洋榎「博多でうまい味噌ラーメン教えてや!」哩「馬鹿にしとると?」(254)

ID:pXpw0WCR0の代行でー!

 
洋榎「なぁ、絹……」

絹恵「ん……?」

絹恵「ごめん、眩しかった?」

洋榎「ええてええて。卓上スタンドだけでなくて、部屋の電気も点けてええで」

絹恵「ええよ。お姉ちゃん、疲れとるやろうし」

洋榎「……疲れとるけど、眠れへんねん」

絹恵「んー……ほな、ホットミルクでも入れよか?」

絹恵「勉強休憩したい思っとったとこやし……」

洋榎「んー……むしろ、ラーメン食べたい」

絹恵「……太るでー夜食は」

洋榎「ええねんええねん。もちっとムチムチしたいくらいや」

絹恵「あー、でも、カップ麺、お母さんが最後の食うてもうてたような……」

洋榎「マジかー」

洋榎「ほんならさあ、今から食べに行かん?」

絹恵「え?」

 
洋榎「深夜にラーメンとか、こう、青春っぽいやろ!」

絹恵「一応、受験間際なんやけどな……」

洋榎「絹なら頭いいしイケるて」

洋榎「息抜きも大事やで?」

洋榎「ほら、おねーちゃんが奢ったるさかい!」

絹恵(お姉ちゃんと深夜のラーメンデートかぁ……)

絹恵「まあ、たまには、休憩挟んでもいいかな?」

絹恵「頑張った自分へのゴホービに」

洋榎「さっすが絹!」

 
絹恵「でもこの時間、お店開いてるんかな……」

洋榎「ラストオーダー滑り込みになってまうけど、まああるやろ」

洋榎「居酒屋帰りのおっさん狙っとる店とか」

絹恵「うーん、ちょっと遠出になるのかなぁ……」

絹恵「歩ける位置にそんなたくさんあったっけ?」

洋榎「ふっふっふ……」

洋榎「これを見ィ!」 ババーーーン

絹恵「そ、それは……」

洋榎「免許や! どやー!」

洋榎「車つこうたら、楽にラーメン屋探しできるでー!」

絹恵(あ、これ運転してみたいから言い出したってのが本音かな……)

 
洋榎「ふっふっふ」

洋榎「これなら絹も、移動中勉強できるで!」

絹恵「え、酔いそう……」

洋榎「酔い止めも用意!」

絹恵「わぁ、用意いー……」

絹恵(どうせならお姉ちゃんとお喋りしながらがよかったなぁ……)

洋榎「とりあえずオカンに車借りなきゃアカンし、起こしてくるわ」

絹恵「そのフライパンとお玉はここに置いてかんと多分お姉ちゃん殴るための武器にされるで」

 
洋榎「と、いうわけで、鍵持ってき損ねた」

絹恵「見るも無残な青あざが……」

洋榎「叩き起こしたら絶対不機嫌なる思ってな……」

絹恵「あ、それは分かってたんや」

洋榎「耳打ちで『車借りんでー』言うて、『うーん』って呻いたら了承したとみなすつもりだってん」

絹恵「うわぁ」

洋榎「一応言質取るためにカセットレコーダー持ってってんけど」

洋榎「まさかレコーダーで録音開始したガチンって音に反応してスラムダンク式ハエたたきを繰り出されるとは……」

絹恵「寝相悪いもんなぁ……」

 
洋榎「でもラーメンは食べたい」

絹恵「あ、こだわるんや」

洋榎「脳がラーメンになってもーたからな」

絹恵「……ちょっと分かるかも」

洋榎「深夜のこのラーメン欲求、ちょっとやそっとじゃ開放されへんわ」

絹恵「どうしよ、この辺のラーメン屋徒歩で回るん……?」

洋榎「う~ん……」

洋榎「……」

洋榎「スズん家、車あったよな」

絹恵「え」

 
絹恵「お姉ちゃん、さすがにそれは……」

洋榎「わあっとるって」

洋榎「さすがにアポ無しで受験生宅に深夜に押しかけたりせーへんわ」

洋榎「大学の連中ならともかく」

絹恵「大学の人にならやるんだ……」

洋榎「まあ、紹介前だし、今回はやめとくけどな」

洋榎「とりあえず、メールしてみ」

洋榎「今起きてるかって」

絹恵「ん、わかった」 メルメルメル

 
絹恵「大学の友達とかに車出してもらうとか…・・」

洋榎「絹、知らん奴おったら気まずいやろ」

絹恵「あ、気にしてくれるんや」

洋榎「そらな」

洋榎「可愛い大切な妹やさかい」

絹恵「えへへ……」

絹恵「私も、お姉ちゃんのこと、世界で一番――」 ダーッシュダーッシュダッシューwwwww

洋榎「あ、メールやん。スズちゃう?」

絹恵「……せやな」 キーックエーンドダッs

絹恵「ああ、うん、起きとるみたいや」

 
洋榎「んで、どんな感じや?」

絹恵「あ、何か丁度勉強区切りついたから、寝ようとした所みたい」

絹恵「バッドタイミングやわぁ……」

洋榎「え? グッドタイミングやん」

洋榎「勉強終わったっちゅーことは、気兼ねなくラーメンに連れてける」

絹恵「え」

洋榎「とりあえずスズん家向かうでー!」

洋榎「絹、メールでその旨伝えといてやー!」

絹恵「ええー……」

 
洋榎「よーうスズ!」

漫「げ、ほんまに来た……」

洋榎「げっ、って何やねん、げっ、って」

洋榎「おう姫松のレジェンドイズムあふれる元主将やぞ」

漫「あ、私の中の主将はもうすっかり絹ちゃんなんで」

洋榎「なんやとこら!」

絹恵「あ、あんまり家の前で騒ぐと迷惑やって!」

漫「よかった、玄関出ておいて……」

洋榎「寒いから入れてほしいねんけど」

漫「眠いから帰ってほしいんですけど」

洋榎「なーんーやーとー」 グリグリグリグリ

漫「ああああああ……!」

絹恵(受験ノイローゼんなってから漫ちゃんも口悪なったなぁ)

 
洋榎「まぁまぁ」

洋榎「ラーメン食いに行くのに車貸してくれたらええから」

漫「そんな理由でウチまで歩いてきたんですか!?」

漫「ケッコーな距離ですよ……」

洋榎「あれ、絹言うてないん?」

絹恵「上手く説明出来る気せえへんかったから、今お姉ちゃんが向かってるとだけ言うといた」

洋榎「ふぅん」

洋榎「まあええや」

洋榎「ラーメン行くでー」

漫「いや、その、割りとお腹いっぱいなんですけど……」

 
洋榎「ところで……めっちゃ綺麗な車あるやん」

漫「あ、それ、パp……父がこうたんです」

絹恵(パパって言うた)

