真人「理樹!そんなことよりID腹筋でもしようぜ!」
理樹「いないってことはないでしょ」
恭介「いない」
謙吾「理樹じゃないのか?」
真人「マジかよ」
恭介「そうだな。しいて言うなら理樹だ」
理樹「はいはい、冗談はいいから」
真人「振られたぞ」
謙吾「ああ、振られたな」
恭介「……」
理樹「異性でって意味だよ」
恭介「じゃあ鈴」
理樹「じゃあってなにさ。それに鈴は妹でしょ」
恭介「理樹、愛はときに血縁も越えるんだ」
理樹「いや、それ違法だから」
真人「でも、恭介の浮いた話なんて聞いたことねえな」
謙吾「いや、恭介は存外モテてるぞ。この前のバレンタインだって……」
今日二つ目のリトバススレ
>>6
なんか立ってる?
そっち見ようかな
恭介「おい謙吾、言わなくていいことをわざわざ言うのがお前の悪い癖だぞ」
理樹「何かあったの? バレンタイン」
謙吾「二年の女生徒が渡してきたチョコをこいつは断ってな。彼女はその場で泣いてしまったらしい」
理樹「ええっ!」
恭介「……」
理樹「なんで断ったのさ」
恭介「……ホワイトデーのお返しがめんどいから」
真人「なんだそりゃ」
恭介「相手に悪いだろ。気もないのにチョコをもらうなんて」
謙吾「それはわかるが、もう少し断り方ってもんがあるだろう」
恭介「まさかそのセリフをお前に言われるとはな……」
謙吾「俺は誠意をもって対処している。ところがお前ときたら、ぶっきらぼうに突っぱねるだけじゃないか」
恭介「悪いかよ」
謙吾「相手の立場もわかってやれということだ」
理樹「ま、まぁまぁ。そんな言い争わないでよ」
恭介「そもそもお前が言い出したことじゃないか、理樹」
理樹「だ、だって気になるんだよ」
真人「……あ! もしかしてお前も恭介が好きなのか!?」
理樹「な、なんでそうなるのさ」
恭介「俺は大歓迎だが」
理樹「いや、歓迎しなくていいってば!」
とりあえずアドレスだけはっとく
恭介「理樹が記憶喪失になった・・・」 真人「は?」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1361528763/l50)
>>15
おお、サンキュ
布教した甲斐があったってもんだぜ
謙吾「そういえば、こんな恭介でもリトルバスターズのメンバーからはしっかりもらっていたな」
恭介「それを言うならお前もだろ」
謙吾「ま、まぁな」
真人「あいつらのは全部ギリじゃねえのか?」
恭介「つーか、むしろ理樹のおまけだな」
理樹「そんなことないって」
理樹「ところで、メンバーの中には気になる子はいないの?」
恭介「鈴」
理樹「……もう突っ込まないからね」
恭介「じゃあ何なら納得してくれんだよ」
理樹「たとえば……小毬さんとかどう? けっこう仲いいじゃない」
恭介「どうって言われても、別に普通だが」
理樹「それじゃ葉留佳さんは?」
恭介「おいおい、一人ずつ聞いてく気かよ」
謙吾「西園なんかどうだ? 前に青髪フェチとか言ってたじゃないか」
恭介「ありゃ漫画の話だ」
恭介「ていうかなぁ、お前らこそどうなんだよ。メンバーの中に好きな女子の一人や二人いるんじゃないのか?」
真人「逃げたな」
理樹「うん、逃げたね」
謙吾「あからさますぎる」
恭介「お前ら……」
理樹「それでどうなの? 恭介」
恭介「~~~~~~~っ!」
恭介「……あーもう、やめだやめ」スクッ
真人「どこ行くんだよ」
恭介「帰んの。これ以上お前らに質問攻めにされるのはうんざりだからな」
理樹「あ、恭介!」
バタンッ
理樹「行っちゃった……もしかして怒っちゃったかな」
謙吾「さぁな。まぁ、たまにはいいだろう。あいつにはいつも振り回されっぱなしだったからな」
理樹「はは……」
真人「なぁ、俺思ったんだけどよ……」
理樹「なに? 真人」
真人「あいつ、案外マジで好きな奴がいるんじゃねえか?」
理樹「それって、メンバーの中にってこと?」
真人「そりゃわからねえけどよ」
謙吾「それであの反応か……まぁ、ありえん話ではないな」
理樹「一体誰だろうね」
謙吾「まぁ、これ以上詮索するのさすがに無粋だな」
真人「仕方ねぇよ。諦めな、理樹」
謙吾「あぁ、お前にも脈なしってわけじゃないのが今ので十分わかったろう」
理樹「だからそんなんじゃないってば!」
スタスタ...
恭介「……はぁ」
恭介「あいつら、結託して俺をいじりやがって……」
??「あら、棗君じゃない」
恭介「……」ブツブツ
??「あれ……お~い、棗君」
恭介「……ん? っ!?」
ドンッ
??「きゃっ!」
恭介「す、すまん! 余所見してて……って」
恭介「あ、天野じゃないか」
出てない。このSSでは便宜上最有力候補の「天野」にします
あーちゃん「痛ったぁ……」サスサス
恭介「だ、大丈夫か?」
あーちゃん「大丈夫じゃない……主に鼻が」
恭介「ほ、ほんとにすまん……」
あーちゃん「……ひどいよねぇ、まったく」パンパンッ
あーちゃん「また漫画のことばっかり考えながら歩いてたんでしょう」
恭介「べ、別にそんなんじゃねえよ……」
あーちゃん「うそ!」
恭介「は?」
あーちゃん「棗君、嘘つくときはそうやってすぐ目をそらすよね~」
恭介「……」
あーちゃん「ん~?」
恭介「っ!!?」ズザザ
あーちゃん「ど、どうしたの?」
恭介「お、お前いちいち距離が近いんだよ……」
あーちゃん「なに? ……あ、もしかして照れてるの~?」ニヤ
恭介「だ、誰がだよ!」
あーちゃん「かわいいねぇ。このこの~」ツンツン
恭介「や、やめろって……というか、なんでお前が男子寮にいるんだよ」
あーちゃん「ん、あぁ。ちょっと男子寮長さんに用があってね」
恭介「あいつに?」
あーちゃん「うん、今年度の水道費の過多について」
今年度→先月分
恭介「あ……」
恭介(もしかして、この間リトルバスターズでやった寒中水浴び大会のせいか……?)
