伊織「お金だけが私の全てじゃない!」(314)

キラ「ーニューラルリンゲージ・ネットワーク再構築、メタ運動野パラメータ更新、フィードフォワード制御再起動、伝達関数、コリオリ偏差修正、運動ルーチン接続、システム、オンライン、ブートストラップ起動…!」

キラ「ほかに武器……あとは"アーマーシュナイダー"……?」

キラ「これだけか!?」

キラ「こんなところで…」

キラ「やめろおぉぉぉぉぉ!」

伊織「なかなか面白いじゃない」

亜美「でしょでしょ→」

真美「ちょ→面白いんだよNE!」

亜美「しばらくかしてあげるから、暇な時みてNE!」

伊織「ありがと、それとあんた達アニメが好きなのはいいけどちゃんと寝るのよ?」

亜美「わかってるよー」

真美「考えとくよー」

伊織「本当にわかってんでしょうね…?じゃあ、また明日」

亜美真美「「じゃあねーいおりん」

伊織「ふぅ…結構見たわね」

伊織「なんかとっても眠くなって…」

伊織「Zzz」

伊織「ハッ!」

伊織「いつの間にか寝てたみたいね」

伊織「あれ?ここはどこよ」

サイ「起きたようだね」

伊織「あんた誰?」

サイ「ああそうだった。まずは自己紹介からだね」

サイ「僕の名前はサイ・アーガイル。そして、ここは『大天使』と呼ばれる戦艦だ」

伊織(そういえば何処かで見たことがあると思ったらガンダムの…まあ夢だろうしそのうち覚めるでしょ)

誰か頼む

伊織(でも、せっかくの夢なんだから楽しまなくちゃね。にひひっ)

サイ「でも、君も不幸だね。こんなタイミングでこの船に来るなんて」

伊織(…?どういうことかしら。そもそも、これが何話目のストーリーか分からなくちゃいけないわね)

伊織「サイ…だったかしら?今はどこに行くの?その大天使は」

サイ「何せ今向かっているのは、アフリカ北部…ザフトの領土だそうだ」

伊織「なるほど、つまり砂漠の虎と戦うシーンのやつね」

サイ「…?砂漠の虎?」

伊織「ええ。ザフトのエースパイロットのはずだけど?」

サイ「…!君!チョットついて来てくれ!」グイ

伊織「痛いわね。何すんのよ」

ムウ「ここが、アラスカ」

ムウ「で、ずうっと下って……ここが、現在地」

ムウ「やなトコに降りちまったねぇ。みごとに敵の勢力圏だ」

マリュー「しかたありません。あのまま"ストライク"と離れるわけにh」

プシュー

サイ「艦長!例の少女が目を覚ましました」

マリュー「あら、そう。ご苦労さん」

伊織「離しなさいよ!」

ムウ「おうおう。威勢のいい嬢ちゃんじゃねぇか」

サイ「そして、この少女が敵の情報を持っているんです!」

ムウ「ほう。それはなんとも聞き捨てならないな」

マリュー(まぁ、こんな子供の知ってることなんてたかが知れてるわ)

マリュー「まぁ、おかけになってちょうだい」

伊織「はい」

ムウ「で、何を知ってる?」

伊織「まずはストライクのことから話させてもらうわね」

乗組員「!?」

伊織「…でラゴゥは二人乗り用の全高が11.49m重量70.18t武器が2連装ビームキャノンと2連装ビームサーベルってとこかしら?」

ムウ「」

マリュー「」

ナタル「」

サイ「あ、あの僕は…」

ムウ「キラのところへ行っておいで」

サイ「…はい」

プシュー

ムウ「で、俺たちはどこへ向かえばいいのかな?スーパーガール」

伊織「ここの勢力圏でこの大天使だけでは、死んでしまうそれは確実ね」

ナタル「では、どうすればいいと言うのだ」

伊織「結果からいうと手助けが必要でしょうね」

マリュー「でもこんな敵地に仲間なんて…」

伊織「レジスタンスを頼りましょう」

ナタル「レジスタンスだと…?」

マリュー「レジスタンス…確かに効率的だけど」

伊織「でもほかに頼れる人がいないんでしょ?それにそのレジスタンスを頼ればいいことは沢山あるわ」

ムウ「いいこととは?」

伊織「キラの家族に会えて無料でオーブ連合首長国に入れる」

ムウ「確かにさっき嬢ちゃんが言っていた連合が俺たちを見捨てる可能性を考えたら…」

マリュー「そうね」

ナタル「まぁ、それしか道がないのなら致し方あるまい」

伊織「でそのレジスタンスの名前が」

ー明けの砂漠ー

伊織「キラ・ヤマトはどこ?」

サイ「さっき気がついたってさ…それと、仲間の紹介h」

伊織「私のことは自由に話してくれて構わないわ」

サイ「おう。で、キラに何のよう?」

伊織「私は知ってるわ。あいつさっき降下した時に、女の子を守れなかったってクヨクヨしてんの。性根を叩き直すわ」

サイ「キラは…キラは頑張ってんだな…俺も頑張れるかな」

伊織「それは、あんたが考えることよ。それにあなたとキラは違う。キラにしかできないことはあるかもしれないけど、あなたの出来ることの全てをキラが出来るわけじゃない」

サイ「…俺も頑張ってみる!」

サイ「フレイも疲れたろ?ずっとついてたんだから。少し休んだ方が…」

フレイ「私は大丈夫よ。食事もキラと一緒にすませたし…早く良くなってもらわなくちゃ」

サイ「フレイ…でもさ」

フレイ「なによ!?」

サイ「いや、なにって…」

フレイ「サイ…あなたとのことは、パパが決めたことよ。そのパパも…もういないわ」

サイ「…僕も。僕も同じことを言おうと思っていた」

フレイ「…」

サイ「僕は、僕にしか出来ないことをやる!」

ミリアリア「…私に出来ること…」

フレイ「…」

伊織「確かこの後フレイがキラのところへ行く…早く行かなきゃ」

伊織「すみません」

整備士「なんだい?」

伊織「キラ・ヤマトのところへ行きたいのだけれど」

整備士「嬢ちゃん、これからあの坊主のとこかい?」

伊織(よし!)

伊織「ええ、そうよ」

整備士「じゃこれ、渡しといてくんねえかな。コックピットに落ちてたんだけどさ」

伊織「ええ、分かったわ」

整備士「それとこれ、ここの地図だ。それでここにあいつの部屋だ。地図あげるから」

伊織「ありがとうございます」

コンコン

伊織「入るわよ」

キラ「君は誰?」

伊織「水瀬伊織…伊織でいいわ」

キラ「僕はキラ・ヤマト。よろしk」スパァーン

伊織「…あんたの事聞いたわ。女の子を守れなかったんですってね」

キラ「!?」

伊織「それでいつまでもクヨクヨして…恥ずかしくないの?」

キラ「僕は…守れなかったんだ」

伊織「それがダメだって言ってんのよ!」

伊織「一人守れなかったから今度は皆を危険にあわせる気なの?」

キラ「そんな…僕は…」

伊織「これは、あなたのコックピットに落っこちていたものよ。その花の本当の意味をよく考えることね」

キラ「僕は…守れなかった」ポロポロ

伊織「私たちがいるわ」ギュッ

伊織「力がないから、思いだけでも伝えなくてどうするの?」

伊織「私は力がないから、思いを伝える。だけど、あなたには思いも力もあるんでしょ?」

キラ「思いだけでも…力だけでも…」

キラ「ありがとう。伊織…僕は…今いる皆を守る!」

伊織「にひひっ、精々頑張りなさいよ」

伊織(そう言えば、皆私を受け入れるのが早いわね…どういうことかしら?)

*?(水瀬伊織…)

伊織(誰?敵?)

???(敵でも味方でもない…)

伊織(じゃあなによ。人の脳内に話しかけてくんじゃないわよ)

*?(私は君に重要なヒントを3つ与えに来た)

伊織(重量?)

???(そうだ。今から言うことは一回しか言わないよく覚えとけ)

伊織(…)

???(まず1つ君と大天使の乗組員の関係を良くしてきたのは私だ。君は性格に難がある。多少力を貸すよう頼まれた)

伊織(頼まれた?)

???(ああ、そして2つ目。これから君は、765プロの仲間と出会う)

伊織(…!)

???(そして、最後に…この世界で君が死んだら…あの世行きだ)

伊織(!?)

???(それと君専用の機体を用意してるここから先15kmに置いた。この時代のものではないからあまり無茶をするなよ)

伊織(ちょっと待って!色々聞きたいことがっ)

???(君に発言権はない)

伊織「何様のつもりよ!!」ドン

アーノルド「なんだ?あれ」

伊織(あれが私の…)

マリュー「慎重に向かってください…何か罠かもしれないわ」

伊織「大丈夫よ。あれは私の機体だから」

マリュー「だけど、一応敵の勢力圏内だからね?」

伊織「分かったわ」

コジロー「うおっ!すっげえ紫?ピンク?だな!こんなのが戦場出たら的だよ的!はっはっはっ」

伊織「この説明書によると可変も出来るそうよ」

コジロー「なんだって!?すっげえな!おい!」

キラ「彼女も戦場に?」

トール「そうみたいだね。聞いた話だと彼女コーディネーターじゃないらしい」

キラ「え?」

トール「技量は分からないし、所属も…ただ名前から、日本人って言うのは分かるんだよね」

キラ「女の子がガンダムに…」

トール「皆、すごいよ。俺もシミュレーションしようかなー」

伊織「ーそれで、小鳥が飛び上がったわけ」

ミリアリア「765プロって面白いのね。って伊織ってアイドル!?」

ムウ「!?」

カズイ「!?」

トール「!?」

サイ「!?」

アーノルド「!?」

ジャッキー「!?」

マリュー「こらっ!鼻の下を伸ばさないの!」ゴチン

ムウ「なんで俺だけ!?」

ナタル「平和だな…ん?」

ビービー

ナタル「これは!?」


<第二戦闘配備発令!繰り返す、第二戦闘配備発令ー>


キラ「僕が守るんだ仲間を!」ダッ

伊織「行くわよ。キラ」ダッ

ムウ「だから!とにかく飛べるようにしてくれるだけでいいんだよ!」

コジロー「それが無理だって言ってんでしょうが!」

伊織「これが始めての出撃ね…撮影じゃないわ。あいつが言っていたとおり本当に死ぬんだったら撮影以上の気合を入れなきゃね」

キラ「伊織!可変して上から敵の位置を言って!」

伊織「分かったわ!死ぬんじゃないわよ!」

伊織「水瀬伊織、出撃します!」

???「すごいぞ!貴音!あんなに沢山、おっきな犬達が!いぬ美にも見せてあげたかったぞ!」

貴音「響。ここは少々騒がしくなります。一旦戻りましょう」

響「えぇ~」

貴音「良い子にすればあれに乗せてあげますよ」

響「本当か!?」

貴音「ええ、嘘は言いません」

響「約束だからな!」

伊織(思ったよりハンドルが重くない!行ける!」

ナタル<水瀬、戦闘ヘリを排除せよ>

伊織「こっちには!ビームもあるのよ!」ビューン

キラ「!…うまい!!」

伊織「5機接近中!気をつけて!」

キラ「右!」ビューン

バクゥ「ぐわー」

伊織「こっちだってぇ!負けないわよ!」ビューン

戦闘ヘリ「やられたー」

響「カガリィーいいもの見つけたぞ!」

貴音「はい。向こうで戦闘が…」

カガリ「なに!?どことどこの戦闘だ!?」

響「よくわからないけど、いぬみたいな機体がいたんだ」

貴音「バクゥが連合と対峙しておりました」

カガリ「よし!サイーブに報告だ」ダッ

響「じゃあ自分たちもー」

貴音「いえ、私たちは行かねばなりません」

響「?どこに?」

貴音「ふふっ。とっぷしぃくれっとです」

伊織「くっ…バクゥって思った以上に早いのね!」

キラ「アークエンジェルが!」

キラ「!?バギー!?」

カガリ「そこのモビルスーツパイロット!死にたくなければこちらの指示に従え!」

キラ「これは、地図?」

そのポイントにトラップがある!"バクゥ"をそこまでおびき寄せるんだ!」

キラ「あそこか?」

伊織「大丈夫よ。従いなさい」

キラ「ああ、信じるしかない…!」

バッコオオオォォォォォォン

ナタル「味方と、判断されますか?」

マリュー「少なくとも、銃口は向けられてないわね」

伊織「大丈夫よ。あの時言ったレジスタンスだから」

マリュー「ともかく、話してみる。向こうにもその気はあるようだから。うまく転べばいろいろと助かるわ」

ナタル「…」

マリュー「あとをお願い」

マリュー「地球連合軍第八艦隊所属、マリュー・ラミアスです」

アフメド「あれ?第八艦隊てのァ、全滅したんじゃなかったっけ?」

サイーブ「アフメド…」

サイーブ「俺たちは『明けの砂漠』だ。俺の名前はサイーブ・アシュマン。…礼なんざいらんさ、わかってんだろ?別にアンタ方を助けたわけじゃない」

伊織「そっちもそっちの敵を討っただけ…でしょ?」

サイーブ「…そうだ」

マリュー「で、力になってもらえるのかしら?」

サイーブ「話そうってんなら、まずは銃をおろしてもらわねえとな…。あれのパイロットもだ」

マリュー<ヤマト少尉!降りてきて!>

カガリ「おまえ…っ!」

キラ「!」

カガリ「おまえがなぜあんなものに乗っている!?」

キラ「きみ…あのとき、モルゲンレーテにいた!」

カガリ「くっ…離せ!この馬鹿っ!」バキィ

一方その頃

アンドリュー「いずれにせよ、久々に手応えのあr」

マーチン「伝令!」

アンドリュー「なんだ!いいところだったのに…っ!」

マーチン「実は大変申し上げにくいのですが…」

アンドリュー「なんだ?また揉め事か?」

マーチン「いえ実は…」


一方その頃

アンドリュー「いずれにせよ、久々に手応えのあr」

マーチン「伝令!」

アンドリュー「なんだ!いいところだったのに…っ!」

マーチン「実は大変申し上げにくいのですが…」

アンドリュー「なんだ?また揉め事か?」

マーチン「いえ実は…」

キラ「ー本気で腕相撲したら、サイが僕に敵うはずないだろ」

サイ「ははは…やっぱり強いね。キラ」

トール「じゃあ、俺m」

ズンズン!

キラ「あ…あれは!?」

トール「バクゥ!?」

サイ「色違いか?」

キラ「何故こんなところに」

伊織「ふぅ…疲れたわ。初めての実践にしてはよくできた方よね」

伊織「このガンダム、なんでこんなに居心地がいいのかしら?」

<第二戦闘配備発令!>

伊織「くっ…またなの!?」

伊織「艦長は確かいなかったはず…」

伊織「そうだ!ノイマン少尉!出撃許可を!」

アーノルド『分かった…ハッチを開ける』

伊織「水瀬伊織!ガンダム出撃します」

響「貴音ぇ~もう疲れたぞ」

貴音「もう少しの辛抱です」

響「おっ!見えてきたぞ!」

貴音「では、こちらから救難信号でも出しましょうか」

伊織「え?あれは救難信号かしら?」

伊織「なんでラゴゥが?…まぁいいわ。ワイヤは…」

伊織「そこのモビルスーツ。どうしてこんなとこn」

響<伊織か!?>

伊織「えっ…その声は響!」

貴音<私もいますよ伊織>

伊織「貴音!」

貴音「ただいま戻りました」

サイーブ「これが敵のエース機か…よくやった」

響「自分達完璧だから後も付けられてないぞ!」

カガリ「すごいじゃないか!響!貴音!」

キラ「この機体をこの子達が…」

サイーブ「まぁ、中へ」

伊織「で、あんた達がなんでここに?」

貴音「その問いは、前に謎の人物に聞いたのでは?」

???(ああ、そして2つ目。これから君は、765プロの仲間と出会う)

貴音「と、私たちは最初から二人でいました」

響「そうだぞ!でも、この作品を見たのが自分だけだったから、ストーリーを知ってる自分が貴音を先導したんだ!」

伊織「ふぅん。で、貴音。ここからどうすればいいと思う?」

貴音「そうですね。『すとぉりぃ』を進めれば終わりが来るかと」

伊織「貴音の言うとおりならこれから長くなるわね」

伊織「この後のストーリーは何だったかしら?」

響「自分知ってるぞ!バクゥが町を…って!」

伊織響「「町が危ない!!!」」

コックピット内

伊織「やっぱり…そう言えばこの装備に長距離ビームがあったはず…貴音!響!私が撃ったら後の2機もお願い」

貴音「承知致しました」

響「分かったさー…でもあいつら死んじゃうんじゃ…」

伊織「大丈夫よ。足を撃ってからミサイルも撃って最後には、捕虜にすればいいんだから」

伊織「ガンダム、水瀬伊織狙い撃つわ!!!」

敵兵「それにしても簡単な任務ばっかだな…」

敵兵2「確かに…なんで警報後に武器庫と食料庫の爆破なんだ?」

敵兵「まぁ、隊長は弱いものイジメはあんま好きじゃないしな。な?敵兵3」

敵兵3「俺…この戦闘終わったら結k」

敵兵「それ以上言うな!!!」

敵兵2「ん?なんだありゃ…なんか、遠くの方でひかっt」ビーム

敵兵「なんだ!?敵襲か!?敵兵2!敵兵3!生きてるか?」

敵兵3「ああ、なんとかな」

敵兵「上から来るぞ!気を付けrグワアアアアアァァァァァ」

伊織「なんか呆気なかったわね」

響「あいつら死ななかったよな?」

貴音「真、響は優しいのですね」

伊織「大丈夫よ。さっき脱出した後、走って逃げたところを確認したわ」

貴音「そうですか…それはそうとその機体をどちらで?」

伊織「あの謎の男?に貰ったのよ」

貴音「私の時はそのようなことはなかったのですが…ん?響?」

響「Zzz」

貴音「…響。お疲れ様でした」

伊織「じゃあ、帰って報告ね」

貴音「分かりました。では、帰りましょう…」

マーチン「隊長!」

アンドリュー「…終わったか?」

マーチン「はい!」

アンドリュー「双方の人的被害は?」

マーチン「はぁ?」

アンドリュー「…」

マーチン「あるわけないですよ。戦闘したわけじゃないんですから!」

アンドリュー「双方だぞ?」

マーチン「そりゃまあ、機体を失ったもの機体の爆発で火傷しただのってのはあるでしょうが」

アンドリュー「…ん?今なんて言ったんだ?」

マーチン「『機体の爆発で火傷しただのってのはある』ですか?」

アンドリュー「えっ」

アンドリュー「えっ…」

マーチン「このままレジスタンスにいいようにされていいんですか?」

アンドリュー「実を言うとすっごいまずい」

マーチン「向こうにはラゴゥ、ストライクそして、謎の可変系…」

アンドリュー「クルーゼ隊の奴らはストライクには、3つ装備があるみたいだ」

マーチン「それだったら、ストライクが1番汎用性が高いから次はこれでくるんじゃ…?」

アンドリュー「ああ、そうだな。だが、数がいればなんとかなっただろう…だが、俺たちはバクゥがほんの数機しかない」

マーチン「そうですね…」

アンドリュー「こんなときに乗り込まれたら大変だな…」

伊織「乗り込むわよ」

キラ「え?」

伊織「ここ最近の戦闘で勝ち越しと言っても消耗した日用品や、武器はもう戻らない」

ムウ「確かに…もう実弾兵器がヤバイな」

マリュー「確かにもう食料の底がつきそうね…」

ムウ「レジスタンスはあんまり俺らのこと好きじゃないみたいだし?俺らだけで調達しますか」

伊織「ちょっと待ってちょうだい?どうやって本拠地まで行く気かしら?」

キラ「…カガリなら、何か教えてくれるかもしれない!」

ムウ「あの元気な嬢ちゃんね…この前殴られたけど、大丈夫?」

キラ「…はい。このまま誤解されたままじゃ…いけないから!」

キラ&カガリ「あ…」

カガリ「さっきは悪かったな」

カガリ「殴るつもりはなかった…わけでもないが、あれははずみだ。許せ」

キラ「ふっ」

カガリ「なにがおかしい!」

キラ「なにがって……」


伊織「こっちはオッケーね…そう言えばフレイは…」

フレイ「ちょっと待ってよ、サイ!そんなんじゃわからないわ、ちゃんと話を…」

サイ「話すことはもうないよ。話ならもうしたよね?」

サイ「伊織!」

フレイ「サイ!」

伊織「どうしたのよ」

フレイ「サイに話があるの。あなたには関係ないわ」

伊織「もうよしてあげなさいよフレイ」

フレイ「え?」

伊織「どう見ても、嫌がるサイを追っかけてるようにしか見えないわよ?」

フレイ「なんですって?」

伊織「もう…みっともない真似やめなさいよね。こっちはさっきの戦闘で疲れてるんだから」

フレイ「水瀬ぇぇっ!」

伊織「やめなさいよね」

伊織「本気で勝負したら、フレイがこのスーパーアイドル伊織ちゃんに敵うはずないでしょ」

伊織「でも」ギュッ

伊織「そんなチャレンジャーなあなたは嫌いじゃないわ」

フレイ「え?」

伊織「今まで辛かったのは知ってるわ。お父さんも亡くなって辛かったんでしょ?沢山吐き出しなさい…あなたの思いを…私が受け止める…」

フレイ「…ウワアアアアァァァン」ポロポロ

伊織「いいこいいこ」ナデナデ

サイ「イイハナシダナー」

カガリ「じゃ、4時間後だな」

キサカ「気をつけろ」

カガリ「わかってる。そっちこそ、アル・ジャイリーってのは気の抜けない相手なんだろ」

ナタル「ヤマト少…うねん」

キラ「?」

ナタル「た、頼んだぞ」

貴音「では、私たちは」

伊織「頑張るのよ」

響「なんくるないさー」

ブロロロ

カガリ「おい、なにボケっとしてんだ!お前は一応、護衛なんだろ」

伊織「…本当にここが『虎』の本拠地なのかしら?ずいぶんにぎやかで平和そうだけど…」

カガリ「…ついて来い」

ジャイリー「しかし、驚きましたよ。あなたが私のところへおいでになられるとはね」

サイーブ「水を押さえて優雅な暮らしだな、ジャイリー…。俺もできればキサマの顔など、二度と見たくはなかったが、しかたない。俺たちの水瓶を枯れさせるわけにもいかん…」

