松実家、早朝
玄「今日は比較的暖かいですねー。春の兆しを感じますのだ」
玄「しかし、お姉ちゃんは相変わらずのお寝坊さんっと」
玄「お姉ちゃんは、冬は布団から出れなくなるからなぁ」
玄「さて、そろそろ起こしに行きますか」
宥の部屋に向かう玄
玄「お姉ちゃん、入るよー」
ガチャ
宥「うーん…、むにゃむにゃ」
玄「さっ、起きて起きて」ユサユサ
宥「わし、昨日は遅くまで働いてたからもっと寝かしてくれ」
玄「何言ってるの?昨日は、憧ちゃんと遊びに行ってたじゃん。ほら、起きて起きて」ユサユサ
宥「真面目に仕事してわい!ぐーごー」zzZZZ…
玄「起きないと布団、剥がすからね」
玄「てい」ガバッ
宥「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ、寒っ!?寒ッッ!なんじゃこれ」ガクガクブルブル
玄「今日はいつもより暖かいよ。それに暖房も入ってるし」
宥「いやいや、この寒さはおかしい!昨日は、こんなに寒うなかった!」ガクガクブルブル
宥「ん?なんやここ?わしの部屋ちゃうんか」キョロキョロ
玄「こんな暖房器具に囲まれた部屋、お姉ちゃんの部屋しかないよ。何言ってるの?」
宥「よう見えん…。って、あんた誰じゃ?」
玄「松実玄だよ~、朝からひどいなぁ」
宥「はて?まつみ、まつみ…。すまんが、松実さん。わしのメガネ取ってくれんか?」
玄「それならここに」
宥「あんがと」スチャ
宥「って、なんじゃここーーーーー!?!??!?」
玄「朝からテンション高いねぇ。お姉ちゃんにしては珍しい」
宥「姉?わしが!?」ガタッ
玄「どこからどう見ても、松実玄の姉、松実宥だよ。はい、鏡」スッ
宥「おおっ…、間違いない。わしが対戦した阿知賀のベッピンさんじゃ!?」
玄「えっと…、何言ってるの?」キョトン
宥「信じられんやろうけど、落ち着いて聞いて欲しい。わし、松実宥じゃない」
玄「うーん、どこから見てもお姉ちゃんだけど…」
宥「姿はお主の姉に変わってしまったが、わしは清澄高校二年生の染谷まこじゃ」
玄「あのワカメの人?」
宥「じゃかましい!好きでワカメ頭なったんちゃう!テンパなんじゃ!」
玄「ご、ごめんなさい」
玄ちゃん、染谷家に電話中
玄『ホントに、お姉ちゃんなの?』
まこ『う、うん。そうだよ~、朝起きてびっくりしちゃった』
玄『不思議な事もあるものだなぁ…。それでどうするの?』
まこ『一度会って、話し合ってみよう。私がそっちに行く方がいい?』
電話を奪う宥
宥『すいません、染谷です。あのー、久と連絡取って、久連れて来て貰えますか?』
宥『久なら何とかしてくれるかもしれんからのぉ』
まこ『はい、わかりました。竹井さんですね?』
数時間後
久「どうもお久しぶりです」
まこ「玄ちゃん、会いたかったよー」ギュゥゥゥ
玄(おもちないし、すごい違和感)
菫「あわあわあわわ…、本当に宥さんの雰囲気変わってる」ガタガタ
宥「なんで白糸台の元部長のあんたがここに居るんじゃ…」
久「なるほど、二人の魂が入れ替わったのね」
宥「そうじゃ」コクコク
まこ「えぇ」コクン
久「ある所に電話してみるわね」ピピピ
久『~~ってわけなのよ。適当に麻雀して、魂でも入れ替えてよ』
久『は!?入れ替えの神様が休暇取ってる!神様なのに?』
久『じゃあ、どうするのよ!?他にオカルトに通じてる人達なんて…』
久『え~、一年後になったら休暇終わるの?って事は一年間はどうしようもないって事!?』
久「ごめんー、駄目みたい。今すぐ戻れないって」
まこ「そんな~」
宥「困ったのお」
菫(困り顔の宥さんもステキだ…。ってコイツは、ワカメじゃないか!)
