…」

女「でも、治んないの。男が好きだしさ」

男「治せばいいんだよ」

女「どうやって?私がどうにもできないんだし無理じゃん」

男「お前のその性格の原因はさ、完全に俺だろ?」

女「え、あ…うん」

男「じゃあ、俺がちゃんとお前だけ見てればいいんだろ。それで解決じゃねえか」

女「そんなの何回も聞いたよ。何回裏切られたと思ってるの?」

男「俺にだって付き合いがあるんだよ。いくらなんでもそこまでは譲歩できない」

女「じゃあ結局無理じゃん」

男「でも、これからはそんな付き合いも切る」

女「え?」

男「俺だってお前が心配なんだよ。高校とか大学の頃の先輩やら後輩に会うのもやめだ」

女「…男ぉ…」

男「お前の考えてることだっけ」

女「あ…忘れてた」

男「俺の中で何が一番優先なのか、確かめたいんだろ?」

女「…正解」

男「正直言うとさっきまで揺らんでたけど、もう決めた。お前が一番大事だ」

女「…うん…」

男「でも、最後に一つだけお願い聞いてもらっていいか?」

女「うん」

男「あいつらの手伝いがしたい」

女「…やっぱり、言うと思った」

男「ダメって言っても聞かねえぞ」

女「知ってるよ。男はそういう性格だもんね」

男「…で、あっちの問題が解決したらあいつらとはもう連絡もとらない」

女「…」

男「お土産もどうでもいい。お前だけでいいよ」

女「…ほんとに?」

男「ほんとだよ。今回のことで、身に沁みた」

女「…」

男「お前が家飛び出した時、死ぬんじゃねえかって思ったし」

女「…えへへ」

男「そろそろ行こうぜ。最後まで手伝えよ」

女「分かってるよ!」

今回はここまでです
徹底的にめんどくさい女をやりたかったんですけどよく分からんキャラになってしまった

明日のいつかは分かりませんがとりあえず午後更新します

投下していきます

ーー男宅ーー

男「まずは俺がいない間に何がどうなったか調べてないと…」

女「私はニュースとか見て色々調べてみるね」

男「…いや、それはいいけど離れろよ」

女「え、なんで?」

男「動きにくいだろ」

女「いいじゃん。何か改めて男のこと好きになっちゃったし」

男「はぁ…分かったよ」

女「うひひ」

男「とりあえず、ミリスに電話して…」ピッ

女「あ、それっぽい会話したら…」ピトッ

男「お前それ、どこから出したんだよ…」

女「さあ?」

男「さあって…あ、ミリス?」

ミリス『やっと済んだか』

男「ああ、悪かった。そっちは今どうなってる?」

ミリス『さあな…私は徘徊してるだけだから何も分からん』

男「そ、そうか…」

ミリス『とりあえず、どこに向かえばいいんだ?』

男「今から調べる。分かったら連絡する」

ミリス『分かった』ピッ

男「さ、急いで調べるか…」

女「ね」

男「ん?」

女「被害者、また出たっぽいよ」

男「…まじかよ…」

女「でも、死んではいないみたい」

男「どういうことだよ」

女「とりあえずニュース見てみてよ」

TV『◯◯島にて、不可解な事件が起きました』

男「不可解…?」

TV『島で知人を探していたマーク・リビエラさんは道中の砂浜で謎の生物に襲われました』

男「おい、まさか」

TV『胸を鋭利な刃物で切られており、マークさんは「一瞬、何が起きたのか分からなかった」と話しています』

男「やばいな、人魚の仕業ってバレるかもしれん」

女「もしそうなったら…」

男「なんとしても人魚を見つけ出して、戦争の道具として利用するか殺すか…」

TV『マークさんに詳しい話を聞いてみました』

男「お?」

TV『胸を鋭利な刃物で切られたそうですが、一体何に?』