ジャイリー「お考えを変えられればよろしいものを…大事なのは信念より命ですよ、サイーブ・アシュマン」

貴音「それは聞き捨てなりませんね」

ジャイリー「なんですか?あなたは」

貴音「あなたに名乗るほど落ちぶれた名前ではありません故」

ジャイリー「そうですか…お美しい方だから我々の思想を理解していただけると、信じていましたのに」

貴音「残念ですがそれはなりません…お耳をお貸しいただけますか?」

ジャイリー「説得は無用ですよ」

貴音「そうでしょうか?」

サイーブ「なにをする気だ?」

貴音「力になってもらうのです」

貴音「ゴニョゴニョ」

ジャイリー「な!?なにが望みだ!」

サイーブ「!?」

ナタル「?」

貴音「さあ?質問を質問で返されては困ります」

ジャイリー「くっ…好きなものを持って行くがいい」ギリッ

サイーブ「なにを言ったんだ嬢ちゃん!」

貴音「それは…」

ジャイリー「や!やめろ!」

貴音「とっぷしーくれっとです」

キラ「はぁ~…」

カガリ「これでだいたい揃ったが…おい、フレイって奴と伊織の注文は無茶だぞ」

伊織「はあ?なんでよ」

カガリ「"エリザリオ"の乳液だの"ゴージャスセレブプリン"だの、こんなところにあるもんか」

伊織「じゃああんたが作りなさいよ」

カガリ「無理に決まってんだろ!」

伊織カガリ「「ぐぬぬ…」」

キラ「…なに、これ?」

カガリ「ドネル・ケバブさ!あーっ、腹へった。おまえたちも食えよ!このチリソースをかけてだn」

謎の男「あいや待った!」

謎の男「ケバブにチリソースなんて何を言ってるんだ、キミは!ここはヨーグr」

伊織「なに言ってんのよ。レモン汁でいいじゃない」パクッ

謎の男「ああ…なんという…」

伊織「ほら、あんたも食べなさい」

謎の男「ああッ、待ちたたまえ!彼まで邪道に堕とす気か!?」

カガリ「なにを言う!ケバブにはチリソースが当たり前だ!」

伊織「もう、なんでもいいじゃない」

のワの<ドンガラガッシャーン

謎の男「いや…悪かったね」

キラ「いえ…まあトリプルミックスもなかなか…」

謎の男「しかし、すごい買い物だねぇ、パーティでもやるの?」

カガリ「余計なお世話だ!ー」

伊織「(キラ)」

キラ「(何?伊織)」

伊織「(さっきから視線を感じるんだけれど…)」

キラ「(僕もそう思う)」

伊織「(6~8ってとこかしら?)」

カガリ「それなのに勝手に座り込んd」

伊織「危ない!」ドンッ

キラ「え?」ドサッ

ばっこおおおおおおおおん

謎の男「無事か!?」

伊織「イ…タイ…」

キラ「伊織!」

ブルーコスモス1「死ね、コーディネーター!宇宙の化け物め!」

ブルーコスモス2「青き清浄なる世界のために!」

カガリ「ブルーコスモスか!?」

謎の男「かまわん、すべて排除しろ!」

キラ「よくも伊織を!」ジュウヲポーイ

テロリスト「うわっ!?」バコン

カガリ「おい!おまえ!銃の使い方も知らないのか!?馬鹿!」

キラ「今は伊織だ!」

カガリ「いや、だって…」

伊織「グッ…!くっ…」

キラ「血が出てる…!」

伊織「わた…しは、だいじょ…ぶよ」

キラ「くそッ!どうすれば!」

謎の人「隊長!ご無事で!?」

カガリ(隊長?)

謎の男「ああ、私は平気だよ。彼のおかげでな。しかし、負傷者がでた…彼女を助けたまえ」グラサンハズシ

カガリ「アンドリュー・バルトフェルト…!」

キラ「応急処置…!どうすれば!」

応急処置班「いいからテーピングだ!」

キラ「あ、あの…ぼくらまでこんなにしてもらわなくても…」

アンドリュー「だめだめ!お茶を台無しにしたってのに、こっちはそのうえ命を助けてもらったんだよ?このまま返すわけにはいかないでしょ?」

アンドリュー「だいたい彼女なんか、銃弾を3発も身体にいれられて…。せめてそれだけでもなんとかしてもらわないと。ねえ?」

伊織「た…助かったわ…あ、ありがと…」

アンドリュー「それくらいなんてことないさ」

アイシャ「おかえりなさい、アンディ」

アンドリュー「ただいま」

カガリ「おまえ、本当に『砂漠の虎』か?」

アンドリュー「…いい目だねえ。まっすぐで…実にいい目だ」

カガリ「ふざけるなッ!」

キラ伊織「「カガリ!」」

アンドリュー「キミも、『死んだ方がマシ』なクチかね?」

アンドリュー「そっちの彼。キミはどう思ってる?」

キラ「え…?」

アンドリュー「どうしたらこの戦争は終わると思う?モビルスーツのパイロットとしては」

カガリ「おまえ…どうしてそれを!」

アンドリュー「おいおい…あんまりまっすぐすぎるのも考えものだぞ!」

アンドリュー「戦争には制限時間も得点もない。スポーツやゲームみたいにはね。そうだろう?なら、どうやって勝ち負けを決める?どこで終わりにすればいい?」

キラ(どこで…?)

アンドリュー「敵である者を、すべて滅ぼして…かね?」カチャ

伊織「…確かに戦争は終わらないわ…でもね、私達は戦争が終わると信じて戦っているの!自分や仲間のためだけじゃない!みんなのために!世界のために!」

アンドリュー「ほう…じゃあ私を撃ってみるかね?さっきの戦闘やこの間のスナイパーは君だろ?キミ、人を殺したことがないな?」

伊織「くっ…」

アンドリュー「…ま、今日のキミは命の恩人だし、ここは戦場ではない。…帰りたまえ。今日は話ができて楽しかった。…よかったかどうかは、わからんがね」

ガチャ

アンドリュー「また、戦場でな」

アイシャ「お行きなさい。ほかの者は、あなたたちのこと、まだ知らないわ」

カガリ「え?」

アフメド「俺、好きな人が出来たんだ」

カガリ「え…?あ、はあ…」

アフメド「俺この戦闘が終わったら告白しようと思っててさ」

カガリ(なんだ?コイツ…)

アフメド「それで、カガリにこの石をやるよ」

カガリ「あ、ありがとう…」

アフメド「じゃあな、また会おうぜ」

カガリ(なんなんだ)

アンドリュー「動き出しちゃったて?」

オペレーター「はっ!東に向かい進行中です」

イザーク「足つきだ!」

アンドリュー「タルパティア工場区跡地に向かってるか…。

アンドリュー「動き出しちゃったて?」

オペレーター「はっ!東に向かい進行中です」

イザーク「足つきだ!」

アンドリュー「タルパティア工場区跡地に向かってるか…。ま、ここを突破しようと思えば、僕が向こうの指揮官でもそう動くだろうからな」

マーチン「隊長…」

アンドリュー「うーん…もうちょっと待ってほしかったが…しかたない」

イザーク「出撃ですか!?」

アンドリュー「レセップス、発進する!コード○二!ピートリーとヘンリー・カーターに打電しろ」

クルー「はっ!」

アンドリュー「女性に先にアクション起こさせちゃうなんて、悪いことしたなあ」

アンドリュー「せめてものお詫びに、盛大な花火で歓迎しなきゃな」

バコーーーーーーーーン

伊織「くっ…さっきの銃撃のせいで身体に力が入らないわ」

伊織「とりあえず、ブリッジへ…」

<アラアラ~ドウシマショウ

伊織「?向こうの方から声がしたわね…銃は使えないけど脅しくらいなら大丈夫よね」カチャ

伊織「誰もいなければいいのだけれど…」ギィ

伊織「動かないで」バタン

あずさ「あらあら~?伊織ちゃんがなんでこんなところに?」

伊織「あ、あずさこそなんで?」

ドッカーーーーーーーーーン

伊織「キャッ」ドサッ

あずさ「大丈夫?こんなに怪我して」

伊織「どうってことないわ…とりあえずブリッジに行きましょう」

あずさ「ブリッジはどこかしら~?」フラフラ~

伊織「そっちじゃない!」

カズイ「レ、レーダーにっ…!」

ジャッキー「レーダーに敵機とおぼしき影!攪乱ひどく、数は捕捉不能!一時半の方向です!」

チャンドラ「その方向に大型の熱量二!敵空母、および駆逐艦と思われます!」

マリュー「対空、対艦、対モビルスーツ戦闘、迎撃開始!」

ナタル「ストライク、スカイグラスパー、ラゴゥ発進!」

コジロー「本当にエールでいいのか!?」

キラ「バクゥ相手には火力より機動力です!」

ムウ<スカイグラスパー一号、フラガ機、発進!>

ミリアリア<続いてストライク、どうぞ!>

キラ「キラ・ヤマト、行きます!」

貴音「四条貴音」

響「我那覇響!二代目いぬ美出るぞ!」

イザーク「バルトフェルド隊長!納得いきません!どうして我々の配置がレセップス艦上なんですか!?」

アンドリュー「おーやおや、クルーゼ隊では上官の命令に、兵がそうやって異議を唱えてもいいのかね?」

イザーク「いえ…。しかし!何故俺らの機体がなくなってるんですか!」

アンドリュー(ラゴゥ買いたかったから売ったなんて言えないな)

アンドリュー「一旦、落ち着きたまえ、コーヒーでも飲むかい?」

イザーク「ふざけないでください!」

ディアッカ「もうよせ、イザーク。命令なんだ。…失礼しました」

アンドリュー「あっ!君たちコーヒー!って行っちまった…」

アンドリュー「(コーヒーに)金つぎ込みし過ぎてるかな?」

アイシャ「いいえ…でも不味いわよ」

アンドリュー「えっ」

響「アークエンジェルがやばそうだぞ!」

貴音「承知してます!」

響「あれはッ!いぬm」

貴音「らごぅですね」

アンドリュー「俺の機体を奪ったのは奴らか…」

アイシャ「なんで嬉しそうなの?」

アンドリュー「…」

アイシャ「辛いわね、アンディ…自分の愛機を潰すのは…」

アンドリュー「…投降するとおもうか?」

アイシャ「いいえ」

アフメド「機体を遊ばせてる状況か!?」

アフメド「俺がこいつで出る!」

コジロー「なんだってっ!?」

アフメド「ハッチを開けろ!」

コジロー「あああ~もう!今どきのがきはぁ~っ!」

コジロー「ハッチ開けてやれ!落としたら承知しねえからな!」



バッコオオオオオオォォォォォン

一方ラゴゥ、バルトフェルド

アイシャ「まずいわよ、アンディ」

アンドリュー「足つきめ!あれだけの攻撃で、まだ!」

アイシャ「熱くならないで!負けるわ!」

アンドリュー「わかっている!」

"いぬ美"がビーム砲を構えるところを、アイシャの一射が捉え、ビーム砲が爆発した。すんでのところで"いぬ美"はビーム砲を切り離した。その隙を狙って"ラゴゥ"が走り込む。"いぬ美"はビームサーベルの出力を上げた。両者の影が一瞬一つになり、すぐ離れた。
"ラゴゥ"のビーム砲が切り裂かれ、爆発する。バルトフェルドは間一髪でそれを離脱し、着地した。

アンドリュー「ダコスタくん」

マーチン<隊長!>

アンドリュー「退艦命令を出したまえ」

アンドリュー「勝敗は決した。残存兵をまとめてバナディーヤに引き上げ、ジブラルタルと連絡を取れ」

マーチン<隊ちょ…!>

アンドリュー「キミも脱出しろ、アイシャ」

アイシャ「そんなことするくらいなら、死んだ方がマシね」

アンドリュー「キミも馬鹿だな」

アイシャ「なんとでも」

アンドリュー「では…つき合ってくれ!」

貴音「もうおやめください!勝負はつきました!降伏を!」

アンドリュー<戦争の終わりに明確なルールなどない!>

響「もう勝負はついたぞ!降伏しろ!」

"いぬ美の翼"の両端が切り落とされ、宙に舞う。そして"ラゴゥ"のサーベルの片方の翼もやはり、貴音のサーベルで切り裂かれ、砂の上に転がった。そのとき

カップヌードルのおまけ「3分経ちました」

貴音「!!!」

響「貴音!敵がすぐそこにいるから!ラーメン食べてないで戦うぞぉ~!貴音ぇ~」

"ラゴゥ"の背中から激しい火花が散り、向こうのダメージも大きいことを知らせる。しかしバルトフェルドは片足を失い、満身創痍の状態を感じさせぬ動きで"ラゴゥ"を駆り、砂の上をターンして再び迫る。

アンドリュー「戦うしかなかろう!互いに敵である限り、どちらかが滅びるまでな!」

"ラゴゥ"は目前に迫っている。響は激しい衝動を受け入れる大勢に入り、貴音はラーメンを食している。その瞬間…ッ!!!

アフメド「カガリイイイイイイィィィィィ」

"ラゴゥ"の首筋にスカイグラスパーが衝突した。モニターの前で写真を一つ握りしめた。

アフメド「カガリ…おれ…は、お前が…す…k」

バッコオオオオオオォォォォォン

アフメド「カガリイイイイイイィィィィィ」

"ラゴゥ"の首筋にスカイグラスパーが衝突した。"ラゴゥ"の中では何が起こったのか分からないような形相をしたバルトフェルドの様子。そして、"ラゴゥ"の片方残っていたビームサーベルが瞬き、吸い込まれるように消え、オレンジ色の機体が、妙に生々しい動作で砂の上にくずおれる。それと同時に、ぶつかったスカイグラスパーは"ラゴゥ"の真横に突き刺さり、原型をとどめない状況になっていた。そんななかアフメドはモニターの前で写真を一つ握りしめた。

アフメド「カガリ…おれ…ちゃんと、出来たかな…?」

アフメド「カガリ…おれ…は、お前が…す…k」

バッコオオオオオオォォォォォン

巨大な火球が砂の海をあかあかと照らした。

???「ニコルさん!」

ニコル「この間はありがとうございました」

???「いえ…とってもいいコンサートだったかなーって」

ニコル「…寝てませんでした?」

???「そ、そんなことないですよ!」

ニコル「そうですか?あそこの椅子はずいぶん座り心地がいいですから」

???「あ…えっと、そうでした…」

ニコル「さぞ気持ちよく寝れただろうと…」

???「ね、寝てないです!ちゃんと聴いてましたってばー」

響「海だぞおおおぉぉ」

伊織「うっさいわね。泳げないわよ」

マリュー「甲板に出ることを許可します」

あずさ「あら~海、いいわねぇ~」

マリュー「えっ。あなたいつからここに?」

あずさ「結構前からよ~ヘリオポリスで迷子になちゃって~。きずいたらここにいたわ~」

マリュー「えっ」

キラ「い、伊織」

伊織「なによ。なんかよう?」

キラ「いや、ようってほどじゃないんだけど…甲板に出ないか?」

伊織「いいわ。行きましょう。キラも連戦で疲れてるでしょ?」

キラ「!ありがとう」

カガリ「」

響「貴音ー。あずさー。自分たちも行くさー」

貴音「真、いい考えですね」

あずさ「今行くわ~」

ムウ「艦長さんも少し息抜きしたらどう?相当疲れてる様にも見えるけど」

マリュー「私は、別に…」

ムウ「大丈夫。ここはクルーが交代で見ればいいさ」

マリュー「では、お言葉に甘えさせていただきます」

ムウ「ほい。行ってらっしゃい」

伊織(キラをなつかせてしまったわ…。ここはキラの注意をカガリに移さないと…)

伊織「キラ、カガリと先に行ってて、飲み物買ってくるわ」

キラ「ああ、じゃあ先に行こうか」

カガリ「仕方ないから行ってやる」

伊織「…」

ラウ「…では、イザーク、ディアッカ、ニコル、アスランで隊を結成し、指揮は…そうだな…」

アスラン「…」

ラウ「新人のやよいにまかせよう」

イザーク「!だ、誰なんです!?そいつは!!それに新人に任せるなど俺はッ!」

ラウ「まあ、落ち着きたまえ…では、やよいくん入ってきたまえ」

やよい「うっうー。高槻やよいです!賢く戦闘やってきますけど、とりあえず今日は帰ります!」

イザーク「…」プルプル

ディアッカ「イ、イザーク…」

イザーク「仕方ないな!今回は特別だぞ///」

ニコル「うわぁ…」

ラウ「…いろいろと因縁のある艦だ。難しいとは思うが…きみに期待する、やよい。以上だ」

ディアッカ「『高槻隊』ね…」

イザーク「ふん!お手並み拝見と行こうじゃないか///まあ、やられそうになったら俺に言え///」

ラウ「やよい」

やよい「う…?」

ラウ「約束は、おぼえてるだろうね?」

やよい「…はい」

ラウ「たーっち!」

やよいラウ「「いぇい!!」」

ラウ「ならばいい…」

やよい「失礼しまーす」

ニコル「何?今の?」

アスラン「知らない方がいいわ」

トノムラ「ソナーに感あり!四…いや三!?」

ナタル「なに!?」

トノムラ「…このスピード…推進音…モビルスーツです!」

トノムラ「ソナーに突発音!今度は魚雷です!」

マリュー「回避!」

アーノルド「間に合いません!」

マリュー「推力最大!離水っ!」

アーノルド「くっ…!」

伊織「出撃ね!」

キラ「ソードストライk」

貴音「耳をすませてください!」

伊織「?」

<…コ…コリーン

響「?」

<マッコマッコリーン!

キラ「あれは、ガンダム!」

トノムラ「"グーン"二機、来ますっ!ってあれ?目標沈黙…」

ナタル「あれは…フラフープにリボン!?そんなものでどうやって!?」

真<そこの戦艦遅いですよ!>

真は"ゾノ"がよそ見をしたのを見逃さなかった。真は"ゾノ"の首回りのチューブをつかみ、腹部を蹴り上げ、プレーンバスターの要領でその機体を岩棚の向こうへ放り出した。
岩の陰で爆発が起こった。

伊織「で、全部やっちゃたわけ?その…スカートはいた機体で」

真「可愛い機体だろ!フリフリの機体はさ!」

伊織「それはどうでもいいんだけど、カガリがいないのよね。何か知ってる?ムウさん」

ムウ「ギクッ」

伊織「じゃあ、艦長のところへ行きましょう?」

ムウ「また、どやされるのか…」

真「僕の功績については!?」

マリュー「で、被弾した素人一人おいて帰ってきたってわけですか」

ムウ「ききき救難信号とか、あああああるかもしれないから」

マリュー「では、フラガ少佐全てをお任せしますわ」

ムウ「ひえええぇぇぇぇ」

しばらくしてカガリ発見

カズイ「…やっぱりダメかなあ」

サイ「だって…目的地はアラスカだぜ?オーブへ寄るなんて、大回りになるだけじゃないか」

ミリアリア「だいたい、寄ってどうすんの?私たちは今軍人よ。作戦行動中は除隊できないって言われたじゃない」

カズイ「でも、こんな予定じゃなかったじゃないか。アラスカへ降りるだけだって。だったらってぼくもさあ…」

カガリ「…」

キサカ「カガリ」

カガリ「わかっている、なにも言うな!私はあいつらになにも言ってないぞ!」

キサカ「なら、いい」

カガリ「…そりゃ、なにかあれば。とは思っているが…」

キサカ「カガリ」

カガリ「しょうがないだろ!?いきさつも、わかってはいるが…この艦とあいつは沈めちゃいけないって…どうしてもそんな気がするんだから!」

カガリ「きっと、ハウm…何かのおみちびきなんだろ」

キサカ「…」

やよい「"ばすたー"と"でゅえる"がないんですかー?」

イザーク「ああ、だからザクで出るしかない」

やよい「じゃあ、くるーぜさんにたのんじゃいましょー」


クルーゼ「で、私のところへ来たと…」

やよい「はい!さすがにもびるすーつなしでたたかうのはたいへんかなーって」

ラウ「わかった。用意させよう…要望はあるかね?」

やよい「いちばんいいのをたのみまーす」

ラウ「いいだろう…この前売られてた。バスターとデュエルでいいかな?」

やよい「はい!」

ラウ「では、あれをやろうか」

やよい「はい!」

ラウ「たーっち!」

やよいラウ「「いぇい!」」

伊織「なんか、襲撃もなしにオーブに来れたわね」

響「そうだな。案外楽な旅だったぞ」

貴音「それにしてもたくさんのもびるすぅつ…面妖な」

真「僕たちも技術協力していいのかなぁ」

エリカ「これはM1"アストレイ"モルゲンレーテ社製、オーブ軍の機体よ」

エリカ「アサギ、ジュリ、マユラ!」

3人<はあーい!>

エリカ「始めて」

3人<はァい!>

カガリ「…相変わらずだな」

伊織「のろまね」

響「これじゃあだめさー」

真「トレーニングが足りないね」

貴音「かっぷらぁめんはありますか?」

エリカ「これでも、倍近くは早くなったんです。あれからOSに新しいデータを入れましたから」

キラ「これで倍ですか!?」

カガリ「けど、これじゃアッという間にやられるぞ?」

伊織「ただの案山子ですな。全くお笑いよ」

やよい「くるーぜ隊、高槻やよいです!」

連絡員「ようこそ。平和の国へ」

アスラン「行く先は?」

連絡員「ゴノレゴ島。あんたらの捜し物は、十中八九あの島にある!もしあるとしたら、な!」

やよい「もやしはありますかー?」

連絡員「…どこにでも売っている」

やよい「うっうー」

連絡員「連中、よっぽど念入りに隠してるか。それとも、公式発表が正しいか、どちらかだ」

やよい「はわっ!もやしを隠すなんて許せません!」

連絡員「…そのIDで、工場の第一エリアまでは入れる。だが、その先は完全な個人情報管理システムでね。急にはどうしようもない」

連絡員「…ま、無茶はしてくれるなよ。騒ぎはごめんだ。獅子は眠らせておきたいんでね」

やよい「もやし!もやし!」

イザーク「ぅゎゃょぃヵゎぃぃ」

ニコル「みごとに平穏ですね、町中は」

やよい「でも、平和な方がいいかなーって」

アスラン「平和の国、か」

<リィ…>

やよい「あっ!鳥さんですー」

<トリィ…>

アスラン「!」

ディアッカ「なんだぁ、そりゃ?」

やよい「ろぼっとの鳥さんですー。あっ!あの人のものかなー?」

アスラン(キラ!)

