シャーリー「子ども、できた……」バルクホルン「よし、産め」 (122)

ミーナ「シャーリーさん、起きて。もう起床時間は過ぎているわよ。シャーリーさん」

バルクホルン「ミーナ、何をしている。全員、ブリーフィングルームに集まっているぞ」

ミーナ「トゥルーデ。それがシャーリーさんが出てきてくれないのよ。何度も呼びかけているのに」

バルクホルン「無理やり開ければいい。奴が悪いのだからな」

ミーナ「仕方ないわね。シャーリーさん、開けるわね」

バルクホルン(シャーリーが寝坊と言うのも珍しいな)

ミーナ「――シャーリーさん、しっかりして!!」

バルクホルン「どうした?」

ミーナ「そ、それが、シャーリーさんが嘔吐してて……」

シャーリー「うっ……うぇぇ……はぁ……はぁ……おぇぇぇ……」

バルクホルン「シャーリー!?」

ミーナ「宮藤さんを呼んでくるわ! トゥルーデは様子を見ててあげて!」

シャーリー「はぁ……はぁ……」

バルクホルン「何か悪いものでも食べたのか?」

シャーリー「おぇぇ……」

バルクホルン「熱は……若干、あるか?」

シャーリー「違う……んだ……」

バルクホルン「何が違う?」

シャーリー「これ、つわり……だ……」

バルクホルン「つわり? 意味が分からないな。何故、つわりという単語が出てくる?」

シャーリー「それは、ひとつしか……ないだろ……」

バルクホルン「言ってみろ」

シャーリー「子ども、できた……から……」

バルクホルン「そうか。よし、産め」

シャーリー「おま……うぇぇぇ……」

バルクホルン「リベリアン。お前が妊娠することなど万に一つもありえない」

シャーリー「なんで……」

バルクホルン「男性と関係を持った覚えはあるのか?」

シャーリー「ないけど」

バルクホルン「ならば、どうして妊娠ができるというんだ、全く。宮藤が来たらすぐによくなる。ほら、シーツは洗っておいてやろう」

シャーリー「いや……でも……知らない間に……」

バルクホルン「あるわけがない。ミーナの目が黒いうちはな」

シャーリー「だったら、私の現状は、なんだよ……」

バルクホルン「風邪かなにかだろう?」

シャーリー「違う……。お前には分からないだろうけど、これは妊娠だ……」

バルクホルン「……」

シャーリー「誰の子かわからないけど……今、私のお腹には赤ちゃんが……」

バルクホルン「そんなわけがない。いいから、起きろ」

シャーリー「やめてくれ!!」

バルクホルン「な……」

シャーリー「い、今は一人にしてくれ。考えたいんだ。今後のことを……真剣に……」

バルクホルン「いいか。ゆっくりと考えてみろ。数ヶ月の間に、お前は誰かに体を許したのか?」

シャーリー「……」

バルクホルン「訓練や任務に従事しているお前がそんなことになるはずがない」

シャーリー「でも……お腹にいる気がして……」

バルクホルン「いないと言っているだろう!!!」

シャーリー「大声だすのは……や、やめてくれ……。赤ちゃんに悪影響が出るかもしれないだろ……」

バルクホルン「おい、リベリアン」

シャーリー「誰の子かわからないけどさ、赤ちゃんには罪はないし……その……産まなきゃいけない……気がする……」

バルクホルン「あのな……」

シャーリー「誰にも……分かってもらえないんだ……この辛さなん……おぇぇぇ……」

バルクホルン「生理はいつ来た?」

シャーリー「やめろよ。恥ずかしい……」

バルクホルン「答えろ」グイッ

シャーリー「ぐぇ」

バルクホルン「生理はいつ来たんだ?」

シャーリー「え……えーと……昨日……」

バルクホルン「よし。妊娠はしていない。よかったな」

シャーリー「いや、してるんだ」

バルクホルン「まだ言うか。そうか。訓練をサボりたいのか。ならば、もう少しマシな嘘をつけ」

シャーリー「いや、あれ、生理じゃなくて、私の純潔が――」

バルクホルン「やめろ」

シャーリー「お前はなんでそこまで否定したがるんだ。本人が妊娠してるって言ってるんだから、してるんだよ」

バルクホルン「面倒なやつだな。これでも心配はしてやっている。嘔吐はしてしまっているわけだからな」

シャーリー「……」

バルクホルン「……なんだ、その目は?」

シャーリー「も、もしかして……」

バルクホルン「どうした?」

シャーリー「お、おまえが……ちち、おや……?」

バルクホルン「そんなわけあるかぁ!!!!」

シャーリー「だ、だって、そこまで否定したがるってことは……私をはらましたの……」

バルクホルン「バカを言うなぁ!!! 私は女だ!!!」

シャーリー「でも、バルクホルンって男くさいところもあるしさ……」

バルクホルン「女を孕ませるような器官など持ち合わせていない!!! ふざけるなぁ!!!」

シャーリー「いや、わかった。落ち着けよ。妊娠しちゃったもんはもうどうしようもないから、話し合おう。な?」

バルクホルン「お前が落ち着け!!!」

シャーリー「だ、だから、お腹に響くから……大声はださないで……おぇぇぇ……」

バルクホルン「おい、しっかりしろ」

シャーリー「ふっ。やっぱり、孕ました相手のことは心配になるのか?」

バルクホルン「吐いてるやつが目の前にいたら、心配の一つもする」

シャーリー「……ありがとっ。うれしい」

バルクホルン「シーツを外せ。酷い臭いだ」

シャーリー「父親としての自覚が芽生えたのか……」

バルクホルン「違う!! 不衛生だから洗ってやろうと言っているだけだ!!!」

シャーリー「なんで、そんな意地悪ばかり言うんだ……?」

バルクホルン「いいか、シャーリー? 百歩譲って私がお前を孕ませるだけのものを持っていたとしよう」

シャーリー「うん」

バルクホルン「私がお前に迫り、行為に及んだ記憶はあるのか?」

シャーリー「……」

バルクホルン「ほら。ないだろう?」

シャーリー「お前、私が熟睡してる間に……やめろよ……。ちゃんと言ってくれたら……私だってさぁ……その……考えたのにさ……」

バルクホルン「ちがーう!! 気持ち悪い想像をするなぁ!!!」

シャーリー「名前はどうする? あ、シャーロット・バルクホルンは別にいいんだけどさ」

バルクホルン「何がいいんだ!?」

ミーナ「トゥルーデ! シャーリーさんの様子は!?」

芳佳「シャーリーさん!! 大丈夫ですか!?」

バルクホルン「ミーナ!! 宮藤!! 助かった!!」

シャーリー「宮藤……」

芳佳「ルッキーニちゃんも心配してましたよ?」

シャーリー「ルッキーニ……」

バルクホルン「宮藤。シャーリーはどうやら自分が妊娠していると思い込んでいるようだ。お前の魔法でどうにかなるか?」

芳佳「え? 想像妊娠ですか? それは私の魔法でもちょっと……」

シャーリー「み、宮藤……?」

芳佳「なんですか?」

シャーリー「お前の魔法……胎児を……け、けす……」

バルクホルン「いい加減にしろ!!! 宮藤!! すぐにシャーリーを治療してくれ!!」

芳佳「とにかく、やってみます!」

シャーリー「やめろ!!」バッ!!