マーク『分からなかったよ。砂浜で海を見てたら、水が跳ねる音が聞こえて、そのすぐ後さ』

TV『水中から飛び出してきた、ということですか?』

マーク『断言はできないけど、多分そうだろうね。「胸が痛い」と思った次の瞬間、何かが沈む音が聞こえたからね』

TV『ということは、魚か何かに…?』

マーク『いや、1つ心当たりがあるんだ』

TV『心当たり、ですか?』

男「まずい!」ガタッ

女「きゃっ!」

男「あ、すまん…大丈夫か?」

女「うん、平気」

マーク『僕、昔この島で事件を起こしたことがあってさ』

男「…終わった…」

女「…男…」

TV『事件…?』

マーク『…まあ、その事件に関しては話さないでおくよ。うん』

男「?」

TV『そうですか…分かりました』

女「…言わなかったね」

男「発覚するのが遅くなっただけだ。かなりヤバいぞ」

女「いずれTV局は、マークさんが過去に起こした事件を調べるってこと?」

男「ああ。さすがにここまで来るともう無理だな…」

女「そんな…」

男「…はぁ」

女「…」

男「……」

女「…ね」

男「ん?」

女「ごめんね、私のせいで」

男「いや、お前のせいじゃねえよ」

女「ううん、私が駄々ごねたから…」

男「…」

女「お、男…」

男「俺がさ」

女「?」

男「ちゃんとお前だけ見てればこんなことにはならなかったんだよな」

女「…」

男「結局、原因は俺なんだよ。お前のせいじゃない」

女「…うん、ごめんね」

男「…もう、だめか」

女「…」

男「仮にこれから出るであろう被害を全部阻止しても、人魚の仕業ってバレてる以上、何しても無駄だ」

女「…うん」

男「…どうすっかな」

女「…」

男「…」

女「…ミリスちゃんに、連絡しよ」

男「…ああ、ほれ」

女「…」ピッ

男「ミリスに連絡してどうするんだ」

女「今の事件を伝えて、謝ろっかなって…」

男「謝るなら俺だろ、お前が謝ることねえよ」

女「私だって責任感じてるんだよ?」

男「でも、実際悪いのは俺だろ。お前の責任感をミリスに押し付ける必要はねえよ」

女「でも」

男「…ミリスは、怒ってないぞ」

女「…」

男「お前だって、あいつが怒ってるなんて思ってないだろ?」

女「…かもしんない」

男「自分のしたことを払拭したくて、謝るなんて言うんだよ、お前は」

女「…」

男「お前は悪くないよ。全部俺に任せろ」

女「…うん…」

男「電話、貸してくれ」

女「はい」

男「…まだ、出ないのか」

女「…」

男「仕方ないか。あとでかけ直そう」ピッ

女「…ごめんね、ほんとに、ごめんね」

男「いいって。…あ、ちょっとトイレ行って来る」

女「…うん」

男「すぐ戻って来るから」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーートイレーー

男「げほっ!うえぇっ…!」

男「…っはあ、はあ…」

男「…げほっ!」

男「…はあ、……ふぅ…」

男(…プレッシャーで押し潰されそうだ)

男(ミリス、さすがに怒るだろうな…)

男(俺達の痴話喧嘩でこんなことになったんだし…)

男(…どうなんのかな)

男(ミリス達人魚が迫害されるのは間違いない。人を[ピーーー]種族として見られるからな…)

今回はここまでです

月曜日に更新します

お久しぶりです、投下していきます

男(解決する方法は無いか…)

男(…)

男(無いことはないか)

男(全ての人魚がそんな人魚じゃないってことを証明すればいい)

男(…エビの人魚とかのおかげで、そういう人魚がいるって信憑性も高いはずだ)

男(やり方次第によっちゃ、共存することも…?)