洋榎(パパって言うとるんや、こいつ……)

洋榎「新車かぁ、ええなぁ」

洋榎「ウチ、スズん家言うたらあのワゴンのイメージやわ」

漫「あれ、大学に受かったら私にくれるって話なんですよー」 エヘヘ

漫「どこの大学行っても通いやすいようにって」

絹恵「えーいいなー」

漫「へへ……」

洋榎「絹、大阪の大学希望やないっけ?」

漫「そうなんですけど、前期で落ちたらランク下げて東京の大学の後期受けようかと……」

洋榎「ふうん」

洋榎「とりあえず、試乗するでー! 新車ドライブや!」

漫「とりあえずじゃないですから! 大体その車のキーはパパが持ってますし!!」

 
洋榎「ってことは、あの車のキーは、ぱ、パパ……ブフォッ」

漫「ちょお、何で笑うんですか!」

洋榎「いや、す、すまん……」

洋榎「えー……パファッ……ウッフwwwww」

絹恵「アカン、お姉ちゃん深夜テンションに入ってもーとる」

絹恵「……多分、こーいうことや」

絹恵「つまり、あの車じゃない方のキーは、お父さん以外の人が持ってるってことかって」

漫「……うっ」

絹恵「……漫ちゃん、ほんまわかりやすいなあ」

漫「……受験勉強の励みにするため、お守りみたいな感じで持ってるんですよ……」

 
洋榎「つまり、あの車なら乗れるわけやな」

漫「ちょ!」

洋榎「まあまあ」

洋榎「よーく考えてみ」

洋榎「新車を持ち主であるオトンに黙って乗り回すより」

洋榎「自分の車にフライング乗車する方がマシやろ?」

漫「……確かに……」

絹恵(漫ちゃんも多分眠気で頭回っとらんな)

 
洋榎「別に漫は寝ててもええんやで」

漫「不安だし、同乗しますって」

洋榎「まあ、つくまで寝てても起こしたるさかい」

漫「……運転は大学生になってからって約束ですし、代わりませんからね」

洋榎「わあっとるって」

洋榎「ぱ……パピーとの約束やもんな……」 プクク

絹恵「ブフッwwwwwぱ、パピーって……!」 プルプル

漫「乗せたげませんよ!!!」

洋榎「す、すまんすまん、冗談やってwwwwwwwww」

 
漫「……そーいえば、免許なんて取ってたんですね」

洋榎「おう、一昨日取った」

漫「…………」

漫「は?」

洋榎「ええっと、これ右がアクセルやっけ?」

漫「ちょ、あの、運転経験は――」

洋榎「ない!」 キリッ

洋榎「いやー、ほら、なんつーの?」

洋榎「初めての運転やから、まずは愛しい妹とダチでも乗せたろーかなと」

漫「ちょ、ま――――」

洋榎「発進ンンンンーーーーーーーーッ!」

 
漫「揺れとる! こわい!! アカン死んでまう……!」

洋榎「ビビリすぎやでー!」

洋榎「長野にはもっとやばい奴もおったっちゅーし、そーゆーのに比べたらこんなもん児戯や!」

絹恵「さすがお姉ちゃん、縦揺れがそんなにひどくない!」

漫「いや、横揺れしてる方が問題やから!」

ガガガガガ

洋榎「あ、縁石乗り上げた」

漫「ちょお!?」

洋榎「ダイジョーブ、ダイジョーブ」

洋榎「75%パーフェクトね」

漫「それはパーフェクトとは言わないし、傷つけるの勘弁して下さいよ!」

洋榎「ダイジョブダイジョブ、綺麗に乗り上げたから、こすってないこすってない」

漫「車体斜めにしたまま縁石走らないでくださうぃっ」 ガブッ

洋榎「あ、舌噛んだ」

絹恵「縁石による激しいアップダウンの中絶叫するから……」

 
漫「おぅええ……夜食戻しそう……」

絹恵「ああ、お腹一杯言うてたもんな」

洋榎「だらしないなー」

洋榎「ほら、傷ひとつついてへんやろ」

漫「無理矢理にでも止めてなきゃついてましたって!」

洋榎「もっと先輩信じろや」

漫「無理です」

洋榎「んー……でもどないしよ」

洋榎「スズに運転させへん場合、ウチか絹しか選択肢ないで」

絹恵「うーん……」

絹恵「……あ」

絹恵「無いなら選択肢を作るっていうのはどうかな」

 
ヴ~~~~……

恭子「……バイブうっさい……」

恭子「こんな時間に出るわけないやろ……」 フトンモグリモグリ

恭子「……」

ベッドノ~マワリ~ニ~ナニモカモヌギチラシテ~♪

恭子「!!」 ガバッ

恭子「この着うた……漫ちゃん!?」

恭子「受験やからメールも自重しとったのに……」

恭子「しかしいきなり電話なんて……何か相談やろか」

恭子「あ、寝ようとしてたこと悟られんようにした方がええかな?」

ハンナッサァナイィ~~~♪

恭子「……アカン、曲終わりそうや、はよ出な」 ピッ

恭子「もしもし、漫ちゃん?」

洋榎『おーう、恭子か』

恭子「」

 
恭子「……まんまと呼び出されてしまいましたけども」

洋榎「すまんな」

漫「すんません、巻き込んで……」

恭子「ええよ、別に」

恭子「……洋榎は受験生の漫ちゃん巻き込んだこと反省して下さいよ」

恭子「漫ちゃんはムラッ気持ちだから、変なことしない方がいいんですから」

恭子「ただでさえ絹ちゃんとちごうて私立大学滑っとって国立落ちたら浪人なのに」

漫「はは……」

洋榎「恭子。お前が漫にトドメさしかけとるで」

 
恭子「……ちなみに、私、まだ免許取れてないですよ」

洋榎「え」

絹恵「結局お姉ちゃんの運転かあ……」

漫「そんな……」 カタカタ

恭子「……まあ、教習所は通っとるし、無茶な運転させへんよう横からアドバイスするくらいなら出来るわ」

漫「おお!」

絹恵「申し訳ないですけど、お姉ちゃんの人生初運転の助手席は座らせてもらうことになってるんで」 マガオッ

漫「おお……?」

恭子「ま、まあ、後ろからでもアドバイスできるけども」

恭子(一緒の高校通えんくなって、シスコンに磨きがかかっとるな……)

