結衣「お嫁さんドラフト会議……」(197)

あかり「京子ちゃん、今日はどんなことして遊ぶの?」

京子「うぅむ……」

ちなつ「七並べなんてどうですか、昨日は大富豪でしたし」

結衣「おとといはババ抜きだったね、……あかりが8戦全敗だったけど」クスッ

ちなつ「そうでしたねぇ、ほんと折り紙つきの弱さというか……」

あかり「うぅぅ、なんであかりはババ抜き弱いのかなぁ」グスッ

結衣「まぁ、ね」チラッ

ちなつ「は、はい」

結ちな(ババを引いたとき明らかに顔に出してたら勝てないって……)

あかり「京子ちゃん、それで今日はどんなことして遊ぶの?」

京子「うーん……」

京子「正直さ、もうトランプって歳じゃないよね私たちって」

ちなつ「はぁ……」

京子「私としてはもっとこう非日常的なことをやりたいワケで!」

結衣「単純にトランプに飽きたんでしょ」

京子「てへへ、だってあかり弱いんだもん」

あかり「うぅぅ……」シクシク

結衣「と言っても私は寒いの苦手だし……」

ちなつ「分かります、もう雪が降ってますもんねぇ」

京子「もちろん私も外に出るなんてゴメンだよ~」

京子「へへへ、おこたさいこー……」ヌクヌク

結衣「こうやってゴロゴロしてるのが一番だな」

京子「まぁね、でもそれじゃつまらないし……」


京子「ドラフト会議をするぞ、みんな!!」

京子「第一回ごらく部ドラフト大会議だ!!」バンッ

京子「これならおこたの上でも出来るし、話題も作りやすいしね~」

ちなつ「は?」

結衣「え?」

あかり「……??」

京子「な、なんだよみんなそんなすっとぼけた顔して!」

あかり「ねえ結衣ちゃん」

結衣「ん?」

あかり「どらふとって、峠を攻めるときによく使うアレ?」

結衣「それはドリフトだな」

あかり「じゃあ、ザラキばかり唱える神官の人?」

結衣「それはクリフトかな」

あかり「違うの?じゃあどらふとって何なんだろう……」

結衣「うーん、説明しろと言われると私もちょっと言葉にしにくいかも」

結衣「というわけであかりに説明よろしく」

京子「そうだなぁ……」

京子「野球とかでよくやってるじゃん、ドラフト会議って」

あかり「あっ!」

京子「自分が欲しい選手をどんどん宣言していって」

京子「他と被ったらくじ引いたりとかさ」

あかり「そうだねぇ、秋ごろに毎年やってるもんね!」

京子「それでねー」ゴソゴソ

京子「このお題ボックスから引いた話題でドラフトやってみようかな、と」トンッ

京子「好みなんかが分かるし、お互いを知るにはうってつけだよね」

結衣「あ、面白そうかも……」

ちなつ「結衣先輩がそう言うなら私もオッケーですよ!」

あかり「わぁ、初めてだから楽しみだよぉ」ニコニコ

京子「お、けっこう乗り気だねみんな」

京子「それじゃー記念すべき第一回のお題はっと……」ゴソゴソ

結衣「最初は無難に食べ物ドラフト、とかいいかもね」

ちなつ「毎日飲んでますしお茶ドラフトなんかも面白そうですね」

あかり「あかりはわんわんドラフトをやりたいよぉ~」

あかり「今日ちょうどペットカタログ持ってきたんだよ!」ゴソゴソ

結衣「そうなんだ、……京子発案の遊びにしては平穏に過ごせそうかも」


京子「ご、ごらく部限定お嫁さんドラフトー……」

三人「!?」

ちなつ「お、お嫁さんドラフト!?」ガタッ

結衣「……」

京子「いやーまいったね、一発目がこんな話題とは」

あかり「京子ちゃん、それってつまり……」

京子「うん、自分がごらく部でお嫁さんにするなら誰がいいかってことだな」

結衣「私たち全員女の子なんですけど」

京子「まぁいいじゃんいいじゃん!」

京子「はいはい、みんなこのフリップとペンを持ってね」

結衣「用意がいいなぁ……」

結衣「もちろん指名するだけで終わるんでしょ?」

京子「せっかく指名するんだからなぁ……」

京子「お互いが合意すれば新婚ごっこをするということで!!」

ちなつ「!?」ガタッ

結衣「合意、ねぇ……」

あかり「ふふ~ん♪」カキカキ

ちなつ「し、新婚さんごっこ……」ポワーン

ちなつ(結衣先輩を一位指名するのはもう既定路線ね!!)

