宥「玄ちゃん……そろそろお部屋から出てこようよ」玄「……」(255)

玄「……いやなのです」

宥「みんな玄ちゃんのこと心配してるよ?」

玄「……」

宥「ね?」

玄「……今忙しいのです」

宥「そう言ってもう半月になるんだよ?おねーちゃん、玄ちゃんのことが心配なの」

玄「……」

宥「おねーちゃん、玄ちゃんの顔が久しぶりに見たいな」

玄「……」

宥「玄ちゃん?入るよ?」

玄「やめるのです!」

宥「……っ」ビクッ

玄「……」

宥「ごめんね、玄ちゃん……夕飯はいつものところに置いておくから食べてほしいな」

玄「……」

宥「……ふぅ」

憧「宥姉、どうだった?」

宥「まだダメみたい」

憧「……そっか」

宥「ごめんね、憧ちゃん……いつも来てもらってるのに」

憧「ううん、気にしないでよ。あたしが勝手に心配して勝手に来てるだけだからさ」

宥「憧ちゃん……」

憧「玄、早く出てきてくれるといいね」

宥「……うん」

憧「それじゃあ宥姉、また明日」

宥「うん、ばいばい」


玄「……」ソーッ

玄「……」コソコソ

玄「……いただきます」

玄「……」モグモグ

玄「……」

玄「私ってダメだな………」

玄「おねーちゃんに迷惑かけて……」

玄「皆に心配かけて……」

玄「皆の夢を潰しちゃって……」

玄「……」

玄「……」スン

宥「玄ちゃん……今日は学校行けそう?」

玄「……今日も調子が悪いのです」

宥「そっか……」

玄「……」

宥「学校行ってくるね。朝ご飯はここに置いておくから」

玄「……」

玄「……いってらっしゃい」

穏乃「宥さん、玄さんは……」

宥「まだダメみたい」

穏乃「そう…ですか……」

宥「ごめんね、心配かけちゃって」

穏乃「いえ……」

憧「しっかし、どうしたもんかね~?流石にこのままじゃマズイっしょ」

宥「うん……」

穏乃「でもなんで玄さん部屋から出てこないんだろ?」

憧「そりゃあアレでしょ」

穏乃「……アレ?」

憧「インターハイ準決勝敗退!アレが相当堪えてるんじゃないの?」

穏乃「で、でもアレは……」

憧「2位とたった黒棒1本差。大方、私がもっとしっかりやれていれば~とか」

穏乃「……」

憧「皆の夢を私が潰しちゃった~とか考えてんじゃないの?」

穏乃「そ、そんな……玄さんは悪くないッ!」

憧「そりゃあたしだってそう思うわよ。勝手に責任感じてまったくふざけんなって話!」

穏乃「憧……」

憧「でも玄はそれじゃ納得出来ないみたいだけどね」

穏乃「……納得出来ない」

穏乃「玄さんが納得出来ないのを私は納得出来ないxtu!」

宥「穏乃ちゃん……」

憧「でもどうするの?宥姉でもダメだったんだよ?」

穏乃「んー……」

穏乃「わかんない……」

憧「だと思った」

穏乃「憧ぉ……」

憧「あ、そだ。晴絵に聞いてみたら?」

穏乃「赤土さんに?」

憧「経験者は語るって感じでいい知恵くれるかもよ?」

穏乃「赤土さんっ!」

晴絵「お?どうしたの3人揃って私に何か用?」

憧「言わなくても分かるっしょ?」

晴絵「あぁ、玄のことね」

穏乃「赤土さん!私たちが玄さんにしてあげられることって何かないんですか?」

晴絵「ないね」

憧「え、ないの!?」

晴絵「私も似たようなことあったけど、こればっかりは他人がどうこう出来ることじゃないしな」

憧それって「20年前のインハイのことだよね」

晴絵「10年前だよ!」

晴絵「あの時は酷かったよ。まず雀牌の模様が見えなくなった」

晴絵「打牌の音を聞くだけで吐き気がした。無理に卓についたら眩暈がした。あの結婚できなさそうな奴に似た子を見かけるだけで身体の芯から震えあがった」

憧「うわぁ……」

晴絵「もう何もかもが嫌になってしばらく引き籠ったよ」

穏乃「それで赤土さんはどうやって立ち直ったんですか?」

晴絵「何もしなかったよ」

