初ss、いくぜ
ガチャリ
比奈「ん、おはようございまス……って、見ない顔っスね」
飛鳥「おはよう、……ございます、だね」
比奈「ああ、確か新人の……、あー…えーと…」
飛鳥「ボクはアスカ、二宮飛鳥。今日からこの事務所でお世話になります。」
比奈「そう、飛鳥、確かそんなんだったっスね……ああ、あとそんなに固くならなくてもいいっスよ?」
飛鳥「そうかい?それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらうよ」
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比奈「そうそう、そんな感じでいいっス。…まぁでも、ちゃんと敬語が使える子でお姉さん関心したっス」
飛鳥「別に、あれぐらい常識だと思うけれど、…そんなに珍しい事なのかい?」
比奈「いやあ、珍しいって程じゃないっスけど、使えない子も多いっスよ?特にこの事務所はアクが強い子も多いし……」
飛鳥「アクが……?」
比奈「ああ、こっちの話っス」
飛鳥「そうかい、それならいいけど……まぁ、少し先が不安になったのは事実かな」
比奈「大丈夫大丈夫、少なくともアタシの知る限り悪い子はいないっスから」
比奈「あ、そういえばこっちは名乗ってなかったっスね、アタシは……」
飛鳥「荒木比奈さん、だね、キミはボクの事を知らなかったけど、ボクはキミの事を知っているよ」
比奈「おお!そうっスか!いやぁ、アタシも少しは有名になってきたって事っスかね?」
飛鳥「ふふ、それは解らないよ?なにせボクは少し”変な奴”だからね」
比奈「んん?……そう、…っス……か………」
飛鳥「…どうかしたかい?そんなにショックだったかな?そうなら謝るけど……」
比奈「いや、そういう訳じゃ無いっスけど……ただ……」
飛鳥「ただ?」
比奈「あの、つかぬことをお伺いしまスけど……」
飛鳥「……いや、待ってくれ、キミの言いたいことは大体予想がついた」
比奈「ほほう?」
飛鳥「そう、例えば、中ニ病…だとか、そんな感じじゃないかな?」
比奈「ご名答っス。顔にでも書いてあったっスか?」
飛鳥「ふふ、結構言われなれてるからね、目を見れば何となく分かるようになった…いや、なってしまったのさ」
飛鳥「それが、たとえレンズ越しでもね」
比奈「おお、あえて眼鏡と言わない所に中ニテイストを感じるっス」
飛鳥「それは、……誉められているのかい?」
比奈「…微妙っス、…うーん、しかし本物を見るのは初めてっスねぇ」
飛鳥「そうかい、十四歳なんてこんなもんじゃないかな?」
比奈「あいや、中ニ病自体は見たことある…、この事務所にもいるっスけど、飛鳥ちゃんとは方向性が違うっスね」
飛鳥「ふふ、似て非なるもの、かい?機会があったら是非会ってみたいね」
比奈「そうするといいっス、きっとびっくりするっスよ」
比奈「とと、もうこんな時間っスか」
飛鳥「仕事かい?」
比奈「そうっス、この前プロデューサーさんに迷惑かけちゃったっスから、絶対に遅れられないっスよ?!」
飛鳥「いってらっしゃい、かな?」
比奈「いってきまス?!」
飛鳥「…荒木比奈さん、か。仲良くなれそう、かな?」
数日後
比奈「おう、いたいた、プロデューサーさん」
P「ん、荒木か、何だ?」
比奈「いやあ、少し聞きたいことがあるっス」
P「ふうん?ここじゃなんだ、場所を移そうか」
比奈「ああ、大したことじゃないんスけど…」
P「いや、俺もそろそろ休憩だったしな、ついでだ、ついで」
比奈「そうっスか、じゃあお言葉に甘えさせてもらうっス」
P「二宮?」
比奈「そうっス、飛鳥ちゃんっス」
P「ふうん?そうだな……何から話すか」
比奈「別に普段の様子とかでも構わないっス」
P「そうだな…まだレッスンぐらいの物だが、案外根性ある奴だぞ」
比奈「ほほう?」
P「礼儀もなかなかだし、斜に構えてる割にはしっかりした奴だ、…ま、俺の目に狂いは無かったってことだな」
比奈「本当は少し不安だったんじゃないっスか?」
P「さ、どうだか……体力に関してはこれからだが…息は上げても弱音を吐いたり、…そうだ、あの…クールなスタイルは絶対に崩さないな。」
比奈「ああ!それっス、そうか、やっぱりなんスねー……」
P「……それが何だ?」
比奈「あ!?いや、別に、何も企んでなんかないっス、清く正しい荒木比奈っス、…それじゃあアタシはここいらで……」
P「……荒木ィ……休憩時間はまだあるぞ…」
比奈「…や、やだなぁー、怖いっスよー?」
P「目が泳いでるぞ荒木ィー………」
比奈「は、ハイ………」
P「メッキを剥がす……?」
比奈「は、ハイ」
P「何が言いたいのか分からん、その心は」
比奈「いや、常々思ってたんスけど、クールな子が…こう、普段からは想像できないような表情を……こう…」
P「ほほう?つまり二宮のクールな仮面を涙とか、恥辱とか、恐怖やらでバキバキに砕いてやりたいと?」
P「言動の割に底の浅そうなあいつならそれが容易であると?」
比奈「別にそこまでは……てかプロデューサーさんそんな風に思ってたんスね…」
P「どうだか、な………」
比奈(多分怒ってるっスよねぇ、そうっスよねぇ)
比奈「いや、ほんの冗談っスよ……だからこの話は……」
P「面白いじゃないか」
比奈「へ?」
P「面白いじゃないか」
比奈「えーと、プロデューサーさん?今結構大人気ない事言ってるのわかってるっスか?」
P「お前こそもう酒が飲める年だろう」
比奈「あいや、子供心を忘れてちゃあ同人誌なんて……」
