モバP「はじめてのLIVE」 (34)
CASE1 愛野渚
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――ありがとうございましたァ!
「ふぅっ……今日の練習も楽しかったぁ!」
「女子部は毎日大変そうだね愛野さん。はい、スポーツドリンク」
「どォもっ! でも、そういう男子の方だって大変そうだね」
「もう少し先とはいえ大会もあるからね。キャプテンなんて大役任されちゃって気が重いよ……」
「それだけ信頼されてるってことでしょ! ま、お互いキャプテンとして頑張ろうッ!」
「期待されてるからには全力で答えないとね。さぁ、もう時間も遅いし片付ける準備をしようか」
「あ、私もう少しだけ練習していきたいから鍵もらえる? ちゃんと返しとくからさッ!」
「大丈夫? もうかなり練習した後なのに」
「大丈夫! 無理はしないって!」
「僕も残っていきたい所だけど用事があるから……本当に気をつけてね」
「心配してくれてありがとうッ! それじゃあお疲れさま!」
「うん、お疲れ」
・・・
「愛野さん頑張ってるなぁ……いつも最後まで残って練習してるし」
「僕達も、愛野さんに負けないくらい練習してもっと強くならないと」
「明日も残って練習するたら、僕も一緒に特訓しよう」
「……そうだ! 一旦帰ったふりをしてから、驚かせよう!」
翌日 放課後
「よし、しばらく時間も経ったからそろそろ行こう」
「愛野さんの練習も一段落ついた頃かな」
~♪
「……ん?」
~~♪
「なんだろうこの声……合唱部もまだ残ってるのかな」
「いや違う……これは……」
「……体育館から?」
「うーん……この部分はまだ上手くいかないなぁ」
「……よしッ! 先に振り付けの方を復習しておこうっ!」
(……愛野さん? どうして体育館で踊りの練習をしてるんだろう)
「よォしっ! こっちは上手くできた!」
「このターンはバスケでも活用できるかも……なーんてねッ!」
(一体何をしているんだろう……気になる)
(……よし)
「じゃあもう一度歌の方を……」
「――こんばんは、愛野さん」
「うわぁッ!?」
「うわっ!?」
「……って、なんだ君かぁ。誰かと思ってびっくりしちゃったよ」
「ご、ごめん驚かせて」
「それは別にいいけど……今日は帰ったんじゃなかったっけ?」
「僕も練習に付きあおうと思って戻ってきたんだ」
「そっか」
「うん」
「……」
「……」
「……ねぇ愛野さん、どうして体育館で踊っていたの?」
「……やっぱり見られちゃってたかァ」
「ごめんね。驚かそうと思ってこっそり戻ったら、つい」
「まぁ、いつ誰かと会ってもおかしくない場所だけどね」
「よかったら何をしていたのか教えてもらえるかな?」
「……笑わない?」
「何をしていたのかは分からないけど、笑わないよ」
「だって愛野さん、バスケの練習を誰よりも頑張ってるよね」
「いつも一生懸命な愛野さんがこんな時間まで残って練習するくらい大切なことなんでしょ……だから笑わないよ」
「……そこまで言ってもらって言わなかったら女が廃るねッ!」
「実は私――」
「――アイドル!?」
「へへっ、改めて自分で口にすると照れるなァ」
「アイドルって……あのアイドル!?」
「そう、あのアイドル!」
「アイドル、愛野さんがアイドル……僕、本物のアイドルを生まれてはじめて見たよ」
「そんな凄い存在じゃないって! まだまだ新米のアイドルだからねッ」
「それじゃあ歌ったり踊ったりしてたのは……」
「今度、小さいけれど念願のLIVEに出れることになったんだ。だからその練習をしてたってわけ!」
「あ、言っておくけどバスケの練習もちゃんとしてたからね?」
「うん。それは通常の部活の中でもよく知ってるからね」
「それにしてもアイドルかぁ……アイドル」
「そ、そんなに連呼したら照れるって!」
「……うん。でも言われてみたら納得だよ」
「え? どうして?」
「だって愛野さん、運動神経も良くてかわいくて……男子からも女子からも好かれてるからさ」
「えぇっ!?」
「だからアイドルになったって聞いて、なるべくしてなったんだなぁと思って」
「……」
「……へ」
「へへっ♪」バシッ
「痛ぁーーっ!?」
「て、照れ隠しにしては強すぎるって!」
「ご、ごめんッ!」
「それはともかく……教えてくれてありがとう」
「クラスメイトや同じ部活の仲間として、これからは僕も応援させてもらうよ」
「ありがとッ!」
「あ……そうだちょっと待ってて!」
「愛野さん?」
「えーっと、あったあった! はいコレ!」
「これは……チケット?」
「さっき言ってたLIVEのチケットなんだけど……こうして秘密を明かしたことだし君にも見に来てもらいたいと思ってさッ」
「……うん、必ず見に行くよ! アイドルのLIVEなんて初めて行くから楽しみだなぁ」
「よぉーしッ! それじゃあバスケの練習も続けようかァ!」
「あれだけやってたのにまだやるの!?」
「アイドルもバスケも両立してこそ学生の本分! あと勉強もねッ!」
「ははは……やっぱり愛野さんは元気だね」
・・・
CASE2 藤本里奈
――こらっ! まだ授業は終わっていないぞ!
