杏子「倍にして返すから千円貸してよ」 さやか「……」 (90)

――街中


杏子「さやかにだって悪い話じゃないはずだ」

さやか「……」

杏子「労せず、お金が増えるんだ。こんなうまい話ないだろ?」

さやか「うーん……」

杏子「なんだい? なにを悩む必要があるのさ」

さやか「……いや、さすがに話がうますぎるよ」

さやか「あんた、どうやってお金を増やすつもりなわけ?」

杏子「それは、企業秘密って奴だね」

さやか「あんた、いつから企業に属したのよ……」

杏子「うっさいなー。いいからお金!」

杏子「黙ってあたしに投資しろ!」

さやか「……痛みが必要か?」

杏子「……すみません」

さやか「まったく……、私だって普通の中学生なんだからね」

さやか「そんなお金ないよ」

杏子「お年玉! 貰ってるはずだろ!」

さやか「まあ、そうだけどさー」

さやか「帰ってこないリスクを考えると……」

杏子「……よし」

さやか「……?」

杏子「もし返せなかったら、今度GS1コやるよ」

さやか「……マジ?」

杏子「大マジさ」

さやか「そこまで言うってことは……」

さやか「よほど、勝算があるとみたね」

さやか「わかった! 千円! 投資しちゃおう!」

杏子「サンキュー、さやか!」

さやか「絶対、返しなさいよね」

さやか「ま、私はGSでも構わないけどさ」

杏子「まかしとけって!」

――1時間後


杏子「さやかー!」タタタッ

さやか「あれ? 杏子じゃん」

さやか「あんた、まさかまたお金貸せって言うんじゃ……」

杏子「バカ言うなよ。はい、これ」サッ

さやか「……え?」

杏子「2千円。確かに返したよ」

さやか「あ、うん」

さやか「ありが、とう……」

杏子「それじゃ!」タタタッ

さやか「……」

さやか「……マジ?」

さやか「いやいやいや」

さやか「え? おかしくない?」

さやか「さっき別れたばっかだよ?」

さやか「杏子……、一体どうやって……」

さやか「後をつけるか……」

さやか「……」タタタッ

さやか「杏子のやつ……、どこいったの?」キョロキョロ

さやか「……」タタタッ

さやか「……あッ!」




杏子「~♪」

 
 
 

さやか「杏子のやつ、あんなにたい焼きを買い込んで……」

――――――

杏子「うめ、うめ……」モシャモシャ

杏子「……」モグモグ

杏子「……」ハフハフ

さやか「……明らかにあやしい」

さやか「だって、私にお金を借りにきた時点で……」

さやか「杏子はほとんど無一文だったはず……」

さやか「それが、たったの一時間で……」

さやか「私に千円多く渡して、さらに買い食い?」

さやか「……一体、どういうこと?」

杏子「はー、食った食った」ポンポン

杏子「さて、と……」スクッ

――――――

さやか「あ……、移動しちゃう」

さやか「追わなきゃ……!」タタタッ

――街中

杏子「……」キョロキョロ

杏子「……」キョロキョロ

さやか(……)コソコソ

さやか(さっきから、なにしてるわけ?)

さやか(やけに辺りを見回しちゃって……)

杏子「……」ジッ

さやか(……?)

さやか(……誰を見てるの?)チラッ

男「……」

さやか(誰……?)

杏子「……」スタスタ

さやか(……?)