P「それじゃあいいじゃないか、アラサーだって子供心を忘れない、それでいいじゃないか」
比奈「じ、自分で言っちゃうんスね…」
P「そんな無様な抵抗、去年止めたさ」
比奈「割と最近じゃないスか」
P「ええい、だまれ、…まぁ実を言えば凛とかで同じ事は考えてた」
比奈「凛ちゃん…名前呼び?」
P「気にするな…でもあいつは、何というか思ってたのとは良い意味で違ったし、かと言って年長組とかはレベルが違うし…」
比奈「……ちょうどいいっスよね、彼女」
P「と言うわけだ、俺にも共犯させろ」
比奈「イヤな言い方しまスねぇ…」
P「それにしてもお前がこんなことしでかすとは思わなかったぞ」
比奈「しでかす……いや、発案したのはアタシなんでスけど、それ以外は殆ど……」
P「ふうん?他にも誰か噛んでるのか?」
ちひろ「私です」ヒョイ
比奈「うひっ!?」
P「ああ、ちひろさん」
ちひろ「なんですかその『納得した』みたいな顔は」
比奈「いやあ、アタシがポロッと漏らしたら、ちひろさんがどんどん乗り気になって、いろいろ準備されて、引くに引けなく……」
P「つまりバックアップは万全ということだな、鬼と悪魔と同列に扱われるだけある」
ちひろ「ひどいですよPさん!」
比奈「辛辣っスねぇ…」
P「信頼の裏返しだよ、行くぞ」
ちひろ「ふふふ、見てくださいこれ、トイレ以外の全ての部屋を監視できますよ」
P「すごいな、この設備、金の集め方も酷ければ金の使い方も酷いのか」
ちひろ「へ?嫌ですねぇ、そんな無駄なお金の使い方するわけ無いじゃないですか」
P「じゃあどうしたって言うんだ」
ちひろ「こちらから遠隔操作が可能な小型監視ロボットだそうです、晶葉ちゃんに相談してみたらちょろっと」
比奈「こんな悪用のされ方されてるとは思わないっスよねえ…」
P「十四歳ちょろまかすとかないわー」
比奈「アタシ達は今からそれ以下になろうとしてるんス」
P「死なば諸共だな」
比奈「怖いこと言わないで欲しいっス」
ちひろ「あ、飛鳥ちゃんですよ!」
P「ん、レッスンはまだの筈だが、早いな」
ちひろ「私が来る時間を早めていろんな人に会う機会を増やしてみたらどうかって」
P「本人にすら仕込み済みとは」
比奈「間違ったことは言ってないのが余計たち悪いっスね」
P「それで、何をするんだ?」
ちひろ「この後蘭子ちゃんが来ます」
P「………それだけ?」
比奈「それだけっス。まぁ、まずは軽いジャブからって事っスよ」
P「まるで個人面談だな……まぁそういうことで納得しておくか」
ちひろ「そろそろ帰ってくるころだと思うんですけど……あ」
蘭子『煩わしい太陽ね!』バンッ
ーーーーーーー
ちひろ「来ましたよ!」
P「うんうん、見てるぞ」ウィーンウィーン
比奈「何してるんスか」
ーーーーーーーー
蘭子『む?…フッ…我が下僕め…新たなる贄を連れてきたか…(プロデューサーさんまた新しい子連れてきたんでしょうか?)』
飛鳥(な、何?太陽?贄って……贄!?)
ーーーーーーーー
ちひろ「圧倒されてますねー」
比奈「贄ってちょっと物騒っスよね…プロデューサーさん?」
P「黒…か、二宮の奴、ませてやがるな」ウィーンウィーン
比奈「えっ……何見てるんスか……」
ーーーーーーー
蘭子『汝、名を答えよ(名前はなんて言うんですか?)』
飛鳥(贄…!?…贄ってなんだ!?アイドル事務所で使われる言葉なのか!?)
飛鳥(まさかボクはそんな理由で連れてこられたのか!?)
蘭子『答えよ!!(何て言うんですか!?)』ガシッ
飛鳥『ひゃ、ひゃい!?』
ちひろ「聞きました!?『ひゃい!?』ですって!」ウキャー!
比奈「まぁ確かに恐いっちゃぁ恐いっスよね」
P「にしてもビビりすぎじゃないか?」
ーーーーーーー
飛鳥(待て、落ち着け飛鳥。そんな事をすれば犯罪じゃないか。そんな事されるわけない。そうだ。)
蘭子『……』じっー……
飛鳥(なんて眼差し……何かを期待しているような………!)
回想ーーーちひろ『この事務所はいろんな人が居るので、レッスンに早めにきて顔を合わせる機会を増やしてみたらどうですか?』ーーーー
ーーー比奈『そうするといいっス、きっとびっくりするっスよ』ーーー
飛鳥(……そうか、ボクは見事に誘導されていたんだ、そして比奈さんの言葉はきっと彼女を指して…いやこのことを指して……)
飛鳥(わざわざボクがこの時間に来るように仕向け……)
飛鳥(それを見計らってこのキャラクターをぶつけてきた………!)
飛鳥(比奈さんはきっとこのことを暗示して……間違いない……)
飛鳥(ボクは試されている……!この事務所に……!)
ーーーーーーー
ちひろ「固まってますねぇ」
比奈「きっと蘭子ちゃんは先輩の前で緊張してるだけだと思ってるっスよ」
P「二宮の奴パニックで妙なこと考えてないだろうな」
ちひろ「しかし蘭子ちゃんのスケジュールの都合が合ったのは運が良かったですよね」
P「なんだ、狙った訳じゃないのか」
比奈「ホント、たまたまっス」
蘭子『くく……身持ちが固いな…そう脅えずともよい……力を抜け……我に身を委ねよ……(緊張しなくてもいいんですよ)』スゥ……
飛鳥『あ、あ……』
飛鳥(呑まれるな…呑まれるな…)
ーーーーーーー
比奈「余計恐いっスよー蘭子ちゃん」
ちひろ「素直でいい子なんですけどねぇ」
P「どことなく危ない雰囲気を醸し出してるな」ウィーンウィーン
ーーーーーーー
蘭子『三度問う…汝の名を答えよ』ニコォ
飛鳥(これが最後のチャンス……!)
飛鳥(名前を答えるだけ…下手を打てばボクは終わり…!)
