勇者「命なんて安いものだ、特に俺のは」(115)

勇者「……雷撃」

魔物「ギャアアアアア!!!!」

勇者「……終わったか」

村人A「お、おお勇者様が魔物を倒してくれたぞ!」

村人B「あ、勇者様、腕に怪我が……え?」

勇者「……」シュゥゥゥ

村人B「勝手に治っていく? 回復魔法ですか」

勇者「……いや」

村長「ありがとうございました勇者様、こちらはお礼です」

勇者「ああ」

村長「本日は我が村にご宿泊に?」

勇者「……いや、先を急ぐので」

村人C「出て行くってよ」

村人D「ほっ、良かった」

勇者「……」

村人C「馬鹿、聞こえるぞ!」

勇者「……それでは」

村長「はい、お気を付けて」

村長「……勇者か。噂通り気味が悪いな」

村人D「あれだけ強いってのもあるが傷がみるみる塞がっていって本当に同じ人間か? って思いますよね」

村長「速く魔王を倒してもらいたいものだ」

村人E「本当ですね」

村長「既に何人目の勇者なんだか……腕は確かだが皆魔王へ向かう途中で力尽きる」

村長「強いんだか弱いんだか」

村人A「村長、助けてもらってその言い方は……」

村長「……そうだな。まあ私達人間の為に勇者様には頑張ってもらわねば」

勇者「……森か」

勇者「今日はここで野宿と行こう」

勇者「火炎呪文」

勇者「たき火はこれで良し」

勇者「……飯にしよう。野菜と干し肉はまだあったはずだ」

勇者「……勇者、か」

ゴソゴソ

勇者(……物音?)

謎のフード「……」ゴソゴソ

勇者(誰かいる……? 何をしてるんだ?)

謎のフード「……はぐはぐ」

勇者(……俺の昨日の食いかけを食べてるのか?)

勇者「おい」

謎のフード「ひうっ!?」パサッ

勇者「あ、フードが落ち……耳が長い……お前まさかエルフなのか?」

エルフ「あ……!」ダッ

勇者「逃げた。しかしエルフだと? 滅多に人前に出てこない種族のはずだが」

キャァァァァァ!?

勇者「悲鳴……魔物のテリトリーにでも侵入したか」ダダダッ

魔狼「グルルル!!」

エルフ「やっ! こ、こないで!」

魔狼「ウゥーッ!」

エルフ「う、うぅ! こなったら腰の短剣で……!」

魔狼「! ガウッ!」

エルフ「!? きゃっ!? とびかかってき、きゃあああああっ!?」

バキッ!

魔狼「キャインキャイン!?」

勇者「……無事か?」

エルフ「あ、貴方はさっきの……! ニンゲンさん!?」

魔狼「ウゥゥーッ! フーッフーッ!!」

エルフ「ひぃっ!? お、狼が……!」

勇者「ここはコイツの縄張りなんだろう。そこに土足で踏み込んであまつさえ武器までちらつかせれば敵だと思われても仕方がない」

エルフ「え? 土足で怒ってるんですか? じゃあ……」ヌギヌギ

勇者「靴を脱いでどうする」

エルフ「だって土足でって……」

勇者「そういう意味じゃない……随分綺麗な足だな」

エルフ「えっ……///」

勇者「しかし、この魔狼もこのままで収まるまい。仕方ないか」ポイッ

魔狼「?」

勇者「肉だ」

魔狼「ウゥーッ」クンクン

勇者「これをやる。俺たちは出て行く。お互いこれ以上の干渉はなしだ」

魔狼「ガブッ」

勇者「契約成立だな。おい、行くぞ」

エルフ「ひゃ、ひゃい!?」

勇者「? 何を顔を赤くしているんだ」

エルフ「いや、だって……」

勇者「腰でも抜けたのか? しょうがない。さっさといかないと魔狼の気が変わる」スッ

エルフ「きゃっ!? ちょ、ちょっと何処触って……!」

勇者「軽いな。まあいい行くぞ」スタスタ

エルフ「あ、歩きます! 歩きますから降ろしてぇ! これ恥ずかしい! 凄く恥ずかしいです!」

勇者「誰が見ているわけでもない」

エルフ「そういう問題じゃないですぅ!」

くぅ~疲れましたw これにて完結です!
実は、ネタレスしたら代行の話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのネタで挑んでみた所存ですw
以下、まどか達のみんなへのメッセジをどぞ

