コナン「サンキュ博士!」
阿笠「くれ悪じゃぞ~」
光彦「おはようございますコナンくん」
元太「おい光彦、それなんだよ?」
光彦「これは新発売の仮面ヤイバ―アクションフィギュアですよ!」
光彦「朝早くから店頭に並んで買った甲斐がありました」ウキウキ
光彦「ほら、腕のこの部分が……」
コナン「へえ」ポチットナ
光彦「あ」ボキッ
歩美「もー、何してるのよ光彦くん!」
元太「あーあ、壊しちまった」
光彦「そんな……」ガックリ
光彦「まあ、形ある物はいつか壊れますからね、仕方ないですよ」
灰原「あら円谷君、大人な対応ね」
コナン「ちっ」
コナン「よしさっそく押そう」ポチッ
コナン「…?」パキパキ
コナン「な、なんだ!?お、俺の体がだんだん崩れて…」ポロポロ
コナン「そうか…光彦の野郎、こんな俺のことを、大切だって思ってくれたんだな…」サラサラ
コナン「すま…ね…ぇ…りが…とう……」サァァ
コナン「夢か」
コナン「光彦、消しゴム貸してくれよ」
光彦「今使ってますから、ちょっと待ってくださいね」ケシケシ
コナン「もう1個あるじゃねえか、そっち貸してくれよ」
光彦「ああ、これは去年亡くなった親戚のおばさんが入学祝に買ってくれたものなんです」
光彦「消しゴムだけじゃなくて文房具セットでしたけど」
光彦「それでお守りみたいな感じで筆箱に入れてますけど、使うつもりはないんですよ」
コナン「へえ」ポチットナ
小林先生「じゃあこの問題を……小嶋君、前にきてやってもらえるかな」
元太「おー」ガタッ
元太「ってあれ?」ふらっ
光彦「あ」バシッ
元太「うわっ!!」ガシャンッ
元太「す、すまねえ光彦……お前の筆箱壊しちまった……」
光彦「……」
元太「み、光彦?」
光彦「まったく、仕方ないですね元太くんは」
光彦「中身全部ボロボロになってますから、あとで鉛筆貸してくださいよ?」
元太「おう、それぐらいならお安い御用だぜ!」
コナン「……いいのか光彦、おばさんの形見の文房具セットだったんだろ?」
光彦「いいんですよ、大事なのは物じゃなくて、そこに込められた思いですから」
光彦「例え壊れても、ボクが受け取ったおばさんの心に変わりはありませんからね」ニッコリ
コナン「ちっ」
元太「よっしゃ給食だ!今日はカレーだぜ!!」
光彦「給食のカレーっておいしいですよね」
歩美「あれ、そういえば光彦くん、昨日と同じ服着てない?」
光彦「上着だからいいんですよ」
光彦「それに、これは姉さんがボクの誕生日プレゼントで初めてくれた服なんです」
光彦「姉さんは趣味がよくて、ボクも気に入ってるんですよ」
コナン「ふーん」ポチットナ
歩美「きゃっ!」グラッ
光彦「えっ?」ビチャッ
歩美「ご、ごめんなさい光彦くん!」
歩美「お姉さんからもらった服が……」
光彦「あー……カレーのシミが酷いですね」
光彦「まあ、服も消耗品ですから、いつかはこうなったことでしょう」
光彦「歩美ちゃんだけが悪いんじゃないんです、そう落ち込まないで下さい」ニッコリ
歩美「光彦くん……」
コナン「クソッ、なんなんだこれは!!」
コナン「光彦の野郎、聖人君子気取りかよ!?」
灰原「江戸川君……」
灰原「今朝から円谷君の物がよく壊れるとは思っていたけど、貴方のせいだったのね」
コナン「面白くねえ、もっと無様に泣き叫べばいいのによ」
コナン「物はいつか壊れるから仕方ないとか、達観しやがって」
コナン「馬鹿じゃねえのか、俺の奪う楽しみを満足させろってんだよ!」
灰原「一体何をいっているの?」
灰原「貴方ちょっと……いや、かなりおかしいわよ」
コナン「うるせえ!」
コナン「こうなったらチマチマ壊すのなんか止めちまえ!」ポチポチポチポチ
コナン「光彦の大事な物、全部ぶっ壊れちまえ!!」ポチポチポチポチ
米産「」
コナン ポチ
光産「」
コナン ポチポチ
光彦「ありがとう」
灰原「その装置で一体何を……」
小林先生「円谷君、大変よ!」
小林先生「今あなたの家が燃えてるって連絡があって……」
光彦「なんですって!?」ダッ
灰原「ッ!?」
小林先生「ちょっと待ちなさい円谷君!!」
コナン「くっくっく……面白くなってきたぜ」ボソリ
コナン「先生、光彦のこと放っておけないよな」
元太「早くおいかけようぜコナン!」
小林先生「……しかたない子たちね」
コナン「よっしゃいくぜ歩美、元太、灰原!」
コナン「少年探偵団出動だ!!」
歩美「うん、急ごうよコナンくん!」
灰原「……」
光彦「ああ……本当に燃えてる……ボクの家……」ガクリ
朝美「大丈夫光彦!?」
光彦「姉さん……」
光彦父「母さん、無事だったか」
光彦母「ええ……家にいるときにいきなり火の手が上がって」
光彦父「そんなことはどうでもいいさ、家族みんなが無事だったんだ」
元太「おーい光彦ー!」
光彦「みんな……」
歩美「もー、急に飛び出して行っちゃんだから」
灰原「先生も心配していたのよ」
光彦「ご、ごめんなさい」
ウーカンカンカン!!ウーカンカンカン!!
