淡「シズー♪」ダキッ 穏乃「うわわっ!」(98)

―――インターハイ・準決勝大将戦

淡(新道寺ちょーいいよマジでっ!)

淡「……私も本気、出しちゃおっかなッ!」ダブリーッ

穏乃「……っ!」

穏乃(やばい……このままじゃ私だけ……)

穏乃(いやいや! 何考えてんの!)

穏乃(今までにもこんな逆境いくらでもあった。でも私は……私たちは、それを全部乗り越えてきたじゃないか!)

穏乃(みんなの想いをムダにしない……そのためにも!)ゴッ

穏乃「……リーチッ!!」

淡「っ!?」ビクッ

淡(あっ……これまずいかも……)

試合終了――――――――!

淡「ねえねえ、穏乃って好きな子とかいるの!?」

穏乃「えっ、いやいないけど?」

淡「ええ~っ! じゃあ私のことは!?」

穏乃「え……あ、あぁ! 淡さんももちろん好きだよ!」

淡「『も』ってなによ『も』って~! まさか浮気~?」

穏乃「ち、違うよ! 私は阿知賀のみんなも含めて、麻雀で知り合ったみんなが好きだから、その……」

淡「……ぷっ、あはは!」

穏乃「えっ? な、なに??」

淡「穏乃ったらほんきで考えちゃって……かわいい!」ムギュ

穏乃「ちょ、淡さん!? からかったの!?」

淡「ふふん、ま~ねっ♪」

淡「あ、それとこれから私のこと『淡さん』って呼ぶの禁止だから。わかった?」

穏乃「う、うん……」ドキッ

これの人か?

『決勝進出は、白糸台高校、そして―――』

『―――阿知賀女子学院!!』

穏乃「ありがとうございました!!」

竜華「うん、お疲れさん」

姫子「ふぅ……ありがとーございました」

穏乃「あ、あの! 白糸台の人も、ありがとうございました!」ペコリッ

淡「……えっ? あ、あぁ! ありがとね」

淡「……」ポケー

穏乃「……??」

―――――――――――――――――――

(阿知賀控室)

ガチャ

穏乃「ただいま戻りました!!」

??「……っ」ダキッ

穏乃「おわっ!」

>>3そうです
続きじゃないけど

穏乃「あ、憧!?」

憧「シズ、やったねっ!」

灼「お疲れ……」

宥「お疲れ様、穏乃ちゃん」

玄「……っ、ぐすん……」

晴絵「ほーら、玄。泣かない泣かない」

穏乃「みんな……」

―――――――――――――――――――

(白糸台控室)

淡「ただいまー」

照「……お疲れ」モグモグ

菫「よくやったな、淡」

淡「え……あぁ、うん」

淡(あの、阿知賀の子……名前なんて言ったっけ)

淡(たしか、高鴨……し、ず……)

淡「……ねえ。阿知賀の大将の子って、名前わかる?」

菫「ん、そんなの聞いてどうする」

淡「いいから!」

尭深「高鴨……穏乃」

淡「たかかも、しずの……?」

尭深「……」コクッ

淡「ふーん……シズノ、かぁ」

淡「ちょっと出かけてくる!」タタッ

菫「お、おいちょっと待……!」

亦野「行っちゃいましたね……」

菫「……淡のやつ、どうしたんだ?」

照「……さあ?」モグモグ

淡「はぁ、はぁ……」

淡(なにしてんだろう、私……阿知賀の控室なんか探して)

淡(でも、なんか無性にあの子に会いたい……会ってお話ししてみたい!)

淡(だっておもしろすぎるじゃん! さっきのあれ!)

淡「あ、ここか……」

コンコンッ

??「はーい、開いてますよー」

ガチャ

淡「こんにちはー!」

憧「えっ?」

灼「あ、白糸台の……」

淡「大星淡ですっ! よろしく!」

宥「は、はぁ……」

晴絵「……白糸台の生徒がここに何の用? もしかして控室間違えた?」

淡「いえいえー、ちょっとそこにいる子とお話があってきたんです」

穏乃「え、私?」

淡「そうだよ、高鴨穏乃さん」ニコッ

淡「ちょっと外出て、私と一緒にお話ししよ!」

淡「……いいですよね、先生?」

晴絵「んー、決勝の対戦校同士が関わるなって規定はないしなぁ」

憧「ちょ、晴絵!?」

淡「よーし、じゃあ決まり! 行こ、穏乃!」

>>6
大真面目にまってた
ありがとう!

ん?何かの続きか何かなん?

憧「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

淡「……なに?」

憧「あ、あんた何が目的!? まさか対戦相手である穏乃に取り入ろうとか考えてるんじゃないでしょうね!?」

淡「はぁ……なにそのいいがかり? そんなことするわけないじゃん」

淡「私は穏乃と二人でお話がしたいだけだよ」

憧「だ、第一シズだってまだうんと言ったわけじゃ……!」

穏乃「憧、心配しなくていいよ。すぐ済むと思うしさ」

淡「やったー!」

憧「……ん、シズがそこまで言うなら」

淡「すぐに済むかは保証できないけどね~♪」

憧「……っ」キッ

>>15違うよ
ただ>>3にあるレスを総合に投下したら、予想以上に反応が良かったんでこのスレ立ててみたってだけ

憧「あんた、変なことするんじゃないわよ!!」

淡「はいはい。んじゃ~ね」

バタンッ

憧「あいつ~……なんかムカつくのよね!」

晴絵「まぁまぁ、何か裏があるわけでもなさそうだしさ」

灼「でも、お話ってなんだろ……」

宥「特に接点があったわけでもなさそうだしね……」

玄「おもちのことについてじゃないかな? ほら、二人ともお胸が小ぶりだし……」

憧「バカなこと言ってないで、玄はドラゴン早く復活させなさいよ」

玄「……はい」

淡「ねえねえ、どこで話そっか?」

穏乃「うーん、話すだけなら控室でもよかったと思うけど」

淡「ダメダメ! 二人で話せるとこじゃないと!」

淡「それにそっちの控室じゃ、さっきの女がすーぐ邪魔してきそうだしっ!」

穏乃「あ、憧はいい奴だよ! そんなことしないって」

淡「……ふーん、穏乃はアコのこと好きなんだ?」

穏乃「好きっていうか……うん、好きだけど」

淡「へえ……それは友達として?」

穏乃「友達として……っていうか、それ以外なんかあるの?」

淡「……」

淡(この子、ほんとのほんとに天然ちゃんなのかも……それはそれでかわいいけど!)

淡「ま、いいからさ。どっか探そうよ!」

淡「あっ! 屋上とかいいんじゃない?」

穏乃「屋上なんかあったっけ……?」

淡「わかんない! だから探そっ!」

―――――――――――――――――――

穏乃「ね、ねえ……勝手に入ったら怒られるって!」ヒソヒソ

淡「もうっ! 穏乃は怖がりなんだから~……大丈夫だって!」グイッ

穏乃「ちょ、引っ張らないでよ! 袖が伸びる!」

ガチャ

淡「わぁ、すっごい広い!」

穏乃「おわ……ほんとだ」

淡「穏乃! 穏乃! こっちきて!」

穏乃「え、なに?」タタッ

穏乃「……わ、すご! なにあれ!?」

淡「スカイツリー、っていうんだよ!」

穏乃「東京タワーじゃなくて!?」

淡「東京タワーはもっとあっち」

穏乃「へえ!」

淡「穏乃ってどこ住んでんの?」

穏乃「奈良県!」

淡「あ、シカいるとこでしょ! 知ってる!」

穏乃「シカかぁ……うちの近くでもたまに見かけるかな」

淡「へえ、奈良って他に何があんの?」

穏乃「う~ん……山かな。あと川?」

淡「ぷっ、山!? それに川!?」

淡「それってなんもないってことじゃん!」アハハッ

穏乃「あ、バカにしたな~!」

穏乃「なんもないけど、その“なんもない”があるんだよ。田舎には」

淡「ほうほう」

穏乃「山は楽しいよ! 動物と遊んだり、木のみ食べたり……」

淡「……ぷっ、くく……」

穏乃「あ、また笑った!」

淡「ご、ごめんごめん! いや、あんまりにも穏乃と山が似合いすぎてっ!」プクッ

穏乃「どういう意味それ~!」

淡「う~ん……穏乃がかわいいって意味?」

穏乃「か、かわ……?」

淡「うん、かわいい」

穏乃「か、か……っ!」

穏乃「か、かわいいとか! 褒めてもなんも出ないからね!」

淡「……ぷっ、あははは!」

穏乃「もう、なんで笑うんだよー!」

淡(やばい……! ちょー楽しい、穏乃と話すの!)

淡「っ、ごめんごめん!」

淡「それよりさ! こんないいとこ来たんだし、お腹もすいたでしょ?」

淡「なんか買ってこようよ! 売店で!」

―――――――――――――――――――

穏乃「ふぅ……食った食った」

淡「え、もー食べちゃったの!?」

穏乃「うん、お腹すいてたし」ポンポン

淡「私まだなんだけど! 穏乃も手伝って!」

穏乃「え、手伝うって……それ大星さんの分じゃん」

淡「いいから! だって急いで食べないと穏乃と話す時間がなくなっちゃう!」

穏乃「食べながら話せばいいのに」モキュモキュ

淡「おぎょーぎ悪い!」

穏乃「……ふぁい」モキュモキュ

―――――――――――――――――――

淡「んでさー! そしたらテルーが帽子の中からお菓子取り出して!」

穏乃「ははっ、意外とおもしろい人なんだね!」

穏乃(……あ、もうこんな時間か)

淡「それでそれでー!」

穏乃「……大星さん」

淡「ん、なに?」

穏乃「ごめん、そろそろ帰らなきゃ」

淡「あっ……」

淡(そっか……そうだよね)

淡(いつまでも楽しい時間は……続いてくれないんだ)

穏乃「そういえば結局、話ってなんだったの?」

淡「話? あぁ……」

淡「……」

淡「なんもないよ」

穏乃「え?」

淡「だーかーらー、話なんてなんもないよ」

淡「しいていうなら、こうして穏乃と楽しくおしゃべりしたかったってだけかな」

穏乃「私と……?」

淡「うん」

淡「……私、白糸台のレギュラーの中でも一人だけ一年なんだ」

穏乃「あ、そういえば」

淡「テルーやスミレのことは好きだよ? すごくかわいがってくれるし。スミレはときどきおっかないけど」

淡「でもね、それでも……」

淡「こうやってなんも気兼ねなく話せる同じ年代の子ってのが、私は欲しかったんだ」

淡「私、あんまし友達いなくって。なんでか知らないけど、クラスでも部活でも嫌われちゃうんだ」

淡「こんなにいい子なのに、失礼しちゃうよね! まったくもう!」

穏乃「……大星さん」

淡「だから、今日はありがと! 穏乃!」

穏乃「……うん、こっちこそ」

穏乃「私も大星さんと話せて、楽しかった!」

淡「そっか……ありがと」ニコッ

淡「それで、そのさ……」

淡「インハイ終わった後も、私とまた会ってくれる……?」

穏乃「う~ん……東京にいつまでいられるかわからないけど」

穏乃「でも、できる限り会いに行くよ! 約束する!」

淡「ほんと!? やった!」

淡「穏乃、大好き!」ダキッ

穏乃「ちょ!」

淡「穏乃~、穏乃~」ムギュ

穏乃「く、くるし……」

淡「じゃあ、次に会うときは決勝だねっ!」

穏乃「うん、負けないよ!」

淡「……」

淡「ふふ、わかった! それじゃあねっ!」

タタッ

穏乃「……」

穏乃(大星さん、不思議な子だったな)

穏乃(なんかずっと前から友達だったような……)

淡『私、あんまし友達いなくって。なんでか知らないけど、クラスでも部活でも嫌われちゃうんだ』

淡『インハイ終わった後も、私とまた会ってくれる……?』

穏乃(あんな安請け合いしちゃったけど……いつかは別れなくちゃいけないのかな)

穏乃(せっかく友達になれたのに……)

穏乃(いやいや! なにマイナス思考になってるんだ、私!)