まどか「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」

さやか「いやーありがと!
私のかわいさは二十分に伝わったかな?」

マミ「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいわね・・・」

京子「見てくれありがとな!
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」

ほむら「・・・ありがと」ファサ

では、

まどか、さやか、マミ、京子、ほむら、俺「皆さんありがとうございました!」



まどか、さやか、マミ、京子、ほむら「って、なんで俺くんが!?
改めまして、ありがとうございました!」

本当の本当に終わり

エルフ「……」モジモジ

勇者「なんだ、まだ怒っているのか」

エルフ「あ、いえ、一応お礼は言います。ありがとうございました」

エルフ「でも女の子を持ち上げるのに、肩に乗せるのはどうかと思います!」

エルフ「肩車ならまだしもお腹が肩の堅い所に当たって痛いし頭は下向いてるから血は上りそうになるし足はホールドされてるし」

勇者「お礼より文句の方が多いな」

エルフ「そ、それに……足が綺麗だ、とか///」

勇者「そうだな、綺麗な足だ、不自然なほど」

エルフ「/// え?」

勇者「何故そんなに綺麗な足なんだ?」

エルフ「そ、そんな何度も綺麗だなんて……///」

勇者「この辺は道も悪いし森の中だ」

勇者「なのにお前の靴は実用性重視ではない通気性のあるサンダルのような靴だ」

勇者「この森の中にいるならもっと汚れていたり軽く傷を負ったりしているはず」

勇者「お前何者だ? 何故ここにいる?」

エルフ「え、あー綺麗ってそういう……?」ションボリ

勇者「? 他に何が?」

エルフ「……いいえ何でもないです」ショボン

勇者「それにお前エルフだろう? めったに人前に出ないと聞くが」

エルフ「そ、それは……」アセアセ

勇者「ワケアリのようだな。まあ言いたくないなら言わなくてもいい」

エルフ「あの、そういう貴方はニンゲンですよね?」

勇者「……一応な」

エルフ「一応?」

勇者「俺は勇者だ」

エルフ「勇者!?」

勇者「意外か?」

エルフ「はい、まさかこんなに早く勇者に会えるとは思ってませんでしたから」

勇者「どういうことだ?」

エルフ「勇者、ということは目的は魔王討伐なんですよね?」

勇者「ああ」

エルフ「魔王城に向かうんですよね?」

勇者「ああ」

エルフ「私も一緒に連れて行ってください!」

勇者「断る」

エルフ「えっ」

勇者「第一に連れて行くメリットがない」

エルフ「で、でも私魔法はそこそこ使えますよ」

勇者「第二にお前が付いてくる目的もわからない」

エルフ「そ、それは……」

勇者「第三に俺は極力一人での旅をするよう王国の王により言付けられている」

エルフ「……足手まといはいらない、ってことですか」

勇者「そうだ。知っているだろう? 今の勇者は基本単独で無ければならない。『仲間の惨劇』を避ける為に」

エルフ「……あの話は本当だったんですね」

エルフ「何代か前までは勇者を守る為にパーティで旅をしていたけど、仲間が犠牲になったり人質に取られたりして勇者が身動きが取れなくなりやられた、と」

エルフ「勇者はその圧倒的な力から『負けることはありえない』と言われるほど強いけど、味方の不覚で勇者パーティの全滅が多発」

エルフ「以降、仲間は逆効果として極力勇者は単独で魔王討伐に向かう、と」

勇者「その通りだ」

エルフ「でも! あの……こんなこと言ったら失礼ですけど『負けることはありえない』って言われてるのに一度も魔王に勝ってないじゃないですか」

エルフ「勇者にも旅の仲間はいてもいいんじゃ……」

勇者「その為の確率アップに一人でいる方が効率がいいんだ」

勇者「それに俺が言うのもなんだが、噂通り勇者は戦って負けることはない」

エルフ「え? それってどういう? 実際に勇者は何人も亡くなっているじゃないですか」

勇者「これはあまり知られていない話だが、別に秘密というわけではないので言っておく」

勇者「歴代の勇者はこれまで“一度たりとも戦って負けたことはない”」

