モバP「……スカウトした経緯、ですか?」 ちひろ「はい!」(105)

P「はぁ、今更なんでそんなことを」

ちひろ「いやだって気になるじゃないですか!自分から志望してきた凛ちゃんたちは……
いや凛ちゃんも結構気になりますけど!他の子!杏ちゃんとかどうやってスカウトしてきたんですか!」

P「……まぁ色々あったんですよ。話せば長くなりますよ?」

ちひろ「長くなっても構いません、聞かせてください」

P「仕事はどうするんですか」

ちひろ「私の仕事は終わりましたよ?(ガチャ追加したのでみなさんどんどん回してください。
今ならお得なショップも!!)」

P「はぁ……わかりましたよ。じゃあ誰がいいですか?」

ちひろ「そりゃあもちろん……」


1きの子
2杏
3うさみん


さぁどれだ

モバP「スカウトした経緯…ですか?」

雫「…」

愛梨「……」

拓海「………」

早苗「…………」

未央「……………」

きらり「………………」


ちひろ「聞く意味なかったですね!」

うさみんに決定


ちひろ「菜々さ……菜々ちゃんですよ!」

P「菜々さんって言いかけましたよね」

ちひろ「いや何か私より年上なイメージが……」

P「はっはっは。何言ってるんですか。菜々は17歳。これはゆるぎない事実ですよ」

ちひろ「入社当時も?」

P「もちろん」

ちひろ「今も?」

P「もちろん」

ちひろ「……ん?」

P「出会いはですね……アキバのメイドカフェでした」

――――――数年前。

P「……はーぁー」

P「そうだよなぁ。やっぱそうだよなぁ」

P「東京だからって、秋葉原だからって、そう都合よくアイドルの才能がある子なんているわけないよなぁ」

P「いやわかってはいた。わかってはいたんだが……かくもこう現実としてこられると、どうしても辛いって言うか……」

P「はーぁ……」

「そ、そこのお兄さん!」

P「はいぃ?なんですかぁ……?」

メイド「お疲れですか?今ならこの『わいるど☆すぺーす』で使える無料ドリンク券を一枚プレゼントしちゃいますよ!」

P「……わいるどすぺーす?獣の行間とかですか?」

メイド「違います!メイド喫茶です!メイド喫茶!」

P「ああメイド喫茶……はいはいアキバですもんね。知ってます知ってます」

メイド「ちょ、ちょっと~!」

P「……まぁいいか、ください」

メイド「え、ほんとですか!」

カランコロン……

「おかえりなさいませぇ~!!ご主人様ぁ~!!」

P「うわぁきゃっぴきゃぴしてんなぁ……最近のメイドカフェって、カップルとかもいんのな」

菜々「おかえりなさいませぇ!ご主人様!ナナは……普段は普通の女の子ですけど、
ウサミン星からのパワーを受けてカラフルメイドにメルヘンチェンジするんです!」バーン!

P「は」

菜々「ウサミン星から貴方を癒しにやってきました!安部菜々です!ピピッ!よろしくお願いします!」

P「……は、はぁ(なんつう電波な店だよここ)」

菜々「あれ、ご主人様初めてですか?」

P「当たり前だろ!この反応を見てわからんのか!」

菜々「ここでは、色んな星から来た異世界メイドが働いているんですよ?ご主人様。
貴方のお屋敷なんですから。しっかりしてくださいよ!キャハ!」

P「……はぁ(ついていけん)」

菜々「じゃあ、今日は何をお召し上がりになりますぅ?」

P「……メロンソーダとオムライスで」

菜々「大宇宙の銀河水と金星のランチタイムですね!かしこまりました!」

P「(なんつう名前だ……)」

P「(しかし設定がきっちり作り込まれてることだけは評価できるな。
ああいう子はテレビに出ても自分のキャラを崩さず……)」

P「(はっ何考えてんだ俺。完全に職業病だな)」

菜々「お待たせしましたぁ~♪大宇宙の銀河水と金星のランチタイ……」

ツルッ

ビターンッ!!