アスラン「きみ…の?」

キラ「うん…ありがと…」

やよい「うっうー飼い主さん見つかったので行きますよー」

キラ「昔、友達に…!」

アスラン「!」

キラ「だいじな友達にもらった…だいじなものなんだ…」

アスラン「そう…」

伊織カガリ「キラ!」

伊織(あの背中姿…やよい…!どうして…)

伊織「そんな…まさか、やよいが…嘘よ。なんでやよいがザフトに…?」

ムウ「なんだぁ坊主、嬢ちゃん。どうした?まだなんにもでてねえぞ?」

キラ「領海を出れば…」

伊織「ザフトの攻撃が…」

キラ「はじまります」
伊織「はじまるわ」

伊織は"ビームライフル"を構え、待った。"グゥル"に乗った機影が、近づいてくるのが見えた。
伊織は外部電力を抜き、埋蔵バッテリーをオンにした。伊織は"シャルル"(ガンダム名)を駆り、高く飛び上がらせた。煙の中から飛び出したとき、すぐさま"バスター"と"デュエル"が撃ってきたが、キラと伊織は難なくかわし、落下しながらキラは"アグニ"伊織は"ビームライフル"のトリガーを絞る。砲口から発された光条が、二機の乗っている"グゥル"をまっすぐ貫いた。
伊織はキラの換装がするのをブリッツと戦闘しながら待っていた。

伊織「まだなの!?」

伊織はうまく"ブリッツ"の脇を抜け、コックピットめがけて銃口を向けた瞬間。ビームライフルが爆発した。

伊織が見たものそれは、綺麗なオレンジで身を包んだ機体。よく見るとデコのあたりにGUNDAMと書いてあった。

伊織「新型!?」

伊織は見たことのないガンダムに驚きを隠せなかった。そんな思考を止めるように動いたオレンジ色のガンダムはすごいスピードでこちらに向かってきた。

伊織「なんなのよ!こいつ!」

伊織は今までにない動きに翻弄されつつも、ビームサーベルを抜き、間髪入れずに敵に切りかかった。

キラ<こちらストライク!イージスを撃退した!追撃はできない模様>

ムウ<よくやった!嬢ちゃんの方はどうだ?>

伊織は焦っていた。今まで一人で戦ったことのなかった伊織は自分の力がこれほどに弱いものだと実感した。

伊織「こんなところで落ちるわけには行かないわ!」

伊織の振り下ろしたビームサーベルがオレンジ色のガンダムのコックピットを切り裂いて敵のパイロットが見えた。

伊織「え…?嘘…」

そこに乗ってたのは高槻やよい本人だった。

やよい「くっ!まだまだです!」

伊織<やよいっ…!>

やよい「伊織ちゃん!?…ううん伊織ちゃんがそんな…」

伊織<私たちと一緒に来なさい!>

やよい「!…でも、駄目!伊織ちゃんを…伊織ちゃんたちを倒さないと!長介たちがっ!」

伊織<じゃあ下がって、やよいっ!あんたたちの負けよ!>

やよい「私は…!」

伊織<やめて、やよいっ!これ以上戦いたくないわっ…!>

やよい「もう引けないよ!」

伊織<やよいっ!>

やよい「私は…私は撃つよ!せっかく楽しくやってきた仲間も家族も、皆!私が守る!」

っとその時やよいの機体に一瞬の隙ができた。伊織の機体は刃を振りかぶる。

ニコル<やよいさん、下がって!>

やよいは伊織のガンダムの"ビームサーベル"が、弧を描いて振り下ろされるのをただ見つめていた。それは純粋に、反射的な動きだった。レーザーの光刃が吸い込まれるように"ブリッツ"のコックピットを薙ぐ。やよいには、声を上げることさえできなかった。

ニコル<やよいさん…にげ…>

声変わり前の高い声が、無惨にひび割れてやよいの耳に届き、唐突にとだえた。

やよい「…ニコルさん?」

やよい「ニコルさあああぁぁぁんッ!」

ディアッカ<ニコル!?>

イザーク<馬鹿なァッ…!>

やよい「ふ…ううぅぅっ…!」

やよい「ああぁぁぁッ!」

伊織は呆然と自分の手を見つめていた。

やよい『ニコルさあああぁぁぁんッ!』

さっき聞いたやよいの悲痛な叫びが、耳の奥でなり続けている。

ナタル<水瀬!なにをやってる!>

マリュー<戦闘空域を離脱する!推力最大!>

コックピットを出たとたん、伊織は歓声に迎えられた。

伊織「や、やめてください……!」

クルー「…」

伊織「人を殺してきて…そんな…『よくやった』だなんて…!」

クルー1「なんでえ、今までだってさんざんやってきたくせに…」

あずさ「やめていただけますか?伊織ちゃんも疲れてるの」

あずさ「ほら…伊織ちゃん」

コジロー「おーら、作業開始だァ!まだ油断できないからな、急げよォ!」

あずさ「悪気はなかったと思うわ」

伊織「…」

あずさ「みんな伊織ちゃんのこと、仲間だと思ってるわよ」

伊織「…わかってるわ」

あずさ「伊織ちゃん…」

あずさ「伊織ちゃんは今、軍人なんでしょ?」

伊織「…!」ピクッ

あずさ「じゃあ人殺しなんかじゃない。しているのは、戦争…。撃たなければ撃たれるの…私は機械を使えないけど…それでもなにをすればいいか考えてるつもりよ?」

伊織「…わかってるわ」

あずさ「なら迷わないの。…伊織ちゃんの死んだ顔なんか見たくないもの」

イザーク「くそッ!」

イザーク「くそッ!くそッ…くっそォォォッ!」

ディアッカ「イザーク!」

イザーク「なぜアイツが死ななきゃならない!?」

イザーク「こんなところで!ええ!?」

アスラン「言いたきゃ言えばいいだろう!?」

アスラン「俺のせいだと…俺がやられて帰ってきたから助けられなかったと!」

やよい「…アスランさん、イザークさん…やめてください」

やよい「ここでなかまわれしたって、しょうがないんです。私たちが撃たなきゃいけないのは"あの機体"です」

イザーク「わかってます!そんなことはっ…!」

やよい「分かっているなら喧嘩なんかしないでください」

イザーク「!」ゾクッ

やよい「ぅあああぁ……っ!」

やよい「撃たれるのは、私の…私のはずだったのに…!ニコルさん…!」

やよい「私が…っ!」

やよい「…伊織ちゃんを撃てなかった…私の甘さがっ…ニコルさんを殺したんです…っ!」

やよい「…伊織ちゃんを撃つ」

やよい「今度こそ…必ず…」

リン「春香お姉ちゃん」

春香「なに?リンちゃん」

リン「おはなししてほしいの」

春香「いいよ。私のお膝に乗る?」

リン「うん」

春香「なんのお話がいいかな?」

リン「まえにしてくれたでしょ。"765プロ"のおひめさまのおはなし」

春香「えっと、千早ちゃんのことかな?リンちゃんは千早ちゃんが好きなんだね」

リン「うん、とっても歌がじょうずなんでしょ?」

春香「そうだよ。綺麗な声で歌うんだよ。蒼い空のような長い髪をして、とっても優しく笑う、素敵なお姫様!」

リン「千早お姉ちゃんって宇宙に住んでるんだよね?宇宙って、体がふわふわ浮いちゃうんだよ。春香お姉ちゃんも浮いちゃった?」

春香「うん、シャトルの中なんかでは、そうだね…」

リン「春香お姉ちゃん…」

春香「ああ、ごめん。そう、宇宙の話だったね…」

伊織「敵…」

伊織「私は、やよいの、敵…」

伊織「…そうよね…やよい…」

<総員第一戦闘配備!総員第一戦闘配備!>

あずさ「伊織ちゃん!」タッタッタッ

あずさ「伊織ちゃん…。無理しないでね…」

伊織「ごめんなさい…あとで」

伊織「帰ってから…」

あずさ「私も…練習の成果を…」

ナタル「ヤマト少尉、水瀬は!?」

ミリアリア「一号機、フラガ少佐出ます!"ストライク""ラゴゥ""Z3号機"は後部甲板へ!」

ムウ<くそっ!このまますむとも思わなかったがな!>

ムウ<伊織!>

伊織<はい?>

ムウ<大丈夫だな…?>

伊織<…はい>

ムウ<今日こそ叩き落としてやるッ!>

あずさ「…今度は私の番よね」ギュッ

あずさ「スカイグラスパーで出ます!」

トール「あずささん!?」

マリュー「待ちなさい、あずささん…!」

あずさ(このまま好きにさせるものですか!艦を…みんなを守らなきゃ。伊織ちゃんも響きちゃんも貴音ちゃんも真ちゃんも懸命に戦っている。自分も頑張らなければ。戦わなければ)

コジロー「無茶はすんじゃねえぞォッ!」

あずさ「大丈夫です!」

子供「春香お姉ちゃん…」

子供2「春香お姉ちゃん、なに、あれ?」

春香「なあに、いつもの嵐ですよ嵐!すごい風だけど、家の中にいれば大丈夫。さ、中でなにしようか?」

"Z3号機"は"キュリオス"となおも戦闘を続けていた。ビームサーベルで斬り合い、互いにぶつかりあっては離れ、そしてまたうちかかる。

やよい「伊織ちゃぁぁんッ!」

やよいはわめき、"Z3号機"に斬りかかる。相手はシールドでそれを受け、飛びのく。やよいは必死だった。出撃のときの冷静さなどとうに吹き飛び、視界には敵機の姿しかない。
それなのに、これだけ打ちあっても相手にほとんど傷さえつけられない。
サーベルで打ちかかった右手を素手ではねのけられ、シールドで突き飛ばされて、やよいはかっとなった。自分と伊織との間には、これほどまで技量の差があったのか。と。

やよい「てやああああっ!」

打ちかかってくる"Z3号機"を"GNミサイルユニット"で牽制しながらふたたび突っ込む。
撃つと決めたのに。撃たなければいけないのに。
どうしてなの!伊織ちゃん!
どうして伊織ちゃんがそんなのに乗っているの!?
どうして…!?

やよい「伊織ちゃぁぁぁぁッッ!」

やよい「伊織ちゃんがニコルさんを…」

やよい「ニコルさんを殺したァァァッ!」

やよいは自分を許さない。けっして退くことを許しはしない。
死ぬわけにはいかない。でも、やよいを殺せるはずがないのだ。
伊織はあらためて悟る。
自分にやよいを殺せるはずがないということを。
ならば。
この戦いの結末は、わかりきっているのではないか…?
自分に向かって振り下ろされる、サーベルの光る軌跡を、伊織は呆然と見つめた。
だが、そのとき

あずさ<伊織ちゃん!>

伊織「あずさ!?」

伊織「駄目よ!来ないでぇぇっ!」

"キュリオス"は使っていないGNビームサーベルを無造作に投げつけた。GNビームサーベルは回転しながらまっすぐに飛び…そして…

あずさ<きゃっ、あ、ああぁーっ!>

伊織のすぐれた視力はすべてを鮮明にとらえていた。粉砕されたコックピットから破片とともに、あずさのヘルメットがはじき飛ぶところも。それが鮮血の尾を引いてたところも、その赤い色も、すべて。
次の瞬間には爆発の閃光が、すべてを焼きつけたままキラの網膜を焦がす。

伊織「あずさあああぁぁぁっ!!」

伊織「あ…あああ…ああぁぁぁッ
!」

伊織「やよいィィィイッ!」

彼女は憎しみをこめてその名を叫び、サーベルを振り下ろす。
"キュリオス"も勢いよく打ちかかってくる。互いの光刃をかわしながら、両者は激しく斬り合った。伊織は相手の機体を突き飛ばし、サーベルを大きく一閃する。

伊織(こいつが、あずさを…!)

"キュリオス"の右腕が切り離され、宙を舞う。

伊織「いやあぁぁぁぁッ!」

伊織は獣のようにうめいていることにも気づかず、ひたすらに目前の敵を追った。自分の目からあふれて落ちる涙にも気づかず。

サーベルを振るったその一動作で"Z3号機"が飛び上がり、"キュリオス"の顔面を蹴りつけた。

やよい「ぐぅッ…!」

機体を吹っ飛ばされ、やよいは衝撃にうめいた。さっきから"Z3号機"はなにかを振り捨てたかのように、動きが違う。まるで鬼神のような戦いぶりに、やよいはまったくついていけず、受け太刀になる一方だった。さっきまで、伊織はまだ本気になってなかったのだ。その事実に憤怒がわき上がる。

やよい「伊織ちゃぁぁぁん!」

やよい「私がァッ!伊織ちゃんを、撃つッ!」

やよいの体の奥底で、なにかが弾ける音がした。とたん、憤怒で曇っていた視界が急激にクリアになり、自分がなにをするべきかがわかる。彼女は退きながら機体を展開し、残ったビームサーベルを出力しながら、白い機体に襲いかかる。

伊織「うぉぉぉぉぉっ!」

ビームの刃が"Z3号機"の左腕を灼き切り、シールドが宙を舞う。

やよい「ぁああぁぁぁっ!」

両者はわめきながら、飢えた二頭の獣のように激突を繰り返した。"キュリオス"の首が飛び、"Z3号機"のコックピットハッチがえぐられる。それでも二人は怒りに狂ったまま、凄惨な打ち合いをやめようとはしなかった。

いつ果てるともしれぬ戦いに、ついに終わりが訪れようとしていた。

"キュリオス"が"Z3号機"の懐に入り込み、その機体をがしっとクローでつかんだのだ。

やよい(殺った!)

やよいは戦慄にも似た勝利感に酔いながら伸縮できる短剣のトリガーを引く。が
その瞬間、内蔵バッテリーが落ちた。
やよいは一瞬なにが起こったか理解できず、虚しくトリガーをカチカチと引いたあと、やっとさっきから鳴りつづいていた警告音に気づいた。GNドライブが半壊していたのだ。
彼女は怨嗟にうめき声をあげる。が

やよい(いや…ある!)

やよいの目に冷徹な光が戻る。彼女はひとつのボタンを押し、テンキーにすばやく暗証番号を打ち込んだ。モニターにパッと10:00という数字が表れ、カウントをはじめる。
彼女が作動させたのは、"キュリオス"の自爆装置だった。彼に残された、唯一最後の武器。
やよいはなかば反射的な動きでハッチを開き、脱出する。
激しい爆発が、彼女の体を宙に投げ飛ばした。

凄まじい轟音は、"アークエンジェル"にも届いた。その音に、損傷した機体とともに帰艦したムウや、補修作業中のマードック、ラゴゥから降りたばかりの響と貴音、そして艦橋にいたクルーみんなが耳をそばだてた。
呆然とする真の前で、もう一つのモニターが消えた。

真「え…?」

彼女はぽかんとしてつぶやいた。それは、"Z3号機"の通信回線だった。さっきの"スカイグラスパー"と同じように、『SIGNAL LOST』に置き換わったモニターに真は震える手を伸ばす。

真「伊織…?あずささん…?」

彼女はまるで二人の息を感じとろうとするかのように、無意識に指先でモニターをなでた。

P「水瀬さん…計画の方はいかがですか?」

伊織父「ああ、はかどっている。それもこれも、双海先生のおかげだよ…」

P「VR訓練なんてゲームだけだと思っていましたけどね」

伊織父「私もティン来たのがつい最近だったけどね」

P「この短時間でこの精度…よくやります」

伊織父「ふ…」

P「でも、なぜ自分の娘を実験台に?」

伊織父「ただの親心だよ…君もいずれわかる」

やよいの機体はキュリオスよりアリオスの方がそれっぽい感じな気がするな
変形機構的に相手に組み付いて自爆しやすいし
まあ今後の展開とかの関係でアリオスだとNGだったのかも知れんけども

>>129本当にそれなんです。
ちなみに書きだめしてないから、
思いついたらぽんぽん書くようにしてる。今ガンダムSEED4巻捜索中

カズイ「ろ、六時の方向!レーダーに機影っ!数三!」

真「AMF-101"ディン"です!会敵予測、十五分後!」

マリュー「迎撃用意!」

ナタル「これではモビルスーツ襲撃に対して、十分ともちません!」

真「伊織もあずささんもみんな仲間のために戦った…僕が出ます!」

マリュー「しかし、あなたのGは近接戦闘専用…飛び回る"ディン"にはてきさいないわ!」

真「…くっ!"バスター"が使えれば!」

アーノルド「パワー戻ります!」

マリュー「離床する!推力最大!」

真「"ディン"の射程に入ります!」

マリュー「…打電をつづけて。それと、島の位置と救援要請信号をオーブに!」

ナタル「オーブ!?」

マリュー「人命救助よ!オーブは受けてくれる!責任は私が取りますっ!」

トノムラ「"ディン"接近!距離8000!」

マリュー「機関最大!この空域からの離脱を最優先とするっ!」

響「伊織…?」

響「伊織は…?」

響「そんなはず、ないぞ…」

響「MIAだなんて…そんなはず…!だから…」

貴音「響…」

ムウ「…」グッ

ムウ「くっそォォォッ!」バコーン

イザーク「アスランとディアッカそれに隊長は!?」

モンロー「…3人は不明だ」

イザーク「不明?…不明とはどういうことだ!」

モンロー「まず"バスター"との更新がとぎれ、やがて大きな爆発を確認したあと、"イージス""キュリオス"との交信もとぎれた」

イザーク「エマージェンシーは!?」

モンロー「どこからもでていない…我々には、クルーゼ隊長から帰投命令が出た」

イザーク「そんなバカな!」

カガリ「気がついたか」

アスラン「…?」

カガリ「ここはオーブの飛行艇の中だ。我々は浜に倒れていたお前を発見し、収容した」

カガリ「訊きたいことがある…」

アスラン「…」

カガリ「"ストライク"をやったのは、お前だな?」

アスラン「ああ…」

カガリ「パイロットはどうした!?…見つからないんだ…キラが…!」

アスラン「あいつは…俺が殺した…」

カガリ「…!」

アスラン「脱出できたとは、思えない…それしか、もう手がなかった…!あいつを倒すには…」

カガリ「きさまァァッ…!」

アスラン「…やよい隊長は?オレンジ色の機体はなかったか…?」

カガリ「…お前たちが戦った島の反対側で、私たちの仲間の機体とオレンジ色の機体が粉々になっていた」

アスラン「くそっ!」

カガリ「だが、その女パイロットは集中治療室にいる…」

アスラン「助かったのか…」

カガリ「だが、我々の仲間は死んだ…2人も!殺されたから殺して…殺したから殺されて…」

カガリ「それでホントに…最後は平和になるのかよ…!?」

男「迎えが到着した」

カガリ「アスラン…ほら、迎えだ。ザフトの軍人では、オーブには連れて行けないんだ」

アスラン「…ありがとう…って言うのかな…?」

カガリ「ハウメア?の護り石だ」

アスラン「…キラを殺したのに…か?」

カガリ「もう…誰にも死んでほしくない…お前の背負っているその娘にもな」

ラウ「クルーゼだ。入るぞ」

やよい「…隊長」

ラウ「そのままでよい」

やよい「…ごめんなさい」

ラウ「いや報告は聞いた。きみはよくやってくれたよ」

やよい「うぅ…」

ラウ「…聞いたよアスランに…きみは友人を撃ったそうじゃないか」

やよい「…」

ラウ「きみは民間人だが、きみの強さは本国でも高く評価されているよ」

ラウ「きみにはネビュラ勲章が授与されるそうだ。ちなみにアスランと同じく」

やよい「え…?」

ラウ「それに…私としては残念だが、本日付けで国防委員会直属、特務隊への転属の通達もきている」

やよい「その話…蹴ってもらっていいですか?」

ラウ「なに?」

やよい「もう…誰かを殺すのも、誰かが殺されるのも見たくないんです」

ラウ「わかった。いいだろう…しかし、弟たちはどうする?」

やよい「大丈夫です…しばらく、1人になりたくて…」

ラウ「今決めろ。とは、言わない…だが君にとって不利益ではないはずだ。心得ておくように…」

やよい「はい…」

響「いつになったら出るんだ?上陸許可」

貴音「ゆっ…くり、待…ってば!よいのです」

響「貴音はこの間からなにをつくってんだ?」

貴音「それは…」

響「それは…?」

貴音「とっぷしぃくれっとです」

響「だと思ったさー」

貴音「トール…少し来ていただけますか?」

トール「なんかようか?」

貴音「はい。とっても大事な…」

サザーランド「ムウ・ラ・フラガ少佐、ナタル・バジルール中尉、フレイ・アルスター二等兵、四条貴音二等兵、我那覇響二等兵以外の乗員は、これまでどうり艦にて待機を命ずる」

ムウ「では…我々は?」

サザーランド「この5名には、転属命令が出ている。明朝08:00、人事局へ出頭するように。以上だ」

マリュー「あのアルスター二等兵は分かるんですが…四条二等兵と我那覇二等兵はなぜ…?」

サザーランド「砂漠の虎を撃退したのは彼女たちだろう?」

マリュー「あ…はい…」

サザーランド「彼女…特に四条二等兵はコーディネーターではないのにあの技量…必ずしもコーディネーター共の脅威になろう」

マリュー「…」

貴音「…出来ました。トール…これに乗ってください」

トール「これは…ああ!キラの分まで俺が戦おう!」

トール「しかし、なんで俺に?お前の方が扱えるんじゃ…?」

貴音「私たちはもう…この艦にはいれない。…そう思うのです」

トール「…」

貴音「真には、悪いことをしましたが彼女も納得しましたし、心置き無く乗りこなしてください」

トール「分かった。…だがこいつの名前はなんて言うんだ?」

貴音「そうですね…。『ういんぐがんだむぜろかすたむ』でどうでしょうか?」

トール「ゼロカスタムに意味は?」

貴音「ありません」

トール「すごいなぁ…この機体。あれだけの機体でどうやって作ったんだろう?まあ、何を聞いても『とっぷしぃくれっとです』で済ますもんなぁ」

貴音<その機体は私の残留思念で出来ているので少々扱いづらいかもしれません>

ムウ<嬢ちゃん時nってなんだこりゃ!?>

貴音<とっぷしぃくれっとです>

ムウ<…>

貴音<では…とーる。頑張るのですよ>

トール「ああ!だが、約束してくれ!」

貴音<?>

トール「次俺に会う時にこの機体は返す!わかったな!」

貴音<承知しました>

トール「ありがとうな!絶対帰ってこいよ!」

貴音「ええ、必ず…」

ムウ「…どういうことだ、こりゃ?」

貴音「…話によると『ぱなま』へ行くみたいです」

ナタル「少佐はどちらですか?」

ムウ「あ、俺はお嬢ちゃんといっしょだよ」

ナタル「そうですか」

響「自分たちは中尉といっしょだぞ!」

貴音「ここでお別れですね…」

ムウ「じゃ、ま、みんなも元気で」

響「じゃあなー!」

ムウ「お嬢ちゃん、はぐれるなよ」

ムウ「ここ並んで、自分の番が来たらそれを見せて乗るんだ。いいな?」

フレイ「え?あのっ!」

ムウ「俺、ちょっと忘れもん!」ダッ

パル「統合作戦室より入電!」

マリュー「サザーランド大佐、これは!?」

サザーランド<守備軍はただちに発進、迎撃を開始せよ!>

サザーランド<してやられたよ。やつらは直前で目標をこの"JOSIA"へと変えたのだ>

サザーランド<ここを敵の手に渡すわけにはいかん。なんとしてでも死守せよ。厳しい状況ではあるが、各自健闘を。以上だ>

マリュー「…これで戦えというのも酷な話だけど、本部をやらせるわけにはいかないわね…」

アーノルド「艦長…」

マリュー「総員第一戦闘配備!"アークエンジェル"は防衛任務のため、発進します!」

カズイ「そんな…」

マリュー「"アークエンジェル"発進!」

フレイ「"アークエンジェル"は…どこなの…?」

兵1「ザフト兵だ!」バン

兵2「侵入されているぞ!」バンバン

フレイ「キャアァッ!」

ラウ「おやおや、これはこれは…」

フレイ「…パパ?」

ラウ「パパが恋しいかね?」

トール「これが僕の力…これをここにつければいいのかな?」カチッ

トール「…ぐわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

トール「なんだこれ!なんだこれええぇぇぇ!」

ミリアリア<どうしたの!?トール!>

トール「…がぁ、はぁ…はぁ…ミリィ、ぼ…くは、生きて…るか…?」

ミリアリア<だ…大丈夫よ?>

トール(あずささん…僕は、あなたにもらった命…無駄にはしません!)

