男「えっ」
転校生「えっ、じゃねーよ。構えよ」
男「構えって、何を?」
転校生「私を」
男「なんで」
転校生「なんでもどうしてもない」
男「えっ」
転校生「今、私遊びに誘ったよね?」
男「うん」
転校生「その後なんて言ってたんだっけ?」
男「今日は妹と買い物行かなきゃいけない日だから」
転校生「じゃあ明日は、って聞いたら?」
男「明日は幼馴染が部活の大会あるって言ってたから、見に行く」
転校生「明後日は?」
男「女の奴と買い出し。文化祭近いからって、実行委員でもないのに頼まれた」
転校生「休日は?」
男「部活。俺は引退してるんだけど、なんか後輩の奴が」
転校生「私に構え」
男「えっ」
転校生「なんだよ。なんでそんなイベントが多忙なんだよ。ハーレムかよ」
男「はあ」
転校生「否定しろよ。お前に意思はないのか」
男「いやだって、俺も自分で言ってて思ったし」
転校生「うぜえええええええええ」
男「えっ」
転校生「なんなの?転校生だよ?しかも美少女だよ?」
男「それは自分で言わない方が」
転校生「だあーってろ」
男「はい」
転校生「これでもね、他の男に言い寄られたりするわけだよ?」
男「はあ」
転校生「その度に断ってるんだよ?そして、こうやって君の元に来てるわけ」
男「未練たらしい」
転校生「知ってるわボケ」
男「その言い寄る男たちも、今のあなたと同じ思いしてると思うよ」
転校生「……」
男「だから、このくらいで折れるようなら誘うのやめたらどう?」
転校生「ドギツイわクソが」
男「えっ」
転校生「また来る。ばいばい」タッタッ
男「……何だったんだろ」
幼馴染「男、一緒に帰りましょう」
男「ああ」
幼馴染「……さっきの人、転校生さんですね」
男「うん。なんか、よく来る」
幼馴染「なぜでしょうか」
男「なぜなんだろうね」
幼馴染「あの人、隣のクラスの転校生ですのに」
男「ね」
幼馴染「話したことも殆どなかったのでしょう?」
男「前はね。最近は、授業終わる度に来るから」
幼馴染「なぜでしょうか」
男「さあ」
幼馴染「……ま、良いでしょう。帰りましょうか」
男「ん」
転校生「……」ムカムカ
女「次の日の朝よ」
男「いつを基準に言ってるのそれ」
女「昨日でしょ」
男「あ、そっか」
女「問うところを間違ったわね」
男「他に疑問あるの?」
女「無いなら良いわ」
女「それより、さっき転校生さんが来たわよ」
男「またか」
女「またね」
男「今度はどんな用件で?」
女「女さんは居ますか、と聞いてきたから、居ないと答えたわ」
男「ひどい」
女「でも、私の周りも納得の対応だったけど」
男「女の周りがひどいのか」
女「クラスぐるみの連帯感よ。文化祭成功間違いなしね」
男「転校生に対してそんな連帯見せなくても」
女「ほら、また来たわよ」
転校生「失礼するね。女さんは……あ、男」
男「げっ」
転校生「げっじゃねーよ。女さんは居る?」
女「居ないわよ。今日は休みかもね」
男「こいつが女だけど」
女「ちょっ」
転校生「あなた、もしや嘘ついた?」
女「ごめんなさい、ちょっと地元の方言が出ちゃって」
転校生「口癖のように嘘をつくんじゃねーよ」
男「今日もツッコミと顔だけは冴えてる」
転校生「うるせえそこのガヤ」
女「で、その女に何の用?」
転校生「買い出し、そこの男と行くんでしょ」
女「ええ。私ともう一人が文化祭の実行委員なんだけど、もう一人の方がなかなか学校来なくて」
女「それで、年中暇そうな彼に頼んだの」
転校生(お前全然暇じゃねーだろうが)
男(勝手に暇なことにされたんだ。首根っこ掴むのやめて)
転校生(把握)
男(おk)
女「何やってるのそこで。ピロートーク?」
転校生「私は何してるように見えてんだ」
男「ナニでしょ」
転校生「おっさんくせえからやめろ」
女「その買い出しに、文句でも付けるの?」
転校生「いや、違う。私も連れてって」
女「どうして?」
転校生「人手は多い方が良いでしょ?」
男「そうでもないと思う」
転校生「鎮まれ」
女「他のクラスの人に手伝わせるわけにはいかないわよ。下手を打てば、スパイ行為として取り押さえて監禁、拘束、陵辱行為も辞さないわ」
転校生(この人変態?)
男(わりと。うちでは良識派だけど)
転校生(怪物の巣窟だね、ここ)
男(おまいう)
男(てか耳打ちやめて。仲良さそうに見えるじゃん)
転校生(Shut up!)