菜々「おごっ!!」

ガッシャァアァーン!!

P「何事!?」

メイド「きゃああああ!?な、ナナさん!?」

菜々「……こ、腰がっ」ピクピク

メイドA「も、申し訳ありませぇんご主人様!」

メイドB「今すぐ片づけますのでーっ!」

メイドC「菜々さん大丈夫ですか!?こっちに!!」

菜々「あ、あうあう……」ピクピク

P「……え?」

メイド「大変申し訳ありません……ご主人様。
このお詫びは」

P「いや……そんな事より、さっきの、安部……安部さんと少しお話できませんか?」

メイド「はわわぁあ!すみませぇん!あの人も悪気があったわけではなくぅ!」

P「いや違うんです!少し確かめたいことがあって……」

メイド「はいぃ……?」

――――――

菜々「え……ナナにですか?」

メイド「どうしましょう……?」

菜々「……こうなったのもナナの不手際のせいです!
メイドの意地です!行ってきます!」

メイド「菜々さん……!」

メイドA「流石メイドリーダー……かっこいい!」

メイドB「私もいつか……菜々さんのような完璧なメイドに」

メイドC「あはは、あんたには10年早いよ」

忘れてた
安部菜々

ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3780887.jpg

菜々「ご主人様ぁ~!先ほどは申し訳ありませぇん!
なんなりとナナにお仕置きを!」

P「……」

菜々「ご、ご主人様……?」

P「おせちもいいけど」

菜々「カレーもね?」

P「……!」

菜々「……はっ!?べ、別に今のはあれですよ!ホラなんかこう最近よく
懐かしいCM特集を見たからですよ!?」

P「何歳だっけ?」

菜々「じゅ、十七歳ですよ!」

P「そうだよな。学校通ってるんだよな」

菜々「そ、そうですよ……?」

P「像が踏んでも壊れない筆箱使ってんだよな」

菜々「古っ!?そ、その手には乗りませんよ!最近の子がそんな筆箱使ってるわけが」

P「……」

菜々「……はぁっ!?」

P「採用!!」

菜々「はぁ!?」

P「実はわたくしこういうものでして」

菜々「モバイルプロダクション、アイドルプロデュース……
もしかして、アイドルのプロデューサーさん……?」

P「はい」

菜々「……あ、アイドルのプロデューサーさんが、なんでこんなところに!?」

P「貴方をスカウトしにきました」

菜々「はいいっ!?」

メイドたち「はいいっ!?」

P「『シンデレラガールズプロジェクト』……名前くらいは聞いたことがあると思います」

菜々「はい、嫌というほど知ってます。無名の、才能のある新人を、アイドルとしてプロデュースしていく……
プロデューサーも新人、アイドルも新人……出資のみ、有名プロダクションから行われる……」