芳佳「シャーリーさん!?」

ミーナ「ちょっと、どうしたの?」

シャーリー「宮藤、どうして私とバルクホルンの赤ちゃんを消そうとするんだ……」

芳佳「えぇぇ!? バルクホルンさん、シャーリーさんになんてことを……」

バルクホルン「宮藤!!!」

芳佳「ち、違うんですか?」

バルクホルン「どうやったら私がシャーリーを妊娠させることができる!! 言ってみろ!!」

芳佳「……あ、無理です」

バルクホルン「ほら、シャーリー。宮藤もこういっている」

シャーリー「……」

ミーナ「シャーリーさん? 貴女が妊娠することはありえないの。私が目を光らせているもの。安心して」

シャーリー「もしかして……501の皆で私のことを……?」

バルクホルン「しまった。そっちに向かったか……」

シャーリー「私が一度寝たら中々起きないのをいいことに……みんな、私の体を好き勝手に弄くりまわしてたんだな……」

ミーナ「あ、あの……」

シャーリー「ひどい!! 酷すぎる!! わたしのじゅんけつをかえしてくれー!!」

芳佳「シャーリーさん!! 誰もそんなことしてませんよぉ!!」

シャーリー「うぇぇぇん……おぇぇぇ……」

芳佳「わぁぁ!! シャーリーさーん!! 今、背中を……」スリスリ

シャーリー「宮藤……。お前が父親になってくれるのか……?」ギュッ

芳佳「え?」

シャーリー「宮藤シャーロット……。それとも、芳佳・E・イェーガー?」

芳佳「あ……えーと……まぁ、それも……」

バルクホルン「おい!! 何の冗談だ!!!」

ミーナ「そうよ!! しっかりして、宮藤さん!!!」

芳佳「す、すいません!! シャーリーさんの雰囲気にのまれて……!!」

シャーリー「みんなして私の事を取り合って……やっぱり、全員に心当たりがあるんだな。この赤ちゃんに……」

バルクホルン「シャーリー。冷静になれ。501にそのような鬼畜なことをするものなどいない。ウィッチ以外の者も含めてだ」

シャーリー「……」

ミーナ「シャーリーさん。貴女は妊娠なんてしていないの。検査すればわかるわ」

シャーリー「そういって、赤ちゃんを……。私は騙されない」

ミーナ「いや……」

芳佳「シャーリーさん、生理はいつ来ましたか?」

バルクホルン「昨日あったようだ」

芳佳「それなら妊娠なんてしてるわけないですよ」

バルクホルン「そう言っているのだがな……」

シャーリー「もういいよ。責任の擦り付け合いは見たくない。この赤ちゃんは私が一人で育てるからさ……」

ミーナ「……坂本少佐のところに行ってくるわ。これではミーティングも始められないもの」

バルクホルン「シャーリーもつれていく」

芳佳「でも、それは」

バルクホルン「全員で説得すれば、いくらシャーリーでも分かってくれるはずだ」

美緒「シャーリーが妊娠?」

ミーナ「ええ。恐らく、想像なんだろうけど」

美緒「ならば、放っておけ。そのうち治る」

ミーナ「でも……しばらくあのままにしておいたら、何かと影響が……」

リーネ「シャーリーさん、あの、妊娠なんてありえないですから」

シャーリー「リーネまで私の体を……。もう誰も信じられない」

リーネ「そんな……」

ルッキーニ「シャーリー、赤ちゃんできたの?」

シャーリー「ああ、そうだ。ルッキーニの子かもしれないぞ?」

ルッキーニ「あたしの!?」

シャーリー「というか、考えてみればルッキーニが父親の可能性が高いよな。いつも私の体に触ってたわけだしさ」

ルッキーニ「あにゃー!?」

エイラ「シャーリー、母乳でるのか? 出るなら……」

サーニャ「エイラ……」

ペリーヌ「妊娠だなんて馬鹿馬鹿しい……」

エーリカ「誰が父親でもいいじゃーん。シャーリーならいい母親になれるよ」

バルクホルン「静まれ!!」

シャーリー「だから、母体に悪いから大声だすなって」

バルクホルン「シャーリー。ここにいる者たちの顔をよく見ろ」

シャーリー「なんだよ。みんな父親の顔に見えてくるだけだ」

バルクホルン「ここ最近、お前の体に少しでも触れたものは何人いる? 言ってみろ」

シャーリー「えー……?」

バルクホルン「ルッキーニ以外、いないだろう」

ルッキーニ「あたし、パパにならなきゃいけないのぉ?」

芳佳「ど、どうだろう。そんなことないと思うけど」

シャーリー「でもさぁ、寝てる間にやられたって可能性が……」

バルクホルン「ならば、少なくともサーニャではないな」

サーニャ「はい。ですね」

エイラ「サーニャがそんな雄っぽいことするわけないだろ!」

サーニャ「……」

バルクホルン「それに、各部屋には鍵がある。皆、寝る前は施錠を心がけているはずだな」

リーネ「は、はい。してます」

バルクホルン「たとえ閉め忘れていたとしても、見回りの者が施錠確認を行っているため、夜間に忍び込むということはできない」

芳佳「確かに!」

バルクホルン「誰も夜這いなどできはしない」

ペリーヌ「となると、夜間の宿舎巡回を行っていない人は父親候補から外れるということですわね」