トール「この艦は…僕が守る!」

その時、トールの様子がすごく変わっていた。急に力を手に入れた感じに。過去にキラを連想させるような眼にミリアリアは一つの恐怖心を抱いた。

トール「ウイングゼロカスタムでます」

トール「やめてくれ!君たちの"未来"まで奪いたくない!」

トールはその手に持った"ツインバスターライフル"で戦艦の動力部を。そして、モビルスーツをビームサーベルでメインモニターを切り落とした。まるで彼には近未来が見えているかのように…

トール「もう、さがれえええええぇぇぇぇぇぇ」

ミリアリア「友軍機接近!被弾しているもよう!」

マリュー「着艦しようとしてるの!?」

マリュー「整備班!どっかのバカが、一機突っ込んでこようとしてるわ!退避っ!」

ムウ「どいててくれよォッ、みなさんっ!」

ムウ「うぉりゃあああーっ!」

マリュー「っ…!少佐!?あ、あなた、いったい何を…!」

ムウ「そんなこたどうだっていい!」

ムウ「それより、すぐに撤退だ!」

マリュー「少佐…何をおっしゃっているのか…」

ムウ「本部の地下に"サイクロプス"が仕掛けられている…!作動したら、きちじゃら半径十キロは溶鉱炉になるってサイズのシロモノが!」

アーノルド「…俺たちはここで死ねと…?」

ムウ「撤退を悟られないように、奮闘して。な」

マリュー「…ザフト軍を誘い込むのが、この戦闘の目的だというのなら…本艦はすでに、その任を果たしたものと判断します…!」

マリュー「僚艦に打電!『我に続け!』機関全速!取り舵!湾部の左翼を突破します!」

ムウ「…あきらめるな。俺も出る」

マリュー「少佐…」

ムウ「心配しなさんな」

ムウ「忘れた?俺は、不可能を可能にするおとこだってこと」

"ツインバスターライフル"が火を噴き、すれ違いざまに"ディン"のコックピットを撃ち抜く。トールはすでに初めてのモビルスーツ戦に息を切らしていた。

真<後方より"デュエル"!>

トール「くそォッ!こんな時に!」

"ディン"や"ジン"だけでも手一杯なトールに、このうえXナンバーまで。トールは機体を転じ、"ツインバスターライフル"を撃ちながら"デュエル"に襲いかかった。
せめて敵機の足を止めるだけでもいい。その間にミリアリアが…"アークエンジェル"が逃げられるのなら。

トール「アークエンジェルが危ない!」

正面の艦橋窓に、迎撃をかいくぐってきた、"ジン"が肉迫する。

トール(こんな未来は望んではいない!貴音さん…力を!)

突然、一条の光が天から降りそそぎ今にも発射しそうだった"ジン"の機銃をとらえる。

トール「援軍!?」

"ジン"も何が起こったかわからず、単眼を上空に向けた。その頭部を、次の瞬間、天から舞い降りてきた何かが斬り飛ばす。
輝く白い四肢、ボディはグレイと青のツートンそして、もう一機赤に塗られた身体に背中には突起とそこから、粒子が出ていた。

キラ<こちら、キラ・ヤマト>

ミリアリア、サイ「「キ…ラ…?」」

伊織<にひひっ!私もいるわよ!>

真「伊織!」

伊織<援護するわ。今のうちに退艦を!>

マリュー「キラ…くん!?伊織…さん!?」

キラ<マリューさん!早く退艦を!>

マリュー「私たちは囮に…!作戦なの!知らなかったのよ!」

キラ<…>

伊織<だったら!こうしましょう!>

伊織<ザフト、連合、両軍に伝えるわ!>

伊織<アラスカ基地は間もなく"サイクロプス"を作動させ、自爆します!>

キラ<両軍ともただちに戦闘を停止し、撤退してください!繰り返します>

イザーク「下手な脅しをっ…!」

キラ<やめろと言ったろう!?死にたいのか!?>

イザーク「なにィッ!?」

イザークはがむしゃらに斬りかかる。すると未知の機体は、その一撃をかわしながら、腰にマウントされていたビームサーベルを抜き放った。

イザーク(まずい…!)

コックピットに迫る光刃を見つめ、イザークは背筋を凍らせる。が、サーベルの軌跡が不自然にそれた。その光刃は"デュエル"の両足を薙ぎ、イザークが唖然として動けずにいるうちに、バランスを崩した機体は敵モビルスーツに強く蹴り飛ばされる。

キラ<早く脱出しろ…!もう…やめるんだ…!>

兵<大丈夫か?>

イザーク「あ…ああ」

兵<ひとまず帰艦する>

イザーク「しかし…!」

兵<足がなきゃ戦えないだろ。飾りってわけじゃねえんだから。どのみち、俺たちが今下がろうが、こちらの勝ちは決まりさ>

サザーランド「そろそろですな」

サザーランド「よろしいですか?」

サザーランド「この犠牲により、戦争が早期終結へ向かわんことを、切に願う…」

サザーランド「青き正常なる世界のために。三…二…」

サザーランド「一…」カチッ

サイ「"サイクロプス"起動ーっ!」

マリュー「機関全速!退避ーっ!」

ミリアリア「トール!戻ってきて!」

トール<すぐ戻る>

伊織<(GN粒子散布すれば止められたかしら?)>

伊織「真…。間に合って…よかったわ」

真「ホントに伊織…なのか…?」

伊織「当たり前じゃない。私を誰だと思ってるの?」

真「ホントに、ホントに、幽霊じゃないんだな!?」

伊織「ごめんなさい…。ありがとう…」

キラ「お話ししなくちゃならないことが、たくさんありますね」

マリュー「ええ…」

ムウ「…ザフトにいたのか?」

伊織「そうよ、でも私たちはザフトじゃないわ。ね?キラ…」

キラ「うん。そしてもう、地球軍でもないです」

トール「おーい!」

キラ「トール!あの機体は君が乗っていたのか」

トール「キラがいなくなってから、貴音さんが譲ってくれたんだ。」

貴音「みんなそろったようですね」

響「なんの話だー?」

貴音「ふふっなんでもないですよ」

ナタル(みんなは無事だろうか…)

キラ「それが、作戦だったんですか?」

ムウ「おそらくな…」

マリュー「私たちには何も知らされなかったわ…」

真「本部はザフトの攻撃目標がアラスカだってこと、知ってたんだろうさ。それもかなり以前からね…」

ムウ「でなきゃ、地下に"サイクロプス"なんてしかけ、できるわけがない」

伊織「"プラント"も同じよ…」

マリュー「"プラント"?」

真「伊織たちは、"プラント"に行ってたのか?」

キラ「みなさんもそう思ったでしょうけど、ぼくもはじめは、自分が死んだとばかり思っていました…」

~回想~

伊織「…ラ………キラ…」

キラ「…うっ」

伊織「キラ!」

キラ「うわっ…まぶしっ!」

伊織「誰のデコが眩しいのよ!」ゲシッ

キラ「いてて…って、伊織!その怪我…」

伊織「あんたも同じじゃない」

キラ「ああ、ほんとうだ」

ラクス「まあ…おはようございます」

キラ「ラクス…さん?」

ラクス「あら…ラクスとお呼びになってくださいな。キラ」

ラクス「でも、おぼえてくださって、うれしいですわ」

春香「あ!起きたんですね!」

ラクス「はい、春香。…あら?マルキオさまは?」

春香「あははー(転んだ拍子にマルキオさんにぶつかって腰を痛めさせたなんて言えない)」

春香「そ、そうだ!驚いたでしょ?こんな場所で」

伊織「そうね…天国にでも来たかと思ったわ」

キラ「ぼくも」

春香「みんなは反対したんだけれど、ラクスちゃんがどうしても、ベッドはここに置くってきかなくって」

ラクス「だって、こちらの方が気持ちがいいじゃありませんか、お部屋より…ねえ?」

春香「たしかに、ここは私にも気持ちのいい場所です」

春香「伊織は傷つき、マルキオさんの祈りの庭にたどり着いた」

春香「そして、私たちがここへ連れてきたんだ」

やよい『…が……ろした……』

やよい『伊織ちゃんが…を……ころした……!』

伊織「あ…」

伊織『こいつが…あずさを殺した…!』

伊織「ああっ…あ…!」

伊織「私は…やよいと戦って…」

伊織「しんだ…はず、なのに…」

春香「伊織…」

伊織「どうしようも、なかった…」

伊織「私は…やよいの仲間を、殺して…」

伊織「やよいは、私の、仲間を…殺した…」

伊織「だから…っ」

春香「伊織は、やよいを殺そうとしたんだね…?」

伊織「…ッ!」

春香「そしてやよいも、あなたを…」

春香「でもそれは、仕方のないことじゃない…?」

春香「戦争であれば」

春香「二人とも、敵と戦ったんでしょう…。違う?」

伊織「て…き…」

しばらくして…

春香「伊織の夢は、ここ(戦場)にきてからいつも哀しそう…」

伊織「哀しいわ…」

伊織「たくさんの人が死んで…私も、たくさん…殺したもの…」

春香「それで守れたものも、たくさんあるんでしょ?プロデューサーさんみたいに」

伊織「…不思議ね」

春香「え?」

伊織「なんで私は…ここにいるんだろ…『夢』のはずなのに」

春香「伊織はどこにいたいの?」

伊織「765プロ…みんなで苦しいことを耐えながらアイドルやって、それでも最後は笑いあえる765プロ…」

春香「ここは嫌い?」

伊織「いいえ…ただ、物足りないじゃない」

千早「そうね…」

伊織「来てたのね」

千早「ええ…。自分の向かう場所、せねばならぬことは、やがて自ずとわかってくるわ…」

千早「私たちは『765を持つ者』ゆえに」

春香「だって」

千早「やはりダメですね。導師のシャトルでも、地球へ向かうものは現在すべて、発進許可は出せない…」

春香「それじゃ仕方ないね。子供たちは待ってるだろうけど、千早ちゃんと一緒に過ごす時間が増えてうれしいよ」

千早「私もよ。春香」

<発動された"スピットブレイク"の目標はパナマではない!アラスカだ!>

伊織「ッ!」

春香「伊織…」

春香「伊織…?」

伊織「…私は、行くわ」

春香「…どこへ行くの?」

伊織「地球へ…戻らなきゃ」

春香「なんで?伊織一人戻っても戦いはなくならないよ?」

伊織「『何もできない』って言って、何もしなければ、もっと何もできないわ…」

伊織「何も変わらない…何も終わらないから…」

春香「また、ザフトと戦うの?」

伊織「いいえ」

春香「…じゃあ、地球軍と?」

伊織「私は…何と戦わなきゃならないのか、ずっと知りたかった…」

伊織「そして…少しは、わかった気がするわ…」

春香「伊織…」

千早「わかったわ…」

春香「千早ちゃん…」

千早「ラクスさんに連絡を。ラクスさんとこの如月千早が平和の歌を歌います。と」

春香「あ、こうだからね。こう。ザフトの軍人さんのご挨拶ですよご挨拶!」

伊織「ガン…ダム…?」

春香「ちっちっちっ、ちゃっと違うよ。伊織ちゃん、これはGNW-003"スローネドライ"だよ」

千早「でも『ガンダム』の方が、強そうでいいわね」

春香「この機体は私宛だったんだろうけど…」

千早「乗るのが怖かったのよね?春香」

春香「あははは…」

伊織「これをなんで、私に?」

春香「今の伊織ちゃんに、必要なものだって思ったから!」

千早「思いだけでも…力だけでも、だめなの。だから…」

春香「伊織の願いに…行きたいと望む場所に、必要ないかな?」

伊織「春香…私、こんな…」

春香「もー。そんなに考えないの!これをあげたのは…私が『天海春香』だから!」

伊織「ありがとう」

千早「私も歌うわ…平和の歌を」

春香「気をつけてね」

伊織「ええ、春香も…」

千早「これ、ラクスさんからのプレゼントよ」

伊織「ハロ?」

春香「これをセットすれば…まあ、使えばわかるよ」

千早「では、いってらっしゃい」

伊織「Nジャマーキャンセラー?私、アスランが自爆する回までしか見てないけど…どうにかなるわよね」

伊織「思いだけでも…」

伊織「力だけでも…」


春香「千早ちゃんも行くの?」

千早「ええ、このHi-νガンダムで」

春香「がんばってね。千早ちゃん」

千早「こんなこと…早く終わらせなきゃね」

伊織「それで、"アークエンジェル"…マリューさんたちは、これからどうするの?」

マリュー「どう、って…」

トノムラ「Nジャマーと磁場の影響で、今のところ通信はまったく取れません」

真「応急処置をして、自力でパナマまで行くんですか?」

ムウ「歓迎してくれるのかねえ、いろいろ知っちゃってる俺たちをさ」

マリュー「命令なく戦列を離れた当艦は、敵前逃亡艦ということになるんでしょうね…」

トール「なんだか、なんのために戦ってるのか分からなくなってきたな」

伊織「こんなこと終わらせるには、何と戦わなくちゃいけないと、皆は思う?」

キラ「ぼくたち…ぼくは、それと戦わなくちゃいけないんだと思います」

秘書検定明後日なので明後日の夜に続き書きます。完結させるからちょっと我慢してて、合間に書くかも?

ユウキ「アスラン、悪いニュースがある…」

ユウキ「極秘開発されていた最新鋭のモビルスーツが一機、何者かに奪取された」

アスラン「…!」

ユウキ「それを手引きしたのが、ラクス・クラインだということだ」

アスラン「そんな!まさか!」

アスラン(そんな、馬鹿な)

アスラン「酷いな…ラクスの家…証拠を残したくなければ燃やせばいいのになんでヴァルベルデみたいな惨状にする必要が…」

ハロ「わっほい!わっほい!」

アスラン「ハロ!」

アスラン「花?そう言えば!」

ラクス『この花は、わたくしがはじめて歌った劇場ですの…』

アスラン『?』

ラクス『記念のお花ですのよ』

アスラン『(電波はよくわからないな)』

アスラン「あの劇場にラクスが!」

鳥<トリィぴよ>

キラ「…」

サイ「なんか、俺んとこにいた。電源切っちゃうのもちょっとな。って思ってさ」

キラ「…ありがと。我那覇さん達は?」

サイ「他数名合わせ、みんなでアラスカで転属になった」

キラ「そう…」

サイ「まあ、感心なんてありゃしないよな」

ハロ「ハロ・ハロ・ラクス」

ラクス「あら、ピンクちゃん」

ラクス「…やはり、あなたが連れて来てくださいましたわね。ありがとうございます」

アスラン「…どういうことですか、これは?」

ラクス「キラにお渡ししただけですわ。新しい剣を」

アスラン「キ…ラ…?」

アスラン「何を…言っているんです…!?キラは…あいつは…」

ラクス「あなたが、殺しましたか?」

ラクス「そこの方…隠れてないで出てきなさい」

やよい「はわっ!」

アスラン「!?隊長!!」

ラクス「大丈夫です。キラは生きています。…やよいでしたか?」

アスラン「!?」

やよい「え、あ、はい」

ラクス「伊織も生きていますよ」

やよい「よ…かった…です。伊…織ちゃんが…生きていて…」

ラクス「アスラン、言葉は信じませんか?ご自身でご覧になったものは?」

ラクス「あなたたちが信じて戦うものはなんですか?いただいた勲章ですか?」

アスラン「ラクス…!」

ラクス「…そうであるならば、キラはふたたびあなたの敵となるかもしれません。そして、わたくしも…」

アスラン「…」

ラクス「敵だというのなら、わたくしを撃ちますか?ザフトのアスラン・ザラ」

アスラン「俺は…」

ラクス「キラは…伊織も地球です」

やよい「!」

アスラン「!」

ラクス「お話をされてはいかがですか?お友達とも…」

ディアッカ「飯をくれ…」チーン

伊織「なんですって!?パナマが…!」

トール「ザフトの攻撃が始まったと…詳細はまだわからんが…」

マリュー「目標は、マスドライバー」

真「地球連合軍の主力隊も、今はパナマだ。…ザフトも必死だよ」

ミリアリア「アラスカで…人がたくさん死んだばかりなのに…」

カガリ「お前たちはこれからどうすんだ?」

キラ「え…」

ムウ「…一人でも戦う気か?」

伊織「できることと…望むことをするだけよ」

キラ「このままじゃ嫌だし…ぼく自身、それですむと思ってないから…」

ウズミ「最後通告だと!?」

ホムラ「『現場の世界情勢を鑑みず(ry』」

ウズミ「いったい、どういう茶番だ!それは!」

ホムラ「欲しいのはマスドライバーと"モルゲンレーテ"ですな」

ウズミ「どうあっても世界を二分したいか、大西洋連邦は!敵と味方とに!」

ホムラ「ともあれ、避難命令を」

マイリ「子供らが、時代に殺されるようなことだけは…避けたいものじゃな」

マリュー「オーブを守るべく、戦うべきなのか、そうでないのか。我々は自身で判断せねばならないのです…よって、これを機に艦を離れようと思うものは、今より速やかに退艦し、オーブ政府の指示に従って避難してください…私のような頼りない艦長に、ここまでついてきてくれて…ありがとう…」

サイ「…そっか、カズイ、降りるんだな」

カズイ「だって、サイは降りないの?」

サイ「俺は残るよ…。攻撃されんの、いおりnゲフンゲフンオーブなんだし、今は俺にもできることあるから」

カズイ「け、けどさ…」

カズイ「あ、ミリィは降りるよね?女の子なんだし…」

サイ「カズイ…」

カズイ「な…なんだよ…」

サイ「ほかのやつのこと、もう気にすんなよ」

カズイ「え、でも…」

サイ「自分で決めたことなら、それでいいじゃんか」

カズイ「そうだけd」

サイ「向いてないだけだよ、お前には、戦争なんてさ…おまえ、やさしいから」

カズイ「俺の話聞k」

サイ「平和になったら、また会おうな。…それまで生きてろよ」スタスタ

カズイ「」

ミリアリア「あ、そう言えば」


ディアッカ「」ゲッソリ

ミリアリア「あ、あはははは」

ディアッカ「?ジンモン?イソウ?」

ミリアリア「この艦、また戦闘に出るの。オーブに地球軍が攻めてくるから」ハイ、ゴハン

ディアッカ「…え?」アリガトウ

ミリアリア「だから、あんた、もういいって。まあ…釈放?」

ディアッカ「…って!モグモグちょ、モグモグちょっとモグモグ待てよモグモグゴックン」

ディアッカ「なんでおまえらが地球軍と戦うの!」

ミリアリア「オーブが地球軍に味方しないからよ」

ミリアリア「早く行った方がいいわよ。攻撃がはじまったら大混乱だと思うから」

ディアッカ「おまえも戦うのかよ!?」

ミリアリア「私は"アークエンジェル"のCIC担当よ!」

アズにゃん「時間です!」

トノムラ「敵モビルスーツ…いや、モビルアーマー?接近!」

黒いモビルスーツが驚くべき機動性で"アークエンジェル"に迫る。"イーゲルシュテルン"の迎撃をかわし、一気に取り付こうというところをこの危機に気づいた"スローネドライ"が飛来し、そのままの勢いで横からメインカメラを斬り倒す。
危ういところを救われたクルーたちが、ほっと息をついたのもつかの間、"スローネドライ"の背後から、海面を割って飛び出したものがあった。

伊織「二機目!?」

海中から飛び出した勢いのまま、近くにあったオーブの護衛艦を、手にした巨大な鎌で真っ二つに切り裂こうとした瞬間!