男(…夢見過ぎか、人間を喰ったって時点で無理だろうな)

男(仲良くする奴もいれば、道具みたいに扱う奴も出てくるし)

男(…そろそろ戻るか…女に変に心配かけても面倒だしな)

男(はぁ…)

ーーリビングーー

男「おう、悪かったな」

女「ううん、いいよ」

男「ミリスは?」

女「かかってこないよ。どうなってるんだろ」

男「…とりあえず、出るまでかけ続けてみてくれ」

女「うん」

男(13年前のあの事件に関わった人間は4人)

男(すでに2人死んでる…次は1人目の被害者を探しに来たマークが狙われてる)

男(マークのあのふざけた発言のせいで人魚が関与してることがバレたら…)

男(…)

男(待てよ)

男(マークが関わった13年前のあの事件は海外の警察が今もデータとして保管してるはずだ)

男(…そのデータに、人魚と明確に記されているかは、まだ分からない)

男(チャンスはある…ここでシャチの人魚wl捕まえれば…)

男(…人魚の存在をうやむやにしたまま、事件を解決できる!)

男(事件のデータを調べるのも大事だけど…)

男(今は、シャチの動きを読む方が大切だ)

男「女!」

女「え、なに?」

男「シャチの人魚は、次にどこに向かうと思う?」

女「んー…マークさんを狙わない可能性もあると思う」

男「え、なんでだ」

女「ほら、マークさん今警察に保護されてるじゃん」

男「あ…」

女「今は船の中か島の中か陸上に輸送されてるかのどれかだと思うけど…」

男「船で移動してたら、まだ狙われる可能性はあるか…」

女「どうだろうね?」

男「マークを狙わないとしたら、次に狙うのは最後の1人だな」

女「あ、ちょっと気になってたんだけど」

男「ん?」

女「どうやって場所知ってたんだろうね?」

男「?」

女「ほら、シャチの人魚がどうやって被害者の動向掴んでたのかなーって」

男「そういえば…そうだな」

女「さすがに1人じゃ4人全員の動向を把握するのには無理があるでしょ?」

男「…確かに…」

女「それが分かれば、もっと楽に探せるかなーと」

男「…んー…」

女「…」

男「…さすがに考えても分からないか」

女「ヒントが何も無いもんね」

男「…あ、ミリスまだ出ないのか?」

女「うん、何してるんだろ」

男「代わるか。女はテレビとかでマークが今どうしてるか調べてくれ」

女「うん」

男「…出ないな…」ピッ

女「…」

男「…」ピッ

女「…」

ミリス『…もしもし?』

男「ミリス、やっと出たか」

ミリス『すまん…気絶してたみたいだ』

男「き、気絶…?」

女「…」

ミリス『誰かに殴られたみたいだ…誰かは分からないが』

男「まさか、シャチの人魚じゃないよな?」

ミリス『分からない…いきなりだったからな』

男「そうか…」

ミリス『…』

男「…1つ、悪い報せがあるんだ」

ミリス『…何だ』

男「3人目の誘拐犯が殺されかけたけど、まだ生きてる」

ミリス『それはいいことじゃないのか?』

男「いや、テレビのインタビューで過去の事件を語ろうとした」

ミリス『過去の…誘拐事件か』

男「ああ。あれが明るみに出れば…」

ミリス『私達は迫害される、か』

男「…すまん、俺が不甲斐ないばっかりに」

ミリス『なぜお前が謝るんだ。元々は私達の問題だろうが』

男「いや、俺にも責任はある。謝らせてくれ」

ミリス『…私はな、意味の無い謝罪は嫌いなんだ』

男「…」

ミリス『迫害されるからなんだ?私達は元々人間とは無関係の種族だ。その関係がハッキリするだけだろう』

男「…そうかもしれないけどな」

ミリス『別にいいさ。種族が安息になるならな』

男「…」

ミリス『…心残りはあるがな』

男「…ミリス」

ミリス『…けど、まだ終わった訳じゃないだろう』

男「…ああ」

ミリス『さあ、次はどこへ行けばいいんだ?』

男「3人目の被害者の元へ向かってくれ。1人目の被害者が出た島だ」

ミリス『分かった』

男「細かい場所が分かったらこっちで知らせる」

ミリス『ああ、頼む』

男「…すまん」

ミリス『だから何を謝ってるんだ。かっこつけるな』

男「かっこつけてなんかねえよ」

ミリス『…』

男「…おい、急に黙るなよ」

ミリス『…さっき、心残りがあると言ったな』

男「え、ああ。いや言ったのはお前だろ」

ミリス『…また会いたいな、お前に』

男「…」

ミリス『…』

男「……うん」

ミリス『…じゃあ、頼む』

男「ああ…切るぞ」ピッ

女「…長い電話だったね」

男「誤解すんなよ。俺の決心は固いんだ」

女「だからって言って、この場で押し倒しても納得しないからね?」

男「今は信じてくれなくてもいい。とにかく早く終わらせよう」

女「…まあ、いっか」

男「…で、どうなんだ、そっちは」

女「島周辺の沖で船の中で保護されてるらしいよ」

男「船の中か…人魚なら普通に沈ませるだろうな」

女「報せるの?」

男「お前はミリスにメールで知らせといてくれ。俺は調べることがある」

女「…分かったよ」

男「ほれ」

女「ん」

男「さて、急いで調べないと…」

女「…」

女(男は見てないよね)

女「…」ポチポチ

『ミリスちゃんへ。
次に狙われる被害者は○○島の近くの船の中で保護されてるよ。多分スピード勝負だし、急いでね!


…あと、事件が解決したら、私達とあなた達の縁はすっぱり切るよ。
あなたがいると、私の男がいなくなるの。
男をたぶらかさないで。
悪く思ってる訳じゃないよ。けど、ミリスちゃんにもこの気持ちは分かると思う。
だから、私の男をとらないで。
あなたにそんな気はなくても、あなたには惹かれる何かがありそうな気がするから。
ごめんね。
女より』