ちなつ(毎朝先輩のお味噌汁を飲んで……)

ちなつ(笑顔でエプロン姿の先輩が私を仕事に見送って)

ちなつ(もちろん夜は私を優しく癒すんだろうなぁ……)


ちなつ「ゆ、結衣先輩、明日も仕事があるのに早く寝かせて下さいよぉ~!!」

ちなつ「もう、あと1ラウンドだけですからね……」ポッ

結衣(私と徹夜でプロレスでもしてるのかな……?)

京子「さてさて、みんな一位指名は決まったかな~」

京子「ん……?」


ちなつ「結衣先輩、あのちょっとこちらへ」コソコソ

結衣「え、どうしたのちなつちゃん」

ちなつ「先輩って確かナモクエ大好きでしたよね?」

結衣「うん、シリーズ全部クリアするくらい好きだよ」

ちなつ「……でしたら、コレをもらっていただけますか」ゴソッ

結衣「こ、これは!!」

ちなつ「ナモクエに出てくるりっちぃの形をした飴さんです」

結衣「うわぁ~これってネットでしか買えない限定品なんだよね!」

ちなつ「はい、お姉ちゃんのクレカをちょっと借りまして……」

ちなつ「あと来春発売するシリーズ最新作の体験版もここに……」ゴソッ

結衣「えぇ!?」

結衣「ち、ちなつちゃん……これ本当に貰っていいの?」

ちなつ「もちろんです、その代わりに私が先輩を指名した暁には……」


京子「こらあああああああああああああああああああ!!!!!!!」ピピピィー

結ちな「!!」

京子「こらこらちなつちゃん、ドラフト前の裏金は違反だぞ!!」

ちなつ「ち、違います失敬な!!」

京子「じゃあ何だねそのナモクエグッズの数々は……?」ジーッ

ちなつ「ゆ、結衣先輩に食べてもらうただの飴さんですよ~」ゴソッ

ちなつ「甘いものを食べて疲れた体に栄養でも取って欲しいと思いまして」

ちなつ「そう、これは裏金なんかじゃなくて栄養費……」

京子「ど、どっちも同じ意味だからね!?」

結衣(ナモクエで心が動かされる自分が恥ずかしい……)

京子「……」カキカキ

ちなつ「……」カキカキ

結衣(みんなさっそく書いてる……)

結衣(あの二人を見る限り迷いなしって感じの勢いだな)

結衣(……)チラッ

あかり「ふふ~ん♪」カキカキ

結衣(へぇ、あかりも一位指名は即決なのか)

結衣「……」

結衣(まいったな、誰にするかほんと迷う……)

結衣(京子は底抜けに明るいし、何だかんだで安心する存在だけど)

結衣(……でも、あいつが家事を手伝ったこと今までないからなぁ)

結衣(あ、ちなつちゃんはどうだろう)

結衣(幼なじみ三人だったごらく部に馴染むくらい人懐っこくて)

結衣(マフラーとか手作りのチョコを作ってくれるくらい女の子らしさが)

結衣(でも、それだったらあかりも負けてないし……)