P「なら話が早い。私は是非貴方をアイドルに……」

菜々「……なんで、今なんですか」

P「はい?」

菜々「あ、いえ!なんでもありません!……ただ」

P「……」

菜々「……少し、考えさせてください」

P「わかりました」

メイドたち「……」

―――――――


メイド「菜々さん」

菜々「……何?早く帰らないと、店長にどやされるよ」

メイド「……ここ、やめちゃうんですか?」

菜々「……」

メイド「私……菜々さんにあこがれて、ずっと菜々さんを目標としてきたんです……」

メイド「……いつかは別れがくるって知ってました、でもこんな急に」

菜々「……うん。私も急すぎるかなって」

メイド「……す、すみません!菜々さんの気持ちも考えずに!」

菜々「いいよ。私が貴方の立場でも、きっとそうしたもの」

メイド「……菜々さん」

――――

菜々「……」

菜々「……」

店長「何こんなトコでたそがれてんのさ、メイドリーダー」

店長「アンタの夢は、アイドルなんだろう?なら決まってんだろ。答えは」

菜々「……でも」

店長「今更すぎるってか?そりゃあそうだよなぁ。アンタがアイドル目指して、
どれだけ挫折してきたか、私はよぉく知ってるよ」

菜々「……」

店長「それが今、実を結んだ、そういうことじゃないのかい?」

菜々「……さぁ、わかんないですよ」


―――――――

さらに数年前


TV『おせちもいいけど、カレーもね』

菜々「わぁ……」

母「なんだい、またテレビかい?ナナは本当にテレビっ子だねぇ」

父「はっはっは。そういってやるな。私たちの頃はカラーテレビなんてなかったんだから」

母「……そうねぇ。最近は皆カラーなのね。時代を感じるわぁ」

菜々「……アイドルって、すごいなぁ」

菜々「……お母さん、私東京に行くよ」

母「……アンタがそういうなら、止めはしないよ」

父「生活は大丈夫なのか?」

菜々「……とりあえず、就職はするつもり。
お金ためて、オーディション受けるよ」

父「そうか……仕送りはしてやるからな」

菜々「……ありがと。迷惑かけてごめんね」

母「はっはっは。うちの一人娘なんだから、迷惑なんていくらでもかけな」

菜々「……ありがとう」

――――

上司「安部くん!安部くん!!早く来たまえ!」

菜々「は、はい~っ!!」

上司「いいかね?ここは学校じゃないんだ。甘い考えで通じるとでも……」ガミガミ

菜々「(うう……でも日曜日はオーディション、頑張らないと!)」

審査員「では、六番の方」

菜々「は、はい!エントリーナンバー6番、安部菜々です!特技は……


審査員A「なんというか、いまいちパっとしないなぁ」

審査員B「若いわけでもないし、期待性もうすいかもなぁ」

審査員C「何より覇気がないな。疲れているのかは知らないけど、そんなので来られてもなぁ」


―――――

菜々「……今回も、駄目だったかぁ」

菜々「……やっぱり、働きながらは」

トボトボ

メイド「こんにちは!」

菜々「はいっ?」

メイド「最近ここに、『メイドカフェ』がオープンすることになったんです!
よかったら寄って行きませんか?」

菜々「……め、メイドカフェ?」

メイド「はい!今話題なんですよ!」

菜々「……はぁ」


カランコロン


『おかえりなさいませーっ!!お嬢様!!』

菜々「……はえっ!?」

メイド「お嬢様?お疲れですか?本日は何を飲まれますか?」

菜々「あ、ミルクティーで……」

メイド「かしこまりましたーっ!!」

菜々「(わ、若いなぁ……)」

メイド「こちら、当店自慢のおいしいメイドミルクティーです!」

菜々「は、はいありがとうございます」

メイド「きゃ~!お嬢様可愛いですね!」

菜々「そ、そうですか……?」

メイド「はい!アイドルでもやっていけそうですね!」

菜々「……アイドル」

メイド「……ど、どうかなされました?」

菜々「見た目だけでアイドルになれるなら……それはもう素晴らしい世界ですよね」

メイド「……な、何かすみません」

菜々「あっ!いえいえ!何でもないんです!こちらこそすみません!」

ワァアアアアア!!!