美緒「おい。それはシャーリーを除けば私、ミーナ、バルクホルンということになるぞ。巡回は上官の役目だからな」

ペリーヌ「なっ!?」

シャーリー「……しょ、しょうさ……いや、少佐はアリか……」モジモジ

美緒「何を言っている」

シャーリー「助かったよ。バルクホルン。お腹の赤ちゃんの父親は3人に絞られたわけだな」

バルクホルン「ちっ……余計なことを言ってしまったか……」

シャーリー「3人のうち、誰が私のことを……」

ミーナ「美緒……」

美緒「わかった。ならば、私が父親になろう」

シャーリー「な……!?」

芳佳「えぇぇぇ!?」

ペリーヌ「いやぁぁぁあぁあああ!!!」

リーネ「ペリーヌさん!! しっかりしてください!!」

バルクホルン「少佐!? 気は確かか!?」

美緒「それでいいだろう? 何が不満だ」

ミーナ「ちょ、ちょっと! な、なにを、いって……なにを……!!」

美緒「存在しない父親を探すなど時間の無駄だ。シャーリーの症状が治まるまで私が父親になればいい」

ミーナ「でも、あの……それって……でも……」

シャーリー「少佐、真剣なんですか?」

美緒「真剣だ。お前の腹にいる赤子は私の子でもある。それでいいな?」

シャーリー「……うんっ」

なんでシャーリーがメンヘラってんだよwwwwwwwwwwww

美緒「――伝達事項は以上だ。それでは各自任務につけ。解散」

ペリーヌ「うぇっ……おぇっ……しょう、さが……しょうさがぁ……」

リーネ「ペリーヌさん……」

エイラ「おい、ペリーヌ。涙ふけよ」

ミーナ「美緒、よかったの?」

美緒「一週間もすれば治まるだろう。問題ない」

ミーナ「な、ならいいんだけど……」

シャーリー「しょーさっ!」

美緒「どうした?」

シャーリー「これからは予定は?」スリスリ

美緒「宮藤とリーネの飛行訓練がある」

シャーリー「私も隣にいてもいい?」

美緒「好きにしろ」

シャーリー「するっ」

ミーナ「……」

どういう心境になったらこういう話を思いつくのか心理学的な観点から>>1が興味深い

美緒「――準備はできたか、二人とも」

芳佳「は、はい」

リーネ「で、できてます」

美緒「なんだ、顔が引きつっているが」

芳佳「あの……」

美緒「こいつか?」

シャーリー「少佐ぁ……」スリスリ

美緒「気にするな」

リーネ「りょ、了解」

美緒「では、コース通りに飛べ」

芳佳「は、はい」

美緒「ふむ」

シャーリー「坂本シャーロットって語感がわるいからさぁ、美緒・E・イェーガーにしないか?」

エーリカ「なんか面白いことになってきたね」

バルクホルン「あれで治まればいいがな」

美緒「……」

シャーリー「赤ちゃんの名前はどうする? 少佐が考えてくれていいからさ」

美緒「そうか」

ミーナ「坂本少佐。ここにいたのね」

美緒「どうした?」

ミーナ「例の件についてなのだけど」

美緒「ああ、どうなった」

シャーリー「少佐?」

美緒「お前は先に戻っていろ。私はミーナと話すことがある」

シャーリー「え……でも……」

美緒「ゆっくり休め」

シャーリー「……うん」

ミーナ「それでね……」

美緒「うむ。やはり予算が――」

シャーリー「……」

美緒「ワッショーイ!!」パンパンパンパン
シャーリー「す、すげえスピードだ…」
ー翌日ー
美緒「何事だ?」
の可能性が微レ存

美緒「……」

シャーリー「生理さ、やっぱり全然こないんだ。少佐の子、間違いなくいるみたいだ」

美緒「生理は3日前にあったと聞いたが」

エイラ「少佐ー」

美緒「エイラか」

エイラ「ペリーヌがどうしても少佐と訓練したいって言ってるけど」

美緒「ペリーヌが?」

エイラ「たまには付き合ってやったらどうだ?」

美緒「そうだな。宮藤やリーネとばかりだったからな。よし、いいだろう」

エイラ「おぉ」

シャーリー「少佐」

美緒「すまん。またあとでな」

エイラ「こっちだ」

美緒「わかった」

シャーリー「……」

エーリカ「シャーリーはあれからどうしてるの?」

バルクホルン「ここ数日は少佐と一緒に歩いている姿をよく見るが、詳しくはよく知らないな」

エーリカ「ホントに妊娠してて、少佐の子が宿ってたりして」

バルクホルン「ふん。そんなこと――」

シャーリー「……」

エーリカ「うわ!?」ビクッ

バルクホルン「お、お前、いつからそこにいた?」

シャーリー「バルクホルン……私、少佐と結婚しても、うまくやっていく自信がない……」

バルクホルン「な、なに?」

シャーリー「少佐はみんなに頼りにされてて、いつも忙しい立場なのは知ってる……でも……」

エーリカ「でも?」

シャーリー「全然、先のことを考えている様子がないんだ!!」

バルクホルン「そ、そうか」

シャーリー「少佐……もしかして、ただ責任を感じたからああ言っただけで、私のことは好きでもなんでもないのかもな……。いや、そうか。私の体だけが目当てで……」

バルクホルン「おい、シャーリー……」