???「各MSは、メガ・バズーカ・ランチャーの火線上に近づくななの!」

その機体から発せられた声に反応したオーブ軍のモビルスーツは撤退した。が、オーブの護衛艦は直接そのビームを受け、大惨事。異様な形状のモビルスーツも倒すことは叶わなかった。

伊織「敵!?」

???<デコちゃんなの!>

伊織「デコちゃんいうな!…ってその声は美希ね」

美希<今の美希ね。デコちゃんのデコよりキラキラしてるの!>

伊織「デコデコ言うな!」

キラ<あれも、君の仲間?>

伊織「そうね…そう思いたくないけど…」

美希<もー。デコちゃんひどいの>

伊織「どうしてくれんの!?あれ、オーブの護衛艦よ!」

美希<コラテラル・ダメージなの>

"アークエンジェル"は、降りそそぐミサイルを防ぐだけで手一杯だった。そのとき。
後方から太い光条が放たれ、そのエネルギーに触れたミサイルが、戦闘機が、一瞬にして爆散する。

ディアッカ<とっととそこから下がれよ!"アークエンジェル"!>

ミリアリア「あいつ…!?誰?」

オノゴロの海岸線に、超高インパルス長射程狙撃ライフルを構えた"バスター"の姿があった。ミリアリアからすれば知らないザフト兵が、なぜ自分たちを援護してくれるのかわからない。
だが、わからないなりに、彼女の胸に温かいものが灯った。

美希は苦戦していた。カーキ色の機体に向けてメガ・バズーカ・ランチャーを発射したが、その機体に届く前にビームが大きく方向を変えて、オーブの護衛艦に直撃する。

美希「なんなのなの!?」

二機は戦いながら、気づかないうちにオノゴロ上空に近づいてきた。と、それまでM1部隊と"フリーダム"を相手に戦っていた、青緑色の三機目が、彼らの援護のつもりか、両肩の巨大なビーム砲を撃ってきたのだ。虚を衝かれた美希は、なんとかそれをかわしたが、とたんにカーキ色の放ったキックを食らってはじき飛ばされる。

美希「しまったの…!」

落下を止めようとバーニアを噴射するが、体勢を立てなおす前に横からカーキの機体がビームを放つ。その射線は確実に"百式"を捉えていた。

美希「くっ…なの!」

避けられない?
直撃する!その瞬間、目の前に緑の影が舞い降りた。

美希「…っ!?」

律子<こちら765軍ばんなむ直属特務隊。秋月律子よ>

美希の心臓が一瞬、動きを止める。モニターではコンピューターが勝手に機種を特定し、緑の機体がAEU-09"AEUイナクト"…"スローネドライ"の兄弟機で無いことを教えている。

美希「律子ッ!」

律子<さん!!>

美希「…さん」

だが二人には、互いに集中する猶予は与えられていなかった。黒い機体が"AEUイナクト"に襲いかかり、律子はその手に持った超高硬度カーボン製のアサルトナイフ(ソニックブレイド)を高周波振動させ振るった。
美希は動揺しながらも、"AEUイナクト"を狙ってきたカーキの機体に向けて自分もビームサーベルで斬りかかる。

美希「どういうつもりなの!?美希の獲物を横取りして!」

律子<やられそうになってたくせに偉そうなこと言わないの!>

美希「むー。わかったの…とりあえずいる敵を倒すの!律子!」

律子<さん!>

地上では"百式"と"AEUイナクト"が連合のモビルスーツ相手に、戦いつづけていた。カーキの機体がリフター中央部のビーム砲を放つ、と、それは宙でくいっと曲がり、射線を予測して回避した"百式"に向かう。

美希「っ!」

美希はその光条をかろうじてかわす。この機体には撃ち込まれたビームのみならず、自分の発したビームも偏向させる機能が備わっているらしい。その機体に向けて、"AEUイナクト"が、脚部に内蔵されたミサイルとリニアライフルを連射したが、敵機のシールドが胴体を守りまったく歯が立たない。同時に体勢を立てなおした"百式"がクレイバズーカを放つが、これもシールドにはね返される。が、そこへさらに回り込んでいた"AEUイナクト"が飛び込み、激しい蹴りを食らわせた。クレイバズーカの威力に押され気味だった敵機は完全に体勢を崩す。
その二機に向けて、モビルアーマー形態の黒い機体が両肩の砲口からビームを連射しながら舞い降りてくる。と、見る間にモビルスーツ形態に変わり、シールドを掲げ防御姿勢になった"百式"と"AEUイナクト"に向けて破砕球を放つ。二機はパッと散開し、サーベルを抜き放って、みごとな波状攻撃で黒い機体に迫った。

地上に上がっていた青緑の機体が、ジャンプしながら巨大なビーム砲を放つ。

美希「律子…さん!」

律子の鋭い声が返る。

律子<上っ!>

直上、太陽の中からカーキの機体が、湾曲した鎌を手に踊りかかる。二機はさっと離れ、その攻撃もかわし、美希がビームライフルを追うように狙撃する。だがまたもビームは、見えない壁に当たったかのようにはね返される。同時に美希は、"AEUイナクト"がミサイルを放つのを見てとり、寸前で飛び上がってかわす。"百式"の機体で隠されていたその攻撃にカーキの機体は対応できずまともにミサイルを食らった。そこへ、美希がクレイバズーカを撃ち込む。
ふいに下方から強烈なビームが放たれ、美希と律子はそれを回避した。が、射線上にはカーキの機体もいる。その一射はカーキの機体寸前で、例の偏向を受けて生き物のように曲がる。

美希「?この人たち…」

カーキの機体が回避したビームは、そのまま黒い機体に向かい、その機体は間一髪のところでそれを避けた。

律子<味方も平気で…?>

三機は互いを競うかのように、"AEUイナクト"と"百式"めがけて突っ込んでくる。射線が入り乱れ、僚機をかすめるが構ったようすもない。あまりにめちゃくちゃな戦い方に、美希と律子も相手の出方に予測がつかず、困惑する。
が、見るうちに、敵機の動きが急に鈍くなった。攻撃もやめ、しばし慣性のまま落下しかける。

美希(なんなのなの?)

予測もつかない敵のことだけに、美希と律子は次のアクションに備えて身構えたまま、相手の出方を窺う。と、飛行能力を持たない青緑の機体を、モビルアーマー形態になった黒い機体がクローでとらえ、三機は母艦に向けて引き返しはじめた。

美希「どういうことなの?」

その少し前

アズにゃん「まだ軍本部の制圧、できませんか?おっかしいですねェ…」

ダーレス「ご自慢の新型、思うほど働いてくれてはおらぬようですが?」

アズにゃん「それにしても、アークエンジェル級一番艦が生き残っていたとはねェ…」

オペレーター「"カラミティ"、"レイダー"、"フォビドゥン"、帰投します!」

ダーレス「なんだと?」

アズにゃん「チッ…!時間切れか…」

アズにゃん「役立たずどもめ!」

ダーレス「どういうことだね、これは!?」

アズにゃん「ああ、やめやめ。ちょっと休憩、ってことですヨ、司令官サン」

アズにゃん「一時撤退です。全軍テッタイ」

ダーレス「なんだと!?」

アズにゃんアレ抜きで戦ったら、全滅しますよ」

ダーレス「…信号弾打て!一時撤退!」

トール「撤退…?でも、ツインバスターライフル構えちゃったし…撃つか」

トール「あったれええええぇぇぇぇ!!!」

敵艦「!?」

トール「安心しろ焼いたのは、エンジンだけだ」

ミリアリア<トール、何してるの?帰投して>

トール「ああ、わかった」

トール「アリーヴェデルチ…」

伊織「美希、どうしてここに?」

美希「なんか、こっちの方で爆発があったからきたの」

律子「私は、美希と同じ理由よ」

伊織「じゃあ、なんで機体を動かせるの?」

美希「…デコちゃんおかしなこと聞くね。美希たちパイロットだよ?」

律子「ええ、私は教官目指してるけど、パイロットだから動かせたのよね」

伊織(この世界に対する疑問なんてないのかしら…?)

アスラン「…」テクテク

伊織「!…あんた!ザフトね!」

アスラン「え?ああ、そうだが?」

伊織「やよいは生きているんでしょ?どこよ!?」

アスラン「…!…あまり、言いたくないな」

伊織「あんたとキラが親友のように、私とやよいも親友なの!お願い答えて!」

アスラン「…わかった。が、こころして聞いてくれ」

アスラン「実はやよい隊長は、途中まで一緒に行動していたんだ」

アスラン「だが、途中見てしまった」

伊織「み、見たって…何を?」

アスラン「彼女の目の前で弟たちがザフトの過激派に惨殺されるところを…」

伊織「え…」

アスラン「彼女はザフト軍とはいえ、ナチュラルだ。この間のアラスカで怒りのはけ口を見失った者の犯行だそうだ」

伊織「…」

アスラン「そして、彼女は自分の殻に閉じこもった…親友の君も死んだと思い込んでる。いや、思い込もうとしている」

伊織「…しが…なくちゃ…」

アスラン「…?」

伊織「私が助けなくちゃ!」ダッ

アスラン「ちょっと待て」ガシッ

伊織「止めないでッ!やよいは私が傷つけたの!私が…ウッ…ヒック…」

アスラン「大丈夫だ。こちらの仲間が助けてくれている。今はオーブのことだけ考えろ」

オペレーター<モビルスーツ群、航空機隊、オノゴロを目標に進行中!>

押し寄せてくる"ストライク・ダガー"隊に、キラ、トール、美希はすばやく照準を定めた。次の瞬間"ストライク・ダガー"ほぼ全機が、カメラを、武装を、脚部を撃たれ、戦闘不能になる。
っと、昨日の三期が目に入った。
三機の"G"は"百式"を見つけたとたん、ほかの獲物を無視して一気に襲いかかった。"レイダー"が機関砲、"フォビドゥン"が"エクツァーン"を放ち、そして"カラミティ"はすべての砲を乱れ撃ちして"百式"を狙う。美希は必死で機体を駆り、回避した。

美希「なのっ…!」

これでは反撃するどころではない。が、目まぐるし機体を操る美希の前を、キラリと光るものがよぎり、"フォビドゥン"が間一髪のところで鎌を振るって、それを払いのける。同時に"カラミティ"と"レイダー"は別々の方向から放たれたビームをかろうじて避け、後退した。

伊織「美希っ!」

美希「デコちゃ」

伊織「言わせないわよ!?」

"フォビドゥン"を襲ったビームサーベルを手に取った"ドライ"。そして、"AEUイナクト"を必死に講義して"AEUイナクト(指揮官)"にしてもらった律子の姿が。

律子「私もいるわ」

伊織「いい?」

美希「うん!」

律子「この三機を」

三人「蹴散らす!!」

美希の胸をあたためた希望。だが、現実は彼女らを追い詰めている。
オノゴロに上陸した"ダガー"部隊は、次々と軍施設を、M1"アストレイ"を破壊していく。M1部隊の中で"ストライク"と"バスター"は懸命に侵攻を食い止めようとする。ジャンプして"バスター"が放つ対装甲散弾砲が、PS装甲を持たない"ダガー"数機を一瞬にし屠る。が、一機の活躍で食い止められる勢いではない。
海上でも、"アークエンジェル"が"ゴットフリート"、"ウィングゼロカスタム"が"ツインバスターライフル"で地球軍艦艇を一撃で沈めた。それでも数の上の劣勢を覆すことはできない。オーブ艦隊は圧倒的な火力を前に、一隻、また一隻と沈められていき、もはや自走可能の艦はほとんど残ってない。それでもみな、退くことなく戦い続けていた。

"フォビドゥン"が巨大な鎌を振り回し、"百式"に迫る。"百式"はくるりと回転してそれをかわし、逆落としの大勢のままでビームライフルを撃つ。
"AEUイナクト"は"レイダー"を相手にしている。破砕球が唸りを上げて投げつけられ、緑の機体の中央を捉えるはずだったが、次の瞬間"AEUイナクト"は鮮やかによけて見せた。"AEUイナクト"はライフルを撃ちながらあっという間に"レイダー"に迫り、その射線はかわしたものの、"レイダー"はまともに体当たりを食らい、吹っ飛ばされる。
"カラミティ"は"スローネドライ"に向かって背中の"シュラーク"を放つが、"スローネドライ"はハンドガンを連射して、逆に"カラミティ"を襲う。

オルガ「チィッ…!しぶとい!」

オルガ「くそッ!このバカモビルスーツ、もうパワーがヤバイ!」

クロト<おまえはドガドガ撃ちすぎなんだよ!バァカ!>

オルガ「ンだとォ!?」

クロト<帰んなら一人で帰ってよね!ぼく知らないよォ>

そのとき"レイダー"の目前の海中から、水しぶきとともに緑の機体が躍り出る。

クロト<っ!>

クロトはかわしきることができず、"AEUイナクト"の振り下ろしたプラズマソードに鉄球を真っ二つに斬り裂かれ、機体の一部も破損する。

オルガ「けッ!バカはてめーの方じゃねえかよ!」

クロト<なんだとォ!?>

クロトは"レイダー"をモビルアーマー形態切り替える。しめたとばかりに、オルガはそこへ飛び乗った。

クロト<勝手に乗んなよっ!コノヤロー!>

オルガ「うるさい!とっとと補給に戻れよ!おまえもそれじゃしょうがねえだろ!」

残った"フォビドゥン"のシャニは金色の機体を相手にしていたが、振るった鎌をシールドで止められ、逆にビームサーベルの一撃を真っ向からくらいかける。とっさにシャニは"ニーズヘグ"を捨てて下がり、離脱して僚機のあとを追う。

マリュー「オーブを離脱!?」

マリュー「我々に、脱出せよと。そうおっしゃるのですか!?ウズミさま!」

ウズミ「あなた方にももうお判りであろう。オーブが失われるのも、もはや時間の問題だ…なによりパイロットの全員が体力が残ってはいないのだろ?」

カガリ「お、お父さまっ、何を…!?」

ウズミ「人々は避難した。支援の手もある。…後の責めは我らが負う」

ウズミ「このまま進めば世界はやがて、認めぬ者同士が、制限なく争うばかりのものとなろう…」

ウズミ「そんな世の中でいいのか!?」クワッ

ウズミ「うおっほん。またも過酷な道だが…判ってもらえような?マリュー・ラミアス…」

マイリ「レーダーに機影じゃ!モビルスーツじゃな」

ウズミ「ラミアス殿、発進を!」

マリュー<わかりました!キラくんたちは?>

キラ<発進援護します!さすがに彼女たちの機体も大気圏まではいけないでしょ?出番も少ないし…挽回のチャンスだから>

マリュー<キラくん…>

カガリ「お父さま…」

ウズミ「おまえはいつまでぐずぐずしておる!?早く行かぬか!」

マイリ「モビルスーツ接近!距離十五じゃあ!」

キラ<発進、急いでください>

マリュー<"ローエングリン"てェーッ!>

カガリ「お父さまッ…!」

ウズミ「我らには我らの役目、おまえにはおまえの役目があるのだ。想い継ぐ者なくば、すべて終わりぞ!なぜそれが判らん!?」

キサカ「ウズミさま…カガリ!」

ウズミ「急げキサカ!…このバカ娘を頼むぞ」

キサカ「は…!」

カガリ「お父さま…!」

ウズミ「…そんな顔するな。『オーブの獅子』の娘が…。父とは別れるが、おまえは独りではない…。きょうだいも、おる…」つ写真

カガリ「!?」

ウズミ「そなたの父で、幸せであったよ…」

カガリ「ああ…ッ!」

プシュー

カガリ「お父さまぁーっ!」

マスドライバー施設に残ったウズミは、遠ざかっていく艦影を見つめ、静かに微笑んだ。

ウズミ「種子は飛んだ…。これで良い…」

最後まで退去せずに残った数人の首長が、ゆっくりと彼の周囲に集まる。ウズミが確認するように見ると、彼らは微笑んでうなずく。
ウズミはカバーを外し、装置にキーをさし込む。

ウズミ「"クサナギ"が行くまで」

首相「私たち」

首相2「守って」

首相3「戦って」

首相4「精一杯」

マイリ「頑張るのー!」

ウズミ「オーブ首長国…ファイトー」

全員「おおおおおぉぉぉぉぉ」

決然と言い放ち、彼は明滅するボタンをためらいなく押し込んだ。

P「なかなかみんな粘りますね」

伊織父「…」

双海先生「…亜美に試練を与えてもいいかな?」

P「亜美…ですか?」

双海先生「そうだ。計画に変更はしない…が、最近天狗気味だったからな」

伊織父「私は構わないよ」

P「では、私が死にましょう」

双海先生「?いいでしょう」

P「あずささんのカプセルを借りましぷかね」

P「なかなかみんな粘りますね」

伊織父「…」

双海先生「…亜美に試練を与えてもいいかな?」

P「亜美…ですか?」

双海先生「そうだ。計画に変更はしない…が、最近天狗気味だったからな」

伊織父「私は構わないよ」

P「では、私が死にましょう」

双海先生「?いいでしょう」

P「あずささんのカプセルを借りましょうかね」

P「あずささん…起きてください。あずささん」

あずさ「ん…ぅ…ぷろ…でゅー…さー…?」

P「ハイそうです。気分はどうですか?」

あずさ「えっと…ここは…?」

P「伊織の家です…」

あずさ「伊織ちゃんの…?」

P「あずささんがレッスン中に倒れて、伊織が自分の家が近くにあるって言って連れてきました」

あずさ「…」

P「まあ、ゆっくりして行っていいそうなのでゆっくりして行ってください。帰る時は、執事さんが家まで送ってくれるそうですよ」

あずさ「はい…」

あずさ《伊織ちゃん!》

伊織『あずさ!?』

伊織『駄目よ!来ないでぇぇっ!』

あずさ「ぅ…」

あずさ「何かしらこれ…?」

あずさ「気のせい…よね?」

P「あずささんが客室で目を覚ました」

伊織父「あなた用に準備は出来た…あとは、このVRの記憶の中に亜美とPさんあなたが恋人と言う設定も組み込んだ」

P「双海先生はそれでいいんですか」

双海先生「はい。むしろ、一線させ越えなければ…何をしてもいい」

P「分かりました」

伊織父「時系列はオーブがまだ平和だった頃からだ」

双海先生「シン・アスカ同様精神を多少揺さぶればいい」

P「はい…ではいってきます。リンクスタート!」

亜美「兄ちゃん!こっちこっち!」

P「おーい!待てってばー」

ウーーーーーーーーー

P「避難指示?」

亜美「ん?兄ちゃんどったの?」

P「ああ…なんか避難指示が出てるっぽい」

亜美「せっかく戦争のない国にきたのに…」

P「仕方ないさ。さ、行くぞ」

亜美「うん」

ドゴゴゴゴ

亜美「急いで!兄ちゃん!」

P「ああ…でも、さっきので足が痛い…」

亜美「あと少しだよ!兄ちゃん!」

P「ああ…頑張るか…あっ」ポロッ

亜美「大丈夫?」

P「ああ…」チラッ

亜美「あれをとってくればいいんだね?」

P「亜美…!それは!」

亜美「大丈夫だよ!」

亜美は転がり落ちる箱を追って斜面を駆け下りた。自分なら身軽だし、拾ってすぐ追いつける。
綺麗な箱は木の根に当たって止まった。亜美が腰をかがめ、それを拾い上げた瞬間、耳を聾する轟音が全身を殴りつけた。

亜美は唖然として周囲を見回した。まるで背景がすげ替えられた舞台のように、あたりは一瞬にして様相が変わっていた。
呆然ととしていた亜美は、軍人に肩を抱えられ、その場から引き離されそうになってはじめて我に返った。

亜美(兄ちゃんは!?)

全身の血が一気に冷たくなったように感じた。亜美は軍人の手を振り払い、よろよろと駆け出す。

亜美「兄ちゃん…兄ちゃん…!?兄ちゃんは!?」

亜美は積み重なった土砂の向こうに、力なく投げ出された手を見つけて声を上げる。

亜美「兄ちゃん!」

プロデューサーの姿を求めて駆け寄った亜美は、そこで凝然と立ちつくす。
プロデューサーの体に続くはずの腕は途中で断ち切られ、それだけだ。
ついさっきまで自分に触れ、話し、動いていた者が、一瞬にして物言わぬ塊と化していた。亜美は痺れたように小さな手のかたわらに座り込む。
まるで自分に向けて差し伸べられたような手に、彼は震えながら手を伸ばしかける。そこで、自分がまだ綺麗な箱をかたく握りしめていたことに気づいた。開けるとそこには、『亜美、愛してるよ』という紙と一緒に指輪が入っていた。喉元になにかがこみあげる。悲しみ、恨み、憤り。そんな言葉では言い尽くせないほどの激情。それは彼女のちっぽけな体を内側から食い破りそうに大きかった。彼は天を仰いで獣のように吠えた。
上空を飛び交う死の天使たちが、その瞳に焼きつけられる。圧倒的な力を前に、十二歳の亜美はあまりに無力だった。

律子「いい加減私の機体をいいものに変えてください!このままじゃ私落ちます」

マードック「そうは言われてもなぁ」

伊織「あら、ならいい方法があるわ」

律子「なに?言ってみなさいよ」

伊織「あんた艦橋につけばいいじゃない」

真「そうだね!ぼくが乗りますよ!それ」

律子「え?でも…」

伊織「指揮官目指してるんでしょ?だったらラミアス艦長のところで学べばいいじゃない」

律子「…分かったわ」

伊織「にひひっ!じゃあ決まりね」

真「この機体、何色にしようかな」

雪歩「黒にしますぅ」

真「え…でも、もっとフリフリな…って…」

真「ゆきほぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

伊織「穴を掘ってたらいつの間にかに宇宙って…信じられるわけないじゃない!」

真「まぁまぁ、伊織落ち着いて…で雪歩はどんな機体に乗ってきたの?」

雪歩「あんまり自慢できるような機体じゃないけど、たくさん助けてもらったいいきたいだよ」

伊織「で?そのご自慢の機体は?」

雪歩「これですぅ」

そこにそびえ立った機体はキラの乗っていた機体に色がよく似ていて背中に『ファイター』を背負ったアンテナの中心にガンダムのマークが記されている機体だった。雪歩が言うには、OOライザーと言っていた。そして、伊織の持っている『擬似太陽炉』と同じものをOOライザーの前に置いてあった。

雪歩「この擬似GNドライヴを使ってもっといい機体をつくってもらえないでしょうか?」

マードック「難しいけど頑張るか…オーブの技術者も揃っているし、OSはキラに頼むよ」

真「ありがとうございます!」

雪歩による対話の実現か・・・とりあえず量子化はチートすぎると思います
ライザーソードも大概だが

パトリック「…アスラン」

アスラン「…父上」

パトリック「どういうことだ?何があった!”ジャスティス”は!?…”フリーダム”はどうした!?」

アスラン「父上は、この戦争のこと…本当はどうお考えなのですか?」

パトリック「なんだと?」

アスラン「俺たちはいったいいつまで、戦い続けなければならないですか?」

パトリック「ナチュラルどもがすべて滅びれば、戦争は終わる!」

アスラン「本気でおっしゃってるんですか…?ナチュラルをすべて滅ぼすと…?」

パトリック「我らはそのために戦っているのだぞ!それすら忘れたかっ、おまえは!?」

パトリック「見損なったぞ、アスラン!」

アスラン「…俺もです」

アスラン(逃げるチャンスは…ここだ!)