結衣「……」カキカキ

京子「はいはい、みんな一位指名は決まったかな?」

ちなつ「私はオッケーですよ!」

あかり「あかりも書き終わったよぉ~」

結衣「あぁうん、私も大丈夫」

京子「……よし、それじゃあかりから時計回りでオープンな」

あかり『第一回選択希望お嫁さん 京子ちゃん、ちなつちゃん、結衣ちゃん』

京子『第一回選択希望お嫁さん ちなちゅ♪』

ちなつ『第一回選択希望お嫁さん 結衣先輩!』


あかり「結衣ちゃん以外出揃ったね~」

京子「くそう、やっぱりちなつちゃんは結衣かよ!!」

ちなつ「ち、ちなちゅって書かないで下さいよ……」

京子「まぁまぁ照れない照れない……」スリスリ

ちなつ「っていうかあかりちゃん三人指名してませんか!?」

結衣「ほ、ほんとだ」

京子「一位指名で三人持ってくるとは……」

あかり「えっ、もしかしてダメだった!?」

京子「ダメというかなんというか……」

結衣「あかりは欲張りさんだな」ナデナデ

あかり「だって決められないよぉ……」

ちなつ「でも、なんというかあかりちゃんらしいですね」クスッ

京子「うぅむ、普通だったら追放レベルの暴挙なんだけど……まぁいいか」

結衣「ははは、それにしても3人複数指名はないよな」

あかり「もう結衣ちゃん笑いすぎだよぉ!」

京子「次やったらお仕置きだからなあかりー」ツンツン

ちなつ「でも、結構楽しかったですねドラフト会議」

京子「そだねぇ、ほんじゃ次のお題行ってみようか!」

京子「……」ゴソゴソ

ちなつ「あれ、なんか大事なこと忘れてません?」

結衣「……」ギクッ

京子「そうだよ、結衣の一位を聞いてなかった!!」

結衣「……いいじゃん別に、次行こうよ次」

ちなつ「だ、ダメですそんなの!」

京子「そーだそーだ、結衣だけ秘密なんてずるだろ」

あかり「あかりも結衣ちゃんが誰を指名したか気になるなぁ」

結衣「まぁ、確かに私だけ公開しないのはおかしいもんな……」

結衣「……」トンッ

                    ∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧
              / ニ=‐:.:.:/|:.:!i:.:.:.:.:.:.:.:.:.ト:.:.:ト:.:.:.-=ニ ',

.                ,'′:.:.:.:.:.:.:.:./ !:l !:.:.:.:.:.:.:.: ハ:.:! ';.:.:.:.:.}:.:.:.:ヽ!
               ,:.:.:.:.:.:.:.:.∧:{─仆ミ、:.:.:.:.:.:/-‐i:.!‐Ⅵ:.:/:.:.:.:.:.:i
                iイ:.:.:.:.:.:.:{ V _レ_ ヽ:.:.:.;′ __リ  Ⅵ:.:.:.:.:.:.:!
                | !:.:.:.:.';.:.!.ィf芍示ト  ';.Ⅳ ,ィ芍示ト、 }:.:./.:.:.;
                 〉:.:.:.:.';.i´ V:....:リ   ヾ   V:....:リ ` : /:.:.:〈
                 i:.:ィ:.:.:.ト',、、`¨´       `¨´、、/イ:.:.:.ト:.i
               i:.ハ:.:. {、        '       ム,}:.:.:/ !:!
                   V ヽ:.:.∧               ∧:.:.:/ レ
                 ヽiヽ:.:. 、    ^     ィ:.:.ハ:.:/
                   i! ヽ:.:.`:ト  . _   イ:.:.:.:. / ∨
                     ノ:.:.:斗     トヽ:.:.:{
                  _‐='<: :ノ      ヽ : >='_
                 . .< : : : : : ∧  ___  ∧ : : : : : >. .
             /、: : : : : : : : : :∧'´: : : : : `∧: : : : : : : : : : :へ

              .∧  \: : : : : : : : :∧: : : : : : ∧: : : : : : : : :/  ∧
       ┌{{─{{─{{─{{─{{─{{─{}─{}─{}─{}─{}─}}─}}─}}─}}─}}─}}┐

       |                                        |
       ヘ                                       |
      / ヽ \                                   /`ヽ
      { 、\ノ    第一回選択希望お嫁さん              / ./ }
      { 、\丿 .   富山FuNAユイスターズ             .  7._/ }
      ヽ 丶.ノ                                    (_/ }
       ≧'′     赤座 あかり   13歳 捕手 七森中学      〉- '′
       |                                        |
       |                                        |
       |                                        |
       └────────────────────────‐┘