穏乃「とにかく、決勝では負けない……!」

穏乃「なにより、大星さんやみんなと一緒に麻雀を楽しみたい! 今の私には、それだけだ!」

インターハイ・決勝戦大将戦

解説「ついにこの時がやってまいりました……」

解説「このインターハイも、すべてがここに決着します!」

解説「大将戦、試合開始です!!」

穏乃(大星さん……)チラッ

淡(穏乃、また一緒に遊べるね……)ニコッ

穏乃「……」コクッ

穏乃(よし、やるぞ!)ゴッ

―――――――――――――――――――

解説「あぁ~っと! 白糸台の大星淡、またもや阿知賀の高鴨穏乃に親ッパネに振り込み!」

解説「チャンピオン白糸台、まさかの一人沈み!」

解説「このままいけば阿知賀の優勝となりますが、一体この先どういった展開が待っているのでしょうか!?」

解説「インターハイ決勝、波乱の様相を呈しています!」

―――――――――――――――――――

(白糸台・控室)

菫「淡のやつ、なにをやっているんだ!」ダンッ

照「……様子がおかしい」ポリポリ

菫「そんなのはわかってる! あとお菓子食うな!」

亦野「阿知賀への振り込みが目立ちますね……」

尭深「……というより、阿知賀にしか振り込んでません」

菫「そのくせ、清澄や有珠山からは出あがっている」

菫「まるで……」

―――そう、まるで阿知賀を勝たせようとしているかのようだった

―――――――――――――――――――

穏乃(……張った)

淡「……」スッ

穏乃「なっ……!」

穏乃(あ、アタリ牌……いきなり!?)

穏乃「……ろ、ロン」

淡「……あ~あ、はいこれ」チャラン

穏乃「……っ」

穏乃(なんだよ……なんなんだよ、これ)

穏乃(大星さん……どういうことなの、これは……?)

淡「……ロン、2000」

咲「あ、はい……」

穏乃「……っ」

解説「前半戦終了――――――!!」

解説「前半戦は、それまでとは一転、阿知賀の高鴨穏乃が他を大きく引き離す結果となりました!」

解説「清澄、有珠山の二校はいずれも原点をやや下回り、最下位白糸台の点数はなんと33200!」

解説「この結果を誰が予想していたというんでしょうか――!?」

解説「後半戦にも大、大、大注目です!」

―――――――――――――――――――

咲「ち、ちょっとトイレ……!」

チョコレ「ふぃ~……肩こる」

穏乃「……」

淡「はぁ、たっくさんとられちゃった」

淡「すごいね、しずn」

穏乃「……っ!」ダンッ

淡「っ!?」ビクッ

チョコレ「おわっ!? な、なに!?」

解説「あっと……試合会場でなにやらいざこざが発生しているようですが……」


穏乃「楽しくない……」

淡「えっ」

穏乃「楽しくないよ!! こんなの!!」

淡「……」

チョコレ「ちょ、ちょい落ち着きなって……」

穏乃「大星さんは楽しいの……?」

穏乃「わざと振り込んだり、他校を狙い撃ちしてうちを支援したりして……」

穏乃「本当に楽しいの!?」

淡「……気づいてたんだ」

穏乃「気づくに決まってるじゃん! 私をバカにしないでよ!」

チョコレ「ね、狙い撃ち……?」←気づいてなかった人

淡「……だって穏乃だって勝った方が嬉しいでしょ?」

淡「ほんとは永久に試合が終わらないようにしてやりたかった……だって、この試合が終わったらインハイは終わっちゃう」

淡「それってつまり……穏乃にもう、会えなくなるってことでしょ」

淡「でもまぁ、そんなのは絶対に不可能だから、せめて穏乃に勝たせてやりたかったの」

淡「だって……嫌われるのが怖かったから」

淡「私、なんでも勝っちゃうから……だから周りの人はみんな私を避けていく」

淡「『あいつうざい』『調子乗んな』って悪口ばっか言ってくる……」

淡「悔しいけど、当然だと思う……だって勝てないとつまらないもんね」

淡「……穏乃は、私にできた初めてのお友達。絶対に嫌われたくなかったんだ」

淡「……っ」グスン

淡「だから勝ってもらおうと思った……それだけだよ」

淡「これってなんかおかしい? ねえ、おかしくないよね? 穏乃……」

穏乃「……おかしいよ」

淡「……なんで、どこが!?」

穏乃「全部だよ!」ダキッ

淡「っ!?」

穏乃「私はそんなことされても嬉しくなんかならない! 私だけじゃない、誰だってそうだよ!」

穏乃「大星さんだって、そんなことしててなんも楽しくなかったでしょ!?」

穏乃「それに、私は負けたからって大星さんのこと嫌いになったりしない!」

穏乃「だって楽しいから! 大星さんと話すの楽しいから! 一緒にご飯食べるの楽しいから!」

穏乃「一緒に麻雀打つの楽しいから!」

淡「……っ」

穏乃「もう絶対にこんなことしないで……大星さんらしくないよ、こんなの」

穏乃「準決勝のときみたく、一緒に楽しく打とうよ……そして笑おう?」

穏乃「大星さんが笑ってないと、私だって悲しくなるから……っ」

淡「し、ず……のぉ……うぇっぐ……」ボロボロ

解説「なんというか、一件落着なんでしょうか……?」

解説「とにかく! 間もなく後半戦開始になります!」


淡「……っ」ゴシゴシ

淡(ごめん、穏乃……それに、ありがとっ)

淡(私、しらなかった……こんなに温かい気持ちがあるんだってこと)

淡(みんながみんな、私を悪くいうわけじゃない……ちゃんとわかって、好いてくれる人もいるんだってこと)

淡(思えば、テルー達だってそうだったんだ……)

淡(だから、そんなみんなのためにも……私は今、正々堂々と頑張らなきゃいけないんだっ)

淡(穏乃……本気で行くから)

淡(絶対、負けないよ……!)ゴッ



試合終了――――――――――――――――!

(白糸台控室)

淡「……ただいまー」

菫「……」ゴゴゴ

淡「……ぁ、あの」

菫「……」ゴゴゴ

淡「……その、ごめんなさい……っ」ペコリ

菫「……」ゴゴゴ

照「……菫」ポリポリ

菫「はぁ……もういい、気にするな」ダキッ

菫「よく頑張ったぞ、淡」ギュ

照「……お疲れ」ポリポリ

淡「……うん」

淡(温かい……)

淡(この温かさを教えてくれたのも、穏乃だ……)

淡(ありがと……)ギュ

(阿知賀控室)

穏乃「ただいまー……」

晴絵「おかえり、穏乃」

灼「おしかった……」

宥「うん、もうちょっとだっとよ」

玄「どんまいなのだ」

穏乃「憧も……ごめん」

憧「……シズ、あんたあの子とはどういう関係なのよ」

穏乃「へ? あの子って……大星さん? 別に友達だけど」

憧「と、友達が……」

憧「公衆の面前で抱き合ったりするかーーー!!」ダダッ

穏乃「ちょ、待ってよ憧!」タタッ

憧「逃げんなこらーー!! あと、制服返せーーー!!」

穏乃「じ、じゃあ憧もジャージ返してよ!」タタッ

ガチャ

淡「えっ?」

穏乃「うわぁ!」

ドンガラガッシャーン

穏乃「いたた……お、大星さん!? 大丈夫?」

淡「な、なんなのもう!」

憧「あ、あんたは大星淡!」

淡「あ、みたらし団子!」

憧「違うわよ! ってか、いつまであんたらそんな体勢でいんのよ!」

穏乃「え……あっ」

憧「あんた、シズから離れなさいよぉお!」グイッ

淡「ちょ、私だって穏乃に話があってきたんだからぁあ!」グイッ

穏乃「いたいいたい! 腕もげる!」

―――――――――――――――――――

5分後

憧「はぁ、はぁ……じゃあ10分だけだからね」

淡「さんじゅっぷん!」

憧「ダメよ! そんな長い時間!」

淡「けちんぼ!」

憧「ケチでけっこう! ほら、もう時間は始まってるわよ」チックタック

淡「ああもう!」

淡「行こ! 穏乃!」グイッ

穏乃「あ、待って!」

憧「ちょっと! 10分だけだからねーーー!?」

―――――――――――――――――――

淡「もう、なんなのあいつ! マネージャーかっつーのっ!」

穏乃「あはは……」

淡「ふぅ、これでやっと二人でゆっくり話せるね」

穏乃「そうだね」

淡「……」

穏乃「……?」

淡「ありがと、穏乃」

穏乃「なにがさ」

淡「試合のとき、穏乃が言ってくれたこと全部」

穏乃「私はほんとのこと言っただけだよ」

淡「うん……だから、ありがと」

穏乃「~~~っ!」

穏乃「なんか湿っぽいなぁ! こんなの私たちには合わないって!」

淡「え?」

穏乃「楽しい話しよう! 楽しい話!」

淡「楽しい話!? うん、やろやろ!」

穏乃「うーん……じゃあ、大星さんの髪について!」

淡「私の髪!? これがどうしたの!?」

穏乃「ラーメンみたい!」

淡「ぶふっ! なにそれ!」アハハッ

穏乃「なんかおいしそう~」

淡「寝ぼけて食べたりしないでよ、しz」

淡「あっ!」

穏乃「どうしたの?」

淡「あのさ、あのみたらし団子……」

穏乃「新子憧だよ」

淡「そうそうそいつ! そのアコがさ、穏乃のことシズって呼んでるじゃん?」

淡「私もそう呼んでいい?」

穏乃「別にいいよ」

淡「ほんと? やったー!」ダキッ

穏乃「ちょ、くすぐったいよ」

淡「シズ~」ギュ

穏乃「なにがそんなに嬉しいのさ」

淡「だって、これでシズとの距離がぐっと縮まった感じするしっ!」

穏乃「そういうもんかなぁ」

淡「そういうもんなの! ……あ、そうだ!」

淡「穏乃も私のこと『淡』って呼んで!」

穏乃「え、ぁあ……うん」

淡「ほら、さんしっ!」

穏乃「あ、淡さん?」

淡「ぶっぶー! やり直し!」

穏乃「な、なんか知り合ったばかりだし言いづらくってさ……」

淡「そんなの関係ないよっ! ほらほら!」

穏乃「あ、淡……さん」

淡「ああもう! じゃあとりあえず今はそれでいいよっ」

穏乃「ご、ごめん……」シュン

淡「それじゃ、そのかわり質問が一つあります!」

穏乃「質問?」

淡「うん……ズバリ! シズはだれか特定の好きな子いるの!?」

穏乃「特定の、好きな子……?」

淡「うん、前に言ってたみたいに友達としてじゃなくって!」

穏乃「友達としてじゃない……?」

淡「やっぱりあのアコとかいう子?」

穏乃「憧は好きだよ。けどそれは友達としてだし……」

穏乃「友達としてじゃないって、なんなの?」

淡「うーん……そう聞かれるとむつかしいかも」

淡「そうだなぁ……あっ!」

穏乃「わかった?」

淡「うん、つまりねぇ……」

チュッ

穏乃「っ!?」

淡「こういうこと……かな」

穏乃「な、なにすんのさ!?」

淡「あれ、もしかしてイヤだった……?」

穏乃「いや、イヤじゃないけど……っていうか、その」

淡「……?」

穏乃「つまり……好きって、そういうこと?」

淡「うんっ」ニコッ

穏乃「っ!」ドキッ

穏乃「そ、そんな……まだわかんないよ」

淡「ええー、だってシズもう高1だよ?」

穏乃「そ、それでもだよ!」

淡「……ふーん。ま、それならそれでまだチャンスはあるってことかなっ!」

穏乃「へ?」

淡「なんで~もないっ」

淡「それよりシズ、これからラーメン食べいこ!」

穏乃「ラーメン?」

淡「さっきシズが『私の髪ラーメンみたい!』とか言ったから、無性に食べたくなっちゃってっ!」

穏乃「ああ、なるほど」

淡「私、ここらへんでおいしいとこ知ってるんだ~!」

穏乃「お、おいしいとこ!?」

淡「うんっ! 行きたいでしょ?」

穏乃「行きたい行きたい!」

淡「よーしっ、それじゃレッツラゴー!」

穏乃「あ、でも憧が話すの10分までとか……」

淡「そんなの気にしないっ! ラーメンとアコ、どっちが大事なの?」

穏乃「そ、そりゃあk……」ギュルル

淡「ぷーくく……」

穏乃「ら、ラーメン行こ!」

淡「さすがシズ!」

淡「それじゃよーいドンで競争っ!」タタッ

穏乃「あ、ちょっと待ってよ淡!」

穏乃「って、あっ……名前」

穏乃「……」ドキドキ

淡「なにしてんのシズ~! おいてくよ~っ!」

穏乃「え……ああ、うん! 今行くよ、淡!」



カン

支援ありがとう
今はちょっと寝させてくれ
また今度、淡穏で書こうと思う

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