アスラン「トゥ!」

ダコスタ「おいっ、止まれ!ああっ!なんだってんだ、もうっ」

アスラン「!?」

ダコスタ「こっちへ」

アスラン「なぜ、俺を?…いや、今はいい」

ダコスタ「そうですか。背中をこっちに向けてください。手錠を撃ちます」

アスラン「…」

ダコスタ「無茶な人ですね、あなたも!死ぬ気ですか?」

アスラン「すまない。…知らなかったんで」

ダコスタ「そりゃそうでしょうけどねっ!」

男「ダコスタ、はやく!」

ダコスタ「さ、行きますよ!」

アンドリュー「あー…本艦ははこれより最終準備に入る」

ザフト兵「ど、どういうことだ?」

アンドリュー「ただ、降りてくれればいいんだよ」

ラクス「お待たせいたしました」

アンドリュー「いえいえ、ご無事で何より。では…行きましょうか?」

ラクス「はい」

千早「ふぅ…春香は地球に置いてきて正解ね」

ラクス「春香は戦争、戦闘、喧嘩の類はお嫌いですものね」

千早「はい…だから、って訳じゃないけど。この艦は私が守ります。私の”青い鳥”で」

ラクス「こちらも頼もしく思っておりますわ」

アスラン「ラクス?」

ラクス「アスラン、大丈夫ですか?」

アンドリュー「いよう、初めまして。そしてようこそ、歌姫の艦へ。アンドリュー・バルトフェルドだ」

ダコスタ「前方にモビルスーツ部隊!数およそ五○!」

アンドリュー「ヤキンの部隊か…。ま、出てくるだろうがな…」

アスラン「この艦にモビルスーツは!?」

アンドリュー「君には光の向こう側には何があると思う?」

アスラン「え…?」

そこには青と白の色で着色された”フリーダム”によく似た機体があった。ただ、攻撃はいっさい格闘のみで、ビームサーベルはあるはずなのに使わない。

アスラン「あの…機体は?」

ラクス「あの機体は”RX-93-ν2”…千早は、νガンダムって言ってましたわ」

アスラン「乳ゲフンゲフン…νガン…ダム…?」

ラクス「全チャンネルで、通信回路を開いてください」

ラクス「ゲフンゲフンあばばばテストマイクテスト」

ダコスタ「はいってますよー」

ラクス「失礼。わたくしは、ラクス・クラインです。願う未来の違いから、わたくしたちはザラ議長と敵対する者となってしまいました。ですが、わたくしはあなた方との戦闘を望みません…」

アンドリュー「ま、難しいよな、いきなりそう言われたってよ」

ダコスタ「迎撃開始!」

ラクス「コックピットは避けてくださいね」

千早〈出来る限りやってみるわ〉

千早の飛ばした”フィン・ファンネル”が敵のカメラ、脚部、腕を射抜く。そして、”ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャー”のビームが宇宙空間を駆け抜け、その先にいくつかの光芒を散らす。

ダコスタ「ブルーアルファ五およびチャーリー十一より、”ジン”六!」

アンドリュー「来るぞ!対空っ!」

クルー「ブルーデルタ一二になおも”ジン”、四!」

クルー「ミサイル来ます!」

ダコスタ「迎撃、追いつきません!」

クルー「ミサイル、当たります!」

アンドリュー「衝撃にそなえろ!」

モニター上の光点が艦を中心に収束する。被弾の衝撃に対して身構えたクルーたちは、次の瞬間、闇を貫く光条を見た。どこかから放たれたビームが、艦に迫っていたミサイル数基を捉え、それらは船体の直前で撃ち落とされる。そして間をおかず、別の機体がある一点から数条の光を迸り、”エターナル”に迫っていた”ジン”の機体を次々と戦闘不能にしていった。衝撃に揺れる艦内で、みなの目が驚きに見開かれる。

キラ<こちら”フリーダム”、キラ・ヤマト>

ラクス「キラ!…とそちらの方はどなたですの?」

キラ<ラクス!?>

雪歩<は、はいぃ。萩原雪歩ですぅ>

アンドリュー<よお、少年少女!助かったぜ>

キラ<バルトフェルド…さん…!?>

夜書きます

誰も見てないかもだけど頑張ります

PC直ったけど書き溜め消えてたけど完結まで走るみんなありがとう

その後、キラの”フリーダム”と雪歩の”OOライザー”に援護され、
”エターナル”は無事に”ヤキン・ドゥーエ”を抜けることができた。
そして、航跡をいったんカムフラージュしたあと、”アークエンジェル”、”クサナギ”同様、行き先をL4へ定める。

一方そのころ

ナタル「対応が遅すぎる!これでは初陣でで沈められるぞ!わかっているのか!?」

貴音「気を荒立てては勝てるものも勝てませんよ。艦長」

ナタル「ふぅ…そうだな、すまん。」

貴音「いえ」

ナタル「お前だけだ頼りになるのは」

貴音「皆、頑張っておられます。響もわたくしも…艦長だってその一人では?」

ナタル「ほんとうにおまえには頭があがらんな…」

将校「すまんな、バジルール少佐、気合の入っているところ」

ナタル「いえ」

将校「紹介する。こちらは国防産業連合理事の、ムルタ・アズラエル氏だ。
きみもお名前くらいは聞いているだろう?」

ナタル「あ、はあ…(知らなかったなんて言えない)」

将校「なんやかんやで配属された」

ナタル「おk把握」

アズにゃん「ヨロシク、艦長サン」

アズにゃん「しかし…ボクらの乗る艦の艦長サンやパイロットが、
こんなに若くて美人の方たちだってのは…イキな計らい…ってヤツですか?」

将校「ご心配なく。彼女たちは優秀ですよ。
パイロットはあの『砂漠の虎』を倒し、艦長のほうは代々続く軍人家計の出でね…」

ナタル「いえ、それは…」

将校「それに、ここに配属になる前までは、あの”アークエンジェル”の副長の任に就いていた」

アズにゃん「おや!じゃ、勝手知ったる…ってヤツですネ?」

貴音「…」

アズにゃん「期待しますよォ。ボクらこれから、その”アークエンジェル”を討ちに行くんですから」

ナタル「!?」

やよい「つかれて…るんですね…?」

クルーゼ「君とて同じなのだろう…?」

やよい「はい…もう、戦争はしたくありません」

クルーゼ「だが、私は無理だ。『軍人なのだから』と言われしまえばそれまでだが…我らとて、
なにもはじめから軍人だったわけではない」

やよい「早く終わらせたいと思うのだがね…こんなことは。きみもそうおもうだろう?」

クルーゼ「そのための、最後の鍵は手にしたが…」

やよい「?」

クルーゼ「ここにあったのでは、まだ扉は開かんな…」

クルーゼ「早く開けてやりたいものだがね…」

やよい(私のCDをくるくるしてなにしてんだろ?)

×やよい「早く終わらせたいと思うのだがね…こんなことは。きみもそうおもうだろう?」

○クルーゼ「早く終わらせたいと思うのだがね…こんなことは。きみもそうおもうだろう?」

律子「接近する大型の熱量感知!」

律子「…戦艦クラスのものと思われます…!」

トノムラ「距離七○○、オレンジ十一、マーク一八アルファ!ライブラリ照合…ありません!」

マリュー「総員、第一戦闘配備!」

マリュー「”アークエンジェル”発進!港の外へ出る!」

アンドリュー<”エターナル”は、まだ最終調整が完了していない>

マリュー「敵がザフトか連合かわかれば、その狙いもわかります」

アンドリュー<わかった、すまん!>

マリュー「”イーゲンシュテルン”、”バリアント”起動。
デブリに気をつけて」

アンドリュー「わかってます!」

ナタル<こちらは、地球連合軍宇宙戦艦”ドミニオン”。”アークエンジェル”聞こえるか!?>

ナタル<本艦は反乱艦である貴艦に対し、即時の無条件降伏を要求する!>

マリュー「ナタル…」

マリュー「降伏することはありません!」

ナタル<ラミアス艦長…>

律子「”ドミニオン”より、モビルスーツ発進しました!」

マリュー「765さん・・・ムウ!」

伊織<了解!出撃します!>

ミリアリア「”スローネドライ”発進、どうぞ!」

伊織<美希、遅れるんじゃないわよ!>

美希<でこちゃんに言われなくてもわかってるの!>

真<これが僕の新しい機体…”スサノオ”か…可愛くはないけど。これ戦争だしな>

雪歩<真ちゃんかっこいいよ!>

”百式”が狙った”フォビドゥン”を”スサノオ”が抑え、”スローネドライ”が
”レイダー”を。そして、”OOライザー”が”カラミティ”と戦っている。”レイダー”が
放った破砕球を”GNシールドポッド”で狙い落すことができず、”スローネドライ”は
かろうじてシールドでそれを防いだ。と見せて、はじき返された鉄球は、横手で戦っていた
”カラミティ”に向かい、その機体を打った。
一方”Wゼロカスタム”は”ドミニオン”から放出された謎の機体と交戦していた。

ナタル「”バリアント”、”ゴットフリート”、照準敵モビルスーツ、てェーっ!」

”スローネドライ”は驚くべき運動性能でそれをよけ、シールドで防ぐ。
が、呼び戻された”レイダー”がその隙を狙って”ミョルニル”を投げつける。
すばやく後退し、その一撃はかろうじて避けた”スローネドライ”だが、背後から
”カラミティ”の砲撃を受けて大きく機体のバランスを崩す。
なおも”レイダー”がその機体を翻弄し、”ドミニオン”の主砲、
また”カラミティ”までも背中の砲を斉射してそれを狙う。
”スローネドライ”は目まぐるしく機体を捌いてそれをかわした。

ナタル「”スレッジハマー”照準、敵モビルスーツ!」

ミサイルが放たれ、赤い機体に迫る。しかし、後退しつつミサイルを全弾撃ち落とした。
そのとき、”スローネドライ”の背後から”ミョルニル”を叩きつける。
”カラミティ”も巨大な砲を撃ち、さらに胸の”スキュラ”をも放ちはじめた。
”レイダー”がモビルアーマー形態に変形し、その恐るべき鉤爪で襲いかかる。
とっさに”スローネドライ”がシールドをつきだすと、”レイダー”はそれをつかみ、
短射程プラズマ砲を”アフラマズダ”を撃った。
ゼロ距離射撃で放たれたその一射にシールドが耐えきれず溶けだした。

真「伊織…!」

”フォビドゥン”を相手にしていた真が、友の危機に気づいて声を上げた。

真(このままじゃ!)

真「くそォッ!」

真は厄介な敵機の曲がるビームを避けつつ、”ビームチャクラム”を放った。”フォビドゥン”は例のビームを偏向する機能を有するが、さすがにゼロ距離で発されたビームには対処しきれないらしく、”ビームチャクラム”は展開したシールドを切り裂き、防御態勢を崩させる。真はその隙を見逃さず、一気に迫って強化サーベルで大鎌を柄の部分から切り離した。そして相手のダメージを確認するより早く、その場を離脱する。
”レイダー”の攻撃に体勢を崩した”スローネドライ”を、”カラミティ”の五八○ミリ複列位相エネルギー砲”スキュラ”が狙っている。
真は矢のように”スサノオ”を駆り、”スローネドライ”の前に飛び出した。同時に放たれた強烈なビームを、真っ向から強化サーベルをクロスさせる形で受け止める。

真「うおぉぉっ!」

彼女は叫びながら、下がるのではなくビームを放つ敵機に向かって突進した。機体がアラートを鳴らすがかまわず”カラミティ”の懐まで飛び込み、砲口に強化サーベルを押しつける。凄まじい閃光が走り、二機は衝撃にはじき飛ばされた。

伊織<真!>

真「大丈夫だよ…痛ッ」

伊織<大丈夫じゃないじゃない!ここは雪歩たちに任せて退くわよ!>

真<ちぇっ>

>>219
俺的にはトールがゼロシステムでイカれないかが心配です。
対話はしない。
亜美の伏線はちゃんとそのうち別のスレ立てて回収します。
だいたい22:00に寝て6:00起きるから朝の8:00頃か夜の21:00に見ればスムーズかもしれない。
今日は寝る。

キサカ「推力最大!”ドミニオン”を追う!」

前方の宙域では、”アークエンジェル”と”ドミニオン”が両者激しく撃ちあっていた。意外にも”OOライザー”と”百式”のすばらしい連携によって、三機の”G”をひきつけている。一方M1隊はそこそこの実績をみせ、トールは謎の機体におされていた。

オペレーター「間もなく射程距離に入ります!」

カガリ「”ゴットフリート”一番二番、照準、”ドミニオン”!」

ナタル「一時撤退する!信号弾!」

アズにゃん「ええー?」

ナタル「状況はすでに、こちらに不利です」

アズにゃん「せっかくココまで追いつめたのに!?」

ナタル「四条以外のあの三機のパワーもそろそろ危険です」

アズにゃん「そォ言うからには、今退けば次は勝てるんでしょうネ?」

貴音<わたくしは探し物があるためしばらくもどりません。お許しを>

ナタル「ちょっ…!?どういうことだ!?」

アズにゃん「落ち着いてください。艦長サン…。彼女については、こちらも手出しができないように言われてるんですヨ」

ナタル「はあ…。四条!…できるだけ早く帰ってくるんだぞ!」

貴音<はい>

”カラミティ”が背中の”シュラーク”を放ち、”OOライザー”と”百式”は散開してそれを避ける。そこへ”レイダー”が右手の二連装五二ミリ超高初速防盾砲を撃ちかけるが、突然横手から来たビームにその攻撃を妨げられた。美希はハッとそちらを見やり、さっき”スサノオ”に損傷を与えられた”フォビドゥン”がやみくもにビームを放ちながら突っ込んでくるのに気づき、後退する。
例の曲がるビーム砲”フレスベルグ”が立て続けに火を噴き、”OOライザー”、”百式”を狙う。それのみかその火線は僚機である”カラミティ”や”レイダー”さえかすめていた。

美希<めちゃくちゃなの、あふぅ…>

そのとき
交錯する機体をあかあかと照らし出した光に、雪歩は驚いて見やる。”ドミニオン”が信号弾を打ち上げたのだ。

伊織「え?ムウさんが帰ってこないですって?」

マリュー<そうなのディアッカさんは施設内に入ったって言ってたけれど、その彼もザフトと交戦中らしいわ>

伊織「仕方ないわね。雪歩!行くわよ!」

雪歩<はいぃ。探しに行ってきますぅ>

美希<美希も行くのー>

伊織「あんたはダメに決まってるでしょ!”ドミニオン”はまだ完全に引き上げたとは考えられないんだから。…千早と二人で守ってて…って千早は?」

ラクス<春香を守りに地球へ降りましたよ>

伊織「はあ…あてにしてたのに。まあいいわ。真はまだダメだろうからアスランと美希ここを守ってね」

美希<了解なのー>

律子<気をつけるのよ>

敵の機体がビームライフルで”Wゼロカスタム”を狙う。

トール「くそッ…!」

トールはそれをかわし、ツインバスターライフルを放つ。敵は急激な方向転換で砲撃をそらし、逆にこちらに向かってきた。左手シールド部にマウントされたヒートロットがONになり、一本のムチがきらめき、打ちかかってくる。トールは機体を回り込ませ、次の瞬間、両者は激突する。

貴音<ふ…とーるに討たれるなら、それもまた…とも思ったのですが!>

トール「貴音さん!?」

貴音<だが、どうやらあなたはその器ではないようです>

トール「何を言ってるんだ!?」

貴音<しょせん、別次元の人間…ってとこでしょうか?>

彼は両腰から”アーマーシュナイダー”を射出し両手に構える。
が、それを見てとって敵は右肩アタッチメントに懸架される大型ビーム砲を噴射した。

トール「っ!?」

放たれたのは強力なビームだ。それを見てとったときには、すでにそれがビームを発して”Wゼロカスタム”の右腕を削ぎ、同時にサーベルがコックピットを襲っていた。正面はかろうじて避けたものの、それは”Wゼロカスタム”の腹部をえぐってコックピットに達し、飛び散った破片がトールの脇腹を裂く。

トール「くっ…!」

機体を立て直すことができず、”Wゼロカスタム”は地表に激突した。

貴音「やはり運命は、わたくしに味方を…」

伊織<トールっ!>

貴音「伊織!?」

貴音が声を上げ、そちらに向きなおろうとするが、その間にもみるみる白い機体と赤い機体が迫り、手にしたライフルからビームが放たれる。敵機の頭部が宙を舞い、それより早く飛びくる”OOライザー”がビームサーベルを抜き放ち、すれ違いざまにその両足を薙いだ。貴音の機体は一瞬のうちに大破し、コロニーの赤茶けた地平に転がる。

トール<貴音さんやめにしませんか?>

貴音「無駄です…あなたにも未来がみえてるでしょう?」

トール<わかってます…あなたが死ななきゃ響さんが。響さんが死ななきゃあなたが。どちらかしかないのは…>

貴音「ならば行かせてください。あなたも長くない…」

トール<そうですね…だけどあなたがあなたの世界の765をここでは取り戻せない>

貴音「けれども、最後の扉は開く!愚かなプロデューサーを鍵にして…!」

伊織<そんなことさせないわ!>

雪歩<四条さんがなにを言ってるのか分からないけれど…今は戦争を終わらせるのが私たち765プロの仕事だから!>

貴音「ならばなぜ…!」

伊織<だから765全員に思い出の光を見せないといけないんでしょう?>

貴音「…でも、もう誰にも止められはしません!」

美希「デコちゃんたち遅すぎるの!”百式”、でるの!」

律子<認めません。美希は指示があるまで待機>

美希「だけど、みんな戻ってこないっていうのはっ…」

律子<ならなおさら。これ以上、うかつに戦力は避けなわ>

クルー<”ドミニオン”来ます!距離五○、グリーンブラボー!>

美希「真くんは艦で休んでて!」

真<ちぇー>

出港した”アークエンジェル”が、射程距離まで接近した”ドミニオン”に向けて主砲を、そしてミサイルを放った。”ドミニオン”も同様に撃ち返し、”アークエンジェル”に続いた”エターナル”、”クサナギ”も砲撃を開始する。
美希もまた、カラミティ”の撃ってきたビームをかわし、三機との戦闘に突入した。

マリュー「デブリを盾に回り込んで…!」

マリュー「ナスカ級は!?」

サイ「依然、動きありません!」

律子「艦長!”OOライザー”です!」

伊織<トールが負傷してるわ!>

ミリアリア「えっ!?」

真<伊織、僕が>

伊織<あんたも怪我してるでしょうが!>

ラウ「”ヴェサリウス”発進する!モビルスーツ隊出撃用意!”ホイジンガー”と”ヘルダーリン”にも打電しろ!」

アデス<しかし隊長>

ラウ「私も出る。”シグー”を用意させろ!すぐブリッジに上がる!」

ラウ「さて…君たちにも手伝ってもらおう…」

やよい「う?」

フレイ(やっとの登場シーンget」

ラウ「(声に出てる…)最後の賭だ。扉が開くかどうかのね…」

ラウ「わたしも疲れた…。だから届けておくれ、最後の扉の鍵を…」

フレイ「え・・・?(聞いてなかった)」

ラウ「それが地球軍の手に渡れば、戦争は終わる…」

やよい「くるーぜさんとのお別れはさみしいですー」

ラウ「わたしもだ。…だから最後にあれをやってくれないか?」

フレイ「?」

やよい「じゃあいきますよーうっうー」

やよい「はいっ!」

ラウ「ターッチ!」

やよいラウ「「いぇい!!」」

フレイ「」

”百式”が三機の”G”を相手に苦戦中のところへ、雪歩が急ぎ駆けつけた。

雪歩「美希ちゃん!」

美希<雪歩っ!>

”OOライザー”がGNマイクロミサイルを撃ちかけると、”百式”を狙っていた”カラミティ”が寸前でそれに気が付いて飛びすさった。
雪歩はビームサーベルを抜き放ち矢継ぎ早に発射されるビームをかわしながら”カラミティ”に迫る。”レイダー”が凄まじい速度飛び来たり、頭部のビーム砲で”百式”を狙う。”フォビドゥン”が撃ったビームが弧を描く。二機に挟まれた”百式”を援護するために”スローネドライ”が長射程狙撃ビームライフルを放つ。

サイ<ナスカ級です!距離八○、ブルーデルタ!>

ザフト艦<地球連合軍アークエンジェル級に告げる>

ザフト<戦闘を開始する前に、本艦において拘留中の捕虜を返還したい…>

律子<モビルスーツ来ます!熱紋照合…”ジン”十二、”デュエル”、”シグー”!マーク一八デルタ!>

マリュー<くっ…!>

アンドリュー<”エターナル”と”クサナギ”で迎撃する!”アークエンジェル”は”ドミニオン”を>

マリュー<分かりました>

アズにゃん「ホントに、乗ってんの捕虜なんですかねェ?」

フレイ<フ…フレイですっ!フレイ・アルスター!>

アズにゃん「捕虜って、この子がですか?」

ナタル「”カラミティ”オルガ・ナブサック少尉!ポッドを回収しろ!」

やよい<鍵のことは言わないんですかー?>

フレイ<そうだった…ウオッホン!か…鍵を…!鍵を持ってるわ、私!>

フレイ<戦争を終わらせるための鍵…!>

アズにゃん「へェ…面白いコトを言いますネェ、彼女…」

やよい「うっうー!」

伊織「や…よい…?」

あまりのことに彼女は状況を忘れ、”スローネドライ”は数秒間、無防備になる。敵はその隙を見逃さなかった。
その背後に接近していた”レイダー”が、”ツォーン”を放ったのだ。ビームはまともに”スローネドライ”の背面に当たり、左翼が吹き飛んだ。

