男「おはよう、後輩ちゃん。今日も会いに来たよ」
後輩「ありがとーね、毎日毎日……ごめんね、弟君」
男「気にしないでよ、僕たち、付き合ってるんだしさ」
後輩「えへへへ……新ためて言われると、その、照れますな」
男「告白してきたのは後輩ちゃんからのくせに、何を今更」
後輩「あー! まーた都合良く記憶書き換えてる!」
男「あれ、そうだっけ」
(あいつ、見栄張ってやがったな)
後輩「そう言えばさ、弟君のお兄さん元気?」
男「ん、ああ、兄さん元気だけど、なんで?」
後輩「いや、最後に見たとき元気なさそうだったから、なんとなくかな」
男「あー、いつもああなんだ。僕と違って暗くってさ」
後輩「にしても、なーんで私が病院生活で、一緒に横歩いてた弟君が、こんなにピンピンしてるんだろ」
男「…………」
後輩「弟君?」
男「え? ああごめん。ほんとに、なんでここまで差があったんだろうね」
後輩「逆だったら付きっ切りで看病かしてたのになー。やっぱりなんていうか、女の子が看病側の方が生えると言いますか」
男「ははは……僕に代われに寝込めってかい?」
後輩「そっちの方が、絵になると思わない?」
男「……さあ、どーだろね」
……………
男「とと、じゃあそろそろ僕はこれで、ね」
後輩「ええー、寂しい……逆だったら私、ずーつと側にいるのに」
男「また今度、ね。次はおいしいもの持ってくるからさ」
後輩「むぅ~……。あ、じゃあさ、キ、キスしてよ、キス。今日はそれで、機嫌取られてあげよっかな~なんて」
男「…………」
後輩「ん、弟君? どうしたの?」
男「…………」
後輩「わ、私とちゅーするの、いや?」
男「嫌じゃないよ、ちょっと、最近疲れてて、ぼうっとしてただけだよ」
男(ファーストキスは、嘘と罪の味でした)
男「何やってんだろ、僕」
女「あ」
男「……ああ、女さん」
女「チッ、駅で見たくない顔に会っちゃったわ」
男「それはお互い様かな」
女「こんなところに何をしに来てたのよ?」
男「お見舞いだよ」
女「ああ、そう言えばここ、病院に近かったわね」
男「弟の、彼女のお見舞い」
女「……ふん」
女「じゃあ私、忙しいからこれで」
男「また学校でね」
女「…………」
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