海未「よそよそしい……ですか?」 (49)

海未「そうしているつもりはないのですが……」

凛「それだよ、敬語!」

海未「? 敬語がどうかしましたか?」

凛「もー、海未ちゃん鈍すぎるにゃ。それがよそよそしさを感じさせる原因になってるの!」

海未「で、ですがこれは私のアイデンティティ…ではなく幼い頃からの口調ですから今更直せと言われましても……」

凛「もう凛と知り合ってずいぶん経つんだからそろそろタメ口で話して欲しいにゃー」

海未「しかし……私は穂乃果達とも敬語で話していますよ?」

凛「関係なし! 仲のいい友達同士なのに敬語で話すなんておかしいもん。きっと穂乃果ちゃん達もくだけた話し方で接して欲しいに決まってるよ」

海未「そうなのでしょうか……」

海未(あまり考えたことはありませんが……もしかすると二人は私に対して壁のようなものを感じていたのでしょうか……)

凛「凛が協力するから頑張ってみんなとタメ口で話せるようになろうよ!」

海未「……分かりました。お願いしますね凛」

凛「任せて……ってそれも敬語だよ海未ちゃん!」

海未「そ、そんな急に言われても無理です!」

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凛「急でも何でもやらなくちゃ先に進めないよー」

海未「何ですか先って……」

凛「敬語をやめることが出来た暁には第二段階、みんなとボディタッチに行く予定にゃ」

海未「!?」

凛「で、最終的には……」

海未「言わなくていいです!/// 何ですかボディタッチって!」

凛「みんなが今まで海未ちゃんに対して感じていた壁を壊すためだよ」

海未「何でボディタッチなんですか!?」

凛「体が触れ合うことほど距離が縮まることもないよー」

海未「意味が分かりません!」

凛「海未ちゃんとみんなとの溝はそれだけ深いってことにゃ」

海未「勝手に決めないでください! そこまで他人行儀な関係ではないはずです!」

凛「えー?」

海未「えー、じゃありません。ボディタッチなんて私はやりませんからね」

凛「ちぇっ、海未ちゃんといちゃいちゃしたかったのに……」ボソッ…

海未「? 何か言いましたか?」

凛「なんでもないにゃー」

凛「それじゃあさっそく敬語なしで話してみよう。凛が適当に話振るから敬語なしで話してみてね」

海未「わ、わかりまし…わ、分かったわ?」

凛「では……いやー、今日も練習疲れたね海未ちゃん」

海未「そうで…そうね。でもその分いい練習ができまし…できたわね」

凛「ダンスで難しいとこあったから教えてくれる?」

海未「もちろんで…よ。私でよければいくらでも付き合いま…しょ……えーと…付き合うわ?」

凛「海未ちゃんダンスうまいもんねー」

海未「そんなことないでござる……ないわ」

凛「教え方も上手だし」

海未「そうかしら?……そうでしょうか?…あれ?」

凛「それに美人さんにゃー」

海未「ダンス関係ないやろ。…ない、でしょ?」

凛「髪も綺麗だし、シャンプー何使ってるの?」

海未「市販のものでごわす」

凛「…スクールアイドルと弓道部両方やるの辛くない?」

海未「モーマンタイでやんす」

凛「……あなたの名前は?」

海未「園田海未でおまんがな」

凛「……」

海未「ど、どうでした?」ドキドキ

凛(こりゃあ重症だにゃ……)

凛「百点満点で言えば赤点必死にゃ」

海未「そ、そんなにダメだったでしょうか?」ショボン

凛「これはいきなり敬語なしでいくのは厳しいかなぁ」

海未「で、ではどうすれば……?」

凛「みんなの口調を真似してみるとかどうかな?」

海未「み、みんなの口調をですか?」

凛「うん。さっき聞いてたら敬語なしだと海未ちゃんの話し方が固定されてなかったから」

海未「話し方が固定されていない……?」

凛「やんすとかごわすとかどこの人だか分からなかったにゃ」

海未「それで何故みんなの話し方を真似するのですか?」

凛「お手本があれば話しやすいかなって。その中から一番やりやすかった話し方を使うようにすれば敬語から脱却できるにゃ!」

海未「なるほど……やってみる価値はありそうですね」

凛「じゃ、さっそく本人のところに行ってみよう!」

海未「ほ、本人の前でやるんですか!?」

凛「そうした方が似てたかどうか分かりやすいもん! さ、いこー」

海未(このまま凛のペースに巻き込まれていていいんでしょうか……)