飛鳥(ボクがすべき事は……)
飛鳥『ふ、はは、ふふははは……』
蘭子『!?』サッ
飛鳥『我が名は二宮飛鳥!汝と道を同じくする者也!!」
蘭子『ッ!?』
ーーーーーーー
ちひろ「これはッ……!」
比奈「予想外………っス」
P「蘭子は白か……まぁ予想通りだな」ウィーンウィーン
蘭子『あ…!ああ!』ワナワナ
飛鳥(どうだ……!?)
蘭子『我らが魂、ここに共鳴せりぃ!!』だきっ
飛鳥『きゃいっ!?』
ーーーーーーー
ちひろ「蘭子ちゃんったら大胆!」
比奈「首を傾げるだけの子も多かったっスからねぇ、余程嬉しかったんでしょう」
P「良かった、熊本弁の通訳者が一人増えた」
ーーーーーーー
蘭子『我らがここで相まみえたのは全て運命の導き!!(運命です!運命です!!)』スリスリ
飛鳥『あ、ああ!』
蘭子『ここで永劫の契りを交わそうぞっ!(友達になりましょう!)』ずいっ
飛鳥『な……あ……?』
蘭子 じっー……
飛鳥『あ…た……容易い!』
蘭子『やったー!』ぎゅっ
ーーーーーーー
ちひろ「本当に嬉しそうですね」
P「結局は同じ中ニ病、同じ穴のムジナか」
比奈「だから口がわるいっス……」
ーーーーーーー
蘭子『我はこれより狩りの時間故、また会おうぞ!(私はこれからお仕事です、またお話しましょう!)』
飛鳥『あ、ああ』
飛鳥(……………)
飛鳥(何言ってるのか全然解らなかった…)
ー翌日
P「次は何をするんだ?利尿剤とかあるぞ?」
比奈「何であるんスか…」
ちひろ「今日の舞台はー……ここです!」
ーーーーーーー
小梅『…………』ソワソワ
ーーーーーーー
比奈「分かりやすいっス……」
P「何でソワソワしてるんだ?」
ちひろ「新人の子がいるので来たら仲良くしてあげてねって」
比奈「小梅ちゃんのコミュニケーションツールとえば…」
P「気に入ってもらえるかなぁ、なかよくなれるかなぁ、とかそんな感じか」
ちひろ「気合いが入ってるのかとびきりエグいの持ってきてるようですね」
P「計算済みか?」
ちひろ「ふふ、どうでしょうかね?……あ、来ましたよ」
キィ
飛鳥『こんにちは……君は…ボクの先輩ですか?』
小梅『う、うん…あ、敬語は、い、いいよ…えっと…ち、ちひろさんが言ってた…新人の…え、えっと』
飛鳥『ボクはアスカ、二宮飛鳥これからよろしく』
小梅『え、えへ、…飛鳥ちゃん……え、えと…さ、早速なんだけど…こ、これ……』スッ
飛鳥『……!』ピクッ
ーーーーーーー
比奈「ちょっと反応したっスね」
P「これは当たりかな…?」
ーーーーーーー
小梅『お、お近付きの印に………これ…み、観よ?』
飛鳥『っ…………』ゴクリ
飛鳥『そうだね、一緒に観ようか』
ーーーーーーーー
比奈「そうっスよねぇ、断れないっスよねぇ」
P「絶対に後悔するぞ」
ちひろ「してもらわなきゃ困ります」
飛鳥『…………』ギュ
小梅『…………』ウズウズ
デッデレデーン デデデテ
ーーーーーーー
ちひろ「始まりましたよ」
比奈「どうせなら一緒に観ましょ」ウィーンウィーン
P「え、ちょ」
ーーーーーーー
ギシギシ アン
飛鳥『…………っ』
小梅『……………』
ーーーーーーー
比奈「どうしてホラー映画って濡れ場が多いんでスかね」
ちひろ「この間の気まずい雰囲気も見所です…といっても、気にしてるのは飛鳥ちゃんだけですが」
P「…………」
ーーーーーーー
キャー バキバキバキ グチッ
飛鳥『……………』
小梅『……………』
ーーーーーーー
P「ヒッ……」
比奈「やっぱり死んだっスね」
ちひろ「幸せをぶち壊すとか、そんな意味もあるんでしょうか」
ギャアアアア グォォ ブシャアアア
飛鳥『……………』
小梅『……………』ウキウキ
ーーーーーーー
比奈「スプラッターっスねぇ」
ちひろ「飛鳥ちゃん意外にも冷静、失敗ですかね?」
P「………、……」
ーーーーーーー
チャーン チャーン
飛鳥『………ふぅ』
小梅『……………』ツヤツヤ
ーーーーーーー
比奈「何事もなく終了っス」
ちひろ「少しつまらなかったですかね?」
比奈「あ、そろそろ帰るみたいっス」
ーーーーーーー
小梅『お、面白かっ…た?』
飛鳥『うん、とても』
小梅『そ、そう、…えへへ、良かった』
飛鳥『時間もちょうどいいし、そろそろ僕は……』スクッ
ーーーーーーー
ちひろ「あ、飛鳥ちゃん……」
比奈「ああ……」
比奈「何で内股なんでスか……」
小梅『……………む、無理してる……こ、怖かっ……た?』
飛鳥『………やれやれ、お見通しかい?』プルプル
小梅『う、ううん、……あの子が、お、教えてくれたの』
飛鳥『あ、あの子?』ピクッ
小梅『う、うん、…ほら、そこに……』スッ
飛鳥『へっ………』
飛鳥『つ…っ……』ドグシャア
ーーーーーーー
比奈「膝から…」
ちひろ「崩れ落ちた…」
P「飛鳥…」
ーーーーーーー
飛鳥『………っ』ッー
小梅『飛鳥…ちゃん…』
飛鳥『うっ…ぐうっ………』
ーーーーーーー
プツンッ
ちひろ「…………」
比奈「…………」
ちひろ「……私達は何も見てません。いいですね」
比奈「……はいっス」
P「…………ああ、やってない仕事があるんだった、ちょっと行ってくる」スクッ
ちひろ「Pさん……」
比奈「何で内股なんでスか……」
寝る。
荒木比奈(20)
http://i.imgur.com/55FAiHK.jpg
http://i.imgur.com/PrkV3qc.jpg
