アルミン「だよね」
ユミルはちらりとアルミンを見た
アルミン「違う?」
返事ではなくタバコの煙がユミルの口から吐き出され、空気に溶けた
アルミン「ユミルはそう思わない?最近なんかちょっと色っぽくなったっていうかさぁ」
アルミン「いや、もともと美の女神顔負けの超絶美少女天使ではあったわけだけどそれはある種の神聖さを伴った禁欲的な崇拝にも似た
ユミル「お前さぁ」
アルミン「おっ、ようやく口を聞いてくれたね」ニヤニヤ
嬉しそうにアルミンは言った
彼は休憩時間の始めからユミルに一方的に話しかけていたがずっと無視されていたのだ
ユミル「これ以上私の休み時間を邪魔すると頭カチ割って脳ミソ蟻にくわせるぞ」
無慈悲にもそう言ってユミルはタバコの先端をアルミンの頭に押し付けた
アルミンは絶叫した
医務室
ユミル「本当にごめん...髪の毛があんなに燃えるなんて思わなかったから」
アルミン「気にしないでよ。誰にでも失敗はあるさ」
アルミンは優しく笑ってみせた
彼は火傷によって頭髪の実に七割を失っていた
ユミル「あんなに綺麗な金髪だったのに...なんて謝ったらいいか」
アルミン「全然気にしてないからさ。それよりさっきの話しの続きだけど」
ユミル「ん、何だっけ?」
アルミン「クリスタがお年頃って話だよ。ユミルはどう思う?」
ユミル「ま、まあクリスタももう15だし、異性に興味が出てきてもおかしくない年頃ではあるよな...ははっ」
アルミン「箸が転がってもおか
しい年頃って言葉があるけどさ」
アルミン「クリスタの場合は、箸でもなんでもいいから突っ込んで欲しい年頃って感じだよね」
ユミル「あ?どういう意味だ」
しおらしかったユミルの目が再び険しくなった
アルミン「クリスタはえっちな事がしたくてたまらない年頃だって意味だよ」
ユミル「何を言うかと思えば下らねぇ。思春期の女なら当たり前のことじゃないか」
ユミル「クリスタがそうだとしても何も不思議なことは
アルミン「いや、クリスタのそれは思春期なんて可愛らしいものではなく発情期と言った方が正しいような代物だよね。ユミルも分かってると思うけれど」
ユミル「...ちっ、気付いてるのは私とサシャくらいだと思ってたが」
アルミン「今はまだ...ね」
アルミン「今はクリスタが我慢しているからいいけれど、このままではいずれ大変なことになるのは目に見えてる」
ユミル「...」
アルミン「そこで提案なんだけど、クリスタを僕の女にする手伝いをしてくれないかな?」
ユミル「は?」
アルミン「今が千載一遇のチャンスだと思うんだよねぇ。お年頃ならぬ落とし頃、いや堕とし頃って感じで」
ユミル「ふざっ、けんなよてめぇ」ドンッ
ユミルはアルミンの残された髪の毛を鷲掴みにした
するとそのまま髪の毛はするりと抜けた
アルミンはこの時点で頭髪の実に九割を失っていた
ユミル「うわっ、気持ちわり」バッバッ
ユミルが手を払うとアルミンの髪の毛が藁のように舞った
アルミン「気持ち悪いはひどいなぁ...」
ユミル「お前...クスリでもやってんのか?」
アルミン「やってないよ。日々のストレスさ」
アルミン「遅かれ早かれこうなる運命(さだめ)だった。だからユミルは気にしないで よ」
ユミル「そうか...ちょっと残ってると逆に気持ち悪いから全部抜いてやるよ」ムシリッ
アルミン「助かる」メリッ
ユミル「なんかお前、別人みたいだな」
アルミン「僕は僕さ」
アルミン「それよりクリスタの事だけど。早くなんとかしなくちゃいけないんじゃない?手遅れになる前に」
アルミン「僕の髪の毛のように...ね」
ユミル「本当にすまん」
アルミン「いや、ほんとぜんぜん気にしてないから!むしろすっきりしたって言うか重荷を下ろしたような清々しい解放感みたいな?皆が綺麗な髪だねってほめてくれるから正直プレッシャー感じてたんだよね、手入れも結構大変だし!」
アルミン「だからかえってゼロからのスタートって感じでほんとむしろ感謝したいくらいだよ!今までの自分に別れを告げて新たな人生を始められるっていうのはほんと得難い経験だと思うしまあゼロからスタートはいいけど永遠にゼロなんじゃねって突っ込むこともできるけどそれは野暮ってもんだよね!人の門出に水を差すんじゃねぇ!!」ハァハァ
ユミル「お、おいちょっと落ち着けよ...な」サスサス
アルミン「ごめん、ちょっと興奮しちゃって」ハァハァ
ユミル「と、とりあえず次は座学だしそろそろ私は行くわ。クリスタが待ってるしな」
ユミルはそそくさとその場を後にした
アルミン「くくく、ユミルがあんなに動揺するなんて初めて見た。まあ僕も小さくない代償を払う結果になったがそれは言うなれば必要経費だ」
アルミン「ひとまず種はまいた。あとはユミルがどう出るか...様子をみるとしよう」
アルミンは不敵に笑った
人々に遠い昔に忘れた何かを思い出させるようなやわらかな風が吹いた
その風は小鳥や虫に優しく手を貸し、名もなき草花を慈しむように撫で、地面に落ちている藁を遠くの街まで運んで行った
アルミンは泣いた
座学の教室ではすでにほとんどの訓練兵が着席しており、近くの席の者と雑談したりしていた
ユミル(まだ先公はきてねぇな)
クリスタ「ユミル、どこ行ってたの?探したんだよ」
ユミル「ちょっと野暮用でな…ま、大したことじゃないんだが」
ユミルはクリスタの隣に腰を下ろし、意味もなくクリスタの肩に腕をまわした
クリスタの柔らかい体の感触と甘い匂いを感じてユミルは思った。ヤりたい。
ユミル(ま…でも今は我慢の時期だ。いずれクリスタは私のモノにして見せるがな)
クリスタ「野暮用ってなんなの?またなんかもめ事起こしたんじゃないよね」
ユミル「いや……単に灰皿を焦がしちまっただけさ」
クリスタ「灰皿を…?っていうかまた隠れてタバコ吸ってたのね!」
教官「貴様ら授業を始めるぞ」ドカドカ
座学は他の訓練科目と比べるとだいぶ平穏で退屈だが、訓練兵たちが講義に取り組む姿勢は立体機動や格闘術のそれとあまり変わらない
ノートのページをびっしりと文字で埋め尽くしているクリスタのような者もいれば、頭の中がクリスタとのセックスの妄想で埋め尽くされているユミルのような者もいる
ヤルやつはヤルし、ヤラナイやつはヤラナイのだ。何事も
教官「…であるからして、優秀な兵士を確保するために大きく門戸を開き…」
突然クリスタは小さな声で「えっ」と言うと顔を赤らめた
ユミルはそれに気付いて何気なくクリスタのノートを覗き込んだ
『…であるからして、優秀な精子を確保するために大きくマ○コを開き…』
ユミル(おいおいおい!!何書いてやがんだクリスタのやつ?)
ユミル(もしかして聞き違えたのか?)
教官「巨人と一戦交えるには…騎乗のほうが適切であるため…」
ユミルは再びクリスタのノートをのぞいてみた
『巨チンと一戦交えるには…騎乗位のほうが適切である』
ユミル(ダメだこいつ…脳みそがマ○コになってやがる)
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