結衣「……」モジモジ


京子「ねぇ、どこから突っ込めばいいと思う?」コソッ

ちなつ「きゅ、球団名まで必死に考えたんですね結衣先輩……」

京子「べ、ベイスターズとかけたんだろうね……」プークスクス

京子「昔から結衣って結構凝り性だもんなぁ」

ちなつ「それよりあかりちゃんってキャッチャーなんですか?」

京子「さ、さぁ……」

京子「なんかもう乗り気じゃなかった割りには一番楽しんでるな結衣ってば……」

あかり「……」ニコニコ

結衣「な、なんだよそんなニコニコして」

あかり「結衣ちゃんはあかりをお嫁さんにしたいの?」

結衣「でも、悩んで悩んでからの選択だからなぁ」

結衣「あかりがダントツ一位ってわけじゃないよ?」

あかり「でも、一位に選んだことは変わりないよね」ニコッ

結衣「うっ……」

結衣「つい勢いであかりを選んじゃったけどさ、……家事出来るの?」

あかり「勢い……!?」

あかり「あ、あかりはお母さんのお手伝いしてるしそれくらい余裕だよぉ」

結衣「ほんと?」

あかり「ゆ、結衣ちゃん疑ってるでしょ!!」

結衣「いや、疑ってるワケじゃないんだけど……」


京子「まぁまぁお二人さん」ヒョコッ

京子「百聞は一見にしかず、一日だけ試してみればいいんじゃない?」ニコッ

結あか「えっ?」

結衣「いきなり何言ってるんだよ京子……」

あかり「そ、そうだよ京子ちゃん!!」

京子「あかりも結衣に言われっぱなしじゃ嫌でしょ?」

あかり「それはそうだけど……」

京子「結衣も言ったからには責任持って見届けなきゃね」

結衣「うーん……?」

京子「ほらほら行った行った」グイグイグイ

結あか「うわっ!」

ちなつ「もおおおおおおおおおおおお!!!」ポカポカ

京子「ちょ、ちょっとちなつちゃん痛いよ」

ちなつ「ど、どうしてあの二人をけしかけるような真似を!」

ちなつ「そんなに私にイジワルしたいんですか……?」

京子「あー、実はね」

京子「結衣とあかりってたぶん二人きりで遊んだことないと思うんだ……」

ちなつ「ま、マジですか?」

京子「いちおー幼なじみなんだけどね……」

京子「ちなつちゃんには悪いと思ってるよ……」

京子「でも本当に不安なの、あの二人が本当はちょっと気まずい仲だったら」グスッ

京子「挨拶だけ交わしてあとはずーっと無言のような関係だったら……」

ちなつ「いや、京子先輩が知らないだけであの二人で遊んでるんじゃないんですか?」

京子「えっ……」

ちなつ「そもそもそんな関係だったら結衣先輩はあかりちゃんを選びませんし」

ちなつ「あかりちゃんだって新婚ごっこなんか断りますよ」

京子「……」ジワッ

ちなつ「あ、やば……」

京子「わ、わたし抜きで遊んでるの……?」グスッ

ちなつ「そんなわけないですよ!」ナデナデ

ちなつ「……私、京子先輩のこと見直しちゃいました」

ちなつ「正直に言うと、ぶっきらぼうな人だと思ってたんです」

ちなつ「自分中心というか、こんな部室も占拠しちゃくらいだし……」

ちなつ「……でも本当は繊細でいつも他人想いの優しい人なんですね」

ちなつ「あかりちゃんも結衣先輩も先輩を省いたりなんかしてませんよ」ニコッ

京子「……えへへ、だよね」

ちなつ「あ゛ーおこたあったかいよぉ……」ヌクヌク

京子「……」

ちなつ「どうしたんですか、そんなに顔を赤らめて」

京子「あ、あっちが新婚ごっこしてるなら私たちもやるべきだと思わない?」

ちなつ「えぇ……」

京子「ちなつちゃんの花嫁修業だと思ってさ」ニコッ

ちなつ「最初からそれが目的だったんでしょどうせ……」