美希<デコちゃん!>

伊織「やよい!」

伊織は残ったバーニアスラスターを吹かし、懸命にポッドを追う。

美希<デコちゃんっ!やめるの!>

”フォビドゥン”がビームを放ち、それは”スローネドライ”の頭部をかすめ、装甲を溶かす。ほぼ同時に”レイダー”が繰り出した破砕球が、脆くなったその頭部を吹き飛ばした。
コックピットが激しい衝撃に揺さぶられ、全周囲モニターが一瞬ダウンする。それでもなお伊織は追跡をやめようとしない。補助カメラに切り替わったモニター画面に、遠ざかっていく”カラミティ”の姿が見える。

伊織「やよい…やよいっ…」

伊織「や…よい…?」

あまりのことに彼女は状況を忘れ、”スローネドライ”は数秒間、無防備になる。敵はその隙を見逃さなかった。
その背後に接近していた”レイダー”が、”ツォーン”を放ったのだ。ビームはまともに”スローネドライ”の背面に当たり、左翼が吹き飛んだ。

美希<デコちゃん!>

伊織「やよい!」

伊織は残ったバーニアスラスターを吹かし、懸命にポッドを追う。

美希<デコちゃんっ!やめるの!>

”フォビドゥン”がビームを放ち、それは”スローネドライ”の頭部をかすめ、装甲を溶かす。ほぼ同時に”レイダー”が繰り出した破砕球が、脆くなったその頭部を吹き飛ばした。
コックピットが激しい衝撃に揺さぶられ、全周囲モニターが一瞬ダウンする。それでもなお伊織は追跡をやめようとしない。補助カメラに切り替わったモニター画面に、遠ざかっていく”カラミティ”の姿が見える。

伊織「やよい…やよいっ…」

”アークエンジェル”から信号弾が打ち上げられた。撤退命令だ。だが伊織はそれを見てもいないようだった。美希はなおもポッドのあとを追おうとしている”スローネドライ”に、”レイダー”が接近するのに気づく。危ういところでその間に入り込み、シールドを掲げてビームを防ぐ。

美希「下がるの!伊織!」

時間を稼ごうとビームライフルを放ちながら、彼女は叱るように声をかけた。”レイダー”はその攻撃をかわしたが、二発目に飛んできたビームに反応しきれず右足を溶かされた。

美希「その状態で、一人で敵艦に突っ込む気なの!?」

上方から”フォビドゥン”が襲いかかってくる。美希はとにかく、損傷の目立つ”スローネドライ”の腕をつかんでその攻撃を回避する。するとすかさず”OOライザー”が牽制のGNマイクロミサイルを放ち、その間に二機は離脱した。”OOライザー”もすぐあとについてくる。

伊織<私が傷つけた…!私が守ってあげなくちゃならない人なのに…っ!>

美希「デコちゃん…」

アンドリュー<突破するぞ!ラミアス艦長!>

律子「彼女は”ドミニオン”が保護した。真…」

”アークエンジェル”は先行する”エターナル”、”クサナギ”に続き、ザフト艦の隊列に突っ込んで行く。”エターナル”、”クサナギ”は浴びせかけられる砲撃をものともせず、全ての砲門を開き、それらの火線を中央の”ヴェサリウス”に集中させていた。”エターナル”の主砲が、”クサナギ”の”ゴットフリート”が”ヴェサリウス”を中心とする宙域を薙いでいく。敵旗艦の船体をいくつもの光条が貫き、やがて”ヴェサリウス”は隊列から脱落して行った。
すかさず”エターナル”、”クサナギ”がぽっかり空いた隙間を最大戦速で駆け抜け、”アークエンジェル”も続く。

アズにゃん「へェ、キミが?」

やよい「はい!」

フレイ(私の出番…)

アズにゃん「で?『鍵』って72?ホントに持ってるの?」

やよい「これですー」

アズにゃん「フーン、なんだかホントっぽいじゃない?誰がくれたの?」

フレイ「!…コホコホ…ク…クルーゼって隊長…仮面をつけた」

アズにゃん「…ふん、ナルホド」

フレイ「っ…バジルール中尉!?」

ナタル「久しぶりだな、フレイ・アルスター。…大丈夫か?」

やよい「うっうーポッドの中はぐらぐらして楽しかったですー」

真「伊織…」

美希「デコちゃん…」

雪歩「伊織ちゃん」

律子「…」

伊織「みんな…ごめんなさい…」

律子「伊織…」

伊織「だいじょうぶ…」

伊織「わたし…もう、泣かないって…って、きめたから…」

雪歩「…わたしは泣き虫でちんちくりんだけど…泣いていいとおもうよ…」

真「そうだよ!泣けるんなら泣いた方がいい!」

律子「ここ最近は、伊織には悲しいことが多すぎるわ」

美希「でも…いまここにあるでこちゃんが、すべてなの!」

伊織「あんたたち…ありがとう…!」

しばらくして月にて…

アズにゃん「おォ、さすがに早い早い」

アズにゃん「あっという間だネェ。核を撃たれちゃ。ザフト自慢の要塞もサ?」

貴音「あずらえる理事は…」

アズにゃん「ン?」

貴音「…いくら敵軍に対してでも。核を撃つことを、なんとも思われないのですか?」

アズにゃん「そりゃ、軍人サンの口から出るとは思えないセリフだネェ…」

アズにゃん「勝ち目のない戦いに、『死んでこい』って自分の部下を送り出すヒトたちより、ボクの方がよっぽどやさしいと思うケド?」

貴音「…」

アズにゃん「サ、次はいよいよ本国だ」

アズにゃん「これでやっと終わるヨ。この戦争もサ…」

パトリック「おのれ!ナチュラルども…!」

エザリア「議長閣下…!」

パトリック「ただちに防衛戦を張れ!残存部隊は”ヤキン・ドゥーエ”に集結させろ」

エザリア「あ…ハッ!」

パトリック「クルーゼ!」

ラウ「は!」

パトリック「”ヤキン・ドゥーエ”へ上がる!」

パトリック「”ジェネシス”を使うぞ」

伊織「多分、月はもうダメでしょうね」

マリュー「だとすると、次は…?」

律子「”プラント”…じゃ、ないかしら?」

アンドリュー<そうだな。奴らは月に向かってる…核を打つはずだ>

ラクス<核を撃たせるわけにはいきませんわ>

真「そういえば僕の機体は核潰すにも近距離専用の機体だからなぁ」

雪歩「じゃあ、核に近ずくあの三機をやればいいんじゃないかな?」

律子「真はそれでいいわね?」

真「何もしないよりいいよ」

ラクス「を…たとえひとつでも、”プラント”に落としてはなりません」

ラクス<「撃たれるいわれなき人々の上に、その光の刃が突き刺されば、それはまた、果てしない涙と憎しみを呼ぶでしょう…」

ラクス「わたくしたちは…間に合わなかったのかもしれません」

ラクス「平和を叫びながら、その手に銃を取る…それもまた、悪しき選択なのかもしれません」

ラクス「でもどうか、今」

ラクス「…この果てのない争いの連鎖を断ち切る力を…!」

イザーク「くそッ、あれは!?…核か!?」

イザーク「あのミサイルを落とせッ!”プラント”をやらせるなァァッ!」

先頭の”メビウス”が、ミサイルを発射した。

イザーク「ああッ…!」

イザークは悲痛な叫びを上げる。”メビウス”から次々とミサイルが放たれ、”プラント”へ
彼の故国へ、まっすぐ向かっている。その進行を妨げるものはもはや存在しない。今にも先頭の一発が、整然並ぶ宇宙の砂時計に達しようというとき
イザークの背後から、数条のビームと何十発ものミサイルが放たれた。それらは彼を追い越して、まるで豪雨のように”プラント”へ向かう核ミサイルへ襲いかかる。”プラント”の手前でミサイルは目も眩む閃光を発して爆発した。

イザーク「アスラン!?それに…」

ラクス<地球軍はただちに攻撃を中止してください。あなたがたは何を撃とうとしているのか、本当におわかりですか?」

イザーク「『前軍射線上から退避』…?」

イザーク「”ジェネシス”…!?」

イザーク「下がれ!クライン派のモビルスーツ!」

イザーク「下がるんだ!”ジェネシス”が撃たれるっ…!」

サイ「ザフト軍、撤退していきます」

トノムラ「”ヤキン・ドゥーエ”後方に巨大な物体!」

律子「なに…あれは?あんな巨大な構造物に、なぜ今まで気づかなかったの…?」

イザークの言葉にわけもわからず後退したクライン派は、さっきまで自分たちがいた空間を駆け抜けていった、あまりにも巨大なエネルギーに愕然として目を見開く。太い光条は、地球軍の主力が展開していた宙域を貫き、そこにあったモビルスーツ、艦艇、また宇宙空間を漂っていたデブリに至るまで、すべての物質を一瞬にして焼き払った。
光が去ったあと残されたのは、無残に焼きつくされた戦艦の、モビルスーツの、融けて熱を持った無数の破片と、直撃は免れたものの、船行もおぼつかない多くの船体、そして完全に戦意を喪失した兵士たちだった。

伊織「こ…んな…っ!」

真「え…あ…」

雪歩「…え?」

皆は声を震わせ、歯を食いしばる。なぜ?…という思いばかりが体の中で渦巻き、胸を突き破って溢れ出すかに思えた。
伊織は叫びだしたいほどの憤りをこらえ、ただ体を震わせていた。

ラウ「さすがですな、ザラ議長閣下」

パトリック「何をしている、エザリア?この機にヤツらを叩きのめすのだ」

エザリア<…ハッ>

パトリック「戦争は、勝って終わらねば意味がなかろう」

ラウ「たしかに」

”ジン”が、”シグー”が、もはや目の前の惨状に怯えきり、戦意を失った”ダガー”隊に襲いかかった。

真「やめろっ!戦闘する意志のないものをっ!」

真は思わず次々と連合軍のモビルスーツを撃破していくザフトの機体に向かった。”OOライザー”もそれに続く。
狩る者と駆られる者が逆転し、被害者は加害者にすり替わる。帰る艦を失ったモビルスーツ、モビルアーマーは混乱してやみくもに逃げまどい、月艦隊は転針し、撤退していくが、船体を大きく破損したものも多い。思ったように加速できないそれらの艦にも、ザフトのモビルスーツ隊は襲いかかった。

雪歩「やめてえっ!」

雪歩たちは叫び、掃討を続ける”ジン”や”ゲイツ”の頭部カメラを、武装を狙い撃ちする。”OOライザー”や”スローネドライ”も複数の敵の戦闘能力を奪う。だが全体から見ればそんな行為に何の意味もない。こうしている間にも傷ついた戦艦はザフト艦のビーム砲を受けて爆散し、”ダガー!”隊は帰還する艦を見つけられず討たれていく。彼ら全てを救うことなど、みんなにできるわけはないのだ。

マリュー<765組戻って!>

皆は後ろ髪を引かれる思いで宙域をあとにした。

エリカ<発射されたのはγ線です>

エリカ<線源には核爆発を用い、発生したエネルギーを直接コヒーレント化したもので、つまりあれは巨大なγ線レーザー砲なんです>

エリカ<地球に向けられれば…強烈なエネルギー輻射は地表全土を焼き払い、あらゆる生物を一掃してしまうでしょう>

律子「…撃ってくると、思いますか…地球を?」

アンドリュー「強力な遠距離大量破壊兵器保持の、本来の目的は、抑止だろ?」

真「でももう、撃たれちゃったんだよね…核も、アレも…」

伊織「どっちももうためらわないわね…」

アンドリュー「戦場で…はじめて人を撃ったとき、俺は震えたよ…」

みんな「…」

アンドリュー「だが、『すぐ慣れる』と言われて…たしかにすぐ慣れた…」

雪歩「じゃ、じゃあ…アレのボタンも、核のボタンも、同じ…ってことですか?」

アンドリュー「違うか?」

雪歩「…ッ!」

アンドリュー「…人はすぐに慣れるんだ。戦い…殺し合いにも」

ラクス「兵器が争いを生むのでしょうか…?それとも人の心が…?」

美希「ミキ難しいこと分からないけど、ミサイルも、あの光も、ぜったいにお互いを撃たせちゃダメだって思うな」

伊織「そうなってからじゃ、すべてが遅い…」

律子<地球軍艦隊、進撃を開始します!>

アンドリュー「全艦発進準備」

律子「伊織…」

伊織「?」

律子「みんなも…」

律子「帰ってくるのよ」

律子「ここへ…」

伊織「あったりまえじゃない…私を誰だと思ってんのよ?でも…律子も気をつけなさいよ」

律子「伊織…」

真「じゃああれやりましょうよ!」

雪歩「はい!」

美希「デコちゃんお願いなのー」

伊織「みんな…うん!」

伊織「765プロ…ファイトー」

みんな「オー」

モビルスーツ隊に発進命令が出た。”OOライザー”が、”Wゼロカスタム”が、”スサノオ”が、各艦から次々と発進していく。

美希<星井美希、”百式”でるの!>

伊織(きっとこの戦いが最後になるわね…)

伊織「水瀬伊織、”スローネドライ”行くわ!」

兵「照準ミラーブロック換装、間もなく終了します!」

パトリック「目標点入力…月面、プトレマイオス・クレーター、地球軍基地!…奴らの増援艦隊の位置は?」

兵「グリーンアルファ五マーク二であります!」

パトリック「我らの勝ちだな、ナチュラルども…」

兵2「第七宙域、突破されます!」

パトリック「あとわずかだ!持ちこたえさせろ!」

ラウ「では、私も出ましょう」

パトリック「クルーゼ、これ以上の失態、許さんぞ。ヤツらに”プラント”を撃たせるな!」

ラウ「了解しました…では」

ナタル「”ゴットフリート”てーっ!」

”ドミノオン”の周囲では、一進一退の攻防が続けられていた。だが、少しも近づいたようには思えない。
そのとき、”ジェネシス”の内部カートリッジが不気味な光を帯びはじめる。
次の瞬間、あの強烈な光の渦が”ジェネシス”から放たれ、闇を貫いて後方へと延びる。

ナタル「あれは!」

兵「支援隊より入電!『さきの攻撃により、我、艦隊の半数を喪失』…!」

アズにゃん「なにッ…!」

ナタル(負けた…)

サザーランド<アズラエルさま>

アズラエル「核攻撃隊を出せ!目標は”プラント”群だ!」

響「え…」

アズラエル「あの忌々しい砂時計、一基残らず叩き落とすんだッ!”G”を呼び戻して道を拓かせろ!」

貴音「しかし…それでは地球に対する脅威の排除にはなりません。我々はあの兵器を…」

アズラエル「ああ、ああ、ああ!もうッ!どォしてそう、いちいちウルサイんだ!元アークエンジェル組は!」

アズラエル「…」つ銃

貴音「…そんなものを持ち出して、どうされるおつもりですか?」

ナタル「艦を乗っ取ろうとでも言うんですか!?」

アズラエル「乗っ取るも何も、命令してるのは最初からボクだ!キミたちはソレに従うのが仕事だろう!?なのに、なんで、いちいち、アンタは、逆らうんだよ!」

兵「”ドゥーリットル”より入電、『ピースメイカー隊発進準備完了』とのことですが」

アズラエル「発進させろ!…いくらあんな兵器を振りかざそうが、”プラント”を落とせば戦いは終わる!」

貴音「しかし…」

アズラエル「自軍の損失は最小限に、そして敵には最大の損害…戦争ってのはそうやるモンだろう?」

貴音「…」

律子「”ドミニオン”ほか数隻、転針します」

マリュー「ナタル?」

アンドリュー<くそッ!”プラント”か!>

マリュー「追います!”エターナル”と”クサナギ”は”ジェネシス”を!」

アンドリュー<わかった!>

律子「あの部隊は!」

それは以前と同じ、核を装備した”メビウス”隊だ。”ジェネシス”を攻めあぐねた地球軍は、月基地を撃たれた報復のため、一気に”プラント”を落とそうと考えたのだ。

美希<やらせないの!>

イザーク「来るぞ!散開!”プラント”へ放たれる放火、ひとつたりとも通すんじゃない!」

必死に叫ぶが、例の三機がその進路を阻む。”カラミティ”の巨大な砲が一斉に火を吹き、”フォビドゥン”が曲がるビームを放って、”ゲイツ”隊はそれをかわしきれずに次々と被弾して脱落していく。イザークは”レイダー”にビームを撃ちかけられ、その機動についていくだけで精一杯だ。三機に足止めされてるうちに、”メビウス”が”プラント”へ向けて次々と核ミサイルを発射していく。

イザーク(今度こそダメか…!?)

イザークは絶望しそうになりながら、懸命に”レイダー”を振り切ろうとする。

そのとき、飛来した機影に彼は思わず歓喜の目を向けた。”OOライザー”が一瞬にして赤色の機体になり強大な出力でビームを放ったのだ。それは”プラント”に向かう核をなぎ払った。
が、そちらに気を取られた瞬間、背後から凄まじい衝撃がイザークを襲った。”レイダー”の破砕球が背面からまともに”デュエル”をとらえたのだ。

イザーク「く…っ!」

イザークは息が一瞬つまり、衝撃で飛ばされた機体を立てなおすことができない。”レイダー”の砲口から今にもとどめの放火が放たれようというとき、何者かがその黒い機体を襲った。イザークは援護の一射が放たれた方に目を向け、そこに、あまりに見慣れた機影を見つけて声を上げる。

イザーク「ディアッカ…!」

その間にも核ミサイルの第二波が発射されていた。それを止めようとする”OOライザー”の前に湾曲した鎌を手”フォビドゥン”が割り込む。やむなく応戦する”OOライザー”の目前をすり抜け、核ミサイルが”プラント”へ接近していく。そこへ金色の機体が”メガバズーカランチャー”で狙撃する。危ういところで数発のミサイルが誘爆を引き起こして宇宙に閃光を放った。”OOライザー”はそれをかばうように戦い続け、その背後で金色の機体は着実にミサイルを落としていった。

クルー「ブルー一一七、マーク五二アルファに”アークエンジェル”!接近してきます!」

クルー2「”アークエンジェル”接近中、距離九○○○!」

アズラエル「サア!わかったらアンタもちゃんと自分の仕事をしろヨ!…”ドゥーリットル”を撃たせるな!前へ出ろ!ナニをやっている!?」

響「艦長…」

アズラエル「撃て!撃たなければ撃たれるぞ!」

ナタル「くっ…!…推力最大!回頭二○度!アンチビーム爆雷発射!」

貴音「…」

ナタル「”ゴットフリート”照準!…てェーッ!」

雪歩たちはなおも”プラント”最終防衛ライン付近で、”ピースメイカー”隊の放つ核ミサイルを狙撃し続けていた。例の三機以外に連合の”ストライク・ダガー”隊が、邪魔なら彼女らを排除しようと集結する。”スサノオ”と”Wゼロカスタム”も到着し、ミサイルを落とす”主力でミサイルを落としている”OOライザー”を守ろうと立ちふさがった。誰もが必死に戦い続けるこの宙域で、”ダガー”の放ったビームがⅯ1”アストレイ”を貫き、ついでに”スサノオ”が被弾する。
真はうめき声を上げそれを聞いて雪歩が悲鳴を上げる。

雪歩「ジュリさんっ!?真ちゃん!」

雪歩の体の中で、何かがはじけた。怒りと悲しみに頭は沸騰しそうなのに、視界はひんやりと冴えわたり、周囲の何もかもが手に取るように感じとれる。彼女はOSが制御できる限界以上の機体スペックで、”OOライザー”を操り、三方から押し包むように撃ってきた”ダガー”のビームをかわした。すかさず精密な一射で一機を撃ち、その機体が爆発の光を放つより先に次の一機を狙う。三機の”ダガー”はわずか三発のビームで撃破された。それは新人とは…そしてただの女の子とは思えない操縦だった。
一方”スローネドライ”からミサイルを放ち、”メビウス”の発射した核弾頭ミサイルを落としていく。そして”百式”は凄まじい機動性を見せる”レイダー”に手こずっていた。
そんな中、ほんの一瞬気を抜いた雪歩を、思いがけない敵が狙っていた。”フォビドゥン”が”フレスベルグ”で撃ちかけたのだ。途中に軌道を変えたビームに、雪歩は気づくのが遅れ、ハッとしたときにはもはや避けることもガードすることもできない。

雪歩(やられる)

と、全身の毛が逆立ちかけた一瞬、目前に何者かが割り込んだ。その機体はアンチビームシールドを掲げ、ビームを受け止める。

彼女命を救った機体は、なんとあの”デュエル”だったのだ。

雪歩「え…っ?」

雪歩はぽかんと口を開け、かつて敵対していたと聞かされていたザフト機が、当然のように彼女をかばい、”フォビドゥン”に向かってビームライフルを連射するところを見つめた。そこへ”バスター”が飛来し、ごく自然に対装甲散弾砲で援護する。二機はみごとな連携を見せ、”デュエル”がビームサーベルを抜いて、真っ向から”フォビドゥン”に迫る。”フォビドゥン”は向かってくる”デュエル”にレールガン、ビーム砲を立て続けに撃ち込む。その火力に”デュエル”のシールドは持ちこたえられずに破壊され、機体がもろにビームを浴び、爆散した。

雪歩「ああッ…!」

雪歩は悲痛な声を上げる。が、次の瞬間、爆発の中から、ビームを浴びた追加装甲を離脱した”デュエル”が躍り出た。二本のビームサーベルを抜き放った”デュエル”は一気に”フォビドゥン”の大鎌を両腕ごと切り落とし、懐に飛び込んでもう一方のサーベルでコックピットを貫く。ゼロ距離からの攻撃ではさすがのエネルギー偏向装甲も用をなさず、”フォビドゥン”は推進剤を誘爆して炎に包まれた。

オルガ「シャニ!?」

目の前にはもとは白い赤く紅潮した機体がいる。長いビーム刃が振り下ろされ、オルガは間一髪のところでそれを避けた。ギリギリの攻防がまぎれもない快感となって彼の体を駆け抜ける。

オルガ(俺はアイツみたいにやられない)