二宮飛鳥(14)
http://i.imgur.com/p3Z4QoC.jpg
http://i.imgur.com/RjRVqIX.jpg
神崎蘭子(14)
http://i.imgur.com/J3ln1lK.jpg
http://i.imgur.com/mXj4rcC.jpg
白坂小梅(13)
http://i.imgur.com/aHEynhc.jpg
http://i.imgur.com/9RdYK2R.jpg
数日後
P「よう、お前ら待たせたな」
ちひろ「おはようございます」
比奈「お、プロデューサーさん、パンツは無事だったっスか?」
P「開口一番で人の古傷抉る奴が……まぁ、なんだ、たまには…ノーパンもいいものだな…と」
比奈「決壊はしなかったんスね」
P「馬鹿やろう、俺だっていい大人だ、そのくらい弁えてる」
比奈「ホラー映画にガチでビビったり隠しカメラで人のパンツを覗くのはダメな大人のやることっス」
P「ええい、だまれだまれ」
ちひろ「それはそうとプロデューサーさん、数日待ってくれって何のことだったんですか?」
P「ああ、それか、ふふん、いやなに、聞いて驚け」
比奈「期待しないでおくっス」
P「名付けて、”オペレーションS”だ」
ちひろ「オペレーションS……?」ゴクリ
比奈「ちひろさん、合わせなくてもいいっスよ」
P「オペレーションS……すなわち」
P「セクシャァル………」シュッ
P「ハラスメンッッ」バッ
ちひろ「何でしょう今の間」
比奈「何でもいいから具体的な話をしてほしいっス」
P「ふ、比奈はせっかちだな……」
比奈「いきなり名前で呼ばないで欲しいっス、気持ち悪いっス」
P「結構傷付くなそれ……えーと確かこの辺に……あった」ガサゴソ
ちひろ「何ですかその書類?」
P「写真撮影のお仕事だよ……こういう衣装のな」ピラッ
ちひろ「これは……」
比奈「何というか…」
P「ネコミミメイド服だッ!」バン
ちひろ「それもただ物では無いですね」
比奈「ノースリーブ、超ミニスカ、ガーターベルト、おへそ……背中も開いてるんスね」
比奈「正直これをメイド服と呼ぶのは難しい気がするっス」
P「こんなもん、言ったもん勝ちなんだよ」
比奈「そんなもんっスか?」
P「そんなもんだ」
ちひろ「しかしよくピンポイントでこんなお仕事取ってきましたね」
P「当然だ、ここのアイドルをプロディースしてるのは誰だと思ってんだ、これくらいどうってことない」
比奈「はいはい、いつも感謝してるっス」
P「そういうわけだ、二宮に話を通してくる」
ちひろ「断られる可能性は?」
P「くくく、新人が仕事を選んでられるかよ……それにあいつは真面目だからなぁ……ぁあ楽しみだ……ハッハッハッハッハッ……」ガチャ
比奈「笑い声までゲスっスね」
ちひろ「せっかくだからその現場も盗撮しておきましょう」ポチッ
P『二宮……話があるんだ……』キリッ
飛鳥『ど、どうしたんだい?いつになく真剣な表情だね』ピクッ
P『ここじゃなんだ、あっちで話そうか…』
飛鳥『あ、ああ、そうだね』
飛鳥(ボ、ボクなにか怒られるようなことしたのかな…)ドキドキ
ーーーーーーー
ちひろ「のっけからペースを奪う気マンマンですね」
比奈「あのおっさんあんな顔もできたんスね」
ーーーーーーー
P『これのことなんだがな………』ピラッ
飛鳥『こ、これは……』
P『……俺の言いたいこと、分かってくれるか?』
飛鳥『……ど、どうしてボクなんだい?この仕事は、ボクなんかより…もっと別の人の方が輝けると………』
P『そうだなぁ!そうかもしれない!!』バンッ
飛鳥『ひっ……!?』
P『この企画を考えた人がな……?二宮の、お前のファンなんだそうだ』
飛鳥『……っ!』ピクッ
P『確かにこれはもっと適任がいるかも知れない、前川あたりなら喜んでやるだろうな…』
P『事実無理なら他の人間でも構わないって…彼女が嫌ならそれでいいって……』
P『でもな……こうも言ってたよ、私は彼女に期待している、彼女の色んな一面を見てみたい……』
P『……期待しているのは俺も同じだ、お前には可能性を感じている。だからこそのこれだ』ずいっ
飛鳥『キミは…………』
P『……どうだ』
飛鳥『ボクは…………』
飛鳥『わ、わかった、ボクに出来る限りを尽くそう』
P『そうか……!』
ーーーーーーー
ちひろ「あんな頼み方されたら断れませんよねぇ」
比奈「どこまでがでっち上げなんでスかね」
ちひろ「というわけでお仕事現場の映像がこれ」
比奈「感動はないっスけどね、アタシも何度か使いました」
ーーーーーーー
P『二宮ァ!!こっちは準備OKだぞ!!』
シャア
飛鳥『わ、わかったよ……うう……』カァ
ーーーーーーー
ちひろ「出てきましたね、かわいいです」
比奈「顔真っ赤っスねー頑張って露出を減らそうとしてるのが微笑ましいっス」
ーーーーーーー
カメラマン『こっち向いてーいいよー』カシャカシャ
P(頃合いか……)
P『カメラさん……ちょっと』チョイチョイ
カメラマン『……ああ、了解だ』
P(くくく、ここのスタッフは全員グルみたいなもんだぜ……)
P『二宮!』
飛鳥『な、なな、なんだい?』
P『ちょっと耳貸せ』
ーーーーーーー
ちひろ「Pさんに動きがあります。何でしょう?」
比奈「何スかあれ……カンペ?を指さしてるっス」
ーーーーーーー
P『…それで…あれを…』ボソボソ
飛鳥『ああ、あ、あれって……あれをかい?』ボンッ