あーちゃん「どうしたの?」
恭介「い、いや」
あーちゃん「……またうそ」
恭介「うぐっ……」
あーちゃん「さぁ、怒んないから白状しなさいな」
恭介「じ、実はな……」
...カクカクシカジカ
あーちゃん「まーた君たちが原因だったってわけねぇ」
恭介「すまん……」
あーちゃん「まぁ今回は大目に見ましょう。それだけが理由とも考えにくいしね」
恭介「悪いな、天野」
あーちゃん「いいってことよ。悪ガキ共の尻拭いも寮長の務め、ってね」
恭介「……」
あーちゃん「どうしたの? そんなじっと見つめて……なんかついてる?」
恭介「い、いやっ!」
あーちゃん「?」
恭介「そ、それじゃあな。また明日」
あーちゃん「うん、また明日ね。棗君」
恭介「……」
スタスタ...
翌日
恭介「……」
理樹「おはよう、恭介」
真人「おっす」
恭介「おう、お前らか」
理樹「あのさ、恭介……昨日はごめん」
恭介「なんだよ、あらたまって」
理樹「いや、なんかしつこくいろんなこと聞いちゃって」
恭介「あのことか……いいさ。別にそれほど気にしてねぇよ」
恭介「だけど、わかったろ? 俺には好きなやつなんて……」
??「恭介さんの好きな人!?」
??「ほう、これはまた面白いことを聞いてしまったな」
恭介「っ、お前ら……」
理樹「来ヶ谷さん。それに葉留佳さん」
来ヶ谷「やぁ、諸君。ごきげんよう」
葉留佳「おはよーございますっ! ……それでそれで、さっきの話の続きは?」
恭介「……」
葉留佳「ええーっ! なんで黙っちゃうの~!?」
恭介「……なんでも、だ」
葉留佳「ずるいずるい~! ……じゃあ、理樹君に聞いてみよ~っと」
恭介「……」
葉留佳「ねぇ、恭介さんの好きな人ってなに? なんの話?」
理樹「いや、それは……」チラッ
恭介「おい理樹、わかってるよな?」
来ヶ谷「理樹君、恭介氏のことは構わずいいから暴露してしまえ」
理樹「な、なんでもないよ。恭介に『好きな人いるか?』って聞いたら『いない』って答えられただけ」
葉留佳「ええ~、なにそれつまんな~い!」
恭介「ったく、お前は面白ければ何でもいいのかよ」
葉留佳「アッタリ前田のクラッカー、ですヨ!」
恭介「……」
葉留佳「真人くんは? 真人くんは何か知らないの!?」
真人「さぁな」
葉留佳「うわ、つかえない筋肉~」
真人「使えない筋肉ってなんだよ! 筋肉関係ねえだろうが!」
来ヶ谷「本当にそれだけなのか? 少年」
理樹「う、うん」
恭介「しつこいぞ、来ヶ谷」
謙吾「なんだなんだ、騒がしいな」
鈴「まったくだ。少しは周りの迷惑かんがえろ」
理樹「あ、みんな。おはよう」
小毬「おはようですよ~!」
クド「グッモーニン、なのです」
美魚「……おはようございます」
恭介「次から次へと現れやがって……」
美魚「……もしかしてお邪魔でしたか?」
恭介「いや、そうじゃねえけどよ」
来ヶ谷「美魚君、どうやら恭介氏が恋をしているらしい」
恭介「あのなぁ、来ヶ谷……」
美魚「まぁ……相手は直枝さんですか? それとも……まさか井ノ原さん?」
真人「おい西園、なんで俺をドブネズミを見るような目で見る」
理樹「ていうか相手が男限定なのはなんでさ……」
来ヶ谷「もしかして相手は男なのか? 恭介氏」
恭介「……ごちそうさま、っと」
来ヶ谷「ふむ、図星か……」
恭介「っ、なんでそうなる……」
来ヶ谷「なんだ、違ったのか?」
来ヶ谷「ならさっさと本当のことを言えばいい。楽になるぞ」
恭介「……じゃあ理樹」
理樹「へ?」
恭介「俺は理樹が好きだ」
小毬「え、ええ~っ!///」
鈴「きしょい」
クド「み、美魚さんが鼻血を噴き出して倒れましたです!」
謙吾「それは本気か?」
恭介「本気だ本気。理樹、これからよろしくな」
理樹「よ、よろしくなって言われても困るよ!」
美魚「……ふ、二人はどこまで進んでおられるんですか?」
クド「は、鼻血拭いてください!」フキフキ
恭介「そうだな……お互いのパンツを穿き間違えるくらいには」
美魚「あぁっ……」キューバタン
クド「み、美魚さん!」
葉留佳「ど、同棲デスカ!?」
真人「同棲だと! じゃあ理樹のルームメイトである俺はどうなるんだよ!?」
恭介「追放」
真人「うぉおおおおおおお!! 理樹ぃいいいいいい!!」
鈴「つーかお前らきしょい」
恭介「じゃあ俺行くから。お前らも一限遅れんなよ」
スタスタ...