今回はここまでです

明日の夜更新します

すいません、連日忙しくて更新する暇がありませんでした(´・ω・` )
明日こそ、明日こそ更新します

すいません、今日はちょっともう無理そうです(´・ω・` )
水曜更新します

すいません、またまた予定が入っt(
金曜こそ、金曜こそ

この時間なら一応期限内の金曜のはずなので投下します

ーー海底ーー

イルネ「うあー…」

イルモネ「疲れましたね…」

タイレン「無理をなさるから…」

イルネ「でも、結構効率は良くなってるよ!」

イルモネ「危なかったりもしましたけどね…」

タイレン「槍が当たりかけた時はどうしようかと思いましたよ…」

イルモネ「あんなの当たりませんよ」

イルネ「それに追いつかれないし」

タイレン「私は死ぬかと思いましたけどね…」

イルネ「タイレンもう年なんだし宮殿にいれば良かったのに…」

タイレン「お2人を置いて逃げる訳にはいきませんから」

すいません、また予定が入ったので延期します…

お久しぶりです!
更新します

イルネ「今あっちどうなってるんだろうね」

イルモネ「さあ…悪いことが起きなければいいんですが」

イルネ「そんなこと言ってるとおっさんから伝言来たりすんだよね…」

イルモネ「さすがにそれは」

タイレン「ささ、次はどうされますか?」

イルネ「南に行こう。こっちは大体片付いたから、あとは大丈夫だし」

イルモネ「私達がかき回すだけで慌てふためきますもんね」

イルネ「何にせよ、早く終わらせないと」

タイレン「…あの」

イルモネ「?」

タイレン「あとは私達だけで何とかします。お2人はは地上へ…」

イルネ「ダメだよ。私達が逃げてどうするの」

タイレン「誰もあなた達を責めたりしませんよ。信頼があります」

イルネ「でも、その信頼を失うことになるよ?」

タイレン「私達人魚は何よりも繋がりを第一とする種族です。友人の為に行ったと知れたら、むしろ信頼は厚くなります」

イルモネ「繋がりを第一とするのなら、お父様はどうなるのですか?」

タイレン「王も、きっと同じことを言うでしょう」

イルネ「言うかもしれないけど、そんなの関係ないよ」

タイレン「…それは…」

イルネ「私だってもう大人なんだし、自分でやりたいことを決めるからね」

イルモネ「私はお姉様に追いていくだけですけどね」

タイレン「…」

イルネ「…正直言うと、信頼なんかどうでもいいよ。今は」

タイレン「!」

イルネ「こんな切羽詰まった状況で、信頼なんて気にして動いてたらどうなるの?」

タイレン「…」

イルネ「私は私のやりたいことをやるから」

タイレン「…なら、言うことはありませんんな」

イルモネ「タイレン様…」

タイレン「お2人を心配してついてきたのですが…その必要は無さそうですな」

イルネ「大丈夫。上手くやるよ」

タイレン「情けないことですが、私は避難させていただきます」

イルモネ「その方がいいですよ」

タイレン「これでも昔は近衛兵長として腕を鳴らしたんですがね…」

イルネ「それ、何年前の話なの…」

タイレン「イルネ様が生まれるもっと前ですな」

ーー○○島付近ーー