憧「……は?」

晴絵「何もせずただボーっとしてたよ」

晴絵「しばらくして麻雀がしたくなったから外に出た」

晴絵「雀荘に行って打ってきたんだ」

晴絵「そしたら普段なら絶対に負けないような連中に負けてね……すごく悔しかった」

晴絵「だからこそもう一度麻雀と向き合おうと思ったんだ」

晴絵「このまま終われるかーってね」

穏乃「そうだったんですか……」

晴絵「だから玄を立ち直らせるのは玄自身だと思うよ」

憧「晴絵……」

晴絵「あ、何もしてあげられないってのは取り消し」

穏乃「……?」

晴絵「玄のこと信じて見守ってやりなよ。私らに出来ることはきっとそれくらいだよ」

宥「赤土さん……ありがとうございます」

玄「……」ゴロゴロ

玄「……」ゴロゴロ

玄「この生活にも飽きてきたのです」

玄「麻雀……打ちたいな……」

玄「っ……ダメ!私は……私が皆の夢を潰しちゃったのに」

玄「そんな私が麻雀を打ちたいなんて思ったらいけないのです」

玄「いけない……ことなのです」

玄「はぁ……」

玄「う~」ジタバタ

玄「あ、そうだ」

玄「パソコンにネット麻雀入れてあるんだっけ」

玄「部屋から出たがらないおねーちゃんと麻雀するために」

玄「ふふ、懐かしい」

玄「……」

玄「これで最後にするから……」


玄「最後に一回くらい許してくれるよね?」

怜「なぁなぁ、りゅーかぁ」

竜華「ん?どないしたん?」

怜「この麻雀、おかしいで」

竜華「どこが?」

怜「次ツモが全然見えへん。こんなの麻雀ちゃうで」

竜華「はぁ……怜が入院中、暇や暇や言うからパソコン持ってきてネット繋いだいうのに」

怜「むむむ」ジー

竜華「怜も能力抜きで打てるようにならんとまたぶっ倒れるで?」

怜「……りゅーかのいじわる」

竜華「はいはい。ってあれ?この子……」

怜「どないしたん?」

竜華「ほら、そこにクロチャーって名前の子がおるやろ?これって」

怜「阿知賀のあの子?人違いやないの?」

竜華「いいや、これはもう運命やで!怜!この子に対戦申し込んで!早く!」

怜「はいはい」

照「ねぇ、菫」

菫「ん?」

照「これって本当に麻雀なの?」

菫「何を言ってるんだお前は」

照「配牌が有り得ないくらい悪いし、牌も全然見えない……これって本当に麻雀なの?」メソメソ

菫「すまん……お前が何言ってるのか分からない」

淡「まったくもって!」

照「うぅ……これ【麻雀じゃない」グスッ

菫「はぁ……照が急に進学止めてプロになりたいって言い出すからネット麻雀を勧めてやったというのに」

照「それとこれと何の関係があるの?」

菫「プロになったら打牌はなんとなくじゃダメなんだぞ?何故そこを打つのか説明出来るようにならないと」

照「……そうなの?」

菫「ああ、だからこそのネット麻雀だ。お前は牌を持つとなんとなくで打って勝ってしまうからな」

照「む~」

菫「……おい、照」

照「どうしたの?」

菫「この卓のクロチャーとトキってもしかして」

照「千里山と阿知賀の人……」

菫「まぁ全くの別人ってこともあるだろうが」

照「いや、きっとそう」

菫「分かるのか?」

照「なんとなく」

煌「ぶちょーと姫子さんがなにやら保健室でチョメチョメしてるそうで面子が足りませんね。すばらくない」

煌「こういう時はネット麻雀でもして時間を潰すのがすばらですね」

煌「おや?おやおや?」

煌「この卓の……テルテル、トキ、クロチャーって」

煌「なんたる偶然!すばらです!」

煌「こんな卓で空きあるなら入るしかないじゃないですか」


煌「みなさんお揃いのようで……すばらです!真打は後から登場するって!」

玄「うわわ、なんか変な人たちに囲まれちゃったよぅ」

玄「あれ?この人たちの名前……」

玄「トキ、テルテル、SUBARAって……」

玄「まさか、ね……そんなことないよね」