エルフ「あの……意味がよく、わからないんですけど」

勇者「……」

エルフ「あ、あのぅ」

勇者「俺はそろそろ行く」

エルフ「えっ? あの……」

勇者「俺はお前に干渉しない。だからお前も干渉するな」

エルフ「そ、そんな……」グスッ

勇者「……」

エルフ「うぅ」

勇者「地図によると俺がこれから向かう先に街がある。夕方までかかるが」

勇者「そこまででいいなら、ついてこい。ここにいるよりは安全だろう。それくらいの安全なら保障してやる」

エルフ「で、でもそれじゃあ魔王城までは……」

勇者「なら置いていく」スタスタ

エルフ「あ、待って! 行きます、行きますから!」

勇者「……」スタスタ

エルフ「ま、待ってぇ~!」パタパタ

勇者「……」スタスタ

勇者「……」スタスタ……ピタッ

エルフ「はぁ、はぁ……」

勇者「おい」

エルフ「あ、はいなんですか?」

勇者「お前にこれを返しておく」つフード

エルフ「あ、私のフード」

勇者「あえて理由は聞かないがエルフがいることは珍しい。お前も本来なら姿を晒すのは本意じゃないのだろう」

エルフ「……はい」

勇者「ならせめてその目立つ耳は隠しておけ」

エルフ「はい、ありがとうございます」

勇者「……」スタスタ

エルフ「……」トコトコ

勇者「……」スタスタ


エルフ「……」トコトコ



勇者「……」スタスタ




エルフ「……」トコトコ






勇者「……」スタスタ



エルフ「……っ!」トコトコトコトコ!

勇者「……」スタスタ

エルフ「はぁ、はぁ……」

勇者「……ここで休憩にする」

エルフ「はぁ……は、はひぃ……」パサリ

エルフ「つ、疲れたぁ……」

勇者「……」グビグビ

勇者「ほら水だ」

エルフ「ありがとうございまひゅう……」ゴクゴク

エルフ(……あれ? これって間接キス?)

エルフ「……」カァァァ///

勇者「?」

エルフ(そ、それにしても……)チラリ

勇者「……」スズシゲ

エルフ(き、鍛え方が違うんでしょうか。汗一つ流していない)

エルフ(私汗だくですぅ)

勇者「……」ジィ

エルフ「? 何ですか?」

勇者「……いや」

エルフ「?」

勇者「……」

カラス「カァァァ」

勇者「よし、行くぞ」

エルフ「あ、はい」

勇者「」スタスタ

エルフ「」トコトコ

勇者「」スタスタ


エルフ「」トコトコ



勇者「」スタスタ




エルフ「……っ!」トコトコ


勇者「……」トコトコ

エルフ「あ……」トコトコ

勇者「」トコトコ

エルフ「……(ありがとう、勇者さん)」トコトコ

勇者「ついたな」

エルフ「ええ、ついちゃいました」

勇者「それじゃあな」

エルフ「あのぅ、やっぱり考え直してもらうわけには……」

勇者「」スタスタ

エルフ「あぅ」

衛兵「おい止まれ!」

勇者「……」

衛兵「お前よそものだな? ここは牢獄の街。規律に厳しく犯罪者を多く収監する町でもある」

勇者「俺は勇者だ」

衛兵「ゆ、勇者だと!?  証拠はあるのか?」

勇者「……これだ」

衛兵「その首飾りは……! よし、通れ」

勇者「」スタスタ

エルフ「あ、私もとりあえず入ろう」

衛兵「おいお前!」

エルフ「」ビクッ

衛兵「怪しい奴だな、そのフードを取れ」

エルフ「え、あ、う……」

衛兵「どうした? 取れないのか?」

エルフ「……うぅ」

勇者「……それは俺の連れだ」

衛兵「勇者に連れだと?  馬鹿な! 勇者は今一人旅のはずだ!」

勇者「前の村で知り合っただけだ、身元は俺が保証しよう」

衛兵「ダメだ。俺はこの町に入る人間を逐一チェックすることになっているんだ」

衛兵「おいお前! そのフードを取らないか! 取らないと街へは入れんぞ!」

エルフ「……っ」

勇者「……仕方がない」スタスタ

衛兵「勇者? 何故町から出て行く」

勇者「こいつには町まで送るという約束をしてしまった。ここに入れないなら次の街まで送る義務が発生する」

衛兵「……ふん、ならそうするがいい」

エルフ「勇者さん……」

エルフ「すいません、ありがとうございます勇者さん」

勇者「……行くぞ」

エルフ「はい……あっ!? 風が……!」ビュゥ!