光彦父「やっと消防車も到着したようだな」
光彦父「これで一安心だ」
コナン「……くふっ」ポチポチ
消防隊員「いきなりブレーキが効かなくなった!?」
消防隊員「いかん、このままでは……」
光彦母「ちょっと貴方、消防車の動きがおかしいわよ!?」
光彦父「こっちに突っ込んでくるぞ!」
光彦父「子どもたちは早く逃げなさい!!」
消防隊員「うわああああっ!!」
ドンッ
光彦「……え?」
光彦「嘘……ですよね?」
光彦「父さん、母さん!?」
朝美「嫌あああああああああっ!!」
コナン「く、くくく……」
コナン「ふひっ……ふふっ……」
コナン「ふははははははははははははははははははっ!!」
これで人死んだら光彦は人を物と扱うクズになるな
>>54
光彦は消防車のブレーキが大切だったのか
コナン「そうだよ、それだよ光彦!!」
コナン「俺はその顔が見たかったんだ!!」
光彦「コナン……くん……?」
コナン「さーて、家が燃えて、両親が死んで」
コナン「次にこのスイッチを押すとどうなるのかな?」ニヤリ
灰原「止めなさい江戸川君、死人が出ているのよ!?」
灰原「それ以上そのおかしな装置を使うのは……」
コナン「うるせえ灰原!!」ガツッ
灰原「キャッ!!」バタッ
光彦「何を言ってるんですか……」
光彦「灰原さんに何をしてるんですか、コナンくん!?」
コナン「狼狽と怒りか……そういう表情も面白いよ」
コナン「でもな、やっぱり最高なのは『絶望』なんだよ!」ポチットナ
ボンッ
光彦「うわっ!」
灰原「円谷君気を付けて!さっきの爆発で大きな破片が……」
光彦「え」
朝美「危ない光彦!」ザクッ
光彦「ねえ……さん……?」
朝美「よかった……光彦が……無事で……」ガクリ
光彦「姉さああああああああああん!!」
光彦「なんなんですか、なんなんですかこれは!!」
コナン「くはははははははははっ!!」
灰原「止めなさい江戸川君、どうして貴方は……」
コナン「絶望した光彦がみたい、ただそれだけだよ」
灰原「小嶋君お願い、江戸川君を止めて!」
灰原「彼は正気じゃないわ、これ以上被害が出る前に早く!」
元太「わ、分かったぜ灰原!」
元太「コナンお前おかしいぞ、おとなしくしよろ!」
コナン「邪魔すんなよデブ!」ドスッ
元太「がっ……」バタリ
歩美「嘘、元太くんが……」
コナン「キック力増強シューズで強化された一撃だ」
コナン「自慢の胃袋が破裂してるかも知れねえなぁ?」
元太「ごほっ!!……がはっ!!」ゴボゴボ
灰原「この出血量は本気でヤバいわよ、早く処置しなければ彼は死ぬわ!」
歩美「いやああああああああああああっ!!」
光彦「これは……本当にコナン君なんですか?」
コナン「当たり前だろう?」
コナン「俺が俺でなくてなんだっていうんだよ」
コナン「俺は正真正銘の江戸川コナン」
コナン「お前たちが良く知ってる、少年探偵団の江戸川コナンだよ」
灰原「このおおおっ!!」ガシッ
コナン「ぐっ、灰原か!」
コナン「まだ動けたのかこのアマ!!」ガンッガンッ
歩美「止めてよコナンくん、歩美もうこんなの嫌だよ!」