シャーリー「この子が不憫だ……」

エーリカ「まぁ、そうかもね」

シャーリー「いや、少佐に甘えようとした私が悪いんだ。この子は私一人でどうにかするよ」

バルクホルン「シャーリー、待て」

シャーリー「もうそうするしかないだろ!!」

エーリカ「そうだね」

バルクホルン「ハルトマン、余計なことを言うな!!」

シャーリー「大丈夫さ……私は一人でも子どもを……」

バルクホルン「おい、エーリカ。この症状はどれぐらい続くんだ?」

エーリカ「さぁ。個人差あるんじゃない?」

バルクホルン「おい!!」

エーリカ「でも、どうしてこうなったのかは興味あるよね」

バルクホルン「興味って……」

エーリカ「シャーリー、本当に心当たりないの? 少佐以外で体を許したかもしれない相手って」

シャーリー「少佐……以外で……?」

エーリカ「少佐がそっけないのはシャーリーの子どもに興味がないからじゃない?」

シャーリー「そ、そうか!! それもあるな!!」

バルクホルン「また話を戻す気か」

エーリカ「少佐じゃないなら、残るはミーナかトゥルーデだけでしょ?」

バルクホルン「ぶふっ!?」

シャーリー「……あっ」

エーリカ「なになに?」

シャーリー「あ、あった……私……あの日から体の調子がおかしくなったんだ……」

バルクホルン「お前に触れたというならルッキーニだろう?」

シャーリー「違う……。ルッキーニだったら、もっと早くから症状がでているはずさ」

エーリカ「それもそうだね」

シャーリー「それにルッキーニが触るのは私の上半身ぐらいだしね」

バルクホルン「……なにがいいたい?」

シャーリー「私の下半身に触れた奴が、いる……」

エーリカ「それは……?」

―数日前―

シャーリー「あー。昼から暇だなー」

ルッキーニ「なにしゅるー?」

シャーリー「そうだなー。たまにはのんびりするのも――」

シャーリー「おわっ!?」ビクッ

ルッキーニ「どったの?」

シャーリー「だ、だれだよ!?」

バルクホルン「ん? どうかしたか?」

シャーリー「こら、お前だろ」

バルクホルン「なんだ?」

シャーリー「今、私のお尻撫でただろ?」

バルクホルン「そんなことするか。触れてしまっただけだろう」

シャーリー「本当か?」

バルクホルン「事故だ。誰がお前の尻を撫でるか」

シャーリー「なんだよ。別に形はいいだろー?」

シャーリーは501でもトップクラスに性格いいからなぁ
色々溜め込んでたんだろうか

シャーリー「あ……あぁ……」プルプル

バルクホルン「待て」

エーリカ「なんだ、トゥルーデじゃん」

バルクホルン「たまたまシャーリーの尻に手が当たっただけだ!!」

エーリカ「お尻に当たるっていうのがもう不自然だし」

バルクホルン「ありえないことではないだろう!?」

シャーリー「あのとき、子種を植えられていたのか……」

バルクホルン「違う!! 何を言っている!?」

シャーリー「バルクホルン!!!」

バルクホルン「なんだ!?」

シャーリー「……私はどうでもいい。この子だけには優しくしてやってくれよ」

バルクホルン「バ、バカなことを……!!」

シャーリー「バルクホルン……」ギュッ

バルクホルン「やめろー!!!」

エーリカ「お尻かぁ」

ルッキーニ「うじゅっ……うじゅ……」

芳佳「ルッキーニちゃん?」

ルッキーニ「よしかぁ……うじゃぁぁぁ……!!」ギュゥゥ

芳佳「な、なに!?」

ルッキーニ「シャーリーがぁ……シャーリーがぁぁ……」

芳佳「あぁ……。最近、シャーリーさんはずっと坂本さんと一緒だもんね」

ルッキーニ「うじゃぁぁぁ!!」

芳佳「ルッキーニちゃん……」ナデナデ

リーネ「芳佳ちゃん……」

芳佳「リーネちゃ……え!?」

リーネ「……実は、ペリーヌさんもルッキーニちゃんと似たようなことになっていて」

ペリーヌ「わたくしにはリーネさんがいればそれだけでいいですわ……坂本少佐なんて……もう……」スリスリ

リーネ「ペ、ペリーヌさん、くすぐったいですから」

芳佳「シャーリーさんが早く元に戻ってくれないと、困るよね」

リーネ「芳佳ちゃん、何か方法はないかな?」

芳佳「シャーリーさんが想像妊娠だとするなら、妊娠なんてしていないってことを自覚させなきゃいけないけど……」

リーネ「今のシャーリーさん、情緒不安定だし、私たちの話なんて聞いてくれそうにないよ」

芳佳「そうだよね」

リーネ「どうしたらいいんだろう……」

ルッキーニ「しゃぁぁりぃ……!!」

リーネ「ルッキーニさんでもいいですわぁ。このスベスベした肌なんて、ずっと頬ずりしておきたいぐらいですもの」スリスリ

ルッキーニ「うぇぇぇん!!」

芳佳「あぁ、ルッキーニちゃん……」

エーリカ「――宮藤。ちょっと」

芳佳「ハルトマンさん、どうしたんですか?」

エーリカ「シャーリーのことなんだけどさ」

芳佳「は、はい」

エーリカ「想像妊娠というよりは偽妊娠に近いかもね」

芳佳「偽妊娠……?」

エーリカ「ほら、ウサギだし」