菜々「わっ、何ですか?」

メイド「あ、うちのナンバーワンの子が、今から歌と踊りのパフォーマンスを披露するんです!」

菜々「……へぇー」

ワァアァァァア!!カワイイヨォォォl

菜々「……いいなぁ」

メイド「にやり」

菜々「はぁっ!!」

メイド「もしかして、働きたくなっちゃったり?」

菜々「いやいや!そんな!」

メイド「大丈夫ですよぉ~?ここは高校生だっておっけーなんですから!年齢なんてごまかしちゃえば!」

菜々「いや……社会人です」

メイド「へ?」

菜々「ですから、もう社会人です。三年目です」

メイド「……はい?」

菜々「だから、メイドさんの服を着て、『キャハ☆』なんて言える年齢じゃないっていうか」

メイド「……ほんとぉ~ですかぁ~っ!?」

菜々「わっ!?何ですか!?」

メイド「すごいですよ!才能あります!是非いらしてください!うちは待ってます!!」

菜々「え、ええっ……?」

メイド「きたくなったらこちらに電話してください、お試しなんてのもありですよ!」

菜々「は、はぁ……」

メイド「では、行ってらっしゃいませ!お嬢様!」

菜々「……メイドカフェかぁ」

菜々「……『新人メイドの、安部菜々です♪キャハッ☆』」

菜々「……ないない」


――――――日曜日。


菜々「……(何で来ちゃったんだろう)」

店長「おお!?何だこの可愛い子は!!新人か!」

メイド「てんちょーこの子入るか悩んでるみたいです。お試しってできます?」

店長「もちろんだ!!金なら俺のポケットマネーがある!!是非働いてくれ!」

菜々「いやいや!お金なんてもらえませんって!」

店長「いや……君ほどの子が働いてくれればどれだけの利益か。アイドルのような見た目だな」

菜々「……あはは」

菜々「……」

菜々「(うっわぁ~……)」

菜々「(ふりっふりのエプロン、馬鹿みたいなリボン、おまけに、ハートの名札に『なな』って……)」

菜々「(年齢間違えすぎでしょ……10代でも恥ずかしいっつの)」


店長「以上の事を守ってくれ。困ったら『ごめんなさぁい!私が駄目なメイドでぇ!』とか言っておけばなんとかなるぞ!」

菜々「はぁーい……(適当だなこの店長)」

カランコローン

「おかえりなさいませー!!ご主人様ー!!」

店長「三番テーブル。君の初のお客様だ。頑張ってくれ」

菜々「は、はぁ……」

―――

菜々「お、おかえりなさいませ?ご主人様……。
し、新人メイドの安部菜々です」

キモオタ「……」

菜々「(ヤバッ、何かミスった!?)」

キモオタ「フ……」

菜々「ふ?」

キモオタ「フオオオオオオオオオオオオ!!!カワユス!!ナナタンカワユスデゴザル!!!」

菜々「はぁっ!?」

キモオタ「フヒィ!!ふ、フフヒィ!!か、カワイイネ!イクツナノカナ!!」

菜々「え、えっと……」


店長『君は17歳の新人メイドだ!』


菜々「な、ナナは17歳でーす……」


キモオタ「フオオオオオオオオオオ!!」

キモオタ2「フオオオオオオオオ!!!!」


菜々「別のテーブルまで!?」

キモオタ「ナナタンカワイイ!!ナナタンカワイイ!!!」


キモオタ2「ナナタンカワイイ!!ナナタンカワイイ!!!!」


キモオタ達「ナナタン!!ナナタン!!!」


菜々「ど、どーなってるのこれ……」


店長「すごいじゃないか……大人気だ」

菜々「て、店長ー……」



店長「さぁここで期待にお応えして、新人メイドのナナちゃんが一曲歌います!!」


『ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


菜々「て、店長ーっ!?」

――――――


店長「おつかれ!ナナちゃん!最高だったよ!」

菜々「……よくキャンディーズのアルバムなんてありましたね」

店長「まさか君が指定してくるなんて夢にも思ってなかったよ。個人的な私物さ」

菜々「……はぁ。まったく。こんなことになるなんて夢にも思いませんでしたよ」

店長「僕からしたら夢のように盛り上がった一日だったね」

菜々「……はぁ」

菜々「……(確かに)」

菜々「(歌って、踊って……アイドルとは少し違うかもしれないけど)」

菜々「(楽しかった、かも……?)」

店長「おお、もしかしてメイドになってくれる気に!?」

菜々「勝手に決めないでください!」