灰原「この装置だけは……なんとしても……」ガクガク
光彦「止めてください灰原さん、このままじゃ灰原さんが!」
コナン「へえ……」ニヤリ
コナン「前から薄々きづいていたけどよ」
コナン「光彦てめぇ灰原のこと好きなのか?」
光彦「なっ!?」
灰原「江戸川君……いったい何を……」
コナン「今光彦に残された数少ない大切なもの」
コナン「灰原、お前はその一つだってことだよ」
灰原「!?」
コナン「さーて、どうなるかな?」ポチッ
灰原「あっ……」ビクンッ
光彦「灰原さん!?」
灰原「円谷……君……」バタリ
光彦「灰原さん!?嘘ですよね灰原さんッ!!」
光彦「うわああああああああああああああああああああ!!!」
コナン「げひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
コナン「心臓麻痺でコロッと逝きやがったかぁ!?」
コナン「もっと死体がぐちゃぐちゃになる死に様なら光彦が発狂したかも知れねえのによ!」
コナン「死に際まで空気が読めねえ女だな、お前はよおおおお!」
光彦「コナンくん!!」
歩美「……」ふらり
光彦「!?」
コナン「最高だよ、お前の間抜け面、本当に最ッ高だよッ!!!」
歩美「コナンくんの……馬鹿ああああっ!!」ガツッ
コナン「がはっ!?」バタッ
歩美「はあ……はあ……」ゼイゼイ
コナン「歩美てめぇ……」ムクリ
コナン「瓦礫で人を殴るたあいい度胸じゃねえか」タラー
歩美「ひっ!?」
コナン「喰らえっ!!」ピシュッ
歩美「あ……」バタリ
光彦「歩美ちゃん!?」
コナン「安心しろよ、麻酔で眠っただけさ」
コナン「今は、な」ニヤリ
光彦「!?」
コナン「灰原が死んだから今度は歩美か?」
コナン「盛りのついたサルかよてめぇはよォ」
光彦「なにを……」
コナン「知ってるか光彦、麻酔ってのは」カチリ
コナン「量を間違えれば、簡単に人間を殺せちまうんだぜ?」ニヤリ
光彦「や、やめ……」
コナン「あはははははははははははっ!!」ピシュンピシュンピシュンピシュン
歩美「……」
光彦「ああああああ!?」ガバッ
光彦「歩美ちゃん!!歩美ちゃん!?」ユサユサ
歩美「」
光彦「息を……していない……」
コナン「ざまあ歩美、俺の顔に傷をつけた代償にはてめぇの命は軽ぎるが……」
コナン「まあいい、光彦のアホみたいな泣き顔見たら多少は溜飲が下がったぜ」
光彦「元太くん、灰原さん、歩美ちゃん……」
光彦「どうして、どうしてなんですか!!」
コナン「言っただろう、お前の絶望する顔が見たいんだよ」ニヤリ
コナン「さあて……」グッ
コナン「次にこのスイッチでお前は何を失うのかな?」
光彦「もうやめてください!!」
光彦「誰かが傷つくなんてもう沢山です!!」
光彦「殺すならボクを直接殺せばいいじゃないですか!!」
コナン「バーロー、だから周りの人間から殺してるんだろ?」
コナン「お前をいくら拷問したところでこれほどいい顔はしてくれねえだろうよ」
光彦「お願いです……もうやめて……コナンくん……」
コナン「ははっ!!」
コナン「やなこった!!」ポチッ
パアアアンッ!!