穂乃果「へー、海未ちゃんの敬語をやめさせよう作戦かー」

凛「そう、今日で敬語の海未ちゃんとはグッバイにゃ!」

海未「やっぱり私は敬語ではない方がいいですかね、穂乃果?」

穂乃果「んー、私は昔からずっと聞いてるからなぁ…今更って感じもするけど…」

凛「えー、たまに思ったことないの? タメ口の海未ちゃんと話してみたいって」

穂乃果(タメ口の海未ちゃんかぁ……)


海未『ちょっと穂乃果? また宿題忘れたの? まったくもう、仕方ないわね。ほら、写していいから』スッ

穂乃果『わーい、ありがとう海未ちゃん!』ギュッ

海未『ちょ、ちょっと! ここ教室なんだから少しはわきまえなさいよぉ……///』


穂乃果「……おー、面白い! 性格も変わった感じがするね!」

海未(どんな想像したんですか……)

穂乃果「いいよこれ! 何か新鮮! 私も協力するよ凛ちゃん!」ガシッ

凛「穂乃果ちゃんなら分かってくれると思ってたにゃ!」ガシッ

海未(……本当に任せてよかったんでしょうか)

穂乃果「で、私は何をすればいいの?」ワクワク

凛「海未ちゃんと凛の会話を聞いて、海未ちゃんが穂乃果ちゃんの口調の再現をちゃんと出来てるかよくみてて欲しいのにゃ」

穂乃果「おっけー、任せといて!」

海未「本当にやるんですか……うぅ、穂乃果の前で穂乃果の真似って……」

凛「恥ずかしがったらダメだよ海未ちゃん、全力でやらないと己の限界は越えられないにゃ!」

海未「己の限界……」

穂乃果(それっぽい言葉に海未ちゃんが反応した!)

海未「……分かりました。全身全霊で穂乃果を演じてみましょう」

凛「そうこなくっちゃ!」

穂乃果(演じる……? 口調を真似るだけじゃ……)


━━海未→穂乃果

凛「はぁ~……」

海未「どうしたの凛ちゃん!?」

凛「わっ、海未ちゃん。う~ん、最近どうにも気分が優れなくて……」

海未「風邪!? 風邪なの!?」

凛「どうなんだろ……あ、でも熱はなかったよ」

海未「なんだ! よかった! お饅頭食べる!?」

凛「え、お饅頭持ち歩いてるの?」

海未「和菓子屋の娘だもん! 当然だよ!」

凛「そっかぁ~、じゃあ貰おうかな」

海未「あっ、お饅頭私が食べちゃったんだよ! こんちくしょう!!」

凛「なんだ、残念だにゃー」

海未「でもふ菓子ならあるんだよ! 食べるでしょ、ふ菓子!?」

凛「えぇ~、あれぼそぼそしてて嫌いなのにゃー」

海未「なに!? 食べないの!?」

凛「うーん……」

海未「はっきりしてよ!! さぁ、さぁ!」

凛「……やっぱりいらないにゃー」

海未「食えよ! せっかく持ってきたんだから食えよ! おらぁ!」ズボス

凛「もがが……! く、口の中の水分が失われていくにゃ……!」

海未「美味いでしょ!? 美味いっていえよおらあぁぁぁぁ!」

凛「う、うまいにゃ……」

海未「ふふ、よかった!……私やる、やらったらやる!!」

穂乃果「はいストップ」

海未「ど、どうでした?」ドキドキ

穂乃果「海未ちゃんとの友情について一度深く考え直そうと思ったよ」

海未「そ、そんな……どこが悪かったんですか?」

穂乃果「よかったところが見つからないレベルだよ」

凛「うーん……ちょっとテンションが高すぎた気がするにゃ」

海未「そうでしょうか……私から見たら穂乃果はあんな感じなんですが……」

穂乃果「どんな感じに見えてるの? 常に徹夜明けのテンションなの私?」


穂乃果「それからさ……和菓子屋の娘でもお饅頭持ち歩いたりしないから」

海未「え、そうなんですか……?」

穂乃果「なんでショック受けてるの?」

凛「ふ菓子は?」

穂乃果「持ち歩かないよ」


穂乃果「そもそも私こんちくしょうなんて言わないよ。中年のおっさんじゃないんだから」

海未「穂乃果は言ってそうなイメージがあります」

穂乃果「イメージで物を語るな」

凛「ふ菓子突っ込まれた時はびっくりしたにゃ」

穂乃果「そうだよ、私あんなに強引じゃないから。……強引といえば最後思い出したようにセリフつけたしたよね、無理矢理私っぽさをだそうっていう魂胆が見え見えで鼻についたよ」