バサリ

衛兵「!? エ、エルフ!?」

エルフ「!?」

勇者「……チッ」

衛兵「エ、エルフだ! 捕まえろ! めったに出てこないエルフが出たぞ! それもとびきりの美人だ!」

エルフ「え? 美人?」テレテレ

勇者「馬鹿かお前は。さっさと逃げろ」

エルフ「え? わっ!? きゃあっ!?」

衛兵「捕まえたぞ!」

エルフ「い、痛い! 離して!」

衛兵「誰が離すものか! エルフは貴重だからな! 高く売れるぞ!」

エルフ「ひっ!?」

勇者「おい」

衛兵「なんだ勇者? まだいたのか?」

勇者「その子を離せ」

衛兵「嫌だね。この町じゃ人間以外には何をしても許される。逆に人に危害を加えたら即犯罪者だぜ? それがたとえ勇者でもな!」

勇者「そうか……もう一度だけ言ってやろう」


勇者「は    な     せ」


衛兵「ヒッ!?」

衛兵「な、なんだよお前!? 勇者? 本当に勇者なのかよ!?」

勇者「そうだ。一つ良いことを教えてやろう。俺が王に遣わされえた命は一つ。魔王を殺せ、だけだ」

エルフ「!」

勇者「お前たちが思っているような、道行く先での人助けの命など受けていない」

勇者「この意味がわかるか?」

衛兵「な、なんだよ!?」

勇者「俺は王の特例により、一切の自由を任されている。簡単に言えば何をしても良い。許される。それがたとえ人殺しでもな」

衛兵「こ、この街じゃそんなのは関係ないんだ!」

勇者「ああ、そうだな、そう言ってたな。じゃあお前、俺とこの街で戦争するか?」ゴゴゴ

衛兵「っ!! くそっ!」

勇者「」スタスタ

エルフ「」トコトコ

勇者「」スタスタ

エルフ「あの」

勇者「なんだ?」

エルフ「ありがとうございます。助けてくれて」

勇者「助けたわけじゃない」

エルフ「え、でも……」

勇者「約束を違えるわけにはいかないからだ」

エルフ「約束?」

勇者「次の街までなら一緒にいてもいい、その方が安全だろうと言ったが、あの町では安全は保証されない」

エルフ「でも……」

勇者「それに」

エルフ「?」

勇者「その綺麗な長い金髪を、暗い所へ閉じ込めるのは些か勿体ないと思った、それだけだ」

エルフ「……はぁ」

勇者「なんだ、気の無い返事だな」

エルフ「どうせまた私の勘違いでしょうし。期待してもいいことありませんもの」

勇者「???」

勇者「しかし、少し困ったな」

エルフ「何がですか?」

勇者「ここからだと四天王のひとりがいる火の遺跡が近い。当然そこにまず向かうつもりだったのだが」

エルフ「私、ですか?」

勇者「次の街までは三日はかかる。送って行って戻ってきても一週間近くは無駄になる」

勇者「俺にそんな余裕はない」

エルフ(余裕……?)