杏子「ねえ、お兄さん」

男「……」

杏子「お兄さん」

男「……え」

杏子「お兄さん、一人?」

男「あ、いや、あの……」

杏子「ちょっと向こうでお話しない?」

男「あ……、え? 俺、ですか?」

杏子「うん、向こうで話そうよ」

男「……」

男「で、でも……」

杏子「いいから……、ね?」ギュッ

男「う、うん……」////

杏子「ゴム有りホ別苺でどう?」

まどか「それってどういう意味?」

さやか「???」

さやか「なに? 知り合い?」

さやか「会話は聞こえなかったけど……」

さやか「路地裏のほうに入ってっちゃった……」

さやか「こっそり、様子を伺うか……」

1000円でパンツ買って
1000円で売ってるわけか

――路地裏


杏子「お兄さんさ……」

男「……?」

杏子「あたしみたいの好きだろ?」

男「いや……」

杏子「正直に言いなよ」

男「……す、好きです」////

杏子「やっぱりな」ケラケラ

杏子「なんかあたし、段々見分けがつくようになってきたよ」

男「……」////

杏子「お金、ある?」

男「……す、少しなら」

杏子「……」

男「え、えっと……」ゴソゴソ

男「……一万、七千円」

杏子「……結構、お金持ちなんだね」

男「ほ、他に使うこともないから……」

杏子「じゃあさ、そのお金でさ」

杏子「……買う?」

男「え……」

男「こ、ここで……?」

杏子「ああ。なんか問題あるか?」

男「……」キョロキョロ

杏子「平気さ。滅多に人なんて通らないよ」

男「め、滅多にって……」

杏子「じゃあ、辞めるかい?」

男「……」

杏子「ま、他をあたることにするよ」

男「……」

杏子「じゃあね」スタスタ

男「ま、待って……」

杏子「……?」

男「……お、お願いします」

杏子「買うってことでいいのかい?」

男「う、うん……」

杏子「じゃあ、はい、これ」

男「……なにこれ?」

杏子「靴下。一足千円」

男「……え?」

杏子「欲しいだろ?」

男「え? いや、あの……」

杏子「……なに?」

杏子「ああ、言い忘れたけど、私、靴下売って歩いてるんだよね」

杏子「もちろん、わかってたでしょ?」

男「え……、あの……」

杏子「なに? 他のものだと思った?」

男「……あ、え」

杏子「買ってくれるよね」ニッコリ

男「」

杏子「けけけ。儲けた、儲けた……」キヒヒ

杏子「さて、これで、リンゴでも……」

さやか「ちょっとあんたあ!」

杏子「おわッ!」ビクッ

さやか「な、なにしてんのよ! あんた!」

杏子「な……ッ! さやか!」

杏子「お前! どうしてここに!」

さやか「ずっと監視してたのよ!」

杏子「な、なんだと……」

新品の靴下かそうでないかで悪質度が違う

さやか「あんた! いまのはどういうこと!?」

杏子「……今の?」

杏子「靴下売っただけだけど?」

さやか「あんな風に知らない人を路地裏に呼び込んで!?」

杏子「……」

杏子「なにか問題あったか?」ニヤ

さやか「な……」

杏子「私は靴下を売った。相手はそれを買った」

杏子「なにか問題があるかい?」クヒヒ

さやか「こ、こいつ……」

>>47
さやかの投資で買ったばかりだろ

>>45
最初に履いてるものからスタートするだろ
頭悪すぎ

さやか「そんなことはどうでもいいの!」

杏子「はあ?どうでもいいってどういうことだよ」

さやか「私も一緒にやる」

杏子「おっけー☆」

>>51
なぜ描写もないのに最初から履いてると決め付けているのか
本当に頭が悪いのは貴様だこの早漏包茎野郎め

さやか「靴下一足千円なんて……」

さやか「どうかんがえてもおかしいじゃない!」

杏子「なんで? 物の値段なんて相手が納得すれば問題ないはずだ」

杏子「例えば、コレクターが集める品なんてのは……」

杏子「その物の価値を個人個人がどう考えるかだろ?」

杏子「あいつらは私が買った三足千円の靴下を……」

杏子「一足千円の価値があると思ったのさ」

さやか「……詐欺っぽいこと言ってなかった?」

杏子「まったく……」

杏子「それは、理解の相違ってやつだね」

杏子「認識の判断ミスを後悔するとき――」

さやか「おだまりッ!」ペチン!

杏子「へぷ!」

さやか「あんたねー」プルプル

杏子「なんの問題があるのさ!」

杏子「相手にだってやましい気持ちがあるから――」

杏子「あたしの言葉に従うしかなかったわけだろ!?」

杏子「あたしだって、相手は選んでるさ!」

さやか「ぐ……」

杏子「中には気持ちの悪いやつもいたさ」

杏子「あたしが履いてるものをよこせとかぬかすやつ」

杏子「体を触らせろとか言うやつ!」

杏子「そういうやつらから金稼いでなにが悪いんだよ!?」

さやか「……」

さやか「……」

さやか「たしかに、杏子の言う通りだわ」

杏子「さやか……」

さやか「うん! この調子でお金稼ごう!」

さやか「別に法に触れてるわけでもないだろうし!」

杏子(法に触れてるかどうかは……)

杏子(正直、わからないんだよな……)

杏子(ま、いっか!)

杏子「よし! さやか! あたしの次のプラン!」

杏子「同行してもらうよ!」

さやか「あたりきしゃりきよ!」

まど神『ああッ! 二人が変な方向にッ!』

急にさやかが江戸っ子に

ピロリロ

店員「ありあしたー」

――――――

さやか「――で、買ったのは500ペットのお茶と紙コップ?」

杏子「ああ、これが金に早変わりさ」クヒヒ

さやか「……?」

杏子「靴下より、よっぽど金になりそうだ」

杏子「ま、相手は選ばなくちゃいけないけどね」ニヤニヤ

さやか「へえ……」

あ! 改変後ってGSいらないか?

ま、いっか!

さやか「で? どうすんの?」

杏子「この近くに公園あるから……」

杏子「そこ行こうか」

さやか「……? うん、行こう」

――公園


杏子「じゃ、一杯、どうぞ」コポコポ

さやか「あ、どうもどうも」

杏子「あたしも……」

さやか「あ、私が注ぐよ」

杏子「あ、すみませんね。どうも」

さやか「いえいえ」コポコポ

杏子「じゃ……」

さやか「乾杯!」


…ゴクゴク

   ;ヾ、,.、,、.、rツ ッッシ、:':' r':' _,、-'゙_,  や 公 帰 そ
 ,、,、,ミッン、,._        _,、-'゙_,、-'゙.   っ 園. り ん
 、ィッ ,:、 ゙''ゞ=ミ、~.: _,、-'゙_,、-'゙  __,  て の 道 な

 }; ヾ ゙' {!li;:,. _,、-'゙_,、-'゙ _,、-'゙,::|_|  来  ト に わ
 ゞァ''゙ぐ _,、-'゙_,、-'゙ _,、-'゙,、-''" .|_   た イ  あ け
 ,ヘ:'_,、-'゙_,、-'゙..::「┴_,エ ┴  ''"_|_|  の. レ る で
  └i'゙-ニ,ニエ,.:|ニ「 _エ ┴  ''"_|_   だ に
    |エ | ニエ, |ニ「 _エ ┴  __.|_|_
    |エ | ニエ, |ニ「 _エ ┴ 「fj.||__|__| _|
    |エ | ニエ, |[8] _エ ┴ └‐_|_|__l__,|⊥ |__
    |エ | ニエ, |二 _.エ 二.._ |__|__| _|_|_
    |エ | ニエ, |┴ _.エ 二.._ |_|__l__,|⊥ |__|
    |エ | ニエ, |工 _.エ 二.._ |__|__| _|_|_
    |エ | ニエ, |工 _.エ 二.._ |_|__l__,|⊥ |__
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   ''ーニ_''ー::、_ ゙┷ 工_二'‐-、,_|_|__l__,|⊥ |__

  二二二`''ーニ`_''ー-、_¨''━、L|__|__| _|_|_
  二二二二二二二`''ーニ_''ー 、_       |⊥ |__

さやか「ふう……」

さやか「じゃあ、もう一杯……」

杏子「ストップ!」

さやか「……」ビクッ

杏子「ふふ、もう飲んじゃダメだ」

さやか「え? なんで?」

杏子「このお茶が商売道具だって言ったろ?」

さやか「この飲みかけのお茶?」

杏子「そうだ」

杏子「このペットボトルのラベルを――」

ビリビリ

杏子「破く」

さやか「ふむふむ」

杏子「で……」

シャカシャカ

杏子「泡立てる!」

さやか「ふむふむ……、ん?」

杏子「あとはこれを持ってトイレの前で立ってればいいだけの簡単な仕事だ」

さやか「杏子、あんた……」

杏子「……?」

さやか「もしかして……、天才?」

杏子「ふふっ。よせやいよせやい!」////

さやか「照れない照れない////」ウリウリ

さやか「……でもさ」

杏子「……?」

さやか「わざわざ紙コップに何でしたの?」

さやか「紙コップにかかったぶんだけ、お金の無駄じゃない?」

さやか「直接飲めばいいじゃん」

杏子「は? そんなの決まってんだろ?」

さやか「……?」

杏子「自分が口つけたペットボトルを知らねえ男に渡すのなんて――」

杏子「気持ち悪いだろ……」

さやか「杏子……」

さやか「やっぱり、あんた天才だわ」

杏子「まあな」


                        おわり

なんか殺伐としてるからこの辺で

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