 
洋榎「よっしゃ主発進行や!」

恭子「んで、どこ目指しとるん?」

絹恵「まさに今その話をしてたんですよ」

洋榎「無難なのは天一やと思うんやけどなぁ」

恭子「あー……私あんまり好きやないですわ」

漫「あそこ餃子は美味しいんですけどねえ」

洋榎「んじゃどこがええねん」

洋榎「古潭とかホープ軒とか……あと亀王とか?」

漫「花月はこの辺にありましたっけ?」

絹恵「ラーメン言うても色々種類あるからなぁ……」

洋榎「台湾ラーメン食うのもありやな」

恭子「……ようその計画性で車発進させたな」

 
恭子「んで、今はどこ向かっとるん?」

洋榎「……このワゴン、あと一人なら乗れるからな」

洋榎「ウチと、絹と、恭子と、スズ」

洋榎「……ときたら、もう一人、呼ばにゃならん奴がおるやろ」

絹恵「ああ……確かに」

漫「でも、東京の大学行ったんじゃ……」

洋榎「それでも一応行くだけ行こうの精神や」

洋榎「寝てたり、東京おっても、ウチらが遠回りしただけで済むやろ」

洋榎「……もし大阪おんのに、自分抜きであの頃のメンツが集まっとった、なんてなったら、悲しいやん」

恭子「……それもそうですね」

恭子「メールしてみますね」 メルメルメル

洋榎「あ、ちょ、家の下ついたらゲリラ電話とか思うとったのに!」

恭子「心の準備出来ないからやめてくださいってそーゆーの」

 
由子「うわー、みんな久しぶりなのよー!」

洋榎「はっはっはー、驚いたー?」

由子「驚いたのよー。何の準備もしてなかったしー」

洋榎「あー何もいらんいらん。ウチから呼んだし、ラーメン一杯くらいなら奢ったる」

漫「え!?」

洋榎「スズには車賃もあるし、他にも出したるわ」

漫「そんなこと言われるとは思ってなかったのでリアクションが上手くでてこーへんですわ」

絹恵「そういえば、真瀬先輩帰ってたんですね。いつまでこっちに?」

由子「ずっとコッチかもしれないのよー」

洋榎「え?」

由子「色々あって大学を辞めてしまったのよー」

洋榎「お、おう……驚きすぎてマジでちょっとどうしたらええかわからんわ」

恭子「ヘビーすぎて心の準備何も出来てませんからね……」

漫「そんなこと言われるとは思ってなかったのでリアクションが上手くでてこーへんですわ……」

絹恵「笑えへん……」

 
由子「それで、どこのラーメン屋にいくのー?」

洋榎「あ、えと……」

洋榎「一応車出してくれたスズの好みに合わせよいう話やってんけど」

由子「私はそれでいいのよー」

恭子「私も漫ちゃんの意見に従うし」

漫「ええ」

絹恵「漫ちゃん、ラーメンなら何系が好きなん?」

恭子「お店開いてるジャンル選ばなかったら、額に拉の字な」

漫「ええ!?」

洋榎「ええから、気軽に選び」

漫「まあ、好きなのは、とんこつですけど……」

恭子「このへんで豚骨……どこかあったっけ……」

洋榎「よっしゃ、行き先決まりやな!」

洋榎「うんまい本場の博多ラーメン食わせたるわ!」

漫「へえ、そんなお店あるんですか。楽しみー」

 
恭子「ああもう、ハンドル切りすぎやって」

洋榎「悪い悪い」

由子「相変わらず、恭子がいないと洋榎は見ていて不安なのよー」

漫「大学とかちゃんとやれてるんですかね……」

洋榎「ばっかお前ー」

洋榎「大学じゃウチはむしろストッパー役やでぇ?」

恭子「ダウト」

漫「ウソですね」

由子「あ、笑った方がいい?」

洋榎「お前らな」

 
絹恵「まあ、でも、お姉ちゃん大学入ってからも楽しそうやん」

洋榎「せやなぁ」

洋榎「同じ大学に江口セーラおったし」

漫「楽しそうですね」

恭子「ノーブレーキコンビっちゅー感じやけどな」

由子「見てるだけなら楽しそうなのよー」

絹恵「実際見てると楽しいですよ」 クスクス

洋榎「ばっかお前、あいつに比べたらウチはフッツーの女子やでぇ?」

漫「女子(笑)」

洋榎「スズ、お前トランク入るか」

漫「ええ!? ちょっと半笑いしただけなのに!」

恭子「ええですね。広々しますし、是非ともトランクに閉じ込めましょう。漏らすくらいの長時間」

漫「もはやただのいじめじゃないですかぁ!」

恭子「……冗談やって。さすがに人の車にアンモニア臭なんてバレバレの証拠残るわけやしやらへんから」

漫「マジトーンで弁解しないで下さい逆に不安です」

 
漫「……あれ?」

漫「喋ってって気付きませんでしたけど、この道って……」

恭子「あ、ほんまや。洋榎の運転安定してきたから見とらんかったわ」

由子「道間違えてるのよー」

絹恵「この先高速しかないで、お姉ちゃん」

洋榎「?」

洋榎「せやで?」

漫「え」

洋榎「いや、だから、皆で食いにいくんやろ、本場の豚骨ラーメン」

恭子「……ち、ちなみにどこにあるお店で……?」

洋榎「そら、豚骨っちゅーたら、博多やろ」

漫「えええええええええええええ!?」

恭子「この時間から博多ァ!? ちょ、何も聞いてへんのやけど!」

絹恵「あ、高速通った」

由子「もう引き返せないのよー……」

 
洋榎「……問題が発生した」

恭子「はやないですか」

由子「まだ1時間も運転してないのよー」

洋榎「クッソ眠たい。寝てもええやろか」

恭子「いいわけないやないですか!」

洋榎「いやほら漫だって寝とるし。居眠り居眠り。爆睡はせーへん」

由子「受験で疲れて爆睡してる漫ちゃんとは事情が違うのよー」

絹恵「……私もちょっと眠いかも……」

恭子「ああ、絹ちゃんは寝てもええで」

絹恵「じゃあ、寝やすいようお姉ちゃんにもたれかかって……」

恭子「それは危ないからNGかなー」

絹恵「ほんなら膝枕で」

洋榎「もー、甘えんぼやなー絹は」

由子「深夜で空いてなかったら多分今頃誰頭にタックルしてたと思うのよー」

恭子「ああああ胃が痛い……」

 
由子「まあ、私免許とったし、交互で寝ながら運転するのよー」