ミリス(何とか間に合ったか…?)

ミリス(この位置なら奴がどこから来ようとも対応できる)

ミリス(あとは待つだけだ…)

ミリス(…)

ミリス(…ダメだ、考えるな…)

ミリス「…グスッ」

ミリス「…ダメだ…泣くな…」

ミリス「…泣くな…泣くな…!」

ミリス「うぅ…」

ミリス(私は…どうしてしまったんだ…)

ミリス(女からのメールを見てから…)

ミリス(…やるせない、不安な気持ちになってるのか)

ミリス(…分かってる)

ミリス(女は、男が好きだ)

ミリス(男も隠してはいるが、あいつも同じ気持ちのはずだ…)

ミリス(…私も、男が好きだ)

ミリス(でも、諦めていたんだ。叶わぬ話だ)

ミリス(…私は、別に求めてなんかいなかったのに…)

ミリス(なんで…なんで…!)

ミリス「うぅっ…うわああああ!」

ミリス「ああぁ…う…」

ミリス「男!男!男ぉお…」

ミリス「…はぁ…はぁ…」

ミリス「…」

ミリス(…私は…どうなってしまったんだ…)

ミリス(何をこんなに取り乱しているんだ…?)

ーー男宅ーー

男「くそっ!」

女「どうしたの?」

男「誰も情報を渡そうとしないんだ」

女「それだけ、重要な事件なのかな?」

男「なんせ異生物が関わってる訳だからな。政府からの圧力もあるんだろう」

女「じゃあ、そんなの無理なんじゃ」

男「いや、絶対に聞き出してみせる」

女「…ねえ」

男「ん?」

女「政府も関わってくるってことはさ…」

男「なんだよ」

女「下手したら、男が捕まっちゃうんじゃないの?」

男「まあ、その可能性の方が多いに高いけどな」

女「えっ、じゃあダメだよ!」

男「なんでだよ。後のことなんてどうでもいいだろ」

女「良くないよ!男がいなくなったら私どうすればいいの!?」

男「お前なら待っててくれると信じてるんだけどな」

女「待つよ。けど…狂っちゃう」

男「おいおい、俺がいなくなっただけでその騒ぎなのか」

女「…当たり前じゃん」

男「…」

女「私、男がいなかったら死んでもいいよ」

男「…お前」

女「男にはね、そんな魅力があるの。悪魔みたいな魅力」

男「お前だけだ。そんな風に考えるのは」

女「考えるのは私だけかもね。でも」

男「?」

女「男に魅了される人は私だけじゃない」

男「…」

女「…あんまり言いたくなかったけど」

男「…なら、言わなくていい。俺も聞きたくない」

女「なら、なおさらだね。ここでハッキリさせとこうよ」

男「…前に、俺の決意を話したよな」

女「建て前かもしれない。揺らいでるかもしれない」

男「そんなに俺を信じられないのか」

女「信じてるよ。でも、男のことが好きすぎてどうして疑っちゃうの」

男「…お前、それは病気だぞ」

女「違うよ。男に洗脳されてるの」

男「…おい」

女「…きっとね、皆こう思ってる」

男「…」

女「『男を、自分だけのものにしたい』」

男「…やめろ」

女「皆一緒」

男「やめろ…」

女「ミリスちゃんも、イルネちゃんも、イルモネちゃんも、皆一緒だよ」

男「…っやめろ!」

今回はここまでです
更新間隔が空きすぎて何を書いてたか覚えていない(´・ω・` )