玄「……でも」

玄「この人たちにはなんだか負けたくない!」

照「……」ポチポチ

菫「始まったのか」

照「配牌悪っ」

菫「配牌4向聴くらい普通だろ」

淡「まったくもって!」

照「ま、まぁ私は東1は様子見だし(震え声)」

菫「あれ?ネット麻雀で照魔鏡使えんの?」

照「いや無理だけど」

竜華「おおー凄い鬼ツモ」

怜「ふふ…なんたって100巡先まで見えるようになったからな」

竜華「え?そうなの?」

怜「まぁ嘘やけど」

竜華「お、聴牌った」

怜「なんだか調子ええわ」

竜華「あれ?リーチはせぇへんの?」

怜「ツモ切りリーチのがかっこええやろ?」

竜華「そういうもん?」

怜「字牌切りリーチとかも好きやで」

竜華「あ~それは分かる気がする」

トキ「リーチ!」


玄「園城寺さん(仮)のリーチ宣言……」

玄「誰かが鳴かないと……」

玄「ってそんなわけないよね」


煌「東1で園城寺さんの先制リーチ……」

煌「まるであの試合の再現ですね。すばらです!」

怜「くるでー!一発くるでー!」

竜華「きたらええね」

怜「こなかった……なんやねんこの糞ゲー」

竜華「や、それが普通やから」


玄「一発ツモじゃなかった…やっぱりこの人は園城寺さんじゃないよね」

玄「違うよね……」

トキ「テンパイ」

クロチャー「テンパイ」

テルテル「ノーテン」

SUBARA「ノーテン」


怜「リーチが空振るとか久しぶりやで」

竜華「これを機に少しは迷彩も覚えような」


照「……役無しのドラ単騎か」

菫「どうしたんだ?」

照「ほら、このクロチャーって子…あのリーチにドラは大通しなのに最後まで抱えてる」

菫「阿知賀の松実玄だとでも言いたいのか?」

照「まだ確証はないけどね」

照「やだこれもー」

菫「また配牌に文句か?」

照「もっと軽い手が欲しかった。こんなドラなんていらない」

菫「配牌にドラ暗刻がきて文句言う奴を初めて見たよ」

照「むー」


煌「チャンピオン(仮)が親だしさっさと流してしまいましょうかね」


SUBARA「ポン!チー!ツモ!すばらです!」

玄「どうしよう……全然ドラがこないよ」

玄「やっぱり私はドラにまで嫌われちゃったのかな」

玄「みんなの夢を潰しちゃったんだもん…ドラも私に愛想尽かしちゃったんだよ」

玄「仕方…ないよね……」


SUBARA「ロン!すばらです!」


怜「この私が振り込んだやて!?」

竜華「あんな脂っこいとこ切ったんやから仕方ないよ」ヨシヨシ

怜「りゅーかぁ…もう私はダメみたいや」

竜華「なに言うてんの」

怜「ってか膝枕してもらってると打ちにくいんよ」

竜華「じゃあ止めようか?」

怜「いやや」

照「全然ダメ…配牌に艶がない」

菫「まだ言ってるのか」

照「あぁもう!糖分が足りなくなってきた。お菓子買ってくる」

菫「おいおい」

照「菫、代打ち頼む」

菫「いやだよ」

照「淡、頼んだ」

淡「おまかせあれ!」

菫「大丈夫なのか?」

淡「だいじょぶだいじょぶ。私に負けはありえません」

菫「や、操作の方」

淡「……」

菫「……」

淡「スミレぇ」

菫「はぁ…安請け合いするなよ」

菫「……ここを押してだな」

淡「ふんふむ」

菫「……カーソル合わせて」

淡「なるほどなるほど……なるほど~」

菫「大体これでいける筈だが…覚えたか?」

淡「まったくもって!」ポチポチ

菫「あ、おい!そっちはツモ切(ry」

淡「……へ?」


SUBARA「ロン!すばらです!」


淡「……」

菫「あらら」

淡「ピンロクくらいくれてやる(震え声)」

菫「……」

淡「……」

菫「一人沈みだな」

淡「ま、まぁここからが本番だし?」

菫「照が帰ってくる前にトバされなきゃいいけど」

淡「逆に淡がトバしてやるんだから!」


宇宙の 法則が 乱れる!