P『…お前なら、出来る』ガシッ
飛鳥『うう……やる……やるから……そんな眼で見つめないでくれ……』
ーーーーーーー
ちひろ「飛鳥ちゃんさらに真っ赤」
比奈「なーに吹き込まれたんでスかね」
飛鳥『……い、いくよ……?』
P『いいぞ、来い!』
飛鳥『うう、………』チラッ
飛鳥『に……にゃ、ん……』カァァァァ
P『グハァッ』ドッ
ーーーーーーー
ちひろ「かわいいっ!かわいいです!」ジタバタ
比奈「飛鳥ちゃんもう破裂しそうッスよ」
ーーーーーーー
飛鳥『ほ、本当にっ……意味があるのかいっ……!?』モジモジ
P『ああ!続けろ!』
カンペ『ピラッ』
飛鳥『ご、ごごご、ご主人様…お帰りなさいませ……にゃあ』
カンペ『ピラッ』
飛鳥『あすにゃんっ……さ、寂しかった……にゃんっ!………』プルプル
カンペ『ピラッ』
飛鳥『……あすにゃんっ、頑張ったからっ…ご褒美っ…欲しいっ…にゃんっ……!』
カメラマン『b』
P『b』
飛鳥『……ぅう……』プルプル
ーーーーーーー
比奈「あすにゃん……あすにゃんかぁ…」
ちひろ「比奈ちゃんは……ひなにゃん?ちょっと語呂が悪いですねぇ」
比奈「飛鳥ちゃんには悪いッスけど絶対にやりたくないっス」
お仕事終了
飛鳥「」
P「おーい二宮……燃え尽きてやがる」
飛鳥「ピクッ」
飛鳥「ああ、キミかい……ボクは、輝いていたかい……?」
P「ああ、そりゃもう」
飛鳥「それは……良かっ………た」ドシャァ……
P「二宮!?…………」
ーーーーーーー
ガチャ
P「見たかこの俺の実力」ツヤツヤ
比奈「お帰りなさいっス」
ちひろ「いいもの見せてもらいました」
P「そうだろう、そうだろう」
比奈「プロデューサーさん、少しいいッスか?」
P「なんだ?」
比奈「飛鳥ちゃんに仕事を持ちかけたときの話っス」
P「ああ」
比奈「……どこまで本当っスか?」
P「ほぼ嘘だけど?」
比奈「うわぁ…」
ちひろ「うわぁ」
P「誰がやるかなんて、指定は無かったし、前川だってあんなもん嫌がるに決まってる」
P「俺が期待してるのは本当だけどな」
比奈「取り繕ったところでゲスはゲスっス」
ちひろ「まるで鬼か悪魔ですね」
P「
翌日
比奈「まだやるんスか?オペレーションS」
P「勿論、だが今回は前回みたいな大掛かりな事はしないぞ」
ちひろ「何をするんですか?」
P「師匠、お願いします」
愛海「うむ」シュタッ
比奈「うひぃ!?どこから出てきたっスかぁ!?」
P「言わなくてもわかるな」
比奈「いやまぁ……でもなんか地味っスね、昨日のゲスっぷりに比べるとなんだか……」
P「ふん」
比奈「何スか」
P「まだまだ甘いな……状況を説明しよう」
P「二宮は今レッスン終わりだ」
P「今の奴はいつものごわごわした服じゃなく、動きやすいラフな格好なんだ」
P「つまり師匠のポテンシャルを十分に発揮できる状況……そうですね、師匠」
愛海「左様」コクリ
比奈「あんたらはどんな関係なんスか」
P「しかしそれでは個人面談となんら変わらん……そこでだ」
P「今あいつが飲んでるスポーツドリンク」
ちひろ「え?……はいはい」ウィーンウィーン
P「あれは俺の自家製だ」ニタァ
比奈「何を混ぜたんスかぁ!?」ガタッ
P「なぁに……ちょっと体を正直にするだけさ」マジキチスマイル
ちひろ「流石ですねぇ」
比奈「何感心してんスか……」
P「そういうわけだ………師匠、分かりましたか」
愛海「御苦労……」
比奈「いつまでそのキャラ続けるんスか」
愛海「参る………」スゥ
ちひろ「いってらっしゃい!」
飛鳥(カラダが熱いな…少しメニューを増やしたから、無理もないのか)
飛鳥(それだけじゃない、まるで何かを求めてるような……ふふっ、もうクタクタなのに…欲張りなものだな)
ガチャリ
愛海『……』ゴゴゴゴ
飛鳥『…こんにちは、会うのは初めてになりますね、ボクは……』
愛海『二宮飛鳥ちゃんだね、あたしは棟方愛海』
飛鳥『ふふっ、ボクの事は知っていたようですね、彼からでしょうか?』
愛海『彼…?ああ、そうだよ、良く聞いてる』
愛海『飛鳥ちゃんが今、どんな状態かも…』サッ
飛鳥(っ!?消えた……!?)
ーーーーーーー
ちひろ「動きましたね…」
P「目に焼き付けておけ、あれが師匠のテクニックだ」
比奈「アタシらを何にしたいんスか」
ーーーーーーー
愛海『顔…真っ赤だね』サッ
飛鳥『!?(後ろ…!?)れ、レッスン終わりですからね…火照っているのかもしれません』
愛海『ふうん?レッスン終わり、ね』
飛鳥(う、動けない…っ!?)
飛鳥(だけど、分かる、このままでは危険だ……!)
愛海『本当に、それだけなのかなぁ……?』ス…
ムニュ
飛鳥『ひぁう!?』ビクッ
ーーーーーーー
P「ふふふ、薬の効果は十分だな……」
ちひろ「いい声で鳴きますねぇ」
比奈「アタシらはこんな人達に事務所を任せてたんスね」
愛海『はぁ……かわいい……』ゾクゾク
モニュモニュ
飛鳥『ひゃあ!?あうぅ!』ビクンビクン
飛鳥(なんだよ…これぇ……振り解こうにも…疲労が……)
愛海『ふふ、まだ小さいね…あたしが育ててあげようか……』ムニュン
飛鳥『そん、なっ…やめっ…んぁぅっ!』ビクビク
愛海『やめて欲しいの?』
飛鳥『あ、あたりまえっ…だっ…やぁっ!』ビクンッ
愛海『そんな風には見えないけどなぁ』
飛鳥『やっ、やめ…ふぁっ!?んっ!』ガクガク
飛鳥(何で…ボクの体はどうなって…!?)