お久しぶりです
恐ろしいほど日数が経ってしまいました、本当に申し訳ないと思ってます
忙しい日が続いて、「更新します」と言っておいてもう1つのSSは更新して眠くなって力尽きて、結局更新しないままズルズルと引っ張っていくことが多すぎてどうしようかと思ってます
これからもしかしたら月1更新並の遅さの更新になるかもしれません
そもそも需要があるのか自分で分からないので、ほとんど需要が無いようでしたらhtml化してしまいたいと思ってます

今日も更新は難しそうです…

ありがとうございます、頑張ります!
今後も不定期で「投下します」、と言ってもしないこともままあるかと思いますがよろしくお願いします!

投下していきます
久しぶりすぎて前に書いた内容を覚えて無い上に書き溜めもないのでそれはもう矛盾があちらこちらに垣間見えると思いますが脳内で補完してください(´・ω・` )

女「言葉や態度には出さないけど、ミリスちゃんは男のこと絶対好きだよ」

男「…んなわけねえよ」

女「それは男がそう思うだけ。男に会った人は、少しずつ男に惹かれていくんだよ」

男「お前の勝手な妄想だろ」

女「そんなことない。事実、そうなってる」

男「そんな事実がどこにあるんだよ。確証でもあるのか」

女「ないよ。私の勘」

男「…勘なんかで疑うなよ」

女「でも、私の勘当たるもん」

男「たまたまだろ」

女「でも男、今ちょっと焦ってるでしょ?」

男「…」

女「私が言ったこと全部、心当たりあるんだよね」

男「それもお前の勘だろ」

女「そうだよ。けど、当たってる」

男「…なんなんだよ」

女「全部勘だよ?」

男「…じゃあ、全部外れだ」

女「目を逸らして言われても説得力ないよ?」

男「…」

女「話、すごく逸れちゃったね」

男「…」

女「結局、私が言いたいことはさ。男は私も好きだけど他の人も好きなんじゃないかってこと」

男「そんなことは」

女「隠さなくていいよ。それも仕方ないことなのかもしれないし」

男「お前…」

女「でも、それで私を捨てるのだけは絶対に許さない」

男「…」

女「男は、そんなことしないよね」

男「…する訳ねえだろ」

女「…なら、信じるよ」

男「約束だしな」

女「良かった」

男「俺はずっとお前と付き合っていくよ。でも」

女「…でも?」

男「まずはあいつとの約束が先なんだ。分かってくれ」

女「…」

男「この話、前にもしたよな」

女「…」

男「止めんなよ。約束は絶対に守る」

女「…じゃあ、私とも約束してよ」

男「え?」

女「これから先、私の前から勝手にいなくならないこと!」

男「…それ、お前が守った方がいいんじゃないのか」

女「いーから!約束ね!」

男「まあ、いいけど…」

女「はい、契約完了!」

男「おい、契約ってなんだよ」

女「私の前から勝手にいなくならないってことはだよ?」

男「…お前の許可無しにはどこにも行けないってか」

女「そういうこと!」

男「人権もクソも無いな…」

女「いいじゃん、その方が幸せだよ?」

男「…まあ、そうかもな」

女「…だからさ」

男「ん?」

女「危険なマネだけはしないでね」

男「…」

女「ミリスちゃんとの約束はちゃんと果たしてほしいよ。けど」

男「…分かった分かった」

かなり中途半端で終わってしまったので、今日の22時頃更新するかもです

気づいたら0時近くなってましたが更新します!