エルフ「私なら構いませんよ。むしろ一緒にいって役に立つところを見せます」

勇者「何故だ?」

エルフ「だって役に立つってわかったら私を旅のお供に」

勇者「それはない」

エルフ「……ぷぅ」

エルフ「あ、そういえば」

勇者「?」

エルフ「今更ですけど良かったんですか?」

勇者「何がだ」

エルフ「あの町の人とのいざこざです」

勇者「別に。行く街行く街で似たりよったりなことがある」

エルフ「……」

勇者「皆、勇者という存在に幻想を抱きすぎているようだが勇者はそんなに高尚なものじゃない」

エルフ「じゃあ、じゃあ勇者さんにとって勇者ってなんなんですか?」

勇者「………………行くぞ。火の遺跡に向かう」

エルフ「……」

エルフ「あの……」

勇者「今度はなんだ」

エルフ「さっき人助けの命は受けていないって言ってましたよね」

勇者「ああ」

エルフ「本当ですか?」

勇者「事実だ。むしろそんな暇と余裕は持つなと言われてさえいる」

エルフ「でも、勇者さんは人助けしてるじゃないですか」

勇者「なんのことだ?」

エルフ「現に私を助けてくれました」

勇者「……フゥ、俺とて冷血漢を演じるつもりはない。人並みの心はある」

エルフ「ではただの気まぐれ、だと?」

勇者「そうだな」

エルフ「嘘。貴方はそんな人じゃない」

勇者「何故そう言い切れる」

エルフ「あの時オオカミを殺さなかったから」

勇者「……」

エルフ「どうしてそんなウソを……」

勇者「嘘じゃない。ただあえて言うなら、命とは尊いものだからだ……俺の以外は」

エルフ「それってどういう意味ですか?」

勇者「……」

勇者「喋り過ぎた。行くぞ」スタスタ

エルフ「あ、待ってください!」

エルフ(速い! さっきまで歩幅合わせてくれてたのに……)

エルフ(触れちゃいけないところに触れちゃったのかな)

エルフ「……」

勇者「」スタスタ

エルフ「あ、あの!」

勇者「しつこいな。おしゃべりする体力があるならきびきび歩け。置いて行ってもいいんだぞ」

エルフ「ごめんなさい」

勇者「……」

エルフ「変な詮索はもうしません」

勇者「……」

エルフ「……だから」

勇者「……」

エルフ「ちょっとやすましぇてくだひゃい……」ヘロヘロ

勇者「……フゥ、休憩だ」

エルフ「あっついですねぇ」

勇者「火の遺跡だからな」

エルフ「……」

勇者「なんだ?」

エルフ「いえ……」

エルフ(なんでこの人汗一つ流してないんだろう?)

エルフ(どう鍛えたらこうなるのかな? ちょっと教えてほしいかも)

エルフ(うう、一杯汗かいて匂いそう。熱いから流石にフードも上着も脱いじゃって上は下着だし)

勇者「……控えめだな」

エルフ「はっ!?」

エルフ「ちょっとどこ見て言ってるんですか!?」

エルフ「失礼じゃないです!?」

エルフ「そりゃ私は一族の中でも小さいほうですけど!」

エルフ「あれですか! エルフはおっぱい大きくなくちゃいけない法律でもあるんですか!」

勇者「お前は何を言っているんだ」

エルフ「はぁ、はぁ、怒ったら余計に熱く……でも勇者さんが悪いんですよ! 乙女に対してあんなこと言うから!」

勇者「よくわからないが火の遺跡のマグマ量が控えめなことがそんなにお前と関係あるのか?」

エルフ「え?」

勇者「?」

エルフ「マグマ?」

勇者「ああ」

エルフ「……」

勇者「?」

エルフ「……」

勇者「どうした」

エルフ「……なんでもないです」ズーン

勇者「何勝手に落ち込んでいる」

エルフ「いえ、もうほうっておいてください」

勇者「わかった。マグマから魔物が出てきているがお前の事はほうって先に行く」

エルフ「はい……ってええええええ!? ちょっと!?」

勇者「なんだ?」

エルフ「ひ、酷いじゃないですか!」

勇者「役に立つと言ったのはお前だろう」

エルフ「そうですけど……きゃああっ!?」

勇者「凍結呪文」

カキン!

エルフ「わあ凄い! マグマの魔物が凍っちゃった」

勇者「行くぞ」

エルフ「え? トドメささないんですか?」

勇者「……必要ない。ここの主を倒せば全て終わる」

火の化身「ほう? 大きく出たな勇者よ」

勇者「火の化身……四天王か」

火の化身「いかにも」

エルフ「あ、わわわわわ!?」

火の化身「ほう? 勇者は一人と聞いていたが連れがいるとはな」

勇者「なんのことだか」

火の化身「ふふふ、いや実に良い。我々魔王軍にとってはこの上ない『武器』となる」

エルフ「ムッ! 失礼ですね、そんなに足で纏いじゃないですよ私は!」

火の化身「それは、どうかな? 炎弾!」ボボボッ

エルフ『風よ』

ビュゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!

