――――――ナガノ王国極東地区キヨスミ
?「はぁ、はぁ…」
?「おなかすいたな」
?「ここはどこなんだろう」
?「あ、あんなところに家があるよ」
?「すいませーん」トントン
?「誰もいないのかな」
ドタドタ
ガチャ
和「すいません、お待たせしました」
?「あ、いえいえ」
?「あの、すいませんけど。何か、食べるものと水を分けてもらえませんか?
もう3日も食べてなくて…」
和「わかりました…ちょっと待っていてくださいね」バタン
ガチャ
和「お待たせしました。はい、どうぞ」
?「あの、これ…なんですか?」
和「クワですよ?」
?「あの、なんでクワを…?」
和「似合うと思ったからです。ほんと、とってもよくお似合いですよ」
?「はあ…」
和「ジョウダンですよ。はい、パンです。どうぞ」
?「はぐはぐ…んぐ。あの、できればお水もいただけたら…」
和「あ、そうですよね。喉が乾いてしまいますよね。はい」
?「…」
?「あの、これ…なんですか?」
和「お水ですよ?」
?「それはそうですけど…どうして如雨露(ジョウロ)に入っているんですか?」
和「それは、あなたに似合うと思ったからですよ。ほんと、ぴったりです」
?「は、はあ…」
和「ジョウダンですよ。はい、お水」
?「ありがとうございます」ゴクゴク
和「それはそうと、どうしてそんなにボロボロなのですか?」
?「それが、私にもわかんないんです…なにせ、記憶がないもので」
和「まあ!キオクソウシツなんですか?」
?「はい…それで、このあたりの地理もわかんなくて。ずっとさまよっていたら、ここに」
和「そうですか…でも、お名前くらいは憶えてるんでしょう?」
?「いえ、それも覚えていないんです…」
和「そんなオカルトあるんですね…わかりました。だったら私が名前を付けてあげます」
?「名前をですか!?」
和「はい。『咲』というのはどうでしょう」
?(咲…なんだか、懐かしい響きだ)
?「あの、最初はなんてとんでもないことを言い出すんだって思いましたけど。
『咲』って、いい名前ですね。まるでずっとそう呼ばれてきたような気がします」
和「そうですか。もしかしたら、キオクをなくす前から咲という名前だったのかもしれませんね」
カブ様
咲「はい。そうかもしれませんね。」
和「あと、記憶がないのでしたら今は何もしてないってことですよね。
それでは生活に困るでしょうし、私の農場で働いてはどうですか?」
咲「ほ、本当ですか?このままではまたいずれ行き倒れることになるかもしれませんし…
よければ、ぜひお願いしたいです!」
書き忘れましたがちなみにこれルーンファクトリー1のクロスSSです。
咲は本物の咲ですが記憶なくした関係で性格違ってます
もともとの咲さんに性格近づけるかどうか意見がほしいです。
そのままなら全員に敬語咲さんのままです
和「はい、ここが私の農場です。今は畑しかないのですが…
咲さん次第では、立派な牧場にできると思いますよ」
咲「こ、ここが畑…?」
咲(ど、どう見てもただっぴろいだけの荒れ地にしか見えないよ…)
和「この間嵐が来てから…ちょっと片づけをさぼっちゃってるので、
少し散らかってますけど頑張ってくださいね」
咲「は、はい…」
>>1が書きやすい方でいいんじゃないかな
個人的には相手と親しくなったり記憶の戻り具合で変えてみてもいいと思うけど
和「作物の育て方は分かりますかね?」
咲「いえ、なにぶんキオクソウシツなもので…」
和「では、簡単にレクチャーしますね。
まずは、そこの雑草を抜いてみてください」
咲「はい」ブチ
和「平らな地面が現れたら、そこをクワで耕してください」
咲「はい」ザクッ
和「そうしたらそこに、 カ ブ の 種 を植えてください」
咲「か、カブじゃなきゃダメなんですか…?」
和「いえ、特にそういう決まりはありません」
咲「じゃあどうしてカブを…?」
和「私が好きだからです」
咲「……」
和「さて、種を植えたら水やりです。ジョウロが空になったら、そこのポンプで水を汲んでください」
和「これで一通りの農作業は学んだことになります。
カブはだいたい3日くらいで収穫できます」
和「収穫できるくらい大きくなったら、その箱に入れておいてください。
町の雑貨屋の人が毎日回収に来てくれるはずです。今後は、それが主な収入源になると思います」
和「あと、あそこの家は自由に使っていただいて構いません。宿屋暮らしできるほどお金を持ってないでしょうし。
狭いけど、吹きさらしよりはマシなはずです」
咲「わかりました。何から何までありがとうございます」
和「そうそう、収穫したものや、集めたものは他人にプレゼントすることもできますよ」
和「カブ、楽しみに待ってますね。それじゃ」
_____
, '"´ `ヽ.
/ //_/_i _。! ,!ヽ.
/ / (| l|'ゞ' lj'i i|
r-、「〈rヘ./ /| iト、 ー ノ!|i
rヽ:::::::::V::ヽrヽ!、|>i`7i´、!ヘ!
`ヽ:::::ヽ:!::/ /´ k、_7-〉7、
.>'" ̄ヽ. r'--iー<><>i7'i
iニ゚д゚_.:i/! ,.'-‐r-、!-、!__r-、
| ̄ ̄ !//ゝ、 |r'ニ'´ヽ_ンーr'
L____,.イ iヽ_/ `ーr'ヽ__「r(◎i
γ,.-─、!、__!_/'"´ ̄` | l | l| ブロロー
!_//´ ̄/ーァ / _i__,.イ| !ハ_r'ァヽー、
7/ r'"ヽ∠くr'"ヽ.! ∠l /| l´' ̄ゝi
C-| [二二三_>-'(_'))/ /i」ヽ○ l|::|
( ( ';'ゝ、_____ノ::ノ ̄`'ー-'" ヽゝ、__ ンノ
`''ー--‐''" `''ー‐'"
咲「……」
咲「とりあえずこのカブが育ったら、あげなきゃいけないのかな…」
咲「今日は疲れたし、とりあえず町のほうに行くのは明日でいいかな」
咲「うん、そんなに大きくないけど、清潔なベッドだし、野宿より100倍いいよね」
咲「おやすみなさい…」
④
咲「ん…もう朝か…」
コンコン
咲「ん?」
咲「鍵はかかってませんよ。どうぞ」
ガチャ
透華「あら、あなたがここへ越してきたという方かしら?」
咲「越してきたというべきかはわかりませんが、和さんにお世話になっています。咲といいます」
透華「ふーむ、わかりました。では、ごきげんよう」
咲「な、なんだったんだろ…」
純「あー、あいつは透華・竜門渕。ここら一帯を治めてる貴族だよ。
俺はそこのメイドの純だ。よろしく」
咲「よろしくお願いします」
純「透華は生粋の箱入りだからな…こんな小屋にはあまり長居したくなかったんだろう。気を悪くするな」
純「いずれ町にも来るんだろうから、もし屋敷に来ることがあったら声をかけてくれ」
咲「は、はい」
純「じゃ、邪魔したな」ガチャ
咲「さて、じゃあ町のほうに行ってみようかな」
咲「あれ?和さんが居る」
④
咲「どうしたの?和さん」
和「咲さんですか。あれを見てください」
シズノ「ウキー!」
咲「あれは…なに?猿みたいなのが畑で暴れまわってるけど」
和「モンスターです。おかしいですね…ふつうモンスターはダンジョンと呼ばれる場所にしか生息していないのですが。
第一、キヨスミの周辺にはモンスターのいるダンジョンは存在しないはずです」
猿避け支援
咲「このままじゃカブの芽が潰されちゃうね…」
和「咲さん、これを差し上げます。『ブロードソード』です」
咲「剣!?剣なんて使えないよ!」
シズノ「ウキー!!」ガバッ
咲「!! 和さん!危ない!」バシュ
シズノ「ウキ…」シューン
和「お見事です。先ほどの剣技、なかなかのものでしたよ」
穏が駆除されてしまった・・・
咲「はあ、はあ…体が勝手に動いて…
でもあのサル、倒したら消えちゃったけど…もしかして殺しちゃったの?」
和「いいえ、そうではありません。この世界の武器や農具にはすべて『ハコワレ』の魔法がかかっていて、
それで倒したモンスターははじまりの森というところへ送り還されるのです。
ハコワレしても、そのあとも続く苦痛がないように、と古の神が生み出した魔法だそうです」
咲「そうなんだ…」
和「そんなことより、助けてくれてありがとうございました。
大したものではないですが、これをどうぞ」ドサッ
咲(あれ…どこから出したんだろう!?)
咲(うわあ…袋いっぱいのカブの種だ)
和「どうせ差し上げようと思っていたところなのですが、せっかくなのでお礼という形にしてみました」
和「もしそれがなくなったら、今度からは尭深さんのお店で種を買ってくださいね」
咲(これがなくなるまでは、カブを作り続けろってことなのかな…?)