小毬「理樹君、理樹君! ほんとなのっ!?」
理樹「なわけないでしょ……」
葉留佳「姉御、姉御! 衝撃の事実発覚ですネ!」
来ヶ谷「ふふ……そうだな。恭介氏は本当に恋をしているかもしれない」
理樹「ええっ! ウソでしょ、来ヶ谷さん」
真人「うぉおおおおおおお!! 理樹ぃいいいいいい!!」
来ヶ谷「まぁ、落ち着け諸君。私は別に相手が理樹君といったわけではない」
謙吾「お前も感づいたか、来ヶ谷」
来ヶ谷「まぁな」
理樹「ど、どういうこと?」
来ヶ谷「あれは本物の恋心を隠すための下手な芝居ということさ」
理樹「本物の……恋?」
小毬「恭介さん、本当は別の誰かが好きってこと~?」
来ヶ谷「私はそう見ている」
鈴「あのバカ兄貴がか……?」
来ヶ谷「鈴君、あの恭介氏とてまだうら若き男児なのだよ。恋の一つや二つするさ」
鈴「そういうもんか」
来ヶ谷「そういうものさ」
美魚「……ですが、相手はいったいどなたなのですか?」
来ヶ谷「美魚君、もう大丈夫なのか?」
美魚「ええ、来ヶ谷さんの話を聞いて良い具合にクールダウンしてきました」
来ヶ谷「そうか。それで、相手だが……」
...ゴクリ
来ヶ谷「……これはさすがのお姉さんにもわからん」
真人「なんだよ、ダメじゃねえか!」
来ヶ谷「そんなにむやみやたらと買いかぶられても困るぞ」
葉留佳「見当とかないんですかネ?」
理樹「リトルバスターズの誰かとか?」
クド「わ、私たちってことですかー!?」
来ヶ谷「見たところそれはなさそうだが……まぁ、ありえなくはないな」
謙吾「結局のところ、そこで議論が止まるな」
小毬「そういえば、恭介さんって三年生だよね~」
鈴「うん、そうだ」
真人「なんだよ、いまさら」
小毬「うんとね、同じクラスに好きな子はいないのかな~って思って」
葉留佳「なるほど、それはありえますネ」
来ヶ谷「ふむ、クラスメートか……」
理樹「でも、恭介ってクラスではいつも漫画読んだりしてて、特定の誰かと仲がいいって話は聞かないよ?」
謙吾「そうだな。あいつは漫画とリトルバスターズのことしか頭にない男だ」
美魚「……それはいくら何でも言いすぎでは」
来ヶ谷「ともかく、クラスでの恭介氏の立ち位置とやらは気になるな……」
小毬「唯ちゃん、もしかして調べる気~?」
来ヶ谷「ふふ……当然だ」
クド「でもでも、恭介さんが嘘をついてまで隠すということは、このことは誰にも知られたくないということではないでしょうか……?」
小毬「そうだね……唯ちゃん、やっぱり止めようよ」
来ヶ谷「いいや、やる!」
理樹(うわ……この人、目を子供のようにキラキラ輝かせてるよ)
謙吾「一応、理由を聞いておこうか」
来ヶ谷「理由か……楽しそうだから、ではダメか?」
真人「すっげぇ悪趣味なやつ」
来ヶ谷「君たちも人のことは言えないだろうに」
美魚「……私も、少し興味があります」
葉留佳「おお、みおちんが珍しくやる気に満ち満ちているっ!」
来ヶ谷「して、その心は?」
美魚「相手が男性だという可能性がまだ残っているからです」
葉留佳「結局そっちかーい!」ビシッ
美魚「と言うのは冗談で」
理樹「冗談なんだ……」
美魚「みなさん、今何月ですか?」
謙吾「? 2月だが」
真人「それがどうかしたのかよ」
美魚「恭介さんはあと一月もしないうちにこの学校を卒業されます」
理樹「あ……」
理樹(そうか……今まで、日々の楽しさに目が眩んでいたけど……)
理樹(僕たち……いや、恭介に残された時間は、残り少ない……)
謙吾「そういえば、そうだったな……」
真人「すっかり忘れてたぜ……あいつがもうすぐいなくなっちまうんだってこと」
鈴「……」
恭介さん→棗さん
美魚「悲しいのは確かですが、今問題なのはそうではありません」
理樹「……恭介にとっても、残りの学生生活は僅かってことだね」
美魚「ええ……そして、棗さんにとっての学生生活が、必ずしもリトルバスターズに係ることだけではない、ということです」
小毬「もし恭介さんに好きな人がいるとしたら……」
謙吾「そいつとの学生生活ももうあと少しか」
来ヶ谷「現状、まだ恋人どころか、告白するという段階にまで達しているかも怪しいな」
美魚「棗さんは、もしかしたらもう諦めているのかもしれません」
クド「そんな……そんなのかわいそうです」
鈴「……」
葉留佳「なんとかして、あげたいっすネ」
理樹「うん……」
理樹(……恭介は今、何を考えてるんだろう)
ガラッ
「よう、棗」「今日は早いな」
恭介「ああ、さすがに毎回遅刻ってのもな」
??「あら、明日は雪でも振るのかしら?」
恭介「……っ、天野か」
恭介(……落ち着けよ……俺)
あーちゃん「やっほ、棗君」
恭介「よう……ところで、今のはどういう意味だ?」
あーちゃん「にゅふふ……さぁ、どういう意味でしょうね~?」
恭介「……お前、その変な笑い方いい加減やめたらどうだ?」
あーちゃん「人の笑い方にいちいち文句つけないよ~に」
恭介「俺は親切心で言ってるんだがな」
わふ~
あーちゃん「棗君、いらぬ親切心をなんていうか知ってる?」
恭介「お節介、だろ?」ガタッ
恭介「はいはいわかったよ、もう何も言わねえ」
あーちゃん「にゅふふ、それが正解っ」ニコッ
恭介「……」
恭介(大丈夫だったか、俺……今の会話は自然だったろうか……)
あーちゃん「ところで、棗君はクラスの卒業旅行いかないの?」ボソッ
恭介「っ!」
恭介「そ、卒業旅行……?」
あーちゃん「そ。アンケート用紙まだ提出してないでしょ」
恭介(卒業旅行か……)
恭介「……悪いな、俺にはリトルバスターズの活動がある」
あーちゃん「あの部活……というか同好会? そんなにまじめに活動してたかしら?」
恭介「してるさ。寮長様にはそうはお見えになれないかもしれないがな」
あーちゃん「そうでござんすか。ちなみに、私はもう寮長じゃないわよ」
恭介「そうなのか?」
あーちゃん「もう一週間くらい前に二年のかなちゃん……あぁ、かなちゃんっていうのは、あなたの所属してるリトルなんちゃらっていう……」
恭介「リトルバスターズだ」
あーちゃん「そうそう、そのメンバーの三枝さんのお姉さんのことね。彼女に引き継ぎしたの」
恭介「ほう、二木のやつにか。あいつ、たしか風紀委員長じゃなかったか?」
あーちゃん「あぁ……うん、やめちゃったの。理由はいろいろあるんだけどね」
恭介「そうか」
あーちゃん「あっと、話脱線しちゃったね。でさ、卒業旅行。その日一日くらい外すことはできないの?」
恭介「……」
恭介(俺は、このクラスにそれほど思い入れはない……)
恭介(別に嫌いなわけじゃない。話をするやつもいる……だが)
恭介(俺の高校生活を彩っていたのは、間違いなくあいつら……リトルバスターズのメンバーたちだ)
恭介(ならいっそ、残り僅かな時間は、すべてあいつらとの思い出に費やしたい……)
恭介(……俺に未練があるとしたら、それ以外にありえない)
恭介(そう、絶対に……)
恭介「悪ぃな。さっきも言った通り、行くつもりはない。お前らだけで楽しんでこいよ」
あーちゃん「そっか……」
恭介「……」