店長「手厳しいね」

菜々「……全くもう!じゃあ、また」

店長「ん!?…・・・ おう!」

―――――

上司「阿部君!この忙しい時期に遅刻してくるとはいったい」

菜々「すみません部長。これを」

上司「ああ!?なんだこ……え?」

菜々「お世話になりました」ニコッ


――――――


店長「いやっほーーーーい!!今日からこれで君もメイドだ!カラフルメイドだ!」

菜々「カラフルメイドってなんですか!変なキャラつけないでください!」

店長「何を言ってるんだ!これからの時代、メイドカフェが増えていくんだ。
ただのメイドカフェじゃ駄目なんだよ!」

菜々「はぁ……」

店長「ワールドワイド、いや宇宙をまたにかけるメイドカフェ……
わいるど、『わいるど☆すぺーす』!!そうだ!これでいこう!」


菜々「は!?」

店長「君も明日から宇宙アイドルメイドだ!」

菜々「やっやこし!!なんですかそれ!」

店長「うむ。これから皆には設定を作ってもらおうと思う」

菜々「設定……?」

店長「皆は異世界からご主人様を癒すために来たアイドルメイド……
そう!宇宙メイドだ!」

菜々「……は、はぁ」

店長「アレだな、動物かなんかを適当にモチーフにして、作ってきてくれよ。
ああ皆にも言っておくし」

菜々「ちょ!本気でやるつもりですか!?」

店長「当たり前だよ。看板も発注したんだぞ。
もうすぐ新装開店だから、早めに考えろよ~」

菜々「あーもう……!」

―――――

菜々「(宇宙からかぁ……)」

菜々「……」

菜々「(そういえば、東京きてから、ずっと一人なんだよなぁ)」

菜々「(さびしいなぁ……)」

菜々「……寂しくて、死んじゃいそう」ボソ

菜々「……うさぎ?」

菜々「……うさぎ星人、は嫌だなぁ」

菜々「もっと可愛く……うさみん?」

菜々「『ウサミン星からやってきた、貴方のアイドルメイド、安部菜々です!!』」

菜々「……ないない」ハッ

店長「よーし!確認するぞ!各自どこの星から来たのかなー!?」

メイドA「私はにゃんにゃん星からやってきた、気ままな猫メイド、にゃん美です!」

店長「よし」

メイドB「私はわんころ星からやってきた、忠実な忠犬メイド!わん子です!」

店長「よし」

菜々「……って私!?」

店長「まさか考えてないって……?」

菜々「ええっ……あのその……」

菜々「う、ウサミン星からやってきました!め、メルヘンパワーで、カラフルメイドに、メルヘンチェンジ……
なーんて」

店長「すばらしい!!」

菜々「ええっ!?」

菜々「(こうなりゃやけくそだ!)」


菜々「ピピッ!ウサミン星から電波を受信しましたぁ~!
おかえりなさいませ!ナナはウサミン星からやってきた、カラフルメイドの安部菜々です!」

キモオタ「フオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」


菜々「えええええええーっ!?」


―――――

キモオタ「ナナチャン!!カワユス!!ケッコンシテダサイ!!」

菜々「すみませんご主人様……ナナ親に地球の人とは結婚してはいけないってきつく言われてるんです!
本当はご主人様のこと大好きなのにぃ……」

キモオタ「オギョオオオオオオ!!!親をブチコロ!!イヤオトウサマダカラ…・・・ ウオオオ!!
マタクルヨ!!!」

菜々「いってらっしゃいませぇ~♪」

―――――

店長「慣れてきたねー」

菜々「そうですかー?」

店長「うん。ところでチーフやってみる気ない?チーフ」

菜々「……は?」

店長「いやなんかオーナーさんが来てたらしくてー」

菜々「ええ?いつですか?」

店長「あのいつもフオオって言ってる人」

菜々「社員さんだったんですか!?」

店長「才能があるから是非チーフをやってみないかって……」

菜々「えーとそれって」

店長「うん。社員登用」

菜々「えーっ!?」

店長「僕がいない日とか完全に店任せちゃうけど大丈夫かな」

菜々「ええでも私一介のバイトにすぎないっていうか」

店長「会計もできるみたいだし……申し分ないよねぇ」

菜々「あーもうわかりました!やります!」

店長「おお」

菜々「(それから少しずつメイドのお仕事が忙しくなって)」

菜々「(オーディションに行く日も減って……)」

――――

パァン!