和「いいえ、カブは春しか育ちませんから」
咲(心を読まれた!?)
④
和「農業について補足なのですが、昨日抜いてもらった雑草なんかは素手でも抜けますし、
今さっきの剣でも切れます」
咲「はい」
和「でも、切り株や大きな岩なんかは専用の道具でないと壊せませんから、
今日町に行ってそれらの道具を手に入れるようにしたらいいと思います」
咲「わかりました」
和「町のみんなにもあいさつして、早くなじめるようにしないといけませんからね」
和「この町の人たちはみんな優しいですから、キオクソウシツの元何をやってたかわからない人でも受け入れてくれると思います」
咲(な、なんか含みのある言い方だな…)
咲「じゃあ、いってきます」
和「はい、気を付けて」
雑貨屋
咲「こんにちわー」
淡「ああもう!タカミ!その商品はこっちの棚でしょ!しかも値段もつけ間違えてるし」
尭深「ごめんね淡ちゃん…ねえ、お客さんが来たみたいだよ」
淡「ほんとだ!いらっしゃいませ」
淡「んー?見慣れないヒト。あなたがノドカの言ってた行き倒れさん?」
咲「は、はい…咲といいます」
淡「んー、じゃあ、サキね!私は淡、こっちがタカミで、一緒に雑貨屋をやってるよ」
尭深「よろしく…」
淡「なるほどー、あなたもノドカに騙されたってわけね」
咲「だ、騙された…?」
淡「いや、たいしたコトじゃないよ」
淡「あの農場に住んでるってことは、出荷物の説明は受けた?」
咲「箱に入れればいいんですよね…」
淡「そそ。そしたら、毎日夕方5時には私が回収してあげるから。長い付き合いになるってわけ」
淡「ちなみに、春はイチゴをたくさん入れてくれたらいいな。秋はサツマイモでよろしくね」
咲「あはは…」
尭深「とりあえず、初回サービスでいちごの種プレゼントしますね」
咲「ありがとうございます」
淡「まったねー」
宿屋
雅枝「いらっしゃい」
咲「こんにちわ」
雅枝「あー、そのハネた髪。あんたが新しく和のとこに来たって子やな」
咲「は、はい。咲です」
雅枝「まあ、宿無しじゃあらへんみたいやし、うちにあんま用はないやろな」
咲「そうですね。ありがたいことに」
雅枝「うちには子供が二人おるんやけど、よかったら仲良くしてやってな」
咲「はい。ぜひ」
雅枝「おっと、噂をすれば…や。絹ー!ちょっとこっちきい」
絹恵「何ー?おかーさん」
雅枝「これが妹の絹恵。図書館で働いてる」
絹恵「ほんまはお姉ちゃんみたいに外で遊ぶほうが好きなんやけどな」
絹恵「そのちょっとパッとせん感じ。農場に新しく来た子ってあんたやね?」
咲さんみんなに酷い言われようだなwww
洋榎「」ソローリ
雅枝「おいこら待たんかい」ギュム
洋榎「痛たたたたた!なにすんねんおかん!」
雅枝「んで、これが姉の洋榎。毎日ダンジョンでプラプラ遊んどるアホンダラや」
洋榎「遊んでへんわ!うちはトレジャーハンターやねん」
咲「あはは…咲です。二人ともよろしくお願いします」
洋榎「固いわ!あの農場におるんやったらいずれはあんたもうちのようにダンジョン潜ることになるんや!
言うてみれば同業者やな。そういうわけやから余計な遠慮はいらんで!うちのことは気安く洋榎さんと呼んでくれたらええ」
絹恵「おねーちゃん…ぜんぜん気安くなってへんし」
洋榎「ジョークに決まってるやろ!キヨスミ式ジョークや」
絹恵「まあそういうわけやから。咲ちゃんもホンマ固くならんと二人とも呼び捨てにしてくれてええで」
咲「そ、それはおいおいということで…」
絹恵「咲ちゃんはマジメやね。この町でネンコージョレツなんか気にする人そうそうおらんで」
洋榎「せや!咲ちゃんとの出会いを祝してこれをやるわ!」
咲「本…ですか?」
洋榎「ただの本じゃないで!『リターン』と『エスケープ』の魔法書や!」
絹恵「ダンジョンの中から一瞬で脱出したり、家に戻ったりできるんよ。
もっとスゴイ魔法は、うちの図書館にあるからたまには顔見せてな」
④
病院
憩「あら?いらっしゃーぃ」
憩「見慣れへん顔やね。それとも、会ったことあるけど印象に残らん顔なんかいな?」
咲「あの、農場にお世話になっています!咲です」
憩「ウソウソ。和ちゃんから聞いてるで。ここは見てのとおり病院。
もし体の調子が悪くなったらすぐにここに来てや。
それから、もしダンジョンに行くつもりなんやったら、ここでお薬も売ってますーぅ」
憩「あ、あとこっちがここに努めてるナースの美穂子ちゃん」
美穂子「よろしくおねがいします。」
憩「もし咲ちゃんがぶっ倒れることになったらこの子が回収に行くから。
普段から仲良ぅしときーや」
美穂子「うふふ、ちゃんと助けに行きますから、安心してくださいね」
咲「あ、ありがとうございます…」
咲(回収に来る…?)
Uさんに手を出したら回収してくれない予感
教会
咲「あれ、教会がある」
?「そこは開いてないよ」
咲「えっ…!?」
憧「驚かせちゃった?あたしは憧。そこのお風呂屋の主人よ」
咲「あ、昨日から農場にお世話になってる咲です。よろしくお願いします」
憧「んー、固い固い。和から小動物みたいな子だって聞いてたけど、
こりゃ想像以上に臆病そうだわ」
咲「あはは、洋榎さんにも同じことを言われました…」
憧「お風呂は命の洗濯♪入ればすっごく元気になるわ!
毎日でもいいから、入りに来・て・よ・ね♪」
咲「そうですね。今日もお仕事の後に、入りに行くことにします」
憧「ん、待ってるからね!」
?「もー、うるさいわねー」ガチャ
憧「げ…居たのね」
久「そこのあなた。お名前は?」
咲「さ…咲です!」
久「そう。咲。いい名前ね」
咲「あの…あなたは?」
久「私は久。ここの教会のシスターよ」
憧「でもこの人自身はシスターの資格を持ってなくて、シスターとナースの両方の資格を持ってる
恋人の美穂子さんに祝日のミサとか結婚式とか全部やらせてるの」ヒソヒソ
久「聞こえてるわよ…憧」
久「まあ…もし咲、あなたが敬虔なおもち神の信者だとか言うなら、祝日はうちに来てミサにでも参加したら?」
久「美穂子のありがた~い説法が聞けるわよ」
咲「はは…考えておきます」
図書館
咲「ここが図書館…」
ハギヨシ「いらっしゃいませ」
咲「あ、こんにちわ」
ハギヨシ「あなたが咲さんですね。和さんからお話は聞いています。
私は…ハギヨシとでもお呼びください。ここの司書をしています」
咲「はい…なんだかここ、とっても落ち着きますね」
ハギヨシ「本がお好きで?」
咲「そうかもしれません…記憶喪失なもので昔のことは分からないんですよ」
ハギヨシ「それは失礼を」
ハギヨシ「うちの絹恵には既に?」
咲「はい」
ハギヨシ「彼女の受け持ちはあちらです。魔法書による魔術習得の手ほどきを。
もし普通の本で、お探しのものがあればお申し付けください」
衣「お?客人か?」
ハギヨシ「ああ、衣。指をさすのは失礼ですよ」
衣「ふむ、おまえがノノカの言っていた咲とやらか。
聞きしに勝るとも劣らぬ凡庸な姿…だが、衣は感じるぞ。おまえに秘められた大いなる力を」
ハギヨシ「彼女は衣。戦争で両親と死に別れたところを私が引き取ったのです」
咲「そうなんですか…」
ハギヨシ「ええ。いまや家族同然です
それでは、仕事がありますので失礼します。またいつでもいらしてくださいね」
咲「わかりました。楽しみにしてます」
カジュ・ファーム
咲「こんにちわ…」
ゆみ「ん…見かけない顔だな。君が新しく和のところの農場に来たという子か」
咲「はい。咲といいます」
ゆみ「そうか…私はゆみ。ここで牧場を経営している」
ゆみ「いわば君の先輩にあたる。わからないことがあったら、何でも聞いてほしい」
咲「頼もしいです。ありがとうございます」
ゆみ「はは、そう緊張することはない。そうだ、せっかく来たのだからこのブラシをあげよう」
咲「ブラシですか」
ゆみ「そうだ。この町にあるもう一つの牧場に初瀬という人がいる。
彼女にモンスター小屋を建ててもらえば、そこでモンスターが飼えるようになる。
そのブラシはモンスターの世話に使うものだ」
咲「わかりました…行ってみます」
ゆみ「気を付けてな」
ハツセ牧場
咲「こんにちわ」
初瀬「ん?そのぴこんとハネた髪の毛…あんたが咲か」
咲「そうです」
初瀬「和に話は聞いてるよ。新米だからまずここに来るだろうって」
咲「あはは…」
初瀬「さて、私はここで牧場を経営しているわけだが」
咲「ええ」
初瀬「はっきり言って、農作業はキライだ」
咲「ええ!?」
初瀬「もっぱら、大工仕事のほうが好きなんだ」
咲「はあ…」
初瀬「だから、モンスター小屋を建てたくなったり、家を改築したくなったりしたらここに来い」
初瀬「あ、あとうちじゃあんまり使わないからモンスターのエサも売ってやるぞ」
咲(私がモンスターだったら、あんまりここで飼われたくはないなあ)
初瀬「というわけだ。まあ同業同士、仲良くやっていこう。これはプレゼントだ」
咲「わ、ハンマーだ」
初瀬「使い古しだけどな。聞けば着のみ着のままでここへ来たそうじゃないか」
咲「そうです…記憶喪失なんです」
初瀬「まあ、のんびり生きてりゃそのうちひょっこり思い出すだろうさ」
初瀬「ところで、ハンマーの代わりと言ってはなんだが、これを海の家まで届けてくれないか?」ドサ
咲「え、ええ。いいですよ…」
咲(すごく重そう…)
初瀬「畜産は安定した収入がウリだからな。なるべくはやく小屋を建てるようお勧めするよ」
咲「そうなんですか…がんばります」
海の家
咲「はあ…はあ…」
咲(重すぎるよこれ!)