火の化身「なんだと?」

火の化身「風の壁で炎弾を止めた?」

エルフ「私だってやればできるんです!」

火の化身「なるほど、流石は勇者パーティの一員というわけか」

エルフ「えっへん!」

勇者「いや、勇者パーティではない。間違えるな。こいつはただ居合わせただけだ」

火の化身「もう遅い。今全四天王へテレパスを送った。お前たちは勇者一行というわけだ」

火の化身「今回の勇者は一人だと聞いていたから“削りきるのは骨”だと思っていたが思わぬ収穫だ。ぐはははは!」

エルフ(削る?)

勇者「……無駄話はそこまでだ。行くぞ火の化身」

火の化身「来い! せいぜい大技をぶけてみせい!!」

勇者「凍結呪文!」

火の化身「ぐはははは! その程度はザコにしかきかん! 俺を凍らせるならそんなぬるい“日常消費程度”では無理だとわかっているだろう!」

勇者「……極大凍結呪文!」

火の化身「ぐ、ぬぅぅぅぅぅう!!!! 凍らされてたまるかああああああ!!」

火の化身「降り注げ我が体! マグマレイン!」

マグマの雨が降り注ぐ!

勇者「っ!!」

火の化身「ぐはははっ! 溶けろ溶けろ!」

エルフ「! 勇者さん! 『水の精霊よ』」

勇者「!」

火の化身「これは……! 精霊術!? 水の盾が勇者の頭上に!」

勇者「冷刀生成」

勇者「はっ!」

ズバン!

火の化身「ぐぅっ! 無駄よ! いくら俺を斬ってももとに戻る! 俺の体はマグマそのもの!」

火の化身「マグマがなくならない限り俺は不滅!」

火の化身「どうした勇者よ? 何を“節約”などしているのだ? もちっとしっかり戦ってみせい!」

勇者「……言われずとも」

勇者「真・極大凍結呪文!」

パキパキパキパキパキパキ!!!!

火の化身「ぐぅうううう!! 凍っていく! ワシの体が凍っていく!」

エルフ(す、すごい!これが勇者さんの力?)

エルフ(こんなに凄い魔法初めて見た)

火の化身「だがまだまだ! マグマハンド!」

火の化身「勇者! その腕もらったあああ!!」

勇者「!」ジュゥゥゥゥ!!!

エルフ「勇者さん!?」

火の化身「ぐはははははっ! 油断したか? その腕一本で果たしでどれだけになるかなあ?」

エルフ「勇者さん! 腕を見せてください!」

勇者「……問題ない」

エルフ「そんなわけないじゃないですか! マグマの塊が腕に……!」

エルフ「私は回復も得意です! 速く!」

勇者「今は戦闘中だ!」

エルフ「遅くなったら使い物にならなく……!? 腕が、修復していってる? そんな、これも勇者さんの回復魔法?」

火の化身「馬鹿が、よそ見しおって!」

勇者「!」ドンッ

エルフ「え……あ! 勇者さんにマグマの壁が倒れていく!」

ザッパーン!


エルフ「あ、あ、あああああっ!!」

エルフ(そんな……マグマに押しつぶされちゃった)

エルフ(あれじゃ勇者さんはもう……)