洋榎「さっすが由子や!」

由子「その代わりチャーシューメンをおごるのよー」

洋榎「ほいさー」

由子「……こうやって、突発的に旅行に行くって楽しいのよー」

恭子「……」

恭子「そう言われたら、引き返させるわけにいかんくなるなぁ」

恭子「まぁ、交互に寝ながら目指すとしましょか!」

洋榎「おーう!」

 
漫「くあ……おはようございます……」

由子「おはよーなのよー」

漫「あれ、運転変わったんですか?」

恭子「さっきサービスエリアでな」

恭子「……まだ寝とってもええんやで」

由子「そうよー。多分まだ岡山だしー」

恭子「ウチが起きてとるから、由子の心配はいらんしな」

恭子「まあ、由子なら放置しても問題なさそうやけど」

由子「別に恭子も寝ていいのよー」

恭子「ええよ。一人になったら暇やろ」

漫「あ、私も起きてますよ」

漫「受験生ですし、睡眠時間いっつもこんなもんでしたから」

恭子「……ちなみに、今日勉強道具は?」

漫「……こんな時間になるとは思ってなかったもので持ってきてないですねえ……」

恭子「そらまたご愁傷さま……」

 
洋榎「生きてーてーよかったぁー生きてーてーよかったぁ~~~」

絹恵「ん……」

洋榎「あ、起こしてもーた?」

絹恵「おはよ……」

絹恵「……お姉ちゃん、もしかしてずっと……」

洋榎「いや、ローテしとるで。今はウチが起きてる番に戻っただけや」

漫「今にも寝そうだから、山手線ゲームとかシリトリでとりあえず頭を動かそうと……」

絹恵「ああ、それで歌を……」

洋榎「よくわからん内に、山の手シリトリとかはじめてもーてん。ちなみにお題は『今みたいなドライブ時に自分が聴きたい歌』や」

絹恵「またそんな主観中心で捏造し放題な」

洋榎「だからこそ、ギブアップなんてプライドが許さへんねん。いくらでも捏造できるのに~的な」

洋榎「ほれ、『深夜高速』の『く』やで」

漫「えー……んじゃあ、あぁ~何ぃも~か~も~」

洋榎「それわからんわー」

絹恵(グダグダなうえにあんまり楽しそうじゃないなぁ二人共)

 
洋榎「もう広島も通り過ぎたなー……」

漫「……広島かぁ。懐かしいですね、全国大会」

絹恵「二年連続で初戦で家老渡と当たるなんて思わんかったもんなぁ」

漫「めっちゃライバル視されててわろてまいましたわ」

洋榎「いやー、ええことやで、ライバルと切磋琢磨するのは」

洋榎「あー広島寄ってお好み焼き食いたい気分やわ」

漫「はあ!?」

洋榎「ジョークやジョーク」

洋榎「広島風なんていうよくわからんお好み焼き食えるかい」

漫「そーゆー問題ではなく」

 
恭子「ふぁ……」

洋榎「はよー」

恭子「今どの編……?」

洋榎「もうすぐ下関やで」

絹恵「暗かったのもあって、外の景色全然わからへんし、ピンとこーへんなぁ」

由子「もう明るくなってきてるのよー」

漫「渦潮とか見たかったですけどねえ」

洋榎「ふぐ食いたいわ」

恭子「おい」

洋榎「ジョークやって」

漫「あ、もうすぐ関門海峡ですよね」

洋榎「楽しそうやないの」

漫「まあ、ここまで来てまいましたし、楽しまな損かなって……」

洋榎「わかっとるやんけー」

洋榎「何でも世の中楽しく受け止めたモン勝ちやで!」

 
洋榎「あっはっは! 関門海峡クゥリアーーーー!!」

恭子「深夜テンションですね……」

漫「……」

恭子「……漫ちゃん?」

漫「きぼぢわるい」

絹恵「え」

漫「……何か……」

漫「半端にお腹減ったし酔いやすい位置にいるし運転荒いし」

漫「あと飲まず喰わずだったのに加えて、トイレも行ってないもんですから……」 ウェップ

恭子「そーゆーことはもっとはよ言わな!」

恭子「もうサービスエリア当分ないんちゃう!?」

漫「おしっこも漏れそう……」

恭子「そ、そう。まあ、最悪そっちはペットボトルにでも……」

漫「な、なんか目が怖いですよ……」

恭子「気分悪いからそう見えるだけやろ」

 
洋榎「調子こいてウィリーしたのがあかんかったかな……」

由子「運転極めたとか言って調子こくからなのよー」

漫「マジでやばいですわこれ……」 ウウ

恭子「大丈b――」

タユン

恭子「うっ……」

恭子(気分が悪くて前かがみになってるせいで、漫ちゃんの豊満なおもちが……!)

洋榎「と、とりあえず急いでどっか休める所ないか探すで!」

ガタン

漫「うおっふ」

フヨン

恭子「!?」

恭子(やわらかく……そしていてジューシーなこの感覚っ……!)

恭子(こ、これがお餅の持つ者の感触なんか……!?)

恭子(つ、つっついたらどーゆー風になるんか、試したい……!) ゴクリ

 
ガタンガタン

恭子(いや、でも、寝てる後輩のおもち触るとか、変態みたいやない……)

タユユンボヨンボヨン

恭子「……」

恭子(で、でもこの揺れっぷり……嫌でも目が……)

ブルルンブルン

恭子(いや、見てるだけや、手を出したら……)

プルルンタユンタユン

恭子(……)

恭子(あれ……ひたすら揺れるお餅見とったら何か気持ち悪――――)

オロロロロロロロ

ゴボォ・・・ビチャビチャビチャ

絹恵「きゃあああああ!! は、吐いたア!?」

洋榎「何ィ!?」

由子「予想に反して恭子の方がマーライオンになってるのよー!」

 
漫「ぢょ、車の中で吐くのは――――ウオップ」

ゴボッ・・・ドババババビチャア

絹恵「うわー! 漫ちゃんも爆発してもーた!」

由子「どどどどうすればいいのよー!?」

絹恵「と、とりあえずあんまり汚れが広まらんように……」

洋榎「ウィリーーーーー!」 バッ

絹恵「ええーーーー!?」

洋榎「これによって、ゲボがこっちに流れてくることを防げるし……」

洋榎「ウチのウィリーが偶然でなかったことも見せつけられるッ!」

由子「その虚栄心はいらなかったのよー!」 ウボァー!

