・[たぬき]と禁書のクロス
・二番煎じ注意
・新約9巻まで既読している方以外はネタバレ注意
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「はあ? 超能力なんてあるワケねえだろ? ぶっ、ぐひゃひゃひゃひゃひゃ!」
土管の上に腰掛けた少年が、高笑いしながらそう言った。
その少年の目の前には、顔を真っ赤にしてなんとか説得させようと必死な眼鏡の少年が立ち竦んでいた。
この眼鏡の少年、野比のび太は瞳に涙を浮かべながらポケットに入っていた一円玉を握り締める。
そして。
のび太「あ、明日に超能力を使ってやる。正午に僕の家に来い!」
ジャイアン「ほぅ……楽しみじゃねえか。なぁスネオ」
スネオ「そうだねジャイアン。というか、出来なかったらどうしようか」
のび太「は、鼻でピーナッツを砕いてやるとも」
ジャイアン「きいたかスネオ」
スネオ「勿論さ」
二人は再び高笑いしながら、「楽しみにしてるぞ」と捨て台詞を吐いて空き地を後にする。
誰もいなくなった空き地で一人残ったのび太は、一円玉を再び握り締め自宅へと走った。
*
ドラえもん「はぁ? またそんな馬鹿な賭けをしたのかい?」
のび太「仕方なかったんだよ」
ドラえもん「……で? 今回は何があったんだい」
のび太「あいつらが、超能力なんて無いっていったから。証明してやるって」
ドラえもん「超能力……? そんなのある訳ないじゃないか」
ドラえもんは好物のどら焼きを頬張りながら、適当に一蹴する。
怒りと悲しみがごちゃごちゃになったのび太は、一円玉を床に放り投げ怒鳴り散らしてから引き出しを乱暴に開けた。
引き出しの中には、異様な雰囲気を放つ空間が広がっており、未来的なデザインの乗り物が直下に停泊していた。
タイムマシン。
誰もが憧れ、誰もが打ちひしがれてきた『時間を越えるための装置』。
ドラえもんは、コレに乗ってこの時代にやって来たのだ。
ドラえもん「何をする気だい?」
のび太「本物の超能力者に会いに行く」
ドラえもん「だから居るわけ無いって」
のび太「でも、この前テレビで」
ドラえもん「ないものはないの!」
のび太「……勝手に一人で行く」
ドラえもん「……一人じゃ心配だし、僕も行こう」
二人はタイムマシンに乗り込み、時間と座標を指定して発進させる。
タイムホールと呼ばれる時計のような模様が辺り一面に張り巡らされた空間を行き来するのが、未来のタイムマシンだ。
五分ぐらいした頃、タイムマシンの軋む音がきこえた。正常だったタイムホールは螺旋状に渦巻き、時間の奔流が始まっていたのだ。
タイムホールに黒い歪が生まれ、タイムマシンは歪の中に強引に引きずり込まれた。
二人の意識は連続性を失い、永遠と呼ばれる時間の中で意識を覚醒させては気絶するというなんとも不可思議な状況になってしまった。
そうして、数えきれない時間が過ぎた頃。
彼らは草原で目を覚ました。
ドラえもん「ここは……」
のび太「草原……? あれ、あれって東京かな」
目の前に広がるのはおびただしい数のビルがそびえ立つ街だった。
しかし、東京と呼ぶには少し異質だと言える。風力発電機の数が異常に多いのだ。
見渡すかぎりでも100くらいはあるだろう。
ドラえもん「……」
二人は辺りを警戒しながら、草原を進んでいく。
草原の向こう側に、コンビニエンスストアがあった。しかし、そのコンビニエンスストアは見たこともない会社だった。
のび太「なに、ここ。ねえ、ドラえもん」
ドラえもん「僕もわからないよ……ッ」
二人は目の当たりにした。ドラム缶のようなフォルムのロボットを。彼らの時代ではあれほど高度なロボットは開発されていない。
ここは、もしかしたら違う世界なのかもしれない。
数々の試練をくぐり抜けてきた彼らは直感的にそう感じた。
と、二人の背後で声が聞こえた。声の正体はツインテールの少女だった。
軽い溜息を吐きながら、少女は緑の腕章を彼らに見せつけて言った。
「見かけない顔ですわね、学園都市のIDはお持ちですの?」
のび太「がくえんとし……?」
短いですが、ここで終わりです
ってことは9巻以降の話になるのか?