ーーーーーーーー
比奈「アウト!アウトっス!」
P「セーフだ」
p「ヤァ」ムクリ
比奈『アウトっスーっ
!!」
愛海『ふふふふふ………』
飛鳥『やぁっ!ひゃうんっ!!』ビクッビクッ
飛鳥(力が…抜けて…頭が…だんだん…なんだよぉ…なんなんだよぉ…)
ーーーーーーー
ちひろ「あんなにあられもない姿になって…」ゾクゾク
比奈「離すっスー!!止めに行かせて欲しいっスー!!」ジタバタ
P「ならん」ガッシリ
比奈「飛鳥ちゃんの尊厳に関わるっス!」ガタガタ
ーーーーーーー
飛鳥『いい、加減っ!怒るぞぉ……!』
愛海『怒るぅ?その顔じゃ説得力ないよ?』
飛鳥『あひゃうっ!あんっ!』ガクガク
愛海『ふふふ、ふふふふふ』
飛鳥『…くっ……いいんだね…』
愛海『何が?』モミモミ
飛鳥『ボクをこんなにして……焚き付けて…』
愛海『えっ……』バッ
飛鳥『…んっ……はぁ……』ドドドドド
愛海(……気が……変わった……!?)
愛海(これじゃまるで……別人……!)
愛海(いや、違う!これが本来の、本当の二宮飛鳥だというのか……!?)
飛鳥『……ふぅ……』ドンッ
愛海(しまった……!壁……!)
飛鳥『……ボクを本気にしたのは…キミなんだよ………?』ドドドドドドドドドド
愛海『えっ…』
ーーーーーーー
ちひろ「えっ…」
比奈「えっ…」
P「えっ…」
愛海「前が見えねぇ」ボコボコ
ちひろ「大丈夫ですか?」
比奈「こんなことにつき合わされたばっかりに…」
P「すまんな、愛海」
愛海「それは違うよ」
P「えっ…」
愛海「…今までのあたしなら、あんな反応、楽しめなかっただろうね」
愛海「それは紛れもなくプロデューサーのおかげなんだ」
愛海「有意義な時間を…ありがとう」
P「ッ!!……師匠!師匠ォーーッ!!」
ちひろ「青春…ですかね?」
比奈「いやまぁ間違ってはないっスけど」
数日後
ガチャ
P「よう、荒木」
ちひろ「おはようございます」
比奈「んぁ、おはよっス」
P「早いな、……もう準備は出来てるんだな?」
比奈「はいっス」
ちひろ「何を仕掛けたんですか?」
比奈「見れば分かるっス……ぽちっとな」ポチッ
P「………なんだこのこれ見よがしに散乱した薄い本は」
ちひろ「表紙からして背徳的ですね」
比奈「和姦から異種、近親、…やおいと百合もあるっス」
P「お前……」
比奈「………若気の至りっスよ」
P「……ふん、それでこの後二宮が来ると」
比奈「そういことっス」
P「地味だな」
比奈「……あれを見るっス」チョイチョイ
P「…スケジュール表?それが……っ!」
比奈「……そうっス、時間差で年少組と合流した年長組が入ってくる計算っス」
ちひろ「策士ですね…」
比奈「飛鳥ちゃんの社会的信用度が犠牲になる可能性はあるっスけど……後でアタシから弁明をしておけばいいっス」
P「…………なんだ、お前もノリノリじゃないか」
比奈「……アタシだって解説だけやって終わる気はないっス」
ちひろ「あ!来ましたよ」
飛鳥『おはようござ………』
ーーーーーーー
ちひろ「早速異変に気付きましたね」
比奈「……………」
ーーーーーーー
飛鳥『…………』スタッ
飛鳥『…………』キョロキョロ
ーーーーーーー
ちひろ「取り敢えずソファーに座りましたね」
P「しきりに周囲を気にしてるな」
比奈「そりゃあそうっスよね」
ーーーーーーー
飛鳥『……………』じーっ
飛鳥『……………』キョロキョロ
ーーーーーーー
ちひろ「興味はあるみたいですね」
P「なにを手に取ると思う?」
比奈「そうでスね……本命薔薇、大穴リョナってところっスかね」
P「……冗談でも本命はノーマル和姦って言って欲しかったな」
比奈「あくまでアタシ基準っスよ、まぁ腐ってる子は割とそれなりの数いまスけど」
飛鳥『おはようござ……い、……』
ーーーーーーー
ちひろ「早速異変に気付きましたね」
比奈「………」
ーーーーーーー
飛鳥『…………』ストッ
飛鳥『…………』キョロキョロ
ーーーーーーー
ちひろ「取り敢えずソファーには座ってくれましたね」
P「しきりに周囲を気にしているな」
比奈「そりゃあそうっスよね」
ーーーーーーー
飛鳥『…………』じーっ
飛鳥『…………』キョロキョロ
ーーーーーーー
ちひろ「興味はあるみたいですね」
P「何を手に取ると思う?」
比奈「そうでスね…本命やおい、大穴リョナって感じでスかね」
P「……そこは冗談でもノーマルものって言って欲しかった」
比奈「あくまでアタシ基準っスけどね…まあでもわりかし腐ってる子は多いっスよ」
P「そうなのか…」
飛鳥『…………』スッ
飛鳥『…………』ピラッ
飛鳥『………!』
飛鳥『///………』パタンッ
ーーーーーーー
ちひろ「閉じたり開いたり…初々しいですね!」
比奈「恥ずかしいけど気になる物は気になる、やっぱりお年頃っスね」
P「……いや、待て眼が変わった、覚悟をきめたか」
比奈「次手に取るのが飛鳥ちゃんの趣味っスかね」
ーーーーーーー
飛鳥『……………』ゴクリ
飛鳥『……………』スッ
飛鳥『///…………』パラ…パラ…
ーーーーーーー
比奈「……百合モノ……それも一番危ないやつっス…」
ちひろ「顔真っ赤にしてかわいいですね!」
P「なぁ……もしかして俺と愛海は二宮の新たな扉を開けてしまったのか?」
比奈「………」
ちひろ「………」
P「答えてくれよ」
比奈「そろそろ例の時間っス」
P「なあ」
飛鳥『…………』チラッ
飛鳥『………!』
ーーーーーーー
ちひろ「スケジュール表…気付きましたね」
P「誰が来る予定になってるんだ?」
比奈「高垣さん、高峯さん、東郷さんに、雪美ちゃんと薫ちゃんっス」