恭介(これでよかったんだ……これで……)
あーちゃん「じゃあ、私もやめちゃお」
恭介「……は?」
あーちゃん「ん? どしたの?」
恭介「いや、お前やめちゃおって……」
あーちゃん「うん、私も卒業旅行いかないことにした」
恭介「な、なんでだよ」
あーちゃん「うーん……私も、棗君と同じかな」
恭介「俺と同じ?」
あーちゃん「棗君は、残りの学生生活を自分の一番の居場所であるボトルジンジャーズで過ごそうって決めたんだよね」
恭介「リトルバスターズ、な。なんだそのしょうが風味の炭酸っぽい名前は」
あーちゃん「にゅふふ……んで、私も最後は自分らしく、自分の一番居たいと思う場所で過ごそうって決めたの」
恭介「それが……この学校か?」
あーちゃん「うん。だって一年間もわが子のようにかわいがってきた寄宿舎だもの」
恭介「そうか……そうだな」
あーちゃん「それに、風紀委員会からかなちゃんがいなくなった今、あなたたちの活動を諫めることができるのって、もしかしたら私くらいなものでしょ?」
恭介「は? なんでお前なんだ?」
あーちゃん「だって、そのリーダーたる棗君は私には頭あがらないじゃない?」
恭介「なっ……どこがだよ」
あーちゃん「そぉいうとこが、だよ……にゅふふ」ツン
恭介「ぐっ……」
恭介(たしかに、俺はこいつにだけは頭が上がらない……それは自覚している)
恭介(そもそも、こいつと知り合ったのはいつ頃だったろうか)
恭介(たしかあれは俺が一年のときの夏……まだ中学気分が抜けずにいた頃だった)
理樹たちがいないことで退屈してた俺は、校舎の南側にあるフェンスに穴を作り、たびたびそこから脱出を図っていた。
ある日、真人の家にみんなで集まり、冷やし中華の大食い選手権をやった帰りだった。
腹が膨れ上がったままフェンスの穴を通ろうとした俺は、ものの見事にすっぽりとハマり身動きが取れなくなってしまったのだ。
俺がここまでかと諦めた頃、天野は現れた。
『君、なにしてるの?』
『穴にハマったんだ。助けてくれ!』
『でもどうやって?』
『腕を思いっきり引っ張ってくれればいい』
そうして彼女は俺の救出を試みたが、どうやっても抜け出せない。
そこで、彼女は俺の胃袋が冷やし中華を消化し終えるまで、一緒に話相手になってくれたのだ。
俺は内心ずっとこのままなんじゃないかと焦りを感じていたが、彼女の陽気な笑顔を見ているうちに、それも徐々に薄れていった。
思えばこの時からだったのかもしれない……俺が天野に特別な感情を持つようになったのは……。
結局、俺は数時間後になんとか脱出することができ、それと同時に彼女はある意味で俺の人生における恩人となった。
恭介「……」
あーちゃん「あははっ、そうだよね~」
恭介(だが、俺はその感情を封印した。いや、せざるをえなかかった)
恭介(第一に、俺には鈴がいた。俺はあいつのことを考えるので手一杯で、とてもそれ以外のことに手を出している余裕はなかった)
恭介(第二に、天野と俺では不釣合いだということ。一方は校則破りの不良少年。もう一方は寮長を任されるだけの人望を備えた優等生……結果は言わずとも知れていた)
恭介(後悔がないと言えばうそになる……だが、俺は今の生活に十分満足しているのだ)
恭介(理樹や鈴たちといる毎日は楽しい。メンバーもより増えた新生・リトルバスターズは、これからも俺を飽きさせることはないだろう)
恭介(今の俺にはそれで十分だった……そう、十分なんだ)
すみません、少し休憩取ります
じほ
同じ頃
理樹「それで、どうするの?」
来ヶ谷「放課後、恭介氏のクラスで聞き込み調査だ」
理樹「でも、恭介にバレたら今度こそ本当に怒っちゃうよ」
来ヶ谷「そこは抜かりない。別働隊として小毬君たちが恭介氏を教室の外に誘い出すんだ」
小毬「がんばっちゃうよ~! 恭介さんのためにっ!」
鈴「……ん」
理樹(鈴……?)
来ヶ谷「その隙に、私と理樹君と美魚君で教室へ潜入。クラスの者に色々聞いて回る」
理樹「色々って?」
美魚「……例えば、棗さんと親しい男子学生は誰なのか? といった具合です」
謙吾「……西園、わかってるとは思うが女学生な」
放課後
恭介(やっと終わったぜ……)
ブブブッ
恭介「ん、小毬からメールか」
『恭介さん、大変なので今すぐ部室へ来てくださいっ!』
恭介「なんだと!?」ガタッ
恭介(……遂に復活を遂げた野球部との全面抗争か!?)
あーちゃん「ど、どうしたの?」
恭介「仲間のピンチだ。行ってくる!」ダダッ
あーちゃん「あ、ちょっと!」
??「よし、恭介氏は行ったようだな」
??「……では、ミッションスタートです」
来ヶ谷「君、少し尋ねたいことがあるのだが……」
「あ、はい」
理樹(上級生に対してもタメ口……さすが来ヶ谷さんだ)
美魚「……あの、棗恭介さんと親しい殿方はいらっしゃいますか?」
「棗と? んーそうだな……」
理樹(西園さんは方向性を確実に間違えてる……)
理樹「っと、僕も調査しなきゃ……」
理樹「えーと……」キョロキョロ
??「あら、あなたたしか棗君の……」
理樹(え、恭介の名前……)
??「たしか直枝君じゃなかったかしら?」
理樹「えっと、たしか女子寮長さん?」
あーちゃん「元、ね。にゅふふ」
理樹「……なるほど、そんなことが」
あーちゃん「そ。だから、今はただの一女生徒」
あーちゃん「だから寮長じゃなくてあーちゃん先輩って呼んで? 私、苗字が天野だから」
理樹「じ、じゃあ、あーちゃん先輩。その……聞いてもいいですか?」
あーちゃん「おう、なんでもどーぞ」
理樹「先輩って恭介の知り合いなんですか?」
あーちゃん「棗君? そりゃ同じクラスで隣の席だしね」
理樹「へぇ、初耳です」
あーちゃん「ええぇ、なんだぁ……棗君、リアルファイターズでは私のこと話題にしないんだ~」
理樹「り、リアルファイターズってなんですか……」
あーちゃん「ん? ほら、あなたたちの集まり」
理樹「リトルバスターズです……たしかにリアルファイト的なものもしますけど」
あーちゃん「そそ、それそれ。なんか横文字ってよくわかんないのよねぇ」
理樹「……」
あーちゃん「んで、棗君がどうしたって? 彼ならさっき、仲間のピンチだ~とか言って教室とびだしていったわよ?」
理樹(小毬さんたちだな……)
理樹「あ、いえ……恭介を探してるわけじゃなくて」
あーちゃん「それならどうしたの?」
理樹「その……聞きにくいことなんですけど、恭介と仲のいい女子生徒ってこのクラスにいますか?」
あーちゃん「仲のいい女子生徒?」
理樹「はい」
あーちゃん「妙なこと聞くわね……もしかして色恋沙汰?」
理樹「ち、違います!」
あーちゃん「ふーん……そうねぇ」
あーちゃん「いない、かな?」
理樹「えっ……」
あーちゃん「いないのよ。だって棗君って教室でもいっつも一人で漫画ばっか読んでるし」
あーちゃん「一匹狼っていうの? そんな感じ。みんなとは一線を引いて接してるっていうか」
理樹「そうなんですか……」
理樹(となると、クラス内に好きな相手がいる可能性は……)
理樹(ん、いや待てよ?)
