某球団…
二軍グラウンド…
斉藤「はぁ…はぁ…」
…タッタッタッタッタ…
斉藤「…ふぅ…グラウンド20周…これで今日のトレーニングはおわ…」
『…なぁ、斉藤のことなんだが…』
『…だからさっきも言ったろ!』
斉藤(ロッカールームから監督とコーチの声が…)スッ…
『…あいつはもう駄目だ!…何をやらせても一人前以下で邪魔なだけだ!』
斉藤「…ッ!」ビクッ!
『…だが、アイツはまだ若い、もう少し…もう少しだけウチで…!』
『…今のウチの球団の財政がヤバイのを…監督も知らない訳ないッスよね!?』
『…そ、それは…』
斉藤(知らなかった…噂では財政難だって聞いてたけど…本当だったんだ…)
斉藤(…それなのに、監督は…こんな俺を…)
…ブイィーン!…ブイィーン!…
斉藤(…!…携帯のバイブが…)ゴソゴソ…
斉藤(メール……!…マーくんからか!)
田中『ユー君!久し振り!俺、今度メジャーに行くことになったんだ!』
斉藤「…!」フラッ…
田中『ユーくんも今はちょっとしたスランプかもしれないけど、ユーくんならきっと乗り越えられるって信じてるよ…先にメジャーで待ってるから!』
斉藤「…うわぁ。随分と差をつけられたなぁ…」はは…
斉藤「…どこで…何を……間違ったのかなぁ…」ウルウル…
…監督ぅ、俺アイツとバッテリー組むのイヤなんスけど…
斉藤「俺は……」ブワッ…
…ユーくんなら乗り越えられるって信じてるから!…
斉藤「うっ…」ホロポロ…
…お前さぁ、やる気ねぇならやめちまえよ!…
斉藤「……うぅ…」グス…ヒック!
…先にメジャーで待ってるから!…
斉藤「………俺はッ!」グッ!
コーチ「斉藤は今シーズン限りで…」
『待って下さい!』
コーチ・監督「「…!」」
…ガチャ…バタン!…
斉藤「俺に……最後のチャンスを下さい…」
監督「斉藤…!」
コーチ「…お前…」
斉藤「まだなんスよ」
コーチ「はぁ?」
斉藤「まだ終われないんスよ!」
斉藤「俺を信じてくれた人達の期待に何一つ応えられないまま…終わるわけにはいかないんスよッ!」
監督「…!」
コーチ「しかしだな…」
斉藤「…お願いします!」バッ!
コーチ「わかった!わかったから顔を上げろ!」
斉藤「……はい」スッ…
コーチ「斉藤…次の一軍昇格テストにお前を登録しておく」
監督「…!…おい!それはあまりに…!」
コーチ「次の一軍昇格テストは1ヶ月後だ…そこで結果を出せ。…それができなければ……」
斉藤「はい…ありがとうございます。全力を尽くします」
監督「いくらなんでも無茶苦茶だ!そんな短い期間では十分な調整は…!」
斉藤「…」スタスタスタ…
監督「斉藤…どこに行くつもりだ?」
斉藤「…トレーニングルームで筋トレしてきます」
監督「待て!まだ話は…!」
斉藤「すみません、監督。今は一秒すら時間が惜しいんで……失礼します」
斉藤「…コーチ」
コーチ「なんだ?」
斉藤「この1ヶ月で出しますよ…結果」
コーチ「…」
斉藤「…こう見えても俺…“持ってる男”なんで…」
斉藤「…それじゃ、失礼します」スタスタ…
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