絹恵「あああ、真瀬さんがゲロの海に……」

 
洋榎「博多ァ!」

絹恵「長かった……何より困難で、ファブリーズなしでは到底たどり着けない道のりだった……」

洋榎「相変わらず三人はダウンか」

由子「私はちょっと回復したのよー」 フラフラ

絹恵「……どないするん、車」

洋榎「と、とりあえず臭い消したりとかあるしー」

洋榎「一旦、こいつはこいつで置いておいた方がいいかもな」

絹恵「まあ、このまま車また乗ったら、また吐いちゃう人出そうやしなあ」

洋榎「まあいい具合に店が開く時間帯安やし、適当にラーメン食おうか!」

 
洋榎「スズ、何か入りたい店とかある?」

漫「薬局……」 ゲッソリ

洋榎「ラーメンで」

漫「何も食べたない……」 ウェップ

洋榎「マジか」

洋榎「ラーメン食わんの?」

漫「しばらくはちょっと……」

洋榎「マージでかー」

絹恵「どないするん?」

洋榎「まあ、折角やし、朝ラーメンの昼ラーメンでもええやろ」

絹恵「飽きへん?」

洋榎「味変えたらイケる」

洋榎「明太子とかも名物やけど、どこにあるのかわからんしな」

洋榎「てなわけで、朝は味噌ラーメンでも食べようや」

絹恵(味噌ラーメンなら博多にわざわざ出なくてもよかったんじゃ……)

洋榎「つっても、この辺地理よくわからんしなぁ」

絹恵「グロッキー3人おるから、あんまり無計画にうろつけんよ?」

洋榎「わあっとる」

洋榎「交番でも入ってみるか、誰かに聞くか――」

洋榎「…・・ん?」

絹恵「どないしたん?」

洋榎「いや……ちょいと知った顔があってな」

絹恵「知った顔……?」

洋榎「ほれ」 スッ

絹恵(指きれー……じゃない。この指の先にいるのは……)






哩「こんな幸せな時間が過ごせるなんて思ってなかったと……///」

姫子「私もです……///」 ポ;ツ

眠気が限界値点超えたし、哩さん出すまでいけたので、一旦中断して寝ます。
保守してくれると助かります。

 
姫子「……ま、哩さん……」

哩「……まだ名前呼びは慣れなかと?」

姫子「ちょっと、まだ照れ臭うて……」

哩「……その内、慣れっと」

哩「これからもずっと一緒ばい」

哩「いやでも慣れる」 スッ

姫子「あっ……///」

洋榎「すんませーん」

哩「」

姫子「」

洋榎「あ、お取り込み中? すまんすまん」

洋榎「まあほら、パーッと道教えてくれたらええから」

由子「ど、どう見てもキスしようとしてたのよー」

絹恵「ホントに聞きに行くなんて……」

 
恭子「あー……しんどい……」

由子「大丈夫ー?」

恭子「……戦犯は?」

由子「今、ラーメン屋の場所聞いてるのよー」

恭子「この状況でまだ食欲あるんか……」 ウェップ

由子「でも、あの人気さくに声かけてるけど、知り合いなのかしらー?」

恭子「ん? ああ……新道寺の二人ですね」

恭子「鶴田――あのちまっこい方は、確か個人戦で洋榎がボコボコにしたことがあったような……」

由子「でも、もう一人の真面目そうな人に絡んでるのよー」

恭子「あー……高校選抜で一緒だったって話を聞いたような……」

絹恵「一度気が合ったら友達感覚やから……」

由子「麻雀について、一瞬でも意気投合しちゃったらそれが命取りなのよー」

 
洋榎「いやーこれが有名な博多名物リザベーションコンビかー」 ピロリーン

哩「やかまし……って何撮っとぉ!」

洋榎「写メや写メ」

洋榎「懐かしの新道寺黄金コンビ、卒業後の密会!!」

洋榎「……大学の連中に見せたろ」

姫子「え」

洋榎「はい、皆にてんそーっと」 ポチー

哩「だあああああああああ!」

洋榎「いやー、しかし、こんな遠方でダチに会えるなんてなー」 ハッハッッハ

哩「お前なんか友達でもなんでもなか!」

姫子「可能なら知り合いのリストからも消したいくらいばい」

絹恵(凄い言われよう……)

 
洋榎「まあ、とりあえず、ウチら、ラーメン食いにきてん」

哩「ああ、そう」

洋榎「美味い店教えてや」

哩「何でそがぁなこと……」

洋榎「まーまー」

洋榎「地元民の意見ってクッソ貴重やん」

姫子「……教えてさっさと追い払った方がよくないですか?」

哩「そうだな、さっさとお引き取り願おう」

洋榎「あれ、今追い払う言うた?」

哩「ちなみに濃厚スープで大丈夫か?」

洋榎「あ、濃厚豚骨は夜食べるから」

哩「……あ?」

洋榎「博多でうまい味噌ラーメン教えてや!」

哩「馬鹿にしとると?」

 
洋榎「いや、だって博多って言ったらラーメンと明太子のイメージしかないし……」

哩「姫子、ちょっとそこのブロック取ってもらってよか?」

姫子「殺すならもうちょっと裏路地でやらないと」

洋榎「やめーやフィジカル弱いねんでウチ」

洋榎「まぁとにかく味噌ラーメン!」

洋榎「味噌ラーメンが食いたいんや!」

哩「あーもう面倒臭か……」

哩「味噌ラーメンなら文句言わんとね?」

洋榎「わーい、さっすが地元民様!」

洋榎「かっこいいわー惚れてまうわー飴ちゃんやろか?」

哩「自分で舐めてその口閉じてろ」

 
哩「んじゃ、ほら」

哩「ここで食えばよか」

洋榎「ローソンやないか!!」

哩「ここなら味噌ラーメン置いてると思うばい」

洋榎「何で博多まで来てカップ麺食べなきゃアカンねん!」

哩「ほら、あったそ。サッポロ一番味噌ラーメン」

洋榎「それ食うならハナから札幌行っとるわ!」

絹恵「落ち着いてお姉ちゃん、博多よりも数倍難易度高いよそれは!」

姫子「ていうかお店の味噌ラーメン食べるためだけに博多に来るのもどうかしとっと」

洋榎「豚骨ラーメンも食うから」 キリッ

漫(それでも馬鹿だよなあ、この計画性の無さは……)