光彦「……え?」
コナン「……は?」
コナン「ど、どういう……ことだ?」
コナン「なんで……俺の足が……足がああっ!!」ボタボタボタ
コナン「まさかキック力増強シューズのバッテリーが爆発した!?」
コナン「でもなんでだ!!どうしていきなり……」
光彦「それはですね」
コナン「光彦……」
光彦「こんなことになっても、コナンくんはボクの大切な友達だからですよ」
コナン「……ははははははは!!」
コナン「舐めてたぜ光彦、お前の聖人っぷりをよおお!!」
コナン「全てを失ってお前に残されたものは、俺だけだったってワケか!!」
コナン「傑作だぜ!!くはははははははははっ!!」
光彦「待ってくださいコナンくん、今止血を……」
コナン「畜生……死にたくねえ、死にたくねえなぁ……」
コナン「なんでこんなことになっちまったのかなぁ……」
光彦「くっ、太い動脈が抉られてます!これでは……」
コナン「もしかして、最初に壊れちまったお前の『大切なもの』は……」
コナン「俺と光彦との絆……だったのかな……」
光彦「しっかりしてくださいコナンくん!」
光彦「これ以上ボクから友達を奪わないでくださいよ!!」
コナン「……はは、酷ぇ面だ」
コナン「最高……だ……ぜ……」ガクリ
光彦「……なぜなんですか、コナンくん」
ピンポーン
阿笠「ワシじゃよ」ガチャリ
光彦「……」
阿笠「おやおや光彦くんではないか」
光彦「この装置、博士が作ったんですよね?」
阿笠「おお、それは今朝新一に渡した装置か」
阿笠「それでどうかね、君は順調に全てを失ったのかのお?」
光彦「ええ、これを見てください」
光彦母「」
光彦父「」
朝美「」
元太「」
灰原「」
歩美「」
コナン「」
>>166
> 阿笠「おお、それは今朝新一に渡した装置か」
>
> 阿笠「それでどうかね、君は順調に全てを失ったのかのお?」
>
アガサの対応もだいぶ基地外
阿笠「ほほお、よくこれだけの死体を持ち運べたのお」
光彦「……博士はこれを見ても何とも思わないんですか?」
阿笠「そりゃそうじゃ、想定通りの事態じゃからの」
光彦「博士!!」
阿笠「まあ待つんじゃ光彦くん」
阿笠「わざわざ皆の死体をここまで持ってきた理由は一つ」
阿笠「ワシに皆を蘇らせろと、そう願うつもりだったのじゃろう?」
光彦「な、なんでそれを……」
阿笠「いったじゃろ、全て想定通りじゃと」
阿笠「ワシの描いた筋書通りにことは進んでおる」
光彦「ッ!!」
光彦「じゃあ……これが博士の想定通りだというなら!!」
光彦「こうやってお願いにきたボクのために」
光彦「皆を生き返らせるための手段を準備してる……そういうことですよね!?」
阿笠「ほお……驚いたわい」
阿笠「君は知識はあっても新一のように思考が冴えているワケではないと思っとったがのう」
阿笠「いやはや、そこまで察しが良いのなら話は早い」スチャッ
光彦「け、拳銃!?」
阿笠「自家製じゃが、もちろんモデルガンなどではないぞ」ガチン
阿笠「君にも死んでもらうよ、光彦君」
ターン――――――
光彦「……なんで」
光彦「……なんでなんですか、博士」
光彦「どうして僕は……頭を打ち抜かれて生きているんですか?」
阿笠「それは君が光彦君だからじゃよ」
阿笠「そうとしか答えようがない」
阿笠「君がどこからきた存在なのか、いったい正体はなんなのか」
阿笠「ワシの科学力をもってしてもそれは解明できなんだ」
阿笠「だが、君を利用する研究だけは進めておったのじゃ」
光彦「それが、ボクやみんなをあんな目に合わせた理由だっていうんですか!?」
阿笠「話はまだ終わっとらんよ」
阿笠「ついてきなさい」カツカツ
光彦「博士ッ!!」
阿笠「光彦君……君はこの世界についてどれほどのことを知っているかな?」
光彦「この世界という表現が漠然とし過ぎています」
阿笠「そうじゃのお、ではこの星のことは理解しておるか?」
光彦「地球のことですか?」
阿笠「光彦君、君は海外旅行に行ったことはあるかね?」
光彦「まだないですけど……」
阿笠「ではこれを見るといい」
阿笠「これがこの世界の実体じゃ」ピッ
光彦「これは……ッ!!」
―――そこには日本を中心とした直径5000km程の範囲が円盤状に切り抜かれ
赤黒く荒廃した星の上に浮かんでいた。
少なくとも彼、円谷光彦にとってはそう表現することしかできなかった。
阿笠「大地が宙に浮かんでいるように見えたかのお?」
阿笠「しかし実際には違うのじゃよ」ピッ