久「さて、一年間どうするか考えましょう。一年経てば戻れるわ」
まこ「染谷さんは、今年から高校三年生になるんですよね?」
宥「そうじゃ。出来れば、高校は卒業したいんじゃけど…」
久「そうねぇ…、清澄麻雀部的にも、まこが居ないと全国大会とか…」
まこ「私は春に卒業するので、実家を手伝いますけど」
玄「赤土先生が、何人か中学生をスカウトして来たから阿知賀麻雀部は来年から7人になるよ」
(。-ω-。)----------話し合い中----------(。-ω-。)
久「じゃあ、決まりね。比較的、親しい人達には魂が入れ替わった事を話す」
菫「うむ。そして、宥さんにはもう一度、高校生活を。染谷は、松実館の手伝いを」
宥「まぁ、最後の全国大会に出れんのはちと寂しいけど、仕方ないのぉ。この姿で染谷まことして話して、信じて貰えるとは思えんし」
宥「roof-topどないしよ?」
久「私に任せなさいよ。どーせ、卒業してもやる事無いし、私が松実さんと二人で盛り上げてみせるわよ」
菫「むっ、お前が宥さんとだと!?」
久「だって、私がまこの次にroof-topに詳しいし。松実さん、雀荘のお手伝いとかした事ある?」
まこ「いいえ、ありません」フルフル
久「ね?誰かサポートが居るでしょ?」
菫「ぐぬぬぬ…」
菫「じゃあ、私も働く!染谷、私を雇え」
宥「…雇われる身の癖に、なんて高圧的な女じゃ。まぁ、いいぞ。多分、人手が足りんじゃろうしな」
久「ねぇねぇ、儲かったら私にボーナス入るわよね!?」
宥「…まぁ、売上見てな。評判は落とさんでくれよ?」
久「わかってるって!弘世さん、いえ。もう菫でいいかしら?」
菫「いいぞ。私も久と呼ぶ。さて、長野に住む準備をするか」
まこ「菫ちゃん、大学は?」
菫「休学します」キッパリ
そして、長野に帰った久、宥、菫
照「春から長野の大学だ」ルンルン
照「実家からは少し遠いけど、いつでも咲ちゃんに会いに行けるぞー」ルンルン
ガチャ
照「ただいまー、って誰も居るはず…」
菫「よう、遅かったじゃないか。鍵閉め忘れるなんて、相変わらず抜けてるな」
久「どーも」
久「いい部屋住んでるじゃん、流石元チャンピオン」
菫「だろ?もう一人くらい住めるな」
照「…」プルプル
久「私の家からも近いわね。あぁ、チャンピオンさー。バイト探してない?」
菫「照、今年もよろしくな。ここに住む事にしたから」
照「…」プルプル
一ヶ月後
照の家
久「はい、緊急会議を開きます」
まこ「お茶入れますね」コポコポ
菫「しかし、メイド服慣れないな」
照「おっちゃんに脚触られた。むかついたから、ギギギ使った」ムスッ
久「今日の議題はもちろん、roof-topの売り上げよ、売り上げ!」バン
久「下がったのよ!それも大幅にね!?美少女、三人も増えたのに」
照「知ーらーなーい」
菫「何もかんも政治が悪いんだろ」
まこ(この姿だと、厚着しなくて便利だなぁ)
久「照、菫!あんた達、競技麻雀と勘違いしてるんじゃないの!?」
久「照は、三人まとめて飛ばすとか日常茶飯事だし、菫は宥に色目使った客を狙い撃ちしたり…」
菫「それは仕方ないだろ」
照「麻雀は強いが正義だから」キリッ
久「どんな顔して、まこに報告すりゃいいのよ」ウーン
まこ「ごめんなさい。私もよくドジをしてしまって」
菫「宥さんは悪くない」キリッ
久「まぁ、宥のおかげでまこに男性ファンが増えたからね。今もコンタクト?」
まこ「う、うん。メガネ好きじゃないし、もうコンタクトにしようかなって」
照「ついでにストパーでも当ててきたら?」
まこ「勝手に当てていいのかな?」
菫「いいですよ!染谷も、宥さんの体であんな事やこんな事を…、許さんぞ!ワカメ」ギリリ