                   -‐…‐-ミ     _人人__
                _人ノ/. : : : : : : : : : . ヽ  __)  (_
              _ノ  〃У: { ; :{ :廴Ⅵ〃ヾ.  _)  (_
              __,) // : { ィ≦: : ≫=ミ、|: : : .\`YY´
              _)  ノ :/ :Yr'ハ ⌒`辷リ j: : : :\`ヽ  n_00
              `て(/ /. .:ハ.ゞ゚'   ""` 从: : : : ヽノ  |┌‐┘
               //{ : : イ:.ハ'"" tっ   /j从: : : : }   L.二コ 
                {ハ: :( ヽ从≧ッ。 イ |;从ハハ 从ノ   n_00
                  ⌒ヽ_ . イ{j rイ`ァー .ノ′    |┌‐┘
               〃 γ   { V>≦/  〃ハ    L.二コ
                ″ i ,   ∨ニア   ! /   '.   r─┐
                    }/   /ニア     v     i   く,勹|
                  {7  〃=7     マ二二|    く_ノ
                  {{ ∧,イ        }   ',   __
                  i:! ム く}        ハ    ′ └┘/7
                  リ/Уア        / 〈     ,   <ノ
              -‐=ニニ彡'´|ヽ      〈  〈   ′
           ∠ニニ二/ノ io|ヽ       〈   Y    ,
            `¨二=‐- 、  j,人 \   fニニ、  〈    ′ヾ
              . -‐γ´三ニ=-  _      ハ  〈   ,  }}
         〃 〃ニニ仁ニニニニニニニ`ヽマミ 八  '.   ′
         ″ ニ二二{ニニニニニニニマニニ}》 〉<ヽ }   ハ
          ∠ニニニニマニニニニニニニマニフ ∨ / トj 〈 `ー- 'ヽ
          Щニニニニニ寸ニニニニニニア   ∨ij !  「jヽ__..イ
         ニニニニニ}=寸ニニニニニ     辷ノ      j」」」
          ニニニニニ `ー寸ニニニニニ=-‐ ´
             ニニニニニ   寸ニニニニ
             ニニニニニ    寸ニニニ
              ニ二二      寸ニニニ

 
哩「大体味噌ラーメンそんなに食べる機会なか」

姫子「同じく、豚骨以外は自宅でお母さんに袋麺作ってもらっとったばい……」

洋榎「ちっ、博多の変態コンビのやつ、1ミリも役に立たんかったな」 ケッ

哩「……!」

姫子「落ち着いて下さい、後頭部殴るならせめてもうちょい人通り少ない場所でないと!」

絹恵「え、えと、ラーメンミュージアム的なラーメン密集エリアとかは……」

姫子「あー……ラーメンスタジアムか……確かにあるばい」

哩「キャナルシティのとこか……」

姫子「ちょこっと博多駅からは歩くと。」

姫子「ばってん、天神まで歩くよりはちこうし、そこがいいかもわからんね」

 
姫子「今ってどんな店ありましたっけ」

哩「うーん……分かりかねるばい」

絹恵「あ、あんまり来たりしないんですか」

姫子「せんぱ……哩さんは、大学こっちじゃなか」

哩「春休みに帰ってきてくれただけばい、最近のことはそこまで分からんと」

絹恵「まあ、いいかー」

絹恵「おねーちゃん、そのキャメルなんとかってとこに行こうよー」

漫「キャラメルとか言ってたような……」

恭子「あ、ちょっと復活したんや漫ちゃん」

漫「まあ、多少は……」

哩「ちなみにキャナルシティな」

姫子「あっちの方に歩いていけば、めちゃ大きかばい、すぐわかるとよ」

 
洋榎「いやや」

哩「あ?」

洋榎「いーやーやー!」

洋榎「そーゆーとこの味噌ラーメン、大体どっか別の地方の味したチェーン店やもん!」

洋榎「ウチは博多の味噌ラーメンが食べたいんやー!!」

恭子「すんません、ウチのがワガママで……」

哩「いやほんと一発殴っていいですかね」

由子「顔以外なら……」

 
絹恵「もう、お姉ちゃん、あんまりワガママ言うたらあかんよ」

洋榎「だってー」

絹恵「一人はもう博多の人やないって話やし、久々のデートちゃうん?」

絹恵「久々に二人で出かけるって、女の子には大事なことなんや」

絹恵「そりゃもうごっつ大切で、思い出に残る大事なイベントやねん」

絹恵「……ほんと、二人っきりでの久々のお出かけっていうのは、期待でいっぱいで……」

絹恵「予想に反して大人数になると……なんか、こう……」

絹恵「楽しくないわけやなくても……ね……」

哩(何か謎の実感がこもっとる……)

 
洋榎「しゃあないなぁ」

洋榎「じゃあもう豚骨ラーメンでもええわ」

洋榎「博多味噌ラーメン知らんようやし」 ハァー

哩「あいつ死なんかなぁ」

姫子「本音漏れてますよ。まあ賛同ですけど」

洋榎「ちゃう風味の店やったら、まあ朝昼豚骨ラーメンでも飽きへんやろ」

洋榎「ちゅーわけでほら、案内はよー」

哩「」 イッラァ

洋榎「あ、車停めとるし、7人は乗れないから徒歩圏内な!」

哩「この近辺スガキヤってあったっけ?」

姫子「うーん、なかったかと」

洋榎「おう知ってんぞそれ九州ちゃうやろ」

 
哩「二郎系ってこの辺だとどこになるんだ?」

姫子「大はもう撤退したっちゅー話です」

哩「塩二郎は期間限定だったよな……」

姫子「なんとか喰わせたかったとですが……」

洋榎「何か不吉な単語聞こえとるで」

絹恵「もうラーメンはお昼でええんちゃう?」

漫「回復はしましたけど、朝からこってりラーメンってのも……」

洋榎「え」

恭子「三食全部名物に拘る必要はないですよ」

洋榎「ええー!」

絹恵「あ、お姉ちゃん、ちゃんぽんにするとかどう?」

洋榎「いややー! 博多を味わいたいー!」

 
洋榎「何が悲しゅうてレンチンしたコンビニのゴハンに博多駅でこうた明太子乗せて食べなあかんねん……」

絹恵「まぁまぁ」

漫「このくらい軽い方が食べやすいですし」

恭子「あ、おいしい」

由子「さすが、現地の人が選んでくれたやつだけあるのよー」

姫子「……まあ、これくらいは」

哩「それじゃ、私達はそろそろおいとましようか」

哩「ラーメン屋なら、歩いていけばゴロゴロ見つかるしな」

洋榎「ちょお待てーや」

哩「ん?」

洋榎「折角やし、ラーメン食うまでガイドとして付き合えって」

 
哩「何で私達が……」

洋榎「ウチらだけやと博多っぽいところわからへんもん」

洋榎「それを考えると、博多を知ってて他の県も知ってる奴おったら博多満喫できるやろ」

哩「適当にカラオケなり映画なり行けよ」

洋榎「いーやーやー!」

洋榎「博多っぽい遊びしーたーいぃ~~~~~!」

哩「博多の塩でも全身に塗りたくっとけ」 イッラァ

 
洋榎「ええから遊ぼうやー」

哩「断る」

哩「たまには同郷の友人と二人でゆっくりさせてくれ」

洋榎「ぶー」

絹恵(この期に及んで友人って言いはるんや……)

哩「まったく……」

???「おや、あそこにいるのは……」

姫子「いきましょ、哩さん」

姫子「デートの続き……したかと」

姫子「ああ……」

煌「やはりお二人でしたか。偶然会えるとは、すばらです!」

 
姫子「おお、花田ー」

煌「お久しぶりです」

哩「半年以上ぶり、か」

煌「お二人は逢引ですか?」

姫子「逢引って……」

煌「ふうむ、良ければ食事でもしながら、と思いましたが、邪魔になりそうですね」

姫子「よかよーそがなこと気にせんとー」 キャッキャキャッキャ

哩「昨日一昨日と二人で十分楽しんだしな」

姫子「今日くらい二人っきりじゃなくてもよかよかー」 キャッキャ

洋榎「ほほう」

哩「……まだ帰っとらったんかったんか」

洋榎「暇やったからつけててん」

哩「タチ悪いな捕まれよ」

 
煌「おや、貴女は……」

洋榎「姫松の伝説・愛宕洋榎とはウチのことやでー!」

煌「ここで有名人に会えるとは、すばらです」

煌「大学に進学したと聞いていますが、リーグ戦はどのような感じで?」

洋榎「……」 ズーン

煌「あれ?」

絹恵「すんません、何か部の伝統なのか何なのか試合で自分より弱い上級生に枠取られたことで不満タラして……」

絹恵「何でも部のドン的な人に目をつけられて試合出してもらえんかったそうです」

煌「うわあ聞きたくなかった。すばらくない」

洋榎「ええねん、ええねん!」

洋榎「麻雀ならいつでも打てるしな!!」

煌「では1局打っていきますか?」

煌「丁度8人ですし」

哩「んなっ……」

 
洋榎「んー、迷うけど、まだいいや」

洋榎「恭子達とはまた大阪でサンマしまくるやろうし」

洋榎「雀荘行くより、ウチは自宅でダラダラ派やねん」

煌「なるほど」

煌「ウチは寮なので残念ながら招待出来ませんしね」

哩「何か私らも入る前提で話が進んでいるが……」

煌「?」

煌「あれ、一緒に遊ぶという流れだったのでは?」

哩「……」

哩「よし、こうしよう」

哩「何かでゲームでもして、私達が負けたら、夜まででも時間つぶしに付き合う」

洋榎「ほう」

哩「私達が勝ったら即刻博多から退去しろ、もしくは死ね」

洋榎「死ね!?」

哩「出来るなら死ね」

 
洋榎「まあ、でもおもろいやんけ!」

洋榎「そーゆーのめっちゃ好きやわ」

哩「だと思ったから提案したんだよ」

哩「……こーでもしないと、お前私が縦に首振るまで駄々こね続けたろ」

洋榎「あたり前田のクラッカーや」

煌「しかし、何で対決するんです?」

由子「学生らしくカラオケとか?」

洋榎「あ、カラオケはパス」

恭子「え?」

姫子「意外……好きそうなんに」

洋榎「歌ならもう車内で嫌っちゅーほど歌ったし」

洋榎「あとシャウトでうっかりゲロまで出たら困るやろ」

哩「困るっつーか殴る」

 
洋榎「まあ、とりあえず何でもええけど、遊ぼうやー」

漫「あ、今回は九州っぽい遊びとか言い出さないんですね」

洋榎「まぁな」

洋榎「ジャスコ探検とか言われても困るし」

絹恵「確かに……」

洋榎「多分博多の遊びってジャスコ行くか公園行くかの二択やろ」

哩「馬鹿にしとっと!? あ!?」

姫子「落ち着いて下さい手を汚す時は私がしますから!」

 
恭子「でも何するん?」

漫「対決は楽しそうですけど、人数比的にムズカシイですよね」

絹恵「こっちが去年の姫松大集合だし、新道寺の去年のメンバー大集合とか……」

哩「他の二人も県外に出てたはず……」

姫子「江崎先輩はこの前帰ってきてましたけど、もう東京戻られましたね」

煌「安河内さんも春は帰ってこないという話を聞きましたね」

哩「……まあ、3VS3の選抜でもいいだろ」

煌「私は別に姫松の人と遊んでもいい側ですが……」

煌「どうせなら、本気で戦った方が楽しいですし、いいでしょう」

煌「負けないように頑張r……」

煌「おや?」

 
哩「どうかしたか?」

煌「どうやらこちらの陣営も5人揃えられそうですよ」

洋榎「ほほう」

煌「ちょうどいい所に、私の知り合いが二人ほど! すばらです!」

煌「ちょっと呼んできますね!」



すばらが呼んできた人(咲キャラなら年齢・地域どこの人でも可)
>>229-230

 
煌「と、いうわけで、我がソウルメイトのお二人です」

竜華「どうもー」

姫子「こうして改めてお話するのは初ですねー」

怜「せやなあ。ええ腿しとるし、いつかお話してみたいとは思っててん」

哩「もも?」

洋榎「って、何や、あんたらも来てたんか」

竜華「お、姫松やん」

竜華「セーラと一緒の学校やんな、元気しとる?」

洋榎「無駄に元気やで」

洋榎「そっちはもうプロやろ、どんな感じや」

竜華「いやー、やっぱりプロの凄さを日々痛感しとるわ」

怜「……ていうか、3年生ズおるけど、受験平気なん?」

煌「私はもう推薦で決まっているのでご心配なくっ」

姫子「A判定だし、たまの息抜きは大事だからええ」

漫「お腹痛くなってきた……」 キリキリ

 
哩「というか、デートの最中だったんじゃ……」

竜華「はは、まあ、博多デートでしたけど、2日目ですし」

怜「まだ宿泊予定やから、1日くらい付き合うでー」

煌「ふむ、楽しい感じですばらです」

洋榎「ふふふ……九州だけでなく、あの因縁の千里山とも戦えるとはついとるでー!」

洋榎「ほんで、何で勝負する?」

哩「もう面倒だしじゃんけんでいいんじゃないか? 勝ち抜き戦で」

洋榎「いややー楽しもうやー!」

絹恵「っていうか、一巡先を見るとか噂の園城寺さんいたら勝てませんし……」

 
煌「ふーむ、では、あれなどどうでしょう」

姫子「あれ?」

煌「ボーリング、です」

洋榎「ほほう」

煌「園城寺さん達とあったおかげで、あの大会が懐かしくなりまして……」

煌「そういえば阿知賀にボーリング場を経営しているという子がいたなぁと思い出して提案しただけですけどね」

絹恵「ええんちゃう?」

漫「適度にまったりだし、私はそれでもいいと思います」

怜「ウチ病弱やけど、いってもええかな」

竜華「無理せんかったらええよ」

竜華「怜の分までスコア稼いだる!」

洋榎「よっしゃ、決まりやな!」

哩「じゃあ適当なボーリング場に行こうか」

 
漫「ボーリング、久しぶりかも……」

洋榎「いやー、ボウリングなんて小3時以来やわ」

恭子「私初めてですよ」

絹恵「私もおねーちゃんと行った小学校1年生くらいのが最後かも……」

洋榎「あれ、そうやっけ。ウチもそれが最後だから、じゃあ小2か」

漫「え、そのレベルで久々なんですか!?」

由子「麻雀漬けの毎日だったし、こーゆー施設来る機会自体ほとんどなかったのよー」

哩「……私もボーリングなんてしたことないが、これ経験者が一人いるだけで勝てるんじゃないのか?」

姫子「私は友人と行ったことありますよ」

怜「竜華とデートで一回来たことあるで」

竜華「セーラが好きやから、来たことあるわー」

竜華「高校入ってからは怜とのデートの1回だけやけど」

煌「皆さんすばらです。私は阿知賀の人達に誘われて最近しましたし、負ける気はしませんね!」

洋榎「絶対勝つでお前らー!」

漫(もう負けてラーメン食べて帰りたい……)

 
洋榎「おお、レーン空いとるやん!」 キャッホイ

哩「待て待て待て待て待て」

洋榎「何やねん」

哩「何土足で入ろうとしているんだ」

洋榎「え?」

洋榎「あ、そか。忘れてたわ。土禁やったな」

哩「常識ばなかね。ボーリング場は土禁なのは常識とよ」

洋榎「ぐぬぬ」

哩「ちゃんと裸足にならんと」 ヌギヌギ

洋榎「え?」

哩「ん?」

竜華「……何かあの人予想以上にボーリング知識ないっぽいけど大丈夫なん?」

姫子「わ、私がフォローするから……」

 
姫子「あの、靴は借りるとですよ……」

哩「そ、そーゆーことは早く言わんと」

漫「っていうか、勝手にレーン入っていこうとしてましたよね二人共……」

竜華「受付済ませて靴借りてから所定のレーン行くんやで……」

洋榎「いやーちょっと記憶おぼろげやったわ。しゃーないしゃーない」

由子「はい、受付完了なのよー」

由子「空いてたし、3レーン借りたのよー」

姫子「ちょいと見づらいけど、チームスコア合計の高い方が勝利で」

洋榎「っしゃ、勝ったるでー!」

哩「ふっ……負けるつもりはなか」

漫(やる気に満ち溢れてるけどあの二人が一番不安なんだよなぁ)

 
【第1グループ】

由子「よろしくなのよー」

哩「哩さんの喜ぶ顔を見るためにも、一緒にがんばろーな、花田」

煌「ええ。かつての友と全力で遊ぶ……こんなにすばらなことはない!」



【第2グループ】

竜華「いややー、無茶しそうやから怜と一緒がいいー!」

絹恵「私かて出来るならお姉ちゃんと一緒が……」

恭子(漫ちゃん隣のレーンかー……)



【第3グループ】

怜「あはは。でもま、恨みっこなしのくじ引きやったし、しゃーないよ」

洋榎「直接対決気分が味わえるし、いい組み分けや」

哩「心おったる」

漫(このレーンめっちゃイヤや空気こわい……)

間違えたのよー。第1グループ姫子なのよー。なんもかんもWBCが集中力削るのが悪い。

 
怜「う……重いなあ、デフォで置いてあるやつ」

洋榎「ポンド数とか、どれがいいのかさっぱりやわ」

漫「軽い方が狙いやすいですけど、ある程度重みがないときついですよ」

哩「軽すぎてもダメ、か……」

絹恵「よう分からんし、適当でいいかなぁ」

怜「よっしゃ、これや!」

怜「へへ、投球一番のりー!」 タッタッタッ

竜華「させへんでー、とりゃ!」 ゴロゴロ

怜「うぎゃー、先こされた!」

姫子「楽しそうで何より」

哩「狙いガッタガタで綺麗にガーターだけど……」

洋榎「なにそれギャグか? おもんないわー」

哩「…………!」

姫子「落ち着いて下さい! そのポンド数だと軽く死ねますから!」

由子「軽いのでも普通に殴るとやばいのよー」

 
漫「よっと……あーガーター。次白水さんですよ」 ガコ

絹恵「あ、お姉ちゃん」

洋榎「ん?」

絹恵「あのさ、ボールってどう持つんだったか覚えてる?」

洋榎「うわ、それウチに聞くんか」

哩「ボールの握り……?」

哩「……こうやって持ちやすいように持って転がるだけだろ?」 コロコロ

洋榎「穴ついてるの知ってる?」

怜「普通に掌で持って投げとったな」

漫「なんちゃってかめはめ波みたいなフォーム……」

哩「……?」 コロコロ

 
洋榎「全然ダメやなー自分」

洋榎「ここはウチがお手本見せたるわ!!」

怜「なあ、あれ、人差し指と中指挿れとらん?」 ヒソヒソ

漫「じゃあ突っ込んで下さいよ、私イヤですよ」 ヒソヒソ

洋榎「……」

哩「何かプルプルうずくまっとる」

怜「痛かったんやろうなあ」

漫「おかしなフォームで投げるから……」

洋榎「指から上手く出てかへんかってん……」

哩「潤滑油もないというのに無思慮に指を挿れるからそーなる」

漫(この人もカッコつけてるけどどっかずれてるよなー)

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