京子「てへっ♪」

ちなつ「もう……しょうがないなぁ」

あかり「うわぁ~、もうすっかり積もっちゃったね結衣ちゃん」サクサク

あかり「もうそんな季節なんだね、ほんとあっという間だよぉ……」

結衣「……」

あかり「結衣ちゃん?」

結衣「あ、いや、もう怒ってないのかなと……」

結衣「ほんとに家事出来るの、って失礼なこと言っちゃったね」

結衣「……ゴメンな、あかり」

あかり「……」クスッ

あかり「あかりはそんな下らないことで怒らないよぉ」

結衣「そっか……子供なのは私だったみたいだね」ナデナデ

あかり「ふふ、結衣ちゃんのさっきのツンツンな態度もね」

あかり「あかりと新婚ごっこするためのものだって思うと……」

結衣「な゛っ!?」

あかり「なんかほんと可愛らしく感じちゃって」

あかり「……あ、図星だった?」クスッ

結衣「……言うようになったなぁあかりも」

あかり「ふふ~ん♪」

結衣「あかり」

あかり「なぁに結衣ちゃん、今日の晩ごはんのメニューはまだ考え中……」

結衣「……」グイッ

あかり「えっ!?」

結衣「今日手袋忘れちゃってさ……手、繋いでもいいかな?」ギュッ

あかり「……う、うん」

結衣「あかりのおかげでポカポカだ、ありがと」ニコッ

あかり「……」

結衣「ん、どうしたのあかり」

あかり「だって結衣ちゃん、あかり知ってるよ……」

あかり「こ、この繋ぎ方恋人繋ぎっていうんでしょ……?」

結衣「あれ、手を繋いだだけで顔赤くしちゃうの?」

あかり「……結衣ちゃんは耳まで真っ赤だけど」

結衣「……あはは」ギュッ

結衣「寒いさむい……」

結衣「お家に人には連絡した?」ガチャッ

あかり「うんっ、お母さんとお姉ちゃんにメールしておいたよ」

結衣「そっか、それじゃ手うが……、手洗いとうがいしてくつろいでて」

結衣「私は晩ごはんの準備を……」

あかり「結衣ちゃ~ん」クスッ

結衣「あ、そっか今日はあかりが作ってくれるんだっけ」

結衣「はぁ、なんか所帯じみてきたな私も……」ポリポリ

あかり「あのね、今日の晩ごはんのことなんだけど……」

結衣「うんうん」

あかり「いつも結衣ちゃんが作ってくれるあの料理を作ってみたいの」

あかり「……あかりの大好きな、オムライスを」ニコッ

結衣「ほんと?楽しみにしてるからな」

結衣「……あ、ゴメン卵切らしてたんだ」

あかり「えっ!」

結衣「ちょっとひとっ走りスーパーまで行ってくるよ私」スッ

あかり「ご、ごめんね結衣ちゃん……」

あかり「あれ、一人になっちゃった」

あかり「……」キョロキョロ

あかり「何だかんだで綺麗なお部屋だよね」

あかり「こざっぱりして、結衣ちゃんのお部屋って感じ」


あかり「あれ、なんだろうこの子」ヒョイッ

ナデナデシテ オネガイ

あかり「わぁしゃべるお人形さんだよ~」

あかり「ふふ、結衣ちゃんも可愛いところあるね」ナデナデ

ファー ブルスコ ファー…… ヲヲヲヲゥゥヲゥオウオウ

あかり「ひいい!?」ビクッ

結衣「……」ガチャッ

あかり「あ、おかえりなさい結衣ちゃん」

結衣「……」

あかり「結衣ちゃんどうしたの?」

結衣「も、もう一回おかえりって言ってくれるかな」

あかり「……ふふ、おかえり結衣ちゃん」

結衣「た、ただいまあかり」モジモジ

あかり「すぐ出来るからおこたで温まっててね」

結衣「うん、ありがとあかり」


結衣「幸せ……」ヌクヌク

結衣「そう言えばあの子元気かな」ゴソゴソ

ファー…ナデナデ ウケケケケケケ!! オゥオゥォォォォォォオ!!