パァン! パァン!!

メイド「おめでとー!!」

メイドB「菜々ちゃん、17歳の誕生日、おめでとーっ!!」

キモオタ共「オメデドオオオオオオオオオオ!!」

俺「ブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!」


菜々「皆、ありがとーっ!!」


キモオタ共「UWOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!」

オーナー「ナナダァァン!!カワユス!!カワユス!!」

―――――

メイド「なんか最近ストーカーにつけられてて……」

菜々「わかった、一緒に帰ろ」

―――――

ストーカー「ハァハァ……」

菜々「ねぇ、その子に何の用?」

ストーカー「フヒッ!?」

菜々「ご主人様。メイドの後をつけるのは、よろしくありませんよ?」

ストーカー「う……ウオオオオ!!!」

ガバッ

菜々「……てい」

ガッ

ドギャアアッ!!

ストーカー「グボェアッ!!」


早苗「(か、かっこいい……!!)」

菜々「ふん、おとといきやがれってんですよ」

メイド「ありがとうございます!!」


早苗「(私もあんなふうに……そうだ、警察になろう!!)」



この時の出来事がまたアイドルを増やすことになるとは
誰も知る由もなかった。


―――――――

菜々「……(思えば)」

菜々「(東京に来てから、色々あった)」

菜々「(本当に、色々……)」

――――

店長「アディオス!僕は二号店の方へ行かねばならない!」

菜々「はぁ!?そんないきなり!!」

店長「なぁに、新しい店長もいるし」

店長「それに」

店長「いざとなったら、君がなんとかしてくれるだろう?」

菜々「……はぁ」

店長「期待しているよ。うさみん」

菜々「それは星であって、私はうさみんではありません!」

―――――

メイド「菜々さんってー、アイドル目指してたんですかー?」

菜々「うん。昔ね?」

メイドB「ええっ?じゃあアイドルになったんですか!?」

菜々「ううん?オーディション、全部落ちたから」

メイドC「ありえません!!ナナさんを落とすとか!審査員の頭がどうかしてるんですよ!」

アハハハハ……

菜々「……あはは」


―――――


菜々「……でも、やっぱり、私は」

――――――

メイド「……菜々さん」

菜々「何」

メイド「今日もいらしてますよ、あのプロデューサーさん」

菜々「……知ってる」

メイド「……」

菜々「……ねぇ」

メイド「言わないでください」

菜々「!」

メイド「……今まで、ありがとうございました!」

菜々「……うん」

菜々「プロデューサーさん」

P「おお、菜々さん」

菜々「アイドル、やらせてください。トップアイドルに、なりたいんです」

P「……その言葉が聞きたかった」

菜々「どこの医者ですか」

「ウワアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


菜々「!?」

オーナー「ナナタン!!!サビイシイゲド!!ガンバッデネ!!オウエンシデル!!」

キモオタ「ナナタンがいなくなるのはさみしいでぅふ……でもアイドルなら!世界にナナタンの名前が知られるでゅふ!!」

メイド「うっぐ……えっぐ……ななざぁん……」

メイドB「ほらティッシュ」

メイド「ありがと……」

メイドB「いや配ってきなさい」

メイドC「鬼!?」

菜々「……皆」

菜々「皆、今までありがとう」

菜々「菜々はここからはいなくなるけど、いつまでも……」

前店長「何言ってんだドアホウ!!」

菜々「て、店長!?」

前店長「君はこれから世界を股にかける宇宙アイドルメイドになる……それだけだろ!!」

菜々「……あはは。規模が大きくなりすぎて、わけわかんないですよ」ポロ

P「……素晴らしい職場ですね」

菜々「……はい!」

―――――

菜々「それで……ここに来たんでしたっけ?」