芳佳「それなら、普通は三日ぐらいで落ち着くはずですけど」

エーリカ「そこなんだよね。まぁ、シャーリー自身巣作りをしているわけでもないけどさ。いや、巣作りはしてるのか」

芳佳「ウサギは巣を綺麗にすると子どもは産まれてこないって自覚するっていいますけど、シャーリーさんの巣ってなんですか?」

エーリカ「綺麗にするというより、もう時間を進めちゃうほうがいいかもしれないね」

芳佳「時間を?」

エーリカ「そう。シャーリーの中で出産まで終わったことにしちゃえば、シャーリーも落ち着くんじゃない?」

芳佳「それ、どうするんですか?」

エーリカ「宮藤、協力してくれる?」

芳佳「……ちょっと待ってください!! 私が赤ちゃん役なんですか!?」

エーリカ「だってぇ、宮藤が丁度いいじゃん」

芳佳「そ、そんな!! 無理ですよ!!」

エーリカ「ほかに適任いる?」

芳佳「ハルトマンさんは?」

エーリカ「私はムリムリ。ほら、このナイスバディじゃどこから見てもベイビーには見えないし」

芳佳「だったら、ルッキーニちゃんぐらいしか……」

美緒「上層部にはこの報告書を送りつけておいてくれ」

ミーナ「ええ。ところで、美緒?」

美緒「どうした?」

ミーナ「シャーリーさんとは……その……どうなの?」

美緒「そう言われてもな。特に何もないが」

ミーナ「本当に?」

美緒「実のない話を繰り返しているだけだからな、無視している」

ミーナ「それはそれで酷いような」

美緒「その甲斐あってか、最近のシャーリーは静かになり始めている」

ミーナ「あら、そうだったの?」

美緒「今日はまだ一度もシャーリーと接触していないからな」

ミーナ「よかったわ。それならもう心配することもないのね」

美緒「シャーリーは強いウィッチだからな。はっはっはっは」

ミーナ「はぁ……本当によかった……」

シャーリー「バルクホルン……」スリスリ

バルクホルン「離れろ」

シャーリー「そんなこと言って……素直になれよ……」

バルクホルン「なんの話だ!?」

シャーリー「やっぱり、私にはバルクホルンしかいないんだ……」

バルクホルン「……」

シャーリー「いや、違うか。このお腹の赤ちゃんにとっても、か」

バルクホルン「シャーリー、もう一度言っておくが、お前のお腹には誰も――」

シャーリー「……すきだ」ギュッ

バルクホルン「おぉぉ……!?!?」

シャーリー「幸せにしてくれよっ」


美緒「……」

ミーナ「……まだ、何も解決してなかったわね」

美緒「シャーリーめ……」

エーリカ「あ、二人とも。こんなとこにいたんだ。ちょっといい?」

エイラ「シャーリー、元に戻るのか?」

芳佳「はいっ。ハルトマンさんが言うにはですけど」

リーネ「問題は誰がシャーリーさんの赤ちゃん役に相応しいか、なんですけど」

ペリーヌ「それはルッキーニさんぐらいしかいませんでしょう。シャーリー大尉とは最も近しいですし」

ルッキーニ「……」

サーニャ「ルッキーニちゃん?」

芳佳「ルッキーニちゃんはしたくないって」

エイラ「なんで?」

リーネ「怖いそうなんです」

ペリーヌ「怖い? なにがですの?」

芳佳「シャーリーさんに拒絶されてしまうのが……」

ペリーヌ「では、宮藤さんがやればいいでしょう」

芳佳「わ、私じゃ、どうがんばってもシャーリーさんの子どもには見えないですしぃ」

エイラ「それを言ったら、ルッキーニも見えないって」

リーネ「でも、ルッキーニちゃんならシャーリーさんの目を覚ますこともできるかなって……思うんですけど……」

エーリカ「赤ちゃん役、きまったー!?」

芳佳「まだです。というか、決まりそうにありません」

エーリカ「なんだよー。私がやっちゃうぞー」

美緒「悪化する可能性はないのか?」

ミーナ「そうよ。もし今以上にシャーリーさんが母性に目覚めたら……」

エイラ「母乳は確実に出るな」

サーニャ「エイラ……」

エイラ「あ、いや、あの……。シャーリーから出るなら、迫力があるだろうから、見てみたいってだけで……」

サーニャ「……ごめんね。私じゃ、迫力だせないから……」

エイラ「ちがうんだ!! そうじゃなくってー!!」

エーリカ「ルッキーニ、やっぱり怖い?」

ルッキーニ「……だって、シャーリー、遊んでくれないし……あたし……」

エーリカ「あのシャーリーがルッキーニのことを忘れてるわけないよ」

ルッキーニ「でも……」

芳佳「ルッキーニちゃん、大丈夫だよ。今は少しあれだけど、シャーリーさんはルッキーニちゃんのことを一番に思ってるはずだから」

ルッキーニ「……」

ミーナ「ルッキーニさん」

ルッキーニ「なにぃ?」

ミーナ「あのね――」

エーリカ「こうなったら私がやるかー」

リーネ「ハルトマンさんは一番危険な気が……」

エーリカ「なんだと? よし、なら見ててよ。私はベイビーをさせてもエース級だってところをね」

エイラ「な、なに?」

エーリカ「ばぶ、ばぶ。おっぱ、おっぱ」

芳佳「……」

ルッキーニ「……それ、ホント?」