淡「これで和了れるもんなら和了ってみろっての!」

SUBARA「ツモ!すばらです!」

淡「……っ!?」

菫「……あっさり和了られたな」

淡「うっそでしょ……」プルプル

怜「4巡で門前ツモとかインチキくさいわー」

竜華「怜が言うても説得力ないわー」

怜「……まぁさっさとこの子の親流さんとな」


トキ「チー!」


怜「しっかし次ツモが見えんとやり辛いなぁ」

竜華「それが普通なんやけどね」

照「ただいま」モグモグ

淡「あ、おかえりテルー!」トテテ

菫「ちょ、淡!せめて切ってからに(ry」

淡「……へ?」

照「あ……」


トキ「ロン!その節はどうも」


怜「ふふ…このチャンピオン(仮)チョロいで」

竜華「やったー!怜が初めて和了ったでー!」

怜「もっと褒めてもええんやで?」

玄「……」ポチポチ

SUBARA「ポン!」

玄「……」ポチポチ

SUBARA「カン!」

玄「……」ポチポチ

SUBARA「チー!」

玄「……」

SUBARA「フリテン!ツモ!すばらです!」


怜「ポンチーうっさくてイラッとするなぁ」ムカムカ

竜華「まぁまぁ」

照「ハッピーターンの粉だけで販売してくれてもいいのに」モシャモシャ

淡「まったくもって」モシャモシャ

菫「お、おい!油っこい手で弄るなよ?手を拭けよ?」

照「私、プロになってお金稼いだらハッピーターンの粉だけを買い占めるんだぁ」モシャモシャ

淡「それはウルトラハッピーだねぇ」モシャモシャ


トキ「ツモ!うちちょっと病弱で」


怜「確変きたでー調子ええわ」

トキ「リーチ!せめて奥義で葬ろう……」


竜華「ほんま調子ええね」

怜「せやろー?流石やろー?」


トキ「ツモ!生きるんて辛いなぁ」


竜華「キャーッ!おめでとーっ!!」

怜「即ツモきたでー!死んじゃうツモー!」

竜華「何か怜が言うと別の意味に聞こえるなぁ」

淡「テルー」

照「んー?」

淡「全然いいとこなしだねぇ」

照「……誰かさんの所為でいっぱい点棒なくなっちゃったからね」

菫「人の所為にすな!」ペシッ

照「あうっ!」

菫「しかし、お前にしては和了っ気が全くないな。どうかしたのか?」

照「……ちょっと気になる子がいるからね」

菫「ふーん」

菫「松実玄(仮)のことか?」

照「うん」

菫「お前相手に倍満直撃させたとはいえ、アレはほとんど3人がかりだったんだぞ?気にするほどのことか?」

照「でも事実は事実」

淡「んー?なになに?何の話?」

照「なんでもないよ」


照「菫、私は別に倍満を当てられたことに拘ってるわけじゃない。ただ……」

菫「……ただ?」

照「私の予想を超えてきた2人目の人だ――」

SUBARA「リーチ!捨てゴマまかされましたー!」

怜「くっ、先越されたか」

トキ「リーチ!ひざまくらのソムリエと呼んでいいでー」


照「クロチャー…あの子はまず9割方、阿知賀の子本人」

菫「分かるのか?」

照「打ち筋でなんとなくね。ドラの近牌があの子から1枚たりとも出てないし」

照「……でもまだ決め手に欠ける」

菫「お前が他人にそこまで関心を持つのを初めて見たよ」

照「そう?」

菫「あぁ」

照「顔に出さないだけで菫のことも興味津々だよ」

菫「嘘つけ」ペシッ

照「あうっ!」

SUBARA「ロン!必要とされている……そんなすばらなことはない!」

怜「あちゃー掴まされたか―」

竜華「でも惜しかったで」

怜「ふふ…せやね」


菫「……終局だな」

照「うん」

菫「で、どうだった?」

照「もっと手を開けてくれたら分かりやすかったけど」

菫「牌譜見れるけど見るか?」

照「さすがは文明の利器だな。はいてく」

照「あ、菫」

菫「どうした?」

照「チャットでこの子にコンタクトとってみて。その間に牌譜見てる」

菫「え?私が?」

照「お願い」

菫「くっ、仕方ないな」カタカタ

テルテル:やぁ、初めまして

照「ないわーさすがにないわー」

菫「う、うるさいな!」カタカタ

テルテル:君のことが気になったんだ

照「新手のナンパ?」

クロチャー:なんですか?