理樹「……」ジー
あーちゃん「なに? そんな見つめて」
理樹「わっ、すみません……」
あーちゃん「別にいいけど」
理樹「あの、あーちゃん先輩自身はどうなんですか? 恭介と、その……仲いいですか?」
あーちゃん「私と棗君? さぁ……仲がいいって言っていいものか」
理樹「でも、さっきの口ぶりだと、恭介のことをよく知ってるように感じました」
あーちゃん「まぁ、そうね。なんていうか、彼って放っておけないのよ」
じほ
理樹(放っておけない……)
あーちゃん「なんか面倒見てあげたくなるというか」
理樹(面倒見てあげたくなる……)
あーちゃん「いじりたくなるというか」
理樹(いじりたくなる……)
あーちゃん「まぁ見てて飽きないよね、にゅふふ」
理樹「……」
理樹(もしかして……)
理樹「もしかして、先輩って恭介のこと……」
バァーンッ
理樹「っ!?」
あーちゃん「な、なにごと!?」
すみません。眠くて死にそうなので昼ごろに立て直します
俺たちを舐めるな…昼まで保守する
何だと…
長時間の保守…即ち筋肉の出番ってワケだな
なにか、面白い保守方法を考えてくれないか?
お前ら…
恭介「自滅だな…」
謙吾「そもそもしりとりできるグループじゃないだろ」
棗先輩に質問です。パン屋の売れ残りを渡されそうになったとき、それと無く断る方法を教えてください
割と死活問題です
>>210
鈴「“うちの子がパンを取り合って喧嘩になるので…”であたしは回避している」
理樹「鈴って子供いたっけ?」
鈴「猫のことじゃぼけ」
恭介「……俺宛てだろ!」
鈴「うっさい。あたしも棗じゃ」
恭介「先輩って」
鈴「一年かもしれないだろ!」げしっ
真人「パンとかいいじゃねぇか。 たくさん食えよ。 そして食って筋肉つけようぜ」
理樹「欲しくないから断る方法を聞いてるんでしょ…」
真人「はぁ?わがままな奴だな。 ならパンくれよ、俺にパンくれよ。 売れ残りのパンくれよおおお!!」
鈴「うっさい!叫ぶなウザいわぼけ!」げしっ
秋生「パンを貰ってくれるだと…?」
朋也「あげる側が驚くなよ」
ほ
え
し
美鳥「」
これだけ貰われて行ってもまだ居るという事は、また真人が大量発生してるのか…
秋生「保守がてら早苗のパンでドッジボールでもやるか!」
秋生「俺は大好きだあああああああああああ!!!」
こまりまっくす~の人が訪れるのを俺は瞼を重くしながら待ってたぞ…
もう、いいのだろうか…
俺は、やり終えたのだろうか?
全力で保守するぞー
??『まだこのスレ残ってたのね。いいわ、全力で保守してやろうじゃない。
ああそうね。どうせ私のことなんて誰も書かないし、出たとしても「この人リトバスのキャラなの?」ってなるわよ!
笑いなさいよ!笑うがいいわ!ほらあーっはっはっ!て笑いなさいよ!!あーっはっはっ!』
筋肉いぇぃ!いぇぃ!
筋肉いぇいいぇ~い
筋肉いぇいいぇ~い
筋肉~筋肉が通りま~す
まさか保守されてるとは・・・ありがとうございます
続き書きます
キタ━━ヾ(゚∀゚)ノ━━!!
恭介「お前らぁ……なにしてる」
理樹「あ……」
来ヶ谷「バレてしまったか……」
美魚「……」
あーちゃん「お? 棗君じゃん」
恭介「……」
あーちゃん「??」
理樹「あ、あのね恭介……これは」
恭介「小毬からすべて話は聞いたぜ……どうやら俺のことで色々と嗅ぎまわってるそうじゃねえか」
来ヶ谷(小毬君め……あとでケツ叩きの刑だ)
美魚「……!」ピコーン
美魚「……ええ、棗さんに好きな人がいないかどうか聞いて回っていました」
恭介「お、おい! 西園!」
「棗君に好きな人?」「このクラスにってこと?」ヒソヒソ
美魚「……棗さんは誰が好きなんですか?」
恭介「っ、なんでいること前提なんだよ」
美魚「……そういう目をしているからです」
恭介「……」
あーちゃん「うーん……よくわかんないけど、やっぱり色恋沙汰だったってこと?」コソッ
理樹「ま、まぁ、そうですね」
来ヶ谷「……恭介氏、学生でいられるのも残りわずかなんだぞ。後悔したくなければ……」
恭介「……お前らには関係ないだろ」
来ヶ谷「関係なくはない。私たちは恭介氏の仲間だからな」
恭介「とんだお節介好きの仲間だな……いいからとにかく帰れ」
理樹「……来ヶ谷さん」
来ヶ谷「……仕方ない」
理樹「それじゃ、失礼します」
あーちゃん「あ、うん」
スタスタ...
恭介「……」
あーちゃん「……棗君、なにがあったか知らないけど」
恭介「何もねえよ。それじゃな」
あーちゃん「あ、棗君!」
あーちゃんって誰?アニメ版未登場キャラ?
スタスタ...