結衣「……」

あかり「結衣ちゃん、それはもうゴミに捨てようね」ボキッ バキッ

モルスァ…

結衣「う、うん……」

あかり「ま、まずは玉ねぎから……」

あかり「……」サクサク

結衣「……」ヒョコッ


結衣「あかり、左手は丸くネコの手にしないと危ないよ」ギュッ

あかり「あ、結衣ちゃん……」

結衣「みじん切りは難しいから一緒にやってみようか」

あかり「あ、あかりは一人で家事できるもん……」

結衣「……大丈夫だよ、あかりのこと笑ったりしないから」

サクサク トントン

あかり「ほんとはね、あかりお料理なんて全然したことないの……」

あかり「お母さんのお手伝いはしたことあるけど」

あかり「それも鍋をかき回すくらいのレベルでね……」

結衣「ううん、お手伝いするだけでも立派だと思うな」

あかり「……普段、中途半端にお裁縫とかやって目立ったバチが当たったのかな」

結衣「……え?」

あかり「この間ね、家庭科の調理実習があったの」

結衣「一年はご飯を炊いて、お味噌汁を作るんだよね」

あかり「うん……」

あかり「みんな、あかりは料理も上手ってイメージがあったのかな」

あかり「あかりちゃんがいるなら安心だね~、盛り上がってたんだ」

あかり「でも……あかりね、グループの足引っ張っちゃって……」グスッ

あかり「ご、ご飯炊くのも、お味噌汁作るのも結局失敗しちゃって……うっうぅ……」グスッ

結衣「あかり……」

結衣「ごめん、辛いこと思い出させちゃったね……」

あかり「うっ、ううん、結衣ちゃんは悪くないよ」グスッ

結衣「実は、私もあかり同じような感じ」ナデナデ

あかり「え……?」

結衣「こんな見た目だからさ、クラスの子はみんなこう言うんだ」

結衣「結衣ちゃんは頼りになる、一人でも生きていけそうって……」

あかり「……」

支援!(`・ω・´)