菫「ほら見ろ!返事きたぞ」カタカタ

テルテル:私だよ私

照「菫……」

菫「冗談だよ冗談」

テルテル:君の打ち筋が知ってる人に似ててね

クロチャー:うわわっ

照「引かれてない?」

菫「そんなことないぞ」カタカタ

テルテル:よかったら少しお話がしたいんですが

クロチャー:私は

クロチャー:私は誰かと話したい気分ではないのです

菫「照、まだか?」

照「んーもうちょい」

テルテル:そこをなんとか

照「下手に出たね」

菫「早くしろよ」

照「はいはい」

トキ:乙でー

SUBARA:お三方、すばらでしたよ!

菫「あっと、言うの忘れてたな」

テルテル:お疲れ様でした

クロチャー:お疲れ様でした

照「菫、分かった!」

菫「やっとか」

照「交代」

菫「はいはい」

テルテル:もしかして松実玄さんですか?


玄「……っ!?」

菫「な、なぁ照」

照「何?」

菫「もしかして送信先が室内になってないか?」

照「どういうこと?」

菫「さっきまではクロチャーだけが見えるように送っていたが、お疲れ様でしたって言うのに個室内全員に見えるように切り替えた」

照「つまりどういうことです?」

菫「名前バレが他の2人にも」

照「え?嘘」

菫「うーわー」

照「私の所為なの!?」

怜「ファッ!?」

竜華「怜、どないしたん?」

怜「竜華…これ見てみ……」

竜華「どれどれ」


煌「てっきり偶然かと思っていたのですが……まさか本人だったとは」

煌「すばら!これは奇跡ですね!すばらです!!」

煌「でも本名バレはすばらくない……」


菫「お?クロチャーから個人チャットが」

クロチャー:なんなんですかいきなり。気持ち悪いです

照「……菫、泣いていいかな?」

菫「自業自得だろ」

やっべPC落ちた

照「あうあう」アタフタ

菫「少しは落ち着けよ」

照「だ、だって~」

菫「お?個室チャットに新着が」


トキ:玄ちゃんお久しぶりーうちのこと覚えとる?

竜華「玄ちゃんなん?マジモンの玄ちゃんなん?」カタカタ

怜「もー他の女の子に手ぇ出したら妬くで?」


SUBARA:お久しぶりです!すばらです!

SUBARA:しかし本名バレは感心しませんね


菫「この二人もどうやら知り合いみたいだぞ」

照「奇跡も魔法もあったんだね」

SUBARA:チャンピオンの名をあやかった誰かと思ってましたが

トキ:まさか本人だったなんてな

怜「驚くほど弱っちかったしな」

SUBARA:でもまたこの4人で卓を囲めたことをすばらく思いますよ


菫「何か返事してやらないのか?」

照「なんだか照れくさくって」

照「でも――」

テルテル:まずは本名バレの件はごめんなさい

テルテル:でもどうしても話したかった。あなたと


玄「……」

照「これ松実さん宛てになってる?」

菫「あぁ」

クロチャー:私はあなたと話すことは何もないのです

菫「バッサリだな」

クロチャー:第一、あなたがあの宮永照だとは信じられない

クロチャー:私が戦ったあの人はこんなに弱くはなかったのです

照「この子失礼だね」

菫「お前がそれ言うの?」

トキ:でもなんでこんな弱っちぃのがチャンピオンだなんて信じられたんやろうな

トキ:自分でも不思議に思うわ

照「酷いこと言われてるよね?」

菫「実際、ネト麻のお前は(ry」

照「言わないで聞きたくない」

SUBARA:それはアレでしょう

トキ:アレ?

SUBARA:あの卓を囲んだ人だけに分かる

SUBARA:フィール的な何かってことで


玄「……」

トキ:や、全く意味が分からんけど

SUBARA:すばらっ!?

トキ:でも、なんとなく分かる気もする

トキ:打ってる途中な、少しだけ思ったんよ

トキ:なんて言ったっけ。アレ

トキ:そう、既視感や

トキ:何言ってんのか自分でもさっぱりやけど

トキ:打ってる時な、あの準決勝を思い出した

SUBARA:私もですよ


玄「どうして…?あの卓はみんな思い出したくないような卓じゃないの?」

玄「園城寺さんは終わった後すぐ倒れて、花田さんは点棒をたくさん失って……」

玄「私は……」

SUBARA:なんにせよまたこの4人で卓を囲みたいですね

SUBARA:次はネットではなく、ね

トキ:次こそはうちが勝つで

SUBARA:その意気はすばらですが私も負けませんよ!

テルテル:私に勝てる気でいるの?片腹大激痛

菫「コラッ」ペシッ

照「あうっ」


玄「……」

クロチャー:私は

クロチャー:私はもう打ちたくない

SUBARA:それはすばらくない

トキ:玄ちゃん、何かあったん?

クロチャー:私はもうあんな気持ちになりたくないのです

クロチャー:辛くって、悲しくって、逃げたくて、心が痛くて、心が壊れそうで、諦めたくて、でもダメで

クロチャー:もう一度あんな気持ちになるくらいなら私……

照「……」カタカタ

菫「おい、照」

テルテル:でも私はあなたともう一度打ちたい

玄「……っ」カタカタ

クロチャー:あなたには私の気持ちが分からないからそんなことが言えるのです

テルテル:残念だけどあなたの気持ちは分からない

テルテル:でも私はあなたと打ちたい。他の誰でもない、あなたと

トキ:チャンピオンの言う通りやな

トキ:私もまた玄ちゃんと打ちたいで

トキ:どうしても止めたいって言うならそれが済んでからにせえへん?

SUBARA:私は仲間が麻雀を止めたいというならそれを止める権利はないと思っているのですが

SUBARA:私もあなたともう一度打ちたい

SUBARA:我が儘ですかね?我が儘でしょうね


玄「仲間……?」

クロチャー:私と花田さんが?

SUBARA:ええ、同じ卓を囲んだ仲間、同じ麻雀を愛する気持ちを持つ者同士の仲間

SUBARA:私、変なこと言いましたかね?

トキ:なんも変なとこはあらへんな

クロチャー:でも私は麻雀を……

テルテル:愛していないとは言わせない。じゃなければあの異能は説明できない

テルテル:違う?

玄「私……」

クロチャー:麻雀を続けてもいいのかな?

トキ:何言うてんの?

トキ:そんなん自分の気持ち次第やで

クロチャー:私は麻雀を続けたい

クロチャー:でも私の所為で仲間の夢を潰しちゃった……

クロチャー:潰しちゃったの

クロチャー:だから私なんかが麻雀を続けたらいけないんだって

SUBARA:それを許すのも仲間でしょう?

SUBARA:もっとも誰もあなたを責めているとは思えないんですけどね


玄「私…私はまたみんなと打ちたい」ポロポロ

クロチャー:私、またみんなと打ちたい

クロチャー:打ちたいよ

テルテル:あぁ、私も打ちたい

テルテル:この宮永照は松実玄と打ちたい

クロチャーさんがログアウトしました


トキ:まさかあんな思い悩んどったとは夢にも思わんかったで

SUBARA:私もですよ

テルテル:ところで

トキ:どないしたん?

テルテル:さっき私が弱いとか変な文が見えたんだけど

テルテル:弱いかどうかはその身で確かめるといいよ

トキ:うち、そろそろリハビリの時間やから

トキ:ほなまた

テルテル:麻雀を嫌というほど楽しませてあげる

トキさんがログアウトしました

SUBARA:わ、私もそろそろお暇しますねー

SUBARA:あなたのさっきの言葉、すばらでしたよ


SUBARAさんがログアウトしました

照「ふぅ……」

菫「お疲れ」

照「あぁ」

照「よくよく考えたらさ」

菫「ん?」

照「結構恥ずかしい台詞を吐いたなって」

菫「あぁ、見てるこっちが恥ずかしかったな」

照「もうお嫁にいけない」メソメソ

菫(照れる照)

菫「でも、よかったんじゃないか?これで」

照「うん」

穏乃「ねー赤土さん」

晴絵「んー?」

穏乃「玄さんいつ戻ってくるのかなぁ?」

晴絵「私の時は2ヶ月くらいだったけどね」

憧「え~2ヶ月も待ってらんないよー」

晴絵「あの子は案外早いかもよ?」


ガラッ――


晴絵「噂をすれば……」

穏乃「あ、玄さん!」

憧「え、嘘…玄!?」

宥「玄ちゃん……おかえりなさい」

玄「松実玄!ただいま戻りましたっ!」



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