海未「穂乃果といえばあれでしょう」

穂乃果「一回しか言ってないよ私」

海未「あれ……そうでした……?」

穂乃果「何回も言うようなセリフじゃないと思うんだ」

凛「う~ん……これは厳しい判定が出そうにゃ。穂乃果ちゃん! 百点満点中何点!?」

穂乃果「8点」

海未「き、厳しすぎます!」

穂乃果「これでもかなり大目に見たんだけどなぁ」

凛「穂乃果ちゃんの真似は失敗みたいだね」

穂乃果「思わず真顔になっちゃう酷さだったよ」

海未「そ、そんなにダメだったでしょうか……」ショボン

凛「でもまだまだ真似るメンバーはいるし、次いってみようにゃ!」ダッ

海未「ちょ、ちょっと凛!」ダッ

穂乃果(大丈夫かなぁ……友情破壊作戦にならなきゃいいけど)


━━


花陽「うぅ、お腹減ったなぁ……練習の後ってすっごい空腹感が……」

花陽「……」キョロキョロ

花陽(だ、誰もみてないよね……)ゴソゴソ

花陽(机の中に隠しておいたふ菓子……ホントはダメなんだけど食べちゃおう)

花陽(うぅ……ごめんなさい、お父さん、お母さん。花陽は悪い子です。でもこの空腹感には勝てないんです)ペリペリ

花陽「……」スッつふ菓子

花陽「い、いただきま……」

バターン!

花陽「!?」グシャア!つふ/菓/子

花陽「あ……あぁぁ!!」

凛「やっぱりかよちん教室に残ってたにゃー」

海未「凛、急に開けたら花陽がびっくりし……おや?」

花陽「ふ菓子が……私のふ菓子があぁぁぁぁ……」ポロポロ スッ…スッ…つふ

凛「か、かよちんが粉々になったふ菓子を必死で拾い集めてる……」

海未「なんて奇妙な光景でしょうか……」

花陽「……」グスン… モサモサ

凛「ご、ごめんねかよちん」

海未「ふ菓子の残りがあって助かりましたね」

花陽「うぅ……美味しい。ふ菓子美味しい……」

凛「かよちん、泣きながらふ菓子食べたら喉乾いちゃうよ」

海未(花陽は何故学校にふ菓子を……? 非常食でしょうか?)

花陽「ぐすっ…それにしても二人はなんでここに? もう練習終わったよ?」

凛「かくかくシカじかにゃ」

花陽「海未ちゃんに敬語をやめさせよう……?」

凛「うん。かよちんは思ったことない? 敬語じゃない海未ちゃんと話したいと思ったこと」

花陽「敬語じゃない海未ちゃん……」


花陽『はぁ……はぁ……きゃ!』ドテッ

海未『大丈夫か? 花陽』スッ

花陽『あ、海未ちゃん……ありがとう……///』

海未『なに、仲間を助けるのは当然のことさ。花陽みたいな可愛い子には尚更な』ニカッ

花陽『か、可愛いって……///』

海未『俺はお世辞は言わないよ。さ、引き続きダンス練習頑張ろうぜ。頑張ってる花陽はますます可愛くなるからさ』ニッ

花陽『う、海未ちゃん…は、恥ずかしいよぉ……///』



花陽「いい!!」

凛「わっ」

花陽「すごくいいよこれ! 最高! 私も力になるよ!」ガシッ

凛「かよちんなら協力してくれると思ってたにゃ」ガシッ

海未(花陽はどんな私を想像したんですか……)