「あーだりぃ……糞つまんねぇ授業なんて受けてらんねぇよ」
「ゲーセンでも行くか……」
「学校サボった不良学生、見つけたぽよ~♪」
「あ゛ぁっ?」
「こんちゃーす☆」
「なんだ藤本か……お前もガッコサボったクチか?」
「そんなわけないぢゃーん♪ アタシってナリはこうでも学校大好きだかんね!」
「じゃあなんで授業も始まった時間に街にいんだよ」
「……寝坊して遅れた!」
「ある意味俺よりタチ悪いだろ……」
「アンタに言われたくないわー」
「……というか今どき学校サボってゲーセンとか昭和の不良じゃないんだから! キャハハ!」
「チッ……」
「んじゃアタシ急ぐから! おつかれーっす☆」
「クソッ、つまんねぇ……」
翌日
「……」
「あれ、またサボり?」
「……そういうお前こそまたかよ、藤本」
「今日も寝坊した! てへぺろっ☆」
「目覚ましかけときゃいいだろうが」
「毎日練習が大変だから目覚ましでもなかなか起きれないんだよねー」
「……練習?」
「いやいやこっちの話! それより二日連続でサボりとは関心しないにゃーん?」
「……お前には関係ねぇだろ」
「いや関係あるって!」
「は?」
「だってアタシ達のクラスでアンタだけまともに来てないし! そんなんじゃ皆揃って卒業できないっしょー?」
「……はぁ?」
「ホラとりま学校には戻る! 最悪授業は寝てていいから!」ガシッ
「首掴むんじゃねぇよ痛ぇだろうがっ!」ズルズル
「……っていうか寝ていいんだったら戻る意味ないだろうがーーっ!!」
さらに翌日
「今日は最後までいれたじゃん! 褒めてあげるぽよ~♪」ナデナデ
(何してんだろ、俺……)
「んじゃー帰ろっか!」
「なんで俺がお前と帰らなきゃなんねぇんだよ」
「いいからいいからー♪」ガシッ
「だから引っ張んじゃねぇって!」ズルズル
「いやー今日も学校楽しかったー♪」
「……なぁ藤本」
「んー?」
「お前、なんでそんなに楽しそうなんだ?」
「へっ?」
「いかにも遊んでそうなくせして案外真面目だし、誰よりも毎日を楽しんでいるじゃねぇか」
「なんでお前はそうやっていられるんだ……俺とお前は、何が違うんだ?」
「……」
「――何かに夢中になる楽しみをしったから、かな」
「……夢中になる楽しみ?」
「実はさ、アタシ今――」
「――はぁっ!? お前がアイドル!?」
「冗談だろ! んなナリのアイドルとか常識的にありえねぇって!」
「ありえるからアイドルになったんじゃん! 常識はアタシが壊す☆」
「信じらんねぇ……」
「アタシも最初は自分がアイドルなんてありえないって思ったけどねー」
「でも、本格的にダンスや歌をやってみて思ったわけ」
「――自分の知らなかった新しい世界に挑むのって大変だけどめちゃ楽しいって!」
「……」
「こんな楽しい世界を知っちゃったら、そりゃ毎日も楽しくなるし!」
「だから、アンタにも自分なりの新しい世界を見つけて楽しんで欲しいって思って絡んだの。おせっかいかもしんないけどさ」
「……本当におせっかいだな」
「とりま元気に馴れ馴れしくがアタシなんで☆ というわけでこれあげるちょー」
「なんだこりゃ……チケット?」
「小さい箱だけど、今度アタシ達のLIVEがあるから」
「アタシがアンタの人生を変えるなんて大層なこと言うつもりじゃない」
「でも、夢中になれるものを見つけたアタシの姿をとくと見とけってことで、来てくれるっしょ?」
「……考えといてやるよ。アイドルLIVEなんて行ったことねぇけどな」
「約束だかんね! んじゃバイバーイ♪」
「……夢中になれるもの、か」
――LIVE当日
「えーっと、愛野さんに教えてもらった場所は……ここかな」
「チッ……なんで来ちまったんだ俺……」
ドンッ
「あ……悪ぃ」
「いえ、こっちこそ……」
「……って、兄貴!?」
「な、なんでお前もここにいるんだ!?」
「兄貴こそなんでこんなとこにいんだよ! バスケの練習はいいのかよ!」
「別に一日も暇がないわけじゃ……ん?」
「な、なんだよ」
「手に持ってるのチケットだよな……もしかしてお前もLIVEに来たの?」
「お前もって……兄貴もかよ!?」
「今日の出演者の中に知り合いがいるからね」
「俺も知り合いがいんだよ……まさか双子の兄弟して同じようなことしてるなんてな」
「……」
「……」
「……とりあえず、入り口だと邪魔になるし入ろうか?」
「……おう」
おわり
http://i.imgur.com/vzLT3QP.jpg
http://i.imgur.com/5lLb8Ra.jpg
なんとなく駆け出しアイドルと同級生みたいなのを書いてみたかった
ふじりなSRおめでとう、キャプテンSRはよ
それじゃHTML依頼だしてくるので読んでくれた人いたらありがとう
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