ーーーーーーー
ガヤガヤ
飛鳥『…………っ』アタフタ
ーーーーーーー
ちひろ「慌ててますねぇ」
比奈「多分一番の正解はプロデューサーさんの机にぶちまけておくことっスね」
P「俺を殺す気か」
ーーーーーーー
飛鳥『…………』アタフタアタフタ
飛鳥『……っ!』ゴソゴソ
ーーーーーーー
比奈「ぜ、全部バッグに突っ込んだっス」
P「それでいいのか」
ちひろ「それはこれから次第ですね
よく考えたら全員二十五歳未満だ、年長に入れていいのかこれ
ガチャリ
薫『せんせーおは………いない?』
雪美『P……いない………どこ?』
飛鳥『か、彼なら僕が来たときから居なかったよ』ドキドキ
雪美『そう………』しゅん
楓『…………』しゅん
あい『楓さんまでしゅんとしない』
のあ『………新しい人ね……』
あい『またかい、フッ、あの人も節操が無いね』
楓『ふふ、…名前は?』
飛鳥『ボ、ボクは二宮飛鳥、です』ドキドキ
あい『私は東郷あい、いきなり大人数ですまないね』
飛鳥『い、いえ』
ーーーーーーー
ちひろ「あら、いつもの自己紹介がありませんね」
P「そりゃそうだ、あそこに放り込まれてキャラを保てるのなんて阿部ぐらいだろ」
比奈「キャラって言わない方がいいっスよ…」
ちひろ「ちなみにバッグはソファーの裏に隠しました」
楓『高垣楓、よろしくね』
のあ『高峯のあ、よ……』
薫『龍崎薫だよ!』
雪美『佐城雪美……』
あい『キミはいつここに入ったんだい?』
飛鳥『あ、えー…と、確か……』チラッ
ーーーーーーー
ちひろ「ソファーの裏をしきりに気にしてますね」
P「会話にも集中できてねぇなありゃ」
ーーーーーーー
あい『へぇ、漫画かい?確か比奈が……』
飛鳥『あ、ああ、荒木さんとはもう……』
あい『へぇ、そうかい……一応聞いておくけど、楓さんはさっきから何を神妙な顔をしてるんだい?』
楓『……駄洒落が、思いつかない』
飛鳥『あ…、ええと……』
あい『ああ、気にしなくていいよ』
楓『む、ひどい』プクー
薫『あれ、このバッグ………』
飛鳥『ーーーーッ!?』ビクッ
ーーーーーーー
ちひろ「飛鳥ちゃん危機一発!無邪気さは時に凶器です」
比奈「あああ、大丈夫っスかねぇ……」
P「お前がやったんだろ」
比奈「それはそうっスけどぉ……」
ーーーーーーー
薫『中に何か………』
飛鳥『ッ!!だめだぁァーーーッ!!』バッ
シュッ
ダッ
グルンッ
ガシッ
シュタッ
飛鳥『ふぅ……………』
薫『……………』
雪美『……………』
あい『……………』
楓『わー………』ぱちぱち
のあ『……………』
飛鳥『……………はっ』
ーーーーーーー
ちひろ「……凄い動きでしたね」
比奈「まるで体操選手っス、飛鳥ちゃんダンス得意だったりするんスか?」
P「いや、俺も初めて見る、今後のレッスンの参考にしてみるか」
比奈「…人間危機に陥ると意外な力を発揮するモンっスよね」
薫『………あ…』
飛鳥『……い、…今のは…』
薫『おねぇさん凄いね!!』キラキラ
飛鳥『そ、そうかい?……薫ちゃん?このバッグはボクのだけど、人の物を勝手に見るのはあんまり良くないから止めようね?』
薫『うんっ!』
あい『しかし、いまのは結構凄かったな』
のあ『飛鳥……まさにその名の通りだわ…』
飛鳥『そ、そうですか?……あ、ああ!ボクはそろそろレッスンがあるのでこの辺で……』
雪美『また……ね』
飛鳥『うん、それでは…』
飛鳥(なんとかごまかし切れたかな?…)
ーーーーーーー
ちひろ「なんとか一段落ですね」
比奈「いやぁ、ハラハラしたっス」
P「安心したとは言え、つまらないと言えばつまらないな」
ちひろ「あれ?ちょっと待ってください?」
ーーーーーーー
飛鳥(変にぼろが出る前に早く…)スタスタ
のあ『飛鳥』ガシッ
飛鳥『ひゃい!?』ビクッ
飛鳥『な、な何でしょうか?』ドキドキ
のあ『性に興味を持つのは悪いことではない…恥じることは無いわ……』ボソッ
のあ『レッスン、頑張りなさい』ヒラヒラ
飛鳥『』パクパク
ーーーーーーーー
ちひろ「………」
比奈「…………」
P「……………」サーッ
P「何でわかった」
ちひろ「回収したときにちゃんとチャック閉めてましたよね…」
比奈「少なくとものあさんからは見えなかったハズっス…」
P「何でわかった!?」ガシッ
比奈「あ、アタシに聞かれても困るっスよぉ!」
数日後
比奈「まだやるんスかぁ?」
P「おうよ、確かこの前高いところは好きだとか言ってたからな、スカイダイビングでも体験させようかと」
比奈「幸子ちゃんの時も思ったんスけど、十四歳にどうやってスカイダイビングやらせるんスか?」
P「………そういえばちひろさん、これ映像にして撮ってあるよな、何に使うんだ?」
比奈「はぐらかさないで欲しいっス……」
ちひろ「何に使うってわけでもありませんが……そうだ!誕生日パーティーの時にでも使いましょうか!」
比奈「あんたこそ鬼っスね……」
「それは、素敵なパーティーになりそうだね」
P「いや、俺もそう思うぞ、なんなら結婚式の時にでも………」
P「……………へ?」
飛鳥「………………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
P「ヒィッ!?」
比奈「飛鳥ちゃん!?」
飛鳥「ふふふ、そういうことだったのかい……」ゴゴゴゴ
ちひろ「飛鳥ちゃん?落ち着いて?」
飛鳥「いやね、ボクもいくらアイドル事務所とはいえ、非日常が過ぎると思っていたんだ」ゴゴゴゴ
P「そう!そうだ!お前の望んだ非日常だぞ!」
飛鳥「どの立場で物を言ってるんだい?」ドンッ!