あーちゃん「待ってよ!」
恭介「……なんだよ」
あーちゃん「棗君、さっきの子たちの言ってたことは本当なの?」
恭介「……」
あーちゃん「君に好きな子がいるって」
恭介「いない」
あーちゃん「そっか……」
恭介「……」
あーちゃん「……こっからは私の独り言ね。だから聞き流してくれちゃっても構わない」
恭介「……?」
あーちゃん「君に、もし好きな子いるんだとしたら……」
あーちゃん「絶対に後悔する道なんて選んでほしくないよ」
恭介「……お前に、わかるはずねえよ……っ」
>>337
http://i.imgur.com/CJs1hfZ.jpg
理樹の学校の女子寮長
あーちゃん「うん……たしかにわからないかも」
恭介「……」
あーちゃん「でも、あの子たちはどうかな?」
恭介「……?」
あーちゃん「あの子たちは、私よりも……もしかしたら君自身よりもずっと、君のことわかってあげてるんじゃないかと思う」
あーちゃん「だって、君と一緒に長い間過ごしてきた仲間なんでしょ?」
恭介「……」
あーちゃん「そんな子たちが言うなら、それはあながち的外れじゃないんじゃない?」
あーちゃん「君、さっきすごく動揺してたし」
恭介「ど、どこがだよ」
あーちゃん「ほら、今だって」クスクス
恭介「……っ」
あーちゃん「もっと素直になりなさいよ。何より、自分自身にさ」
あーちゃん「その方が案外気楽だよ?」
恭介「……ったく、余計なお世話だぜ」
あーちゃん「さようですか」
恭介「……でも、ありがとな」
あーちゃん「?」
恭介「お前に……そんなこと言われるとは思ってなかったよ」
あーちゃん「私も、棗君にこんなこと言うなんて思ってなかったけど」
恭介「くっ」
あーちゃん「ふふっ」
恭介「……それじゃな」
あーちゃん「うん、後輩君たちにちゃんと謝れよ?」
恭介「……あぁ」
恭介(今さらになって、やっと理解した……)
恭介(俺が、こいつを好きになった理由)
恭介(天野いわく、俺がお節介なのだとしたら……)
恭介(こいつもまた、とんだお節介だったってわけだ)
恭介(んで、ついでにこいつらも……)
理樹「……」
小毬「……あの、えと」
クド「わふー……」
恭介(ったく、俺の周りにはお節介焼きしかいないってのか?)
葉留佳「あの、恭介さん……怒ってます?」
恭介「あぁ、怒ってる」
葉留佳「ひぇっ」
恭介「まぁ、でも……嫌いじゃないさ。お前らのそういうとこ」
理樹「恭介……」
恭介「そもそもお前らがこんな風に育っちまったのも、半分は俺の責任だ」
謙吾「お前は俺たちの保護者か」
恭介「保護者だろ」
来ヶ谷「それで、決心はついたのか?」
恭介「……あぁ」
理樹「それじゃあ……」
恭介「たしかに、俺にはその……お、お前らの推測しているような奴がいる」
真人「素直に好きなやつって言っちまえよ」
恭介「う、うるせえな」
美魚「……どなたかはあえて詮索しませんが、告白はするのですか?」
恭介「……お前らの気持ちは十分受け取ったよ。誰だって後悔する道は選びたくない」
恭介「……だけどな」
恭介「今の俺にはやっぱり、リトルバスターズ以外考えられないんだよ」
恭介「俺の青春は、ずっとここにあった……それはこれからだって変えるつもりはない」
恭介「そりゃ、いつまでも学生気分でいられるとは思ってないけどよ」
恭介「それでも俺は、今この限られた時間だけはお前らと一緒に過ごしていたい……」
恭介「まぁ、これが俺の出した解答だ。色々気を遣ってもらって悪かったな」
シーン...
恭介「なんだよこの沈黙は」
美魚「……つまらない人です」
謙吾「あぁ、リトルバスターズバカだな」
来ヶ谷「悪かったと思っているならさっさと告白しろ」
葉留佳「意気地なしですネ」
恭介「……」
理樹「恭介ならそう言ってくると思ってたよ」
クド「恭介さんはそういう人ですからね」
真人「俺らのことばっか気にしやがってよ」
恭介「いや、俺はただ俺の望むままに……」
小毬「鈴ちゃん、ほら……」
恭介「鈴……?」
鈴「……」
恭介「どうした?」
鈴「……このバカ兄貴」
恭介「……っ!?」
鈴「クズ、のろま、根性なし、うすらとんかち」
恭介「……おい、泣くぞ俺は」
鈴「うっさい、クズ」
恭介「……」
筋肉
鈴「……っ」グスッ
恭介「……鈴、お前」
鈴「……さっさといけ、クズ」
恭介「……」
来ヶ谷「鈴君は薄々気づいていたんだ。自分が重荷になっているかもしれないということに」
謙吾「今までお前や俺たちに守られっぱなしだったからな」
美魚「……自分のせいで、兄は他のことに時間を割けないのではないかと」
理樹「でも……恭介だって知ってる通り、鈴はもう強くなったよ」
真人「もう、ただ守られてるだけのガキじゃねえさ」
小毬「それに、鈴ちゃんの周りにはこんなにたっくさ~んの友達がいるんですっ!」
クド「決して一人ではありません!」
葉留佳「だから恭介さんも、もっと自分のためだけのことをしてくださいヨ!」
恭介「お前ら……」
鈴「……っ……ばれ」
恭介「……?」
鈴「……が、がんばれっ……恭介」
恭介「鈴……」
恭介(俺は……自分がこんなに幸せだったとは思わなかったぜ)
恭介(こんなにも俺のことを想ってくれる奴らがいるなんて……)
恭介(本当に、お節介焼きの鏡だよ……お前らは)
恭介「……」クシャ
鈴「な、なでるなっ……」
恭介「ありがとな、鈴……それにお前ら」
恭介「やっぱり俺、後悔したくなかったみたいだ……」
来ヶ谷「ふふ……それでいい」
理樹「恭介、がんばって」
クド「良い知らせを待ってます!」
葉留佳「失敗したら、慰めてあげますヨ!」
恭介「ったく、お前は相変わらずだな……」
恭介(ここまでこいつらが舞台を整えてくれたんだ……)
恭介(このミッション、失敗するわけにはいかねえよな……?)
恭介「よし、行ってくるぜ」
小毬「行ってらっしゃ~いっ!」
真人「トイレは済ませとけよ」
スタスタ...
理樹「……あとは、祈るしかないね」
謙吾「こればっかりは俺たちにはいかんともしがたいからな」
小毬「だいじょ~ぶっ! きっと成功するよ~」
美魚「……そうですね、信じましょう」
??『ふふ、まだのこってるのね。保守してあげようじゃない。
ああそうね、私なんてリトバスのキャラだと認識すらされてないのよ!私のssなんて需要がないのよ!
ssがないにしてもモブにすら出番が有るのに私には出番なんてないの。
そうよね、私は専用ルート行かないと立ち絵もないもの。
アニメでさえはじっこのモブに隠れてるもの。
笑いなさいよ!笑うがいいわ!ほらあーっはっはっ!て笑いなさいよ!!あーっはっはっ! 』
少し遡って
スタスタ...