P「そうそう。あの頃は大変だったよなぁ。意外とアキバ以外じゃ知名度もないし」

菜々「営業ばっかしてましたよねぇ~」

ちひろ「菜々さんいたの!?」

菜々「はい。途中から。いやぁ懐かしいですねぇわいるどすぺーす。私のほとんどはあそこで作られましたよ」

P「今でもたまに行ってるしなぁ」

菜々「……また、行こうかなあ、あそこ」

P「……お前もう、大分有名だってことわかってるだろうな」

菜々「あはは、知ってます。でも行くんですよ。安部菜々、思い出の地でLIVE!とかどうですか?」

P「キャパ考えろ、キャパを……」

菜々「むー。プロデューサーさんは融通がききませんねぇ」

ちひろ「(この二人なんか異常に仲いいような……)」

P「とまぁ、菜々との出会いはこんな感じですかね」

ちひろ「あ、ありがとうございました……」

菜々「ピピッ……電波を受信しました!」

P「さぁ、初詣だ……!」

ちひろ「何言ってんですか」

                                     終わり?

さぁ次は……っておいこんな時間かよ
誰か起きてたら書いておくれよ。僕はもう疲れたんだよ

P「しかし参ったなー休日とはいえ、こんなに混むとは…」

P「まあなんとか席は確保できたし、目的地まで一眠りするか」

トントン

P「ん?」

「あのー、ここの席って空いてますか?」

P「ん、ああ、空いてますよ、あっすみませんちょっと詰めますから」

「よかったぁ!ごめんなさい、他に座れる場所がなくて…」

P「いや、俺もようやく見つけたところですから、休日だからって何もこんなに人がいなくてもって思いますね」

「ふふ…でもこういうのも旅の風情って感じがしないですか?」

P「そうですねぇ、あなたも旅行で?」

「はい!ここから二時間くらいのところにいいところがあるって聞いて♪」

P「あ、じゃあ俺と同じ場所ですね、奇遇ですね、ってよく考えたらこの電車乗ってる人の大半はそうかな?」

「でもそれだけいいところなんだ、って思うと楽しみじゃないですか?」

P「まあそれもそうか、あなたって結構ポジティブに考えるんですね」

「何事も楽しく!って私のポリシーみたいなものですからっ♪」

P「へぇーそうなんですか…ふむこういう子がウチに来てくれるといいけどねぇ…」

「?、どうしましたか、難しい顔して?」

P「あ、いや仕事のことをちょっと…」

「駄目ですよっ!お休みの日にお仕事のことなんてっ!」

P「いやーすみません、職業柄つい…」

「よっぽど楽しいお仕事なんですね、そういう顔もしてましたよ♪」

P「いやいやお恥ずかしい、ただあなたの顔を見てると――いややめておきましょう」

「私、なにか言いましたっけ?」

P「ああ、大したことじゃないんですよ、それより今は旅を楽しみましょう!」

「うん!そうですねっ!」

「良かったら、一緒に見て回りませんか?こうして会えたのも何かの縁だから」

P「いいんですか俺で?見ず知らずの男についていくってのはどうかと思いますが…」

「元々一人で来た旅行ですし、あなたも似たようなものでしょ?」

P「ええ、男一人で何が楽しいのかはわかりませんがこうして旅をするのが好きで」

「じゃあ私と同じですねっ♪でも、一人より二人ならもっと楽しくなるって思いませんか?」

P「そうですね、それじゃ俺で良ければ!」

「えへへっ、よろしくおねがいしますね!」

そして、夕暮れ

「ん~、楽しかったなぁ~!」

P「俺も楽しかったですよ、たまにはこうやって知らない人と旅をするのも悪くないですね」

「そうだね!私も明日からまた頑張れる元気を貰えたかな!」

P「…もしよろしければ、明日、いやすぐにってわけにはいかないでしょうけど俺の事務所でアイドルとして働いてみる気はないですか?」

「…?、突然だね?どうして私が?」

P「こんな形で出会っておきながら誘うってのはなんかずるい気がしたんで言えなかったんですけど、
 あなたと今日一日旅をしていて、時間が経てば経つほどここで手放すのは惜しい気がして…
 無理強いはしません、どうですかね?」