咲「ご、ごめんください」
智美「ワハハ、そのでっかい袋…頼んどいた釣竿の材料だなー?」
咲「わかりませんけど…初瀬さんからのお届け物です」
智美「やっぱりそうか。おーい!モモー!」
桃子「はいっす」
咲(何もいなかったところから人が!?)
咲「あ、これ、アイスクリーム…?」
智美「ワハハ、ここまで持ってきてもらったお礼だぞー」
桃子「もしかすると、新しい住人さんっすか?」
咲「はい。ノドカ農場の咲です」
智美「私は智美。で、こっちがここの主人のモモだ」
桃子「桃子っす。モモでよろしくっす」
咲「わかりました。智美さんにモモさん」
鍛冶屋
咲「ここがモモさんに教えてもらった鍛冶屋か…」
大沼秋一郎「…」
咲「わ、こんにちわ」
秋一郎「ああ」
咲「あの、農場に越してきた、咲です」
秋一郎「聞いている」
秋一郎「これを」
咲「オ、オノですか…」
秋一郎「畑、荒れてるだろう…」
町長の家
咲「鍛冶屋さん、無口な人なんだな…」
竜華「お待たせしました、はじめまして」
咲「はじめまして」
竜華「えーと、あなたが咲ちゃんやな?うちは町長の竜華です。
とりあえず、住民登録の書類お願いします」
咲「はい」サラサラ
竜華「確かに。ここでは、こういった事務書類の手続き。
咲ちゃんにすぐ関係ありそうなやつで具体的にはダンジョンの立ち入り許可証の発行とかしてます」
竜華「勝手に入ったら罰金あるから気を付けてや?」
咲「それはいいんですけど…その膝のはなんですか?」
竜華「あー、怜、ちょおあんたも自己紹介しい」
怜「はじめましてー、町長の恋人の怜ですー、ほなよろしく」コホ…
竜華「ごめんなあ、咲ちゃん。普段はめっちゃええ子なんやけど、病弱なもんで今日は調子悪いねん」
咲「いえ、お気になさらず…」
竜華「本題に戻るけど、とりあえず一番危険度の低いカーマイト洞窟。
ここの許可証の発行のために和ちゃんとこの農場を耕して作物を収穫してや。
具体的には100個。種類はなんでもええけど。自分とこの農場がしっかりしてからやないと許可証は出せんから」
竜華「尭深んとこから確認が取れ次第、許可証は郵送するから。ほなよろしく」
咲「わかりました。がんばります」
咲「これで一通り回ったかな」
咲「農具は全部そろったし、さっそく畑仕事に取り掛かろう!」
咲「はあ…はあ…、けっこう片付いてきたね…ん?」
和「………」
咲「あれ、和さん?どうかしましたか」
和「いえ、畑仕事、進んでるかな、と思いまして」
咲「はい、だいぶキレイになりましたよ」
咲「ここに、イチゴを植えようと思います」
和「そうですか」
咲(明らかに表情が曇った…)
咲「こ、こっちにはカブを植えるんですよ!」
和「ええ、とてもいいと思います」
咲(すごい満面の笑顔だ)
和「畑で汗を流して働く姿って、いいですよね…」
咲「そ、そうだね…」
和「私、咲さんにはアースマイトの素質があると踏んでいます」
咲「アースマイト?」
和「はい、大地と共に生きる人たち。その中でも、大地の声を聴き、
その代弁者として大地の力を行使し世界の在るべき理を守護する者のことです」
咲「そ、そんなことできないと思うけど…」
和「嘘だと思うなら、そこにカブを9つ並べて植えてみてください。
きっと私の言ったことが理解できるはずです」
和「じゃ、頑張ってくださいね」
咲(そんなこと言って、ただカブをたくさん植えさせたいだけなんじゃないのかな…)
咲「ま、物は試しで」パラパラ
3日後
咲「さて、今日はいよいよ初めての収穫ができる日だね…畑に行ってみよう」
咲「な…なんだろうこれ」
咲「カブの上に…光の玉みたいなのが浮かんでるけど」
咲「掴んでみよう」
咲「!?」
咲「なんだろう…暖かくて、力が湧いてくる感じがする」
和「ね、だからいったでしょう」
咲(いつの間に着てたの!?)
和「それは『ルーン結晶』。この世界の全ての命の源であるルーンは、作物という大地の落とし子が
実る時にそこに集まるものです。そしてたくさんの作物があれば、それは飽和し結晶となって目に見える形となる。
命の源であるルーンの塊を手にすれば、あなたは当然強くなれます」
和「そして、そんな芸当はただの人間にはできません」
和「つまり、それは―――――あなたがアースマイトだということに他ならないのです」
咲「そ、そうなんだ」
咲(それがわかったからと言って、どうなるわけでもないよね)
和「さあ、咲さんがアースマイトだということが分かったところで、収穫に入るとしましょうか」
咲「う、うん」ズポッ
咲「うん…立派なカブだね。おいしそう」
咲「さて、この出荷箱に入れればいいんだっけ」
和「……」ジーッ
咲「…和さん。このカブあげるよ」ポス
和「そんな!ほんとうに頂いてもいいんですか!?」パアァ
咲「う、うん…そんなに欲しそうな目で見つめられたらね」
和「ありがとうございます!大切にします!」
咲「いや…腐らないうちに食べてくださいよ」
咲「ふー、収穫終わり。新しい種も蒔いたし、イチゴの水やりも終わった」
咲「途中ころんじゃったし、泥だらけだね」
淡「おーい!サキー!」
咲「あ、淡さん。こんにちわ」
淡「もー、さんは要らないって言ってるでしょ?あと敬語も禁止!回収に来たよー」
咲「わ、わかったよ…じゃ、淡ちゃんで。」
淡「んー、まそれでいっか」
淡「えーと…うわ、カブだらけ…ノドカが喜びそうだね」
咲「大喜びで箱に飛び込もうとするのを止めるのに苦労したよ」
淡「あはは、ありえる…じゃ、カブ8個で240ゴールドね」
咲「ありがとう」
淡「あー、サキ泥だらけじゃん!一緒にお風呂入りに行こうよ」
咲「そうだね…お風呂には行くつもりだったけど、うん。一緒に行こうか」
淡「レッツゴー!」
憧「おー、今日も泥だらけだねー、咲…と淡も一緒なんだ」
淡「そそ、一緒にお風呂ー♪アコもどう?」チャリン
憧「あたしが入っちゃったら番台に誰もいなくなるじゃん…
それにあたしは今日洗った後一番に入ったの」
淡「ええー!ずるいずるいー」
憧「お風呂屋の特権よ…たまの贅沢だけどね。じゃ、ごゆっくり」
咲「お金置いとくね」チャリン
憧「まいどー♪」
カポーン
バシャー
咲「はあ…あったかい」
淡「サキは入ってすぐに体を洗うタイプなんだねー」
咲「そのまま入ったら泥だらけだからね…しょうがないよ」
淡「ね、ね。せっかくだしさ、体、洗いっこしない?」
咲「うーん……まあいいよ」
淡「ほりゃっ!」
咲「あ…ちょっと!海綿使ってよ!」
淡「海綿なんか使ったらサキのお肌が傷ついちゃうよー。
ここは石鹸を塗りたくった手で丁寧に洗わないとね!」ヌルッ
咲「ん…あ…ど、どこ触って」
淡「そんなコトおんなのコに言わせるつもり?」
咲「あ…淡ちゃんがやってるんでしょ!?」
淡「サキ胸ちっちゃいんだねー」
咲「淡ちゃんだって変わんないくせに…」
淡「もー本気で行くからね!」
咲「この…こうなったら!」
淡「はあ…はあ…」
咲「はあ…はあ…」
憧「どしたの二人とも?のぼせた?」
咲(全力で抵抗して疲れた…)
淡(タカミの力なら簡単にねじ伏せられるのに…)
体力が全回復した!でもすぐに消費してしまった! デデデデーン
淡「じゃまたねサキー」
咲「もうあんなことするなら一緒にお風呂行かないからね」
淡「そんなー」
咲「ちょっと図書館よって帰ろ」
咲「こんばんわー」
絹恵「お、咲ちゃん。いらっしゃい」
咲「ちょっと魔法に興味があって来ました」
絹恵「ええこっちゃ。本を読んで知識を得ても実生活で活かさなければ意味がない。
魔法書ってのはその体現にふさわしいものなんや。戦術に幅を持たせようというその考えが素晴らしいで」
絹恵「ま、本音いうとこの町の人はあんま魔法に興味ないから寂しいってとこやけどな」
絹恵「憧がたまに色草混ぜまくって意味の分からん薬とか入浴剤作るぐらいやし」
絹恵「ああそう!この前なんかな!海の香りの入浴剤やーとかいうて青い草とブリを混ぜた入浴剤なんか作りやがったんやあのアホ」
絹恵「もう生臭くって風呂どころやなかったでホンマ」
咲(お姉さんと一緒でよくしゃべるなあ…)
絹恵「はっ!トリップしてもうたわごめんな咲ちゃん」
咲「いえ、いいですよ。絹恵さんとお話しするの楽しいですし」
絹恵「ホンマ咲ちゃんええ娘やわぁ。ほんで、どの魔法にする?