火の化身「ふむ、予想よりは削れたかの」

エルフ「この! よくも勇者さんを」

火の化身「? 何を言っているエルフの娘よ」

エルフ「何って、勇者さんの仇を」

火の化身「ふむ、何もわかっておらぬようじゃな」

エルフ「何を言って……」

火の化身「最初から、ワシでは勇者を倒せんよ」

エルフ「……え?」

火の化身「いや、たとえ他の四天王や……魔王様といえども無理じゃろう」

エルフ「え? え?」

火の化身「何も知らんのじゃな」

エルフ「一体どういう」

火の化身「話してやってもいいが……タイムオーバーじゃ」

エルフ「え?」

勇者「……」スーッ

エルフ「勇者さん!?」

火の化身「予定よりは多く削れたわい、僥倖僥倖」

パキパキ

エルフ「!?マグマの中……さっき勇者さんがいところから凍っていく!?」

エルフ「いやそんなレベルじゃない! 寒い! この一帯が凍って行ってる!」

勇者「やはり地下にあるマグマを凝縮させていたか。通りでこの辺のマグマ量が少なかったわけだ」

火の化身「こうでもしないとすぐにやられてしまうからな。削ることもできなんだでは魔王様に顔向けできん」

勇者「……そうか」

エルフ(何? 何なの!? こんなの……こんなのもう凄い魔法なんてレベルじゃない! おかしい、おかしすぎる! 人一人が一瞬うちに生み出せる現象のレベルを大きく超えてるよ!)

勇者「はあああああああ!!」パキパキパキ

火の化身「ぐぬぅぅぅぅぅぅうう! がああああっ──────────!」カキーン

勇者「安らかに眠れ、極大爆裂呪文!」

ドドドドドドドン!!!!

バリィィィン!

エルフ「火の化身が凍って、砕け散った……」

エルフ「どどどどういうことですか!?」

勇者「何がだ」

エルフ「だってさっき怪我が勝手に……」

勇者「勇者の力だ」

エルフ「マグマに飲み込まれたのに!」

勇者「勇者の力だ」

エルフ「この辺一帯氷地帯になるほど凍っちゃったし!」

勇者「勇者の力だ」

エルフ「最後粉々に砕け散ったし!」

勇者「勇者の力だ」

エルフ「そんな……勇者ってどれだけ凄いんですか!?」

勇者「さあな」

エルフ「なんかずるいです、うぅ……全然役に立てなかった」

勇者「だから言っただろう。仲間は邪魔になると」

エルフ「うぅ」

勇者「だが、守ろうとしてくれたことには礼を言う。それで結果的に少しだが節約できた」

エルフ「節約? ああ、魔力ですか。あんなの見せられたらそんなのたいしたことじゃないじゃないですかあ」

勇者「……そうだな、その通りだ」

エルフ「でも、半信半疑でしたけど本当に勇者って強いんですね」

勇者「何だ急に」

エルフ「いや、言ってたじゃないですか。勇者は負けたことがないって。でもじゃあなんでこれまでの勇者は死んだんだろうって思ってましたけど信じちゃいそうです。これだけ強い様を見ると」

勇者「……事実だからな」

エルフ「はぁ……うう本当に私いらないですね」

エルフ「でも魔王城にいかないと……はあ、兄さん」

勇者「兄さん?」

エルフ「あっ」

勇者「今日はここで野宿だ」

エルフ「わかりました。あ! 食事は任せてください! 私得意なんですよ!」

勇者「食事など栄養が取れれば変わらないだろう」

エルフ「なん、ですって……」

エルフ「勇者さんはもしかしてこれまでまともな料理を食べたことないんですか……?」

勇者「そんなことはない。干し肉と野菜は良く食べる」

エルフ「他には?」

勇者「干し肉と野菜は良く食べる」

エルフ「他には?」

勇者「干し肉と野菜は……」

エルフ「ほーかーにーはー?」

勇者「あまり、口にしたことは無い」

エルフ「最初から素直にそう言えば良いんですよ! じゃあ私が作りますから!」

勇者「なんだこれは?」

エルフ「シチューです」

勇者「シチュー?」

エルフ「知らないんですか?」

勇者「名前は聞いたことがあるが……なるほど。これが……」

エルフ「いつもどんなもの食べてたんですか……」

勇者「干し肉と野菜だ」

エルフ「それだけですか。っていうかそれにしたって調理次第で……調理したことって?」

勇者「焼くか生、それか茹でる。以上だ」

エルフ「ダメだ……なんだか勇者さんの食生活が心配だ……」ハア

時間かかりそうなんで速報行ってゆっくりやることにします。
W関係ないです。言われてそいや台詞同じだって思いました。
ではノシ

久々に書いたら時間ばかりかかちゃって上手くいかないから長くできる速報へ行きます。
すいません

勇者「命なんて安いものだ、特に俺のは」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1359468719/#footer)

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom