勇者「魔王倒すまで何度でも蘇る」(770)

王「おお、勇者……死んでしまうとはなさけない」

王「ちなみにお主の死亡数は現在……」

勇者「いや結構。自分の事ですから分かってます、これで私は216回目の復活を遂げたのですね?」

勇者「すぐに次の旅の支度へ取りかかりますので、私はこれにて失礼させていただきます……」

騎士「勇者、早く魔王を討ってくれ!これでは何の為に我々が魔王軍の攻撃を引き受けているのかわからんぞ!」

大臣「魔物どもは遂に侵略の手を広げ始めたのですぞ。北の国は既にもう落とされたとの報告が上がったのだ」

勇者「そ、そんな……」

王「勇者よ、もたもたしておる場合ではないというわけじゃ!どの様な汚い手段でも構わん、魔王をかならずや仕留め、我らの危機を救え!」

王「50Gを渡そう。旅の支度を整える為使うといい」

勇者「えっ、これは少ない……」

大臣「無理を言わないでくれ。これでも精一杯の支援だ」

大臣「いくら何度蘇れようが、早く魔王を討たねば、状況は悪くなる一方。忘れんでくれ……」

勇者「そのお言葉は既に100は聞かされました……い、行ってきます……」

「勇者だ」「あいつまた死んで戻ってきたのか」「何度目だよ!」

勇者「ひのきのぼう、それから薬草を2つ……」

商人「ん……」ポイ

勇者「あっ……投げないでくれ、もっと丁寧に……」

村人「いつなったら魔王倒せんだよ!雑魚が勇者なんて大層な称号ぶら下げてんじゃねー!」ポイ

勇者「い、石も投げないでくれ……」

ガキ「うんこ勇者!どっか行けよー!」ポイ

勇者「ううっ、すまない。すまないみんな……」

僧侶「!」

僧侶「あの方は確か」

神父「おお、神よ!この勇気ある若者へ祝福の光を」

神父「……勇者殿、やはりまたレベルが1に戻られてますな。武器や防具は?」

勇者「知ってるだろ。俺は死ぬと最初の、旅立つ前の状態へ戻されてしまうんですよ」

勇者「体だってそうだ、あの頃のまま、16歳の肉体のままなんです……」

神父「難儀しますな、勇者殿」

勇者「ありがとう神父さま。自分はそろそろ町を出ます。長居すると良い目で見られないので」

神父「気をつけなさい。村の外の魔物は年々強くなりつつある。下手を打てば」

勇者「前回も前々回も、その前も、村から出た瞬間死にましたよ……へっへっへっ……」

僧侶「あの」

勇者「え?」

僧侶「お初にお目に掛ります。私は僧侶というものでして」

神父「勇者殿、この娘は最近こちらに派遣された者でしてな」

勇者「そうなのか、俺にはどうでもいい話だ。お前何か用か……」

僧侶「あっ!いえ、用というわけでは……ただ」

勇者「それなら安易に俺へ話しかけない方が身の為だ。村人たちから何を言われるかわからんぞ」

勇者「では、行ってきます。またお世話にならない為に今度こそ魔王を倒してくる」

神父「そ、そうだな……頑張りなさい……」

勇者「頑張れって言わないでくださいよ。俺、ずっと頑張ってるんですから」

勇者「」タタタ…

神父「瞳があの頃とは変わってしまったなぁ。まるで人形だ」

僧侶「……う、うう」

「ユウシャ、ユウシャダ」ヒソヒソ

勇者(さっさと外に行こう。俺には一刻も猶予は残されていないんだ)

勇者「……」トボトボ

僧侶「お、お待ちください!!」

勇者「さっきの僧侶か……あくまで俺の忠告を聞き入れないんだな」

僧侶「勇者様、その装備と道具の少なさで外へ出られるおつもりですか!?」

僧侶「そ、それに酒場で旅のお供の方を誘ったりは?」

勇者「必要ない。俺は一人でいいんだ、その方が素早く移動できるから」

僧侶「本当に村の外は危険な状態なのですよ!今の勇者様ではスライム一匹ですら歯が立つかどうか……」

勇者「だ、黙れ!!お前は俺を笑いに来たのか!!僧侶如きが何を……!」

僧侶「違います!私はあなたを哀れと思って!」

僧侶「はっ!?」

勇者「……そうかよ。お優しい僧侶さまでいらっしゃるなぁ」

勇者「いいんだよ、俺をそんな風に思わなくてさ。俺は役立たずのゴキブリ勇者なんだからさ」

僧侶「自分を卑下なさらないでください……」

勇者「話はもういいだろう。ほら、周りがお前を変な目で見始めたぞ。さっさと帰れ」

僧侶「あっ、う……」

勇者「なーに俺にはどうせすぐ会える事になるさ。また教会のお世話になるだろうからな」

勇者「じゃあね、僧侶サマ」

僧侶「あれが勇者……あんまりすぎる……」

僧侶「……!」

スライム「ピキー!」

勇者「ひっ……」

スライムのこうげき! 勇者は7ダメージをうけた!

勇者「う、うぐえええぇぇぇ~~~っ!?」

勇者「はぁはぁ、はぁはぁ……おえぇ……!」

ドラキー「ギャオー」

勇者「ひぃ! く、来るな……来ないでくれぇ……いやだぁ……」

ドラキー「ギャー!」

勇者「嫌だあぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!」

僧侶の攻撃! ドラキーは68ダメージをうけた! ドラキーを倒した!

勇者「へ……?」

僧侶「下っていてください 勇者様……」カチャリ

勇者「う、うぐえええぇぇぇ~~~っ!?」

勇者「はぁはぁ、はぁはぁ……おえぇ……!」

勇者「ひぃ! く、来るな……来ないでくれぇ……いやだぁ……」

勇者「嫌だあぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!」


ワロタ

勇者「つ、強い」

魔物のむれをたおした!

僧侶はホイミをとなえた! 勇者はかいふくした!

僧侶「危ないところでしたね」

勇者「お前、何でここにいるんだよ……」

勇者「俺をどこまでコケにすりゃ済むんだよ!雑魚に強さ見せつけて優越感に浸りに来たのか!」

僧侶「いいえ、違いますよ。手助けに来たんです。言った通り村の外は危険だったでしょう?」

僧侶「勇者様、あのままではまた死んでしまうところでしたもんね?」

勇者「うるさいんだよ……手助けだ?」

勇者「仲間はいらないって俺はお前に言ったはずだ。邪魔なんだから帰れよ」

僧侶「お断りさせていただきます!」

勇者「……」トボトボ

僧侶「……」スタスタ

勇者「何度言わせる帰れ小娘!邪魔と言ったのが理解できないのか!」

僧侶「邪魔にならない自信が私にはあります。気に食わないのなら無視なさればよろしいではありませんか?」

勇者「このガキ……大体教会はどうした!職務を果たさなくていいのか!」

僧侶「えっと……確かに神父さまには黙って出て行ってしまいましたが」

僧侶「勇者様の助けとなるのなら、あの方も御許しになってくれるはず!」

勇者「だとしても俺が許さない。仲間は必要ないんだ」

勇者「いたって、無意味なんだよ……!!」

僧侶「そうでしょうか。一人よりは二人、です。人間皆助け合っていかなくてはいけませんよ」

勇者「知った気でいるなよ!!冗談じゃねぇ!!」

僧侶「ああっ、走らないでくださいよ!魔物に襲われて死んでしまいます!」

勇者「畜生ぉーっ!!」タタタ…

僧侶一人で魔物のむれをたおした! 勇者はレベル2になった!

勇者「むっ!」

僧侶「あっ、おめでとうございます。これで少しは強くなれましたね!」

僧侶「この先の戦闘もしばらくは私にお任せしてくださいな。勇者様は隠れて見ているだけ大丈夫ですから」

勇者「うるさいうるさい……僧侶のくせに……」

僧侶「くせにって何ですか。あなただって勇者のくせに!です!」

僧侶「何故あそこまで勇者様は弱いんです?正直言ってあれは戦いというよりイジメの光景でした……」

勇者「うっ!?」

僧侶「いくらレベルや装備が最初の状態へ戻るといっても、多少は武器も振れるはずかと」

僧侶「もしかして、今まで村の外へ出た時点で死にまくっていたとか」

勇者「しつれいな事を言うんじゃねぇ!!魔王城まで3度は辿り着いた!!」

僧侶「え!?それで!?」

勇者「うがァーッ!!」

勇者「別に武器がまともに振れないわけじゃない……」

僧侶「何か理由が?」

勇者「……単純に、魔物に対して恐怖心が沸いてきてて」

僧侶「それで、武器はあるにも、魔物と戦えないと?言わば魔物恐怖症ですか」

勇者「死はもう恐れてない。ただ、奴らがすごく怖い。それだけなんだ……!」

勇者「もういいだろ。こんな情けない勇者放って帰れよ。愛想も尽きてきただろ」

僧侶「いえ、むしろ守ってあげなきゃいけないと思えてきましたよ?」

勇者「ガキがぁぁぁぁ~……!!」

僧侶「少しづつ克服していきましょう?だから、戦闘は私だけに任せていただいてよろしいんですから」

僧侶「さぁ、行きましょう勇者様。次の町までどれぐらいレベルが上がるか楽しみですね~!」

勇者「何なんだよこの僧侶は……」

僧侶「やりましたね勇者様!もうレベルが5になってますよ!」

勇者「だがこれでは今の魔物たちには歯が立たないんだろう……? ていうか、魔物を見たくない」

僧侶「そ、そのようなこと言われては魔王を討てませんではありませんか」

勇者「き、今日はこの町の宿で休もう。お前は今から帰れ」

僧侶「お断りします」

勇者「うるせぇ!俺の言う通りに帰っておけ!酷い目見るぞ!」

僧侶「勇者様は何度もその酷い目を見てきたのでしょう?ならば、これぐらいヘッチャラです」

勇者「知った気になって、これだからガキは嫌いなんだ……!!」

勇者「オヤジ、一晩宿泊したい。いくらだ?」

宿屋「あなたは勇者様ではありませんか!いやぁ、一晩なら60Gで構いませんが」

勇者「何だと……」

僧侶「はい、60Gです」

宿屋「どうもー。部屋は二階のどの部屋でも構いませんぜ?」

僧侶「ですって。行きましょ、勇者様」

勇者「……あ、ああ」

僧侶「ほら、お金もないんですし、やっぱり私を連れて行った方が」

勇者「くそっ!」

僧侶「勇者様?どちらへ?」

勇者「酒場だ。これが飲まずにやっていけるか!酒だ、酒!」

僧侶「お酒って……勇者様まだ子どもじゃないですか!」

勇者「俺が?そりゃ見た目だけさ、俺は26だ。26歳!既に成人している!」

僧侶「うそ!?だ、だってどこからどう見ても10代後半ぐらいにしか……」

勇者「うるさいな……じゃあな、お前は寝るか帰りな」

僧侶「ていうかお金ないでしょう?」

勇者「……」

僧侶「わかりました。今回だけは私がお支払いしますよ」

勇者「くそぉ……くそぉ……!」

勇者「うー……酒はいい……唯一のオアシスだ~……!」

僧侶「本当に26歳?冗談のようにしか聞こえませんがねぇ……」

僧侶「だって、そうなると16の時に旅立ったとしたら、10年も時が経っているではありませんか」

勇者「……」

僧侶「あなたはこの10年間ずっと戦ってきたのですか?」

勇者「酒もっとくれ~!!酒を~!!」

僧侶「ゆ、勇者様……」

勇者「……俺がどうして勇者やってるか分かるか」

僧侶「え?」

僧侶「そ、それは血筋とか、剣の腕が凄まじいとか」

勇者「惜しい、前者が近いな。俺は昔から神のご加護とやらに守られて生きていたらしい」

勇者「それでこの不死身の体だ。何度殺されようが自分の状態だけリセットされ、元のスタート地点へ帰れる」

僧侶「は、話だけなら聞いていましたが、まさか事実だったなんて」

勇者「俺はお前がチビガキの頃から魔王暗殺の旅をしてたってわけだなぁー」

勇者「……俺はよぉ、正直死にたくて堪らないんだよ」

僧侶「そんな事仰らないでください……!」

勇者「死んでも、死んでも終わらないし、益々状況は悪化していくだけ。何度も自殺を図ったこともある」

勇者「でもさぁー……結局はスタート地点で復活してんだ、俺ー……」

僧侶「う、うう」

勇者「イヒヒヒヒヒ……へ、へへへへ、へへ……」

勇者「魔王にとって、俺は殺して殺しても向かってくる無謀なバカにしか見えないんだろうなぁ!」

勇者「しかもなんか魔物恐怖症とかなってるし、お陰で雑魚いし!」

僧侶「で、でしたらこんな旅を止めて、何処か暮らせばよいではありませんか」

僧侶「静かに何処かで。今まで頑張った分、休みましょうよ?」

勇者「俺さ、ここ10年間自棄になって魔王討伐の旅してたろ。それさ、もう俺の人生なんだよ」

勇者「正直逃げ出してもいいとは思ってる。だけど、それからする事なんて俺には何も思いつかないんだわ」

勇者「そしたらもう、腐ってくだけじゃん。しかも俺死ねないんだぜ!?周りは死んでいくけど、俺は老衰でもしなない!」

勇者「仮にまた自殺でもしたら肉体は再び16歳へ戻るんだ。気持ち悪ィよな、それってよぉ……」

僧侶「え、えっと……えっと……!」

勇者「俺は神の加護に守られてるんじゃない。呪われてんだ」

勇者「だから、この呪いが解けるか分かんないけど、俺は魔王を倒す。それだけが俺の生き甲斐なのさ」

僧侶「あんまりよ、そんなの……ひどい」

僧侶「よいしょ」

勇者「くかー……」

僧侶「勇者様、すごく軽かった。心が疲弊し切っているから体にも影響があるのかな」

僧侶「弱いとか酷いことを言ってしまったわ、私……明日ちゃんと謝らないと……!」

戦士「おい、そこの姉ちゃん。大丈夫か?男を背負ったりして」

僧侶「あ、はい!お気遣いなく!」

戦士「そう?まぁ夜道は暗いか気をつけて歩きな―――お、おい!」

戦士「その男、まさか勇者じゃねぇか!?」

僧侶「そうですけど……それが何か?」

戦士「この野郎ッ!!」グイ

勇者「いたっ!?」ドサ

僧侶「ああっ、何をするんですか!?」

戦士「てめぇ、この悪魔め!」

勇者「ひ、ひぃ……」

僧侶「暴力はやめてください!この方は勇者様なのですよ!」

戦士「それが大問題なんだよ!この男は俺の姉を殺したんだ!」

僧侶「えっ!?」

勇者「違うんだ……」

戦士「俺の姉も戦士だったんだがな、昔こいつの仲間だったんだよ……!」

戦士「姉はな、魔物たちに恥ずかし目を受けた上に嬲り殺された!!」

戦士「聞いた話だと、お前も、他の仲間も殺されたようだが、こいつはのうのうと生きてやがる……」

僧侶「そ、それはあなたの」

戦士「逆恨みって事はわかってる。だが許せねぇ、何だよこいつは……!」

勇者「すまない、すまない、すまなかった……」

戦士「くそっ!!」バキィッ

勇者「うっ……」

僧侶「ああっ!?」

勇者「いてて……あの野郎ボコボコに殴りやがって……」

僧侶「すぐにホイミを唱えますから」

勇者「いらん。ここで回復したらあの男に示しがつかないだろう」

勇者「殴られただけで済んだ事を幸運と思って、今日はもう宿で寝る」

勇者「せっかく良い感じに酔えてたのに、お陰冷めちまった」

僧侶「勇者様……」

勇者「これからこういう事がまだ続くかもしれない。だからお前は帰れよ」

勇者「仲間はいらないんだ。あいつら死んだら終わりだから」

僧侶「そうですけど……でも」

勇者「今日はありがとう、僧侶の娘。金まで出して貰ってさ。いつかかならず返す」

勇者「おやすみ。朝になったら一人で宿を出て行ってくれて構わないからな。んじゃ」

僧侶「……」



勇者「お前、どうしているんだ」

僧侶「守ってあげたくなったと昨日お話しましたよ」

僧侶「私は一度決めたことは、そう簡単に曲げたりする性質ではありませんので!」

勇者「バカかお前は!あるいは阿呆か!?冗談じゃない……」

僧侶「一緒に魔王を倒しましょうね、勇者様。真の目的はどうあれ、10年もの時を掛けてきたこの旅を終わらせましょう」

僧侶「それが私の勇者様への失言の償いであり、目的です!」

勇者「バカガキめ……帰れ!!」

僧侶「さぁ、今日も張り切って行きましょー!今日はいっぱいレベル上がると素敵ですね!」

勇者「うるさい!」

僧侶「ご、ご無事でしたか、勇者様!?」

勇者「はぁはぁ……こ、怖かったぁ……!!」

僧侶「申し訳ありません。私としたことがスライム一匹を取り逃してしまうなんて」

勇者「謝られても困る!俺はお前に魔物を倒せと頼んじゃいないんだからな!」

勇者「……とりあえず、手引っぱってくれないか。腰が抜けて一人で立てないのだ」

僧侶「あらあら、よっこらせ」

僧侶「何とか魔物恐怖症を治さなければですね。これでは今後がまた大変ですよ」

勇者「努力しますよ……」

「きゃあー! 助けてー!」

僧侶「勇者様、今の聞こえましたよね?向こうで女の人の声が」

勇者「気にするな。行くぞ!」

僧侶「えっ」

勇者「俺の目的は魔王だけだ。他のことに見向きしている余裕はない」

僧侶「それでも勇者ですかあなた!襲われている人がいるかもしれないのですよ!?」

勇者「それがどうした。何処かで魔物に襲われてる人間は幾らでもいる。魔王を倒せばそいつらは救われるんだ」

僧侶「だからその犠牲になれと!?そんなのダメですっ」タタタ…

勇者「おい! くそぅ……」タタタ…

女「助けてぇー!!」

盗賊「ギャーギャー喚くんじゃねぇ静かにしろ!そんで食い物寄越せ!」シャキーン

女「いやあああぁぁぁ~~~!!」

僧侶「あれは……魔物じゃない。でもやっぱり襲われてますよ!」

勇者「夜盗か、いいじゃないか別に放っておいて。あの様子なら食い物に困ってんだろ」

僧侶「そういう問題では!」

女「あっ……旅の方!どうかお助け下さい!」

勇者「それ見ろ、お前が大きな声出すからばれちゃったじゃないか!」

僧侶「はい!今すぐ助けます!」

勇者「おい!」

盗賊「あーん?何だ、貧弱そうな野郎どもだぜ。近づくとこの女の首を掻っ切るからな!?」

僧侶「ダメです!早まらないで!」

勇者「ふー……」スタスタ

僧侶「勇者様も帰らないでください!!」

盗賊「へっ、貧弱の上にタマ無しと来たもんだ。男のくせに度胸もねーなぁ」

勇者「食い物女から巻き上げようとしてる屑野郎にだけは言われたくねぇな!!」

盗賊「なんだとぉ!」

勇者のこうげき! 盗賊はきぜつしてしまった!

僧侶「えっ!うそ!」

勇者「ざまぁみろ!バーカ!」

女「あ、ありがとうございますぅ~!本当に、本当に助かりましたぁ~!」

僧侶「いえいえ!お怪我もされてないようで良かったです!」

勇者「おい、もう行くぞ。じゃなきゃ置いて行くからな!」

盗賊「うっ……」ぐ~

勇者「何だ今の変な音は?」

盗賊「お腹へったよぉー……」ぐぐ~~

僧侶「この人、本当に飢えで苦しんでいるみたいですね」

勇者「放っておけ。それか雑草でも食うように言っておくんだな」

勇者「初めに言っておくが、これ以上そいつに関わるなよ。面倒だ!」

僧侶「そういうわけには……」

盗賊「……」ぐ~

僧侶「ほら、こんなにお腹が鳴っています。餓死してしまったら大変」

勇者「知るかそんな屑の事なんぞ。なんなら自分の肉でも食わせてやるんだなー」

僧侶「勇者様ぁ!!」

勇者「……ん」ス

盗賊「えっ」

勇者「人様にこれから迷惑掛けないと約束できるなら、このパンをやろう。どうする?」

盗賊「うう、約束します……だから」

勇者「ほれ!」ポイ

僧侶「何だかんだ言って助けるんじゃないですかぁ」

盗賊「うめぇ、うめぇよぉ~~~……」ガツガツ

僧侶「良かったですね。これからは真っ当に生きてくださいよ?」

勇者「屑がそんな簡単に更生できるわけないだろう」

僧侶「じゃあさっきの約束は何ですか!」

勇者「ただでやるには惜しい美味いパンだったからな。ふん」

盗賊「ふいぃー!腹ぁいっぱいにさせて貰ったぜー!」

盗賊「この恩は一生忘れねぇからな!兄貴!」

勇者「今の俺を呼んだんじゃないだろうな……」

盗賊「兄貴は兄貴だろ?へへ、俺このままじゃ済ませられねぇや。なぁ、兄貴!」

盗賊「俺を弟分として旅の仲間に加えてくれ!きっと役に立ってみせるからさ!」

勇者「……おいおい」

僧侶「ほら、仲間になりたがってるみたいですよ」

盗賊「えへへっ♪」ニカァ

勇者「……おい」トボトボ

盗賊「ん?俺を呼んだかい兄貴ィ~!」

勇者「誰がお前をいつ仲間に受け入れた?邪魔だ、帰れ!」

僧侶「私が許可しましたけど」

勇者「はぁ!?」

僧侶「私も勇者様から公式に仲間へ認められたわけではありませんし、とりあえず私の仲間ってことで」

盗賊「そういうわけさ。僧侶姉ちゃんは話が分かる人間で助かるぜ~♪」

勇者「ガキどもがぁ……!!」

盗賊「おっと、兄貴!そこでストップだ!」

勇者「はぁ?」

盗賊「よーく耳澄ましてみな。魔物の足音が聞こえてくる……いっぱいいるぜぇ……」

勇者「ひぃん!?」

僧侶「早速役に立っていただいてますね。魔物嫌いの勇者様には絶好のお供じゃないですか?」

勇者「う、うるさい!道を逸れて進むぞ!」

盗賊「へぇー、兄貴ってあの有名な勇者様なんだ。なんか納得だぜー」

勇者「何がだよ?」

盗賊「だって、俺のピンチを助けてくれたヒーローだったからな!」

僧侶「実際に助けようとしたのは盗賊さんの方じゃないですけどね」

盗賊「えへへ……ていうか勇者なら魔王退治が仕事じゃん。カックイー!」

勇者「そうかよ……言ってろ脳無しバカめ……」

僧侶「そろそろ森を抜けますね。そしたらすぐに町が見えるはずですよ」

盗賊「俺は町の外で兄貴たちを待ってるよ。汚い恰好してるし、たぶん嫌がられるもん」

僧侶「その時は私たちでなんとかしますから。一緒に町に入りましょ?」

盗賊「……兄貴ぃ?」

勇者「俺は、知らないからな!そこの娘に何とかしてもらえよ!」

僧侶「今夜の宿を安く取れて良かったですね。食事も出していただけますし」

盗賊「きっと兄貴のオーラに負けたんだぜ、あの店主!さすが勇者の兄貴ぃ!」

勇者「どうでも良いが、あまり人が多い所では俺を勇者勇者と呼びまくるなよ」

勇者「これでも隠密行動中なんだ。どこに魔王のスパイが潜んでいるか分からない」

僧侶「それは経験談ですか?」

勇者「まぁ、そんなところだよ」

盗賊「へ~!兄貴は何でも知っててすげーや!」キャッキャ

僧侶「ふふ、それでは私お風呂で体を流してきますので。勇者様たちも行かれてはどうです?」

勇者「風呂があるなら今のうちに入っておくか。ほれ、行くぞバカ」

盗賊「え!? あ、うん……兄貴……」

勇者「ん?」

盗賊「……」

勇者「あれ、お前どうした。風呂入らないつもりか?見た目通りの汚れキャラってやつだなぁ~」

盗賊「えっとー……そのぉ」

勇者「何モジモジしてんだ気色悪ィな。風呂は服脱いで入るもんなんだよ!入る気ないなら出ろ!」

盗賊「入りたい。入りたいけどぉー、兄貴ぃー」

勇者「はぁ?意味分からんガキだな……」

盗賊「俺、その……女……」

勇者「えっ」

勇者「ウソだろそれー?」

盗賊「ウソじゃねーよ!これでも女!も、もういい……俺、僧侶姉ちゃんのとこ行くからな!」

勇者「えー……本当なら俺、女の子ひのきのぼうで思いっきり殴ったのか……ショックだ」

僧侶「もう!盗賊さんに何言ったんですか、彼女泣いてましたよ」

勇者「えぇ……」

勇者「お前だってあいつ風呂入るまで女だって気付かなかっただろ!」

僧侶「そんなわけないでしょう!勇者様だけです!」

勇者「うそつけ!絶対違うな!」

僧侶「はぁ、勇者様って精神年齢だけは老けないんですかね。すごく子どもっぽいですし」

勇者「ガキが大人おちょくってるんじゃない。こっちは嫌々お前らガキの保護者してやってんのに!」

勇者「いいっ、もう寝るから明日の朝起こせよ!」

僧侶「ああっ……まったく。本当に子どもっぽい人なんだから」

盗賊「僧侶姉ちゃん……兄貴、怒ってるの……?」

僧侶「いいえ、大丈夫ですよ。それにしても最初に出会った時と比べて少しイキイキしてますね、勇者様」

盗賊「んー?」

次の日

僧侶「勇者様?あの、そんなにくっつかれると動き辛いのですが」

勇者「」ヒシッ

勇者「だってこの洞窟あっちこっちから魔物の声が聞こえるんだぞ……普通に怖いだろ……」

盗賊「兄貴カッチョ悪ぅ~……」

盗賊「ていうか兄貴ってどうしてそんな魔物怖がるわけ?怖いのは分かるけど、兄貴のは異常モンだぜ」

僧侶「踏み入ったことをお聞きしますが、もしかして、過去に仲間を殺されたことと何か関係があるのですか?」

勇者「……」

僧侶「今後魔物恐怖症を克服するためにも聞いておいたいい話かもしれませんし、教えていただけませんか」

勇者「うるさい……」

盗賊「兄貴の顔すっげぇ真っ青になってるぞ?大丈夫か!?腹でも痛むのかよ!?」

僧侶「勇者様、どうか。ここまで一緒に来た仲ではありませんか。ね?」

勇者「うるさいって言ってるだろ。俺は昔話する趣味は持ち合わせてないんだ」

僧侶「そ、そろそろ信用してくださっても」

勇者「黙れ!これ以上俺の中へ土足で踏み込むつもりなら、お前たちとはここで別れる!」

盗賊「あ、兄貴ぃー!何変なこと言い出すんだよ?この奥魔物いっぱいいるんだぜ!?」

僧侶「そうですよ。勇者様お一人でこの先を進むには無理があります!私たちがいないと!」

勇者「お前たちと一緒にいても俺が惨めになるだけだ。じゃあな、とっとと引き返すこった」トボトボ

盗賊「ああっ、ちょっと! 兄貴待ってよぉ~!」

面白い

盗賊「兄貴、あんなに怖がってたのに一人で走って行っちゃったぜ……?」

僧侶「ただの強がりだとは思いますが、心配です。後を追いましょう」

僧侶「少しは私たちに気を許してくれたとばかり思ってたけど、まだ全然だったんですね……」

盗賊「ええっ、俺まだ兄貴に弟分として認められてなかったのか!」

盗賊「僧侶姉ちゃん、兄貴昔なんかあったのかよー?それなら俺兄貴の心の支えって奴になってやりたいんだぜ!」

僧侶「それは私も同じです。ですが……そうだ」

僧侶「町へ着いたらお酒を勇者様にいっぱい飲ませましょう!あの人酔うとベラベラ自分の話をしますからね!」

盗賊「おぉー!僧侶姉ちゃんがそう言うならマジなんだろーな!やろうぜ、やろうぜ!」

盗賊「……それはそうと僧侶姉ちゃん。今ここどこだ?俺たちどの辺り歩いてんのかなぁ」

僧侶「えっ」

盗賊「何だか同じ所をぐるぐる周ってる気がするんだぞ。迷路みてぇでおもしれーなっ」

僧侶「あ、あれ!?本当だ!この辺りさっきも通った気が……」

盗賊「兄貴はもう外出れたのかなぁ。だとすれば流石の勇者兄貴って感じだ!」

僧侶「確か、勇者様は以前何度もこの洞窟を通ったとか仰っていたから、道は分かるのかと」

僧侶「完全に道に迷ってしまいました……ゆ、勇者様ぁ~……」

盗賊「お、俺たち迷子になっちゃったのか!?やべぇよ、僧侶姉ちゃん!」

僧侶「ええ!やばいです!勇者様を頑張って呼び続けましょう、もしかしたら戻ってきてくれるかも!」

僧侶「勇者様ぁー……道に迷いましたぁー……助けてー……!」

盗賊「兄貴ぃー! 兄貴はどこだぁー……俺、おしっこ漏れそうなんだよぉー……」

僧侶「えっ!?」

盗賊「ぐすんっ……」

「がるるるる」

ベビーサタンのむれがあらわれた!

僧侶「ま、魔物!こんな時に!」

盗賊「僧侶姉ちゃん!後ろにもいっぱいいるぜ!」

ベビーサタン「ヒヒッ」

ベビーサタンはザラキをとなえた!

僧侶・盗賊「!?」

しかし、なにもおこらなかった

僧侶「油断はできません。強敵ですよ、強力な魔法をいくつも使ってくる魔物ですから……」

ベビーサタンはイオナズンをとなえた!

ドォーン

僧侶「きゃああああぁぁぁ!!」盗賊「うぎゃあぁ~~~!?」

ベビーサタン「キキッ

僧侶「う、ううっ……」

盗賊「やばい、やばすぎるぜ……しんじゃうかも……」

盗賊「僧侶姉ちゃん……おれ、もう無理……」

僧侶「あ、諦めないで……私がベホイミを唱えますから……そしたらすぐに逃げ」

ベビーサタンのむれが いっせいにおそいかかってきた!

僧侶・盗賊「!?」

ベビーサタン「キキーッ」

勇者「うわああああああああぁぁぁぁぁ~~~~~~!!」

ベビーサタン「?」

勇者「こ、ここ、こっちだ魔物どもめ! そっ、そんな雑魚は放って俺に全員かかって来い!」

僧侶「勇者様……?」

ベビーサタンのむれは 勇者へ ちゅういがむいた!

ベビーサタン「キーッ!」

勇者「っ……!」ガタガタ

ベビーサタンのこうげき!

勇者「次は217度目だっけな……」

ベビーサタン「ギェっ…」

盗賊のこうげき! 盗賊はベビーサンタをたおした!

勇者「えっ」

盗賊「僧侶姉ちゃんの魔法で全回復した!兄貴のお陰だぜ!」

盗賊「あとは、兄貴。俺たちに任せときなぁ~……」シャキーン

僧侶はマホトーンをとなえた!

僧侶「敵の魔法は封じました!盗賊さん今のうちに魔物を!」

盗賊「全部やっつけてやるぜ。兄貴、俺の勇士を見届けてくれぇー!」

ぼかすか、ぼかすか

勇者「……」

勇者はレベルがあがった!

盗賊「ひー、ひー、疲れたぁ。ていうか兄貴!今レベル上がったぞ!」

僧侶「今日初めてのレベルアップですね。おめでとうございます」

勇者「お、おう……」

勇者「お前ら、何も言わないのか。怒らないのか」

僧侶「怒る必要があればそうしますが、全くその心当たりはありませんよ?」

僧侶「むしろ、お礼を言わなければいけません。助けてくれてありがとうございました。そして、さっきはすみません」

盗賊「俺もありがとうだぞ兄貴!!さっきは滅茶苦茶かっこ良かったぜ、やっぱり俺の兄貴は兄貴だぁー!」

僧侶「それどういう意味ですかね?」

勇者「……置き去りにしようとしたのに、何で「ありがとう」なんだよ」

僧侶「だって、結局は助けに戻って来てくれたではありませんか。勇敢でしたよ」

勇者「……」

腐っても勇者

盗賊「結局兄貴が勇敢だったのはあの一回だけだったなー。あとは全部僧侶姉ちゃんの後ろに隠れてるんだもん」

僧侶「まぁ、完全に克服できたわけではありませんし、仕方がないですよね?」

勇者「ガキに慰められたくない」

僧侶「次は魔物と戦闘できるぐらいになれれば良いですねっ」

盗賊「戦うのいいけどさぁ……兄貴の装備じゃだいぶ苦戦しちゃうと思うんだよねぇ~」

僧侶「あっ、まだひのきのぼう!」

勇者「へ、へへ……どうせ俺戦ってないし、武器も初期のままで十分だろうよ……」

盗賊「でもそんな棒っ切れで魔王倒せんのか?いや、兄貴なら本気出したらそいつで十分なんだろーな!すげー!」

勇者「あんまり持ち上げられても困るんだが。常識的に考えて木の棒じゃ太刀打ちできん」

僧侶「でしたら、丁度町の中ですし、勇者様の装備を整えましょうか。お金も魔物からいっぱい巻き上げましたからね!」

盗賊「せっかくだから兄貴らしく超カッコいい剣とか買っちゃおうぜぇ~!」

勇者「らしくって何だ。せめて勇者らしくと言えよ。大体お前……」

?「勇者……? お前、あの勇者か? 生きていたのか!」

勇者「!」

読んでる人悪い。寝る
8時半ぐらいに残ってれば続き書く。スレ落ちたら落ちたで

立て直すんですね

>>85
そうだな。機会があれば製作速報の方にかな

あっち行ったら完結しそうにないんだよな

置いとく

新・保守時間目安表 (休日用)  
  00:00-02:00 10分以内  
  02:00-04:00 20分以内  
  04:00-09:00 40分以内  
  09:00-16:00 15分以内  
  16:00-19:00 10分以内  
  19:00-00:00 5分以内  

  新・保守時間の目安 (平日用)  
  00:00-02:00 15分以内  
  02:00-04:00 25分以内  
  04:00-09:00 45分以内  
  09:00-16:00 25分以内  
  16:00-19:00 15分以内  
  19:00-00:00 5分以内

わざわざ保守してくれたのか。ありがとう
ぼちぼち書いてく

盗賊「僧侶姉ちゃん。あの商人の兄ちゃん兄貴の知り合いなのかなぁ?」

僧侶「さぁ……。でもそんな様子ではありましたよね。もしかしたら昔の仲間の人かも」

盗賊「昔ってー、兄貴いつから勇者やってんだよ? ぶっちゃけ俺と歳変わらないだろー」

僧侶「えっと~」

盗賊「むぅ、まだ俺にだけ隠してる話あるんだな!? そういうのずるいぜ!」

僧侶「いやずるいって……」

僧侶「ほらほら、そんな事よりどれが勇者様に合う防具か見てくださいよ」

盗賊「それならコレだなっ!」

僧侶「あら、盗賊さんセンスありませんね」

盗賊「えぇー? わっかんねーなぁ……」

商人「久しぶりだな。もうあの頃から3年は経つのかな」

勇者「そんな実感は俺にはないな。だけど、お前が生きてて良かったよ」

勇者「町の再建はしっかりいったのか?」

商人「ああ、お陰様で。だけど悪いな、俺の我儘でお前たちから勝手に離れちゃってよ」

勇者「気にする事はないよ。こっちこそ俺の勝手でお前には付き合って貰っていたんだからな」

勇者「……それより、話は聞いていないのか」

商人「ん? 何の話さ。戦士や魔法使い、それに武闘家ちゃんのことかい?」

勇者「うっ……」

商人「仲間は皆死んでいるのに、お前だけは生きてる。だから責めないかと」

商人「責めるわけねーだろ。お前はみんなの分まで今もこうして旅を続けてるんだろう?」

商人「気にするなよ!」ニコ

勇者「商人、お前……」

商人「ていうか勇者、あの頃と見た目まったく変わってないじゃないか」

勇者「あ、ああ。お前は老けたな……」

商人「まだこれでも三十路前半なんですけどね。いや、十分老けたと言っていいか」

勇者「雰囲気もどこか落ち着いた気がする。あの頃はムードメーカーみたいな奴だったから」

勇者「武闘家とバカばっかりやっててさぁ、それでいつも戦士に怒られて。懐かしいなぁ……」

勇者「……でも、もうみんなは俺のせいでいなくなっちまった。商人だけだよ、生きてるの」

勇者「本当にすまない」

商人「だ、だから気にするなって話しただろ?お前は悪くないんだよ~」

商人「それに例えみんなが生きてても、所詮は他人だ。どうってことねーよ……あはは」

勇者「……本当にそう思ってるのか?」

商人「ん?」

勇者「悪い、そろそろ宿屋へ帰るよ。ガキどもが待ってるかもしれない」

勇者「じゃあ、また明日にでも……」

商人「……ああ、また明日。勇者」

がちゃり

盗賊「おっ、勇者の兄貴。もっと遅い帰りになるかもと思ってたぞー?」

僧侶「おかえりなさい。あの方は昔の知人ですよね? 久しぶりに知り合いと会えてどうでしたか?」

勇者「……すぐに村を出るぞ。荷物まとめておけ」

僧侶「えっ」

盗賊「兄貴ぃー、気が早すぎだぜぇー! まだ飯も食ってねーのにさぁ……」

勇者「ここの飯も食うな。いいか、こっそり出て行く。誰にも気づかれるなよ」

僧侶「本当にどうなされたのですか?様子が変です。焦ってるようにも見えますし……」

勇者「こんな村、来るんじゃなかった……!」

勇者「行くぞ」

盗賊「兄貴どうしちゃったわけぇ?」

僧侶「さ、さぁ?」

盗賊「ちょっと兄貴ぃー!いくら何でもコソコソしすぎじゃねぇのかー?これじゃあ泥棒みたいだぜ」

勇者「静かにしろ。ここまで来たら一気に村の外れまで逃げるぞ」

僧侶「本当に今村を出るおつもりなのですか?夜は魔物も活発になっていて、危ないですよ?」

勇者「人間を相手にするよりましだ。行くぞ」

盗賊「なんかよくわかんねー。けど、兄貴がそうしたいなら俺は付き合うまでだぜ!地獄の果てまででも行けるし!」

僧侶「あっ、お二人とも待っ―――」

がしっ

僧侶「むぐぅ!?」

おれ「ぴきぃっ」

僧侶「ゆ、ゆうしゃさまっ!!」

傭兵「大人していろ、女。そして勇者お前も大人しくこちらへ来るんだ、武器は下におけよ」

盗賊「僧侶姉ちゃん! 兄貴、あいつら何だよ! なんかいっぱい出てきたぜー……!?」

傭兵たちに かこまれてしまった !

勇者「お前たちは雇われ兵か。何故こんな真似をする?その女は俺とは関係ないぞ」

?「それならこの娘の首を、お前の前でへし折っても痛くも痒くもねーのかな?」

盗賊「あっ、あの時の兄ちゃん!!」

勇者「……や、やめてくれ、商人」

商人「どうした? もう少し非情を振舞っていろよ、情けなく見えるぞ~勇者くん」

僧侶「一体これはどういうことですか!」

勇者「復讐のつもりなら、俺だけにしてくれ。こいつらは何も関係ないんだ……」

商人「どうせお前殺しても死なないし、それじゃあ面白味がねぇだろ?」

商人「少しは俺たちの気持ちを勇者サマにも理解いただけるよう、同じ目に合っていただくのもよろしいかと思いましてねぇ」

傭兵「」シャキーン

僧侶「ひっ……」

盗賊「この野郎!! よくわかんねーけど、兄貴の弱みにつけ込みやがって!」

勇者「よせ、いいんだ。俺が悪いんだから」

勇者「……おい、これがお前の目的なのか?」

商人「いや、魔物たちから頼まれてねぇ、お前を暫く拘束しておけと。そしたらこの村は襲わないでいてくれるんだと」

商人「お前みたいなのでも、魔物たちから脅威だと思われるらしいぜ?」

商人「だから勇者!俺たちの犠牲になってくれよ!」

僧侶「そんな勝手を勇者様が吞むわけありません。どうか私のことは気にしないで」

傭兵「やかましいぞ!」バキィッ

僧侶「うっ……」

盗賊「僧侶姉ちゃん!! あ、兄貴……俺我慢の限界だぜ……」

商人「攻撃してきたら女は殺すぞ」

盗賊「しなくても殺すつもりだろーがっ!! その前に俺がてめぇら八つ裂きにして殺す!!」

勇者「よ、よせ……ダメだ……」

盗賊「兄貴っ!! ダメなんかじゃない、俺を止めるな!!」

商人「腰ぬけ勇者様は俺を傷つけたくないんだろう? お前のことは手に取るように分かるぞ」

商人「甘い奴だからなぁ。それで何度身を滅ぼしてることか。なぁ?」

勇者「すまない……みんなは、武闘家も、俺の勝手で殺したようなものだ」

勇者「何度謝っても許されないとは分かっているさ。でも、その娘には手を出さないで欲しい」

僧侶「ゆ、勇者様!」

勇者「俺を何度痛めつけても、拷問でも何でもいいから……好きにしてください。だからお願いします」

盗賊「兄貴そんなのカッコ悪ィぞ! こんなゲスどもに頭下げる必要ねぇってば!」

商人「そういう態度が気に食わない。むしろ開き直ってくれた方が清々しいもんだぜ……」

商人「女を殺せ」

傭兵「うっす!」

僧侶「ゆうしゃさま……とうぞくさん……。た、たすけて」ガタガタ

勇者「!」

商人「今、なんでもするって言ったよね?」

勇者のこうげき! 傭兵をたおした!

勇者のこうげき! さらに傭兵をたおした!

勇者のこうげき!

傭兵「こ、こいつ! 人質がどうなってもいいのか! 滅茶苦茶なことを」

商人「構うものか、女を殺ればあいつは止まる! 早くしろよ!」

傭兵「は、はい……っ」

勇者はメラをとなえた!

傭兵「ぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ…」

僧侶「勇者様!」

盗賊「姉ちゃん無事だったか! 良かったなぁ殺されずに済んで! やっぱ兄貴はサイコーだぜ!」

勇者「下っていろ、僧侶、盗賊。俺はこいつと蹴りをつけなきゃいけないんだ」

商人「その為に俺をわざわざ最後に残したのか……。勇者様がいいのか?傭兵とも言えど、人間を殺したりして」

勇者「見た目はどうあれ、悪意を持って傷つけてきやがる奴は俺にとって魔物同然だ」

商人「なら、俺の大切な女を殺したお前だって、俺にとっては魔物みたいなもんだ。憎くて憎くて堪らない!」

勇者「知ってる。さっきお前と話をした時、ずっと嫌な感じがしていたんだ」

勇者「直感で理解できた。「ああ、こいつは俺が嫌いなんだって」な」

商人「それならどうする? 俺も殺すのか?」

勇者「できるか、そんな事……。お前を殺せないよ……」

盗賊「兄貴!そんな屑に何躊躇してんだよ!」

商人「そうだ。俺はお前の敵だぞ。どこまで甘えてやがるんだよ、ムカつく野郎だぜ!」

僧侶「勇者様、経緯はどうあれ、彼らは魔物へ加担しようとしたのです。それを忘れないでください」

盗賊「そうだ兄貴! このままこいつ放っておいても、魔物に俺たちの情報流されるだけだぜぇ!」

勇者「だからって俺に商人を殺せって?仲間だったんだぞ、仲良かったんだぞ?」

勇者「い、嫌だぁ……」

商人「お前、蹴りをつけるとか言ったのはただのカッコ付けかよ。本当に弱くなったんだなお前」

勇者「うるさい、うるさい……!」

勇者「な、なぁ? 俺たちもう一度やり直せないかな!?」

僧侶・盗賊「!?」

勇者「ほら、またお前が仲間になってくれてさ……ガキの面倒は俺だけじゃ見きれないんだよ!」

勇者「だからお前と俺でさ! なぁ、いいだろ? 少し考えてくれてもいいんじゃないか?」

商人「……お前、俺が死んだらどうなるかな?」

勇者「えっ」

商人は ナイフで のどをさした !

商人「うげぇえええぇぇぇ~……」

勇者「えっ、何してんだよ……お前、よせよ……!」

商人「へ、へへ。ざまぁ見ろ、一生苦しめクソ野郎……」

商人「」ガクッ

勇者「やめろよぉ……おい……うそだろ」

僧侶(あの出来事から数日が経過しました。勇者様はずっと塞ぎこんでいて、私たちが調子が出ません)

僧侶(さらに厄介なことに、勇者様は新たに刃物恐怖症を抱えてしまったのです)

勇者「おい、ナイフはもっと見えないところにしまってくれ。さっきからチラチラって怖いんだ……」

盗賊「俺ぇ? でもすぐに魔物と戦えるように、出し易いとこ入れてんだ。兄貴、悪いけど~」

勇者「いい、じゃあお前を俺は見ないでいる……」

盗賊「えぇ!? 俺を見てくれよ兄貴ぃー! ほら、ほら!」

勇者「やめろぉー!!」

僧侶「その歳になってトラウマができるとは珍しい話ですが、まぁ、色々ありましたからね」

僧侶「それにしても刃物が怖くて結局ひのきのぼうのままだなんて……」

勇者「うるさい。俺はこれが気に入ったんだ、別にいいだろ……!」

盗賊「鈍器系使うなら兄貴ハンマーとか斧とか似合うんじゃねぇかなぁー」

勇者「嫌だね。俺はひのきのぼうが一番しっくり来るんだ。そんな危ないの振り回してたまるものか!」

僧侶「あ、危ないって……」

盗賊「まぁ兄貴魔物と戦わないし、それでいっかぁ~。戦闘は俺と僧侶姉ちゃんに任せとけよな!」

勇者「不服だが、まぁ……ただ、危なくなったら俺を置いてでもいいから逃げろ」

勇者「いのちをたいせつに。それがお前たちの作戦だ、それだけは絶対守ってくれ」

僧侶「ええ、わかっていますよ。勇者様も無茶だけはなさらないように!」

盗賊「おぉ! 魔物の気配が近づいて来たぜぇ!」

魔物のむれがあらわれた!

勇者「い、いいか。いのちをたいせつにだぞ……頑張れ……!」

盗賊「あいよー!」

魔物のむれををたおした! 勇者はレベルがあがった! メガンテをおぼえた!

勇者「むっ」

僧侶「え? 何故メガンテ?」

盗賊「自爆して敵を道連れにするあの魔法かぁ。そいつは兄貴らしくねー魔法だぜぇ……」

僧侶「ていうか、勇者様が覚えるような魔法でしたっけ?」

勇者「……俺だからこそ覚える魔法なんだろうな」

勇者「気にするな。こんな自殺用みてぇな魔法なんぞ滅多に使わない。ほら、行くぞ」

盗賊「兄貴と僧侶姉ちゃんばっかし魔法使えてずるいよなぁー、俺も使ってみたいのに!」

僧侶「でしたら、職を変えればよろしいのでは? 例えば魔法使いにとか」

勇者「そいつには似合わないよ。どうみても魔女っ娘のキャラじゃないぜ」

僧侶「ああ、まぁ確かに」

盗賊「転職かぁー、考えとくかなぁー」

僧侶「わぁ、見てください!海が綺麗ですよぉー! えへへ、船旅も良いものですね」

勇者「ぎもぢわるぅっ……うっぷ」

盗賊「俺、陸に足着いてた方が落ち着くぜ……どっちかっていうと俺山派だったしさぁ~……おえ」

僧侶「私しかはしゃいでないのか。何だか自分がバカらしく思えてきましたよ!」

僧侶「やれやれ、勇者様は船は初めてではないはずでしょう?何故予め船酔いしやすい体質だと言ってくれなかったのですか」

盗賊「そんなのカッコつかないからに決まってんじゃん。なぁ、兄貴ィ?」

勇者「うるさいぃ~……」

盗賊「僧侶姉ちゃんは船旅初めてじゃねーのか? ずいぶん楽しそうだけど」

僧侶「海が好きですからね。船はこれでも小さい頃から経験してます。元々漁師の娘でしたし」

盗賊「……あー、道理で兄貴と俺のことをぐいぐい引っ張ってくわけだナ」

僧侶「え?」

僧侶「船酔いした時は冷たい水をかけると治るんですよ」

勇者「……待てお前、だからってバケツ一杯俺に水ぶっかける気か」

僧侶「はい!」

勇者「風邪引いたらどうするんだ!そんな荒治療なら必要ない!……おえぇ」

僧侶「ああっ、騒ぐからまた……いいですか。いきますよ?」グッ

勇者「やめろくそガキ……!!」

盗賊「兄貴は大変そーだな。僧侶姉ちゃんもウキウキだし、俺はあっちで静かにしとこ」

盗賊「ぼけー……」

行商人「いてて……腰が……」

盗賊「ン? 婆ちゃんどうした? 辛そうだぜー?」

行商人「こ、腰ぃぃぃー……」

盗賊「おっ、ギックリか!?」

行商人「いやぁ、運んでくれてありがとう。恩に着るよ。お兄さん」

盗賊「おに……まぁいいや。とりあえずゆっくり休んどけ! ふふん、俺は良い事したな!」

行商人「ああ、本当さ。そうだ、これをあげようじゃないか」サ

盗賊「何だコレ?本? 婆ちゃん、俺バカだから文字なんて読めねーぞ。食える物がいいなぁ」

行商人「そうかい? 文字を読めなくても、本は開いて見るだけで面白さや魅力があるもんだよ」

行商人「騙されたと思って貰っときな。どうせタダなんだ」

盗賊「んー……よくわかんねーけど、ありがとう?」

盗賊「あとで僧侶姉ちゃんに読んでもらおーっと!」タタタ…

僧侶「あら、盗賊さん。今までどこへ行ってたのですか?」

盗賊「これもらったー。僧侶姉ちゃん今日の夜読んでくれ!」

僧侶「貰った? タダでですか? 危ない物では……あっ、本か」

僧侶「ではこの本を使って今度あなたへ文字の読み方を教えましょう。どうですか?」

盗賊「マジか! 兄貴、兄貴! 僧侶姉ちゃんが俺に勉強教えてくれるらしいぜ!いいだろぉー!?」

勇者「えっ、嬉しいのかよ。俺ならがっくり肩落とすところだけどなぁ」

盗賊「俺ずーっと勉強したかったんだ!だから滅茶苦茶嬉しいぜ!」

僧侶「こんなに盗賊さんは純粋なのに、勇者様はまったく真逆って感じですねー」

勇者「色々あったんだから仕方がねぇだろ……!」

しびれくらげがあらわれた!

勇者「うおおおおぉぉぉーーー!!?」

しびれくらげ「にょろ~ん」

僧侶「魔物!? いつのまに船の上にあがってきていたの!?」

しびれくらげ「にょろ」

勇者「嫌だあああぁぁぁーーー!! 来るなあああぁぁぁーーーっ!?」

しびれくらげ は 勇者にきょうみしんしんだ!

勇者「うわぁあ……うわあああああああああぁぁぁぁぁ!!?」

しびれくらげ「ん」ぴと

勇者「うがががががががが……」ビリビリ

盗賊「あ、兄貴ぃー! くそあの魔物野郎! 兄貴をよくもー!」

僧侶「待って、直接攻撃してはこちらも痺れてしまいます。ここは魔法で――」

しびれくらげたち「にょろり~ん」

しびれくらげのむれが あらわれた!

盗賊「おい、こいつら増えちゃったぜ!?」

しびれくらげたち は 船の船員たちへおそいかかった !

僧侶「ま、まずい……」

大王イカが あらわれた! ふねをぐらぐらとゆすっている!

僧侶「本当にまずいです! これは、勇者様どうしましょう!?」

勇者「海へ飛び込むんだ。それしかないだろ……」

僧侶「それは今すごくまずいと思うのですがっ」

勇者「あんなバカデカイ魔物を相手に戦えるわけないだろ! それに周りはしびれくらげのむれだ!」

勇者「今回は久しぶり長続きした旅だったな。そろそろ死ぬんだろうな」

僧侶「あなたは良くても、私たちは良くありません! 助けてください!」

勇者「俺がそんな事できるわけないだろ。相手は強い魔物だ。お前、キメラの翼持ってたろ。それ使って盗賊と逃げろ」

盗賊「なら兄貴来いよ!生きるの諦めんな!」

勇者「正直よぉ、俺疲れてきたんだよな……今回のが決め手になったよ」

勇者「俺、すごくつらいわ。もうやだ、誰か俺を助けてくれよぉ……」

僧侶「ゆ、勇者様ぁ!」

僧侶「魔王を倒すと仰っていたではありませんか、今までだって頑張ってこれたじゃないですか!」

勇者「ああ、だからもう疲れたんだ。もう俺は何も考えずに棺桶の中で暮らすよ」

勇者「あ、餓死しても復活するんだったっけ……」

盗賊「兄貴いきなりネガティブすぎるぜ。一体どうしちゃったんだよ!」

僧侶「しびれくらげの攻撃で変なところが刺激されてしまったのかしら……」

盗賊「だから急に弱音吐いちゃってるのか! 情けないぜ兄貴ぃー!」

勇者「畜生……もう船も何もかも沈んじまえ……全部滅びてしまえ……」ブツブツ

僧侶「勇者様しっかりしてください!落ち込んで暇があるのならこの状況をどうにか」

勇者「魔物側に寝返れば助かるんじゃないか?」

僧侶「は!?」

勇者「そ、そうしよう。それしかないだろ!!」

僧侶「正気ですかぁー!?」

勇者「も、もちろんだ……!!」

勇者「盗賊もこっちに来い!作戦会議だ!」

盗賊「おぉ、兄貴らしくなってきたぜぇ~!さすが兄貴!いざという時には頼りなるぅ!」

勇者「……」ゴニョゴニョ

僧侶「……ほ、本気なんですね」

盗賊「兄貴、俺そんな。えっ、マジか……」

勇者「お前たち何引いてるんだ。今この状況下で俺が冗談言うとでも思ってるのか?」

勇者「助かりたいなら、俺が言った通りにしろ。いいな!」

勇者「おお、海を支配する偉大な魔物よ! どうか愚かな私の声に耳を傾けたまえ!」

大王イカ「?」

勇者「よしっ……いいぞ……っ」

僧侶「あなた、本当に勇者ですよね?」

勇者「実は、我々3人は長年魔王様を讃えてきたのです。そして魔王様へ永遠の忠誠を誓いたいのです」

しびれくらげ「それは真か、人間よ……」

勇者(あっ、こっちかよ)

勇者「はい。人間たちなど我らにとってはもうどうでも良い存在、時代は魔物なのです。魔物さまたちが支配する世界こそが我らの理想郷……」

盗賊「えぇー……」

勇者「やめろ、お前は大人しくしているんだ。そうだな、僧侶よ!この娘も私と同意見なのです!」

僧侶「えっ!? あ、は、はい……そうです……」

勇者「ここはどうか我らだけでもお見逃ししていただいて、魔王軍の仲間へ加えては貰えないでしょうか?」

しびれくらげ「貴様の言葉が真に正しいものかは見当もつかぬ。だが我ら魔物が支配する世界が理想。その言葉気に入った」

しびれくらげ「殺すのはやめだ。貴様ら3人はこのままベースキャンプへ連れていくとしよう。幹部サマの意見を聞いてから後の事は考えよう」

勇者「ありがたき幸せ――――うおぉぉーーー!?」

大王イカのしょくしゅが 三人をつかまえた !