敵の生命力を吸収するライフアブソーバーに風で相手を切り裂くルフトメッサー、
土の槍を召喚するストーンスパイクとかあるで」
咲「い、一番簡単なやつでお願いします…」
絹恵「うーん、まあ一番最初やしそれにするか。火球を飛ばすファイアーボールや」
咲「まんまですね…」
絹恵「名は体を表す、やで」
またしばらくして
咲「あ、今日は雨なんだ…」
咲「雨の日は水やりしなくていいからラクだよね」
和「そうですね」
咲(って、何で当たり前のように部屋の中にいるの!?)
咲「あの、和さん…?なんで部屋の中に?」
和「え?今日が雨だからですよ。外にいたら濡れちゃうじゃないですか」
咲「そ、そうですね…」
咲「あ、でも昨日もうすぐイチゴが熟しそうだったんだよね。収穫しなきゃ」ガチャ
咲「あ…よさそうな感じ。おいしそうなイチゴ」
咲「淡ちゃんイチゴが好きなんだよね。喜んでくれるかな」
咲「収穫終わり…あ、雨やんだみたい」
淡「サキー!」
咲「あ、淡ちゃん」
淡「はいこれ。カーマイト洞窟の探索許可書。うちでつけてる出荷記録で出荷数が100を超えたからね」
淡「ちなみに100個全部カブでした」
咲「一番早く育つからね」
淡「あ…おいしそうなイチゴ。やっとカブ以外が出荷されたね」
咲「うん」
淡「ねえ、このイチゴ、加工して出荷してみない?」
咲「加工?」
淡「そう!ジャムとか、ケーキとか…そういう風にしてから出荷したほうがお得になることがあるんだよ」
咲「でも…どうやって?」
淡「トーカのところへ行こう!ハジメはとっても料理が上手だから」
咲「メイドだもんね」
竜門渕邸
一「いらっしゃいませ…あれ、咲様に淡様ですか」
淡「もー、ハジメってば呼び捨てでいいのにー」
一「そういうわけにはいかないよ…ボクには竜門渕家のメイドという立場があるから」
透華「構わないでしょう。お父様…この館の主人がいないところでは」
一「透華がそういうなら…で、どういう要件なの?」
淡「あのね、サキに料理を教えてほしくって」
一「料理?」
一「なるほど、収穫したイチゴで料理をね…」
一「咲さんは、調理道具を持ってる?」
咲「いえ、何も」
一「まずは簡単なものからでも揃えるといいよ。毎週祝日には照っていう行商の人が広場で売ってるから」
咲「そうします」
一「じゃ、今日はこのイチゴでジャムパンを作ろうか」
淡「がってん!」
一「じゃ、鍋にイチゴを入れて…煮込んだらイチゴジャムの出来上がり」
淡「え?」
一「何?」
淡「砂糖とか入れた?」
一「入れたよ」
淡「見えなかったんだけど…」
一「入れたよ」
一「で、次は小麦粉とイチゴジャムでジャムパン」
淡「……」
一「はい、できあがり」
淡「おおー」
咲「おおー」
一「せっかくだから、カレーパンも作ろうか」
淡「カレーパン大好き!」
一「用意するものはジャガイモ、ニンジン、タマネギ、カレー粉、ご飯」
淡「え?」
一「まず、鍋でカレーを作ります」
一「で、お皿によそったごはんにカレーをかけます」
一「で、ご飯を捨てます」
一「そしたら、小麦粉に…」
淡「は?」
一「…包んで、オーブンにイン」
淡「無視しないで!」
一「…ほら、カレーパンできた」
淡「納得いかない!」
一「そんなこといったって、これが王家に…じゃなかった、竜門渕に伝わるカレーパンのレシピなんだよ」
淡「ううう~~っ」
咲「まあまあ淡ちゃん、おいしければそれでいいじゃない」
純「いい匂いがするな…」
透華「せっかくですので、みなさんの分お作りしてブレッド・パーティとしゃれ込みましょうか」
智紀「レッツパーリィ…」
一「じゃ、ついでにもう一品ちゃちゃっと野菜いため作っちゃおっか」
一「キャベツを炒めて…はい出来上がり」
淡(どう見てもキャベツ以外の野菜も入ってるように見えるんだけど…完成品)
翌日
咲「うーん、いい天気。今日は絶好の冒険日和だね」
和「カーマイト洞窟に行くんですね」
咲「うん」
和「本当はこの畑だけを見ていてほしいんですが…広さに限界があるのも事実。仕方ありませんね」
咲「え、その言い方…洞窟にも畑があるの?」
和「そうですよ…そういえば説明してませんでしたね」
咲「まあもともとただの探検のつもりだったしいいけど」
和「洞窟の中の畑は…もちろん広さで比べるとこの畑よりも小さいです」
咲「ボロ農具じゃ壊せない切り株とか岩のせいで半分以上使えない状況だけどね」
和「…こほん!ですが、洞窟の中は、一年を通して気候が変わりません。
前に、カブは春しか育たないといったのを覚えていますか?」
咲「うん。もし育ててる途中で夏になったらどうなるの?」
和「枯草になります」
咲「枯草に!?」
和「ええ…収穫できるまでの日数を考えずに植え種を無駄にした牧場主への恨みから作物はヒョロヒョロの枯草に姿を変えてしまうんです
……それが、たとえパイナップルしっかりした幹でも、丸々と太ったキャベツでも」
和「世界には、成長にすさまじい時間を要する作物が存在します…たとえば、私の大好きな金剛花とか」
咲「………」
和「とにかく、そういった作物を育てるのには、役に立つと思います」
咲「わかったよ和ちゃん」
和(ああっ…!?咲さんが初めて私をちゃんづけで…)
カーマイト洞窟
咲「ここがカーマイト洞窟か…」
洋榎「ん?」
咲「あ、洋榎さん」
洋榎「咲か…ついに洞窟へ進出したんやな」
洋榎「ここからは一触即発。命(タマ)をとるかとられるかの世界や。油断したらアカンで」
咲「ええ。わかってます」
洋榎「まあ、せっかくやしウチもついてったろ。
ここはウチの庭みたいなもんや
…目的は採掘か?」
咲「ただの探検ですけど…」
洋榎「もったいないやろそれは!
ええか、こういう鉱物が表面に露出した岩を見つけたらな、ハンマーで叩くねん。思いっきり」
洋榎「そしたら使えそうな鉱石が手に入るからなー…たまにクズ鉄の時とかあるけど」
洋榎「概して、地下深くのほうがいいモンが手に入るで」
咲「はあ……」
洋榎「それに、アンタの使ってる農具ボロボロやん。鉱石はそういう農具の強化にも使えるんやで」
洋榎「ん…なんやあの機械」
シュバッ
咲「わ!モンスターが出てきましたよ!」
洋榎「こんなこと今までなかったのに…しゃあない!やるで咲!」
咲「はい!」
シズノ1「ウキー」
シズノ2「ウキキー」
洋榎「とりゃ!」バシュ
咲「えい!」ズバ
シューン
洋榎「やるやないか咲!」
咲「洋榎さんも!」
洋榎「ヒロでええって」
咲「じゃ、ヒロちゃんでいいですか?」
洋榎「ちゃんってガラやないけど…まあええやろ」
洋榎「ほな、先に進むで」
地下深く
洋榎「なあ…あれ見てみ咲」
咲「ここまでにあった機械よりはるかに大きいですね…」
洋榎「なんかよくない予感がするで…歴戦のトレジャーハンターのカンがささやいてる」
チュドーン!