ミーナ「ええ。本当よ。間違いないわ」

ルッキーニ「……」

ミーナ「でも、怖いのもわかるわ。だから、強制はしないけど」

ルッキーニ「あたし、やるっ。シャーリーに戻ってきて欲しいから!」

バルクホルン「他の者が見当たらないな……」

シャーリー「やっと、二人きりになれたな」ギュッ

バルクホルン「この基地内には多くの人間がいる!!」

シャーリー「ここでは私とお前だけだろ?」

バルクホルン「やめろー!!!」

シャーリー「照れるなって。私がリードしてやるから。この日のために勉強だって色々とさ」

バルクホルン「待て!! シャーリー!!!」

エーリカ「あー、いたいたー」

シャーリー「あっ……」バッ

バルクホルン「あ、危なかった……。ど、どうした、ハルトマン?」

エーリカ「……お邪魔だった?」

バルクホルン「そんなことはない!! むしろ助かった!! 流石はカールスラント軍人だ!!」

シャーリー「……いじわるだな、相変わらず。ま、そこがいいんだけどさ」

バルクホルン「で、なんだ?」

エーリカ「これ、しっかり読んでおいて。今夜、決行するから」

バルクホルン「決行だと……?」

バルクホルン「……!?」

シャーリー「なんて書いてあるんだ?」

バルクホルン「おい!! エーリカ!!」

エーリカ「(シャーリーを元に戻すためだって)」

バルクホルン「(だが、今のシャーリーは本当に危険だぞ!! 分かっているのか!?)」

シャーリー「バ、バルクホルンと……婚前初夜……?」

エーリカ「大丈夫。私たちに任せて。トゥルーデは寝るだけでいいから」

バルクホルン「ね、寝るだけといわれても……」

シャーリー「ハルトマン。バルクホルンと……寝てもいいのか?」

エーリカ「ミーナも許可してくれたからね」

シャーリー「そっか。なら、お腹に影響がない程度にしてくれ」

バルクホルン「……」

シャーリー「バルクホルン……」スリスリ

バルクホルン「くっ……。ハルトマンたちを信じるほかないか……」

エーリカ「準備は整ったよ。あとは時間を待つだけ」

美緒「……元に戻ればいいがな」

エーリカ「ルッキーニがやるなら心配はないと思うけど」

ルッキーニ「……」

芳佳「ルッキーニちゃん、平気?」

ルッキーニ「うんっ」

美緒「――そろそろだな。ルッキーニはミーナと共にバルクホルンの部屋に向かえ」

ルッキーニ「了解っ」

ミーナ「行ってくるわ」

美緒「幸運を祈る」

ミーナ「ありがとう」

ルッキーニ「シャーリー……!!」

芳佳「大丈夫かなぁ……」

リーネ「ルッキーニちゃんを信じよう」

芳佳「そうだね。もう信じるしかないもんね」

種付け後の婚前交渉か(@_@)4

シャーリー「バルクホルン……」

バルクホルン「な、なんだ……?」

シャーリー「いつになったら、軍服を脱ぐんだ?」

バルクホルン「……」

シャーリー「もうこの体の半分はお前の物なのに、躊躇ってるのか?」

バルクホルン「そうじゃない」

シャーリー「もしかして、寝ている間じゃないと興奮しないのか? それは困るよ」

バルクホルン「……」

シャーリー「だって私がお前の愛を感じられないだろ? 私だってさ、意識あるうちに……その……」

バルクホルン「わ、わかった。その前に何か飲まないか?」

シャーリー「いいよ。で、夜明けのコーヒーなんかも飲むわけだ」

バルクホルン「そ、それもいいかもな……」

シャーリー「……今、私は幸せだ」ギュッ

バルクホルン「これを飲め。体が温かくなる」

シャーリー「もう十分火照ってるけど、ま、いいか。いただきまーす」ゴクッ

バルクホルン「……」

シャーリー「バルクホルン……」

バルクホルン「身を清めてくる」

シャーリー「そんなの私は気にしないって。お前の汗臭さとか、気に入ってるし」

バルクホルン「……抱くなら綺麗な体で抱きたい」

シャーリー「バルクホルン……!」

バルクホルン「すぐに戻ってくる」

シャーリー「うんっ。こっちも準備しとくから」

バルクホルン「それは楽しみだ」

シャーリー「……」

シャーリー「やばい!! すっげードキドキしてきたー!!!」

シャーリー「枕の位置はここでいいよな……」

シャーリー「これも枕元に置いておくほうがいいよな。どれぐらい使うか分からないし」

シャーリー「それなら、もう1箱ぐらい用意していてもいいか!」

バルクホルン「そろそろいいだろう。ミーナ、中の様子はどうだ?」

ミーナ「……動いている様子はないわね。眠っているみたい」

バルクホルン「よし。ルッキーニ、覚悟はいいな?」

ルッキーニ「う、うん」

ミーナ「私を信じて、ルッキーニさん」

ルッキーニ「あい」

バルクホルン「……これでよし」

ミーナ「貴女も行きなさい」

バルクホルン「わ、私もか!?」

ミーナ「当然でしょう?」

バルクホルン「行ってくる」

ミーナ「お願いね。何かあればすぐに呼びなさい」

バルクホルン「了解」

ミーナ(シャーリーさん、元に戻って……)