注意事項に、ご都合主義ってのも加えといてください。
ドラえもん「ここは学園都市、というところなんですか?」
「まあ、そうですわね」
数秒ほどの沈黙が在った。
状況をいまいち理解していないのび太は、え?と戸惑いながら沈黙する二人の顔を見る。
沈黙を破ったのはツインテールの少女だった。溜息を吐き、そして眉を顰めるドラえもんの顔を一瞥する。
「……その反応ですと、持っていらっしゃらないとお見受けしますの」
ドラえもん「……」
「任意同行を求めますわ」
のび太「にんい、どうこう? ってなにドラえもん」
ドラえもん「それって断ったらどうなるんですか?」
「わたくし達は、まあアルバイトのような立ち位置ですのでそこまで深く捜査出来ませんの。警備員に通達し、詳しい調査を行う事になりますわ」
再び沈黙が流れる。ツインテールの少女は腕を組みながら綺麗な黒塗りの電信柱にもたれかかり、ドラえもんの答えを待った。
先ほどの沈黙よりも少し長い時間が流れる。今度はドラえもんが沈黙を破った。
ドラえもん「同行しよう、のび太くん」
強い声色で困惑するのび太へ言い掛ける。明確に未来を予想したと言わんばかりに、その声色には決意があった。
それを聞き、ツインテールの少女は二人に歩み寄る。今までの厳格な表情とは違い、安心したような柔らかい表情があった。
のび太「え? え?」
「潔いようで助かりますの。テレポートしていくので、絶対にわたくしの手を離さないでくださいまし」
唐突に、紐のようなもので全身を縛られたような衝撃が全身に迸った。
視界が暗転する。一秒も経たないうちに目の前に現れた景色は、そびえるビル群を早いスピードで飛び交っている光景だった。
二人は悲鳴を上げながら、ツインテールの少女の共に空中散歩を繰り返した。
数分ほどしたころ、二人はかなり酔ったのかえずきながら地上に降り立つ。
けろっとしているツインテールの少女は、風紀委員の詰所に設置されたロックを解除し、ドアを開けた。
「ここにでもかけてくださいな」
ツインテールの少女は客人用の黒いパイプ椅子を指さす。
二人は自分の胸をさすりながら、ゆっくりとした動作で椅子に座る。
ドラえもん「ど、どうも」
のび太「う、うえー……ぎぼぢばぶい……」
少女は紅茶の入ったマグカップを机の上に置いて、椅子に座る。
さて、と少女が切り出し自己紹介を始めた。
白井「わたくしの名前は白井黒子。白井、黒子……どちらでも呼んでくれて構いませんわ」
白井「ここは、わたくし達が所属している組織の支部ですの。後、二人同僚が居る筈なんですが、留守のようですわね」
ドラえもん「ドラえもんです」
のび太「僕、野比のび太といいます」
白井「野比さんと、ドラえもん?さんでよろしいですわね?」
のび太「はい」
白井「取り調べ、という訳ではありませんが取り敢えず聞きたい点が幾つかありますの」
白井「あなた達は一体どこからきましたの? 壁やセキュリティをくぐり抜けた方法に付いて教えて下さいまし」
のび太「えっと僕たちは……東京の練馬区月見台すすきヶ原に住んでて……」
ドラえもん「タイムマシンで過去に行こうとしている途中で事故にあって、気付いたらここに」
白井「タイムマシン?」
ドラえもん「僕は二十二世紀からやってきた猫型ロボットなんです」
白井「にわかに信じ難い話ですの」
ドラえもん「例えば……」
ドラえもんの腹部に取り付けられた白いポケットに両手を突っ込む。そして取り出したのは、未来的なデザインのライトだった。
ライトを机の上のマグカップに向け、そしてスイッチを押す。光がマグカップを照らすと、マグカップはみるみる小さくなっていった。
ドラえもん「これは未来の道具で、スモールライトっていうんですよ」
のび太「他にも、ドラえもんはすごい道具をたっさんもってるんですよ!」
白井「……驚きましたの。わかりましたわ、未来から来たというのは信用しますの」
白井「さて、こんな案件は初めてですの……。とりあえず、この案件は預かっておきますわ。今は警備員もそれどころじゃないでしょうし」
ドラえもん「何があったんですか?」
白井「何かあったというわけではありませんが、今は一端覧祭という祭り事の季節ですの」
白井「犯罪件数も多くなってくる季節ですから、ほとんどパトロールに出払っていますの。かくいうわたくしも今しがたまでそうだったのですわ」
ドラえもん「これから僕達はどうしたら……」
白井「そうですわねえ……。ウチの寮に泊めてさしあげることはまず無理として……、多少不本意ですが……」
と白井は、プリーツスカートのポケットから携帯電話を取り出す。どこかに電話したと思うと、急に声色が変わった。
顔をほころばせ、さきほどまでの二人の『デキルオンナのイメージ』は瓦解していく。
多少申し訳なさそうな表情や少し引いてしまうほどの笑顔を見せるなど、百面相だった。
携帯電話を切ると、今度はとても不機嫌そうな表情を浮かべ乱暴に携帯電話のキーを押していく。
白井「もしもし、白井ですの。上条さんはご在宅ですの?」
『帰ってないんだよ』
白井「学校ですの?」
『とうまは、ハワイに行ったきり帰ってきてないの』
白井「は、ハワイ?」
白井(……お姉さまもハワイがどうたらこうたら言ってたような……まさか……あの類人猿ッッ!)
『はあ……』
白井(そういえば、つい最近ハワイのキラウェア火山が噴火したとかいうニュースがありましたわね……)
白井「そうですの……ではまた」
『はい……』
携帯電話を切ると、少し憂いたような表情を浮かべる。
いつも敵視しているとはいえ、火山の噴火に巻き込まれたかどうかの安否は気になる。
認めたくはないが自分の尊敬するお姉さまの慕う男性だとすれば、助かって欲しいと願うしか無いのだろうと白井は考える。
白井「さて……どうしましょう」
今日のところはこれで終わりです。
>>11
時系列的には新約5巻からです
ただストーリーに最新刊の話が関わる予定です
白井「……まあ、どうしようもないので、とりあえずは今夜はここで過ごしてもらってもよろしいですわね?」
のび太「ここで、ですか?」
白井「ここなら電子ロックもかかっておりますし、安全でしょう」
ドラえもん「じゃあ一日だけお世話になります」
白井「そろそろ門限ですわね……これはわたくしは失礼しますの。ああ、これが電子キーですわ。外にでる際はこれをそこの窪みに入れて開閉してくださいな」
ドラえもん「わかりました」
白井はのび太に電子キーを手渡し、その場から消えた。
白井黒子を見送った二人は再びパイプ椅子に座り、すっかり冷めた紅茶をあおる。
そうしてようやく、重大な事に気がついた。そう、なぜ白井黒子は道具を使っていないのに、テレポートが出来るのか。
すっかり失念していたが、まあ明日きくことが出来るだろうと二人はそれほど思いつめることはなかった。
ドラえもん「おなか空いたね」
のび太「何か食べようよ……そうだ、あれだしてよドラえもん」
ドラえもん「あれ?」
のび太「そう、あれだよ! グルメテーブルかけ!」
ドラえもん「それはいい考えだ!」
そう言い、ドラえもんはグルメテーブルかけと呼ばれた秘密道具を取り出す。
客人用のソファの前にあるガラステーブルの上に引くと、二人はそれぞれに好きな食べ物を呼んだ。
ドラえもん「どら焼き!」
のび太「ラーメン!」
そう言うと、グルメテーブルかけにラーメンとどら焼きが唐突に現れた。これが未来の道具の力なのだ。
好きな食べ物を、どんな高級食材でもB級グルメでも一瞬で作り出せる、それがこのグルメテーブルかけだ。
白い皿の上に乗った数個のどら焼きを頬張るドラえもんと、美味しそうにラーメンを啜るのび太。
花飾りを頭につけた少女はその光景を見てしまっていた。
(ど、どうなってるんですかぁ!?)
机の陰に隠れ、息を潜める。どうやら二人は花飾りの少女の存在に気付いていないようだ。
少女は何かを決心したかのような表情に変わると、ゆっくりと忍び寄る。鳴る心臓を必死に抑えながら、そして。
「じゃ、風紀委員です! ふ、ふ、不法侵入罪で、逮捕し、します!」
ドラえもん「えぇ?」
のび太「ま、またぁ?」
「へ?」
のび太「その腕章……白井さんと同じだよね」
ドラえもん「そう言われてみれば」
「あ、あれ? 白井さんのお知り合いの方ですか……?」
ドラえもん「知り合いも何も……」
「……あ、白井さんからメールきてた……」
「……あ、……あ、……す、すみません!」
のび太「別にいいですよ、気にしないでください!」
「そ、そうですか? ……改めまして、私は初春飾利です。えーと、野比さんとドラえもんさんですよね?」
のび太「はい!」
ドラえもん「そうです」
初春「よろしくおねがいします。……質問なんですけど、それなんですか?」
と、初春は怖ず怖ずとテーブルクロスを指さした。
ああ、とドラえもんは得意気に説明を始める。
ドラえもん「これは、グルメテーブルかけ。好きな食べ物を出す秘密道具ですよ」
初春「へ、へえ……私も何か頼んでいいですか?」
ドラえもん「勿論!」
初春「ジャンボパフェ!」
そう言うと、グルメテーブルかけの上に巨大なパフェが現れた。
初春は驚いたが、それ以上にファミレスで見るようなパフェよりも数段美味しそうなパフェに感嘆した。
パフェを一口、口に含むと、緊張していた初春の顔付きはとろけるように変わり、再び感嘆する。
初春「お、美味しい! こ、これは学舎の園でしか食べられない超高級カフェ限定のエンデュミオン・パフェをも上回る美味しさ……」
ドラえもん「それはよかった」
のび太「うんうん」
初春「ありがとうございます! ……あっ、もうこんな時間だ。忘れた宿題を取りに来たんですよ。じゃあまた皆を連れてきますね」
のび太「さようならー」
ドラえもん「のび太くんとは大違いだね」
のび太「うるさいやい」
ドラえもん「少し早いけど、寝ようか」
のび太「そうだね。なんだか疲れちゃったよ」
*
一方、元の世界の面々は。
ジャイアン「さて、約束の時間だ」
スネ夫「どうせ出きっこないのに、のび太の誇張ぶりは見てて爽快だねジャイアン」
しずか「あんまりそういうふうに悪く言うもんじゃないわスネ夫さん」
野比のび太の同級生の三人は、のび太宅を訪れていた。
のび太の母親、玉子に家に通してもらいのび太の部屋へ来たが。のび太はおろかドラえもんの姿すらなかった。
少しばかり待つことにしたが、一向に帰ってこない。しびれを切らしたジャイアンは机の引き出しを開けた。
すると。
ジャイアン「タイムマシンがないぞ!」
スネ夫「あいつら、逃げたなぁ!」
しずか「もういいじゃない。のび太さんが可哀想よ」
ジャイアン「っておい押すなスネ夫! 落ちる落ちるッ!」
スネ夫「あっ」
ジャイアンとスネ夫はタイムホールに転落し、スネ夫はどうにか助かろうとしずかのスカートを握り締める。
しかし。
しずかまでもがタイムホールへ引きずり込まれてしまい、三人はタイムホールを彷徨う事となってしまった。
タイムホールに落ちるとどこの時代に行くか分からないという。
一日後の世界かも知れないし、一億年前の世界かもしれない。不幸中の幸いというべきは、タイムホールが瓦解していることだった。
ある一点の歪がタイムホールからの干渉を妨げ、三人は別の歴史に飛ばされること無く歪の中へと沈み込んでいく。
何故タイムホールが瓦解しているかなど分からないが、三人はドラえもんとのび太同様、時間の奔流の中で、意識の点滅を繰り返していた。
永遠……もしくは一瞬。時間を感じ取る機能などすでに無かった三人には思考すらままならない。
気がつけば、見知らぬ天井をがあった。
ジャイアン「ううっ……なんだここ」
「あっ、起きたのねってミサカはミサカは安堵してみる」
スネ夫「ここどこぉ?」
「うーんとね、マンションだよってミサカはミサカは返答してみる」
ジャイアン「俺達、どうなってたんだ?」
「倒れてたよ」
しずか「そういえば、のび太さんの家でタイムホールに落ちてからの記憶が……」
「たいむほーる?」
茶髪の少女がそう言った、その瞬間。白髪の男が杖をつきながら、部屋に現れた。
手には冷却ジェルシートを三枚があり、起き上がっている三人の顔を見て男は少しおかしな表情をつくった。
「起きてンじゃねェか」
「たった今起きたのーってミサカはミサカは報告してみたり」
「あァ、そう。……今からどォすンだお前ら。家はどこだ?」
ジャイアン「家は、東京の……」
「外部の人間かよ。その様子じゃァ、学園都市のIDも持ってねェだろォし、警備員に頼る訳にはいかねェよな」
「ヨミカワならなんとかしてくれるよってミサカはミサカは希望的観測を言ってみたり!」
「黄泉川ねェ……仕方ねェな、アイツに頼るか……で、お前ら名前は?」
ジャイアン「剛田武だ!」
スネ夫「骨川スネ夫です」
しずか「源しずかです」
「ミサカの名前は打ち止め! よろしくねってミサカはミサカは挨拶してみる」
「俺ァ、一方通行だ。呼び方はなんでもいい」
今日のところはこれで終わりです。
打ち止めの口調がいまいちつかめない……
このSSまとめへのコメント
ドラえもんのび太とこゎい風邪を引いた卒業
こゎい風邪を引いた「さようならーのび太の卒業」
のび太「さようならーこゎい風邪を引いた卒業」
ドラえもんのび太と卒業式
ドラえもんのび太と卒業
ドラえもんのび太とこゎい風邪を引いた
こゎい風邪を引いた「さようならーのび太の」
のび太「さようならーこゎい風邪を引いた卒業」