洋榎「な…なんじゃありゃ」
グレーターシズノ「ウキキキキキーーーーッ!!」
洋榎「うおお!?でか!?しかも入口にバリア張られたで」
咲「戦うしかないですね…」
洋榎「せやな!」
洋榎「てい!」パキーン
洋榎「ぎゃあああ!?剣が折れた!どないしよ」
グレーターシズノ「…ウキ」ジロリ
洋榎「明らかにウチに狙いを絞ってる…」
グレーターシズノ「ウキー!」ガバッ
洋榎(アカン…!)
咲「ヒロちゃん!受け取って!」ブンッ
カランカラーン
洋榎「ナイスパスや!咲!」
洋榎「ぐうっ!」ガキーン
洋榎「はっ!」ザクッ
グレーターシズノ「ウキャ……!」
洋榎「こんどは咲狙いか!」
洋榎(ダメや…射線上にこいつが立ち塞がってしもて投げても届かん…)
洋榎「咲ーぃ!」
咲「……」
咲「くらえ!ファイアーボール!」
グレーターシズノ「ウ…キ…」ドサッ
シューン
洋榎「やったか…」
咲「魔法覚えててよかった…」
洋榎「ウチも今度絹に習お」
咲「なんだったんだろう…いったい」
洋榎「とりあえず、この機械の部品持って帰ってみよ」
和「そうしたほうがいいですね」
洋榎「どわああああ!いきなり出でくんなや」
咲(やっぱりそれが普通の反応だよね…)
咲「和ちゃん!こんなところに来たら危ないよ」
和「大丈夫ですよ」
洋榎「今はこの機械をハギの兄ちゃんに見てもらうのが先決やな」
洋榎「ほな『エスケープ』で脱出すんで!」
―――――――図書館
ハギヨシ「これは、『シフト』ですね」
洋榎「なんやそれ」
絹恵「はじまりの森に繋がる『ゲート』を発生させるキカイやったっけ」
洋榎「なんで知っとんの」
絹恵「うちはおねえちゃんと違って勤勉やから」
洋榎「言うやないか」
ハギヨシ「そのとおりです。そしてこれは帝国製のもののようです」
洋榎「帝国って、グンマ帝国かいな!」
咲「グンマ帝国?」
絹恵「このナガノ王国に隣接する世界最大の軍事力を誇る帝国のことや。
生活において、すさまじいキカイ化を取り入れ取る国らしいで。」
ハギヨシ「このことは町長に報告して、しかるべき対処をしなければなりませんね」
―――――――町長の家
竜華「話は分かったで」
怜「こんな片田舎の町に似合わずなんやえらい大事やなあ」
竜華「怜は一言余計や」
竜華「ほんでな、咲ちゃん…こちらのほうでも、王都のほうと連絡取ってみるけど…
キヨスミサイドとしてももうちょっと詳しい情報が欲しいんよ。
やから…お願いや。次のトロス洞窟にも調査に行ってほしいんやけど…」
咲「わかりました。わたしにできることがあれば」
洋榎「なんや、ほいほい許可書出すなんてらしくないやんか」
竜華「聞けば、咲ちゃんはアースマイトやとか。
この先もどんどんと洞窟に進むんやったら大地の加護を得られるアースマイトのほうが安全やねん」
竜華「別に普段やったらええんやけど、こんな機械が設置されてモンスターが徘徊しとるっちゅうんやったら一般人には許可証出せんし
咲ちゃんだけ特別って形になるんは仕方ないと思ってくれ」
竜華「ちなみに洋榎の今持ってる許可書は咲ちゃんの探索が終わるまで全部取り消しな」
洋榎「」
――――――咲の家
和「大変なことになりましたね…」
咲「そうだね…」
咲(もう突っ込まないようにしよう)
咲「そういえば、明日から夏だね。明日は海開きなんでしょ?」
和「ええ…春の終わり…カブの季節の終焉…」シクシク
和「ですが!今回探索したトロス洞窟は春の洞窟!つまり明日からもカブが作り放題ということで」
咲「作らないよ」
ごめんなさい今回探索したのはカーマイトでした…どうでもいいけど脳内訂正お願いします
―――――――海
桃子「夏だ!」
智美「海だぞー」
桃子「書きいれ時っすー!」
咲「テンション高いね…」
智美「ワハハ、唯一海の家が賑わう時期だからなー」
衣「智美ースイカ割りしようー」
智美「いいぞー目隠しだ!」
衣「智美よまわれー!」
初瀬「な、なあ憧。今日は風呂屋を休みにしてふたりでゆっくり…」
憧「は?何言ってんのよ。海に入った後はベタベタのジャリジャリだからみんなお風呂に入るでしょ。
休みになんてするわけないじゃない」
初瀬「お願い!泳ぎ教えてあげるから!頼む!」
憧「しょ…しょうがないわね!お風呂屋は短縮営業にするわ!」
初瀬「やったー!」
ゆみ「な、なあモモ。実はわたしも泳げないんだ。
わたしに泳ぎを教えてくれないか?」
桃子「お断りっす」ツーン
智美「ワハハ、ゆみちん振られちったなー」
衣「智美ースイカ切れたぞー」
智美「衣はスイカに塩をかけるのか?私はかけない派だなー」
美穂子「久さん…本当にこの水着を着るんですか?」
久「あったりまえでしょ?せっかく高いお金出して買った『すごい水着』なんだから」
美穂子「でもこの水着、生地がほとんど…」
久「いいじゃない。私は、美穂子がその水着を着たとこ、見、た、い、なー」
美穂子「久さんがそこまで言うんでしたら…」
透華「おーっほっほ!この特注の『インビジ石』製の水着でビーチの視線は独り占めでしてよ!」
純「アホだ…」
智紀「裸の王様…」
一「ボクはそんな透華も好きだよ」
―――――――広場
咲「こんにちわ」
?「ああ…いらっしゃい」
?「…? おまえは…」ハッ
咲「行商人さんですよね?どうかしましたか?」
照「いや、なんでもない。たしかに行商人をしている。照だ」
咲「咲です。よろしくお願いします」
照「君は…最近この町に住み始めたのか?」
咲「はい、実は記憶喪失でして…行き倒れかけていたところを助けられて、そのまま住まわせてもらってます。
キヨスミって、本当にいい町ですよね」
照「ああ、その通りだな。さて、私は調理器具、そして『メーカー』を扱っている」
咲「メーカー?」
照「作物から種を作るシードメーカー、ふわ毛から毛糸玉を作る毛糸メーカーなんかがある」
咲「へぇ…じゃあシードメーカーをください。あと、調理器具もいくつか」
照「占めて13000ゴールドだな」
咲「う…じゃあシードメーカーは諦めます」
照「…まあ、これだけたくさん買ってくれるなら、メーカーの分のお金は来週でもいい」
咲「え!?ほんとですか?」
照「ここの住民はみんないい人だから」
咲「ありがとうございます」
照「気にしないで」
和「咲さん!ここにいたんですか!はやく海行きましょうよ!」
咲「あ、和ちゃん!これ置いたらすぐ行くよ!ありがとう照さん!」
照「ああ」
照「………」
――――――夜 咲の家
和「咲さん、調理器具を買ったんですね」
咲「うん、さっそく何か作ってみるよ」
咲「できた!」
和「何を作ったんですか?」
咲「うん、和ちゃんの好きなカブの酢漬けだよ!」
ガシャーン
咲「ちょっと、なんてことするの!」
和「私はカブが好きですが、カブの酢漬けはキライなんです」
和「お酢って、すっぱいじゃないですか」
咲「そうだったんだ…ごめんね。もう一品作ってみたんだけど…『カブの丸焼き』」
ドガシャーン
咲「……」
和「カブをオーブンで丸焼きにするなんて…かわいそうすぎます!」
和「すみません咲さん。私気分がすぐれませんので家に戻ります。では、おやすみなさい」
咲「……」
咲「わたしはかわいそうじゃないのかな…」
咲「カブを料理するのは…やめよう」
翌朝
コンコン
咲「あふ……ん?お客さんかな。どうぞ」
尭深「おはようございます」
憩「おはようございますーぅ」
咲「どうしたんですか?二人とも」
尭深「トロス洞窟に行くって聞いたから…これ。スモールシールド」
憩「うちからは回復のポットあげるで。あとペラペラ丸」