凛「じゃ、海未ちゃんがかよちんの真似するから百点満点で採点よろしくね」

花陽「分かった、いつでもいいよ!」

凛「いくよー、海未ちゃん!」

海未「ふー……よし、いけます!」


━━海未→花陽

凛「ふぁ~……」

海未「どどど、どうしたの凛ちゃん?」

凛「あ、海未ちゃん。えへへ、昨日夜更かししたから眠くて……」

海未「だ、だだだ、ダメだよぅ! よふ、夜更かしなんてお肌に悪いよぉ!?」

凛「うーん、分かってはいるんだけど…最近寝つきが悪くて……」

海未「よ、よよく、よく眠れる方法教えようかぁ!?」

凛「おー、ありがたいにゃ」

海未「あ、あたた、頭の中でね、アルパカの数を数えるの。ふわっふわっでもっこもこのやつを!」

凛「えー、そんなのでいいの?」

海未「モチロンダヨォ!」

凛「そっかー、じゃあ今度試してみようかな」

海未「ある、アルパカの代わりにお米でもいいんだよぉ!?」

凛「お米じゃ数えづらいよー」アハハ

海未「カゾエヤスイヨォ!?」

凛「そうかな~」

海未「ソウダヨォ!?」

凛「海未ちゃんが言うならそうなのかなぁ」

海未「ソウナンダヨォ!?」

凛「海未ちゃんはお米で数えてるの?」

海未「カゾエテナイヨォ!?」

凛「えー」


海未「……さて、どうでした花陽?」

花陽「う、うーん……」

花陽「私ってそんなにどもってるかなぁ?」

凛「時々」

海未「時々ですね」

花陽「そっか……でもあそこまで挙動不審じゃないと思うんだけど…変なお薬使った人みたいだったよ」

凛「うーん、確かにやり過ぎな感はあったかも」

海未「そうでしょうか?…モノマネは過剰なくらいがちょうどいいと思いまして」

花陽(海未ちゃんてたまにブレーキかからなくなっちゃうんだなぁ)


花陽「……それより最後の方のあれは何だったの?」

海未「花陽の口癖じゃないですか」

花陽「あんなに乱用しないよぉ…」

凛「海未ちゃん、途中で真似るの面倒臭くなったでしょ?」

海未「いえ、そんなことは……」

花陽(目が泳いでる……)

凛「とにかくかよちん採点をどうぞ!」

花陽「う~ん……30点くらい?」

海未「花陽もなかなか厳しいですね」

花陽(だいぶ甘めにしたんだけど……)

凛「うーん、これはかよちんの真似も失敗だね」

海未「で、ですが……30点は貰えましたよ?」

花陽(目標低いなぁ……)

凛「さすがに半分、いや7割くらいは貰えないと成功とは言えないにゃ」

海未「な、7割ですか……なかなか困難な道のりですね」

花陽(えぇぇ……)

凛「じゃ、次に行こう。ばいばいかよちん!」

海未「7割……もう少し抑えめにやるべきなんでしょうか……」ブツブツ

花陽(不安だなぁ……)


━━


にこ「にっこにっこにー♪ にっこにっこにー♪」

にこ「……ふぅ、自主練も楽じゃないわね」

にこ「練習が終わった後に一日1万回、感謝のにこにこにー……最近はようやく1時間を切るようになってきた……」

にこ「日々の鍛錬の成果かしら? この調子で10分を切るようになれれば……」

にこ「……よし、続きね」

バーン

にこ「!」

凛「にこちゃーん」

海未「こんにちは、にこ」

にこ「凛、海未。あんた達も自主練に?」

凛「自主練? 違うよー。別の用事」

海未「自主練て……部室で何の自主練を?」

にこ「感謝のにこにこにーよ」

凛「意味がわからないにゃ」

にこ「まあそれはいいわ。何の用事?」

海未「実は……」

にこ「ふーん、海未の敬語をね」

凛「うん。敬語じゃなくなればみんなともっと親密になれると思うのにゃ」

海未「にこはどう思いますか?」

にこ「なかなかいい手だと思うわよ。にこも海未の敬語にはむずがゆさを感じてたし」

海未「やはりそうなのですか……」

凛「敬語じゃない海未ちゃんて想像するだけで面白いよねー」

海未「面白がらないでください」

にこ(敬語じゃない海未、ねぇ……)



海未『うっみうっみうー♪ あなたのハートにうみうみうー♪ 笑顔を届ける園田うみうみー♪ うみうーって覚えてラブうみ!』



にこ「ぶはっwww」

凛「わっ、どうしたのにこちゃん!?」

にこ「や、やばいわこれ……想像しただけでお腹がwww」

海未(にこは何か失礼なことを考えていますね……)

凛「やっぱり面白いよねこれ!」

にこ「ええ、こ、これは間違いなく面白いわ……に、にこも協力するわ……」ヒィーヒィー

凛「わーい!」

海未「何だか釈然としない気分です……」

凛「それじゃあ海未ちゃん、いける?」

海未「一応。今度はさっきより控えめでいきますね」

にこ「ダメよ! にこに遠慮せずに思いっきりやんなさい!」

海未「にこ!?」

にこ「にこの真似をするっていうなら中途半端は許さないわ! 持てる力のすべてを出し切りなさい!」

海未「にこ……分かりました。確かに半端な真似をすればにこに失礼になりますね、全力でいきます!」

凛「その息にゃ! いっくよー!」

にこ(さて、どうなることやら……)プププ


━━海未→にこ

凛「海未ちゃーん」

海未「なにうみ?」

凛「アイドルについて教えて?」

海未「しかたないうみねえ……海未が一から十までしっかりレクチャーしてあげるうみ!」

凛「わーい!」

海未「まずアイドルとは何か分かるうみ?」

凛「えー、アイドルはアイドルでしょ?」

海未「アイドルとは偶像うみ! 人に夢を与える存在でなくてはならないうみ!」

凛「夢を与える…? 難しくてよくわからないよー」

海未「つまり象徴うみ! これがアイドルだってところを人々に見せ続ければいいうみ!」

凛「えー、どうやって?」

海未「決め台詞を作れば簡単にそうなれるうみ!」

凛「決め台詞?」

海未「そううみ!……例えば」


海未「みんなのハート、撃ち抜くぞー! ラブアローシュート!」バアーン


凛「え、なにそれは」

海未「……はっ!」

にこ「はい終了」

にこ「あんたねぇ……やるんなら最後まで貫きなさいよ」

凛「ていうか最後のなに?」

海未「わ、忘れてください……///」

にこ「そもそもにこはあんな話し方しないでしょ?」

海未「いえ、どこかのにこはあんな感じでした」

にこ「どこのにこよ……」

凛「ていうか語尾にうみってつけてただけだったにゃー」

にこ「そうよ。にこの真似って感じじゃなかったわよ」

にこ(まぁ笑えたからいいけど……)ププ


海未「にこの真似は難易度が高いですね……」

凛「で、最後のは?」

海未「忘れてくださいって言ったじゃないですか!///」

凛「ちぇ~、じゃあにこちゃん採点をどうぞ!」

にこ「そうね……完成度は低かったけどそれなりに形にはなってたわね」

海未「そ、それでは……!」

にこ「……ええ」


にこ「20点よ」

海未「何でですか!?」

にこ「何でもなにも…何かイラっときたからよ」

海未「似てる似てないで判断してくれませんか!?」

凛「海未ちゃんダメだよ。審査員の判定は絶対にゃ」

にこ「アドバイスをするとするなら……もっとこう、本人の特徴をちゃんと掴みなさい」

海未「特徴を……」

にこ「そうよ。セリフだけじゃなくて仕草にも着目してやってみなさい」

海未「仕草ですか……分かりました、やってみます」

凛「話は終わったね? じゃ、次は~…多分音楽室にいると思うにゃ」

海未「むむ……これはまた難易度が高そうな…」

にこ「ま、頑張んなさい」


━━


真姫「まじえんじぇー♪」

真姫「……ふぅ」

真姫「練習が終わった後も作曲って…私も真面目ね」

真姫「でもなかなか降りてこないわねぇ……」

真姫「…気分転換に何か思いきったことをしてみようかしら」

真姫「……」キョロキョロ

真姫(よし、誰もいない…)

真姫「まっきまっき…」

バーン

凛「真姫ちゃん!」

真姫「まあぁぁぁぁ!?」

海未「ど、どうしました真姫?」

真姫「な、何でもないわよ! バカ!///」

海未(えぇ……)

凛「それより真姫ちゃんに話があって来たんだよ!」

真姫「話?」

凛「……というわけ」

真姫「いやよ!」

凛「返事はやいにゃ!」

真姫「何で海未が私のモノマネしてるところ見なきゃいけないのよ!?」

海未「おっしゃる通りで……」

凛「これも海未ちゃんとみんなの距離をもっと縮めるためなんだよー」

真姫「嫌ったら嫌!」

凛「も~、見たくないの? 敬語じゃない海未ちゃん」

真姫(敬語じゃない海未……)


海未『真姫。作曲の方はどう?』

真姫『まあまあね。作詞の方は?』

海未『ふふ、こっちもまずまずかしら』

真姫『そう。ライブまであんまり時間もないし、一緒にやってささっと仕上げちゃいましょ』

海未『そうね。一緒にやればすぐ終わるわ』


真姫「……いや、別に見たくないわ」

凛「えぇ!? なんで!?」

真姫「だってこれ……」

真姫(エリーよね完全に)

凛「とってもレアだと思うんだけど……」

真姫「いや、見飽きるくらいに毎日見てるわ」

海未(真姫はいったいどんな私を想像したんですか……)

凛「む~、どうしよう…全員分やらないと気持ち悪いにゃ…」

海未「そうですね。ここまで来たら私もやりきりたいです」

凛「……」チラッ

真姫「な、なによ……」

凛「真姫ちゃん……」ウルウル

真姫「そんな目で見られても許可しないわよ!」

凛「……」グスッ

真姫「ゆ、許さないんだからぁ……」

凛「……」ポロポロ

真姫「……もー! 勝手にしなさい!」

凛「やったにゃー!」ケロッ

真姫「!? あ、あんたねぇ~!」

海未(真姫…さすがにちょろすぎです……)

凛「じゃあさっそくいっくにゃー!」


━━海未→真姫

凛「海未ちゃん海未ちゃーん」

海未「な、何よバカぁ……/// べ、別にあんたのことなんか待ってなかったんだからね!///」

真姫「ちょっと待ちなさいよ!」

海未「えっ?」

凛「真姫ちゃん、途中で止めちゃだめだよー」

真姫「止めたくもなるわよ! どこが私の真似なのよ!?」

海未「わ、私から見るとこんな感じなんですが……」

真姫「あんた目ぇおかしいんじゃないの!?」

凛「とにかく、一通り終わるまでは口だしちゃだめにゃー」

海未「ええ。会話がきれるまで待ってください」

真姫「む、むかつくわ……私が悪いみたいになってる……」

凛「じゃあテイク2にゃ!」


━━海未→真姫 テイク2

凛「海未ちゃん海未ちゃーん」

海未「海未「な、何よバカぁ……/// べ、別にあんたのことなんか待ってなかったんだからね!///」

真姫「……」イラッ

凛「海未ちゃんは相変わらず素直じゃないにゃー」ケラケラ

海未「な、何言ってんのよ! 私は思ったこと口に出してるだけなんだからぁ!///」

真姫「……」ムカッ

凛「わーい、海未ちゃーん」ダキッ

海未「!? り、凛! は、離れてくださ…離れなさいよぉ!///」

真姫(ん……?)

凛「海未ちゃん海未ちゃーん」スリスリ

海未「り、凛!? は、恥ずかしいから離れてください!///」

凛「えへへー、凛は恥ずかしくないもーん」

海未「いや私が恥ずかしいんですよ!///」

凛「聞こえないにゃー」ギュー

海未「り、凛……///」

真姫「う"ぇええええい!!」グッパオン

凛「うわっ!」バッ

海未「ひゃっ!」ババッ

凛「真姫ちゃん急に何するのー!」

真姫「あんた達がなにやってんのよ!?」

海未「そ、そうですよ凛…急に抱きつかれたら驚いてしまいます…///」

凛「真姫ちゃんが初めて名前で読んでくれた時の再現をしたんだよ?」

真姫「ふつーに会話するだけでいいでしょ! 後半の方はただの海未だったじゃない!」

海未「うぅ…恥ずかしくて真似する余裕なんてありませんでした……///」

凛「凛は恥ずかしくなかったよ?」

真姫「どうでもいいのよそれは!」

凛「真姫ちゃんもなかなか口うるさいにゃー」

真姫「誰のせいだと思ってんのよ!?」

海未「そ、それで得点はどうですか真姫?」

真姫「はぁ…0点よあんなもん」

凛・海未「えぇ~!?」

真姫「当たり前よ。いちゃいちゃしてるの見せられただけなんだから、採点のしようがないわ」

真姫(前半の真似も気に食わないし……)

海未「い、いちゃいちゃ……///」

凛「真姫ちゃん今までで一番厳しいにゃ」

真姫「そう思うなら他が優しかったのよきっと」

凛「むぅ……審査員がそう言うなら仕方ないね。海未ちゃん、次にいこ」

海未「え、ええ……」

真姫「あんまり他のメンバー怒らせるんじゃないわよ」


━━


絵里「……」カキカキ

絵里「……んっ、終わったー」ググッ

希「お疲れ様、絵里ち」

絵里「希もね。練習終わったあとに生徒会の仕事までしたの初めてだわ」

希「この時期は忙しいからね。居残ってでも終わらせなきゃいけない仕事がたくさんあるし」

絵里「でも何とか終わったわね。さ、帰りましょ」

希「うん。あ、帰りにハンバーガーでも食べない?」

絵里「いいわね。それじゃとりあえず生徒会室の鍵を……」

バーン!

凛「おー、二人いるにゃ」

海未「これは好都合ですね」

絵里「海未、凛 どうしたの?」

希「珍しい2人組やね」

凛「かくかくしかじか四角いムーヴにゃ!」

絵里「ふぅん、海未の敬語をなくす……ね」

希「面白そうなことしてるね」

凛「でしょ?」

海未「面白がられるためにやってるわけじゃありません!」

絵里「言われてみれば海未って誰に対してもそうよね」

希「先輩呼びを禁止しても敬語が抜けないもんね、よっぽど染み付いてるんやね」

凛「その悪癖を洗い流すのにゃ」

海未「悪癖なんでしょうかこれは……」

絵里「敬語のない海未ねぇ……」

希「敬語のない海未ちゃんかぁ……」


海未『二人とも、生徒会の仕事は終わったの?』

絵里『え、ええ。一応』

希『練習には支障ないから安心してくれていいよ』

海未『そう、それならいいわ。じゃあまずは柔軟からね。しっかり体伸ばさないと怪我しちゃうからじっくりやりなさい』

えりのぞ『はーい』


絵里・希(すごい年上っぽい……)

絵里(どっちが三年生かわからなくなりそうね……)

希(絵里ちのポンコツ部分がなくなった感じやね……)

絵里「希、今失礼なこと考えなかった?」

希「そんなことないよ」

凛「それで、どう?」

絵里「ええ、私は協力するわ」

絵里(すごく頼もしくなりそうだし……)

希「ウチも」

希(すごく面白くなりそうだし……)

海未「二人とも…ありがとうございます」

凛「じゃあまずは絵里ちゃんの真似からいこう!」



━━海未→絵里

海未「ちょっと凛。ちゃんとダンスのおさらいしなきゃダメって言ったでしょ?」

凛「ご、ごめんなさいにゃ……」

海未「苦手だからってそれから逃げてちゃなにも変わらないのよ?」

凛「はい……」

海未「分かる? 私はあなたのためを思って言ってるのよ?」

凛「わ、わかります……」

海未「本当に分かってる? 言葉だけじゃなくて行動で示してくれなきゃ誠意は伝わらないのよ?」

凛「す、すいません……」

海未「だいたいね、あなたは前々から……」クドクド

凛「……」ジワ…


絵里「う、海未。ちょっとストップ。凛が泣きそうになってるから…」

海未「え?……あ、す、すいません凛。演技に熱が入り過ぎてしまって……」アタフタ

凛「こ、怖かったよぉ~」グスッ

希(海未ちゃん…思った以上に演技力あるね)

絵里「というか……私ってあんなに高圧的なの……?」

希「ん~、ツンツンしてた頃の絵里ちって感じだったね」

海未「すいません…凛と絵里の組み合わせだと思うとつい…」

絵里(もっと凛と話すようにしよう……)

凛「うぅ…怖かったにゃ…」グスン

希「よしよし」ナデナデ

海未「それで絵里、得点のほうは…?」

絵里「そ、そうね。う~ん、50点くらい?」

海未「半分ですか…いや今までを考えると高いほうですが…」

凛「ぐすっ…じゃあ次は希ちゃんの真似にゃ…」

希「凛ちゃん無理せんで。ここはウチが代わりに会話するわ」

海未「え、えぇ…?」

絵里「希と希の真似をする海未が会話……?」

希「めっちゃ面白そうやん! じゃ、行くで海未ちゃん」

海未「ほ、本当にやるんですか…」



━━海未→希

希「今日も今日とていい天気やね、海未ちゃん」

海未「そうやなぁ……」

希「こんなに天気がいいと気分も晴れるってもんやね」

海未「そうやなぁ……」

希「明日もこんな風に晴れるといいね」

海未「そ、そうやなぁ……」

希「でも予報やとあんまりいい天気じゃないんだよね」

海未「そ、そうなん?」

希「うん。だからここはウチのカードで……むむむ、明日の天気よ晴れになれー!」

海未「か、カードってそうやって使うん…かい?」

希「ウチのカードは特別製やから、運命に干渉できるすごい物なんよ!」

海未「う、嘘や~ん」

絵里「はいそこまで」

凛「これはひどいにゃ」

絵里「希の口調は難しいのかしら?」

海未「うぅ……関西弁なのかそうでないのかよく分からなくて…何をどう話せばいいかもいまいち分かりません」

凛「つかみどころない性格してるもんね、希ちゃん」

希「そうかなぁ」

海未「希の振ってくる話題に適当に相槌を打つしかありませんでしたよ……」

絵里「そうやなぁ、を三回くらい使ってたわね」

凛「希ちゃんが一方的に話してる感じだったにゃ」

海未「私もまだまだですね……」

希(モノマネするのがメインになってきてるね……)