だが次の瞬間、背後から斬りかかった”スサノオ”が、その機体を真っ二つに切り裂いていた。
コックピットを薙いだ光は、オルガの体を一瞬にして蒸発させる。

真<くっ…やられちゃいました>

雪歩<真ちゃんは被弾したのに頑張ったよ!>

真<でも、雪歩はもっと頑張っただろ?>

雪歩<…あまりほめられたことじゃないよ>

真<でも、みんなを守った…それだけでいいんじゃないかな?>

雪歩<ありがとう…真ちゃん。ところで、その手に持っているものは?>

真<あの”ジェネシス”とかいうのを破壊するためにこっそり持ってきたんだ核兵域>

雪歩<ええ!危険だよ!埋めようよ?ね?>

真<埋めてもなぁ…>

核部隊を撃破したモビルスーツたちが戻る。

マリュー「必要な機体は補給を!”ドミニオン”は抑える!」

マリュー「”ジェネシス”へ…!」

”アークエンジェル”の左舷ハッチが開いていく。傷ついた”スサノオ”を収容するつもりだろう。

アズラエル「今だ!撃てェッ!」

アズラエル「早くあいつを沈めろ!”ローエングリン”照準ッ!」

フレイ「ダメえぇっ!」

貴音「!?」

フレイ「もうやめてっ!”アークエンジェル”逃げてぇっ!」

アズラエル「オマエラァッ!なにを!」

逆上したアズラエルは彼女に飛びつき、拳銃の台尻で殴りつけた。フレイの体は吹っ飛び、モニターパネルにぶつかって跳ね返る。その彼女に向けてアズラエルは拳銃を構えた。そこへ貴音がとっさに男に飛びかかり、その腕を押さえ込む。銃声が艦橋に響き渡り、跳弾が火花を散らした。

貴音「何をしているのです!愚か者!」

アズラエル「キサマこそ!何のつもりだァッ!?」

貴音「わたくしが押さえているうちに退艦命令をッ!」

ナタル「ハッ…!総員、退艦しろッ!」

アズラエル「くっ…キサマらァ!」

貴音「急いで!”アークエンジェル”へ!」

ナタル「四条…その役目はわたしだ!艦長の責任でこんなところまでついてこさせてしまった…マリュー・ラミアスによろしく言っておいてくれ」

貴音「…わかりました。あなたの覚悟、この四条貴音が受け継ぎましょう」

ナタル「移住区の彼女…ちゃんと持ち帰るんだぞ」

響「うぅ…艦長ぉ…」

ナタル「そんな顔をするな…お前にはいつも元気をもらってきた…」

響「でもぉ…」

ナタル「もう、時間はない!急げ!」

貴音「響!早く逃げるのです!」

ナタル(これでいい…)

アズラエル「くそッ!オマエェッ!」

クルー「あと一人が限界だよこの脱出艇」

響「ええっ!」

やよい「うぅ、困りましたぁ」

貴音「ふむ、ではやよい。あなたが乗ってはいかがでしょう?」

やよい「ええ!いいんですか!?」

貴音「わたくしたちには、あまった”もびるすぅつ”があるので」

響「そうか!いいかんがえだぞ!」

やよい「ありがとうございますー”アークエンジェル”であいましょう!」

響「ああ!またな」


貴音「では、わたくしはこちらの新型を…」

響<貴音…本当に行くのか?>

貴音「ええ!それがわたくしの使命ですから」

響<そっか…じゃあまたな!>

貴音「またな…ですか…」

ナタル「あなたはここで死すべき人だ。私とともに…」

アズラエル「ふざけるんじゃないッ!ドアを開けろォッ!」

ナタル「いいかげん認めなさい。…我々は負けたのです」

アズラエル「ちがうぅっ!負けるものか!ボクはァッ!」

そして彼は射撃指揮官席に飛びつくと、さっきクルーが起動したシステムに指を走らせる。

アズラエル「ボクは勝つんだ…そうさッ!いつだって…」

ナタル「アズラエル!貴様ッ!?」

”ドミニオン”の右舷蹄部に開かれた砲門から、目も眩むような閃光が放たれる。

律子「”ドミニオン”より脱出艇!艦を放棄するようです!」

サイ「艦長ッ!」

”ドミニオン”の”ローエングリン”砲口から臨界を示す光を宿し始めた。

マリュー「回避ーッ!」

ノイマン「ダメです、間に合いま」

ノイマンが言い終えるより先に、砲口から凄まじい光が迸った。
だが次の瞬間、艦橋を融かし自分たちを灼きつくすはずだった光は、目の前に割り込んだ何かによって遮られる。
片手片足を失い、大きく傷ついた黒い機体が、艦橋の前に立ちはだかっていた。
真は”スサノオ”の残った腕にストライクからくすねたアンチビームシールドを掲げ、真っ向から”ローエングリン”の一射を受け止めている。マリューの耳に…何より雪歩の耳に、ノイズに混じって、すでに体の一部のようになじんだ女の声が届いた。

真<へへっ…やぁりぃ…>

無線はそれきり耳をつんざくノイズにのみ込まれる。雪歩には何が起こったかわからなかった。
シールドが一瞬のうちに蒸発する。黒い装甲が融けて細かな泡に覆われる。次の瞬間、白い光の中、”スサノオ”は炎を噴き上げて燃え尽きた。
その残像が雪歩の網膜に黒々と焼き付けられる。
それ以外、彼女は、何も残さなかった。身を捨てて救った彼女らの命しか。

雪歩は小さく首を振った。
さっきまで元気よく励ましてくれていたあの少女は戻ってこない。
雪歩は黙って”OOライザー”に乗り、そして、血が出るほど唇を噛みしめ、前方に見える黒い艦を見据えた。

律子「”OOライザー”…発進します…」

愕然としていた律子が、ハッと心づき、舌をもつれさせながら報告する。

雪歩<こん…な…>

雪歩<こんなところで…!>

雪歩<やめてええええぇぇぇぇぇ!>

陽電子破城砲の白い閃光が消えたとき、白亜の艦がもとどおりの姿で浮かぶのを見てアズラエルは愕然と口を開けた。

ナタル「あなたの負けです…」

アズラエル「オマエェェェッ!」

彼女は霞む目で、傷ついた”アークエンジェル”を眺めやる。
そして、彼女は声を振り絞って叫んだ。

ナタル「殺れ!白いモビルスーツ!そして、この手に勝利をつかんで見せろ!」

彼女の声に応えるように、”OOライザー”の”トランザムライザー”が火を噴いた。彼女は誉めるように微笑む。
最後に見た白亜の艦はやはり懐かしく、慕わしく見えた。ナタルは渦巻く光に包まれながら、今ここで艦長席に座した自分ではなく、あの艦にいた自分を…頼りなく、そしてどこまでも正しかった艦長を助けることのできた自分を、誇りに思った。

クルー「一二五か一四四ブロックまで閉鎖!」

クルー2「推力五○パーセントに低下!」

クルー3「センサーの三三パーセントにダメージ」

トノムラ「モビルスーツ接近っ!」

イザーク<連合!?また、新しい機体か!?>

太陽光を受けて白銀に輝くボディは肩幅が広くビームサーベル以外のバックパックを何一つとしてつけてないように思えた。その機体はまっすぐに”アークエンジェル”を狙っている。トールは舌打ちした。

トール「くそッ!こんな時に」

補給を終えていない”Wゼロカスタム”はビームサーベル一本で戦わなければならない。”アークエンジェル”も火器の多くに損傷を受け、推力が低下して回避運動もままならない。トールは艦をかばうように前に出て、ビームサーベルを構えた。だが、意外なことに敵機自体は撃ってこなかったのだ。が次の瞬間、何かが機体を中心に周囲へ放たれたのだ。

トール「なに!?」

それが攻撃なのかどうかわからずトールは身構える。唐突に、その機体を衝撃が襲う。

トール「っ!?」

ビームに貫かれたトールの機体は文字通り”だるま”になり蹴飛ばされる。
とどめを刺しに来ると思われた敵機は奇妙な動きを見せた。何かを感じたようにすばやく回避運動に入ったのだ。すると一瞬前にその機体がいた空間を、ビームが貫く。

伊織<トール!>

矢のように飛来した”スローネドライ”をも、四方からビームが襲う。伊織はビームを見切っているかと思えるほど驚くべき動きで、かろうじてその砲撃をかわした。
が、すでに被弾した機体はそれをかわすこともできずに、コックピットを貫かれ。宇宙の塵となって消えた。

一方伊織はすでに、爆散した”Wゼロカスタム”に気を配る余裕さえなくなっていた。全方位からランダムに撃ちかけられるビームを、”スローネドライ”の推進力で振り切るようにかわす。白銀の機体に向けてミサイルを全弾撃ち込むが、すべて敵に届く前に無数のビームによって撃ち落とされる。

貴音<また、あなたですか!>

伊織「貴音!?」

貴音<厄介な方ですよ、あなたは!>

伊織「あなたはっ…っ!」

貴音<あってはならない存在の一人だということを!>

伊織「なんですって!?」

貴音<知れば誰もが望むでしょう!あなたのような家庭に生まれたかったと!あなたのようでありたいと!>

伊織「そんなことっ…!」

貴音<ゆえに許されない!努力もしないでお金持ちを気取っているあなたのような存在は!>

伊織(たしかにそうかもしれない。持たざる者は持ってる者を妬む。でも!)

伊織「お金だけが私の全てじゃない!」

貴音<それが誰にわかりますか!?>

伊織は激しく飛び交うビームを必死に避け、残弾のミサイルを発射する。彼女にもようやく周囲を飛び回る”ファンネル”の存在を意識できるようになっていた。
自在に飛び回る”ファンネル”は、ただでさえ的としては小さすぎて狙いにくく、伊織がビームを撃ち込むとパッと四散し、その動きを予測することもできない。
そして、そちらに注意がそれた隙に、眼前には本体が迫っていた。

貴音<わからぬとも!誰にも!>

貴音の叫びとともにサーベルが振り下ろされる。伊織はその脇をすり抜けた。その先に小さな機影を捉えた。

伊織「まさか!」

救命艇の内部の照明が、長い髪を二つに分けた少女を照らしている。少女はガラスに顔を寄せ、何かを叫ぶ。

伊織「やよい…!?」

伊織はしゃにむに救命艇へ機体を駆った。
だが、まるで伊織を嘲笑うかのように、貴音の機体はビームを出せる腕を”スローネドライ”の先へ向ける。

伊織(やよい!)

伊織は必死で”スローネドライ”の指を伸ばす。寸前でビームが放たれる。

伊織(守ると…必ず守ると誓ったのに!)

伊織は投げつけるようにシールドを差し伸ばし、ギリギリのところで救命艇を覆う。ビームがはじかれるのを見、伊織の胸に安堵があふれた。

伊織(ああ…今度こそ…!)

目の前にやよいの顔がある。目に涙をいっぱいにため、彼女は微笑みながらまた伊織の名を呼んだ。
次の瞬間、別方向から放たれたビームが救命艇のエンジンを貫いた。小さな艇の中がパッと明るくなり、やよいの髪が吹き上げられる。爆発の炎で内部が膨れ上がり、少女の小さな姿を覆いつくすのを、伊織は睫毛ひとつ動かすこともできずにただ見つめた。

やよい(伊織ちゃん!)

炎に焼かれながら、やよいは必死で窓外に向けて手を伸ばした。

やよい(傷つけてごめんなさい。知らなくて。何も知らなくて…伊織ちゃん…)

伊織は泣くだろう。やよいを守れなかったと言って泣くだろう。

やよい(泣かないで。もう泣かないで…)

大きく差し伸ばした両腕が燃え尽きても、その心は終わらない。

やよい(本当の私の想いが…伊織ちゃんを守るから)

伊織「やよいッ!!」

爆発の衝撃で飛ばされながら、彼は胸を食い破るような痛恨に身をよじる。

伊織「そんな…ど…して…っ!」

後悔が伊織を押し流し、過去へと飛び去る。”765プロ”で、まるで大輪のひまわりのように、笑っていたやよい…あの幸福な少女をなぜそのままにしておけなかったのだろう…?
あたたかな手が頬に触れた気がした。無力さと孤独に泣き崩れた伊織を、かつてなぐさめ、涙をぬぐってくれた手が。

やよい(泣かないで…守るから。…私の想いが、あなたを守るから…)

悔しさと自責の念に伊織は慟哭した。頭を振るたびに、涙の粒が舞ってヘルメットの中に降りそそぐ。

伊織(こんなこと許されるはずがない!)

彼女は怒りに燃える目を上げ、周囲を見回した。
白銀の機体は、もうそこにはいなかった。伊織は怒りのままに機体を制御し、敵を求めてふたたび飛び立った。

ダコスタ「”ジェネシス”、射程距離に入りますっ!」

アンドリュー「撃て!」

”クサナギ”が”ローエングリン”を斉射し、”エターナル”が主砲以下、すべての発射管からミサイルを発射する。だがミサイルは途中の艦艇や”ヤキン・ドゥーエ”の対空砲に多くを撃ち落とされ、迎撃をかいくぐってミラーや基部に命中したものも、たった一筋の傷さえつけることができない。”ローエングリン”すらあまりに巨大なミラーに対しては、目立った損傷を与えることができなかった。

アンドリュー「くそッ!厄介なモンをっ!」

ここまで懸命に押し通ってきた二隻はすでに多くの損傷を受け、もっとも有効と思える陽電子破城砲”ローエングリン”の連射もままならない。搭載しているミサイルにも限りがある。
そのとき、後方から”OOライザー”が追いついた。モニターに雪歩の決然とした顔が映る。

雪歩<”ヤキン”に入って、コントロールを壊していきますぅ>

ラクス「雪歩!?」

雪歩<時間がないみたいだから、もう行ってきます!>

ラクス「雪歩!」

雪歩<大丈夫です!任せてください!>

たった一機で”ヤキン・ドゥーエ”に取り付くことは困難だろうが、むしろ身軽なぶん有利かもしれない。戦況の混乱も彼女の侵入を覆い隠してはくれるだろう。

ラクス(何か…誰かが、こちらを見ている?)

ダコスタ「モビルスーツ接近!ブルー五二チャーリー!」

白銀に鈍く輝く機体が、”エターナル”と”クサナギ”に向けて鷹のように襲いかかってくる。機体の腰あたりから何かが分離した。

アンドリュー「回避!取り舵}

バルトフェルドの指示にかぶせて、衝撃が艦を襲った。四方から無数のビームが放たれ、二隻を包みこむかに見える。

ラクス「…あれは!」

被弾の衝撃が絶え間なく艦を襲う。
と、次の瞬間、”スローネドライ”は一直線に白銀の機体に襲いかかる。それに気づいた貴音は”ファンネル”を引き上げ、標的を”スローネドライ”に変えた。
撃ちかけられたビームを、伊織は機体を錐揉みさせながらかわし、その一射を発した”ファンネル”をライフルで撃ち落とす。次の瞬間には背後からビームを浴びせた一基を、振り向きざまに射抜く。
貴音は両腕にマウントされたビーム砲から矢継ぎ早にビームを放ちながら”スローネドライ”に迫る。赤と白の機体が凄まじい速さで交錯した。

”ヤキン・ドゥーエ”を守っていた”ジン”と”シグー”が、迫りくる敵機の存在に気づくより早く、”OOライザー”はその頭部と武装を撃ちぬいていた。彼女は対空砲火をかわしながら、”ヤキン・ドゥーエ”に取り付いた。そのままの勢いで港口を突破し、奥へ向かう。要塞内部もかなり混乱していた。損傷の大きいモビルスーツから、負傷したパイロットが運びおろされている。
彼女はすばやく基地の奥まで駆け抜け、最奥部でモビルスーツから降りた。

雪歩「この先に…」

雪歩「真ちゃん、どうか今だけ私を護って…」

指令室のエレベーターが開いたとき、雪歩は銃声を聞いた。
一瞬自分を狙ったものかと思い身を隠したドア脇から中を窺う。視界をよぎった影を見たとたん、雪歩は愕然として構えたシャベルを下した。

雪歩(確かこの人って、ブリーフィングで見たザラさんのお父さんじゃ…)

パトリックは胸を撃ちぬかれ、続けて二発の銃声が響き渡り、その体からさらに新たな血が飛び散る。撃った兵士も傷を負っており、大量に血があたりを漂っていた。
しばし、室内にいた者すべてが、慣性のままに宙を浮き上がった人影に、愕然と目を奪われる。
どれくらい、凍り付いていたような時間が流れただろう。誰かがカタリと席を立った。まるでそれをきっかけにしたように、人々の声がわっとあふれた。
一人が出口めがけて飛び出したあと、兵士たちは我先に、そちらに向けてなだれ込む。
エレベータに向かう人並みに逆らい、雪歩は足を踏み出す。

雪歩(なんで…こんなことに…?)

パトリック「う…て…我らのせか…うばっ…報い…」

雪歩「…」スッ

雪歩は最後の慈悲として安らかに眠らせるため…手にしたシャベルを彼の頭めがけて思いっきり振り下ろした。

伊織「あんたはっ…あんただけはっ!」

貴音<いくら叫ぼうが今さら!これが運命なのです。知りながら突き進んだ道でしょう?>

伊織「何をっ!?」

伊織はビームサーベルで斬りかかり、貴音はその腕をはじきながら叫んだ。

貴音<正義と信じ!判らぬと逃げ!知らず!聞かず!その果ての終局です!もはやとめるすべなどありはしません!>

伊織「!!!」

貴音<そして滅ぶのです!人は!滅ぶべくして!>

伊織「そんなこと…!そんなあんたの理屈っ!」

貴音<それが『ヒト』ですよ、伊織!>

伊織「ちがう!人は…人はそんなものじゃないわ!」

”スローネドライ”の砲口が火を噴き、また”ファンネル”が落とされたが、白銀の機体は難なくその射線をかわしていく。

貴音<は!何が違います?なぜ違います?この憎しみの目と心と、引き金を引く指しか持たぬ者たちの世界で!何を信じる?…なぜ信じる?>

彼女のビームが”スローネドライ”の右足を薙ぐ。

伊織「っ…それしか知らないあんたがっ!」

貴音<知らぬのです。しょせん人は、おのれを知ることしか知らぬ!>

伊織「…ッ!」

貴音<まだ苦しみたいのですか!?いつかは…やがていつかはと、そんな甘い毒に踊らされ!いったいどれほどの時を戦い続けてきました!?>

”ヤキン・ドゥーエ”から次々と戦艦が、脱出艇が離脱していく。突然前触れもなく戦闘が中断され、”エターナル”の艦橋では事態を把握しかねて、ラクスとバルトフェルドが顔を見合わせている。その宙域へ、傷だらけの白い艦が、”デュエル”と”百式”を先導にたどり着いた。

アンドリュー「”アークエンジェル”…」

マリュー<これはいったい?伊織さんたちは?>

アンドリュー「わからん!”ヤキン”は放棄されたのか…?」

ラクス「”ジェネシス”は…?」

無人の管制室にザラ議長含む数名を”埋葬”した雪歩は、すぐ横のコンソールがアラートを発したのに気づき、顔を上げる。”ジェネシス”発射シークエンスの途中で停止していたモニター画面が切り替わり、人工音声が警告文を読み上げる。

<自爆装置発動。爆発まで一八○○秒です。総員すみやかに施設内より退去してください>

”ヤキン・ドゥーエ”は放棄されるのだ。雪歩はふと何か気がかりなものを感じてコンソールを覗き込んだ。

雪歩「”ヤキン”の自爆シークエンスに…”ジェネシス”の発射が連動している!?」

雪歩はとりあえず(持ってるシャベルで)キーボードを叩いて、”ジェネシス”の操作をシークエンスから外そうと試み、次にシークエンス自体を中止させようとした(物理)。結果は不可能だった。

雪歩「どうしよう…ハッ!」

彼女は身をひるがえし、指令室を飛び出す。彼女は来た道を引き返して、機体に飛び乗る。

雪歩(”ジェネシス”内部で真ちゃんの持ってきた核を爆発させる!)

”OOライザー”はシャフトを抜け、”ジェネシス”基部の中枢らしき空間に出た。
雪歩はひと息をつき、核を”OOライザー”とつなげ、手元のボタンを押した。アーム部からテンキーがスライドする。
雪歩は暗証番号を入力しながら、みんなのことを考えた、みんなと笑いあったこと、みんなと泣きあったこと…思い出すだけで涙が出そうになる…だが、自分が笑った分だけ泣いた分だけ人を殺めたんだという実感も湧いてきた。それは、”ドミニオン”だけではない…。
せめて命と賭しても、この兵器を破壊しなければならない。地球に向けて死の光を放つ前に。
パスワードの入力を終えようというとき、耳元に少女の声が響いた。

美希<雪歩っ!>

雪歩「美希ちゃん!?」

美希はパッと見で雪歩が何をしようとしてたのかを感づき、泣きながら、だが毅然として叫んだ。

美希<生きる方が、戦いなの!>

伊織と貴音はなおも戦い続けていた。戦いながら伊織も、”ヤキン・ドゥーエ”を退避する動きに気づく。

貴音<どのみちわたくしの勝ちです!”やきん”が自爆すれば”じぇねしす”は発射されます!>

伊織「え…?」

貴音<もはや止めるすべはありません!地は焼かれ、涙と悲鳴は新たな争いの狼煙となります!人が数多持つ予言の日!>

”ファンネル”が””スローネドライ”の右肩を撃ったが、伊織はまっすぐ白銀の機体にライフルを向ける。

伊織「そんなことっ…!」

伊織の放ったビームが”キュベレイ”の左腕を貫く。

貴音<それだけの業、重ねてきたのは誰です!?あなたとて業のひとつでしょう!>

伊織「それでも…!」

伊織はサーベルを抜き放ち、貴音に迫る。

伊織「護りたい世界が、あるのよ!」

残った”ファンネル”が”スローネドライ”の頭部をとらえ、胸部を撃ちぬく。だがその勢いは削がれず、さらに加速する。それを見た貴音は伊織同様にサーベルを抜き放ち伊織に向かい、二人はお互いのコックピットを貫きあった。

次の瞬間、すべてが爆発した。

地球にて…

子供「わぁ…きれい…」

真美「ふふっ、そうだね…」

子供「あの花火って何でできてるの?」

真美「あれはね…」パァァァァン

真美はそのとき黒く艶やかに光るものの引き金を引いた。

子供「」ドサッ

真美「みんなの命」クスッ

真美はくるっと身をひるがえし角の生えた黒い機体に入っていった。

これにて第一部終了です。
長い間、ありがとうございました。
本当は伏線として書いた亜美の話が書きたかった。
次回は亜美真美回です。
次回は書き溜めして、小説の一巻ずつ書いていくよ。
質問等は明日の朝までで、明日返答する。
おやすみ。

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