咲「ありがとうございます!」
憩「なんでも竜華から直々のご指名らしいやんか?まあ死なん程度にきばりや」
尭深「大切な顧客の無事を願うのは当然だから…」
咲「ご期待に添えるかはわかりませんけど…行ってきます」
―――――――トロス洞窟
咲「ここがトロス洞窟…」
咲「秋の気候なんだっけ…もっと厚着してくれば良かったな」
ヒメコ「ここから先には通さんよ」
咲「うわ!悪魔みたいなモンスターだ」
ヒメコ「ほりゃ」ビュン
ガチッ
咲「危ない…さっそくスモールシールドが役に立ったよ」
咲「えいや」ズバ
ヒメコ「ぎゃー」シューン
咲「ここの敵は今みたいな怖い系ばっかなのかな…」
モコモコ「モコ~」
咲「な…なにこれ」
咲「かわいい!!」ギュッ
モコモコ「モコー」ギュムギュム
咲「ああ…やばいよこれ連れて帰りたい」
咲「決めた!初瀬さんにモンスター小屋建ててもらおう!」
モコモコ「モコー!」プンプン
ゴスッ
モコモコ参考
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3838550.jpg
咲「ごふっ…」
咲「もう…ダメだ…」バタリ
――――――病院
咲「はっ!?」
美穂子「…気が付きましたか?」
咲「はい…なんかモコモコした生き物に頭突きをされて倒れちゃいました」
美穂子「まあまあ…それは大変ですねぇ」
咲「はくしょん!…もうあんな危険なモンスター要りません」ブルブル
美穂子「やっぱりあんなところに転がってたから風邪ひいちゃったみたいね。
今日はゆっくりおうちで休んでなさい」
咲「そうします…すぐにでも」
翌日、和の懸命な看病により風邪の治った咲はトロス洞窟にリベンジした。
最下層にはキマイラがいた。憩にもらったペラペラ丸のおかげで魔法を連発できた。憩ちゃんマジ天使。
新しく咲さんの習得したインフェルノの魔法の前にキマイラはなすすべなく沈んだ。
――――――町長の家
竜華「よくやったで咲ちゃん!報告は既に受けてる。
トロス洞窟の探索・シフトの殲滅が完了したそうやな」
咲「はい。体が凍えそうでした…」
竜華「秋の気候なんは上層部だけ。キヨスミ領のダンジョンの中でも最も利用可能な畑が小さいからなー
トロス洞窟を開放することには大きな意味があるで!あそこで採掘できる銅でできたマグで飲む冷たいミルクは最高や」
怜「竜華はほんま食い意地はってんなー」
ハギヨシ「お話し中に失礼します。今日、竜華さんは衣を見かけませんでしたか」
竜華「ここには来てへんでー」
ハギヨシ「ああ…でしたら本当に衣はクレメンス洞窟へ…」
竜華「なんやって!?」
ハギヨシ「私が起きた時にはもう出かけた後で…智美さんと遊んでいるのだとばかり思っていましたが、
昼食に戻ってこないので町中を探して回ったのですが…どこにも。
衣の自室を調べてみると『クレメンス洞窟に行ってくる』という書置きが…」
竜華「…聞いてたな。咲ちゃん。どちらにせよ次の目的地はそこやったんやけども。
クレメンス洞窟の探索許可証を発行するで!クレメンス洞窟は活火山ギガント山の内部…灼熱の環境や。
この『キュア』の魔法書をやるから絹恵のところで使いもんになるようにしてから出発せえ」
怜「衣ちゃんは私の大切な茶飲み友達の一人や。うちからもお願いすんで」
ハギヨシ「私もお伴…」
ハギヨシ「…いえ、なんでもありません。衣のこと、どうかよろしくお願いします」
咲「任せてください!」
――――――クレメンス洞窟
咲「衣ちゃーん!どこー?」
咲「はあ…ホント暑いなあここ…」
咲「衣ちゃーん!」
衣「ちゃん、ではなく。衣さん、だ。衣のほうがお姉さんなのだからな」ヒョイ
咲「あ、いた」
咲(絹ちゃんが言ってたネンコージョレツにこだわる人、って衣さんだったのか…)
咲「みんな心配してるよ?早く帰ろう?」
和「ええ、すぐに」
咲(突っ込まないって決めたんだけど…これはダメだ)
咲「どうして和ちゃんがいるのさ!危ないじゃない!」
和「? 衣さんが心配だからですよ。それだけです」
咲「もういいよ…」
和「衣さんは私が連れて帰ります。咲さんはこのまま深部に向かいシフトの破壊を続けてください」
衣「待ってくれノノカ。咲にこれを」
咲「これ…ルビー?」
衣「ああ。この洞窟で取れるものだが、ここまでの品質はそうそうあるものじゃない。
衣はこれを持ち帰ってアクセサリに仕上げておく。だから無事に帰ってきてくれ。咲」
咲「これを取るために…ありがとう衣ちゃん。私頑張るよ」
衣「だからちゃんではな」ヒューン
咲「和ちゃんのエスケープ…これでひとまず安心だね」
咲「これがこの洞窟の主…?」
ラフレシア「シャゲーーーー!」
咲「とりあえず…インフェルノ!って、こんな高温の洞窟にいるモンスターに効くわけないか…」
ラフレシア「グゲ…ゲ……」
咲(って、すごく効いてるし!)
――――――町長の家
竜華「いやー、ほんまようやってくれたで咲ちゃん。無事戻ってきたということは、クレメンス洞窟も踏破したようやな」
咲「はい。なぜか主に炎の魔法がとてもよく効いたので…」
竜華「クレメンス洞窟の開放は産業的に重要なことやねん。あそこで産出するルビーや銀はキヨスミの財政を支えてるからな。
素晴らしい銀食器があるからこそ、こうして怜のおいしいご飯が食べられるってもんや」
怜「竜華こないだも似たようなこと言ってたやん…」
竜華「ま、とにかくや。衣も無事でよかった。」
衣「つまらぬ心配をしよって…衣なら大丈夫だというに。ほら咲、ルビーブローチだ。私の手作りだぞ」
竜華「ま、規則は規則やから衣には罰金な」
衣「そ、そんな…」
竜華「咲ちゃんも続けて冒険し通しで疲れたやろ。明日はお祭りやし思いっきり羽休めしいな」
怜「いうても明日のは探索祭りやから参加したらめっちゃ疲れるやろけどな……」
ほ
外から書いてるのでID変わってるけど>>1です
キヨスミで最も安全なダンジョン、カーマイト洞窟。
(もっとも、シフト設置以前はどのダンジョンにもモンスターは生息していなかったため
危険度は単に地形の険しさ、気候偏重強度によって定められたものであるが)
これを利用した宝探しを行うシンプルな祭りである。
ゆみ「今年こそは、優勝は私のものだ」
智美「いーや、今年も優勝はぶっちぎりで私だな」
憧「まったく、泥だらけになってまで宝探しとか、何が楽しいんだか。ドロドロになったお風呂を洗うほうの身にもなってよね。
ま、優勝賞品は私のものだけど」
洋榎「カーマイト洞窟マスターの洋榎とは、うちのことやで!」
咲「憧ちゃんがいちばんノリノリなんだね……」
智美「ところで、今年の商品はなんなんだろうなー」
ゆみ「去年は、空き瓶だったか」
咲「空き瓶!?」
憧「どーせなら、わかりやすくお金がいいわよね…」
竜華「はいはい、静かに。そんじゃ探検大会始めるでー。
商品は、例によって終了までのお楽しみや!
洞窟のどっかに隠された『サンセットロード』ちゅう本を見つけた人の優勝やで」
咲(サンセットロード…?どこかで見たような気が)
竜華「ほんなら、スタート!」
咲(サンセットロード…そうだ!うちの本棚にあったはず。
前に農場に住んでた人がおいてったのかな)
咲「えっと……確かこの辺に…」
和「咲さんは、探索大会に参加しないんですね」
咲「いや、してるよ」ゴソゴソ
和「会場はカーマイト洞窟のはずですが…」
咲「あった!これだね!」
和「!?」
咲「はい、竜華さん!これですね!」
竜華「おお!今年はえらい早いな!ぶっちぎり50分でのゴールやで!
