男「幸せは、嘘吐きよりも、正直者が好きらしいね」 (16)

男「おはよう、後輩ちゃん。今日も会いに来たよ」

後輩「ありがとーね、毎日毎日……ごめんね、弟君」

男「気にしないでよ、僕たち、付き合ってるんだしさ」

後輩「えへへへ……新ためて言われると、その、照れますな」

男「告白してきたのは後輩ちゃんからのくせに、何を今更」

後輩「あー! まーた都合良く記憶書き換えてる!」

男「あれ、そうだっけ」
(あいつ、見栄張ってやがったな)

後輩「そう言えばさ、弟君のお兄さん元気?」

男「ん、ああ、兄さん元気だけど、なんで?」

後輩「いや、最後に見たとき元気なさそうだったから、なんとなくかな」

男「あー、いつもああなんだ。僕と違って暗くってさ」

後輩「にしても、なーんで私が病院生活で、一緒に横歩いてた弟君が、こんなにピンピンしてるんだろ」

男「…………」

後輩「弟君?」

男「え? ああごめん。ほんとに、なんでここまで差があったんだろうね」

後輩「逆だったら付きっ切りで看病かしてたのになー。やっぱりなんていうか、女の子が看病側の方が生えると言いますか」

男「ははは……僕に代われに寝込めってかい?」

後輩「そっちの方が、絵になると思わない?」

男「……さあ、どーだろね」

……………

男「とと、じゃあそろそろ僕はこれで、ね」

後輩「ええー、寂しい……逆だったら私、ずーつと側にいるのに」

男「また今度、ね。次はおいしいもの持ってくるからさ」

後輩「むぅ~……。あ、じゃあさ、キ、キスしてよ、キス。今日はそれで、機嫌取られてあげよっかな~なんて」

男「…………」

後輩「ん、弟君? どうしたの?」

男「…………」

後輩「わ、私とちゅーするの、いや?」

男「嫌じゃないよ、ちょっと、最近疲れてて、ぼうっとしてただけだよ」

男(ファーストキスは、嘘と罪の味でした)

男「何やってんだろ、僕」

女「あ」

男「……ああ、女さん」

女「チッ、駅で見たくない顔に会っちゃったわ」

男「それはお互い様かな」

女「こんなところに何をしに来てたのよ?」

男「お見舞いだよ」

女「ああ、そう言えばここ、病院に近かったわね」

男「弟の、彼女のお見舞い」

女「……ふん」

女「じゃあ私、忙しいからこれで」

男「また学校でね」

女「…………」

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