勇者「嫌あああぁぁぁ!!離せえええぇぇぇ!!触手は嫌なんだあぁぁぁーーー!!」

盗賊「本当にこれで良かったのか?」

僧侶「勇者様、ちゃんと後先考えての行動ですよね。これは」

勇者「  」

僧侶「勇者様……?」

盗賊「し、失神起こしてるぞ。兄貴、マジで大丈夫なのか!?」

大王イカ「触手苦手な感じっスか? すみません。すぐに基地まで運んじゃうんでもうしばらく我慢してね」

大王イカ「にしても、あんたら変わり者ですね。まぁそんなところをしびれくらげ先輩が気に入っちゃったのかも」

僧侶「そ、そうなんですかー……」

僧侶(魔物と自然な会話してる。変な感じだわ……)

大王イカ「あっ、到着っス。今幹部の方がいらっしゃるので、くれぐれも失礼のないようにね」

ぽい

僧侶「きゃあ!」盗賊「痛っ!?」勇者「  」ドサァ

勇者たちは 魔物の巣窟へ はいった

また悪いんだが、これから16時まで用事がある
16時半にはまた再会できそうだし、明日休みだからぶっ通しで書く

申し訳ないけど保守任せてよろしいか

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

勇者「おい、何だよここは。魔物だらけじゃないか……」

盗賊「兄貴!目が覚めたのか!」

勇者「怖い、怖いぞ……嫌ぁ……!」

僧侶「私たちも同じ気持ちですよ。それより勇者様この後大丈夫なんですか?」

僧侶「これから、ここの魔物たちを統率している幹部とやらにご対面です」

僧侶「何か策があるんでしょうね!?」

勇者「……お、お前たちは隙を見つけて逃げ出せ。ダメなら魔物たちへ上手く取り入って誤魔化すんだ」

盗賊「俺たちって、兄貴はどうするつもりなのさぁ」

勇者「このまま魔王まで一気に接近するつもりだ。幹部に気に入られれば魔王城へも安全に、しかも早く辿り着ける」

勇者「巻き込んで悪かったな。あの時はテンパってて上手く頭が働かなかったんだ」

僧侶「む、無謀だけどしっかり考えていたのですねっ!」

盗賊「すげぇ兄貴ィ~!! 兄貴って頭良いんだな、憧れちゃうぜ俺ぇー!」

勇者「敵を騙すにはまず味方からという言葉がある……時間は掛かるかも知れないが、何とか魔王を倒してみせる」

僧侶「でも、そう簡単に信用していただけるでしょうか? それに勇者様は顔がバレているのでは」

勇者「そうだ。だが、勇者が国に呆れて魔王側へ寝返った、そういうシナリオがあってもおかしくはないだろう」

勇者「何故と尋ねられたら幾らでもその理由を答えられる自信が俺にはある」

盗賊「さすが!……えっ、そこは誉めていいかわかんねぇや!」

僧侶「それでも、完全に信用を得るには相当な時間がかかりそうですよー……」

勇者「覚悟は既に決まったのだ!」

魔物「人間3人。時間だ、そろそろ幹部サマが御戻りになられる! 着いて来い!」

盗賊「おー、遂に幹部とご対面だと!兄貴なら何とかなるよな!」

勇者「……」

僧侶「まさか、緊張していられるのですか」

勇者「バカを言うな、このガキ! い、いいか。お前たちは余計な事を喋るなよ、失敗してしまうかもしれん……」

勇者(デマカセでああは言ったが、本当に大丈夫だろうか)

魔物「件の3名を連れて参りました。通しても?」

?「構わん、通せ」

魔物「はい。いいか人間、くれぐれも無礼のないようにな。あの方はくだらん話を聞かされるのを最も嫌う」

魔物「ダメな時は潔く諦めて死んでしまえ」

僧侶・盗賊「えぇ……」

勇者「……今の声、聞き覚えがあるぞ」

?「通っていい。無駄に時間を伸ばすつもりか」

勇者「は、はい! すぐにー!」

僧侶「部屋の奥から邪悪な気配がプンプン漂っていますね。長居していると気がおかしくなりそう」

盗賊「だ、大丈夫だぜ。だって兄貴が俺たちに着いてんだもん……な?兄貴ぃ」

勇者「……」

僧侶(部屋の奥にいた魔物、ボストロールは下品な見た目からは考えられないオーラをその身に纏っていました)

僧侶(一目見ただけで私たち程度が敵う相手ではないと理解させられ、その恐怖に駆られます。魔王はこれ以上なのかと)

盗賊「あ、兄貴……」

勇者「……」

ボストロール「貴様らが話に聞いていた変わり者か。単刀直入に聞かせてもらうが、何故人間如きが魔王様に―――」

ボストロール「むっ、おいそこの人間。ガチガチに震えているお前だ」

勇者「……何か」

ボストロール「私の間違いでなければ、貴様は勇者だろう? 貴様、まさか」

ボストロール「しかし、あの時貴様らをタコ殴りにしてやった時に比べ、随分弱々しく見えるな!」

僧侶「勇者様、いぜんこのまも……幹部様と戦ったことが?」

勇者「……」

ボストロール「戦うどころか一方的に我々が貴様らを虐殺してくれたのだったなぁ」

ボストロール「人質を一匹見せて脅してやったら、その男が躊躇して黙って殴られ続けたのだ! まぬけよ!」

勇者「……」

ボストロール「ふふっ、あの時犯した貴様の連れの雌豚どもは醜い声でよく鳴いていたものだ」

ボストロール「そうかそうか。遂に勇者も我々へ寝返るのか。バカとはいえ使い道はいくらでもある」

ボストロール「面白い。さっそく貴様の国へ帰って王を暗殺してこい。見事達成できれば魔王様もさぞかしお喜びになるだろう」

ボストロール「ガッハッハッハ!!」

勇者「シテヤル」

ボストロール「何か喋ったか?虫ケラの声はどうも聞き辛くてなぁ……」

勇者「ぶっ殺してやる!! この腐れ野郎ォ!!」

僧侶「えっ!?」

盗賊「あ、兄貴! これも作戦か!」

勇者「殺してやる、貴様ら一匹ぶっ殺してやる!!覚悟しろ!!」

ボストロール「威勢だけは誉めてやろう。だが貴様のようなゴミクズがこの私に敵うとでも?」

ボストロール「マヌケにほどがあったな! ここは魔物の巣窟! 再びあの時と同じ屈辱を貴様にあじあわせてくれようぞ!」

勇者「うっ……くそおおおぉぉぉーーーーーーっ!!」

勇者は ひのきのぼうを かまえた !

>>284
ミス
一匹ぶっ殺してやる × → 一匹残らずぶっ殺してやる ○

僧侶「勇者様どうしたのですか!ここで暴れたら私たちに勝ち目はありません!」

盗賊「だ、だからってもう取り返しつかないような気もするぜ……」

勇者は 怒声をあげて ボストロールへ たちむかった !

勇者「うおおおおぉぉぉぉ!!! ……ひ、ひぃっ」

ボストロール「どうした? 何をしている。何もしないのならば、こちらから行くぞ」

ボストロールのこうげき! 僧侶はマヌーサをとなえた! ボストロールはこうげきをはずした!

ボストロール「むぅ!?」

僧侶「盗賊さん! 勇者様を引っぱってきて!」

盗賊「ほい来た! 兄貴、逃げようぜ! ぼーっとしてる場合じゃねぇよ!?」グイッ

勇者「う、ううっ……くそ、くそぉ……!」ガタガタ

僧侶はフバーハをとなえた! 僧侶はマホトーンをとなえた!

しかし、MPがたりない!

僧侶「くそっ……一体どこから外へ出れば」

盗賊「魔物たちがいっぱい追ってきやがってんぜ! スゲー数の多さだよぉ!」

盗賊「兄貴今こそしっかりしろよな! どうすんだよこれさぁー!?」

勇者「ころしてやる、ころしてやる……」ブツブツ

盗賊「兄貴ってばぁー!?」

僧侶「今は話しかけても無駄そうです。私たちでこの状況を切り抜けなければ」

盗賊「何にも思いつかねぇんだよぉ~! 俺バカでごめんなぁ……!」

僧侶「それでも考えてください! じゃないと……」

「ウオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォ」

僧侶「ひ、ひいぃ……もうダメなのね……」

いきなり ホイミスライムが あらわれた!

ホイミン「こっち、こっち」ヒョイヒョイ

盗賊「うわぁ、ホイミスライムが隠れてたぜ!」

僧侶「ああ、私たち死んでしまうのかしら……」

ホイミン「早くこっち、こっち。逃げなきゃ殺されちゃうよ」

ホイミン「こっちに秘密の抜け穴があるの。きてきて」

盗賊「な、何言ってやだんだこの野郎。そう言って俺たちを罠に嵌めるつもりなんだろ!」

ホイミン「違う違う、騙したりしないよ。助けてあげるからついてきて」ヒョイ

ホイミスライムは 穴の中へとびこんだ!

僧侶「……い、行きましょう。もう手段は残されていないんです」

盗賊「マジかー! 死んだら怨むぜ、僧侶姉ちゃん!」

僧侶「その時は、その時ですよ!」

3人もホイミスイムへつづいて穴の中へ とびこんだ!

盗賊「ここは、俺たち外に出たのか? ていうかここ何処だよ?」

僧侶「森の中みたいですね。まさか洞窟こんなところに通じていたとは」

ホイミン「もう安心していいよ。あの抜け穴は僕だけで掘ったから僕しか知らないの」

盗賊「ふん、どうだか」

勇者「……」グッタリ

ホイミン「勇者くん、勇者くん」ペタペタ

勇者「あっ……ひぃ!?」

勇者「来るなあぁぁぁ!! 魔物は俺に近づくなあぁぁぁ!!」

ホイミン「勇者くん。僕だよ、ホイミンだよ。忘れてしまったの……?」

勇者「そんな奴俺は知らな……ほ、ホイミン」

勇者「ホイミンなのか、お前……元気だったのか……」

盗賊「兄貴、魔物の知り合いとかいるのか! ほぇぇ、やっぱ兄貴は違うなぁー!」

ホイミン「昔、僕が足を怪我して動けなくなってたところを、勇者くんたちが助けてくれたの」

ホイミン「MPも丁度切らしてたときだったから、すごく助かったんだ。僕とっても嬉しかったよ~」

僧侶「勇者様があなたを助けた? 人間でさえ放っておこうとした勇者様が、魔物を」

勇者「ただの気まぐれだ。ホイミン今はこんなところにいたのか……人間になりたかったんじゃなかったのか?」

ホイミン「うん。でもね、魔物が人間に憧れても、なれるわけなかったの。だから今は怪我した仲間を基地で回復するお仕事してるよ」

ホイミン「勇者くんにまた会えて嬉しいよぉ~。いつかきっと恩返ししたいなって、思ってたしさ」

ホイミン「僕、ちゃんとお役に立てたー?」

僧侶「とてもですよ。あなたがいなければ私たちは今頃全員あの世行きでしたもん」

ホイミン「わーい」

盗賊「俺さ、魔物とこんな仲良く話するのって初体験だぜ~……兄貴と一緒いると暇しなくて済むなぁ」

勇者「……さっきは危険な目に合わせて悪かった。つい頭に血が昇ってしまった」

僧侶「あのボストロールとは過去の因縁があるみたいでしたね。仲間を殺されてしまったのですか」

勇者「あいつだけじゃない。だが、あんな言い方されてキレない奴は人間じゃねぇ!」

勇者「奴だけは絶対に許さない。倒す」

盗賊「でも、兄貴攻撃の直前でやっぱり止まっちゃったじゃないか。あの調子じゃ無理だぜ……それに俺らでも流石に敵わないよっ」

僧侶「ええ、他の魔物とは明らかに何かが違って見えましたね。恐らく強敵中の強敵ですよ」

勇者「そんなのわかってんだよ! でも俺はみんなの仇を取らなきゃ……」

ホイミン「ボストロール様へケンカ売るつもりなの? 無理だよぉ、あの人最近ヤマタノオロチくんを一人で倒しちゃったんだよ?」

勇者「えっ!?」

ホイミンかわいい

盗賊「そのタニマノうんたらって強いのか?」

勇者「ヤマタノ、ヤマタノ。強かった。退けるだけでも精一杯なぐらいだ」

勇者「それを一人で倒したって、本当に強くなってるのか……!」

ホイミン「悪い事言わないから早くこの地域から立ち去った方がいいよ。たぶんすぐに追ってくると思う」

ホイミン「そしたら、今度こそ殺されちゃう。僕もそこまで助けてあげられないよ~……」

勇者「奴を諦めてさっさと先へ進めだと。そんなのできるわけないだろう!?」

僧侶「ですが、敵いませんよ!」

勇者「や、やってみなきゃ分からないだろ……」

僧侶「そんな安易に考えていては、また危ない目に合いますよ。どうしたんですか勇者様らしくもない」

盗賊「とりあえず疲れたからさぁ、俺どっかで寝たいよぉー。兄貴ぃ」

勇者「……い、移動しよう。一旦この場から離れて町へ」

ホイミン「それじゃあ僕はそろそろ戻らないと。怒られちゃうもんね」

盗賊「おーっ、ホイミンじゃあなぁ! 良い魔物もいるって分かって嬉しかったぜ」

僧侶「助けていただいて本当にありがとうございました。感謝し切れません」

ホイミン「勇者くん! 僕こんなにいっぱい誉められたよ! 嬉しいなぁ~!」

勇者「お前も魔王側にいなければいいものを。いつか、俺たちのところに来いよ」

ホイミン「え?」

勇者「人間にはなれなくても、人間と一緒に暮らす事はできるぜ。俺がなんとかするからな」

ホイミン「ほ、本当に!? 僕一緒に暮らしていいの? こわがられない?」

僧侶「こんなに可愛らしいんですもん、きっと受け入れてくれますよ」

盗賊「わりと良い奴だしな! 触手あっけど!」

ホイミン「ゆ、勇者くーん……僕、感激だよぉ……」

ホイミン「いつか、僕魔王軍を抜けて、きっと君たちのところへ行くね! 一緒に暮らそうね!」

勇者「ああ、約束しよう」

ホイミン「えへへっ、それじゃあ名残惜しいけれど、また会える日までバイバイだよ」

ホイミンは魔物の巣窟へ かえっていった!

ホイミンだけは幸せになって欲しい

宿屋

僧侶「ここまで離れれば少しは安心ですね、勇者様」

勇者「明日になったら俺はもう一度奴のいる場所へ戻る」

僧侶「は!?」

勇者「勝ち目がなくても、男にはやらなきゃいけない時ってのがあるんだよ……!」

盗賊「その台詞は滅茶苦茶兄貴っぽい感じだぜ! ひゅーひゅー!」

勇者「やかましい、茶化すなバカ垂れ。俺は本気で言ってるんだよ」

しーーーん

盗賊「……あー、えっと。そういや兄貴ホイミンは怖がらなかったな!良い奴だからか?」

僧侶「ああ、そういえばそうでしたね。いつもなら魔物を前にするだけで蕁麻疹が出てきたりしたのに」

勇者「こいつの言う通り、良い奴だったからかな」

盗賊「兄貴言ってたもんなー。誰であろうと危害を加えてくる奴は俺にとっては魔物だって」

盗賊「それの逆って感じかぁ?」

勇者「うるさい。何だっていいだろ別に」

盗賊「兄貴もう寝ちゃったぜぇー。ちぇ、もっと話聞いてたかったのにさ……そうだ」

盗賊「僧侶姉ちゃん! この本で俺に勉強してくれよな!約束したんだぜ!」

僧侶「ああ、そう言えばそんな約束をしましたね。わかりました。少しだけなら」

盗賊「この本は何て本だ? 俺、こんな難しそうな本初めて見たぞ。絵がどこにも描いてねーんだよこれぇ」

僧侶「絵本ではありませんからね……。えっと、『さとりのしょ』という題名ですかね」

盗賊「何それ、まずそうだなぁ……」

僧侶「いえ、食べ物ではありませんからね。それにしてもこの本の内容、私でも少し読むのが大変です」

盗賊「は? 僧侶姉ちゃんは文字読めるんだろ? 何で?」

僧侶「文字が読めても、その文章を理解する力がなければ意味がありません。これはちょっと盗賊さん向きではないかも」

盗賊「えぇー……何だよそれぇ……」

僧侶「ですが、せっかく頂いた本です。大事にしましょうね」

盗賊「こんなの持ってたって、どうせ読めねーし仕方がないよぉ」

盗賊「僧侶姉ちゃんにくれてやる!」

僧侶「結構です。ダメですよ頂いた物は大切にしないと!」

僧侶「その本は盗賊さんの宝物です。大事に持っていてあげてください」

盗賊「た、宝かぁー……いいな、そういうの! なんか気に入ってきたよ!」

盗賊「じゃあ俺勉強覚えて頭良くなったら、僧侶姉ちゃんに本の中身読んでやるぜ~!」

僧侶「ええ、お願いしますね。きっと楽しみに待っていますから」

盗賊「へへ~っ♪」ニコニコ

勇者「この洞窟を通れば、また魔物の巣窟付近へ出られる」

勇者「初めに言っておこう。これは俺の私怨でお前たちは全く関係がない」

勇者「引き返すなら今のうちだぞ。どうしたい?」

僧侶「私は、勇者様にどこまでも付き添うだけです。守るという役目がありますから」

盗賊「俺は兄貴の弟分だかんな。同じくどこまでも着いて行ってやるぜぇー!」

盗賊「ていうか、兄貴は一人で何でもしたがりすぎるんだよ。ちょっとは俺らを頼りにしてもいいじゃんさ?」

勇者「うるさい……来るならさっさと行くからな、モタモタしてんなよ」

僧侶「……う~ん」

盗賊「僧侶姉ちゃんどったのさぁ?」

僧侶「胸がもやもやするというか、虫の知らせってやつでしょうか」

僧侶「とても嫌な予感がするんです。ちょっと不安かな……」

盗賊「だいじょーぶ! だって兄貴も俺も着いてるんだぜ、百人力だぁ! へへへっ」

僧侶「杞憂で済めばいいんですけどね」

勇者「おい、モタモタするなって言ったぞ! 奴らを逃がしたらどうす―――」

?「奴らってのはどんな顔をしているのだろうかなぁ。もしかして~」

ボストロール「こんな顔だったりしないかな!?」バァーン

勇者「えっ!?」

ボストロールと魔物のむれが 勇者たちのうしろからあらわれた!

盗賊「な、何でこいつらがここにいるんだよぉ~!?」

僧侶「すごい数の魔物ですよ……これだけいたのに全く気付けなかったなんて」

魔物「げへへ、やっぱりコイツらここを通りやがりましたねぇ~!!」

魔物「さすがボストロールの旦那だ! 読み通りっすー!」

ボストロール「昨日の勇者の様子を観察すれば、かならず私のもとへ現れると分かっていたからな」

ボストロール「そして裏切り者の証言も取れているわけだ。確実だったわけなのだ」ぐい

ホイミン「う、うう……」ボロボロ

勇者「ほ、ホイミン!!」

ホイミン「勇者くん、ごめんなさい……僕痛くて痛くて、つい喋っちゃた……」

盗賊「何でバレちゃったんだよ!抜け穴はお前しか知らないはずだろ!」

ボストロール「人間と一緒にいたのなら独特の匂いがつく。幸い私の部下には鼻が効く者がいてな」

ボストロール「人間どもへ加担するとは魔物の風上にも置けぬ奴だ!この脳無しスライムめが!」

ボストロールは ホイミンを力いっぱい握りしめた !

ホイミン「痛いよぉぉぉぉ……」

僧侶「やめて! 彼は何も悪くありません、私たちが脅して脱走を」

ボストロール「なんとそのような情けない失態を犯していたか。ますます許せんな」

ボストロール「私に忠実で優秀な部下たちよ! この使えぬゴミを私はどうしたらいいと思うかね!」

魔物たち「死刑!死刑!死刑!死刑!」

勇者「や、やめろ」

ボストロール「ふむ、死を持って償わせるべきだそうだ。私直々に手をくだされる事を誇りに思えよ、ホイミスライム」

ホイミン「……」ガタガタ

僧侶「やめて!ダメです、殺さないで!」

盗賊「仲間を殺すのかよお前らぁー!! 正気じゃねぇぞ!?」

勇者「ほ、ホイミン……!」

ホイミン「……ご、ごめんね勇者くん。約束、ダメになっちゃった」

ボストロール「おっと手が滑った!」

ボストロールのこうげき! ホイミンはいきたえてしまった!

僧侶「うそ……」

盗賊「マジで殺しやがった……!」

ボストロール「」ニタァ

勇者「ホイミン……ほ、ホイミン……」

勇者「う、うわあああぁぁぁ……」

ボストロール「聞け!裏切り者は死んだ!人間どもは我々の敵なのだ!」

ボストロール「人間を滅ぼせ!我らの主君、魔王様へ栄光あれーっ!!」

魔物たち「ウオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォ」

ボストロール「手始めにそこの雌豚2人を殺す。勇者、貴様は魔王様への手土産だ」

ボストロール「良かったな、当初の目的通り、我らの仲間に加われるかもしれんぞ?」

勇者「……」

僧侶「勇者様、逃げましょう。分が悪いです」

勇者「……」

僧侶「勇者様!! 盗賊さん、洞窟の中へ急いでください!!」

盗賊「わ、わかったよ」

3人はボストロールたちにせをむけて 洞窟のなかへにげた!

僧侶「はぁ、はぁ……!」

盗賊「僧侶姉ちゃん、大丈夫か! 兄貴俺の手の方に掴まれ! このままじゃ姉ちゃんが!」

勇者「……もういやだ」

勇者「俺が何か悪いことしたのか、何でいつもこんな目に合うんだ」

勇者「やだよ……いやだぁ……」

盗賊「兄貴! はっ」

盗賊は勇者をかかえてとんだ! かんいっぱつのところで 魔物の こうげきがくる!

魔物「へへ、こいつら逃げ足遅いな。リンチにしてやるぜー」

魔物のむれが うしろから おしよせてきている!

盗賊「兄貴しっかりしろぉ! ショックなのは分かるけど、逃げなきゃ!」

勇者「……」

勇者に苛立ちを覚えてきた

僧侶はバギをとなえた!

魔物「ぎゃん!!」

僧侶「い、今のうちですよ。早く勇者様を連れて……」

僧侶「えっ!?」

なんと まえからも 魔物のむれが おしよせてきた!

ボストロール「無駄だ無駄ぁ。私が何も考えずに貴様らの後ろから現れたとでも思っていたのか?」

ボストロール「挟み込んで一気に潰してしまえ! 好きに暴れるがいい!」

魔物たち「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」

僧侶「ま、魔法じゃもう抑えきれない……」

盗賊「……」

盗賊「僧侶姉ちゃん、兄貴を頼むぜぇ」

僧侶「盗賊さん!? いきなり何を」

盗賊「俺があいつらの注意を引きつけるから、ほら、そこの少しスペースがあるでしょ。そこから2人で逃げろよ!」

僧侶「あ、あなたはどうするのですか!! 冗談はやめてくださいよ!!」

盗賊は僧侶へ さとりのしょ を なげわたした

盗賊「俺の宝物。ボロボロになんの嫌だかよぉ~、僧侶姉ちゃんが預かっててくれないかなぁ」

僧侶「いやです! やめてくださいっ、何考えてるの!?」

盗賊「早く行けよ……早くしろッ」

ボストロール「一匹も逃すな! 皆殺しだ!」

僧侶「……と、盗賊さん。ごめんなさい……っ」タタタ…

勇者「……えっ、盗賊?」

ぶっちゃけ展開が遅すぎるんだよな
書き溜めないのに無駄に引き伸ばしすぎ

え?書き溜め無いの?

あんまり長いとパートスレ立てるぞ

盗賊「こ、怖いぜ。兄貴ぃ。俺、初めてこんなに怖くなったぁ……」

盗賊「畜生!!」

盗賊のこうげき! 盗賊のこうげき! 盗賊のこうげき!

ボストロールのこうげき!

盗賊「ぐえぇ……」

ボストロール「ちっぽけで哀れな虫ケラよ。その勇気は無謀だったぞ」

ボストロール「さっさと仕留めろ。私たちは勇者と女を追う!このガキは任せるぞ!」

魔物たち「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ~~~~~~!!」

盗賊「俺はちっぽけでも哀れでも虫ケラでもねぇ! 俺は兄貴の弟分張ってる盗賊さまだ!」

盗賊「うわああああぁぁぁぁ!!!」

盗賊のこうげき! 魔物のむれのこうげき!

盗賊(兄貴、俺ちゃんと恩返しできてるのかなぁ!)

盗賊(僧侶姉ちゃん、夢果たせそうにないや……!)

盗賊のこうげ―――魔物のむれのこうげき!


盗賊は いきたえてしまった

えっ

僧侶「はぁはぁ、ゆ、勇者様……しっかりしてください! 盗賊さんの為にも頑張ってくださいよ!」

勇者「盗賊は、あれ何してんだ。し、死んじゃうだろうが……バカじゃないのか!?」

僧侶「バカでしたよ!! う、ううっ」

ボストロール「見ィーつけた」

ボストロールのこうげき!

僧侶「うぐっ……!?」

勇者「僧侶!! お、お前……殺す!!」

ボストロール「貴様は口だけだな。諦めるがいいぞ、貴様たちの逃げ場はもうないのだ」

魔物「ボストロールさま、勇者の仲間を無事倒し終えましたぜ」

魔物は とうぞくのしたいを ボストロールへもってきてみせた

勇者・僧侶「!!」

ボストロール「早いな、ご苦労だった。こちらもすぐに終わらせようではないか」ニタァ

覚醒フラグか

仲間が死んで覚醒っていう展開を何回もやられると萎える
このSSはどうか知らんが

僧侶「ああっ……こんなのうそよ……」

勇者「……盗賊」

ボストロール「人間なんぞ我ら魔物の敵ではないわ。安心しろ、そこの女はすぐに仲間のところへ旅立たせてくれるわ」

魔物たち「へへへ、うへへへへ……!」

僧侶「もう諦めましょうか。勇者様……それがいいですよね……」

勇者「いや、お前は生きるんだ」

僧侶「えっ」

勇者「走れ。とにかく外まで全力で走って逃げろ。立ち止まらず、振りかえらずにだ」

僧侶「勇者様?」

勇者はメガンテをとなえはじめた!

僧侶「勇者様!?」

勇者「走れぇ!!」

キャラの使い捨て具合がハンターハンターみたい

僧侶は勇者におされ うしろをふりむかずに はしった!

ボストロール「き、貴様正気か! 自爆して我々を道連れにするなんて、バカか!」

勇者「……」ブツブツブツ

魔物「ぼ、ボストロールさま! 詠唱が終わっちまうぜ!? うわああああぁぁぁ!!」

ボストロール「こ、殺せ! メガンテが発動する前に勇者を殺すのだ!」

ボストロールのこうげき! しかし、勇者はこうげきを ひのきのぼうで うけとめた!

ボストロール「えっ……」

勇者「積もりに積もったこの怨み、晴らさせてもらう」

勇者「メ ガ ン テ」

ボストロール「あべしっ――――――――――」

魔物たち「げぇ――――――――――――」

勇者(ああ、217回目だ―――――――――――)

勇者はメガンテをとなえた! だいばくはつがおき、どうくつが くずれだす!

ここまでくると逆にイライラする

お城

王「おお、勇者。死んでしまうとはなさけない!いい加減にしろ!」

王「現在の合計死亡数はー」

勇者「王様、この勇者。しばらく休暇をいただきい」

王「……は?」

勇者「心の整理をしたいのです。前回の旅で私は少し疲れた」

騎士「つ、疲れただと! ふざけるなぁ!」

大臣「ここは冗談を言う場ではないですぞ! 早くいつものようにさっさと」

勇者「うるせぇ……魔王の前にお前らからぶっ殺すぞ、老害どもめ……」

勇者「……では、気が向いた時にでもまた来ます。失礼しました」

王「ゆ、勇者あああぁぁぁぁーーーーーー!?」

書き溜めあるんならどっかにまとめてあげて終わりでよくね?
VIPでやる速度じゃねーよこれ

なんか荒れそうだな

あれから2年の歳月が流れた。魔王の侵略は全世界に広がり、世界は魔物に支配されつつある。
一方、勇者は自宅で酒に入り浸るような生活を日々送っていた。何もせずにただ静かに暮らしていたのである。

がしゃーん

勇者「あっ、瓶踏みつけちゃった」

勇者「うひひ~……あー、暇ってのも悪くないなぁ」

勇者「親もどっちもくたばったし、ここはもう俺だけの家だー!」

勇者「魔王なんてもう知らねー……魔物に支配されても今と生活変わりねぇよなー」

勇者「うぃ~……あ、お酒きれちゃった」

がちゃり

?「お邪魔します」

勇者「ほへ?」

?「それから、先に謝っておきます。ごめんなさい」

勇者「あんた誰~……」

?は 勇者を なぐりつけた!

普通に考えれば魔物が勝って当然だと思う
総攻撃すれば終わり

勇者「ぐえぇ~~~!?」

ドンガラガッシャーン

勇者「お、お前何なんだよ!いきなり人ん家上がりこんできて、しかも殴るとか!」

?「先に謝りましたよね。それから」

?は また勇者を なぐりつけた!

勇者「うぶげぇ……」

?「まだ殴り足りません。死んでもあなた、生き返りますよね? なら死ぬまで殴っても問題ないでしょう」

勇者「ま、待てよ……俺は殴られるようなことした覚えないぞ……!」

?「覚えがない? それなら思い出させてあげますよ」

賢者「私は賢者と申します。以前あなたと共に旅をしていた元僧侶です」

勇者「えっ」

勇者「い、痛い痛い! 痛ぇよ! 耳引っ張るな……俺をどこへ連れて行く気だ!!」

賢者「王に旅の前を御挨拶を。それから、教会で祝福を受けておきましょうか」

賢者「旅の支度は私が全て済ませておきましたからご安心を、勇者様」

勇者「何を……大体、俺はもう勇者じゃないようなもんだぞ」

賢者「あなたに神の加護が宿っている限り、あなたは勇者様です」

賢者「この2年間、私は今日という日の為に修行を積んできました。あなたが飲んだくれている間にです」

勇者「うっ……」

賢者「あなた、前に言いましたよね。目的を失ったらただ腐ってゆくのみだと」

賢者「本当でしたね。ですが、まだやり直せますよ。再び立ち上がってください、勇者様」

勇者「うるさい……」

叶わなかった黒髪盗賊賢者と意思を継いだ青髪僧侶賢者の2ショットが見たい
絵が書けないのが悲しい

>>447
誰も聞いてないよ

村の外

勇者「ま、待てよおい! 家にまだ飲んでない酒が一杯あるんだ!」

賢者「お酒なら魔王に勝利した時に飲みましょうよ。我慢してください」

賢者「それと、勇者様の装備を一通りこちらで用意しておきました。装備してください。でなければ即死にますよ」

賢者は 勇者へ やいばのブーメラン、ドラゴンメイル、まほうのたて、てつかぶと を装備させた!