…って、んん?やけに埃ってんな?普通は泥がついとるんやけど…」
咲「」ギク
竜華「って、これ第4版やん。うちが隠したのは初版やで?」
竜華「これはどういうことなんかいな?咲ちゃん…
いくら咲ちゃんでも、お祭りでの不正は許されんなぁ…」
竜華「こ れ は お 仕 置 き が 必 要 や ね」ゴゴゴゴゴ
怜「あーあ、また始まった。2年に一度くらいはおるねんな。サンセットロード買って提出するアホ」
咲「リュウカサンコワイコワイタスケテノドカチャン」
竜華「えー、咲ちゃん不正により失格。んで、繰り上がりで優勝は
記録3時間28分の憧ちゃんや。おめでとう」
憧「商品は何かなー」ワクワク
竜華「えー、今年の商品はやな…なんと豪華に、丸太2000本や!」
憧「」
初瀬「うらやましいなー、憧。これだけあればモンスター小屋が20棟は建つよ」
憧「アア…ウン。ホシケリャアゲルワヨコンナノ」
智美「まあ、空き瓶よりはマシなんじゃないのか」
ゆみ「ああ…去年は景品発表のとき空気が凍ったからな」
透華「竜華さんは景品選びのセンスが絶望的ですからね……」
桃子「空き瓶はセンスどうこうの問題じゃないと思うっす」
――――――秋
咲「もうすっかり夏も終わりだね」
和「はい。木の葉が色づいてきましたね。ところで、今は何の作物を育ててるんですか?」
咲「ん?サツマイモだよ。すごい速さで成長して、しかも何度でも収穫できるらしいから」
和「そんなオカルトありえ…るんですよね。アースマイトの育てる作物なら」
咲「普通は何度もできないの?」
和「作物によりますけど…普通の人が育てても、採れる量には限りがあるはずです。
例えば、サツマイモだとツル部分がダメになってしまいますし。
ルーンの扱いに長けたアースマイトだからこそできることです」
咲「そうなんだ…得した気分だね」
淡「おーい!サキー!」
咲「あ、淡ちゃんだ」
淡「今日も回収にきたよー。へへ♪」
淡「今日はサツマイモがいっぱいなんだね…
ねえサキ、今からみんなで焼き芋しない?」
咲「いいね!みんなで一緒に秋の味覚を楽しもうよ!」
和「じゃあ、私枯葉を集めてきますね」
淡「私みんなを呼んでくる~」
初瀬「はむはふ…やっぱり秋と言ったら焼き芋だよな…」
憧「あんまり食べすぎるんじゃないわよ」
初瀬「そういえば咲。おまえ家を増築する気はないか?」
咲「増築?」
初瀬「ああ。こないだのお祭りで憧からもらった丸太が大量に余ってるんだ。
普通なら資材も自前で用意してもらうんだが今回はお金だけでいい。
家を増築すれば自分で鍛冶とかできるようになるし」
淡「鍛冶といえばタカミからこれ預かってたんだった。はいこれ『獅子の如雨露』」
咲「かっこいいね…普通のじょうろと何が違うの?」
淡「周囲9マスに1回で水やりができるんだって~」
咲「マスって何」
淡「……3×3の9平方メートルくらい?」
咲「適当だね…」
和「咲さん咲さん。そういえばシードメーカーは使ってますか?」
咲「あーあれってどういう風に使うんだろ」
和「例えばこれ…このサツマイモはちょっと他のより品質がいいですよね?」
咲「ん?んん~~~?わかんないよ」
淡「私はわかるよ~。微妙に色つやがいいよね」
和「このサツマイモをシードメーカーに入れると…」ガショ
ウィーン
和「サツマイモの種ができます」
咲(サツマイモだからただ単に半分にスライスされて出てきただけだけどね…)
和「これを便宜上『レベル2のサツマイモの種』と呼びます」
咲「うん」
和「そして、これを植えると…
もしかすると、レベル3。少なくともレベル2のサツマイモができるわけです。
そして、種は1個の作物から複数できます」
咲「これを繰り返せばすごい作物ができるってこと…?」
淡「究極巨大な天上甘味の宇宙一食感を誇る伝説風味のサツマイモとかできちゃうわけ!?」
和「さすがにそんなオカルトはありえません」
淡「じゃあ家ほどもあるミノタウロスより重いサツマイモくらいで我慢するよ…」
憧「そんなに食べられないでしょ…」
和「つまりこれでレベル10のカブを」
咲「つくらないよ」
和「仕方ありませんね…では簡単にレベルを上げる方法をお教えしましょう」
咲「え?そんなのあるの」
和「広場に大きな貝殻がありますよね?それを挟んで二人でレベルを上げたいものをキャッチボールするとレベルが上がるんです」
咲「そんなオカルトありえないよ」
淡「さすがにそれは夢見すぎかなー」
和「嘘じゃないんですけど…」
淡「あ、タカミにいくつか焼き芋もらってもいいかな」
咲「というよりこのサツマイモ一応淡ちゃんが全部買い取ったやつだからね」
淡「そうでした」
一「これでみんなにスイートポテトつくってあげよっと」
――――――翌日 咲の家
咲「あ、家がすごく大きくなってる」
和「初瀬さんが一晩でやってくれました」
咲「すごすぎでしょ…じゃ、次のダンジョン行ってくるね」
和「行ってらっしゃい、お気を付けて」
以下、咲の日記より抜粋
秋の月18日
ギガント山に登った。これまでと違って屋外なので気候の影響があまり大きくなく、ピクニック気分で探索できた。
山頂にはグリモアって呼ばれているらしいドラゴンがいた。グリモア研究の一人者だという宥さんと知り合うことができたので、
帝国によるシフト設置事件と合わせて調査を続けようと思う。手に入れたグリモアの鱗を宥さんにあげたらとても喜んでくれた。
そういえば昨日はお月見祭りだった。和ちゃんと一緒にクレメンス山で月を見たけど、こっちのほうが標高が高くてもっときれいに見えそうだ。
来年はギガント山でお月見をすることにしよう。
秋の月24日
ミストブルーム洞窟を探索。この洞窟は湖に囲まれていて、湖の凍る冬にしか探索できないようだ。
どうしたものかと困っていたらハギヨシさんが現れた。なんでも、昔はセルフィアという国で執事を務めていたらしく、
セルフィア仕込みの建築術であっという間に洞窟に架かる橋を架けてくれた。執事ってすごい。本当にすごい。
当時はヴォルカノンというセルフィアの執事と毎年執事コンクールで苛烈な争いを繰り広げていたらしい。
秘密の多いハギヨシさんの素顔に一歩近づいた気がする。
洞窟内は海底を歩いているかのような景色で、もしモンスターが居なければデートスポットにもいいかもしれない。
実際秋一郎さんなんかはここで恋人との逢瀬を楽しんだらしい。
最深部には人魚がいた。私の新しい武器の敵ではなかった。
冬の月8日
カジミール遺跡を探索。先日知り合った宥さんは考古学研究が専門らしい。
この遺跡はここキヨスミに残るグリモア伝説と深い関係があり、そのため必然的にグリモア研究との二足のわらじという形になっているとか。
彼女は宿屋暮らしらしく、考古学者ということもあり特例的に探索許可証の取り消しを受けていないようだ。考古学者というのは存外儲かるものなのだろうか。
ジャスリンという遠い大陸にすむ考古学者にもらったという黄金のドクロを見せてくれた。ちょっと悪趣味だ。
一昨日の感謝祭でみんなにもらったチョコレートをかじりながら最深部のゴーレムを倒す。宥さんに属性攻撃武器のすさまじさを学んだ…
冬の月14日
ダーナ洞窟を探索。グンマ帝国の国境に程近い極寒の地。ここで、私は驚愕の事実を知ることとなる……
咲「はあ…はあ…」
咲「幸せの如雨露スプラッシュ!」バシャー
グンマ帝国製戦車「」バチバチバチバチバチ…ドカーン
グンマ帝国兵「そ、そんな…まさか如雨露ごときに軍の最新兵器が敗れるとは!」
?「そこまでで結構です」
咲「あなた…誰?」
?「グッドモーニングです。私はグンマ帝国軍少佐にしてナガノ王国ファーイースト地区特殊先行部隊隊長、戒能良子と申します」
良子「あなたはわたしの予定通り動いてくれました…ええ、それはベリーグッドに。
記憶を消しキヨスミの近くに放置…そうすればあなたはきっとキヨスミに根を下ろす。
ほかに行くところがないのですから当然の結果だと思います」
咲「な…あなたが私の記憶を?そんなことをしてなんになると」
良子「あなたがこれまでのダンジョンで倒したモンスター…それらがはじまりの森に還るとき、
それは水面に石を投じるがごとくルーンの波紋を呼び起こします。才あるアースマイトならより一層強く。
そしてここキヨスミは世界創生に関わる4柱の神竜ネイティブドラゴンが一、地幻竜プロテグリードの生誕の地」
良子「もうお分かりですね…?このダーナ洞窟からすぐそば。グリードの名を冠する洞窟があるでしょう…」
良子「そこでルーン波動を触媒とすれば、地幻竜プロテグリードをはじまりの森から呼び出すことができるのです!
そして既にプロテグリードを配下に置くための準備は整っています。
プロテグリード召喚の暁にはまずここ!キヨスミを焦土に変えてあげましょう」
咲「そんなこと…絶対にさせません!」
良子「ノーウェイノーウェイ。この作戦が失敗することなど万に一つもあり得ません。
ですが…追ってくるのでしょう?グリード洞窟で待っています!」シューン
――――――グリード洞窟
良子「シット!足止めに置いたシフトも役に立たなかったようですね」
咲「そこまでです!プロテグリードの召喚なんてさせません」
良子「オーライ…ですがちょうど、準備が整ったようです。
さあ、プロテグリード!その虫けらをひねりつぶしてしまいなさい!」
ズゴゴゴゴゴゴ
バチバチバチバチッ!