凛「それじゃあ希ちゃん、得点をどうぞ!」

希「うーん、70点くらいかな」

海未「ほ、本当ですか!?」

凛「初の高得点にゃ!」

希「いやぁ、なんとなくやけど」

絵里「ま、それっぽくはなってたもんね一応」

凛「最後はことりちゃんだね、張り切っていってみるにゃー」

海未「ことりですか……」

絵里「多分アルパカ小屋にいるんじゃないかしら」

希「練習終わったらそっちの方に向かってったもんね」

凛「よーし、行こう!」

海未「ことりの口調……」


━━


ことり「わぁ~、もふもふ~」モフモフ

アルパカ「メェェェ」

ことり「もふもふ~」モフモフ

アルパカ「メェェェ」

ことり「もふもふもふもふ~」モフモフモフモフ

アルパカ「め、メェェェ」

ことり「もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふ」モフモフモフモフモフモフモフモフ

アルパカ「メメメメメメメメェェェ」

凛「ことりちゃーん!」

ことり「……はっ! あ、危なかった…意識が……」

海未「何言ってるんですかことり……」

凛「それよりこれこれこういうわけなんだよー」

ことり「へぇ~、海未ちゃんが敬語なしで話せるようにする、かぁ。何だか楽しそうだね」

凛「すごく楽しいにゃ」

海未「ですから楽しむのが目的ではないでしょうに……」

ことり「でも海未ちゃんは敬語ってイメージついてるから急にタメ口で話されたらびっくりしちゃうかも」

凛「ことりちゃん、そんな時はイメージするのにゃ。敬語のない海未ちゃんを」

ことり「敬語のない海未ちゃん……」


海未『ことり、早く行こうよ。学校遅刻しちゃうよ?』

ことり『ちょ、ちょっと待ってて。この小鳥さんを巣に戻してから…』

小鳥『ピヨー!』

海未『ふふ、ことりは優しいね。私も手伝うよ』

ことり『あ、ありがとう海未ちゃん』

海未『さ、私の肩にまたがって』スッ

ことり『え!?』

海未『そうしなきゃ木の上の巣には届かないよ、ほら早く』

ことり『じ、じゃあ…失礼します』スッ

海未『上げるよー、よいしょっと』

ことり(ひゃあぁぁぁ!///)



ことり「……」タラ…

凛「こ、ことりちゃん! 鼻血出てるよ!」

ことり「おっと…いけないいけない」フフ…

海未(あんな表情のことりは初めて見たしたね……)

ことり「ふふ、私も協力するよ…敬語なし海未ちゃんのためならば……」

凛「やったー、ありがとうことりちゃん!」

海未「では、やってみますね」



━━海未→ことり

凛「ねえねえ、海未ちゃん」

海未「なぁに? 凛ちゃん」

凛「海未ちゃんって好きなものなんだっけ?」

海未「穂乃果ちゃんの家のお饅頭だよ♪」

凛「そっかー、嫌いなものは?」

海未「炭酸飲料だよ~」

凛「じゃあ好きでも嫌いでもないものは?」

海未「消しゴムのケースかな?」

凛「消しゴムのケースは必要じゃない?」

海未「好きか嫌いかで言うとどうでもいいんだよ」

凛「ふぅ~ん」


海未(こ、これは完璧…! まごうことなきことりそのものです…!)

凛(会話の内容は意味不明だけど…ことりちゃんの再現度は高いはずにゃ…!)

ことり「……」

海未・凛(と、得点はいったい……!)

ことり「……」ニコッ

海未・凛「!!」

ことり「百点だよ、海未ちゃん」

海未「や……」

凛「やったにゃー!」ガバッ!

海未「り、凛!?///」

凛「おめでとう……おめでとう海未ちゃん!」ポロポロ

海未「ふふ、凛が泣いてどうするんですか……」

海未「そんな風に泣かれると……私も……」ポロッ

海未・凛「うわぁーん!」


ことり「おめでとう、海未ちゃん」パチパチ

穂乃果「おめでとう!」パチパチ

花陽「お、おめでとう」パチパチ

にこ「にっこにっこにー♪」

真姫「おめでとう」パチパチ

絵里「ハラショー」パチパチ

希「おめでとさん」パチパチ

凛「海未ちゃん……おめでとう!」

海未「……ふふ」


海未「ありがとう」


仲間に、ありがとう

敬語に、さようなら

そして、全ての貧乳達(ツルペタン)に、



おめでとう




劇終

縺?∩繧上°繧薙?

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年02月11日 (水) 14:37:26   ID: O-A8d0-s

面白かった。笑い止まらんかった。
海未が皆とふざけ合ってる的なの好き。

2 :  SS好きの774さん   2015年05月21日 (木) 20:20:15   ID: smlVTy6u

園田海未でおまんがな

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