勇者「うえぇー!? 何だこの装備!?」

賢者「勇者様の魔物恐怖症は相変わらずのようですので、遠距離からその武器で支援していただこうと思いまして」

賢者「防具は属性攻撃に対して耐性を持つものを多めに。これでレベルが低い状態だろうと、すぐに死にはしませんよね」

勇者「……お、お前本当にあの僧侶なのか?」

ひのきのぼうも救いが無くて嫌だった

僧侶はルーラをとなえた! 一度行った町へひとっとび!

勇者「―――っとぉー! お前、ルーラ使えるようになったのかよ」

賢者「ええ、賢者に転職しましたので。では進みましょう。ここから南東へ真っ直ぐ進むと、魔物が占拠した町があります」

賢者「囚われた民間人解放の為にも、私たちで町へ留まっている魔物を全滅させましょう」

勇者「おい、魔王討伐じゃなかったのか。そいつらは国の騎士たちに任せて……」

賢者「騎士団は今、ほぼ全隊が出撃中です。しかも数は魔物たちに比べて少ない」

賢者「ですからせめて自分たちの町を自分で守れるように、民間人を救出し、彼らは兵士になってもらいます」

勇者「正気で言ってるのか、僧侶……お前らしくないぞ……ていうか、無理だろそんなの」

賢者「僧侶という名は捨てました。賢者とお呼びください、勇者様」

賢者「では、向かいましょう。道中の戦闘は私に任せていただいても構いませんので」

勇者「そ、僧侶……」

埋まるのが嫌なら速報行けよ
何のための専用サイトだよ

>>463
この感じだと死なない特性利用して賢者が勇者利用し尽くして最後用済みで捨てるコースだろ

賢者はバギクロスをとなえた! 魔物のむれをたおした!

勇者「あの頃と比べものにならないぐらい強くなってやがる……」

「ありがとうございます!」「このご恩は一生忘れません!」

賢者「構いません。これから国より兵士が訪れますので、彼らの指示で動いてください」

賢者「さぁ、勇者様。あなたのレベルもそこそこ上がったことですし、次の町に行きましょう」

勇者「僧侶、お前本当に変わったんだな。ガキの僧侶とは大違いだ」

賢者「そうですか。どうもありがとうございます。話は歩きながらにしましょう、勇者様」

勇者「……良い意味でも、悪い意味でも変わったな」

勇者「お前、全部坦々とこなしていって……まるで人形みたいだ……」

勇者「何でそんな風に変わった?」

賢者「弱い自分がとことん嫌になってしまったのです。あの頃の私は正真正銘の雑魚でしたからね」

勇者「いや、十分強い方だったぞ……」

賢者「……何なんですか。変わった変わったって、他人事みたいに」

賢者「あなたは何故変わろうと努力しなかったのですか。勇者として使命に嫌気が刺してしまいましたか?」

勇者「……」

>>466
なんか納得した

賢者「それとも仲間や昔の知り合いの死に耐えられなくなってしまいましたか」

賢者「全部諦めがついてしまったのですか、勇者様」

勇者「うるさい、うるさいぞ。お前は俺に説教するために強くなって帰ってきたのか?」

勇者「お前に俺の何が分かるんだよ!? お前は普通の人間だ。だけど俺は不死身の化物だ!」

勇者「全部俺のこと知った気で言いやがって……何様なんだよ……!」

賢者「……すみませんでした。言い過ぎでしたね」

賢者「さっきの話は聞かなかったことにしていただけますか。私も記憶から消しますから」

勇者「……もう、お前が魔王倒せばいいじゃないか」

賢者「は」

勇者「そんなに強いならお前だけで魔王は倒せるだろ。俺がいたって、いなくたって全部同じだろ」

勇者「いや、むしろ邪魔な筈なんだよ。俺は魔物も怖くて、刃物も怖くて、おまけにアル中だぜ」

勇者「それってどう考えても足手まといの屑野郎じゃねぇか!! また償いとか言って、俺に花を持たせようとしてるんだろ!!」

勇者「違うか!?」

賢者「……いえ」

賢者「勇者様、よくお聞きください。魔王を倒せるのはあなただけなのです」

勇者「うそだ!うそつくんじゃねぇ!」

賢者「嘘でも慰めでもありません。本当なのです。だからこそあなたは勇者として選ばれた」

賢者「不死身の肉体を持ち、何度でも立ち上がれる。そして勇者様が覚えるメガンテ」

賢者「これを駆使すれば魔王を粉みじんにまで破壊でき、勝てます」

勇者「……いや、知ってたよ。想像もついてた」

勇者「勇者なんて聞こえが良い称号をつけられたが、俺はただの人間爆弾として使われてるんだろう」

勇者「あの頃から、ずっと分かってたさ。むしろそれでも良いとさえ思えてたよ」

勇者「いいぜ、行こう。そうと決まれば話は早い。さっさと魔王城まで進むんだ」

賢者「本当に、それで納得がつけたのですか?」

勇者「え?」

賢者「……いえ、何も」

賢者は 例の洞窟跡に 花をそなえた

賢者「……」

勇者「もしかして、お前ずっとここに来たりしてたのか」

賢者「ええ。私の命がまだ消えていないのは、盗賊さんやあの魔物のお陰ですからね」

賢者「そして勇者様にも救われました。その方法は今でも納得がいきませんし、腹が立ちますが、感謝しています」

賢者「ありがとうございました。今こうして賢者になれた切っ掛けを与えてくれたのは、貴方たちです」

勇者「お礼なんて言われる筋合いはない。逆に俺はお前に謝らなければならん」

勇者「足引っ張ってばっかりですまなかった。そして着いてきてくれてありがとう」

賢者「……では、改めて仲間だったと認めていただけますか」

勇者「えっ」

勇者「……ああ、お前と盗賊は俺の大切な仲間だよ」

賢者「……」

賢者「ありがとう、ございます……っ」

文句言うなら見るな












とか言う奴が湧くぞ

賢者「ぷっ、ぷぷぷ……!」

勇者「……おい、どうした? 急に笑い出したりして」

賢者「ふふふっ、あははははははっ!!」

勇者「僧侶!? じゃなくて、賢者! おい!」

賢者「あはははっ……ふふっ、えへっ、あ、いえ、すみません……おかしくて!」

勇者「は?」

賢者「盗賊さん! もう出てきても大丈夫ですよぉー!」

勇者「……は?」

盗賊「じゃあ~ん! 俺は誰でしょうか!」パッ

勇者「はぁ!?」

盗賊「にへへ~っ♪ 地獄の底から帰ってきたぜ、兄貴」

>>485
なろうで、批判するなら連絡とれるようにしてください、これ以上言ったら更新止めることだってできるんですよ
とか言ってる作者がいたのを思い出したわ

>>493
これだろ
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/10/07(金) 02:15:48.07 ID:P/bO3VYOo

新章は近々始めますが、それにあたって作者からお願いがあります。
といっても、単に「作品の連載中、読んでる人は随時コメントをして欲しい」という、それだけです。
連載が終わってから纏めて、とかではなくて、“連載中に”コメントが欲しいのです。

ここでもmixiのコミュニティでも再三言ってることですが、私はSSの作者として、
「SSとは読者とのインタラクションの中で作っていくものである」というポリシーを持っています。
つまり、読者からの声がなく、作者が淡々と書いて投下しているだけという状況では、全く意味がないということです。
それなら「書かない方がマシ」といっても大袈裟ではありません。

特にこの都道府県SSは、本来3年前に終わっている作品を、需要があると言われて新たに書き続けているものです。
投下しても1件2件しかコメントが付かないのでは、その「需要」があるのか否かさえ曖昧になります。

全ての読者にレスを求めるのは酷な事だと思いますが、出来る限り「ROM専」というのはやめて下さい。
少なくとも、一夜投下する度に10~20件くらいのレスは付いてほしいです。
この数字は、私の考える、SSが正常に連載の体裁を保てる最低限度のレス数です。

連載を続けるにあたり、そのことだけは、皆さんにお願いします。


397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/10/08(土) 11:45:51.88 ID:zR80sq/vo

で、無視……と。

このスレで連載する必要はもうなさそうですね。
以後はmixiとサイトだけでやっていきます。

勇者「え、何で……盗賊? え、俺いま何が見えてるんだ……?」

盗賊「兄貴ィ。2年経ったぐらいで俺の顔忘れちゃうのかよ? 酒の飲み過ぎでおかしくなったのか?」

勇者「えっ、えっ」

勇者「幽霊じゃないのか……モシャスで誰かが化けてるとかだったら、俺……」

賢者「正真正銘、彼女はあの盗賊さんです。あなたと私の仲間のね」

勇者「何でだ!? あの時確かに死んで」

賢者「ええ、確かに死んでいました。ですが仮死状態、つまりは瀕死です」

賢者「あの時盗賊さんの体をバシルーラで外へ飛ばしてましてね。咄嗟の判断でしたけど」

盗賊「でも本当は俺の死体埋める為にそうしたんだろ? 姉ちゃん、気づくの遅かっただぜ~?」

勇者「……」

賢者「それで、何とか教会へ運んで助けていただいのです。どうです? ビックリしましたか?」

勇者「うるさい……」

賢者「今まで足を引っ張っていた罰ですよ? 勇者様」

勇者「うるせぇ……っ」

周りのレス見て展開変えてないなら許す

勇者「じゃあ、さっきまでの賢者の、僧侶の俺への態度はなんだ」

賢者「勇者様をその気にさせるためには、甘やかしては無意味でしょう。ですから厳しくいかせていただきました」

盗賊「本当は驚かせる為に2年も内緒にしてたわけじゃないんだけどなぁ」

盗賊「僧侶姉ちゃんは賢者として修業を積んで、俺はそのあいだ色々集めてたんだ」

盗賊「兄貴が装備してるのだって俺が手に入れたんだぜ? 兄貴の為に出来ること全部探して、努力させていただきましたぜぇ」ニコ

勇者「お前ら……俺の空白の2年を返せ……」

盗賊「へへ、兄貴は少しの間大人しくしてもらいたかったんだよ。勇者の顔が魔王軍全体にバレ始めた頃だったからなぁ」

賢者「はい。あのまますぐ旅立てば勇者様はとっくに魔王城で雁字搦めに拘束され、幽閉されていたと思います」

盗賊「だから兄貴は勇者としての使命を諦めたと敵へ思わせたってこと」

盗賊「えーっと、なんだっけ……ああ! 敵を騙すにはまず味方から! でしょ?」

勇者「おいおい……マジかよ……」

酒に溺れた勇者が何言ってんだ

賢者「とにかく、これで全員集合ですね」

盗賊「兄貴、俺たち滅茶苦茶強くなったんだぜ。頼りにしとけよ?」

勇者「……何でお前らそこまで頑張れるんだよ」

賢者「勇者様だって10年も頑張って来たではありませんか。それと比べたら」

勇者「そういう事じゃない。怖いだろ、魔王だぞ。お前ら俺の為に色々してきたとか、集めてきたとか」

勇者「冗談じゃねーよ……俺がさらに惨めに見えるだろうが……」

盗賊「何言ってんだ。兄貴は惨めなんかじゃねーよ」

盗賊「カッコいいよ兄貴は。マジの勇者だよ、そんで俺にとってヒーローだぜ!」

勇者「そんな事言われたって、俺どうしたらいいんだよ」

勇者「人間爆弾やるの、嫌になってきたじゃないか……」

賢者「勇者様。勇者様ならそんな事なさらずともかならず魔王討てます」

賢者「私の言葉を信じてください」

勇者「ううっ……」

展開予想されても気にすること無いだろ
この>>1書き溜め無いからなんとも言えないけど

三回ほど魔王前まで行った時の仲間はみんな死んでるんだよな…

>>538
そう考えたら鬼畜だな

「うおおおおおおぉぉぉぉぉーーー!!」「魔物を倒すぞおおおぉぉぉぉーーー!!」

盗賊「うっわ、すごい熱気だぁ……」

賢者「しっ。静かに。話を聞いてください」

騎士「これより我々王国騎士団で魔王城の壁となっている魔物たちを引き受ける」

騎士「勇者一行はとにかく魔王城へ侵入することだけを考えろ。いいか、これは最後の、捨て身の作戦だぞ」

勇者「す、捨て身って……」

騎士「恐らく何人もの騎士たちが死ぬことになるだろう。文字通り我々の屍を越えて行けということだ」

騎士「健闘を祈る。今度こそ、人間へ勝利を齎しとくれ勇者よ」

勇者「何で今さら本気になって向かってくんだよ……こんな時だけ期待してんなよ、お前ら……」

騎士「魔物の数が全国へ分散している今が突きどころなんだ。幸い、城周辺の魔物の数はこちらより幾分少ない」

騎士「任せたぞ」

勇者「……これじゃあ、俺が今までしてきた事も、仲間の死も無意味じゃないか」

勇者「ふざけるなよ……おい……!」

勇者「好機を狙ったいただとか幸いだと? お前、俺たちがどれだけ苦しんだか分かってないんだろ」

勇者「だから平気で、仲間を使い捨てられるんだろ!」

騎士「お前がどれだけ苦しんだかは俺には見当もつかない。だがな、勇者。俺の仲間たちも多く犠牲になっていったぞ」

騎士「先輩から後輩、そして友人までも。不幸をお互い自慢したいわけでもないだろう。そろそろ始めるぞ」

勇者「あっ……」

盗賊「兄貴、準備はいいかよ? 城の中に入っても魔物はいっぱいだからなぁ」

賢者「城の魔物は私たちにお任せを。勇者様はただ真っ直ぐ魔王を目指してください」

賢者「今度こそ、勝ちましょう」

勇者「あ、ああ」

騎士たちが 魔物へ どとうのいきおいで とつげきした!

魔物たちと大規模なたたかいがはじまる!

賢者「勇者様、参りましょうっ」

安定の勇者のクズっぷり
被害者面とか

魔王城

盗賊「はぁはぁ、ひぃ~……凄い数だったぜぇー……」

賢者「まだ立ち止まれません。先へ進みましょう」

勇者(今回でここに来たのは4度目だ。あの時は全然違うけれど)

勇者(今度は、絶対誰も仲間を殺させたりはしない)

盗賊「兄貴、作戦は?」

勇者「命をだいじにに決まってるだろう。お前たちは死ぬことを許さん。勇者命令だ、かならず守ってくれよ」

まものがあらわれた!