―――阿笠博士が画面を操作し映像の視点が引かれてゆく。
円盤状の大地の中心は巨大な柱に貫かれ、
宇宙へと延びた柱の先端は見知った月に繋がっていた。
月と荒廃した地球を繋ぐ巨大な柱に繋がれた円盤。
それが彼らの住む世界の実態であった。
光彦「こんなもの……ボクに見せてどうしようというのですか!?」
阿笠「どうしてこの星がこうなってしまったのか、現在では知る由もない」
阿笠「じゃが、これが事実じゃ」
阿笠「そしてこの事実によって、今この世界が危機に瀕しておる」
光彦「なんですって!?」
阿笠「柱の老朽化じゃよ」
阿笠「見てもらった通り、あの柱に繋がれることでこの世界は形をとどめておる」
阿笠「あの星を繋ぐ巨大な柱が折れてしまえば、この大地も崩壊するじゃろうのお」
光彦「それがボクとなんの関係があるんですか!!」
阿笠「光彦君の人智を超えた再生能力」
阿笠「それをあの柱に融合させ、崩壊を食い止める」
光彦「ッ!?」
阿笠「もちろん、無機物と融合した君の人格が残るかどうかは分からん」
阿笠「人格が残ったとしても、人類を支え続ける為に永い時を生き続けることとなる」
阿笠「その苦痛が君に想像できるかね?」
光彦「それが……理由?」
阿笠「そうじゃ」
阿笠「君にとって本当に何が大事なのか」
阿笠「それを頭ではなく、心で理解して貰うのが今回仕組んだ事件の目的じゃ」
光彦「そんな……」
光彦「そんなことの為にみんなを殺したんですか……?」
阿笠「君を無理やり加工しては、拒絶反応によって失敗する可能性が高かったからのお」
阿笠「君を追い詰めることで、自ら望んで志願してくれるよう仕組んだのじゃ」
阿笠「大丈夫じゃ、約束は守る」
阿笠「君は死ぬか、死に等しい苦痛を受けるが、引き換えに皆は蘇るぞい」
光彦「じゃあみんなは……」
阿笠「君を柱に同化させるための分化プロセスで生命の賦活因子を抽出する」
阿笠「脳の腐敗が始まっていない今ならそれを利用した治療で生き返るじゃろうて」
阿笠「これは君を同化作業に駆り立てるための一種の脅しでもある」
阿笠「それに、君が拒絶すれば世界は滅びてしまうのじゃ」
阿笠「君の選択に全てを委ねながらも、退路は全て断たれておる」
阿笠「こんなものはお願いなどではない、ただの脅迫じゃよ」
阿笠「ワシのことを卑怯だと、人でなしだと罵ってくれて構わんよ」
光彦「いいんですよ博士」
光彦「こんなことをして、一番辛いのは博士自身なんですから」ニッコリ
阿笠「……やれやれ、君には敵わんのお」
光彦「だけど一つだけ、交換条件があります」
阿笠「なんじゃ、ワシにできることなら何でもやってやるぞい」
光彦「みんなから今回の事件の記憶を」
光彦「……いや、ボクに関するすべての記憶を消し去って下さい」
阿笠「なんじゃと!?」
阿笠「君は、君の大切な人たちに忘れ去られることを望むというのかね?」
光彦「だってみんな優しいですから」
光彦「二度と会えないと知ったら悲しみますよ」
光彦「ボクにはそんなみんなをずっと眺めつづけるなんて耐えられませんからね」
阿笠「……わかったぞい」
光彦「頼みますよ博士、みんなのこと」
阿笠「君の覚悟は無駄にはせんよ」
~数日後~
元太「おはようコナン!」
コナン「よう元太」
歩美「二人ともおまたせー!」
灰原「あら、私が最後だった?」
コナン「いいよ二人とも、そんなに待ってないし」
コナン「あとは……」
歩美「どうしたのコナンくん?」
元太「学校いかねえのかよ」
コナン「あれ……誰か忘れてないか?」
よく分からんがこんなことになったのは光彦のせいなんだな?
死ね
灰原「私と江戸川君、吉田さんと小嶋君」
灰原「いつもの少年探偵団のメンバーじゃないの」
コナン「だよな……でもなんか足りない気がするんだよ」
元太「おいコナン、このまま遅刻する気かよ!」
コナン「わりい元太いま行く」
歩美「ふふっ、おかしなコナンくん」
コナン「……いったい、何が足りないんだろう」
―――不思議に思いながら空を見上げると、昼間なのに星の輝きが見えた。
それを見た瞬間、懐かしい誰かが微笑む姿が脳裏に浮かんだが……
手のひらで溶ける淡雪のように、その姿はすぐに掻き消えてしまった。
何か大きなモノに支えられているという、自覚のない実感に抱かれながら、
今日も彼らは、何時もと変わらない日常を歩んでゆく。
(完)
15秒に1光彦死ね
このSSまとめへのコメント
͡° ͜ ʖ ͡° ) what?
光彦マジで腹筋崩壊してもうた。光彦俺の腹筋が大事だったのか!