男(転校生さんに帰国子女設定追加で)
女「昨晩のプレイはそんなに凄かった?」
転校生「別にスパイじゃない。うちの分の買い出しも済ませちゃおうかと思って」
男「ツッコミ放棄?」
転校生「ボケをスルーだ」
女「ふーん……ま、良いわよ。この男に持たせる分で足りるかしら」
転校生「うん、少しだけだから、それで十分だよ。ありがとう」
女「へえ……なんだ、普通にいい子じゃない」
男「おい、俺良いって言ってないんだけど」
女「いいでしょ。これだけ必死なのに良心が痛まないなんて、あなた畜生?」
男「……どぎつい」
転校生「随分と男の扱いに手慣れてるね……」
女「あら、嫉妬?」
転校生「……別にそういう訳じゃ」
キーンコーン カーンコーン
女「ん、予鈴ね」
転校生「じゃ、そういうことで」
男「んまあ、渋々了承した」
女「だそうよ、良かったわね」クスクス
転校生「む、何その笑い。釈然としないよ」
女「はいはい。ほら、次音楽でしょ?」
転校生「え……あっ、移動教室だ!」タッタッ…
男「……なんであいつのクラスの時間割とか知ってんの」
女「適当だけど」
男「お前もお前だけどあいつも馬鹿すぎる」
女「ふふ、これでまたあなたのハーレムが増えたのね」
男「何を感慨深そうに……」
女「あれ、嬉しくないの?」
男「そもそもお前が」
女「ねちっこいわね」
男「恨み言くらい全部言わせて」
女「ふふふ。ほら、うだうだ言ってないで、先行くわよ」スタスタ
男「げっ、次の時間音楽って俺らかよ」
転校生「だぁーまぁーさぁーれぇーたぁー!!!」ズダダダ
転校生「あんのアマァ! 放課後覚えてろ糞があっ!!」
男「……帰りたい」
女「ふふふ」
幼馴染「その日の放課後です」
妹「なんスかそれ……」
幼馴染「子どもには分からないことですよ。お引き取りください」
妹「幼ちゃんより背はあたしの方がデカいっスよ?」
幼馴染「あなたが伸び過ぎなのです。まだ伸びているのでしょう?」
妹「へへへー、この前保健室で測ったらまた1cm伸びてたっス!」
幼馴染「嫉妬とかしませんから」
妹「しかもカップサイズも上がってたんスよ! EっすよE!」
幼馴染「……嫉妬とかしませんから」
妹「へへへー」
幼馴染「お黙り。話が進みません」
妹「はーい……ん? 話って?」
幼馴染「先程話したではありませんか……」
妹「あ、へへへー。幼ちゃん先輩が僻むから忘れちゃったっスよー」
幼馴染「あ?」
妹「なんでもないっス」
幼馴染「はあ……、最初から話せば良いですか?」
妹「お願いするっス。覚えてる部分があっても、あたしに説明できるかどうか怪しいんで!
幼馴染「自覚症状ありの馬鹿って手に負えませんね」
妹「何のことっすかー?」
幼馴染「なんでもありません」
幼馴染「今日の放課後、つまり今ですね。男と文化祭実行委員の女さんが出し物に使う物を買い出しに行くのです」
妹「あー、そういえばうちも昨日やってたっスね」
幼馴染「そこに、隣のクラスの転校生が何故か参加することになったそうです」
妹「……は、はあ。まあ、確かに変ではあるっスけど」
幼馴染「よってかくがくしかじかあって私達はこうやって校門で待ち伏せしてストーキングをするつもりです」
妹「……はあ。つまり、いつものアレってことっスよね」
幼馴染「私をストーカーみたいに言わないでください」
妹「大体合ってるっスよ……女先輩の時だってそうだったし」
幼馴染「女さんはまだ認めてませんから」
幼馴染「……ただ、男がよせって言うから」ブツブツ
妹「あーはいはいもういいっス。話を戻すっス」
妹「ん」
男「あ? なによ?」
妹「だから、ん!」
男「口で言え口で」
妹「……チョコ、やる」
男「おう、さんきゅ」
妹「今食べろ」
男「はあ? さっき歯磨きしたばっかなんだけど」
妹「また磨け。早く食えっ」
男「……ん、ほら。食ったよ、あー」
妹「……」
男「わかったわかった、美味かったよ。さんきゅな」
妹「ん」
男「じゃ、行ってくる」
妹「歯磨け」
男「えぇー……」
男「どう思う?」
転校生「死ね」
幼馴染「おはようございます」
男「おはよ、幼馴染」
幼馴染「……」スンスン
男「ん、何?」
幼馴染「チョコのかほりがするです……」
男「なにその嗅覚」
幼馴染「誰ので……いえ、愚問ですね」
男「まあ、お察しの通りで」
幼馴染「……美味しかったですか?」
男「それこそ愚問だよ」
幼馴染「む」
男「え?」
幼馴染「妹ちゃん、お料理上手ですからねっ」
男「俺が作れない分、あいつには頑張ってもらってるからなぁ」
幼馴染「ふーん……」
幼馴染「じゃあ、私のチョコは要らないと?」
男「えぇー……」
幼馴染「えぇではありません。私だって頑張って作ったんですっ」
男「だから、貰うって」
幼馴染「そういう態度が気に食わないんです!」
男「は、はあ」
幼馴染「……はい」トサ
男「……あ、ありがと」
幼馴染「私、先に行きますから」タッタッ
男「え……お、おい!」
男(しまった、これは久々に怒らせた)
幼馴染「……」クルッ
幼馴染「私のチョコ、1番最後に食べてくださいね?」
幼馴染「私のが1番、誰のものより、甘いですから」ニコ
男「どう思う?」
転校生「死ね」
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