kwii

シャーリー「すかー……すかー……」

ルッキーニ「シャーリー……」ツンツン

シャーリー「うぅん……」

バルクホルン「暫くは目を覚ますことはない。ほら、シャーリーの隣に寝ろ」

ルッキーニ「うん」

バルクホルン「不安そうな顔をするな。私もこうして隣にいる。何かあればミーナもすぐに助けにくる」

ルッキーニ「それはいいんだけど……」

バルクホルン「シャーリーのことか」

ルッキーニ「あのね。ミーナ中佐から聞いたんだけど、シャーリーがおかしくなった日のこと」

バルクホルン「あの日のことか」

ルッキーニ「シャーリーがあたしの名前を聞いたとき、反応があったって。ホントのことなんだよね?」

バルクホルン「ああ。確かにシャーリーの表情が変わった。あれは、なんと言えばいいか……」

ルッキーニ「ミーナ中佐はね、われにかえったような感じだったって言ってたけど」

バルクホルン「そうだな。その表現が正しい。シャーリーはルッキーニの名前にはっとしたのかもしれない」

ルッキーニ「だったら、シャーリーが少佐や大尉と一緒にいても、もっといっぱい遊べばよかったの?」

バルクホルン「それができなかったんだろ、お前は」

ルッキーニ「だってぇ……シャーリー……少佐や大尉と一緒にいるとき、幸せそうだったから……」

バルクホルン「ルッキーニ少尉らしくないな。もっと我侭を言ってこそだろう」

ルッキーニ「そんなにわがままいってないー!」

バルクホルン「私にはそうは見えないが」

ルッキーニ「ぶー」

シャーリー「あぁ……ん……?」

バルクホルン「起きたか……。ルッキーニ、頼む」

ルッキーニ「あい」

シャーリー「やばい……旦那を待っててねるなんて……嫁しっかく……」

ルッキーニ「シャ……シャーリー……」

シャーリー「え……?」

バルクホルン「よく頑張ったな。産まれたぞ。お前と私の子が」

シャーリー「……」

ルッキーニ「ま、ままー……なんて……」

シャーリー「あ……?」

ルッキーニ「シャーリー!!」ギュッ

シャーリー「いや、ルッキーニは私の子どもじゃないだろ!?」

バルクホルン「だが、お前から産まれてきたのは、その子だ」

シャーリー「え!? いや……!?」

ルッキーニ「シャーリー……」

シャーリー「なにいって!! だって、私はまだ妊娠して間もなくて……あれ、でも、生理がきてから妊娠したのも早かったし……」

ルッキーニ「シャーリー、あたしとまた一緒に遊んで……」

シャーリー「あ……えっと……?」

バルクホルン「どうした、現実を受け入れられないのか?」

シャーリー「ルッキーニは違うって、だってさ、ルッキーニは私の……」

ルッキーニ「うじゅー……うじゃぁぁ……」

シャーリー「子どもなんかじゃなくて、親友みたいなもんだし……」

ルッキーニ「もどってきてぇ……しゃーりぃー……」

シャーリー「ああ、悪い。ルッキーニ。私がどうかしてたみたいだ」

バルクホルン「……シャーリー。今がどういう状況か、わかるか?」

シャーリー「……」

バルクホルン「確認しておく。お前は妊娠しているのか、否か」

シャーリー「否だ」

バルクホルン「もう一度、確認する。お前は妊娠しているのか?」

シャーリー「いません」

バルクホルン「よし。次だ。今までのことを覚えているか?」

シャーリー「……」

バルクホルン「少佐にしたこと、私にしたこと、宮藤に口走ったこと。全てだ」

シャーリー「……うん。お、覚えてる。私、寝る直前まで、ティッシュの用意とか……して……」

バルクホルン「ルッキーニ少尉」

ルッキーニ「な、なに?」

バルクホルン「もう解決した。行くぞ」

ルッキーニ「今日はシャーリーと一緒にねりゅぅ」

バルクホルン「ダメだ。こい」

ルッキーニ「あっ……あ……」

バルクホルン「ほら、歩け」

ルッキーニ「シャーリー!!」

シャーリー「ま、また明日な」

ルッキーニ「うぇぇぇん!!」

バルクホルン「もうおかしくなるようなことはない」

ルッキーニ「ほんとぉ?」

バルクホルン「本当だ」

ルッキーニ「シャーリー!! 明日、絶対にあそぼー!! 絶対だよぉ!!」

シャーリー「ああ、約束するよ!! 一日中遊ぼう!!」

ルッキーニ「にゃはー!!」

バルクホルン「おやすみ」

シャーリー「……」

シャーリー「やばい……やばいぞ……これ……」

シャーリー「私……なんだ……すっげー死にたいんだけど……」

ミーナ「シャーリーさんは元に戻ったのね」

バルクホルン「やはり、ルッキーニに正面から言われると我に返ったようだな」

ミーナ「フラウの読みどおりね」

バルクホルン「ルッキーニはつまらなそうだがな」

ルッキーニ「うじゅ……折角、シャーリーが戻ってきてくれたのに……

ミーナ「うふふ。ごめんなさいね、ルッキーニさん。だけどシャーリーさんにも自分の時間が必要だと思うの」

ルッキーニ「なにそれ?」

バルクホルン「耳を傾けてみろ」

ルッキーニ「んにゃ?」

「あぁぁぁ!!!! 私はなにやってたんだぁ!!!!」

「わー!!! あぁー!!! 明日からどんな顔で外を歩けばいいんだぁ!!!」

「あぁぁぁ……うぅぅ……しにたい……でも、ルッキーニとやくそくしたし……さいあくだぁ……」

ルッキーニ「シャーリー……」

バルクホルン「わかったか? 一晩ぐらいは一人にさせてやるべきだ」

ルッキーニ「わかった」

ミーナ「――シャーリーさん。起床時間は過ぎているわ。起きて」

バルクホルン「ミーナ。全員、ブリーフィングルームに集合している」

ミーナ「あとはシャーリーさんだけね」

バルクホルン「シャーリー!! 開けろ!! 遅刻だぞ!!」

「顔を出す、勇気がない」

バルクホルン「誰も気にしていない。なんらかの発作だと思っているだけだ」

「あんな発作を持ってるなら、私はもう生きていけない!!」

バルクホルン「ルッキーニとの約束を反故にするのか」

「……」

ミーナ「出てきて、シャーリーさん」

シャーリー「……おはよう、ございます」

ミーナ「はい、おはよう。さ、行きましょう」

シャーリー「……」

バルクホルン「お前を笑いものにする奴はいない」

シャーリー「……ホントに? 絶対だな?」

美緒「来たか。遅いぞ。集合時間は厳守だといつも言っているだろう」

シャーリー「はい、すいません」

美緒「早く座れ」

シャーリー「はい……」

芳佳「シャーリーさん! おはようございます!」

シャーリー「よぉー。宮藤、おはよう」

リーネ「シャーリーさん! おはようございます!」

シャーリー「あぁ、うん。リーネもおはよう」

エイラ「シャーリー! おはよう!」

シャーリー「うんうん」

サーニャ「シャーリーさんっ。おはようございますっ」

シャーリー「サーニャまで、めずらしいな……」

エーリカ「シャーリー! おはよー!」

ペリーヌ「シャーロット・E・イェーガー大尉、おはようございます」

シャーリー「うん。他人行儀だな、ペリーヌ……。いや、私が悪いんだけどさ……」

美緒「ほら、この一週間で起こった出来事は全員、忘れるように。いいな。これは士気に関わることだ。絶対に忘れろ」

ミーナ「今回のことはみなさんの胸の中にしまっておくように。絶対に口外なんてしないでね」

エーリカ「はぁーい、しつもーん」

美緒「なんだ」

エーリカ「私たちが思い出として話題にだすのはいいんですか?」

美緒「それぐらいなら構わん。ただし、シャーリーの傷が癒えてからだ」

エーリカ「了解っ」

芳佳「ハルトマンさん!! シャーリーさんが可哀相ですから、そういうことは言わないであげてください!!」

リーネ「そ、そうです!」

シャーリー「やめろ……」

エイラ「シャーリー、やっぱり母乳は出たのか? 想像妊娠するとそういうところにも影響が出るって聞いたことがあるんだ」

シャーリー「やめて……」

バルクホルン「シャーリーを辱めるのは簡単だ。もうやめてやれ」

シャーリー「うっ……うぇぇぇ……」

ルッキーニ「シャーリー!?」

ルッキーニ「にゃははははー!! シャーリー!!!」ギュゥゥゥ

シャーリー「あ、あははは……ははは……」

バルクホルン「しっかりしろ。お前が抱きしめてやらないとルッキーニが危ないだろう」

シャーリー「もうだめだ……わたし、家出するから……」

ルッキーニ「シャーリー!!! あそんでぇー!!!」

シャーリー「ルッキーニ……」

ルッキーニ「にひぃ! シャーリー、あたしはシャーリーのことだいすきだからー!! だから、出て行ったりしないでぇ」

ルッキーニ「あたし、シャーリーのそばから絶対に離れないようにしゅるからぁ!! おねがいぃ!!」

シャーリー「悪い。そうだな。お前を置いてどこかになんていけるわけないよ」

ルッキーニ「にゃははは! やったぁー!!」

バルクホルン「ルッキーニがいなければ、お前が暴走したとき困るからな」

シャーリー「あのなぁ、いいか? お前にだって、可能性はあるんだからな」

バルクホルン「お前ほど乱れるようなことにはならないな」

シャーリー「なにをぉ!!」

ルッキーニ「またケンカだ……」

シャーリー「お前なんか、宮藤に嫌われろー!」

バルクホルン「宮藤は関係ない!!!」

ルッキーニ「やめてー」


美緒「一件落着か」

ミーナ「……美緒、一つだけいいかしら?」

美緒「なんだ?」

ミーナ「あのままシャーリーさんが貴女のことを好いたままだったら、どうしていたの?」

美緒「シャーリーを養子に――」

ミーナ「え?」

美緒「冗談だ。ウィッチは稀にああなる。ミーナは見たことがないのか?」

ミーナ「ないからこそ、困っていたのよ。美緒はあるの?」

美緒「竹井大尉が狂ったときに比べれば、シャーリーのは大したことではない」

ミーナ「竹井大尉って……」

美緒「経験していればこのような事態で動揺することはない。はっはっはっはっは」

ミーナ「な、なにがあったの?」

―後日―

ミーナ「宮藤さん。起きて。宮藤さん」

バルクホルン「ミーナ、まだここにいたのか」

ミーナ「宮藤さんが起きてこないのよ」

バルクホルン「無理やり開ければいい。どうせ寝坊だ」

ミーナ「そうね……。宮藤さん、開けるわよ」

芳佳「うぅ……うぅ……」

バルクホルン「宮藤!? どうした!?」

ミーナ「宮藤さん!?」

芳佳「あ……あの……」

バルクホルン「どうした? どこか痛むのか!?」

芳佳「こども……できちゃったみたいで……」

バルクホルン「……」

芳佳「だ、だれのこか、わからないんですけど……わたし……あの……おぇぇぇ……」

バルクホルン「よし、産め」
                  おしまい

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