キングヒドラ「外が騒がしいと思えば、勇者貴様か。久方ぶりの再会だ。喜べ」

勇者「……!」

勇者「う、うう」ガタガタ

キングヒドラ「フン、どうした。体がガタガタと震えているぞ? 俺を前にしてあの時の恐怖が蘇ったか?」

勇者「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……っ」

盗賊「兄貴、何も怖がるこたぁねーよ。あいつはただの魔物だぜぇ」

勇者「わかってるけど、でも……怖い。逃げ出したい」

キングヒドラ「ぐわっはははははぁー!! 最初から負け腰とは、やはり虫ケラよ!」

キングヒドラ「では、更に貴様の恐怖を煽ってくれようか」

魔物が 人間の女の子を つれてきた!

賢者「ひ、人質!?」

勇者「!!」

連れてこようとするのを何故待って居たのか

これ1000までで終わるの?

キングヒドラ「どうだ。あの時と同じだろう。奴隷として遣わせている人間を一人持ってきた」

勇者「あ、あ」

キングヒドラ「貴様らがその場から一歩も動かないと約束するのならば、この娘には傷一つつけぬ」

キングヒドラの手下たちが 3人を かこんだ!

盗賊「あ、兄貴ぃ……どうする」

勇者「 」

賢者「……それなら私の魔法を使うまでですよ」

魔物「おっと、手が滑って首筋に爪が触れちまったぜ~」ス

少女「ん……っ」ガタガタ

キングヒドラ「魔法は許可しない。呪文を唱えた瞬間にその娘の首を撥ね飛ばす」

キングヒドラ「今回も残念だったなぁ、勇者どの?」

勇者(どうする。どうするんだ、俺。このままじゃあの時と同じだ。二人が殺されてしまう……!)

パートスレがいる予感
いざとなったら立てる

盗賊「兄貴、辛いけどあの子は」

賢者「ええ、戦いましょう。勇者様」

勇者「ダメだ……子どもだぞ、そんな酷い事はできない……」

賢者「非情になれた勇者様は何処へ行かれたのですか! ここまで来て甘えてはいけません!」

キングヒドラ「相変わらずといったところか。仲間かガキか、さぁどうするのかね。どちらも殺してしまっても構わないが」

キングヒドラ「その前に……そいつらには魔物の子をまた孕んでもらおうかな?」

賢者「うっ、なんと卑劣な魔物でしょうか。勇者様、私たちのことは気にしないで」

勇者(いやだ。いやだいやだいやだ。どうしたらいいんだ、俺は、俺は)

勇者「……」

キングヒドラ「どうした。困ってだんまりかね、勇者。ではそろそろ―――」

勇者「……」ブツブツ

キングヒドラ「え?」

勇者はメガンテをとなえはじめた!

キングヒドラ「貴様、魔法は禁止と言ったはずだ!? それにその呪文は……まさかメガンテ!」

勇者「ブツブツ……俺は甘いからな、どうせどっちかを生かすなんて選択されても、選べない」

勇者「それなら、ブツブツ、全部木っ端微塵に吹っ飛ばして、ブツブツ、全部終わらせる」

盗賊「兄貴正気かあんた!? 俺たちまで殺すつもりなのかよ!?」

勇者「非情になれってんだろ? ブツブツ……なら、やってやるさ……ブツブツ」

キングヒドラ「よ、よせ! 早まるなァー!!」

勇者「ブツブツ……ふんッ」

勇者は やいばのブーメランをなげた! 人質を こうそくこうそくしていた 魔物のくびがふっとぶ!

魔物「」ブシュー

少女「え……きゃああああぁぁぁ~~~!!」

勇者「今だ、賢者、盗賊!! 油断している奴らの首を全部落とせ!!」

キングヒドラ「え、えっ」

勇者「俺が何度メガンテを覚えて死んでいったかお前には分からないだろうな。呪文なんぞ言うだけなら幾らでも可能だ」

勇者「どうした? 魔法は唱えていないぜ……」

賢者はイオナズンをとなえた! 盗賊のこうげき!

キングヒドラ「ギャアオオオオ――――――」

賢者「……そういえば、まだメガンテを覚えていなかったんでしたね」

賢者「だから、呪文を唱えても何も起こらない。ヒヤヒヤさせられましたよ……!」

盗賊「俺てっきり兄貴が全員道ずれにして自害すんのかと思ってたぜー……こえぇ」

勇者「敵を欺くならまず味方から、だろ。それに一か八かの賭けだったしよ、完璧な作戦とは呼べないぜ」

少女「お兄ちゃん!助けてくれてありがとうっ」

勇者「あっ……えへへ」

勇者(初めて乗り越えられたよ、みんな。俺成長できたのかな)

賢者「その子は後から来た騎士たちへ任せましょう。さぁ、私たちは先へ」

勇者「ああ」

魔物のむれをたおした! 勇者はレベルがあがった! 勇者はレベルがあがった!

勇者はメガンテをおぼえた!

盗賊「兄貴! 大丈夫だったか!」

勇者「ああ、ようやくか……」

賢者「メガンテを覚えたのですね。おめでとう、ございます……と言ってもいいのか分かりませんね」

勇者「こいつは最終必殺魔法で、俺の奥の手だ。素直に喜んでも良いと思う」

勇者「行こう、この先に魔王が待っている。そんな気がするんだ」

盗賊「もしかしたら罠かもしれないぜぇ? いっぱい魔物が待ち受けていたりとかさ」

勇者「その時は俺もさっきみたいに戦おうじゃないか。もう何も怖いものはない」

勇者「というのは嘘で、お前たちを失うことが今一番怖い。だからそうならない為にも、俺は全力でお前たちを守って、魔王を倒す」

盗賊「それ滅茶苦茶大変そうだけどぉー」

勇者「問題ないね。恐怖を克服した俺は最強の勇者でお前の兄貴分だ!」

勇者「兄貴の言葉を信じておけよ。バカな弟にバカな妹よ」

賢者「妹って私のことじゃないでしょうね……」

魔王「来たか。よくぞここまで辿りつけたな、勇者よ」

勇者「ようやく、お前に会えたな魔王。長い間待たせてしまったようだ……」

魔王「ふふっ……」

魔王「我こそが魔物たちを、否、万物を統べる王ぞッ! 哀れな人間どもよ! 我を前に恐怖し、跪くが良い!」

勇者「断る」

魔王「では 我が腕の中で息絶えるが良い!」

魔王があらわれた!

賢者はフバーハをとなえた! 魔王のこごえるいき!

盗賊「うぐうううぅぅぅ……あ、兄貴!」

勇者「賢者は俺にバイキルトを。盗賊は道具で俺たちの補助に回れ」

勇者のこうげき!

魔王「ん? 実に生温い攻撃よ」ビシッ

ゾーマのいてつくはどう!

勇者「あっ!?」

賢者「勇者様、補助の効果が消えてしまいました!」

勇者「す、すぐに――――――」

魔王のこうげき! 勇者は大ダメージをうけた!

勇者「がぼぉっ……」

魔王「期待以下の強さであった。貴様らの程度も知れたわ。滅びるのだぁー!」

勇者「あっ!よせ!」

魔王はマヒャドをとなえた! 賢者・盗賊にも大ダメージ!

賢者・盗賊「   」

勇者「こ、こいつ……全然歯が立たないぞ……」

魔王「ふっふっふ、滅びこそ美しいのだ」

>>617
あ・・・ゾーマ・・・

賢者「いくら回復しても、すぐに強力な魔法がきて消耗させらてしまう」

賢者「ゆ、勇者様……MPもそろそろ限界が近いです……」

盗賊「兄貴、こっちも道具袋が空になりかかってる!」

勇者「……」

魔王「所詮、ただの人の子が我へ挑むのは無意味だったというわけだ」

魔王「諦めも時々肝心だ!」

勇者「賢者!! このフロアにいる全員をルーラで国の城まで飛ばせるか!!」

賢者「えっ、全員って……」

勇者「そこの魔王も含めてだ。できるならやれ! は、早くしろ!!」

魔王「まだ抗うか。愚かな人間どもめが!!」

魔王「永遠に眠るが良いッ!!」

魔王はマヒャ―――賢者はルーラをとなえた!

全員を城までとばした!

魔王「ぬぅ?」

~~~

ズドォーン

魔王「ここは……人間の国か……」

王「ぎゃー!? ぎゃー!?」

盗賊「あ、兄貴! 一体何考えてこんなところに! しかも魔王まで。いいのかよぉ!?」

勇者「全員すぐに城から出て行け。あとは、俺がやろう……」

魔王「貴様だけでだと? 愚か過ぎる。良かろう、一瞬でその命の灯を消してくれるぞ!」

賢者「ま、まさか……勇者様……!」

勇者「魔王、忘れているようだな。俺は貴様を倒すまで何度でも蘇る」

勇者「貴様程度の魔物に俺が殺せるものか!」

魔王「ウガアァーッ!!」ドスンドスン

勇者「お前たち、早く出て行け!!」

盗賊「何しようとしてんだよぉー!?」

賢者「勇者様、いけません!!」

勇者「くっそ……!」

賢者「はっ、盗賊さん私の後ろへ――――――」

勇者はメガンテをとなえた! 賢者はマホカンタをとなえた!

だいばくはつが おきる!

魔王「ぐぉおおおおぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~~!!?」

城が こっぱみじんに ふきとんでしまった!

賢者「う、ううっ……盗賊さん。ご無事ですか……」

盗賊「なんとか生きてるよ僧侶姉ちゃん……でも、死にそう……」

賢者「勇者様、メガンテを使うだなんて……怖かったのではなかったの……!?」

盗賊「あっ、ああ!! 僧侶姉ちゃん、あれ……!」

魔王「……フーッ、フーッ!!」

魔王「グオオオオオオオオオオォォォォォォ」

盗賊「魔王がまだ生きていやがるぜ……!?」

賢者「う、うそ。勇者様の渾身のメガンテですら耐えるだなんて」

魔王「ユウシャアァァァ~~~……キサマァ~~~……!!」

魔王の体力は わずかに のこってしまった!

魔王「ファッ!
勇者「あああっ→復活
魔王「ファッ!
勇者「あああっ→復活
このループ外から見てたら笑えるな

盗賊「あ、兄貴は何処にいるんだ! 兄貴ぃ!」

魔王「……ムゥ?」ギロリ

盗賊「ひっ」

賢者「盗賊さん。私たちで何とか倒しましょう、敵はあれでもかなり消耗しています!」

魔王「貴様らの生温い攻撃に魔法で我を倒せると思っておるのかァッ!!」

魔王のこうげき!

賢者・盗賊「うっ……!」

魔王「……え?」

勇者「ぐえぇ……」

しかし、勇者がみがわりになって 2人への こうげきを ふせいだ!

勇者はいきたえてしまった!

勇者はよみがえった!

勇者「これで何度目だったかな。219回目の復活か……」

魔王「ハアッ!?」

賢者「ゆ、勇者様……」

勇者「お前らが死ぬのが一番怖いって言ったろ。それに守るとも言ったぜ」

盗賊「兄貴!!」

魔王「な、何故だ……何故貴様はそこまで立ち上がるのだぁ……」

勇者「お前をまだ倒していないからだ!」

勇者のこうげき! 魔王へ1ダメージあたえた!

魔王のこうげき! 勇者はいきたえてしまった!

勇者はよみがえった! 勇者のこうげき! 魔王のこうげき! 勇者はいきたえてしまった!

勇者はよみがえった!

魔王「グウウゥゥゥゥ……!?」

魔王はあとずさりしはじめた!

魔王「い、嫌だあああぁぁぁ……わ、我に近寄るなあああぁぁぁ……」

勇者「どうした。俺が怖いのか? 俺も魔物が怖かったが、今は何とも思わないぞ」

勇者「覚悟しろ、魔王。俺はお前を倒す! この時を、俺は待っていたぞ!」

勇者のこうげき! 魔王へ1ダメージあたえた!

魔王のこうげき! しかし、こうげきがはずれてしまった!

勇者のこうげき! まおうへ1ダメージあたえた!

魔王「ウ、ウグエエエェェェ~~~ッ!?」

魔王「ハァハァ、ハァハァ……オエェエ……!」

魔王「ヒィ! ク、クルナ……コナイデクレェ……イヤダァ……」

勇者「イヤダアアアァァァァァァーーーーーー!!」

勇者のこうげき! まおうへ1ダメージをあたえた!

魔王「」ズゥン

魔王をたおした

勇者「……勝った。俺は勝ったぞ」

盗賊「兄貴! 兄貴ぃー!! あにきぃ~!!」ギュッ

盗賊「やっぱり兄貴はスゲーよ! 勇者だったぜ!」

勇者「や、やめろ。あまり強く抱きしめるな……死ぬ……」

賢者「死ぬ……? あっ」

女神『勇者、勇者よ。私の声が聞こえますか?』

女神『見事魔王を討ち滅ぼせましたね。あなたのおかげです』

女神『その祝いとして、私から新たな祝福をおくりましょう』

勇者「……おお」フワァ

女神『あなたの最後の眠りがどうかやすらかなものでありますように』


勇者が魔王を倒したことにより、魔物たちは降伏した

長き時を経て、人間と魔物のたたかいは終結したのであった

数日後

勇者「本当に行ってしまうのか? 勉強ならこの国でいくらでもできるだろうに」

盗賊「いいんだよぉ。それに俺兄貴たちと旅をしてから、もっと色々な場所を見て周りたくなったんだ」

盗賊「勉強って言っても色々あるだろ? なんだぁ~、兄貴もしかして俺がいなくて寂しいのぉ?」

勇者「ああ、寂しくなるよ。バカが恋しくなる」

盗賊「なにそれぇ」

賢者「きっとまた会えますよね。いえ、たまには遊びに帰ってきてくださいよ?」

盗賊「おうっ! その時はまた一緒にちょっくら冒険にでも行こうぜ。この3人で」

賢者「はい」

勇者「じゃあ、また今度な。盗賊元気でいろよ」

盗賊「うーっす! 兄貴も姉ちゃんも達者でなぁ~!」

賢者「……行ってしまいましたね。これからは寂しくなるかしら」

勇者「なに、あいつ飽き症だからすぐに帰って来るさ」

数十年後、勇者の家にて

元賢者「今日は点も良くてあたたかいし、素敵な日ですね」

元勇者「ああ、そうだな。平和って証拠だよ」

元勇者「……俺さ、勇者も悪くなかったかもしれないと最近思えたんだ」

元賢者「不死身の体でも?」

元勇者「それを除いて、だな」

元賢者「ふふふっ」

元勇者「あぁー……何だか眠いや……眠っても良いかな」

元賢者「……ええ、どうぞ」

元賢者「ゆっくりおやすみなさい、勇者様」

元勇者「ああ、おやすみ――――――」


おわり

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