あーちゃん(棗君……大丈夫かな)
??「まったく……お人よしですね、あーちゃん先輩は」
あーちゃん「ん? あ、かなちゃん」
佳奈多「どうも」
あーちゃん「もしかして、今の話聞いてた?」
佳奈多「まぁ、少しだけ」
あーちゃん「困ったものよね、彼も。変なところで意気地なしっていうか」
佳奈多「意気地がないのは、棗先輩だけではないんじゃないですか?」
あーちゃん「……」
佳奈多「図星ですね」
あーちゃん「なんだ……かなちゃん、知ってたんだ」
佳奈多「そりゃ、長いこと先輩のことは見てますから」
あーちゃん「……でも、言わないでくれるよね?」
佳奈多「もちろん、そんなことはしませんよ。けど……」
佳奈多「先輩は本当にそれでいいんですか?」
あーちゃん「……うん。もういいんだ」
佳奈多「……さっき、先輩はなんて言ってましたっけ」
佳奈多「絶対に後悔する道なんて選んでほしくない……って、それ」
佳奈多「自分に向けた言葉なんじゃないですか?」
あーちゃん「うぐっ……かなちゃんは相変わらずグイグイくるなぁ~」
佳奈多「あーちゃん先輩が見ていられないからです」
あーちゃん「にゅふふ……ごめんね、不甲斐ない先輩で」
佳奈多「私に謝らないでください。それより行ってきたらどうですか、彼のところに」
あーちゃん「だから、もういいんだって。これはもう終わった恋なの」
佳奈多「……全然終わってないくせに」ボソッ
あーちゃん「え?」
佳奈多「全然終わってないじゃないですか! その証拠に、今の先輩……泣いてますよ」
あーちゃん「あ……」
佳奈多「……」
あーちゃん「なんでだろ……おかしいな」ゴシゴシ
佳奈多「なんで、諦めたんですか……?」
あーちゃん「……彼にはもう、居場所があったから」
佳奈多「リトルバスターズ、ですか」
あーちゃん「……棗君、彼らといるときは本当に楽しそうだよね。あ、かなちゃんもメンバーの一人だっけ?」
佳奈多「違・い・ま・す! あんな校則違反集団と一緒にしないでください」
あーちゃん「にゅふふ……でも、よく一緒にいるじゃない」
佳奈多「それは……っ」
あーちゃん「どう? 居心地はいい?」
佳奈多「……まぁ、葉留佳やクドリャフカはそうみたいですけど」
あーちゃん「じゃあ、かなちゃんもそうなんだね」
佳奈多「な、なんでそうなるんですか! というか、今はあーちゃん先輩の話をしてるんです!」
あーちゃん「私……? 私は、羨ましいよ」
佳奈多「え?」
あーちゃん「私もあの輪の中に入れたらなって……思うこともあった」
佳奈多「あーちゃん先輩……」
あーちゃん「でも、それはもう無理……」
あーちゃん「それに、これならこれでよかったと思ってるんだ。だって……」
佳奈多「……」
あーちゃん「っ、これ以上……苦しい思いをせずに……済むから……っ」ポロポロ
佳奈多「……っ」ダキッ
あーちゃん「うぅ……っ」
佳奈多「……あーちゃん先輩、もう一度言いますよ」
佳奈多「行ってきたらどうですか? 彼のところに」
あーちゃん「……今さら、顔……見せれないよ……っ」
佳奈多「大丈夫です。まだ間に合いますよ」
佳奈多「それに……想いを伝えずに後悔するよりも、きっといい結果を生むはずです」
佳奈多(私と葉留佳が、そうだったように……)
あーちゃん「な、何をいえばいいのか……っ、わからないよ……」
佳奈多「自分の今の気持ち……正直に伝えればいいんですよ」
あーちゃん「っ、私の……気持ち……」
佳奈多「あーちゃん先輩は……棗先輩のこと、どう思ってるんですか?」
あーちゃん「……っ、……き」
佳奈多「ほら、もう一度」
あーちゃん「棗君が……彼のことが、っ……好き……」
佳奈多「……そうですか。じゃあ、伝えに行かなきゃですね」
あーちゃん「……う、うん……っ」
佳奈多「……一緒に行きましょうか?」
あーちゃん「……っ、大丈夫……と思う」
佳奈多「……先輩、信じてください。自分を」
あーちゃん「かな、ちゃん……」
佳奈多「先輩、かわいいんですから。絶対にうまくいきますよ」ニコッ
あーちゃん「っ……か、かなちゃん……っ!」
あーちゃん「ぅ、うわぁああああああん!!」
佳奈多「ちょ、先輩ってば! 泣かないでくださいよっ!」
あーちゃん「……っ、ぅう……っ」
あーちゃん(ありがと……かなちゃん)
あーちゃん(私、やっぱり後悔なんてしたくない……やっと気づけたよ)
あーちゃん(待ってて、棗君……)
そして……
恭介「はぁ、はぁ……」
佳奈多「……ん、あれ……棗先輩じゃないですか」
恭介「ふ、二木か……っ」
佳奈多(入れ違いになったのね……)
恭介「天野が今どこにいるか知らないか……っ?」
佳奈多「え、あーちゃん先輩ですか?」
------------------------------------
あーちゃん「え、棗君はさっき出て行った?」
理樹「はい、ちょっと用事があるとか言って……」
あーちゃん「そっか……」
ブブブッ
あーちゃん「メール……かなちゃんからだ」
『あーちゃん先輩。中庭のベンチで待っててください』
あーちゃん(どうしたんだろう……あ、もしかして……!)
あーちゃん「っ、ごめん! お邪魔しちゃったね」
理樹「いえ……それより、見つかったんですか?」
あーちゃん「たぶんだけどっ!」
ガチャ
理樹「あの!」
あーちゃん「なに~?」
理樹「がんばってください!」
あーちゃん「ありがと~っ!」
理樹(もしかしたら、もしかすると……)
来ヶ谷「彼女なのか? 理樹君」
理樹「うん、かもしれない」
来ヶ谷「ふふ……そうか」
真人「え、どういうことだ?」
理樹(恭介……がんばってね)
あーちゃん「はぁ、はぁ……っ」
あーちゃん「……ま、まだきてないか」
あーちゃん「ふぅ……」
あーちゃん(な、なんか緊張してきちゃった……)ドクンドクン
??「天野……」
あーちゃん「にゃふっ!?」
あーちゃん「……って、な、棗君!?」
恭介「にゃふってなんだよ」
あーちゃん「な、棗君が急に現れるから……」
恭介「そ、そうか……なんかすまん」
あーちゃん「べ、別にいいけど……」
恭介「……」
あーちゃん「……」
恭介「……あのさ」
あーちゃん「な、なに?」
恭介「お前も俺に用があったんだろ?」
あーちゃん「お前もって……棗君もってこと?」
恭介「ま、まぁな」
あーちゃん「……じ、じゃあ棗君から話していいよ」
恭介「い、いや……お前から話せよ」
あーちゃん「お、男の子でしょっ?」
恭介「男関係あるのかよ? ……じゃあレディーファーストだ」
あーちゃん「いやだよ、そんなの~」
恭介「っく……」
あーちゃん「ふふ……」
たぶん、もうお互いに気付いていた。
相手が自分をどう思っているか。自分が相手をどう思っているか。
でも、言わなきゃいけないと思った。
だって言葉にして伝えるために……
私は……
俺は……
ここにきたんだから。
恭介「天野……俺な」
あーちゃん「……待って。私にも言わせて」
恭介「ん……じゃあ二人同時に、だ」
あーちゃん「わかった……んじゃいくよ?」
恭介「あぁ」
せーのっ!