P「ヒィッ!」
飛鳥「ああそうだ比奈さん」ジロリ
比奈「は、ハイッ!」ビシッ
飛鳥「これ、返しておきます」バサバサ
同人誌s「」
飛鳥「大西先輩が言ってたよ……この絵まさしくアナタの物なんだそうじゃないか」
P(あれ全部自作だったのかよ!)ヒソヒソ
比奈(若気の至りっス!)ヒソヒソ
P「ね、ネコミミの仕事あっだだろう!」
P「あれな!結構好評で、あれから仕事のオファーが少し増えたんだよ!」
飛鳥「へぇ、それは知らなかったな……じゃあこれからボクはにゃんにゃん言ってれば仕事が増えるのかい?」ギロ
P「スンマッセーン!」
飛鳥「比奈さん…」
比奈「あ、アタシっスか?」
飛鳥「ボクが初めて事務所に来た日……」
飛鳥「初めて話したのはアナタだったね…」
飛鳥「少しの時間だったけど、嬉しかったんだ…」
比奈「うぐっ」グサリ
飛鳥「未知に対する不安を少し和らげてくれた気がして……」プルプル
飛鳥「後で同じ趣味を持っていると知って…」プルプル
飛鳥「趣味を分かち合えたら……と、友達になれたらっ……て……」ポロポロ
ちひろ「ああ…」
比奈「ぁああぁあぁああ……」ガクガク
飛鳥「プロデューサー…」
飛鳥「キミに声を掛けられたらとき……不思議だったなぁ…」ポロポロ
飛鳥「うっ……この人がっ…ボクを非日常に、高みに連れて行ってくれるんだって……」ゴシゴシ
P「すまねぇ…すまねぇ…」ガクガク
飛鳥「ちひろさん…」グスッ
飛鳥「ふとしたとき、いつも励ましてくれましたね…」ポロ
飛鳥「ちょっとした事だけど嬉しかった…」ポロポロ
ちひろ「飛鳥ちゃん……」ズキズキ
飛鳥「だけどボクは少し勘違いしていたみたいだ」ゴシゴシ
飛鳥「早苗さん」
早苗「乙女を泣かせる悪者はどこだぁっ!」ガチャッ バタンッ
P「げぇっ!オチ要員!」ガタッ
早苗「ん?何か言ったかな?」ニコッ
P「ヒィッ!」
早苗「よしよし、飛鳥ちゃん辛かったよね?」ナデナデ
飛鳥「うう……」ポロポロ
早苗「こんなことした奴らはちゃあんと痛い目みないとねー」ギロ
ちひろ「いやー、ははは」
比奈「お、お手柔らかに頼むっス……」
早苗「ちひろさん、比奈ちゃん、悪いけど私男女差別はしない主義なんだ」
比奈「それは一体どういう……」
早苗「だーかーらー、乙女を泣かせる悪い子はー、三人まとめて平等に……」パキポキ
早苗「シメる♪」
「「「ぎゃあああぁぁぁぁぁ!!」」」
ーーーーーーー…………
「煩わしい太陽ね!」
飛鳥「おはよう、蘭子」
蘭子「ふふ、我が烙印が馴染んできたようだな(私の言葉が段々わかってきたみたいですね!)
飛鳥「うん、初めての時に比べたら、ね」
飛鳥「でも、本当に初対面の時は驚いたな」
飛鳥「迫力もあって、ボクよりずっと大きな人に見えたよ」
飛鳥「たった2センチの差なのにね」
蘭子「むぅ、その刻は我も平静を欠いていた…申し訳ない(その時は私も興奮しちゃって…ごめんなさい)」
蘭子「だが、それ故この刻がある、違うか?(でもそれだからこの出会いがあったんですよね)」
飛鳥「ふふ、そうかもしれないね」
蘭子「………………して、飛鳥よ(あの、飛鳥ちゃん)」
飛鳥「なんだい?」
蘭子「あの刻と言えば、だ(初対面の時と言えば…)」
飛鳥「あの時?」
蘭子「左様、…再びあの刻のように、魂の共鳴を……」
飛鳥「魂の……ああ、………んっ、あーあー…」
飛鳥「我も同じ目を持つもの、造作もない(同類みたいなものだからね、簡単さ)」
蘭子「!友よ!魂に刻んだ契りが疼くようだ!(それです!ああ、まるであの時みたいですね!)」
飛鳥「互いの約束の日…忘れはしない(ふふ、蘭子と友達になった日さ、忘れないよ)」
飛鳥(思えば蘭子とこんな話が出来るのも、あの”傍迷惑な非日常”のお陰かも知れない)
飛鳥(そう考えればあの三人のことも、まぁ、ちょっぴり、許せない気もしない……かな)
蘭子「ふははは!やはり飛鳥は我が魂の友よ!(やったー!飛鳥ちゃん大好き!)」だきっ
飛鳥「ひゃ!?」むにっ
飛鳥(蘭子の、が、当たって……)ドキドキ
飛鳥(こっちは確か身長の三倍も差が………ボクは何考えてるんだ!?)
蘭子「む、飛鳥よ、もしや呪いに身を蝕まれてはいないだろうな(あれ、顔が赤いですよ?風邪ですか?)」ずいっ
飛鳥「そ、それは杞憂だ(そ、そう言う訳じゃないよ)」
飛鳥(か、顔が近い…///)
蘭子「む、そうか、くれぐれも無理はするなよ?」ばっ
飛鳥「あっ…」
蘭子「?」
飛鳥(傍迷惑な非日常が残したもう一つの物)
飛鳥(ボクが本当の意味で変になってしまった物)
飛鳥(これは、……いいこと、なのかな)
終わり
棟方愛海(14)
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龍崎薫(9)
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佐城雪美(10)
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高垣楓(25)
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東郷あい(23)
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高峯のあ(24)
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片桐早苗(28)
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