あかり「結衣ちゃん……」

結衣「ただ強がりなだけ……」

結衣「本当は人一倍寂しがりやで、一人じゃ生きていけないくらい弱いんだ」

結衣「まぁ、アイツには全部見透かされてたみたいだけどね」

あかり「京子ちゃんのこと?」

結衣「うん……」ナデナデ

あかり「あかり、結衣ちゃんのことなにも知らなかったんだね……」

いいよ頑張れ!(`・ω・´)b

あかり「結衣ちゃんが寂しがりやなんてちょっと信じられないなぁ」クスッ

あかり「あ、でもさっきの薄気味悪い人形を買っちゃうくらいだもんね……」

結衣「ははは……」

結衣「まぁ他にも色々あるんだけどね」

あかり「えっ?」

結衣「ダンシングフラワー……」ゴソゴソ

結衣「シーマン、ピカチュウげんきでちゅう、ぎゃおっぴ……」ゴソゴソ

あかり「結衣ちゃ~ん……」

ぎゃおっぴってたまごっちのパクリの奴だっけ?w

あかり「やっぱり結衣ちゃんのオムライス美味しいよぉ……」ウットリ

結衣「私の、じゃなくて二人で作ったオムライス、だろ?」

あかり「……うんっ!」

あかり「~♪」パクパク

結衣「ふふ、……あれ?」

結衣「そういえばなんで今日あかりは遊びに来たんだっけ」モグモグ

あかり「はっ!!」ガタッ

結衣「あ、あかりどうしたの?」

あかり「ゆ、結衣ちゃんどうしよう……」

結衣「え、どうかしたのあかり?」

あかり「あかりたちまだ新婚さんっぽいことしてないよぉ!」

結衣「あぁ……」

結衣「当初の目的をいま思い出したよ」

結衣「まぁ別に京子の言いつけなんだし守る必要も……」

あかり「……」カチャカチャ

あかり「はい、結衣ちゃんあ~ん」スッ

結衣「えっ!?」

あかり「結衣ちゃん、せっかく作ったんだから早く食べないと……」スッ

結衣「あ、む……」パクッ

あかり「……」

結衣「あ、あ~ん……」スッ

あかり「あむっ!」

あかり「ん~、まさに新婚さんって感じだよねぇ……」

結衣「そ、そうだね」

結衣「あのさあかり」

あかり「なぁに結衣ちゃん?」モグモグ

結衣「そういうことして恥ずかしいとかはないの……?」

結衣「い、一応関節キスってことになるんだけど……」

あかり「へっ?」

あかり「……」

あかり「…………」

あかり「………………あ」

あかり「ご、ごめんね結衣ちゃん……」カァー

結衣「う、ううん、気にしないであかり……」

結衣「あかり、寒くない?」

結衣「寒かったら追加で布団上からかけるけど」

あかり「ううん大丈夫だよ」モゾモゾ

結衣「そっか……」

あかり「結衣ちゃんごめんね……」

結衣「ん?」

あかり「まだ夜の9時なのに一緒に寝てもらう形になって……」

結衣「あぁ、それくらいどうってことないよ」

結衣「……あかり」

あかり「え?」

結衣「なにか悩んでることとかあったらまた相談してね」

結衣「まぁ、私なんかじゃ力になれないかもしれないけど……」

結衣「料理とかだって基本くらいなら教えられるしさ」

あかり「……結衣ちゃん」

あかり「……」モゾモゾ

あかり「や、やっぱり寒いから一緒のお布団で寝ていい?」

結衣「……ふふ、はいはい」

あかり「何かあったらすぐ相談するよ……」

結衣「うん」

あかり「それじゃあ結衣ちゃんも約束してね」

結衣「ん?」

あかり「寂しくなったらすぐあかりに電話することっ!」

あかり「いい、絶対だよ?」ギュッ

結衣「でもあかりは営業時間が午後9時までだからなぁ」クスッ

あかり「が、頑張って起きてるよぉ……」

あかり「だって、せっかくすまほ買ったのに誰も電話してこないんだもん……」グスッ

結衣「ふふ……ありがとうあかり」ギュッ

あかり「く、苦しいよぉ結衣ちゃん」

結衣「私も寂しくなったらあかりに電話するよ」

結衣「……あと一つワガママ言ってもいいかな?」

あかり「……うん」

結衣「……もっと私のお家に遊びに来て欲しい、かな」

あかり「……」ギュッ

結衣「ぐえっ、く、苦しい……」

あかり「そんなのワガママのうちに入らないよ、結衣ちゃん」

あかり「……」zzz

結衣「……」ナデナデ

あかり「……ぇへへ」zzz

結衣「ふふ……」


結衣「今日はあかりとたくさんお喋り出来て楽しかったな……」

結衣「お互いのことまだ全然分かってなかったみたいだね、私たち」

結衣「……それでも、これから少しずつ知り合えばいいよね?」

結衣「優しい幼なじみが二人、それで可愛い後輩がいて……私は幸せものかもな」

結衣「……おやすみ、あかり」ギュッ

~次の日~

結衣「あかり、そこ滑りやすくなってるから気をつけてね」

あかり「平気だよぉ、結衣ちゃんにしがみついてるから」ギュッ


京子「なんかあの二人やたら距離感近いね……」ヒソヒソ

ちなつ「昨日何かあったんですかね……」

京子「あ、ちなつちゃん、そこ滑りやすいから気をつけてね」

ちなつ「はい」ギュッ

京子「あ、えへへ……」

結衣「あのさ、あかりさえ良かったらまた新婚ごっこでも……」

あかり「……」ドキッ


京子「あのさちなつちゃんさえ良かったらまた新婚ごっこででも……」

ちなつ「……」ドキッ


あかちな「ど、どうしようかなぁ……」モジモジ

モブA「あの、船見先輩、このラブレター良かったら読んでください!!」

結衣「えっ!?」

モブA「さ、さよなら!!」タッタ

あかり「……」


モブB「あの、歳納先輩、このラブレター良かったら読んでください!!」

京子「わ、わたし!?」

モブB「さ、さよなら!!」タッタ

ちなつ「……」

結衣「ま、まいったなラブレターなんて……」

京子「うはー、初めて貰っちゃったよ!」


結京「……」ハッ


あかり「あかりは結衣ちゃんのお嫁さんからFA宣言するよぉ……」テクテク

ちなつ「私も京子先輩のお嫁さんからFA宣言します……」テクテク


結衣「あ、あかりちょっと待って誤解だよさっきのは!!」

京子「ちなつちゃん、待ってよー!!」




おわり

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom