高校2年の頃
幼馴染「俺くんって彼女いる?w」
俺「いるけど」
幼馴染「え?えぇ……え?」
俺「なんだよ」
幼馴染「まじ?」
俺「マジだけど」
幼馴染「マ、マ、マジですか……」
幼馴染「あ!」
俺「?」
幼馴染「……フッ」
俺「なんだその小馬鹿にした笑いは」
幼馴染「その娘の写真、見せてくれない?」
俺「ほれ」(携帯を見せる)
幼馴染「あれ…….」
俺「どうした 」
幼馴染「普通の女の子の写真だけど」
俺「だからその娘が彼女だって」
幼馴染「ア、アニメキャラの話じゃなかったの?!」
俺「………」
高校2年の頃
俺「俺くんって彼女いる?w」
俺「いるけど」
俺「え?えぇ……え?」
俺「なんだよ」
俺「まじ?」
俺「マジだけど」
俺「マ、マ、マジですか……」
俺「これが俺の彼女」
幼馴染「ふーん……」
俺「どうだ?かわいい娘だろ?」
幼馴染「胸は私の方が大きいけどね……」
俺「っ?!ま、まぁ……そうかもしれないけど……」
幼馴染「……髪も私の方が長いけど?」
俺「さっきから何を競おうとしてるんだお前は…?」
俺「小学生の頃の俺とは違うんだよ」ドヤァ
幼馴染「ふーん……」
俺「さよなら暗黒青春時代……こんにちは!リア充ライフ!」
幼馴染「ふーん……」
俺「さっきからなんだよ……。感じ悪いな」
幼馴染「そんなことないけど……」
俺「じゃあ、そっぽ向いてないでこっち向いて会話しろよ」
幼馴染「………」
俺「なに怒ってんの?」
幼馴染「別に……」
俺「相談しなかったことに怒ってんのか?
悪かったって。急に告白されたもんだからさ」
幼馴染「………」
俺「すまんかった!ごめん!な?許してくれよ」
幼馴染「…………」
幼馴染「……これからはあんまり私と一緒にいない方がいいんじゃない?」
俺「はぁ?なんでだよ」
幼馴染「彼女さん、きっと嫌がると思うよ」
俺「あの娘はそんなこと気にしないよ、きっと」
幼馴染「気にしない、って俺くんには言うだろうけど……内心はどうかなぁ」
俺「………」
幼馴染「優しい娘なら尚更自分の本心は言いにくいんじゃないかな」
俺「………」
幼馴染「……彼女さんに余計な心配はかけちゃダメだと思う」
俺「………」
幼馴染「だから……」
俺「……わかった」
幼馴染「うん」
俺「外ではお前と会わない」
幼馴染「……うん」
俺「……代わりにお前の家で会う」
幼馴染「うん……え?」
俺「彼女にばれなきゃいいんだろ?」
幼馴染「ま、まぁ……」
俺「それならお前の家か、もしくは俺の家で会えば済む話じゃん」
幼馴染「………」
俺「……なんだよ。嫌なのかよ」
幼馴染「イヤじゃ……ないけど」
俺「ならなんだよ」
幼馴染「……私としては諦めてちゃんとケジメをつけたいかなー、って思ってさ」
俺「はぁ??ケジメ?諦める??」
幼馴染「こっちの話こっちの話ー」
幼馴染「俺くん」
俺「うん」
幼馴染「俺くんは私と一緒にいたいの?」
俺「い、一緒に?!
それは……なんとも答えづらい質問だなぁ……彼女がいる身としては」
幼馴染「じゃあ、言い方変えよっか。
俺くんは私のそばにいたいの?」
俺「何も変わってないじゃないか……」
俺「………」
幼馴染「………」
俺「……まぁ、いたいかな。一緒に」
幼馴染「わかった。じゃあ一緒にいよう」
俺「……妙にサバサバしてるな」
幼馴染「そう?」
俺「ケジメとかいうのはもういいのかよ」
幼馴染「あれは……まぁ、おいおい考えるからいいよ」
俺「……適当だなぁ」
数ヶ月後
俺「別れました」
幼馴染「は?」
俺「別れたので」
幼馴染「はぁ」
俺「別れたのでこれからは外でも会いましょう」
幼馴染「うん?う、うん……」
幼馴染「……ほんとに別れたの?」
俺「うん」
幼馴染「理由、聞いてもいい?」
俺「………」
幼馴染「………」
俺「……あえて理由を言うなら」
幼馴染「うん」
俺「髪が……短かったから?」
幼馴染「……それなら髪伸ばしてってお願いすればいいんじゃ……」
俺「……まぁまぁ」
幼馴染「いや、まぁまぁじゃなくて」
俺「まぁまぁ」
幼馴染「………」
高校三年生の頃
俺「はぁ!?付き合う!?」
幼馴染「うん」
俺「誰が!?」
幼馴染「私が」
俺「だ、誰とぉ!?」
幼馴染「隣のクラスの吉田くんと。………ねぇ、少し落ち着いたら?」
俺「………」
俺「………」
幼馴染「ということなのでよろしく」
俺「い、いやいやいや。あのっ!」
幼馴染「うん」
俺「………」
幼馴染「………」
俺「………………………………」
幼馴染「……なに?」
俺「いや、まぁ……なんだ」
幼馴染「うん」
俺「……結婚式には、呼んでくれよな……?」
幼馴染「………バーカ」
大学生3年の頃
友達「あ、俺じゃん。よう」
俺「おう」
友達「……大丈夫か?元気か?」
俺「はぁ?なんだよいきなりw元気だよw」
友達「……ん??」
俺「ん?」
友達「……もしかしてお前あの話聞いてないの?」
俺「なにがよ」
友達「幼馴染ちゃんの話」
俺「!?お、幼馴染になんかあったのか!?」
友達「………聞いてないのか?」
俺「だから何が!!」
友達「………」
俺「早く言えよ!!」
友達「……幼馴染ちゃん、結婚すんだってよ」
俺「………」
俺「………えっ」
俺「………………マジ?」
友達「うん」
俺「………………マジかー」
俺「まだ大学生だぞ……?」
友達「そうだなぁ……」
俺「………」
友達「俺よう」
俺「なんだ……」
友達「飲みに行くか」
俺「………今日はちょっと……無理そうだわ……」
友達「わかった。なんかあったら連絡しろよ」
俺「おう……なんかすまんな」
友達「気にすることじゃねーって。それじゃあまたな」
俺「おう……」
それから数ヶ月、数年と時は流れる。
お正月、久々に実家で年越しを過ごすことになった
大学に入学してから社会人になった今日まで、
実家でお正月を過ごすのは初めてのことだった
妹「お兄ちゃーん、年賀状とってきてー」
俺「自分で取りにいけよ……」
妹「ポストまで歩くのめんどくさいー」
俺「……….」
妹「はやくー!!」
俺「……わかったよ」
俺「ほらよ」
妹「ありがとー
……って、うわ!?手冷たっ!?私に触らないで!!」
俺「………」
妹「これは私のでー、これも私の。これはお母さんのでー」
俺「………」
妹「はい、これはお兄ちゃんの」
俺「ん……おうおう」
手渡された一枚のハガキ。誰からだ……?
俺「あ」
俺「幼馴染からだ」
妹「おぉ!先輩から!?懐かしいね~!」
俺「懐かしいなぁ……」
妹「お兄ちゃん先輩といつも一緒だったよねーw」
俺「だなぁ……」
妹「あれで付き合ってないとか悪い冗談だよねー。告白すればよかったのにw」
俺「そうなんだよ……ほんとその通りなんだよぉ……」
妹「お兄ちゃん泣いてる!?きもちわるっ!w」
俺「うるせー!俺がどれだけ幼馴染が好きだったかと言うとだなぁ……」
妹「長くなりそうだからその話要らないー」
俺「……チッ!」
幼馴染の結婚を知らされてから何年も経つ
あの時の衝撃を思い出に押し込められるくらいには、俺も年齢を重ねていた
俺「あー……しかしほんとに懐かしいなぁ……」
妹「先輩もマメだよね~。毎年年賀状送ってくれるんだもん」
俺「ま、毎年送られてたのか?!」
妹「うん」
俺「そうだったのか……」
妹「お兄ちゃん、一度も先輩に年賀状返したことないでしょw」
俺「仕方ないだろ。年賀状の存在すら知らんかったんだから……
こっち帰ってきたのすげー久しぶりだったし……」
俺「あ、そうだ!
新婚さんの年賀状なら、家族写真付きの年賀状なんじゃないか?w
子供と夫婦の3ショットみたいな構図のやつ!」
妹「え……」
俺「……あ、写真プリントされて無いわ。
つーか市販の年賀状じゃねーか!手抜きしやがってあの野郎ー!」
妹「………お兄ちゃん」
俺「ん?」
妹「先輩から聞いてないの?」
俺「へ?なにが?」
妹「先輩、随分前に離婚したんだよ?」
俺「………は?」
妹「聞いてないの?」
俺「聞いてない……」
妹「……メールとかで連絡取り合ってなかったの?」
俺「オレ、あいつのアドレス知らない……」
妹「えぇぇ!?!?十数年の付き合いなのに?!?!」
俺「あの頃はいつも一緒にいたからアドレスを交換するって発想がなかったんだよ!!
家も隣同士だったしっっ!!!」
俺「高3のころにあいつが男と付き合うようになってから
なんとなく疎遠になって……俺は東京の大学に行ったからそのまま音信不通になって……」
妹「そっか……」
俺「離婚……しちゃったのか……」
妹「うん……」
俺「なんで離婚したのかとか知ってる?」
妹「……旦那さんが暴力的な人だったとかなんとかで……
詳しくは知らないんだけどさ」
俺「………」
妹「色々大変だったみたい……ほんとに色々……」
俺「………そうか」
母「ご飯できたよー」
妹「あっ……はーい」
俺「…………」
母「あら?それって幼馴染ちゃんからの年賀状?」
俺「あぁ……うん」
母「毎年毎年マメな子ねぇ………はっ!そうだ。忘れてたわ!」
俺「?」
母「確かこの辺に………あったあった。はいこれ」
俺「……なにこれ」
母「封筒よ」
俺「それは見りゃわかるよ。これがどうかしたの?」
母「前に幼馴染ちゃんから送られてきたのよ」
俺「えっ……!?」
母「あんたが東京の大学に行ってからね、
幼馴染ちゃんから定期的に手紙届いてたのよ」
俺「い……い……言えよ!!!!」
母「こっちに全然帰ってこないあんたが悪いんでしょうが」
俺「うっ……!」
母「あんたが帰って来た時に渡そうと思ってそのまま忘れてたわ。あははは」
俺「こんな束になった封筒のことをどうしたら忘れられるんだよ……!!」
送られていた封筒は全部で10枚。中身は全て手紙だった
内容は日常で起きた極々ありふれたこと。
それこそメールで行うようなほんの些細な出来事
「今日のご飯は麻婆豆腐だった。おいしかった!」とか、
「体重増えたーやばい!」とか、
そんな些細な出来事が書かれていた
まるで昔の俺と会話してるかのように楽しげな文章だった
そして手紙の締めの言葉は決まって、メールアドレスが記されていた
「連絡くれると嬉しいです!」と、下の隅に小さく小さく書かれていた
俺「………」
俺「………」
俺「……メール送ってみようかな」
俺「………『ひさしぶり、俺だけど』……」ポチポチ
俺「………」ポチポチ
俺「………送信っと」
俺「……………………」
ピピコピコピーン!
俺「早っ!?」
俺「………」
俺「宛先のメールアドレスが……存在しない!?!?」
俺「………」
俺「……前向きに捉えよう。きっと深い意味はない」
俺「と、とりあえず、年賀状からあいつの家の住所を探して……」
ドタドタ!ドタドタ!
妹「お、お、お、お兄ちゃん!!!」
俺「うおう!!ど、どうした血相変えて」
妹「せ、先輩から年賀状が届いてる!!」
俺「……はぁ?それならさっき見ただろうが」
妹「そうじゃなくて!!」
妹「そ、そうじゃなくて……ほら!」
俺「これは……幼馴染の名前!?でもこの名字は……」
妹「表側も見てみて!」
俺「………こりゃぁ………」
年賀状の表側。
そこには幼馴染の写った写真がプリントされていた
昔よりも大人びていて落ち着いた様子の幼馴染。
そしてその隣には俺の知らない男が立っていた
裏側に記載された名字は「藺牟田(いむた)」
生まれて初めて見る名字に、
「へぇーこんな名字があるんだなぁ……」と、
俺は全く関係のないことを考えていた
妹「先輩、私とお兄ちゃん宛にそれぞれ別の年賀状を送ってたみたい」
俺「………」
妹「………お兄ちゃん?」
俺「………」
妹「だ、だいじょぶ……?」
俺「………名字が『いむた』?ださい名字……」
妹「………」
俺「だせぇ名字……」
俺「………」
俺「………」
俺「………リアルなんてこんなもんだよなぁ」
END
このSSまとめへのコメント
マジレスすると、女子は「彼女いる?」じゃなくて「◯◯くんの彼女ってどういう人?」って聞くよな