「……あ、あなたのことが……好きです」
恭介「……っ///」カアァ
あーちゃん「ぅう……///」
恭介「……い、いつからだ?」
あーちゃん「んと……たぶん最初から、かな」
恭介「奇遇だな……俺もだ」
あーちゃん「へへ……相思相愛だったわけかぁ……」
恭介「そうだな……」
あーちゃん「……うん」
恭介「天野……ほんとにこんな俺でもいいのか?」
あーちゃん「……むしろ、私が聞きたいくらいだよ。こんなおばさんでいいのかって」
恭介「おばさんって……それじゃ惚れた俺がバカみたいだろうが」
あーちゃん「ちょっと、そこはちゃんと否定してよ~っ!」
恭介「……天野、近くにいっていいか?」
あーちゃん「えっ……う、うん」
恭介「……んじゃ」
あーちゃん「……///」
恭介(ぐっ……緊張するぜ……)
あーちゃん「……わ、私たち……もう恋人同士ってことだよね?」
恭介「そ、そうなるな……」
あーちゃん「て、手とか繋ぐのかな……?///」
恭介「や、やってみるか」
あーちゃん「う、うん……」
ギュ
恭介「……っ」
あーちゃん「……うわ、大きいんだね」
恭介「お、お前のは意外と小さいな」
あーちゃん「意外とってのはよ・け・い」
恭介「……」
あーちゃん「……」
恭介(天野がこんな近くに……)
あーちゃん「……なんか心臓の音がすごいよ?」
恭介「き、緊張してるからな」
あーちゃん「にゅふふ……やっぱ棗君も緊張とかするんだ?」
恭介「俺をなんだと思ってやがる」
あーちゃん「ねね……キスしようか?」
恭介「は、はぁ!?」
あーちゃん「ありゃ、ダメだった?」
恭介「だ、ダメっていうか……まだ心の準備がだな」
あーちゃん「にゅふふ……棗君って意外とヘタレなのねぇ」
恭介「わ、悪いかよ」
あーちゃん「ううん、かわいいけど」
恭介「か、かわいいとか言うな」
あーちゃん「照れてる~! かわいいねぇ!」
恭介「がぁー!」
あーちゃん「ほらほら、怒んないで……ね? やろうよ」
恭介「……わ、わかったよ」
あーちゃん「……」
恭介「……んで、どっちからやるんだ?」
あーちゃん「そ、そりゃ棗君でしょっ」
恭介「お、俺かよ!? 言いだしっぺはお前だろうが」
あーちゃん「お、男の子なんだからがんばってー」
恭介「なんだその棒読みは……お前も本当はやるの恥ずかしいんだろ」
あーちゃん「ち、違うってば! いいから早くやるっ!」
恭介「ちくしょう……この世はすでに女尊男卑か」
恭介「……んじゃいくぞ」
あーちゃん「……っ」ドキドキ
恭介「……ん」
あーちゃん「……」
恭介「……」
あーちゃん「……なにこれ?」
恭介「いや、キスだろ」
あーちゃん「な、なんか違う~!」
恭介「どこがだよ!?」
あーちゃん「具体的に言うと、なんか唇当ててるだけって感じよっ!」
恭介「それがキスだろ」
あーちゃん「……そうなの?」
恭介「あぁ」
あーちゃん「やっぱり違うような……」
あーちゃん「……ねぇ、棗君」
恭介「なんだ?」
あーちゃん「あのさ……棗君のこと、下の名前で呼んでいい?」
恭介「そ、そりゃかまわないが」
あーちゃん「んじゃいくよ……?」
あーちゃん「き、きょきょきょ……っ」
恭介「どもりすぎ」
あーちゃん「き、恭介……君……」
恭介「お、おう」
あーちゃん「き、恭介君……」
恭介「なんだよ」
あーちゃん「恭介君、恭介君……」
恭介「……」
恭介「じゃあ俺も下の名前で呼ぶか」
あーちゃん「あ、どうせならあーちゃんって呼んで?」
恭介「あ、あーちゃん?」
あーちゃん「うん、そう呼ばれる方が嬉しいんだけどな~」
恭介「じゃあ……あーちゃん」
あーちゃん「おふっ!///」
恭介「……あーちゃん」
あーちゃん「いや~!///」
恭介「……あ、あーちゃん」
あーちゃん「あ、恭介君も顔赤くなってる~」
恭介「……天野」
あーちゃん「戻さないで~っ!」
あーちゃん「もうすぐ日が落ちちゃうね」
恭介「……そうだな」
あーちゃん「……」
恭介「……」
あーちゃん「……もうちょっとこのままいていい?」
恭介「あぁ」
あーちゃん「ふふ……」
ギュ
恭介「あーちゃ……いや、天野」
あーちゃん「あ、また戻した」
恭介「だってすげえ言いにくいんだよ、これ」
あーちゃん「じゃあそれ宿題ね。明日までに言えるようになってること」
恭介「なんだそりゃ」
恭介「あのさ……」
あーちゃん「ん?」
恭介「これから、その……よろしくな」
あーちゃん「……ふふ」
あーちゃん「うんっ! 幸せにしてくれなきゃ困るよ?」
恭介「……あぁ、もちろんさ」
少し肌寒い黄昏時、ベンチに座る二人の距離は、ほんのちょっとだけ縮まったように見えた。
おわり
/ \
// ヽ
| | ヽ |
| | | | | |
Ⅵ | | | |/リ じゃ、解散
. rv^h ∨ l l /
r.| | | | ┌∨ |y'┐
| | | | l_l^l イー--W--┴..、
| | ,.ィ:'´:::::::::::::::|::::::::::::::::::::`ヽ、
ヽ ノ/:::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ_
| ̄ ̄∧::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::/:::|
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〈:::/::::::::::::::::∧::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::||::::::::::::|
|::::::::::::::::::/ |:::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::|.|:::::::::::|
ゝ、::::::::::/ l:::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::| |:::::::::::|
おつー
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