その頃松実館、露天風呂
宥「ふぃ~、今日も働いたの~」
カポーン
玄「まーこちゃん♪」
宥「おっ、玄か。お主も風呂かい?」
玄「うん、そうだよ。灼ちゃんも居るよ」
灼「来ちゃった」ピョコ
宥「わしらで、三年生トリオじゃな。もっともわしは卒業してるが」
灼「阿知賀の生活には慣れた?」
宥「ぼちぼちじゃ」
玄「まこちゃん、接客するの上手いよね」
宥「ははは、小さい頃からメイド服着て雀荘やってたんじゃ、これくらい簡単簡単」
灼「私、愛想笑い苦手だなぁ」
宥「お主、いつも難しい顔しとるな。何考えてるんじゃ?」
灼「べ、別に変な事は考えてないよ」
宥「そうか、まぁ慣れじゃな慣れ。オッサン共も、偏見を持たずに話してみると意外と面白いぞ」
灼「年上の男の人とか、何、話していいかわからない」
宥「わしはもっぱら野球じゃな。適当に、阪神がどうのこうの、巨人があーだーこーだ言うてたら勝手に向こうから話しかけてくる」
灼「やっぱりカープファンなの?」
宥「あったり前田のクラッカーじゃ!」
玄(暖かくない)
宥「休みが取れたら、野球見に行きたいの。阪神広島戦」
灼「野球見た事無いや」
玄「行ってみる?」
灼「そうだね。一度、行ってみようかな」
宥「久しぶりに麻雀打ちたいの」
玄「部活来る?」
宥「ええんか?」
灼「一年生達には説明して無いから、松実宥さん風に喋ってね」
宥「それくらい、お安い御用だわ。うふふ」クネクネ
玄「お姉ちゃん、そんな喋り方じゃないですのだ」
灼「罰として、おもち揉みの刑」モミモミ
宥「あひゃひゃ…、くすぐったいのぉ」
玄「灼ちゃん、それ私のおもちだよ!」モミモミ
二ヶ月後
照の部屋
久「えー、恐ろしい事に」
照「はい」
菫「うむ」
まこ「お茶入れますね」
久「照と菫と打つ人が居なくなりました。あんた達!お金、生み出しなさいよ!」
照「だって、仕方ないじゃん。同卓拒否されるんだしー」
菫「掃除はちゃんとしてるだろ!後、藤田プロの相手とか!」バン
久「赤字よ、赤字。あんた達、二人は完全に大赤字なのよ」
まこ「雀荘経営って難しいんだね。わざと負けたりとかね」
菫「宥さんはよくやってますよ」キリッ
久「手加減に関しては、咲が一番上手いからなあ…。照をクビにして咲を雇うか」
照「おい!麻雀打ってるだけで、お金が貰える私の天職なんだぞ!」
菫「コンビニの店員でもして社会経験積んだらどうだ?」
久「あんたも人の事言えないでしょうが!」バンバン
久「方向性を変える事にしたわ」
照「ふーん」ポリポリ
菫「このクッキーおいしいな」ポリポリ
まこ「私の手作りなんですよ」
菫「手作りか///」
久「来月から、執事麻雀にします!私達三人のメイド服は廃止、執事!時代は執事なのよ!」
まこ「執事ですか?」
久「あっ、宥は常連ついてるからメイド服のままでいいや」
菫「執事ねぇ。まぁ、メイドより個人的には向いてるかな」
久「菫も照も、白糸台時代はモテたでしょ?」
照「まぁね。毎年、菫と私でバレンタインのチョコ合戦してたよ」
まこ「…」ウツムキ
菫「宥さん、本命チョコは全て断わってたので安心して下さい」
まこ「べ、別に私は菫ちゃんが誰からチョコ貰ってようと…、関係ないって言うか…」ゴニョゴニョ
久「もうあんた達、普通に麻雀打ってなさいよ。んで、女性の常連客をつけなさい」
菫「確かに…。そっちの方が売り上げ増えそうだ」
照「私は、老若男女問わず手加減しないし」
まこ「…」
久「宥、菫は浮気しないタイプだから、いくら女性の常連さん増えても大丈夫よ」
まこ「な、なんで私の考えてる事、わかったの!?」ガタッ
久「わかるわかる。気づいてないの、照と菫くらいよ。ふふふっ」