「ふふっ、せっかくの旅行でそんな顔しちゃ駄目ですよ」

P「す、すいません…」

「アイドルかぁ…、ねぇ、アイドルになったらになったらどんなことが出来るかな?今日みたいな色んなところにいけるのかな世界を飛び回ったりできたらすっごく楽しそうだよねっ!」

P「まあ、活躍次第ではありますけど…」

「うん、いいよ!一緒に頑張ろう!よろしく!――ええとっ」

P「あ、すいませんお互い自己紹介がまだでしたね、俺はP、プロデューサーをやってます」

「私は並木芽衣子!よろしく、Pさん♪」

みたいなのはよ

美里ちゃんと惠さんの三人で旅行するエピソードとかも見てみたいね

モバP「モクドナルドなんて久しぶりに食うなぁっと」

モバP「結構混んでるな……お」キョロキョロ

「……」

モバP「あのー、相席いいかな?」

「……は? アタシ?」

モバP「うん、ダメかい?」

「……。ん」

モバP「ありがとう」

「……」モグモグ

モバP「……」ムグムグ

「ちゅー」ズズー

モバP「……なぁ、君さ」

「……」

モバP「なんだか、とってもつまらなそうな顔してるけど……学校楽しくないの?」

「何なのアンタ。初対面で失礼すぎるんだけど」

モバP「初対面だからこそ、かな。で、どうなの?」

「……別に。アンタには関係ないでしょ」

モバP「……。そっか、そうだよな」

「……はぁ。じゃあね、おにーさん」スック

モバP「ああちょっと待った。これ、渡しとくよ」スッ

「名刺……モバイルプロ?」

モバP「アイドル事務所だ。俺はプロデューサーやってる」

「なんでアタシに……」

モバP「きっと楽しいと思うよ、アイドル」

「……余計なお世話」トコトコ

モバP「……」

―――
――


ちひろ「プロデューサーさん、女の子が訪ねてきましたよ。あの子です」

モバP「ええ、ありがとうございます」

「……」

モバP「……来たか」

「アイドルにしてくれるんでしょ。暇つぶしに来たよ」

モバP「暇を潰せないくらい有名なアイドルにしてあげるよ」

「言うね、プロデューサーさん?」

モバP「言うさ」

「ふふっ、随分やる気あるみたいだけど、アタシはダラダラやらせてもらうから」

モバP「いいぞ、すぐに君の気持ちに火をつけてやるよ」

「……そういうアツいの苦手なんだけどなぁ」

モバP「はは、そう言うな。……さて、そろそろ君の名前を聞かせてもらおうかな?」

「……」

「アタシは北条加蓮。今後ともヨロシク」

―――
――


P「という出会いだったのさ。めでたしめでたし」

凛「へー」ニヤニヤ

奈緒「ほー」ニヨニヨ

加蓮「……」マッカ

P「いやー、あの頃のツンツン加蓮もなかなか可愛かったなー」ナデナデ

凛「最初は結構ドライかと思ったけど」ナデナデ

奈緒「レッスンとか粘り強かったよなー」ナデナデ

加蓮「もうやめてええええ!!」ダダッ

凛「あっ逃げた」

奈緒「逃がすなー!」

ギャーギャー

P「……やっぱり、アイドルになって良かったろ? 加蓮」

凛「もっと話、聞かせてよ!」

奈緒「微笑ましいエピソード、あるんだろー?」

P「ああ、そういえば――」

加蓮「Pさんストップ! やめてってばあ! 
恥ずかしくて死んじゃうからあああ!」



おわり

支援感謝

前半モバつけてたの忘れてた死にたい

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