ーー海底ーー

イルネ「うへえぇ…」

イルモネ「さすがに…」

イルネ「疲れたね…もう無理」

イルモネ「こんなところで休んでて狙われたらおしまいですよ…とりあえず移動しましょう」

イルネ「動けないよー」

イルモネ「ほら、早く早く」

イルネ「うぁー」

???「あ」

イルネ「?」

イルモネ「!!!」

イルネ「え、誰?知り合い?」

イルモネ「サメザーくんじゃないですか」

サメザー「何でこんな所にいるんだよ」

イルモネ「私のセリフですよ…」

イルネ「ね、誰?」

イルモネ「サメザーくんですよ」

イルネ「ああ、あの服を盗んだ?」

サメザー「盗んでない!未遂だ!」

イルネ「未遂でもダメなものはダメだよ。ね?」

サメザー「あ、はい…」

イルモネ(完全に子供扱いしてますね)

イルネ「で、どうしてこんな所にいるの?」

サメザー「え、いや、その」

イルモネ「また何か企んでいるんですか?」

サメザー「いや、何も?」

イルネ「…ははーん」

イルモネ「?」

イルネ「ちょっとおいで」

サメザー「え、ちょ」

イルモネ「???」

イルネ「ね、実はイルモネのこと好きなんでしょ?」ヒソヒソ

サメザー「え?」

イルネ「とぼけても分かるよ。認めちゃいなって」ヒソヒソ

サメザー「…」

イルモネ「…」

イルネ「イルモネ、私に似てすっごい可愛いからね。いい目の付け所だよ」ヒソヒソ

サメザー「…まあ、好きっちゃ好きですけど…」

イルネ「うふふふふ」

イルモネ「お姉様、下卑た笑い声が…」

イルネ「さてさて、あとはお二人で…」

サメザー「え」

イルモネ「ちょっと、何言い出すんですか!」

イルネ「二人共照れちゃってー」

イルモネ「意味が分かんないです!」

イルネ「イルモネ、私はサメザーくんいい
子だと思うよ」

イルモネ「棒読みで言うのやめてください」

イルネ「まあまあ」

イルモネ「お姉様、ちょっと来てください」

イルネ「?」

イルモネ「私がサメザーくんのこと好きだと思います?」ヒソヒソ

イルネ「思わないよ」ヒソヒソ

イルモネ「じゃあ何であんなこと言うんですか」ヒソヒソ

イルネ「だって、サメザーくんかわいそうじゃん」ヒソヒソ

イルモネ「そんなの知ったこっちゃないですよ、何で好きでも無い人と二人きりにならなくちゃいけないんですか」ヒソヒソ

イルネ「サメザーくんは二人きりでいたいと思ってるよ」ヒソヒソ

イルモネ「私がサメザーくんのこと好きじゃない時点でもう見込み無いじゃないですか。何を企んでいるのか知りませんけど諦めてください」ヒソヒソ

イルネ「えー」

イルモネ「えーじゃないですよ」

イルネ「残念だね」

サメザー「あの…」

イルネ「うわぁ!」

イルモネ「びっくりさせないでください!」

サメザー「不可抗力だろ」

イルモネ「どうしたんですか?」

サメザー「実はさ。帰り道分かんないんだよ。どこ行くか知らないけど、分かる場所に出るまでついてってもいいか?」

イルネ「うーん…私はいいけど」チラッ

イルモネ「私も別に構いませんよ。ただ」

サメザー「?」

イルモネ「私についてこれないと思うんですよ」

イルネ「あ、そっか…」

サメザー「俺、結構速い方だぞ」

イルモネ「それでも、私達には絶対に追いつけないと思いますよ」

サメザー「見えなくなっても置いてっていいから、とりあえず連れてってくれよ。結構不安なんだよ」

イルネ「いいよね?イルモネ」

イルモネ「いいですよ。けど、追いつけないようでしたらほんとに置いて行きますからね」

サメザー「何とか見える範囲には居てみせるからな」

イルネ「ほら、やっぱり好きなんだよ」ヒソヒソ

イルモネ「だから…はぁ」

サメザー「?」

今回はここまでです
少ないですが、前回の分と合わせるとほぼ1日分だと思います

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