照「執事かー。執事姿見て、咲ちゃんが私に惚れ直すかな?」
菫「それはないな」
そして、執事麻雀が大ヒットする
久「うひゃひゃひゃ!笑いが止まらないわ。儲かりまっせー」
モブ達「「「きゃー、照さんがまた全員吹き飛ばしたー」」」
照「次!もっと強いヤツは居ないのか!」
モブ達「「「きゃーーー!菫さん、私達も狙い撃って!」」」
菫「狙い撃つのは宥さんだけと決めているッッ!私は普通に打っても強いぞ!ツモおぉぉぉぉ」
久「照の生写真あるわよー。全部コンプリートで、照と同卓よー」
久(まぁ、東場ですぐ終わっちゃうけどね)
モブ「一つ下さい」チャリン
久「はいはい」
モブ「そこの緑髪」
まこ「は、はい」
モブ「菫様の使用済、執事服は売って貰えないかしら?お金は好きなだけ出すから」
まこ「それは…ちょっと…、菫ちゃんも困ると思いますし」アセアセ
半年後
松実館
久「そんなわけで、roof-topは執事雀荘として、軌道に乗ったわけよ」
宥「そーいや、雑誌で見たな。今、流行ってるんじゃろ?」
久「えぇ、ゆみの勧誘にも成功したわ。来年は亦野さんでも勧誘しようかしら」
宥「そんなに店、大きくせんでええぞ」
久「確かにね。バイトの子も増えて、大変なのよ」
宥「松実館は、あんまり大して変わってないぞ。松実さん、すいません」
まこ「いえ、染谷さんはよくやってると玄ちゃんから聞いてますから」
宥「麻雀部はどうなった?」
久「清澄?あぁ、宥に任せきりね。最近、どう?」
まこ「一応、肩書きは部長ですけど、和ちゃんが何でもやってくれますし…。助かってますよ」
宥「和は普通に優秀じゃからな。咲や優希や京太郎は元気か?」
まこ「えぇ、元気です。宮永さんとはよく二人で図書館に行ったりね」
宥「あんたも本とか好きなんか?」
まこ「体動かすより、本読む方が好きですよ」
宥「ふーん、じゃあ県大会は、松実さんに任せるかの」
久「今年は龍門渕が全員三年生ブーストかかって、手強いかもねー」
まこ「が、頑張ります」
宥「後、半年の辛抱じゃな。まぁ、この体にも慣れたが」
久「ホント、この部屋暑いわね」パタパタ
まこ「他の人はこんな風に感じてたんですね。勉強になります」パタパタ
ガラガラ
玄「お姉ちゃん、竹井さん。アイス持って来たよー。まこちゃんは、熱いお茶」トン
宥「おぉ、助かる」ズズズ
一年後、roof-top
久「結局、清澄が二年連続優勝か。悪いわね」
灼「穏乃と憧には来年頑張って貰います。まぁ宥さんは、阿知賀のエースだったからね」
まこ「なんじゃとー、わしがおったら優勝出来なかったとでも!?」
玄「まこちゃんも麻雀強いの、私達が知ってるよ。おかげで私達の麻雀の幅が広がったし」
宥「あっ、戻った。うぅ…、やっぱりこの体寒い」ブルブル
菫「よし抱きしめて暖める!」ギュッ
宥「わぁ…、暖かい」ポカポカ
久「それで、まこ。進路どうするの?」
まこ「さて、どうしようかの」
宥「受験良かったの?推薦もきてたのに」
まこ「大学はええかなーって。まぁ、やりたい事も特にないしの」
玄「奈良においでよ!」
灼「うんうん、Sagimori Lanesで雇うよ」
まこ「roof-topで関西進出するかな。久、この店、やるか?」
久「えー、私にくれるの?」
まこ「貸すだけじゃ。わしに執事雀荘なんか出来ん」
まこ「ここを大きくしたのは、久と松実さん、弘世さん、宮永さんのおかげじゃしな」
まこ「奈良も好きになったし、また最初からroof-topをやってみるかの」
玄「私達も手伝うよー」
こうして松実館にroof-top関西支店が誕生したとか
終わる
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