プロテグリード「グオオオオオオオオ!」
咲「絶対に負けない…キヨスミの町のみんなのために、私は負けられない!」
良子「ありえない…とんでもないモンスターですよ。あなた」
?「う~ん、どうやら、失敗みたいやね~」
良子「郁乃、皇帝…」
郁乃「さて、良子ちゃん。どうすればいいかは、わかるやんな?」
良子「アンダスタン。自害します」
咲「なっ…!もうその人は戦うつもりなんてないじゃないですか!
第一、プロテグリードが倒された以上…」
郁乃「そういうのも織り込み済みなんやで?今キヨスミに向かって、
あんたがこないだぶっ壊した最新鋭戦車が100台向かってる」
良子「それに…帝国を追われる以上、私には帰る場所などありません」
咲「キヨスミに住めばいいじゃないですか!」
良子「ホワイ?私はあなたたちを殺そうとしたのですよ?」
咲「そんなこと…関係ありません。キヨスミはどんな人でも受け入れてくれます。私がそうだったように!」
良子「私は…私は…」
―――――――国境近く
咲「状況はどうですか!?」
和「すごい数です…とてもじゃないけど、キヨスミ程度の規模の町を破壊しつくすのに、1時間もかからないと思います」
咲「戦うしかないのかな…」
ハギヨシ「今度ばかりは、私も助太刀いたします。衣を見つけたあの日、二度と剣は取るまいと誓ったのですが」
照「私も微力ながら力を貸そう。剣の腕には、多少自信があるから…」
洋榎「ウチもいままで遊んでたわけやあらへんで!新生洋榎さまの初陣や!」
絹恵「おねえちゃん!二人のコンビネーション魔法剣を帝国のやつらに見したろ!」
淡「みんな!回復のポットの準備はばっちりだよ!」
郁乃「アホなやっちゃで…生身で戦車に挑むなんて。
全軍前進!」
帝国兵「最前線より伝令ッ!巨大な飛翔体を確認したとの情報が入りました!」
郁乃「はあ?おおかたクジラの形の浮島かなんかを見間違えたんやろ。無視や無視!」
帝国兵「…飛翔体の詳細情報が入りました…プ、プロテグリードの模様です!」
咲「あれ…プロテグリード!?」
帝国兵「うわあああああッ!ブレス攻撃だ!」
和「ブレスを浴びた帝国の戦車に…植物が生えてきていますよ?」
ハギヨシ「図書館のネイティブドラゴンに関する本で見たことがあります…
地幻竜プロテグリードのブレスは、草木の生命の力をみなぎらせる創造の力だと」
咲「戦車がぜんぶ…動かなくなった」
郁乃「何やっとるん!退却!退却やで!」
帝国兵「それが…エンジン深くにまでツタがはっていて動きません!」
郁乃「やったら、歩いて帰ったらええやろ!アホンダラ!」バコ
帝国兵末原恭子「痛っ…ぜ、全員歩いて退却ー!」
和「自然の勝利……ってことでいいんですかね?」
――――――ナガノ王国 玉座の間
照「以上が、今回の事件の顛末です。健夜王」
健夜「うーん、帝国がそこまで大きな動きを見せるとはねー。なんとかしなきゃいけないね。
それにしても『プロテグリード』の発動要請を受けた時はビックリしたよ…なんせ、アレ出すの久しぶりだったし」
照「ええ…状況が逼迫していたものですから」
健夜「ちゃんと操れたみたいね。アレを制御できるのって、初代ナガノ国王直系の子孫であるあなただけだからね。
そういえば、妹のほうは見つかったの?例の咲って子がそうじゃないかと踏んでいたんでしょ?名前おんなじだし」
照「いえ…見当違いだったようです」
健夜「そう。『剣聖』にして神竜ネイティブドラゴンと心を通わすことのできる可能性のあるあなたの妹…いずれ探し出さなくちゃいけないわね」
照「ええ」
健夜「ま、今回の事件は『人は大地を離れては生きてはゆけぬ』っていうのが落としどころかな」
照「……」
照「大地と共に生きて……咲」
―――――――すべてが終わって。冬の月24日 和の家
和「どうしたんですか咲さん。こんな朝はやくに」
咲「その…ね。驚かないで聞いてね」
咲「ちょっとプロポーズしにきました。」
和「な、ななななな…」カアッ
咲「何もかもを無くしたわたしに、居場所をくれてありがとう」
咲「何もかもを無くしたわたしに、生きる意味をくれてありがとう」
咲「何もかもを無くしたわたしに…『わたし』をくれてありがとう」
咲「和ちゃん…あなたが、好きです。結婚してください」
和「ふつつかものですが……こんな、こんなわたしでよろしければ…」
和「末永く、よろしくお願いします……」
――――――――冬の月25日 教会
美穂子「新婦咲。あなたは、病める時も健やかなる時も、これを愛し慈しむことを誓いますか?」
咲「はい。誓います」
美穂子「新婦和。あなたは、病める時も健やかなる時も、これを愛し慈しむことを誓いますか?」
和「はい…誓います」
美穂子「では、誓いの口づけを。」
淡「うわーん!サキー!ノドカー!おめでとー!」
久「まったく、聖夜祭の日に結婚式なんて、忙しさ3倍じゃないの!…ま、おめでと」
尭深「結婚しても、うちの雑貨店を…よろしく」
洋榎「咲…幸せになるんやで!」
絹恵「ほんま、二人ともドレスよう似合ってるで!」
憩「おめでとう…次は赤ちゃんやんな。楽しみにしてるで」
咲「あはは…」
憧「あーあ…はやくあたしも結婚したいなぁ。咲、和、キレイだよ!」
雅枝「結婚式ってのはいつみてもいいもんだね…二人で力を合わせれば、乗り越えられないことなんてないはずさ」
一「結婚おめでとう。和も、少しは料理を勉強しないとだめだよ」
和「ど…努力します」
智紀「子供が生まれたらわたしにも抱っこさせてほしい…」
純「おめでとう!幸せになれよ!」
初瀬「あたしもいつかは、憧と……」
憧「なんか言った?」
透華「今日は竜門渕あげての一大パーティーですわよ!おーっほっほ!」
ハギヨシ「お二人とも、ご結婚おめでとうございます。末永くお幸せに」
衣「うむ!これほどめでたい日はないぞ!」
秋一郎「まったくだ!祝い酒持ってこーい!」
竜華「うーむ、今まではキヨスミのヒーローやったわけやけど、これからは和だけのヒーローになるんやで、咲!」
怜「この場合はヒーローやなくてヒロインなんちゃう…?」
智美「ワハハハハ、いつもより多目に笑ってみたぞー」
ゆみ「なあ、モモ…」
桃子「はいっす。二人を見ていたら、こう…自分の張ってた意地が、すごくちっぽけに思えてきたっす……」
ゆみ「いや、すまない。悪いのは私のほうだ……」
智美「一件落着って感じだなー」
宥「ご結婚おめでとうございます。温かい家庭を築いてくださいね」
良子「命を救ってもらったうえ、こんな席にまで招待していただけるとは……咲には感謝しきれませんね」
――――――――春の月1日 咲と和の家
和「ねえ。あなた。朝ですよ」
咲「大丈夫、ちゃんと起きてるよ」
和「今日から春の月。待ちに待ったカブの季節ですよ」
咲「わかってるよ…冬の間は農業ができなかったから、私も体がウズウズして仕方がないよ」
咲「じゃ、行ってきます」
和「いってらっしゃい、あなた」チュッ
和「あ、そうでした、忘れ物」
和「はい、咲さん。お弁当のトマトの種ですよ」
カン
おつー原作やってみたくなった
モモがゆみちんにつれなかったのは原作ネタ?
電波系和さんに振り回される咲さんを書きたかっただけのSS
ルンファパロ死ぬほどちりばめられたから満足だわ
好きなルンファキャラはクローリカ、咲キャラは洋榎ちゃんです
以下、乙の数だけ咲さんのおもちにオオキクナーレ投与
じゃあの
おつー
このスレで興味湧いたから3dsのやつ買ってみようと思うんだけど、途中からでも大丈夫?
>>290
海の家女主人(モモ)と牧場主(かじゅ)は元夫婦
旦那の悪ふざけにキレて妻子供連れて舞台の町に逃げる
旦那追っかけてくる
主人公が仲介して再婚というイベントがある
もともと旦那の悪ふざけも二人の愛を確かめるためにやったものだったので、
心の底では怒ってなくて、もうただの意地になっている
このイベントはダンジョンの合間に挟もうと思ったけど、めんどいのでやめた
>>299
ナンバリング・家庭機すべて同一世界上の物語で、微妙に時代が違う物語なので、過去作やってるとより楽しめる程度
番号さかのぼってやっていくのはあまりお勧めしない
ちなみに1(このSSでのストーリー)はバグだらけではっきりいってプレイに耐えうるかどうかというレベルなので
ストーリーを知れたあなたは運がいいかもしれない
フロンティア・3・4だけやっておけばOK
かつてここまで初瀬のキャラが立ったSSがあっただろうか
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません